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13回国会衆議院1952/05/10

建設委員会 第29号

発言数
53
登壇者
7
会派数
3
開催日
1952/05/10

会議録

松本一郎自由党

○松本委員長 これより建設委員会を開会いたします。  本日の御案内した議題であります日本国との平和條約の効力の発生及び日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する等の法律案、内閣提出第一七八号を議題といたします。前会に引続き質疑を続行いたします。池田峯雄君。

池田峯雄日本共産党

○池田(峯)委員 簡潔に質問しますが、この法律を出さなければならない第一番の原因はどこにあるのですか。普通の国家公務員として扱つてどういう不便があるのでありますか、その点をお伺いしたい。

中村文彦総理府事務官(特別調達庁労務部長)

○中村(文)政府委員 お答えいたします。従来連合国軍労務者につきましては、国家公務員の特別職といたしまして扱つて参つたのでありますが、これにつきましてはいろいろと従来とも疑義があつたのでございます。と申しますのは、国家公務員という思想になりますと、御承知の通り国家行政事務に携わるというふうな思想が基本をなしておるのでございますが、この労務者の携わります仕事は、御承知の通り連合軍の諸般にわたります労務でありまして、国の行政事務というふうなことは実は申しかねる次第であります。この点で従来とも意見がございました。  次にこれらの財源的な問題でございますが、昨年までは実は終戰処理費でまかなつておつたのでございますが、それが昨年の七月以降になりますと、ドルで処理いたしております分と、終戰処理費でまかないまする分と二通りにわかれました。それが平和條約が発効いたしましたあとになりますと、全部ドルまかないで行くことに相なりますので、国費のせわになることがなくなつて参るのでございます。この辺から見ましても、切りかえるべきだというふうな思想が実は出て参つております。  それからもう一つは、これは重大な問題でございますが、かりにそれらの問題は一歩を讓りまして、公務員として扱うような思想をとりましても、従来は占領下でございまして、すでに休戰協定締結当時、日本政府は労務提供の義務を負うております。従いまして連合軍司令官の司令第二号に基きまして、日本政府は労務の提供をしなければならないという義務を国として負うておりまして、それに基きまして実は提供いたして参つたのでございますが、平和條約が発効いたしますると、さようなことは一切消えまして、單に行政協定に基きます日米間の契約に基いた措置として運ぶ。何らその間に国家的な制約といいますか、占領下にありましたような制約はなくなつておるということが一つの大きな事態でございまして、かような事態に相なりましたので、これらを考慮いたしまして、国家公務員特別職から今回これをはずしまして、民間企業と同じような地位にこれらの労務者を置こうという考えを実は持つたわけでございます。

池田峯雄日本共産党

○池田(峯)委員 この法律によりまして、憲法に認められておる団体交渉権というようなものが不当に制限されるような結果になりやせぬか、こういうようなことを憂えるものでありますがこの点についてお答えを願いたい。

中村文彦総理府事務官(特別調達庁労務部長)

○中村(文)政府委員 その点につきましては、労働省の方から御回答あるべきだと存じますが、本日御出席がありませんので、かわつてお答えいたしますが、先日の当委員会におきましてもお話がありましたように、労働関係法規は一応建前としまして、全面的の適用があるものだという解釈をとつておるようでございます。従いましてわれわれとしましても、さように考えておりますので、それらの点については理論的には問題はないと考えております。ただ事実問題といたしまして、さような御懸念の点は従来とも実はあつたのでございます。これらにつきましては、われわれとしましてもさようなことのないように十分に努力しなければならぬというふうに考えております。

池田峯雄日本共産党

○池田(峯)委員 駐留軍の労務者といいますけれども、実際に雇用しているものは国なのであります。国に雇用されているのでありますからして、政府に対して団体交渉をするという権利は当然駐留軍労務者は持たなければならない、また持たせるべきだ、これは憲法で保障されているところの労働者の権利でなければならぬ、ところが国家公務員ではないということになりますと、実際は雇用者は国なのだけれども、一体どこに持つて行つてこの交渉をしていいかということがはなはだ明らかでなくなつて来るのであります。その点がこの法律でどういうふうに明確化されているのか、そういう点をどういうふうにすればいいのか、その点を伺いたい。

中村文彦総理府事務官(特別調達庁労務部長)

○中村(文)政府委員 ただいまの点お答えいたしますが、この点につきましては、従来とも日本政府が交渉の衝に当つて参つております。特に調達庁が第一線の衝に当つて参つておりまして、今後もその点は何らかわるところはないとわれわれ考えております。

池田峯雄日本共産党

○池田(峯)委員 そうすると、国家公務員でなくなつても、駐留軍労務者は調達庁に対して自分の権利や何かを主張することができる、団体交渉もできる、こういうふうに理解してさしつかえございませんか。

中村文彦総理府事務官(特別調達庁労務部長)

○中村(文)政府委員 さようでございます。

池田峯雄日本共産党

○池田(峯)委員 ところが現実には、駐留軍労務者はその職場内において、労働組合の集会をやつたり、あるいは通知を出したり、こういうようなことは、やつてはならぬというふうに駐留軍の方から厳重な達しが出ておる。こういう駐留軍労務者からの報告なんでありますが、この点はどういうふうにお考えになつておりますか。

中村文彦総理府事務官(特別調達庁労務部長)

○中村(文)政府委員 お答えいたします。従来の連合国軍が使用いたしておる地域内におきまする集会、その他の問題につきましては、連合軍のそれぞれの権限に基きましての何分の規制があるかと存ずるのであります。それから今後も駐留軍が駐留いたしております地域においての規制につきましては、さような話は一応あることだとわれわれも考えなければならぬと考えております。

池田峯雄日本共産党

○池田(峯)委員 その点は非常にあいまいになつております。現実に作業の指揮監督は軍がする、こういう立場から、作業の指揮監督という問題を拡張解釈いたしますと、おそらく労務者は憲法で保障されておる交渉権というようなものを行使することがまつたく不可能になるのではないかというふうに考えられるわけであります。それにつきましてひとつ質問したいのですが、今まで進駐軍の労務者であつたときは、労働組合をつくつたり、労働組合運動をすることが自由であつた。いろいろの拘束はされたろうけれども、自由であつた。国家公務員としてそれの当然の権利を行使するということができた。ところが今度独立国になつたといつて、名前が駐留軍労務者というふうにかわつた。独立国になつたら今度は今まで持つていたいろいろの権利を剥奪されるような結果になる。たとえばここでいわれておる寒冷地手当であるとか、あるいは国家公務員共済組合法の適用であるとか、こういつたようなことがなくなつて来る。占領下においてできたことを、独立国になつたらできなくなつて来る。占領下で享受した権利を、独立国になつたら剥奪される、こういうばかなことはないはずなんだ。憲法というものは日本人すべてに適用するものである。日本人すべてがこの権利を行使することができるのである。従つてたとい駐留軍の労務者であろうが、日本人である限り、この憲法の権利を行使することができるはずであるが、占領下において認められていたことが、今度は独立国になつたから認められなくなる、こういうことははなはだおかしいのではあるまいかというふうに考えられるわけでありますが、この点どういうふうにお考えになつておりますか。

中村文彦総理府事務官(特別調達庁労務部長)

○中村(文)政府委員 ただいま御指摘に相なりましたうち、国家公務員の共済組合法の適用の除外の問題でございますが、これは実は決して従来適用あつたものを今回はずすというわけではございません。従来とも適用なかつたものでございます。ただそれが、用語が実は連合国軍という用語でございまして、はずしておつたのでございますが、今回ははずすためにこういうふうなアメリカ軍との安全保障條約に基礎を置くところの労務者というふうに言葉をかえただけのことでありまして、何ら適用がないということにはかわりはないのであります。それから地域手当その他の問題につきましては、国家公務員法が適用されておつたのでございますので、今回はずすとともにはずします。しかしこれらの問題につきましては、附則の第三項にもあります通り、従来の例をそのままわれわれは援用して一応はやつて行くという考えを持つておりますので、何ら従来享受しておりました権利といいますか、利益については変更なり不利な扱いを受けることはないだろうと思つておりますので、その点は御了解願いたいと思います。

池田峯雄日本共産党

○池田(峯)委員 そういたしますと、今度はこういう疑問が起つて来る。占領軍労務者から駐留軍労務者というように名前がかわつた、しかし実質的に何らかわらないのだ、占領軍といい、駐留軍といい、いずれもこれは同じなんだ、そういう考え方がやはりこの附則に出ておる。その附則で、連合国軍労務者というものが今度は駐留軍労務者となつたのだというけれども、しかしこれは当然連合国軍労務者から解雇されて、新たに駐留軍労務者に雇用されるべきものであるにもかかわらず、やはり退職手当等は駐留軍労務者となつてから退職する場合に退職手当をくれるのだ、こういうふうになつております。そうではなくて、もう連合国軍労務者は解雇されておるはずなんだから、そのときに退職手当を支給すべきで、そのときから新たに雇用すべきなんでありますが、そうではなくなつておる。こういうところに連合国軍といい、あるいは駐留軍といい、これはまつたく同じものであるということがはつきり現われているのではなかろうか、こういうふうに考えられるわけであります。この点はいかがでありますか。

中村文彦総理府事務官(特別調達庁労務部長)

○中村(文)政府委員 この点につきまして、附則第三項は、連合国の労務者としての当時の退職金の考え方についてだけ考えたのでありまして、資格その他の條件につきましては、一切引続き同一の利益を享受するという思想を持つたのでございます。従いまして、平和條約発効時までの退職金につきましては、手つかずに労務者の利益になるような措置を考えたい、こういうのであります。と申しますのは、これはこまかしいお話を申し上げなければなりませんが、この関係の労務者の退職手当の制度と申しますのは、一般公務員の退職手当よりも相当有利な取扱いをしておるのであります。従いまして、もしこれが完全に、円満に退職いたします時期におきましては、相当多額の退職金が出ますので、再々労務者が退職希望をするような向きも出て参つておる例もありますので、実は自分の意思でやめる場合におきましては、退職金は二分の一にするというような思想が取入れられております。それから、もし労務者の責任でやめざるを得ないような事態が起ります場合におきましては、退職金がふいになるというような思想も取入れられております。将来さような事態を考えますと、引続いて今後とも勤務いたしまして、本人がもし自分の意思でやめるような場合になりますと、平和條約発効時までの退職金につきましても、やはり二分の一にされるおそれも出て来るわけであります。それから将来におきまして過失なりいろいろな間違いが起りまして退職金がふいになる場合におきましては、平和條約発効時までの退職金についてもやはり失わなければならないというような事態が起つて参ります。さような事態もいろいろ考え合せまして、平和條約発効時までの退職金につきましては、今日まで無事に働いてくれたものでありますので、せめてこれには手をつけないようにしたいというのがわれわれの考え方であります。ここは事業主の都合によります退職金としまして労務者にとりましては一番有利な計算をいたしまして、——これは将来いかような事態が起りましようとも、たとえば自分の意思によつてやめる場合におきましても、あるいは何かの間違いによつて退職金を失うような場合がありましても、この退職金については決して傷をつけるようなことはしない、これが第三項の根本思想でございます。従いまして、それにつきましては、今話が出たようなぐあいでありますが、多少身分のかわつた時期の退職金を支払うべきではないかという思想も取入れてはおるのでありますが、さような意味で、将来退職する場合に、それだけの確保をしておこうというのが第三項でありますので、お含み願いたいと存じます。

池田峯雄日本共産党

○池田(峯)委員 今までの答弁でわからない点を、もう一ぺん繰返して質問したいと思います。第八條は「アメリカ合衆国軍隊のために労務に服する者で国が雇用するものは、国家公務員でない。」こういう労務の立て方であります。そうすると、アメリカ合衆国軍隊のために労務に服する者で、国が雇用しないでも国家公務員というのがあるのですか。どうもここの労務の立て方はおかしいのです。普通の日本人の考えでは、何とも理解のしようがないので繰返し質問をしているのです。とにかくアメリカ合衆国軍隊のために労務に服する者で、国が雇用するものは国家公務員でない。そうすると、ほかにアメリカ合衆国軍隊のために労務に服する者で国家公務員があることになるのですか。

中村文彦総理府事務官(特別調達庁労務部長)

○中村(文)政府委員 案は第八條の規定を入れるにつきましては、いろいろといきさつがございます。と申しますのは、ただいまも御指摘がありましたように、国家公務員法の問題にも関連いたすのでありますが、第一項と、第二項の「労務者は、国家公務員法第二條第六項に規定する勤務者」というのとあわせて読んでいただきたいのでありまして、念のために一応ここでそうではないのだというふうに注意的にうたつておるのでございます。これはまさに御指摘の通りで、国家が雇用する者で公務員であるのもあるのかというお話も出るのでございますが、これはほんとうに念のためここにうたつておいて誤解のないようにしたい、こういう気持でございます。

池田峯雄日本共産党

○池田(峯)委員 国が雇用する者は国が金を出すのですか。国が雇用するという言葉の定義は——国が金を出すのだということが国が雇用するということなんですか。それともほかの意味があるのですか。雇用というのの嚴密な意味はどういうところにあるのですか。

中村文彦総理府事務官(特別調達庁労務部長)

○中村(文)政府委員 これはお話の通りで、国が金を出すのでございます。従いまして、国が雇用主の立場に立つと考えられるわけであります。ただこの際、先ほども触れましたので申し上げますが、国が金を払うと申しましても、これは全部ドルで償還されて参るものでございまして、国の予算を出すものではございません。一応特別調達資金のトンネルを通すことになりますので、国費とは逆になります。ドルが円にかわつただけで、そのまま流れて行くという姿をとるものでございます。

池田峯雄日本共産党

○池田(峯)委員 この点をもう少し詳しく説明していただきたい。このアメリカ合衆国軍隊のために労務に服する者の賃金は、全額ドルで日本の国庫に入つて、それを日本の円に直して労務者に払うという意味でありますか。そこをもつと詳しく御説明願いたい。

中村文彦総理府事務官(特別調達庁労務部長)

○中村(文)政府委員 ただいま御指摘の通りでございまして、労務者に支払われる賃金一切は全部ドルで保証されまして、それが円にかわつて労務者の手にわたるということでございます。

池田峯雄日本共産党

○池田(峯)委員 そういたしますと、駐留軍労務者の給與とかあるいはその勤務條件というものは、やはりアメリカの予算、こういうものによつて非常に左右されるという結果になるのではないかというふうに考えられるわけでありますが、この点はどうでありましようか。たとえば勤務者が、国が雇用者なのであるから国に対してこれだけ給與を改善してもらいたいという要求を出しても、アメリカの方からこれだけしかドルが出ないのだからだめだといつて、日本政府は断わるという手がある。またそうなるであろう。この点はどうなんでありましようか。

中村文彦総理府事務官(特別調達庁労務部長)

○中村(文)政府委員 先ほど申し上げました、ドルが入つて来てという問題は、ちよつと訂正します。それは日本政府が特別調達資金をもつて一応立てかえ払いをしておきまして、払つたものについてドルで償還されるということでございますので、御了承を願いたいと思います。  それからただいま御指摘の点につきましては、われわれといたしましては、あらかじめ先方と話をつけておきまして、その方針のもとにいろいろな規定その他を定めておりますので、規定されてありまする支出につきましては、金があるとかないとかというようなことで、とかく支払いが左右されるということはないはずでございます。

池田峯雄日本共産党

○池田(峯)委員 その点をわれわれは非常に重要だと思いますから、確かめておきたいと思うのです。すなわちたといあとからドルで償還されるにいたしましても、あるいは前もつてアメリカがドルの予算を組んで、その範囲内で労務者の給與を日本側にくれるにいたしましても、どちらにしても、アメリカとしては日本でアメリカ合衆国軍隊のために労務に服する者の賃金、こを何ドルというふうにちやんと予定しているのではあるまいか、従つてこの予定のわく内において給與の水準の引上げというようなことを日本政府が考慮して行く、こういうことになると、やはり駐留軍労務者の給與というもののわくは、アメリカによつてきめられて行く、アメリカのドル予算によつて制限されて行く、こういう結果になるのではないか、この点をひとつ明確にお答え願つておきたい。これは将来非常に問題になる重要な問題であるからであります。

根道廣吉特別調達庁長官

○根道政府委員 ただいまの御疑問ごもつともの点だと思います。またアメリカのドルの予算が足らないので、日本政府として無制限に金がほしいということは言えないのではないかと仰せられますが、それはそのようなことに相なる場合がないとは申し上げかねると私は思います。しかしながら、現在までいろいろアメリカ側と折衝いたしております。日本の国内におきまして、国内の情勢上、労務者にこの程度のことをしてやらねばならぬと政府として考えました場合は、これは十分にアメリカ側と折衝いたしまして、こちらの要求を達成して参ります。これは先ごろまでの占領下の事態においても、そうでございました。今後とも国内の諸給與の関係、その他政府の雇用下にありますいろいろな職種の人たちの給與、そういうものとの均衡を考えまして、労務者のための給與のことをアメリカに要求する考えでございます。もちろん日本政府として、当然アメリカ側として出すべきであるというような給與に対しまして、アメリカ側がこれを承服してくれぬというような場合がもしありますれば、日本政府といたしましては、契約によりまして、アメリカにそういう労務の提供の仕事をしておるのでありますから、その仕事は日本政府としてやめにしなければならぬというような事態にまで参るわけであります。しかし私はそこまで極端には考えないでも済むと思う。ましてや独立国と相なりました日本のことでありますので、この点は私は大丈夫である、こういうふうに考えております。御安心願いたいと思います。

池田峯雄日本共産党

○池田(峯)委員 御安心願いたいといつても、調達庁長官はトルーマン大統領でもなんでもないのだから、これは安心できない。それで今後独立だといつても、どの程度国が自主権があるかどうか、こういう点も行政協定というようなものの内容から見てはなはだ寒心にたえないところである。そういうことになりますと、駐留軍労務者というものの勤務條件は、やはり直接的にせよ間接的にせよ、その緩急の度合いは論じないにしても、相当程度向うのドル予算に左右されざるを得ない、こういうふうに考えられるわけであります。そうであるならば、何もここで「国が雇用するもの」というような言葉を入れないで、実際にアメリカ合衆国軍隊のために雇用される者ということでけつこうじやないか。ドルで支払われるならば、何も国が間に入らないでもいいんじやないか。国というものはまつたく、ただドルでもらつて、そうして円に直して労務者に払つてやるというだけである。とするならば、これはアメリカ合衆国軍隊に使われる者としても同じではないか、こういう議論が立つのでありますが、そこで問題になるのは、アメリカ合衆国軍隊のために、軍隊に直接使われるとすれば、アメリカ合衆国軍隊は、直接ドルで労務者に払わなければならない。しかしながら、国という間接機関をここにおきますと、あとで払うんだ、あとで払うんだといつて、実際には払わないで、日本の国の政府にたてかえ払いをやらせる、たてかえ払いをさせられて、あとでもらえるのだからもらえないのだかわからないという結果が生ずるのではないか、この点を長官はどういうふうにお考えになりますか。

根道廣吉特別調達庁長官

○根道政府委員 ただいま、御承知のように、日本政府とアメリカ政府との間におきまして契約があります。その契約におきまして、約束した内容通りの金は払われなければならぬのであります。その限度におきましては、全体的の問題といたしましては、何らあらためて交渉する必要はない。ただ現実問題といたしまして、向うからの償還が多少遅れて来るというような場合がないとは限りません。そのためにこそ、調達資金というものを置きまして、これが時期的の調整をはかつておる、これが現状でございます。

松本一郎自由党

○松本委員長 前田君の御質問がありますから、なるべく簡潔に願います。

池田峯雄日本共産党

○池田(峯)委員 長官でおわかりになるかどうかしれませんが、たとえば日本はアメリカに借金がある。その借金と相殺だというようなことになる可能性が非常に多いのだけれども、この点あなたは調達庁長官として、どういうふうにお考えになつておるか、また大蔵省などと、その点について相談したことがあるか、聞いたことがあるかどうか、この点をお聞きしたい。

根道廣吉特別調達庁長官

○根道政府委員 そういうことは、実は想像いたしておりません。また何があるからどうだというようなことになりますと、労務調達に関する問題全体が基本的にゆらぐことになりますので、かりにアメリカが日本から取立てる勘定がありましても、相殺に相なるべき筋合いのものではないと存じております。

池田峯雄日本共産党

○池田(峯)委員 その点は特調長官は勘違いしておる。なぜかならば、日本でドルをもらつたとしても、そのドルを自由に日本の円に交換することはできない。どこかの銀行に持つて行つて、日本の円に直すということはできないはずだ。帳簿上の操作にとどまるのではないか。そうすれば、ドルについて借金がある、このドルの方でくずして払つたことにしておけということになるのではないか。

根道廣吉特別調達庁長官

○根道政府委員 ただいまのアメリカ側の償還はそのときどきの計算によりまして、アメリカ側の小切手をもらいまして、これを日本銀行に振り込んでおるわけであります。必ずその計算は別に、独自に立てるわけであります。その場合に、たとえばドルを円に換算いたします手数料のごときものまで含めてアメリカ側からもらつておる次第であります。

前田榮之助日本社会党

○前田(榮)委員 この法律を見ますと、日本の国内法のいろいろな法律とは、立法の仕方が違つていて、われわれにはぴんと来ないところがあるわけでありますが、これはもちろん吉田内閣が行政協定を無理にやつたというところから来た結果の法律であるので、いまさら私はこういう点についてどうこう申し上げませんが、今池田君からの質問の中にもありましたが、アメリカ軍の「労務に服する者で国が雇用するものは、国家公務員でない。」しかしながら、この條件については「給與その他の勤務條件を考慮して、調達庁長官が定める。」とあるのでありますが、こういうところについて、特別調達庁長官が定めるといつても、実際はアメリカのドルで、アメリカ予算の方でこれが左右されるということになりますと、今長官がお話になつたように、アメリカ側との話合いができておるということでありますが、それならば、現在の進駐軍労務者の人員、それからそれに対する雇用條件、こういうものはすでに明確に話合いができておるのかどうか。従つて現在雇用されておる人員が、たとえば失業するとかなんとかいうことがあるのかどうか。アメリカ側が直接予算で出すということになると、今までは日本の終戰処理費で支払われておる関係上、少々人員が多かろうが、どうであろうが、アメリカ側の腹が痛まないのだからというようなことで、人員も相当潤沢に取扱つておつたような傾向があるが、そういうようなことについて、労務者の首を切るというようなことがありやせぬかと心配するのでありますが、人員や雇用條件等についてはどういう話合いになつておるか、こういうことについて御答弁を願いたいと思います。

根道廣吉特別調達庁長官

○根道政府委員 先般申し上げましたように、日本政府とアメリカ政府との間におきましては、給與の方法その他につきまして、契約の附則にこまかい規定がございます。それはアメリカが現に承認しているところでございます。それに従つて日本政府がアメリカ側の償還を受けるということになつておりますが、もし事態がかわりまして、一般の賃金水準が上つて来るというような問題が起りましたときには、日本政府としてこれを上げるのが、妥当なりと認めるならば、これを上げてもらうという措置をとることは当然であります。たとえば昨年の十月一日以降、一般公務員の給與が上りましたので、それに応じまして、その必要な増額を請求いたしまして、これを同じくさかのぼつて、十月一日より承認してもらつた次第であります。また同時に、一般職種別賃金等におきましても、一般公務員の賃金水準が上つたときと時を同じゆうして賃金が上つておりますので、その点についてもやはり、同じく、職種別賃金の変更と同時に賃金の増額を請求し、これもまた十月一日にさかのぼつて実施するという承認を得て現在進んでおるわけであります。今後同じような事態が起りますれば、また同じく日本側としてこの請求をしなければならぬものと考えております。

前田榮之助日本社会党

○前田(榮)委員 公務員の給與ベースについて、昨年の十月ベース・アツプをやつたわけでありますが、その点は終戰処理費の関係であつた、いわゆる占領下におけるところの交渉であつたの、で、日本政府が責任を持つべき建前がきわめて濃厚であるために、これは問題ではないと思うのでありますが、今後の問題について、たとえば人事院は、すでに給與ベースの引上げについての勧告をするように準備をいたしておるようでありますが、そういう際においても、日本の公務員でないからというので、これは全然別だ、こういうことになりますと、ばかを見るのは労働者だけであつて、そういうような場合においても、日本の国内法の情勢に順応してやるという約束等ができておるのかどうか、将来において、日本の国内におけるところの労務関係の待遇等の改善が行われる場合においては、日本の国内の情勢に準じて行うというような契約なり、あるいは話合いができておるのか、こういう点をひとつ御答弁願いたいと思う。

根道廣吉特別調達庁長官

○根道政府委員 ただいま前田委員の御質問中、いささか誤解があつたように思いますが、昨年の七月以降アメリカと日本側の契約におきましては、連合軍に対しまする全体の二十三万余のうち、アメリカ側の関係でありまするところの二十一万余に対しまして、全額アメリカ負担ということに相なつておるのでありまして、その時よりすでに、終戰処理費の負担ではなくなつておるのであります。従いまして、ただいまのような御懸念は、その面からはもう生じて来ない段階になつております。なお契約上将来の値上げ等についてどうなつておるかという問題でありますが、上げるときは上げるというようなことはうたつてありませんが、変更を要するときにはお互いにこれが要求をなすことを得る、こういうようなことに相なつております。

前田榮之助日本社会党

○前田(榮)委員 これは本法と直接関連はないのでありますが、この前の行政協定に基く土地等の法律についての御質問を申し上げたのでありますが、アメリカ駐留軍についてはこの法律でやるといたしましても、今もつて英、濠軍に対する日本の労務者その他の者の供給についての話合いは、ついておらないように思われるわけでございますが、日本の国内にあるところの英、濠軍関係のいわゆる進駐軍労務者というものは、今の情勢では、英、濠軍は国連軍として当分残るような話が伝わつておるわけでございますが、こういう方面については、いままでに何か特調との間に交渉等が進められておるかどうか。また日本国と濠州あるいはイギリス等との間において、話がされつつあるのかどうか、そういう点について調達庁長官は何かお耳にされたことがあるかどうか、この際お聞きしておきたいと思うのであります。

根道廣吉特別調達庁長官

○根道政府委員 英、濠軍関係の労務者の問題につきましては、ただいま日本政府と英、濠軍ないしは国連軍間におきまして、特に話合いは進んでおりません。調達庁といたしましては、また国といたしましては、英、濠軍の関係の従来の労務者は、講和発効と同時に解職いたし、従いまして、解雇手当ないしは退職手当の清算事務を目下取急いでおる最中であります。

池田峯雄日本共産党

○池田(峯)委員 国が雇用しておりますけれども、しかし実際に駐留軍労務者の解雇をするというような場合には、これはあくまでもアメリカの方の仕事の量とか、あるいはドル予算とか、そういうものによつて左右されて来ると、こういう結果になるのではあるまいか。たとえばここの基地作業がもう終つたから、ここの労務者はもういらぬ。従つてアメリカの方ではもう雇わない、いらないということになれば、国はこの労務者を解雇する、こういうことになつて来ると思うのですが、そうなりますと、非常にここに働く労務者の生活というものは、不安定にならざるを得ない。いつ解雇されるかわからない、まつたく失業救済事業なんかに出ておる労務者と同じような立場になる、こういう結果を招来すると思うのです。国が雇用するのであるから、実際ならば、アメリカの方の計画に左右されなくてもいいのであつて、その労務者を今度は別の方の仕事に向けて行くというふうに、国が当然やるべきなんだけれども、そうじやなくて、アメリカの方の作業計画、あるいはアメリカの方のドル予算、こういうものにいつも従属せざるを得ない、従つて労務者の生活はきわめて不安定である、こういう結果はお認めになられると思いますが、いかがでございましようか。

根道廣吉特別調達庁長官

○根道政府委員 多少、その傾向ないとは申せません。しかしながら、現在の事態全般をながめまして、そう急にそういう大きな職場の変更は——まあ米駐留軍の関係だけを考えてみますと、それほど大きな不安を労務者に與えるという問題は起らないのではないかと予想いたしております。この点につきましては、過去の連合国軍要員として雇われておりました労務者が、常に不安を持つて、これをどうするのだということは、われわれも年中聞いておるところであります。そういう点もありますので、もちろん労務者といたしましては、その事情を十分承知の上で、勤務いたしておるのではありますが、何分にも勤務の状態不確定である要素もあるのであります。従いまして、そういうことを勘案いたしまして、退職時における退職手当等は普通一般の公務員とは違つた額を出して、比較的有利にしてもらう。これだけでは将来の失職という問題を考えまして、万全とは申し上げかねることも、あたりまえではありまするが、そういうふうな仕組みをしておるわけであります。御了承願います

池田峯雄日本共産党

○池田(峯)委員 今までの進駐軍労務者は、たとえば入門鑑札をなくしたとか、あるいは基地内作業で、ちよつと何か手落ちがあつたというと、アメリカの兵隊が、お前はもうあしたから出頭しなくてもよろしい、こういうことが現に行われたわけでありますが     〔委員長退席、鈴木委員長代理着席〕 今後もやはりアメリカの方で払う、間接的にはアメリカが雇用しているようなものでありますから、従つて基地内で何か手落ちがあつたというような場合に、やはりアメリカの兵隊さんに、お前はあしたから出ないでよろしい、帰れということで、日本の政府には何の話もなしに首切られるというようなことが、現実には今までも行われて来たし、今後も行われるのではないか、こういうふうに考えるのでありますが、調達庁としては、その点どういうふうにこの労務者の解雇の問題を取扱う方針であるか、これを伺います。

中村文彦総理府事務官(特別調達庁労務部長)

○中村(文)政府委員 ただいまの御質問につきましてお答えいたします。従来多少そういう点につきましては、憂いがなきにしもあらずであります。この点につきましては、われわれもさような訴えがありました都度、よく申入れしまして、遺憾のないように取進めて来たつもりでございます。今後もさような事態につきましては、できるだけさような先方限りのわがままの取扱いのないように、十分に念を入れまして、進めたいというふうに考えております。

鈴木仙八自由党

○鈴木委員長代理 これにて本案に対します質疑は終了いたしました。     —————————————

鈴木仙八自由党

○鈴木委員長代理 次に宅地建物取引業法案、瀬戸山三男君外十一名提出、衆法第三一号を議題といたします。前会に引続き質疑を続行いたします。池田君。

池田峯雄日本共産党

○池田(峯)委員 前回に引続いて質問をしたいと思いますが、この十六條の秘密を守る義務というのは、業者側の陳情に見ても非常に問題なのでありますが、提案者はこの十六條をどうしてもここに規定しなければならない、そういう不都合な点が、従来どういう現象であつたのか、そういう点をひとつ御説明願いたいと思います。この十六條を削除しなければ、どういう不都合を生ずるのかという点を御説明願いたいと思うのであります。

淺利三朗自由党

○淺利委員 この第十六條は、真に依頼者の一身上の秘密というような問題でありまして、十六條をごらんくだされば、「正当な理由がある場合でなければ、その業務上取扱つたことについて」云々、こう規定してあるのであります。ここの陳情にいろいろ事例があげてあります。たとえばその内容は、他へ知れないように売つてくれ、家族の者に知れないように売つてくれとかいうような程度のもの、こういうものは、常識的に判断しましても、別にこの法律に規定するような「正当な理由がある場合でなければ」云々というようなことに当つていないと思うのであります。ことに私のものだと言わずに売つてくれというようなものは、これは明らかに事案を曲げて知らすというような場合でありますから、業者としてはそういうものは正しく取引をするということからいえば、自分が不正であるという場合においては、これは拒絶するのが建前であろうと思います。でありますから、ここに規定しておる秘密を守るということは、取引上に関して相手方にそれを知らさなかつたために、非常な損害を與えるというような場合は、本人の了解を得て、そのことは話す。そうでなければ自分が不正になる。こういうようなことを、了解を得ればできることであります。正当な事由なしに告げたという場合だけを罰するのでありますから、この陳情に列挙されたような例の場合は、あまり問題ないと私は考えております。

池田峯雄日本共産党

○池田(峯)委員 それは大体了承できますが、しからばそれ以外に秘密を守る義務ということを、罰則をつけてここに規定しなければならない大きな理由というのは、どこにあるのであろうということが、非常に疑問に思われますので、この点を御説明願いたいと思うのです。たとえばお医者さんであるとか、あるいは弁護士であるとか、あるいは国の機密に関與する官公吏であるとか、こういうものと違つて建物取引業者というようなものが、どういう秘密を握るか、秘密を世間に言いふらすことがどういう被害を與える結果になるのか、それを言つたということが、この法律に規定される罰則を適用されるほど、それほど大きな実害を社会に與えるというような秘密を、宅地建物取引業者というものが知り、またこれを知らせる、それほどの重要な秘密にタツチする業者であるのだろうか、こういう点が非常に疑問に思われますので、この点を質問いたしたいと思います。

淺利三朗自由党

○淺利委員 それは職務上するという場合は、業態によつていろいろ程度はありましようけれども、しかしこういう取引をする場合においても、自然これに関連して、いろいろの秘密が耳に入るということはあり得るのであります。そういう場合に、個人の秘密を尊重するということを何ら法律的に擁護しないということになりますと、そこに弊害が起るのであります。いやしくも人と人との門に介在していろいろの仕事をする場合に、その職業上知り得た秘密を、本人の不利益が明らかであるにもかかわらず、損害を與えるということが明らかであるにもかかわらず、正当の理由なしにこれを暴露するということは、個人の秘密尊重の意味から申しましても、何らかの規制を設けておかなければならぬ、こういう趣旨から設けたのでありまして、お医者さんやその他の場合よりも、その真の保護すべき秘密の程度は少いかもしれませんけれども、しかし公に認めた職業である以上は、そういうことに対して何らかの規定をするということが適当であろう、こういう考えのもとに立法した次第であります。

池田峯雄日本共産党

○池田(峯)委員 その点が将来非常に問題になつて来るのではないか、そうして宅地建物取引業者が、そのために警察などから不当な圧迫を受けるような結果になるのではないだろうかということを、私は心配するのであります。この陳情書にも、たとえばあのうちには伝染病があつた、首つりがあつたというようなこと、これはそのうちの秘密であり、そのうちの社会的な信用を害するような秘密でありますが、そういう秘密を他に明かさないで、秘密を秘密として売買をすれば、不正な行為になる。不正な商行為をしないために、実は伝染病があつたのだ、首つりがあつたのだと言うようなことになると、これは秘密を暴露したことになると同時に、みずからの商行為そのものが不可能になつてしまう。こういうことで、この点は非常に微妙な関係を生じて来るのであります。従いまして、「正当な理由がある場合でなければ」という條件がついておりますけれども、これをもう少し緩和するとか、あるいはまたこの十六條全文を削除するとか、そういう御意思があるかどうか、この点を最後に承つておきたいと思います。秘密という点は非常に社会生活の微細な点にわたつて来る問題でありまして、従つて秘密を他に漏らしてはならないということが、警察などから不当な圧迫を業者がこうむるというようなことにもなり得るのでありますから、もう一ぺん所感を承つておきたいと思います。

淺利三朗自由党

○淺利委員 結局他人の秘密を尊重するということを重く考えるかどうかという問題であります。それでただいま御指摘になりましたような、あのうちには首つりがあつたとか何とかいうようなこと、もしこれが相手方に対してことさらにこれを隠蔽するという場合においては、あるいは問題が起るかもしれませんが、しかしそういう場合においては、本人の了解を得ておけばそれでいいわけです。しかしこれを売買の相手以外のところに暴露したということになれば、もはやこれは正当の理由がなくなります。取引の過程において相手方に示したということになれば、正当の理由になりますけれども、相手方以外の者にこれを暴露したり、あるいは世間の人にこれを言いふらすというようなことになりますと、そこには正当の理由がない、こういうことに解釈してしかるべきだと思います。

池田峯雄日本共産党

○池田(峯)委員 その他いろいろ問題がありますが、非常に罰則が重いようであります。罰則を重くするというのが今の立法の方針でもあるかしれませんが、どうも重い罰則をつけるということは実は好ましくない。現に宅地建物取引業者が一部不正なことをやつているのは、これはしばしば耳にするところでありますが、しかしこれは政府も認めているように、根本的には、やはり住宅その他が入手難である。これを突き詰めて行くと、政府が住宅政策を誤まつているから、こういうものが介在し、不正を働くというようなことになつて来るのであつて、従つて住宅政策が当を得て行くならば、自然に宅地建物取引業者が不正を働くというようなことは解消してしまう、こういうふうに考えられるのでありますから、従つてこの罰則というような点は——もちろん、悪いことをしたものに対して罰を食わせるということはいいことでありましようけれども、しかしそれが重きに失するということは、この法律の範囲内においてはあるいはそれはそれで通るかもしれませんが、これが一つの例となりまして、宅地建物取引業者の不正でさえこれくらいの罰則を適用しているのであるから、従つてその他の法律違反行為に対してはもつと重い罰則を適用してもよろしいというようなことになつて来るのではなかろうか。従つてこの罰則という点は、他の法律との均衡ということを十分考慮してきめられなければならないのではないかと考えられるのであります。そうしてやはり罰則というのはなるべく軽くしておいた方がよい。そうしてそういう不正その他が発生する社会的根源を根絶するという方向に向うのが政治の要諦なのでありますから、この点につきまして、立案者はこの罰則を修正する御意思がないかどうか、この点を伺つておきます。

淺利三朗自由党

○淺利委員 ただいま御指摘の住宅政策の根本問題については、まことに同感であります。今のような住宅不足の際であるからこそ、こういう不正業者が跋扈する、また住宅にあこがれておる人々が、ややもすればその甘言に乘つてあざむかれるというような事実があるのであります。それを撲滅するためにこういう規定を設けるのでありまして、この罰則の重い、軽いということは、そのときの社会情勢によつてきまるものと思うのであります。ここに規定しておりまするのも、たとえば登録をしないで、もぐりで仕事をするというようなものは、これは強く罰しましても、正当なる業者は何ら影響を受けないのであります。もしこういう罰が軽ければ、たくさんのもうけをするならば、一ぺんや二ぺん見つかつて罰を受けてもかまわぬ。今の米のやみ取引をする者が、三べんに一ぺん、四へんに一ぺん検挙されても、その他の場合に利益を上げれば、そこで採算がとれるというような事情でありますから、こういう場合においては、やはり社会情勢によつて罰則というものは考うべきものと思うのであります。現在の各法令における罰則というものは非常に区々であります。これはいずれもその法律制定の当時の情勢に照して罰則の程度はきめておるのであります。でありまするから、たとえば日本銀行の総裁が日本銀行法の四十八條によつて違反行為をした場合には、五千円以下の過料に処するというような規定があります。これはずつと古い規定であつて、その当時の五千円というものは相当効果があつたのでありますが、今日の経済事情から見れば、日本銀行の総裁が、五千円やそこらの過料をとられたつて、何ら痛痒を感じない。罰則の本旨は、ただ名誉的にこれを律するだけである。この過料によつて何らの制裁にはならぬというような今日の実情であります。しかしこれは過去の法律が今日までその罰則規定を現実に即するように改正しておらぬ、そのままになつておるのでありますから、各法律の罰則は、その制定の時期によつて非常に区々であります。今日の経済状態、貨幣価値の下つた現状におきましては、この程度の罰則でなければ制裁にはならぬ、こういう見地からこの規定は設けたのであります。しかしながら、これは最高限を規定しております。その罰に触れるところの人々の実際の行為の軽重なり、あるいは情状によつて適正な科刑が行われる、こういうことになるのでありまして、ただこの法律は一番新しくて、現在の社会情勢、経済情勢の上からこの程度のものが適当である、こういうふうに考えたのであります。これは最近の法制局あたりの意見も、もし今後新しく制定する法律であるならば、この程度のものは普通であろうということの打合せもいたしておるのでありまして、むしろこの法律の罰則の重いということよりも、現在における各種罰則の是正ということが先決問題ではないかということまで考えられるのであります。

鈴木仙八自由党

○鈴木委員長代理 次会は公報にて御通知をすることにして、本日はこの程度にて散会をいたします。     午後零時三十三分散会

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