建設委員会 第24号
- 発言数
- 145 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1952/04/25
会議録
○松本委員長 これより建設委員会を開会いたします。 耐火建築促進法案、鈴木仙八君外十三名提出、衆法第三四号を議題といたします。 まず提出者より提案理由の説明を聴取いたします。鈴木仙八君。
○鈴木(仙)委員 耐火建築促進法案の提案の理由を申し上げます。 わが国は年々火災のため莫大な富を喪失しており、去る四月十七日の鳥取市の火災においては、一夜にして五千戸を焼き盡し、二百億円に達する損害を生じた状況であります。これは、わが国の建築物がほとんど木造であつて、火災に対し、まつたく対抗力を有しないことに起因しております。特に都市におきましては、都市計画の実施や消防力の強化とともに、建築物の不燃化をはからなければ、火災による損害の防止はとうてい期し得られないのであります。 本法案は都市における耐火建築物の建築を促進し、火災その他の災害を防止し、土地の合理的利用をはかるとともに、一面貴重なる木材資源の節約にも資せんとするものであります。 次に本案の内容を御説明申し上げます。まず都市の防火地域内に建設大臣が、関係市町村長の意見を聞いて防火建築帶を指定し、この中に耐火建築物を建築する者に対しては、国及び地方公共団体から補助金を交付いたします。補助金の額は、耐火建築物と木造建築物との標準建築費の差額の二分の一でありますが、一般にはこれを国と地方公共団体と半々に負担いたすことになります。但し、災害の場合には、補助率を大きくして、建築する者の負担を軽減する措置がとられております。 次に防火建築帶内の土地が細分されている等の事情により、耐火建築物が建てがたい場合においても、その土地の大多数の人々が希望する場合においては、地方公共団体の長がかわつて耐火建築物を建築する道が開かれております。この場合には地方公共団体の長にその土地の使用権が認められますが、その土地の所有者または居住者等には、特に新たに建てられた耐火建築物の所有権や賃借権を優先的に認めて、関係者の権利を保護する措置がとられております。 最後に、防火建築帶に建築される耐火建築物に対しては、市町村長が必要と認める場合には、固定資産税を軽減し得ることとして、耐火建築の一層の促進を期しております。 なお附則においては、本法案と関連して、建築基準法の一部を改正し、防火地域内の増築等に対する制限並びに防火地域及び準防火地域内における建蔽率を若干緩和してこの制度の普及をはかることといたしました。 この際申し添えておきますが、本法案実施に要する経費は、本年度分として二億円がすでに本国会を通過し、成立しております。 以上が本案の提案理由と内容のあらましでございます。何とぞ十分に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第でございます。
○松本委員長 本案に関します質疑は、後日に讓ることにいたします。 —————————————
○松本委員長 次に公共工事の前払金保証事業に関する法律案、内閣提出第一五〇号を議題といたします。前会に引続き質疑を継続いたします。前田榮之助君。
○前田(榮)委員 公共工事の前払金保証事業に関する法律案に関しまして、若干の質疑をいたしたいと思いますが、まず第一にお尋ね申し上げたいのは、この法律案は、公共工事の適正な施行に寄与する必要から提案されたのでありますが、現在公共事業のみならず一般事業についても、現行の状態においては幾多弊害がかもされておるのであります。この弊害の最も重大な点がこの法案ではたして是正されるかどうかという点については、若干の疑問があると思うのであります。そこで土木工事の請負制度でありますが、現在請負制度は、主要な部分については二重、三重の下請負等は禁ぜられてあるはずでありますけれども、現実には二重、三重の請負が行われまして、実際工事面に請負金額が利用されておる部分が、はなはだしきに至つては、先般長野県において当委員会の調査においてもその実際工事に利用される費用が三分の一程度であつて、中間においてこれが拔かれておるという事実も上つた歴史があるのであります。実際表面に現われておらない点において幾多のそういう弊害があると思うのでありますが、これらをどうするかという問題が最も緊要な問題であつて、従つてこういう工事施工の面においての取締りを現実にどう取締るか。こういう問題が今もつて嚴格に行われておらないことは当局の責任ではありまするが、ただ法律さえつくれば何でもいいのだというような態勢はとるべきものではないのであつて、実際に工事が適正に行われて、しかもりつぱな成果が上げられるということにならなければならぬと思うのであります。従つてこういう請負制度の改革をいかにするか、いかにしたならばそういう弊害が除去されるか、こういう点についての当局の御所信をお伺いいたしたいのであります。
○澁江政府委員 お答えいたします。この請負業者の経営その他につきましては、御承知の通り現在建設業法という法律が制定されまして、その実施の衝に当つておるのでありますが、そういう観点からいたしましても、今の下請の問題は非常に重要な問題でございまして、この下請制の改善ということにつきましては実は苦心をいたしておるのでありますが、建設業法の規定といたしましても、一括の下請という制度はこれを明らかに禁止いたしております。従いましてそういう一括下請をしておるような場合におきましては、これは建設業法にも抵触するのでありまして、これに対しましては嚴重な監督処分ができる建前になつておるのであります。そこで私どもといたしましては、ただいま御指摘になりましたようなこの一括下請によるような場合におきましては、この法律によりまして嚴重な監督処分をいたすことにいたしまして、現在までにおきましてもこうした監督処分の発動を見ておるような場合がございます。ここに御披露申し上げます件数全部が全部というわけではございませんが、その中の若干の部分はやはりこの法律に抵触する下請業務をあえてしておるというような事実にかんがみまして、監督処分の発動をしたのであります。指示、勧告をいたしたものが四十二件、営業停止をいたしたものが五件、登録の取消しにまで至りましたものが六件、法律が実施になりまして後におきまして現にこれだけの監督処分をいたしておるのでございますが、しかし御指摘になりましたように監督処分を受けたものだけが、下請を使つて不合理な経営をやつておるということではないのでありまして、現在の請負業界においてはそういう事実は相当あり得ると私ども考えております。しかしこれも相当長い間の業界の因習ということでありますので、これにつきましては鋭意努力いたしましてそういう方法をできるだけ絶滅、軽減するようにして行きたい。まずその根拠といたしましては、この建設業法の監督を相当活発に働かせて行くという考えで運用して行くつもりでおります。またそういう方針で業界の指導改善に当つて行きたいと考えております。
○前田(榮)委員 建築についてもですが、ことに災害土木等においては、地方においてずいぶん下請業者にやらせておいて、しかも工事金を相当ごまかしておる点があるのでありますが、これは今嚴重に取締るというお話でございまするので、その巌重にやるという熱意は信用いたします。しかしながらわれわれその熱意という言葉だけでは成果が上らぬだろうと危惧いたしますから、徹底的に嚴重にやつていただくように希望申し上げておきます。 次にお尋ね申し上げたいのは、同じくこの請負制度の中でいわゆる脱法行為といいますか、下請ではなしに談合取りという昔からこの業界のつきものがあるのでありますが、これについて取締りを嚴重にやろうといたしましても、非常に困難なことがあるのでありまして、こういう談合による不正請負についていかなる方法またいかなる手段をもつてこれらを監督、是正をするかということについて、建設省はどういう手段をとられておるか。こういう点をこの際明らかにいたしていただきたいのであります。
○澁江政府委員 入札請負にからみます談合の問題も、これまた十分御承知になつておられます通り、請負制に関連する非常に重大な問題でございまして、私どもといたしましてもこれを一刻も早く払拭するように持つて参りたいというふうに考えておるわけであります。そこで現在までにとつておりました方法は、先般も申し上げましたけれども、入札を合理化する方法、制度を立てて行くべきではないかという考え方であります。御承知であろうかと存じますが、請負業者のダンピングに対しても、一つの客観的な標準によつて格づけをしまして、入札上の競争は公正な立場で行われる方向に逐次持つて参るべきだという考え方に立ちまして、これは業界ないしは専門の学識経験者等、これには発注者ももちろん参加しておりますが、その集まりであります中央建設業審議会等の意見を参酌いたしまして、そういう制度を考え、入札の不明朗な形を避けるということをいたして参つたのでございます。しかしこれは談合問題に対する直接の解決方法には必ずしもなつておるとは申し上げかねるのでございます。そこで談合問題が法規的にはどういう形で抵触して参るかと申しますと、これは一つは刑法上の問題としまして、公務執行妨害という規定に該当するかと私ども考えております。それから建設業法の建前といたしましては、これも同法によりまして建設業者が請負に関して不誠実な行為というようなことがございますが、この談合自体がきわめて不誠実な行為であるというふうに考えられますので、この條項の発動によつて処分をする。従つてその処分の結果といたしまして、あるいは営業の停止、あるいは登録の取消しということが考えられるわけであります。ただ遺憾ながら過去におきまして談合問題を徹底的に究明することは非常に困難を感じておりましたことは、実際問題として事実が証明し得る程度にはつきりつかむことがなかなか困難でございますので、そういう点からいたしまして、談合問題を徹底的に解消し得るほどに十分な監督が行われてないという点につきましては、私どもといたしましてはまだまだ努力する必要があると考えておる次第でございます。
○前田(榮)委員 この問題につきましては前の問題と同様に、今御説明になつたようにまだまだ努力を必要とする問題でありまして、業者の誠意にまつべき点が多大にあるのでありますが、こういう点につきましては、工事施工者の方に請負予算金等が漏洩するという問題も考えられるので、こういうものの取締りと申しますか、警戒をいかにするかという点についてももう少し御意見を伺いたいのであります。 次にこの法案と直接関連する事項でありますが、この保証会社は今のところ東京と大阪と二つの会社ができる見込みであり、またそういうことを期待されておるようであります。しかしながらこれは他のそういう條件を具備いたしまして、会社を設立するものがありました場合には、これをさしとめる何らの根據もないと思います。全国に四つあろうが五つあろうが、そういう場合には会社の設立を認めなければならぬと思うのであります。そういう場合において私が危惧するのは、いわゆる自由党の政策の根幹といいますか、現在の情勢から考えますと、一般産業界におきましても金融資本財閥がややもすると産業を支配する傾向に現在なつておる。従つてこういう公共工事につきましても金融の保証ということになりますと、やはり銀行業者等の金融界、土木工事に対する経験知識等のない、ただ金融を支配する能力はあるというようなものが業界のうしろにおつて支配するのじやないか、こういうことはわれわれが看過することのできない問題であります。たとえばそういう貸出し等において、損失等のほとんどない、利益が相当に確実に見られるという好條件の保証会社に銀行業者が乘り出して参りまして、九州にもできる、北海道にもできる、あるいはまた四国にもできるというようなことがないとは考えられないのでありまして、そういうこと等があつたら当然その会社は認められなければならないのであります。これはすなわち金融界がこうした事業界を支配する傾向になる。こういうものに対してこれが適当であると考えられるのかどうか。またそういうような傾向については、銀行業者の出資等について制限を加えるというような御意思があるかどうか、こういう点についての御所見をお伺いしたいのであります。
○澁江政府委員 前段にお尋ねのございました予定価格の漏洩問題でありますが、これが談合を誘発する一つの原因でもございます。その点は発注官庁の立場におる者としては十分注意をしなければならないのは当然のことであるというふうに考えております。またこれは業界側の自粛ももちろんであります。しかしこの漏洩もかなりそういう事実があるということを私どもも耳にしておりますので、従いましてこれも発注官庁の立場ない上は建設省の立場で申しますれば、補助金をもつてする補助事業等の関係におきましては、この補助金の使途の上からも十分予定価格の漏洩について嚴重な警告を従前も発しておりますし、今後といえどもなおその点は注意いたして参るつもりでございます。 第二にお尋ねになりました金融機関とこの信用保証会社との関係の問題でございますが、ただいま御指摘になりました通り、この法律では一つの登録條件に合致いたしております限りは、この会社の設立を幾つかに限定するという処置はとられておりません。従いまして現在全国二社案というものを一応この問題に非常な関心を持つております業界方面においてはもくろみつつございますが、しかし今後においてなおそれ以外に会社設立の試みが出て来ないとは保証できないのでございます。ただ会社運営自体におきまして、金融資本との関係については私どもこの法律案を立案いたします際に非常に検討をいたした問題の一つでございまして、御承知のように業界の金融は、前払金制のございません現状ではどうしてもやはり金融機関に依存せざるを得ないのが実情でございます。これは相当信用のある大業者の場合においてはもちろんでございますし、いわんや中小業者の場合におきましては、相当の無理をしてでもどうしても金融の道をつけなければ、この着工の資金を確保するに非常に困難である。従いましてその結果として金融が百パーセント確保できない場合には相当の無理をしなければならぬ。またそのために割高な材料の買付もしなければならぬ。そういうことがひいてこの工事自体の価格に影響もいたしますし、工事の質にも相当の影響をしております。この根本は、やはり金融機関の建設業自体に対する信用の認識に非常な、何と申しますか、私どもの考えているところでは実情の把握について足りないという点もございますし、またそういう点について監督の立場にあります建設省としても、まだ十分な業界との連絡等がとれていないといううらみもないではありません。しかし今回こういう信用保証会社を設立した目的の一つは、やはり業界自体のことについて——もちろんこれは調査もいたしますが、相当の理解があり、しかしてなおこれが金融的な措置の上にもプラスになり、現存の金融機関に依存する体制よりも数歩前進するという建前において考えられたのでございまして、そういう点におきまして私どもとしては、今後の運営についても従来の金融機関に依存しておつた体制と何らかわりない形でこの会社が運営せられるということについては、十分警戒をして行かねばならぬというふうに考えておるのでございます。
○前田(榮)委員 私はそういう点につきましては、この保証会社設立の條件といたしまして、金融業者の出資率というものに一つの制限を加えるべきではないかと思うのであります。業界の事情、それから業界の人々の個々の信用、またそれら工事を行う点での信用、こういう点でいかに誠意を持つて工事を行う事業家であるかどうかということが十分理解できなければいけないのであつて、ただ金さえそろえばよろしいというような点での保証という建前をとることに弊害が起ると思うのであります。従つてそういう点では一つの保証会社の出資率については、金融業者が大多数の株を持つて業界を左右する、こういうことになつた場合において弊害が起るのではないかと考えるのでありまして、そういう点でこの保証会社は、業界に対して理解のある運営ができるような土台をつくつてやらなければならぬと思う。この点についての御所信をお伺いいたしたいのであります。
○澁江政府委員 銀行の出資率にある程度の制限を設けることによつて、先ほど御指摘になりましたような措置の裏づけをして行くというお考えのように承つたのでございますが、実はこの法律で規制いたしておりますことは、あくまで主体は民間出資の商法上の株式会社というものを前提にいたしておりますので、従つてこの出資者の構成がどういうふうになつて行くかということは、今後設立されるそれぞれの関係者において十分検討されて行くというふうに考えておるのでございますが、幸いにいたしまして現在のところこの法律の制定を待つて設立を企図しておる主流と申しますか、中心は、やはり業界自体でございまして、従つて大業者の方といわず、中小業者の方といわず、この会社にそれぞれ応分の出資をして、この会社自体を、ただいま御心配になりましたような点に堕することのない方法において出資をしていただく、こういうような非常な熱意に燃えておられるようであります。従いまして御心配の点は、現在の状況から判断いたしますと、まずないというふうに私どもは考えているのであります。しかし将来の問題として、そういう点の御心配はごもつともでございまして、従いまして私どもといたしましては、銀行の営利中心主義の運営が行われるような信用保証ということになりますと、どうしても事業の公正な運営にいろいろの支障を来すであろうというふうなことも予想されます。これに対する手当をどういうふうにして考えて行つたらいいかということになりますが、この法律において、事業改善命令ということを相当取上げております。これは建設大臣が主務大臣といたしまして、建設業界の改善育成という立場をとつて考えており、建設大臣において改善命令を十分出し得る建前になつておりますので、御指摘のような点があつて、そのためにここへ揚げてございますような信用保証の公正な運営を非常に阻害するという事態に対しましては、今申し上げましたような方法において、改善命令等によつて、会社の運営を公正にして行く道がある。こういう点において、私はいわゆる出資率の制限という問題を持ち出す前に、そういう方法において改善せられる道があり得るのではないかというふうに考えるのでございます。
○前田(榮)委員 現在前渡金の実施をいたしている国鉄関係の現行のやり方で、そう支障なく行われていると思う。保証会社というようなものがなくてもやられていると思う。それをこういう保証会社をつくらなければならぬということは、国有鉄道の方でやつている現在のやり方のどこに欠陷があるのか、この点をお伺い申し上げます。 なお、私は金の面だけでこの問題を取扱おうというところに不合理が一つあると思う。要するに問題は、その工事が支障なく施工されればよいのでありまして、工事人が信用があつて、前渡金を渡しても、それに蹉跌を来さないという確実な見通しがつけばよいのであります。そうなりますと、ただ金の面だけで考えないで、事業者がさしあたりの工事施工に要する運営資金というものはないけれども、資産があつて、たとえば大きいビルの所有者であり、同時に工事人であるという場合においては、そのビルを抵当に入れて、前渡金を渡すという方法も一つの方法だと思う。また工事人が田地田畑その他の不動産等を持つておつて、その不動産を抵当に入れるということになつても、さしつかえないと思うのであります。 またもう一つは、それらの工事人が一つの組合等をつくつて、その組合の共同責任において、たとえば十人なら十人の組合があつて、その十人の組合員のすべての不動産等の資産を抵当物件に出して、万一渡した前渡金に支障等がある場合においては、それらの財産を適当な法律によつて補つて行く。こういうこと等もいたしますならば、利子の必要なこれらの保証会社のお世話にならずに、前渡金を有効に利用できると思う。こういう金の面以外の物の面での解決方法をとらずに、ただ金一点の方法で、この法律の実質的な精神を生かして行こうという方法をとらなかつたという点は、いかなる点にあるのか、御説明を願いたいと思う。
○澁江政府委員 請負の経営の改善上についてとるべき手段は、お説のごとくいろいろあると存じます。かりにここで、現在問題にいたしております金融上の措置の問題につきましても、ただいま御指摘になりましたような、請負業者の持つている資産あるいは自己資本というものを、それ自体提供すると申しますか、それによつて事業運営をして行く、これは請負の本来の姿でございます。しかして現在そういう措置がとられてないかと申しますと、私どもの聞いているところでは、それぞれの請負業者は、相当苦心をいたして、自分の持つておられる不動産などを抵当に入れ、金融に打開をはかる、こういう点については非常に苦心をして現にやつておられるのが事実でございまして、その事案の上に立つて、しからば金融が円滑に行われているかというと、行われていないというのが現在の実態でございます。つまり現在の請負業者としては、他の企業体についてもある程度共通していることでございますが、自己資本というものにきわめて惠まれていない状況にあるというふうに、私どもは見ているのでございます。ただ請負関係におけるそういう資金繰りは、自己資本もさることでございますが、現在まだ十分と行かないと思つております点は、いわゆる機械力等を抵当に入れまして、これが金融上抵当として活用し得るという点についてはまだ十分ではありません。そういう点について私どもなお手をつける必要があるというふうには考えておりますが、不動産その他につきましては、これはもう現在の態勢においても十分活用され、しかしてなお金融上の措置がこれだけではつき得ないという状況にあるというふうに判断しておるのでございます。そこで信用組合の問題も、もちろんこれは組合主義をとつて、それによつて共同の信用において金融の打開をはかる。これもある程度やはり行われておることだと思いますが、そういう事実自体の上に立つて、なおかつ不十分であるということを前提としまして、私ども実はこういうような処置を考えたのであるということを御了承願いたいと思います。 なお国鉄の現在の行き方は、こういう信用保証事業会社の保証なくして前金払いを現に行つております。ただこの際は、国鉄の実例では保証人というものを立てることを一つの條件としております。そこで保証人制と、こういう保証事業会社による保証とどちらがいいかという問題になつて来るわけでございますが、現在国鉄で行つております保証人制も、これは国鉄自身が非常に悩んでおるところでございまして、かりに工事を放棄した場合に保証人が確実にそのあとを引受けて工事をやつてくれるかという保証の点になりますと、必ずしもその通り行われない。多少そこに無理がかかる。無理がかかつた結果は、その保証人自体に責任を負わした結果として、また派生的に他の無理が起つて来るというような状況にもなつておるように聞いております。それから保証人制度について、いかなる保証人を選定するかということになつて来ると、非常に困難な問題があるというふうに聞いておるのでございますが、特に実際問題といたしますと、中小業者が自己の保証人を他に求めるということはなかなか困難な場合が予想されるのでございます。大業者間においてはそれぞれ同業者間の信用保証と申しますか、保証人を求めることはさして困難ではございませんが、これが中小業者の立場に立つて参りますと、なかなか保証人になつてもらえない、こういうことになつて参るように聞いておりますので、それらを彼此検討して参りますと、やはり中正なる信用保証をする事業会社がそれ自体としてある方が、私は一歩進んでおるのではないかというふうに考えておるのでございます。
○前田(榮)委員 本法案による保証会社も、私は全面的に否定し、反対しようとは考えないのでありますが今申し上げましたように、この保証会社のみによつて保証されたるものに前渡金制度を利用する、その他の方法での資金面、今申し上げましたような不動産等の自己資産あるいはまた共同の資産によつての保証というものを全然無視したやり方、これはきわめて一方的であると思うのであります。もちろん個人といたしまして保証人を選択するのにめんどうであり、事実上また困難であるから、こういうことを営業いたしておるところの保証会社に頼ることがきわめて合理的であり、好都合である、こういうこともあることはわれわれも認めるのでありますが、それと同時に、自己資産やその他の面で、つまりそれが単なる人の保証というようなことになりますと、この保証人の取捨選択まだその認定、こういうものに困難な事情もあるとは思いますが、そうでなしに、いわゆる不動産等の抵当物件等によるところの保証ということになりますと、そう大して困難ではないと思うのであります。なるほど、運営資金というようなものをすぐには持つておらないでも不動産は相当持つておる、こういうものでありながら、保証会社に保証してもらつてそこに幾分かの利益を割かれる。こういうことは事業者を保護するゆえんではない。またこういう社会的にも信用のある、また資産的にも信用の置けるものを、しいてこういう保証会社によつて保証してもらわなければならぬ、こういうような一本建でなしに、私は、この法律を二本建にして、保証会社によつてもこの前渡金制度を利用できる。また一面資産等のあるもの、または業界のきわめて円満な組合等がつくられて、ともどもに保証し合つて、おれの資産も使つてくれ、君の資産も使おう、こういうように業界がきわめて円満な状態で共同動作のできるようなものは、これを利用してやる、こういうことが必要なのではないかと思うのであります。もちろん現行におきましても、そういう方面を民間等においてもやつてはおるのでありますが、こういう点についてはいろいろ現行やつておるやり方について不都合な点があるような御説明がありましたが、それはなるほどそういう点もありましようけれども、この点をもつと努力して、業界の人々のために合理的に適正な方法に実現するように努力を惜しまずにおいて、そういうことについては今まであまり成績がよくないから、そんなことは努力しなくても、保証会社をつくりさえすればそれでいいのだ、こういうような一方的なやり方というものは、業界のためにも、また今日の金融の非常な困難な場合においても、親切が足りない、また努力が足りないということになろうと私は思うのです。それでこれを自己資産やその他の共同信用等におけるところの方法も併用してやつてはどうか、こう考えるわけでございますが、この点に対する御所見をお伺いしたいのであります。
○澁江政府委員 この信用保証事業会社が業界の金融難に対して相当の寄与をするであろうということは私どもも期待をいたしておるわけでありますが、さればと申しまして、現在それぞれの請負業者が自己の資産あるいはただいまお述べになりましたような共同信用組織といつた方法において、金融の道をつけるという道をこれによつてふさぐことはもちろん考えておりませんし、またそういう結果になるものでもないと私どもは考えておるのでございます。第一の問題といたしまして、これは前金払いの保証をするわけでございますが、業界といたしましては、全工事費の三割の前金払い——もちろんこれが相当業界の金融難に寄与することは事実でございますが、しかしその余の七割の資金については十分な手当があるかと申しますれば、これはまたなかなか困難な問題でございまして、これについて依然としてやはり現在の姿における金融機関に依存するという方向がとられざるを得ない、そういう場合におきまして、ただいまお述べになりましたような業者の自己資産あるいは共同信用組織というものの活用も十分考えられていいと思いますし、またかりに前金払いの信用保証をいたすにつきましても、業者の持つておられる自己資産あるいはそういう信用の度合いというものが一応のやはり信用を保証する目途として重要な役割をなすであろうということも想定されるわけでありまして、そういう点においてこの信用保証会社ができるために、もう他の方法についてはあらゆるものがこれだけを一辺倒に頼つて問題を解決して行くというふうな仕組みになるべきものでもないというふうに私どもは考えておるのでございます。
○前田(榮)委員 つまりこの保証会社の金融的な保証のみに一辺倒で頼るというのではない。自己資産等についても考えないことはない、かように御答弁になつたと私は承つたのであります。そうすると今日こういう事業家は金融に困り、また金融を保証し得るところの個人的な金の融通がつくものはきわめて少ないというのは、私もそうであろうと考えますが、中にはやはり自己資産等においてやり得る、また信用し得る事業家も百人に一人あるいは千人に一人にしても、一人もおらないことはないのでございまして、ただしかしながらそういう不動産等の資産はあつても、たちまちに工事を運営するところの運営資金がすぐ何千万か何億かという金が右から左にできるかどうか、それはできないから、これを保証会社によつて保証せしめるというようなことになつたのでありますが、しかしながら千人に一人、百人に一人にいたしましても、自己の不動産等を抵当に入れて、これが問違いなくその資産の信用からいつて、前払金等について工事施工者に迷惑をかけないという見通しのある人もあるに違いない。そういうものも、そういう保証ができた場合においては公共事業におけるところの前払金を実施されるかどうか、こういう点について伺いたい。
○澁江政府委員 ただいまの御質問の点は、先ほど申し上げました信用保証会社は、いわゆる前金払いを受けるについて一つの信用保証会社のみの保証に頼ることなく、それ以外にも業者自体で自己資産もあり、相当の抵当力、あるいは信用力をそれ自体として持つている場合においても、信用保証会社を利用せずとも、前金払いを利用できるように考えたらどうかというように了承したのでありますが、この信用保証会社の企画をいたすについて一つの重要なポイントは、信用保証会社それ自体が一つの会社でございます。やはり事業会社でございますから、それ自体が成り立たないというのに、信用保証会社の信用を求めようということになりましても、それは事実上言うべくして行われないという結果になる。従いましてただいま前田委員の仰せになつたような方法をかりにとるといたしますれば、これは信用保証会社の選択、あるいは自己資産の提供による前払金を求める方法の選択は業者のそれぞれの自由意思によつてきめられて行く、こういう結果になつて来ると存ずるのであります。そういつた場合に対しましては、これは大業者等におきましては何も必ずしもこういう他の信用保証事業会社の信用力を求めて自己信用を増強しまして、前金払いを受ける必要はない。現にそういう声も実は出ているのでございます。しかしそういうことでありますれば、結局落ちこぼれになつて行く。前金払いを非常に自己資産、自己資本では困難とする、いわゆる資力に乏しい、そういうものがこの信用保証事業会社に入つて行く、その結果は信用保証事業会社としては非常に信用力が薄いと同時に、それによりまして危険性の多い、つまり業者の信用のみに專念して行かなければならないという結果にもなることがあるのであります。そういうことは結局信用保証事業会社の経営自体を成り立たせ得ないという結論になつて来るのではないかというふうに思うのであります。信用保証事業会社の一つの目的といたしますところは、やはり保険の制度と同じりくつでございまして、これはきわめて信用力の薄いものもあり、強いものもあり、彼此相カバーして一つの保険の制度と同じように、これを一つのプールに入れて、そうして信用力を全体としてふやして行く、こういう構想の上に立つておる。そういう意味合いにおきまして、私どもは信用保証事業会社の保証事業を成り立たせる上において、それから終局的な意味の、建設業全体の信用力、ことに大企業者のみならず、中小企業者の信用力をつけるという意味においても、こういうシステムを今申し上げたような方法においてとるにあらずんば、不可能ではないか、こういうふうに考えております。
○前田(榮)委員 今の御説明は前からの説明とたいへん矛盾いたしておると思うのであります。今の業界の大部分の人は自己資産等による保証等の能力が乏しい。従つてこういう人々に金融の道を適正に開いてやつて、それによつて工事をスムーズに行わしめる、こういうことでなければならぬということであつたように承つておるのであります。そういたしますと自己資産等によるところの信用のある人は業界に少くて、むしろそうでない方が大多数を占めておるという現状であるということなのであります。業界の中で少々はそういう自己資産等の人を認めるということがあつても、大多数の人はそれにたよることができない。たよれない人はこういう保証制度によつて前払金制度の利用によるところの工事施工を行わしめる、こういうことでなければならぬ。従つてこの制度とそれから物の保証をする制度と併用したからといつて、その会社の設立ができなくなるというお説は当らないと私は思う。もしそうだといたしますならば、この会社を設立するために健全な事業家があるにもかかわらず、それらをも犠牲にせしめる、こういうことに結論はなると思うのであります。むしろそういう保証会社というものがなくても、業者自体の信用が高まりさえすればよいのでありまして、アメリカ等における状態はそういうものの必要のない状態にまで至つております。ただアメリカと日本とは比較になりませんから、日本の現状としてはこういうものによつて、中小企業その他自己資産によつて十分に金融の道を開くことのできない人々を救う。そうして公共工事を完全適正に施工せしめる、こういうことでなければならぬのでありまして、それを併用したからといつて、決してこの保証会社が成り立たない、あるいは保証会社の設立が不可能であるということには断じてならないと私は思うのであります。もしそういう現状であるといたしますならば、むしろこういう会社はなくてもよいのではないか、こういうように考えるのであります。自己資産等を持つておる者を認めることになりますと、成立することが不可能な状態になり、金融の道の不十分な人々に金融の道をふさぐ、こういう御説明であるといたしますならば、これは筋道が違うのではないかと考えるのでありますが、御所見はいかがでしようか。
○澁江政府委員 私の申し上げたことに多少不徹底な点があつたと思うのでありますが、前段私が不動産信用あるいは共同信用組織の活用という問題について申し上げましたことは、これは前金払いの保証という問題に限りませんで、建設業者の所要資金の金融を解決する際に保証事業会社の前金払いの保証、という方法においても解決されるであろうけれども、建設業者の自己資産あるいは共同信用組織はむだになるのではなくて、一方においてはまた前金払い以外の他の所要資金の金融の上に十分活用し得るという点を実は申し上げたのであります。そこであとで申しました物的保証とそれから信用保証事業会社の保証と、両者を併用し得る方法において解決して行くことも可能ではないかという問題に対して、私はそういうことをすることが、結局においてはやはり信用保証事業会社の設立を不可能にして行くのではないかという意見を申し上げたのでありますが、その点は若干補足さしていただきたいと思います。これはアメリカのシステムの上においてもアメリカ自体の請負業者というのは相当の自己信用といいますか、資本力を持ち合せております。従つて建設業界の消長というものがアメリカの経済に非常に影響を来すという程度にまで信用力なり、経済界に対する影響力を持つておることでございますから、もちろん自己信用が相当高いと言わざるを得ないのでありますが、そういうアメリカの業界自体においても、先般も申し上げましたけれども、やはり自己保証保険というような制度を用意いたしまして、保険会社の信用力とタイアツプして、結局工事の円滑な遂行をはかつて行くというふうな一つの合理主義の立場に立つて解決をしておるような状況にあるのであります。そこで結論的に申し上げますと、この信用保証事業会社が業界に対する犠牲をしいることが多くて、そのためにプラスになる面が少いということであれば、これはよほど問題を検討いたさなければならないのでございますが、保険のシステムはやはりこれに加入し得る範囲が広ければ広いほど、それによる保険料率が軽減されるということは保険の上の当然の結論でありまして、そういう意味において保証事業会社を利用し得る業者が多ければ多いほど、低廉な保証料率によつて予想される事故率をカバーして行くことができる、こういう建前におきまして、私はやはりこの信用保証事業会社を利用する業者の範囲をできるだけ広くするという建前に立つて運営して行かれる方法がとられる必要がある、こういうふうに考える。従いまして前金払いについては、この保証事業会社の保証によつた場合に初めて出し得る、こういう建前になるのが本筋ではないかというふうに考えております。
○前田(榮)委員 自己資産を持つておるものも、この保証会社を通じてその信用を高めて行くのだというふうに御説明になりましたが、これは東京、大阪等の業者はこの保証事業会社を利用するのに割合都合がよいと思いますが、九州の鹿児島方面の保証事業会社が地元にないところのものはそう簡單には行かないのであつて、自己資産を持つておる僻遠の業者はこの会社を利用するのにまた幾多の支障が起ると思うのであります。しかしながらこの点につきましては見解の相違でありますから、一応本日の質問はこの程度にいたしておきます。
○松本委員長 午前の会議はこの程度にとどめ、暫時休憩いたします。午後は一時半より再開いたします。 午後零時三十一分休憩 ————◇————— 午後三時五分開議
○松本委員長 休憩前に引続き、会議を開きます。 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法案、内閣提出第一六四号を議題といたし、前会に引続き質疑を行います。池田峯雄君。
○池田(峯)委員 この間の新聞に、農林省が農地の補償価格について発表しているのを見たわけであります。それによりますと、農林省では、開拓地その他の農地を駐留軍のために接収された、そういつた土地に対して、大体標準農家一町一反の者に対して二百八方あるいは二百九万、これはどちらか忘れましたが、そういうふうに発表しておりましたけれども、農林省がそういうふうに発表するからにはやはり調達庁に対して何らかの交渉なり、打合せなりがあつたものであろう、こういうふうに考えるのでありますが、この点はどうなんですか。
○長岡政府委員 新聞に発表しましたものは農林省の案でございます。われわれの方にも案はまわつて来ております。目下これにつきましては他の関係庁とも十分打合せ中でございますので、取急いで成案を得たいと考えております。
○池田(峯)委員 農林省がそういつたような一町一反の農家に二百万以上の補償をするというような発表をするからには、やはり調達庁に対してこれでどうだろうというような相談があつてもしかるべきではないのか。あるいは調達庁の方でぐずぐずしておつて、調達庁の方ではなるべく安く二束三文で農地を買いたたこうという太い根性を持つておるので、農林省の方が見るに見かねてここいらがどうだろうという発表をしたのかどうか。それでなければ、調達庁の方で農林省が発表する前にこれだけの補償にしたいという発表をすべきではなかろうか。それをぐずぐずしておるから、農林省の方でそういう発表をしたのかどうか。ここらのいきさつについてお答えいただきたい。
○長岡政府委員 農林省の意図のほどはわかりませんが、農林省としてはかような案によりたいという意思だと想像いたしております。われわれの方も二束三文でたたこうという気はございませんが、この問題は、ただいまわざわざ池田委員から御質問をいただきますほど重要な問題でございますので、関係官庁と十分打合せることにいたしております。
○池田(峯)委員 農地の補償価格については、最後的に決定するところはどこなんですか。調達庁が決定するんですか。大蔵省が決定するんですか。あるいは農林省、大蔵省、調達庁あたりが協議して、決定するんですか。協議して決定するにしても、最後的に断を下すところはどこなんですか。
○長岡政府委員 どこの案としてきまるかということは、これは特調できめるべきものでございますけれども、これがためには各関係庁の意向をただしまして、十分連絡の上でないと、きめかねる問題でございます。
○池田(峯)委員 そういたしますと、農林省の発表は、国民を惑わす発表である、こういうふうに了解してさしつかえありませんか。
○長岡政府委員 農林省の意図につきましては特調からかれこれ申し上げることは差控えたいと思います。
○池田(峯)委員 特調としては農林省ではそういうふうに発表したけれども、特調としてもまことにけつこうなことだ、こちらの案も大体それに近づいて来ているのだ、こういうふうになつておりますか。それとも農林省がああいう発表をしたのでとんだことをしてくれた、わしらの方ではもう少し安くしようと思つたが、農林省があんな大ぶろしきを広げてしまつたからどうにも始末がつかなくなつちやつた、迷惑千万なことである、こういうふうに考えておりますか。
○長岡政府委員 この補償の問題につきましては、特調といたしましてもなるべく農民に有利に決定したいという希望は農林省とかわりございません。ただあの数字がはたしてどういうふうに決定いたしますか、これはまだ関係庁と十分打合せた上でないとどういうものが出て来るか、今日のところまだ申し上げることはできません。
○池田(峯)委員 岡野国務大臣に御質問したいのです。この農地の補償の問題につきまして閣議で問題になつたことがあるかどうか。あるいは農林大臣と会つて大体の案をお互いに協議したことがあるかどうか。この点をお聞きします。
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。農林大臣は農地の接収については非常に心配されておりまして、閣議でも話が出たことがございます。そしてもしも農民が生業を失うようなことがあつたら十分なことをしてやらなければならぬというような話合いがありました。
○池田(峯)委員 話合がありましたとおつしやいますが、具体的な額について話合つたことがございますか。
○岡野国務大臣 具体的の額は閣議には出ませんでした。
○池田(峯)委員 それでは結局あれは廣川放言の一つの範疇に属するものであるというふうに了解します。 次に予備作業班の委員の人が参議院で大体この程度の農地を接収する予定である。在来の飛行場で存置するものはこことこことここ、こういつたようなことを発表しておるように新聞に出ております。調達庁として発表できないという限りではないと思いますので、この前私が要求いたしましたが、それにつきましてはどうも発表できぬ、わからぬ一点張りでありましたけれども、少し詳しい点をお答え願いたいと思います。
○根道政府委員 ただいまのお尋ねに対しましてやはり私どもはわからぬと申し上げるよりほかないのだろうと思つております。何となれば、この間の参議院における答弁におきましては、どことどこにどうあるという説明をしたのではなくて、大体今のところとかわりはないのではないかということと、場所によりましては返されるのもあるだろうし、飛行場などにおいてはあるいは滑走路の延長ということのために、新たに多少のものが接収されるというようなこともあるだろう。また演習地等においてあるいは向うの要求があつて少しふやしてくれというような点もあるであろう。しかしまだその点については具体的には話合いは進んでおらないというようなことを言つたのではないかと私は思います。たまたま昨日参議院の建設委員会におきまして外務省の者も出ておりましたが、その際は今私が申し上げておりますようなことを言うておりました。
○池田(峯)委員 これはこの前の議論のむし返しになるのですけれども、この法律を出すことによつて日本の農民、その他の国民がどれだけ犠牲をこうむるか、こういう点が明らかになりませんと法律を審議する一つのめどが出て来ないのであります。そういう点でどうしても具体的な何らかの見通しというようなものが法律を審議する前提條件でなければならぬと思います。それについては全然ない。本日この法案質問を打切つて採決に入るという話でありますけれども、こういうことでは私は絶対反対しなければならぬと思う。こういうばかなことはあり得ない。重ねてお伺いしたいのですが、どうしても発表できないものなのですか、全然知らないのですか、それとも知つているけれども発表できないものなのですか。
○根道政府委員 私どもにわかつておつて、発表してさしつかえない部分はもちろん発表申し上げます。概略の数字は管理部長より補足して申させますが、私ども申しておりますのは、この法律と直接の関連において問題になります将来の収用の問題であります。この前の本委員会においても私より御説明申し上げたと思うのでありますが、大体においてかわりはないのではないか。そのうちで現在政府が民有地等を接収しておりますものは——接収という言葉はおかしいのですが、自由契約によつて実は借りておるところがありますが、今後これをあらためて自由契約によつて借り入れて行く場合、これの話合いがまとまりませんと、絶対必要なものについては、この提案の法律によりまして収用をいたすということであります。従いましてこの法案ができたがゆえに、現在の土地以上に非常に広く収用を行うというような問題にはならないというふうに私どもは考えておるわけであります。
○池田(峯)委員 今の長官の説明は、今まで契約して連合軍の接収地になつていたものを、これを切りかえるためにこの法律が必要なんであつて、新たに農地を接収するというようなことは考えられない、こういう答弁ですが、これは少し実際とは違うのではなかろうかと考えられます。実際にもつともつと莫大な農地が取上げられる、こういう見通しに私は立つものです。私のそういう見通しが誤つておるというならば、誤つておるという証拠を出してもらいたい。ところがその証拠が何もない。従つて当然この法律が出たからにはこの法律に基いて相当の農地や建物が接収されるという見通しに立たない限り、この法律を審議することはできないと思うのです。あなたたちが接収しませんと言つたところで、向うがいやそうじやないのだ、接収するのだと言われればそれまでだと思う。現実に今までの飛行場を接収した農地しか接収しないという言明か何かが向うにあるのですか。あるいは日米の間でそういう條約か何かが結ばれているのですか。そういうことは全然ないと思う。日米の條約によれば向うが必要とする限りどんどんとることができるわけです。であるからにはそういう前提に立つてこの法律を審議せざるを得ないと私は考えます。今根道さんが言つたように、今まで通りなんだというような保障がどこにあるか、これをひとつ説明していただきたい。
○長岡政府委員 先日も池田委員から同様な御質問がございました。ただいま長官が申し上げましたことは、実は現在まで使つておりますものとあまり大差はないであろうということを御説明申し上げました。あるいは今御指摘の通りに、日米間に現在のものより働かさないという協定があるとは思いませんし、建物等につきましては逐次返還されておるのであります。土地につきましても多少返還されてあるのであります。本法案を御審議願います資料といたしましては、現在使つております土地なり建物の数量を申し上げまして、御参考に供したいと存ずるのであります。従来民有地につきましては一億四千五百万坪、これを内訳によつてみますと、原野につきまして一億二千六百万坪、宅地が百万坪、田畑が千三百万坪、その他が五百万坪、こういうことになつております。建物につきましては合計百三十五万坪というものが使われておる次第でございます。これを今後本法が実施されましたあとでも、われわれといたしましては随契によりまして同意の上で使うなり収用するということにいたしたいのでありまして、この法律を適用いたしますのは万やむを得なかつたときに収用するものでありますから、たとえこれから使う土地がわかりましても、はたしてその何割がこの法律にかけなければならぬかということは、今から決定的に申し上げることは不可能な次第でございます。
○池田(峯)委員 議論をむし返すようですが、現在まで使つているものと大差ないであろうという責任ある答弁をするからには、大差ないであろうという根拠があつていいことだと思うのであります。しかして接収するものはだれかといえば駐留軍です。駐留軍でない長官から大差ないということを言われるからには、駐留軍の方から大差ないであろうというはつきりした言明があつてのことだと思いますが、どうでございますか。
○根道政府委員 ただいま申し上げましたのは、私が実務を扱つております関係の推定でございます。
○池田(峯)委員 長官の單なる推定では、この法律がどれだけ日本国民に犠牲をこうむらしめるかという判定の材料にはならないと思うのであります。從つてもつと責任ある人の責任ある答弁がほしいのであります。ひとつ岡野大臣からその点を御答弁願いたいと思います。
○岡野国務大臣 私もはつきりわかりません。
○池田(峯)委員 委員長にちよつとお願いしたいのですが、こういう問題は私この前申し上げましたが、税率の書いてない税法みたいなものです。幾らでもとることができるという法律なんでありますから、この点につきましては本日の審議はわからない人から何べん聞いたつてわからないのですから、わかる人から聞きたいと思うのです。ついては予備作業班の委員を本委員会に呼んで来ていただいて、そうしてその人からいろいろお聞きしたいと思いますから、この点を諮つていただきたい。
○松本委員長 池田君にお答えいたします。詳細なことは国務大臣にはあるいはおわかりにくかろうと思います。従つて他に政府委員が出ておりますから、政府委員の方に御質問をお願いいたします。
○長岡政府委員 税率のない税法だというふうに先般も仰せられたのであります。池田委員の御指摘の通りでございますと、ただいま行われております予備作業班の作業が済み、合同委員会の協議がととのいました上でございませんと、本法を提出することもできぬようなことに相なるわけでございます。国防上課せられました大きな義務が遂行できませんので、先ほど申し上げましたように、今後どれだけとられるかということはわかりませんけれども、大体の見当はつくものであります。先日も申し上げました通り、土地収用法が制定せられますときにも、この収用法によつては何坪をとるのか、これは長年にわたつて適用される法律でございますから、これによつてはつきりと何坪というようなことはわからなかつたように私は存ずるのであります。従つてそういう関係と同様にお考えくださいまして、本法律案を御審議願いたいと存ずるのであります。
○池田(峯)委員 ところが飛行場でありますし、農地がつぶれるのでありますから、従つて農民がどれだけの被害をこうむるかということは、これは国会議員として十分考えた上でなければ法律の審議ができないというのはあたりまえなことではなかろうかと考えるのであります。それで聞いているのでありますが、土地収用法にも航空保安施設のために収用ができるとある。航空保安施設というものの中には、おそらく警察予備隊の練兵場のごときものも入るのであろうと思います。そういうものが莫大に上るのであろうということも予想いたしまして、私は土地収用法には反対したわけです。そういうわけでこの法律も非常に不安が多いのであります。ですから、私はもつと責任ある人からこの点について聞きたいと思つているのですが、この問題はまず保留しておきまして、さらに初めの方からひとつ逐條的に質問をしてみたいと思う。 第三條の「適正且つ合理的であるときは、」という見解でありますが、これを何べんも私もほかの委員もこの点について質問をしておりますけれども、この際はつきりした答弁を開いておきたいと思うのであります。「適正且つ合理的である」という判断は最後的にはだれがきめるのか、この点について明確な答えをいただいておきたいと思うのです。これは将来土地の接収問題についていろいろ紛争があろうかと思うのであります。これはこの間の予備作業班の委員が参議院で説明した中にも相当部分的に反対がある、こういうようなことがあります。従つて「適正且つ合理的である」かどうかという判定をだれが何にのつとつてするのかということを、この際はつきり承つておきたい。そうして議事録に残しておきたい、こういうふうに考えます。くどいようでありますが、質問をしておきたいと思います。
○長岡政府委員 最後的には総理大臣の決定によるのでございます。
○池田(峯)委員 そういたしますと、総理大臣は駐留軍の用に供することが「適正且つ合理的である」かという最後的な判断をいたすわけでありますが、それに対して駐留軍が「適正且つ合理的」でないという判断をいたしました場合には、どういうことになるのでありましようか。
○長岡政府委員 駐留軍といたしましては、合同委員会を通じまして施設要求はあると思いますが、駐留軍が適正であるとか、合理的であるという決定はいたさないと思います。
○池田(峯)委員 そういたしますと、駐留軍は合同委員会においてこれこれの飛行場敷地をほしいという概略の要求をして、そうして具体的にどこの農地をつぶすかというような問題は、これは総理大臣に一任される。こういうことになりますか。
○長岡政府委員 合同委員会におきましては双方の委員がこの土地を使いたいという問題につきまして、いろいろ協議を行います。その合同委員会の話合いに基きましたものを、政府として最後に出すか出さないかということは、先ほど申し上げた通り、最後には総理大臣の決定にまちますが、おそらく事実問題といたしましては、合同委員会で話合いのつきましたものと、内閣総理大臣の決定は合致する場合が多いものと考えるのであります。理論的には総理大臣が最後の決定をすると考えております。
○池田(峯)委員 そこのところが非常にあいまいなのであります。従つてこの適正かつ合理的であるということは、アメリカ軍が日本で行動するために適正かつ合理的であるということで、多分に軍事的、戰略的、戰術的な観点からの適正かつ合理的である、そういう尺度に立つのか、それともあの農地は非常に生産量が高いから、あの農地をつぶすよりも、こちらの農地の方が原野だからこちらの農地をつぶした方が適正かつ合理的ではないかという立場に立つのか、いずれの立場に立つのかをお聞きしたいと思います。
○長岡政府委員 池田委員の御指摘になりました後者の場合だと考えております。
○池田(峯)委員 後者の場合だといたしますと、それを判断する場合には、日米合同委員会でそこまで判断するのでありますか。日米合同委員会では主として軍事的、戰略的、戰術的立場からこれこれの地点にこれこれの飛行場をほしい、こういう話合いが進められる、これが日米合同委員会における適正かつ合理的な飛行場設置の地点選定の方法であろうと思うのでありますが、この法律における適正かつ合理的であるというのは、あの箇所は非常に日本国民に犠牲を与えるからこちらの方がよろしい、こういうことが適正かつ合理的だということになりますと、その間に非常な摩擦が出て来るのではないか、その矛盾点をだれが調節するのか。どういうことになりますか。
○根道政府委員 この法案におきましては最後的にはどこまでも日本政府が決定するものであります。具体問題といたしまして、駐留軍からいろいろな要求が出て来る場合があるでありましよう。そのときにまた具体問題といたしまして、軍の要請もさることながら、日本側としてはかくかくの事情があるのでそれは非常にむずかしい。あるいは他にかわりのものをどうするというような話合いも、事実問題としては私は将来の合同委員会において話合いができるものと考えております。しかしながらきめますことは、日本政府部内においてこの法案の規定に従いましてきめなければならぬ。これは当然の事柄であると考えます。
○松本委員長 池田君にちよつとお願いします。あなたは前会においても本案には相当長い質疑をやつていただいております。まだあとで田中織之進君、村瀬君と、初めての方が大分控えておりますから、なるべく簡單にお願いいたします。
○池田(峯)委員 この点は非常に重要な問題なので、むし返しのようですが、実は深く質問しておるわけでありますから決してむし返しではないのであります。そういたしますと、現実に農地を接収される立場に立つた農民は、この土地はとられては困る、別な土地を接収してもらいたい、こういう豊沃な土地を接収してもらうことは反対である、こういつたようなことを政府に対してあくまでも要求する、こういうようなことはやはりできますね。これを何らかの形で彈圧したりはいたしませんね。これは重要な問題ですし、また今後前線であなたたちと対立することがあるかもしれませんのでお聞きしておきたい。
○長岡政府委員 農地等の所有者がその希望なり意見を述べます機会はたびたびあると思うのであります。と申しますのは、第一に予備作業班なり合同委員会で話をしますときに、現地の視察をします。そのときにはもちろんそこらの意向もただすはずであります。現にただしておるように聞いております。なお合同委員会で話しがきまりまして、いよいよ使用なり収用を実行いたしますとき、特調の地方の局長がこれに当りますときにも、また第一に交渉するのであります。いきなり収用法にかけて強制的にとるという気持はございません。そのときにも十分意見なり希望を述べる機会は多分にあると存じております。
○池田(峯)委員 第四條の「調達局長は、この法律により土地等を使用し、又は収用しようとするときは、」このときですが、まだ総理大臣の認定がありません。そのときもこれを使用しまたは収用することが適正かつ合理的であるという判断に基いてやるのでありますか。
○長岡政府委員 もちろん局長がやりますときにも、さような点を考えまして交渉するのでありますが、事実問題といたしましては、その前に合同委員会の話合いがついておるものでありますから、これらに基きまして一応交渉の段階に入るものと考えております。
○池田(峯)委員 そういうふうに適正かつ合理的であるという意味をはつきり申されましたから、そういうふうに受取つておきます。将来そうでない場合があつたときには、当然責任をとつていただくことになろうかと思います。この点については質問はこれだけにいたしまして、第六條でありますが、内閣総理大臣は、土地等の使用または収用の認定に関する処分を行おうとする場合において、必要があると認めるときはこれこれの意見を求めることができる。できるということになつておりまして、しなくてもよいのであります。この点についてはやはり拘束規定として、しなければならないというふうにしなければならないと思いますが、なぜこういう大事な問題について拘束規定にしなかつたか。こういうできるというようなあいまいなものになぜしたのか。これから考えますと、どうもかつて次第に縦横無盡に農地を取上げて行くおそれが十分あるように考えられるわけですが、この点はどうですか。
○長岡政府委員 この点につきましては、本日午前中に参議院の建設委員会でもお話が出たのであります。これは「求めることができる。」と書いてございますが、実際の運用といたしましては、必ず関係機関その他の意見を徴することといたすつもりでございます。
○松本委員長 池田君に申し上げます。前会の御質問と大分重複しておると思われる節もありますし、あとに質問者も大分あることは御承知の通りでありますから、簡單に願います。そうでないと、もし万一質疑打切りの動議などが出て来ると困ります。お互いに国会議員としての品位を保つて、なるべく重複を避けていただきとうございます。
○池田(峯)委員 法文がそういうふうになつております以上は、意見を聞くことにいたしますというだけでは、この法律を審議する上での何らの参考にも、保障にもならないのであります。これはすべての法律の審議がそういうふうに行われているのでありまして、この法律にはこう書いてあるけれども、実際はしないのだ、こういう答弁は、これは全然信用すべきではない。これはあたりまえのことであろうと思います。 それから附則の第二項の、協議が成立しないときは、調達局長は、この法律施行の日から九十日以内に、使用しようとする土地等の所在、種類、数量及び使用期間を、六箇月を越えない期間において一時使用することができるというのは、結局占領の延長なんですね。なぜこういうことをしなければならないのか。現に岡野国務大臣はこう言つております。二月の十四日の本委員会において、私がこう質問しました。「この政令が廃止されますのは講和條約が効力を発生してから九十日を経てからであります。九十日を経るまでにこれにかわるべき強制法令がない場合には自由契約でありますから、明らかに駐留軍の施設のための土地収用に対して、これを拒否することもできるはずであります。」こういう質問に対しまして、岡野国務大臣は、「理論上私はその通りだと思います。」こう言つておるわけです、それで、今までに強制的に土地を収用し、建物を収用したものは一件もないはずです。これは自由契約であつたはずです。自由契約である限りにおいては、これが協議が成立しないときは、六箇月を越えない期間においてこれを一時使用することができるという拘束を法文にうたうということは、非常に行き過ぎではあるまいか、不当ではあるまいか、こういうふうに考えられるわけですが、この点についての見解を承りたい。
○長岡政府委員 講和條約が発効いたしまして九十日間は、進駐軍としての権力がございますので、現在すでに前の契約條項に基きまして、九十日間は契約を延長いたしております。この間に今後も使わなければならぬというものが判明いたして参りますと、それぞれ契約の交渉に入るのでございますが、何分にも現在契約件数から申しましても多数ございますし、これがため相当の日数を費すことも事実でございます。なお期限が切れますと、どうしてもこの収用法にかけて収用しなければならぬといつたものがギヤツプできると、かえつて相手方に対しても迷惑をかけることに相なりますので、この間に話合いをつける余裕を一つは持つためにこの規定を設けて、しかもそれに対しては、三項以下の規定によりまして権利者の権利を保護したいという考えでございます。
○池田(峯)委員 これはやはり非常に問題になる点だろうと思います。前は自由契約であつた。自由契約であつたにもかかわらず、期限が切れたので法律でもつてこの期限を延長しようというような、そういう強制権を持たせることは非常に不当な点であろうと思います。 私はこれで質問を終りますが、最後に委員長に再度要求しておきたいと思います。先ほどからお聞きの通り、政府委員の答弁では、この法律がどういうふうに、どれだけの範囲において施行されるかという点がきわめてあいまいであります。これは非常に大きな問題でありまして、農林委員会等におきましても、建設委員会と連合審査をやりたいというような要望もあるやに聞いております。それほど大きな問題なのでありますし、あるいはまた農林省においては、一町一反の農家に二百万円くれるというようなことも新聞紙上に発表しておるのでありますから、はたしてその真偽のほどはどうであるかという点について、農林大臣の出席を求めてお聞きするようなことも必要であろうと思うのであります。さらにまた予備作業班の委員にも出席してもらつて、どの程度の農地、建物が接収される見通しであるか聞かなければならぬこういう点も聞かないで、この法案の質疑を打切り、あるいは採決するというようなことは、委員長としてはぜひとも避けていただきたいということを強く要望いたします。そうして本日の十分な討議を盡した上に、さらにまた農林大臣あるいは予備作業班の委員を本委員会に呼んで質疑を続行するようにこの委員会を運営していただきたいということを強く要望いたしまして、私の質問を終りたいと思います。
○松本委員長 池田君の御意思はよくわかりました。御趣旨のほどは討論で十分お述べ願いたいと思います。 次は田中織之進君。
○田中(織)委員 私の質問の第一点は、岡野国務大臣及び建設大臣に対するこの法案提出の経緯についての問題でありますけれども、まだ大臣がお見えになつておらないようでありますから、その問題をあとまわしといたしまして、事務当局の方に若干の質問をいたしたいと思います。 まずお伺いいたしたいのは、ただいま池田君が最後に申し述べられたことでございますけれども、本法律の施行に伴い新たにこの法律の適用によつて駐留軍の用に供せられると見られる土地、建物等の範囲がどの程度に及ぶかということについて明確にしていただきたいと思うのであります。と申しますのは、大体この法案が提出せられる経緯にも関係することでありますけれども、従来から占領軍の用に供せられておりました土地及び建物等については、本国会で廃止になりましたポツダム政令によるところの土地工作物等の収用令があつたのでありますが、それがこの前廃止に関する法案の審議の際に、実際に適用にならなかつた。あくまでもそれは合意の上で、契約によつて従来からやつて来ておるので、今後の問題につきましても大体占領当時の強権的な関係においてすら、いわゆるポツダム政令によるところの収用令を適用するケースがなかつたのであります。従つて講和発効後両国の合意によつてアメリカ軍隊が駐留する場合におきましては、そういう占領、被占領の権力関係がなくなるわけでありますから、当然契約による使用継続は可能だということは常識的に判断をされるのであります。その意味においてこうした法律の制定は、私は必要ないと考える観点からいたしまして、大体この法律を制定しなければならないということについては、この法律の施行によつてどの程度の土地なり、建物なりを接収しなければならないかということは至大な関係があると思いますので、この点について明確にしていただきたいと思うのであります。本法案の審議にあたりまして、国民に少くとも法の適用の範囲というものを具体的に示すということは、当然立法府として果さなければならぬ義務であろうとわれわれは考えるのでありますので、その点について明確にお示し願いたいと思うのであります。
○長岡政府委員 本法の適用されます範囲がどの程度かという御質問に対しましては、先ほど池田委員にお答えいたしました以上に申し上げることはございません。今後のやり方につきましては従来と同様、でき得る限り契約によりたい考えでございます。本法を出しましたのは、どうしても事由ある場合に承諾を得られないという万やむを得ないときに、この法律を適用する考えでございます。
○田中(織)委員 その点は前の占領軍の用に供するための土地、工作物等の収用に関するポツダム政令の廃止のときに、岡野国務大臣が答弁せられたことと大きく食い違つて来ておる。占領、被占領という権力関係に置かれておるときですら、用意したところのポツダム政令というものが適用されたことがなかつたにもかかわらず、いわゆる信頼と和解に基く合意によつてできた今回の安保條約、これは政府側の説明でありますが、われわれはそういうふうには了解されないところに、この点を明確にしなければならぬ必要が生じて来るのでありますが、われわれはその点から考えますると、この法律の制定の必要は依然として認められない。 そこでそれ以上答えられないということでありますれば、私は角度をかえて御質問を申し上げます。大体現在までの駐留軍の用地として土地は一万件、約一億四千五百万坪、建物が三百件で百三十六万坪、開拓地関係が三千町歩、既耕地が千三百町歩、こういう数字が、これは行政協定に関する参議院の審議の過程において、予備作業班その他の関係から明確にされておるのでありますが、このうちで合意によつて行われる部分と、合意ありとしても、合意が成立しない場合に、この法律を適用して収用しなければならぬというために、本法案を提出されたのだろうと思うのでありますが、大体私が今申し述べました参議院において政府の方で明らかにした土地、建物、農地等の関係において、この法律をどうしても適用しなければならなくなるだろうとお見込みになる点は、大体具体的に把握できるのではないでしようか。その点はいかがです。
○長岡政府委員 先ほども申し上げました通り、現在使つております土地あるいは将来新しく接収する土地につきましても、でき得る限り契約によりたい考えでございますが、何分にも進駐軍進駐の当時と現在とでは権利者の考え方も大分かわつておるものがあると思います。従いまして一応われわれといたしましてはでき得る限り全力を盡しまして、随契による考えでございますが、ただいまその何パーセントに強制力を用いなければならぬかということは想像いたしかねます。
○田中(織)委員 この法律を実施して行く過程におきまして、補償の問題が起つて来ると思うのであります。補償の問題につきましては当然国から補償するわけでありますから、予算的な措置を講じなければならぬと思うのでありますが、この法律を提案する以上、すでに成立いたしておりまする本年度の予算の関係においてこの土地及び工作物、建物等の収用に伴つて、政府の行わなければならない補償関係はどの程度に予算的な措置を講じておるか。お伺いしたいのであります。
○根道政府委員 概略お答え申し上げます。御承知のように、本年度の予算といたしまして、本件に関連する予算は九十二億計上しております。この九十二億は、大体におきまして昨年十月ごろにおける状態をもとにいたしました借上げ借料等五十四億を込めまして、推定いたしたのであります。その後の状態におきましてその借料は将来の値上りのためふえる見込みのある部分もあります。また解除によりまして、それが減額される面もあるだろうと思います。借料が現在のままとすれば、五十四億をだんだんと下まわつて行く傾向にあるのではないかと思います。従いましてその九十二億中の残額をもちまして補償の経費に充てることが可能と考えております。
○田中(織)委員 その九十二億円というのは、防衛分担金の六百五十億の中に入つておるのでありますか、それとも安全保障の関係の五百六十億の中に入つておるのであるか。その点を明らかにしていただきたいということが一点。 それからただいまのところでは九十二億円のうち五十四億円が大体使用料でありまして、その九十二億と五十四億との差額が収用によつて行いまする補償に振り向けられるという御答弁を伺つたようなわけでございますが、そういたしますと、昨年の十月当時を基準にして算定したのが五十四億ということでありますが、土地の場合建物におきましても、それぞれ大体収用基準の單価というものが出て参らなければこの九十二億にいたしましても五十四億にいたしましても出て来ないと思いますが、坪当りの單価を一体どの程度に押えられているのでありますか。予算編成当時の数字でけつこうでございますからお示しを願いたいと思います。
○長岡政府委員 御質問の第一点の九十二億は六百五十億の部と承知いたしております。 それから今後この新しい基準によりまして、ことにこの収用法が適用になりますと附近の地代によりまして委員会で決定されるのでございますが、随契によりますときもこの法律の趣旨と同じように措置いたしたい考えであります。従いまして九十二億では足らないじやないかという御懸念も生ずるわけでございます。これにつきましては先ほど長官からも申し上げました通り減るものもあります。どうしても足らないというときにはさらに予算的措置をとつて権利者に迷惑を及ぼさないようにいたしたいと考えております。なお土地なり家が解除になりました場合の補償という問題は、別途の金から、善後処理費からおそらく支出されるものと考えております。
○田中(織)委員 やはり防衛分担金の六百五十億の中に入るということになりますと、この六百五十億の防衛分担金のうちわれわれの承知するところによると、約百億日本政府において直接支出する部分を除いたあとの五百五十億、このものは米軍の方に引渡してアメリカが負担する、日本金に換算した六百五十億とともに米軍において支払つて行く。こういう関係が先般の豫備作業班の全体会議において問題になつていることは、新聞紙に報道せられている通りでありますが、日本政府において直接支払う約百億の中にこの九十二億というものがあると了解してよろしゆうございますか。それともこの関係のものはそれとは別の、アメリカに引渡す五百五十億の中に入るものでありますか。その点をまず明らかにしていただきたいと思います。
○根道政府委員 ただいま論ぜられております予算の所管は大蔵省でございますが、ただいま申し上げました九十二億というのは分担金六百五十億の中でございます。米政府に渡すというようなことで、問題になつております金額は六百五十億から九十二億を差引いた金額でございます。日本政府として処置いたしますそれ以外のものは米国政府に引渡す金ではないのであります。
○田中(織)委員 それでややはつきりしたわけでありますけれども、そういうことになりますと、これは駐留軍の物資の調達に関する直接調達と、従来のような日本政府を通ずる間接調達との問題で、これは行政協定が成立してしまつてから日本の産業界においても実は大きな問題になつているのでありますが、あとから気のつかぬような点になつているのでありまして、これが現実に日本経済の上にどういう弊害を伴つて来るかということをわれわれ心配しているのでありますが、防衛分担金の中でこの九十二億というものは差引いて残りが米軍に引渡されるということになりますと、この関係においては一種の間接調達、日本政府において駐留軍の用に供するための土地収用を行うということになるので、経済的な関係から見れば間接調達のような形に私は理解できると思うのであります。そういたしますと、日本の国内には別途本国会に改正法が出たようでありますけれども、土地収用法があるのでありまするから、特別にこの行政協定に基きます特別措置法というものは私必要がないと思うのでありますが、これもやはり提案の経緯等と関係を持ちますけれども、いかがなものでありましようか、日本政府の責任において収用したものに対する補償等を行うという関係で、予算的な措置も講じているということが明確になつた以上、現行の土地収用法、あるいは本国会にすでに提出されたかどうか存じませんけれども、かりに修正案が提出されるといたしましても、従来からあります土地収用法によつて十分この目的は達することができるのではないかと思うのであります。行政協定に基いて特にこの法案を出されたということについては別に何かはかに根拠があろうかと思うのでありますが、その点はいかがですか。
○長岡政府委員 この点につきましては田中委員の御不在のときにたびたび申し上げた問題でございますが、簡單に申し上げます。これを出しましたのは、やり方は先ほど申し上げました通り、まず随契によるのでございます。そしてこれがどうしても随契でまとまりませんときには本法を適用いたしますが、本法の内容は土地収用法の多くの規定を取入れております。なぜ土地収用法の改正という手続をとらずに別に出したかと申しますと、土地収用法につきましては建物の点につきまして趣きを異にいたしておりますので、土地につきまして土地収用法の改正により、建物については別途の法律を出すということになりますと、同じ関係にあるものが二つの法律を制定するということになりますと、はなはだ不便もございますし、体裁もどうかと考えます。なお土地収用法という大法典を修正いたしまして本法を廃止いたしましたときに、また問題が起きますので、土地収用法には直接触れずにその内容によつた次第でございます。
○田中(織)委員 その党はわれわれ今回の駐留軍全体の物資の調達の方式とも関連いたしまして重大な問題だと考えているのでありますが、政府が出された以上、われわれはそれに対する賛否の態度を明らかにすればいいというわけでありますからその程度にとどめておきます。 次にお伺いいたしたい点は、第五條に内閣総理大臣がこの土地等の使用または収用の認定を遅滞なく行わなければならないという規定がございますが、この遅滞なくということが、先ほど池田委員の最後の質問にありました附則の二の場合の安保條約の効力発生後九十日以内はいわゆる占領の継続的な性格の意味で、かりに話がまとまらないといたしましても、使用の継続ができるわけでありますが、かりにその九十日以内に協議のととのわない場合には、六箇月を越えない期間で一時使用を認めることが附則に書いてあるのでありますが、このあとの六箇月を限つて一時使用する、やはりこの六箇月の期間を当然含んでの考え方でありますか、その点はいかがでしよう。
○長岡政府委員 実は田中委員の御質問の趣旨を私が誤解いたしておるかもしれませんが、六箇月の中には前の三箇月は含んでいないのであります。
○田中(織)委員 そういたしますると、私の申し上げているのは、この第五條に、いわゆる遅滞なく使用または収用の認定をしなければならぬという総理大臣に対する義務規定でありますが、この「遅滞なく」というのは時間的に大体どういうことになるか、こういう意味合いであります。それでないと附則の関係の六箇月の一時使用ということにも関連を持つて来るという意味合いにおいて私はお伺いいたしておるのであります。「遅滞なく」というのは通常の法律上の用語として解釈していいのか、大体駐留軍の関係というのは当然軍事的な必要でありまするから、時間的に相当短かい期間を要求されると思います。そういう関係からこの第五條に総理大臣の収用または使用の認定についての時間的な制限を設けたのだと思うのでありますが、その「遅滞なく」という解釈は通常の解釈でいいのかどうかという点でございます。
○長岡政府委員 ここに「遅滞なく」と書きましたのは、特に格別の意味があつて書いたわけではございません。この適用をいたします場合は急ぐことは事実でございます。従いましてあまり長々とやつておりますと収用の手続が遅れて、いろいろな意味合いにおいて問題が起きますので、早くこの認定をしていただくという意味で書いたわけであります。
○田中(織)委員 それではほかの点はおそらく同僚委員から質問もあつたことと思いますので、私はあと二点ばかりお伺いをいたしますが、十二條の不服申立の規定がございますが、ちよつと読んで参りますると、問題はいわば補償価格に関するだけの不服申立のようにこの條文が読めるのでありますが、総理大臣の行います認定そのものに対して不服がある場合の申立なり救済ということは、この十二條の関係でもできることになるのですか、どうですか。
○長岡政府委員 十二條は前の第十一條一項によりまして原状回復しないで返還する場合の規定でございます。この場合に原状に回復してくれという要求、それから損失補償額の問題、なお利得の納付についての問題を規定したにすぎません。
○田中(織)委員 そういたしますと、総理大臣の認定そのものに対する不服の申立その他の救済手段というものはないわけですか、それは別な行政訴訟的なもので提訴するとかいう方法以外にはないわけでありますか。
○長岡政府委員 内閣総理大臣の決定になお不服であるという場合には、一般の訴訟によることを決して阻止しているものではありません。
○田中(織)委員 それでは私最後にもう一点お伺いいたしたいのでありますが、第四條によりまして土地等の所有者または関係人がこの決定をなす申請書に意見書を添えて提出することができることになつておりますが、その場合の意見書というものは総理大臣がこの認定を行います場合に、どの程度のウエイトをもつて取上げられるものかどうか、その点についての大体の心組みだけでもお聞かせを願いたいのであります。
○長岡政府委員 権利者の権利を擁護するという考えでございますので、この関係者の意見というものは何パーセントまでウエイトを置くかということは申し上げられませんが、十分これはしんしやくされるものと考えております。
○田中(織)委員 それでは十分お急ぎのようでありますから、もうこれ以上御質問申し上げませんが、最後に、最初にも申し上げましたように、この法律の適用によつて収用及び使用される土地建物等の具体的な範囲が明確にされることは、第一に国民にとつて非常な関心事だと思うのであります。ことは予備作業班が現地へ参りまして関係者の意見等を聴取している実情は、先般私も東北へ旅行いたしましたときにぶつかつておりますけれども、本日の衆議院の本会議で採決されましたところの刑事特別法案の関係から申しますと、関係者以外と申しますか、われわれ政治に携わつている者が、こういう駐留軍の用に使用せられるべきものの範囲が明白でない場合に、あそこが演習場になるのではないか、あるいは飛行場になるのではないかというようなことを、いわば揣摩臆測したということだけでも処罰されるというような重大な法律案が多数で衆議院を通過しております。そういう観点からいたしまして、私は少くともこの法律が実施されるということになりますれば、国民に対してその範囲を明確にしておかなければならないという考えが出て来ると思うのです。その点が一点。 それからこの問題はたとえば演習場等の問題につきましては、駐留軍と国内にありますところの警察予備隊との合同使用の問題があります。あるいは駐留軍が必要としなくても、警察予備隊が必要とする場合におきましても、場合によれば駐留軍の使用または収用をしなければならぬものだという形において取上げられる場合との関係が混淆して来ると思う。そういう点からいたしまして、この範囲を明確に国民に示していただきたい。またわれわれ国会議員がこの法律の審議の過程において、これは国民の委託に従つて当然その点を明確にしておかなければなりませんので、本日予備作業班の責任者に来ていただきたかつたのでありますが、お見えになつておらないようでありますから、そういう関係は今後資料としてわれわれに提出されることをこの際委員長を通じて政府の関係機関に要求をしておきたいと思います。
○松本委員長 ただいまの委員長に対する要求につきましては、政府の方に私からも要求いたすことにいたします。通告順によつて次に進みます。村瀬宣親君。
○村瀬委員 私は岡野大臣にお尋ねいたしたいのでありますが、もともと私たちは平和條約、安保條約は承認をいたしたものであります。その関係において軍事基地——軍事基地というと言葉が少しきついのでありますが、米軍の必要とする土地は政府において与えねばならないという観点に立つておることは間違いないのであります。しかしながらこの法律案を通覧いたしますとき、どうしても明らかにしておかねばならない点がありますので、以下数点について質問しておきたいと思うのであります。 まずさきに田中委員からも発言がありましたが、二月十四日本委員会におきまして、土地工作物使用令という戰時中のきつい勅令が廃止されますとき、私たちは岡野大臣にいろいろ質問をいたしました。そのときの御答弁をここに速記録で読み上げてもよいのでありますが、時間の関係上略しますが岡野大臣の御答弁の中には、もうこれでお互い独立国となる以上は、普通の家主と借主との関係で、話合いで朗らかに事を運んで行きたい。従つてあるいは行政協定、あるいは駐留軍というような威圧的な響きのある方法によつては、今後土地工作物に対し特別の措置をとる意思はないという御答弁が、二箇所ぐらいあつたと思うのであります。私はそれによつて非常に安心いたしまして、喜んだ一人であります。従つて土地工作物使用令が廃止されますときには、岡野大臣はもう土地や建物についてはこういう特別な鬼面人をおどすような法律は出さないで、国内法によつて円満裡に処理して行こうという御方針であつたと私は了承いたしたのでありますが、それは私たちの思い違いであつたのでありましようか、あるいはその後何か行政協定その他の途中において、やむを得ずこういう経過が起つたのでありますか、岡野大臣の心境をお聞かせ願いたいのであります。
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。私も速記録を持つて来ておりますが、あの当時は御承知の通ります前提といたしまして、行政協定が結ばれつつあるのだが、その進行状況から、先のことはまだ何もわからない。こういうことを前提として私は申し上げたのであります。これは通覧くださればおわかりになると存じます。それからあなたがお聞きになつたときに、現在は持つておりませんと私は答えております。それからまた必要であれば日本の国内法の土地収用法があるから、それを直してやつたらよいではないかという意思も表明いたしております。それから最後に至りまして、目下行政協定の途中でどうしてもはつきりわかりませんということも申し上げております。でありますから結局問題といたしましては、必要があれ国内の土地収用法というものを直して間に合わせたいという希望をその当時持つておつたわけです。しかしながらいずれにせよ今度出しましたことは、結局行政協定の進行がずつと明らかになりまして事情がすつかりかわるということはございませんが、進展を見ました結果、行政協定でもし日本の国民権利をいろいろ束縛するということになれば、これははつきりと国会に御審議を願つた法律によつてやつて行つた方がよいという意味におきまして、すべてのことを全部法律に直すという方針にかわつたのであります。その当時もいろいろ議論がありましたが、しかしこれは日本の国内法を直しますというと、臨時の処置をすることに対して、永久、恒久的の国内法を直すということになつて、むしろ日本国民に対して、はなはだおもしろくない。でありますから、テンポラリーに駐留するものに対しては、テンポラリーの法律をつくつたらよいではないかということで、今度の法律を出すことになつたのであります。
○村瀬委員 ただいまの岡野大臣の御説明、また最初の提案理由の御説明にありました点も、本法案提出の枢要な基礎は、駐留軍はテンポラリー、一時的、臨時的のものである。この基盤に立つしておられる。これは私はそうあるべきであつて、それを念願するものであります。私たちもまた一日も早く日本がそれぞれ自衛体制を確立して、駐留軍に一日も早く日本からアメリカへ去つて行つてもらうことを念願はいたしておるものでありますが、はたしてこれがそう一年や二年で帰つて行つてもらえるかどうかという点につきましては、およそ常識でわかる性質のものであります。そこで今までの吉田内閣のやり方は私は承知はいたしておりますけれども、もしここで別にこういう政策を持つておるので、従つて駐留軍が長くいないのだ、この基礎法である土地収用法には手を触れないで、別にこの法案を出しておいて、すぐこれを廃止できる政策があるのだ、こういう方法によつて数年たてば、いやあるいは二、三年たてば駐留軍は帰つて行く、帰つて行つても日本の国は安心だ、こういう政策があるからこれは一時的であり、臨時的である、であるから基礎法には手を触れないでこれをつくつたのだという政策なり御方針が、われわれが新聞で承知している以外にありますならばお聞かせを願いたい。そうでなければ、特にこういう法律を出す根本的な理由となさつております今御答弁の一時的なものである。一時的であるから土地収用法自体には手を触れたくなかつたという根拠は非常に薄弱なものとなります。この点何か御方針を持つておられるならばお聞かせ願いたい。
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。予言というものはよくはずれるものでございます。同時に世界の情勢は皆さんよく御承知の通りに変転きわまりない情勢でございます。今日をもつて明日を見通すこともできないという情勢でございます。しかしながらただいま世界がかくのごとく混乱に陷つておるという事実だけはお認めくださると思います。同時にわれわれといたしましては、ただいまの現状におきましてはどうしても駐留軍におつていただかなければ日本の安全が立つて行かぬということも御承知の通りだろうと思います。そしてそれがいつどうなるかということはよくわかりません。おそらく皆さん方も御予言はできないだろうと思うのであります。しかしながら駐留軍に永久におつてもらうという意味でおつてもらうわけではありません。われわれの国力が充実して、同時に世界の情勢が変化して安泰になつて来れば、向うでは喜んで帰つて行く、また帰りたいと言つておるとわれわれは見ておるし、国民一同が帰つてもらつてもいいというふうに思つておりますから、性質から申しまして、日本の国内法として恒久的の法律ではなく、臨時的の法律であるということだけは御了承を願いたいと思います。
○村瀬委員 たとえば公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法、これなどは日本に災害がなくなればなくなつてもいいのでありましようが、日本の置かれておる地球上の位置がこういうところである限り、災害はあるでありましよう。そういたしますと、この法律も大体恒久的なものと言えるのであります。それでも岡野さんの内閣におかれましてはこの国庫負担法などは一年で改正になり、次々に改正が行われておるのであります。そういたしますると、必ずしも絶対基礎法を動かしてはならぬという性質のものではないと私は思うのであります。私たちの考えでは、一つの法律をつくることによりまして、いたずらに対米悪感情を扇動する好餌を与えるということは愼まなければならぬものじやないかと思うのです。その意味におきましても、むしろ簡單なもので、一、二箇所の修正といいまするか、改正で、土地に関する限りは土地収用法でやれるというのでありまして、自由党の古参議員であられる上林山議員のごときは、本委員会において極力それを主張しておつた状態なのであります。そういたしますると、政府の本法案提出の第一の理由といたしておりまする一時的、臨時的という理由の基礎はきわめて薄弱である。こう私は考えることにもしそれほど一時的、臨時的なものに力が入つておるとするならば、上林山委員が言われました通り、それは表題からして臨時措置法とあらねばならないものであります。食糧確保臨時措置法とか、政府はなかなか臨時という言葉をつけるのがお好きであつた。ところがこれには臨時とはついておらない。内容に至つて一時的のものであり、臨時的のものであるというのであつて、それを唯一の提案理由の基礎的理由といたしておるのでありますが、やはり思いここに現われて、表題にはこれをつけることができなかつたということは、一時的、臨時的といつても、なかなかこれは容易に臨時では終らぬものであろうという良心的なものがあるから、表題には臨時という字を抜いたものである、私はかように感ずるのでありますが、この一時的という点については水掛論でありまして、岡野さんも私も駐留軍に早く帰つてほしいと思うのは同様でありまするから、臨時という点の質問は、これ以上いたしません。 第二点といたしましてお尋ねいたしておかねばなりません点は、政府の提案理由の説明によりますると、第一は、本法案が一時的、臨時的であるからと言いますが、第二は、土地収用法は収用を主にして使用を従にしておるが、この法律は使用を主にして収用を従にしておりますのは、特に一時的であるということが理由になつておるのであります。しかしこれは一時的であるかどうかということに必然的に関連があるのでありまするが、いつ帰るか見当が立たない、またそう早く帰つてもらつては日本の治安上、自信がない、こういうのでありますと、使用であろうと収用であろうと、土地の使用者、所有者にとつては同様な被害でありまして、單に名目だけ使用となつておるからというて実質的収用と少しもかわらないという結果になりますが、この点についてはどのようなお考えでありましようか。確かにこの法律は、土地収用法よりも差のある画期的な使用を主にしたものであるというお考えでありましようか。
○岡野国務大臣 事務当局から御答弁いたします。
○長岡政府委員 本法は、ただいま御議論になりました通り、駐留軍が撤退いたしましたあかつきにはこれを返すことに相なりますので使用を主とし収用を従とするという意味で申し上げたのであります。ことに土地等につきましては、全部とは申されませんけれども、収用されることを非常にきらわれる部面がございます。先祖伝来の土地を離れることを非常にいやがられるのであります。また個人住宅等につきましては、御承知の通り、非常に接収解除を希望されておりまして、返すのであります。従いまして土地収用法とは逆に、使用と収用を逆にいたした次第でございます。
○村瀬委員 御答弁にはあまり満足ができませんけれども、政府委員の方等には、大分ほかの委員からも質問しておりますから、私は主として岡野国務大臣に重要な点のみをお尋ねすることにいたします。たとえば開拓地、熟田等を、この法律により、使用なり収用をしなければならないという場合が生じましたときに、自作農創設によつて売り渡されたものは、二十年間売買はできないということにも相なつておるのでありますが、そういつた国内法との関連は、どのように運用をされるかという点であります。
○長岡政府委員 ただいま御指摘のような関係もありますので、借りて使うということにいたしたいと考えておる次第であります。
○村瀬委員 そういう場合に借りて使う道が開かれているという御答弁は、ちよつと法律的ではないのであります。使用を主にしたというのは、決して自作農創設特別措置法があるから主にしたのではないのでありまして、これはもつと根本的に法理的な解決をお考えになつておかねばならないと思います。使用で済む場合もありましようけれども、どうしても収用せねばならない場合もあるのであります。機構上ある特殊なものになつて、一たびそうなつたならば、それの原形復帰は困難というよりか不可能となる場合もあるのでありますが、そういう場合の処理、運用等につきましては、どのようなお考えでありましようか。
○長岡政府委員 御指摘の通りでございまして使用という言葉は單に自作農の関係で使つたわけではございません。ただいま御指摘のようにぜひ使わなければならぬというときにおきましては、性質の変更等がありまして収用の希望も出て来る。そのときには収用せざるを得ぬと考えております。
○村瀬委員 なるべくこういうことは言わぬつもりでありましたけれども、問題がここに来ましたから例をあげます。二月七日の農林委員会の問題であります。富士の裾野の演習場の問題でありますが、当時政府委員の御答弁によりますと、離作料は支払うが、立木の被害については接収が解除にならねば、補償できないというような答弁をなすつておるのでありますが、これは現在もそうでありますか。あるいは現在はその問題は解決をしたか、またしてあるなしにかかわらず、この法律案との関係はどうであるか。
○長岡政府委員 立木の問題につきましては前にも申し上げました通り、本来は解除になりましたときに補償をするのでありますが、それでは権利者の擁護に欠けますので、現在中間補償をいたすことによりまして、すでに支払いの段階になつておるものもあるそうであります。
○村瀬委員 ただいまの御答弁は、つまり本案とは関係なしにそういう中間補償をなさつたという御答弁であつたと思うのでありますが、そういう問題とこの法律案との関係はどうであるか、この法律案が幸いに可決しても、それはやはりそういう問題として残るのであるか、あるいはその問題は完全に解決ができるものであるかどうか、この法律案とか今の富士の裾野の演習場の問題との関係を伺つておきたいと思います。
○長岡政府委員 本法によりまして買い上げましたものにつきましてはその問題は起らないと思いますが、使用を続けますものについてはただいま申し上げました措置をやはり行うことになると考えます。
○村瀬委員 これは使用を主にするという法律案でありますから、そういたしますと今のようなだれが聞いても不合理のようなことはやはり残るということで、恩惠的に途中で中間補償をしてもらえてようやくほつとするような状態で、原則では解除にならねば補償はできぬということになりますと、やはりその立木によつて炭焼きその他の生業を営んでおります山村農家というものは非常な不安になります。せつかくこういう法律ができてもそういう問題が残るということになりますと、いわゆるこの法律が使用を主にするのだと言つておる以上一向にこの不安は解消されないのでありますが、この法律案が通れば何かそういうものについて立ちどころに快刀乱麻を断つがごとき解決策がありますかどうか、お伺いいたします。
○長岡政府委員 かような懸念もございますので、三年以上にわたりますとき、土地の形質を変更いたしたときには買取り請求権を認めた次第でございます。
○村瀬委員 今の御答弁によりますともう一つ聞いておかねばならぬのでありますが、三年を続けて返してもらえねば買取り請求権がある、想像でどうせこれは返してもらえないというようなことを関係者が感じましたときに、一年で買取つてくれという要求がありましたときにはどういう処置をとられますか。土地については先祖伝来の愛着がある。金銭にかかわらず売りたくない、五年後でも百年後でも返してほしいというのが日本の農民の人情です。同時にまた思切りがよくて、こうやられた以上はもうどうにもならない、すぐにこれは買い取つてもらおうという要求がありますときには、あの三年以上云々という條文とはどういう関係になりますか。
○長岡政府委員 三年以上にわたるということは三年経過という意味ではございません。初めからこれは三年以上使うということが明らかな場合には当初から買い上げることになります。
○村瀬委員 そういたしますとこの三年以上ということは全然無意味になります。あつてもなくてもよい條文になりますね。
○長岡政府委員 われわれといたしましては無意味な規定とは心得ておりません。たとえば初め一年借りまして、さらに何かの都合で一年延ばす、そして三年目にわたつた、こういう場合もございますが、その場合には本法で規定しております通り買取り請求権を認めておるので、決して無意味な規定とは思つておりません。
○村瀬委員 ちよつとわかりかねるのでありますが、最初一年契約するときに、思い切りよくこれはだめだ返してもらえそうにない、すぐ買つてください、こう言つたときはそれに応ずるという。そうすれば三年なんかいう必要はない。二年でも一年でも本人には買取り請求権がいつでもあるわけであります。三年という字句はまつたく無意味と思いますが、どうですか。
○長岡政府委員 はつきり三年以下で返すということが初めからわかつているときは、買取り請求権を認めない。三年にわたるということがわかるときは買取り請求権を認める、こういう意味であります。
○村瀬委員 この條文によりますと、一年ごとに契約をしてみて、そして三回目が来てもまだやるときには買取り請求権を認める、こういう意味の法文になつております。ところが最初一年間契約をしたときに所有者並びに使用者としてはこれはだめだ、こうやられた以上は二年や三年で返らないとあきらめて買い取りを請求したときに、今の政府委員の答弁は、それでも認めてやるとおつしやいますか、どうですか。
○長岡政府委員 御質問の趣旨を私がとり違えているかもしれませんが、三年以上使うということが初めからわかりますときにはもちろん買取り請求権を認めるし、一年ごとに契約して行きまして、三年目にわたるというときにも買取り請求権を認める、ただ一年ごとに契約するためにこの買取り請求権を阻止するようなことが起つてはならぬという意味で、この括弧内の規定を設けた次第であります。
○村瀬委員 きわめて特殊の場合を除いては、先ほど岡野大臣と私との応答にもありました通り、われわれは一年でも半年でも早く日本が安心する国になつて、国力も充実し、自衛態勢も整つて、そして駐留軍にも帰つていただきたいのはやまやまでありますけれども、国際情勢や国内諸般の事情を考えてもう一年、あるいは一年半で返してもらえるかそれは疑問だと思うのであります。私がかりに富士の裾野の演習場の土地を持つておるといたしましても、これは一年で返してくれるとは私は思いません。その場合に契約は一年であるから買取り請求権は、まあ一年たつてみよう、三年たつてみよう、一年ごとに契約しておいてやるのだから、こういつて買い取りの請求には応じない、これが本法の趣旨でありますか。
○長岡政府委員 本法の趣旨はりくつをつけて買い取るまいという考えでは毛頭ございません。権利者の買取り請求を認めて、希望のありますとき——條件はございますけれども、買取り請求を希望されるとき、また形質の変更等が起りましたときは買い取りまして迷惑をかけないようにしたいという考えから規定いたした次第であります。
○村瀬委員 非常にくどいようですが、どうもはつきりいたしません。三年間、一年ごと三回契約が続けば買取り請求権を認めると條文にある、それは無意味な條文ですかと言うと、大事な條文だとおつしやる。そういたしますと一年限りの契約の場合、いくら買取り請求しましても買い取つてはやらぬというふうにとれるのでありますが、そうではありませんか。自由に買取つてくれますか。
○長岡政府委員 はつきりと一年の契約ができましたものは買取りはいたしません。但し別の意味におきまして、形質の変更という原因から買取り請求が起ればこれは買取ることにいたしておる次第でございます。
○村瀬委員 これは本人にとつては大事でありまするからもう一度はつきりしておきたいと思いますが、もう買つてほしいと関係者から申出たときには、政府はいかなる場合には買上げをなさいませぬか。
○長岡政府委員 本法の趣旨は、ただ買取りの請求があつた場合にいつでも買うという意味ではございません。
○村瀬委員 はつきりした御答弁にはなりましたが、しかし国民はやはり不満でありましよう。なぜならば、あなたの方は一年で借りた、一年以上借りるかもしれないのだ、だが買取りはやらない、使用者並びに所有者は、白羽の矢を立てられた以上はもうだめだ、これはあきらめなければならぬと思うときでも、あなたの方が一年の契約だとおつしやる以上はじつと三年待たねばならぬ、これは親切な法律ではありません。私はさように思うのでありますが、討論は別といたしまして次に進みます。 この前に私は政府委員にお尋ねしたのでありますが、これは岡野国務大臣からどうしても伺つておかねばならぬと思います。それはこの附則の第二項の「この法律施行の日から九十日以内に、使用しようとする土地等の所在、種類、数量及び使用期間を土地等の所有者及び関係人に通知して、六月をこえない期間においてこれを一時使用することができる。」という條文であります。別に交換公文においてラスク氏と岡崎国務大臣との間の最後の條項によりますと、九十日を経過してもなお必要な施設等はこれをアメリカ軍が使用することを承認する光栄を有しますというような返答といいますか、交換公文を出しておるのであります。この六箇月が短かいというのではありません。これは長過ぎるのでありますが、ともかくもこの條項と、この期限を区切るという関係はどのような根拠から出ているのでありますか。
○岡野国務大臣 私はそのこまかいことはよくわかつておりませんから、一番よくわかつておる長官から答弁していただきます。
○根道政府委員 私は今申されました交換公文とこの附則は直接の関係はないと考えておる次第であります。もちろんそういう公換公文が存在することは私よく承知しております。しかしここに申します六箇月というのは、この法令ができました後において、手続上その他いろいろの関係で自由契約ができないということも大体想像しておりますし、その自由契約によつて円満妥結するのに相当期間がかかるということを予想いたしまして、一定の期間をここに設けて使用させてもらうということにしたわけであります。もちろんこれは法律的に申せば、借家法の関係でも六箇月ということもあり、事務的に法案を書きました者はそういうような気持も含めての六箇月であります。しかし事実上はその間にできるだけ話合いをまとめるという趣旨で、このくらいの期間があれば大体十分である、こう考えた次第であります。
○村瀬委員 この問題はただいま議題となつておりまするこの法律案を離れてきわめて重大な問題であると私は思うのであります。行政協定に対しましては、政府の所見とわれわれとは異にしておりますが、ともかくもこの行政協定にはやむを得ない部面もありまするが、できるならば独立国としてこうもしてもらいたい、ああもしてもらいたいという点があるのであります。それがいわゆる行政協定といいまするか、條約の一つの形でありまする交換公文にはどうあろうと、期限がつけてあろうとなかろうと、国内法によつてそれをちやんと規制する方法がとれるという話で、われわれは日本の独立の前途に非常な光明を持つのであります。従つて政府を鞭撻して国民の納得の行く改正を国内法によつて次々として行くことができるという道が開かれるのでありますが、岡野国務大臣はこれに対しどういう御決意を持つておられまするか伺つておきたいのであります。
○岡野国務大臣 将来国内法につきまして、われわれがいろいろ国民に納得の行くように、また満足の行くようにして行くということは、独立してしまいますれば十分できることと思いますから、これは御説のように将来改正する機会もあるだろうと思います。
○村瀬委員 これは実に重大な御答弁であると思うのであります。その場合私はその志を壯といたします。しかし国際信義はいかになさるおつもりでありますか。條約に近い交換公文によつてそこに一つの約束といいまするか、国を代表して岡崎勝男の署名で、ここに一つの約束をしておる。ところがこれを国内法で直して行く、将来は行くのだと言われる。その志は私は壯として大いに拍手を送ります。しかし一方国際信義はどうなるでありましようか。それではたして保たれるでありましようか。その点を伺いたい。
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。国際信義はすなわち條約のようなものになつておるところのものをかえるということになりますれば、国際信義に反するでありましよう。しかし国内法をかえる点につきましては、とにかく世の中というものは毎日々々変転しておる次第でありますから、情勢によつて法律をかえなければならぬことは、われわれ自主的の独立権を持つておる以上は、われわれが国内法をかえ得るのは当然であります。その場合にむろんわれわれとして国際信義に反することはできません。そのときは対等の地位において、あの場合こういうふうにお約束したが、国内の情勢上こういうふうにした方がよいからこうしてもらいたいということはできると思います。
○村瀬委員 確かに岡野大臣のその勇猛心には、私は拍手を送るものであります。しかしなるほど條約の改正でもできます。それはまたやらねばなりません。しかし單にこの建設委員会を通つたから、あるいは本会議で多数で可決したからといつて、今後国際間のとりきめをかつてに左右するということは困難ではないか、ほとんど不可能ではないかと私は思いますが、ただいまの御答弁はどういう意味に解釈してよいのでありますか。たとえばここに無期限で土地を使おうということは、日本ではないでありましようが、そういう一つのとりきめが国と国との間にできておる。ところがそう無期限に使われては困るから、国内法で六箇月にしようということも可能であろうという御答弁でありますか。
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。ただいまの情勢におきましては、行政協定もやはり向うとの話合いでできたわけでございます。それからただいまの二十八日までの間は、すべての法案は向うのオーケーをもらわなければならないということになつておりますから、このオーケーをくれるということは、結局向うが承認したということでございますから、ただいまのところはちつとも問題にならない、こう私は考えております。
○村瀬委員 それでは先ほどの御答弁とはまつたくかわつた御答弁になります。この法案がオーケーをもらつたらこういうことはやれるのである、一般はやれないのだという御答弁でございますか。
○長岡政府委員 まことに僭越でございますが、問題を明らかにする意味で私から申し上げたいと思います。 先ほど長官が申されました通り、交換公文とこの法律とは直接の関係はございませんが、ただ六箇月の猶予がありまするならば、大体におきまして話合いもつき、合同委員会の決定もその間にはつくことと思います。この交換公文においては話合いがつかぬものは、そのまま続けて使うということがあります。もしそれを続けて使うということが必要であるということになりますならば、この六箇月と申しますのは、一時使用することができるということを規定したのでございますから、さらに続けて提供することが必要だということになりまして、本法によりまして、さらに収用いたしますならば、国際信義に反するような問題は起らずに済むものと私は了解いたしております。六箇月といたしましたのは、ただいま申し上げましたような関係で、土地収用の話合いがつかぬで、やむなく強制手続をとるということになりますならば、相当の日数を要しますので、その間に契約のギヤツプのできることも防がねばなりませんので、かような規定を設けまして、一時使用することができる、こういう立案をいたした次第でございます。
○村瀬委員 今の御答弁は、私の質問に対してはすこぶるピントをはずれておるのでありまして私は、交換公文に期限がないのに、国内法で期限をつけるかという基本的な問題を明らかにしておきたいという点にあるのであります。それについてはまだ御研究が盡していないようであります。この法案についてはオーケーをとるという一つの逃げ道が見つかつたわけでありますけれども、そうでなければ、これは大きな問題でありまして、私はもうこれ以上本日は申し上げません。 ただ六箇月という点を別に考えてみますると、私はこういう單独法で、もうみんな返してもらえると思つておるのに、六箇月にせよ、一箇月にせよ、また主権を束縛されるということは、法律による以上、道義的にどうかということは、いろいろな問題を残しておると思います。これは三箇月でなぜやらない。収用ができるものならば、一箇月でもよいではないかというような問題も残るのでありまして、これには大きな問題が含まれておると思いまするが、本日はこの程度にいたしておきます。なおこの問題について、岡野大臣にさらにお考えがあれば、お聞かせ願いたい。御答弁がなくてもけつこうでございます。
○松本委員長 池田君は関連の御通告ですが、あなたのは三回目ですから、至つて簡單に五分間ということに願います。
○池田(峯)委員 まことに気の毒ですが、関連して質問したい。というのは一九四五年連合軍指令四五号で、進駐軍労務者が連合国軍に雇われております。これが講和條約が効力を発生するということになりまして、駐留軍労務者に切りかえられるわけであります。従つて一九五二年の四月二十八日で一旦退職いたしまして、それから駐留軍の労務者というふうに切りかえられることになるのでありますから、ここで退職手当を出そう。ところがその退職手当が何でも計算証書の紙ぺらで渡されて、実際には現金で渡されない、こういう話があるのであります、この点についてはどういうわけでそういうことをするのか。たとえば自治警などにおいても、国警に転換する場合には、当然退職手当をもらつて、国警の職員になつておるわけでありますが、これが現金はもらえず、証書で渡されて、将来駐留軍労務者をやめるときに現金化するという話だそうであります。こういう事実があるかどうか。しかもこの意味はどういうわけであるか。これが第一点。 第二点として、この駐留軍労務者は日本政府が雇用主となつて、駐留軍に提供するのであるかどうか。従つてその場合の身分関係はどういうことになるのか。特別職になるのか、一般職になるのか。 第三点は、これらの駐留軍労務者に対しましては労働三法の適用があるのかどうか。四月の八日でありましたか、あちらの方から、進駐軍労務者の労働組合はビラなどをまいてはいけない、集会の通知状も出してはいけない、集会もしてはいけない、こういつたような通知が出ておるようでありますが、そうなりますと、今出ております日本国とアメリカ合衆国との間の行政協定に伴う土地使用に関する法律が適用される土地内におきましては、労働組合すら労働三法の適用を受けないのでありますから、いわんやこういう地域内において多少耕作に従事する農民も出ると思うのでありますが、そういつた者の人権というようなものはどういうことになるのか。 こういう三つの点について質問しておきたいと思います。
○根道政府委員 ただいまお尋ねの、講和條約の効力の発生後、身分の切りかえがある。そうして退職する場合の退職手当をどうするかということでございますが、ただいま考えておりますところは、組合側とも十分話合いをいたした上においてほぼ成案を得ておるのであります。これは講和発効後はもちろん連合国軍に対する労務者ではありませんので、駐留軍に対する労務者となることは当然でございますが、その際身分を切りかえて、現在は公務員の中の特別職になつておりますが、その特別職たる身分をはずしてしまう。これが労働組合等の希望であります。またそれに伴いまして、身分がかわるのだから、退職手当も払つてほしいという希望がございます。しかし退職手当を一度に払うことは、財政上の負担も容易ならぬものがあります。この点は労働組合も十分に了承しておりまして、そのときには当然やめてもらうべきものを明確に保障してくれればいいということでございましたので、近き将来に何か一応の法律等をもつて、身分の切りかえと同時に、それらの保障もするような措置を講じたいとせつかく準備中でございます。この点につきましては私たちは労働組合とも円満に話合いを進めまして、かつ政府関係部内におきましてもよく了承しておる次第であります。またこの労働者は現在でも政府雇用のものであります。また今後におきましても、やはり政府の雇用であることにはかわりありません。日本政府が雇用主でありまして、労務者は被用者であります。その間の関係においては労働三法等の適用があることは当然であります。 それからそれに附帶して、軍の方から組合活動の問題についていろいろ制限があるようだというお話でございました。それはその労務者が全然組合活動ができないというわけでは毛頭ございません。ただいま職場が軍の特別の場所の中にあるわけでありまして、その中においてそういう組合活動あるいは特殊な行為を、しかも時間中においてすることは、就業規則上できないことに相なつております。これは労働三法等の適用の問題を離れた問題であろうと思うのであります。
○池田(峯)委員 労働組合も計算証書で渡されることを了承しているという話でありますが、私は労働組合の人と会つたのでありますが、そういうことはない、特調の方で実は無理押しにそういうことを計画しておるんだ、こういうふうに聞いておるのでありますが、この点は私の方でもつとよく調べましてはたして労働組合が了承したものかどうかを聞いて、その上で質問してみたいと思います。 それから身分を特別職からはずすということも労働組合の希望だと申しますが、この点につきましても、もつと詳しく労働組合の方の意向を聞いてみたいと思います。 最後の点の労働三法適用の問題でありますが、もちろん駐留軍の労務者でありますから、駐留軍のいる所で働いているわけです。駐留軍のいる所は何かといえば、そこは飛行場であり、その他の基地でありまして、それ以外に駐留軍労務者の働く職場はないわけであります。こういう人たちが労働三法の適用は受けるのだけれども、基地内においては労働運動をやつてはならぬということになりますと、一体どこでやるのでありますか。たとえば建設省の労働組合があります。その建設省の労働組合の事務所は建設省の庁舍内にあります。庁舍内においては中央執行委員会の開催は自由であります。ところが基地内においてはそれをやつてはいかぬということになりますと、労働三法の適用がないものである、まつたく人権を無視されたものである、これは日本人でありながら日本人の特権を享受し得ない奴隷である、こういうふうに結論づけられると思うのでありますが、この点はどうなのでございますか、お伺いしておきたいと思います。
○根道政府委員 今の組合活動の程度の問題でありますが、ただいままで労働者等もよく承知しておりまして、基地内のような特殊な所におきましては、いわゆる組合活動というものを目立つてやらぬことに相なつております。なおその実情につきましては、労務部長等がおりますときに、実例をもつて別の席で御返事させたいと思います。
○松本委員長 これにて本案に関しまする質疑は終了いたしました。討論採決は次会に讓りたいと思いますから御了承をお願いいたします。 なお次会は明二十六日午前十時より開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時十六分散会