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13回国会衆議院1952/06/05

公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第5号

発言数
74
登壇者
16
会派数
4
開催日
1952/06/05

会議録

小澤佐重喜自由党

○小澤委員長 それではただいまから会議を開くことにいたします。  昨日の委員会の申出によりまして、さしあたり国家地方警察本部刑事部長の中川氏が見えておりますから、中川氏に対して、委員会の注文なり要望なり、あるいは質疑がありましたならば、これからとりあえず始めたいと思います。中川さん、実は昨日の委員会で、いわゆる事前運動というものは、あなたの方でもいろいろ検討したようであつたけれども、大審院がどこかの判例で、いまだ立候補しなくても、これは立候補するものであるという点が明らかになつた場合は、選挙違反として起訴できるという判例があるということを、私の方の鍛冶君から話があつたのです。もしそういうことができ得るものであるとするならば、事前運動に対してもう少し検察当局が取締りを強化した方がいいのじやないか、こういう意見が出たのです。それに対して、あなた方の考えなり、解釈なり、それからまた今まで実施して来たこと、今後せんとすること等の意見を承りたいというのが、おいでを願つた趣旨なのであります。そういう趣旨で、まず、今までのあなた方の考えをちよつとあなたから話していただきをす。

中川董治国家地方警察本部警視長(刑事部長)

○中川(董)政府委員 ただいまの事前運動の点でありますが、事前運動は、選挙が告示になる以前におきましても、特定の議員候補者となろうとする者が、告示以前におきまして選挙運動をやりました行為は、一切現行の公職選挙法違反の罪になりますので、この違反の罪の発見につきましては、全国の国警、自警それぞれ連絡を密にいたしまして、違反行為の状態を把握するように努力しておるのであります。ただ問題は、事前運動と申しましても、一般の合法的に許されておりますところの正当な政党活動その他社会活動との関係の限界点が非常に困難な点があります。ことに公職選挙法違反の罪として立件いたしまして公訴を維持する上におきましては、証拠立ての点につきまして、相当緻密な努力をして参らないと、その弊害が出て参りますので、各地に行われておりますところのこういう違反行為の実態につきまして、周密な内偵を行いまして、これを検挙する場合におきましては、公訴が維持できて、有罪の判決を受けることの見込みが確実である、こういう確信のある段階まで待つておるような状態でありまして、先ほど委員長のお話の、立候補の届出または選挙告示があるまで犯罪の検挙ができないということでは全然ないのであります。証拠立ての問題、立証の問願等につきまして緻密な努力をする必要がありますので、ただいままでのところ、この現在の犯罪行為を検挙しこれを起訴する、こういう段階に至つておらないのでありますが、今日各地におきまして、この事前運動、違反の罪が行われておるという風説等が多く、われわれもその容疑があるということを十分認めておりますので、個々の犯罪行為につきましては非常に周密な努力をいたしまして、この立証がつき、証拠立ての確信がつくという事案を発見いたしましたならば、断固これを検挙いたしまして、こういう違反の罪が繰返し行われないということにつきまして、警察としても十分努力して参りたい、こういうふうに私ども警察担当者は考えておるわけであります。

中川俊思自由党

○中川委員 刑事部長さんにお尋ねしますが、非常にその御努力感謝にたえないのですが、実際問題として、あなた方が中央でお考えになつておるようなことが、末端にまで徹底していないのじやないかと思うのです。というのは、すでにお聞き及びだろうと思うのだが、今名前を入れたタオルを配るとか、それから新聞にも出ておりましたが、卒業生に対して卒業祝いのはがきを出すとか、それから供出完納者に、農林大臣賞を配ばるのなら問題がないけれども、全然角度のかわつた大臣が自分の選挙区だけに、何大臣賞と称して万年筆を配つたり、これなんかはだれが考えても明らかな事前運動なのです。そこで、そういうように十人のうち八人が考えて、明らかにこれは事前運動だというようなものに対しては、即刻これを検挙するなり何らか方法を講じてもらいたいと思うのです。なるほど今御説のように、証拠立て、すなわち立証の問題だと思うのですけれども、これなんかはお調べになればすぐわかることです。それらでもやはり立証の問題で慎重を期さなければならぬというので、そういう問題ですらいつまでもほうつておかれるということは、結局事前運動がどんどん行われておることを見のがしておられることになりはしないかと思うのです。そういうことについては、刑事部長さんはどういうふうにお考えになつておりますか。そういうことでも、やはり慎重にやらなければならぬというので、いつまでもほうつておかれるおつもりか、それともそういうはつきりしたものに対しては、ただちにこれに対して手を打たれるおつもりか。なお私が当初申し上げましたように、中央でそういうふうにお考えになつておつても、これが末端にどの程度浸透しておるか、その点についてひとつあなたの御意見を伺いたい。

中川董治国家地方警察本部警視長(刑事部長)

○中川(董)政府委員 ただいまの御質問の、非常にはつきりした違反行為につきましてはもちろん検挙する、こういうことなのでありますが、われわれが考えました問題の事柄、ただいま私が説明いたしました中央の考え方の各地における徹底の点について一言申し上げてみたいと思いますが、私ども選挙各種違反行為、刑罰法令に触れる違反行為につきましては、すべて犯罪を立証できればすぐ検挙するという態勢で行くということは、常々警察全体をそういうふうに運営しておりますが、その警察力と申しますのは、いつもそのときの事態に直面して、特に危險と思われるものに対して集中せられる傾向があります。たとえば選挙法違反の罪になりますと、最近破壞活動が盛んに全国各地に行われておりますが、破壞活動または殺人その他が多いという場合には、それに対して集中せられるということで、選挙が隔つたずつと以前におきましてはそういう摘発活動が若干徹底しかねるという傾向を持つのであります。先ほどもお話のように、明らかに立証がきわめて可能なような犯罪を発見いたしましたときには、これを検挙いたしまして、こういう罪が彌漫しないように努力するのが私どもの責任と考えておるのであります。ただ一言つけ加えておきたいのですが、公職選挙法違反の罪でこの四月二十七日までの事案につきましては、過般の大赦令によりまして公訴権が消滅しておりますが、二十八日以降の犯罪行為につきましては、いろいろその違反行為のかどにつきまして立証し、これを公許提起するという目的のために、検挙態勢をしいて参つたと考えております。

中川俊思自由党

○中川委員 そうすると、四月二十八日以降にそういうれつきとした犯罪があつたら、ただちに検挙なさいますか。

中川董治国家地方警察本部警視長(刑事部長)

○中川(董)政府委員 れつきとした犯罪がありまして、しかもその証拠立てが可能という見込みがつきました場合におきましては、検挙いたす考えであります。

中川俊思自由党

○中川委員 ただいま私の言つたような、たとえば自分の選挙区だけの供出完納者に対して、万年筆を何々大臣賞として配つたような場合には、検挙の対象になりますか。

中川董治国家地方警察本部警視長(刑事部長)

○中川(董)政府委員 今の御引例のような事案につきましては、そういう行為が行われた状況、その対象ないしはいろいろな点を総合的に考えて研究し、ことにその立証の点等も考えて検挙いたさなければなりませんので、その事案につきましては、明快なお答えはできかねます。

中川俊思自由党

○中川委員 慎重におやりになるのはもちろんだと思うのですが、私どもが常識上考えまして、そういうものが全国の供出完納者に配られたのであるならば、あるいは選挙の事前運動とも考えられないのですが、特にその選挙区だけの供出完納者に配つた場合、これが明らかに選挙の事前運動であることは、常識的にだれが考えてもれつきとした証拠立てができると私は考えておるのです。なるほど四囲の状況とか、いろいろな点を勘案されてということですが、そういうことでだんだんと事前運動がはびこるのではないかと思うのです。愼重におやりになることはけつこうですが、愼重々々というので、いつまでもこれをおやりにならないでおれば、事前運動はますます熾烈になつて来ると私は思うのです。それに対して、今お説のように、慎重にやるというので、そういうはつきりして事例があつても検挙なさるおつもりはありませんか。

中川董治国家地方警察本部警視長(刑事部長)

○中川(董)政府委員 犯罪検挙につきましては、いかなる犯罪でもそうですが、証拠立てその他につきましては、慎重な捜査、慎重な内定をいたしまして検挙するという原則には、公職選挙法の違反につきましても同じであります。そして各地にこういう違反行為が多いということにつきまして、愼重論の結果として犯罪行為が彌漫するという点もよく心得ておりますので、いろいろな点を勘案し、しかも警察活動がほんとうに公正に行われているという輿論の支持を受けつつ、しかも刑事訴訟法その他の手続に従いまして、適正に検挙をやつて参りたいと考えております。

井手光治自由党

○井手委員 私はちよつとこの問題については意見があるのです。私は日本の選挙違反の取締りについて、従来の検察当局及び警察当局の態度を見ても、いつの場合でも選挙に対しては特別捜査本部といつたようなものを設けて、特殊に選挙違反に対して集中的におやりになつている。今刑事部長さんの御説明からいつて、そういう式に重点的に力を集中して取締るということは、刑事政策の上からは当然だと思うのですが、このことがむしろ行き過ぎになる場合がある。私はほんとうのことを言うと、国民に公正な選挙を行わしむる上においては、みずから進んでこれを取締りの対象にしてしまうという方針については、根本的に反対なんです。もつとおおらかに国民を指導して、なるべくそういうふうな違反を集中的に検挙するという態度をとらぬことを望みたい。しかし現実にはそうも行きませんが、いろいろ実情等にあたつてみますと、選挙になつて来ると、各警察署が特定の候補者に対して集中的に捜査をかけて行く。そうしてあがらないと、その警察の力が弱まつた、実績が上らない、点が少いというふうな点取り主義、実績主義の検挙をいたしまするために、公正な選挙を非常に曲げるという事例も少からず私どもは知つておる。そこでこれは寛嚴よろしきを得るという態度が必要なのでありますが、私は日本の選挙については、取締りがあまり強過ぎると思う。先般私どもイギリスの選挙を視察して来たのですけれども、大体取締るという態度はどこにも見られない。投票所の入口なんかにおまわりさんが立つておりますが、これはサービス係で、きわめてなごやかです。年寄りがやつて来ると手をひつぱつて中へ入れる。子供を連れて来るとそれをあやしているということで、何とも言えないなごやかな気分がする。取締り当局と選挙民の間に、渾然一体たるおおらかな気分が流れておりまして、私はみごとなものだと思つた。ところが日本の選挙では、違反者を一人でもよけいあげたら警察の成績がよくなるというので、警察が重点的に各種の候補者に力を集中して成績を上げようとする。だから日本ほど世界で選挙違反の数の多いところはないと思う。これは驚くべきものである。これは国民の側にもわれわれの側にも罪はありますけれども、それをあまりおやりになるということはいけないので、公正な選挙に近づけるという啓発指導の面に重点を置いていただきたい。そこでお伺いをいたしたいのですが、そうかといつて、今中川委員のお話のように、あまり野放しにしておくということはよくない。今日はことに特殊な情勢になつております。選挙が間近だというので、現職の代議士はあまり動かれないけれども、現に追放解除者は盛んにやつておる。それに刺激されて熾烈な選挙の実戰態勢にもう入つておる。しかしこれをこのまま見のがしておくと、公然と行われておるところの買収その他の悪質な選挙違反をやつてもいいんだという頭を国民に植えつけることを、私は非常におそれておる。ですから選挙が始まつたら、惡質の違反を検挙するということはもとより大事でありますが、むしろ事前においても、中川委員の言うように、国民に自覚を与え、あるいは選挙を行うその候補者等にも十分自覚を与えるように、模範を示す意味において、重点的に違反を取締つて、事前といえども、かくのごとき惡質のものは取締るという見本を国民の前にさらして、これを新聞発表等をいたしますならば、私はよほど今回の選挙においても粛正の効果が上るのじやないかという気持を持つておるわけなんです。そこで極端に押えてこれを取締る、全面的に取締りの対象にして強力にやるということよりも、むしろ国民に自覚を与え、候補者に自覚を与えるという指導的な見地における検挙について、お考えはないかという点をお伺いしたいと思います。

中川董治国家地方警察本部警視長(刑事部長)

○中川(董)政府委員 検挙の根本理念と申しますか、公職選挙法違反の罪を含めて、刑罰法令違反の罪につきまして、根本的な検挙の態度は、まつたく同感でございまして、たとえば従来の選挙等におきまして、そのことについて種々手落ちのあつた点は認めるのでありますが、少くとも最近におきましては、検挙が表面に立つて、検挙によつてものを解決しようというような考えは持つていないのであります。すべて検挙される以前の形におきまして、たとえば国民の遵法精神、あるいは民間活動の公明選挙運動、あるいは公職選挙管理委員会の適正な御措置を期待いたしまして、それを中心にして、国民全体の共同生活活動の信頼を非常に裏切るような違反行為につきましては、検挙して参つておるのであります。但し選挙が始まります前後等は、各警察とも捜査本部を開設いたしまして、今後ともこれを総合的に見ることはやつて参りたいと思いますが、その要点は、こういう選挙法違反の各候補者の行為につきまして十分把握しておきまして、同一事案につきまして不公平なことがある、片方の候補者につきましては同様の行為に対して検挙するが、他方の候補者に対しましては知らないことによつて検挙が漏れる、こういうことがありましては公正な選挙を阻害することになりますので、そういう片手落ちにならないという趣旨から、十分特別の施策、態勢のために搜査本部、あるいは連絡本部等を設けておるような次第であります。そういう趣旨から、選挙の告示前後につきましては、今後も捜査本部なり連絡本部なりを設けて参りたい、こういうような考えを持つております。  それからお話の第二点の事前運動につきまして、国民一般の自覚、公明選挙等により、検挙以外の方法で目的を達するということにつきましては、これまた同意見であります。ただいまもでき得べくんば検挙以外の方法で事前運動違反の罪がなくなることを期待いたしておるのでありますが、そういうことを期待しつつ、なおかつ非常に明らかな違反行為があり、しかも各関係者間の公平を阻害しない事案を発見いたしましたならば、これを検挙するという点は先ほどお答えいたしましたと同じでありますので、御了承を願いたいと思います。

中川俊思自由党

○中川委員 今、井手君からおつしやつたこと、まつたくごもつともであつて、たとえば戸別訪問のことも小委員会で問題になりまして、従来友人、知己を訪問するのは戸別訪問と認めないというような但書が入つておつたのですが、それをとるべきかどうかということもずいぶんこの委員会で問題になりまして、社交上で候補者が訪問するのはよいというようなことも、一時挿入したことがあるのです。ところがそれもすつきりさした方がいいんじやないかということからとりまして、戸別訪問は全面禁止というような形になつたのです。しかし衆議院議員や参議院議員の候補者が一つの村へ行つて、兄弟や親類のところにちよつとお茶飲みによつたというようなことまで検挙されるのは、立法の精神に反するではないかと考えておるのです。むろん今井手君がおつしやつたように、立法の本旨にかんがみて、なるべく検挙態勢は慎んでもらいたい。井手君のおつしやつた中に、ことさらに点数をかせぐためにやるようなことがあるということがあり、刑事部長はそんなことはないというような御発言ですが、あなたはないとおつしやつても、地方では確かにあるのです。地方へ行きましたら、選挙違反でも、多くあげたものが警部補や警部になるという事例を幾多知つております。ですから、そういう面もあわせて徹底的に末端まで浸透さしていただきたいと思う。  それからもう一つお尋ねしておきたいのですが、事前運動で検挙されたという例は、このたびではございませんが、従来相当ございますか。

中川董治国家地方警察本部警視長(刑事部長)

○中川(董)政府委員 ずつと以前から、事前運動を選挙の告示以前に検挙した事案は、非常に少いと思つておりますが、事前運動の罪を選挙の告示後に検挙した例は、相当ございます。

並木芳雄改進党

○並木委員 この間も齊藤国警長官が、現行法のもとではなかなか事前運動の取締りはむずかしいという発言をしております。そこで法の欠陥をどういうふうに感じておられるか。実際の取締りに当つて、こういう法律だからここでできないのだ。これは事前運動の性質を持つておるものであるけれども、法律的に欠陥があるから、ここでみすみすできないのだということを具体的に指摘していただきたいと思います。

中川董治国家地方警察本部警視長(刑事部長)

○中川(董)政府委員 事前運動の取締りが困難だという点につきましては、先ほど来申し上げましたし、かねて地方行政委員会で私どもの長官も申されたのですが、法律の欠陷のためにむずかしいということはちよつと言えないのでありまして、選挙法違反の罪につきましては、事前にどしどし検挙するというような態勢をとりますと、自然合法的な政治運動、あるいは社交活動等が犯罪の容疑で逮捕されるというような事案を呈しますし、あるいは甲の候補者と同様な行為が片方は若干捜査の対象になり、片方が捜査の対象にならないということで、選挙以前に不公平な取扱いを受けるという感を選挙民に与えますので、選挙の公正を阻害しないという意味から、法律上そういう制限はないのであります。選挙法違反の罪は、従来とも選挙が終りまして後に非常に重要な犯罪——刑事訴訟法の起訴便宜主義の精神に基きまして、非常に惡質な者から順次検挙して行つて公正な取締りを保持して参りたい。選挙法違反の罪に対する全体の公正感を保持する意味におきまして、事後検挙と申しますか、そういう建前をとつて参りました。またそうすることが選挙干渉等のそしりを受けない、また公平感を保持するという点からそういうふうにやつて参つたのであります。そういう感覚を持ち、そういう角度を持つてやつて参りますと、事前にただちに検挙するためには相当激しい、相当違反行為の歴然たるものを中心にしなければならぬ、こういう意味合い上の苦心でございますので、それは法の欠陷といえば法の欠陷でありますが、そういう選挙法違反の罪に基く性質による検挙の困難性ということを申し上げなければならぬと思うのでございます。

並木芳雄改進党

○並木委員 その点、法務府として何か御意見はありませんか。結局今の法律のもとでは、事前運動というものは処罰されないのじやないか。私たち自分で法律をつくつていながら、そんなふうに感ずるのです。何かもう少し的確な事前運動の定義なり罰則規定を許けないといけないのじやないかと感じているのですが、法務府としての所見を伺つてみたいと思います。

長谷多郎検事(檢務局刑事課長)

○長谷説明員 検務局長が破防法の委員会で今答弁中だそうでございますので、かわつて刑事課長でございますが御説明だけ申し上げます。ただいまの点について、公職選挙法の規定の上から見て、法律上事前運動の検挙がてきぱき行かないというように見えるが、法律技術的な難点はどこかという御質問だと思います。技術的にそれを申し上げますと、選挙運動の定義がこの法律では明らかでないのでございます。判例によりまして、この点がある程度確定いたしております。ちよつと簡單に申し上げますと、一定の議員選挙につき、一定の議員候補者を当選せしむべく投票を得、もしくは得せしむるにつき、直接または間接に有利なる周旋、勧誘、もしくは誘導、その他諸般の行為をなすことを汎称するというのが判例の定義でございます。従いまして、この判例を基準といたしまして、法律の運用に当るわけでありますが、第一点といたしましては、選挙運動について選挙と候補者というものを特定しなければならないという問題がございます。期日前、立候補届出前におきましては、選挙と候補者というものの特定について、理論上は可能でありますが、実際問題といたしましては、はなはだ困難を感ずることがあるわけであります。これが第一点であります。  第二は、これまた判例によりまして、立候補の準備行為、それからまた俗にいわれております現在の議員の選挙区の培養等の行為が、この公職選挙法にいう選挙運動から除かれております。従いまして、これらの行為と実際の事前運動の限界について、きわめて不明確なものが法律的に出ることは免れないのであります。これらの点を実際の検挙、起訴の実施面から申しますと、法律技術的に相当なる難点を生ずると考えるのであります。このような点が欠陷であつて、さてどうすればそこが押えられるかという問題につきましては、たとえば判例で固まつておる定義をただちに法律に取込むということも一案でありましようが、さてそれを取込みましても、なおかつあいまいなものは残るのであります。たとえば先ほど読みました判例の中で、結局投票を得、もしくは得せしむるために、一定の選挙で一定の議員候補者のためにやるいろいろな類似行為はありますが、役立つあらゆる行為というふうにも読める余地が判例には存しております。その役立つあらゆる行為というものが、これはピンからキリまで含めますと、常識から言つても許されないものを含むことに相なります。それを、やはり健全な社会通念によつて、ある程度具体的に決定しなければならない、こういう問題も持つわけでありますから、ここら辺がやはり書いて書き切れない点になるのではなかろうか。  もう一つは、やはり実態の面から言いまして、政治活動の自由なんかの観点とあわせ考えまして、選挙運動とそうでない、これに準ずる類似行為の区別が実体上つきがたい本質を持つておるということや、それからそれをあまりにはつきりしてしまうと、かえつてまた困る面もあるのではなかろうか。これはやはり聰明な判断によりまして、国民の教養の程度、選挙に対する感覚というようなものを総合した点で、ある程度漠然とした線が出て来るのはやむを得ないところではなかろうか。それをどこへ線を引くかと申しますと、たとえば私どもの立法技術の点だけから考えましても、相当な難点がありまして、じやお前あした書いて来いとおつしやると、ちよつとできないくらいな、もう少しひまをいただかなければ無理な程度である、このように法律的には考えます。

並木芳雄改進党

○並木委員 なかなかむずかしい問題になつて来るわけですね。法律的に規定できないとなると、結局全国選挙管理委員会の方にやはりこれが持つて行かれるのではないかと思うのです。この間選管に対して、事前運動取締りの粛正の要望をしておいたのですけれども、その後何か対策ができておりますか。

吉岡惠一総理府事務官(全国選挙管理委員会事務局長)

○吉岡政府委員 まだ外部に発表する程度には至つておりませんが、なるべく国民から盛り上る選挙の公明化と申しますか、選挙粛正と申しますか、そういう気持を選挙民各位が持つように持つて行きたいということで、いろいろ画策をいたしております。

並木芳雄改進党

○並木委員 何か具体的のものを二、三……。

吉岡惠一総理府事務官(全国選挙管理委員会事務局長)

○吉岡政府委員 昔、あれは昭和十一年ごろでありましたか、選挙粛正運動というものがありまして、相当国民を啓発して、なるべくりつぱな選挙をやるという運動を起したのです。あの当時の行き方が今の時代に適するかどうかということは非常に疑問でありまして、やはり国民運動である以上は、国民がみずからやるというような形に持つて行くべきだ。しかしながら理想論としてはそういうことを申しますが、実際はなかなかそうは参らぬ、やはり政府としていろいろ骨を折らなければならぬ点が多々あります。そういう態魔で役所が先頭に立つてやるという形はなるべく避けたい、こういうことでやつております。その現われといたしまして、東京の三大新聞が公明選挙運動を記事として相当取上げております。聞くところによりますと、これは記事だけではなく、演読会その他のこともやりたい、こういうことであります。それからやはり民間有志の会合も相当できて、こういうところがいろいろやられるについて、われわれはできるだけの援助をしたい。それからそれが地方へ徹底するにつきましても、よくまだ具体的に会合は開いておりませんが、地方の選挙管理委員会にお話をして、そういう機運が醸成されるようにやりたいと考えておりますが県によりましては、自発的に選挙粛正委員であるとか、あるいは公民館であるとか、ああいうものを使つてやつている府県が二、三ございます。

島田末信自由党

○島田委員 一般国民も、事前の選挙運動は違反であるという認識は持つていると思うのです。ただ今日の場合、事前の選挙運動は取締る方法がないのだというような甘い考えが一般に持たれているのではないかと思います。そこで事前運動を直接検挙するというようなことはなかなか困難には違いないが、しかしそういう選挙違反自体は、ある時期においてやはり検挙の対象となるし、取締り得るのだということと、事前運動が候補者を傷つけ、あるいはそういう運動をやつた者を、犯罪を構成するのだということで、何か警告を発するというか、特に選挙法の改正、あるいは言論機関の選挙粛正を大いにやろうとする、こういう機運とマツチさせて、取締り当局として打てる手があるのではないかと思いますが、その辺を何か国民に徹底させるような方法を、こういつた機運に伴つてうまくやつてもらうようなことが必要ではないかと思うのです。これに対して何かお考えですか。

吉岡惠一総理府事務官(全国選挙管理委員会事務局長)

○吉岡政府委員 今のお話の点で、事前運動らしい非常に目立つ行為については、警告という方法がある。これはやはり警察としては、おそらく非常にやりにくい、やればやはり選挙管理委員会だと思うのです。私の方の牧野委員長なんかも、場合によつては警告を発するということを言つておられますがただこれは非常に慎重にやりませんと、選挙管理委員会が全体の情勢をよく知つて詰るわけではないのでありますから、それも一つの方法でありますが、やはり公平ということも考えませんといけませんので、相当慎重を期してから、やる場合はやるべきであると考えております。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 これは私きのうも申し上げたのですが、先ほどから議論があつたかもしれませんが、私おそく来ましたから……。判例の上から言うと、確かに選挙運動をやつておるということが明らかであれば、事前運動として、選挙告示のないときにやつた運動はいかぬということになつておるのですか。違反になるという判例があるのですか。あまり目に立つて明瞭なものは、ただちに取締りの対象になると思いまするが、これは取締り当局として、どういうお考えをお持ちになつておるか。(「それは今済んだよ」と呼ぶ者あり)なるというのですか。(「なるのだ」と呼ぶ者あり)それならばやつてもらつていいと思います。やつてもらわなければいかぬと思うのです。選挙法では戸別訪問していかぬというのに、事前運動はいいのだというので、かつてに戸別訪問をやる、金品をもつてそこらに配つて歩くというのは、そこらにざらにあるのですから、これを取締らぬというようなことはたいへんですから、ただちにやつてもらうことをお願いしたいが、いかがですか。

中川董治国家地方警察本部警視長(刑事部長)

○中川(董)政府委員 先ほども申し上げたのですが、立証可能な事前運動の罪につきましては、ただちに検挙することにつきましては同感でございます。但ししばしば申し上げますように、私どもは公職選挙法第七條によりまして、公正にその取締りをやらなければならぬ責任もありますので、ある同様な行為をしている者が、たまたまある一人の人が検挙の対象にならないということにつきましても、また細心の注意を払つておりますということが一つ。それから国民全体の遵法精神の高揚ということを、まず第一眼目として、真にやむを得ないと思うときに、警察の手によつて取締るということがあり得るということを根本に考えておりまして、ただいま全選管の方からお話がありましたように、民間運動も起つておりますので、そういう活動と関連いたしまして、国民の全体の信頼感を基礎にしたような選挙活動をやつてもらいたい、こういうふろに思つております。

並木芳雄改進党

○並木委員 今の鍛冶委員の御発言、ごもつともなんです。ただそういうことを抽象的に申合せてもよいかどうか趣旨はもちろんけつこうなんですが、法律的に申しますと、公職選挙法二百五十三條の第三でございますが、それに「前二項に掲げる罪以外の本章の罪の時効は、六箇月を経過することに困り完成する。」というような、要するに罪の時効に関する規定がございます。ですから、これをきつぱり幾日ということにきめてもらわないと、検察当局も困るのじやないかと思います。ですから今度の衆議院議員の選挙を控えて、これは任期一ぱい持つものならば、期間というものははつきりいたしますが、場合によつては早くなる可能性もあるようであります。そこでどうでしようか。公職選挙法の二百五十三條というものを、今回に限り特例法を設けて、即時実施できるというような方法は考えられないかどうか。その点三浦部長いかがでございましようか。そうすれば私は検察当局としても、はつきりきめ玉が出て来るわけですから、先ほどの鍛冶委員の御趣旨に沿うことができると思います。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 それは立法は可能だと考えます。しかしながら、この二百五十三條の第三項の規定は、必ずしも現在議員であるとか、そういうこととはかかわりなしに、犯罪が行われまして、犯罪があつてから六箇月を経過すると、時効によつてその罪を問うことはできない、こういう趣旨でありますから、事実犯罪行為が行われて、六箇月の期間が長いか短いかによつて判断すべきであろうと、かように考えております。

小澤佐重喜自由党

○小澤委員長 鍛冶君がきのう言つたような判例のように、まだ立候補は現実にしなくても、立候補することが明瞭な場合には、その事前運動として罰することができるということになれば、これは直さなくても、要するに六箇月以内であればできることになるのです。だからこの規定、六箇月を直さぬでも、この判例によつて検挙するという方針がつけば可能なわけです。立候補してからでなければ検挙できないのだという解釈になれば、あなたの言うことが必要だということになる。六箇月には関係がないのだという解釈をとれば……。

菅家喜六自由党

○菅家委員 ちよつとおそく来ましたもので、あるいは重復するかもしれませんが、東京の三大新聞でやつております粛正運動、そのうちの一社が、全国の事前運動の真相というものを、各記者を派遣して座談会をやつておつた記事を見ましても、相当にひどいものがあるようです。たとえばある鉱業主が、すでに何べんも立候補している人であるが、連日にわたつて自動車、ハス、十何台を雇入れ、婦人会とか、消防団であるとかを、鉱山見学という名前で鉱山を案内し、饗応して帰しているということが出ておりましたが、実際はどうかわかりませんが、ある候補者は、全選挙区の人にアメリカの映画を無料で見せまして、その帰りに、鉛筆に自分の名前を書いたものを全部の選挙区の人に配つておる、これも新聞に載つておりますが、事実はあつたかなかつたか、この種の例はひとりそればかりでなく、広範にあると思うのでありますが、検察庁なり、警察なり、あるいは全国選挙管理委員会等において、これらに警告というか、注意を喚起するような何か手段がないか。いまだに選挙の期日が決定しておらないのであるから、六箇月ということにならなければ、選挙違反が構成しないのだということになりますと、これは現在たくさん行われておるのでありましてもうすでに来年はその期日になつておるのであるから、今、さようなことをやつておるということは、まことにどうも非難が多いところであるから、これは国家警察なり、選挙管理委員会なり、その他の機関で、何か注意を喚起するようなことでも、相当の効果があると思います。この間新聞があれだけ報道しただけでも、相当きき目があつたようです。そういう何か具体的な方法はありませんか、それをちよつと伺います。選挙管理委員会でもよろしいし、検察でも、国家警察でもよろしいのですが……。

小澤佐重喜自由党

○小澤委員長 この問題はたびたび答弁があつたので、重複しますが、要点だけ御答弁願います。

中川董治国家地方警察本部警視長(刑事部長)

○中川(董)政府委員 今のお話、われわれが考えますところでは、国会、政府、あらゆるものが、そういうものはいかぬのだ、選挙上好ましくないのだという決議なり何なりで態勢を示すことは、やはり一つの方法だと考えております。

菅家喜六自由党

○菅家委員 国会が……。

中川董治国家地方警察本部警視長(刑事部長)

○中川(董)政府委員 国会、政府、あらゆるものが……。

前田種男日本社会党

○前田(種)委員 刑事部長と法務府にちよつとお聞きしますが、さつきあるいは質問があつたかもしれませんが、選挙費用を厳重に守る、守らせる、問題はこれだと思いますが、イギリスのように、必ず選挙法定額を守るということであれば、あとは野放しでも不成功には終らない。日本の場合は、法定選挙費用がありながら、実際にこれは守れない。守つておるものはほんのわずかだという現状が一番問題であるが、これはただああいう会計の報告書を出しただけで、そのまま承認するということでなくして、全体はなかなか行かぬが、目に余るのは相当あると思いますから、これに対しては、こういう法律がきちつとあるのであるから、何とかいい取締りの方法はないかどうかということです。この点に厳重ににらみをきかして、厳重に守られますならば、ほんとうはある程度選挙粛正が実行されると私は考えます。この点に対する取締り当局の見解、あるいは方針等をひとつ承つておきたいと思います。

中川董治国家地方警察本部警視長(刑事部長)

○中川(董)政府委員 公職選挙法違反の罪は、すべていろいろな点につきまして、視察あるいは証拠の収集等につきまして努力しておるのでありますが、御質問の費用超過の罪につきましては、相当その立証等が困難でありまして、検挙につきまして、困難性は認めざるを得ないのでありますが、そういう費用超過の点につきましても周密な調査を従来もやつておりますので、今後とも費用超過の罪につきましては、十分に検挙できるような実施方法につきまして、研究いたしたいと思います。

長谷多郎検事(檢務局刑事課長)

○長谷説明員 同感でございますが、現在の建前では費用は届出で見るという形になつておりまして、その実態を現在ではよく監査する方法がないわけでございますから、その点で、あるいはそこら辺が直れば、もう少しこの関係の取締りが法律でできるのではなかろうかというふうに考えます。

前田種男日本社会党

○前田(種)委員 今の刑事部長の答弁を聞いておりますと、まつたくおざなりだと私は考えます。今日もう選挙費用の超過というようなことは大びらだといわれております。この実態を、今のような答弁で対処しておりますから、どうにもならないという結果になつて、どうにもならないからやつた方が得だ、金を使つた方が得だという結果になつておるのです。ここにやつぱり何とか積極的に法を守らせる、あるいは厳重に違反行為に対しては監視の目を光らせて、厳重な対策を立てるということがなされなければならぬと私は考えます。もしその意味で、ほんとうに法が不備であるならば、こういう点をこうしてもらいたいと、積極的な意見を出してでもこの点は守らせるあるいは嚴重にやるという気構えがないと、今のようなおざなり的な答弁なら、結局やつた者が勝だという結果に終つてしまうと思いますので、さらに当局の見解があればお聞きしておきたいと思います。

中川董治国家地方警察本部警視長(刑事部長)

○中川(董)政府委員 公職選挙法違反の罪につきましては、すべてにつきまして、われわれは立証の点につきまして非常に苦心する刑罰法令の一つであることは、認めざるを得ないのであります。そういう点につきましては、われわれ警察の証拠收集カその他を非常に高揚いたしまして、検挙すべき罪が検挙洩れにならないように、十分やつて参りたいと思うのであります。ただ先ほども申しましたように、公職選挙法違反の罪を少くする方法は、検挙態勢ばかりをよくして行くという考え方につきましては、いささか研究を要する点がありまして、先ほども申し上げましたように、なるべく民間の運法精神の高揚、選挙管理委員会の適当の御処置によりまして、公明な選挙が施行されることを期待いたしまして、非常に悪質なものにつきましてこれを検挙して参る、こういう態勢で進むことがこういう選挙法の運用の重要なキー・ポイントになろうと考えておるわけであります。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 どうも御答弁を聞いておりますと、やつかいなものに手を触れぬがいいというふうに受取れるのですが、私の見解を率直に申し上げますと——あなた方は、私が間違つておつたら間違つておると言つてもらいたいが、選挙法二百三十九條には、百二十九條の規定に違反して選挙運動をした者とあります。百二十九條は、いわゆる事前運動です。六箇月前であろうが、一年前であろうが、この次の選挙に立つのだという意思が明らかになつておつて、そろして運動しておるということが明瞭であれば、二百三十九條によつてただちに、取締り得ると思うが、この占はどうなんです。もし取締られるならば、なぜお取締りにならないのか、御答弁を願いたい。

中川董治国家地方警察本部警視長(刑事部長)

○中川(董)政府委員 御承知の通り、今の選挙運動期間でない期間、この事前運動の罪につきましては、ただちに取締り得るのであります。ただちに取締り得るのでありますが、取締りするためには、しばしば申し上げましたように、公訴を提起いたしまして、有罪判決を受くるに足る証拠を牧集いたしまして、これに十分な証拠を収集するにあらずんば、検挙することが困難である、こういうことを申し上げただけなんであります。と同時に、私どもは公職選挙法違反の罪につきましては、常に各関係者に、公正にこれをやつて参らなければなりませんので、全体に不公正がないように、あるものにつきましてはこれを問議する、他のものについてはこれを問議しないと、こういうことにならないように、十分配慮をしつつ立証の点も考えつつ、検挙したいと考えておりますので、御了承願います。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 もう一つ、二百二十一條は当選を得る目的をもつて金品を供与したものをみな取締つておるのですが、事前であろうが事後零あろうが、何年前であろうが、この次の選挙に立つのだということの意思を明瞭にしながら金品供與をしておつたら、これはただちに取締れると思うが、この点はどうです。

中川董治国家地方警察本部警視長(刑事部長)

○中川(董)政府委員 今の説の通り、それも同様にやつておりますので御了承願います、

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 しからばこういうことが明瞭になつたら取締られますか。現今やつておるということは、あなた方の耳にもいやになるほど入つていると思う。少くともさようなことがあつては困るから、ただちに取締るのだという声明くらいはやつてもらつてもさしつかえないと思う。どんどんやつておつたら取締つてもらわぬと、立証なんかそんなことは当然なことで、証拠がないものをやれとはいわない、明瞭にやつて飾るものを取締らないというのはどういうのだと、こういうのです。

中川董治国家地方警察本部警視長(刑事部長)

○中川(董)政府委員 明瞭なものを検挙することにつきましては、かねがね申し上げた通りなのですが、これを行政処置としてやるとかいう点につきましては行政庁の方で御研究になつておりますので、御了承願いたいと思います。

田渕光一自由党

○田渕委員 首脳部が取締るというような方針であつても、第一線の国警の警察官が、完全な証拠を握つておるということでなければいかぬというが、もちろんそうでなくちやいかぬが、その証拠を握るのには、現行刑法において、現行犯でなければ取締れない、くくれないということになつておるが、あなたが今思つておることと、一線警官がやつておることとの間に食い違いが出て来る場合に、どういう考えを持つておるか。現行刑法では、現行犯でなければやれないということになつておる。どうもやつているらしいという場合、われわれが証拠を提供しても、どうもはつきりしないということでやらないとそこに乗じて追放解除者がどんどんやつておる。おなたが取締るということは抽象的なことで、取締らなければならぬ。ところが実施面に行つてどういう具体的な方法で取締るかということを、はつきり言つてもらいたい。

中川董治国家地方警察本部警視長(刑事部長)

○中川(董)政府委員 公職選挙法の違反の罪に限りませんで、すべて現行犯の場合はもちろん取締れますが、非現行犯の場合でも、刑事訴訟法に認められております逮捕状による強制送付でなくとも、民事訴訟法でもできますので、公職選挙法の罪等につきましては、現行犯の場合もやることは可能でありますが、いろいろそのときに選挙干渉等の誤解のないような点も考えまして、おおむね非現行の場合におきまして、事後の捜査に上り、立証の確実なものにつきまして検挙しておるのでございます。

田渕光一自由党

○田渕委員 それでは私は、この前にこれに対して質問があり、御答弁があつたら、その速記録で伺いますからけつこうでありますが、たとえば現職議員が、国会が終ると同時に国会報告をやる、それから追放者が時局講演会というような名のもとに演読会をしておる、こういうような場合において、この演読会に沸いて、たとえばスライドを利用するとか、視覚神経、聽覚神経を使うためには、もちろんいろいろな手がありましよう。こういう現職の議員が国会報告の演読会を開くというのと、追放解除者が時局講演というような名前において、自分はこういうぐあいにやるのだという意見の発表をやるのと、どういうぐあいにこれを解釈されておるか。現職の議員がやつているならば当然であり、追放解除者の時局講演というものが事前運動になるかどうか、こういうような解釈を伺いたい。もし答弁があつたとおつしやるならば、速記録を調べるからけつこうであります。

中川董治国家地方警察本部警視長(刑事部長)

○中川(董)政府委員 ただいま御説明の二つの例の場合は、おおむね合法的な場合が多いと思います。ただ問題は、先ほども申し上げましたように、特定の者を当選せしむる目的でいろいろあつせん行為をやるということがはつきりいたしたものにつきまして、事前運動の罪となるのであります。

石原登自由党

○石原(登)委員 私は具体的に聞きますが、こういう場合はどうですか。今度立候補するというものは、おそらくは当選しようという自的だろうと思うのですが、相当数量の自分の名前入りのふろしきをつくつて、それを選挙区に限つて送つているのです。この事実ははつきりわかつているのですがあなた方こうこうだと言うことをちやんと研究しておられますか、どうですか。これは具体的な事例です。どうですか。

小澤佐重喜自由党

○小澤委員長 それは石原さん、そういう事案を検挙するとかしないとか言えませんよ。それは調べなければ……。

石原登自由党

○石原(登)委員 いや、そういう事実は……。

小澤佐重喜自由党

○小澤委員長 事実でも、單純に一口で犯罪になるかどうか言えないですよ。それでいいでしよう。答弁もどうせぼくと同じような答弁しかしないよ。  そこで要は皆さんお聞きの通り、目に余る事前運動というものを全国にわたつて非常にやつておる。これは今言つた趣旨で、公正を害さぬ程度で厳重に罰してくれ、こういう要望ですからお帰りになつてよく相談して、その通りやつてください。なお今の委員会の空気からいうと、かりにすぐ罰するとか検挙するとかいうことをしないにしても、こういう解釈でこういろ判例があつて、これは選挙前でも検挙可能なのであるから、これを取締れということを部下にまわしただけでも相当の意味があるから、そういうことも考慮に入れて検察庁の方でも、国家警察の方でも、十分適当な処置を講じてください。たいへん御苦労さまでした。  それではきのうの小委員会の報告に対して、質疑がありましたらばこの際御発言願います。

並木芳雄改進党

○並木委員 政党の機関紙の発行のことですが、三浦さんにひとつこれを確かめておきたいと思います。選挙運動に関するものは一回ということです。その他の普通の発行は、選挙運動期間中でも、たとえば毎日、あるいは一週間に二回とか、そういう発行はさしつかえないわけですか。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 それは、回数についての制限は設けておりせんので、機関紙一種とか、雑誌一種に限つて認める、こういうことだけでございます。

並木芳雄改進党

○並木委員 そうすると、これは金さえあれば幾らでも発行していいということになるわけですね。それからあるいは兵庫版とか、あるいは関東版とか、その点を、今度新しく出て來たものですから、具体的に説明しておいていただきたい。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 その問題につきましては、法律の二百一條の八、三十八ページのところに一応規定してございますが、政治団体の本部において直接発行し、かつ通常の方法によつて頒布する機関新聞紙または機関雑誌で、自治庁長官に届けたものいずれか一つに限つてこれを認める、こういうことになつておりますので、大体御趣旨の点はこれの中で規定されておる、かように考えております。

並木芳雄改進党

○並木委員 私の言うのは本部で発行するけれども、ちようど地方版も発行する新聞と同じように、たとえば中国版という特定版を中に一ページ刷り込むとか、東北版を刷り込んで、東北なら東北における候補者だけをそこにクローズ・アツプして、各地域別にうまく便利に利用されるような発行方法は許されるかどうかということです。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 その点は、政党その他の政治団体の本部で直接発行するものであれば、編集の内容等についての規制はいたしておりませんので、今のような、たとえば本部で発行しますのに、地方版を設けたり、地方の記事を書く、とこまでは押えておりません。

小澤佐重喜自由党

○小澤委員長 ほかに質疑はございませんな。——質疑がありませんければ、これで質疑は終了いたします。  次に、本小委員会におきまして取扱いました議事を進行したいと思いますが、ただいまの小委員会の案に対して本委員会でさらに討議された事項もございますので、これは一応小委員会の修正というような形で進みたいと思います。ただいま小委員会の成案に対しまして、鍛冶良作君から修正案の動議が出ております。鍛冶良作君から趣旨弁明を願います。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 二百一條の七の政党その他の政治団体の選挙運動のところに「政談演説会の開催並びに宣伝告知」としてありますが、ここに「及び街頭演説(連呼行為を含む。)」と入れたいと思います。  しかしてこの第一号の次に、第二号を新たに設けまして、「街頭演説(連呼行為を含む。)の開催については、第三号の規定により使用する自動車上」とこれは当然だと思いましたが、きのう疑義が出ましたので、政党の連呼行為及び街頭演説といえども、ここに出ております自動車の上でなければいけない、こういうことに明瞭にするだけであります。私は当然だと思つておりましたが……。これは二百一條の七の三号としてこれだけのものを入れます。  そのあとの6項のあとへ7項を入れまして、「第百六十六條の二(夜間の街頭演説及び連呼行為の禁止)の規定は、第一項第二号の街頭演説(連呼行為を含む。)について準用する。」要するに正当の連呼行為といえども、時間外にやつてはいかぬ、こういうところを明瞭にしただけであります。  従いまして罰則に、二百五十二条の二の二項の三号として「第二百一条の七第七項において準用する第百六十六條の二(夜間の街頭演説及び連呼行為の禁止)の規定に違反して街頭演説(連呼行為を含む。)をしたとき。」とし、要するに九時以後においてやつた場合正当の行為といえども罰する、こういうことであります。当然のようなことですが、明瞭にしただけであります。  それから昨日の未成年者の罰則については、きのうできまつておりましたからあの通り、今あらためて出しません。

小澤佐重喜自由党

○小澤委員長 それでは、ただいまから小委員会の成案並びにただいま提出の鍛冶良作君の修正案、いずれも一括をいたしまして討論をいたします。なお徹底しないようでありますが、小委員会の成案を委員会案として提案をするかどうかという問題の討論であります。従つてそれに対する内容の討論も一緒に含めて願いたい。共産党から特に内容に入つて言いたいといろ申出もありましたが、これは別であります。自由党、改進党、社会党は小委員会の案で大体了解しておるのですから、いわゆる小委員会成案、修正案に賛成なら賛成という程度で討論を願つてけつこうだと思います。井手君。

井手光治自由党

○井手委員 それでは私は自由党を代表いたしまして、小委員会の原案と、ただいま鍛冶委員から提出になりました修正案に賛成の意見を申し上げます。相当長期にわたりまして小委員会が公職選挙法改正に最善の努力をいたされたことにつきましては、まことに敬意を表するのであります。  本法の改正は、大体のねらいといたしまして、従来の公職選挙法において運動の行き過ぎに対しまする点をさらにできる輝け規制するということが第一点、第二点は、公明な選挙を行います上にできるだけ経費の節減をはかりまして、法定選挙費の範囲でやりたい、こういうことのようであります。また第三点は、公明な選挙を行う上におきまして、候補者並びに選挙民が遵法の精神において行い得るよう限度をできるだけ規制して行く、こういう点にあつたようであります。  いろいろ問題もありますし、議論の点もまだ残されておりますが、この三つの目的を達成いたしますために、各條文におきましていろいろくふうがなされまして、本案ができ上つたのであります。私はこの点におきまして原案に賛成いたし、また修正案に賛成いたしたいと存じます。  最後にちよつと申し上げておきますが、今度の改正法案におきましては、選挙粛正に関する意見等も出ておりますので、この点は関係当局におきまして、また国会側におきましても、選挙粛正に対する意思を十分に世間に発表いたしまして、その粛正の目的が達成せられますように、各般の運動を展開していただきたい。それから本改正法案につきましては、問題になりました別表の改正は今回は取上げておりません。前の改正のときから現実に五箇年経過しておらないために、改正なさつておりませんようですが、これは一部輿論を無視した点がないでもないと思いますので、この次には必ず改正するようお願いを申し上げて、賛成いたします。

小澤佐重喜自由党

○小澤委員長 河野金昇君。

河野金昇改進党

○河野(金)委員 長期間にわたつて改進党、自由党、社会党が中心となりまして、まとまつたところだけをまとめ上げたのがこの改正案であります。従つて反対をする理由は毛頭ありませんから、原案並びに鍛冶君の修正案に、改進党を代表して賛成をいたします。(拍手)

小澤佐重喜自由党

○小澤委員長 前田種男君。

前田種男日本社会党

○前田(種)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、小委員会の案並びに鍛冶委員の修正案に賛成いたします。二、三の希望を申し上げますならば、選挙法のごときは、理想から言えばまつたくイギリス式の選挙になつて、各自自由な選挙活動ができるということが理想でございますが、現行選挙法はある程度自由な選挙運動を許した余地もあつたのですが、昨年の選挙は、遺憾ながらああいろ結果に終つたわけであります。それから改正の内容につきましては、一つ一つ項目をあげますならば、わが党としてはさらにもつと希望がございます。運動員や労務者の制限の問題、あるいはポスターの問題、あるいは個人演読会の回数をふやす問題、あるいは公務員の政治活動の制限の緩和の問題等々あるのでございますが、全体の改正案を総合して今日結論が出ておりますので、一つだけを取上げまして、これはけしからぬ、これはどうというべきものでもないと考えます。そういう関係で、私はこの内容について、さらにもつと欲を言えば、たくさんの希望なり要望がございますが、今日この案に賛成いたします。  ただ願わくは、この法律が完全に守られること、また完全にこれが施行されて、選挙の公正が期せられるような状態にならなくてはならぬと思います。どんな法律をつくりましても、この法律が守れないという今日の世相、今日の情勢等につきましては、お互いが一段と努力いたしまして、明るい公正な選挙が行われ、また当局も選挙の公正を期すためには勇気を奮つて、取締りの面につきましても、為るいは一般政治教育の指導につきましても、選挙の指導にあたりましても、相当大胆な方針でやる必要があるのじやないかそれがある程度期せられなければ、どんなに法律が正しくできておりましても、守れないということになりますから、この点を特に注意を喚起し、そうして委員長報告の中にもこの内容が十分盛られ、また衆議院といたしましても、来るべき選挙に対する心構えとして、明確な線を打出すということを附加いたしまして、賛成いたします。

小澤佐重喜自由党

○小澤委員長 立花敏男君。

立花敏男日本共産党

○立花委員 本日の朝日新聞の社説として「本末を誤つた選挙法の改正」という論文が掲げられておりまして、私どもがただいま討論に付しております公職選挙法改正を根本的に批判いたしております。まつたくこの選挙法の改正は、本末を転倒したやり方でありまして、軍に選挙費用の軽減をはかり、あるいはその他技術的な改正にとどめるのだということを表面の理由といたしながら、新聞あるいは雑誌等に対する言論の自由、表現の自由を制限し、あるいは政治団体の活動を制限し、あるいは未成年者の選挙運動への参加を禁止いたします等、まつたく本末転倒のことで、場合によつては憲法違反であるという疑いのある制限さえあえてしております。従つて表面に掲げましたところの、選挙費用を軽減するとか、あるいはその他の技術的な行き過ぎを改めるということは、まつたく表面の口実にすぎないのでありまして、この選挙法改正の本質は最も反動的な最も奴隷的な改悪であるということは、一点疑いの余地がないと思います。すなわち今政府の最も恐れておりますものは、吉田政府の売国政策、軍事植民地政策に対する国民の反対であります。先般来の四月十二日、あるいは四月十八日のゼネスト、あるいはメーデーの闘争を経まして、明日から開始されますところの第三波ゼネスト、こういうものは全部吉田反動内閣の軍事植民地政策の収奪、あるいは彈圧に対する反対として、全国的な、国民的な闘争として沸き起つておるのであります。これに対しまして、大衆が政治的に大きく高揚して、その代表が議会に進出して参る。これに対する抑圧政策、この国民の憤りを議会にどうして持ち込まないようにするか、これがこの選挙法の根本的な内容であることは間違いないと思います。  さらに選挙運動期間を通じまして、国民の吉田内閣の施策に対する批判を極端に恐れる結果、選挙運動期間を短縮し、選挙運動を制限し、演読会を制限し、あらゆる一切の方法を講じまして、国民の選挙運動を制限したわけなのであります。これはこの選挙法の改正だけではありませんで、現在行われておりますところの地方自治法の改正におきましても、地方議会議員の定員を二万六千名縮減するということが規定されております。あるいはこの選挙に関しまして最も重大なことは、選挙管理委員会を廃止いたしまして、政府の一付属機関にいたしまして、地方自治庁長官が選挙管理の事務を扱うということにいたしておる点と、もう一つは、今回の警察法の改正によつて、直接選挙運動を取締りますところの警察を政府が一手に掌握いたし、すなわち国家警察本部長官の任命、あるいは警視総監の任命、あるいは自治警の国家警察への編入というような形で、選挙管理と選挙取締りを一手に吉田総理大臣が握つてしまうわけなのであります。これはまつたく吉田総理の掌握下における選挙、かつての翼賛選挙と何らかわりがありませんので、明らかにフアツシヨ的な選挙が行われるということを明白に暴露しておると思うのであります。  以上述べましたようなことが、今回の選挙法改正案の本質的な問題でありますが、以上述べましたことを個々にわたりまして立証いたしておく必要があると思いますので、個々の條文に関しまして、反対の理由を申し述べておきます。  まず第一には、供託金を衆議院の場合に現行三万円を十万円に引上げる。これは明らかに、金によりまして被選挙権を制限することは明白である。このことは最も明白な現われなんで、これは何人といえども否定することはできないと思う。さらにもつと明白なのは、選挙運動期間の短縮である。これはさいぜんも申しましたように、選挙運動期間を通じての、現在の吉田政府の売国的な政策に対する国民の批判を極端に恐れまして、これを制限いたそうということは間違いないのであります。  さらに未成年者の選挙運動の禁止でありますが、戰後の一つの特徴として青少年の間に政治的な批判の目が高まつて来ている。これに対しまして、未成年者の選挙運動への参加の拒否、政治活動の禁止ということになつておりますが、これも反動吉田政府の本質を暴露したものであろうと思うのであります。  さらに署名運動の禁止等も、これは最も大衆的な、最も金のかからない国民的な政治運動の一つの形態でありますが、これを選挙運動に名をかりまして、禁止いたしております。  さらに文書図画の禁止でありますが、無料のはがきの三万枚を一万枚への制限、ポスターの全面的な禁止等は、これも最も金のかからない、しかも大衆的な選挙運動の手段でありますが、これを完全に制限し、あるいは全面的に禁止するということは、さいせん申しました選挙法改正の本質から当然出て来るものだと思うのであります。  さらに問題でありますのは、さいぜん申し上げました朝日新聞の社説もあげておりますように、新聞紙、雑誌の報道及び評論の自由の制限であります。これは憲法に保障されました出版の自由、あるいは表現の自由を極端に制限するものでありまして、この降順一つをとりましても、今度の選挙法の改正の本質の反動的な性格が暴露されておると言わざるを得ないと思うのであります。  さらに放邊の場合も同様でありますが、一「虚偽の事項を放逸し又は事実を歪曲して放邊する等表現の自由を濫用して」というあいまいな表現を用いまして実は放邊の自由を制限しておりますが、これも憲法の條項に反するということは間違いのないところであります。さらに立合演説会の場合におきまして、私どもが小委員会で主張いたしました、少くとも労働者の多数おります工場等におきましては、労働者の要求によつて公開の立会演説会が開けるようにするという規定が明確に入れられておりません。現在労働者は朝から晩まで、あるいは夜業いたしまして、演読会等に対してもほとんど聞く機会が与えられていないのであります。こういう労働者に対しましては、その職場において各党の演説が聞かれるという形にするのが当然だと思うのでありますが、この峰項が入れられていないということは、労働者の要求を完全に無視していると言わざるを得ないと思う。さらに個人演説会の回数を四十回に制限いたしておりますことは、何をもつて四十回ということを規定いたしましたのか、これはまつたく根拠不明でありますが、個人演説会のごときものは当然無制限に許すべきものでありまして、回数を限るべきものでは絶対にないと思う。  さらにその次は演説会の禁止であります。以上述べましたような演説会の制限すらまつたく不当であると思うのでありますが、その他の演説会につきましてもこれを全面的に禁止いたしまして選挙運動期間中を通じて、他の一切の集会の自由をこれで制限いたそうとしております。これも明らかに憲法に違反する規定だと思うのであります。  さらに街頭演説の制限でありますが街頭演説は一時に一回しか行えないというような、まつたく禁止的な制限であります。最も大衆的な、最も民衆的な、しかも金のかからない選挙演説である街頭演説をこのように制限いたしたということは、明らかに大衆の政治批判を恐れ、大衆に革新政党が接近することを最も恐れた明白なる例証だと思うのであります。  連呼行為の制限に至りましても、これは街頭演説の制限とまつたく同様のことが言えると思うのであります。しかもこの街頭演説の場合におきまして、運動員を十五人に制限したということは、まつたく言語道断でありまして、選挙運動を含めての政治活動の自由を極端に制限いたしまして、何十万の有権者がありましても、わずか十五人しか選挙運動ができないというような、まつたく言語道断な規定だと思うのです。しかもこういう規定を大衆の政党であるという社会党がお出しになりましたことに対しては、私ども社会党の性格自体を疑わざるを得ない。  さらに法定選挙費用の倍額への増加でありますが、これによりまして選挙費用は四十万円になるのであります。この選挙法の改正自体は、個人の費用の負担の軽減と公営の拡張ということも一つのねらいにあつたはずでありますが、これによりますと、個人の負担すべき選挙費用が倍額に引上げられておりまして、供託金の十万円と合せまして、最低五十万円の選挙費用がいるということは、労働階級あるいは庶民階級にとりまして、選挙の実質的な制限になるということは否定し得ない事実だと思うのであります。  それから百九十七條におきまして、実費弁償、すなわち選挙運動に従事する者に対しまして、交通費、宿泊費、あるいは弁当料等を出すという規定を新しくつくつておりますが、これは明らかに、こういう名目のもとに買収の道を開くものであります。選挙運動は決して他人のためにするものではなく、みずからのためにするものであり、選挙運動とは最も純正なる政治活動でなければならないのに、こういう金銭の問題を入れましたことは、選挙そのものを腐敗さす根本の原因になろうと思うのであります。  さらにその次に重要なのは、政党その他の政治団体の政治活動の制限、あるいは禁止であります。これは本日の朝日新聞も指摘しておりますように、政党の自殺行為ではないか、選挙運動以外の政党の政治活動を制限するということは一体何に基いておるのか。むしろ、これはこの委員会の権限外であり、この法案の権限外であると私は思うのです。選挙活動を制限するならわかりますが、選挙活動以外のものを、しかも政治活動をするのがその本來の使命である政党に対しまして、公職選挙法の中におきまして政治活動を制限するということは、これは一体どういうことなのか。しかも自由党、改進党、あるいは社会党のような政党自身がこういう政党の活動を禁止するものをなぜお出しになつたのか。これは国民として疑惑の種だといわざるを得ないのであります。  さらにその次に、候補者二十五名以下の少数党の選挙運動に対しまして非常なハンデイキヤツプをつけまして、自動車が使えないとか、あるいはその他重大な選挙活動の制限を行つておるのであります。これはいかに保守的な既成政党が革新的な少数党の進出を恐れているかということを端的に現わしているものと言わざるを得ないのであります。  さらにこれらの問題は、自治庁の長官を通じて証明書が与えられ、しかも自治庁の長官に届け出で、自治庁の長官の指示を受けてやることになつておりますが、これでは当時の政府を構成いたしますものの支配下に選挙が運営される結果になることは明白でありまして、最初に申し上げましたように、これは政府のための政府の管理下にある選挙、李承晩の選挙と同じだと思うのでありまして、そういうことの行われる危險が多分にある。自治庁の長官が、自由党の選挙対策委員長を兼ねないとは保障できない。自由党の選挙管理委員長の管理のもとに行われることになるとこれはいかなる選挙であるかということは明白だと思うのであります。  大体以上の具体的な條項の例示によりまして、最初私が述べましたようにこの選挙法の本質的な、反動的な性格が明瞭な暴露されたと思いますので、以上をもつて反対論を終りたいと思いますが、この法案を委員会の成案としあるいはさらに本会議に提出することに対しては、共産党としては反対であります。もしお出しになるのであれば、これは党の責任を明確にいたすために、各党の責任においてひとつお出し願いたいということを付言いたしまして、討論を終ります。(「修正案は」と呼ぶ者あり)修正案ももちろん反対であります。

小澤佐重喜自由党

○小澤委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。まず鍛冶良作君提出の、小委員会案に対する修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕

小澤佐重喜自由党

○小澤委員長 起立多数。よつて鍛冶君提出の修正案は可決いたしました。  次に、ただいま決定いたしました修正部分を除く小委員会の案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕

小澤佐重喜自由党

○小澤委員長 起立多数。よつて小委員会の案は、鍛冶君提出の修正案の通り修正の上、当委員会の成案とするに決しました。  なお修正に伴う字句の整理等につきましては、委員長に御一任を願つておきます。

小澤佐重喜自由党

○小澤委員長 次に、本成案の提出方法について採決いたします。本成案を当委員会提出の法律案として議院に提出するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

小澤佐重喜自由党

○小澤委員長 起立多数。よつて本成案は当委員会提出の法律案として議院に提出することと決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十九分散会。

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