厚生委員会 第39号
- 発言数
- 77 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1952/06/11
会議録
○大石委員長 これより会議を開きます。 日本赤十字社法案を議題とし、審査を進めます。発言を順次許可いたします。金子與重郎君。
○金子委員 本法律案に対します各條にわたる質問が、苅田委員その他からありました。私はこの法案を作成いたします過程において、過去の赤十字から、新しく民主的な形における赤十字が出発するにあたりまして、今までのあり方に対して、大きな反省と改善を加えなければならぬという点を重視いたしまして、本法案の審議に当つたのでありますが、法律の体裁と申しますか、形の上に、まだまだたくさんの條件を入れたいという希望を持つておりました。しかしながら、その事柄が、定款に含まるべき性格のようた要綱が多々あつて、この点は赤十字社に対する監督の立場に当りますところの厚生省が、定款の認可権を持つておりますので、厚生省に対して、この際この法案審議にあたりまして、各委員の一致いたしました希望を申し上げまして、それに対して、厚生省の今後の監督の方針に対する御回答を願いたいと思うのであります。 まず第一に、定款で、これは自主的にきめるという建前になつております。今度赤十字では社員の会費をもつて基本財源に充てて、自主的な法人として進んで行く、こういう建前になつておるのでありますが、従来のごとく三十円というような程度のものでは、とうてい今日の物価においてそれは名のみであつて、その実はあがらないということを考えておりますので、毎年会費として納入する金額というものを、私どもは今日の時代においては、最低百円程度として定款に定むべきだと考えております。その点、厚生省はどういうふうにお考えになつておりますか。
○安田政府委員 日赤が社員制度で行くべきだ、ついては社員の年に出しますところの金額、これが現在の三十円では低きに失するうらみがあるから、さしあたり百円ぐらいがよかろうというお話であります。私も三十円では、正式の社員の出資としましては低いと思います。しかし、いずれこれは代議員会等の日赤のそれぞれの機関に諮つておきめ願うことだと思うのでありまして、そのような代議員会できめられました結果に基いて、私どもきめて行かなければならないと思います。そういう点を尊重し、かつ今のお話の点も尊重しながら、やつて参りたいと思つております。
○金子委員 もちろんその点は、自主的な代議員会によつてきめられるべき性格のものであります。それであるがゆえに、法律としてうたわなかつたのでありますが、監督の立場にある厚生省の意見もそうであるとすれば、必要以上に、監督権を持つておるがゆえに容喙するという意味ではなくて、常識的にこの点も考えられる点でありまして、ただいま局長も、百円程度以下では、社員としての負担金として條理が通らぬというようなお意思でありますので、そのような考え方で、認可には心構えを持つていただきたい、こう考えるわけであります。 それから、日赤組織の中で、今あいまいになつておりますもので、これも定款事項として当然きめていただくことに、日赤当事者とは話し合つたのでありますが、赤十字奉仕団の性格の問題であります。現段階における奉仕団の性格というものは、外郭団体のようなことも言つてみたり、あるいは内部における推進団体のような解釈をしてみたり、この点は非常にまちまちであります。しかも、このあり方いかんによりましては、いろいろな弊害なり問題が起る可能性が多分にありますので、この奉仕団の問題は、監督官庁として、定款作成のときには、赤十字奉仕団というものは、社員の中のその事情の許す、あるいはその赤十字社精神に徹底した人たちの、推進協力体だという性格のものにしていただくように願いたい。こういうふうな考え方を持つておるわけでありますが、その点いかがでありますか。
○安田政府委員 赤十字の奉仕団が、外郭団体的な性格を持つているというお話でありますが、私ども、もし、現在の赤十字奉仕団につきまして、いろいろと弊害がございますならば、これは改めて行かなければならぬと考えますけれども、ただいま御質問のように、これを社員の中からのみやるかどうかということにつきましては、しばらく研究させていただきたいと思います。
○金子委員 この問題は、相当重大な問題でありますので、この際赤十字社当局の考え方と両方を伺いまして、この点があいまいであるならば、これは法案を修正をいたしましても、どうしても定款としての行き方に対して、監督官庁も、定款であるがゆえにある程度以上の意見は出せないということであれば、法律としてこれは入れなくてはならぬと思つておりますが、この点赤十字社の現当局の御意見いかがですか。
○伊藤参考人 皆さんの御意向を伺いますと、赤十字の奉仕団は、社員の中から選んで、推進団体として組織して行つたらどうかというような御意向のように、私拝聽しておるのでありますが、原則において、私はその方針でいいと思います。ただ、現在の赤十字の奉仕団の中には、たとえば医療関係の学生の奉仕団といつたようなものがございます。そういつたような学生奉仕団あたりが、相当保健衛生方面の向上に協力いたしておつてくれますので、これらの学生に年額百円の社費を納めさせることが、学生に対して非常に過重な負担になりはせぬかというようなことを、実は心配いたしておるのでございます。根本においては、皆さんの御意向によつてやつて行けるのじやないかと思つておるのでございますが、そういう点、もしできまするならば、一応研究の余地を残しておいたらどうかというふうに存じておるわけであります。
○金子委員 この問題は、監督官庁あるいは当局とも、はつきり割切つた考え方は、まだ持つていないようでありますが、本日の会議におきまして、もしその程度であるならば、私どもの今の考え方としては、法律の上にはつきりしたい、こういう希望を持つております。しかしながら、それが時間的に許されなければ、国会におけるこの法律審議の意図というものは、十分監督官庁も、あなた方もわかつておるのですから、それを無視して行つた場合には、私どもはいつでも法律修正をするということをお考えの上、今後の運営に当つていただきたいと思います。 それから、これも定款作成事項の中でありますが、事業の運営方式に対して、この点も定款にはつきりとしていただきたいと思うことであります。元来赤十字本来の仕事、たとえて言うならば、救護要員の養成であるとか、救護施設の拡充だとか、あるいはそれに要する必要品の備蓄というようなことは、どうしても今の段階においては、赤十字に大きく依存しなければならぬ仕事でありますが、今度は赤十字の救護員を養成するための病院施設というようなものは——かつては赤十字が病院を開設した当初の時代におきましては、單に救護員の養成をするための病院経営のみならず、山間僻地へ持つて行つて、優秀な医療機関というものを、しかも非営利の立場で拡充して行くことが、国民保険衛生の上に大きな貢献をしたということを私どもも認めるのでありますが、現段階におきましては、病院というものが、ほかの病院と同じような患者を入れて治療するということであるならば、赤十字病院が特にそれによつてすぐれたということは、私どもは考えられないのであります。そこで、先ほども申し上げました赤十字本来の仕事というものと、それから事業分量の中で大きなウエートを占めておりますところの病院経営の問題、それに附属または別個に行われておりますところの社会事業であります。社会事業の問題におきましては、本法律案の中にも、その意図が盛られているように、一般社会福祉法人と同列の立場においてやる。しかし赤十字が社会福祉事業の面に大きく力を入れて、そうして本来の仕事をうとんずるようなことのないように、本来の仕事に重点を置いて、社会福祉事業はこれ以上拡充しないということを原則として行く。従つて、新しく社会福祉事業を開設するときには、厚生省は特にこれに対して認可事項を加えたというところにあるわけであります。従つて、この事業運営の方式につきまして、この三つの区分というものをはつきりと盛り込んでおいていただきたい。そうして運営上このことを国会で審議した方向をあやまたないように推進していただきたいことを希望するのでありますが、これに対して赤十字当局の御意見を聞きたいと思います。
○伊藤参考人 大体私どもも、ただいまお述べのような方針でやつて行きたいと思います。
○金子委員 救護員の義務ということであります。これは以前丸山委員からも御指摘があつた問題でありますが、これもただ無制限に死ぬまでというようなことでなくて、研究の上適当な年限なり義務というものを明確に定款の上にうたつていただきたいということを希望するのでありますが、その点に対していかがです。
○伊藤参考人 ただいまの点、以前丸山さんの御質問に対しましてお答えした通りでございます。定款に定めろか、あるいは救護に関する措置と申しますか、いずれか役員会に諮りまして一定年限にしておきたい、こういうふうに考えております。
○金子委員 最後にお伺いしますが、今度の法案審議にあたりまして、できるだけ民主的な一つの組織の上に立ちたいという観点から、従来指名だとか、あるいはほとんど命令的な立場において役員の構成がなされた、天くだり的な役員構成がなされたという点から、今度は二段階におけるいわゆる総会におきまして選任するという形を、この法律はとつておるのでありますが、その際市町村におきましても、県段階におきましても、赤十字自体の事務機能が独立の立場においてまかなえないと、当然市町村ないしは県の自治体の要員に手伝つてもらわなければならない。そういうふうな関係上、市町村長や知事そのものが、あながち赤十字精神に徹底している、熱意を持つておる、だからその人が妥当だというよりも、むしろそれらの機関が持つ機構というものを利用するというか、手伝つてもらうために、当然そういう形が便利だということでなつて来たと思いますが、この点は選挙でありますので、長なるがゆえに資格がないということをはつきりうたうことに対しても、一つの疑問はあるのでありますが、さればといつてせつかくこういうふうな法律になつたときに、今まで通りの形でやるということでは、そこに何らの新しい感覚も出て来ないというジレンマにこの法律が陥るのであります。その点につきまして、監督の立場にある厚生省は、どういうふうな考え方を持つておりますか。
○安田政府委員 日赤の役員の選任につきましては、この法律中に定めてある事項につきましては、その通りにやらなければならないと思います。私ども二、三意見はございますけれども、法律に定められますれば、それによらなければならない。 それから支部の問題でありますが、これはおそらく定款でおきめになるのではないかと思いますけれども、ただいま御心配のような点は、私どももそうならぬことを希望いたしますが、定款で定められた通りの選出の方法で出て来たものを、私どもが監督権を振りまわしてどうこうするということができるかどうかということについては、疑問があると思います。でありますから、そういう点に御心配がありますなら、これはやはり法律にでもおきめになつておかぬと、あとでいろいろ問題が起るかもしれません。
○金子委員 その点で安田局長にもう一言お尋ねしますが、先ほど申し上げましたように、支部長を知事にするとか、分区長を町村長にするとかということは、その長にある人そのものがほしいのではなくて、この人たちの持つ機関というものに仕事をしてもらうことが望むところで、そうなつておる場合が多いと思うのであります。従つて、これは公的な社会事業にいたしましても、その他の事業にいたしましても、直接市町村あるいは県の自治体の行政の本来の仕事域外のことであつても、それは当然社会公共性を持つ重要な仕事である場合には、その職員をもつて一定の職員を協力させるか、あるいは経済的に助成をするかということは、ほかの場合は多々やつておるのでありますが、もしかりに市町村長なり知事なりが、その分区長なり、あるいは支部長にならなかつた場合に、厚生省はこの仕事について事務的な、あるいは経済的な、できる範囲の協力をしてほしいということを地方自治庁に対してお願いすることができるかどうかということに対する見解を伺いたい。
○安田政府委員 知事や町村長が支部長だとか、あるいは分区長ですか、そういうものにならなかつた場合に、知事や町村長に対して、協力するように厚生大臣から話すことができるかという御質問でございますが、これはどれだけの意味を持つかわかりませんけれども、できぬことはないと思います。
○苅田委員 関連質問ただいま金子委員から御質問になりました同様の事項について、私ももう一言提案者の方にお聞きしたいのであります。理由は、今金子委員がお述べになつた通りでけつこうでありますが、選挙いたしましても、府県知事とか市町村長とかが、日赤の支部長なり分区長なりをしておりました従来の慣例から考えまして、やはり便宜的にそこにおちつくという公算が非常に多いのです。これは今安田局長からも、そういう御予言もあつたのでありますが、やはりこの際法律的にはつきりと、不便な点もあるかもしれませんけれども、従来のたくさんの弊害を考えれば、むしろこの際、そういう行政機関の長であるような人たちが、そういう地方機関の責任者になることは禁止するというような條項を設けられた方が、赤十字を時代に即した民主的な運営にするのに、必要な事項であると考えるのでありますが、こういうことをこの際はつきり法律化するようなお考えが提案者の方にあるかどうか、この点をお伺いしたいのであります。
○青柳委員 お答えいたします。結論を申しますと、そういう考え方は持つておらないのでございます。ただ、小委員会におきまして、強い御意向といたしまして、現在まで府県の知事が支部長をやつておるがための弊害につきまして、御論議がございましたことは、よく存じておるのであります。ただしかし、お考えいただきたいことは、府県知事も現在は公選でございます。また新しくこの法律が出ることによりまして、赤十字社の構成組織をがらりとかえてしまうこの際にあたりまして、新しい気持をもつて、支部長などの選定につきましては、民主的な方法をもつて行うべきであると存じます。府県知事はそういう地位につくべきでないという法制は、いたすべきでないと、こう存ずるのであります。
○苅田委員 知事が現在公選になつておりますけれども、御承知のように、多くはこれははつきり政党を明らかにして出ている人たちなんです。(「そんなことがありますか。無所属がほとんどじやないですか」と呼ぶ者あり)そんなことはないですよ。(「じようだんじやない、数を調べて見たまえ」と呼ぶ者あり)そうして無所属であつても、これははつきり政党の支持を受けて出ているのが現状なんです。ですから、政治的には中立であるというのが基本である日赤の組織に、しかも実際の仕事をする地方の幹部にそういう人たちをすえるということは、やはり避けなければならないと思うのでありますが、この点について、いかにお考えになりますか。
○青柳委員 知事の多くは、無所属であると存じます。いかにもお話のように、政党的の色彩を持つておる人はございます。しかし、あくまでも公務員であり、公のために奏仕する責任を持 つておることが、ここにはつきりといたしておるのでございます。そういう御心配には及ばない、こう私は存じます。
○大石委員長 福田昌子君
○福田(昌)委員 救護員の養成の件について、ちよつとお尋ねいたします。二十九條によりますと「医師、看護婦、その他特殊技能者を養成しなければならない」とあります。従来も養成しておいでになつたのでございますが、一体これまでどのくらいの数において、医師及び看護婦を養成なすつたか、その数をお示し願いたい。
○伊藤参考人 さきにお手元に、たしか参考資料として差上げた中にあるかと思うのでございますが、看護婦として養成いたしました数は、ちよつと今参考資料を私の方も調べておるのでございますが、見つかりませんが、四万二、三千人だつたと記憶しております。 日赤は、今までお医者さんの養成は、草創当時、少しやりかけたようでございますが、今はやつておりません。
○福田(昌)委員 これからおやりになるおつもりでございますか。
○伊藤参考人 ただいま数字がわかりました。看護婦の養成数字は二十四年末で四万一千六百二十八名でございます。それからお医者の養成につきましては、私ども赤十字に直営の医員機関を設けようという意思は、現在のところ持つておりません。もし将来養成するといたしましても、あるいは委託医科学生、あるいはそういつたような形で行く以外にはないのじやないか。専門のものを設けるようなことは、ただいまのところでは考えておりません。
○福田(昌)委員 三十條の條文によりますと、使用者の協力ということが出ておりますが、これの終りの方に「救護員として日本赤十字社の行う救護業務に従事する場合のあること又は従事したことを理由として、不当な取扱をしてはならない。」ということの、具体的なことでお尋ねをいたしたいのですが、たとえば、私が大きな一つの病院に関係しておるといたしまして、その病院に日赤出身の看護婦、あるいはまた将来養成するかもしれないお医者さんが勤務いたしたといたしました場合、災害救助のために、日赤の命ずるところによつて、私の関係している病院におる看護婦が災害救助に出動したということがあるといたしましたら、そういつた看護婦に対します俸給とかは、一体どこから支払われるのでございましようか。またそういつた場合の、看護婦を雇つております私の関係しておりますといたします病院に対しましての負担は、どういうことになるか、そういう具体的なことをお伺いいたしたいと思います。
○伊藤参考人 災害救護に出動してくれました看護婦に対する従来の取扱いは、出動した看護婦に対する日当とか旅費とか、こういうものは本社で支弁いたしております。大体災害救助に出動します日数は、普通長くて一週間内外でございますが、その間の俸給、給料は、経営する病院の方でやはり出していただいておるのが、従来の例でございます。但し出勤期間が長くなりますと、おおむねその病院から一旦職を退きまして、そうして赤十字の専属の救護員として活動するようになります。そういうときには、赤十字の方でその俸給とか給料一切を支弁する、こういうふうにいたしております。
○福田(昌)委員 その長くなる場合はという、その長くなる場合の基準は、どういうところにありましようか。
○伊藤参考人 大体はつきりした基準を、今きめておるわけではございませんが、従来の例で申しますと、大体一箇月以上になる場合が、そういうふうなことになります。
○福田(昌)委員 日赤の従業員に対しましての、いわゆる組合運動というものは、普通の労働組合と同じように許されるものですか。
○伊藤参考人 普通の労働組合と同じように許されております。
○福田(昌)委員 寄附金募集の件でございますが、「厚生大臣に届け出なければならない。」ということになつておりますが、寄付金の目標額、募集の方法及び寄付金の使途を定め、ただ日赤だけの一存によつて届出だけすれば、よろしいのですか。
○青柳委員 この点は、御存じのように、今回のこの新しい法律制度によりまして、日赤は原則として社員の社費をもつてやつて行くという方針が打立てられるわけでございます。そのほかに、病院の収入があります。それは原則でございますか、しかし、現実の面におきましては、なお足らない面が出て来るのでございまして、それを日赤の赤十字募金に仰ぐということになるのでございます。従来より考えますと、その点が明白になつて来たと思うのでありますが、結論として申し上げますのは、結局は日赤が自由に、必要な経費について赤十字募金をきめ得る、こういうことに相なるわけでございます。 なお、この点に関連いたしまして、日赤が従前行つておる社会福祉事業につきましては、赤十字募金の方からはもらわぬ、それは赤い羽根の方からもらう、こういう原則を打立ててある次第でございます。
○福田(昌)委員 一般の共同募金におきましては、共同募金の目標額なんかを、いろいろな関所においてしぼることになつておりますが、日赤の場合におきましては、これをいろいろ審査する機関が、他との関連においてないような気がするのでございます。そういたしますと、この目標額というものは、日赤の会計面において、日赤の一存によつてきめられる。そうしてそれが厚生大臣に届け出られて募金が始まろということになりますと、他の募金関係に比べまして、いかにも日赤側に対しては、非常な自由が許されておるような感じがいたすのでございます。従いまして、私どもといたしましては、こういうような募金方法に対しましては、必ずしも賛意を表しがたいという気がいたすのでございますが、将来これに対しましては、ぜひ早急にこの方面の、何と申しますか、募金方法に対するもう少し画然たる規格をつくつていただきたいということをお願いいたしまして、これ以上はお尋ねいたさないことにいたします。 次にお尋ねいたしたいのは、三十四條の運送及び通信に関する便宜供与という件でございますが、従来日本国有鉄道その他運送業者は、日赤に対して、どの程度の便宜を供与いたしておつたのでございましようか。
○伊藤参考人 私からお答えいたします。従来日赤の災害救助のために活動する場合には、現在では、ございませんけれども、運賃の割引をしていただいておつたこともございます。そのほか救助物資の輸送につきましては、おおむね——程度にもよりますが、無賃輸送をしていただいたり、あるいは優先的な輸送をしていただいたり、あるいは旅客列車に臨時に貨物列車をつけてくれたり、そういつた面でいろいろ御便宜をはかつていただいております。
○福田(昌)委員 従来でも、それほどの御便宜を与えていただいておつたのでございますが、それなのに、さらに三十四條にこういうことをはつきりお書きになるということになりますと、現在以上の便宜の供与を要求していらつしやるのでございましようか、それとも現状通りの程度でけつこうだと、日赤は考えておられましようか。
○伊藤参考人 日赤といたしましては、国鉄に対しましては、従来の与えられた便宜に、心から感謝しております。それ以上のことは、別段要求しておるわけでございません。それから、この法律には、その他の輸送業者が入つております。そういう方面に対しても、できるだけの便宜を与えていただきたい、こういうふうな気持でございます。
○高橋(等)委員 ちよつと関連してただいまの点を提案者に、一応疑問を解きますために私も伺いたいのですが、便宜を供与するというのは、運賃割引まで含んでお考えになつておるのかどうか。この点については、それぞれの方面に、それであるとすれば連絡が十分ついておるのかどうか、この点をはつきりさせておいていただきたいと思います。
○青柳委員 ただいま御指摘の点につきましては、運輸省当局からも意見がございまして、ただいまのところ、運賃の割引については考えておりません。
○福田(昌)委員 そういたしますと、日赤の伊藤副会長のただいまの御答弁と、多少ずれがあるような気がいたすのであります。運賃の点とか、旅客列車に貨物列車をつけたりするというような点、あるいは無賃乘車が許されたようなことがあるという従来の例からいたしまして、青柳さんの御答弁と、少しずれがあるような気がいたすのでありますが、その点の運輸省との話合いは、全然なされておらないのですか。
○伊藤参考人 ただいまお話の点は、おそらく看護婦の災害救助に出動する場合の輸送上の問題だと思いますが、この点につきましては、ただいまこの法律で要求するというふうな気持は、私どもは持つておりません。
○福田(昌)委員 それから第二項の「郵政大臣」云々のところでございますが、通信関係におきまする日赤への便宜供与の点、これは従来、どういう形においてなされておりましたか。
○伊藤参考人 災害時においては、電話の方でいいますと、非常通話で、非常に早く便宜を与えていただいております。それから電報も、非常電報と申しましたか、そういつた面で、非常に迅速な取扱いを受けております。そういうようなお取扱いをこれからもお願いしたいと思います。
○青柳委員 ただいま私答弁をいたしました点につきましては、誤解のないように申し上げておきたいと思います。この提案せられております日本赤十字社法の三十四條の一項につきましては、ただいまお答えいたしましたように、運賃の割引についての規定ではない。それはこれに規定することではございません。ただ、国有鉄道運賃法というものが、ほかにあるのでございます。この運賃法の第八條によりますと「全体として日本国有鉄道の総収入に著しい影響を及ぼすことがない運賃又は料金の軽微な変更は、日本国有鉄道がこれを行うことができる。」こういう規定があるのであります。運賃の割引などにつきましてはこの規定で、日本赤十字社法案の三十四條ではそれの適用がない、こういう意味でございますから、その点は誤解のないようにお願いいたします。この点につきましても、運輸省の当局と連絡済みでございます。
○福田(昌)委員 私もわかつておるのですが、その点は、国鉄側とはつきり約束ができておるかどうかということをお聞きしたいと思います。
○青柳委員 その点につきましては、運輸省当局と私ども、はつきりと約束しております。
○高橋(等)委員 提案者のお言葉はわかるのですが、その運賃の割引等については、別途交渉すべきものであつて、運輸省としての立場から、今の鉄道運賃の割引の規定によつて割引をすべきかどうかは別途決定すべきものだ、こういうように御説明になつたと了解してよろしゆうございますか。
○青柳委員 そのときどきの場合によりまして、ただいま申し上げました国有鉄道の運賃法によつて、この軽減を実行するわけでございます。日本赤十字社法の三十四條は、運賃の軽減については触れておりません、優先取扱いについて触れておるのであります。こういうふうに解釈するように相なつております。
○福田(昌)委員 この三十四條の規定は、従来通りでけつこうでございますという御意思で、日赤側はお考えなんでございましようか、その点お伺いしておきたいと思います。
○伊藤参考人 より以上の便宜をはかつていただければ、非常に仕合せでございますが、私ども、従来も非常に親切な取扱いをしていただいておるのであります。ただ係員その他の方が、ときどきおかわりになるようなことがございますので、これが法律の上にうたわれておりますことは、非常に今後の業務の運営に仕合せすることと存じております。
○福田(昌)委員 よくわかるのでございますが、ただ私考えますのは、この條文は、国際赤十字の加盟国といたししまて、各国に、ずつと横文字にして、ある程度お示しになるのじやないかと思います。そういたしますと、三十四條にこういうような規定をはつきり書かれる以上、このまま読みますと、日本の国有鉄道、あるいは運送機関、通信機関は、従来日赤の業務に対して、あまり協力していなかつたのじやないか、そういうことを考える人もないと思いますが、あるかもしれません。そういう疑問を持たれることは、国際上あまりよろしくないのじやないかと思いますから、横文字にするときには、そういう註をつけてやつていただきたいということをお願いいたします。 それから希望として申しますが、日赤の役員の選出方法が、條文では民主的になつたような感じがいたしますが、しかし底に伏在しているものは封建的で、従来の惰性で押し切られることが非常に強いような感じがいたすのであります。たとえば、各都道府県の日赤の支部長というようなものをきめていただく場合におきましては、従来からなされておりました知事をもつて支部長にするというようなことは、むしろ厳に避けた方がいいではないかと私ども考えております。先ほどの青柳委員の御答弁によりますと、知事自身が民選であり、地方自治体が自主的に運営するからよいではないかというのでありますが、私どもは、実態がお言葉の通りであるというようには、受取るわけに行かないのであります。他の法人団体にむきましても、麦部長は府県知事を避けるということが、近ごろだんだん始まつております。日赤におきましても、定款におきましてそういうことをおきめいただくのが、民主的な運営ではないかと考えている次第であります。 それからもう一つ、これは委員長にお願いしておきたいのですが、日赤の定款をおつくりになりましたら——これは厚生委員会と関係のないことになりまして、定款の内容のこまかなことまで、われわれとやかく言うことはできないのでありますが、ただ日赤を国際的に、また日本の国内的な運営におきましても、民主的にあらしめるために、定款の内容を、一応厚生委員会に御報告だけしていただきたいと思います。その点委員長としてお取上げ願いたいと思います。
○大石委員長 よくわかりました。御趣旨の通りとりはからいます。
○金子委員 ちよつと、もう一点だけお伺いいたします。修正案が出る前に、時間の経済上、赤十字の方にお聞きしたいことは、寄付行為を、当分の間という形で附則に入れるような案が出ておりますが、そういうふうになつた場合に、かりに会費を百円とつたといたしまして、これを再出発して赤十字を拡充したときに、一体どのくらいたつたら、寄付金というものに依存しないでやつて行けるかという問題ですが、見通しはどうですか。
○伊藤参考人 これは社員の年醵金を三十円から百円にしますことによつて、社員の減る部面もございますし、そういつた面の影響を、ちよつと私ここでにわかに判定しかねるのでございますけれども……。
○金子委員 そうしますと、当分ということを附則に入れましても、これは相当期間寄付金に仰がなければならないということに、結論がなると思うのであります。さて、そうなりましたときに、本来ならば、赤十字の寄付というものは監督官庁である厚生省が、その使途の内容、方法等すべて検当いたしまして許可制度にすることがよろしい。また小委員会における審議も、そういう方向でやつたのであります。但し、現段階におきまして、ほかの募金あるいは寄付行為は届出で済む。例外としまして、数府県において許可制を條例できめているだけでありますので、この点厚生省といたしましても、今後の運営におきまして、この法律の内容にあります社会福祉事業に対しては、ほかの社会福祉事業と同列の立場において共同募金の分配をもらうのだ。従つて、日赤自体募金対象にはならないという点。それからまた、日赤の運営を、漫然とした一つの厖大な方向でなく、日赤本来の仕事そのものに重点を置いて行き、この法の精神を十分お考えになりまして、現段階においては、やむを得ず届出ということになつておりますが、この点監督官庁は十分注意して、監督行政に当つていただきたいと思うのでありますが、安田局長の御意見を伺いたいと思います。
○安田政府委員 寄付金募集が、当分の間ということで書いてございますが、これは文字通り当分の間で、私ども法律できめられましたものは、忠実にこれを行わなければならないと思いますが、なるべく早い機会に、そういうふうになるように努力いたしたいと思います。
○亘委員 本案は議員提案でもあり、かつまた、事前に小委員会を開いて十分話合いをした結果、本委員会におきまして、各党の立場から、あるいは各委員の立場から、本案に対する相当つつ込んだ質疑が行われたのであります。従いまして私は、もう質疑は十分完了したものと認めますので、この際質疑を打切りまして、ただちに討論、採決に入られんことを希望するのであります。そういう動議を提出いたしまする
○大石委員長 ただいま亘委員から、本案に対して質疑打切りの動議が提出されましたが、本案の質疑を打切ることに賛成の諸君の御起立を願います。 〔賛成者起立〕
○大石委員長 起立多数。よつて本案の質疑は打切ることに決しました。 次に、本案に対する修正案提出の発言を求められておりますので、これを許可いたします。中川委員。
○中川委員 ただいままで、不肖中川俊思を初め委員各位におかれては、非常に熱心に討議をされまして、ただいま質疑が終了したようになりましたが、すでに皆さん方のお手元にお配りをいたしてあります修正案について、詳細は省きますが、概略説明を申し上げたいと思うのであります。 本法案の第三十六條では、日本赤十字社は、その業務を行うのに必要な資金を得るために寄付金を募集することができる旨規定し、この場合においては、厚生大臣に届け出ることになつておるのであります。また第三十七條では、日赤が特別の事情に基いて、その業務を行うに必要な資金を得るため、臨時に寄付金を募集することを認めておりますが、この場合は、都道府県知事の許可を受けなければならぬことになつておるのであります。しかしながら、日本赤十字社は、社員制度をとつておる以上、まず社員の醵出金によつてその経費を支弁して行かねばならぬことは、当然のことである。それで不足の場合に寄付金募集が認められるわけでありますから、日赤の募金ということは、永遠に認むべき筋合いのものではなく、社員の悪金でまかなえるようになるまでの、当分の間に限らるべきものであります。この意味において、寄付金に関する規定は、これを附則に移し、当分の間であることを明確にする必要があるのであります。 その他の規定は、第三十六條、第三十七條の両規定を附則べ移したことに伴う字句、條文の整理を行つたものでございますが、何とぞよろしく御賛同を願いたいと思うのであります。
○大石委員長 ただいまの修正案について、御発言はありませんか。
○岡(良)委員 「当分の間」ですが、当分の間というのは、要するに会員の会費でまかなえるまでの当分の間ということですが、ここに日赤の副社長も来ておられますが、大体あなた方の方で、どの程度に考えておられますか。
○伊藤参考人 先ほども申し上げましたように、この方針でやつて行きますれば、一、二年の経験を経ますと、はつきりした見通しがつくと私は思うのでありますが、初めて乘り出す場合に、ここで何年くらいでやるというような確信も、私はちよつと持ちかねておるような次第であります。
○大石委員長 他に発言もないようでありますから、これより日本赤十字社法案及び日本赤十字社法案に対する修正案を、一括して討論に付します。通告順により、これを許します。苅田アサノ君。
○苅田委員 日本赤十字社法案に対しまして、日本共産党は反対の意向を持つております。 国際赤十字の主要な任務は、国籍、人種、宗教、政治的見解の別なく、公平無私に人類の苦痛を救うことであるということが、明文に書かれておるのであります。こういう條約義務を遂行するために、中立を重んじ、日本赤十字社の定款にも、特に自分の国に対する自主性を強調しておるのであります。ところが、組織的には、総裁に皇后を置き、社長に元皇族を置き、各府県の支部長には府県知事を充てるというような方法で、国と政治に強く結びついておるのであります。これでは、国を越えた中立的な行動は、とれるはずがないのでありまして、朝鮮の動乱に対しまして、一方的に国連側を支持していたことにつきまして、日赤は、北鮮には支援の方法がなかつたと弁解しておりますし、去るメーデーの事件には、人民広場に数百名の死傷者を出した際に、一人の救護隊も出さなかつたことに対しましても、同じように知らなかつたと弁明しておるのでありますが、これはまつたく言葉の上の弁解にすぎなく、アメリカ帝国主義の手先にすぎない。東京都知事を支部長としておる日本赤十字が、このような一方的な行動しかとり得ないのは当然なんであります。このたびの立法につきまして、この点の根本的な改革を主張いたしたのでありますが、まつたくいれられろところとならないのであります。 また国際赤十字の人道博愛の精神からいえば、今赤十字が全力をあげて努力しなければならないことは、戰争の危機を防止することであり、各国間の平和の條件をつくり出すことでなければならないのでありまして、これは国際赤十字社の規約にうたつてあるのであります。ところが、一千三百万人の社員組織を持つておる日本赤十字が、どれだけの戰争反対、平和を守る国民運動を推進しておるかというと、私たちはまつたくその事実を知らないのであります。知つておるのは、逆に朝鮮の戰争に対しまして南鮮側を支援し、二十六年度中に百名に近い看護婦を国連軍病院に派遣し、血液を送り、また全国の学校の兒童を動員して、南鮮のみの罹災者に慰問品、慰問文を送るという運動なんであります。朝鮮におけるアメリカの干渉、侵略の手伝いをしておる以外の何ものでもないと、私どもはこう考えるのであります。 かつ、現在、日赤の年間四十億を越える厖大な収支の主要な部分は、日本赤十字病院に関連する経費であります。ところが、日赤病院たるや、今日国民大衆、わけて生活困難にして苦しい者のための病院ではなくて、逆に終戰後も、なお皇族、華族、元皇族等、一部の特権階級のために広い便益を提供する病院であり、日赤看護婦の養成所では、戰前と同じように、昭憲皇太后が定めたという制服制帽を着用し、胸に階級章をつけ、元の監督官庁であつた陸海軍の忠君愛国精神で凝り固まつた幹部が、そのまま若い看護婦の訓練をしておるのであります。こういうような封建的な軍国的な精神を根本的に改革する処置が、今度の新しい日赤法案では、全然問題にされなかつた。こういう点も、私どもの反対する大きな原因と考えます。 日本赤十字社の会計につきましては、世上に多くの疑惑が生れておるのであります。日本赤十字社の実権を持つておる監事には、元宮内省、内務省、従つて今の厚生省畑の高官、それらの一部の人たちによりまして運営が壟断されておることは、周知の事実であります。また全国一千三百万の社員の社費と、年々年額の募金をもちまして成り立つておる会計が、社員にも、また監督官庁にも明瞭に報告されることなく、これらのために、多くの不正事件が世上に喧伝されておることも、また皆さん御存じの通りであります。また監督官庁である厚生省と日本赤十字社の幹部の間にも、まことに不明朗が存在しておるということも、まだこの委員会においても、はつきりした解決ができておらないのであります。 以上のような実態を持つ日本赤十字社が、今回吉田政府の再軍備体制に応じまして、民間組織から特殊法人組織にかわり、戰前と同じように、国と密接に結びついて、国や地方公共団体から補助金を受け、税金とかわらないような募金を、年に一回だけでなくて、臨時にも行うような権利を持ち、日赤のための一切の催しものは全部無税となり、有形、無形の庇護を国から受けることになるのであります。そうして、これが軍国的な、封建的な古い日赤精神と結びついて、吉田政府の向米一辺倒の再軍備に応じて、千三百万の社員や四百万の日赤奉仕団という、国防婦人会と同じような組織を通じまして、物心両面の運動をすることになるのでありますから、国民生活の中にがんじがらめに戰時態勢を固めることになるのであります。これは国を越え、また思想を越え、広く人道を行うという赤十字精神にも、まつたくもとるものでありますし、日本国民大衆の立場から申しましても、まつたく害あつて益のないものといわなければならないと思うのであります。 私ども日本共産党は、こういう立場から、今回の日本赤十字社法案に対しまして、強く反対の意見を主張いたします。
○大石委員長 岡良一君。
○岡(良)委員 日本赤十字社法案については、私どもの方では堤ツルヨ委員が、当初から熱心に小委員会あるいは本委員会を通じて、いろいろ意見を表明し、また私どもの要望等を重ねておられますので、この点につきましては、私どもは堤ツルヨ君が明日出席せられるのを待つて、この法案がその熱心さに報ゆるがごとき形で通過されることが妥当ではなかろうかと、実は思つておつたのでありまするが、遺憾ながら出席することができなかつたので、この際私は、この法案には賛成をいたしまするが、幸い日赤の幹部の諸君もおられまするので、この機会に二、三点要望をいたしておきたいと思うのであります。 それは、この日本赤十字社が、日本の国に初めて創設されましたのは、世界において赤十字運動が始まつたような行きがかりとは、多少違つた形において、その機構の人的構成等においても、きわめて形式的なものがあつて、そのままにそれが今日までに至つておつた。その間において、やはり相当な宿弊が存置し、また宿弊がつのつておつたことは、これは当然のことと思うのでありまするが、こういう切りかえにあたりましては、当然、従来の日本赤十字社の内部に、もしそういうものがあつたとするならば、そういうものを大きく切りかえて、真に新しいこの法案にのつとるところの赤十字社としてのあり方を、責任を持つてやつていただきたいということが、第一の希望であります。 第二点といたしましては、先ほど苅田委員も御指摘になりましたが、昨年の二月にジュネーヴで、国際委員長のルーガー氏に合いまして、そのときのルーガー氏の意見では、万国赤十字社という形において、ソ同盟その他バルカンの共産圏の諸国にも、これに加入方を求めるために、はるばる数字にわたつてモスクワに出張して要請をしておるが、その同意が得られないということを、きわめて遺憾に思う旨を言つておられたのであります。しかしながら、赤十字社は、本来のあり方といたしましては、当然やはり民族を越え、国を越え、また人種を越えた高い人道主義の運動として発足したことは申し上げるまでもないのでありまして、かかる点から、別に向米一辺倒でもなく、向ソ一辺倒でもない、真に高い人道を守るという、あるいは人権を擁護するという大きな旗じるしの上に、この運動が進められねばならないのでありまするが、この法案を通じての機構の切りかえ、運営の切りかえを通じて、どうかそういう意味において、すでにジユネーヴの本部においても、かかる点においてまだ十分な手が尽されておりません。今後この法案と同時に、法律の根拠に基いたところの日本赤十字社は、この世界の大きな平和に寄与する国体としてのあり方というものを十分に銘記せられまして、今後の運動、運営等についても、十分な御考慮を煩わしたい。 次には、朝鮮の問題でありまするが、朝鮮の動乱も、休戰協定が今停頓しておりますので、その帰趨はわかりませんが、われわれは、赤十字こそ、もしこの動乱の停戰がうまく結実するならば、当然最も大きな仕事といたしまして、動乱以後における復興において、人道主義の立場から、国境を越えた形における重大な協力——われわれ国家としても、長い文化的な交流のある日本の立場からも、重要な義務を感ずるものでありまするが特に赤十字といたしましては、こういう点において積極的に、しかも果敢なる御努力をぜひにお願いをいたしたい。今赤十字が、当分の間白い羽根の募金をされると申しますが、こういうものも、やはり国民に広くアツピールされて、新しく日本と朝鮮との人間の結合を生み出すための、協力のための資金というふうな形において活用されるならば、一つのポケットから赤い羽根、緑の羽根、白い羽根としてこれが取出されることも、これを国民は決していなまないと思いますので、もし朝鮮動乱が平和的な終熄を見るという段階になりましたならば、ぜひとも赤十字の対外的な最も大きな課題として、この問題のために全力をあげていただくことを、この機会に要望いたすものであります。 以上要望を申し述べまして、本法案に賛成をいたす次第であります。
○大石委員長 福田昌子君。
○福田(昌)委員 私どもといたしましては、本法案に対しまして、原則的に賛成いたします。但し、法案の内容につきましては、多少の希望と條件をお願いしたいのでございます。 と申しますのは、ただいまも話が出ておりましたように、日本に赤十字が誕生いたしましたその沿革をたずねてみますと、日本国民の人道主義によつて生れたものではございませず、多分に他国の形式をまねまして、それによつて日本の赤十字社が生れたというような、形式が先に参りました従来の経過からいたしまして、今度新しくできまする日本赤十字社なるものが、どうか従来の古いからから脱出することができないで、形式的なものに終始することがないよう、厳に戒めていただきたいと思うのであります。その意味におきまして、これからお考えになられるでありましようところの日赤の定款に対しましても、きわめて民主的な定款の内容というものを、十分御検討いただきたい。さらにまたその運営におきましても、民主的な運営をなさるよう、心から要望いたす次第であります。こういう国際的な関連の深い機構におきましては、いろいろな観点から、世界の各国が日本の赤十字社を通して、その裏にあるところの日本の民主化というものに対しまして、絶えざる関心を持つと思うのでございます。そういう意味におきまして、いわば日本の民主化の一つのバロメーターともいうべき、この日赤の法案に付随いたしまする定款というもの、運営というものは、十分検討の上にも検討を重ねまして、非民主的な、封建的な姿にならないよう戒めていただきたいことを、強くお願いする次第であります。 それから、救護員の養成の件でありますが、私どもも、災害時に備えての救護員の養成ということに対しましては、賛意を表するものでありますが、ただこの問題が、今日の複雑な世界情勢の中におきまして、とかく冷たい、あるいは熱い戰争が起りはしないかというような各国人の懸念のさ中におきまして、これが一つの軍備要員であるというような形において養成されることがないように、この点も十分御警戒と御検討をお願い申し上げたい点であります。 それから、会計の内容でございますが、日赤の会計面におきましては、従来とかくよろしからぬ風評も立つておりまして、私どもは一概にそれを信じているというわけではございませんが、そういうような風評を世間に立てられるということ自体は、日赤にとりましても、必ずしも名誉なことではございませんから、今後はそういうことが再び国民の口に上らないようにするためにも、ひとしお日赤の予算会計面におきまして間違いのない、公明正大な処置と監督と、またとりはからいをお願いいたしたいと思うのであります。 さらにまた、募金の方法に関しましては、日赤の人道的な仕事への均霑のために、ある程度の募金によるところの基金というものも必要と認めますが、その募金の方法におきましては、再三委員からの質疑応答にも出ておりますように、多分に、ただいまの姿におきましては、日赤側にだけ、他の団体に許されないところの特権が与えられているという感が強いのであります。こういうことは、今後末長く許さるべきでないと私どもは信じますがゆえに、早急にこの募金の点におきましても、民主的に、他の団体との平等な立場において、日赤側もその形においてとりはかられるよう、これは近い将来に改正されることを要望いたすのであります。 いずれにいたしましても、この日赤の公共性と国際性にかんがみまして私どもは、日本赤十字社の動きというものが、世界平和のために一層貢献することを要望いたし、またその方向に行動されんことを要望いたしまして、原則として本法案に賛成いたします。
○大石委員長 以上で討論は終了いたしました。 これより採決に入ります。まず日本赤十字社法案に対する修正案に賛成の諸君の御起立を願います。 〔賛成者起立〕
○大石委員長 起立多数。よつて本修正案は可決されました。 次に、ただいま修正されました部分を除く残りの原案に賛成の諸君の御起立を願います。 〔賛成者起立〕
○大石委員長 起立多数。よつて本部分は可決され、本案は修正議決と決しました。 なお本案に関する委員会の報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、そのように決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大石委員長 御異議なしと認め、さように決します。 —————————————
○大石委員長 次に兒童福祉法の一部を改正する法律案を議題といたし、審査に入ります。まず松野厚生政務次官より、趣旨の説明をお聞きしたいと存じます。松野政務次官。
○松野(頼)政府委員 ただいま提案になりました、兒童福祉法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。 改正の第一点は、兒童相談所において一時保護を加えている兒童が、兒童の福祉をそこなうおそれのある物を所持しているときには、兒童相談所長は当該兒童の福祉のために、その兒童に対して一時保護を加えている間、その物を保管することができるといたしたことであります。すなわち、従来は、この規定が欠けていたのでありますが、兒童相談所が一時保護を加えた兒童のうちには、犯罪行為または不良行為に深い関係を有する物を所持している者が多い現状でありますので、当該兒童の福祉のためにこれを保管することといたし、その物が当該兒童以外の者の所有に属するときは、できるだけすみやかにその物につき返還請求権を有する者に返還することとし、その物が当該兒童の所有に属するときは、一時保護を解除するとき、その物を当該兒童に返還することにいたしたのであります。なお、その物が当該兒童以外の者の所有に属し、しかも、具体的にその所有者を知ることができないときは、公告をし、そのまま一年経過すると、その物は都道府県に帰属するとして、物の帰属関係を明らかにいたしたのであります。またこれと関連いたしまして、一時保護を加えている間に、兒童が逃走した場合等に遺留物があるときは、右とほぼ同様の方法によつてこれが処理をしようとするものであります。 第二点は、兒童の福祉を阻害する行為として、深夜道路その他これに準ずる場所において、兒童に物品の販売や、くつみがき等を業務としてさせること及びカフエー、キヤバレー等の、風紀上兒童にとつて好ましくない場所などに兒童を出入させて、花売りその他物品の販売を業務としてさせることを禁止いたしたのであります。従来は、これらの行為は、労働基準法に基く労働関係にない場合には、これを禁止する規定がなく、従つて、保護者その他の大人が深夜に兒童を使つて街頭労働をさせたりまたは兒童をカフエー、キヤバレー等に出入させて、いわゆるいたいけなさを利用し、酔客等に対し花や菓子等を売らせて来たことが間々見受けられたのでありますが、それらの雰囲気が兒童の心身に及ぼす悪影響は、はかり知れないものがありますので、今回、兒童福祉の見地から、かかる行為をさせることを禁止しようと思うのであります。 第三の改正点は、兒童の福祉を阻害する行為の禁止規定の罰則について、新たに両罰規定を創設しようとするものであります。 以上がこの法案の概要でありますが、何とぞ慎重御審議の上、可決せられんことをお願い申し上げる次第であります。
○大石委員長 次に、本案は参議院において修正された議案でありますので、その修正箇所について、参考のため参議院厚生委員長梅津錦一氏より、御説明をお聞きしたいと存じます。梅津参議院厚生委員長。
○梅津参考人 兒童福祉法の一部を改正する法律案に対しまして、参議院において修正されました点につきまして、以下御説明申し上げます。 兒童福祉法の一部を改正する法律案の修正要点といたしまして、第一に、兒童福祉司に関する点であります。すなわち、兒童福祉法第十一條によりますと「都道府県に、兒童福祉司を置く。」と相なつておりまして、その身分関係、ことに兒童相談所長との関係が明確を欠いているのでありますが、これを兒童相談所には必ず兒童福祉司を置き、その身分関係も、兒童相談所長に直結して、その命を受けて職務を行うこととすることであります。 第二点は、施行期日の問題であります。この法律は、公布の日から施行することに相なつておりますが、第三十四條第一項の改正規定、すなわち、兒童の街頭労働の取締りは、その一般に対する周知徹底の関係から、昭和二十七年九月一日から施行することにし、附則第四項の規定、すなわち地方財政法の改正規定は、昭和二十八年四月一日から、すなわち来年度から施行することとすることであります。 第三に、地方財政法第十條第七号を改正して、兒童福祉施設並びに里親に要する経費に対しても、国がその経費の全額または一部を負担することとすること、換言いたしますれば、来年四月から兒童措置費を平衡交付金より国庫補助金に切りかえることでございます。 以上三点が修正の要点でありますが、参議院におきましては、全会一致をもつて可決せられたことを御報告申し上げます。 なお法制上の問題に対しましては、参議院の法制局の中原課長が来ておられますので、御質問願いたいと存じます。
○大石委員長 本案についての質疑は明日に譲りまして、本日はこれにて散会いたします。 午後零時二十九分散会