厚生委員会 第38号
- 発言数
- 155 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1952/06/10
会議録
○大石委員長 これより会議を開きます。 まず参考人選定の件についてお諮りいたします。児童福祉法の一部を改正する法律案が、参議院において修正せられ、昨日本委員会に付託されたのでありますが、その審査の必要上、参議院厚生委員長の梅津錦一君を、参考人として本委員会に御出席願い、参議院における同法案の修正についての御意見を承りたいと存じますが、そのように決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大石委員長 御異議なしと認め、そのように決します。次に日本赤十字社法案の審査の必要上、伊藤謹二君、後藤眞三男君及び岡田好治君の三君を、参考人として当委員会に御出席願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大石委員長 御異議なしと認め、そのように決します。なお三君はすでに本院に見えておりますので、ただちに出席願うことにいたします。 —————————————
○大石委員長 次に、日本赤十字社法案を議題と上審査に入ります。 提案者より趣旨の説明を聴取いたします。青柳一郎君。
○青柳委員 それでは提案者を代表いたしまして、私から本法案の提案理由の説明を申し上げます。 御存じのように、この法案につきましては、五月の十六日以来六回にわたりまして小委員会が開催せられ、十分なる御意見のやりとりがありまして、その御意見を参酌いたしまして、でき上つた法案であるのでございます。従いまして、私は小委員会の報告を兼ねまして提案理由の説明をいたすということに相なるわけでございます。 本案は日本赤十字社の行う事業の公共性と国際性とにかんがみまして、日本赤十社の特性を生かし、その自主性を重んじ、事業の円滑適正なる運営を期せしめまして、一つには、日本赤十字社が、国内の現状に即しまして、その本来の使命を発揮し、国民生活の安定に一段の力を盡すようにいたしますとともに、また一つには、日本赤十字社が、国際赤十字の一員としての地歩を強め、わが国をめぐる複雑な国際情勢のもとにありまして、赤十字国際機関並びに各国赤十字社とよく力を合せ、世界の平和と人類の福祉に貢献せしめますために、日本赤十字社を特殊法人に改組いたし、これを強化しようとするものであります。 そもそも赤十字は、世界の平和と人類の幸福をもたらすために、一八六四年八月二十二日スイス国ジユネーヴにおいて、スイス国外十一箇国の間に締結されました戦時における戰傷病者を救済しようとする赤十字條約によつて確立せられ、一九〇六年及び一九二九年の再度の條約改正を経まして、現在わが国を初め託十箇国によつて支持せられ、また赤十字社は、赤十字條約加盟各国において、この條約の崇高な使命を達成するために奉仕しようとする、平和を愛好する人々によつて組織せられ、その活動は、赤十字條約の規定に従いまして戦時における戰傷病者の救済に奉仕いたしまするほか、真の平和と人類の福祉を確保するための根源にさかのぼりまして、常時において人々の健康を増進し、疾病を予防し、また天災地変その他不測の不幸から派生する生活上の苦痛を軽減することにあらゆる努力と奉仕がなされ、しかもこの努力と奉仕は、自国民のみにとどまることなく、各国赤十字社相協力して、広く世界各国の人々の上になされるものでありまして、このため赤十字條約加盟国の各赤十字社は、国際赤十字機関を構成して組織ある赤十字活動を展開し、かつ赤十字活動を通じて強固な国際親善の基礎をつちかい、世界恒久平和の達成に貢献いたしておりますことは、御承知のところでありまして、各国政府が、自国赤十字社を公認し、種々の特権と便宜を与え、その奨励促進に当つておりますことは、けだし上述の理由によるものであります。この世界に通ずる赤十字活動こそは、わが憲法の前文に掲げられた平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して日本国民の安全と生存を保持し、また全世界の国民がひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存し、真の世界平和を招来せんとする高邁な理想に合致するものでありまして、国際社会に復帰したわが国の現状から考えますとき、日本赤十字社の活動に期待するところのものは、まことに大なるものがあると信ずるのであります。 ことに昨年平和條約調印の際、平和條約に関連して、政府は、平和條約発効後一年以内に、一九四九年八月十二日の戰争犠牲者の保護に関するジュネーヴ諸條約に加入することを世界に宣言いたしましたことから、日本赤十字社の制度を確立して該條約受入れの態勢を整えますことは、平和を愛好するわが国の真摯なる態度を世界に宣明するものであると深く信ずる次第でございます。 従いまして日本赤十字社に対し、その所期する活動を期待いたしますためには、現在のような民法上の一般社団法人として運営せしめることなく、日本赤十字社の性格とその実態に即し、特殊法人としての法的根拠を与え、国の指導援助のもとに、強力にしてかつ健全な運営をはからしめることが一最も重要であると思惟せられますので、ここに日本赤十字社法案を提案いたした次第でございます。本法案につきましておもなる点を申し上げますれば、次の通りでございます。第一に、日本赤十字社の運営の基本を明らかにしたことであります。すなわち日本赤十字社は、赤十字に関する諸條約等の精神にのつとりまして、赤十字の理想とする人道的任務の達成に当ることを目的とするわが国唯一の赤十字社であることを明らかにいたしまするとともに、日本赤十字社がますます事業の公共性を発揮して国民の負託にこたえることができるよう、従前と異なり、その社員の地位を明確にするとともに、役員に関する規定を時代に即応する民主的なものといたし、総会にかわるべき代議員会を設くるなどその運営管理の基本につきましてこれを規定したことでございます。 第二に、日本赤十字社の国際性を明らかにしたことでございます。日本赤十字社の国際的な性格にかんがみ、その運営の成否はもつて国際信用の上に至大の関係を持つものでありますので、国際赤十字の一員としてその本来の使命を果すよう、国際協力の原則を規定したことでございます。 第三に、日本赤十字社に対する国の立場を明らかにしたことであります。日本赤十字社の活動は、赤十字條約の規定に基き、篤志赤十字機関として国の赤十字に関する條約業務に奉仕し、平時においては健康の増進、疾病の予防及び苦痛の軽減等のための国家的施設を補足するものでありますから、国は、日本赤十字社によつて供与されるこれらの役割に対し、その代償として必要な特権と便宜を与え、また物心両面にわたる援助をなすことといたしたのでありますが、日本赤十字社の役員の決定、その他運営の本質に直接関係ある事項につきましては、赤十字国際会議において決議せられました諸原則を尊重し、またその国際的な性格から考えて、中立性を保持せしめる必要から、その自主性を重んじ、不当な関与はこれを避けしめることといたしたのでございます。 第四に、日本赤十字社が赤十字に関する條約に基く業務並びに非常災害時または伝染病流行時における非常救護のために必要とする救護要員の確保につきまして必要な事項を規定したことでございます。日本赤十字社は、現に非常救護に従事せしめるために、みずから看護婦を養成してこれを救護員に委嘱し、万一に備えているのでありまするが、非常災害特等における人命救助のことは、寸刻を争い、かつ必要なへ員をただちに必要な地に派遣しなければならないことから、今後諸般の災害に備えて、人命救助の態勢を一段と強化せしめる必要がありますので、救護要員の確保について特にその必要な措置を規定したことでございます。 第五に、監督規定を設けて日本赤十字社の業務につき、その適正な監督を実施することといたしたのであります。日本赤十字社の運営につきましては、その特性を生かし、自主性を重んじて、健全な発達を奨励促進せねばならないことは言をまたないところでありますが、その健全な発達を促すためには、常に善意に基く監督が必要でありますので、そのために業務上必要な命令をなし、また役員中不都合の行為のあつた者に対してはその解任を勧告し、また監督上必要な報告を徴し、あるいはまた事務所に立ち入り業務の状況もしくは帳簿、書類その他必要な物件を検査して、その業務の適正な実施を期せしめることといたしたのであります。 第六に、日本赤十字社の行う事業に対し、国または地方公共団体の助成の道を講じたことであります。日本赤十字社は、その性格から社員の醸金によつて維持経営せられるのが理想でありますが、非常救護のための救護班の派遣とか、病院、診療所及び療養所の創設、拡張、改良とか、あるいはまた救護員の養成のためには、多額の費用を要することが予想せられ、社員の醸金のみをもつてしては、とうていまかなうことができないのみならず、これらの事業はいずれも国家的施設の補足をなすものでありますので、これらの費用に対する国または地方公共団体の援助を講ずることといたしたのであります。 以上が本案の概要でございます。小委員会を代表して御報告を兼ね。趣旨の弁明をいたした次第でございます。
○大石委員長 次に、本案について発言を求められておりますのでこれを許可いたします。通告順によりまして丸山直友君。
○丸山委員 この法案を提案いたしますまでには、数回の小委員会を持ちまして、われわれの希望する点も、るる申し述べ、また現在私どもは、すでに提案者になつておりますので、これに対して質疑をするというようなことは、少し形としてはおかしいようにも考えるのでございますが、この法を制定いたしましたときに関与したそのときの意向が、そのままこの文書を見て現われておるかおらぬかという点に対して、多少の質疑を繰返しておく必要があると考えて申し上げたいのであります。 ただいま提案理由の御説明にもありましたように、社員というものの身分、権限その他を明らかにいたしましたことは、たいへんけつこうなことであると思つておりますが、こまかい点といたしまして、これはただ立法技術でございます体、二十條で「社長、副社長及び理事をもつて理事会を構成する」となつておつて、原則が、社長、副社長は理事でないことに、なつておるのに、この理事会の構成メンバーとして社長、副社長が入ることになつておる。これは民法上おかしい。おかしいがその裏を返しまして二十六條と見合せて、民法の規定を読みかえるという形で行つておるのであります。普通の場合は、社長、副社長は理事とするという文句が一つ入れば事は済んでしまつて、二十六條というものは不必要な形になつて来るどいうようにやるのが多いと思うのですが、これは立法技術としていかがなものでございましようか。まずその点から伺つて、なお次にいろいろお伺いしたいことがあります。
○鮫島法制局参事 ここで理事会と申しましたのは、これは役員会というような意味でございまして、ただその役員の大部分を占めておるのが理事でございますので、理事会という名称を用いてございますけれども、意味合いとしましては、役員会——役員会といつておりましても、執行機関たる役員会というような意味合いでございます。ここで申します理事だけで構成しておるというような意味合いではございませんで、執行機関たる役員会というような意味合いで、理事会というような名前をつけたのでございます。それから立法例としましては、放送法にやはりこういう理事会というのがございまして、やはりあそこのNHKの総裁、副総裁それから理事をもつて構成しておるのでございます。
○丸山委員 これはもう簡単な、ただ立法技術でございますから、どちらでもいいことだと思いますけれども、どうも理事にあらざる社長、副社長が理事会の構成メンバーになるということは、これはちよつと見たところでは、私どもとしてはまずいのであります。「社長、副社長は理事とする」というふうに一項目入つた方が、体裁としても整うし、従つて二十六條は不必要だ、民法の規定を読みかえる必要はなくなつて来るのじやないかというような気もするので、申し上げたので、これはどちらでもいいことだと思います。 それから、これは赤十字の方の当局、副社長がお見えになつておりますからお伺いしたいのでありますが、二十九條で、看護婦、医師等の養成、特殊技能者の養成ということもうたつてありますし、またそれに関する救護事務に従事する義務規定というものが——「応ずるように努めなければならない」という多少範囲は漠然としておりますが、一応の義務規定があるわけであります。しかし、この義務規定に対しては、年限も定められておりませんし、一生であるかないかということは、この法律としては私どもは確信をしておらぬ。これは定款その他の内部の機構において定められてよいと私どもは思つております。その他運用いたされます面においてどういうふうな心持をもつてこれを運営される御意思であるか、これをひとつ明確にしていただきたい。
○伊藤参考人 救護員の応召に関する点でございますが、大体私どもの今の考えでは、法文の上から申しますと一生涯ということになりますけれども、実際の運用としては、あるいは定款にきめますか、あるいは救護員の服務に関する規則によりますか、いずれかによりまして大体七年ぐらいが適当じやないかというふうに考えておりますけれども、今後これは役員会その他に諮りまして決定いたしたいと思つている次第でございます。
○丸山委員 これはぜひひとつ内部でおきめくだすつて、あまり野放しにならないように御処理を願いたいと思うのでございます。もし、あと可能であるとすれば、むしろ立法的に何年間はというふうに強制規定——特別の正当の理由がなければこれに応じなければならないとして、そういう形をもつて法律できめる、そうしてそれに関する年限をはつきりしてしまうというやり方もあると思う。どちらがいいか悪いかと中うことは問題なんです。私どもは提案者として、この形をとつたのであります。とりましても、七年になるか十年になるか十五年になるかということは、私どもは全然関与できないので、あなた方が運用なさる面においてこれはかつてにおきめになる。この点に関して、私どもとして文句をつけたり多少注文をつけたいというような面もありますので、その点に関してはよく御考慮を願つて社会情勢もございましようし、あなた方がそう一方的におきめになるということもできないと思います。ことに今度の法律で、今までの古い考え方と違いまして、役員の選出等は非常に民主的になるように、私どもの意向で直したのでございますから、そういうようなことは、あまり今までのようなやり方、独断専行のようなことはおやりにはならぬと思いますが、その点はよく御考慮願いたいと思います。 それから三十六條から以下の寄付金募集のことでございますが、この三十六條の二項では寄付金の目標額、募集の方法と寄付金の使途を定めて厚生大臣に届けるだけであつて、厚生大臣はこの届出を受付けるだけで、これに関する何らの指示を与えることがない。つまり許可権がないということであります。これは、実は私ども小委員会で検討しておりましたときと、こういうふうな書き表わし方では、私どもの意向はまだ十分に現われていないような実は気持も持つておるのであります。例の司法関係で、たしか刑余の人の更生緊急保護法という法律が二十五年にできておつたと思いますが、これなども、やはり更生保護事業の事業資金の寄付金は、一般に公募することができるようになつておりますが、こういうような場合も、許可制度になつておるはずであります。許可がなくて届け出るのだ、寄付金の目標は何億集めるのだ、募集の方法は広い範囲でこうする、寄付金の使い方は私どもでかつてにするんだ、それだけ届けつばなしでそのままやつてしまうということは、少し小委員会の意向とは違つておると思います。これは若干手を入れなければならぬように思うのでございますが、これは提案者の方から、ひとつ御説明を願いたい。
○青柳委員 この問題につきましては、小委員会で非常な大きな問題になつたことは御存じの通りであります。それで、もうこれは申し上げるまでもなく、皆さん御存じりところでございますが、赤十字社の事業の社会福祉事業に関する面につきましては、それを赤十字本来の仕事からわけまして、赤十字社のになつている社会福祉事業については、赤い羽根の方の募金から割前を受けるというかつこうになつていることは、すでに御承知の通りであります。ところで、赤い羽根の方の関係の社会福祉事業についての募金につきましては、府県知事に届出に相なつているのでございます。法制的には、社会福祉事業法におきまして、そう相なつているのでございます。これも、その意味から届出ということに相なつているのでございます七従いまして、法制的には両者が均衡をとつて、両者とも届出ということに相なつているのでございます。ただここに問題は、赤い羽根につきましては、各府県におきまして、いろいろ社会福祉事業に必要な費用の目標をつけながら、その目標をつけましたものを府県知事に届け出るのであります。そうして、その次にそのものをきめます際には、共同募金の県の社会福祉協議会の意見を聞いて金額をきめる、そういうふうに二段になつておるのでありますが、知事には届出をします。現実には知事のところで少ししぼられる、また社会福祉協議会でもしぼられるということに相なりまして、法制的には同じであるけれども、赤い羽根の方にそういうふうにしぼられるところがたくさんあるということになるのでありまして、その点、実際面からいつて均衡を失している、こういう御意見が強力に働いているのでございます。ただ、この原案につきましては、先ほど申し上げましたように、社会福祉事業の、日本赤十字社のやつている社会福祉事業につきましては、あくまでも共同募金、赤い羽根で行くという原則をうたつたのであります。その点については御意見も入つております。
○丸山委員 ただいま御説明のございましたように赤い羽根の共同募金の方は、一応しぼる部面ができているのであります。ところが、これは全然しぼる面がない、かつてに目標を赤十字社がきめて、かつてに募集方法をきめて、かつてに寄付金の使途をきめて届けつばなし。どこにもしぼる面がないということは、これは、実は小委員会でもしばしば問題になつてておりましたように、赤十字募金の仕事というものが、いろいろ世間から言われておるのであります。つまり、日本赤十字社本来の使命を達するためにこの募金は使われるのだということになると、やはりこれは本来の使命ということに関する見解がいういろいろ違つて来まして、問題が起るのであります。財産の造成にこれを使う。何でもかまわずどこかに病院でもつくりたい院病院をつくることは一応赤十字社の精神にのつとつたものであるということになりますと、ここにひとつ四、五千万円の病院をつくりたいという、かつてほうだいに自由に赤十字社の当局が募金ができる。これはだれに相談しなくてもいい。こういうような形で、全国から集めて中央に吸いとつてそれを使うのだというようなシステムからいうと、多少世間からいろいろな目をもつて見られる危険もあると思いますので、こういうことはなるべく明瞭にしておいた方がいいと私は考えているのであります。ことに募金をいたしましたときの還元金——募集した人にもどしてやる十数料、一種の還元金は、赤い羽根は八分ということになつている、赤十字他の募金は、今までの慣例によると二割になつている。こういうように非常に大きな開きがある。そうすると非常な懸賞金が出たような形で、相当無理ば募金を割当てて、赤十字社の募金だからこうせざるを得ないだろうということで——国民は寄付金というものに相当飽和している状態である。いろいろの寄付金が参りまして、地方税の改正等におきましても、今までの地方税のるいは学校施設その他におきましても、どうも寄付金に仰いでおる面が非常に多いので、いろいろな税法の改正守で国民の寄付金を減らして行こうということが、わが党の内閣の大方針であつて、そういうふうな税法の改正等も行われている現実なんです。この赤字募金と赤い羽根募金というものは、なかなか大きい金額なので、これが強制的に行われることは、もちろんばいとは言われましようけれども、寄付する側からいうと、多少半強制的に又取りやすい性質の募金であります。ての募金の使途がまつたく国民から離れて、何らの規正を加えられることなく、赤十字の当局者の考えのみで自由にできるのだというふうな立法の仕方は、私ども小委員会においてしやべつしおつた、議論しておつたことと、この点においてまだ少しぴつたりと一致しておらぬような感じがするのであります。提案者がこういうことを言うておると、ちよつとおかしいように思うのでありますが、内部事情をお語いたしますと、実はこの法案は、小委員会で意見は相当に述べましたが、成案を得まする間が非常に早卒の間でありまして、私どもの意見を十分に反映させることがちよつと困難な状態においてここに提案になつておりますので、こういうふうなまずい発言をしなくてはならぬことになつたのは、はなはだ遺憾であります。その点に対して、どういうふうにお考えになりますか。
○青柳委員 ごもつともな御質問だと私は思うのであります。大体先ほど、提案の理由にも申しましたように、赤十字の社業をやつて行くためには、社費によるのを原則といたしたいと存じておるのであります。その点は、法文を一貫して流れる精神から受取られ得ると思うのであります。ただしかし、社費を現在年三十円のものを百円にいたしましても、なお実際事業を運営して行くのに金がかかるので、当分の間——七、八年ぐらいでありますが、当分はなお足りない。これはやはり従前からやつております共同募金にたよらざるを得ない。この共同募金につきましては、赤い羽根、白い羽根のほかに各種の羽根があつて、これらのほかの羽根につきましても、かつてにやつておるという現実を認めざるを得ないのであります。しかし、本質的な議論といたしましては、社費に基礎を置くという原則を打立てると同時に、ここにもございますが、日本赤十字社業を運営して行くために必要な資金を得るためにこの必要、不必要が議論になりますが、この必要、不必要の議論につきましては三十八條、三十九條あたりの厚生省の行う監督というものによつて縛り得ると存じております。一応法制的にはこれで成り立ち得る、こう存じてこの原案をつくつた次第であります。
○金子委員 ちよつと関連して……。今、丸山委員のお話のように、実は小委員会におきまして法を検討いたしますときには——私も提案者の一人になつていて、そういうことを申し上げるのも変でありますけれども——そういう考え方は持たなかつた。これはどうしても認可でなければまずいという考え方で、相談を進めたはずだと思つております。なぜならば、今までの赤十字が、赤十字本来の救護要員を養成すること、あるいは救護施設の拡充をすること、それに必要な薬品その他の備蓄をするということ、そういう働きを今の日本の社会において非常時対策として赤十字病院がする、これは認めておるところでありますし、またそうしなければならぬことでありますけれども、それ以外の病院の経営はあくまでその要員を養成するための病院というものが、今日の段階では第一義であつて、単に患者を収容して疾病の療養をはかることであるならば、これはほかの社会団体がやる病院なり、あるいは国立なり県営なりその他の病院とかつては特色があつたことは認めますけれども、今日の段階ではそれをもつて赤十字を特殊のものとして認めるわけに行かない。また社会福祉事業におきましては、社会福祉法人というものが、りつぱな制度のもとにできておりますので、これはこの法律にも盛つておりますが、社会福祉事業に関しては、赤十字の特殊性というものでなく、原則としてあくまで社会福祉事業法の中の一員として行うということをきめてあります。その次は、先ほどの話に帰りますが、病院経営に対してだけ言うならば一般病院と同じでありますので、これを赤十字の募金その他によつて経営するという原則の上に立つては行けない。残された問題は赤十字本来の仕事をどこに置くかということで、その点で赤十字の社業を伸ばしてもらわなければならない。それがややもすると広い範囲に赤十字社法の目的を解釈いたしましたときには、募金の範囲も非常に広がる危険がある。今日あらゆる募金を、どうして許可制度にしなければならぬかと申しますと、これは募金でありまして、寄付金のようなものを多くするかあるいは少くするかは個人の自由であるという原則には立つておりますけれども、実際上、日本の募金あるいは寄付金のあり方を見ますと、赤十字とか、あるいはこれに携わる人たちの地位だとか、あるいは勧請というものが非常にものを言うて、実際は強制的な、税金に準ずるような国民支出になるという危険がありますので、募金というものに対しては、一応許可なり、あるいはそれに対して制約を加えているのだと思います。この募金に対して、ただ單に、ただいま丸山委員のおつしやつたような、届け出ればいいのだという御見解では、今まで私ども相談した線とは、少し違うじやないかと思いますが、それをかりに許可制にしたらどういうふうな不都合とどういうふうな、支障が出て来るか、その点を承りたいと思います。
○青柳委員 ただいま御指摘の條項は、三十六條でありますが、ここには三十七條もありまして、三十七條におきましては、臨時の寄付金募集についての規定があるのであります。病院建設などにつきましては、私の考えとしては、三十七條の方が大きく関係していると思つております。三十六條の方は、おもに各種の運営費がこれに当るものと、実は考えておつたのであります。そこら辺ははつきりとさせておきたい。
○金子委員 今のお話だけでは、割切れない。運営といつたつて、運営のやり方もありますから、非常にルーズなやり方をしても、これだけの金を募金したいと届け出ればいいということににります。だから、許可にしたらどういう支障があるかということをお伺いしたい。
○青柳委員 いろいろ考えたのでありますが、法制的には、一方の社会福祉事業については届出という制度でやつておるわけであります。社会福祉事業法による社会福祉法べに必要な分は届出でいい。こちらもそれに従つて、届出ということにしたのであります。私の考えとしては、両者は大体同じような方法に持つて行こう、それが一番理想だろうと思つております。ただ制度の切りかえと申しますか、過渡期にあるものでありますから、実際の運営におきましては、優劣が事実上ある。そういう点は心配しておるのであります。
○金子委員 割切れないけれども、残しておきます。
○丸山委員 今のお話に出ました三十七條であります。三十七條に讓るというお話ですが、三十七條の規定は、実は私どもこういうふうに考えておつたのであります。たとえば鳥取の大火があつた、あるいはどこそこに大震災があつたというような、特別な事故が起つたときに、赤十字がそれに対応する費用をまかなうために、臨時に募金をするというふうな意味の條項であつたと、たしか思つておるのであります。これはもちろん赤十字本来の事業には違いありませんが「特別の事情」という意味は、実はそういう意味の特定の事故が起つた場合のことを目標にした特別な目的の募金、こういうふうに私ども考えておつたわけでありますが、実はこれも小委員会で相当問題になつたのであります。そういう特定の募金を、ほかのいろいろな事業団体、たとえば新聞社が鳥取の大火災に対して、募金をしてこれを助けようとすることがある。そういうときに赤十字もこれをやるというと、その間に競合ということが起りやすい。赤十字がやるのだから、きさまたちやるのはけしからぬということが前にあつたと、私ども聞いております。こういうようなことで、これは三十六條第一項の規定でありますが、そこでしぼつてあるのだとおつしやれば、そういうようなことになりますが、本来の業務と申しましても、これは博愛の精神ということでやれば、やろうと思えば何でもできるのであります。火災にあつて非常に人が困つておる。そういうものを博愛の精神で、赤十字本来の目的に沿つた仕事であるからやろうといえば、たいていのことはできるのであります。そういうような場合に、今申し上げましたようなことが起る。これも、府県に限定しておるときには、たしか届出だけでよかつたのですが、二つ以上にわたるときは厚生大臣の許可がいる。そういうふうな意味の募金であると解釈しておつたのですが、ただいまの御説明と、ちよつと違つておりませんでしようか。
○青柳委員 今の解釈の点は、私先ほど申し上げました通りでございます。
○大石委員長 本法案の審議は、午前中はこれだけにいたします。 次に、地方自治法の一部を改正する法律案に関し、先般当委員会の意見を地方行政委員会に申し入れることに決定願つたのでございますが、当委員会の意見については、申入れを行う以前に、すでに目的を達しておりました関係上、申入れはいたしませんでした。以上御了承願います。 午後は一時半より再開することにして午前中はこれで休憩いたします。 午前十一時五十五分休憩 ————◇————— 午後二時四十三分開議
○大石委員長 休憩前に引続き会議を梅開いたします。 引続き日本赤十字社法案を議題とし、審査を続けます。通告順により発言を許可いたします。苅田アサノ君。
○苅田委員 まず第一番に、提案者に、日赤を特殊法人に改めなければならないどういう事情があるかということを、お伺いしたいと思います。これは参考人として出席された日赤の元外事部顧問であり、日赤の現社員が日赤の恩人だと言つておられる蜷川新氏も、また同じように参考人として小委員会にお呼びしました社会福祉事業協会の青木局長も、日赤を今特殊法人にしなければならない理由はないじ争ないかという御意見だと私は拝聴しておる。私はさように思うのです。どういう理由かということを、お聞きしたいと思います。提案理由の中に、五つほど述べられておるのでありますが、特殊法人にしなければ、そういうことができないというものじやなくてこういうような社会事業団体であれば、運営を民主化するというようなことにしましても、それから国際性の問題にしましても、あるいは国に対する自主性の問題にしましても、何も特殊法へにしなければならぬという理由はないと思う。問題があるとすれば、最後にうたつてある国からの補助金、地方公共団体からの補助金というようなことか多少あるかもしれないのですか、大体私どもはそういうふうに考えるのです。これを提案される理由を、もつとはつきりお聞きしたいと思います。
○青柳委員 この点は、苅田さんもたびたびお聞きになつたと思うのでありますが、赤十字のやつておる事業のうち、社会福祉事業は、その小部分を占めておるにすぎないのであります。そういう点から言つて、社会福祉事業法による法人とは、性格を異にしておる事業を多分に営むものであります。従いまして今御発言の社会福祉法へであれば足るというのは、それは聞違いであると存じます。 それから、もう一つ申し上げたいのは、日本の歴史から考えてみましても、現在の日本のありさまとは違いますけれども、従前は勅令による団体であつたという事実がございます。それだから特殊法人にしなければならないというような、すぐにそういうりくつは出て参りませんけれども、ただ国際條約なり国際慣例なりの上に明らかぬ点は、各国とも一つの赤十字社を認めろ、こういうふうになつておるのでございます。この点も参考資料に出ておりますから、ごらんおきを願いたいのでありますが、そういう点。さらには、他の一般法へと違つて、各種の特権と便宜を与えてこれの十分なる発達を促さなければならない。これもまたお手元にあります各国が赤十字社に与えておる便宜という資料に明らかであります。すなわち、国際的な観点並びに事業の点から申しまして、特殊法人にする必要がある、こう存ずるのであります。
○苅田委員 今の御説明では、赤十字が終戦後今日まで普通の民間団体としてやつて来て、ここでにわかに戦前と同じように国との関連を強くした法人にしなければならないという理由は、はつきりしないと思うのです。その点をお聞きしたいと思うのです。
○青柳委員 この点につきましても、先ほど提案の趣旨の中で申し述べましたように、昨年の九月の平和條約の宣言の第一に、日本国政府は、この平和條約が効力を発してからできるだけすみやかに、あるいはおそくとも一年以内に、一九四九年の赤十字に関する諸條約に加入するということを宣言いたしております。加入するにつきましても、態勢を整えて、国際的によく認められた、すなわち先ほども申しましたごとく、国際慣例あるいは條約からいつて、一つのものを認めるという態勢を整える必要があるからであります。
○苅田委員 そうすると、提案者は、従来のような民間団体では、そうした赤十字の国際條約に加盟することができない、こういう御主張なんですか。
○青柳委員 公に認められたしつかりしたものをつくる必要が起つて来たというふうに御解釈願いたいと思います。
○苅田委員 その点であるならば、これは国との関係をつけるということよりも、やはり従来の赤十字社の業績に対して、はつきりした運営組織その他の検討をするということが、やはり必要なんであつてそういう問題は、この委員会でも論議には上りましたけれども、まだそれについてのはつきりした結論が出ないで、戦前と同じような国との関係だけをする法律をつくつてしまうということでは、そうした実質的な意味からいつて、国際的にも確実な信用のある団体とするという目的は、私は達せられないように考えるのです。そういう点からいえば、私は赤十字社については、そういうような組織をかえるというだけりも、問題は、もつと内部の方にあるというふうに考えるのですけれども、その点、提案者の方ではどういうふうにお考えですか。
○青柳委員 新しい日本赤十字社として出発するために、お話のように運営なり組織に大改革を加える必要があるということは、まことに御同感であります。従いましてその点は、先般書面にしても御紹介いたしましたように、相当な改革を行うことに相なつております。その組織なり運営が軌道に乗る運営の問題につきましては、ただいま御心配があつたのでございますが、組織なり運営なりにつきまして、法律に規定するものにつきましては、この程度で十分だ、あとは運営の問題であると私は存じます。
○苅田委員 その点につきましては、議論にわたりますから、また別の機会に譲りまして、次に私は、この提案の理由にもたびたび出て来、また新しい保案の第一條にうたつてありますところの赤十字の目的、このことについて、これは小委員会でも多少問題になつたかと思うのですけれども、さらにはつきりしておきたいと思うのです。赤十字の理想とする人道的任務を達成するために、赤十字の行動は、一国の政府とか政治とか、宗教、思想、種族、そういうものを越えて行われるんだということが、国際赤十字連盟の條約のはつきりした精神だというように伺つておるのでありますが、この点は、提案者におきましても、あるいは、きようは現日赤の副社長がおいでになつておりますが、この御両人から、それに間違いないということを、はつきりお聞きしておきたいのですが、これはいかがですか。
○青柳委員 おつしやる通りであります。ただ、実行のできないものにつきましては実行はできない、ということだけ申し上げておきます。
○伊藤参考人 大体ただいまお話のようなことでございます。
○苅田委員 そういたしますと、これはやはりこの委員会の参考人としておいでになりました蜷川新博士が、非常に主張しておいでになつたのでありますが、現在の日本赤十字社は、そういう国際的な赤十字連盟の條約に違反しておる。なぜといえば、たとえば最近の例をとつていえば、朝鮮の動乱に対して南鮮の方にだけ救恤品を送つたり、あるいは供血作業でこれを救護しておる、これは当然中立であるべき赤十字の精神に違反しているというお話がありました。そのときに委員会においでになつておりました、松井理事だつたと思いますが、南鮮だけを支援するのは本来の赤十字の精神ではないのであつて当然あの場合には北鮮の方にもしなければならないのだけれども、北鮮に対しては連絡ができないからという御答弁がありましたのです。しかし、私はそれはどうもたいへん怪しいと思うのです。なぜかと申しますと、なるほど供血作業ということは、日本国内で、北鮮の患者さんがいないわけなんですから、できないかもしれませんけれども、全国の小学校の生徒を動員いたしまして慰問文を書かせたりなんかするということは、南鮮といわず、北鮮といわず、これは当然できるはずなんです。あるいはそういう救恤品も送ることが当然できるはずなんです。しかも現在の北鮮の人民の中には、中国の義勇軍も入つているので、当然これは中国の紅十字も参加しているし、また国際的な機関を通しまして、正式に加盟しておる中国の紅十字の方にも、当然私は連絡はできるはずだと思うのです。その御熱意さえあれば、できるはずだと思うのですが、それをしておいでにならないということは、やはり現在の政治とか政府とかに対しまして、はつきり中立性をとり得ない今の日本赤十字社としての欠陥があるのじやないかというふうに考えるのでありますが、この問題に対しましてこれはむしろ伊藤副社長の御意見を伺つた方がいいと思います。
○伊藤参考人 ただいまの御質問に対してお答えいたします。大体赤十字は、戦争犠牲者に対して、国籍とか宗教とか人種あるいは敵であるとか味方であるとかいつた区別なく、公平、平等に救護に任ずべきことは当然でありますが、そうかといつて、実際上不可能なことを赤十字の原則は要求しておるわけではございません。自分の救護作業の可能なる範囲内における戦争犠牲者に対しては、これはひとしく平等に扱わなければなりませんけれども、決して不可能なものまで要求しておるわけではないのでございます。私ども、韓国動乱が発生いたしまして以来、多数の戦争犠牲者が出ておりますので、これに対して救援作業を開始したいと心がけたわけでありますが、北鮮側に対しましては、遺憾ながら救援の手を延ばし得ない実情にあることは、御了承願えることかと思うのであります。ことに、北鮮側の戦争犠牲者に対する救護につきましては、赤十字国際委員会の方では非常な心配をいたしまして、あらゆる手段を講じて連絡をとつたわけでございまして国際委員会の会長がわざわざ北京まで飛行機を飛ばして参りましたり、またジユネーヴからも医薬品の相当数量を香港まで運んで参りまして、これを中国の紅十字のあつせんによつて北鮮側に送ろうといたしたのでございますけれども、これも不可能に陷つたような実情でございます。さらにまた、私の聞くところによれば、北鮮側の代表がモスクワにおられるそうでありますが、国際委員会は、そういう方面とも連絡をとりまして、何とかして北鮮側の戦争犠牲者に救護の手を差延ばそうといたしたそうでありますが、遺憾ながらどうもうまく連絡がつきませんで、実行不可能に陷つて今日に至つておるような現状でございます。日本赤十字といたしましては、輸送の手段も持ちませんし、そういつた国際委員会なり何なりの手を通じませんと、何としても北鮮側に救護の手が延びないわけでありまして、ただいま申し上げましたような実情で、北鮮側に直接救援物資を送るわけに参つておりません。けれども、国連軍側の手に落ちました北鮮側の捕虜であるとか、あるいは南鮮に避難して参りました戦争罹災民、こういつたようなものに対しましては、赤十字は各社会事業団体や宗教団体と連合いたしまして、一般に広く募金いたしました義捐金を送つたわけでございますが、それがひとしくそういつた人たちにも分配されておるものと、私は確信いたしておるのでございます。また日赤のとつております戰争犠牲者、戰傷病者に対する救恤運動に対しましても、直接には国連軍の病院に送つておりますけれども、それらの病院には場合によつては北鮮側の傷病者も入つておるそうでありまして、そういう方面にも、ひとしくこれを分与するというふうに私どもは承知いたしておるのでございます。そういつたようなわけでありまして、決して私どもは北鮮とか南鮮とか、こういつたようなことについて、区別を設けようとしておるわけではないのでありますが、事実そういつたような結果になつておるのでございます。赤十字の條約は、決して実行不可能なことを要求しないのでありまして、戦争の犠牲者で、手の届く範囲内におる者があるならば、一刻も早くこれの救護に当るべきことを要求しておるのが、赤十字條約の精神でございます。私ども日赤の行つておる事業は、條約の精神には決して違反していないのだというふうに信じております。
○苅田委員 今御答弁いただいたわけですが、なるほど、今できております赤十字国際委員会というものは、その人選の点等から考えまして、決して中立的な組織でなくて、そのために北鮮の内部に立ち入ることを拒否したということを、私どもは聞いております。しかしそれ以外にも、ほんとに日本としまして、南北両方の軍隊の戰つておるのに対して、同じような救援の手を延べようとするならば、日本の立場としては、私はできなくはないということが考えられると思うのです。たとえばあなた方の方で、そのために、それでは中国の紅十字に対してどういう連絡をとられたかということを、私はお聞きしたい。 それからもう一つは、これはおそらく全国にあつたと思うのでありますが、特に四国におきまして、朝鮮の兵隊に対して慰問文を書かせました、あるいは朝鮮の子供たちに対して慰問品をつくらせましたところが、四国のある学校の生徒が、南鮮だけへ送るのは不公平だ、北鮮へも当然邊らなければいけないと言いましたところ、その生徒を指導した先生は赤いとか、生徒が赤いとかいうことで、たいへん問題になつたことを記憶いたしておるのでありますが、本来ならばこういうことは起るはずがないと思うのです。もし赤十字のやり方がほんとにそういう場合に思想とか人種とかを越えた博愛、人道の精神に立脚しておるのであれば、そういう子供たちの言うことこそがほんとうの赤十字精神なんで、それを赤いとかなんとかいつて問題にするということは、私はやはり今の赤十字の運営の仕方が、——あなたはそうおつしやるけれども実際上はそうした片手落ちなことが行われている証拠じやないかと思うのです。この二つの問題につきまして、御答弁願いたいと思います。
○伊藤参考人 ただいまの最初の御質問は、中国紅十字会と日本赤十字とがどういうふうな連絡をしたか、あるいはどんな努力をしたかというような御質問でございましたが、先ほど申し上げましたように、朝鮮で動乱が起りまして以来、国際委員会が非常に熱心に北鮮側との連絡に努力いたしておりますことは、私どもはただちに承知いたしたわけでございます。動乱が発生いたしまして、ほんのわずかしかたたないのに、国際委員会の方面から通報がありまして、北鮮側にも代表を送り、南鮮側にも代表を送るべく手配をしたというようなことで、非常に迅速な連絡を講じておることを承知いたしております。またその後の随時の交渉の結果も承知いたしておりますので、日本赤十字から直接この問題について中国紅十字に交渉いたしたことはございません。大体こういつた場合には、国際赤十字を通じて交渉するのが建前になつておりますので、その普通の原則に従いまして、国際委員会の活動が実を結ぶことをひとえに期待したわけでありますけれども、それが今日実を結ばないような実情でありますことを、御承知おき願いたいと思うのでございます。ただ北鮮側に対しましては、私どもの得た情報によりますと、ソ連の赤十字とか、中国の紅十字会、あるいはハンガリー、ブルガリア、ルーマニアの赤十字等がそれぞれ救援をいたしておるように承知しております。 それから第二の御質問、四国で学童に慰問文を書かせた云々のお話でございますが、私そのことはよく承知いたしておりません。赤十字といたしましては、いつかも小委員会でお話いたしましたように、戦闘行為に参加しております戦闘員に対しては、慰問とか激励とかいうことは絶対にいたしておらぬのでありまして戦闘圏外に離れた戰傷病者とか、あるいは戦争災害者とか、罹災民に対する救援とか、慰問とかいうことをいたしております。そういつた面で、動乱の罹災者に対して救援の手を差延べるようにするとか、あるいは戰傷病者を慰めるといつたようなことはいたしておりますが、決してその範囲を逸脱しないようにいたしております。ただいまの御質問の点、私あるいは聞きとり違えたかもしれませんが、実際問題といたしまして、四国の学校にいたしましても、それらのつくります慰問又等が、今日の状況では、北鮮側に到達することは不可能でございます。不可能のことを私どもといたして要求したり、あるいは奨励したりするわけに参りませんので、その点は、今日やむを得ず日本赤十字が現在のような態度をとつておることを、御了承願いたいのでございます。
○苅田委員 私が今問題にしましたのは、可能、不可能の問題じやなくてそういう朝鮮に対する子供の慰問品、慰問又の場合に、北鮮側に出さないということは不公平だ、そう言つてこれを拒絶した学級に対しまして、その生徒、あるいはこれを指導した先生は赤いという批判が非常に起つておる。これはその当時の新聞紙なんかにも出た問題ですが、そういう事実に対して私は三本赤十字社精神というものを本社でもこれを徹底さすことを怠つたであろうし、あるいは一般の人もその通り考えておるということの、何よりのこれは証拠なんだからこれに対してあなた方の方ではどういうふうにお考えになつておるかということをお聞きしたい。しかし御存じがないということであれば、私はそれ以上申しませんが——それじやひとつ、これをはつきりこの委員会でお認め願いたいと思うのです。というのは、日本赤十字社としては、占領下の日本政府のもとにあつたとしても、当然朝鮮の動乱のごとき場合には、南鮮だけにやるということは赤十字精神に反しておる。これはすべての戦災者や罹災民、あるいは負傷者に対して、赤十字の人道的な手を差延べらるべきものであるが、日本の状態として南鮮だけにしか行われなかつたことは非常に遺憾に思うということを、私は赤十字の当事者としてお認め願いたいと思う。それはよろしゆうございますか。
○伊藤参考人 ただいまのお話でございますが、赤十字の原則は、先ほども申し上げたのでございますが、不可能のことを決して要求いたしておりません。今度の朝鮮動乱で申しますれば、日本の赤十字は、中立国の赤十字といつたような立場にあるのでありますが、申立国の赤十字は、交戦各国の傷病者に対して、公平に取扱うべきだ、同時に救護の手を差延べるべきだということになりますと、実際上において不可能な場合が、しばしば起りまして、結局何にも救護作業をし得ない場合が起つて来るのであります。そういうことになつては困りますので、赤十字の新しい一九四九年に結ばれました條約によりますと、中立国の赤十字が一方の交戰国の戦争犠牲者に救護の手を差延べたからといつて、それは決して非難さるべきではない。それは即刻一方の当事者だけしか救護できないときでも、ただちに救護におもむくべきだという精神のもとに、一方の交戦国の戦傷病者を救護したからといつて、これは中立違反にもならなければ、また何ら非難を受くべきものでもない。こういうふうなことが條約に明記されておるのでございまして中立国の赤十字が、一方の交戦国の戦傷病者なり戦争犠牲者なりを救護したからといつて、決してそれは赤十字の精神に違反しないということを、はつきり明文にしるしておるのでございます。これは一に救護作業を早く開始すべきであると償うところから来ておるわけであります。
○苅田委員 私はたくさん質問があるので、この点にばかり足踏みしておるわけには行かないのですが、この点だけ聞きます。それでは、日本赤十字としては、もし中国の紅十字の方から支援方を頼むということがあれば、日本政府あるいは当時の占領軍の意向いかんにかかわらず、日本赤十字としては、できるだけのことはすべきであり、またしたはずであるということは、お答えになれますか。
○伊藤参考人 もしなすすべがあつたら、なし得たろうと思います。
○苅田委員 次に、それと同様のことで、これも委員会の席上で蜷川参考人から指摘されたことでありますが、過ぐるメーデーの事件に対して、赤十字社は全然救護活動をしなかつた。ところが、非常の災害に備えるという赤十字であれば、第一番に出て、こういう非常事態に救護活動をすべきであつたにかかわらず、それをしなかつたということに対しまして、赤十字社は知らなかつだのだ、こういうお話でありますが、芝とは目と鼻の日比谷公園でああいう大事件が起りましても、赤十字の方では全然知らないというような、そういう機能の麻ましたことでいいと考えておいでになりますかどうか、その点もお聞きしたいと存じます。
○伊藤参考人 私ども、当日メーデーにああいう事件が起ろうとは、まつたく夢想だもしなかつたのでございまして、結局ああいう事件が発生いたしまして、すでに救護の処理が終りた後に、その事態を承知したのでございまして、それぞれ関係当局方面で急速な処置をせられましたので、あの際には、赤十字が乗り出すことはございませんでしたが、今後は、私どもできるだけ早くそういう情報の入るように考えたいものだと思つております。
○苅田委員 そうしますと、今後もしああいう不測の事態が生じましたときには、赤十字社といたしましては、第一に救護班を出して、それの犠牲者の救護をやられると思うのであります。またできるだけそういうような事態に備えるような方法を講ぜられると思うのでありますが、その場合に、私は今回のメーデー事件につきまして、その救護活動に附随いたしまして、実は非常に遺憾に思つているところがありますので、将来のことのために、ひとつ日本赤十字社の幹部の方にお聞きしておきたいのであります。それは、当時重傷でもつて病院に運ばれました負傷者の中で、多くの者が、運ばれましたその晩に、警察当局によつて尋問を受けたわけです。中には近藤巨士君のごとき、脳の激動によつて卒倒したままで運ばれましたような人に対して、警察が一昼夜二十四時間にわたつて尋問しておるのです。その結果、近藤君は二、三日を出ないで、それ以後ほとんど言葉を出すこともできないで死んでおるのであります。これもそうした安静を要する時期に、警察当局から尋問を受けたのが原因になつていることは、明らかであります。そういう場合に、日赤は安心して、ほんとうに博愛、人道の精神から、そうした外部の権力を拒んでも、まず人命を尊ぶという、この日赤の精神を生かしてやつていただけるかどうか。これにつきまして、私は、決して架空のことでなくして、今後赤十字が救護活動をするといえば、大切な問題になると思いますので、日赤としては、あくまで苦痛を軽減し、平和を愛し、健康を回復増進するという見地に立つて、そういう場合、処置をしてもらうだけの毅然とした態度をとつてもらえるかどうか、ひとつお聞きしたいと思うのです。
○伊藤参考人 新しい赤十字條約によりますと、内乱の場合にも、赤十字は救護活動に乗り出すようなことになつております。日本で、そういうことは万々なかろうかと思いますが、万一そういうことがあつた場合においては、日本赤十字は、敏速な活動を開始するだろうと思います。今、人権問題についていろいろお話がございましたが、これは私事実を存じませんので、もう少しよく聞きませんと、何ともお答えいたしかねます。
○苅田委員 私は事実のあるなしで汚くて、そういう場合に、まず人命を中るということに、赤十字社としては磁力してもらえるかどうかということを、お聞きしているわけです。
○伊藤参考人 赤十字社としては、承くまで人命を守るためにできるだけの努力をすることと信じております。
○苅田委員 私は、ただいま副社長が言われましたことが、今後必ず実行されることを強く希望いたします。 次に、第二條の関係ですが、第二條に「世界の平和と人類の福祉に貢献するように努めなければならない」ということが書いてありますし、それから赤十字指導原理の十三箇條というのを見ますと、平和の維持に必要な條件をつくり出すように活動しなければならないということが、はつきりうたつてあるのです。それでお聞きいたしますが、日赤は、毎年三十億、四十億近い大きな会計で事業をしておいでになるのですが、繰返しこの提案理由の中にもうたつてあるところの、そして赤十字のそういう指導原理としてわざわざあげてある中に、はつきり明記されてある平和の維持に必要な條件をつくり出すための努力ということについて、赤十字としてはどういうことをしておいでになるか。これも簡単でけつこうですが、要点だけお述べ願いたいと思います。
○伊藤参考人 人類愛の精神を普及するために、あるいは講習、講演、刊行物の発行とかいうふうなこともいたしておりますし、また国際親善の増進のために、各国赤十字との相互通信1か、そういつたいろいろなことをいたしております。
○苅田委員 今言われておりますことを、もう少し私は具体的にお聞きしたいのですが、文書でどういう活動をしておいでになりますか。
○伊藤参考人 いろいろパンフレットなども発行しておりますし、「赤十字家庭新聞」とか、これを月に三回ぐらい発行しております。各地で講習、講演会を開いておることは、数を知らぬような状態でございます。
○苅田委員 私も「赤十字家庭新聞」というものが出ておりますときには、毎週寄贈を受けまして読んでいたのでありますが、その中のどういうことが、今これに該当するか、平和の維持に必要な條件をつくり出す活動ということになるわけでしようか。
○伊藤参考人 あの中には、しばしば人類愛の精神をうたつておるものがございますので、ただいま手元に持つておりませんが、お読みいただけば、おわかりいただけるのではなかろうかと思います。
○苅田委員 それでは、たとえば戦争反対とか、あるいは原子爆弾禁止とか、そういう大きな国際的な動きがあるわけなんですが、こういう問題に対しまして、赤十字社としては、従来積極的に協力しておいでになりましたか。
○伊藤参考人 そういう方面は、赤十字の国際会議でいろいろ決議いたしまして、それぞれの各国政府に、いろいろ呼びかけておるような次第であります。
○苅田委員 そうすると、日本の赤十字社としてもし私も各地方での赤十字の人たちの活動というものは、目のあたりしばしば見ております。ところが、今私がお聞きしましてお答えになつたように、具体的に戦争の危機に対する反対、啓蒙活動とか、あるいは原子爆弾これはもう日本人としては一番忘れることのできないものですが、こういうものが今御承知のように世界で無制限につくられておるわけなんですが、こういうものに対しまして、日本の赤十字社としましても、ほんとうにしておいでになつたわけですか。
○伊藤参考人 私どもも、国際会議の決議は、その都度政府に申達しておりますし、連絡はとつております。
○苅田委員 そうしますと、赤十字の国際会議で、原子爆弾禁止という問題それから戦争反対の決議がされて、これは赤十字社として日本の政府には伝達してある。しかし日本国民に対して、こういう問題が、どういうふうにあなた方の広い組織をもつた宣伝活動をされているかということも、ついでにお話願いたいと思います。
○伊藤参考人 戦争反対の決議というのは、私、国際会議で決議したことは承知しておりません。但し、世界平和を確立するための強い人類愛の精神の呼びかけといつたような決議は、いろいろいたしております。それから、原爆の禁止についても決議がございまして、これは国際会議からも政府に連絡をいたしておりますし、またその会議には、政府の代表も出席しておりました。そういうことでございます。国内には、そういつたような決議がありますと、そういつたものをわれわれの刊行物には書き添えてございます。
○苅田委員 私どもは、そういう原子爆弾を禁止せよということについてどういう強力な宣伝活動を赤十字社の方が国内でやつていらつしやるかということを、寡聞にして知つておりませんので、どうぞあとでもけつこうですから、そういう具体的に戦争を回避し、あるいは戦争の惨禍を避けるような、まじめな活動をやつておいでになるという資料を出していただきたいと思います。 次に第七條の二項について、これは提案者の方にお聞きしたいのですが「定款は、厚生大臣の認可を受けて変更することができる。」ということになつておりましてなおこの日本赤十字社法の二十二條の四号に、定款の変更は代議員会の決議によるということになつております。そういたしますと、厚生大臣の認可を受けて変更することができると書いてありますけれども、これは当然代議員会でこれを決定されなければ、かつてに厚生大臣の認可で定款の変更はできないんじやないかと思いますが、その関係はいかがに相なつているのですか。
○青柳委員 お話のように、二十二條によりまして、定款の変更は代議員会の議決事項になつております。そうして議決せられたものを厚生大臣に届け出まして認可を受ける、こういうことでございます。
○苅田委員 そうしますと、この第七條二項が突然出て参りますことは、法制上の形式から申しまして、やはりこういうふうに書くのがあたりまえなんですか。これはあとを繰返してみないと、定款は、いつでも厚生大臣の認可を受けると、その変更ができるような感じがするのです。法制の形式というものがあるでしようが、その点からいつていかがでしようか。
○青柳委員 第二十二條が巌として存在している以上、御心配ございません。
○苅田委員 次に、これは小さな問題ですが、十二條に「日本赤十字社は、社員として加入しようとする者があるときは、正当な理由がないのに、その加入を拒んではならない。」と書いてあるのですが、どういう理由があれば加入を拒むことができるということを予想してお書きになつておるのでありますか。
○青柳委員 別にそういう心配がなく、て書いたのでありますが、加入を拒んではいけないということを強める意・味で差加えたものでございます。
○苅田委員 そうしますと、十二條は、定款に従一つて加入したい者は、だれでも入れるというだけのことであつて、それ以外に意味はないものなんですか。
○青柳委員 私のただいま申しましたことを、少しくかえることになるかもしれませんが、十三條の二項の三号に除名の規定があるのでございます。除名を受けたような人——もちろんその除名の原因にもよりますけれども、そういう人につきましては、あるいは拒み得る場合があるかもしれない。そういうことで、これを規定した、こういう趣旨でございます。
○苅田委員 この除名はやはり赤十字の趣旨とか、理想とか、あるいはそれを規定した定款とか、こういうものに違反した行為がない限り、除名されないわけでしよう。そうであれば、第十二條の加入を拒むということは、ただ赤十字の正当の手続をふんで加入を申し込んだものは、だれでもこれは一応加入できるということ以外には考えられないので、それより別な、何か正当づけられる理由があるかどうかということが問題になつているのですが、その点はどうなんですか。
○青柳委員 私、今考えましたことを申し上げますと、たとえば、赤十字社の仕事をやつておつて、赤十字社の仕事によつて、いろいろな犯罪を犯すというようなことがある。そうすると、そういうことは定款で除名できるということになりまして、そういう除名をされた人がまた入りたいと言うて来たときに、入れることを拒むという趣旨でございまして、別に政党であるとか性別であるとか、そういうものを差別しようとする意思は毛頭ございません。
○苅田委員 それはそういうふうにお聞きしておきます。 次に十四條の三号で「日本赤十字社に対し、その業務の運営に関し、代議員を通じて意見を述べるごと」ということになつておるのでございますが、これによりますと、社員であつても、代議員を通じるごと以外に、自分が社員として赤十字の事業に関して意見を述べることはできないということになつておるんでしようか。そうすると、代議員というものは、定款ではつきりきまるでしようけれども、これは各府県からいえば、ごく少数の人で、本来その少数の人を通じて自分の意見が正当に述べられるかどうかということは、これから非常に疑問になつて来ると思うのですが、各個の社員が、赤十字の業務運営に対して、社員として意見を述べるということは、どういう機会にできるかということを、ひとつお示し願いたいと思います。
○青柳委員 それは第二十二條に代議員会の議決事項があるのでございまして、各種の事業計画などにつきましても、議決事項になつております。また「その他定款で定めた事項」こういうことになりまして、事業計画あるいは事業の運営につきましても、代議員におきまして、いろいろ意見を闘わすことができるという道が講じてございます。これは御存じだと思いますが、現在の考えでば、代議員は二百三十数名置いて各府県を代表して出て来る人たちですから、そういう権限を代議員会に持たせたのでございます。従いまして、法律的に、制度的には、その際に意見を申し述べることができる。これは総会にかわるものでございますから、そういうふうにしてあるのでございます。ただ、個々の社員が、事業運営につきましてそういう正式な行為でなくて自分々々でもつてそういう意見を申し述べることは、事の当然だと思います。
○苅田委員 そうしますと、社員がそういつた機関を通じること以外に、自分でも意見は述べられ、またこの社費等で、これは赤十字社の事業運営の基本的なものですから、そういう経済のとに関しまして公開して説明を求める場合には、そうした機会以外でも、事情が許せば当然そういう会計等も、各社員に対して公開されなければならないと私は思うのですが、この点はいかがですか。
○青柳委員 今あげられました例は、たとえば赤十字社の経理について公開せよというようなことを一人の社員が要求する場合、それに応じなければならないかどうか、こういうことだと思います。それにつきましては、ここに制度化いたしまして、そういう権限は代議員会に持たせておるのでございまして、個人々々の社員にはこれはない、こういうふうに私は解釈いたします。すべてそういう場合には、その個々の社員の力を集めてそうして代議員会を動かして、代議員会において正式にそういう要求をすべきである、こう私は存じます。
○苅田委員 もちろん私は、正式にはそうたと思うのです。ただそういう代議員会を待つことができない、あるいは代議員会のようなものは、やはり年に一回とかいうような制約があるのでございますから、そうでなしに、一人であろうが、あるいは何人であろうが、赤十字社の経営上重大な疑点があつた場合に、経理の公開を社員という資格でもつて求めた場合に、私はこれに応じなければならぬということは、やはりこういう公共団体としては、当然責任があると思うのですが、そういう点につきまして、提案者の方はどういうふうにお考えでしようか。
○青柳委員 たとえば、代議員会というものは、ちようど国会みたいなものでございます。一人の国民が、ある役所の経理を公開せよと追つた場合に、それを公開すべき義務はない。やはり国会なり成規の手続を通じて公開を要求すべきであるということと同じでありまして、個人としてはそういうことはできない、こう私は解釈いたします。
○苅田委員 その点は、私は問題があると思いますが、そういう御意見として聞いておきます。 次に、十八條ですが、役員の選出につきまして、これにはただ「代議員会において、選出す番」というような簡単な一條があるわけですが、これは実際にはどういうふうにして代議員会において選出するかということが、問題だと思うのです。と申しますのは、こちらに資料としてお出しいただきました二十六年の役員の改選のときの模様を拝見いたしますと、最初から上からきめたものを、まあこれは推薦ということになつておるわけですが、当時集まつた人たちの意見を聞かないで、どんどんきめているわけなんです。ここに評議員会の議事録がありますが、たとえばこういうことでやつているわけです。「次に副社長推薦の件についてお諮りいたします。」こう議長が言つて「ただいまから副社長一名の推薦につき御協議願いたいと存じます。」それで一人が議長と叫んで「皆様にお諮りいたします。現副社長の伊藤謹二さんは昭和二十三年」云々ということで「副社長には伊藤現副社長を最適任者と信じますので同氏を推薦いたしたいと思います。」と言いますと、それだけできまつておるわけなんです。協議といいましても、これはほんとうに最初どこかできめたものを押しつけるだけです。こういうことでは、私どもは役員を代議員会において選出するということの理由がないと思うのです。これはもう少し具体的に、どういうふうにして代議員会できめるかということを、腹案をお漏らし願いたいと思うのです。
○青柳委員 苅田さんの御意見、御心配ごもつともだと思います。この点につきましては、従前の赤十字社のやり方とは全然別にして、できるだけ民主的な方法をとろうとするものでございまして、社長、副社長及び監事、この三役員は、二百数十名の本部の代議員が選挙をするということに相なつております。それから残る理事の中の四十六名は、各府県の代議員の中から一名ずつ各府県を代表して出す、さらにそのほかに理事の中に十五人というものを設けて、合せて六十一人にしようとするのでございますが、その十五人につきまして屡代議員以外の社員の中から、本部における代議員会において選出する。こういうことに相なつております。
○苅田委員 そうすると、選出ということは、原則的には一律には行きますまいが、大体選挙というふうに解してよろしゆうございますか。
○青柳委員 投票を用いて行う選挙も含めまして、あらゆる選挙の方法による、こういうことでございます。
○苅田委員 そうすると、推薦ということも、選出ということの中に入るわけですか。
○青柳委員 推薦は違います。推薦は、たとえば副社長をきめるときに、社長が推薦して代議員会の同意を求める、社長一個の意見で行きますが、選出ばそういうものではございません。代議員会において投票を用いることもありましよう、あるいは立候補制度によつて投票によつてきめることもありましようし、あるいはだれかが、だれがどうだろうかというて話をして皆がよいということできまる場合もありましよう。すべて天くだり的なことを廃止したい、こう存じております。
○苅田委員 次に、従来日赤には、総裁とか顧問とかいうような名誉職が置いてあつたのですが、今度の法案には、総裁も顧問も出ておりません。この総裁、顧問は、今後は置かないという建前でこの法律をおつくりになつたのでしようか。それとも、この法案に書かれている以外の名誉職のようなものがまたできることは、さしつかえないというお考えでございましようか、それをお聞きしておきたいと思います。
○青柳委員 総裁も顧問も、やはり従前の通り置いておこう、こういう趣旨でございます。ただ、法律的に権限を持つた会議体でございませんので、これには規定してないわけであります。従前通り、総裁なり顧問なりはそのまま存置する、こういうことでございます。これらにつきましては、定款でそのようになつております。
○苅田委員 どういう意味で、総裁、顧問というものがここにいりますか、それを簡単に御説明願います。
○青柳委員 それは権利義務と申しますか、法律的の権限を持たないものであると考えます。代議員なり理事なり、そういうものは、ここに掲げられた法律的な棒限をりつぱに持ちますので、これを規定したのであります。その他の法律的な権限を持たないものにつきましては、規定をはずしてあるわけであります。
○苅田委員 そういう決定権も持たない、運営を左右する力も持たない総裁や顧問というものが、どういうわけで日赤にいるかということをお聞きしているわけです。
○青柳委員 法律的に別に権限を持たなくても、日赤の功労者であるとか、そういうような人を適当な地位に置いておままして、ときどきそれにお集ま願つて、いろいろ事業の報告なりをするということによりまして、いい意見なども承ることができよう、それによりまして、日赤の仕事の推進をやつて行くこともできるという軽い気持で置かれる制度だと私は思います。
○苅田委員 私は、現在日赤は、皇后が総裁になつていると思うのでありますが、これは軽い気持でいただけるというものじやないと思うのです。日赤がいろいろな政治的な、あるいは思想的な、一国の政府までも超越して、場合によつては中立的な、博愛人道を行うという立場からいえば、そういう総裁などの人選も、従来の人選から考えまして、私はやはり大きな問題があろうと思うのであります。決してこれは、軽い気持で御意見を伺うのにいいから、総裁、顧問を置くというふうな建前ではないじやないかと考えるのでありますが、さらに提案者にその点をお伺いしたいと思うのです。
○青柳委員 軽い気持といつたのは、語弊があるかもしれませんが、私は、主として顧問の説明を申し上げたのでありまする総裁の問題につきましては、今御意見を承りましたが、これは各国にも例がございます。イギリスは皇后陛下をもつて総裁としておる。アメリカは大統領をもつて総裁としておる、そういう事例もありますので、それにならつてもさしつかえないものであろう、こう考えます。
○苅田委員 これは総裁だけの問題ではないかもしれませんけれども、日赤の運営の上におきまして今日日赤を民主化して、ほんとうに広い人道精神を行うのに障害になつている一つとしては、私はそういう特殊な階級とのつながりをあげたいと思うのです。私は現在の日赤の病院が、終戦後も相かわらず宮家とか、あるいは皇室というものを特別な対象といたしまして特別室で、あるいはいろいろな待遇も異なつた待遇をし、そして入院料などの会計の方もとつていない。それから現在でもいろいろ書家に対しまして、特別な看護婦を差上げておりまして、これに対しても、たとえば宮内庁あたりの給料の標準と日赤の看護婦の給料の標準が違う場合は日赤の方からその差額を補つている、こういうような経営をしていることを私は聞いているのでありますが、こうしたことは、日赤がうたつておりますところの基本的な精神とは、何の関係もないどころか、かえつてそういうような運営をしていること自体が、やはり日赤を世間一般から正しく見させない大きな原因になつていると思うのです。だから、私はこの際、そういう定款にうたわない総裁とか顧問とかいうようなものをずらずら並べるようなことは、やめていただきたい、こういうふうに考えるのですが、いかがですか。
○青柳委員 ただいまあげられました事実につきましては、私は存じませんので、後ほど日赤からお答えがあると思います。ただ、私が申し上げたいのは、先ほどもお答えいたしましたように、今回のこの新しい制度におきましては、日赤を民主的な組織にする、こういうのでございまして、その組織さえ民主的であるならば、あるいは皇室をいただくということも、他国にも例があるので、イギリスの赤十字、あるいは皇室ではございませんが、アメリカにおきましては大統領、そういうものを置いてありまして、それがために赤十字社が封建的になるとか、特権的になるということは、私は考えられません。すべては組織というものが民主的になればよろしかろうと存ずるのであります。
○苅田委員 それでは日赤の副社長に、その点につきましてお伺いいたします。ただいま私が申しました皇室あるいは宮家に対する日赤の特別な関係、さらに看護婦の階級章とかあるいは制帽とか、そういうものがことごとく照憲皇太后とかなんとか、皇室と結びついている。これは人民のための、国民大衆のための、あるいはもつと広く世界の人類を対象にした赤十字の国際的な組織の一つでありながら、そういう特権的な一部の人と伝統的に結びついているということは、過去はおいて、今後の日赤としては、やはり改めるべきだという意見を持つているのですが、そういう事実があることをお認めになりますかどうか。その点につきまして、お伺いしたいと思います。
○伊藤参考人 ただいまお話の、皇室に対して、あるいは入院料を無料にしたり、その他特典的な扱いをしたということは、私は全然承知しておりません。戦前には、そんなことがあるいはあつたかもしれませんが、終戦後は、そんなことはないと私は信じております。 なお、皇室を名誉役員にいただいておりますことは、皇室なり王室なりの存する国においては、例外なくそれをいたしておりまして、赤十字は、それぞれ各国との国際親善の増進上、そういつた部面で大きな貢献をしておると思つておりますので、今後もそういうふうにありたいものだと考えております。
○苅田委員 あなたは知らないとおつしやるのですが、ひとつこの点は、お調べ願いたいと思います。私は、これは決していいかげんなことを言つているわけじやなくて、相当な根拠を持つて申し上げているわけですから、ひとつお調べ願いたい。そして、そういうものは、日赤としては当然あるべきものというお考えか、そういうことがあるべきでないいというお考えか、このことをひとつお答え願いたいと思います。 それからもう一つ私ついでにお聞きしますのは、戦後も日赤の看護婦に対しまして、朝夕の礼拝をさせておる。これは日赤の寄宿舎の学生だろうと思うのでありますが、こういうことも、宗教の自由ということを言つてある日赤の看護婦さんの養成にあたりまして、朝夕礼拝させるというようなことは、これは行き過ぎじやないかと思うのですが、こういう点につきましても、ひとつお答えを願いたいと思います。
○伊藤参考人 最初の皇室に対する特権的な取扱いという点は、私は全然承知しませんし、そういうことはあり得るはずがないと信じておるのでありますが、よく調べてみたいと思います。 それから、白赤看護婦の、おそらく養成しております学校においての礼拝問題でありましようが、これは御承知かもしれませんが、終戦後聖路加病院の看護婦の生徒の養成所が、聖路加病院自体が進駐軍に接収せられましたがために、現在その依頼を受けて、日赤の看護婦の専門学校と同じ校舎で、同じ教育を施しております。あの寄宿舎に聖路加の生徒もおります。そうして聖路加さんの方では、朝夕礼拝いたしておられます。日赤の看護婦の生徒のうちで、あるいはクリスチャンの人は、若干それに参加しておるかもしれぬと思います。この点については、看護婦の養成の責任のある者に、赤十虫が宗教を強制するような立場をとつてはいかぬからという注意をいたしたことはございますが、決しそんなことはありません。希望者が出ておることはあるというふうに、私は聞いております。
○苅田委員 この点も、さらにお調べ願いまして、後刻、私から申しました点が間違つていたかどうかということは、御返答願いたいと思うのです。これは聖路加の生徒さんじやなくて、日赤の生徒さんたちが朝晩礼拝を行わ心られているという話を聞いているの下す。そうでありますならば、あなたもお認めになつているように、日赤としてはクリスチャンを養成するわけは汚いのですから、ひとつその点もはつ守りお調べなすつて御回答願いたいと思います。 次に救護員のことなんですが、今傍の救護員の規定によりますと、従来の救護員とどういう点がかわつておるのか、これを提案理由を見ますと、従来とはかわつておるように書いてあるのですが、私はその点がよくわからないので、ひとつお聞きいたします。
○青柳委員 かわつております点は、救護員につきましては、従前十二年という義務年限があつたのであります。それをここで御存じのように、こういうふうに改めておるようなわけであります。
○苅田委員 今度は義務年限が全然書いてないのですけれども、しかし義務的な奉仕はざせられることになるのだろうと思うのですが、その点はどうなんですか。
○青柳委員 その点につきましては、まず養成を始める前に、採用する者につきまして、赤十字につきまして非常に理解する者であるかどうかということを確か心生して、まずそれでもつて赤十字について十分な理解を有する者のみを採用いたして、養成してほかに出す。そういう場合にも、採用する前に、相当理解をする者であるかどうかということを確かめておりますし、また養成所に入つている間にも、いろいろ精神訓練を受けていると思います。そういう者が出まして他に働いている際、それに呼びかけて出てもらう。そういう際には、できるだけ出るように努める。こういうことは、非常に実際的な解決なんです。いたずらに人身を束縛するということを排除しようとする心から、こういうふうな規定にいたしている次第であります。
○苅田委員 大体そういうふうにあらかじめ承知した入に対してこれをまかせるということなんですが、それはやはり終身の義務になるのか、あるいは何年間ときまつた期限をつけた義務にするのか。この点は丸山委員も今日お尋ねになつていたようでありますが、やはりこれは重要なことだと思いますので、提案者としてのお考えを一つお聞かせ願いたいと思います。
○青柳委員 終身の義務にしようなどということは、考えておりません。もう相当年をとつてしまわれて動ききらぬというような人を、無理にひつぱつて来るというようなことは考えておりません。大体の気持といたしましては、学校を出てから七年間ぐらい、こういうことでございます。それも強制をしない、できるだけ出て来るように努力する、こういうことでございまして、終身、年をとつてもいつまでも、あるいはほかのいろいろな家庭の事情があるにかかわらずというようなことは、考えておらぬのでございます。
○苅田委員 それから日赤の救護員は、看護婦さんとか、あるいはお医者さんも入るのですか。これは貸費生だけがこういう形になるのですか。それとも私費でもつて日赤の学校を卒業した人に対しましても、やはりこういう義務を課されるわけですか、この点をお伺いしたいと思います。
○青柳委員 それは二十九條の二項にございますように「前項の養成は、日本赤十字社が学資その他の費用を負担して」云々とあります。いわゆる貸費生のみでございます。
○苅田委員 これは大体従来日赤で養成しておる看護婦さんの中で、私費の方も相当あるように聞いておるのでありますが、どれくらいな割合になつておりますか。
○伊藤参考人 パーセントで出したことはございませんが、ほとんど三、四名、多いときで四、五名、ほとんど数えるに足らぬ人数であります。
○苅田委員 私費の方は非常に少いということなんですが、大部分が貸費生だということになりますか。
○伊藤参考人 そうです。
○苅田委員 これは看護婦の養成につきましては、日赤でおとりになる養成の機関というものは、高等学校を済まして、あと三年間の専門教育を受ける看護婦さんのことだと思うのですけれども、その場合に、私の聞いておりますのは、私費の方も相当入つておいでになるように聞いておるのですが、おつしやつたように、ほとんど数えるに足りないような、こういうのが実際でしようか。この点も実際の人数について、明日でもけつこうですが、もう少し資料をお出し願いたいと思うのです。
○伊藤参考人 今手元に資料がございませんが、先ほど申し上げましたように、これはほとんど例外的に入れておるのでございまして、ほんのわずかでございます。
○苅田委員 この救護員が、七年間は病院の課せられる一切の義務に対して、これを拒絶することができないのかどうか。この義務というのは、どういう義務であり、またそういう義務は、拒否できるものかどうかということを、ひとつお聞かせ願いたいのです。
○青柳委員 これは二十九條の三項に「養成を受けた者は、日本赤十字社が、これらの者が救護員として救護業務に従事す葛のでなければその救護業務を適正に行うことができないと認めて、救護業務に従事すべきことを求めたときは、これに応ずるように努めなければならない。」——これは努めなくてはならぬというのでございますから、拒否することもできるのでございます。
○苅田委員 すると今提案者の方で言われましたように、建前からいえば、そういう救護業務に従事しなければならないのだけれども、そのへの個人的な事情を申しまして、その義務年限の七年間であつても、その人の個人的な意見をある程度尊重いたしまして、そういう義務を拒否するということが可能である。こういうふうな御返答と解釈してよろしいのでありますか。
○青柳委員 できるだけ頼みに応じてくれることを希望いたしますけれども、やむを得ない事情があるときには、拒否をすることができる、こういうことでございます。
○苅田委員 私は、実際問題として、これは相当大きな関係があると思うので、くどくお聞きするのですが、やむを得ない事情として認めるかどうかということは、一体だれがおきめになりますか。
○青柳委員 赤十字社がきめるのであります。だから、正式には赤十字社長がきめるということになります。
○苅田委員 そうしますと、本人の方では、たとえば招集の義務等に対しまして、自分の理由を申して、招集に応じられない、そういう場合があつたときにも、赤十字の社長の方で、これくらいな理由ならば、人数も足りないことだから、ぜひ出てもらわなければいけないということがあれば、やはりその理由が認められない、こういうことも十分考え凄ければいけないわけですね。
○青柳委員 いろいろな場合がございましようが、その場合々々につきましては、私はここでよく御返事はできないと思います。ただ一つ申し添えておきたいのは、これに従わなくても罰則はないということを申し上げておきます。 (委員長退席、丸山委員長代理着 席〕
○苅田委員 罰則がないということはわかりましたがたとえば赤十字社の看護婦としてのいろいろな資格とか、権限だとかというものがあるはずですが、そういうものを拒否しても、別にそれによつてどうこうかわるということは、ないわけですか。
○青柳委員 資格だとか権利だとか、別にかわつたものはないそうでございます。ただいまの御質問が、看護婦たる資格を取上げるかどうかといケような御質問でありますならば、それに対しまして、そういうようなことはしないということを申し上げておきます。
○苅田委員 そうでなくて従来も今度の朝鮮事変の起りました際にも、日赤の看護婦さんに対しまして、長期招集に応じられるかどうかというような内々の調査があつたということを、聞いておるのです。そういう調査の際に、あるいは家庭的な事情からあるいは本人の健康等の事情から、長期の招集には応じられないというような返答をした者があれば、大体その通り認められるかどうかということなんです。それを、もしも本社の方で認めなかつた場合に、その人が拒絶しましても、その看護婦が——従来いろいろな病院に働いておりますが、そういうことにつきまして、赤十字本社としては何ら支障の起るような処置をとらないかどうか、そういうことをお聞きしたいわけなんです。
○青柳委員 事前にそういう調査をするかどうかということは、私はよく存じませんが、もしそういうことをしまして、その看護婦さんの届出が、長期にそういう所へ行つて働くことができないということがありました場合にも、それだけでは事は済まない、調査ぐらいはする、こう思います。ただちにそれだけによつて、うのみにするのではないだろうと思います。それから、招集といいますか、集まれの号令がかつた場合に行かなかつた、断り続けたというために、何らかその看護婦さんに対しまして待遇などを落すとか、あるいは罰するとか、そういうようなことは全然ございません。
○苅田委員 三十條の「救護員として一日本赤十字社の行う救護業務に従事する場合のあること又は従事したことを理由として、不当な取扱をしてはならない。」ということは、どういうことなんですか。
○青柳委員 これは、そういう看護婦さんなら看護婦さんを使つておる人が、その看護婦さんが行つたとかどうとかいうので、その人に不当な取扱いをしてはいかぬ、こういう意味であります。
○苅田委員 三十六條、三十七條の募金関係のことですが、これは休会前の委員会のときから問題になつておつたのでありますが、やはりこの赤十字の事業を募金でやることは本則でない。これはあくまでも社員を中心にした社費や、あるいは事業活動でやつて行くべきだというふうに考えておるのであります。先刻来この問題につきまして、いろいろそちらの方でも御協議があつたようでありますが、大体どういうふうな御決定になりましたか。この募金の問題につきまして、もう少しはつ、きりとお伺いしたいのであります。
○青柳委員 冒頭の赤十字の事業は社費をもつて充てる、あるいは事業活動によつて行うということには賛成でございまして、赤十字社に聞いても、やはりそれは賛成をしておられるのであります。われわれとしても、そうあるべきだと思います。ただ現状が、それのみをもつて事業を運営して行くことができないので、赤十字募金というものにたよらざるを得ないのでございます。この点につきましても、二、三年といわず、当分の間はこれを許したいと存じます。ただいまの問題につきましては、先ほど来、いろいろ委員の中でお話をいたしましたが、まだきまつておりませんので、御報告する段階にはなつておりませんが、赤い羽根も、白い羽根も、青い羽根も、緑の羽根も全部許可制度にすべきであるという意見が強いのであります。これにつきましては、近い将来法制化すべきだという意見が強いのであります。当分の間、どうするかということについては、ただいま研究中であります。
○苅田委員 私は現状の日本の国民生活の上から考えまして、税金と同じような募金に対しましては、原則的に反対であります。しかしこれがどうしても行われるのだということであれば、募金のやり方について私はやはりここではつきり方針をきめてもらいたいと思うのです。それは許可制にするということも、もちろん必要ですが、もう一つ、先生が小学校の生徒を連れて、授業を休んで街頭募金に出るような今のああいうやり方ですね、これはこの際はつきり方針としてやめるような処置をとつていただきたいと思うのですが、この点について、どういうふうにお考えでしようか。
○青柳委員 それは、やめるならやめるといたしまして、全部のそういう募金事業について、平等に進むべきであると存じます。
○苅田委員 私が伺いましたのは、そうでなくて、今やつているように、学校の生徒を使つて、授業を休んで、先生が一緒になつて、赤い羽根、白い羽根の募金をやるというようなやり方は、これはとにかく、そういう募金はやつてはいけないというふうに、はつきり方針を出した方がいいということを考えておるのですが、この点について、赤十字社法案の提案者として、どういうふうにお考えになつておりますか。
○青柳委員 大分私御同感の点があるのでありますが、それはこの法律事項でもなし、やるならやるで、やはりこれは苅田さんも御同意だと思いますが、白い羽根ばかりでなく、赤い羽根についても、緑の羽根についても、平等にやらざるを得ないと思うのであります。大体御同感でございますが、それはすべて運営にまかせたい、こう存じます。
○苅田委員 募金のことにつきましては、いろいろ問題がありますが、これはなおこの委員会でも問題が残つておるようでありますから、その際また関連して意見を述べさせていただくことにします。 次に、四十一條につきまして、お聞きしたいのですが、この補助金を出すことなんです。これは必要ありと認める場合には、国から補助金を出すということになつておるのですが、これはどういうときに必要があると認めるか。あるいは補助金の限度はあるのかないのか。あるいはそれと同じ條に書いてあります、有利な條件の貸付ということは、具体的にいうとどういうふうになるのか。こういう点を、もう少しはつきりお知らせ願いたいと思います。
○青柳委員 赤十字が災害その他騒乱などの場合に、その事態に即応して活動するためには、いろいろな器材なども準備しなければなりません。そういう際に、すべて社費あるいは共同募金で行くということでは、足らない場合があるのであります。国も必要と認めた際には、そういうものを購入するために補助金を出す、あるいは国の各種の施設などを貸すときにも、いい條件で貸す、そういうような意味であります。
○苅田委員 私が言いましたのは、そういうつまり普通の経営費です。その普通の経営費が足らない場合にも、国で補助金を出すということになるのですか。ただいまの御返答では、そういうふうに聞かれたのですが、そういうこともあるわけですか。
○青柳委員 経営費につきましては、そういうことは考えません。ただいま私が申し上げましたように、必要なことが起ることが予知されるような際に、必要な器材等の購入、そういうようなことをさしておるのでありまして、経営費について補助金をもらうということは、考えておりません。またそういう意味では、現在の憲法でとざされておると私は存じます。
○苅田委員 そういうところの認定ですね。どういうものが必要で、それに対してどれだけの補助金を出すかということは、一体どこできまるわけですか。
○青柳委員 それは赤十字社を監督するのは厚生省でありますから、厚生省と赤十字社といろいろ折衝がありましよう。そうした上に、厚生省と大蔵省と折衝の上にきまるものだと存じます。
○苅田委員 そういたしますと、有利な條件の貸付というのは、どういうのですか。
○青柳委員 物を買う場合にも、いろいろあると思うのです。器械などを買うこともありましよう、あるいは建物などを買うこともありましよう。そういう際にその物自身をもらえばいいのですが、またそれに必要な金をもらえばそれで済みますが、金を借りてそれを買うという場合もあり得ると思うのであります。政府から金を借ります際に、その貸付の條件をゆるめてもらう、こういう趣旨であります。
○苅田委員 そういたしますと、今行われておりますいろいろな融資の中で借りるわけではなくて、そのときどきに応じまして、特別なそういう有利な方法を講じられるわけですか。それとも、今ある法律の中で、やはり貸付が行われるということなんですか、そのことをお聞きしているわけです。
○青柳委員 将来法律ができることもありましようし、現在いろいろ貸付をしている制度もございます。それにつきましての適用もあり得るものと、こう私は考えます。
○苅田委員 たいへんざつとですけれども、逐條的に不審な点をお聞きしたわけですが、さらに、日赤の方から提出されております資料につきまして、不明な点を二、三お聞きしたいと思います。これはやはりこの法案審議の上に、非常に関係があると思いますのでお聞きしたいと思うのですが、日赤の博物館の部屋を借りておりますバルコム商会というのは、どういうものでしようか。現在とも引続いてこれは貸しておいでになるのですかどうですか。資料では、この点がはつきりわかりませんので、ひとつお伺いいたします。
○伊藤参考人 これはバルコムという米国系の商事会社でありまして、貸付期限は大体六月八日までの期限で貸したのでございます。ただいままだ赤十字の方では、それを利用することも考えておりませんので、もう少し貸してもらえないかというような申出がありますが、まだ考慮中に属しております。
○苅田委員 これはアメリカの会社なんですが、どういうことをやつておる会社なんですか。
○伊藤参考人 先ほど申し上げましたような貿易商でございまして、いろいろな精密機械器具類を輸出入いたしておるようであります。それの事務所でございます。
○苅田委員 私はこの法案の中に、そういうようにほかいろいろなものを貸してはならないのだというような規定が、どつかにあつたように思うのですが、ちよつと私も今はつきりその法案をつかみ出せないのですが、そういうところに抵触するようなことはないですか。日赤と関係ないものに貸してはいけないというようなことが、どこかにありましたね。
○青柳委員 そういうことに関する規定は、ここにありません。
○苅田委員 何かあるように思うのですが、あとでもう一ぺんよく調べましよう。 厚生省の方がおいでになつているようですから、厚生省に対してお伺いいたしたいのですが、この委員会でも、日赤法を審議いたします過程におきまして、従来の日赤の経営の面につきましていろいろ不十分な点が問題になつたのであります。特に厚生省と日赤との間におきまして、非常に野合的な不正なことが行われているということが、瀬尾参考人の口から、事実まであげて出ておるわけであります。はつきりもう一ぺん申しますと、二十五年の九月十三日には、午前二時ごろ厚生省から八名で本社に着いて、食堂をたたき起して、酒やビールなんか食べ物を出させて、麻雀をやつたとか、二十四年の四月から七月までの間に、九万円ほど麻雀費用を日赤は渡されている。こういうことについて、当時の食堂部長からその請求書が出されたという事実があります。それから、たとえば二十五年の四月一日には、厚生省の社会局の中川事務官あてに、旅費三万六千百五十円というふうなものがやはり渡されておる。そういう具体的な例を、もう少しあげればあります。たとえば二十四年十二月二十三日付の請求書では、厚生省を伊東に招待した支払いの請求書を、やはり食堂部長が出しておる。こういうことがあるわけなんですが、この点に対しまして、厚生省としては、実際監督官庁ともあろうものが、そういう日赤の幹部となれ合つて、一千三百万人というような社員から出させ、あるいは募金で税金みたいにして割付けて取上げた金を、こういうところに使つておるということは、実際けしからぬといつても言い足りないほどですが、実際こういうことがあることを、あなたは承知していますか。そうして、こういうことが委員会で参考人の口から出たのですが、これに対しまして、その後調べるとかなんとか処置なさいましたか、この点につきましてお聞きしたいと思うのです。
○能崎説明員 ただいま社会局長がおりませんので、私庶務課長ですが、かわつて御答弁申し上げます。この前そういうお話がここであつたという事実を聞きまして、その後日赤の方とも、そういう事実を一々当つて見ました。それでわかりました事実につきまして申し上げますと、厚生省のわれわれが日赤側の職員と親睦の意味で野球をやつたり、麻雀をやつたり、それからバレーをやつたり、そういう事実は数回ございます。しかし、それをやりましたときにも、必ず厚生省側と日赤側との職員の親睦の意味でありますので、費用につきましては、厚生省側も負担をいたしておりまして、決して日赤側だけが一方的に負担をしておる、こういう事実は上つておりません。従いまして、金額につきましても、ただいま申されましたような金額では全然ございませんので、これははつきりと日赤側の証慈書類につきまして確かめました事実によりましても、そのような金額でないということを、私ここで断言できると考えております。
○苅田委員 そういたしますと、ここで瀬尾参考人から事実をあげ、金額をあげて出されました意見というものほ、当委員会において間違つたことが池べられておる、こういうことを厚生官としては御主張になるのだと思うのでありますが、しかとさようですか。
○能崎説明員 さようでございます。
○苅田委員 この委員会は、そういうことをここで黒白を争う権限も持ちませんから、私はきようはこの程度でこれ以上つつ込んだ質問はいたしませんけれども、しかし日赤と厚生省との間の問題は、相当巷間でもうわさされておりますし、今後直接厚生省が監督官月になられる関係もありますので、こり問題につきましては、あなたが、それは間違つておるとはつきり厚生省の意見を代表して、この委員会に参られて答弁せられたということで、さらに問題は別個の方法ではつきりさせたいと思います。 さらに、厚生省の方にお聞きしたいのですが、現在の日赤の幹部を相手取りまして、元日赤の職員組合の委員長から告訴事件が出ております。これはよだ民事訴訟が進行中であつて、黒白はついていない。しかしその中には、やはり日赤の経営に対して非常な疑惑を持たせるような事件がたくさん載つておるわけです。もちろんこれは厚生当局も監督官庁として御存じだと思う。あるいは今調べてもらつておるのでありますが、栃木県におきましては、この前の参議院の選挙に立候補いたしました県知事、つまり従来の日赤の支部長でありました県知事に対しまして、日赤の方から退職金とかあるいは慰労金とかいう名目でもつて十万円の金が出ておる。これもはつきり金額あるいは人を指定して言われておるのでありますが、こういう問題もあるので、支部のやつておることは本部は知らないと言われるかもしれませんが、やはりこういう問題も日赤の現在の経営を不明朗にしておる。これが事実とすれば、やはり問題だと思います。まだはつきり黒白はついておりませんけれども、しかし今日までまだ明朗になつていない大きな日赤という屋台を経営しておる現幹部の責任という問題に対しまして厚生省は監督官庁として、どういうふうなお考えを持つておいでになるかということをお聞きしたいと思います。
○能崎説明員 私、庶務課長でございまして、あるいはこのようなお答えをするのは失礼かと存じますか、今までもこの委員会におきましていろいろとりざたされましたいわゆる不正事件その他の事件につきまして、私どもはつきりした調査をいたしております。しかしその調査の内容につきましては、一部とりざたされておりまする事実とは全然異なりましてここに各委員方にあるいはお配りになつておられるかと思いますが、日赤側のいろいろな調査内容が出ております。あの日赤側の調査内容というものを、われわれは事実として確認をいたしておる、こういうふうに申し上げたいと思います。 それから栃木県の問題その他につきましては、私全然存じ上げておりませんので、お答えすることは差控えたいと存じます。
○苅田委員 そうしますと、厚生省は現日赤の幹部に対しまして、千三百万人の大きな社員を持つており、しかも今度は国と特別な結びつきまでしようとする日赤を運営しておる現幹部に対して、やはり満腔の信頼をもつてこれを支持しておるというお立場を表明されているわけですか、その点もう一度はつきりとおつしやつていただきたい のです。
○能崎説明員 私、庶務課長の立場といたしましては、十分信頼いたしておる、こういうふうに断言申し上げてさしつかえないと思います。
○丸山委員長代理 なお金子委員から発言の通告がございますが、厚生省側から見えませんので、本日はこの程度で散会いたします。 次会は明日午前十時より開会いたします。 午後四時三十分散会