外務委員会 第39号
- 発言数
- 133 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1952/07/30
会議録
○仲内委員長 ただいまより外務委員会を開会いたします。 まず請願の審査をいたします。日程第一、古賀町地内開拓地の接収除外に関する請願、松本七郎君紹介、第四三七八号より、日程第三、新宮村地内接収除外に関する請願、松本七郎君紹介、第四三八二号まで三件を一括議題といたします。紹介議員の説明を求めます。——紹介議員が出席されておりませんから、専門員よりその趣旨の説明を求めます。佐藤専門員。
○佐藤専門員 請願第四三七八号、本請願の要旨は、福岡県粕屋郡古賀町地内の開拓地が今回接収の対象になつた由であるが、同地区は、昭和二十二年海外引揚者及び戦災者が入植して以来、五箇年余を経、幾多の苦難を冒してようやく独立自営の域に達し、農耕適地に改良されたものであるから、接収よりぜひとも除外されたいというのであります。 請願第四三八〇号、本請願の要旨は、福岡県糟屋郡古賀町及び新宮地区が接収され、民家の立ちのき、土地の立入り禁止等が命ぜられると、住民は農地を失い、住家を移転せねばならず、特に入植者の四年間の開墾の努力は水泡に帰すばかりでなく、本町の発展は阻害され、国立結核療養所の患者千五百人にも精神的打撃を与えるものである。ついては、住民の死活問題であり、また町の発展をも停止せしめる結果となる古賀町を、接収より除外されたいというのであります。 請願第四三八二号、本請願の要旨は、福岡県糟屋郡新宮村は農漁村であつて、漁家三百戸がこれに従事し、また既墾地耕作者四十三戸、開拓地耕作者二十戸計六十三戸が日夜食糧増産に協力している。しかるに、今回県より一方的に接収の命を受けたが、これは現住民の生活を脅かすごと、はなはだしいものがあるから、接収に対し全面的除外を要望するが、もしこれが不可能の場合は最小限度にとどめられたいというのであります。
○仲内委員長 ただいまの各請願につきまして、政府側より御意見はありませんか。
○石原(幹)政府委員 ただいまの請願三件は大体同じものでございますが、これは従来たしか演習地として使用されておるところであろうと思うのであります。従来からも一、二回使用された程度で、あまり使用されていないようでございます。従来程度の使用でありましたならば、地元でも大したことはないようでありますが、今回これを拡張して、さらに接収してしまうということであれば、相当やはり問題がございます。合同委員会におきましても、いろいろ主張をいたしまして、まだ十分な合意に達しなかつたことであると思います。それで先般二十六日の決定にも保留となつていることと思うのでありますが、今後も地方民の利害を考えまして、最も影響の少いよりに十分主張を続けて行きたいと思つておるところでございます。
○仲内委員長 御質疑はありませんか。——御質疑がなければこれより採決いたします。ただいまの三件の請願は、採択の上内閣に送付すべきものと議決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○仲内委員長 御異議がなければさように決定いたします。 なお、ただいま議決いたしました三件の請願に関する報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○仲内委員長 御異議がなければさように決定いたします。 —————————————
○仲内委員長 次に陳情書の審査をいたします。 日程第一、未帰還同胞の引揚促進並びに戦犯者の減刑等に関する陳情書、第二六二三号より日程第六同第二九二六号までの六件を一括議題といたします。 ただいまの各陳情書につきましては、去る六月十八日の本委員会において審査いたしました請願と同趣旨のものでありますので、その審査を省略して、これを了承いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○仲内委員長 御異議がなければさように決定いたします。 —————————————
○仲内委員長 次に日程第七、門別地区における駐留軍演習に関する陳情書、第二六二四号を議題といたします。専門員よりその趣旨の説明を求めます。
○佐藤専門員 陳情書、第二六二四号、日米安全保障条約に基く行政協定の場規定により、門別町地域は米国駐留軍の演習場として内定している由であるが、同地区は農地約三千五百町歩のほか定置漁場を有し、同町総生産額の三〇%を占めている。これら産業上の主要なる地域に演習を実施することにより、営農施設の破壊、牧野立毛等の損壊、漁具、漁網の減損、出漁の制限等、生活の安定を阻害されることは、昨年の演習の結果によつても明白である。よつて政府においては、同町を演習用地として指定並びに接収することのないよう折衝せられたいというのであります。
○仲内委員長 本件につきまして政府側に御意見はありませんか。——御質疑はありませんか。御質疑がなければ次に移ります。 —————————————
○仲内委員長 次に日程第八、英連邦駐留軍労務者の雇用条件に関する陳情書、第三〇四一号を議題といたします。専門員よりその趣旨の説明を求めます。
○佐藤専門員 陳情第三〇四一号、英連邦軍関係労務者の給与並びに待遇改善問題をめぐる紛争は、岩国市民にとつて重大な関心事であるが、いまだ解決の域に達していないので、今や市民生活の安定に多大の危惧と不安をかもしておる。よつてこれらの諸問題をすみやかに解決されるよう措置を講ぜられたいというのであります。
○仲内委員長 本件につきまして政府側に御意見はありませんか。
○石原(幹)政府委員 この問題は呉地区と同様、先般大体片づいた問題でございます。ただ残つておりますのは、たしか退職金の給与規程の問題とか、あるいは労働協約の問題、そういう点でございまして、賃金その他の問題は大体片づいた問題でございます。
○仲内委員長 御質疑はありませんか。御質疑がなければ次に移ります。 —————————————
○仲内委員長 次に日程第九、呉市における国連軍の暴行等に関する陳情書、第三〇五五号を議題といたします。専門員よりその趣旨の説明を求めます。
○佐藤専門員 陳情第三〇五五号、呉市において発生した暴行等の諸事件はまことに遺憾である。かかることが累積するときは、遂には相互の友好的な国際関係にも悪影響を及ぼすやをおそれるのである。よつて政府当局は事態を重視し、すみやかにかかる事件の防止に適法の措置をとられたいというのであります。
○仲内委員長 本件について政府側に御意見はありませんか。——御質疑はありませんか。山本利壽君。
○山本(利)委員 この問題は、かねて当委員会においても、あるいはまた地方行政委員会においても、しばしば質疑のかわされたところでありますが、今日配付せられたこの表によりますと、漸次検挙率が上つておるということは非常にけつこうなことでありますけれども、事件の発生はやはり相当にあるのでありまして、本年の四月二十八日から六月三十日まででも、毎日一・五弱の発生件数があつたわけであります。この発生件数は、それ以前の、たとえば本年の一月一日から四月二十八日までとかいつたようなものと比べると、漸次増加しておるようでありますが、この点について当局の御説明をちよつと承りたいと思うのであります。
○石原(幹)政府委員 私もこの正確な何は、今ここに数字を持つておりませんので、申し上げかねるのでありますが、これは地方行政委員会、その他各委員会でいろいろ論議され、外務当局からも現地に局長以下参りまして、実肩を調査し、また先方の司令官等ともよく連繋をとつておるところでございます。一時非常に騒がれましたうわさはどのものでなかつたということも、だんだん判明いたしおります。その後先方とよく協力いたしまして、治安の維持確保に十全を期しておるのでありますが、今後ともさらに一層注意をして参りたいと思います。国警から刑事部長が参つておりますので、刑事部長の方からさらに御答弁申し上げます。
○中川(董)政府委員 呉市の外国人関係の犯罪につきましては、ただいま政務次官からお話になつた通りであります。独立以前、占領軍時代の発生件数が少くて、独立後に発生件数が多い、この点の御質問でございますが、占領時代におきましては、施設外におきまする逮捕権が原則として向うの警察機関にありましたので、こちらの日本の警察機関といたしまして、その正確な数字の把握に非常に困難をいたしたということが、一つの理由のように感ぜられる点でなかろうかと思うのであります。 なお独立後は、施設外におきましては、日本の警察が例外なくこれを逮捕する権限を有しておりまして、これは側う側も了承していただいておりますので、その関係上、こちらでどしどし逮捕いたしますので、被害者の届出等も相当活発に行われておる、こういう点も一つの理由でなかろうかと思うのであります。それにいたしましても占領軍におきましてこういう犯罪がありますので、私ども警察といたしましては、この検挙につきましては、向うの機関とも協力の上、十分にこれを検挙することに努めて参る、こういう点で検挙率が上つたのでありますが、検挙するだけが犯罪対策でありませんので、防犯につきましても、外務当局と十分連絡をしつつ、中央におきましては外務省を通じまして、また現地におきましては現地の向うの機関を通じまして、防犯措置につきましても最善の努力をする、こういうふうにして参つております。
○山本(利)委員 ちよつと国警本部の方にお伺いしたいのでありますが、本日配付を受けましたこの表の期間のところで、二十七年の一月一日より二十七年の六月三十日までと第一段にあつて、その次が一月一日から四月二十八日までとあつて、第三番目が四月二十八日から六月三十日までとなつておりますが、これは誤りでございませんでしようか。もしこれが誤りでないとすれば、下の二つを合計したものが第一段でなければならぬと思うのですが、その通りでしようか。
○中川(董)政府委員 お示しの通り、下の二段を合計したものが第一段になるはずです。
○山本(利)委員 それでわかりました。 もう一つお伺いしたいことは、検挙するということと同時に、防犯ということにも非常に力を入れておるということ、これはまことにけつこうなことでありますが、それであるにもかかわらず、事故の発生数は、この表で見ると、減つていない。そこのところは、防犯に力を尽したからこういうように件数が非常に減つて来たのだということであればまことにけつこうでありますけれども、その件数が減つていないということの御説明をちよつといただきたいと思います。
○中川(董)政府委員 防犯に努力いたしまして発生件数が減るということを、われわれ非常に努力いたしおるのでありますが、現在のところ、著しくこれが減るという態勢にまだなつていないのです。それで御質問の第一点にありましたことく、独立後と独立前との関係が、むしろ前の方が少いではないか、こういう御質問でございますが、この点につきましては、独立前は、施設外における逮捕権も向うの警察機関が原則としてお持ちでありましたので、そういつた関係で数字が明らかでなかつたということが一つと、それから日本の警察機関に逮捕権があるということが明らかになりましてからは、被害者がささいな犯罪に至るまでよく警察に協力して届出てくれる、こういう関係で検挙件数が数字としてたくさん上つて来たのだ、こういうふうに理解される面がございます。
○山本(利)委員 それでよくわかるのでありますが、今の御答弁によりますと、結局、この表には現われなかつたけれども、講和条約発効前においては、さらにさらに多数の犯罪が英連邦軍によつて呉市において行われたということに言いかえられると思うのです。検挙する力がなかつたのでこの数字は非常に少いが、発効後においては検挙する力が与えられたのでこういう数字が出たというのであるから、繰返すようですが、その以前におきましては、英連邦軍なんかの素行というものは、呉市においては相当ひどいものであつたということは言い得ると思うのですが、その通りですか。
○中川(董)政府委員 占領時代における犯罪件数がこちらで正確性を期し得られなかつたということを申し上げたので、ひどかつたかどうかということは、正確な基礎がないからわからないのです。私どもその点いろいろな届出以外の件数が若干あつたでなかろうかと推知される点は、呉市の住民の方々のお気持、街頭録音等に現われるお話等から総合して、独立後に犯罪が非常にふえたという感じを与える住民たちの言動がないということによつて推定しているだけでございますので、占領時代にものすごく犯罪が多かつたかということは、正確な資料を持ちませんので、この点何とも申し上げかねるのであります。
○山本(利)委員 この問題で時間をとつて失礼でありますが、これは国際的に重大な問題でありまして、もしもほんとうに英連邦軍によつて日本の国民に非常な迷惑がかけられる、つまり犯罪行為が多いということであれば、これは独立国家としてあらゆる面から考えなければならぬ問題であつて、われわれの国民を保護しなければならぬ。もう一つ反対には、この問題が、普通想像せられるよりももつと軽い問題であるならば、この点を明らかにしなければ、この英連邦軍に対してまことに迷惑な話であつて、日本の国民の言動によつて悪い感じを与えるというそのところをはつきりとこういう機会において示して、先ほど政務次官の言葉に、調べてみたら大したことはなかつたというようなお言葉があつたと思いますが、大したことでなかつたならば、ないということをはつきりとして、国際的な感情のもつれの起らないようにすることがわれわれの任務だと考えるので、ただ漠然とした質疑応答でなしに、実はこの程度だ、だからこれはけしからぬから、こういうぐあいにしなければならぬとか、あるいはこれは何でもなかつたということをできるだけ具体的に御説明を願いたいと思うのであります。 それで続いてお尋ねしたいことは、この検挙件数にしても、この検挙した数は、どの程度が日本の警官によつて検挙されたものであるか、ほとんど全部が日本の警官によつて検挙されたのであるか、あるいは向うさんによつても検挙されたのであるか、そこらの数字の関係をちよつとお知らせを願いたい。
○中川(董)政府委員 第一点の御質問の、大したことがあつたか、なかつたかという問題でございますが、この点は私ども次のように解しているわけです。呉市がこの種の犯罪によつて非常に不安がありまして、たとえば一般の婦女子が夜間出ることにものすごく脅威を感じているように不安であるか、こういう点においては、しからず、こう認定しております。しかしながら、それにいたしましても、呉市内におきまして、ここにお示しいたしました件数の犯罪がありますので、この犯罪があることだけは事実であります。これにつきましては、犯罪を犯した者につきましては、法律に基く厳正な検挙を行つておる。ことに他面各種関係機関と協力いたしまして、防犯につきましては最善の努力を尽す、こういうように努力しているのであります。但し、防犯につきましては非常に努力いたしますけれども、防犯以外の理由によつて犯罪が起ることがあります。たとえば呉市の港に非常に船が入ることが多い場合は比較的犯罪が多く出て来る。比較的船の出入りの少いときには犯罪が少いということもありますので、数字のみで防犯の効果を判定しがたい点は御了承願いたいと思います。 その次に第二点の、ここに掲げてございます犯罪はだれが検挙したか、こういう御質問でございますが、犯罪が発生いたしますと、多くの場合被害者から警察等に届出がありますので、これによつて犯罪があつたことが明らかになる。被害者の届出は、被害者が日本人である関係もありまして、日本の警察機関に届出する場合がほとんど全部であります。その犯罪ありと思料いたしました警察官は、犯罪の状況等によつて、またその服装等によつて外国人であるということが推知される面につきましては、向うの警察機関と協力の上検挙に努めております。従つて、検挙されました犯罪につきましては、現行犯の場合は、場所が施設外でありますので、日本の警察官がつかまえる場合が大部分であります。非現行でつかまえる場合におきましては、向うの警察機関と協力の上犯罪があがつて来る、こういうことであります。向うの警察機関におかれましても、この犯罪検挙及び防止の重要性にかんがみられまして、きわめて協力的に日本警察に協力の上、いろいろ御活動なさつておられますので、その点御了承願いたいと思います。
○山本(利)委員 この問題の重要性のいま一つは、国連軍の駐留という問題と、それから米国軍の駐留ということで、行政協定が結ばれており、結ばれるわけでありますが、その際にそれらのものに対して治外法権が認められる。それでこういう者をせつかく検挙しても、はたしてその者がいかなる処罰を受けるか受けないか、ただつかまえたとかあるいはつかまえられたということだけであつて、その結果において日本でこういう悪いことをした者は、かくかくの処罰を受けたということが国民に知らされなければ、国民の不安は去らないし、独立国民としての自尊心も非常に汚されると思うのでありますが、ここにあげられた検挙件数については、その処罰がいかなる処罰をされたかということが国警本部の方にも逐一わかるものでありますかどうか、そしてその結果をわれわれにも発表していただけるかどうか、その点について伺いたい。
○中川(董)政府委員 検挙は私どもの警察機関がいたしまして、それにつき証拠その他をつけまして、あとは裁判上の手続にゆだねるわけでありますが、裁判上の手続はいろいろその事案の内容等によつて違います。これは普通の日本人の犯罪でも同様でありますが、たとえば器物毀棄の行われた被害者から告訴がある。それで取調べを開始する。ところがいざ取調べをしておる最中に加害者側からいろいろ器物毀棄の弁償が行われる。そうすると、日本人の場合でも起訴便宜主義でありますので、犯人も非常に改悛の情顕著なりとし、器物損壊を弁償させる。こういう場合起訴猶予その他のことが処置されるわけであります。呉市における犯罪の事案の大部分が、率直に申しますと酒の席その他における犯罪等が相当多いものでありますから、酔いがさめると、本人が非常に反省して弁償をする気持も相当多いので、起訴する側といたしましては、そういう場合に各般の状況を勘案されまして、不起訴の事案その他が多いのであります。但しその手続をする間におきましては、人権に関連いたすため証拠調べその他によつて時間を要するのであります。時間を要した後にわかりましたことにつきましては、われわれ警察機関にも連絡いただいております。
○山本(利)委員 それではその今の経過をたどつて得た結果については、大体日本の警察としては了承すべきものでありますかどうか、その点だけ伺いたい。
○中川(董)政府委員 結果の判断ということになりますと、いろいろ人の感じと申しますか、それによつて意見があろうと思いますが、大体結果がきわめて不当であるという観念は持つておりません。
○山本(利)委員 これで終ります。
○仲内委員長 ただいま本件について、議員宮原幸三郎君より発言を求められておりますので、この際これを許します。宮原君。
○宮原幸三郎君 簡単に関連質問をいたしたいと思います。誇大に伝えられたという見方と、それからこれを打消すという方の情報と混淆して、とかく正確な情報が呉地区における治安の問題についてどうも伝わりにくいというような情勢のように思うのです。私は地元の選出であり、また昭和二十三年に被害を受けた一人であります。それで最近の情勢を先ほど国警御当局から御説明がありましたが、その御説明のうちで私の関連して伺いたいと思うのは、防犯ということにつきまして非常に重点を置かれんとしておることは非常に喜ばしいことであり、市民も期待いたしておるようでありますが、防犯についていかなる措置が具体的に講ぜられておるかということです。せんだつて私が帰郷いたしまして調べました事実によりますと、警察当局は防犯組合に出て、そうして治安は世間に伝えられるほど悪いものではないのであるから、従つて夜間の外出は自由になさるべきである、こういうような、むしろ防犯と反対のような宣伝をなされておるようであります。先ほど国警の刑事部長の御説明の中で、婦女子が外出できないほどの危険はないとおつしやいましたが、それはある一区画をとれば危険はないでありましよう。しかし呉市の一部には確かにそういう危険があるのです。それから市中の繁華街には、婦女子の多数の外出を事実上見出すことができるのでありますけれども、それは七年間の長い間の占領軍の暴行に対して警戒的な一つの手段方法を十分考えて、そうして恐る恐るこれをやつておるというのでなければ、ある意味において免疫になりまして、この面についてはあながち無関心でもないでありましようが、われわれから見ますと、少し神経質でなさ過ぎる、神経が少し鈍つておるじやないかというような感じを受けるのであります。 そこで一点伺いたいことは、この原因がどこにあるかという点についての警察の見解を伺いたい。大体警察力を十分に活動してもらつておることは感謝にたえない。検挙率も非常に上昇しておりまして、その点については市民一同も非常に感謝しておるのであります。その点は警察をおほめ申し上げておきたいと思うのであります。ところが警察の検挙率が高まつても、根本の原因は、横須賀や佐世保には米軍が多数駐留し、対岸の江田島には米軍がいても犯罪事実がないのに、英連邦軍の駐留しておりました呉市にだけは、独立後約七十日間に百七件の凶悪犯罪を含むところの犯罪が現実に日夜繰返されつつある。そこに警察力の増強だけでは及びつかない原因があるのではないか、国連協力ということについては、われわれも人後に落ちないように市民とともに大いにいたしておるのでありますけれども、同時に英連邦側においてお考えになるべき問題があるのじやなかろうか、その辺について警察御当局として根本的にお考えをいただきまして、そうして国連行政協定にその線を強く打出す必要が生じて来るのじやなかろうかと思うのであります。これは属地主義とか属人主義とかいうような言葉で尽せない具体的な問題がそこにあろうと思います。外務当局においてはその原因が那辺にあると考えておるか、決してこれは打消してしまうだけの安易な問題ではない。呉市だけにおきましての特有の犯罪が一日一・五件という割で日々繰返されております。これに対して警察当局は、検挙をおやりになり、防犯をやつておると言うが、そういう抽象的な言葉だけで簡単に片づけられる問題ではないのであります。それで今防犯に対するいかなる具体的措置を講じておられますか、またこの犯罪を繰返される根本の原因は那辺にあると御認定に相なつておるか、こういう点について腹蔵なくこういう際に御発表願いたい。それは国連との行政協定に対して外務当局に非常な御参考にもなろうと思います。またわれわれとしても参考にしたいのです。
○中川(董)政府委員 呉市におきましてこういつた犯罪が起る原因でありますが、犯罪原因というのは、多元的にいろいろあつて、一元的にいえない点もあろうと思いますが、まずこの原因として私どもの考えた一点は、呉市におきますところの部隊が港の関係等もありまして、出入がはげしい。ほかの施設は比較的定着と申しますか、長い期間においての施設でありますが、あそこの軍人さんたちは移動がはげしい、こういうことが大きな原因でなかろうかと思うのであります。その他の点は、ああいつた港でありますので、港だから必ずしもそうなるという意味ではございませんが、どう言いますか、遊興等に関する施設等がありますので、それに関連してとかく犯罪が起りやすい素因を持つておる、こういうことが原因でなかろうかと思います。但し原因ということは非常に多元的になりまして一概に言えないと思いますが、そういうような原因も一応考えられますので、そういうような点に関連いたしまして、いろいろ多元的な犯罪防止ということがあります。私どもも犯罪検挙につきましては、法律の定むるところによりまして、非常に厳正にやるつもりでありますが、防止ということにつきましては、非常に多面性がありますので、関係各機関と協力いたしまして、特に本件の問題は、中央におきまして外務御当局を中心といたしまして、われわれ十分御連絡を密にしたしまして、外交折衝等の機会に、こういう原因排除につきまして、大いに関係方面に御理解を願うような方途を講じておるのであります。また現実におきましては、向う側の警察機関等とも密接な連絡を願いまして、最善の措置を尽して参る建前でやつておるのでありますが、防犯というのは検挙と違つてただちに数字に現われませんので、いろいろ苦心も多いのでありますが、中央におきましては外務御当局とともに関係の面について御理解をいただいており、地方においては地方の向う側の警察機関とともに、防犯につきまして最善の努力をいたす、こういう建前で微力を尽しております。よろしく御了察を願う次第であります。
○仲内委員長 ほかに御質問がなければ、ただいま審査いたしました日程第七より日程第九までの各陳情書は、これを了承いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○仲内委員長 御異議なければさように決定いたします。 —————————————
○仲内委員長 次に国際情勢等に関する件について質疑を行うことにいたします。なおこの際岡崎外務大臣より発言を求められておりますので、まずこれを許します。岡崎国務大臣。
○岡崎国務大臣 最近国連軍との協定がいろいろ新聞に出、当委員会でも質疑等が行われておりますので、現在までの状況を簡単に御報告いだしておきたいと思います。 御承知のように四月二十八日以後は、日本におりましたアメリカ軍以外の軍隊、これは普通にコモンウエルス・フオーセス、こういつておりますが、イギリス、カナダ、濠州、ニユージーランド等の軍隊は、朝鮮における国連軍の一部として活動していることになりまして、従いまして昨年九月吉田・アチソン交換公文によりまして、日本はこの国連の活動に協力する軍隊の国内における支持を認めることになつて、その交換公文を基礎としておるわけであります。またその他国連の行動に参加しております十幾つかの国々の軍人軍属、これも日本に療養または休養等、または公務のために来る人もあるわけであります。これも同様の趣旨で取扱つております。 元来一国の軍隊が他国に駐留する場合の種々の条件は、前の行政協定の御説明のときにいたしました通り、国際法及び国際慣行によつて人筋はきまつているのであります。しかしながら個個の問題になりますと、国際慣行等にまた現われていない新しい事件も起りますしいたしますから、はつきりしない部分があるわけであります。そこで政府としては、できるだけ早く国連軍との間に、適当なる協定を結ばなければならぬと思つて、爾来努力をいたしておるのでありますが、協定ができるまでの間は、国際法もしくは国際慣行できまつている点は、その趣旨にのつとつて措置をいたしますし、そこのところが明白でない個々の事件については、今までのところは、関係国政府と事件ごとに交渉をいたして、解決する趣旨でいたしております。一方国連側との協定は、これは国連側全部と協定をいたすわけでありますが、たくさんの国がありますので、現在のところはそのおもなる国が内部で権限をまかされ薫りまして、われわれの交渉いたしておる相手はアメリカ、イギリス、濠州、ニユージーランド、カナダ、この五箇国の代表となつておりますが、他の国々も自己の問題に特に関係があるときは、将来また代表を出すこともあり得るわけであります。 交渉はすでに始まつておりますが、これは正式の会議とそれから委員会と申しますか、分科会と申しますか、そういう種類の専門的の会議の二つにわかれております。正式の会議におきまして当方は奥村外務省参与を代表として、その他関係の外務省、法務府あるいは農林省その他各方面の関係者が加わりまして会議をやつております。そうして大きな方の会議で先方が考えております諸問題、わが方が考えている諸問題をおのおの披瀝いたしまして、それで問題点がどういうところにあるかということを検討いたしまして、その問題の大体の方向がわかりますと、これを専門の分科会に移して、そこで検討をいたさして、結論が出ましたらまた本会議にもどして来るということにいたしております。 今いろいろの分科的な検討を進めておりますので、結論ははつきりしたものはどれもまだ出て来ませんが、しかしもう大部分の点は結論が出たとひとしいような状況になつておりまして、ただ一番むずかしい問題が二、三ありまして、その中の一つは御承知のような裁判管轄権の問題であります。 これにつきましては一部日本側の意見としては、アメリカの駐留軍は日本国の希望によりまして、日本の安全を保障するために来ている軍隊であり、国連軍の朝鮮における行動は、むろん間接的には日本の安全保障に資するところ非常に大きいのでありますけれども、直接の目的は、朝鮮における平和を維持して、極東の安寧を期そうということでありますから、趣旨が違う。そこで行政協定と同じような協定にする必要はないであろうという考えを持つておるわけでありますが、これは国際法的に申しますれば、動機はいかがあろうとも、一国のうちに外国の軍隊がおるという事実から見れば、その間に待遇の差別のあるべきはずはないというような法律的の見解もあるわけであります。また事実上の問題としては、なるほど米軍も国連軍の一部でありますから、国連軍としての行動の場合には、将来できる国連との協定によつて措置せられ、駐留軍の一員となつたときのみ、行政協定によつて処置せられるという建前ではありましようが、米軍将兵につきましては、事実上は国連軍であると同時に駐留置であるようなあいまいな形もあるから、実際上もし行政協定と異なるような協定ができる場合は、米軍以外の各国の将兵と米軍の将兵とは待遇が異なるような結果になる。そういう差別的な待遇をされるということは、朝鮮において生死を共にして、同じ戦線で戦つておる人々の間において好ましからざる結果を招く。それがひいては朝鮮における行動を阻害することにもなり、日本の国連協力の趣旨にも合致しないようなことになるおそれがあるというような論点もありまして、この問題が一番むずかしい状況になつております。 しかし政府としては、本問題のみならず、ほかの問題につきましても、元乗が国連とできるだけ協力しよう、また国際連合にも加盟したいという希望を述べておる現在でありますので、でき得る限り双方の間に十分な話合いをいたしまして、合理的なところで解決したいと考えて、ただいま努力しておる最中であります。いつごろまでに話合いが完了するかは今のところまだ話合い中でありますから、わかりませんが、まずでき得る限りの努力をして、早く満足すべき協定に到達したいと思つております。 なお国連側との協定は各国政府におきましては、いわゆるエグゼキユーテイヴ・アグリ・メントという種類のもので、国会の承認を得る必要がないそうでありますが、わが国におきましては憲法等の規定に基いて、やはり国会の承認を得べきものであると考えまして、その方針で協定をつくり上げるつもりでおります。 以上簡単でありますが御報告をいたしました。
○仲内委員長 それではこれより質疑を許します。本会議の関係もありますので、質疑は簡単に願います。並木芳雄君。
○並木委員 政府は吉田・アチソン交換公文をいわば母体法のように扱つておりますが、これは私どもの見解からすると、公文ではありますが、非常に不完全な公文であると思うのです。たとえば吉田・アチソン交換公文では、日本に駐留する軍隊の制限などがありません。従つて国際連合加盟国の軍隊が押すな押すなで日本に駐留するということも考えられるのであります。そこでいわば日本には無条約のもとに国際連合軍というものが自由に出入りができる。それでは困りますので、私は何かこれをチエツクするものはないかと思つて調べてみたのですが、今わずかにありますのは、安全保障条約第二条に「第一条に掲げる権利が行使される間は、日本国は、アメリカ合衆国の事前の同意なくして、基地、基地における若しくは基地に関する権利、権力者しくは権能、駐兵若しくは演習の権利又は陸軍、空軍若しくは海軍の通過の権利を第三国に許与しない。」というのがあるだけでございます。そこでお尋ねしたいのですが、吉田・アチソン交換公文では国連加盟国が今のところは自由に日本に出入りができるが、この安保条約第二条は適用されるのかどうか、その点を伺いたい。
○岡崎国務大臣 安保条約等を引用けられませんでも、日本におるということになれば、日本のどこかにおらなければなりません。その場合には施設、区域等の必要が出て来ます。これをかりに日本が提供しなければ日本におられたいわけであります。やはり原則としては日本は吉田・アチソン交換公文で国連軍の一部の駐屯を認めておりますけれども、実際問題としては、これは日本の承諾がなければできないわけであります。
○並木委員 それならばけつこうなのです。 次に吉田・アチソン交換公文ですけれども、これはアチソン氏との間ではなるほど効力を持つておると思いますが、アメリカと日本との問の約束にすぎないのではないかという疑いが今日起るわけです。当時はあるいは国際連合軍というものをアチソン氏が代表しておつたかもしれませんけれども、いわばこの交換公文が効力を発生するためには、具体的に各国との間で条約または協定ができ上つたことを条件として発生するのじやないか、こんなふうに考えるのでありますけれども、吉田・アチソン交換公文の効力についてお伺いしておきたいと思います。
○岡崎国務大臣 吉田・アチソン交換公文については、昨年平和条約等とともに国会に提出いたしまして、国会の承認を求めたわけであります。そのときにすでに詳しく御説明をして国会の承認を得たわけでありますから、この問題をさらにここで論議されても、すでに承認済みのものでありますので、どうかと考えますが、しかし吉田・アチソン交換公文はいいかげんなものではなく、これを政府としては広義の条約の一つとして国会に提出してその承認を求めたのであります。従いましてこれは一種の広義のりつぱな条約の一つであります。これに基いてわれわれは国際連合軍の行動に参加する——ないし二以上の国々の日本における駐留を認めたものであります。ただ実際上に認めるということになれば、先ほど申したように新しく来るものがありますれば、それに対する施設等がなければどこにもおられないわけでありますから、実際問題としては、これは日本の政府が同意して施設を提供しなければおられないことは、これはあたりまえでありますけれども、古田・アチソン交換公文は決してそういうあいまいなものでないということは、ここではつきり申し上げられると思います。
○黒田委員 私もその問題についてちよつと関連してお尋ねしたいと思います。古田ナチソン交換公文におけるアチソンの資格は何であるかということについて私には疑問がある。アメリカ合衆国国務長官デイーン・アチソン、そして日本内閣総理大臣外務大臣吉田茂、この二人の交換公文でありますから、アメリカと日本との間の問題を規律したものであるということは、私どもにはよくわかるのでありますけれども、どうも国際連合について、何らかの事項を規定したものというようには、ちよつと私には理解しかねるのであります。そこでお尋ねしたいと思いますのは、アチソン合衆国国務長官は、国際連合とどのような関係においてこの交換公文を交換されたのであるか、アメリカを代表するのはむろん問題ないことでありますが、一体国際連合のことについて、何らかの協定をする権限があるのかどうか、この点が私どもに疑問に思えますので、ちよつと政府の御見解を聞かせていただきたいと思います。
○岡崎国務大臣 御承知のように、国際連合の勧告に基いて各国が朝鮮に軍隊その他の協力をいたしまして、その結果各国政府の間におきまして、朝鮮に出しました各国軍隊の軍事援助、軍事行動等に関して、どういうふうな措置をするかということになりましたが、そのときは国連の決議に基いて、加盟国が軍事援助をいたすことについては、合衆国が任命する統一司令官の下に置くことを勧告されております。従つて最高司令官と申しますか、統一司令官と申しますか、これは御承知のようにアメリカの司令官がなつておるわけであります。従つてアメリカは国連軍の代表者となつて、朝鮮における行動をいたしておるのであります。これは国連の代表者ではなくして、朝鮮における国連軍の行動の最高の指揮官といいますか、代表者といいますか、というのはアメリカの司令官であります。従つてアメリカの政府はアメリカの司令官の行動に対する責任もあれば、また権限もあるわけであります。こういう関係から、アメリカの国務大臣と日本の総理大臣との間に、交換公文が行われたということであります。
○黒田委員 私は外務大臣の御説明には承服できません。アメリカの国務長官が、朝鮮において行動する国際連合統一司令部に対し、何ら命令権があるとは私は考えられない。私は関連質問でありますから、長いこと質問はいたしませんが、そういう意味で、どうしても吉田・アチソン交換公文は、連合国に関することを規定したものであり得ない。文句の中には、連合国に関する問題が出ておりますけれども、しかしイギリス、カナダ、濠州あるいはニユージーランド、こういうような軍隊に対して、日本とどうするというようなことを、アチソン長官は決定する権限はないと私は思います。従つて私は、ニユージーランドの軍隊などが協定なくして、講和発効後九十口の期間を経過しました今日、日本に駐留する権限は全然ないのだ、こういう考え方を持つております。 それに関連してもう一つお尋ねしますが、新協定は一体国際連合軍というものとなされるのですか、それとも、イギリス、カナダ、濠州あるいはニユージーランドというような、個々の国となされるのでありますか、このことをちよつと質問してみたいと思います。それは、さつきの質問に関連するのでお尋ねします。
○岡崎国務大臣 黒田君は、初めから吉田・アチソン交換公文にも反対でおられるから、今でも反対されるのは、これは無理もないと思いますが、しかし大多数の国会議員は、これを適当のものと考えて承認されてしまつたのであります。これをいまさらむし返して議論されても、私は迷惑であります。
○黒田委員 それをむし返したのではありませんで……。
○岡崎国務大臣 すべての論議は、承認前に尽されているのです。
○黒田委員 私は効力のことを言つているのではない。それはこれ自身としては一応発生したと見られているのですが、しかし国際連合軍については、これは効力がないのだ、こういうことをお尋ねしているのです。
○岡崎国務大臣 それから、今御質問の、国連側とは個々に結ぶか、代表的に結ぶかというお話でありますが、われわれは今のところ個々に結ばないで、国連側全体に対して、一つの協定をつくればいいじやないかと考えて、話合いをいたしております。
○並木委員 私も今の点をお尋ねしておきたかつたのです。それは吉田・アチソン交換公文の中に、費用の点に触れたところがございます。それを見ますと、「日本の施設及び役務の使用に伴う費用が現在どおりに又は日本国と当該国際連合品加盟国との間で別に合意されるとおりに負担されることを、」云々とあるのです。この趣旨からいつても、当該加盟国と各個別に協定を結ぶのが建前じやないかと思うのですけれども、いかがですか。
○岡崎国務大臣 これは協定のつくり方の技術的な問題でありまして、趣旨としてはどちらにでもできるだろうと思います。
○並木委員 そうすると、今度の五箇国のうちで、だれが向うの代表に委任をされておるのですか。
○岡崎国務大臣 アメリカのボンド参事官が主席の形で来ております。
○並木委員 先ほど大臣の御報告の中に、アメリカ軍以外の軍隊と協定を結ぶべくという言葉があつたのであります。私どもはアメリカ軍の中にも二つの性格があると考えております。つまり駐留軍としてとどまつておるアメリカ軍と、国連軍としての行動をとるアメリカ軍と、二つあると思うのです。大臣はアメリカ軍というものは国連軍と切り離してお考えになつているようでありますけれども、そうでなく、アメリカ軍隊の中に国連軍があるというような考え方をすれば、先ほどの裁判管轄権の問題もおのずから解決して来るのではないかと思います。つまりアメリカ軍隊の中で国連軍として行動をとる軍隊に対しては、今度できる協定を適用されればいい。私は理論的にそれが成り立つと思うのですけれども、この点についてお伺いしたいと思います。
○岡崎国務大臣 むろんアメリカも国連軍の一部でありますから、あなたのおつしやる通りであります。ただ私の申すのは、主要なものはいわゆるコモンウエルス・フオーセスでありますから・コモンウエルス・フオーセスとの間の協定をおもにして考えておる。従つてアメリカのみならず、ギリシヤもトルコももしこの協定ができますれば、その中に加えられる。主としては、目的はいわゆる英連邦、コモンウエルス・フオーセスとの間であると申しておるのであります。
○並木委員 その場合、裁判管轄権の問題が一番やつかいなように先ほど聞いたのですが、私たちは、現在アメリカ駐留軍と契約しておる裁判管轄権でなく、例の軍隊の地位に関する北大西洋条約加盟国のとりきめ、あれをもつて今度の国連軍との裁判管轄権の協定にしたらどうか、こんなふうに考えている。非常にむずかしいというふうに先ほどお話がありましたが、日本政府としてはそういう線で進んでおられるやに聞いておりますが、この点どうなつておりますか。
○岡崎国務大臣 これはまだ交渉の途中でありますから、その内容を申し上げることは差控えたいと思いますが、日本も必ずしもそういう主張をいたしておるわけではないのであります。またNATOの協定なるものは、いまだ成立しておらぬのでありますから、ちよつとこれと同じものをといつても、無理ではないかと思つております。要するに、これは両方で権利をつつぱり合つているべきものでなく、お互いに話合いの上、譲るべきところをできるだけ譲つて、満足なる協定に達するというのが趣旨であります。何かまるで不平等条約を撤廃するときのような意気込みでやるべきものでないと考えております。
○並木委員 先ほどの御報告にはなかつたのでありますけれども、費用の点についてはどういうふうな話合いが進められておりますか。私どもは、国際連合軍の方で原則としては費用を負担すべきものであるというふうに考えるのでありますけれども、この点についてお尋ねをしておきたいと思います。
○岡崎国務大臣 これもまだ話合いの最中でありまして、費用の点についても、原則的には国連側で負担すべきものと考えられますが、日本政府は国連協力の趣旨で、さしつかえない範囲でどの程度そういうものについても負担し得るものか、またし得ないものか、そういう点は十分検討を加えつつあります。
○並木委員 区域、施設の点について、国連軍の方からの要求は大要どういうふうになつておりますか。大体今まで使用しておつたところのものを継続して使用するのか、あるいはまたさらにこれを拡張しようというのか、縮小しようというのか、その概略でけつこうですが、御説明願いたいと思います。
○岡崎国務大臣 そういうふうな話合いではありませんで、国連軍の、つまりコモンウエルス・フオーセスの方では、たとえばそれだけの貯蔵物資がある、これだけの人間がおる、それに対しては、これだけの宿舎が必要であり、これだけの食堂が必要であり、これだけの地域が演習その他運動等で必要であるというふうに持つて来まして、それについてそれじやどういうふうにやるかということで、今までのをそのまま使うとか、今までより拡張するとか、今までより減らすとか、そういうような話合いでないのでありまして、現実に即応してこれだけのものに対してどれだけの施設がいるかというように話合いをいたしております。
○並木委員 先ほどの御報告の中に、大部分は結論がついたというお言葉があつたのであります。その結論のついたものの中で主要なるものを具体的にあげていただきたいと思います。
○岡崎国務大臣 結論がついたとは言わないのでありまして、大部分は見当がついた、まだ結論はついておらないが、こう申したのであります。そこでたとえば行政協定の中から想像されれば、ああいうものはやはり軍隊の地位に関する協定でありますから、たとえば入国はどうする、出国はどうする、あるいは電信その他ラジオ・ウエーヴの問題、あるいはいろいろの両国間の連絡はどういう委員会でするか、あるいは日本の法律を守るか守らぬか、いろいろ行政協定の中にもあります。そういう趣旨の問題のうち、多くの問題は大体話合いのめどはついた、こういうことであります。
○並木委員 私だけ時間をとるのは何ですから簡単にいたしますが、英国が日本の安全に寄与するためであるというような意思を持つておるということですが、それは大臣もさつき言われたように、間接的には日本の安全に関係があるでしよう、また寄与するでしよう。しかしこれは解釈のしようによると、とんでもない線につつ走るおそれがあるのです。要するに、あらゆる援助を与えるという国連協力の線というものはだんだん拡大されて、そういう英国の言葉などに押されて日本の外交が弱腰である、われわれは向うの言うなりほうだいに施設や区域を提供したり、裁判管轄権とか費用の問題でも折れなければならないということになると思うのですけれども、これは非常に重要な見解の食い違いかと思いますが、日本としてはどのようにこれに対して話合いを進めておられるのか、この点についてお尋ねいたします。
○岡崎国務大臣 これはもう論議の余地がないのでありまして、朝鮮における状況が初め非常に悪くて、釜山の方面まで北鮮軍が来そうのときの山口県福岡県その他、朝鮮に近い方の土地の人心の動揺等をお調べになれば、これは思い半ばに過ぎるものがあるのであります。これは確かに日本の治安なり、安全なり、あるいは安全感なりというものについて非常に寄与しておることは、論議の余地がないと思います。従つてわれわれは国連軍の朝鮮における行動には、できるだけの協力をいたすというつもりでおるのであります。そこでこういう問題について弱腰とか強腰とかいうことは、あまり言うべきことでないと思いますが、私は少くとも外交的にはそんなに強腰でつつぱるということなら、何も外務大臣なんかいらないのでありましで、がんばつてばかりいればいいわけであります。むしろ私どもは外務省なりその他関係省かあまりがんばらないことを希望しておるのでありますが、やはり日本人としていろいろこまかいことでも、ついがんばりたくなるというのが実情で、七の間をどういうふうに調整して円満な関係に持つて行くかということに苦心をいたしております。
○並木委員 国連協力に限度があるということを、われわれは強く政府に要望したいのであります。これは抽象的な言葉ですから、水かけ論になるかもしれませんけれども、そうでなく、具体的に話を進めて行きますれば、たとえば朝鮮で行動する国連軍というものか水豊ダムの発電所を爆撃した、この爆撃はまだ手をゆるめないであろうというようなことが言われておる。さらに場合によつては、中国本土の爆撃の可能性すらあるということが伝えられて来ると、われわれ日本国民としては会心穏やかでなくなつて来るわけです。それはなぜかというと、それに伴つて日本が爆撃を受けるようなことが起るのじやないかという心配からなのであります。従つてわれわれ国連協力の線で国連軍との協定を結ぶにあたつては、朝鮮において行動しておる国連軍に対して日本政府としても関与する、重要な関心を持つことはもちろんでありますけれども、その情報に通じ、場合によつては日本政府としても意見を述べる、こういうところまで行かないと、この国連協力の限界がぼやけて来て、不慮の事態を招かないとも限らないのであります。最近もちろんデマでありましようけれども、警察予備隊が朝鮮の動乱に送られて、そうして遺骨となつて帰つて来たというような文書が発行されております。
○仲内委員長 簡単にお願いします。
○並木委員 そういうデマが出て来るゆえんのものは、ただいま私が質問しておる通り、国連協力の線をはつきり政府が証明しておらない、そこから来るのでありまして、私はこの際大臣に朝鮮動乱の見通しとともに、日本政府としても今までのように拱手傍観をしておらず、場合によつてはこれに必要なる発言をして、われわれの本土が爆撃を受けるというようなことが絶対にないように、またどんなことがあつても、警察予備隊や海上警備隊というようなものは、朝鮮動乱には絶対に出動させないというような点について断言をしていただきたいのであります。
○岡崎国務大臣 アメリカその他関係国とは、朝鮮の問題についてもよく話合いをいたしております。また先方もわれわれのアドヴアイス等があれば、快く聞きたいという建前で来ております。予備隊等が朝鮮に行かないということは再三言明しておるところであります。ここで繰返すのもこつけいなくらい、何べんも総理大臣から言明されておる通りであります。
○仲内委員長 中山マサ君。
○中山委員 最近最も国民を惑わし奇怪にたえない問題は、比較的短時日の間、ソ連、中共を旅行いたしまして帰つて見えました高良、帆足、宮腰王氏の最近の言動でございます。私ども地方に帰つて会しても、いろいろとこの方々のおつしやつておりますことが流布されまして、一方においては、赤い人たちに勝利の声を上げさせるようであり、一方におきましては、留守家族の心を千々に砕いておりますところの問題に私どもは直面するわけでございます。この方々は、その中の一人は落選もしていらつしやいますが、かつては国会議員であつたこともある人でありまして、七年の長きにわたりまして、この問題について国会も国民とともに悩み抜いて交渉をし、いろいろの手を打つて来たのでございますが、そういうことを十分に知つていらつしやるはずであるところのこの王氏がソ連に参られまして、帰られましたその報道を聞いておりますと、私どもがかたく反対して参りましたところのタス通信をまるのみにして、そうしてグロムイコ氏が、日本人はみかんでもりんごでもないのだから、箱に入れてこれを隠すわけには行かないとおつしやつたということだけを、ただそれだけを聞いて来て、これに対していかなる反駁をしたかというその反駁の半言一語も私どもは聞かせていただかないのでございます。この点につきまして、政府はいかなる態度をおとりになるのでございましようか。言論の自由、あるいは私どもがこの委員会において聞きました、三十四万を返さないところの国に、国会議員なりその他の人に行つてもらうように旅券を発給することはできないとおつしやいました外務大臣のあのお言葉を無視して、いゆる脱法行為的にソ連、中共に入られましたこの王氏を、また外務大臣も無視するという態度をおとりになるのでございましようか。私は政府の態度をただしたいと思うのであります。むろん、こういうことが市井のミーちやん、ハーちやんがやつたことなら見過すこともできましようけれども、立法の府であり、参議院はまたその立法の府を監督するものである。その議員であるところの人がこういうことをしたということは、国民に対するしめしもつかないと私はまことに残念に思つておりまして、この人たちが入ソして以来、私たちは留守家族の気持を気持として非常に心配しておつたのでございますが、この言辞、こういういわゆるかつて気ままな放言を、外務大臣はこのまま見過しになさるおつもりでございましようかというのが私の第一問でございます。 第二問といたしましては、タス通信は絶対に信用できないと私は今日まで叫び続けて参つております。御案内の通りに、その中には一人の死人の数字もないのであります。千人の中で一年に十人なり十二人なりが内地でも死んで行くことは私どもが承知しておることでございますが、あの気候の悪い、日本人に適しないところの、寒冷地帯におきまして、ノルマを上げなければ十分な食物すら与えられないところにおいて、わが同胞がそのまま一人も死んでいないということは、精神分裂症でない限りは信用しないことであろうと私は考えております。ところが高良富子女史がソ連に行かれたただ一つの得るところといたしましては、お墓に参詣をして花束を捧げて来た、こういう一事を見まして完全にタス通信がひつくり返されて来た。しかも彼女はモスクワにはすべてのわが同胞の姓名なり、すべての記録があると言うておられます。この人たちを外務省はお呼びになつてお聞きになつたかどうか私は知りませんが、新聞でそういうふうなことも私は見たのであります。もしお聞きになりましたならば、あの人たちの行動、言辞、報告というものが、責任ある政府の言うたこととして外務省はお聞き取りになつたかどうかというのが第二点であります。 そうして私は帆足氏の話をじかに聞いたのであります。あとで、レコードも持つて来ておるから、それを聞いてもらつたらわかるというお話でありましたが、それは二時間余りにわたるところのテープ・レコードであるそうであります。私はそれを聞かないのであります。それは中央における座談会でありまして、しかもそれは野坂參三氏に教育されて、現在は中共におけるとこりの民主連盟最高幹部であるところの中小路静男氏なる人物がその座談会を主催しておりまして私に言わせれば、これは完全に彼の統制下に置かれたるところの座談会であつて、中共におりふすところのわが同胞の自発的な自由る発言であると私は考えられないのであります。鳥居龍蔵博士も、引揚委員会でお呼びして向うの状態を聞きまたときに、中共においては、共産主義わく内の自由は与えられておるけれども、その以外の自由は絶対にない、日本に帰つて来て自由の多いのに驚いたという御証言がありましたことから考えても、これは共産主義のわく内の座談会の発言であろうと私は確信をいたすのでございますが、政府におかせられましては、こういう問題について、二万五千しかいないのだというようなことを帆足氏が言つておりますが、これをお受取りになるのか、それとも全国協議会におきまして、私ども苦心をいたしまして帰つて来た人に会つた報告、あるいは向うからの手紙の通信によりまして、どんなことがあつても七万はおるという私どものこの確信を、政府はやはり同じように持つていらつしやるのか、この点をお尋ねしたいと思います。こういうことは、ああいうふうに脱法行為をして来た人たちの行動につき、あるいは言辞についてここで取上げるのも、あるいはおとなげないとも私は考えるのでございますが、私は留守家族に面接してあまりにあの人たちの悩みのはげしいのに自分の考えを曲げまして、あえてここでお尋ね申し上げる次第であります。どうぞこの留守家族のために明快なる御側答を願いたいと思います。
○岡崎国務大臣 私も中山委員のお考えのようにこれらの人々のことはできるだけ問題にしない方がいいと考えておるのでありますが、しかしなかなか大きな宣伝をいたしておられますかり、そういう意味からいうと、政府の考え方をここで申し上げた方が、あるいは適切かと思うのであります。そこで私もある程度これらの人々の言つておることと伝えられる新聞の資料等も見ましたし、また高良氏のごときは外務省へ来たこともあるのであります。いろいろこまかに見てみますと、この三人の人々はどういう目的であるかはわかりません。あるいは選挙が近いからというなことかもしれませんが、とにかく全部が宣伝である、私は根拠のない宣伝である、こう申してさしつかえないと思います。従つてこれについてあまりいろいろ言うことは、かえつてその宣伝の目的を援助するような結果になるのでありますから、思わしくないと思つておるのであります。しかし今御指摘のように、政府が非常に詳しい調査をいたし、各種の資料を集めて調べた結果があるのみならず、在外同胞帰還促進全国協議会というような関係団体が非常な苦心をしまして、手紙を集めたり、あるいは帰つて来た人にその知る限りのまわりの人々の消息を確かめたりいたして、その結果を集計しました、それこそりつぱな資料に基くものを何ら考慮することなく、そうしてソ連の人の言うことならば、その地位がどういうところであるか、その責任がどういう人であるかは一向おかまいなく、ただソ連の人が言つたということで、そつちの方は完全にうのみをして、これを日本で言つて歩くというようなまつたく見識のないやり方で発言をいたしておるのでありますから、とうてい私はこういうものを信ずるわけに行かないのであります。また現に今お話のように、日本においてさえ死人が千人に十二、三人という死亡率があるのは当然でありますから、いくらソ連の医術が進歩したからといつて、一人も死なないというわけはないのであります。現にソ連人はたくさんな死亡率があるのであります。そんなこつけいなことをだれも信ずるわけに行かないのであります。お墓があつたということでありますから、やはり死んだ人はあるのでありましようが、これについても、そのお墓が一体何のお墓であるか、お墓の中をかきまわして見たわけでもありますまいし、名簿がそれについてはあるといつたつて、その名簿を見たこともないわけでありますから、お墓があるということ自体が、それが日本人のお墓であるかどうか、これも実はわからないのであります。ただ先方の人が、これは日本人の墓であると言われたから、これは日本人のお墓であると信じて帰つて来ただけのことと思われます。もしソ連政府にちやんとした名簿があるならば、これは当然日本にこれを送ることが、国際法からいいましても、国際的の通念からいいましても、当然のことでありまして、ソ連政府がそれを持つておりながら、日本にこれを届けない、知らせないということは、これは非常な間違つた行為であることは申すまでもないのであります。この点についても、私どもは日本におります遺家族の人々の心情を思つて義憤にたえないのであります。よくそういうことをのめのめと言えるものだ、こう考えております。またこれらの人々が中共へ行きまして座談会をやつた、こう言つておられますけれども、その座談会なるものは今お話のように完全に統制されたつくりものであるとしか私どもは考えられないのであります。これは何も中共に限つたことではありません。共産国家のいずれにおいても行われておることであります。現にわれわれはいろいろの方面からいろいろの手紙を見せてもらつておりますが、それは中共におる人々、日本の人々が何とかして帰りたいという切々たる真情を訴えて来ておるのでありまして、日本に帰りたくないとか、ときどき日本に帰つたり、中共に行つたりすればいいのだというようなことは、私はこれはうそにきまつておると思います。それはおそらく良心があれば、これらの三人の人——高良氏なり、十分中共で実地に見てわかるはずだと思います。もしわからないとすれば、それはほんとうの共産主義の人々ばかりを集めた座談会であつたに違いないと思います。が、いずれにしましても、この日本に届いて来る手紙の事情から見まして、中共へ実地に行つた人がそういうことがわからないで帰つて来たとすれば、これはもうむしろこつけいだと思うくらいでありますが、その程度の認識しか持たないとすれば、ソ連の中をどこを歩いたのか知りませんけれども、ソ連においても同じような認識しか持てないものである、こう断ぜざるを得ないのであります。要するにこれはまつたく根拠のない宣伝をいたして、そうして留守家族その他国民を侮辱するものであると私は強く考えておるのでありまして、こういうものを取上げる気持は全然ありません。また日本の国民、特に留守家族の人々が、こういう人たちの言うことに迷わされないようにぜひお願いしたいと思いますので、こういう機会にこれらの人々の宣伝のお手伝いをするようになると好ましくないのでありますけれども、特に発言をいたしてその点を明らかにしたいと考えておるのであります。
○中山委員 大臣の仰せ、まことにごもつともだと私も了承いたしておりますが、しかしこうして大びらに確かに墓に行つて来た、そうして記録もあると言われるのでございますから、その言質をとつて、外務省から私はぜひひとつ、この墓に行つたということを帰つて来て報告した者がある、その死者の数がタスの発表にはないのであるが、ぜひそれを発表する責任があるということをソ連の大使館を通じてなり、あるいは直接になり確かめてやろうという御意思はございませんでしようか。
○岡崎国務大臣 これはいろいろの方法がありますが、すでにそういう趣旨の申入れをいたすように関係の方面と話合いをいたしております。関係方面でも——これはちよつと今さつきのどういう方面でそういうことを引受けたということを申しますと、結果が悪くなる。つまりああいう地区で活動が困難になるというおそれがありますので、差控えますけれども、話合いをいたしております。いろいろの方法においてその日本側の考えを先方に伝えて努力をいたしてみようという返事ももらつております。
○仲内委員長 山本君。
○山本(利)委員 私は先ほど並木委員の質問のありました国連軍との行政協定について、二、三さらに質問して入たいと思うのであります。アメリカ軍が日本に駐留するというその目的は明瞭でありまして、また国連軍が今朝鮮で活動しておるということも明瞭なのでありますが、国連軍が日本に駐留する場合には、現在のところそれは日本というものはそれらの軍隊の通過地として使用されておるのでありますか、あるいは朝鮮事変に対する根拠地として日本が使用されておるのでありますか、その点についてお伺いいたしたいと思います。
○岡崎国務大臣 そういうむずかしい点はないのでありまして、たとえば食糧を朝鮮に持つて行く場合にも、朝鮮に非常に多数の軍隊が行つておりますから、倉庫が不足しておるという場合には、日本に食糧の食庫を得て、これに食糧を貯蔵して、近いところから持つて行くという場合もありましようし、あるいは朝鮮における将兵が休養するために日本に来て休むという場合もありましようし、また補充の軍隊を日本に置いておいて、負傷したり病気になつたりした人たちをすぐ補充するという方法もありましようし、いろいろの方法があるのでありまして、一概に根拠地であるとも言えないし、通過地であるとも言えない。根拠地という言葉が非常にむずかしい言葉になりましようが、通過地でないものはみな根拠地だといえば、それは根拠地の一部であるばあいもありましようが、いろいろな意味でそれはあるのであります。要するに国連軍の行動を日本政府としてはさしつかえない範囲で援助する、協力するという建前で来ておるわけであります。
○山本(利)委員 そういたしますと、私は今度の国連軍との行政協定というものは、基本はどうしても北大西洋条約にのつとるべきであつて、この日米安全保障条約に基くところの行政協定に接近せしめる必要はないと考えるのであります。その理由の一つとしても、この費用の分担という点が先ほど触れられまして、日本は国連軍に協力するという意味で、できるだけの費用の分担もしなければならぬという意味のお話もありましたが、そういう場合は、日本の財政から見て、今度の朝鮮事変に対してどれほどの分担がなし得るかということは、別個に金額を定むべきものであつて、日本におる軍隊の宿舎であるとか、その他労務であるとか、いろいろなものを定めて、朝鮮事変に対して日本に駐屯する国連軍に対しては、これこれの種目のことは分担しようといつた形式の契約をした場合に、もしこの事変がますます悪化して、各国軍が非常にたくさんの軍隊を増加するという場合も考えられますから、その場合にある国に対して、たとえば英国なら英国の軍隊に対してはこの程度の負担をするが、その他の国に対してはその点できないというような問題が起り得ると思うのでありますが、この点に対しては外務大臣はどういうぐあいにお考えになりますか。
○岡崎国務大臣 費用の点は私はそうむずかしいことにはならないと思つております。先方もそんなに日本に大きな費用を負担をしてもらおうと考えておりませんし、日本もむろんこれは税金の関係でありますから、大きな費用は負担できないと思います。要するに問題は——これはざつくばらんに申しますれば、国有財産があるわけであります。一般の、たとえば個人の持つておるものなんかは、これは契約で借りる以外に方法がない、国有の土地なり建物がある場合に、これをただで貸すか、あるいはある程度の使用料をとつて貸すか、それとも普通の商業的な勘定によつての全額の使用料をとつて貸すかという程度のことでありまして、それ以上の問題はないのであります。
○山本(利)委員 ではもう一点、この国連軍に対する協定の期限というものは、その協定文中には、どういう形で表わすつもりでありますか。たとえば一年ごとにこれは改訂するということか、あるいは朝鮮事変が終了するまでというか。その場合には朝鮮事変というものの終了はどういうことによつて認めるつもりであるか。ただだらだらにこれがいつまでもおるということは、国民に対しての私は不安の念を起させる一つの原因ではないかと考えます。
○岡崎国務大臣 それはお考えはごもつともでありますが、実はヨーロツパの遠い国から朝鮮に兵隊を派遣して、その兵隊が毎日、大げさに言えば、死んでいる。費用も非常にかかつておるのでありまして、従つて国連軍の各国も長く朝鮮にいたいなんて考えている国は一つもないのであります。非常に苦しい中から費用を負担し、自分の子弟を殺してあすこで正義のために戦つておるわけであります。従つて不必要にだらだらいつまでもおるなんということは、これはわれわれが考える以上に各国が考えておるわけでありますから、その点は心配ないと思うのでありますが、各国が非常な犠牲を甘んじて遠い朝鮮のために奮闘しておる間は、われわれはこれに協力して、できるだけの便宜を供与すべきである、こう考えておりますので、今のところまだこれは交渉中でありまして、決定はむろんいたしおりませんが、われわれは朝鮮の問題が片づくまでといたしても、ちつとも日本に特別の不利はないと考えております。大体そのつもりでおるわけであります。
○山本(利)委員 岡崎外務大臣の非常に人情の厚いものの考え方ということにはまことに敬意を表するわけでありますけれども、国連軍に対しあるいはその他の国に対して人情を表わすことは、いくらでもできるのであつて、いろいろな方法があるのであつて、この外国と条約とか協定を結ぶ場合には、そのことの自国人に与える精神的な影響ということも常に考えなければならぬから、ただこうであろうという好意的な推測のもとに物事をはかつておくということは、私はどうかと考えるのであります。こういうことは条約は条約としてはつきりした線を出し、さらに国連軍に協力するあるいは親切にするということは、その他の点においていくらでもできることであつて、今のような点について、私の意見としては条約等においてははつきりとしたところを——決してこれには対抗意識を持つて相手と競争するという意味ではなしに、ぎりぎりのところまで、だれが聞いても納得する線を出していただくのが、私は国民の要望であると考えます。 次にこの七月の二十八日からワシントンで日米英仏加五箇国の極東貿易国際会議というものが開かれておるようであります。新聞その他の論調から推しましても、米国の希望する中共貿易に対する西欧諸国の輸出禁止措置を、現在日本が輸出貿易管理令で行つている程度まで高めるか、あるいはそれ以上の線で自由主義諸国の足並をそろえたいという意向は十分にあるようでありますけれども、もしそうする場合においては、貿易によつて立たなければならぬ日本は、東南アジアの貿易によつて、中共貿易から受けるその犠牲の代償を求めなければならぬと思うのでありますけれども、これもアジアの諸国が名目的には独立しておりましても、経済的には西欧諸国の支配下にあることは事実でありますから、なかなかそこへ日本の進出ということは容易なことではないと考えるのであります。でありますから、こういう場合には今の対中共の貿易が論議せられる場合には、必ずこの東南アジアの貿易ということもからませて論議してもらうように日本としては持つて行くべきではないか、かように考えるのでありますが、この点が切り離されておるということに対しての外務大臣の御意見を承りたい。
○岡崎国務大臣 そういういろいろのお話でありますが、今ワシントンで会議をいたしておりますのは、今お話のようないろいろの品目についてどうのこうのという問題ではないように私は考えております。そのほかの今御意見のような東南アジアの貿易その他につきましては、これは別個に関係諸国と相談をいたしまして、できるだけ善処をするのが適当であろう、こう考えて、むろん政府でもそのつもりでやつております。
○山本(利)委員 それでは近い将来において、アジア経済会議といつたようなものを、日本が中心になつてと申しますか、日本の希望に基いて、アジア関係の列強と申しますか列国、さらに最近独立したアジアの国々を招集されるという意思がありと解釈してよろしゆうございますか。
○岡崎国務大臣 私はそういうことは考えておりません。たださえ日本の経済侵略という声が方々にあるのでありまして、日本が先だちになつてそんなものを招集するということは、今の情勢ではかえつて逆な効果を来すのではないかと思います。こういうものはできるだけ慎重に考えなければならないと思います。そういうようなことは、私はただいまのところ考えておりません。
○仲内委員長 佐々木盛雄君。
○佐々木(盛)委員 大分時間も進みましたので、私はあまり体系的な質問はできませんが、断片的に二、三の点について政府側の見解をただしておきたいと思います。先ほど来国連軍の問題について質問がございましたが、私は並木君のごとくしかく簡単にこの裁判権の問題などを割切ることは困難であろうと思います。なるほど国連軍というものといわゆる駐留軍というものとは、法律上はまつたく別個の存在でありますけれども、おそらくは同一の人物が同一の基地において行動する場合において、国連軍としての性格と駐留軍としての性格を同時に持つことがあると思います。従つてそのような場合において、同一の基地内において二つの性格を持つた軍隊が犯した犯罪等に対する裁判管轄権の問題は一体どちらになるのか。先ほどもちよつと御説明がありましたが、その点につきまして私どもはあまり質問する時間がございませんが、政府側の見解をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
○岡崎国務大臣 私どもの承知しておるところでは、同一の人が同時に二つの性格を持つておるということではないようでありまして、どちらかの性格を持つようでありますが、それがいつ何日何時何分になるかということにたると、なかなかはつきりしたことが出て来ない場合が多いのではないかと思います。お前は国連軍であるとか、お前は駐留軍であるとかいう命令が出ましても、たとえばその人が旅行をしておるというときに、一体いつどつちの性格にかわつたかということはむずかしい。また本人も自覚していないかもしれないというようなことはあり得ると思いますが、理論的にはどちらか一つの性格を持つものであると了解しております。
○佐々木(盛)委員 たとえばある特定のベースにおきまして、従来アメリカの駐留軍であつたというのが、その基地も人間も全部がコモンウエルス・フオーセスの中の一つの単位の中にある、つまり国連軍の中に入つて来るということはあり得ないでありましようか。
○岡崎国務大臣 それは理論的にはあり得るかもしれませんが、実際の取扱いとしては、アメリカの駐留軍はそういう取扱いをいたさないようであります。
○佐々木(盛)委員 たとえばもつと露骨にわかりやすく例をとつて申し上げますと、あるベースの中に二つの看板がかかる、一つは国連軍としての看板、一つは駐留軍としての看板、こういうふうなことは私は必ず起るのではないかと思いますが、そういうことはないという建前なのですか。
○岡崎国務大臣 建前としては、ないようにするためにできるだけの措置を講ずるようであります。ただ、たとえばクラーク大将が国連軍の司令官であり、同時に駐留軍の司令官である、一人で二人を兼ねておるということは競り得るわけでありますが、しかしクラーク大将は日本におる限りは駐留軍の司令官として行動する、但し国連軍の司令官としての事務も見ることはある、資格においては日本を出たら国連軍の司令官、日本におる間は駐留軍の司令官として行動する、あるいはそれと逆にこれこれの人は日本にいても国連軍として行動する者であつて、日本の駐留軍の一員として行動することはないというふうに向うで区別をいたすようであります。
○佐々木(盛)委員 今のクラーク大将の例は、アメリカ軍というものは日本にいる限り駐留軍であつて、一たび外へ出れば国連軍であるという原則ではないでしよう。ただい男はたまたまそういうふうなとりきめをすると申しますか、そういうふうにして使いわけをするということの御説明であつて、原則的に一般的にいつて、アメリカ軍が日本国内におるものは駐留軍であつて、出たときには国連軍になるというのではないと思いますが、いかがでしようか。
○岡崎国務大臣 これはいろいろの形がございまして、たとえば日本にいる駐留軍が全部アメリカの国連軍として出ている軍隊であるというなら、あなたのような御議論も立つかもしれませんが、全然別個にアメリカから朝鮮に派遣される国連軍の一部がありまして、それがまた任務が終ればアメリカに帰る、こういう建前のものがありとしますれば、それは日本にいても国連軍の一部である、こういうことになり得るわけであります。
○佐々木(盛)委員 そうすると、私先ほど申したように、これは法律上りつぱに成り立つと思いますが、国連軍としての性格と駐留軍としての性格という二重の性格を持つた特定の軍隊というものは存在し得ると思う。その場合におけるところの裁判管轄権はどちらに属するかという点につきまして、もう少し明らかにしてもらいたいと思います。
○岡崎国務大臣 それは理論的にはそういうことがあり得るのでありましようが、今度の現在の取扱いとしては、そういうことのないように、どちらかの資格に取扱いをいたそう、こういうことであります。
○佐々木(盛)委員 そうすると、場所とか日時によつて裁判管轄権というものがかわつて来る、こういうふうなお考えなのか、それとも駐留軍に対する安全保障協定に基くところの裁判管轄権というものがなくなつて、それが新しく今度の国連軍との協定によつて置きかえられる、こういう意味なのですか、その点を明らかにしていただきたい。
○岡崎国務大臣 ちよつと御質問がはつきりわからなかつたのでありますが……。
○佐々木(盛)委員 一つの点は、何月何日どこの基地において起つた事件であるというふうなことによつて、その特定の軍隊が国連軍なりや駐留軍なりやということが決定して来る。従つて裁判管轄権が国連軍として適用される、あるいは駐留軍として適用されるということなのか、それとも今度新しく国連軍との間に協定ができますと、今まですでにできております安全保障条約に基く裁判管轄権というものがなくなつて、新しくできた国連軍と日本との間の協定によつて置きかえられる、こういう意味なのかどうなのかを聞いておるのです。
○岡崎国務大臣 まだどうもはつきり私にはわかりませんけれども、こういうことなのです。ごくわかりやすく申し上げますれば、国連軍であろうとも駐留軍であろうとも、たとえばそのバラツク等の中においての裁判管轄権は同様であります。これは国際法上当然認められておる点です。またバラツク等の外、つまり施設区域の外におきましても、軍隊として行動する事件については、これも、裁判管轄権は駐留軍と国連軍との間に差別すべきものではないと私は考えております。要するに、これは差別があるかないかわかりませんが、もし差別ありとすれば、これは私人として行動するときの問題になつて来る。そこでアメリカの駐留軍の兵隊等につきましては、日本において私人として行動する場合に、それが国連軍であるか駐留軍であるかという差別が必要になつて来るわけであります。日本におります軍人等は駐留軍としておるのでありますから、外出してそこらを歩く場合も、駐留軍の一人としておるわけでありますが、朝鮮で働いた人が日本に帰つて来た場合、それがいつ駐留軍に編入されるか、それともずつと国連軍という資格で、日本を通過してアメリカへ帰るものであるか、そういう点に区別が出て来るわけであります。そのいつなるかということになると、命令がいつ出ておるか、それが汽車の中で伝達されたのがいつであるかということになつて、なかなかむずかしい点があろうと思いますが、理論的には区別ができるから区別して取扱おう、こういうつもりでおるのであります。
○佐々木(盛)委員 そうすると、この裁判管轄権の問題につきましては、国連軍との間の裁判管轄権と駐留軍との間の裁判管轄権との二本建になつて行く、しかもこの二本建はアメリカ人に対しても適用される、こういう意味なのか、どうですか。
○岡崎国務大臣 その裁判管轄権の内容はただいま交渉中でありますから、どうなるかわかりません。実質的に同じものになるかもしれませんし、違うものになるかもわかりませんが、観念的にはそうであります。ですから国連軍との協定に基く裁判管轄権というものができたとすれば、駐留軍との行政協定に基く裁判管轄権というものがあつて、国連軍として行動するものは、アメリカの兵隊でも国連側の裁判管轄権の支配下に立つ、こういうことになるわけであります。
○佐々木(盛)委員 それから従来の占領軍時代における占領軍が、日本の基地から出発をして朝鮮戦線へ行く、あるいは朝鮮戦線へ飛行機を飛ばすというような場合におけるその国連軍と占領軍との性格について、外務当局に今まで何回と、なく見解をただしたことがあります。そのときの外務当局の説明によりますと、日本の領土を一歩出ればそれは国連軍になる、日本における間はこれは占領軍であるというふうな当局の御説明であつたわけでありますか、今度日本と国連軍との協定ができますと、そういう段階を非常に飛躍いたしまして、まつたくここに新しき段階ができると思うのであります。さように考えますと、日本は、従来は朝鮮の戦線には介入しないのだという既定の方式なり消極的な方式であつたわけでありますが、今度は好むと好まざるとにかかわらず日本を基地として、日本との正式な条約によつて駐屯をしております軍隊が朝鮮戦線へおもむき得る、こういうことになる。それに対して日本が積極的に協力するのだということをすでに明らかにいたしておるわけであります。従いまして私は、朝鮮戦線に対する不介入の基本原則というものは発展的な解消をいたしまして、新しく、朝鮮戦線に対する日本の積極的協力の歴史的な段階に入つて来たと、かように考えるわけであります。従いまして私は、外務当局は従来のようなそういう消極的な方針から、さらに一歩前進したところの積極的な態度を明らかにすべきではなかろうかと考える。そうすることによつて、真に日本が国連軍に協力するという態勢を私は明らかにするのではなかろうかと思う。先ほどの、たとえば他の委員に対しての説明を聞いておりますと、国連軍に積極的に協力するのだという基本原則は認めながら、さりとてそれには限度があるのだということで、まことに論理の一貫しないものを私は痛感したわけであります。従つて私はこの段階において、日本が積極的に朝鮮問題の解決のために国連軍と協力するのだという、従来の基本方針から飛躍したところの段階に到達したことを、当局において率直に認めるべき時期ではなかろうかと考えますが、いかがでありますか。
○岡崎国務大臣 言葉じりをとらえるようでありますが、外務省の者が、日本の領土内においては占領軍、外へ出れば国連軍だというようなことを申し上げたはずはないと繰りのであります。というのは、たとえば船に乗つてアメリカへ帰る場合にもやはり日本の領土を離れるわけですが、そのときに国連軍であると私は考えておらない。また日本の占領軍当局も飛行機で日本の領海の外へ出る場合もあるわけであります。これは哨戒その他の必要な措置でありまして、日本の領海を出たらすぐ国連軍だということにはならないであろうと私は思います。これは朝鮮の方の領海ではなくて、太平洋の領海もありますし、りくつ上どうも日本の領土を離れたら国連軍だということは、一概には言えないと思います。従つてはつきりするのは、国連軍として行動するために日本の領海を離れまして朝鮮方面に向つた場合は、これは国連軍ということになるのだろうと思います。しかし現に日本の国内にありましても、たとえばいろいろの物資の輸送につきましては、それが朝鮮に向けられるもりであつた場合には、アメリカ側は、これは国連軍用の物資であるというので、日本の国内における鉄道の運賃その他を別途に払つておりますので、必ずしも日本の領土の内外がこの区別の基点になるとは思わないのであります。 第二の御質問につきましては、積極的、消極的というのは、これは言葉の争いになりましようが、四月三十八日以前にも十分なまた可能な範囲の協力をいたして来たのでありまして、四月二十八日以後におきましても、同様に可能な範囲ででき得る限りの協力をいたしておるのでありまして、その間に何も飛躍したこともありません。前には協力を惜しんで、今度は協力を本格的にやる、こういう意味でもないのであります。占領の前後を通じて、同じような程度に、可能な範囲での協力をいたしておるつもりであります。
○佐々木(盛)委員 そういう説明も成り立つのでありますが、従来は国連軍というものは日本の中にはいなかつたわけであります。今度新しく国連軍との条約によつて、国と国との間のとりきめでそれがおる。しかもそれが朝鮮戦線への目的のために存在するというからには、私はここに画期的な段階ができたものであることはいなめないことであると思う。でありますから、私はこの際もつと積極的に——日本が国連への協力を好むと好まざるとにかかわらず、すでに入つてしまつておる。朝鮮戦線不介入だと言いながら、実際は朝鮮戦線に介入してしまつたということに現実はなつて来たと思うのです。条約で正式にとりきめをして、そのとりきめによつて駐屯した軍隊が朝鮮戦線に行くのでありますから、日本がそれに対して積極的に協力するというのだつたら、朝鮮戦線不介入というプリーンシプルはもうなくなつており、朝鮮戦線に対して、下介入から新しく協力するという段階が出て来たものと思う。重ねて外務当局の御意見を伺いたい。
○岡崎国務大臣 私は不介入ということを政府が言つた覚えはないと思うのでありまして、国連軍にはできるだけ協力するという建前であります。占領中も、これは占領軍なら別でありますが、たとえば第一ビルにはアメリカの旗と国連軍の旗と両方立つておりますが、われわれはその国連軍の行動にもでき得る限りの協力をいたして来たのであります。その協力の実際的の内容は、占領の前後を通じてかわつておらないのであります。
○佐々木(盛)委員 私はそれではあとの点を一、二だけ箇条的に簡単に申し上げます。一つには、ただいま中山委員からお話のありました高良女史の問題でありますが、外務当局は、これは旅券法の作為的な違反であるというようなことを今まで述べておられました。帰つて来れば、王氏に会つて、これに対するところの、法律による適当な措置をとるのだということを再三明らかになさつておつたわけであります。帰つて来てから相当日にちがたつておりますが、これらの三人の方々に会われて事情をお聞きになつたか、そうしてこれに対するどういうふうな処置をとろうとお考えになつておるか。かくのごとき三氏がおやりになつたことが、きわめて国内に悪影響があることは、ただいま外務大臣がみずから指摘された通りである。ところがこれをこのまま放置されるにおきましては、第二、第三の高良女史が出ないとだれがはたして保証できますか。かように考えますと、私はこの際これらに対する明確な措置をとる必要があると思いますが、これらに対する所見を求めたいと思います。
○岡崎国務大臣 これらの人々が、旅券法の規定に違反してソ連等に行つたことは事実であります。しかし、規定に違反したことはすなわち処罰ができるかどうかということは、そこに処罰の規定がなければできないわけであります。従いまして、この点はとくと取調べの上ということは、今お話の通りであります。なお、たとえば処罰ができないにしても、このようなことをした諸君に対しては外務省は今後旅券等を発給しないということは、当然できるわけであります。そこであとのことは法律問題でありますから、外務省だけの意見でも決定しかねるので、法務府等とも研究を重ねて来ておりまして、適当に事務の方で結論が出たら、喚問するなり何なりして、措置をとることになつておりますが、どこまで行つたか、まだ私は報告を受けておりません。
○佐々木(盛)委員 次に、すでに司令部において発給いたしました旅券、特にこれが出入国管理令によつて規定されておるところによりますと、たとえばソ連の代表部のことについて申しますと、六箇月の期限が、十月の二十九日でありますかによつて効力を失うことになるわけでありますが、これについてすでにソ連代表部から三十数名かの名簿の提出があつたということもわれわれは新聞で伝え聞いておるわけであります。従つてこれが効力を失つた場合において、これに対する措置をどうするか、外交特権的なものの剥奪というようなことにつきましても、もうしばらく様子を見た上というお話であつたわけであります。その後のソ連側からの名簿の提出等の経緯や、いずれにいたしましても十月二十九日という日を目前に控えているわけですから、これに対し工外務当局はどういうふうなお考えであるかということを承つておきます。
○岡崎国務大臣 ソ連側から名簿のようなものをよこされたのは事実であります。但し、これは何かわからない使いが外務省に書類を置いて帰つたのでありまして、ちやんとした人間が外務省のちやんとした者にその書類を手交したというのではないのであります。従つてわれわれの方では、たくさん来ます投書とか陳情とか、その他の書類と同様に、これを別に一々送り返すこともしないで置いてあるだけであります。これは何も法律的の根拠があるとか、あるいは法律的の効果があると私は考えておりません。なお十月幾日とかいうお話でありますが、かりに六箇月という期限があるにしても、私は個個の人によつて期限は違うと思いますし、またかりに六箇月となつておつても、発給された日によつて十月何日というものはくずれるわけでありますから、最大限度十月何日というお話と思いますが、今でも外交特権等はソ連の人々は持つておらないのであります。条約のない国の人の取扱いになつているわけであります。但しこの旅券等にも、おわかりのように、デイクロマテイツクと、オフイシヤルと、普通の旅券と、三種あります。あの元のソ連の大使館がソ連政府の所有物であることは事実であり、その中にいる人がソ連政府の役人であるということも事実のようでありますから、それらの点は、国際慣行等によく準拠いたしまして適当な措置を講ずるつもりでおります。今のところ、別段特殊の権限とか特権等を求めているわけではないのであります。
○佐々木(盛)委員 それから先般成立いたしました出入国管理令、外国人登録法、こういう法令の適用によつて強制送還される——これは主として朝鮮人の場合でありますが——朝鮮人につきましては、日韓会談とも関係なく法律上は可能なことであると考えるわけでありますが、最近の各般の暴動事件等にかんがみまして、当然この法律の適用を受けるべきものがたくさんあることは、万人の認めるところであります。これらの人々の強制送還の問題について、日韓会談と関係なく、その法の適用によつて実現をすることができないかどうか、それらに対する外務当局の考え方はどうかという点を明らかにしていただきたい。
○岡崎国務大臣 国内法的にいえば、今お話の通りであります。強制送還というのは、どこかの国へ持つて行くのでありますから、その相手国が承知してこれを受取らなければ、実現できないわけであります。但しこれは国籍の問題等も日韓会談の一つの議題でありますから、日韓会談と特別に関係があるとも言えるし、そうでなくて、それと別に、先方で受取ろうと言えば、送ることもできるわけであります。今私どもはなるべく早くこれを実現したいと思いまして、先方と話をいたしております。
○佐々木(盛)委員 最後に一つ追放等の問題について承つておきたいのであります。申すまでもなく、ポツダム政令というものは講和条約の効力発効後六箇月間有効であります。従つてまだ残つております。追放の指定者も、十月の二十九日になりますと、追放ということが解消する。従つて日本には追放者というものは一人もいなくなる、こういうふうに考えるわけでありますが、その点はどうかということが第一点と、第二点は、ポツダム宣言というものが新しく講和条約によつておきかえられたと思うわけであります。しかしながら、ポツダム宣言の中に規定されておりますことは、これはわれわれが永久に基本方針として守らなければならない点であると考えます。そういたしますと、ポツダム宣言の第六条に「日本国国民ヲ欺瞞シ之ヲシテ世界征服ノ拳ニ出ヅルノ過誤ヲ犯サシメタル考ノ権力及勢力ハ永久ニ除去セラレザルベカラズ」と書いてあります。そこで私が承りたいことは、世界征服の過誤を犯さしめるに至つたところの勢力、これはおそらく政治家であろうと思います。あるいは民間人であろうと思います。権力、これはおそらく役人や軍隊、これは永久に除去されなければならないわけでありますが、すでにこれは永久になくなつてしまつたという前提にお立ちになつているのかどうか、すでにそういう罪を犯した者は、政治の面から、あるいは官界の面から、永久に姿を消さなければならぬという趣旨ではなかろうかと私は考えるわけであります。しかりとするならば、追放にあつた人間が全部この日本国民を欺瞞した人々とは私は考えませんけれども、少くともA級戦犯等に入つたような人々や、政府の最高首脳部であつたような人々は、このポツダム宣言第六条に規定されたところの人々でなかろうかと私は考える。そうでないというなら、一体世界征服の過誤を犯さしめるに至つたる者の勢力や権力が日本になかつたことになる。そこで、追放や何かが全部なくなるといたしますと、第六条に規定したところの日本国民を欺瞞して戦争をやらしめたところの人々というものは、すでに判決を受けて刑の執行をされた九名の戦犯と、今残つておる一部の人々——これとても近く相当解除される者が出て来るわけですが、そうすると日本には、そういつた戦争にかり立てたところの勢力や権力は、大してなかつたということに結論がなつて来ると思う。従いまして、まず第一点は、先ほど申したように、九月二十九日をもつて一切の追放の指定者という者はなくなるのかどうかという点であります。第二点はこのポツダム宣言との関係は一体どうなるのかという点を伺つておきたいと思います。
○岡崎国務大臣 ポツダム宣言との関係につきましては、両方から考えていただかぬといかぬと思います。つまりポツダム宣言にあるのは、そういう人たちの勢力なり権力なりを剥奪するということでありますが、それは罰という意味もありましようけれども、再びこういうあやまちを犯さないための手段であります。そこで、民主主義を根幹として新しい日本を建設しておる現状におきましては、こういうような事例は再び起らないような十分な防ぎ方がいたしてある。従つて再びかかることが起る心配がないということにもなると考えておるのであります。ただ文字だけで永久にということになれば、死ぬまでということでありましよう。しかし場合によつたら、考え方によつては、死んでもまだ勢力が残るということがありましようが、そういう勢力がかりにあつてもなくても、日本の民主主義の態勢がしつかりしておつて、もはやそういうものに影響される心配がないということになれば、事実上かかる勢力なり権力なりは除去されたということになり得ると考えております。従いまして追放等も必要がないということになるわけであります。
○佐々木(盛)委員 最後に一点だけ。そうすると、少くともそういう道義的な罪を犯した者であつても、今世の中がかわつて来ればかまわぬという考え方に立たれておるようでありますが、私はこの第六条というものは、日本国民を欺瞞して世界戦争を起させるに至りたるような一切の勢力や権力、そういう人物は、政治の面あるいはまたお役人の面から永久に消えてなくならなければならぬ、再びそういう人間が顔を出してはいけない、こういうものでなかろうかと私は考えるわけであります。そうすると、今まで日本においては、特に最近の世上を見ますと、日本人を欺瞞して世界征服の過誤を犯さしめたるに至りたるところの勢力が、一体どこにあつたかということに私は迷うのです。最近の世の中を見ると何もそういうものがなかつたと同じようです。たとえばこれはある政党におきましても、その人が極東軍事法廷において無罪ではありましたけれども、一時は戦犯になつておつた。私はこういう方々も、ことによると道義的には永久に除去されなければならない人々であろうかと考えるのであります。これがまた政界を担当しようということになつて参りますと、だれが日本の敗戦の責任者であるか、だれがこの第六条に規定するところの過誤を犯さしめるに由りたる勢力や権力かと申しましても、それは戦犯だけであつて、すでにての戦犯はなくなつてしまつた、あとは無罪放免となつてしまつたということになる。こういうことは東洋的な国民的な国民道義の上から考えますと、まことに私はふに落ちないものがある。そういうことになりますと、今までの追放とか戦犯とかいうことは、まつたくナンセンスということにもなつてしまうわけであります。私はそういう意味から申しまして、そういつた人々は永久に出て来べきではないという趣旨ではなかろうかと考えるわけであります。そういう御説明であればけつこうでありますが、一体政府の方ではどういうお考えか、あえてもう一度伺つておきます。
○岡崎国務大臣 今私の説明いたしましたのは、ポツダム宣言等との関係を法律的ないろいろな角度から申し上げたのでありまして、道義的にどうかということは別問題であります。これは政府がやるというよりも、国民の輿論なり何なり、そういう種類の方面において、道義的責任を問うとか問わぬとかいうことはあり得ると思います。また民主主義というものはそういうことができるような仕掛になりておるものと信じております。これは政府がどうこうするという問題ではないと私は考えております。
○仲内委員長 黒田寿男君。
○黒田委員 私は先ほどの関連質問の続きを少しばかりお尋ねしてみたいと思います。安全保障条約第三条に基く行政協定に基きましてアメリカの軍隊が日本に駐留しておりますことと、朝鮮に出動する国連軍の一部としてアメリカ軍が駐留しておるということは、これは明らかに目的も性質も違うと思います。そこで私は、アメリカ軍隊につきましても、国連軍を構成するものである限りは、行政協定とは別個の意味において、日本に駐留することに関する新協定をしなければならぬと考えます。これは議論の余地のないところであろうと考えるのであります。そこで私は事実上非常にむずかしい問題が起るのではなかろうかと思うのですが、一体実際上において米軍についてその使いわけはできるかどうか。たとえば裁判権の適用というような問題について、行政協定によりますれば、今のところ日本といたしましては、あのような非常に下名誉な、他のどこの国にアメリカ軍隊が駐留する場合における取扱いとも違うような取扱いをしなければならぬような刑事裁判管轄権の規定を日本はのんだのでありますが、今度新たにできる協定はどうもそうではないように予測せられるのであります。そうしますと、同じアメリカ軍に対して一体どちらの裁判管轄に関する協定を適用するのか、というような非常にむずかしい問題が起ると思うのですが、この点は政府はどのようにお考えになつておりますか。
○岡崎国務大臣 これは今佐々木委員にお答えしました通り、アメリカ側でその点は一々区別をする考えでおるのであります。
○黒田委員 念のためにちよつとお伺いしておきますが、先ほど外務大臣は、山本君の御質問、すなわちアメリカの軍隊が朝鮮事変に関連して日本に来ておるが、それはたとえば通過ということを主たる目的としておるのか、それとも主として日本を基地として利用するという意味においてのその利用を目的として来ておるのかというような御質問に対しまして、何か非常に消極的なお話があつたようであります。たとえば食糧の問題について日本が補給の便宜をはかるとか、あるいは向うで傷ついたような人々が一時日本に来て治療するのであるとか、あるいはまた朝鮮事変での任務を終えて帰国する場合のアメリカの軍隊の日本通過権だというような意味のことだけをお話になりましたが、それだけではなくて、むしろ朝鮮に積極的に日本を基地として出動する。たとえば朝鮮を爆撃する国際連合軍としてのアメリカの軍隊が日本を基地として積極的に利用しておる、こういうふうに考えなければ、私ども事態を正しく認識したことにならぬと思います。それがいいか悪いかという判断は私はここではいたしません。ただ国民には真実を知らさなければならぬ。真実は何かといえば、アメリカ軍が国連軍として日本を利用しておるのは、私があげましたような積極的な目的があつての利用である。これだけははつきりと国民に知らしておかなければなりません。どうも外務大臣のお話は消極的です。たとえばクラーク大将にいたしましても、日本におるときは駐留軍の司令官で、それ以外の資格はなくて、日本を去つて朝鮮に行つたときに初めて国際連合軍の司令官になるのだという御見解でありましたけれども、私はそうではないと思います。マツカーサー元帥が国連の司令官を兼ねたその時から、現在場所はかわりましたけれども、以前は丸の内のある場所に国際連合軍の司令官としての旗が立つており、国際連合軍司令官として日本に駐在しておつたのだと思います。この点は私はリツジウエイ大将になつても、クラーク大将になつてもかわりはないと思いますから、このことは国民にはつきり認識させる、そうして賛成する者は賛成するでしようし、反対する者は反対するでありましよう。そこを非常にあいまいに、すなわち国連軍としてのアメリカ軍が、何と申しますか、いわば消極的意味の目的で日本におるにすぎないのだというような認識のさせ方を政府当局がなさることは、非常に国民を誤るものである、こういうことを私は心配しておるのであります。私の言うように考えてみますと、むしろ現在として米国軍が日本に駐留しておりますのは、日本を基地として朝鮮に出動するということの方が、比重が大きいのではないか。従つて米国駐留軍が日本に外国軍隊として駐留しておることに関し、わが国との間に生ずる関係を規定する協定といたしましては、むしろ新協定に暗点を置くべきだと私ども考えておる。その新協定によつてアメリカ軍にも対処する。安全保障条約に基く行政協定に基くよりも、新協定にむしろ重点を置くべきである。私はこのように考える。またこれが実際に即した取扱い方ではないか、こういうように考えるのです。向うがどうするかわかりませんが、日本としては一体どういう関係と見るべきか。それは私はアメリカの駐留軍に対する費用の分担の問題にも具体的に関連して来ると思います。日本の現在の国家財政の状態からいたしますれば、外国軍隊のために金を支出する、財政支出をすることは、その額が非常な厖大なものでないといたしましても、日本の財政それ自身が非常に貧弱でありますから、やはり大きく響いて来るのであります。そういうことを私ども今後国会において予算を審議する場合にも考えなければならぬと思いますが、一体政府はどちらに重点を置くのであるか。アメリカ軍に対しては日本の政府としてはどちらの協定に重点を置くつもりでありますか、こういう点をちよつと参考のために聞かしていただきたいと思いまする
○岡崎国務大臣 アメリカ軍隊については、われわれは日本の防衛のために日本に駐留するということに主眼を置いておりますから、その条件を規定する行政協定に主眼を置いております。なおアメリカの駐留軍が朝鮮等に出動する、いわゆる国連軍の一部として行動する場合には、汽車の費用であるとか輸送の費用であるとか、すべては米軍側が別に支払いをいたしておるのであります。これは防衛分担金等からは一切支出しておりません。
○黒田委員 時間がありませんからこれはこの程度にして、最後に一つ、わかり切つたことのようにも思いますがお聞きしたいと思いますことは、アメリカの軍隊が現在朝鮮に出動しておりますのは、安全保障条約第一条による出動ではない、すなわち日本の安全に寄与することを目的として極東のある地域に出動しているという意味のものではないと思うが、そうであるかないかということをはつきりさしていただきたい。何か先ほどから朝鮮事変について国連軍が朝鮮に出動することは、必ずしも日本の安全と無関係ではないというようなお話もあつたようであります。常識的に言えば——これはもつとも観点の相違でありますけれども、ある一つの観点かちすれば、そういう見方もできないことはないと思います。私どもはむしろ全然逆な見方を持つておりますけれども、私どもと反対の立場から見れば、岡崎外務大臣の言われましたような見方もできないことではないと思います。しかしそれは常識的な見方でありまして、やはりこういう条約上の問題といたしましては、はつきりさせておかなければなりません。そこで朝鮮に米軍が出動しているのは安全保障条約第二条によつて出動しているのではないということ、それをはつきりと国民にお示しおきを願いたいと思います。それは私どもはそうであると思いますけれども、何か大臣のお話を伺つておりますと、まさか条約上はそういう解釈以外はできないでしようが、実際には何か第一条に基く出動であるようなにおいがするお話のようにも思いますので、この点をはつきりさしておいていただきたい。きようは私は時間がありませんからこれで終ります。
○岡崎国務大臣 もし安全保障条約ができたあとで朝鮮事変が起つたと仮定すれば、あるいは安全保障条約第一条によつて米駐留軍が朝鮮に出動したかもしれません。しかし安全保障条約ができる前に朝鮮事変が起りまして、国連の決議によつて関係国が兵隊を出してあそこで行動しているのでありますから、事実上安全保障条約の第一条によつて行動しているわけじやないのであります。しかし私が言いました日本の安全に非常に寄与しているというのは、今申した通り、もしそういう関係が逆になつて、時間的に朝鮮事変があとで、今ごろ起つたとすれば、あるいは安全保障条約によつて行動したかもしれないくらいに、日本の安全とは非常に密接な関係のある事柄であると私は考えます。
○黒田委員 私はそれは非常に重大な御発言だと思います。しかし先ほどから申し上げておりますように時間がございませんので、あまり深くは御質問申し上げませんが、問題の提起だけさしておいていただきたいと思います。これは実はこの前の外務委員会のときに条約局長にもお尋ねしましたが、自分の答える範囲でないというので、お答えが得られなかつたので、外務大臣にお尋ねしてみたいと思います。私は元来日本が、吉田・アチソン交換公文のようなものによつて外国との間に一定の事項について了解をつける、すなわちそれが国連と他の勢力との間の対立に関連するものでありましようとも、どういう他の性質の対立でありましようとも、日本は現在の憲法が存在しております限りは、外国と外国との戦争、あるいは武力闘争、そういうものには関係してはならぬということになつておるのではなかろうか。なかろうかではなくてそうである、私どもはそういうように理解しておるのであります。そこで、日本の憲法が存在しておるにもかかわらず、岡崎外務大臣のようなお考えで簡単に事を進めて行くということになりますと——、これも価値判断の相違は別問題といたしまして、私は現在の憲法に違反する行為になると思います。それが現在平気で行われておる、そういうふうに私は思うのであります。現状のような国連軍の行動に関して、とにかくそれに基地を提供し、物資を提供し、労務を提供するということによつて日本がその対立に参加する、すなわち対立勢力の一つに日本が加担する、武力をもつて加担するのではなくても、とにかく加担する、それは他方の勢力に対する敵対である。それは、宣戦布告はしないけれども、一種の戦争なり武力闘争なりに、日本が参加するということを意味するものであります。そういうことは日本の憲法がある限りはできぬ、それは断らなければならぬ、私はそう思うのであります。しかし、きようは時間がございませんからあまり深入つた議論はできないと思いますが、大体この点についてどう思うか、大臣からちよつと結論だけお聞かせ願いたいと思います。
○岡崎国務大臣 黒田君の御意見は御意見として承りますが、吉田・アチソン交換公文は国会に提出しまして、国会議員の多数はこれがいいということになつて、圧倒的多数をもつて承認されたのでありますから、黒田君の御意見がかりにその通りとしても、これはごく少数意見でありまして、国会議員の多数はそうでないと考えておることを御承知願います。
○仲内委員長 本日はこれにて散会いたします。 午後一時十三分散会