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13回国会衆議院1952/01/30

厚生委員会 第3号

発言数
55
登壇者
12
会派数
5
開催日
1952/01/30

会議録

青柳一郎自由党

○青柳委員長代理 これより会議を開きます。  委員長が不在でございますので、臨時に私が職務を代行いたします。  前会に引続き、昭和二十七年度厚生省関係予算についての発言を順次許可いたしたいと存じますが、厚生省から各局長も見えておりますので、各局の予算の大要について、特に説明すべき箇所がありましたならば、まずそれからお聞きしたいと存じます。——それでは最初に曽田統計調査部長。

曽田長宗厚生技官(大臣官房統計調査部長)

○曽田説明員 私どものところで、定期的にとりまとめております資料につきましては、その印刷物を皆さんのお手元に若干差上げてあるのでございます。それからはなはだ相済みませんでございますが、本日最近のはつきりとした正確な数字を持つて参りませんでしたので、大体の傾向をお話し申し上げたいと思うのであります。  人口動態につきましては、出生率が前年に比べまして、たいへんに減少して参つたのでありまして、九月までの事実で見ますと、昨年の人口一〇〇〇に対して二八ぐらいの出生率でございましたものが、本年は二六程度に低下するというようになつております。また死亡率は、昨年一一程度でございましたものが、今年は一〇を少し出る一〇・二ぐらいになるのではないかというように想像されておるわけであります。そのようなぐあいで、出生も死亡も、ともに下つてはおりますけれども、出生の低下の方が顯著でございますために、人口の自然増加は昨年に比べますと、かなり低下して参つたというふうに考えるのであります。もちろんこれを諸外国の数字に比べますと、まだまだ高い人口の増加率ございますが、逐次この増加率が、増加の度合いが減少しつつあるということはうかがわれると思うのであります。  その理由といたしましては、一つは婚姻の減少——婚姻率が戰後におきましてきわめて高くなつたのでありますが、それも次第におちついて参りまして、本年の数字を見ますと、戦前五箇年の平均よりは幾分高くなつておりますけれども、かなりこれに接近して参つたというような事情がございます。  そのほか死産の増加というものが、戰後引続き継続しておりまして、本年も昨年に比べますと、かなりな増加をいたしております。都市におきましては全死産の半ば以上が人工妊娠中絶というような状況でございまして、その死産のうちでも人工妊娠中絶ということが非常にふえておるということが認められるのであります。なお、そのために明確に母体に障害が起つたというような数字は、死亡統計には出ておりませんけれども、いろいろ産科の医師の方々の話によりますと、死亡には至らないまでも、かなりな弊害が出ているということは認められておるのでありまして、これに対しまして、この妊娠した後に人工妊娠中絶をするというような不自然なことでなしに、そういうような人たちは受胎調節をやるというようなことが、好ましい方法といわれておるのであります。この受胎調節の方法がどの程度に普及し、またそのためにどの程度出生死亡が来されておるかというようなことにつきましては、今のところ明確な数字はつかめません。ただ数字で見ますと、それほどまだ効果を上げておらない、今日の出生の低下は、主としてまだ遺憾ながら人工妊娠中絶の増加のために起つているものが多いと考えられるというふうな状況でございます。  それから疾病統計につきましては、伝染病統計月報というものを出してございます。それをごらんくださいますと出ておりますが、おおむね伝染病は著しく減少しております。ただ赤痢だけが、昨年に比べましてほぼ倍数の発生を示しておるというようなことで、その他のものは、たとえば麻疹のように、流行年次に当つておるというようなものはふえておりますけれども、ゆゆしき問題と考えられますのは、やはり赤痢ではないかと思うのであります。  結核につきましては、死亡数は前年に比べまして著しく減少しました。これは新聞でもすでに伝えられたのでありますが、本年はおそらく九万三千程度になるのではないか。前年が十一万余りになつておりますので、ほとんどこの四分の一近い減少を示しております。死亡数が十万を切つたということは、この数十年来初めてのことでありまして、いろいろの結核対案が、ようやく実を結び始めたのではないかというふうに喜ばれておる次第であります。この患者の届出数は、昨年に比べますと、今日までのところ一割余り増加いたしておるのであります。これも届出が、一昨年の九月から食糧加配の関係から改まつて参つたものと考えられますので、実際には必ずしも患者がふえたとは言い切れないのではないかというふうに思つております。年齢の分布の状況などから考えましても、若い者の届出数が幾分少くなつて、年寄りがふえておるというような事情も見えますので、総数としては結核届出数は、前年に比べて昨年の方がふえておりますけれども、実情はむしろ山に到達いたして、逐次低下の道程に入つたものではないかというふうに考えられておる次第であります。  なお、そのほか病院施設のようなものにつきましては、病床数がかなり顯著に増加いたしております。ことに結核病床は、私どもの集めております統計は、必ずしも結核患者の入つております病床をそのまま反映しておるものではございませんけれども、これによつて案じますると、結核病床は前年に比べまして、昨年は大体三万床くらい増加いたしておるのであります。しかし、これはかなり他の一般病床から転換されたというようなものもあるのではないかというふうに考えられておる次第であります。  なお昨年の正月からは社会福祉統計月報というものを新たに出すということになりまして、これによりまして社会局、兒童局の活動状況というものの変動が月々わかるようにいたしておるのであります。この調査あたりで見受けられます特殊なものといたしましては、生活保護法の適用を新たに受けますものの保護を開始いたします理由というようなものを見ますと、本人の病気あるいは死亡、あるいは家族の病気、こういうようなもの、身体的な傷害によつてこの生活保護が開始されたというふうに認められますものがほとんど七〇%にも及んでおるというような事実も出ておりまして、こういうようなことから、福祉行政と衛生行政というものとの間の緊密な関連というようなものがうかがわれるような状況でございます。  そのほか昨年の特殊な刊行物といたしましては、黒川大臣が昨年ゼネヴアのWHOの第四国総会においでになりますときに持つて行つていただきましたわが国における衛生行政の概況、それからその後別につくりました統計から見た社会福祉行状の概況という大体姉妹編をパンフレットで出しておりますので、これに厚生省の福祉及び衛生関係の行政に関します数字的なものは載せて皆さんのところにお配りしてあるはずであります。また特殊調査としましては、厚生省としては、一般世帯を対象としておるのではございませんが、特殊性帶、母子世帯とか、あるいは身体障害者世帯、あるいは老年者世帯、あるいは結核世帶というような特殊な世帯を対象といたしました生計調査も行われております。その結果も若干一部を印刷にいたしましてお配りしてあるはずでございます。またそれと同時に、総会医療費調査というのを昨年の五月から始めております。これはまだお手元に参つておりませんかもしれませんが、国民の間における疾病の月々の調査でございまして、これは最近印刷ができましたので、近くお手元に差上げられると思うのであります。  あまり内容のことをこまかく申しませんで、ただどういう資料にどういう事項が載つておるということを簡単に御説明したのにすぎなかつたのでございますが、一通り大体の動きをごらんくださいます場合に、数字のありかを御報告申し上げた次第であります。

青柳一郎自由党

○青柳委員長代理 ただいまの説明について何か御発言ありませんか。

金子與重郎国民民主党

○金子委員 これはこの前の国会におきましても、私申し上げたような気がするのでありますが、厚生の統計関係は、非常に熱心に、しかも印刷物も頻繁に出ておりまして、その点私ども感心しておるのでありますが、ただ厚生行政の問題につきまして、われわれが参考にしようとするときに、疾病の問題にいたしましても、あるいは生計のような問題にいたしましても、ないしは社会福祉の方の関係におきましても、今の段階において問題になりますものは、国全体においてどういうパーセンテージに移つておるか、あるいはどういう率に上昇しておるか、落ちておるかということも、もちろん必要でありますけれども、政治的な面から見ますと、それらの社会保障に関連する諸問題や、あるいは人口の問題にいたしましても、疾病の問題にいたしましても、政治的な反映というものが、国民の各階層なり、あるいは職業別なり、地域別なり、そういう面に対して機会均等の形をどうしたらとれるかというところが、われわれのねらいなのでございます。そういう点から参りますと、あなたの方の統計というものが、全体的にはいつもよくトータルを出しておりますけれども、職業別であるとか、あるいは地域的な関係だとか、階層というような点のしわ寄せなり矛盾というものを、政策の上にどうとつて行くかということが、私どもの一番知りたいところなのであります。たとえば、病院統計を見ましても、これだけ病院がある、これだけ患者がおるということよりも、一体日本の病院に対してのあり方が、こういうふうな自然発生的にいろいろな病院がある、こういうふうな病院はこれだけ優位な立場にあり、こういう病院はこれだけ必要な立場にあるというようなことを知るための資料といたしたい。こういう方向に持つて行つたらどうかということを、申し上げておるわけであります。その点、今後どういう考え方を持つておりますか。

曽田長宗厚生技官(大臣官房統計調査部長)

○曽田説明員 ただいま非常にありがたい御注意をいただいたのでありますが、私どもといたしましては、まず最初には国全体の姿をつかみたいと考えたのでありますけれども、もちろんこれで満足すべきではないと存じております。今後は、ただいま申されましたように、地方別あるいは国民の中をいろいろな階層にわけた分析というふうに進んで参りたいと考えております。これはただ考えておるということだけではございません。実は若干はそういう調査もいたしております。今度の印刷物には入つておりませんでしたけれども、この総合医療費調査のごときも、たとえば全般的に、全国民の間にどれくらい病人がおるかということだけでは、ございませんで、農家、非農家、あるいは農家でありますれば耕作反別別、あるいはその他のものでありますれば収入別というようなぐあいにわけまして、あるいはその中の家族構成別というようなぐあいに、この疾病の発生というものもまとめておりますので、いずれこれも印刷してお手元に差上げたいと思つております。また生計費調査も、ごらんくださればおわかりと思うのでありますが、かなりこの中をこまかくわけて出しております。ただ調査によりましては、経費の関係上、いわゆる抽出統計をやりまして、各地方別、各階層別に比較することを犠牲にして、とにかく少い経費で一応全国的な姿を見たいというような、特殊な目的を持つてやつたものもございますので、かようなものは一気に御希望に沿うわけには行かないかと思いますけれども、その資料の許す限りは、ただいま御注意いただきましたようなこまかい分析をして、お役に立てたいと考えております。

岡良一日本社会党

○岡(良)委員 統計の方を一生懸命やつていただいて、実に浩瀚な資料をいつもいただいておることは、われわれも感謝にたえないのでありますが、問題は、やはり厚生行政上の統計、死亡にしろ、出生にしろ、疾病にしろ、あるいは衛生にしろ、やはり統計学者の興味に終つては何にもならないので、これがやはり厚生行政のスタート・ラインになつて行くという形ができるか。そういう点で、実にみごとに体系づけられた統計でありながら、はたしてそれが厚生行政の上にどの程度まで生きたデータとして活用されておるかという点になると、たとえば人口問題の解決の点につきましても、われわれは遺憾な思いがするのです。これは統計部長として、あなた方がせつかくおつくりになつておられる統計が、行政上真に生きて行くというふうに取扱われるためには、あなたの立場から見て、なおこういうふうに何か機構上の改正が必要ではなかろうかとか、そういうふうな何か直截な御意見はないでしようか。

曽田長宗厚生技官(大臣官房統計調査部長)

○曽田説明員 この点につきましては、ことに人口動態統計が、従来の総理府統計局から厚生省に移されました趣旨というものを考えました場合にも、統計が統計として遊離してはいかないので、どうしても具体的な行政と密着させたいという趣旨から出たものと、私ども了解いたしております。その他のものは言うまでもなく、できるだけ省内各局の実務にお役に立つようなものにしたい。また資料といたしましても、私どもの統計関係の者だけが集めるわけには行きませんで、いろいろ具体的な行政を担当しておられます人たちを通じて資料が集まつて来るというものもございますので、各局と官房の統計調査部との協力ということにつきましては、できるだけ緊密な連絡をとつて参りたいと考えまして、ただいまも厚生省設置法の中に、厚生統計協議会というものを設けていただいておりましてこれは省内の各局、あるいはそれだけではありませんで、省外の、たとえば労働省とか文部省とか、こういう他省の関係の方々あるいは民間のいろいろな厚生行政に関係のある専門の方々にお集まり願いまして、いろいろ御意見を聞きつつ、統計の処理の仕方というものについて御意見を伺つております。また省内におきましては、そのほかに統計事務連絡協議会というものを設けておりましてそして福祉統計関係あるいは衛生統計関係、特殊な問題については、おおむね月に一回あるいは二月に一回というくらい開いて連絡をとつております。  それからもう一つは、これはほかの省ではまだ始まつていないかと思うのでありますが、統計報告の登録制度というものをきめていただきまして、各局で地方からおとりになる統計資料というものは、一応私どもにどういうものをとつているということを通知していただきます。これも印刷物も出ておりまして、あるいは皆様にお送りした方がいいかと思うのでありますが、私どものところに、各局がどのような資料を集められておるかということもわかるようになつております。  かようにして今のところはまだ重複があり、あるいは脱けておるところもありますけれども、厚生省全体として、できるだけ地方の負担を最小限度にとどめながら、必要なものを集めて行くようにいたしたいというふうにも考えておる次第であります。なおできました資料の利用方法につきましては、まだ必ずしも十分とは言えないと思うのでありますけれども、公衆衛生局におきましてのいろいろな計画をお立てになる。たとえば結核対策、あるいはそのほかの伝染病対策に対する資料というもの、あるいは医務局におきましてのいろいろな施策、こと先般来医薬分業の問題、あるいは一点單価の問題というようなときに、不十分ながらも私どものところで各局と相談して集めました資料が、幾分なりはお役立てさせていただいておるというふうに考えておるのであります。もちろん非常に不十分でございまして、満足とは考えておりませんけれども、逐次連絡を密にして参りたい。  なおもう一つ申し上げますれば、これは明年度の予算の御審議のときにも出るかと思うのでありますが、従来私どものところの予算に組んでございました二、三の調査につきましては、むしろ私どもの方の予算を落しまして他局の予算と合流して、そのかわり、実際の実施にあたりましては、私どものところととつくり協議の上やるということで、いろいろ手を盡して各局との緊密な連絡をとつて、一体的な統計調査を進めたいというふうに考えておる次第でございます。

岡良一日本社会党

○岡(良)委員 御苦心はよくわかるのですが、たとえば結核の動態を追究するといたしましても、やはり先ほども御指摘のように、配給米が多少増量になつたということも、結核の動態に重要な影響をいたしておる。ひいては生計費指数、特に一般勤労者大衆の生計指数というものに集約された労働関係の賃金指数なり、または職業別の賃金指数なり、ひいては米価、肥料の問題も、それらに集約されて生計指数というものを一応編み出して、そういうものが結核の動態と密接な関係を持つていることを考えるにつきましても、今後とも特に厚生行政、厚生関係の統計は、省あるいは省内の各局、または政府各省内の連絡というふうな広汎な形で、やはり必要な統計は整理されて、そこから集約されて、生きた厚生行政への資料というところまで昇華さしていただくというような御努力を、今後ともお願いしたいということを申し上げたいのであります。

青柳一郎自由党

○青柳委員長代理 それでは次に森本国立公園部長。

森本潔厚生事務官(大臣官房国立公園部長)

○森本説明員 国立公園部で所管しておりますのは、国立公園、国民公園、温泉でございまして、二十六年度の予算と大した相違はございませんが、三点ばかり申し上げます。  この説明の一覧表の六番に国立公園等の維持管理に必要な経費というところがございますが、これで約五百万ばかりふえております。これは各国立公園に集団施設というのがございまして、たとえば日光でいえば湯本、中部山岳でいえば上高地というようなところがございます。これを今後厚生省の所管の公共用福祉財産にしまして、完全なる公園内の公園と申しますか、そういう取扱いをして参りたいと思いまして、それの移管買収に要する費用を増額したわけでございます。今後こういうものは必要なところは全部厚生省が完全に管理権を取得しまして公園事業地にしたいと考えております。  それから八番の項目の国立公園等の施設整備に必要な経費というところで、二十六年度に比べまして一千四百万円ばかり増加しておりますが、この増加の内訳は、施設整備の補助予算が五百万円ばかりふえたということが一つと、あと一千万円は国民公園、すなわち新宿御苑、それから京都御苑、皇居外苑、三つございますが、これの管理費の増額でございます。大体国民公園の三つにつきましては、二千七百万円ほどの経費になりますので、おおむね良好なる管理ができると考えております。その他の点につきましては大体本年度と大差ございません。  簡単でございますが、以上であります。

青柳一郎自由党

○青柳委員長代理 何か御発言がありますか。

松谷天光光第三倶楽部

○松谷委員 国立公園が今年度において新しく指定を受けるということは、昨年も伺つておつたのでございますが、そうした場合の経費はこれに見積つてないのでございましようか。あるいは新しく増加するという御計画が本省にあるのでございましようか、あるいは、その意思はおありにならないのですか、その点伺いたいと思います。

森本潔厚生事務官(大臣官房国立公園部長)

○森本説明員 国立公園の指定につきましては、現在研究いたしておりますが、大体段取りとしましては、本年度内にただちに指定してしまうというところまでは行かないのではないかと考えております。目下いろいろ検討しておりますが、事務的処理の段階としましては、本年の三月、四月ごろに国立公園の候補地という程度におきまして決定をいたしたい。その後さらに精細なる調査を加えまして、その候補地の中から確定して指定をしたいと思つております。従いまして、指定の時期は、従来の例から考えましても、本年度内に終了するということは困難ではないだろうか、若干一、二年かかるのじやないかと思つております。但し、国立公園の候補地の決定ということは、本年度内に一応済ませるつもりでございます。従いまして、施設整備、その他の予算的の措置は、二十七年度には考えておりません。

岡良一日本社会党

○岡(良)委員 今、電源開発で非常に焦点になつております只見川、熊野川、あれは国立公園と関係ございませんか。

森本潔厚生事務官(大臣官房国立公園部長)

○森本説明員 ございます。

岡良一日本社会党

○岡(良)委員 この前国立公園の法律を改正したときに、水力発電所の開発などについての、何か予防的な條項がありましたね。これが著しく風致を妨げる云々ということについては、これを遠慮してもらいたいというような法律が、この間改正したときにありましたが、これは国策上、電源開発というものが最も重要なポイントになつて来ておるので、そういう場合、国立公園としては、この国策と、また日本の観光資源等を活用するという国立公園政策の推進との間の調整を、どういうふうに考えておられますか。

森本潔厚生事務官(大臣官房国立公園部長)

○森本説明員 これは従来からの法律にございますが、国立公園の風致または景観を著しく害する工作物、施設等の設置につきましては、その都度許可を要するということにして適当でないものは許可しない、よろしいものはよろしい、こういうことになつておるわけでありますが、今お話のようなそういう問題——風致と観光と申しますか、それと産業開発と相齟齬するという事態は、大小とりまぜていろいろございます。小は広告の問題、あるいは旅館の問題、あるいは木を切るというような問題から、今お話のような只見、熊野の電源開発というような大きなものまでいろいろございます。小さな問題につきましては、産業開発上認めて支障がない場合が多いが、今のような大きな問題につきましては、これは非常にむずかしい問題でございます。具体的に研究いたしまして、場合によりましては風致をそぐこともやむを得ない場合もあります、また産業開発を優先しなければならぬ場合もあろうと思います。また、程度によりましては、風致の維持を重しとする場合もあるかと思いますが、これはその都度具体的に調査をいたしまして決定をする、そういう具体的な事例に処して判断したいと考えております。

岡良一日本社会党

○岡(良)委員 今の国立公園というようなものを守つて行こう、よけいつくつて行こうという考え方には、いわゆる自然美というようなものを非常に重点的に考えておられるが、私が申し上げたいのは、そうじやなくて、熊野川、只見川の上流にダムができて、そうして近代的な発電所ができる。こういうものは、やはり自然と調和された形において、近代的な立体的な美しさを持つているのではないかと思うのであります。そういうものをぐんぐん国立公園に取入れて行くということが、ひいては国立公園そのものを、設備等においても非常に高めて行くという要素もあるわけなので、そういうような考え方で——私はほかの広告等がどうであろうというようなことは申しません。少くとも今日国策上の急務中の急務である電源開発のごときは、国立公園を推進するという立場と調整をし、統一された総合的な立場で国立公園の側も協力するというようなことが願わしいのではないかということを申し上げたのです。

青柳一郎自由党

○青柳委員長代理 他に御発言がないようでありますから、次に山口公衆衛生局長。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 公衆衛生局関係の予算につきまして、最初に社会保障に関係のある事項について御説明申し上げたいと存じます。  その第一は結核対策でございます。結核対策につきまして、本省費として計上されております調査研究、あるいは技術者の養成というような費用は、大体昨年と同じような線に沿つて計上されております。地方事業の補助費のうちで、健康診断、予防接種の問題は、いろいろ予防接種につきましては御高配をいただきました問題がございましたが、大体昨年と同様、両方とも三千万人分ぐらいずつ実施できるというような予算を計上さしていただいております。  それから在宅患者の訪問指導につきましては、特にこれを強力に実施して行かなければなりませんので、保健婦の訪問旅費を昨年より相当増額して計上さしていただいております。そのほか消毒費は昨年と同じような線、物件廃棄補償費は今年初めて入れていただいたわけであります。  それから医療費の問題は、これは昨年半年分計上してありましたのを、本年二十七年度はそれを一年間に延ばして計上してございます。医療の内容につきまして、肺以外の医療にまで広げて行くかどうかというようなことにつきましては、ただいま検討さしていただいております。  それから結核療養所の建設の問題でございますが、私どもの方に関係のございます公立、法人立の病床につきましては、公立を四千床、法人立を千五百床といつたような予定で予算を計上してございます。以上が結核対策の概要でございまして、特に昨年とかわつた点を御説明申し上げたわけであります。  保健所費の問題でございますが、これは本年の方針が、新設拡充よりも、むしろ内容の整備に重点を置きたいということでございます。新設は十箇所だけCクラスを建設するように予算を計上してございます。あとは主として内容の整備、たとえば自動車あるいはエックス線の装置、それからBCGのときにいろいろ問題になりました電気冷蔵庫を全保健所に整備する、それからエックス線自動車を二十台購入するというような予算を計上してあります。そのほかに研究費が昨年よりもAクラス、Bクラスにつきましてはある程度増額して計上してございます。それから保健婦の旅費も五割方昨年よりも増額して計上してございます。以上が保健所に関しまして昨年とかわつた点でございます。  次は伝染病予防その他についてのうちで、精神衛生研究所、これは昨年と同様な方針で進んでおります。それから急性伝染病予防につきましては、駐在防疫官事務所——これは終戦後の混乱状態のときに交通あるいは通信が不便なために、全国七箇所に駐在防疫官事務所を設けていただいたのでありますが、最近交通、通信が漸次復旧して参りましたので、九州を除いてはこれを廃止したいというようなことで、そういう線に沿つて予算を計上してございます。  それから防疫業務委託費あるいは伝染病予防事業費、これは大体昨年と同じような線でございますが、伝染病院隔離病舎の整備につきましては、昨年は約二千九百床の建設の予算を計上していただいたのでありましたが、二十七年度におきましては、金額の関係上約千九百床というようなことで計画を立てております。  次は上下水道の整備でありますが、一般の公共事業費によります上下水道——これは最近上下水道に関する一般の要望が非常に強くなつて参りまして、予算も昨年は公共事業費に三億二千万円でございましたが、二十七年度には四億九千万円ばかり計上していただいてございます。特に下水の方に重点を置きまして、下水が昨年の三倍ぐらい、上水道は昨年の四〇%増しぐらいというようなことで計上してございます。そのほかに非常に小さな部落等で、水の悪いところに対しまして簡易水道を施設するという予算を計上していただいてございます。その額が約一億二千五百万円、これは本年二十七年度新しく計上して要求してある予算でございます。  それからその次に予防接種、あるいは性病予防、これは大体二十六年度と同じような線に沿つて進んでおります。  それから癩予防につきましては貞明皇后記念救済募金の関係もございまして、国立癩療養所に千五百床増床してもらうごとになつておりますので、主として私どもの方といたしましては、家庭に残つております癩患者を勧奨して入所させるのに必要な費用をここに増額して計上してございます。  それから寄生虫病予防費につきましては、日本住血吸虫の対策といたしましてたんぼのあぜ道をコンクリート化する、これは各地から非常に要望がございます。昨年は五千間分の予算をいただいたのでありますが、二十七年度はその倍一万間分の予算を計上してございます。  それから精神衛生費としては、精神病院、これは昨年と同じように五百床だけ新設する。そのほかの入院措置費、あるいは精神病院の補助費というような点は、昨年と同じような線に沿つて計上してございます。  以上のほかに、公衆衛生局関係といたしまして、受胎調節の普及に関する経費が計上してございます。これは二十七年度に新しく計上していただいた予算でありまして、これは先ほど他の部長からもお話がございましたように、最近人工妊娠中絶が非常に増加しておりましてそれによる障害なども起つておりますので、受胎調節を普及させたい、これは本省費といたしましていろいろ広報活動に必要な資料を整備する経費、それから府県の補助費といたしまして府県の優生結婚相談所、つまり受胎調節の相談に応じ、それを普及して行く、そういう施設の整備費と、その相談所の事業費の補助、そういうものを計上しておりまして、総額二千二百六十五万九千円という額を計上してございます。これが新しい項目でございます。  以上簡単でございますが、公衆衛生局関係の予算について、特にかわつた点を御説明申し上げました。

丸山直友自由党

○丸山委員 ちよつとお伺いしたいのですが、今の妊娠調節の点で、もう少し具体的に、どんな計画でどういうクラスの保健所に、どんなふうなことをやられるかということを、もう少し詳しく伺いたいと思います。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 参地方の補助費としましては、先ほど言いましたように優生結婚相談所の整備でございますが、これは全国で予算上は三百二十九箇所整備したい。——初めは全保健所に整備したいという計画だつたのでございますが、いろいろ折衝の結果、そういうことになつたのでございます。この中で施設の整備といたしまして、たとえば受胎調節を普及し、それを教育するに必要ないろいろな模型器具というようなもの、幻燈の用具というようなものを整備いたしますのに一箇所当り大体五万五千円考えております。それの二分の一補助を考えております。  それから今度実際に事業費といたしましては、管内を指導してまわります費用、あるいはいろいろな講習会をいたします場合の講師を嘱託します謝礼、あるいは実物でいろいろ教育してやりまして、それを必要に応じて渡してやるというようなことをする、そういう費用が、一箇所につきまして十一万円ばかり計上してございます。それの三分の一補助をやりたいと思つております。そういうふうな計画でございます。

丸山直友自由党

○丸山委員 人員の増加は幾らでございますか。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 本件に関しましては、特に人員の増加は考えておりません。

丸山直友自由党

○丸山委員 それから本年度国立病院が、予定によれば——できるかできないかわかりませんが、十五箇所結核療養所に移行するような計画になつているらしいですが、この増床分は増床計画の数字の中には入つておりませんか、またその経費はどういうふうになつておりますか。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 一応私どもの方としましては、結核病床千床くらいというふうなことで計画の中に入れております。

丸山直友自由党

○丸山委員 それから寄生虫対策ですが、要求予算にはたしか腸寄生虫に関する予算が要求してあつたはずでありますが、それは全部落ちてしまつたのですか、どうなりましたか。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 住血吸虫以外の寄生虫対策の特別費用、これは削られてしまいました。

青柳一郎自由党

○青柳委員長代理 他に御発言はありませんか。

福田昌子日本社会党(第二十三控室)

○福田(昌)委員 受胎調節普及のために、多少でも予算をとつていただいたことは、非常に喜ばしいことで感謝しているのですが、実質的には、受胎調節をしておりましても、失敗して妊娠する人が多いのですが、そういう人の措置というものは、ほとんど今考えられていないと思います。結局そういう人は法律の裏をくぐつて、いろいろの措置で人工妊娠中絶をしているという形ですが、そういうことに対して、政府は今後どういう対策をおとりになるお考えであるか伺いたいと思います。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 お尋ねの点は、法的に認められていない人工妊娠中絶を実施している者についてどうするかというお尋ねかと存じますが、それを特に取上げてということでなしに、やはり人工妊娠中絶をしなければならぬというような人たちで、しかも受胎調節に関して十分な知識を持つていない人が相当あるというふうに考えられますので、そこを特に区別することなく、受胎調節の知識と、それからそれを実際にどうすれば効果的に行えるか、人工妊娠中絶なんかしなくても済むというふうにできるかというような点を、いろいろな組織をつくつて指導して行きたい、そういうふうに考えております。

福田昌子日本社会党(第二十三控室)

○福田(昌)委員 実質的には、とにかくこういうふうな予算をとつていただきましたことは、それはそれなりに多少プラスだと思いますが、現実的に考えました場合、せつかくこういう予算をとつていただいたのですから、さらに進んで、もし受胎調節に失敗した場合の人たちに対しても、何らかの正常な、合法的なものであれば、何らかの措置がとり得る方法を講じてやるということも必要じやないかと思うのでごごいます。そういう意味に関連いたしまして、現行の優生保護法を改正するような御音心思はございませんか。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 現在人工妊娠中絶の必要がある、つまり妊娠はしたが、その妊娠を継続することによつて母体に影響がある、あるいは経済的な理由、身体的な理由から妊娠を継続することが困難だという者に対しては、法的に人工妊娠中絶を行い得るようになつております。現在の法律を今すぐ改正するというふうなことは計画しておりません。

福田昌子日本社会党(第二十三控室)

○福田(昌)委員 條文通りいえば、まつたくその通りでございまして、ちつとも無理はないことになつておりますが、現実はきわめて無理が多いのでございまして受胎調節はしておつたけれども、間違つてか、方法を誤つてが、ともかく妊娠した、しかし出すにはちよつと法律の條文に当てはまらない、入院するには費用の点もあるし、将来のことも考えるというので困つた連中がたくさんおります。それを堕胎するということになりますと、結局今の優生保護法によらなければ、脱広行為をやるよりほかに手がないという意味からいたしまして、その現実の姿といたしましては、御承知の通り二十六年度には合法的な人工中絶が五十万、やみをくぐつてやつたというのはおそらく私はこの五十万の二倍、三倍あるのではないかということが考えられる。国立公衆衛生院の統計によりますと、約二十万くらいのやみ行為だろうという推定をしておられますが、私はそんななまやさしい数ではなかろうと思う。と申しますと、結局今日必要に追られ法律的にあるいはまたやみ行為で人工中絶をしておる人は百万を突破しているということが言えるだろうと思います。そうなりますと、現行の優生保護法では現実に救われないという点を当然私は修正する必要があるのではなかろうかということを考えておりますが、厚生省当局におかれてはそういう不都合をお感じになつておられますかどうか、そういうことを聞かしていただきたいと思います。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 実際に合法的でない人工妊娠中絶がどの程度あるかということは、これはしつかり数をつかむことはなかなかむずかしいと存じますが、しかし現在の優生保護法のあの規定のわくをさらに広げるということにつきましては、これはまたいろいろ議論も出て来ると存じますので、その点は十分研究した後でなければできないと考えております。そういうふうな非合法な人工妊娠中絶ができるだけ少くなるようにというようなことで、その一助にもこの受胎調節の普及ということが役立つのではないか、そういうふうにも考えております。

福田昌子日本社会党(第二十三控室)

○福田(昌)委員 それとこの受胎調節の宣伝普及をしていただきます対象としては、保健所では大体どういうところを指導なさるように厚生当局としては指令をお出しになるか、お伺いいたします。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 受胎調節の普及のやり方は、大体三段構えを考えておりまして、個別指導と集団指導と広報活動とその三つを考えております。個別指導につきましては、現実に実際に手をとつて教えてやる。言葉をかえて申しますと、いろいろな避妊器具の挿入を実際に行うということと、それから受胎調節に必要な一般的な知識を教えてやる、その二通りが考えられると存じます。前者の方につきましては、医師あるいは助産婦、場合によつては保健婦というような人たちにやつてもらいたいというふうに考えております。それからそれ以外の一般的な個別指導につきましては、先ほど申し上げましたような人たちは、もちろんのこと、さらにいろいろな保健指導をやるケース・ワーカーを通じてやりたい。それから集団指導は、これは主として保健所が音頭をとつてやりたいと存じますが、母の会とか、あるいは工場等で、グループをつくつていろいろ懇談して質疑応答を重ねてそれを徹底させて行きたい、そういうふうに考えております。さらに広報活動といたしましては、あまり映画などで大々的にやるというよりも、むしろ受胎調節の相談をしたいという人はどういうところへ行けばよいとか、どういう人に相談すればよいとかいうふうなことを一般の人たちに知らせるというふうなことに重点を置いてやりたい、そういうふうに考えております。

青柳一郎自由党

○青柳委員長代理 途中ではなはだ失礼ですが、ちよつとお諮りしたいのでございますが、大臣が出席されまして、あまり時間もないようでありますので、今の問題につきまして一応けりがつきましたら、なおそれを継続して大臣に対する質問をしていただきたいと思います。

福田昌子日本社会党(第二十三控室)

○福田(昌)委員 それでは私は後で……。

青柳一郎自由党

○青柳委員長代理 通告順によりまして金子委員。

金子與重郎国民民主党

○金子委員 昨日大臣にお伺いしようと思いましたのですが、時間の都合上その機会がありませんでしたので、私はこの際、吉武さんが労働大臣と兼務なされまして、厚生大臣になられましたにつきまして)厚生行政に対する大臣の御所見をひとつ伺つておきたいと思います。と申しますのは、国会におきます二十幾つかの各委員会の状態をながめまして、どの委員会の所管しておる問題も、おのおのこれは重大な問題であることは、言をまたないのでありますが、ただここに厚生行政の問題を私取上げてみましたときに、この敗戰後の八千三、四百万の人口を四つの島に押し込められた今日、人口問題をどうするかというふうな、根本的な大きな問題を控え、また憲法の改正によりまして、国民の生活権というものを国家が保障するというな立場におりながらも、そういう立場から社会保障という言葉が大きく打出されておりまするけれども、現実の厚生行政の段階を見ますと、まつたくこれは社会保障というものでなくて、ただ歴史的に自然発生いたしましたところの社会保険のようなものが、きわめてまちまちばらばらに、しかも国民の間には非常に不均等な形において行われておる。また医務局関係におきますところの病院の姿を見ましても、今度政府が国立病院の若干を地方移譲しようというふうな計画があるようでありまするけれども、私どもがこれらの考え方を推測いたしましても、ただ政府が、国費が少いから、地方へやつて国費を助けようという点にしか見えない。なぜならば、現在の病院形態を見ましても、特殊病院なり、あるいは特権病院なりというふうなものがたくさんあつて、同じ国民でありながら、非常な医療に対する差別を受けておる。この病院のあり方なんというものは、根本的に考え直す。その考え直す機会に、国立病院の姿をどうするかというふうな見解ををとるならばよろしいけれども、今ある各種の病院の姿はそのままに置いて、ただ国立病院だけを一部移管するということが出て来ておるのを見ましても、これらの医療機関のあり方に対しては、根本的に考えなくちやならないだろう。また今の社会保険の各種の保険の問題も、国保にいたしましても、あるいは健保にいたしましても、このまま行くならば、はたしていずこへ行くかというふうな段階になつておる。こういうような点を考えてみますると、この厚生行政は、ほんとうにこれからが始まりだという感がいたしておるのでありますが、こういうふうな各種の問題を複雑にかかえました自然発生的な厚生行政から、大きく社会保障の線に打出して行く、全面的な改革の時期に入つております。この時期に、大臣はこの厚生行政に当りまして、さしあたりどういう点に対して一番——もちろん全般的には考えるにいたしましても、おのずから国費あるいはものの順序もありますので、どういう点に主力を注いで行政に当られるか、その大臣の御抱負を伺いたいと思 うのであります。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○吉武国務大臣 ただいま金子さんのお尋ねでございますが、お話のように今後の厚生行政の重要な点につきましては、まつたく同感でございまして、この点につきましては、いろいろ他の事業もございましようが、私としてはかつて来るのでありますので、やはり出力の関係とにらみ合せて行きませんと、ただ社会保障と申しますか、その点だけを考えますと、やはり財政面に非常な欠陥を生じまして、ほんとうに一時的には社会保障の面が保障されたこのごとく見えましても、究極において困つて来るということにもなると思うのであります。この点は、他の国にもややその例がないわけでもございませんので、私としては、その財政の点をも考慮しながら、充実をはかつて行きたい、かように思つております。しかし、先ほど御指摘になりましたように、すべての農業政策にしましても、あるいは中小企業の対策にしましてもすべて財政との関連の深い問題ではごいますが、その点から見れば、この社会保障の点は、他よりはもつと重点を置いて考えて行くべきだ、かように考えております。事実過去において私党において関係しておりました点から見ましても、昨年の予算につきましても、相当社会保障の面には重点を置いたつもりでございます。増額の割合は、一般予算の増額よりは、相当高度の増額をやつて来たつもりでおるわけであります。  それから次に社会保険の点でございますが、これもお話のように、今日ばらばらになつております。これはできるだけ統合をして、一貫性を持たせて行きたいと思つておりますが、ただ社会保障全体の問題にしましても、社会保險の問題だけにいたしましても、私としては形を早く整えるという行き方よりも、まず中身を充実して行きたい。これを先決に私は考えております。中身が充実されるにつれて、形も漸次改めて行きたい。形を先に整えますと、とかくそこに無理が行きまして、内容に欠陷を生ずるおそれもございますから、私としては、たとえば社会保障法というものをつくつて、そうして、見たところは非常に総合的にりつぱに見える、しかし中身は大したことはないということは、かえつて国民を欺くゆえんであつて、それよりももつと内容を、一つ一つ重要なものから充実して行つて、その結果が総合的なものに整つて行くというふうに、私自身は考えておるわけであります。社会保険の内容につきましては、御承知のように健保と国保がございまして、私は健康保険の方は、実を申しますと、事業主というものと、雇用される労働者とが双方掛金をかけて、一つは労働者に対する福利施設としてであり、一つは労働者の自分自身の病気のときの保障という点から成り立つておるのでありますから、私はこの点は現在も大体うまく行われておるし、将来もあまり心配しておりません。一時赤字もございましたが、賃金の上つて行きますにつれまして、標準報酬というものも上つて参りまするから、従つてそれが収入増となりまして、今のところ大体とんとんぐらいの経営で行けるのではないかと私は思つております。しかしこれも国がただほうつておいていいというわけのものではございませんので、来年度予算におきましては、事務費は全額国庫で持つて行こう、それでまず今日のところはやれるのではないか。もう一つの国民健康保険の方は、同じ保険制度ではございまするけれども、健康保険とは多少性質が違つておりまして、雇用する事業主というものの立場がない。ある村、ある町、そういうところの地域における住民が、相互扶助と申しますか、お互いに掛金をかけて助け合うという行き方をとつておりますので、健康保険のように事業主が半分負担をしてやつて行くという立場がない。従つていわゆる庶民階級の方の多数の寄合いでありますから、それはお互いが保険金をかけて行けばいいじやないかというだけでは済まされないのではないか、これが今日国民健康保険制度が困り、また赤字に悩んでおるゆえんであろうと思います。従つて、この点は国家の財政が許しますならば、医療費の一部も国が持つて行くという行き方に進まざるを得ないと私は思います。しかし、今日ただちにこれを受持つだけの余力がございませんので、さしあたり来年度といたしましては、まず再建整備をいたします。ちようど昨年農協が赤字に悩んでおりました際に、政府が三十億ほどの金を出しまして、三年計画で再建整備をする、赤字の整理をして建て直すという行き方にならいまして、国民健康保険につきましても、約四億五百万円程度の長期貸付をいたしまして、そうしてそれでもつて赤字の整理をして行く、なお非常に努力をされて再建をされる組合につきましては、別途やはり四億あまりの奨励金を出しまして、そうして助長をして行く。このことが実質的には国民健康保險に対する国家の一部負担ということにもなるわけであります。そういうことにおいて、まず国民健康保険を建て直して行くことからかかつて行きたい、かように思つているわけであります。  病院についてのお尋ねでございまするが、これは過日もお話いたしましたように、今日国が持つております国立病院が約九十九ございます。だんだんと国がこういう施設もやつて行くことは、私は決して悪いことではないと思いまするが、現在持つております九十九の病院というものは、実は御承知のように今まで軍が持つておりましたものを、ただそのまま引受けたというだけの、非常に暫定的なものから出ておるわけでありまして、これだけの多くの病院を国が全部手厚くめんどうが見れるかというと、なかなか私はそうは行かないと思うのであります。それよりも、これを府県あるいはその他公的な機関が引取りまして、自分のところでこれを手厚くめんどうを見て行くということが、かえつてそこの住民、市民等から見るならば、いいのじやないだろうかと私は思つているわけであります。そうすることは、一方国の事務の簡素化にもなりますし、かたがた今回の国立病院の移管という問題を思い立つたわけでありますが、しかし、これも先日申しましたように、そうかと言つて、これを無理やりに押しつけて、行政整理のように、整理して、しつぱなしにしてしまうというふうな考えは、毛頭持つておりません。やはり付近の住民の方に迷惑にならないようにという点で、話合いの上で進める考えを持つております。  なお社会保障制度としてはいろいろ仕事がたくさんございます。そのうちどういうところから考えて行くかということでありますが、これはそう簡單にどの仕事だけに重点を置いてどの仕事は軽く見ていいというものではございません。けさも、私、盲人の会にも臨んでみましたが、盲人の方に接して見れば、やはり盲人の方もほつておけない。また実際働く能力のない困られる家族は、これまた最低生活は保障をしなければならないのでありまして、今日非常に苦しい財政の中でありますから、その中で許せるだけ必要なものからやつて行かなければならぬのでありますが、私が感じまする一つの点は、資力のない人が結核にかかられますと、私は非常に家庭が悲惨に思のであります。というのは、普通の病気は、一週間か二週間たちますと、それでもつてなおりますから、その間働けないために食い込みになりましても、また働いて回復するということができるのであります。一たび結核にかかられた方が家族にありますと——特に働く中心の方がこれにかかられますと、長引くために、非常に悲惨な状態に押し込められるように、私は見ておるわけであります。従つて政府といたしましては、この結核の対策につきましては、相当重きを置いて行かなければならぬのではないか、かように存じております。  なおこの生活保護にかかつて来られる方々の問題でありますが、私は今御指摘になりましたように、何といつてもこの小さい島に八千四百万からの人口を擁し、そして年々百二十万から増して来るという状態でありまするので、これらの生活に困られる方を一々国家の財政で生活保護でやつて行くという建前は、これはほんとうの姿ではない。やはりほんとうの姿は、日本の経済規模を拡大し、そして働ける者はできるだけ職業を與えて、自分の力で生活ができる体制を整えて行くことが本旨であつて、そうしても働く能力がなく、働けないで収入のないという人がどうしても出て来られます。その者に対しては、これはどうしても国家の力で最低生活は保障して行く、かように考えておるわけであります。

金子與重郎国民民主党

○金子委員 ただいま大臣の御熱心な御意見を伺つて、私どもも、委員として今後一生懸命やりたいという気持になつておるわけでありますが、ただそこで、私が申し上げたことに少し誤解があると困りますから、一言そのことを申し上げておきます。私は国会に参りまして、むしろ政府あるいは大臣の答弁というものは、いつも版で押したように、国家の財政のにらみ合せ上遺憾ながらできないとか、国家財政、結局国民負担との関係を考えたときに遺憾ながらできないというのは、もう版で押したように答弁に出て来る言葉であります。しかしながら、私も、今いわゆる国会におきまする野党というような変な考え方を持ちますと、ただできない相談でも国民に迎合するようなことを言うことが、いわゆる野党攻勢だといわれておるような国会のあり方に対して非常に苦々しく思つておる一人であります。そうしてこの厚生行政の問題で、私はなぜそういうことを一層感ずるかと申しますと、こういうふうな種々雑多な問題を包含しておる中で、各種の国民層、各種の階層から、おのおのよこせ運動というものをやつた場合には、国家は一体どうなるのだ。一体今の国政のあり方を見ると、各政党が国民にこびて、一つの要求を一定の政府に向つて競争しておるというのが、今の姿のように見える。こういう政治が一体どうなるかということに対して、私も非常に肌寒く思つておる。でありまするが、私どももこれから、ことに厚生行政の問題等におきましては、国費というものにおのずから限度があることはよくわかる、そこでどうすればその少い国費をもつて国民機会均等に所を得せしめるかということをやることが、今日の政治ではないか。しかるにこの厚生行政の一つ一つを見ましても、これは歴史が新しいだけに、一つの国民機会均等の線に立つた基本方針によるのでなくて、自然発生的にできた法律、自然発生的にできた機関というものを、そのまま継続しておる感が多分にあるわけであります。たとえば、今、国立病院は、ただあの際やむを得ずというか、自然的に陸軍病院が流れ込んだというようなもので、国があの病院を経営することに対して、目的を立ててやつたのではなかつた。一方において、病院の姿を見ましても、地方農村におきましては診療所がなければならぬ。そうして無医村に補助金をつくつてやつたけれども、その病院はそういうふうなところでありますので、センター病院を持たないから当然りつぱな医者は行つてくれない、しかも赤字になつておる。そうか思うと、一方においては逓信病院とか、鉄道病院とか、特殊な職業階級の人たちだけがりつぱな施設の恩惠に浴しておる。そういう場所もある。こういうふうにして私どもは国会の宿命のすぐ前のあのりつぱな病院と、農村の悲惨な、赤字でつぶれそうな病院を見たときに、一体同じ国家再建のために働いている国民に、なぜそういうような相違ができるか。またただいま結核問題を、大臣は非常に御心配なさつておられる。その点は、私もまつたく同感でありますが、しかしその結核によつて家計が困難になるというふうなことに対して、私どもは何とか考えなければならぬと思いますけれども、かりに結核病院を何万床にふやしてみたところで、今の保険制度をそのままにして置いたら、どうなるか。これは結核に対して国家が全額補償すれば別でありますけれども、そうでない限りは、おそらく国民の過半数の人たちは自費負担をしなければならない。特殊な保険に入つている人たちだけが、そのベットを利用しておる。私はこの間、非常に涙なきを得なかつたのでありますが、青年組織の私の盟友の妻が国立病院に入つておりまして、休養をすることが第一だということを勧めたときに私も院長から種々言われて、こうして休養しておりますし、隣の患者もああして医者の言うことを聞かれて遊んでいる。しかしあと半年いれば完全だと言われても、十日々々には必ずつけが来て、そのつけを見るたびに、供出米のお金はどうなつているか、お蚕の金はどうなつているか。隣の患者は、全額給付でやつておるから、ああしておられるのだと言われたときには、まつたく今の制度というものは矛盾していると思つた。私は農村問題を主にしますから、いつでもこれを言うと、百姓びいきのように聞かれますが、そうじやない。日本の農業というものは、保険のあり方においては使用者であるとか雇用者であるとか、あるいは雇われている、雇われていないという関係はない。企業の形態を持つておるけれども、しかし実質的には労働者だ。農業というものを企業形態でやつたら、一日も立つ農民はない。ただ農産物の価格の中に、自分の安い労働報酬が含まれておるだけであります。この点実質的にはくわをとつておる労働者、ハンマーをとつておる労働者、ペンをとつておる労働者も、国家再建の上には同じであるのに、なぜこういう国家制度の上にしわ寄せがされておるか。こういうことを考えたときに、この際私どもは、惠まれ過ぎた人は遠慮してもいいじやないか、国が敗れたのであるから、同じように苦労しようじやないか、そういうふうに持つて行く。そこの点において、厚生行政というものに特に大きな予算を要求するのじやない、機会均等に所を得せしめるようにすることが社会保障のあり方だ。また私どもは大きく社会保障の線を打つて出すと言つておりますけれども、何も食えない者も、病気になるのも国家の責任だという考え方が社会保障じやない。できるだけ社会保険の形において助け合おうじやないか、国家も大きなしわ寄せに対して見てやろうじやないか、これが社会保障の姿でなければならぬ、こういうふうに考えております。決して厚生行政に対して、ただ野党的な立場から、いやがらせの予算請求や事業要求をするということは、絶対に今後いたしたくない。そういう意味でありますので、その点は十分大臣におきましても、お考え願いたいと思うのであります。  それから第二に御質問申し上げたいことは、吉武厚生大臣は、一方におきまして労働行政に携われておるわけでありますが、最近聞くところによりますと、その労働行政というものが社会保障の一環であるかのように考え——確かに仕事の内容においてはそういう面もあるのでありますが、ややもすると厚生省廃止、労働省との合併というような考え方をする人もあり、また新聞紙上にも、そういうことを見るのであります。しかしながら私の考え方では、労働行政というものは、今、日本の国の労働省の予算を見ましても、あの七割は失業関係の予算であります。その失業に対して、なお掘り下げてみますと、それは労働者のうち、さつき申し上げたハンマーとる階級とペンをとる階級の失業であつて、全国にまたがつておるところの潜在失業者に対する対策費には、ほとんど使われていない、部分的なものだと思われるのであります。従つて、厚生省を廃止して云々というようなことがとりざたされていることは、非常に遺憾だと思うのであります。その上に、今度労働大臣が、たまたま厚生大臣を兼務なされたということによつて、政府は厚生行政を、結局労働行政の一環に置いてしまうのじやないかというような一つの疑惧の念を世間は持つておるわけでありますが、大臣は今後の行政機構の改革等におきまして、どういうふうなお考えをもつてこれに対してお進みになりますか、その御所信を伺いたいと思います。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○吉武国務大臣 お話のように、労働行政と社会保障と申しますか、厚生行政とは違います。これは発達の経路から申しますと、最初は、日本でも社会局を設けましてやつておりましたように、どこの国も、大体同じ発達の経路をとつておるようでありますが、労働行政というのは、働く人、働ける人の立場から見た行政でございまして、社会保障の方は、働くにも働けない、また働けるにいたしても、社会の中でも非常に困られておる方々に対する厚生の行政でございますから、おのずから違うと私は思います。ただ最近行政簡素化の声が出ておりまして、政府におきましても、行政簡素化はぜひ実行したいといつて、今検討中でございます。従いまして、私は今ここで労働行政とそれから厚生行政とが一つの機関でやるようになるか、あるいはならないかということは、ちよつと申し上げかねますし、私が厚生大臣を兼務いたしましたのは、そういう理由で兼務したわけではございません。それだけははつきり申し上げることができますが、しかし将来どうなるかという問題につきましては、ちよつと私にもわからないわけであります。厚生行政と労働行政とは、同じ性質のものでないということは、私も十分了承をしておるつもりでございます。

寺島隆太郎自由党

○寺島委員 ちよつと関連して——吉武さんに伺いたいのでありますが、吉武さんは、労働省が厚生省から出る前のいわゆる大厚生省時分からの多年の官僚であり、かつまた與党自由党の政調会長であつて、これが労働省に入り、かつまた厚生省に入つたことに対して、官僚諸君は父帰るの思いを得たであろうことは、そんたくの余地ないのであります。そこで二点だけお尋ねいたしたいのでありますが、第一点は、遺族援護に関連をいたしまして、すなわち傷痍軍人もしくは傷疾軍属等で、働く意思を持ちながら、不幸にして職場に雇用せられざる者に対して、やや強制的なる雇用をいたす措置もしくは立法、そういう対策をする具体的お考えありやいなや。  第二点は、ここに私の親友である厚生省のおえら方がおられますが、昨夜予算をずつと通読いたして考えてみると、太宰会計課長の、予算をたくさんとつて来られた御苦心の跡は認めます。さてただいまの御所論の、結核に対してきわめてお気の毒であるというそのおセンチの涙の声を、厚生大臣のたくましきくちびるから聞いたが、それだけではどうにもならぬと思う。病は気からなおるということは、古今例外なき事実であろうと思う。すなわち、結核回復期に際会いたしております結核患者もしくは——社会局長もおられますが、社会局所管における授産場等の設備においても、一般商業資本の製品と、競争を余儀なくせられておる現状においては、いかにこれらの予算を取り来るも、この予算の効果というものは、一般商業資本の上における自由競争の上に立たされるだろうと思います。端的に申しますと、あなたの御所管なさつておられる労働省並びに厚生省の、たとえばこの印刷物、定期刊行物等々を拝見いたしておりますと、依然としてこれは出版商業資本からの納入物になつておるが、あなたの所管せられておる社会事業施設もしくは公衆衛生施設等における授産場等の設備の雇用を増す等の積極的用意を有するやいなや、盧山の中におる者慮山を見ず、すなわち厚生行政のヴエテランにして、しかも政調会のヴエテランである大臣の一個の盲点でなければ幸いでありますが、かかる二点についてお尋ねいたしたい。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○吉武国務大臣 第一点の、傷痍軍人に対する強制雇用の問題でございますが、これは私といたしましても、傷痍軍人の方は、非常に気の毒だと思つておりますので、これの就職につきましては、全力をあげて努力をいたすつもりでございます。ただ法律で強制をいたしまして、何百人以上使つている工場には何人強制的に使う、こういう処置をとることが、ほんとうに傷湊車人の方々に対する処置であるかどうかという点につきましては、私はまだ若干疑問を持つておるわけであります。日本の国のことでございますから、法律の力で強制的に押しつけて行くということよりも、やはり国のためにささげられたからだの犠牲でありまするから、やはり話を進めれば、私は話の上でできるんじやないか。現在まで労働省の手を通じまして、身体障害者についての雇用も、相当促進をしておるわけでありますから、私はそういう画一的な法律の強制によつてやるということよりも、われわれの手及び国民の各般の方々のあたたかき手によつて、これらの方々のお世話をして行くという方向で進みたいと思つております。今回の予算におきましても、少くはございますが、二千三百万円の予算をとりまして、そうして現在身体障害者の補導所も数箇所ございますが、それ以外になお二箇所増設いたしまして、独立して職業のできる方は、その授産場において仕事を覚えていただいて、仕事を始めてもらうし、またその補導所で腕を覚えられた方々は、また工場等において快く使つていただけるでありましようし、そういう行政処置の手で、できるだけの努力をはかつてみたい、私はかように考えております。  なお第二に御指摘になりました点は、ごもつともな御注意でございますので、私どもも、できるだけそういう授産場その他の手を通じてやりたいと思います。ただしかし、これを画一的に必ずわれわれの印刷物その他も授産場以外はとらない、こういうことになりますと、また一般の民業を圧迫するということにもなりますから、その点は運営よろしきを得なければならない、かように信じております。

金子與重郎国民民主党

○金子委員 大臣はお忙しいようでございますけれども、もう一点お願いいたしたいことは、実は戰争犠牲者に対する援護の問題であります。これは政府から今度予算といたしまして二百三十億、ここに組まれたようでありますが、この経緯についてひとつお聞きしたいのであります。実は本委員会におきましても、去る国会から二十数回の小委員会で専門に会議し、およその項目と行き方につきまして、厚生委員会としての決議を得まして政府に出したのでありますが、前大臣も大体それによつて、ということはありませんが、それを十分しんしやくされた結果、一つの厚生省案というものをおつくりになつて、そして折衝した。ところが、たまたま国家財政の全体の都合上、大蔵省との折衝の結果、今日のようなものができ上つたんじやないか、こういう、ふうに解釈しておつたのでありますが、昨日次官の話を聞きますと、あの橋本氏がつくつたのは、橋本個人案なんだ、われわれの方の知つたことじやない、こういうふうな答弁があつたのであります。しかし、そういたしますと、私どもはあの高橋委員を中心とした小委員会で、相当熱心に、この問題をまつたく與党野党の感覚なしに熱意をもつて討議いたし研究いたしたのでございますが、そういう答弁をいただきますと、今日になつて、それは一種のマスターベーシヨンにしかすぎなかつたということになりますので、もし私どもの委員会が法律を予測し、あるいは国民のためにそういつたような研究をいたしますことが、そういつたような個人案だというような程度で片づけられて、マスターベーシヨンに終るとするならば、今後の委員会なんかの進行上も、相当私ども考え直さなければならぬ点が出て来るという問題があるのであります。ことに本委員会は、私はまだ二箇年有余でありますけれども、いまだかつて與党、野党が、厚生行政を一つのだしに使つて争いをするというような雰囲気になつたことは一度もありません、ほんとうに誠心誠意で、各委員とも当つております。その空気も何ら考慮することなく、あつさりと葬つてしまつた。こういうことに対して非常に遺憾に思つておるのでありますが、この前の委員会におきまするところの決議が、一体どういうふうに役立つたか。あるいは今日までになる径路は、一体どういう径路でなされたかというあらましに対して御説明願いたいと思います。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○吉武国務大臣 戦争犠牲者の援護の問題につきまして、厚生委員の皆様方が熱心に御努力されました点につきましては、私からも衷心感謝をいたす次第でございまして、今回政府がとりました処置にいたしましても、もちろん皆様方の長い間の御検討になりました点を、十分取入れておるつもりでございます。ただ橋本君の案との違いは、予算の上において、政府といたしましては、先般決定いたしましたように、一時金として公債八百八十億、そうして年金その他として二百三十一億がせいぜいである。橋本君は、それでは不十分であるからということで、最後まで努力された点が大きな差じやないか。そう基本的に違つておるとは私は思いません。それから、今回政府がとりました処置にいたしましても、実は全部を年金でいたしますると、非常な多額な経費を要するわけであります。わずかしか年金が出ないのですが、数が多いためにやはり相当額になる。そうすると、今日の財政ではとうていまかない切れない。そこでやむを得ず、政府の今回の処置は、妻子等には、これは年金を出さざるを得ないけれども、そうでない面については、公債で一時金の形で交付するのはやむを得ないじやなかろうかということで、あのような処置になつたわけでありまして、根本の考え方においては、私はそう違つていないと思います。なおこれらの予算の執行につきましては、もちろん皆様方の御意見をも十分私どもは考慮に入れて実施に移したい、かように存じております。

青柳一郎自由党

○青柳委員長代理 議事進行について、堤委員の発言を許します。

堤ツルヨ日本社会党

○堤委員 大臣はきのうもきようもお出ましになりまして、非常に心強いと思つております。政府にはこれから厚生行政に非常に御熱心におなりになるのではないかと、実は思つているわけですが、今までの厚生委員会は、大臣がそうお出ましになつたことはないわけです。今大臣に対する質問が始まつているわけでありますけれども、大臣に対するところの質問をしたい議員は、一ぱいおられるのであつて、大臣がきようとあしたくらいでお茶を濁して、あとまた前例並に出られないようなことがあると非常に困りますので、一言大臣からとつておきたい。と申しますのは、少くともこの予算に関して、各局長をお呼びしてわれわれが審議する間は、大臣はこちらに出てもらいたいということを——これも議事進行の一つだと思いますが、一筆とつておいて、もう少し現在の内閣に厚生行政の勉強をしてもらいたいと私は思うわけです。ですから、労働大臣をお兼ねになつておりますから、あるいは労働委員会もあると思いますけれども、そこは委員長の裁量によつて、労働委員会とかち合わないように委員会をお組みになつて、吉武新厚生大臣に出席を、少くとも予算をやつている間はお願いするという一言をとつてもらわぬと、質問のお済みになつた人はいいけれども、だらだらと同じ人が質問しておいて、あと聞きたいこと、言いたいことがある人ができないことになりますから、手ぎわのよい委員長の裁量をお願いします。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○吉武国務大臣 ただいま一札をとるというお話でございますが、私は一札を入れませんでも、御趣旨には十分沿うつもりでございます。ただ予算委員会が始まつておりまするので、その方に引出される場合と、労働委員会はまだそう忙しくもございませんので、私はどうしても出なければならぬ用事以外は、こちらで委員会がありますれば、ぜひ出席をいたしまして、勉強いたすつもりでございます。

福田昌子日本社会党(第二十三控室)

○福田(昌)委員 巷間で栄養士法あるいは理容士法を廃止されるのではないかということを、非常に心配しているのでございますが、この点につきまして、廃止されるかどうかということだけ、御答弁願いたい。

山口正義厚生技官(公衆衛生局長)

○山口(正)政府委員 私ども政府当局といたしましては、いわゆる栄養関係の法律を廃止するという意図は持つておりません。

岡良一日本社会党

○岡(良)委員 議事進行について——実はきようは昭和二十七年度の厚生省の一般予算を中心に案件として審議を進められた。そこで統計調査部長の御報告があり御説明があつて、それを中心に私どもは質問を申し上げ審議をしたわけです。その次には、公衆衛生局長の御説明があるので、それを中心に話をする。そこへ大臣が来られた。そこで保険局所管のものが飛び出す、社会局所管のものが飛び出すということでは、非常にわれわれの委員会運営上混乱を来します。今後社会局にしろ、あるいは医務局にしろ、その所管の予算を審議するという場合に——予算の審議は別といたしましても、予算に現われた厚生行政のあり方をわれわれが検討いたします場合には、当然それは大臣の責任ある所管の事務でありまするから、どうかひとつ今後ともそういう点で——われわれも大いに厚生省の最高の意思をただしたいという要求も強く持つておりまするので、出ていただく、そういうことにいたしまして、今申し上げた点は、委員長並びに與党諸君の方でも秩序よく、お手ぎわよくお運びいただくようお願いしたいと思います。

青柳一郎自由党

○青柳委員長代理 お答えいたします。ただいまの岡委員の発言は、いかにも局の順序を追うてないということでありまするが、前例がありまするので、それを差許したのであります。委員の各位におかれましても、その点を十分今後はお考えの上発言を願いたいと思います。  本日はこれで散会いたします。次会は明日午前十時から開きます。     午後零時二十七分散会

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