経済安定委員会 第9号
- 発言数
- 11 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1952/02/28
会議録
○前田委員長 これより会議を開きます。 ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く経済安定本部関係諸命令の措置に関する法律案を議題といたします。 なお本案に対する質疑は前回の委員会におきまして、一応終了いたしておりますので、本日はただちに本案に対する討論に入りたいと存じますが、御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○前田委員長 御異議なしと認めます。 それでは本案に対する討論に入ります。討論は通告順にこれを許します。永井英修君。
○永井(英)委員 私は自由党を代表いたしまして、本案に対し、賛成の意見を申し述べます。 終戰以来連合国の占領政策を円滑に遂行するために、多くのいわゆるポツダム勅令が出されて来たのでありますが、これは本来は法律によつて規定さるべきものでありますから、今回平和条約の締結に伴つて、これらのポツダム勅令は、これを法律に切りかえることは当然の措置と申さねばならぬのであります。経済安定本部所管のポツダム命令は、外国人の財産取得に関する政令、外国政府の不動産に関する権利の取得に関する政令、物価統制令、地代家賃統制令の四件でありますが、そのうち前の二者については、一応改正の上存続し、あとの二者については、そのまま存続せしめるというのが本案の内容であります。 このうち外国人及び外国政府の財産取得及び不動産取得に関する前二者の政令は、今回締結を見た平和条約第十二条の規定によつて、わが国は平和条約を調印し、批准した国の国民に対しては、財産取得に関し、日本国民と同様の待遇を与えねばならないことになつておりますので、この平和条約第十二条と合致するように、この二政令を一部改正の上、存続せしめようというのでありますが、この一部改正によつて、わが国及びわが国民に対して不当の不利益を与えられるものではなく、また相互主義の原則に基いて、例外的措置を、必要なる場合に、とり得るのであるから、わが利益は十分に擁護し得るので、この一部改正の上に存続せしめることは適当であると思うのであります。 またあとの二者の政令のうち物価統制令は、今日統制物価の範囲がきわめて狭くなつているのであるから、廃止してもさしつかえないとも思われますが、しかし重要輸入物資には使用制限等をなさなければならぬものがありますから、当分このまま存続することが必要であり、また地代家賃統制令も同じく廃止してもよいとも考えられますが、これも現下の住宅事情等から見れば、存続を必要とする部面もないではないのでありますから、この両令とも暫定的の措置として存続せしめるのが妥当であると思うのであります。 以上の理由によつて私はこの原案に賛成するものであります。
○前田委員長 次に有田喜一君。
○有田(喜)委員 私は改進党を代表いたしまして、ただいま議題となつておりますポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く経済安定本部関係諸命令の措置に関する法律案に対し、政府に警告を発しながら、賛成の意を表するものであります。 本法律案は平和条約の締結に伴い、当然に措置せらるべきものでありまして、まず外資委員会所管の二政令、すなわち外国人の財産取得に関する政令と、外国政府の不動産に関する権利の取得に関する政令の部分に関しましては、平和条約第十二条の規定に基く内国民待遇を与えねばならぬということと、外資導入を容易にするための必要からとられた措置として、これを是認するものであります。 しかしこれらの件に関して一言警告を発しておきたいことは、これは今後の外資法の改正とも関係がありまするが、今日の日本経済の実情から見ますると、外資導入、ことにドル外資の導入の必要は切実なものがあります。ところが政府の努力が足りないためか、実情はほとんど外資が入つていない。これは政府がいうがごとく、今日の日本経済がそれほど安定していないという一つの証左でもありましようが、何はともかくといたしまして、今日日本の経済の再建、産業の発展のためには、外資の導入がきわめて肝要と考えられますので、この際政府は一層の努力を傾倒されまして、外資導入のために全力をお尽しあらんことを要望するものであります。もう一つは、この法律の第二十三条の二に規定しておる、外資委員会の指定する外国人については、この政令を適用しないということになつておる。つまり内国民待遇を与えるものは、条約国と中立国ということになつておる。ところが条約国につきましては問題はありませんが、中立国につきましては、その認定に関して相当問題があると私は思います。政府は目の前の現実的現象にばかりとらわれずに、広く国際的視野に立たれ、またわが国の将来の見通しをつけられまして、この中立国の認定とその基準については、万遺憾なきを期せられたいのであります。またこの内国民待遇の例外条項は平和条約の第十二条に規定してございまするが、独立国となるわが国は、この条項に基いて、もちろん国際的にはわが国の信用を失わない、信頼にそむかないようにすることが必要でありまするが、しかし貧弱なりといえども一旦独立国となる以上は、政府はいたずらに卑屈なる態度をとるごとなく、この際その態度は完全に払拭されまして、わが国の自立達成のために厳としてわが国が守らなければならない経済上の利害については、十全の措置をとられんことを特に切望するのであります。長い間占領時代が続いたために、ややもするとこの卑屈感に支配され過ぎまして、国の大局を誤りかねないというような傾向が最近相当見受けられるのであります。私はこの点を非常に憂うるのでありますが、この際政府におきましては、あくまで正々堂々と独立国家としてのプライドを維持しながら、この点特に御注意を願いたいのであります。 次に物価統制令並びに地代、家賃の統制令については、現状のまま政令を法律化することになつておりますから、形式的には問題はないのでありますが、統制撤廃を主張して来た自由党政府は、ややもすると従来の主張にこだわり過ぎられておるのじやないかと考えます。現実の日本経済は、決して自由党がいわれるように野放しの自由経済では許されない。そこで政府のやつておられることを見ますと、党の方針の自由経済と、現実との間に狭まれて明瞭さを欠き、その場当りの施策に進んでおられるような感じがするのであります。わが党はもちろん戰時中行われたような、何もかも政府が手をとり、足を引いて行くいわゆる官僚統制、干渉経済はこれを排撃するのでありまして、国民経済上の必要において重要なるものについては一、積極的に統制管理の措置を講じて行かなければならぬということを主張して参つておるのでありますが、今日の日本経済の安定をはかるためには、まことに貧弱な日本経済の実情からいたしますならば、どうしても計画経済、ある程度の統制管理は続けなければならぬと考えるのであります。あの持てる国アメリカにおきましてさえ、計画経済をやり、統制をやつておる実情であるのであります。政府はわが国の経済の実情と国際経済の現状、その将来に対する見通しを十分把握され、価格政策と物資需給の合理的な、総合的な計画をすみやかに樹立されまして、わが国経済の自立と再建のために、万遺憾なきを期せられたいと思うのであります。それから地代、家賃等についても統制令がそのまま法律化されるのでありまして、ややもするとこの統制をはずすとか、はずさぬというようなことが議論の中心をなしておるようでありますが、私はかような議論をする前に、早く統制をいずしてもいいような時代をつくつていただきたい。すなわち住宅問題で言いますなれば、政府も住宅問題に対して相当力を尽されておるようでありますが、現在まだ不足住宅は三百五十万戸といわれております。衣食住のうちで最も大事な一つであるこの住宅問題はまだ一向解決されておらない。罹災者、戰災者の今日の窮状、家なきために苦労しておる人々の実情をよく把握されまして、この住宅問題をもつともつと積極的な施策で解決していただきたい。不急不要の建物はどんどん建つておりますけれども、かんじんなこの住宅がまだ一向建つていないということはまことに遺憾に存ずるのであります。もう一つ家賃地代の問題につきまして、実際価格とマル公価格が非常に開きがあつてびつこであります。この適正化をすみやかに解決されまして、住宅政策を根本的に立て直して、統制が解除されても十分に家が求められるという措置をしていただきたいと思います。無準備のまま統制をはずすということは危険きわまることだと思うのであります。 私は以上の諸点を政府に要望し、警告を発しながら本案に賛成する次第であります。
○前田委員長 次に土井直作君。
○土井委員 ただいま議題になつておりまするポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く経済安定本部関係諸命令の措置に関する法律案に対しましては、日本社会党といたしまして、政府に対して多少の警告を発して賛意を表するものであります。 今回第十三回国会に各省等を通じてポツダム政令に対するそれぞれの措置あるいは廃止等の法律案が提出されておりまするが、これらの法律案を見て参りますならば、わが日本が平和条約を締結いたしまして、将来独立国家になることのためのそれぞれ必要なる準備工作と見てさしつかえないのであります。しかしながら当然これは独立した法律案として政府から提出されなければならぬような面がありますが、これらがそのままにされておるような傾向がないでもないのであります。こういう点につきましては、政府はこれを廃止し、あるいは存置する場合におきましても、独立国家の形態としての單独法律家として、将来処置されて行かなければならないものであると思いまするが、それらの点についてはなお幾多の遺憾な点があると思うのであります。ただいま議題になつております法律案は、やむを得ざる一つの暫定措置でありまして、将来なおこれに対して是正が行われて行くのが当然であると思います。ことにこの措置法案の中にありまする外資の導入等の問題につきましては、もとより日本経済再建のために外資の必要であるということは論をまたないのでありますが、外資を要求することが切なるあまり、わが日本の経済の将来に対して非常に悪い影響を与えるということについても、十分考慮が払われてしかるべきであると思うのであります。戰前においても外資が投入されまして、わが日本の産業の面においていたずらに外資の利ざやを稼いでいて、国内産業のきわめて重要なるものが、わが日本国民の利益にはならなかつたという場合がしばしばあるのであります。一例を申し上げますれば、戰前における東京電燈株式会社のごときは、外資が大半でありまして、しかも国民の消費によつて得たところの利潤は、ことごとく外資の利子を払うことに充当されまして、国内における資本の利益という結果にはならなかつたのであります。これは外資導入の場合におきまして大いに警戒すべき事柄でありまして、外資が入つて来ることが、日本の経済に寄与することはわれわれ言う裏もないのでありますが、しかしそれから生ずる幾多の利潤が外国に流れて行くということになりますならば、ゆゆしき問題であると思うのでありまして、これらの点についての勘案ということは、政府も十分に考えていただかなければならないと思うのであります。 また物価統制令の問題につきましては、ただいま有田議員が申しておりますように、私はわが党といたしまして、できるだけ国民経済と密接な関係にあります重要なる物資等については厳重に統制をし、計画的にこれを処理して行かなければならないものであろうと思うのであります。資本主義経済制度の上におきましても、なお幾多の重要なる物資に対しましては、これを統制するということが現に行われつつあるのであります。ことにわが日本のような貧弱な経済の面におきましては、国民生活と切り離すことのできない重要なる物資に対しましては、当然統制を行う。またその価格の維持につきましても、民生安定の線によつて適正に処理されて行かなければならないのであります。これは自由党が自由主義の経済の上に立つて、あらゆる統制をはずそうという考え方を持つておりますが、自由党といたしましても、そういう一つの観念にとらわれることなく、現実的な面においての処置が当然行わるべきであると思うのであります。これらについて政府も十分留意されていただきたいと思うのであります。 また家賃地代統制令等の問題につきましては、これらは現にわが国における住宅払底の上から見まして、もしこれらがはずされますならば、それ自体は国民の住宅の面に非常な影響力を持つものでありますから、これを存置することはやむを得ないことでありますが、住宅政策の面につきまして私が常に考えております点は、従来わが日本の住宅は、一時的な、間に合せ的なものをつくることに重点が置かれておりまして、恒久的な、あるいは堅牢な建築をするということについては、なおざりになる傾向があつたのであります。最近不燃焼建築物、住宅をそれぞれ政府も奨励し、あるいはまた都道府県あるいは市町村においてもこれが実施されております。まことにわれわれとして喜びにたえないところでありますが、わが日本は非常に火災などの多いところでありまして、一回の火災で何百、何千というような家屋が蕩尽してしまうような場合がしばしばあるのでありまして、わが日本の乏しい物資の中から、これら重要な住宅が焼失されて行くということは、まことに遺憾にたえないのであります。従つて政府は将来の住宅政策に対しまして——もとより今日の住宅払底の上からいつて急を要することであるから、粗製的なあるいはバラック式なものをつくつて間に合せるという考え方も一面あるかもしれませんが、むしろわれわれから言いますならば、できるだけ不燃焼建築物、堅牢建築物によりまして、災害を防ぎながら、一旦建てたものが恒久的に使い得る、またそれだけ物資の焼失を免れしめるという面を、十分に取入れて行くのが正しいのではないかと思うのであります。言いかえますならば、急がばまわれでありまして、つくつてすぐ燃やしてしまうというようなことよりも、つくつたものは容易に燃えないし、失うことのないようにして行くということが、将来十年、二十年先における日本の住宅問題を解決する唯一のかぎであると考えているのでありまして、これらの点を十分留意されんことを特に警告申し上げまして、本案に対して賛成を表する次第であります。
○前田委員長 次に横田甚太郎君。
○横田委員 講和条約に反対した党ですから、講和条約から生れたこのポツダム政令によるところの法律の改廃には当然反対であります。なぜかと申しますと、負けた日本が勝つた国々を色わけして、そうして講和条約を結ぶというようなことは世界の歴史にないことです。しかも日本が任意な判断において、自力をもつて戰勝国を識別したならばこれはまた別ですが勝つたうちの、非常に今後の世界から多くのもの一を盗みとろうとするアメリカの判断によつて強要され、日本が戰勝国を二つにわけて講和条約を結んだ、その結果からの跡始末であるところの経済的なこの法令には、大体ものすごい反対をしなければならないのであります。(笑声) 理由としてあげます二、三点は、第一に、提案理由のときに言われましたように、ただその例外として差別待遇してもかまわないというようなことを扱つておるのであります。この場合に差別待遇してもいいというようなことが扱われておりましても、アメリカに対しては何の差別待遇もできない。それから次に、重大な安全上の利益を維持する云々の項目が出ておるのでありますけれども、重大なる安全上の利益を維持する必要が生じた場合におきましても、われわれはこれもアメリカに対しては何もできないということが言われるのであります。それから講和条約第十二条よりましていろいろな差別問題とか、あるいは保護問題とか、そういうような問題を、朝鮮に対しても均等に保障されねばならないというわけになつて来るのでありますが、その朝鮮自体がきめられない、わからない。アメリカのいいますところの朝鮮というものは南半分の朝鮮であつて、しかも北の半分は朝鮮として見ておらない。しかしその二つの朝鮮には、ともに朝鮮人が住んでいる。アメリカのいうところの南朝鮮がいいかと言えば、決していいとは言えないのでありまして、例をあげますと一昨日の新聞にこういうことが書いてあるのであります。これは自由党はしつかり聞いておきなさい。李承晩というのはアメリカの将軍たちが非常に好きな大統領であつた。アメリカの将軍であつたマツカーサーはこれにほれ込んだ。そして一生懸命南に肩入れをした。戰争をやつて思わしくなくなつたこのごろになつて、朝鮮に対してはいろいろな重圧を加えない限りにおいては——人的な米化をさせない限りにおいては、もつと物的な動員をやらない限りにおいてはアメリカの国内が承知しなくなつてきたときに、李承晩が間に合わなくなつた。そしてアメリカの将軍マツカーサーにかわつたリツジウエイは何と言つたでしよう。あの李承晩というやつは老いぼれているからだめだ、あんなものはもつと若いものにかえなければならないということをアメリカ大統領に報告したということが出ているのです。これを日本の国内に当てはめますと、吉田さんもこの運命に遭遇するところだろう。安全保障条約から行政協定、こういうような問題がちようどそうなつているのです。だからこの十二条によつて朝鮮と書かれている文字は、確かに朝鮮なのでございますけれども、そのアメリカのほれ込んだ南朝鮮が非常にだめになつてしまつて、北朝鮮が非常に強くなつて来ている。しかも国際的な政治情勢を中心にして考えますならば、朝鮮人が南と北とに争いまして、争つているどちらかの一つが、自分の政治の形はこれでなければならないといつて、アメリカの好まない政治の形をとりましたところで、経済の行き方をしましたところで、アメリカは文句を言えないはずである。なぜかと申しますと、アメリカは英国の政治に反対した暴徒によつてつくられた国である。アメリカの父ワシントンが申しましたように、私は若い間自由のために闘つた。だから世界において自由のために闘い、独立のために闘う者があれば私は若かつたときの自由のために闘い苦しかつた時のことを思い出して、どうしても自由のために、独立のために闘つている国民に同情を禁じ得ないと言つておるのであります。あのときにはアメリカは英国の干渉をはねかえしたのであります。ちようどこれと一緒でありまして、朝鮮においても北と南との争いは、朝鮮人自身がきめるべき問題でありまして、アメリカの弱い兵隊が行つてとやかく言うのは間違いだと私は思います。だからこういう形において、解決していないものを解決しているものとして、アメリカの将軍とアメリカの金持どもがかつて押しつけた結果としてできたところの講和条約、それの跡始末としての経済的な問題の解決の仕方というものは、たつた一つの朝鮮の例をもつてしても、これはだめであるということがはつきり言えるのであります。そんなことあるかいと自由党の連中が言つたところで、自由党の明日の運命も李承晩と同じようになるのでありますから、私はこういうような形における、いわゆる講和条約から生れました不当なる国内的、経済的な法規の改廃問題につきましては、日本共産党を代表して反対いたします。
○前田委員長 これにて討論は終局いたしました。 これよりポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く経済安定本部関係諸命令の措置に関する法律案の採決を行います。本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○前田委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。 なお本案に関する報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願います。 次会は公報をもつてお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午前十一時三十三分散会 ————◇—————