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13回国会衆議院1952/06/11

外務委員会水産委員会連合審査会 第2号

発言数
85
登壇者
15
会派数
3
開催日
1952/06/11

会議録

仲内憲治自由党

○仲内委員長 ただいまより外務委員会水産委員会連合審査会を開会いたします。  北太平洋の公海漁業に関する国際條約及び北太平洋の公海漁業に関する国際條約附属議定書の締結について承認を求めるの件を議題といたします。本件に関する質疑を許します。林好次君。

林好次改進党

○林(好)委員 私は本日議題となりましたる北太平洋の公海漁業に関する国際條約及びその附属議定書に関して若干の質問を試みたいと思います。ただいままでいろいろ各委員が御質問になりまして、幾分重復する点もあろうかと存じますが、問題を総合的に、新しい角度からお尋ねするので、あらかじめ御了承願いたいと存じます。  私はまず最初に申し上げたいことは、條約の前文に明記されている「主権国として、国際法及び国際慣習の原則に基く公海の漁業資源を開発する各自の権利」ということが、本條約の基本的精神として完全に生かされる必要があるということであります。もちろん、国際法が、本質として実際的な、かつ利他的な性格を持ち、絶えず時代の新しい要請に即応して行くものである以上、その基本的精神である海洋の自由という原則が、これまた時代の新しい要請を加味すべきものであることは、論をまたないのであります。その場合に国際法は同時に各国に対し、平等かつ互恵的でなければなりませんが、かかる意味合いにおきまして、漁業資源の最大の持続的生産性を確保するために、締約国が自由かつ平等な立場において、事に処すべきであると説明するこの前文は、国際法の実際の方向に裏づけを持つものとして、一応妥当であると認めることができるのであります。しかしながら、この條約の具体的なとりきめにおいて、かかる原則を誤り、日本の漁業を逼塞せしめるかのごとき不安を抱かしめることは、まことに遺憾であり、私は日本漁業百年の大計に立つて当局の深い反省と善処を求めなければならないのであります。以上を私の所論の前提といたしまして質問に進みたいと思います。  その第一点は、本條約の第一條第二項に、「この條約のいかなる規定も、領水の範囲又は沿岸の国の漁業管轄権に関する締約国の主張に不利な影響を與える(主張を害する)ものとみなしてはならない。」とありますが、これは大事な問題であります。領水の距岸距離については、従来いろいろな論議がなされた後、いわゆる三海里の原則が確立されたのでありますが、事公海の自由に関する限り、今日の国際法のもと、それはあくまで遵守されなければならぬ問題であります。しかるに、本條項を熟読すれば、「領水の範囲又は沿岸の国の」という表現において、不当に一国の主張を容認せざるを得ない危険が看取されるのであります。すなわち、それはとりもなおさず公海自由の原則を侵害することを予想されるのであります。調印に際し、政府はどういう考えでこれに臨んだか、まずこの点を伺いたいと思いますが、この一項は実に本條約がいかに日本をなめているかということを証明するものでありまして、将来の禍根になるのではないかと心配されるものであります。以上この問題につきまして御答弁を願います。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 この漁業條約を審議するにあたりまして、日本のとりました基本的態度といいますか、これはただいまいろいろお話のありましたように、あくまで公海自由の原則に立つて行かねばならないが、しかしながらこの漁業資源保護といいますか、資源保護の見地から、漁業技術の発達いたしました今日においては、ある程度の規制を行うのは、これは科学の進歩に伴いましてやむを得ないのではないか。しかしながら、その規制なり抑制ということは、互いに自由平等の立場に立ちまして、一方だけが規制される、あるいは抑制されるということでなしに、自由平等の立場においてこの規制を考えて行かねばならぬ。この二つの前提のもとにいろいろ主張を重ねて行つたのでありまして、大体この條約の中には日本の主張が織り込まれておると、われわれは確信しておるものであります。

林好次改進党

○林(好)委員 次に第二点として伺いたいことは、第二條が規定する委員会の構成は、たいへんけつこうであると考えます。一九二三年に結ばれた米加、ハリバット條約が、禁漁期の設定とともに、国際漁業委員会の設置をもつて、大きな特徴とすることは周知の事実でありますが、問題は、委員会の任務が実際にどう行われるか、ということであります。米加、ハリバット條約による委員会は、一九二五年以来、調査研究を進め、一九二八年に第一回勧告を行い、一九三〇年にオッタワの倹約となつて実を結んでいる。同委員会はそのときから漁業取締規則をみずから制定する権限を持つて、それが太平洋ハリバツト漁業規則を制定するに至つたのであります。ところが、本條州の第三條を見ますと、第一項(a)項に、但書がついている。「但し、附属書」最初から明記される魚種については、」云々というくだりであります。すなわちここに組織される委員会の何ら)活動の裏づけもなく、ある種の魚種を自発的抑止の対象として、附属書に明記することを認めているのであります。附属書の内容にあるこまかい問題はあとで触れますが、要するに條約は、生物学的調査研究の結果に基いてのみ、漁業の規制または制限を行い得るものであり、たとえば、一国の利害に左右されることがあつてはならないとはもちろんであります。しかるになお「この條約の効力発生後五年間は、当該魚種が自発的抑止のための條件を引き続き備えているかどうかについての決定又は勧告をしない」と明記している。これでは條約の踏出しから平等互恵の基本精神にそむくといわなければなりません。しかも五年という不問の期間を與えているのですから、とうてい見のがすことのできない実績を與えるごとにもなります。委員会の使命にも相反するわけであります。この点につきまして政府の明快なる御説明を求めたいと存じます。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 ただいまお話になりました点につきましては、これはこの三国漁業会議におきましても、専門委員会として生物学及び保存委員会を開きまして、三国の専門家の間でいろいろ慎重に検討されたのでありますが、これらのものはいずれも歴史的に長い間調査研究がされておりまして、先ほど申し上げました生物学及び保存委員会においても、この資料に基いて慎重に検討いたしました結果、これは適正な保存措置がとられているということを認定されまして、これを尊重いたしまして、将来五年の間はこのままで行こうと、こういうことになつたのであります。すでに漁業会議の専門委員会において十分検討を加えられ、その検討の結果がここに表わされた、こういうことになつているのであります。

林好次改進党

○林(好)委員 第三として伺いたいのは、第四條第一項但書の三において、漁獲操業の歴史的交錯その他をあげ、操業及び取締りの分離が実行困難となつている水域としてアラスカ湾の水域以南の米加各太平洋岸の地先沖合を指摘しております。そして相互の自由な操業を容認することになつております。この事実は、一見それが日本に関係のない米加間のとりきめのように思われますけれども、実は二国が日本に対する共同の優位を証明するものにほかならないと判断されるのであります。戦争という空白があつたとはいえ、漁獲操業の歴史的交錯その他を勘案しますならば、これは日本にとつても当然考慮さるべき一項であり、あえて米加間の適用例をここに明記するまでもなかつたと考えられるわけであります。これについて政府はどう判断されたか、明快な御答弁を願いたいと思います。

土屋隼外務事務官(欧米局長)

○土屋政府委員 この但書の目標といたしますところは、アメリカ及びカナダの海岸の交錯した地帶から、アメリカが実績がありカナダが実績がない場合、もしくはカナダが実績がありアメリカが実績がない場合を判定することが困難な錯綜状態にありますので、どちらか一国の実績がありました際には他の国も実績がある。つまりアメリカに実績があればカナダにも実績がある、カナダに実績があればアメリカにも実績があるという一括して考える思想で、その間一国が実績があり他の方はないからといつて、他国が満限に達した魚種について自制的抑制をしないということをここに規定したもので、事はアメリカとカナダの二国間だけの問題でありまして、日本の問題ではないのであります。つまり日本がもし実績があれば、あらゆる場合において日本は抑止されることはないわけです。その際アメリカもしくはカナダの一国に実績がなくても、アメリカ、カナダのどつちか実績があるということによつて、アメリカ、カナダは均霑するという米加だけの特殊事情をうたいましたので、日本と直接の関係はございません。

林好次改進党

○林(好)委員 第四に、附属書に焦点を置いて質問を進めたいと思います。附属書にはいわゆる自発的抑止の具体的な事実が明らかにされているの博ありますが、ここでこの具体的な規制を通覧してからいわば條約の本質に一顧を與えることが適当であろうと考えられます。序文がきわめて妥当な正論であることは、私の質問の冒頭において申し上げました。結局ここまで来てみて、この條約そのものは実質的に漁業の権利の放棄となるのではないかという不安を深めるのであります。すなわち日本は、べーリング海を除く北太平洋東部の特定水域のさけ、にしん並びにアラスカ、カナダ西海岸沖一帯のハリバット漁業を自発的に抑止し、日本とカナダはべーリング海東部の特定水域のさけ漁業を自発的に抑止することになつている。このように国際間の漁業企業自由の原則に例外を設けて、保存水域をつくり、特殊の保存措置を講じたことは、実質的な公海自由の侵害であると考えます。附属書の表現も日本にとつて決して十分に対等であるとは考えられないのでありまして、かかる屈従的態度が許されるならば、残された諸外国との漁業交渉に、非常な影響を及ぼすことが必至であるといわなければなりません。ここに示されてしまつた日本の軟弱外交の方針を、今後の折衝において挽回する用意があるか。また他国との新しい折衝において、その轍を踏まぬ用意があるかどうか、お尋ねいたします。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 これはわれわれの方では、決して別段軟弱なる外交の結果というふうには考えていないのでありまして、最初申し上げましたように、今回の漁業條約を結ぶ基本的態度から考えまして、にしん、おひよう等につきましては、今回の抑止区域については、何ら従来日本が実績を持つていなかつたところであります。先方がそれぞれ資源保護の措置をとつて船つたところでありますから、かようなとりきめになつたのであります。それからまたさけにつきまして百七十五度の線が定められましたことは、これは今まで何回かの委員会においていろいろ御説明申し上げたと思うのでありますが、東部の水域におきましてはこれまた日本は実績を持つにいなかつた。但し西部の方はアジア系のさけがそこをずつと遡回しておりまして、東部のさけ、アメリカ側のさけとアジア系のさけの交錯区域なかなかわからない。そこでいろいろ検討を加えられたのでありますが、とりあえず今回暫定に百七十五度という線が一応設けられたのであります。これは文字通り暫定的でございまして、今後の委員会においてさらに検討を続け、結論が出にくい場合はさらに第三国の科学的な検討をまつ、こういうことになつているのでありまして、基本的漁業條約を結ぶ態度からいたしまして一応の暫定線を出している、こういうことでありまして、何ら軟弱外交の結果、こういうことになつたのではないものと私はかたく信じております。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 林君に申し上げます。大臣も見えまして、あと質疑通告が大分多いので、ひとつ簡潔にポイントだけ願います。

林好次改進党

○林(好)委員 なおここで明らかにしたいことは、外務当局がわが国の水産資源保護について、大きな錯誤を持つていたらしいということであります。すなわち去る六日の外務、水産連合委員会において土屋欧米局長は、ベーリング海及び北太平洋におけるさけの保存措置について米加は多大の努力を拂つているが、日本は何らの保存措置も講じておらぬ、従つて、さけ漁業について日本の漁業が自発的抑止をすることは、当然であるという意味の御発言があつたように了承しておるのであります。これはいささか暴言に過ぎるのではないかと存じます。かかる判断で今回の附属書のとりきめが行われたとすると、はなはだ遺憾であり、ますますとりきめ事項の信憑性が疑われることになるのではないかと存じます。私は、畢生の目的といたしまして、長年さけ、ます孵化放流事業に挺身して来ておるのであります。現在北海道鮭鱒保護協力会連合会の会長の職を奉ずる立場からこの事業を振り返つてみますと、徴力ながらさけに対する保存置は、相当程度行われて来たと確言できるのであります。現在全国の鮭鱒孵化場は百二十八箇所に上り、北海道は、道本場のもとに、六支場及び四十二事業場、それに百十一の採卵場を持つて事業を進めております。北海道に例をとれば、年来、さけ八万石、四百八十万尾、ます六万石、七百二十万尾を目標とし、さらに、さけ卵四億八千万粒、ます卵二億粒の採卵放流を目標としております。事業の成果を簡単に数学的に説明すれば、まず、鮭鱒増殖年次計画を立てまして、昭和二十四年は卵放流数を二億五千万粒、二十七年は四億五千万粒、二十八年は五億七千万粒という計画のもとに進んで来たのであります。実績からいえば、昭和二十二年のさけ、ますの卵の放流数は一億九千万粒であります。二十三年は二億四千万粒、二十四年は三億万粒、二十五年は三億二千万粒、二十六年度は三億・八千万粒という数字をたどつておりまして、けだし十分一応の成果をあげておるのであります。現在さけ、ますの孵化事業はさらに発展的な段階にあるわけでありまして、廣川農林大臣の指示のもとに、すなわち、二十六年度から五箇年計画をもちまして、農林漁業融通法のわくから、本土あるいは東北七、八県に五箇年間で三億円の長期の融資を受けまして、そしてわれわれ鮭鱒業者が打つて一丸となり、漁業協同組合をつくりまして、その組合が長期資金を借り入れまして、そうして設備の擴充強化をばかつておるのであります。廣川農林大臣は鮭鱒の孵化事業には非常に関心を持つておられまして、私どもは深甚の敬意を表しておるものであります。昨年その長期資金によつて石狩河口に新設いたしましたさけの稚魚の放流の壯行会に、先般わざわざ廣川農林大臣に御臨席をいただきましたが、そのときのお言葉に、全道の有望な保護河川においては、一本残らず全部さけ、ますを孵化放流をしなければならぬという強い裏づけをいただきまして、ただちにその計画を知事に出せといろ指示をいたしておられるのであります。私どもは、このような考え方で鮭鱒の孵化事業の強化擴充をはかつておるものでありまして、私は土屋局長の考え方はまつたく新たにしてもらわなければ相ならぬと考えるものであります。  次に附属書並びに議定書において、さけの漁獲に対する暫定的区画線、すなわち西経百七十五度の子午線の問題はたびたび自由党委員諸君から論難されておるところでありますが、私は一つの事実を引例して、その不当なるを証明したいと思います。すなわち、一九四九年に結ばれた北大西洋漁業国際條約がそれであります。これには、米加及び欧州八箇国の署名がありますが、生物学的適正漁獲を主眼として、明確に国際平等の海岸自由の原則を打出しております。すなわち、資源保護のために締約国すべてに平等に適用される操業制限を課しておつても、海洋の自由を特定の国に限つて制限することはしていないのであります。かかる新しい引例をするまでもなく、昨年四月九日来朝したマグナソン米上院議員は、海洋に一つの線を引いて区分するようなことは避けたいと語つておる。まずこれらに対する政府の見解を示していただきたいと思います。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 大体この問題は先ほども触れてお答えしたのでありますが、公海に線を引くというようなことは、避けられればなるべく避けたかつたのでありますが、先ほども申し上げましたように、今回の漁業條約が、漁業資源保護ということと、それから、その見地のもとに、公平平等に互いに規制抑止をして資源保護をやろう、こういう見地からやつたのでございます。そこで、先ほど申し上げましたように、べーリング海につきましては、東部については日本は従来実績を持つていなかつた。西部の方は、林委員がるるお話になりましたように、実績どころか、日本もいろいろ漁業資源の保護をやつているわけであります。そこで、この境界についていろいろ論議があつたのでありますが、結局、一応百七十五度の線で線を引いておこう。しかしこれはあくまで暫定的なものであつて、今後の委員会において十分検討を加えて行きたい。三国の関係だけで結論を得にくいということであれば、他の第三国の科学的検討をまつて将来この線をきめて行こう。こういいうことになつとおるのであります。それから先ほどちよつと落としたのでありますが、あくまで自由公平という見地に立つておる例といたしまして——これは日本側の方でも、もし、適当な魚種をあげてこういろ抑止区域をやろうと思えばやれないことはないのでございます。ただ、もう少し合理的科学的な資料をここに築き上げまして、将来そういう線を設けて行きたい、こういう考えであります。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 林君、簡潔にお願いします。

林好次改進党

○林(好)委員 最後にもう一点伺いたいと思います。第六條はたいへん重要な問題を含むと考えます。具体的な問題として、日本が北太平洋の公海漁業に従事するためには、当然ソビエトとの折衝が議題に上るわけであります。ソビエトは、その漁業発展計画において、全ソビエト海域から年間約二百万メートル・トンの水揚げを実現し、その三分の一を極東において獲得すると報じております。マ・ラインが解かれ、日本漁業再建の道が開かれようとしている今日、われわれはソビエトに対して目をつぶることは許されないし、また、しいて事を構える態度も許されない現状なのであります。昔から、漁業は、対ソビエト交渉の大きな焦点として常に水産人の課題となつて来ております。この際、対ソビエト漁業折衝に関する外務大臣の明確なる所信を伺いたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 ソビエトとの間には、御承知のようにまだ條約関係がないのであります。しかしこれは一時的のことであり、こういう問題については、日本側の考えているようなことが将来また実現する機会もあるとは考えますが、今のところどうもいかんともいたし方がない、しばらく事態を静観するのが適当であろうと考えております。

林好次改進党

○林(好)委員 あと大分つかえておるようでありますから、今日はこの程度にいたしまして、次会にまた御質問を申し上げたいと思います。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 石原圓吉君。

石原圓吉自由党

○石原(圓)委員 私は六月の六日と七日に外務・水産連合委員会並びに水産常任委員会等で日米加三国協定に関する疑義について説明を求めましたが、満足するような御回答が得られなかつたので、それで岡崎外務大臣、廣川農林大臣の御出席を求めた次第であります。元来この両大臣がわれわれの水産常任委員会にそろうて御出席になつたとはないのであります。おそらく今回も外務との連合であるから御出席になつたのだろう、こう察するのでありますが、第一、水産をどろ考えておられるか。外務大臣は水産についてどの程度に外交的に頭を使つておられるか、また時間を使つておられるか。あなたは頭の非常にいい人でありますから、時間的の詮議は必要でないと思うのであります。頭をどこまでこの日本の水産のために——国際的に重大な立場におる日本は、もう水産以外に擴大する産業はないとわれわれは考えておるのでありますが、それに対するどういう心構えを持つておられるか、一応承つておきたいのであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私は水産もむろん重要でありますが、その他にも紡績も重要であり、また鉄鋼も重要であり、いずれも日本には欠くべからざるものであります。従つてあらゆる問題について、できるだけ自分の時間をさいて研究もいたしますし、また方針についてもいろいろ考慮はいたします。しかしながらおのおの各省にはその専門がありまして、水産なら農林省が主としてやられるのであつて、私どものはんぱな意見で農林省の意向をくつがえすようなことはいたすべきでないし、またそういうことはできないものでありますので、できるだけ専門である農林省の意見を聞いて水産の問題については善処する。またほかの問題については、また各省の意見を十分聞いて善処する。むろん私の考えも参考としていろいろ話すことはありますし、またそういう問題を全体の外交の関係において調整するということは、これは私の任務でありますから、むろんいたしますが、水産自体についてどう考えるかといえば、これは正直に申したところ、農林省の意見が最も重きを占める、こういうことになるのであります。

石原圓吉自由党

○石原(圓)委員 私のお尋ねしたことを、大臣ははき違えておるようであります。今日問題となつておるところの日米加三国協定においても、ここに論議が残されておるのでありますが、そのほかに台湾政府との漁業上の交渉、朝鮮との交渉、中共、ソ連等、まだ日本全国土を包囲するところの漁業全体が残されているといわなければならぬのであります。この漁業全体に対する、国際的な條約に対するところの関心をどこまで持つておるかということをお尋ねしたのであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これはできるだけ早く各国との間にも漁業に関する協定をつくりまして、そして、日本の漁業の行くべきところがはつきりするようにいたしたいという希望はむろん持つております。ただ相手方もあることでありますから、こちらだけで考えても、これはできないこともありましようけれども、考え方としてはさように考えております。

石原圓吉自由党

○石原(圓)委員 はなはだどうも不満足であります。もつとも外務大臣は近ごろ御就任になつたのでありますから、そう深く御認識のないのは無理からぬと思うのであります。第一この日米加三国協定を結ぶにあたりまして、水産常任委員会においては水産庁、外務省とも非公式な意見の交換はあつたのであります。その交換のあつた結果、水産常任委員会といたしましては三つの原則を提案したのであります。すなわち海洋水産資源は世界の人類が公正に享受すべきもので、公海における船舶の航行、漁業の操業は絶対に自由平等でなければならぬ。第二、水産資源の保護の必要上、漁業を抑止する場合は、締約国は互いに双務的で平等であらねばならぬ。第三は公海漁業の実績、すなわち実質的漁業開拓の歴史を認めること。これは沿海国と非沿海国とを問わない。すなわちたとい沿海国であつても、漁業の実績のない国は、公海漁業の権利を認めないこと。この三つの原則を国会の総意として、常任委員会の総意として申し入れてそれを水産庁も外務省も根拠として強く主張をされたことは事実認めるのであります。そういう結果、ややこの三原則を貫いた形になつたのであります。なつたけれども、その内容に、しかも公海のまん中へ西経百七十五度線というようなものを定めて、われわれが知らぬ間に非常な弱体な事実をそこに現わしておるのであります。こういうことをこのまま認めたならば、外務省にはまかしておけない、こういう感が深くなるのでありまして、その結果かどうか知りませんが、ただいま申しましたところの台湾、朝鮮等の漁業協定につきましては、何ら衆参両院の水産常任委員会には、公式にも非公式にも話はないのであります。また意見も徴しないのであります。われわれは水産の専門でありまして、国際的に不利益なような表現はしないということは論ずるまでもないのであります。あくまで国家的の立場から協力して最も有利なる水産に関する條約を結ばねばならぬと考えでいる次第であります。それに全然つんぼさじきに置いて、何らその後の問題に対しては協力を求めぬのみならず、意見を聞くこともないのでありますが、これらのことは外務大臣が新しく就任されて、新しく方針を定められたのであるかどうであるか、その点を承りたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私は別に新しい方針を定めた覚えは全然ないのであります。むろん水産委員会等に十分お諮りをして専門的の知識を拝借することは、もう非常に必要だと考えております。ただ今お話の中華民国政府との漁業協定は、いまだに一向内容的には進捗しておらない。露骨にいうと、実は何も話合いがない。それから韓国の方との間には、例の李承晩の宣言といいますか、あれの問題で、ただ原則的に公海を区画して独占すべからずという主張を日本側がしているだけで、話合いが途中で切れてしまいましたものですから、具体的にまだ内容に入つておりませんので、おそらくあるいは御相談をしておらないのかもしれませんが、事実こちら側の考えは、これは今おつしやつたようなことは、單に日米加三国の漁業協定の原則でなくして、他にも通じ得る一般的の原則と考えるのでありますが、こういう原則的な考えは外務省にもむろんあり、水産庁にも農林省にもあろうと思いますが、これを具体化する話合いが進んでおらないから、おそらく御相談しなかつたのかと思います。

石原圓吉自由党

○石原(圓)委員 私はこの台湾、朝鮮、中共、ソ連、これらとの漁業協定につきましては、いわゆる国民外交をやれということを委員会でしばしば申し入れておるのであります。どうしてそういうことを申しますかといえば、この各国はすべて日本が指導をして漁業が開始され、そうして盛んになつたものであります。また現実においても、これら各国の国民は漁業にはふなれであつて、そうして習慣的にも将来の発展性はないのであります。どうしても漁業労働者なるものは日本の漁夫を使わなければ成績は上らない、これはもう数十年の経験によつてそういうことを確信するのであります。ごとに朝鮮のごときは、日本が全部指導をし、資本をつぎ込み、漁具も漁船も技術もみな提供して今日になつたのでありまして、個人的には日本を慕うておるところの漁業者が多数であります。であるから、これを国民外交、いわゆる漁民と漁民の話合いによつて歩を進めて行くということにしたならば、台湾でも、中共でも、ソ連でもみな私は成功すると思うのであります。この民間外交ということをおやりになる御意思があるかどうか、一応承つておきたいのであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 民間外交というのはどういうふうにおやりになるのか知りませんが、こういう問題は、実は実務者間の話合いができればこれに越したことはないのであります。実際の話合いが進めば、それを確認するために政府間でそれに基いて協定を結ぶということもこれはよくあることであります。そういう種類のことは、民間外交といいますか、何というか、けつこうだと思います。

石原圓吉自由党

○石原(圓)委員 さような外務大臣の心構えであるから、この漁業問題が停頓しておるということをいわなければならぬのであつて、外務大臣の心構えを私は疑うものであります。現にかつてソ連から経済会議をやるときに日本の有力者に招請があつたが、頭からこれを許可しない。こういうことも外務大臣の御方針かと思うのであります。そういう建前から行けば、国民外交はとうていできない。それではこれは問題にならないと私は思うのであります。今二、三の人がロシヤや中共の方に、衆議院の方、あるいは参議院からも行つておるようでありますが、そういうことは大いに利用していいと思う。まず国民外交と申すのは、私のような漁業者が朝鮮の漁業者と個人的に相談をすることであります。そうして具体的にどうしたらできるかということを研究することであります。そういうこと不在なければ、私はとうていこの漁業は打開を見ることができないと思うのでありますが、国民外交の性格をお尋ねになるようなことでは非常に心細いのでありますが、もう一応お考えのあるところを承つておきたいのであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 普通にいわゆる国民外交というのは、当事者、つまりその仕事をしておる人が話をするという意味ではなくて、国民全体の輿論というようなものを動員して、これによつて話合いを進める糸口をだんだんつくつて行くという意味であります。しかし私はそれはこの漁業の問題には適しないと思つておりましたので、一応伺つたのでありますが、要するに今おつしやつたような、私も今申しましたが、実務をやつている人々が話し合われて、その話し合いの結果がうまく行けば非常にけつこうである、こういう意味で申し上げたのであります。

石原圓吉自由党

○石原(圓)委員 どうかその最後のお言葉をひとつ具体的に実行に移すようにお願いをいたしておきます。  次に、この北洋漁業の協約にあたりましてわれわれは日本もカナダもアメリカも純然たる平等の立場できまつたと考えでおつたのでありますが、はからずも西経百七十五度線というものが設けられてあつて、それより東へはさけもますも何もとりに来るなということを言われて、それに納得したような形の協約になつておるのであります。これは絶対に私どもは承認ができないのであります。この問題はぜひともこれを削除するか、あるいは削除に似た程度の外交交渉が私はいると思う。なぜならばあの百七十五度線を引いたから、それが世界的の刺激となつて、李承晩がマ・ラインよりまだ日本側へ線を引くというような宣言をした。これが波及して、ソ連へも、中共へも、どこへもかしこへもそういうことになつたならば、日本の漁業は全然締出しを食つて、日本の漁民は行きどろがなくなるのであります。これはゆゆしき問題でありますから、ここであなたが即答できなければ、考慮をしてもらつて、次にお答えを願いたい。ぜひともごの問題は是正しなければ、日本の漁民全体が将来の出場所をみな失つてしまうという結果になると思うのでありまして、最も重大でありますから、この点を特に御注意を願い、また方針を定められんことを希望し、それに対する御意見を承りたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは先ほどから政務次官も繰返してお話しておりますように、公海における漁業の制限というのには当らないと私は考えております。というのは、これは特定の魚種に限つての制限でありまして、またその魚種について科学的にいろいろ検討した結果、一定の條件がきめられております。つまり満限に達するような魚種ということになつております。またさけについてお話でありますが、アメリカもやはり一定の保存措置に従つて漁獲を制限する義務もあるのでありまして、こういう点では、私はほかの交渉に悪例を残すとは決して考えておらないのであります。またこれは今あらためて申すまでもございませんけれども、漁業につきましても、各国がお互いに協力して、できるだけ全体の漁獲を増すように魚種の保存ということは心がけなければならぬ問題であります、いろいろの点から考えまして、われわれはこれが適当な措置であると思つて協定いたしたのであります。決して漁獲の自由を一般の魚種について制限しておるという種類のものでないので、李承晩宣言とはまつたく性質を異にする、こう私は考えております。

石原圓吉自由党

○石原(圓)委員 そこは私と見解が違うのでありまして、百七十五度線というものは、とにかく公海へ線を引いたということは事実であります。その線が影響のあるないということは別問題でありまして、自由平等たるべき公海の一部へ線を引いたということは事実であります。そうしてまたそこにはさけ、ます以外の魚は一匹もいないのであります。いない魚をとりに日本の漁業者はわざわざあそこままで油や食料を持つて行つてやる必要はないのでありまして、これは常識から見ても判断ができるので、先方が不利益であるから、ああいう線を引くことを主張した、それへ日本の外務省が引きずられた、こういう意味といわなければならないのであります。その線を引いたということは、李承晩の線とはむろん違います。訪れは彼らの主張だけであつて、今日本は応諾したものではないけれども、それがやがて慣例になつて、世界の各関係国の心理状態をそれへ仕向けてしまう動機になるということは、争うべからざる事実だといわなければならないのでありまして、その点から私は主張をしておる次第であります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは決して外務省だけでやつたのではありませんで、ここにも書いてあります通り、農林大臣と外務大臣が一緒に署名しておるのであります。主管庁である農林省の意見を十分にいれましてつくつたのであり、またその主管庁の意見は、水産委員会の先ほどお述べになつたような原則も十分に考慮してつくつたものであります。また今問題になつておる区域につきましても、これは私より石原委員の方がよく御存じだと思いますが、私の聞いたところでは、たらとか、かれいとか、あるいはかになどの漁獲には現に出ておるというふうに思つております。

石原圓吉自由党

○石原(圓)委員 私は農林省と外務省が相談の結果きめたというような、外務省の責任回避のようなお言葉は、非常によくないと思うのであります。その内容のいかんにかかわらず、政府は政府であります。よつて一元的な御説明をいただかなければならぬと思うのであります。しかしこの問題は後日に残します。  次に過日、日米加の協定によりまして、かに工船、さけ、ます等の出漁をすることになつたわけであります。日本といたしましては一時も早くこの出漁はせなければならぬということで、それぞれ準備をしたわけでありますが、しかるに意外にもかに工船は見合せになつた。さけ、ますは独航船五十隻が出ましたが、かに工船は見合せになつた、その見合せになつた経過を一応お聞かせを願いたいのであります。

廣川弘禪自由党農林大臣

○廣川国務大臣 これはあなたが私よりこまかく御承知であろうと思いますが、ちようどあの当時におきまして、まぐろの関税問題が非常に問題になつておつたときでもあり、またこの條約を調印する前でもありましたので、われわれはここに自重して、将来大きくとつた方がいいのではないかというわけで、ああいうようにいたしたわけであります。

石原圓吉自由党

○石原(圓)委員 農林大臣の助け船は、ちよつと漁業者にとつては、ありがた迷惑なのであります。私はこの場合に、さらにこの問題で外務大臣にお尋ねをしたいのでありますが、あなたの部下の方が、この際これを強くがんばつて主張をして出漁さすことは、まぐろカン詰、生鮮まぐろ等の税の問題がアメリカで今問題になつておるから、これに影響がある、よつて今年は見合した方がいいという意見が出たのであります。私はそれはもつてのほかだと思う。それがいわゆる朦朧外交である。どうしてガラス張りでやらないのか。また日本が理論的にまぐろやかつおの税をとられなければならないのなら、それを拂つたらどうか、またかに工船は出したらどうか、交換問題のようなそういう外交ではだめだ、主張するものはする、遠慮するものはするということでなければいけないということを主張したけれども、結局かに工船は見合せになつたのでありました。さような外交で今後もやられるということでありますか、それは一時的の偶発的な場合であつたということになるのでありますか。またその影響がどういうことになつたか。カン詰の税金の問題もいまだきまらぬようであります。そうしますと、かに工船を出すことを見合したことは、日本が損をした、こういうことになるといわなければならぬのでありますが、これらも力ある外務大臣がもう少し真剣に水産のことに関必を持つてくれたならば、かようなことを私が申し上げる必要はなかつたのだろうと思うのであります。それらの点に対してお尋ねをいたします。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 かに工船を出さなかつた理由は、ただいま農林大臣の御答弁の通りであります。これにつきましては、別に外務省で見合せを勧告したというような事実は全然ないのでありまして、いろいろの見地から主管庁である農林省と十分協議をいたしました結果、これが一番いい、こういう結論に達したので、こういう措置をとられたと私は了解しております。

植原悦二郎自由党

○植原委員 関連して……。今の漁業の問題について、私は先日来いろいろの御意見を承つておつてどうもふに落ちなかつたが、きようのいろいろの質問で、私は根本の問題がわかりました。それで政府と水産委員の間にかなりのかけ隔てがあることに気づいたのであります。この場合に、私は日本の国のために一言申し述べでおきたいし、なお政府に対して一言述べておきたいと思いますが、根本の問題は、公海の漁業について平等であり、魚族を保存しなければならないということは、漁業関係の委員の方は、外務省の方よりは、また占領治下において三国の漁業協定をなすつた方よりは、もつと自分自身のことだから痛感されておると思う。この点において一点の疑問もない。魚族を保存し、平等の立場において漁業をしなければならないという点は、漁業者自体がよく了解しておる。ここに一点の疑問もない。ただ問題は、こういうことを政府当局は認識しておられぬのじやないか。日本はこの小さな島に八千三、四百万の人間をかかえておるので、食糧の点から、漁業は日本国民にとつでは死活の問題である。日本の国民に対して食糧の問題を一番よりよく努力によつて供給するところは海よりほかにないのであります。アメリカやカナダは、これは一つの営業の問題である、生活の問題ではないのである。日本の国民は、これは命の問題であるということを、どうも政府当局がよく認識しておらぬのじやないか、それによつて今の西経百七十五度線の状態を、簡単に承認するというようなことになるのじやなかろうか。日本の国情からして漁業によらなければ日本の国民は生きて行けない。移民をシヤツト・アウトされ、そうして一方において日本のまぐろのカン詰は、私はアメリカにおる間にかなり太平洋沿岸の人に説きました。一体加州のサンジエーゴの、あの地方のまぐろ漁業というものは、二十五年前日本の農林省の近藤技師が教えて、紀州からわざわざ魚取りが行つてとらせたので、それはただ一局部の問題である。ところが日本の場合には生糸の次に、一番まぐろのカン詰の収入があるくらいな状態である。その問題をほんとうにアメリカの国民に説けば、これは何でもない問題である。ただ加州一州のノーランドあたりが選挙運動のためにやつておるだけで、同じ太平洋沿岸でも、オレゴンのウイラメツト・リヴアーにおける漁業者は、一方においでさけのカン詰をつくつておるがへぞれよりも日本からまぐろを持つて来てカン詰にすることの方が有利であつて、太平洋の沿岸でも、利益の相反するところは賛成と反対が出ておる。あの大きな国においてすらその状態であるからこれは日本の国情を徹底的に御理解になつていただきたい。またアメリカは今日の日本と、どうしでもアジアの問題を解決するために共同の歩調をとらなければならない。将来日本をして世界を再建する有力な一国にするのには、どうしても持ちつ持たれつにしなければならない。この点をほんとうに外務当局が説明すれば、こんな問題を解決するのは私は朝飯前だと思つている。漁業に従事している者なら、やむにやまれないから運動にも行くけれども、この運動に行つたつて、ほとんど在外事務所はろくに助けもしておらない、その実況を私は見ておる。ほんとうに日本はどうしてもアメリカと相提携して、今日行かなければなりません。これはアメリカのためでもあり、日本のためでもある。これ以外に、太平洋においてアジアの問題を解決する道がないことははつきりしておる。それに、日本が今ようやく立ち上ろうとするときに、アメリカの国家の収入からいえば何でもない問題、ただアメリカの太平洋沿岸、加州の一部におけるところの利益のために、まぐろの関税問題を出しておるのだから、この事情をよく説明すれば何でもないのである。見るに見かねて、アチソンは飛び出したのである。この点を私は日本の当局がほんとうに理解していただきたい。日本は漁業によつて日本の食糧問題を解決することが一番大切であり、他に迷惑を及ぼさないことである。その点を力説しないで、ただ形式的に出て来たものを取扱うからしてそれだから百七十五度の線をとりきめられるようなことになる。またあのとりきめにおいて、カナダとアメリカは平等の権利を持ち、日本では五箇年間自制しろなんということを押しつけられたということはよほどまずい。外交上日本の国情を徹底的に説明して日本の漁業は八千四百万国民の死活の問題であるということをほんとうに説明したらば、私は何でもない問題だと思う。そこに手抜かりがあつて、ただ形式的に一つのことが出て来たから、それをまとめさえすればいいという態度、これは今までの外交のやり方はみなそうです。できて来たことを、つじつまを合せてまとめて行けばいい、国民がどう言おうと、議会において、いいからかんのことを説明して、それで通ればいいという態度、ここに一番の問題があることを、どうか政府当局において認識していただきたい。私は政府を非難するのでも何でもないけれども、もう少し日本自体の国情をほんとに見て、日米の関係がどうあるかということをほんとうに理解したらば、まぐろの関税をアメリカの議会において食いとめるくらいのことは、朝飯前の仕事だと私は思つておる。日米両国の関係はどうしても切つても切れない。これによらなければ、朝鮮の問題舌がたがたしておつたつて、日本を除いては、ほんとうに極東の問題、十億のアジア民族の問題を白人が解決することはできない。また日本もこれと提携しなければ、世界に立つことはできない。この点を徹底的に認識していただきたい。外交は技術じやないので、ただそこに出て来た文書をまとめてそうして一時を糊塗すればよろしいという考えが私は今日の問題だと思つておる。この問題をどうかひとつ徹底的に御理解を願いたい。外交はただ文書の上で両方の意見をまとめるだけじやない。生きるか死ぬかという問題を解決する問題です。全農林大臣の言われるように、かに工船をとめたことは、外務省も手伝つて、しかたなしにきめたのだろうけれども、この取引だつて私はずいぶんまずい取引だと思う。一方の関税の問題のために、かに工船を出さないで、遠慮するなどということは、腰抜け外交の行き方だと思う。(拍手)こんなばかげた外交をして、そうして戦争に負けた日本の国を立てて行こうなどということは、とんでもないことだと思う。私は非難する意味じやないが、どうか日本の国情を徹底的に認識してほんとうに政治とは日本の国民を生かすか殺すかの問題であるということを御理解して文書の上で、あるいは話合いでまとめたら、それで外交が済んだというようなことのないようにしていただかなければならぬ。追い詰めれば、かに工船の出漁を見合せてまぐろの関税の問題と取引するなどという外交は、これは不手ぎわきわまる外交だと思う。私は先日来漁業の問題に対して、聞いておつて、わからないことがたくさんあつたが、今日ははつきりいたしました。アメリカやカナダで漁業を考えるのと日本で漁業を考えるのと徹底的に違つて、こちらは死ぬか生きるか、向うは一つのインダストリーの問題で、大した問題じやない。こつちは死ぬか生きるかの問題であるということを念頭に置いて、漁業問題の解決をしていただきたい。これは私の希望として申し上げておきます。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 並木委員。     〔石原(圓)委員「まだ私は質問が残つています、先ほど関連で植原さんはやられたのです。」と呼び、その他発言する者多し〕

仲内憲治自由党

○仲内委員長 石原先生は相当長時間おやりになりました。並木君やつてください。

並木芳雄改進党

○並木委員 私が質問したい重要な点は、ただいま植原委員から発言がありましたので、その点は省略いたします。  そこで廣川農林大臣にお尋ねをしておきたいと思いますが、この條約の実施によつて、今後の漁獲高がどういう傾向をたどつて行くか、この條約の締結によつて漁獲高がどういう変化を示して行くか、それに伴つて日本の国内の食糧政策というものにいかなる影響を及ぼして行くか、その計画を大臣として立てておかなければならないはずでございます。それをお尋ねしたいのです。日本の国内の食糧政策に対する影響ということでお伺いいたしたいのは、特に経済的にこれは何をねらつておるか、食糧政策以外に経済政策的にどういう点をねらつておるか。あわせてお伺いしますが、マッカーサー・ラインは四月二十八日をもつで撤廃されております。その撤廃された以後における日本漁業の現況と、撤廃前の漁業の現況というものをどういうふうに比較されるか、その点もお伺いしておきたい。

廣川弘禪自由党農林大臣

○廣川国務大臣 マ・ラインの撤廃後まだ日が浅いものですから、将来の推定に確定的な数字はまだそう大してはつきりいたしませんが、しかし第一には北洋のさけ、ますがことしは試験的に母船三と独航船五十ぱいを出しまして、漁獲の予定高大体百万貫の予定をいたしておる。それからこれがカン詰等になりまして外貨の獲得にも非常に貢献するものであると思つております。またまぐろでございますが、これはハワイ沖の方も含めて中部太平洋、赤道南北まで独航船が行つておりまして、今どしどし荷が入つて来ております。こういうようなものが、これまた関税問題でやかましいときではありますが、これも外貨獲得に非常に利益をいたす、こう思つております。それから北洋捕鯨につきましてはただいま準備中ではございますが、これまた油なり、あるいはまた鯨肉なり国民経済に非常に利益をもたらすものである、こう考えております。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 永田節君。

永田節自由党

○永田委員 まず第一に、私は、昭和二十六年の二月、吉田総理が突然ダレス氏に会つて、日本側が自主的に昭和十五年に操業していなかつた漁場では、漁業を禁止するという書簡を送つたのでありますが、はたしてその当時にさような処置を講じなければならなかつた事情があつたのでありましようか。それが第一点。  次は吉田総理がこのような書簡を出すように進言をなされたのは一体どなたであるか。先ほど承りますと、外交は農林と共同で、石原委員の御指摘のごとく十二分に漁民の輿論を中心になされたものである、かようにおつしやられたのであります。また外務大臣は水産関係は農林大臣の御意向を主としてというふうなことを御強調に相なつたのでありますが、われわれが考えてみますと、吉田さんは水産に何ら御経験のない方と承つております。そこで吉田さんにかようなことを知恵をつけた人は一体どなたであるのか、それを承りたい、これが質問の第二点でございます。  またダレスさんが来朝になりましたその機会に、司令部側から出してくれという御依頼でも受けたのであるか、これがその三点です。  次は米国大使館に漁業官を常設されるほど、この北洋の問題というものはまことに圧迫をこうむつております関係から行きまして、司令部側から特に圧迫でもあつてさような書簡を出されたのかこれがその第四点でございますが、この吉田氏のダレス氏に対するところの書簡というものは、その後の漁業條約にすこぶる影響が大である。すべてのその後の交渉の段階は常に向う側からは、吉田書簡にかくのごとく書いてあるではないかということを一々指摘されて、当時井口次官も箱根に行かれて吉田書簡というものは公文であるか私文であるかということをただされたということを承つております。その事実を私は知りません。私はただ風評として承つておる、さようにこの吉田書簡というものが重要な役割を不幸にして果しているのでありますが、このことにつきまして政府側の御見解をまず承りたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 突然の御質問で、私も当時別に外務大臣をやつておつたわけでもありませんししますの容、そのいきさつ等は知りません。但し外務次官が総理にこれをどういう性質のものだということを聞いたということは、これはないど確信いたします。そうしてその理由は、これは私も前に見たの容ありますが、要するに魚種の保護ということを主眼として総理はこれを正しいものとして、これが一番いい方法であると考えられてやられたのでありますが、これは外務当局も相談にあずかりましたでありましようし、農林当局も相談にあずかつたと思います。あるいは安本の意見も徴されたと思いますが、要するに関係各方面の意見を徴された結果、この書簡になつたものと考えるのであります。

永田節自由党

○永田委員 今日、日本の水産がかくも不利益の状態に置かれている実情のもとに、この條約、議定書の承認をしなければならないということは、あげてこの吉田書簡にかかわるところが大であるということはその事実が示す通りであります。しかるにこの吉田総理の書簡なるものは、ただ單に政府のみの責任行為であると了承いたします。従つて国民の輿論というものは毛頭考えられていなかつたものであるということもあわせてさように了承いたしますが、さしつかえございませんか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私は国民の輿論と申しますか、そういう点がどういうふうに表わざれるかは別といたしまして、吉田総理はこれが日本の漁業の行くべき正しい道であると考えまして、関係方面の意見を慎重に尋ねた結果、この書簡になつたものと了承いたしております。

永田節自由党

○永田委員 賢明なる大政治家はあえて国民の輿論に訴える必要もない、責任を持つて外交的処置をお講じになられる以上は、あくまでもその責任は感ぜられて責任をおとりになるというお覚悟は十分おありのことと思いますが、その辺はいかがでございますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 むろんこれに伴つての責任といいますか、そういうものはむろん総理は負われることと考えております。また国民の輿論というようなものは、それが形づくられるときも形づくられないときもありますけれども、これが正しい方法であると考え、国民もこれに賛同されるものとむろん信じて、吉田総理はこの書簡を出されたものこう信じております。

永田節自由党

○永田委員 外務大臣の答弁は、言葉が長くなればなるほど、だんだん葛のないような御答弁に相なるのでありますが、私の質問に対しましては、くどく仰せられる必要はございません。ノーとかイエスとか、三百おつしやつてくださればそれでけつこのであります。これから御質問申し上げますが、その質問に対しまして、政府側がわれわれ国会の納得の行かない御答弁である以上は、すなわち事前において国民の意思を尊重せざる、無責任な外交であることが決定されるのでありますから、御答弁は御自由でございますが、御用心くださいまして御答弁願いたいと思います。  この漁業條約会議というものを占領下で急いで行わなければならなかつたというわけは、一体どこにあつたのでございましようか。そして日本が、この国民の声に耳をおおうて至急にこの條約を締結したために、いかなる利益の点があつたのか、この事実をひとつお示し願いたいと思います。昨年二月の吉田・ダレス書簡にも、また昨年九月のサンフランシスコで調印されました講和條約でも、その第九條にありますごとく、主権が回復後ということになつておるのでございますが、どういうふうな有利な條件があつて、占領下に交渉を開始なさつたのでありますか。平等の立場においてというふうな御意見のように承りましたが、占領下で急いで交渉すべきものでもない。ましてや日本に招く必要はない。常識的に考えてみましても、招いて必要な場合と、招かざるを得ない義務を負わされた場合とごの二つがありますが、一体どちらがほんとうなのですか、お答え願いたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これはイエスかノーかだけではお答えできないのであります。(笑声)お許しを得まして少し言葉を加えます。第一に、政府はできるだけ早く公正な條約をつくりまして平和條約発効後にすみやかに国際漁場に復帰したいという気持であります。御承知のようにこの條約も、アメリカの大使の信任状捧呈を待つて、つまり調印の権限ができるのを待ちまして急いで調印をしたような事情であります。但し今おつしやつたように占領下でありますからして、とかくわれわれの方が不利な立場に置かれるおそれもなきにしもあらずと考えましたので、当時の関係者は——これは私はその当時直接関係しておりませんでしたけれども、当時の関係者は十分その点念を押しまして、ほかの問題はともかくも、この問題についての交渉に関しては、カナダもアメリカも日本も、まつたく同等の主権を有するものという基礎でなければ交渉を始めることができないということを念を押しまして、その点を確認して交渉に入つたのであります。そしてその内容等につきましては、これは農林大臣から説明した方がいいかと思いますが、要するに先ほど石原委員からもお話がありましたように、だいたい三つの原則を主眼といたして、これをこの條約の中に表わすことに努力したのであります。さよう御承知を願います。

永田節自由党

○永田委員 やはり作文的な御答弁でありまして、さようなことではわれわれなかなか納得行かないのでります。日本の政治的自主性というものは昨年リッジウェイ司令官から声明がありましたことくに、つとに回復されておるのであります。にもかかわらず、何ら国のためにというふうな熱心なお考えの論拠もなく、ただ示されたことを事務的におやりになつたにすぎないと私は判断いたしますし、また以下私の質問によりましてその事実が顯著になつて参るのでございます。そもそもこの、西経百七十五度線は北太平洋の六〇%近くを占める海域であつて、日本は米加側には来てはならないということに、まつたく同意した結果になつて来るのであります。おわかりになりますか……。そうするとこの百七十五度線においてはどういう漁獲があるかという問題でございます。すなわち鮭鱒、にしん、ハリバツト、この漁獲の制限は——先ほど大臣は実績だとおつしやいましたが、何でもよろしい、この漁獲の制限は魚類の一部の制限といわなければなりません。その上今年はかにを遠慮して戻ります。かにまで遠慮いたしまして、一体そのほかに残る漁業というものは何がありましようか。かりにたらがあるとしても、あの方面におけるたら漁業は日本の母船式ではとうてい採算がとれるものではございませんから、どんな酔狂な水産漁業家といえども、あの辺までは参りません。そのほかにさる、象、とらでも海にとれるというならばこれは別です。(笑声)体何がとれるのですか、教えてもらいたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 実は農林省の方がよく御返事ができると思いますから、私の答弁は遠慮いたします。

塩見友之助水産庁長官

○塩見政府委員 先ほどから百七十五度線の問題が問題になつておりますが、百七十五度線というのは、さけ、ますについてきめられているわけでありまして、ほかの魚種すべてに対しては適用はないわけであります。さけ、ますについて何ゆえにこういう線がきめられたかというのは、資源というふうな点から見まして、同じさけ、ますではありますけれども、米加の側に上るさけ、ますと、カムチヤツカあるい太平洋の西岸の日本側に上るさけ、ますとは資源が違う。同じさけ、ますではあるけれども資源が遠うというふうな観点からしまして、それが太平洋上のどこを回遊してどうまわるかというような線を引かざるを得なくなつたわけでございます。もちろんこういう線というようなものは、日本としてはやりたくない線ではありますけれども、そういう必要上やむを得なくなつて、科学的には十分な資料はないわけでありますから、暫定的に西経百七十五度という線をきめたような結果になつておるわけであり、なす。

永田節自由党

○永田委員 長官の説明ですが、あなた方の説明を聞かなてもわれわれの方が詳しいので、聞く必要はないのです。そこでただいままでの私の質問では、あえてごの條約を急いで調印しなければならないという理由の発見に若しんでおるのであります。そこでかくかくなる理由によつてすみやかに條約を結ぶのだという根拠が私は承りたいのであります。その事実をまた国民によく納得せしめなければならないと思うのでございます。ただいま長官の言われたことくに、この漁場はさけ、ますのみに限られておるのであります。そのほかの漁業はほとんどとるに足らない問題であります。しかるにこのさけ、ますという問題は、これは漠としたとりきめにすぎないのでありまして、この漠としたとりきめに対して暫定線を引く。暫定線というのは一体どういうことなのです。暫定線ならば引く必要はないじやないですか。決定線ならば大いに議論して決定してもいい。暫定線とかいうふうなものを、国会の反対があるにもかかわらず、あえて急いで引かなければならないという理由は、私はないと思うのであります。順を追つて御質問申し上げますが、百七十五度線は暫定線となつておりますが、何ゆえに彼我の意見の一致しない線を暫定線としたのか。日本が保存措置を講じていないと外務省は言つておられます、先ほど石原政務次官あるいはまた外務大臣からも御説明がありましたが、日本はすでに明治十二年からその保存措置を行つておる、この事実をあなた方は忘れたのか、あえて交渉の資料に使われなかつたのか、この一点を承りたいと思います。議定書におきましても「カナダ及びアメリカ合衆国の川に発生するさけがアジアの川に発生するさけと交錯する区域があるかどうかを決定するために、できる限りすみやかに條約区域の水域を調査する」云々ということがただいま長官御説明の通りにあります。これは委員会を設けてということになつておるそうでございますが、日本が明治十二年以来の保存措置は三億五千万尾に上つておるということは、アメリカ側も認めておる事実でございますし、その後の処置は、先ほど林委員から詳細にわたつて数字をお示しになつた通り、はつきり御納得の行くことと思います。日本のさけが米加沿岸に行かない、この百七十五度線を越えて行かないから、百七十五度線以内は米加のさけだから入るべからずと、かように言つておるのでありますが、これこそまさにあやふやな根拠であつて、正確な資料があるわけではないということは、ただいま長官も御指摘の通りでありますが、何ゆえにかような浮薄な根拠によりまして、かような重大な問題に対して暫定線というものをお引きになつたのか。先ほどの政務次官のお話では、この趣旨は魚族の保護と、平等と公平だ、そして暫定的の処置をされたとおつしやつたのであります。また三国の意見が不一致の場合は、第三国をして調停せしめるということなのでございますが、神なぬわれわれの——あなた方は特にお偉いので、将来の見通しははつきりしておるかもしれませんが、あな秀もわれわれと同様単なる人間であるとしたならば、はたしてこの三国の意見が不一致の場合、第三国の調停によつてまとまり、それがただちに確定になるという自信があるのでありますか、あるとしたならばどういうふうなところに御所信を置いておられるのか、この点をひとつ承りたいのであります。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 日本が鮭鱒の孵化放流をやり、いろいろ資源保護の措置をとつておるということは、これはわれわれも十分承知をしております。側も日本がそういうことをやつてないこいうことを言つたことは、私は全然ないと思います。ただ東部には日本は征東何らの実績を持つてないということと、それから東部において米加両国か資源保護の措置を十分とつておる、それはごの漁業條約の専門委員会等におきましても、相当の検討は加えられたのであります。そこで先ほどから何回も言つておりますように、この漁業條約を締結しようといたしました根本趣旨からして、そこに何らかの措置を講じなければならぬというわけで、一応線の問題が出て来たわけであります。これは最後的明確なる結論に達しないので、いわゆる暫定的に百七十五度の線を引いた、この暫定ということが私は非常に意味が大きいと思うのでありまして、今後さらに委員会で十分検討をし、場合によつては第三国の科学的検討にもまとうというわけであります。そこで反対に、日本の方も日本の沿岸に、あるいはさんまであるとか鮭鱒等についてもやれると思いますが、こういう抑制区域を設けることも、これは公平平等の立場からできるのでありますから、いま少しく科学的合理的な材料をつくつてそれはやるべきではないか、こういう観点から、ただいまのようなことになつておると私は考えておるわけであります。

永田節自由党

○永田委員 一国の外交処置が株式取引みたいに、単なる思惑的な投機的なものでないことは申し上げるまでもないのでありまして、かような重要な問題を何ら科学的に調査することなく、また外交は、先般委員会において欧米局長でしたか、彼我の立場があるということを言われましたが、交渉というものは必ず彼我がありましよう。しかし彼我の交渉というものは、すなわち彼我の交渉の能力の差によつて、解決するものであるということをあなた方は忘れておるのじやないか。われわれ日本側においても、かくれつきとした保存措置が永年実績がありながら、アメリカ側はその実績のあることが認められて、日本側のみがこの実績が認められなかつたというふうなことをうのみにして、知つてか知らずか知らないが、これを簡単にきわめて意義深い暫定的の処置というふうなことに御説明相なりましても、われわれ国会としてはなかなか承服するわけには行きません。もしさようなことがこのままで済まされるというようなことになればどういうふうな結果になるか、まことに恐るべきことが起つて来ると予想されるのであります。太平洋のまん中にかように一線を画す、煙幕を張つた。その煙幕はいわば共産党並の鉄のカーテンとも思われるのでありますが、世界の公海にかような一線が画されるということがはたして妥当でありましようか。これで公海自由の大原則というものが、はたして将来その権威いかにということが起つて来るのであります。続いてかようなことが例となりましたならば、ただいま李承晩ラインはもちろん、インドネシアの主張するところの漁業上の領海、準領海線を拒否することはできなくなる結果となるはかりでなく、台湾、フイリピン、オーストラリアはもちろん、共産陣営が、もし無謀な禁止線を要求して来ても、その悪例によつて政府がさらに窮地に立たされ、ひいては漁民たちが陸地同様に海面も狭い海に限られるというようなことになつたならば、一体その責任はだれにあるのでございましようか。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 これは、この條約の基本精神は漁業資源を保護して行く、しかもそれは科学的技術的の十分なる検討の結果を尊重してやつて行こうということから生れ出ておるのでありまして今回この條約に盛り込まれたいろいろな抑止区域であるとか、あるいは特定魚種というものはそういうところから出て来ておるのであります。引例されました李承晩の線のごときはこれは何らの裏づけのあるものでない、むしろ国際法の原則まで無視したようなものでありまして決してこの條約はああいう考え方の前例になつているものでは断じてないと私は思います。それからまた日本が今回のこの漁業條約において、さらに日本側のいろいろの抑止区域等までも行かなかつたということは、さらに一層科学的、合理的な研究資料を整えて、これをやろうという立場であるので、この條約は、将来南方であるとか東南アジア、そういうところで何ら私は決して悪い先例になるものではなく、むしろ科学技術の結果を尊重しなければならぬという意味において、非常にいい前例を開くものじやないかというくらいに私は考えております。

永田節自由党

○永田委員 外交は常に生きものでありまして、石原政務次官がおつしやるごとく、関係諸国がさような崇高な理念のもとに外交交渉の相手に選ばれるというならば、あるいは今回のあなた方のこの無能な御処置は、まことに英雄的な名外交と言われることになりましようが、はたしてその通りに行くか行かないかということが問題なのです。われわれが従来しばしば申上げてておりますごとく、かような問題も委員会の意見を聞くべし、委員会に参つて説明すべしというこは、しばしば申し上げておるにもかかわらず、委員会に何ら諮られることもなければ御説明に相なることもなく、ただ事は政府のみの責任であるかのごとくおやりになる以上は、どうぞ御自由に政府が承認なさつたらいいではないか、あえて国会に承認を求める必要はないじやありませんか。われわれ国会に承認案められる以上は、私たちとしては一応の質疑応答は、まことに失礼でございますが、十二分にさせていただかなければなりません。そこで私のただいままでの質問に対して、政府側の御答弁は、一々遁辞を弄しておるのみでありまして、私の質問の核心に触れていないことは遺憾に思います。そこで私はこの批准は、一部分修正ができませんか、または保留ないしは拒否、いずれかができませんかということを、まずお伺いいたします。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これはごらんの通り、條約として調印いたしたものでありますから、もしこれを保留なり修正なり国会でなさつた場合は、この條約は承認を拒否されたものと考えざるを得ないと思うのであります。

永田節自由党

○永田委員 先ほどから申し上げます通りに、本條約というものはあつてもなくても同じだということは、われわれが常に論じておる通りでございましに、この批准の承認をしない場合に、破棄されるとしたならば、それでも、一向かまわない、さしつかえないと考えますが、かような短い時間におきまして、国民の輿論も何らしんしやくされないで膨大な案件をお出しになつて、いかにこれがりつぱな承認事項であるにしても、かりにお互いが刺身を食うのにわさびはけつこうだといつても、そのわさび一本まるごと出して、さあ食えといつても必ずしもおいしいものではない。従つてかような重要な問題は、われわれ舞掌あるからということでなく、広く日本国家のために承認することはまかりなりません。そもそも外務省は昨一九五一年十月の二十六日に米国国会で可決したバトル法と称せられているところの一九五一年相互防衛援助統制法を忠実に実行しておられますが、この法律の趣旨からいつて、また日本の置かれているところの立場からいつてまことに当然であると思うものであります。しかし外務省は、日本の外交政策を進めるにおいて極端に一方に走ることは、日本の外交の自主性を失うばかりでなく、諸外国との均衡と、将来日本の国際的信用に大きな影響を與えるものであるまで行かぬにしても、その憂いなしとはしない点が見えるのであります。すなわちこのバトル法は、共産陣営に対し戰争物資のみに限定されているというふうに承つておりますが、国内法の貿易管理令で食料品全部にわたつて禁止的処置を講じておられるのであります。すなわちまぐろ類を初めみかん、ゆり根、寒天等は、はたして戦争物資と考えられますかどうか、何ゆえみずから進んで日本の貿易を制限してう業者を苦しめんとするのか、米国自身でさえもバトル法を緩和しようとする方向に進みつつあるのに、外務大臣は強化すべしと外国記者団に語つておられるというのでありますが、現にまぐろの関税等も四五%というふうに決定を一応見ておるのでありまして、これに対して将来の外務大臣の見通しをひとつ承りたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 外務省はこういうものの禁止措置をいたしておるのではないのでありまして、私が質問を受けましたのは、日本の政府の一般方針として、事外交に関しまするから御答弁をいたしたのであります。実際の輸出制限措置等はこれは通産省がやつておることでありまして、こもまた條約等に基いてやつておるのではないのであります。日本政府の自発的行為としてやつておるものでありまして、そのやつておる理由につきましては、私はそれがもしほかの国よりもきびしいものであるならば、これを緩和するよりも、むしろほかの国がそこまで来るのがほんとうである、こういうことは申しましたけれども、しかしそれが同時にでこぼこの調整という問題ならば、これまた考え得るのである、要するにこういうものは時々刻々情勢によつて変化するものでありますから、調整の問題は当然起り得ると思いますけれども、要は民主主義国家の足並が十分にそろうことが肝要である、こういうことを申したのであります。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 農林大臣は多用で間もなく退席されるそうですから、主として農林大臣に対する質問を先にしていただきたいと思います。

川村善八郎自由党水産委員長

○川村水産委員長 漁業條約の問題で各委員から相当活発な意見が出ておりますが、私も二、三点簡単に御質問を申し上げたいと思います。外務大臣の御答弁を願いたいと思います。漁業條約の根本方針であります公海自由の原則にのつとつて、魚族を保護し、公平平等に漁獲をする、漁業を経営するという方針で條約を結ばんとすることは、まことにけつこうなことでありましてこれには賛意を表するものであります。しかしながら條約の條文の内容を見ますと、どうも押しつけの漁業條約の條文になつておるということは明らかでありまして、従つてこの條約を結ぶことによつて、日本の漁業そのものが有利になるか不利になるかということと、先ほど植原先輩が申されたように、国民の血と汗で闘わんとする食糧問題の解決、生活問題の解決等の問題に、ほんとうに役立つようなものになり得るかということでありますそこで私は率直に御質問申し上げることは、一体押しつけであるのかないのであるか。これはないと言うでしよう。それから不利であるか有利であるかということについては、必ず有利であるというようなことを御答弁になると思いますが、私は不利なことを指摘いたしまして、さらに有利な條件がどういうふうにあるかということを御答弁願いたいのであります。まずわれわれは終戦前、昭和二十年以前は、三海里以上の海は公海自由という、ほんとうに原則でなくして実質的に漁業をやつておつた。たとえて申し上げるならば、カムチャツカ方面の沖合いでも、三海里沖合いは沿岸線に網を張つて定置漁業をやつたという実績もありますし、また母船式の漁業を今日よりも盛大にやつておりましたし、なおまた北海道を基地といたしまして、独航船も千隻以上出ておつたという実績があります。われわれの当時の考え方は、日本の漁民は世界の海を制覇せよ、七つの海を完全に制服しようという勢いで進んでおりましたが、遺憾ながら戦争に負けたために、今では一部の海にとじ込められてしまつた。このときこそ、いわゆる講和條約の発効と同時に自由国家になつただけに、われわれは昔の七つの海を制覇しようという考えであつたにかかわらず、一方にラインを引かれた、すなわち百七十五度線が引かれたということは、私はまことに不利だと思つております。そこでこの線を引かれてしまつたという不利な一例を申し上げると、先ほどからいろいろ委員から発言がりましたのを避けましても、私が先ほど申し上げたように、カムチャツカ沖合いの三海里で自由な漁業をやつでおつたにかかわらず、今度あのラインがたたつて、そうしてカムチャツカ近海の公海の漁業はできなくなるのではなかろうかという心配があるのでありますし、このラインを引かれたことが、そうした一例をとりましても非常な不利である。いわんや東南アジアの漁場に進出いたしますのにも、あるいは近くは朝鮮の海に進出いたしますにしても、このラインがたたつて、将来の漁業條約等に非常に不利ではなかろうか、かような点をまずもつて考えるのであります。  それから第二点は公海自由の原則で、話合いでは三海里以上の沖がみな公海であるのにもかかわらず、何ゆえにラインを引き、さらに公海の定義をうたわなかつたか。ただ傍頭に公海自由の原則であることはうたつてありますけれども、公海の定義はうたつておりません。これが今度は諸外国との漁業條約のときに非常に不利になるのではないか、かように考えます。  それからさらに国民の輿論を十分に聞かないでやつたために、ほうはいとして国民の反対の声が起きており、いわんや漁民からは相当の声が起きておるのであります。こうしたような不利な條件になつておるのにもかかわらず、何ゆえに一体この條約を早く批准しなければならないか、かようなことをまずもつてお伺いしたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは私よりも水産庁長官の方がはつきりしたお答えができると思いますが、私の知る範囲におきましても、たとえばただいまいろいろお話がありましたが、公海における漁業の活動ということについてこの原則が再確認されておりますから、今後ほかの国との交渉におきましても、この基礎の上に有利な協定ができると考えております。またわが方は、自発的な抑止ということは約束いたしておりますが、特定の魚種を除くほかは、米加両国の太平洋岸の領水の限界までは自由な漁獲がとにかく保障されており、またべーリング海のかにの漁業やあるいは北太平洋のまぐろの漁業なども保障されておりますので、これも利益であろうと考えております。またべーリング海のさけの漁業につきましても、その中部までの漁獲は保障されております。そして漁業資源の保存等につきましても、こういう基本原則ができましたので、今後わが国の漁業は今よりなお健全な発達ができるであろう、こういうふうに期待しておるのであります。

川村善八郎自由党水産委員長

○川村水産委員長 そこが私らと見解の非常に大きな相違であります。すなわち公海自由の原則をうたつておるにもかかわらず、百七十五度線に線を引いたということは、おそらく諸外国はこの線を非常に重視しておるだろうということは明らかであります。すなわち李承晩ラインのごときもその通りであります。従つてこのラインを引いたということについては、非常にわれわれ日本国としては不利である、かように私は考えておるのでありますが、大臣は遺憾ながら私らと非常な相違がありまして、ラインを引くことが有利だと言われる。私はそうでなく、公海自由の原則であり、領海三海里以上が公海であるとするならば、何ゆえに一体線を引く必要があるか。線を引かずに、この條文に公海とは領海三海里以上の海がすなわち公海であるということをうたえば、自由にわれわれはそこに行つて漁業をするにいいのであるが、線を引かれただけに、今度は今の條約が不利なばかりでなく、後刻各国と條約を結ぶときに、非常に不利になるということは明らかであります。従つて私と岡崎外務大臣との見解は、そこに非常に相違があるのであります。  それからもう一つは、もしこの條約を結ばないで、過去の日本の漁業のように、公海自由の実質的問題としてわれわれが出漁した場合において、一体取締り規則があるかどうか、それから罰則があるかどうか。私の見解では今罰則はありません。従つて結ぶことが非常に不利であつて、結ばないことが、罰せられないで、われわれが畠に漁業できるのであるから有利だと思いますが、この点の見解はいかがでございましよう。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 ただいまの百七十五度線の問題は、先ほどから政務次官なり水産庁長官なりが繰返しお話した通りであります。現在におきまして嘆漁獲がだんだん盛んになつて来ました結果、魚がだんだん減つ来る。よく話がありますように、金の卵を産む鳥でも、卵をとる程度にやつておればいいけれども、結局烏を食べてしまえば卵がとれないということになりますので、やはり漁業の将来の発展を期するためには、ある程度の魚族の保護という措置を講じなければならぬ、こう思つておるのであります。そこでこういうような問題が出て来たわけでありますが、私はこの方針は正しいものであると考えております。しからずんば濫獲に陷りまして結局長い目で見ると、魚がとれなくなる結果になることを非常におそれておるのであります。もつともこの協定がなければ、公海においてはかつてにとれるということは、その通りでありましようけれども、そうやつた結果は時はよけいとれるかもしれませんけれども、結局において魚がなくなつてしまうということを非常におそれまして、こういう協定は国際的にも有利なものである、また適切なものである、こう私は考えておるのであります。

川村善八郎自由党水産委員長

○川村水産委員長 どうも私の質問とかけ離れた答弁をしておられるのでありますが、もちろんこの條約の原則にある通り、魚族を保護して、世界の條約国が平等の資格において平等な漁業をやるということになつておりますので、保護しなければならぬというようなことは十分われわれもわきまえております。従つて先ほど林委員からも永田委員からも申されましたように、日本でも保護施策を十分講じておるのであります。ただ條約を結ばなければ漁業ができなくなるのでなくて、結ばなくても現在は自由に漁業ができるはずになつております。もし條約を結ばずして、公海自由の原則で漁業をやつたときに、罰則があるかどうか、取締り規則があるかどうか。これは国際的にあるかどうかという問題を御答弁願えばいいのであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これはただいま答弁のうちで申した通り、取締りの規則はないと考えております。

川村善八郎自由党水産委員長

○川村水産委員長 ないならば、私は無理に漁業條約を結んで、かえつてカン詰につつ込まれるよりは、自由な姿でわれわれが漁業をした方がいいと思う。ただ原則的に申す通り、やはり魚族の保護は国内的にもあるいは国際的にも十分考えて行かなければならぬのであるが、漁業條約を結んだために、かえつて制圧を受けるというようなことは不合理ではないか、私はこういう点において不利だと、かように言い得るのであります。  それからもう一つは、この日米加漁業條約を結ぶことについて、他の国は非常な注目をしておるということであります。これは各新聞にも書かれております。さてこれがラインが引かれてしまつて、カン詰の中に押し込まれた時分に、北の方の漁業を申すならば、ソ連関係と漁業條約が結ばれない前に一体どういう措置をとるつもじか。これもラインを引く意思か、あるいは漁業條約が幸いに結ばれるというような場合においては、今度は日米加漁業條約にラインを引いたように、何十海里も何百海里もこちらにラインを引くつもりか、この点を明らかにしてもらいたいのであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これはまだ将来の問題でありますが、今のソ連沿岸の問題につきましては、もしラインを引く場合があるとするならば、これは十分なる科学的の根拠があり、相互に適当であると思う場合にはいたしましようけれども、そういう点は、まだ私どもは十分の研究ができておりませんから、何とも申し上げられないのであります。ただいまのところは、ソ連側との間がなかなかむずかしい関係になつておりますので、公海自由その他の点がありとしても、いまだに北海道の北の方で漁船が拿捕されたりなんかしておるような状況でありましてこれはどういうふうになりますか、必ずしもどこへ行つても安全というわけには行かぬと考えております。

川村善八郎自由党水産委員長

○川村水産委員長 もちろんソ連関係は将来の問題で、架空の問題といつても過言でないのでありましよう。しかしソ連関係は、われわれが若かりしころ漁業に行つたので、よくわかつております。資源の豊富なことは、いまさら科学的に研究する必要も何もありません。ただ要は、外交的にいかにこの漁業問題を解決するかということだけが残つておるのであります。従つてもし外交関係が発足いたしました場合において、今度の百七十五度のラインを引かれたことが非常に不利になるというようなことを考えますので、今度の漁業條約に「体ラインを引くということは非常に不利だ、かように私は申し上げておるのであつて、公海自由の原則であるならば、やはり領海三海里沖までわれわれはは行けるという建前で、今度の條約を結ぶべきであるということを私は申し上げておるのであります。従つてこの條約は押しつけであるがために、でき得るならば大修正をするということでなければ、われわれは大きな不満を持つております。もちろん国民の中には相当われわれと同感の考えを持つておる者がありますが、外務委員会はいかに決定するかわかりませんけれども、水産委員会では、おそらく一人として賛成する者はないでありましよう。いわんやかようになることをわれわれがおそまして、委員長として数回この漁業條約の内容を発表しろ、あるいは説明しろ、そうして意見を十分徴すべきであるという勧告をしたにもかかわらず、水産委員会には一回の発表も、いわゆる意見を求めたこともないのでありまして、しかるがゆえに、おそらく先日から今日にかけて水産委員会の委員の方々全部が、異口同音に反対的な意見を、述べるのは、そこに原因があるのであります。どうか外務大臣はこのことを十分察知されまして、今後のこの條約問題については善処あらんことを特に申し上げて、私の質疑を終ることにいたします。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 小高熹郎君。

小高熹郎自由党

○小高委員 先ほど来質疑応答が重ねられておりますが、私は時間の都合もありますので、きわめて簡潔に要点だけをお尋ね申し上げたいと思うのであります。  どうも伺つておりますと、外務省官僚の方々の文字の遊戯が本文にありはしないかというような疑念が持たれてならないのであります。さけ、ますの件に関してアトカ島から一線を引いた、すなわち百七十五度線を引いた。この線は、三国の漁業條約の際には実はぐずぐずになつておりまして、決定線は出ていなかつたのであります。ところが附属書類の議定書で——この線については国際委員会できめることになつておつたにもかかわらず、議定書には五箇年間自発的に抑止するということがうたつてあるのでありますが、これは條約及び議定書をとりきめる際の、一つの手落ちであるように思われるのであります。この手落ちがあつたかなかつたか、この点を第一に伺いたいのであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 手落ち等は私はなかつたものと確信しております。條約は、これは恒久的に考えたものを條約といたしておりまして、こういう暫定的なものは議定書に規定するのが適当と考えるのであります。

小高熹郎自由党

○小高委員 ただいま外務大臣は、手落ちはなかつたとおつしやるのでありますが、私どもはすこぶるふに落ちないのでありまして、これらの点については、も三歩進めて、われわれは研究してみたいと思つております。なお先ほど来この一線を引いたことについでいろいろ議論がありましたが、この一線を引いたことについて、外務省当局は、李承晩が適当に考えておるのだというような御意見であります。これは中共におきましてもあるいはフィリピンにおいても豪州においても、日本が公海の自由の一部を放棄したというように、世界的にはそう考えられておるのであります。日本は公海の自由の一部を放棄したという国際的の先例によつて、今後線を引こうと引くまいとさしつかえないというような感覚を世界各国に與えておるということに相なりますと、ますますもつて重大でありまして、この世界に與えた感覚をいかにお考えになつておるか。できれば、先ほどいろいろ御論議がありましたが、これらの点の一部を修正するということは、けだし妥当な考え方ではあるまいかと思われるのでありますが、これについて外務大臣の御所信を承りたいのであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 この問題は魚種の保存、将来にわたつての漁獲高の確保という意味から、適切なる措置であると各国ともに認めておると考えております。結局世界中において、やはりこういう一種の漁獲高の制限その他によりまして、あるいは積極的に漁種をふやすという措置も講じましようが、要するに長い聞、恒久的に漁獲が保障されるという措置が現代においては特に必要であろうと考えておるのでありまして、それ以上のことは何らこれにはないのであります。公海の漁業の自由の原則は、御承知のように前文にもうたつておるのであります。私は、世界の各国が、これをもつて日本が公海の自由の制限を承諾したというふろにとつておるとは、とうてい信じられないのであります。

小高熹郎自由党

○小高委員 ただいま外務大臣の御答弁でありますが、それは視野を広げて考えますときに、外務省当局においてはさように一方的にお考えになつておるのでありますが、世界の論調を見ますと、決してそうではなくして、自由の一部を放棄したというふうに大きくとられておるのでございますから、これらの問題につきましては、本日は時間もございませんので、この程度で私は打切りたいと思うのでございますが、さらにわれわれにおいて十分に審議をした上でなければ、この点承服いたしかねるという意見を強く主張いたしまして、質問を打切つておきます。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 松田鐵藏君。

松田鐵藏自由党

○松田委員 まず先ほど来からわれわれ水産委員会の委員どもが、いろいろとこの條約に対して意見を吐いておるのであります。しかるに外務大臣は、頑として自己のきめられた條約に対して忠実に、何らわれわれの意見に耳をかさないような状態にあるのであります。先輩である植原先生がわざわざあの通りの御意見を申し上げても、またこれに対しても何ら耳をかしていないようにわれわれは見受けるのであります。私どもは與党であります。與党の立場から、この條約が批准されなかつたならば、どのような立場になるかということは百も承知しております。しかるにこれは先ほど永田委員からも申された通り、川村委員長からも申された通りでありますが、私どもは何ら感情に走つて物事をきめようとするものではありません。すべてが日本の漁民の最大の幸福を念願しておるのであります。また日本の国が将来アメリカと同一歩調をとつて行かなかつたならば、日本の経済は成り立つて行かぬことも百も承知しておるのであります。しかしこの問題はわれわれが仮條約を締結するときにおいて、幾たびか論議したものであり、幾たびか注意を與えたものに対して何らわれわれの意見を求めずして今日になつたのであります。要するにわれわれの意見は、われわれは正当な意見として常に考え、これを論議しておるものであります。しかるに一方的に外務省においてきめられた意見に対しては、われわれは不満やる方ないものであります。アメリカの態度、日本の態度というものは、どこまでも和協一致して行かなければいけない、これを念願としておるものであります。しかるに今日になつても、まだまだ外務大臣は言を左右にして、これが利益だなどと考えておるごとに対して、われわれはまつたく遺憾千万と思うのであります。今日吉田内閣の未期的症状などという議論が新聞に出て来るのも、いつにここに茶坊主政治が露骨に現われて来たがゆえに、こういう問題が出て来たのであります。私は自由党を愛するがために——自由党でなかつたならば、将来の政治の安定はできないものであることは全国民の認むるところである。野党のごときものが、政権を得るがごとき夢を見ることは、無謀であることをはつきりと認識すべきであります。われわれ自由党内閣によつて政権を安定して、外国に対する信用を増す。これはどこまでもわれわれ自由党内閣の責任であると思うが、しかるに吉田内閣の末期的症状はここにはつきり現われておる6かようなことで外務大臣がお勤めになられますか。この点よくあなたが反省しで、もつともつと研究せられて——魚を濫獲すればどうだとかごうだとか、こんなことは釈迦に説法。われわれは新しい漁業法をきめておるのだ。これを忠実に守らんとしておるのだ。日本の国の侵略漁業を阻止して民主的な漁業を営まんとしおるのだ。これがわけわれが常に持つておる理想であり、思想であります。こうした考え方から生れてごの條約がいかに不適当であるか。水産委員会は一致して反対しておるではありませんか。これに対してもつともつと研究されて、私どもの委員会にあなたが出て来て、どのうな方針でどうだかということを、外務委員会ではちよつとわからぬところもあるのですから、よく研究されて、われわれの致した意見が現われたときにおいて、それを外務委員に持つて行けば、水産は水産、これはやつぱりもち屋はもち屋で、そのもち屋の意見は、外務委員においても十分同意してくれるものと私は信じておるのであります。(「その通り」)こういう例をあなたはもつと真剣に御研究になつて、われわれの委員会に出て来て、あるいは譲るところは譲り、また強めて行かなければならぬところは、日本の国際情勢の問題からもつとくわれわれに説いていただいて、そうして一日も早く批准しなかつたらまつたく吉田内閣なんというものはどんなことになるか、これは私ども與党として心配することである。この点を十分われわれに納得の行くように御説明また協議、またこれに対する考え方を持つて行くようにしていただかなければいけないと私は信ずるがゆえに、委員長に申し上げます。どうかこれで打切るようなことなく、水産委員長にも申し上げますが、われわれの水産委員会において、外務大臣が忙しいとか言つて来ないようなことがあつたらとんでもないことだ。この点を十分考慮して、ただちに水産委員会も開いていただいて、また合同委員会も開いていただくように、おとりはからいをお願いします。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 永田君、簡単にお願いします。

永田節自由党

○永田委員 私は本條約はある方がよいか、ない方がいいかということについての議論をしたつもりでございます。私どもはない方がないという結論に達しておるのでありますそこで私の承るところによりますると、明後日は外務委員会において、この承認事項を御決定に相なるというふうに承りましたから、外務委員会の諸君に申し上げます。そもそも先ほどから大臣は、本條約は公海自由を制限するものでないというふうにおつしやつておられるが、なるほどこの條約の條文を見ると、毛頭制限はありませんが、議定書において大きな制限があるのであります。この事実をよく御研究を願いたい。  もう一つは、そもそもこの百七十五度線というものはどういうことかということでありますが、魚族の保存措置といたしまして、アメリカも日本も十分にこの措置は過去において講ぜられておりまして、その実績は平等でなくてはならないのであります。日本といたしましても、やはりさけのしつぽに番号を付しまして、これを放流しております。アメリカ側も同じくしつぽに番号を付してこれを放流して、それがいつ、どこに流れて行くかというようなことを試験しておるのであります。日本も同様にして参つたのであります。いわばたらいの中に金魚と鯉を養つて、その金魚があちらには絶対行かない、こちらには絶対来ないということは言い得ないのであります。やはり一本の沿岸にもアメリカの番号のついてさけが参つておりますがごとくに、一本においてしつぽに番号をつけたさりが、アメリカの沿岸にも行つているりであります。かような事実をよく御研究に相なりまして、おろそかにこの問題を解決なさらないようにお願い申し上げておきます。

並木芳雄改進党

○並木委員 関連ですから……。外務委員の一人として、私も水産委員の皆さんに注文を出しておきます。ただいよの御発言は私どもよく了承いたしました。大いに専門的なところで研究すべき点はなお研究して行かなければならぬということはよくわかりました。ただ問題は非常に重大でございますので、各党の決定の線と足並が乱れて来ると、外務委員としては非常に苦しい立場に追い込まれて参ります。従つて私の方の党といたしましては、さつそく水産委員の方と打合せて、至急党の態度をきめ、水産委員の意向を尊重して、われわれ外務委員として代表ができるようにしたいと思います。そこで與党の水産委員の皆さんに私お願いしておくのですけれども、どうか、われわれはただいまの御発言を十分尊重しますから、党との関係というものもはつきり示されるようにその方の調整もまかつていただかないと困ると思いままので、万遺漏ないとは思いますけれども、党の方の関係も十分ひとつ調整をはかつていただきたい、それを要望しておきます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 扱いについて……。今自由党の水産委員の方から、外務委員会の扱い方についてお話があつた、私は実は初めて聞いたのですが、與党の諸君すらあれほど反対するのだから、これは重要な問題であることは間違いないと思います。與党の委員としてあれだけのことを言うということは、よほどの決意とよほどの問題の重要性があるから私は言われることだと思います。実は珍しく敬意を表して葬聴していたのでありますが、そこまでまず第一に委員長にお聞ぎしたいことは、あすお上げになるというようなことがあるのですか、その通りでございますか。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 ございません。まだ外務委員会でも一回審査しておりませんから……

林百郎日本共産党

○林(百)委員 それから第二は、これはやまり業者の人たち、それから国際法の学者の人たちこういう人たちを一堂に集めて公聴会か、あるいは意見を聞く会ですね、これはぜひひとつやつていただきたいと思うわけです。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 審査の方法につきましては、この散会後に外務委員会の理事会を開く予定になつておりますからどうぞ御心配なく……。  本連合審査会はこれにて散会いたします。     午後一時一分散会

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