議院運営委員会 第44号
- 発言数
- 153 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1952/05/08
会議録
○石田委員長 それでは、ただいまから本日の運営委員会を開会いたします。 初めに、副議長から特に発言を求められておりますから、これをお願いいたします。
○岩本副議長 一昨六日の風早君の質疑演説中には、不穏当の発言があつたように思いましたから、発言の終つた際、議長としては速記録を取調べて適当な処置をとる旨宣告した次第でありす。従来はプレス・コードの関係がありまして、議長の宣告の有無にかかわらず、ある部分を削除することがあり、また議長が不穏当と認めた発言については、宣告をいたしておいて削除をいたしておるのが例となつておつたのであります。しかるに現在では、プレス・コード関係はなくなりましたので、今回のように、議長において不穏当のものありと認め、適当に処置するという宣告をいたしました場合の取扱いにつきまして、お諮りいたしたいと思います。すなわち、速記録を取調べ、不穏当と認めた発言については、議長としては次の会議で取消しを勧告するなり、取消しを命じて削除するのが正式であるかとも存じますが、一々その箇所を指摘することの煩もあり、また漏れることもあり、速記録発行の遅れることもありますので、従来の例の通り、議長の手元で不稔当と認めた言辞を削除いたしたいと考えております。もちろん場合によりましては、次の会議で取消しを命ずるようなこともあろうかと存じます。 まずこの取扱いの原則を定めていただいた上で、風早君の場合に処したいと思います。どうぞお諮りを願います。
○石田委員長 ただいま副議長から御発言のあつた点を議題といたします。これに対する質疑がございましたら許します。
○林(百)委員 不穏当の言辞というのですが、副議長のお話にもありました通りに、従来はプレス・コードとか、いろいろなことを言つてそれが一応の基準になつていたのであります。もちろんわれわれは、その基準に対して独自の意見は持つておつたのでありますが、しかしそういうプレス・コードが廃止された後においては、不穏当とかどうとかいうことは、国民の判断にまかせればよいのであつて、議長が不穏当と考えるというその基準は、何に基いて不穏当ということになるのか、それをまずお聞きしておきたいと思います。 〔「常識だ」と呼ぶ者あり〕
○岩本副議長 今何か不規則発育もありましたが、その通りでありまして、常識的に考えて不穏当と認め、あるいは国会法第百十六條にありまするように、品位を傷つけると考えられたような場合、そういうようなときに適用するのでありましてそういうふうに御了承を願いたいと思うのであります。
○林(百)委員 常識と言われますが、政治的な立場を異にしておる一方の側の人から、他の側の政治的な発言を不穏当と考えるというようなことになりますと、これはもう政治的見解が違えば、たとえば共産党の言うことは、自由党の側から言えば一言として気に入ることはないだろうし、またわれわれの側から言えば、自由党の諸君の言うことが気に入るはずはないのであります。そういう政治的な見解が異なつておるときに、一方的な立場に立つて、不穏当であるからこれを取消すとかなんとかいうことは、許さるべきことじやないと思うのであります。
○岩本副議長 それは国会法に、そういう場合においては発言を取消させるとあるのでありますから、自由党の見地というのじやなくして、議長の見地に立つて、これをそう認めた場合はやる、こういうことです。でありますから、必ずしも共産党の方だから取消させるとか、自由党はそのまま置くとかいう意味ではないのであります。
○林(百)委員 そうすると、具体的に風早君の発言中、議長が不穏当と考えられる箇所というのは、どういうことを言うのでありますか。
○岩本副議長 ちよつと申し上げましよう。今林君から、この間の風早君の発言中、議長が不穏当なりと認めた具体的な箇所はどこか、こういうようなお尋ねでありますから、議長として認めました不穏当なりと思われる箇所二、三をあげてみます。 まず第一に、「吉田政府は、無謀にも計画的に数千の武装警官をこの広場に配備し、━━━━━━━━━━━━━━━━━」と言つておるような点であります。これらは、どなたがお考えくだすつても不穏当な言辞と私どもは考えております。 第二の点は、「宮城側にすでに待ち構えていた数千名の武装警官隊は、━━━━━━━━━━━━━━━━━、大衆が呼吸困難と苦痛を訴えるすきに乗じて━━━━━━━━━━━━━━━━━」と言つておる点であります。 次に第三としては、「国家警察隊は、警察予備隊と同様、今や完全に━━━━━━━━━━━━━━━━━」と言つておられるような点であります。 第四には、「国民に対する最初の発砲は、まさしくMPの手によつて行われた」もので、「━━━━━━━━━━━━━━━━━ことであります。国家警察隊は、今やまつたく━━━━━━━━━━━━━━━━━」こういう点であります。 第五といたしましては、「━━━━━━━━━━━━━━━━━」と言つておるような点であります。 これは私が書き上げておきました点を申し上げておるのでありますが、その他にもずいぶん不穏当と思われるような形容詞、たとえば「━━」とか、「━━」とかいうような箇所が、あちらこちらにあるのであります。 ただいま申し上げましたような点は、議長の立場から考えまして、これはまあ不穏当な言辞、こういうふうに考えておるのであります。
○林(百)委員 今、議長が不穏当と考えられる箇所を聞いたのでありますが、このうちで、明らかにわれわれの立場から言えば、当然こういう主張をしなければならないと考える部分もあるわけです。もちろん政府の側から言えば、それが気に入らないというような意味にとれるものもあるのでありますが、こういう箇所をあげて、これを不穏当と考えるというようなことで、われわれの国会の中における発言を正されるということは、私は行過ぎであると思う。われわれは、これはこのまま出して、国民の批判にまてばいいのであつて、そういう政府的立場の異なる人の政府的な意見についてこれを議長が不稔当として削除し、あるいは訂正することについては、賛成できないのであります。そういう問題については、いかにすべきかということは、愼重に……。
○石田委員長 ただいまは質疑を許しておるのであつて賛否の問題を承つておるのではございません。ただいまの林君の発言中、ちよつと委員長としてお聞きしておきたい点がございます。それは、副議長御指摘の中には、共産党としてその事実を主張しなければならない点があるという御発言でありましたが、そうすると、そのうちの部分についてはそうお思いですが、他の部分については違つた御見解というふうに承つてさしつかえございませんか。
○林(百)委員 これはもちろん演説の前後を全部検討してみなければわからないことであつて、とりあえず今ここに出された例でも、もしこれを修正するということになつたら、明らかに行き過ぎだと考えられる点があると言つておるのであります。このうちのどの部分は修正していいとか、どの部分は修正して悪いとかいうことをはつきり言つておるわけではありません。というのは、全部調べてみなければわからないのです。直感的に考えても、大体政治的に異なつた立場から言つているものについては、訂正さるべきでないと言つておるわけです。
○石田委員長 ただいまの御発言中にも、全部を事実無根あるいは不稔当と言われるわけはないと言われるのでありますから、それでけつこうであります。
○林(百)委員 そんなことを言つておるのではない。
○石田委員長 私がそう解釈したのです。
○梨木委員 この前のこの委員会で、予算委員会の速記録に関連して、議長の職権で削除する分と、プレス・コードで削除する分とが非常に混淆いたしまして、その結果国会内の言論がそのまま国民に伝えられることが非常に阻害されておる事実を指摘したわけなんであります。今、風早君の六日の発言に関連してでありますが、これは今後の国会内の言論を国会外の国民一般にそのまま伝える問題に関連しておるので、非常に重要だと思います。そこで、これについて伺いたいのでありますが、委員会における速記録につきましても、今副議長が出されておるような、かつてに削除するとかいうようなことは、今後プレス・コード関係がなくなる限りにおきましては、それに便乗ができないと思うのですが、これも同じように理解されておるのかどうか、これをちよつと副議長に伺いたいのであります。
○岩本副議長 プレス・コード関係がとれたということは、先ほど申し上げておいたのであります。 そとで、自由党とか何党とかいうことじやなく、議長という職責の見地に立つて品位を傷つける言辞があるとかいうときは、これは取消しを命じなければならぬようになつておるのであります。従いまして、取消しを命ずる場合もありましようし、それから速記録を削除するだけで行く場合もありましよう。そういうことを申し上げたのであります。
○林(百)委員 そうすると、今議長が諮問している点は、発言を取消させようと思つて、その是非を諮問しておるのか、あるいは訂正を必要と思う箇所があるが、これを訂正することについての是非を諮問されておるのか、あるいは将来議長が取消しとか訂正をなさる場合に、その基準をどういうふうにきめるかということについて諮問をなさつてみるのか、それはどうですか。
○石田委員長 ちよつと委員長として、議題の取扱い上の建前を申し上げます。御承知のごとく国会法第百十六條によりまして「会議中議員がこの法律又は議事規則に違いその他議場の秩序をみだし又は議院の品位を傷けるときは、議長は、これを警戒し、又は制止し、又は発言を取り消させる。命に従わないときは、議長は、当日の会議を終るまで発言を禁止し、又は議場の外に退去させることができる。」という規定があるのであります。議長が申されておりますのは、発言を取消させる、あるいは禁止するという項目でありますが、すでに発言をせられたものについての取扱い、すなわちこれを速記録に出して公にするという場合に、議院として品位を傷つける、あるいは秩序を乱す、あるいはまた事実無根のデマを流布し、人心を撹乱するような原因をなすというような事態を、未然に防ぐための処置を議長として申し出られているのであります。その処置は、議長が不稔当と認めた場合、議長の責任においてこれを削除するということを、原則的に本委員会で承認をしてもらいたいという申出なのであります。
○梨木委員 今林君の方から質問したから、一例として風早君の発言のうちでどういう点が不稔当かという点について答えられたのですが、今出されてみるのは、プレス・コードがなくなつた関係で、一般的な取扱いについて諮問されておるわけですね。
○石田委員長 そういうことです。
○林(百)委員 国会法の第百十六條を見ますと、発言を取消させることはできますが、発言してしまつて速記録に載つておるものを削除する権限は、議長にはないと私は思います。それはプレス・コードがある場合には、プレス・コードに従つて、そういう処置はできるでしようが、プレス・コードがない限り、それを印刷し、発行することは当然で、議長がこれを削除する権限は百十六條にないと私は思います。
○石田委員長 私どもの解釈では、「発言を取り消させる」という百十六條の三行目にありまする字句によつて、十分その権限が議長にあるものと思います。従つて、これは議長権限でできると思うのでありますが、ここで原則的にさらに御承認を求めているのであります。
○林(百)委員 それは、議場で副議長が風早君に発言の取消しを命ぜられてその発言を取消した場合はいいと思うのです。しかしそのときに、私は当日実はそこにいなかつたのでありますが、その処置がなされなくて、すでに速記に載つたものを印刷から削除する権限はないと思います。私はそう解釈する。それで、もし発言を取消さなかつた場合は、取消さない場合の処置があるわけです。その手続に従ないので、速記に載つたものをあとから副議長の考えで消してしまう権限は、百十六條から出て来ないというふうに思います。
○岩本副議長 林さん、そうすると、あなたの議論から言うと――ぼくらは、要するに議長権限で、不穏当と考えましたところを削除の取扱いということで行つた方がいいと思うのです。が、あなたの御主張によれば、不穏当と認めた場合は、本議場において取消しを命じなければならぬというのですね。しかし、これについては衆議院規則の第二百六條もひとつ考えていただきたい。第二百六條には、「会議録は、官報に掲載する。但し、国会法第六十三條により秘密を要するものと議決した部分及び同法第百十六條により議長が取り消させた発言は、これを掲載しない。」こうあります。この意味から言つても、取消させたものでなければ削れない。そうすると、今までの例でなく、正しくその通り行つてしまうよりほかない。不稔当と認めた部分は、一つ一つそこで厳然たる取消しを命ずる、こういうことになりまして、あなたのところなんかは毎日のように取消させられるようなことになると思うから、この処置の方がいいのじやないか、こう思うのです。
○椎熊委員 ちよつと、何か行き違いがあるのではないでしようか。不稔当と認めた箇所がある場合には、議長において適当にそれを処理するということを議場で宣告しておるのです。その時分に、だれも異議を言つてないのです。だから、それは認めておることです。これは慣例上からもそうですし、事実それについてだれも反対しておりません。そうすると、速記に載つたといつても、不稔当と認める部分は処理することができるのです。そういうことは国会の慣例でもあるし、率直にその事実を解釈しても、何も陰でこそこそやるのでもなければ、本人の便宜のためにやるのでもない。議長の考えでそれを宣告して、だれも異議を言わないのですから、問題はないのです。やつてもいいことなんです。原則も何も、当然のことです。
○林(百)委員 議事の扱い方ですが、きよう突然副議長からこういう意見がありまして、国会法第百十六條の解釈、衆議院規則第二百六條の解釈、今後の速記録の問題、いろいろ重要な問題があると思うのですが、きようどうしてもこの結論を出さなければいけないのですか。私どもは、もう少し検討して、次会にでも私どもの意見をここで申し上げたいと思うのです。今椎熊君の言つた適当な処置ということの解釈は、国会法並びに衆議院規則に規定されておる範囲内でできることであつて、国会法第百十六條、衆議院規則第二百六條の解釈から言うと、一旦発言して速記録に載つたものを消す権限は、議長にはないと思うのです。
○椎熊委員 こういう慣例上、何も遺憾なくやつて来ておることを、きようあらためて議題にしたのはどういうことなんですか。今まで通りやつてくれたらよいのではないですか。
○岩本副議長 今椎熊さんがおつしやつたような意味で行けるのであつて、それだから、そういうふうにしますからという意味において御了解を願いたい、こういう意味なんです。
○林(百)委員 一方的な議長の宣告で処置するということについて、われわれは反対です。先ほど椎熊君の言われた、適当な処置をすることに対して異議を言わなかつたということは、これは定められた議長の職権として宣言したわけなんでして、あらためて発言の取消しを命じて、それを承認しなかつた場合には、承認しないことに対する処置があるわけであります。議長が職権で適当な処置をすると言つて、それをわれわれが黙つて聞いたとしても、それは国会法なり衆議院規則の範囲内の処置であつて、それによつて、本人の承諾なしに、一旦速記録に載つたものを消してしまう権限までは議長にありません。
○土井委員 ちよつと事務総長にお伺いしたいのですが、従来プレス・コードのない場合におけるこの種の不穏当なる発言があつた場合の処置、慣例というものは、何かありますか。
○大池事務総長 それは、議長において不穏当と認めた言辞があれば、ただちにその不穏当の言辞をその場で取消させる場合もありますし、まず勧告をして、ただいまだれ君の発言中――場合によつては一つ一つ言えませんから、何々云々という不穏当な言葉があつたと思うが、その言葉は取消しませんかと言つて、それに応じなければ、取消しを命じますと言う場合もあります。それからまた、非常に不穏当な言辞があると思うから、速記録を取調べた上で適当な措置をしますということにしておいて、調べた上で、その言辞を一つ一つ持ち出して、これこれの言辞を取消しを命じますといつて、はつきり取消しを命ずれば、その取消しを命ぜられた言葉は速記録には載らない。本人の方から、ただいまのこういう言葉は取消しますと言つたその言葉も載りません。それから、すでに速記録に出てしまつたものでも、不穏当と思えば、あとから取消しを命ずることもあり得ます。ただいま副議長がおつしやつたのは、突発的な一つの言葉だけならいいのですが、初まりからずつと続いて来ている場合に、取消しの場所が漏れてもいけないし、調べるのに時間がかかり、その間本会議が休んでおれば、次の本会議で結論がつくまで速記録が出せないというようなことになるから、最近やつておる先例通り、適当の処置をとるということを宣言した場合だけは、一々議場で取消すということも不体裁であるから、速記録の上からその言辞だけを削除しておきたい、それを了承できないか、こういうお申出でございます。
○土井委員 それで問題のポイントは、かなり留意しなければならぬ点がぼくはあると思う。たとえば国会法の第百十六條なり衆議院規則の第二百六條なりを見ても、ただ議長が宣言したことによつて速記録をかつてに取消したり、改竄したりするということは不可能だと思う。議員の発言の権利というものは確保されていなければならない。ただその発言がきわめて不穏当であつたり何かすれば、それに対する処置は、もとより取消しを命ずるということにもなりましよう。取消しに応じない場合においては懲罰ということも必然的に起つて来る。ただ先ほど林君が言われておるように、党の違いとか何とかいうのじやなくて要するに議員は品位を保つて発言をするということが必要なのであつて、先ほど例示されておるような事柄は、これはもう共産党であるとか、あるいは自由党であるとか、あるいはわが党である場合でも、ああいうような言葉は不穏当な言葉だと思われるのです。必要以上に大衆をアジリ、あるいは激化せしめるような意図の加えられておる言辞を共産党の諸君はしばしば用いておる。またそれが共産党のいわゆる基本的な方針一なんです。そういうようなことは、われわれは百も承知であるけれども、結論的に言うと、不穏当な発言は、議長が諮つて、これに対する適当な処置をとるという宣言をされたときには、一般常識的な判断の上に立つて、字句上の修正あるいは削除というものを、この際認めて行つたらどうかという問題が残るのです。しかしそれはあくまでも便法であつて、国会法の示すところとか、衆議院規則の示すところによつて、議長が当然行い得る権限の範囲内だという解釈に対しては、私はにわかに賛成はできない。この点はやはり明確にしておかないと、まずいと思う。
○林(百)委員 これは実は、結局議員の発言の権利の問題、あるいは将来の出版、印刷の自由の保障の問題であり、国会でこういう処置がとられることになると、これがずつと国会外の出版あるいはそのほかの印刷等の場合にも、一つの例として重要な役割を果すことになる。平和條約が発効してプレスコードが廃止された今日、どうしてもわれわれにとつてそうなると思うのです。
○石田委員長 国会外の問題じやございません。
○林(百)委員 国会の中の問題としても、非常に重要な問題で、議長の考えだけで不穏当とし、あとで調べて、不穏当な箇所があれば取消すと言われて本人の意思いかんにかかわらず削除される。しかもその不穏当な箇所がどの箇所であるかは、本人には全然わからない、これは議長がやるというけれども、実際は事務総長などがそれを取消すということになる。これでは、まつたく議員の発言の権利というものは非常に制限されて来ると思う。たとえば今のように、これとこれとこれの箇所ということになると、発言した議員は意見があるであろうが、速記録を調べて不穏当なところがあれば取消しを命じますということで、あとから何が何だかわからないように、しり切れとんぼのように削除されると、これは非常に重要な問題です。従つてこれは、小委員会を設けるとかして、愼重な処置をとるべきだと思うのです。
○土井委員 今の林君の発言に関連して、あげ足をとるようで恐縮ですが、少くとも議長の権限を傷つけるような発言は差控えてもらつたがよいと思う。事務総長なり、下にいる人が、議長の職権を侵害してかつて気ままにやるということはあり得べきことじやない。そういうことについては、たとえば、この点とこの点が不穏当だといつても、議長がやはりそれを一応検閲し、訂正もしてやらせるのだから。
○林(百)委員 実際はそうでないのです。
○石田委員長 不規則な発言はお愼みを願います。
○土井委員 事務当局がやつても、議長がそういうことについて無関心であつて、議長の権限を事務当局が越権しておるというような発言は愼むべきであると思う。
○林(百)委員 それは弁解しますが、実際は一々議長や副議長がやるのではない。
○石田委員長 そういうことは発言を許しておりません。他に御発言がありますか。
○田中織之進君 国会法第百十六條の関係だけから見ますと、一旦速記録に載つたものの削除ということについては、やはり法理上疑義があると思います。議長が発言を取消させると、衆議院規則第二百六條によつて認められた権限に基いて取消しの処置をとる。法律の表面的な解釈から言えば、そういう順序をとらなければいけないと思う。それを副議長の方では、その手続を本来ならとるべきだが云々という御説明があつたわけなんですが、先ほど事務総長から、取消しを命じたら、それで速記録からその部分がなくなるのだという御説明、これは百十六條の後段の関係から見ますと、取消しを命じただけでは、それに従わなければ、別の問題が起つて来まして、当日の会議が終るまでの発言の中止、または議場の外に退去させるという規定もあるので、その点は問題があとへ残されております。けれども私の申し上げたいのは、やはり発言を取消させるという議長に認められた権限に基いての処置をして進めないことには、速記録から削除することは法理上できないのではないかと思うのです。
○柳澤委員 この問題は明白なことで、少くとも憲法第二十一條でも、言論その他一切の表現の自由というものを保障しておりますけれども、その範囲というものは公共の福祉に反しないということに限られております。だから、それが少くとも公共の福祉に反することが流布されるという場合には、これを制限されるのは憲法上当然の建前だと思います。そこで先ほど來発言の権利を制限されるというお話があつたが、発言の権利は、これは特に国会における規定がありますから、当然できることであり、これに対しては議長は何も制限しておらぬ。これが議事録に載つて、外に流布されるという点に重大な問題がある。議事録が削除されるというのは、これが一般に院外にまで行くものであつていわゆる公序良俗に反する、公共の福祉に反するという結果を生ずるから禁止するのであります。結局議長は、そういうような院内の発言といえども、これによつて公の秩序を乱し、公共の福祉に反するというようなことになる場合には、議長の権限というよりは、むしろ削除する責任があると思います。ですから、プレス・コードの存在いかんにかかわらず、この権利の範囲というものは公共の福祉の範囲しかないのです。福祉に反してまでも認められるものではないのでありますから。そういう意味におきまして、削除は当然のことである。私は、ここでは議長がその当然の御通告をなすつたものと、こういうふうに考えております。
○石田委員長 ちよつと柳澤君に御注意しますが、ただいまここで御議論を願つておることは、憲法に保障されておる言論の自由の問題とか、あるいは公共の福祉に関連性のある問題とかを御議論を願つておるのではなくて、議長として議院の秩序と品位と権威を維持するという建前から、院内の自主的な立場から議論をしておるのであつて、それが外に現われてどうこうという場合の議論ではありませんから、憲法並びに言論の自由及び公共の福祉の関係についての御議論は許しません。
○柳澤委員 ちよつと誤解がありますから……。
○石田委員長 誤解じやありません。委員長として議事整理上申し上げます。
○椎熊委員 今の問題ですが、議長が発言の取消しを命じても、議事録の削除は別だという田中君の御議論は納得がいかぬ。そんなことはない。議事録は言うまでもなく発言の載録なんです。その本体たる発言に不穏当な箇所があつて、それを抹殺しておるのに、影であるところの印刷物だけにそれが載つておるというような、そんなばかなことはない。言論そのものがいけないので取消しをしたので、それを載録しておつてはならないのです。
○林(百)委員 違う違う。だから後段でそういう場合の処置がちやんとある。
○土井委員 今椎熊君の意見ですが、これは一応正しいのです。一応正しいということは、要するに議長が不穏当なる言辞がありとして取消しを命じた場合はそうです。今議長からここに提案されておるのは、その不穏当なる書辞があつた場所々々を例示して、そしてこれとこれとをとにかく削除したいとか、あるいは取消しをしてくれとか、一々そういうことを言うことは煩にたえない、そこでいわゆる議長の良識で、きわめて不穏当なりという場合においては、従来のような方法によつて削除をすることを認めてもらいたい、こういう問題がここに提示されておる。そこで問題は、われわれは議長の良識というものを尊重しなければならない。少くも議会の最高権威であるところの議長の職責に立つ者が良識がないとは言えない。従つてそういう意味でこれを委任する、言いかえれば認めよう、こういう気持を持つのであるが、ただあくまでもこれは便法である。ただ議長がそういう宣言をしたら、かつて気ままに国会法なり、あるいは憲法なり、衆議院規則によつてやり得るのだという解釈の上に立つことに対しては、私は間違いだと思う。そういう点はやはりはつきりしておいてもらいたい。
○石田委員長 今土井君から一つの議論が出ました。それはもちろん土井君の独自の御議論でありますが、これ以上議論をして行つてもどうかと思いますから、各派においてそれぞれ御意見の御展開を願います。
○石田(一)委員 ちよつと意見の違うところがあるので、発言を許していただきたい。
○石田委員長 その前に、今これが議題として出されているのは、議長が議員の発言中不稔当と認める箇所について、一々お諮りをしてやつて行くということは煩瑣にたえないから、議長の良識によつて、宣告によつてやるという原則を認めてもらいたいということです。その宣告に異論が出て、こういう宣告をされたけれども、自分の方は違うのだといつて別の議論を出されることは当然の権利ですが、そういうものが出ない場合においては、この原則を認める、こういう問題の出し方をしておるわけです。それに関連して、国会法等の解釈についてお話がありました。しかし議長の方で出されておるのは、国会法の解釈論をここでやろうというのではなくてそういう原則を認めてもらいたいという一本なんです。だから些末な点で議論の使い方をいろいろされるということは議事の整理上困るので、今土井君から言われ、副議長から言われた点について、賛否の御議論、あるいは修正の御議論というふうに、わけて御発言を願います。
○石田(一)委員 そうおつしやいますけれども、これはもともと私たちが経験してからの本会議において、不穏当な発言であるというので取消しを要求されることがあまりに多過ぎたのです。要するに、それ自体がみずからの発言の権利を大幅に削減しているような結果になつていたと私は思うのです。そのことが今日こういうことになつたのだと思う。しかし、いかに議長であつても、議員が許可を得て演壇で発言したことを、議長の権限でこれを取消すことはできぬ、私はそう思つております。但し議長の権限をもつて本人に取消させることができる。本人に取消しをするように命令をすることができるのであつて、本人が取消さない以上は、懲罰問題として院議に諮つてやるべきである。議員の発言を不穏当だと認めたら取消すということは、要するにどの法律、どの規則でもつて、議長の職権によつて取消すのか、そういうことが大きな問題になる。国会法第百十六條などを読みましても、はつきりそれは書いてある。発言を取消させるので、議長は取消すことができるのではないのです。
○石田委員長 ちよつと待つてください。国会法の解釈についてではなくて便法としての原則をお諮りしておるのです。
○石田(一)委員 便法としての原則としては、種々煩項にたえないと思うので、本会議にこれを一々諮るとかなんとかいうのでなくて、議場においてそういう議長の発言があつた場合においては、一応即刻、あるいはその次の最も近い運営委員会において、今日のごとく報告されて、それを各党に諮られて、発言者側からも異論があるだろうし、それから後に決定されるというのならば、非常に民主的な決定方法だと思うのですが、何も諮ることなしに、議場で宣告したからといつて取消してしまうということは、どうかと思います。
○石田委員長 宣告して、異議が出て来れば、議題にいたします。
○椎熊委員 石田委員の言う通り、取消させることができるけれども、議長において取消してもいいかということを諮つておる。だから私は、その宣告ということに重きを置いておる。それに異議は言つていないのです。それでよろしいということになれば、議長に一切の権限が委譲される。
○石田委員長 整理をいたします。異論が出て来れば、異論を本委員会としては議題にせざるを得ません。しかし原則としては、議長が議場において宣告したときは、異論が出ない限りにおいては、議長の良識によつて削除するという原則を一つの便法として認めてもらいたいというふうに提案しておるものと、私は了解いたします。
○林(百)委員 ちよつとお聞きしますが、議長が取消上ますと言う権限はどこから出て来るのですか。さつき石田委員の言うように、議員に対して、あなたはこの発言を取消したらどうです、あるいは取消させますということを命ずることはできるけれども、その議員が、いや私は懲罰になつても取消しませんと言つたら、それまででしよう。それを本人の意思を無観して、議長が、いやそれは削除させますと言う権限はないはずです。
○大池事務総長 それは私から申し上げますが、今の国会法第百十六條は、従来の議院法にあつた言葉と一つもかわつておりません。これ以外のことはございませんが、その議院法時代の法文の解釈並びに先例では、本人に取消させるとありますから、一応取消させる方法をとりますが、それを取消さない場合においても、議長から直接取消しを命じた場合はざらにあります。その先例は旧議会のことであるから、現在の国会法第百十六條は同じ文章であつても、今後新しい方法でおやりになるということであれば、しかたがありませんが、従来は取消しを命ぜられた言葉は、速記録から削除するということになつております。その点従来の例だけを申し上げておきます。
○椎熊委員 議長が、不穏当な箇所があれば適当に処置するという宣告をしたことに異議がなければ、取消させる権利というものは取消すということに委譲されておるのです。議長に権限があるのです。
○石田委員長 ちよつと懇談いたします。 (速記中止〕
○石田委員長 懇談をとじます。 本日の副議長からの御発言の取扱いにつきまして、ただいままでいろいろ御議論がございました。共産党におかれては立場がまつたく違いますので、共産党を除いた各派の御議論を、委員長においてとりまとめた結果を申し上げます。 院内における言論の自由というものは、あくまでこれを尊重し、そうして守つて行く建前でなければならないと思います。そういう建前のもとにおきまして、その自由を守るためにも、議院の品位を傷つけ、さらに事事無根なことを申し立てて議員の発育の権威を傷つけるというような発言については、議員自体として自粛して行かなければならないと考えるのであります。そこで議員自体としてその建前にのつとつて参りますために、以下具体的なことになりますが、議場における議員の発育が議院の品位を傷つけ、さらにあまりに事実と相背馳いたしておつて、議員自身の発言の権威を傷つけるというような場合においては、議長はその行為に対して発言の取消しを命ずるか、あるいは速記録を調べて適当な処置をするという宣言を行つた場合においては、議長の権限において速記録を削除することを認める、この宣言に対して異論があつた場合におきましては、次回の運営委員会においてこれを申し出てもらつて、運営委員会の議題としてこれを取上げる、そういう原則の可否をお諮りいたします。これに対する質疑がございましたら許します。
○林(百)委員 まず私たちの立場としては、議長が不穏当と認めて、それを取消すということを一方的に宣言する権限はないと思います。また非常に不穏当と考えておる場合に、本人に取消しを命ずるということと、命ずることがただちに速記録を削除する権限になるともわれわれ考えません。従つて委員長の言われた、そういうとりきめについては反対でありますが、ただ委員長の発言のうちで、後日のために正確にしておきたい点がありますので、一、二質疑をしてみたいと思います。 第一には、取消しを命じたにもかかわらず、本人がその取消しの命に従わなかつた場合は、後日いろいろな処置が講ぜられることがありますが、速記録がただちに取消されるのであるかどうか。その発言がただちに速記録に載らないという効力が、本人に命ずるだけで発生するのかどうか、この点が一つ。 第二の点は、特別な異議があるときはと言われますが、その異議の申立ての方法はどういうことなのか。たとえば具体的に言えば、共産党の議席で私が場内交渉係として異議ありということを言えば、それでいいのか、あるいは書面か何かで議長のところまで、そのときにただちに届けなければならないのか、その点を第二として聞いておきます。 第三番目の問題としては、このようなことが許されるということになると、従来プレス・コードのあつたときとほとんどかわらないと思います。一体プレス・コードのあつたときと、どういうように異なるのか、この点を第三としてお聞きしておきたいと思います。 ということは、もしこういうことが許されることになると、言論とか出版の自由に対する大きな影響を及ぼすことになつて、重要な点でありますから、委員長のその提案について、定義を明確にしておく必要がありますから、今の三点をまずお聞きしておきます。
○石田委員長 お答えをいたします。原則が認められたといたしましたならば、発育の取消しを議長が命ずるという行為が行われた場合においては、速記録から取消されるこの場合は別になるわけです。 第二の、宣告によつて取消す場合の異議の申立ては、あまり長くやられても困るから、次回の運営委員会において異議の申立てが行われる。その場合には、当然ここの議題にいたします。そうして本委員会において異議の申立が認められた場合においては、速記録の削除は行われない。しかし異議の申立が認められない場合においては削除せられる。 プレス・コードの扱いなどに関連してでありますが、プレス・コードは建前が違うと思います。これは占領軍の占領目的でありますか、占領政策でありますか、日本の民主化の過程にあつて、言論の自由というものを指導するその指導の仕方については別でありますが、そういう建前から出されたものであると思います。国民大衆への影響ということも非常に加味されておるように思います。ところが今度の問題は、議院自身の品位と権威を保つという自主的な建前で行おうとするのであります。そこが根本的に違う。それから手続の上においても、プレス・コードは出版の責任者たるところの議長の側において、自主的に、議長の側の対外的な責任において行われた。つまり出版責任者だという建前で行われたのでありますが、今度は議会としての自主的な立場から議長の行為が行われるのであり、かつ本委員会においての異議の申立てが認められるというところにおいて、手続の上でも違う。こう私は考えております。
○林(百)委員 第二の異議の申立てについては、非常に重要ですが、これはあとにまわすといたしまして、こういう建前になると、プレス・コードがあつた時代とどう違うかと申しますと、プレス・コードのあつた時代は、プレス・コードに照して、議長が削除その他処理していたのであります。プレス・コードがなくなつた以上は、国会法と衆議院規則に従わなければならない。ところがその国会法によれば、議長は発言を取消させることができるとあつて、その命に従わない場合は、さらに他の方法でこれに対する責任の追究はできるけれども、速記録からその発言を取消すということは私はできないと思う。もしそれが自由に、不穏当な箇所があれば取消しますということになつて、実際それが取消されることになれば、実質的にはあなたの言う高邁な精神は別としてプレス・コードがあつた時代と全然かわらないというように私は考えるわけであります。 その点はそうとして、その次に、異議の申立てですが、本会議で異議の意志表示がなくても、次回の議院運営委員会で異議の申立てがあれば、それが正式の議題になるのかどうかという点と、それからそのとき、どの箇所を取消すかということをはつきり議長から議運に明示されるのかどうかという問題が一つ。それから第三の問題は、その異議があつた場合、議運で決定するのですね。
○石田委員長 そういうことです。
○林(百)委員 議運で決定するというのは、もう少し具体的に言うと、どういう方法で決定するのですか。
○石田委員長 お答えを申し上げます。異議の申立ては、もちろんただちに行われるのもいいが、最終の時期は次回の運営委員会であります。運営委員会において異議の申立てが行われれば、その不穏当と認めた箇所を議長が明示するのは当然のことであります。それを議運において取扱う場合は、会議運営の方法によつて、他の議題と同様に取扱います。 それからプレス・コードと違うとか違わないとかいうことは、見解の相違でありますから、これ以上私からは発言いたしません。
○梨木委員 ちよつと、もう一点伺いますが、取消しを命じた場合には、本人の承諾なく削除ができるという趣旨ですか。本人の承諾がない限り、命じただけでは削除できないと思うのですが、命じただけで、本人の承諾の有無にかかわらず削るのだという趣旨ですか。
○石田委員長 それは先ほど私からお答えいたした通りであります。宣告に対して異議がなければ、本人が承諾したということになります。
○林(百)委員 本人が取消さないと言つても、議運で取消すことになれば、本人の意思いかんにかかわらず取消される、こういうことですか。
○石田委員長 そうです。
○林(百)委員 絶対反対だ。
○椎熊委員 それは言うまでもない。議長の宣告がいいかどうかは多数できめなければならぬ。そこで初めて議長の権限だという根拠がつくられる。
○林(百)委員 それは多数の横暴だ。議会政治の破壊じやないか。
○石田委員長 実際問題として行つて参りまする事務的な立場からいたしますると、会期の最終日等の発言、つまり運営委員会等のない場合の発言等がありますから、異議の申立てはその日のうちにやつてもらいたい、そういうことであります。そうすると、そのために運営委員会を特に招集する。異議の申立てはその日のうちにということに改めたいと存じます。
○梨木委員 私は、この問題はちよつと保留しておいた方がいいと思う。
○石田委員長 賛否は別に発言を許します。
○林(百)委員 そうすると、野党の発言というのは、いつでもこの議運の採決で決定されて、いつでも取消される。そんなことは議会政治の破壊であり、自殺行為だよ。 〔発言する者多し〕
○石田委員長 静粛に願います。
○石田(一)委員 私は、特に議長にお願いしたいことがあるのです。こういう原則をきめましても、今までのように速記録を調べた上というようなことでなくて、不穏当であるかないかは、もう議長席におられて、特に岩本副議長あたりになると直感的に来ると思う。それを、議場が混乱するといけないからとか、議場の静謐を守ろうというような考えから、今まで速記録を取調べの上というような措置をとられたと思います。私は、そういう場合には単刀直入に、発言が終つたあと、ただいまの何々君の発言において何々の箇所は不稔当と認めるから、お取消しになつたらいかがですかと、さつそくその場で言つてもらいたい。
○石田委員長 できれば、その方がいいと思います。
○石田(一)委員 そうすると問題を後日に残さないことになる。
○岩本副議長 それは石田君のおつしやる通り、そのときにやるのが建前です。しかし一々調べることが困難な場合がある。
○石田委員長 それでは、お諮りいたします。ただいままで種々御議論がございましたから、各派の賛否の御態度を御表明いただきます。
○福永(健)委員 自由党は先刻副議長からお申出の件は、これに委員長の補足説明を加えまして、了承するに異議ありません。
○椎熊委員 ただいまのような申合せをしておかないと、民主国会を健全に守ることはできない。あまりにおそ過ぎたと思うくらいです。どうかこういうことを厳格に守つてもらいたい。賛成です。
○土井委員 大体原則的には賛成でありますが、なおこの問題については、さらに愼重を期する必要があると思いますので、従つて本日決定することに対しては保留していただきまして、次回の運営委員会でわが党の態度は明確にしたいと思います。
○林(百)委員 私の方は、国会法の第百十六條の解釈から言つても、議員に対して発言の取消しを命ずる権限はあるけれども、その取消しに応じない議員の発言を速記録から削除させる権限というのは、議長にはないと考えております。もしそういうことが許されることになれば、国会の中における議員の発育の自由は、まつたく失われるというように思います。それからまた議長の職権で議員の発言を速記録から削除を命ずるというような権限も、私は国会法、衆議院規則のいずれを見てもないと思います。ただ慣例上、かつての帝国議会時代にはあつたと言われますが、それは帝国議会時代の慣例であつて、国権の最高機関としての新しい国会の規則として許さるべきことではないと思うのであります。そのときに、内部的な問題として、異議がある場合には、この議運によつて決定されるということですが、しかし議運は明らかに多数党が決定権を持つておるのでありますから、そうすると、将来少数党あるいは野党側の発言で、自由党並びに与党の気にいらない部分は、多数決によつて速記録からいつも削除することができる。こうなると、まつたく国会の機能を破壊することになる。少くとも野党としては自由に発言をし、それを速記録に載せ、それを国民に伝えて、国民の批判にまつということが、国会における野党、少数党の任務である。それをしも削除して、われわれが国民に伝えるために速記録に載せることすら、国会の多数党の決議によつて許されないということになれば、これはまつたく国会の破壊であると思います。これは明らかに、プレス・コードが廃止されたと口では言つているにかかわらず、実質的には占領時代のプレス・コードをそのまま続けることになると思う。国権の最高機関たる国会がそういうことをするなれば、やがては一般の出版の自由にも影響する重要問題だと思います。このようなことは国会の権威のためにも許すべきことではないと思います。委員長自身の名誉のためにも、このような提案はぜひ撤回すべきであると思います。 なお念のために申し上げますが、土井君も言われるように、この問題は重要であつて、徹底的に検討すべきであると思いますから、少くともきようこれに対する決定をすることは留保して、次の機会、あるいはもしそれで不十分1ならば、その次の機会でもけつこうですが、もう少し国会としてこの問題を練るべきだと思います。従つて私は、最大譲歩をしても、本日これに対して決定を与えることに反対であります。
○田中織之進君 この問題は、やはり国会法第百十六條の規定を嚴格に実施して行くべきだと思います。ことに発言を議長が不穏当と認めて、取消させる場合には、あくまで本人をして取消させるべきです。もし本人がその命に従わない場合の罰則というか、そういうものは、すでに第百十六條の後段に規定してある。それ以外に、議長の命に従わない場合の懲罰というような問題もある。煩項でありましても、この手続を経なければ、議会の中における言論の自由というものが確保されない。その意味において、煩瑣であつても、取消しを命じて本人をしてその命に従わせるという手続をとるべきだと思います。その手続を実質的に省略するかのごとき意味合いにおける処置は、たとえここの申合せでも、われわれはその気持はよくわかつておつても、申合せができたという一つの事実の上に立ちまして、また委員もかわるというような場合には、運用上別な結果が出て来るのでありますから、この申合せの問題については愼重な態度をとるべきであつて、その意味で、きよう決定することについては保留をしていただきたいと思います。
○寺崎覺君 私の方は賛成であります。
○石田委員長 それでは、保留の申出がありますので、これをお諮りいたします。本申出を本日の委員会において保留したいということに賛成の諸君の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○石田委員長 挙手少数。よつて保留はしないことに決定いたしました。 そこで次に、副議長から提案をいたしました件について、私から補足説明を申し上げた点を一括して、原則として本委員会において承認するに賛成の諸君の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○石田委員長 挙手多数。よつてこれを承認するに決しました。
○石田委員長 次に、参議院からの回付案の取扱いの件を議題にいたします。事務総長から御説明を願います。
○大池事務総長 参議院の方から、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の修正が参りまして、その修正は一々申し上げかねるほどたくさんございます。つまり何級地を何級地に繰上げるというような意でございます。これは各党でも十分おわかりだと思いますので、説明を申し上げることを省略させていただきますが、先日一応配付いたしておきましたように、非常に厖大なものでございます。その点だけ御報告申し上げておきます。
○石田委員長 これは議案を本日配付を願いまして、これに対する態度は次回に御協議願いたいと思いますが、いかがですか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○石田委員長 では、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○石田委員長 次に、懲罰動議の取扱いの件を議題に供します。事務総長より御報告を願います。
○大池事務総長 風早八十二君を懲罰に付するの動議が出ております。これは五月六日の午後四時二十五分に出ておりますが、提出者は中川俊思君、井手光治君、島田末信君、押谷富三君以下成規の賛成者を得て出ておりますので、その点を御報告申し上げます。
○石田委員長 この件は次回の運営委員会において御協議を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○石田委員長 では、さように決します。
○石田(一)委員 ちよつとこの際懲罰問題について希望がございます。それは、行政府においてすら、すでに刑が確定して刑務所に服役していた者までも、独立国家になつておめでたいというので釈放され、あるいは減刑されるという恩赦をやつておるにもかかわらず、われわれは、いわば問題にならないようなことをいまだにとやかく言つておる。運営委員会等においては、こういうふうに国会が自主的に今後活動し得る大きな権限を得たというような際には、行政府がやり得るくらいのことを立法府である国会がなぜやれぬか。こういうことは、これこそ議長職権においておやりになつたからといつて、決してこれが違法であるとかなんとか世間には言われないと思うので、その点はぜひ考慮してもらいたい。
○椎熊委員 平和條約発効前のあの種の事件は、全部洗い清めましよう。この新事実は別だ。 〔発言する者多し)
○石田委員長 御静粛に願います。この問題につきましては、平和條約発効前の事態はすでに懲罰委員会に委任し てあることでありまして、ただいまの御申出は、各派十分お聞きとりのことと思いますから、懲罰委員会において適当な御処置を願えると思います。
○石田委員長 次に、緊急質問の取扱いを議題にいたします。事務総長より御説明を願います。
○大池事務総長 緊急質問は、メーデー関係のものがたくさん出ておりましたが、法務総裁の発育に対する質疑で済んでしまいまして残つているのは、田中堯平君の平和條約発効に伴う政令第三二五号違反者の即時釈放並びに日本共産党幹部の逮捕取消に関する緊急質問一件であります。
○石田委員長 この件につきましては、提案理由の説明はすでに承りましたので、取扱いだけ御協議を願います。各派の御意見をお述べ願います。
○福永(健)委員 自由党は、本件は法務委員会へ回付して、しかるべく御検討願いたいと思います。
○椎熊委員 賛成。
○土井委員 当該委員会に回付して、十分に御質問願いたいと思います。
○梨木委員 この緊急質問は、衆議院において恩赦の決議を行う場合に、政令第三二五号違反、すなわち占領下における特殊の犯罪として起訴されたものでありますが、これは恩赦にまつ先にかけなければならぬという趣旨で、私どもはその際提案趣旨の弁明の中にもこれをつけ加えていただくように申し入れて、それが取入れられていたのであります。ところが実際出た恩赦を見ますと、政令第三二五号関係の被告、受刑者諸君に対しては、全然恩赦を除外しておるのであります。
○石田委員長 それは提案理由の説明で承りました。簡単に願います。
○梨木委員 この衆議院における決議をまつたく政府が無視していることなんでありまして、まことに不当であると思います。従つてこの点について、非常に国民の中にも疑義と不満が高まつております。この点について、ぜひとも政府に対してその見解を聞かなければならぬ。これは非常に重要でありますから、本会議において取上げるように要求じます。
○田中織之進君 この問題は、平和條約の発効に伴う恩赦と関連して、国民の中にも、一部この人たちが残されておることについて非常に奇異の感を抱かれておる問題であると思います。この恩赦に関する決議案も、衆議院の院議をもつて推進をした関係もありますので、国民のこの疑惑を一掃する意味において、しかるべき機会にこれを本会議で質問することを認めていただきたいと思います。
○寺崎覺君 委員会で質疑するのが妥当だと思います。
○石田委員長 それでは、わざわざ採決するまでもありませんが、本緊急質問は委員会に回付いたすことに御異議ございませんか。 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○石田委員長 それでは、さように決定いたします。
○石田委員長 次に、決議案の取扱いを議題にいたします。
○大池事務総長 決議案は、この前から領土に関する決議案が保留になつておりますが……。
○石田委員長 領土に関する決議案は保留していいですか。
○椎熊委員 最近の機会にやらしてください。
○石田委員長 それでは、これは保留にいたします。 次に、麦類の価格、米食率及び食管特別会計の不足金処理に関する決議案について御説明を願います。
○大池事務総長 お手元にありますように、麦類の価格、米食率及び食管特別会計の不足金処理に関する決議案が、小林運美君外六十六名から出ております。内容はお手元に差上げた通りであります。
○石田委員長 これを本日上程するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
○椎熊委員 これは農林委員会かち上つて来た食糧管理法の一部を改正する法律案と関連してこの決議をするということが委員会を通つて来ておるんだから、あれと同時にやつてもらいたい。
○石田委員長 それでは、さように決定いたします。
○石田委員長 次に、本日の本会議の議事の件をお諮りいたします。事務総長より御説明を願います。
○大池事務総長 それでは本日の議事日程について御説明申し上げますが、日程第一、食糧管理法の一部を改正する法律案は、農林委員長松浦東介君の報告に基きまして、討論がございます。討論は反対井上良二君、賛成河野謙三君、反対竹村奈良一君、賛成吉川久衛君の四人になつております。
○石田委員長 ちよつと私から申し上げます。前回の運営委員会において、社会党二十三控室の足鹿君の発言は、小会派全体を代表したものでないという理由をもつて、発言を認めないことになつたのでありますが、この際特にお諮りを申し上げたいと存じますのは、小会派全体から発言を許してもらいたいという申出がございましたのと、さらにこの件に関しては、すでに十日ばかり前の本会議において、やはり社会党二十三控室において、他の討論を遠慮されて、これを留保された経緯もございますので、この際本日の討論を認めたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○石田委員長 では、さよう決定いたします。
○大池事務総長 それでは反対討論として社会党二十三控室の足鹿覺君が追加になります。なおこれは起立採決でお願いいたしたいと思つております。 そのあと、ただいま御決定になりました決議案を、附帯的な意味がありますので、ここへ差込んでいただきたいと思います。すなわち、麦類の価格、米食率及び食管特別会計の不足金処理に関する決議案でありまして、小林達美君が御報告になります。
○林(百)委員 これに対しては、私の方は討論はしませんが、反対です。
○松井(政)委員 わが党の賛否の態度は、本会議場において申し上げることを保留しておきます。
○大池事務総長 それじや起立採決になります。 次に、日程第二、道路法案、日程第三、道路法施行法案は、建設委員会の理事田中角榮君が御報告になりまして、これに対して池田峯雄君から反対討論の通告がございます。 次に、日程第四、国際連合への加盟について承認を求めるの件は、外務委員長仲内憲治君が御報告をされまして、林百郎君から反対討論の通告がございます。
○椎熊委員 日程第四に対しては、わが党の並木芳雄君が賛成討論をいたします。
○福永(健)委員 日程第四についてば、わが党においても討論をいたしたいと言う者がありますので、保留をしておいていただきたいと思います。
○大池事務総長 それだけでございます。
○石田委員長 それでは事務総長の説明を了承するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○石田委員長 では、さよう決定いたします。 なお、討論は十分以内と御承知を願います。本会議の開会時刻は二時二十分といたします。
○石田委員長 なおこの際、事務総長から御報告を申し上げて、皆さんの御意見を伺いたいことがあります。
○大池事務総長 これは御報告かたがた御意見を伺いたいのでありますが、国際通貨基金協定への加入について承認を求めるの件と、国際復興開発銀行協定への加入について承認を求めるの件、この二つが参つたのでありますが、これは当然外務委員会の方へ行く法案であります。ところがこの二つに加盟するための措置の法案が出ておりまして、それは外国貿易管理法に基きまして、国際通貨基金協定の範囲内で、九百億円に相当する政府出資をすることができるという法律案が出ました。これは今までの関係から言えば、当然大蔵委員会に付託になりますが、これは原則通りそういうことにしてよろしゆうございましようか。
○田中織之進君 この法案はあとの法案と関連して、外務委員会よりむしろ大蔵委員会だと思うのです。
○福永(健)委員 その分は大蔵へやりましよう。
○大池事務総長 大蔵委員会の方へ政府出資の法律案をまわして、そこで外務委員会のことは聞けるのではないかと思います。
○田中織之進君 あとの一つと、前の二つとをわけて、別々にやつたらいいでしよう。連合審査の要求があれば、あとでやればよい。
○石田委員長 それでは、ただいまの件は事務総長の申出の通り決定いたします。
○石田(一)委員 これは議題でもなんでもないのですが、国会のあり方、特に衆議院の機構であるとか、運営方法であるとか、国会法とか、すべてのものについて、この際われわれはすみやかに再検討を要するものが多々あると考えておるのであります。そういうことについて、議長、あるいは委員長、あるいは事務総長あたりに、何かすでに腹案でもおありか、そういうことをお考えになつているのか、いないのかということを、ちよつとお聞きしたいのです。
○石田委員長 お答えをいたします。実はただいま石田一松君からお申出の件については、私もその必要を痛感いたしますので、私の参考とすべき事態の調査を事務当局に依頼いたしておるところであります。
○梨木委員 これは私の方から議長のところへ申し入れようと思つて、まだ正式に申し入れてないのですが、昨日地方行政委員会におきまして、わが党の委員に対して、他の委員会の自由党の委員でありますが、名前は特に申し上げませんが、審議中に暴力を加えようとする恐ろしいけんまくで襲いかかつて来た。これは他の委員諸君によつてとめられましたから、事なきを得たのでありますが、こういうようなことがしばしばありますと、委員会におきまして、まつたくわれわれは安心して審議することができない。こういう状態が起つて、これは当日委員会に出ておる人はみんな目撃しております。従つて、こういうことにつきましては、議長並びに委員長におきまして、私は非公式には名前を申し上げますけれども、しかるべくその委員に対して注意を喚起してもらいたい。こういうことがあつては、実際困ると思います。
○石田委員長 御趣旨はまことにごもつともです。どなたによつて、どういうことが起つたかは、委員長は承知しておりませんが、一般にそういう暴力によつて、院の内外から議院の審議に関しているく干渉、圧迫、脅迫等が行われておることは、はなはだ本院の審議を進捗するために遺憾なことだと存じますので、適当な処置をとります。 それでは、次回の本会議は十日定刻から開会をいたします。 運営委員会も十日午前十一時に御参集を願います。本日の運営委員会はこれにて散会いたします。 午後二時散会