外務委員会 第38号
- 発言数
- 159 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1952/07/02
会議録
○仲内委員長 ただいまより外務委員会を開会いたします。 国際情勢等に関する件について質疑を行うことにいたします。質疑は通告順によつて順次これを許します。菊池義郎君。
○菊池委員 保安庁にお伺いいたしたいと思います。一日に外務省で開かれました外人記者会見で、外務大臣が発言されたことが新聞に載つておりまして、非公式に米国に駆逐艦の貸與を要望しておると言われておるのでありますが、この駆逐艦は何にお使いになるつもりでございましようか。何も爆雷を投げることばかりじやございまけん。ほかの用途もいろいろありましよう。
○柳澤(米)政府委員 海上保安庁といたしまして、米国に対しまして駆逐艦の貸與を要望したことはいまだありません。われわれといたしましては船舶の救助あるいはその他の場合に、千五百トン級くらいの船舶がいる。従つてこれらの船舶が十隻、及び二百五十トン級の船舶五十隻は今まで要望いたしました。これは向うでも多分貸してくれることに相なつておると考えております。駆逐艦等のことにつきましては、われわれとしては全然要望したことはございません。
○菊池委員 外務省の方へ申し入れたこともございませんですか。
○柳澤(米)政府委員 ございません。
○菊池委員 それでは政務次官にお伺いしたいのですが、この点どうなつておるのですか。外務大臣が知つておられることはあなた方筒抜けに御存じだろうと思うのです。
○石原(幹)政府委員 先ほど海上保安庁の長官から答えられた通りでございます。
○菊池委員 そうしますと、これはどういう間違いからこういう新聞記事が出ておるのです。——そうしますと、保安庁の方にまたお伺いしますが、この前新聞をにぎわしておりましたあのいろいろな船舶を借り受けるということ、あれは事実でございますか。
○柳澤(米)政府委員 先ほど申し上げました通り、大体千五百トン級の船艇十隻、二百五十トン級の船艇五十隻、これはわれわれとしてはぜひ必要であるということでアメリカ側に申し入れました。向う側でも、大体そのくらいのものは貸せるということに相なつておるわけでございます。
○菊池委員 それからこれも新聞記事でありますが、保安庁は保安隊員を海外に常駐せしめて、向うの情報を日本に取入れる、そういうことをただいま計画しておられる。これはまことにけつこうなことであると存じます。ちようど日本の陸海軍が健在でありました時分に、海外に日本の情報網を持つておつた。それは当然でありますが、こういうことを考えておられましようか、どうでしようか。
○柳澤(米)政府委員 海上保安庁といたしましては、まだそういう考えは持つておりません。海外に人間を派遣するということを、情報関係その他でやろうということは、まだわれわれ事務当局としては何ら考えておりません。
○菊池委員 政務次官にお伺いいたしますが、この前外務大臣からマーフイー大使に対しまして、小笠原の引揚住民を小笠原に返すように、強硬に申し入れておるということを私に言われました。実は祕書官から聞きましたが、大使館からその後何か通知がございましたでしようか、いかがですか。
○石原(幹)政府委員 小笠原の島民の帰還の問題につきましては、ただいまお話のございましたように、外務大臣名をもちまして、マーフイー大使に正式に公文をもつて今お願いをしておるわけでございますが、まだそれに対する返事が参つておりません。
○菊池委員 終ります。
○仲内委員長 山本利壽君。
○山本(利)委員 ただいま菊池委員からの御質問に対して、海上保安庁からのお答えがはつきりしなかつたように思いますので、私からもう一度お尋ねするのでありますが、日本とアメリカとの間に、艦艇の貸與に関しての交渉はあるのでありますか、ないのでありますか。
○柳澤(米)政府委員 先ほど申し上げました通り、千五百トン級の船舶十隻、二百五十トン級の船舶五十隻は、われわれの方が必要であるということで、アメリカ側に申し入れまして、交渉をしておるわけでございます。
○山本(利)委員 そうしますと、大月の十六日にアメリカの下院の軍事委員会に対して、ヴインソン委員長がフリゲート艦十八隻と上陸用舟艇五十隻を貸與するという法案を出したということについては、海上保安庁及び外務省においては何ら情報がないということでありますか。
○柳澤(米)政府委員 この交渉はわれわれの方がやつておりまして、ただいまお話のあるようなことは、われわれの方としましても、非常に関心がありますので、関係方面と打合せましていろいろ聞いておりますが、まだわれわれがタッチしております米側の方には、正式なものは何も入つていないということを聞いております。
○山本(利)委員 政務次官にお伺いいたしますが、六月十七日付の新聞には、ほとんど各紙ともこの問題が大きく取上げられておるのでありまして、そういう場合に、国民は日本がアメリカから艦艇を借りるのだと考えるのであります。それについては取消しもあるいは説明も外務省としては何ら加えられていないが、こういう場合には、ただいま海上保安庁長官からおつしやつたような程度のことでも発表されるのが、外交上あるいは国内の問題として適当ではないかと思うのでありますが、外務省は何ら否定的、肯定的な言葉を與えられない。しかも今までの外務委員会において再三この問題について質問したときには、このことは海上保安庁の方で扱つておることでありますから、詳しいことはわれわれからは申し上げかねますという御答弁であつた。この際政務次官のはつきりした御方針なり御答弁を承りたい。
○石原(幹)政府委員 この問題は、ただいま海上保安庁の方からお話がございましたように、海上保安庁と米海軍との間でいろいろ打合せが行われておるようでございます。外務省といたしましては、いろいろ専門的な意見は求められておるのでございますが、いわゆる主体となつてやつておられますのが保安庁でございます。従いまして外務省の方といたしましては、この問題について外務省から別に発表するとかどうとかいう立場のものでないと私は思つております。
○山本(利)委員 日本の再軍備が云々されておる際に、アメリカと駆逐艦の貸與を交渉しておるということを岡崎外相が外人記者会見で述べられたということは新聞に明らかに出ておる。きようの毎日新聞にも出ておるのでありますが、先ほどの海上保安庁からのお話によつて、外務次官はあの新聞記事は誤りであるということを、この外務委員会の席上でおつしやることができますか。私の懸念するところは、外人記者に外務当局が言われることと、そして真剣に国政を考えておる外務委員会において言われることとが間違つてはまことに困るから、この点についてあの新聞記事はでたらめであるということを、外務次官の名においてこの席上でおつしやられますか。
○石原(幹)政府委員 問題が二つになつたようでございます。先ほど保安庁から言つておられますように、千五百トン級の艦船十隻とその他上陸用舟艇、この問題はずつと話合いが行われておるようでありますが、駆逐艦を借りるとかどうとかいうことにつきましては、保安庁からただいまお話のありましたように、何らそういう折衝がないようでございます。外務当局としても、駆逐艦を借り受けるとかどうとかいう問題については、何ら承知していないのでございます。
○山本(利)委員 私は駆逐艦を借りることがよいことだとか、悪いことだとかいうことを言うのではないのでありまして、事実あることをないかのごとく発表されること、あるいはないことをあるかのごとく発表されることが、日本の国政上いろいろなさしさわりがあると考えて、今のようなことを申し上げたのでありますが、私の考えといたしましては、日本の海上を警備していただく、あるいは今後国際関係においていろいろな問題が起る際に、国民が安心しておれるような計画、方法というものは立てておいていただくのが当然だと思うのであります。 それで海上保安庁の方にお伺いいたすのでございますが、ただ行き当りばつたりで、このくらいな船を何隻貸してくれと次々にその時に応じておつしやるつもりでありますか、すでに日本の領海の安全を保障するためには、これこれの船がいるというふうな計画をお持ちでありますか、その点についてお尋ねいたします。
○柳澤(米)政府委員 海上保安庁といたしましては、現在におきまして船舶が不足していることは事実でございます。沿岸が約一万海里ございます。これに対しまして、現在の巡視船というものは大体九十五、六隻、百隻足らずでございます。従いまして一つの船舶が守る警戒の区域というものが非常に広くなつておる。従いましてこれらの船艇がまだ不足しておるということは考えられるわけでございます。これに対しまして、財政上その他の関係がございますので、この船艇をどれだけふやすかという問題は、今後また御審議いただかなければならぬ問題だと思います。従つて船艇をどういうふうにしたら一番ぐあいがいいかということを考えましたときに、一番適した船舶がございまして、その船舶が借りられれば一番都合がいいじやないか。そこで先ほど申し上げました通り、もし非常に遠くの海におきまして、海難事故等が起きましたときに、現在海上保安庁の持つておる船艇は七百五十トンが一番大きいのであります。この船艇では大きな何千トンという船舶を助けたり、引いたりすることに、ほとんど困難を感ずるわけであります。従いましてこういう船艇は約十隻は早急にいるというふうに考えられたわけでございます。この意味におきまして、千五百トン級の船艇十隻が借りられたら、非常に都合がいいじやないかというので交渉したという経過になつております。
○山本(利)委員 そうしますと、アメリカからいろいろな種類の船を借ります場合に、これは使用料を拂うのでありますか、アメリカの好意によつて、現在申し込んである程度、あるいはそれ以上を、無償で貸與していただくような交渉でありましようか。警察予備隊の武器は全部無償で借りておるようでありますが、海上保安庁関係におけるそれらの問題についてお聞きしたいと思います。
○柳澤(米)政府委員 現在海上保安庁といたしましては、これらの船舶は全部無償で借りたというふうに考えております。この無償で借りることを基礎といたしまして交渉をしておる状態でございます。相手方におきましても、大体その旨を了承しておるかのように見受けておるわけであります。
○山本(利)委員 政務次官にお尋ねいたしますが、前回の委員会において、これらの船は有償であるとここで確言されたのであります。ただいまの答弁と食い違いがあると思いますが、お尋ねいたします。
○石原(幹)政府委員 この前私がここでお答え申し上げましたことは、ちよつとほかの問題と混線しておりまして、有償であろうというふうに申し上げたのは、ほかの問題であつたのでありまして、参議院の内閣委員会でもその問題が出まして、私そのときにも考え違いであつたということを申し上げておいたのであります。
○山本(利)委員 無償ということになりましたから、追究いたしません。 それでは、アメリカから船を借りました場合に、それに乗り込ませる乗組員の準備及び訓練はできておりますかどうか、その点についてお尋ねいたします。
○柳澤(米)政府委員 御承知の通りに、今国会当初におきまして予算を審議していただきました。この中に海上保安庁の警備隊要員といたしまして、約六千人の人間を予算としてとつてございます。これに伴いまして、同時に今国会におきまして、海上保安庁法の一部改正というものを行いまして、警備隊を設置することに決定していただいておるわけであります。これによりまして、現在海上保安庁といたしましては、要員六千のうち、さしあたり必要なる要員三千の募集をいたしまして、現在その人間を配備しつつあるという状態になつておるわけであります。
○山本(利)委員 警察予備隊には、顧問とかの名目でアメリカの将兵が配属されて、その指揮と申しますか、助言といいますかによつて、訓練が行われておるようでありますが、今後海上保安庁において借り入れられるアメリカからの船については、やはり米国の海軍軍人等が乗り組んでおるものでありましようか、全部日本人のみによつて運転されるものでありますか。
○柳澤(米)政府委員 現在の海上保安庁といたしましては、そういう顧問的な方は、中央部におきまして少数おられるだけでございます。船舶に乗り組む者は全部日本人であります。
○山本(利)委員 それでは次に、この前の委員会において、呉市において外人将兵によつて、日本の婦女子その他が非常な暴行を受けておる、その状況及びその処罰の結果等について、次の委員会において御報告を願いたいということを、お願いいたしておいたのでありますが、この席で承りたいと思います。
○仲内委員長 山本委員に申し上げますが、法務府の政府委員が間もなく出席しますから、その際にひとつ……。
○山本(利)委員 では、新聞によりますと、フイリピンから議会の人たちがまた日本の視察に見えるということであります。フィリピンはまだ平和條約の批准が済んでいないのでありますが、その後日本の交渉の経過及び特にフイリピンが平和條約の批准を困難視している原因等について、政務次官から承りたいと思います。
○石原(幹)政府委員 フィリピンの議会関係の人が日本に来るかどうかということにつきまして、まだ正式の情報は入つておりません。ただわれわれが間接にいろいろ聞いておりますところでは、フィリピン上院の外交委員長が日本に来てみたいとか、いろいろの話があるやに聞いております。フィリピンの條約批准に関しまする問題は、やはり向うの国内問題といいますか、議会関係の勢力分野その他いろいろの問題が影響しておるようでございまして、新聞等でも御承知のことと思いますが、政府としては早く平和條約を批准したい、また一方野党の方では、とりあえず戦争終了宣言でもやつておきたいということで、二つの問題が相錯綜して、結局まだいずれの問題も最後の段階にまで達していないようでございます。従いましてフィリピンの関係は、遺憾でありますが、現在のところでは純粋法律的に考えましたならば、やはりまだ一つの休戦関係というか休戦状態にある。しかし礼讓上の問題として事実上はまつたく平和関係と同じでございまして、先方の外交官の地位も認めておりますし、外交官としての活動が大体できるような建前になつておる、こういう現状でございます。
○山本(利)委員 私が要望したいことは、とにかくその交渉が長引くなら長引くにいたしましても、相手方の希望するところがここにあるのだ、しかもそれをわが方においていれ得ない理由はこの点であるといつたふうに、双方のひつかかりの点について、こういう委員会で政府当局は十分に説明してわれわれにも考える余地を與えられ、しかも相手国に対して、日本の国会で堂々とその難点について、日本国が希望しておるところを強く正しく主張されることが、やはり一つの外交であつて、単なる外交官の方だけが裏口であれこれと取引きされることよりも、大きく国全体として国民の納得のもとに、一つのことを主張し、あるいは向うに納得してもらうという態度に出ることが、私は今後の日本の方針であるべきだと考える。そういうポイントのところをお聞かせ願いたいと思うわけであります。
○石原(幹)政府委員 フィリピンにおける対日平和條約の審議の模様は、概括は先ほど申し上げたところでありますが、もう少し詳しくもし必要でありましたならば申し上げてもいいと思うのでありますが、先方は対日平和條約の批准につきまして、政府與党はこれを早急に求めておるのでありますが、野党ナシヨナリスタ党はこれに反対しておりまして、四月二十八日に対日戰争終結の宣言案を上程したのであります。五月二十二日に上院はこれを十三対八で可決したのでありますが、六月二十二日に下院でこれが審議未了となつてしまつたのであります。戦争を始めるときの宣言には三分の二の賛成を得る必要があるのでありますが、終結宣言にも三分の二の賛成を必要とするかどうかということについて疑義もあつたようでありまして、いろいろ先方もごたごたしたようであります。六月二十三日に特別国会が開かれまして、二十五日対日平和條約批准案を十八対四で上院外務委員会での再審議に付議されたのであります。なお六月二十八日のUPによりますれば、今週中に再上程の見込みとのことでございます。これは政府與党とナシヨナリスタ党という勢力関係その他いろいろの国内問題でなかなかごたごたしておるようであります。 それから日本との関係でございますが、これはやはり賠償問題等も、今後問題を打開するについての一つの大きな難点になつているのではないかと思うのでございまして、これらの問題あるいはその他通商関係等につきまして、向うの議会人も来てみたいというような先ほどお話もあつたような、これは話でありますがそういう動きもあり、上院の委員長等もフイリピン協会等を通じまして、日本に来てみたいというような話もいろいろあるようであります。そういう機会を通じまして、互いに意見の交換をしてみることも、一つの方法ではないかとわれわれも考えておるところでございます。これはきわめて常識的なような話でありますが、賠償問題等がやはり今後の対日関係においては、一つの大きな行きがかりになるのではないかと思つております。
○山本(利)委員 次官の御答弁はまことに巧妙でありまして、私の聞かんとするところは答えられなかつたのでありますが、あまりに恐れ過ぎておられるように思うのであります。政府を非難攻撃する立場から質問していない場合においては、率直に問題の核心をついていただけることが民主的であると私は考えます。 そこでフィリピンのみならず、濠州あるいはマレー、ビルマ、仏印等、アジアの諸国とわれわれは今後どうしても親善関係に入らなければならぬ。日本はアメリカに対してはできる限りの礼を盡した。そして現にアメリカにおいては、かつてないほどの親日的な空気がみなぎつておるということであります。まことにけつこうなことでありますが、そういう空気をアジア諸国に対してもつくり上げて行かなければならない。これに対して一、二の使節を送られたようなことは存じておりますが、一体今後アジア諸国と提携して行く、侵略主義でなしに、共存共栄の実をあげて行くために、外務当局及び現在の政府の方針としては、どういうような手段をとりつつあられるか、その点についての御構想を承りたいと思います。
○石原(幹)政府委員 私からお答えするのにはちよつと問題が大き過ぎるのでありますが、やはりまず国交関係の回復と申しますか、外交使節等を一刻も早く送りまして、正常なる国交に資することが第一の問題ではないかと思います。政府におきましても外交使節の選任その他につきまして、非常に努力しておりますことは御案内の通りであります。 それから次の問題といたしましては、何と申しましても、経済あるいは文化を中心とする国交といいますか、交流であろうと思います。ただこの問題はやり方によりましては、何か経済あるいは文化を通じての再び侵略ではないかというような疑惑を與えてもたいへんでございまして、そこらの兼ね合いがなかなかむずかしいと思うのでありますが、これも御承知のごとく、インドについても鉄鉱石の開発等についていろいろ話合いが進められております。インドネシアにつきましても、いろいろ使節を派遣したりしまして、貿易その他の問題を議しております。それからマレーにつきましても日本からも行きたいという希望をたびたび申し入れておりまして、今回弁務官が見えたのを機会に、あるいはそういう話が出るのではないかと思つております。要するに外交使節を一日も早く送りまして、経済、文化を通じてのお互いの提携交流、こういうことを中心といたしまして、東南アジアとの提携開発をはかつて行きたいと考えております。
○山本(利)委員 それでは問題を移しまして、今回アメリカにおいては移民法が改正されて、わが国からの移民も、割当制によつて受入れられることになつたことは、まことにうれしいことであります。この移民問題については第五国会以来、本委員会においても、あるいは本会議においても、しばしば論議要望されたところであります。今回アメリカにおける移民法の通過によつて、わが国の移民に與える影響はどういうことであるか、さらにアメリカが移民法を通過させたことによつて、日本の移民の他の国々への影響はどうであるか、ブラジル、アルゼンチンその他の国々への移民ということも新聞紙上には伝えられておるが、この際日本の移民ということについて、外務省よりはつきりしたところをお知らせ願いたいと思います。
○石原(幹)政府委員 今回アメリカ議会において成立しました移民法、マツカラン法の問題につきましては、たしか山本委員からこの国会の冒頭でいろいろ御質問があつたようであります。幸い大統領のヴイトウをさらに押し切りまして成立いたしましたことは、われわれといたしまして、まことに喜びにたえないと思つておる次第であります。まだ正式な最終的なテキストが入つておりませんので、確実なことは言えないのでありますが、大体原案等から推測いたしまして、この案によりますと、一九二〇年当時米国在留外国人の出身国別人口の一%の六分の一の割合で、移民数の割当を行うことになつておるのでありまして、この計算から行きますと、日本人は毎年百八十五名くらいの割当が行われる模様であります。ただこれらにさらにまたいろいろの制限がございまして、ことにその資格が非常に厳重になつておるようでございまして、最も重要な一つの條件としては、いわゆる思想的背景あるいは過去における行動等について破壊活動防止的の趣旨のことが非常に多く入つておるようでございます。その他一定のある程度の教養がなければならぬとか、それからこの前も申し上げた思うのでありますが、専門的技能といいますか、技術的経験の深いものを特に歓迎しておるようでございます。この割当とはまた別に二世の両親等の親族呼寄せも可能となつております。それから米兵と結婚した日本婦人に入国の道も開けたと報ぜられており、いろいろな情報があるのでありますが、正式なテキストがまだ参つておりませんので、確定的なことはまだ申し上げられないと思います。 それからこの問題が他国に與える影響でありますが、これはもちろんきめていい影響を與えると思います。現在におきましても、御承知のごとくブラジルの移民計画も大体固まつたようでございますし、その他パラグアイでありますとかからの計画もあるようであり、いろいろあるのでありますが、ただいま難点となつておりますことは、これも御承知と思いますが、いわゆる渡航費の問題であろうと思います。一人について約十二、三万円くらいかかるのでありまして、一家族とすれば、五人と見ましても、五、六十万円の金になる。これをいかにして生み出すかということについて、いろいろ研究とくふうが講ぜられておることは御案内の通りと思います。こういう情勢に対応いたしまして、政府も神戸にありました移民教習所でありましたが、これを移住斡旋所という名前に先般かえまして、これを再び店開きをして、今後のいわゆる移民問題に対処する準備も整えておるわけでございます。それから民間のいろいろ移民団体が御承知のごとく非常に数たくさんございまして、従来もどの組合あるいはどの会社の移民あつせんで行つたというようなことが、向うで将来政党の争い以上に強いくらいになつておるのでありますが、今後再びこの移民が軌道に乗つて参ります場合に対処いたしまして、いろいろ日本の移民あつせん団体の統合という機運も起りまして、先般その第一回の会合等も行われたようでございますと国外ともにこの移民問題の今後の進展に対処しまして、それぞれいろいろな動きが現れかけておる、こういう段階でございます。
○山本(利)委員 ただいまのお話では、アメリカに対しては近親者の呼寄せとか、アメリカ人と結婚した者の入国は割当数外であるということをおつしやいましたが、その点は間違いございませんか。
○石原(幹)政府委員 これも最終的テキストがまだ参りませんので、はつきり言えないのでありますが、原案では五〇%以内が、その子供が現に米国市民であるもの、つまり両親の呼寄せ等が割当の中に入つておつたのでございます。それがその後どう修正されたか、そこがわからないのでございますが、原案ではその中に入つている数字になつております。
○山本(利)委員 もう一つの点は、移民を送るについて最も困難な点は渡航費の問題であります。一人について十万円くらいずつかかるので、この点が困るということでありましたが、それについては、たとえば移民金庫といつたようなものでも設定して、一時資金を融資して先方に行つて、おちついてから年々拂いもとして行く、年賦拂いにするといつたような方法もあると思うのでありますが、これらの点について、すでに政府は何らかの方法を考えておられるか、ただ困つてだけおられるか、それらのところを一つ承りたい。
○石原(幹)政府委員 お話になりました移民金庫のようなものも一つの考え方と思います。それからこの移民を輸送します船会社等へ大蔵省あたりから融資をしてもらいまして、それをあとでだんだん回収して行く。いろいろの方法が考えられますが、こういう問題について、ただいまいろいろ検討くふうを加えられており、まだ結論には達しませんが、そういう方法を研究されているということを申し上げておきます。
○中山委員 関連して。移民の問題が今出ましたが、これは違つた形の移民のことを私お尋ねしたいと思います。それはこの間政務次官も御臨席でございましたが、インドネシアから帰つて見えました人たちの代表三人のお言葉を聞きますと、インドネシアの独立を助ける軍隊として、二百五十人の日本人がやむを得ざる事情によつて応援をした。今度いろいろの人がその中から死んで、百五十人ほどそこへ残つておるのであるが、この人たちは、自分たちが戰犯になつていはしないかということが一つの恐れ、第二には、先方で向うの婦人と同棲をいたしまして、子供もできたというので、その愛情のために日本へ帰つて来たくない。今の話ではむろんインドネシアに在住権がない。それでまるで幽霊のような存在で向うにおる。だから引揚げ促進だけに身を入れないで、そういうふうなほんとうに心から——あるいはソビエトとか中共のように希望しないのに、希望残留の形で置かれるのは、私どもは反対でございますけれども、ほんとうに自分の日本における家庭とも話合いの上で、向うに残留するという希望を持つておる人があるということでございます。その永住権を獲得してくれということを、帰つて来た人たちが向うにいまだおる人たちの希望として、この間表明したのを私どもは聞いたのでありますが、外務省におきましては、今十万円を出さなければ渡航ができないような人でも、移民金庫でもつくつて送り出そうかというような話ですが、これだけ日本人がすでに何らかの生活の條件も備えて、向うにいるのでございますから、この人たちの永住権を獲得するについての外務省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○石原(幹)政府委員 これはちようど南方から帰つた人の引揚げの参考人としての供述のありましたときに、私もおりましていろいろ承つたのでありますが、われわれの方が在外事務所を通じましていろいろ調べておりましたことも、大体あの供述人の供述と同じことだつたのでございまして、独立戦争のために残つたとか、あるいは婦人関係、それから戦犯を恐れておる、あるいは終戦前後に本隊との連絡が切れて、落伍してそのままおる、この四種類くらいにわけられると思うのであります。それで引揚委員会等の御意見その他では、こういうものを一刻も早く全部引揚げにやならぬという意見が非常に強かつたのでありますが、外務当局といたしましては、いろいろ調べた事情では、すでに相当の、半分おちついておるような形の人もたくさんございますし、これらをすべて洗い立てまして、いろいろやるということでは、やぶへびといいますか、そこにおりたい者までも返してしまうような状況になるという関係上、若干当らずさわらずの形でおつたわけでございます。さらに進んで、ただいまの御意見のごとく永住権の交渉までもというお話でございますが、御承知のように、インドネシアとはまだ、これまた平和條約の批准を見ておりませんので、正常な国交関係に入つておりません。そこで問題が非常に機微であると思うのであります。ここで確定的の、公の意見を言うことはできないと思うのでありますが、そういう関連からいたしまして、帰りたい人、あるいはどうしていいかわからぬような立場の人に対しましては、いろいろの方法を在外事務所を通じて教える。それからその他の人につきましては、しばらくそつとしておいたならばどうか、こういう考えでおるわけでございます。
○中山委員 在外事務所に対して、そういう指令をすでにお出しになりましたかどうか。ただこの間のお話をお聞き取りになつた程度で、いわゆるインドネシアと何とかなつてからのことにしようというので、たな上げになつているのか、それとも在外事務所はもう向うが入れてくれているのですから、なかなかこういうことは、一度にはその効果が上らないのですから、それをもう手をお打ちになつたかどうか、それを承りたいと思います。
○石原(幹)政府委員 この前ちよつと話が出たと思いますが、先方の在外事務所が、ちようど引揚げ問題をやつておつた人が事務所長に行つておりますので、こういう問題はよく承知しておると思いますし、いろいろ文書その他の往復は始終ございますから、こういう気持は十分承知しておることと思つております。
○中山委員 承知しているという、あやふやなお話では、私は了承できないのでございます。外務省がそれをやつたかどうかということですから、ポイントをぼやかさないでイエスかノーかで答弁していただきたい。
○石原(幹)政府委員 これは引揚課長が向うへ行つておるのでありまして、赴任するときにも、そういうことについての打合せは、いろいろやつておるのであります。問題が非常に機微でありますから、ここで日本政府はこういう方針でやつて、そういうことを指令しておるのだなどということを、こういう委員会で申し上げることは、私はどうかと思いまして——公の委員会でそういうことを言つて、それがすぐ先方に響くということもどうかと思いまして、大体御推察願えるような言い方で申し上げたのでありますから、御了承願いたいと思います。
○仲内委員長 並木芳雄君。
○並木委員 国警長官にお聞きしたいと思います。それは、この間の三十日の本会議で、私の方の中村議員が緊急質問をいたしました、六・二五における朝鮮人の騒擾に関する行動の調査の結果でございます。あのとき政府としては、目下調査中であるという答弁でございましたが、日がたちましたので、その調査ももう終つたと思いますから、この際、どういう結果であつたかを御報告願いたいと思います。
○斎藤(昇)政府委員 六月二十五日及びその前日に起りました、いわゆる朝鮮動乱勃発二周年に当りまする、朝鮮人の国内における全体の動向について申し上げたいと思います。 全国といたしましては、御承知の大阪の待兼山におきまする盛大な前夜祭を皮切りにいたしまして、全国で百二十箇所において、いろいろな会合を催すものがあつたのでございます。その百二十箇所の中で、いわゆる北鮮系と申しますのが、百十箇所、南鮮系というのが十箇所であります。参加人員の朝鮮人は、北鮮系が一万九千、南鮮系が二千名とわれわれは考えております。集会の形式は、あるいは追悼式、あるいは記念式、あるいは人民大会等の各種記念行事を開催をいたしたのでありますが、その終了後は、大部分がデモ行進を行いまして、警察署あるいは市町村役場、税務署等に押しかけまして、抗議陳情等を行つたのであります。その間デモ隊は火炎びん、竹やりこん棒、石等をもちまして、派出所の破壊あるいは米軍将校に対する暴行、巡査駐在所に対する火炎びんの投入、あるいはPD工場に対する不法侵入等の不法行為をいたしまして、不法事犯は発生件数といたしましては二十二件であります。大阪の待兼山及び吹田操車場を一円といたします事件、これを一件と数え、また新宿東口における事件、こういうものを一件と勘定いたしまして二十二件であります。そのうち、そのとき及びその直後において検挙いたしました件数が九件で、検挙人員が百二十六名であつたわけであります。その後若干時日がたつておりますから、検挙件数がふえておると存じますが、その際取締りに従事いたしました警察官のうちで、百二十八名が重傷を負つた次第であります。これらの事件を、概要各箇所について申し上げてもいいのでありますが、非常に時間がかかりますので、一番大きくありました大阪の事件をまず申し上げてみたいと存じます。 大阪は、二十四日の夕方八時ごろから、御承知の豊中市と伊丹の境界に近い、豊中の部分でありますが、待兼山というのがございます。前の浪速高等学校のあとで、今大阪大学の北分校と呼んでおりますが、そこのグラウンド及びその近くにある待兼山一帯の地域の一つの丘、これをも待兼山と呼んでおるそうでありますが、ここに約八百名の朝鮮人及び学生、自労が集つたのであります。大体五、六百人が朝鮮人、二、三百人が学生及び自労と、かように認定をいたしております。事前の情報によりますと、伊丹の飛行場及び待兼山の近くにあります進駐軍のハウスを襲撃するという情報を得ておつたのであります。集まつた連中は、事前にはキヤンプ・フアイヤーをやるというふれ込みであつたのでありますが、学校のグラウンド及びその丘陵地に、一方には三百名、一方には五百名ぐらい集まりまして、ここで火をたき、いろいろ革命歌を歌い気勢をあげていたのであります。そのうち一部が待兼山の竹林で竹やりをつくりまして、十時二十分ごろに三箇所でのろしのような花火を打ちあげたというのでありますが、それを合図に非常に形勢が攻撃的に見えたのであります。間もなくいたしまして、五百名くらいが進駐軍ハウスの方に移動すべく見えたのでありますが、われわれかねての情報によりまして、進駐軍ハウス及び伊丹の飛行場は、進駐軍とも連絡をいたして厳重な警備をいたしておりましたために、ハウスに突入することはなかつたのであります。後にハウスのすぐ近い所に火炎びん一個を投げたのがわかつたのでありますが、ここに突入することなく、一隊は石橋駅の方に向い、一隊は裏山の方に行くかに見えたのであります。石橋駅に集まりました約六百名は、一時過ぎから二時半ごろに至るまで駅長と電車を出す出さぬの交渉をいたしまして、結局三時前に電車を出させました。これは大阪までの切符を六百人分買つて乗つて行つたのであります。ところが途中で服部駅で急に停車を命じ、指導者が全員下車を命じまして吹田の方に向つたのであります。吹田の方に向う途中で一箇所駐在所に火炎びんを投げまして、それから旧阪神国道の方に徒歩で参つたのであります。これらの部隊はそのときには竹やりも何も持たないで、ただふろしき包みのようなものを持つた者ばかりであつたのでありますが、これが約六百名とわれわれは勘定をいたしておるのであります。ところが一方裏山の方から萱野村及び山田村の方を通つて行つた部隊があるのであります。これが二百名前後であろうと思うのでありますが、夜中でまつ暗で十分わからなかつたのでありますけれども、あとでわかつたところによりますと、途中で笹川良一氏の留守宅のガラス窓を破壊し、さらに吹田操車場の労組の副委員長が右翼偏向であるというので、ここの家を襲つて吹田の方に出て参つたのであります。途中で服部駅から出て来た群衆と一緒になりまして、そこで山越えの連中がかねて準備をしていた竹やりを全部渡したというのであります。吹田の方に現われて来ましたときは、ほとんど全員が竹やりで武装し、あるいは火炎びんあるいはラムネびんを下げて吹田の操車場の中に入り、ここで進駐軍の貨物列車を探し、おそらくその進駐軍の貨物列車が発見できたならば、これに火炎びんを投げ、破壊しようといたしたと思うのであります。ところが警察官もここで警備をいたしておつたのでありますが、それが見当らず、そのまま隊伍を組んだまま、さらに新しい阪神国道、いわゆる産業道路に出まして、その出たところに、ちようどクラーク准将が出勤の途上に出くわしたのであります。そこでこの准将の車に火炎びんを投げまして、ガラスを割り准将は顔に若干の負傷を負い、衣服を損傷したのであります。それからさらに産業道路を西進いたしまして、そのときに吹田市の市警の次長が茨木の市警の応援隊を乗せたトラックでそのデモ隊のかたわらを通過をして、この状況を早く本署に報吉しようというので、かけ抜けようとしてそのデモ隊に接触をいたしましたとたんに、火炎びん四個を投げられまして、茨木の市警の職員十六名がやけどを負い、ただちに十六名だけが飛び降りたのでありますが、そのうち二名がひどく殴打されまして、人事不省になり、そこで拳銃二ちようを奪われたのであります。デモ隊は速度をゆるめることなくどんどん西進いたしまして、さらにその途中にある駐在所、派出所三箇所をそれぞれ破壊、暴行を加えまして、吹田駅に参りました。折から到着しておりました満員の通勤電車——ちようど八時ごろでありますが、それに飛び乗つたのであります。警備をしておりました警察官が、そこで検挙をいたそうとして乱闘に相なつたのでありますが、汽車は満員で婦女子もたくさん乗つております。車内に警察官が入るとたん、火炎びんを投げる、列車も燃え出す、あるいは竹やりを投げるというので、一般人に負傷が起ることを非常に憂えまして、そこで十分な検挙はできなかつたのであります。この際にさきに奪つた拳銃であろうと思うのでありますが、これを警察官に向つて一発暴徒が発射をいたしたのであります。警察官は三発応射したのでありますが、そのたまは撃つたデモ隊員に当らないで、他のデモ隊員に当つてけがをさせたのであります。ここで二十四名を検挙いたしたのであります。さようなわけで、ここで全員検挙はできず、やむなく列車が発車をいたしまして、大阪の梅田駅に到着をいたしました。梅田駅におきましては、大阪警視庁が、かねて連絡によりまして、この間十分前後でありますが、さらに二十数名を検挙いたしたのでありますが、何といたしましてもラッシュ・アワーであり、人の混雑するところでありましたので、完全な検挙ができなかつたのであります。その後検挙を進めておるのでありますが、検察庁と打合せの上、これらの一連を騒擾罪をもつて起訴すべく捜査をいたしておるのであります。全部で今まで逮捕——今日の状況は知りませんが、一昨日までの間に逮捕をいたしましたのが五十二名でありまして、うち五名は釈放して、現在四十七名を勾留中であります。そのうち日本人が二十名、朝鮮人が二十七名ということに相なつております。これはデモ隊員の割合を示すものだとは考えられないのでありますが、たまたま逮捕された者が二十名と二十七名という状況に相なつております。これらの一連の動向をつぶさに検討をいたしますと、まつたく計画的な、しかも非常に、少くとも一部は、地勢も十分以前から研究もし、これらの行動について非常な訓練を経た一種の、彼らの言葉でいう、もはや人民軍というような形態を整えておるように思うのであります。山越えの行動距離は徒歩で五里、服部からおりた部隊の徒歩の行動距離は約三里、この間を自警、国警のそれぞれの間を縫い、しかも巧妙に、最後に吹田操車場において列車を襲撃をするというときまでは、足の弱い、しかもまだ十分訓練されていない者は、大阪に帰る——ほとんど大部分はそう思つていたようでありますが、大阪に帰るということで、電車に乗せて、そうして急に服部駅で停車を命じて全員を下車をさせ、しかもこれらは竹やりを持たせずに、旧国道を山田村の方に向けてそうして一方まつ暗な山道を竹やりを持つた部隊と合流し、そこで完全武装をさせるというような事柄は、急にそのときに起つたでき心でなされたものではないのであります。ことに待兼山からおりて、裏山を通つて萱野村に出るときも、電燈様のもので信号をしておつたということも見えておるのであります。あらゆる点が非常に組織化された暴動隊という、しかも非常な機動的な動きをしたということにおきましても、われわれ将来かようなことのあるであろうことは予想いたしておりましたが、現実の問題として出て参りました最初の事例である、かように考えておるのであります。従いまして、われわれといたしましても、これらにつきましては非常に重大視をいたしまして、これに対する対策等も怠りなく検討をいたしつつある次第であります。 これに次ぎました大きな事件は新宿事件でありますが、これは大体御承知のことかと存じますので、省略をいたします。他は各県で二十数件事件を起しておりますが、特にここで取上げて申し上げるほどの新規なものはありません。大体今までのやり口のものばかりでありますから、もしどこの事件を説明しろということでございましたらいたしますが、一応私はこれで説明を終ります。
○並木委員 その報告を了承いたしました。そこで私はお伺いしたいのですけれども、この一連の行動の背後にあるところの思想関係というものはどうか。ただいまの御報告を聞いておりますと、これがいわゆる日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定のうちの第二十四條に相当するのではないか。これは国警長官でなけはば外務当局でもけつこうです。どなたでも政府当局からの御答弁でけつこうですが、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第一條の、「極東における国際の平和と安全の維持に寄與し、並びに、一又は二以上の外部の国による教唆又は干渉によつて引き起された日本国における大規模模の内乱及び騒じようを鎮圧するため」云々という條文がありますけれども、これに相当する最初のものではないかというふうに私は感じたわけなのです。特に斎藤国警長官の言葉の中に、現地の駐留軍とも密接な連絡をとつたということもあつたようです。これがやつぱり行政協定の第二十四條に、「日本区域において敵対行為又は敵対行為の急迫した脅威が生じた場合には、日本国政府及び合衆国政府は、日本区域の防衛のため必要な共同措置を執り、且つ、安全保障條約第一條の目的を遂行するため、直ちに協議しなければならない。」これに入つて来るのではないかと考えられるのでありますが、今後の前例となるものでございますから、その点いかがですか、お伺いしたいと思います。要するに思想的の背景、そしてこれが行政協定に該当するものであるかどうか、これに対する処罰としては騒擾罪をもつて臨むというようなことも仰せられておりますけれども、どういうふうな処置をして行く所存であるか。
○斎藤(昇)政府委員 この事件の思想的背景は申し上げるまでもなく、いわゆる共産党だと私は思います。これに参加をいたしました者は、全学連の傘下団体であります府学連の名前、それから朝鮮の祖国防衛大阪府委員の署名入りのビラを大分散見をするのであります。従いまして思想背景は、共産主義の思想、朝鮮の祖国防衛委員会というものも、御承知の通りいわゆる北鮮系の団体と称されておりますが、日本の共産党の軍事方針と同一思想、同一背景を持つておるものだと考えます。この事件が行政協定第二十四條に該当するかどうかというお尋ねでありますが、私はかくのごとき事件はまだまだとうてい行政協定第二十四條に該当するものとは考えておりません。警察において十分処理のできる事故であると考えるのであります。駐留軍の基地と連絡をいたしたと申しますのは、その基地が侵されないようにいろいろ連絡をいたしたのでありまして、日本の内乱とか、あるいは日本の普通警察で対処できないような、そういう大きな事件とはまだ見る必要がないと思つております。ましてここでいう「敵対行為の急迫」というようなことは私は考えておりません。事件といたしましては、国内のそういつた事件としましては、非常に重視すべき事件ではありますが、たとえば普通の場合に軍隊を動員して鎮圧させるべき事件であつたかどうかと申しますれば、さような事件ではない。普通警察においてやはり処理できる事件であり、また処理すべき事件であつた、かように考えております。
○並木委員 今後のことでございますが、そうすると長官としては、今後この種の騒擾事件がさらに起ることを予期して、それに備えて対策を練つておるというお言葉でございましたが、具体的にこれらわれわれとしても警戒しなければならない記念日とか、行事というようなものについて、国警としてはどういうふうに対策を練つておられるか。それから国警あるいは自治警にも関係がありますが、やはり今の人員では不足ではないかと思うのです。治安の万全を期するために、その増員などについても考えなければならないのじやないかと思うのですが、対策をやや具体的に述べていただきたい。
○斎藤(昇)政府委員 今後各種の記念日にあたりまして、どういう事件が起るであろうかということにつきましては、その事前にできるだけ綿密な情報を収集いたしまして、それによつて判断をするしかないわけであります。記念日と申しますのは、非常にたくさんありまして、私ら覚え切れぬくらいあるわけであります。そのうちでどれを最も強く取上げるかということは、その事前のいろいろな動き見て察知をするしかないのであります。たとえば七月におきましては、二日は民擁同の結成記念日、五日は下山事件の記念日、七日は支那事変の記念日、十一日は朝鮮休職会談記念日、十五日は第一次の日本共産党創立記念日、さらに十五日三鷹事件の記念日がありますし、八月になりましても、やはり十くらいあるのであります。松川事件の記念日があり、いろいろありますが、例年やつておりますのは、やはりこの十五日、あるいは十三日から十五日の間に行います共産党の創立三十周目記念日、それから八十五日の、われわれからいいますと終戦記念日でありますが、向う側からいいますと民族解放記念日という、これあたりはやはり相当大きな行事をやるであろうと考えております。そのときに、いわゆるどういうような集団暴行をやるかということは、これはあらかじめ今から予見するわけには参らないのであります。できるだけそういうことがなくして、ただ普通の行事で終るならば、われわれとしてもこの上もないことだと思つておりますが、必ずしもそうは行かないであろうと考えておる次第であります。
○並木委員 増員は……。
○斎藤(昇)政府委員 今警察官で一番大事なのはやはりふだんからも申しておるのでありますが、こういつた場合に対処する訓練、それから装備であります。いま一つはこういうた場合の指揮系統、命令系統というものの統一ということが、一番肝要なことだと思つております。国警の警察官は、さきの臨時国会で五千人の特別増員を法律で認められたのでありますが、予算面では二千六百人の増員で、二千四百人はまだ増員をいたしておりません。さしあたつて補正予算の機会があればこれをお願いいたしたいと私どもは考えておりますが、それ以上に増員する点は、ただいまといたしましては私は考えておりません。むしろ既存の自警、国警を合せた能率を百パーセント発揮させるということに重点を注ぎたい、かように考えております。
○並木委員 そこで、駐留軍の方にも大分損害を與えた模様でございますが、駐留軍の方ではこれに対して何か政府に申入れをして来ておるかどうか。外務省の関係もあるかもしれませんが、どなたでもけつこうであります。この與えた損害に対しては、政府としてどういうふうに考えておるか、メーデーの日でございましたか、自動車の炎上事件がございましたが、あれに対して政府として弁償ですか、項目はどうですか、要するに支払いをするということが伝えられましたが、それはどうなつたか、物心両面における駐留軍関係の点をお聞しておきたいと思います。
○斎藤(昇)政府委員 あとで外務省からお答えいたすと思いますが、私の知つている限りにおきましては、今度の事件につきましては、駐留軍に與えました損害はそう大きな損害ではありません。准将が若干のけがをされましたが、それは損害賠償を云々する程度のものではないといわれわれは思つておりますし、さようなことは聞いておりません。 それから自動車二台であつたと思いますが、ガラス窓を破られたという程度でありまして、自動車が全焼してしまつたとか、そういうあれはございません。こちらと駐留軍との警備が非常に万全でありましたために、それらには実害はほとんどなかつたのでございます。従いまして今度の事件につきましては、賠償問題は私は起つていないであろうと考えております。外務省から確実のことはお答えすると思います。
○石原(幹)政府委員 今回の事件につきましては、ただいまのところ何の申入れもございません。 それから先般のメーデーの事件のときのことでございますが、これは御承知とも思います。が、アメリカ、カナダ、濠州、英国の関係を合せて約四十件、金額に見積りまして約七百七十万円ということに相なるのでございます。これは日本政府が被害者個人に対しまして、見舞金を支拂うという形にいたしておるのでありまして、まだ支拂いはやつておりませんが、近く政府が被害者個人に対する見舞金として支拂うごとに相なつおります。
○並木委員 その費用はどこから出るのですか。
○石原(幹)政府委員 費用につきましては、大蔵省といろいろ話し合い中でございますが、外務省の中の予算から差繰りするごとに相なるかと思います。
○並木委員 もう一つ朝鮮人の取扱いの問題ですが、これも岡崎外務大臣が二十日の本会議で対策を立てておることを答弁されております。外務省としてあれをもう少し具体的に、この際どういうふうな態度で朝鮮人の取扱いをやつて行行くか、本国送還の問題、そういうような点についてお尋ねしておきたい。
○石原(幹)政府委員 これは刑法に触れますものはもちろん刑法によつて処断をいたしますが、その他御案内のごとく出入国管理令がありまして、これによりましてそれぞれの措置が講ぜられることになつておるのであります。しかしこの不法不遇な者の送還につきましては、ただいま先方といろいろひつかかり合いになつておるということは、これまた御承知と思います。出入国管理令の今後の適用につきましては、十分万全を期して行きたいと思います。
○並木委員 しかし現実的にはどうなのですか。日韓会談というものは停頓しておるのではないですか、向うの政情も何かこんとんとしておるし、実際に日韓会談が続行されておるのかどうか。ただ次官はそう言われるけれども、それはこちらの希望であつて、現実にちつとも進行していないのじやないかと思いますが、進行していなければ、政府がそんなことを言つたつてこれは一歩も進めて行くことができないと思います。どうなつていますか。
○石原(幹)政府委員 これは御承知のごとく、いろいろ基本的な問題、あるいは国籍の問題その他若干話合いがついた問題はあつたのでございますが、請求権の問題について根本的意見の対立を来しまして、それ以来停頓状態になつておることは御承知の通りでございます。そこで先般強制送還の問題につきまして、まことにこれは筋は違うのでありますが、先方は古くから在住しております者の送還については、日韓会談等においても話合いになつておる一つの條項であるから、これが解決するまでは受入れられないというようなことを申し出て来ておるのでございまして、御承知のごとく一応登録令違反等で朝鮮に送り返した者すらも受付けなかつたという状況でございます。しかし日本といたしましては、これは強制送還の問題と日韓会談とは筋が違う、全然別の問題であるという見解のもとに、先方に対しましても要求を続けておるわけでございます。日韓会談の方は、遺憾ながら請求権の問題で根本的に意見が対立しておりまして、今のところ、いつからさらに再開されるかどうかという見通しを、ここではつきり申し上げる段階にまでまだ至つておりません。
○並木委員 要するに、日韓会談と切り離してやるべきだとちようど私が言おうと思つたら、今次官からそういう話があつたから、その点了承いたしました。そうすると、日韓会談と別途にこの問題だけは話合いを進めて、そして日ならずその実現を期しておる、こういうふうに了解いたしますが、よろしゆうございますか。
○石原(幹)政府委員 それで大体よろしいと思います。同時に、向うが受付けなくとも、御承知のごとく、大村でただいまそれらの人を収容しておりますから、強制送還に該当する人に対しましては、今後といえども、そういう措置をとつて送り返して行くが、向うが受付けない場合は大村で収容する、こういう形で行きたいと思います。今後この問題につきましては、さらに治安閣僚懇談会その他において一層の研究を願つて行かなければならぬかと思つておるわけであります。
○中山委員 関連して国警長官にお尋ねいたします。この間衆議院の本会議におきまして改進党の中村寅太代議士の緊急質問の中に、朝鮮人が起した騒動の一つとして、ある場所を占拠して、そこに北鮮の旗でございましたか、それを掲げたような事件があつたという御発言がございましたが、それは一体どこで起つたのでありますか、御承知ならば、その事情をお知らせ願いたいと思います。
○斎藤(昇)政府委員 たしかそれは福井県の敦賀と福井の二箇所であつたかと思つております。そこの市役所にかけ上つて、そこを占拠し、北鮮旗を一時立てたということであつたと思います。
○仲内委員長 戸叶里子君。
○戸叶委員 私はこの前の委員会で、国連軍の朝鮮の水豊ダムの爆撃等に関連いたしまして、日本で先ごろ行われた燈火管制の問題を質問いたしましたところ、外務政務次官は、米軍からの協力の要請があつて、関係市町村が協力したというようなお答えがございましたが、翌日さつそく同じ外務省の国際協力局の方から、そういう要請は何もなかつたというような御発表があつて、それが新聞に出ておりました。それが前の日の外務政務次官の御答弁は非常に自信ありげでございましたし、私はその通り了承いたしまして、何もそれ以上追究いたしませんでしたが、すぐ翌日取消されたというその理由、どちらがほんとうであるかをお伺いしたいと思います。
○石原(幹)政府委員 これは私の話を御信用願いたいと思います。
○戸叶委員 それでは、国際協力局の方でああいうふうにすぐに取消しを出される前に、何か政務次官の方にお話があつたのでしようか。
○石原(幹)政府委員 これは協力局のある事務官が、新聞社からこういう話があつたがということだつたのだそうでありますが、その事務官は別段詳しいことを存じませんで、自分の方は何も知らないとかいうようなことを言つたのが、新聞にそのまま出たようであります。
○戸叶委員 それでは政務次官の方にそういうお話があつて、立川の方で三度ほど燈火管制が行われたということは了承いたしました。これからの問題でございますが、何か七月中に日本中を三つにわけて燈火管制をするというようなことが言われておりますけれども、そういう要請がすでにあつたかどうかを承りたい。
○石原(幹)政府委員 そういう具体的な、日本を三つにわけてどうこうするというような話は何らまだ聞いておりませんが、近く防空演習的なことをやつてみたいというようなことで、向うからいろいろ話があり、そういう問題について打合せ中であるという程度にお考え願いたいと思います。
○戸叶委員 この前の委員会にもお話がございましたが、まだ日本には防空法というようなものがないので、日本の人たちの良識にまかせて、そういう協力をするようにするというようなお話でありました。この問題は私は非常に重大な問題だと思うのです。それはなぜかと申しますと、防空演習とか燈火管制という言葉を聞きますと、私どもはすぐ戦時中のことを思い出します。それでそういうふうな不安を一般の人たちが非常に持ちます。その不安に乗じて、また国内を撹乱するような人たちが一方におります。そこでよほど注意して燈火管制あるいは防空演習に対する協力要請というものがなされなければなりません。そういう意味におきまして、決して国内のへたちの不安をつのらせないように趣旨を徹底させ、そしてまたその理由がどういうふうであるかというようなことを徹底させて、国内に悪影響を及ぼさないようにしていただきたいと思いますが、それに対しての具体的なお考えがありましたら、お示し願いたいと思います。
○斎藤(昇)政府委員 外務次官がお答えになる前に、私は今の御趣旨のように非常に大事な問題であると思いますから、はつきりいたしておきたいと思います。従前からもそうでありましたが、独立後になりまして、向うが自分自身で防空演習をやりたいという場合に、夜間やる場合に、ある程度向うの空軍基地の周辺、あるいは向うが防衛する基地の周辺をどの程度管制をすれば自分らの行動がどうなるか、また敵から見てどうであるかという演習をしたい。従つて自分らのやる演習が都合よくやれるように、ごくわずかの時間、十分あるいは十五分間でいいから、その程度の管制ができないだろうかというのが根本のあれでありまして、同時に国民に防空演習を一緒になつてやらそうという趣旨ではないのであります。日本国民が防空演習をやらなければならないような事態が切迫しているかどうか、それに対してどういうふうに処するかということは、国の治安の問題であり、非常に大事な問題でありますが、現在うわさされておりますのは、そうではないのであります。従いまして、日本国民が防空演習をやるというのではなく、向うの駐留軍がこちらにおつてその職務を果すためには、ときどきやはり演習をやらなければなりません。ふだん演習をやるについて便宜を與えてほしい、それについてどういうふうにやるかという問題でありますから、そこは誤解のないようにお願いいたしたいと私は思います。
○石原(幹)政府委員 私が補足しようと思いましたことを今国警長官が言われたのですが、その通りでございまして、飛行場を中心としてやります演習、しかもそれは先方がやる演習に対して、付近の協力を求めている、これを外務省が付近に協力方を伝達するという形でございますから、その点誤解のないように願いたいと思います。
○戸叶委員 今の御答弁でわかりましたが、ただ末端にはそういうことがわかつておりませんので、この防空演習をするとか、燈火管制をするというと、非常に国内に逼迫感を感ずるように響いておりますので、この点を明確にしておいていただきたいと思います。 次にもう一点伺いたいことは、この前の委員会でも問題になりましたし、また地方行政委員会におきましても、ここにおる大石さんなどがいろいろ御質問になつたと思いますが、呉市の暴行事件でございます。先ほど山本委員の御質問に対して、法務府から来ていらつしやらないということでございまして、法務府関係のことはあとから御説明願えると思いますが、私は外務省関係のことで一、二点伺いたいと思います。それは、六月二十九日の東京新聞に出ておりましたのによりますと、この問題に対して外相から何回も要請をしたけれども、一向にその効果が上らないことは遺憾だというふうに書かれてございましたが、はたして外相が何たびか交渉したけれども、何らそのきき目がなかつたかどうかを伺いたいと思います。
○石原(幹)政府委員 これはこういうことではないかと思います。つまり暴行事件がいろいろございますので、今後こういうことのないようにということを現地側の人々にもいろいろ申入れをしておるわけでございます。にもかかわらず、その後にも若干いろいろな暴行事件があつた、こういうことで、それはまことに遺憾残念である、こういうことではないかと思います。
○戸叶委員 それでは結局この新聞記事の通り、こういうことがあるけれども注意していただきたいというのにもかかわらず、なおあとから起きていて遺憾であるということでございましたが、そうすると、非常にゆゆしい問題だと思うのです。大体そうした暴行を受けた場合の婦女子というものが、それを訴えられる人であるならばいいのですけれども、中には弱気で、また卑屈外交にならきれておりますために、黙つて泣寝入りをするような人が非常に多いと思うのです。そうしますと、これを積極的に何らかの方法で取締つて行くようにしていただきませんと、問題がますます大きくなり、人道上ゆゆしい問題となりますが、そういう点に対して、さらに外務省としてはどういう態度をもつてお臨みになろうとしていらつしやいますか。
○石原(幹)政府委員 その後先方の司令官も、厳重な布告を出しまして戒めておるようでございますし、それから外務省からも現地に人を派とております。ただいまは協力局長等も、いろいろな用を兼ねて現地に行つておりまして、今後こういうことのないように極力向う側にも折衝しておるわけであります。
○戸叶委員 協力局長がお調べになつていらつしやいましたら、いずれまた御報告願いたいと思います。 もう一つ伺いたいことは、この前の地方行政委員会で、委員長が、この問題は戰犯の減刑嘆願とにらみ合せて、非常にむずかしいというようなことも言われておりましたが、これは委員長のお考えであつて、外務当局としては、そういうことはお考えにならないと私は信じますが、いかがでしようか。すなわち戦犯の減刑嘆願問題とは当然これは切り離して考えられるべきものでこういう暴行に対しては、あくまでも日本側としてはこれを取締つて行きたいというお考えと思いますが、いかがでしよう。
○石原(幹)政府委員 これはその通りだと思います。戦犯の問題と、それから駐留地におけるいろいろ暴行等の問題は全然別と思いますが、地方行政委員長がもしそういうことを話されたとすれば、濠州関係等においてはいろいろの問題もあるから、両者の間が非常に機微な立場にあるというような意味の敷衍であつたのではないかと推察されます。
○戸叶委員 外務省の方の質問はこれだけにいたします。ほかの方々が法務府に対する御質問をお持ちのようでございますから、その方々に譲りまして私一点だけ。法務府の方では、この問題をどういうふうに扱つていらつしやるかを伺いたい。
○岡原政府委員 呉市のみならず、いわゆる国連軍の将兵の犯罪につきましては、現在例の行政協定に類似のものがございませんので、取扱い上いろいろ問題が生じております。ただ私どもといたしましては、外務当局とも十分御連絡申し上げまして事態の発生の際になかなかが起きないように、具体的な事件ごとに妥当な結論を持ち出したい、かように存じております。そこで先般来外務当局とも密接な連絡をいたしました上に、現地の検察庁に大体の指針を授けてございますが、その結果、今まで起きました事件については全部報告するように、並びにその事件の処理については、国際関係を——国際慣習その他を考慮することはもちろんであるけれども、十分慎重に取扱つて、しかも悪質な者は十分厳罰に処するようにというふうなことで臨んで来ております。具体的な事件を申し上げますとよくおわかり願えるのじやないかと思いますが、何分にも遺憾ながら数が割合多うございます。ただその事件のほとんど大半というものが、いわゆる酔つぱらつた上でかつぱらう、あるいは女に対して、サービスが悪いというので暴行したとか、あるいは強姦の訴えがある、しかし調べてみたら、嫌疑がなかつた、和姦らしい点があるというふうな事件、その他もございますので、具体的な事件に応じて、現地の検察庁は妥当な線を出しておるはずでございます。従いまして、ただいま御質問もございますが、私どもの方といたしましては、国際慣例を尊重しつつ、悪質なものは厳罰に処する、かような趣旨でございます。
○仲内委員長 この際大石ヨシエ君が、委員外でこの問題について発言を求められております。これを許します。大石ヨシエ君。
○大石ヨシエ君 委員外の私がまことにおこがましく発言をいたしますけれども、どうぞお許しを願いたいと思います。 つきましては、実は先日来地方行政委員会で私がこのことを質問いたしたのでございますけれども、外務当局のはつきりとした返答を求めることができませんでした。実は私は呉の鈴木市長とじつこんですので、二十日以前に去る所で面会いたしましたら、実は呉市は暗黒世界である。男といえども、夜八時過ぎたならば通行することができない。ことにここで申し上げてはなはだ悪いのですけれども、自由党の宮原幸三郎先生もホールド・アツプにあいました。ちようど八時三十分ごろに宮原先生が歩いておりましたら、カナダの兵隊が三人出て参りまして、ホールド・アツプ、ホールド・アツプこう言つて、三人が押しかけて行つて、二人が両手を持つて、一人は遂に懐中物をとつて行つて、行方不明になつたけれども、自分は代議士なるがゆえに、これを発表することを差控えておつたというようなことを私に話されたような次第であります。そこで呉の市長が言うのには、実は呉市は非常に困つておる。とにかく婦女子が道ばたで強姦されておるのを、私たちは常に悲鳴を聞いておる。その悲鳴を聞いておつて、そうしてそれを助けに行こうとしても、ある者はピストルを放つし、また一人の女性をつかまえて四、五人の濠州兵もしくはカナダ兵が強姦をする、そして悲鳴を聞いておつても、われわれ日本人が、悲しいことには、日本の女性を何とかして救いたいと思つても救うことができない、こういうことを鈴木市長が私に懇々と話されまして、まことに済まぬが何とかして、声を大にして議会で話してもらいたいということを、私は二十日以前に頼まれたような次第でございます。それで地方行政委員会へ持つて参りましたり、皆さんも御承知の通り、金光さんに非常に人格者で温厚な人でございますので、実はこの問題は捕虜の問題と非常に関連しておつて、濠州の方にもわれわれの同胞がたくさん捕虜になつておるゆえに、その人を救済する意味においてこれを国会において問題にされると実は非常に困る、こういうここをおつしやいました。私は政府の言い分は非常によくわかります。それで私は政府を責めようとは決して思わないのであります。そこで今戸叶先生がおつしやいました通り、われわれ婦人の立場といたしましては看過できないのであつて、ここに明らかになつておりますのは、ことしの一月から五月十日まで強姦未遂になつているのが五つ届け出ております。それで呉の市長に聞きましたら、強姦されておるのは数知れずある。けれども自分が結婚するために、みな泣寝入りをしておるようなありさまである。そこで私は、正しいことのために憤りを感じないような者であるなれば、これはほんとうの日本人でない。私は正しいことのために、これを国会議員が議会で取上げて発言することができないということに対して、からだ中火の燃えるような義憤を感じておるのでございます。日本の皆さんも御承知の通り戦いに敗れました。戦いに敗れましたけれども、これとそれとは私はまた別問題であると思います。ことに白人というものは、われわれアジア人種、有良人種を小ばかにしております。白人は一つの優越感を持つております。戦いに敗れたといえども、われわれはかくのごとき悔辱を受けても、黙つて黙々としておらねばならないのか。外務当局は今まで何ゆえこれを御調査にならなかつたか。呉市は常に外務当局と連絡をとつて、そして一々これを報告しておるが、何の手当もしてくれなかつた。先日外務省の伊關さんと私と呉の鈴木市長と面会しました。そうしたところが伊關さんいわく、そういうことを濠州兵やカナダの兵隊はいたしませんです。それは呉市のキャバレーやカフエーの人が悪いのである。何で悪いのですかと私は義憤を感じて聞きましたら伊關さんいわく、それは呉市のキヤバレーやカフエーの主人が、日本人にはビール代を安くしておるが、濠州兵、カナダ兵には非常に高いビール代をとり、その他いろいろなものを高くするから、怒つてこういうことをするのである。こういうことを伊關さんから私は聞きまして、義憤を感じました。たとい、高かつたら高いように、相当な方法をもつて話をすればわかるはずです。高いからして窃盗をしそして、婦女に暴行し——何人暴行を受け、強姦された人があるかわからない。それを、さつき申上げましたように男の人が、道ばたで強姦されているから助けに行こうと思つても、ピストルを放ち、そして、そうした日本人よりあの背の高い人が、その助けに行こうとする日本人をそばへ寄せつけない。これで一体治安が保たれておるか。それから、私がちようど地方行政委員会の現事会で、義憤を感じて話しましたら、東京新聞にそれを書きました。そこで私は、これは呉市のみの問題ではない。これはあらゆる駐留軍のおるところに、多数こうした問題があることと私は思う。それを何ゆえに外務当局は、現在までに黙々としていらつしやいますか、その辺私は責任ある政務次官の御答弁を要求するものであります。
○石原(幹)政府委員 決して黙々としておるわけではないのでございまして、先ほど申上げましたように、大分前から事務官を派遣しまして、向うでいろいろ調査もさせ、折衝もしておりますし、最近は、局長もみずから出かけまして、いろいろ現地でやつているわけでございます。先に申上げましたように、先方の司令官も厳重な布告を出しまして、部下を戒めている、こういう現状でございます。先ほど伊關局長の言つたことについて、いろいろお話があつたのでありますが、どういうことを伊關さんが言いましたか、私は承知いたしておりせんが、いろいろの事件が、ございまして、たしか大分前の、最初のころの事件であつたかと思いますが、いわゆるキヤバレーの主人でありますか何かの訴え出ました事件が、非常に事実が相違しておつたりしたことがございまして、逆に濠州、ニュージーランドの関係の人を、非常に激憤させたというような事件もあつたのでございますが、あるいはそういう事件のことを、一例として話したのではないかと思います。そういうこともございまして、先方に対して十分の折衝、交渉を続けております。ただ現地におけるいろいろの処置の問題は、これは警察及び検察当局の問題であろうと思います。十分そこらと連絡をとつておる次第でございます。
○大石ヨシエ君 幸い斎藤国警長官がいらつしやいますので、私は治安方面について質問いたしたいと思います。もちろん自治体警察と国家警察とは違いますので、あなたにこういう質問をいたすことは、筋が違うかとも思いますが、やはり治安に関することは、斎藤さんが専門でございますので、私は質問いたします。 実は市長が言うておりましたが、呉の市警では、わずか署長をくるめて四十人しかおらない。それで毎日あつちでもこつちでもというので、どうにもこうにも治安を守ることができない。そこであなたは国警長官でございますが、こういう事態があることを御承知であるなれば、なぜ自治体警察とそして国警と連絡をとつて、何とかその方法はございませんでしようか。それを私は詳細にお聞きしたいと思います。
○斎藤(昇)政府委員 私は呉における外国兵の暴行事件が、普通ではないということは、先般の地方行政委員会でお取上げになりまして、初めて知つたのであります。しかも鈴木市長が、国会にその問題を持ち込まれたということを聞いたのでありますが、事前に国警の方は何らの連絡も受けておりません。従いまして、非常に驚きまして、急遽調査をいたさせたのであります。調査の結果は、犯罪の発生件数は、日本が講和條約を締結して独立をいたしました以前と、後と比較をいたしてみますと、後におきましては、決して以前に比べてふえてはおりません。むしろ若干少いような状況であります。市警がそれによつて手を上げているならば、なぜわれわれの方に相談がなかつたのであろうかと、まことに奇怪に私は思つたのであります。講和独立前と独立後とは、事件の扱いが違うことはもちろんであります。従いまして、講和独立以前は、警察がこれを取締ることが非常に困難であつたのでありますが、独立後におきましては、むしろわれわれが責任をもつて取締りをしなければならないのであります。犯罪の発生がありました場合におきましても、以前は泣寝入りが多かつたと思いますが、独立後は届出も以前よりは多くなつておるはずだと思つておるのでありますが、それにもかかわらず、発生件数は必ずしもふえておりません。検挙件数は非常に上まわつております。かような状況から、私は呉は以前から進駐軍による犯罪件数は多いところだとは思つておりましたけれども、今問題になつたのはどういうわけかと、いまだにわからないのであります。従いまして、市長にどういう考えでこの問題を持ち出して来られたのか、よく聞かしてもらいたいということを、管区本部長を通じて確かめておるのでありますが、別段これということはない。たまたま話のついでにそういうことになつたということのようでありまして、私は独立後特に取上げて検討するという場合に、呉の市警がん手が足りなくて、その取締りが十分できないということも、ただいま先生から初めて承つたような次第であります。むしろ私は呉の市警なり市長さんが、そういうことであるならば、もつとわれわれの方に綿密に連絡をしてほしいという、端的に言つて、私は不満の念を持つております。
○仲内委員長 大石君簡単に。
○大石ヨシエ君 簡単に言います。どうも済みません。実は今斎藤国警長官が、独立後犯罪が非常に少くなつておると、こうおつしやいますが、とにかく一月から五月十日まで、犯罪件数が二百十件でございます。そうして日本が独立——名のみの独立をいたしましてから、非常に犯罪件数がふえておることは、事実なのでございます。またきようの毎日新聞にも、犯罪件数が非常にふえておるということを私はここで見まして——戸叶さんに先ほど教えていただいて、初めて毎日新聞を見たようなわけでございます。そこで毎日のこの投書欄に、「婦人代議士よ奮起せよ」ということがございました。しかしこれは女の代議士のみが奮起すべきものでございましようか。これは国会議員全部が奮起すべきものであると私は思うのであります。それで国警長官は、日本は独立してから犯罪件数が少い。こういうようにおつしやいますが、歴然たるここに証拠がございます。いずれ私はあなたにこれを渡したいと思いますが、実はここで申し上げたいのですけれども、あまりに日本の女性が強姦でも、ひどい目にあつておるので、公開の席上で言われないような事実が多数ここにございます。それで独立後、日本は、警察が報告されておるところによりますと、非常に件数がふえておる。これを見ても治安の関係の最高権威者の斎藤国警長官が、これを御存じなかつたということは、私はあなたのセンスを疑うものでございますが、どうぞ呉その他駐留軍の今いますところとよく連絡をとつて、今後遺憾なきように願いたい。外務当局もしていただきたいと思いますが、その確約をこの席上でしていただきたいと思います。
○斎藤(昇)政府委員 先般地方行政委員会で問題を御提出になりましたので、私の方もこれを調べさせたのであります。その統計を御配付するように私は話をいたしておきましたが、まだその機会があつていないのかとも思います。私がそのときに見ました統計から言いますと、独立後の方が若干下まわつておるということは事実であると思います。(大石ヨシエ君「うそ言うたらいけぬよ、うそ言うとしやくにさわる。」と呼ぶ)刑事部長をして機会があるときに、地方行政委員会で御報告をさせる、私は現にその統計をつくつて決裁をいたしたのであります。しかしこれは統計が完全であるかどうか、大体統計は自治体警察からの報吉が主でありますから、その点は確約はできませんが、私としてはその統計を信ずるしかないのであります。ただこの点は十分考慮に入れていただきたいと思いますのは、独立後はその問題を各自が取上げるという気持が出ておる、私はこれは非常にいいことだと思つております。従つて国会でお取上げいただくことも、非常にけつこうだと思いますし、私の方といたしまして、取締りは自警の方とも連絡いたしましてできるだけ容赦なしに取締りいたすよう断固としていたしたい、かように考えております。
○守島委員 ちよつと関連ですからお許しを願います。今大石先生のお話を、伺いまして私は平生意見を述べたり質問をあまりしない議員でございますが、話をせざるを得なくなつた。大石さんの言われておることは、非常な重大な問題です。私どもは米軍その他日本の友好国家が、日本と話合いをつけて日本へ軍隊が来た、これはやむを得ぬ、これは両国が仲よくして行かなければならぬ、親善を保つて行かなければならぬ、ところがこの前も申し上げましたけれども、来ておる兵隊さんあるいは将校の行動のために、国と国とが仲よくしなければならない。その根本の手段をくずされるようなことは非常に困る。これは日本への中にもそれがありますが、向うにもそれがある。もしこういうことが事実であれば、これはよほど考えなければならぬ。われわれ日本国氏の名誉のため、日本国民の威厳のためもございますが、もう一つわれわれ外務に関係しておる者から見て、そういう国々とわれわれとの親善関係を永久に保つて行く点からいうと、よほどやはり政府ではまじめに考えになつていただかなければならぬ。ことにそういう方面は各省に関係がございますが、特に私は外務省の先輩として申し上げますが、外務省の非常な責任であります。ですからこまかいこと、現地のことは、これはほかの省のことでございますけれども、全般としてそういう国々と親善をして行かなければならぬ、しかもその間に立つて日本国民の名誉を保つということは、外務省が最もまじめにお考えにならなければならぬことだ。それで、実は私は與党の議員でございます。なるべく発言いたさないようにしておりますが、このごろ二、三回この問題がございまして、政府の御答弁はどうも私の目から見ましても微温的であります。たとえば伊關君が向うに言つておる話は、一々さしつかえない限りここで御発表になる。あるいは今あげられたような犯罪がはたしてあるかどうか、たとえば五件あるとか六件あるとかお話がございましたが、はたしてそうであるかどうか。あるいは呉の市長が新聞に発表したようなことが、はたしてほんとうであるかどうか。私はどうもあの記事はちよつとまゆつばものと思います。そこいらを責任を持つてすみやかにお調べになつて、そうして外務委員会に御発表になる。そうして直させることは直させる。国民に安心させることは安心させる。また外務大臣が向うに交渉をしておるのも、ただ交渉しておる、交渉しておるだけでは済まぬのであります。こういうふうにやつておる、しかしながら向うは聞かぬとか、聞いてやつておるけれども、こういう状態であるということを、もう少し納得が行くように、国民に知らせるということをやつていただきたいと思います。関連として私は私の意見を申し上げて、外務省初め政府にも、ほんとうに立ち上つてもらいたい、まじめに立ち上つてもらいたいということを希望として申し上げます。
○石原(幹)政府委員 外務省といたしましては、現地における調査並びに法務府、警察当局等の調査に基きまして、英、濠、加に対して厳重に抗議しておるところでございます。その現われの一つといたしまして、先方の司令官も厳重な布告を出して戒めておるのでありますが、今後もなおこういう事態が続くということであれば、ゆゆしい問題と思います。外務省といたしましても、厳重に向う側に抗議を申し入れているということをここに申し上げておきたいと思います。
○仲内委員長 黒田寿男君。
○黒田委員 私は今日山本君と戸叶君及び大石君から御質問のありました件に関連した質問をしてみたいと思います。 第一に政府にお尋ねしてみたいと思いますことは、私は現在日本に駐留しております米国軍隊以外の、たとえばイギリス軍隊あるいはカナダ、濠州、これらの軍隊は、もはや今日は占領軍ではない、すでに平和條約の効力が発生しまして、日本は独立国になつておるのでありますから、これらの軍隊は占領軍として日本に駐留しておるのではなくして、ただ平和條約第六條で規定されております九十日間の撤退猶予期間において、日本に駐留しておる軍隊にすぎない、こう私は解釈しております。しかもこれらの軍隊の日本駐留につきまして、他の新しい何らの協定もできていないのでありますから、これらの軍隊に対しましては、単純、明快、率直、無條件的に日本の裁判権が及ぶべきものと考えます。何人を問わず、日本国内において罪を犯した者に、日本の法律が適用せられるという単純、明確な原則が適用せられてしかるべきものであると私は考えるのであります。しかるに何だか外務省や法務当局のお話を承つておりますと、このような明確な司法権、裁判権が日本にあるのかどうか疑わしいような御見解のように私どもには聞える。もし私の意見が間違つておりますれば、御訂正願いたいと思いますけれども、第一に私は繰返して申しますが、これらの軍隊に対しましては、日本の司法権が率直、明瞭に及ぶものである、遠慮する必要はない。ことに人権に関する犯罪でございますから、それがイギリス人であろうと濠州人であろうと、カナダ人であろうと、遠慮なく日本の法律を適用したらよろしい。私はそれがイギリス並びにカナダあるいは濠州の民主主義の原則にむしろ合致すると思う。どうも私どもが見ておりますと、はなはだ手ぬるいのであります。第一に日本の司法権が彼らに及ぶのであるかいなか、及ぶとすれば、何ゆえにかくのごとく検挙方法が手ぬるいのであるか、その手ぬるいのは警察力の手薄のためであるか、それとも何らかの政治的考慮に基いておるのであるか、この三点を最初にお尋ねして見たいと思います。
○下田政府委員 ただいまの御質問中、第一点に関しましては、黒田委員の御見解は、平和條約の九十日以内撤退の規定を御引用になりまして、その九十日間だけ、つまり撤退する前に暫定的におる軍隊だという御見解のように解釈いたしましたが、実は平和條約の規定以外に、吉田・アチソン交換公文におきまして、朝鮮において国連の行為に従事する軍隊に対し、日本並びにその近傍において、その軍隊のサポートをすることを日本は許し、かつこれを容易にしてやるという約束をしておるのであります。従いまして、その点で現在はそのどちらにも適用がある、そう御解釈になつていいと思います。 第二の黒田委員の御質問の要点は、およそ日本国にある人間は、外国の軍隊に属する者といえども、すべて日本の司法権に服するもので、かつそのように処理すべきではないかという御意見のように解釈いたしました。外国領域に合法的に存在することを認められました軍隊の地位につきましては、国際法上あいまいな点もございますし、また明確になつておる点もございます。しかしながら現在、御承知のように国連軍の取扱いにつきましての行政協定ができておりません。従いまして原則として、国際法に従つて処理するというほかないわけであります。ところがその国際法なる竜のが、遺憾ながらある点は明確に定まりておりますが、ある点は明確に定まつておりません。そこでいろいろの問題を生ずる次第でございます。しかしここに朗らかにいたしたいことは、独立後の日本の警察官は、目につきました者をどんどん逮捕しておることは事実でございます。その逮捕したあと、どこで裁判し、いかなる法を適用し、身柄をどこの拘置所に入れるか、そういう点で国際法上の原則が明確でないために、いろいろ折衝いたしておる次第でございますが、警察官の逮捕権の行使ということはすでに現実に行使し、先ほど国警長官からも御答弁がありましたように、国警、自治警において十分遺憾なく行使しておられるところと私どもは了承しておる次第であります。
○黒田委員 ただいま條約局長の御答弁になりました第一点でありますが、私は吉田・アチソン間に公文のとりかわしがあつたということは知つておりますけれども、それに基いて何らかの協定ができなければ、私はあの協定の意味はないと思います。あれは單に将来そういうようなことになるのだという一定の方向を示しておるだけのもので、占領が終つた後に、米国との間には別な協定ができておりますけれども、イギリス、オーストラリアあるいはカナダの軍隊が日本にとどまるにつきましては、私は何らかの協定ができた上でなければならぬと思う。将来そういう協定ができるものだということを示しておくのが、あの交換公文の趣意にすぎないと思います。そこで、将来できるのであるが、まだ今日はできておらぬ。しかも講和條約は効力を発生しておるのでありますから、今のところ猶予期間内に日本にとどまつておる軍隊と解釈するよりほかしかたがないのではないか、こういう疑問を私は持つたのであります。そういう意味で、まだ協定ができないのであるから、先ほど申しました意味に解釈して、日本の司法権を単純率直に行使したらいいのじやないか、こう私は考えたのであります。なお私は、外国の軍隊一般について申し上げたのではありません。外国の軍隊が他の国に駐留するということになりますれば、これは何らかの協定がそこにあつてそれに基いて来るのでありますから、そこには裁判権に関する特例が設けられるというようなことも普通行われることであります。しかしながら、今問題となつております国の軍隊につきましては、切りかえ時期と申しますか、とにかくそういう時期において私どもから言えば新しい何らの協定もできていないから、駐留の根拠はない、撤退の猶予期間内に日本に駐留しておる軍隊、こういうように解釈するよりしかたがないのではないか、そういうようにも考えられますから、ただいまのような質問をしたのであります。 なお私はそれに関連して御質問申し上げてみたいと思いますが、とにかく連合軍、米国あるいは濠州あるいはカナダの軍隊は占領軍として存在しておつた限りは、講和條約発効後九十日の期限が切れれば日本から撤退しなければならぬということになつております。その後さらに日本に駐留するということになつて参りますれば、従来におけるよりも目的が変更されて日本に駐留するということになるのでありますから、そうすれば私はその軍隊の本国と何らかの協定が締結されなければならないのではないかと考えます。ただ漠然と国際連合の軍事行動に従事とておるのだからというだけで、何らの協定なくして、たとえばアメリカとの間におけるがごとき、何らかの明確な協定がなくして、漠然と、国連軍として朝鮮に出動している軍隊であるという意味において日本に在留するということは、私には許されないように思えるのであります。そこでもし軍隊を置くとすれば、何かそこに協定が結ばれなければならないのでありましよう。そういたしますれば、一体今後はいかなる目的で日本に駐留するということになるのか。わかつておるようでありますけれども、念のためにお聞きしてみたいと思います。それからまたどういう内容の協定を結ぶべきものであるか。なおこの協定に関する交渉は、すでに着手せられておるかどうか。着手せられておるといたしますならば、どの程度に進行しておるか。こういう点をお尋ねしてみたいと思います。
○下田政府委員 黒田委員の御質問中、第一点、吉田・アチソン交換公文は、ただ方針を鮮明しただけであつて、法的の効果は発生していないのではないかという点でありますが、これを「許し且つ容易にする」ということは、もう日本が法的に約束したことでございます。しからばいかなる態様でこれを容易にしてやるかということになりますと、軍隊でございますから、軍事行動に従事する者に対して、たとえば裁判権の問題につきましても、ある定の国際法上認めた例外を認めてやるということも、容易にする、一つの方法でございましよう。しかしながら黒田委員の御質問の第二点に関連して参りますが、この原則的規定のほかに、それを施行するためと申しますか、それをアンプリフアイする條約、とりきめが必要ではないかという点、この点は同感でございます。同感でございまして、そのためになるべく早く日米行政協定に匹敵する協定を結びたいと政府当局は考えておりますが、何分関係国がたくさんございますために、先方の意見もなかなか容易にまとまりません。ただいまいかなる程度に交渉が進捗しておるかという御質問でございましたが、一口に申しますと、事前交渉の段階でございます。日米行政協定の場合に、両国の代表が集まつて第一回の会合を催したと新聞にも報道されましたが、いまだそのような両者一堂に会して協議するという段階に参つておりません。プレリミナリ・トークスの段階と御承知願いたいと思います。
○黒田委員 前に逆もどりいたしますけれども、そういたしますと、要するにイギリス、オーストラリア、カナダ等の軍隊に対しましては、私は先ほど申しましたように、日本の司法権の単純率直な適用がない、やはり一定のよりどころがあつて日本に在留しておるのであるから、何らか外国軍隊の駐留というここに対し、日本の司法権をそのままに適用できないという考慮を拂わなければならないという立場になつておるので、そうおつしやるわけでありますか、念のためにちよつとその点をお聞きしておきたいと思います。
○下田政府委員 黒田委員がただ方針をきめただけだという御見解に対しましては、私ども御同意できないのでございまして、あるいは漠然たる約束だとおつしやるかもしれませんが、とにかくこれを「許し且つ容易にする」という約束は、法的の約束としてすでに存在するわけであります。そういうように考えております。その次の黒田委員のおつしやいますように、そういう漠然たる約束を実行するために、細目の協定が必要ではないかとおつしやいます点は、私どもまつたく同感でございます。
○黒田委員 條約局長は、私の質問の要点をおはずしになつてお答えになりましたが、私は最初の質問に返つてもう一ぺん質問してみたい。それは私の解釈によれば、アメリカ軍以外の軍隊に対しましては、單に占領軍撤退後九十日の猶予期間の中において、日本に駐留しておるという根拠が現在としてはあるにすぎないのであるから、日本の司法権が率直に、何らの制限なく、適用せられるものであると思うがどうかという質問をしてみた。それに対しまして條約局長が吉田・アチソン交換公文の根拠があるのであるから、何らか国際法に基く特別な取扱いがなされるのだというようにお答えになつたと思います。要するに私が考えておりますように、日本の司法権を全国的にこれらの軍隊の犯罪に対して及ぼすことができないのであるかどうか。どうも私は制限があるように承つたのです。このことについては議論はいたしません。制限があるとおつしやいますれば、政府の御意見として承つておきます。その制限、その内容がはつきりしませんが、あるというのとないというのと、私と條約局長との意見の相違になつて来ますが、やはり局長は何らかの制限はあるのだという御見解でありますか、そうであれば、私はそれだけははつきりと聞かしていただきまして、次の質問に移りたいと思います。
○下田政府委員 日本に現在存在します軍隊に対して、日本の司法権の行使に対する制限があるかとうう御趣旨でございますか。
○黒田委員 私の質問はいかなる国の軍隊でも、新しい協定ができれば別でありますけれども、今のままでは、日本の法律を全面的に適用し得られるものだ、こういうことは言えないのかということであります。
○下田政府委員 わかりました。そういう御質問でございましたら、現在おります軍隊は適法に存在する軍隊でありますから、適法に外国に駐留する軍隊に対しては、国際法上その軍隊の存在地の法が全的に適用されるのではございませんで、国際法上認められた裁判管轄権に対する例外が存するわけであります。
○黒田委員 それで政府の御意見は明瞭になつたのであります。私は少し考え方が違いますけれども、これはこの程度にしておきます。 さらにお尋ねしてみたい思いますが、條約局長は今度新たに任につかれましたので、特にこの際局長にお尋ねしてみたいと思います。私が先ほど質問いたしましたときに、何らか新しくこれらの軍隊の本国と日本国との間に協定を結ぶ必要があるのではなかろうかと申し上げたのでありますが、それは私の趣旨は、そういう協定をして日本におつてもらいたいというのではなく、私はむしろおつてもらいたくないという考えを持つております。そういう根本的な考えの相違があるのでありますが、そこで私は條約局長にお尋ねしてみたいと思います。私は日本の憲法は、いかなる意味の戦争をも放棄すると規定しておると思います。そこで日本は、外国と外国との戦争に対しましては、そのいずれの側にも加担してはならないというのが私は日本国憲法の精神であると考えます。なぜであるかと申しますれば、一方に加担すれば、他方と敵対関係に入るのでありますから、それは日本が戦争に巻き込まれるということになるのであります。そうなることのよしあしの判断は別であります。一定の政治的見解に基いて、さような状態に日本が入ることをよしとするか、それともそれに反対するかという政治論は別といたしまして、とにかく戦争をしております国のそのいずれかに日本が加担するという関係に入るこは、日本の憲法は許さないと私は解釈しないわけに行かないのであります。そこで私どもは、吉田内閣の従来のいろいろな條約の締結に対しまして、反対をして来たのでありまして、吉田・アチソンの交換公文に対しても、私どもは反対をして来たのであります。現在、朝鮮におきまして戰うております国際連合軍に基地を提供する、あるいはこれに役務、労務、物資の提供等の便益を供するということ、これは吉田内閣がそういう約束を外国との間になしているのでありますけれども、私は、そういうことを約束することは、日本を戦争に巻き込むことになりますので、このような協定は憲法違反になると思います。たとえば、水盤ダムをアメリカが爆撃いたしましたが、幸いに先方が報復爆撃をやらないから日本は助かつているのですが、万一、向うが日本を根拠として飛び出して来た飛行機によつて水豊ダムが爆撃せられたのであるから、自分の一方はその報復爆撃としてアメリカの飛行機が発出して来た日本における基地を爆撃するというて大挙してやつて来て、日本の本土が爆撃されても、現在日本がアメリカとそういう吉田・アチソン交換公文のような約束をし、また、それに基いていろいろな協定を結んでおりますと、わが国としてはその爆撃に対して文句は言えないということになります。私はこういう約束をするのは憲法第九條に反しておると考えます。すでにアメリカとの間にそのような協定をしてしまつておるのであるから、今からではおそいではないかという考えもあるかもわかりませんけれども、私どもは初めからそれに反対いたして来ました。ここであらためてイギリス、オーストラリアあるいはカナダ等と、またそれらの国の軍隊が朝鮮に出動するについての便宜のために、日本に駐屯するというような内容の協定を結ぶということになりますれば、私は憲法第九條に違反することを行うことになると考えざるを得ないのであります。私は、先ほどの戸叶委員の御質問の中に、防空演習のお話が出ましたが、外国の飛行機の基地で、外国の軍隊が防空演習をするという意味において防空演習をやるにすぎないのだから、大した危險もなさそうなような御意見のように拝聴いたしましたが、外国の軍隊が設けております飛行場であろうと、日本の軍隊の設けております飛行場であろうと、敵の爆撃を受けて日本人が生命財産の危険にさらされる、損害を受ける、という点では私は同じだと思います。日本では今民衆が非常にこのことを心配しております。私どもは戸叶委員に対するような御答弁だけでは納得できないのであります。大体私どもは、こういう協定を結ぶことは、言いかえれば、国連軍の軍隊として朝鮮に出動する軍隊に便宜を提供する基地提供に関する協定、そういう意味の協定を結ぶということは、日本の憲法に反する、私はそう思います。これは條約局長にあらためて御見解を承りたいと思います。私は政治論をしておりません。こういうことをするのが政治的にいいか悪いかということはここでは議論をしない。これは賛成する者は賛成しましようし、反対する者は反対しましようが、私は政治論をするのではありません。日本の憲法の精神からいえば、私はそういう協定をすることが、ただちに日本が戦う勢力の一方に加担するということになるのでありましてあらゆる意味において戦争を放棄した、すなわち制裁戦争をも放棄した日本の憲法の建前から申しまして、憲法違反になると思う。條約局長が新たに御就任になりましたので、これをあらためて承つてみたいと思います。
○下田政府委員 ただいまの黒田委員の御質問は政策問題、しかも非常に大きな政策問題を含んでおるように拝聴いたしまして、私どもの御答弁し得る限界を越えておるかと思いますが、私の関する限り、純法律問題といたしまして、私の主管の範囲内の点を御答弁したいと思います。憲法の解釈問題は、私の主管内ではございませんが、どちらかの勢力につくということはいけないのじやないか、つまり憲法第九條は中立政策を堅持するものではないかという点につきましては、私ども憲法第九條から、ただちに中立とかあるいは永世中立とかいうことは出て来ないと存じます。 第二の点は、国連軍を援助するような協定は、憲法違反ではないかという点が要点だと存じますが、すでに吉田・アチソン交換公文で、大方針は日本が約束しております。その約束は国会の御承認をすでに得ておりますので、私どもも国会の御見解に従いまして、憲法下における国会で御承認を得ましたこの吉田・アチソン交換公文の大原則のもとに、細目をきめる来るべき協定は、また当然憲法に違反するものでない、さように考えております。
○仲内委員長 御承知のように時間が延びておりますし、まだあと二人残つております。この際は簡単に結論を願います。
○黒田委員 私は條約局長がただいまのような御答弁をなさいますのは、あるいは局長のお立場からは当然と申しますか、あるいはやむを得ないと申しますか、御無理はないと思います。ただ私の問題にしておりますのは、吉田・アチソン交換公文を前提として議論をされては困る。私は吉田・アチソン交換公文それ自身が、日本の憲法に違反しているものだ、私は初めからそういう議論をしておりますので、その交換公文があり、それに基いてやつておるものだから、これは合理的なものだとおつしやる議論では、実は私のお尋ねしました点に触れるごとにならないのでありますけれども、ただ先ほど申しましたように、條約局長の職においでになるのでありますから、今のお答え以外は、おそらく局長としてはおできにならないと思います。そこで私はその点はこれ以上は議論をいたしませんけれども、納得はしないのであります。 それから最後にもう一点だけお尋ねします。これは先ほど山本君が御質問になつておりましたけれども、艦艇の貸與問題であります。一体、千五百トンの船艇と申しますか、艦艇と申しますか、それと、その他上陸用舟艇若干を無償で借り受ける交渉をしておる、こういうようにおつしやつておる、海上保安庁長官がそう言われましたが、これは外務省でお答えくださいますか。もしお答えできますればお願いしたいと思いますのは、一体この千五百トンの船というものは、いかなる種類の船であるか。たとえば単なる輸送用の船か、あるいは遭難救助用の船か、またはその他非軍事的な使用を本来の目的として建造せられた船であるか、それとも船のトン数の大小を問わず、本来アメリカにおきまして軍事用として建造せられた船であるか、この点をひとつお尋ねしておきたいと思います。 それから時間がございませんので、ついでに第二としてお尋ねしたいと思いますのは、本日の新聞にも出ておりまして、山本君がこれについて御質問をなさいましたし、政府はこれを御否認になりましたが、それは現在のこととして、将来は駆逐艦というようなものを、アメリカから貸與を受けるような御意思があるかどうか。毎日新聞によりますと、外務大臣はそういう要請を、非公式ではあるけれども、アメリカに対してなしたと、こう外人記者にお答えになつておるようであります。そこで私は将来そういう問題が起り得るかどうかということと、それから最後に、これは條約局長にお尋ねしたいのですが、この点は仮定論になりますけれども、千五百トンくらいの船がどういうものか知りませんが、今回海上警備隊が新設されまして、その海上警備隊の持ち後る船舶はいかなる性質のものであるかということも規定せられておるようであります。それに該当するもの以上の船を、アメリカから貸與を受けることはないことと考えますけれども、駆逐艦ということになつて来ると、私どもの反対いたしました海上警備隊のために使用する目的をさえ逸脱した軍艦になる。そうしますと、そういうものを将来日本が貸與を受けるというようなことになると、明らかに憲法で禁じられた戰力を日本が持つということになると思います。貸與を受けようと、買い受けようと、贈與を受けようと、日本が軍艦を持つということになつて参りますと、明らかに戦力を持つということになるのでありますから、こういうことは、現行憲法の存在しておる以上、私はできないと思います。それにもかかわらず、外務大臣は何だか外人記者団に対しまして、駆逐艦の貸與を非公式ながら要望しておると語つたということが新聞に出ておりました。これは仮定論でありますが、駆逐艦その他の、いやしくも軍艦と言い得られるようなものを日本が貸與の要求をするということは、要求すること自身が今の憲法が存在しておる限りできないと私は考えます。この点に関しまして、これは理論上の問題としてはつきりお答えください。それによつて外務省の見解がわかつて来れば、私どもはそういう憲法違反のことは将来外務省はやらぬだろう、こういうふうに、他人から聞かれましても、説明がつくと思いますので、その点をお尋ねしておき失いと思います。
○石原(幹)政府委員 駆逐艦貸與とかどうとかという問題につきましては、さきに海上保安庁長官並びに私等から申し上げた点で御了承願いたいと思います。それから、いろいろ御質問になりました点は、相当大きな問題でございまして、これは法務総裁の方から御答弁願う方がいいかと思いますので、われわれのところでは差控えておきたいと思います。
○黒田委員 ちよつと一点答弁漏れがありますので……。この千五百トンという船は、いかなる性質の船であるかということをちよつと聞いておきたいと思います。これも保安庁でなければわからぬとおつしやれば、それでもよろしゆうございます。要するに軍事用か非軍事用のものか。それは向うで建造せられたときに、軍事用として建造されたものか、非軍事用として建造せられた船であるかということであります。日本でどういう目的を持つてこれを使用するかということをお尋ねしておるのではありません。アメリカで建造せられた場合に、いかなる性質の目的を持つた船として建造せられたものであるか、おわかりになればその点だけ伺いたい。
○石原(幹)政府委員 それは海上保安庁の方で直接の折衝をやつておりますので、これまた海上保安庁の方からお答え願うのがいいかと思います。
○仲内委員長 佐々木盛雄君。簡単に……。
○佐々木(盛)委員 私は先刻来の諸問題につきまして、相当つつ込んでお話を承りたいのでありますが私は委員長に特に注意を申し上げておきますが、一体わが党與党は圧倒的多数を占めておりながら、最後になつていつでも、いつの委員会においても、必ず五分か三分の時間とか與えない。あとは野党の諸君が思う存分に質問をして、最後になつて、いつもわれわれは三分か五分で、いつでもあとまわし、かようなことは私は不公平きわまる扱いであると思う。野党の意向を尊重することもいいことでありますが、圧倒的多数を占めたわれわれの意向も十分反映するような措置をとられんことをまず冒頭に望んでおきます。 先ほど来、下田君から御説明のありました、日本に駐在する軍際に対する司法権の問題につきましても、私はもう少し論議をかわしてみたいと思いますが、時間の関係上、私は省略いたします。ただ私は部分的には黒田君のような考え方に賛成をいたします。というのは、もとより吉田・アチソン交換公文によつて、国連軍の日本における駐在を許し、また国連軍への協力を容易にするということは、なるほどこれは確かにその通りでありまして、従つて今日日本におりますところの軍隊というものが、適法的な存在であることは申すまでもございません。しかしながら、われわれはこの国連軍というものは、日本においてその基本人権を傷つけ、そうしてあらゆる犯罪を行うことの自由を與えた覚えはないわけであります。私たちはこの軍隊が駐屯しておることに対して、国際法上の通念に基いて、これに対する待遇をお考えになることはけつこうなことであります。しかし私はもつとより高いところの矜恃と申しますか、日本人の誇りを持つてここに不分明の国際法の分野においても、新しいモラルを確立するのだというような見地に立つて、私は誇りある外交をもう少しやつていただきたいことを望むわけであります。そういう自主性の乏しいということ、何となくそごに霞ケ関外交以来伝統的な自主性の乏しいというところに、遂に植原長老をして、腰抜け外交と叫ばしめ、あるいは軟弱外交と叫ばしめ、あるいはこの自主性のない外交だと言つて、人々を慨嘆せしめるところの底流があるのじやないかと私は考える。従つて私はこれらの基本的な人権に連なつたところのものに対しましては、もう少し高いところの考え方に立つて、そうしてここに新しいところの国際法上の崇高なプリンシプルを立てて行くという見地に立つて、私は少くとも対等の立場からこれに対処する、またそういう交渉をしてほしいと思うわけでありますが、時間の関係もありますから、この点は省略いたしておきます。本日は特に委員長に協力いたしておきます。 私は次に、これはどうしても明確にしておきたいと思います点につきまして、この際当面の担当者であるところの下田君に、特に承つておきます。というのは、日華條約に関連いたしますところの、中華民国政府に対する日本の基本的な態度の問題でございます。われわれは特に日華基本条約を審議した当委員会において、私は與党を代表いたしまして、その賛成討論をいたしたのであります。その当時私たちが承つておりました政府の見解は、参議院に行つてまたくつがえつた。また最近におきましては、吉田首相の言明によつて、遂にこれが三転した。一体日本政府のこの條約の相手国政府に対するところの基本的な態度はどこにあるか、一番最初私は——しいてこの論議をここでもう再び繰返そうとしません。この委員会におきましては、執拗に私はこの問題を聞いて論議を続けたわけであります。その当時、岡崎外務大臣並びに主として倭島アジア局長のこれに対するところの答弁は、中華民国政府側においては、自分たちは全中国を代表するところの政権であると主張しておるが、これに対する日本の見解は、今度の條約によつては明らかにすべき性質のものでもない。従つてこの中に、その点についてはどこにも明らかになつておらぬという話であつたのであります。ところがこれが一たび参議院に行きまするや、参議院の外務委員会におきまして、あなたはそのときに——私は詳しい速記録は本日は持つておりませんが、中華民国政府が中国の代表政権であるという趣旨の御答弁をなさつたように思います。私はそのゆえにこそ倭島アジア局長をこの席に招致いたしまして、そこで下田君は参議院の外務委員会において、中華民国政府というものは全中国を代表する政権である、こういう認識に立つておるようであるが、あなたはこれを認めるかという質問を私はいたしました。これに対しましてアジア局長は、その通りである、従つて中共政権などというものとの講和などは、理論上考えることができない、こういう答弁でございました。ところがまた最近吉田首相は、いや、中華民国政府というものは、全中国を代表する政権ではないのだということを答弁なさつておる。一体外務当局の、この日本と善隣友好の百年の大計を打立てなければならない中国に対する態度が、こんな不明確な状態では、まことに当委員会に対する侮辱であると私は考える。私もこの問題に対する政府の見解を明らかにして、その原則の上に立つてこれに対する賛成をいたした。それに対して参議院においてまたその態度がくつがえり、さらにそれが三転した。それでは一体五里霧中だ。これほど当国会を侮辱し、あるいは国民を侮辱するものはありません。あなた方のような政府委員や、あるいは大臣まで出て来て、この議場だけでこれをごまかそう、この議場だけで何とか糊塗して行こう、妙な言葉のあやをもつて言語魔術をもつてこの席だけをごまかして行つたらいいという考えで臨まれておつたのでは、たいへんな勘違いだと思う。この問題について、一体中華民国政府と條約を結んだ方がいいとか、悪いとか、中共政権との関係がどうとかごうとかいう問題を私は論議するのではない。政府のこの條約の相手国に対する基本的な態度はどこにあるのか、どういう性格を持つものであるか、この点を明らかにせずして、その場のがれの巧言令色でこれをごまかそうとしたところが、今日の国民大衆はそれほどばかではありません。従つて、あなたはその当面の人である。その発言者の一人でもある。一体この問題に対して外務省には統一された見解がないのかどうか。また今までこうして二転し、三転して来たのは、どういう経緯によるのか、最後的にはどういう見解をとつておるのか、あなたは前言を翻すのか、吉田首相の言明を正しいと考えるのか、これらの点につきまして、ひとつ納得の行くような、明確な御答弁を願いたいと思う。
○下田政府委員 私は政策の点を御答弁する立場にございませんが、前提として申し上げますと、吉田・ダレス書簡に現われました基本方針、つまり究極には全中国と正常な関係に入りたい、その前提として、さしあたり可能な中華民国政府と正常な関係を結びたい。さらに現在の状態においては中共政権との條約締結は不可能であるという、主としてその三点を吉田・ダレス書簡で明確にしております。その明確にされました政策には何ら変更はないと承知いたしております。 次に法律問題でございます。御指摘の混乱は、政策問題と事実問題と、法律問題と、その三つの観点がございます。それを明確に区別しながら御答弁したつもりでございますが、あるいは言葉が足りませんために、意外の誤解を惹起いたしまして、あたかも政府の見解がぐらついているかのごとき印象を與えました点は、私どもの不十分の点でございまして、おわび申し上げます。私が法律解釈を担当しております部面のみを申しますと、先般御承認を得ました中華民国との平和條約第一條に、日本国と中華民国との戦争状態を終止するという規定がございます。私は参議院でも、中華民国政府が全中国の正統政府だというような答弁は全然いたしたことはございません。私が申しましたのは、この戰争状態の終止ということはどういうことか。戦争状態の終止、換言すれば平和状態の回復でございます。国家と国家の間には戰争関係でありますとか、平和関係でありますとか、法律関係ございます。これはあたかも私人と私人との間に夫婦関係、親子関係という法律関係があると同じでございます。夫婦関係におきまして、手だけが夫婦だ、足だけが夫婦だというようにわけて考えることができませんとあたかも同じに、国家という法人格と法人格の間におきましても、足だけが平和関係だ、手は戦争しているのだというような、部分的にわけて考えることは不可能である。これは法律論としてはまさにこのことを私は参議院でも申したのでございます。そういう包括的法律関係の観念、従いまして今度は事実問題の御質問になるわけですが、そんなことを言つたつて、中国本土にその條約が及ぶのか、これは観念としては包括的な法律観念でございますけれども、実効は上らないわけであります。これは中華民国政府の現実の支配力が及んでおらないという事実から来る制約でございます。そのために、この交換公文の第一條におきましてしぼつているわけです。私のお答えいたしましたのは法律関係の部分だけでございまして、この法律関係の部分が誤解して新聞等に伝えられたために紛糾を来した、そういうように私は思つております。
○佐々木(盛)委員 ただいまの答弁と、先般来——私は参議院の外務委員会を傍聴したわけではございませんが、新聞等の報道に現われたあなたの説との間には、かなりの開きがあるように私は考えます。ここであなたの意見をただいま承つたのが正確なあなたの御意見だと私は思う。それによりますと、あなたは少くとも法律的には中華民国政府というものは全中国を代表する政権ではない、こういう御見解をおとりになつておると私は解釈いたします。これは間違いなかろうと思います。しかりとするならば、あなたは外務省の中においてこの中華民国政府に対して見解の不統一などということはないと今し方言明された。しからば私はいかにその見解の不統一があるかという現実の問題を私は皆様に提示いたしましよう。あなたのそういう参議院における答弁があつたことに関連をいたしまして、倭島局長をこの席に呼んだわけであります。倭島アジア局長は、申すまでもなく日本側の代表でございます。日華條約の締結に当つた人である。みずからこれを締結した人であります。その人がこの席において何と言つたか。どなたも記憶しておると思われるから、私は記憶を想起してみます。確かに並木君だつたと思いますが、この中華民国政府というものの性格について質問したのに対して、倭島君はこう言つた。二軒の家の中で、今国民政府というものは片すみの四畳半に小さくなつているのだ。しかしながら四畳半におつても、その家全体の所有権というものは、明らかに四畳半の一室にとじこもつた家主が持つているのがあたりまえである。あたかも今日の中華民国政府は、この四畳半にいるところの家主と同じであつて、法理論上から申すなれば、明らかに中華民国政府というものは全中国を代表する政権であると考えるということを、この席上において明らかに言つている。おそらく列席の政府委員といえども、これをまさに偽りと言う人はないでしよう。速記録を見てもこの点は明らかである。まさしくここにおいて政府側の見解は不統一きわまるものではありませんか。一体この説に対してあなた方はどんなふうにお考えになりますか。
○下田政府委員 私ちようど倭島局長の御答弁の際にこの席におりませんでしたために、正確なことは申し上げられないのでございますが、倭島局長の言われましたことは、法律問題でなくて事実関係を比喩をもつて表わされた、そういうふうに私ども了解しております。
○佐々木(盛)委員 倭島君の言つたのは、法律関係と政治関係とを明らかにする一例として四畳半を持ち出したのであります。法律上は所有権を持つておるのだ。しかしながら現実には四畳半にしか自分の所有権は及ばないのである。このことの引例として四畳半を持ち出したわけであります。それではあなたが列席しておられなかつたので、しかたがないとおつしやるならばいたし方もありませんが、倭島君の説がもし私の言つた通りであるとあなたが認められますならば、倭島君の説は間違いである、こういうふうにお考えでありましようか。少くともみずから條約製作を担当したところの本人であり、またみずから台湾に長い間使いして、政府を代表して、苦心さんたんしてこの條約を締結したところの本人が、さような基本的な問題で誤謬を犯そうとは私は夢にも考えられません。しかもまた倭島君にして、もしも一片の良心を良識があるなれば、そのようなことをうかつにも持ち出そうとは私には考えられない。一体それで倭島君の説をあなたは間違いであるというふうにお考えであるのか、どれが正しいとお考えなのか。
○下田政府委員 先ほど申しましたように、倭島局長の答弁を私正確に聞いておりませんので、速記録が配付されましたらはつきりした御答弁ができるかと思いますが、倭島局長はただいま申しましたように、この交渉の当初から参加し、また台湾にも再び使いして、交渉の経過を最もよく存じております。私は当時は地球の反対側におりまして、全然交渉に参加しておりませんで、帰りまして大急ぎで勉強いたしまして、客観的に見ました法律解釈の面だけを担当しておつたわけであります。倭島局長の弁でございますが、この條約では中国ということを問題にしておるわけではございませんで、中華民国ということを問題にしておるわけでございます。従つて正統政府という場合にも中華民国の正統政府、あるいは中華民国との戰争状態、平和関係、そういうように必ず倭島局長の発言は、すでにこの條約で前提として限定されておる中華民国という国を対象としての議論だろう、それは当然のことだろうと私了解しております。従つてこの倭島局長の言われましたすべてのものは、條約で問題にしております当事者である中華民国政府、これを当然の政府と認めておる、そう御了解願いたいと思います。
○佐々木(盛)委員 あなたはこの倭島局長が答弁をするときにいなかつたからこれに答えられないというお話でありますが、そこにおられてもおられなくてもけつこうであります。私はここにおられます委員の諸君、またそこにすわつておられます政府委員の諸君も、私の今言つていることがうそである、欺瞞であるとでもお考えであればひとつ指摘していただきたい。今の法律上の問題と政治上の問題とが非常に複雑になつて参り、不明確になつたので、その関係を明らかにするために、倭島君がこの四畳半を持ち出したわけであります。それでは、中華民国政府は全中国を代表する政権であると中華民国側が主張した、彼は何回も言明しました。また日本政府もこれは認めた。その原則に立つて今度の條約を結んだということは、間違いであるとあなたは断定されるわけですか。
○下田政府委員 倭島局長は、中華民国政府が全中国の正統政府であるという主張をしたという事実を了承した。しかし口の條約ではそれを承認しておるわけでも何でもない、そういうように答弁されたと了解しております。
○佐々木(盛)委員 私は條約の何條に何が書いてあるということを言つておるわけではありません。私とあなたとの論議のピントを合せてひとつ御答弁願いたい。條約の何條にあるとか、この條約がそういう領土権の問題を明確にすべきであるとかすべきでないとか論議いたしておるわけではありません。政府の中華民国政府に対する見解は何であるかということを承つておる。きわめて単純な話である。もし政府のこれに対する基本的な態度さえきまつておつたならば、答弁があいまいになろうはずはないのであります。そこで倭島君の話でなくてもよろしい。それでは今私は倭島君の話を引例しましたが、そういうような説をなす者があつたならば、つまり中華民国政府側においては、中華民国政府は全中国を代表する政権と考えておる。日本政府もこれを認めておる。その原則に立つて今度の中華民国との平和條約を締結したのだと説く者があるなれば、その見解は法理論上間違つておるという断定を外務当局は下すわけでありますか。これは政務次官に聞くのではなく、條約的立場から下田君に聞きたいのです。
○下田政府委員 日華條約は、中華民国政府が中国の正統政府なりやいなやの問題、また中華民国が中国全土に対し領土権を有するやいなやの問題、その二つの根本的問題について何ら規定しておりません。それを日本側がこの條約によつて承認したかのごとく解せられる方がありとすれば、これより大きな誤解はないと存じます。
○佐々木(盛)委員 私に繰返し同じことを言わせないようにしていただきたいと思います。この條約がそのようなことを規定したものでないことは、もとより條約を読めばわかることであります。どこにもそういうことに関連した領土権の問題なんか書いてはありません。日本政府の中華民国に対する基本的な態度はどうかということを聞いた。あなたは先ほどの御説明の中で、法律上は全中国を代表する政権でないと今し方おつしやつたではないですか。これは速記録を調べるまでもなく、われわれが今し方聞いたところである。その見解をあなたはあくまで堅持されるのか、もの堅持されるとするならば、倭島君の言葉によつて代表されたような見解を持つ者は、あなたとまつたく意見が食い違うわけであります。外務省の統一された見解は一体どこにあるかということを聞いておるわけです。
○下田政府委員 私が一番最初に御答弁いたしましたものが外務省の見解であります。
○仲内委員長 佐々木君、ひとつ簡単に願います。
○佐々木(盛)委員 それでは私はあなたの見解について確認をしておきたいと思う。これに対しては、自由党を代表して私は賛成いたしたのであります。私の基本的なものの考え方がくずれて参りますと、重大な責任問題にもなつて参りますので、私はあらためてその政府の見解を確認をいたしておきます。それでは、日本政府の考え方は、今度の條約の交渉にあたつて、中華民国政府側は、中華民国政府をもつて全中国を代表する政権であると考え、そのことを主張した、これに対して、日本もそれを了承した、そういう原則の上で條約を結んだものではあるけれども、しかしながら、條約そのものの中においては、いずこにもさようなことも約束したものではない。従つて法理論上考えるならば、中華民国政府は、決して全中国を代表するところの代表政権ではない。先刻来のあなたのお話を要約すれば、私は以上に帰着するものと思うのですが、それにあなたが反対であるならば、どの点に反対であるか、見解を明確にしていただきたい。
○下田政府委員 大体佐々木さんの要約なされましたところと、私どもの考えは一致しておりますが、正確を期するために申し上げますと、先ほど中華民国政府側の主張を了承しておるとおつしやられましたが、その了承というのは、そういう主張した事実を知つておるというだけのことでございます。それを承認したとか、あるいはそれに同意したとかいうような意味で全然了承しておらないわけであります。
○佐々木(盛)委員 ただいまのあなたの、了承ということの内容につきましては、私はまことに重大な問題であると考えます。考えますが、それが政府の見解であると考えて私はこの際論議を避けて、政府の見解としてそれを了承しておくにとどめます。 次に、これはまつたく別な話でありますが、戦犯に関連いたしまして、私自身も、またここにおられる多くの委員も、最近巣鴨の拘置所へ慰問に参りまして、そうして親しくわれわれが見聞し、戦争犯罪人の口からも、またその留守家族の人々の周辺の品からも、われわれが聞いた疑問について、この際私は関係当局の見解を明らかにしておきたいと思うのであります。それにつきましては、まず、B、C級戦犯に対する釈放ないし減刑方に関する交渉、これにつきましても、当委員会においてもおそらくはしばしば話も出たことであると思いますが、その進展の模様、またその実現の時期等につきましては、いかようなものであるかという点につきまして、承つておきたいと思います。
○石原(幹)政府委員 前の委員会でも申し上げたかと思いますが、いろいろ個人々々につきまして、調書をつくつておるわけでございます。われわれがとつております立場は、いわゆる仮出所し得る資格のある人の問題から、まず第一に片づけたいという立場からいたしまして、それに該当する人の調書を急いでおるわけでございますが、ただいままでのところで、たしか四十二件と思いますが、そのものが提出されておるわけでございます。これがそれぞれこちらの外交公館を通じて、本国政府に照会されておるわけでございまして、不日何らかの措置がとられるかと思います。ただ一件、平和條約発効前後に関連いたしまして、延び延びになつておりました日下敏夫大佐、この人はたしか私は、先般仮出所したやに了承しております。
○佐々木(盛)委員 それからアメリカ関係の戰犯については、パロール制度つまり仮出所の制度が認められておつたわけであります。これが日本側に、独立後移管されてからというものは、全然実行されておらぬ。すでにパロールによるところの仮出所の資格のある者も、いまなおそのままにして放置されておる。これは日本側において何か事務的な遅滞等のことがあるのではなかろうかというようなことも、現地で私は見聞をして参つたわけでございますが、これらにつきましては、外務当局ないし直接担当登れております方でもけつこうでありますが、これについて明らかにしていただきたいと思う。さらにまた、パロール制度というものは、アメリカ以外の国の戦犯関係者に対しても認められないのか、もう少し私たちは一般的にこれを広く認めてもらうようなふうにいたしたいと念願をするわけでありますが、アメリカ以外の国についてはどうなるかということと、最近これが実施されていないという理由は、どこにあるかという点をお聞きいたしたい。
○石原(幹)政府委員 仮出所の問題は、それぞれ国内法でいろいろの規定があるのでありまして、大体刑期の三分の一を終えた者は、その該当者になるとかいうようなことでありますが、国内法で認めておる限度のものにつきましては、おそらくどの国でも全部認めてくれるのではないかと思つております。それからアメリカ関係につきましても、もちろん調書をつくつてただいま出しておるわけでございますが、決してこれは発行後特にいろいろの手続が遅れたというわけではないのでございまして、調書をつくり上りますために若干の手間をとつた、こういうことでございまして今これを主管しております法務府の方におきましても、現在の状態においては、全能力をあげましてやつておることと承知いたしております。
○佐々木(盛)委員 私は政務次官は現地へ行かれて見て来られた経験がおそらくはないのではないかと思います。私は現地へ参りまして、親しく実情を調査し、意見を聞いて来たのでありますが、今までは毎月々々、一定の、制度によるところの期限が来れば、仮出所が行われて来た。これが突如として、日本側に移管されて以来というものは、毎月出るのがとまつてしまつた。それは一体どこに原因があるのかという点であります。
○池田政府委員 佐々木委員の御質問の点、大体はただいま石原次官から御説明のあつた通りでありますが、今日までパロール、仮出所が遅れております事情、特に占領軍司令部当時のパロールの状況に比べて、條約発効とともに一時停頓しておるような事情、これについて、原因はどこにあるかということを、いま少しく補足して詳しく申し上げますと、占領当時は、御承知のように、裁判の関係国がたくさんあるのでございますが、これを占領軍であるアメリカが、巣鴨へ一括して集めまして、アメリカの方式によりましてこれを管理いたしておりました。そうしてこれに実施するパロールというものも、やはりこれは大体アメリカの管理方式なのでございますが、それを実施いたしておりまして、当時私ども聞き及んでおりますところによりますと、あるいはオランダ関係あるいは英国関係の裁判を受けた者で送り返されている人たちの間には、万事アメリカ流にやつてもらうと不利の点もあるので、どうも反対だ、あまり希望しないというような意向もあつたということでございます。また事案にあたつては占領当局であるアメリカ軍の管理のもとに行われますパロールについて、異議を唱える国があつたということも聞いております。けれども当時はアメリカ軍当局が一括して実施しておりましたので、それはアメリカ軍の力でどんどん運ばれていたわけであります。それで條約第十一條が條約発効によつて実施になるわけでございますが、それの実現の手続につきまして、先般国会で御審議をいただきました平和條約第十一條による刑の執行及び赦免等に関する法律をつくつたわけでございますが、何分この法律は條約発効とともに実施しないと間に合いませんので、これをつくります準備の除に、司令部の当局と折衝を続けながらこの法律をまとめて参つた。ところがこれをいよいよ実施する段階になりますと、これはアメリカだけが相手じやないのでございまして、オランダも、イギリスも、他の諸国もあるわけでございます。それでそのほかの国々、特にそういう国々に対して、この平和條約第十一條による判決執行なり赦免なりあるいは仮出所なりの手続をとりました、この方式を了解してもらわなければならない。まずこれを了解してもらわなければ、こちらが勧告いたしますその内容がよくのみ込んでもらえない関係になるので、当時さつそく外務省を煩わしまして、この法律を関係各国全部にまわしていただいたわけでございます。そうしてこれを早く承認していただきたい。特に問題になります点は、この法律の中の第九條、第十一條でございますけれども、未決抑留日数の通算という問題と、善行特典の適用という問題、この二つの点でございますが、これは大体アメリカ式の管理方法が主になつておりますけれども、こういうものについては関係国で承認して来ないと、これを適用することができない、こういう仕組みにいたしております。そんなことで了解を得る必要がございますので、その了解をとるのに外務省を煩わして、急いだわけでございますが、まだその返事が参らないので、荏苒日を送つているわけにも参りませんので、まず個々のケースを通して向うの見解を確かめ、同時にパロールを運ぶ、ことにパロールは占領当時も実施されておつたのですから、そういう方法をとるのがよろしいというような判断をつけまして、外務省とも十分連絡をとりまして、やつと個々のケースのパロールについて、この法律の定めるところの勧告相当の決定というものを、私の方の中央更生保護委員会で逐次決定するような運びに至りました。その第一回がたいへん遅れましたけれども、條約が発効いたしまして、調査がだんだん進み、六月十二日でございましたか、大分準備も整いましたので、その後逐次第一回の六月十二日の十四件を手初めに、次々に委員会でこれを勧告することを相当とする旨決定がなされまして、六月十三日から三十日までの間の第四回までで合計五十四件のパロール勧告相当の決定がなされました。これは一部まだ外務省へ行つていない部分もございますけれども、逐次外務省の方にお願いいたしまして、外務省から関係国へ伝達していただいております。ここまで運んで参りまして、バロールについての調査なり、それから決定の手続、それに対するいろいろの処理の方法、これは大体見通しが立つて参りましたので、これからはこの勧告だけはどんどん運んで参ると思います。なお現在巣鴨に在所しておる者のうちで、バロールの資格ありと認める者は約三百あるわけでございます。この方々たちに対しましては、この五十四名を除いたほかの方々はほとんど調査が進んでおりますから、あとはどんどん委員会にかけて決定いたしまして、外務省の方へおまわしする、こういう運びになつております。なおバロールの資格のない方については、また別途赦免なりあるいは刑の軽減なりの勧告をいたすべきであろうというので、準備をどんどん運んで参つておる状況であります。
○佐々木(盛)委員 私は最後に一点だけ政務次官に伺いたい。それは日本におるソ連代表部の問題でありますが、まあ理論はやめまして、先般キスレンコ代表が帰国いたしました。伝え聞くところによりますと、また再び後任の代表を送るとか送らぬとかいうようなことなども聞いておるわけでありますが。少くとも日本に存在する法律の根拠を失いまして、その旨の通告を日本から強硬に申入れをいたしましたので、従つてこれが再び入つて来るというようなことは、全然なかろうと考えるわけでありますが、そういうことに対しまして外務省は、もしも入国申請等がありました場合においては、一体どういうことによつてこれに対処するか、おそらくは一般外国人並の待遇によつて出入国管理令であるとか、外国人登録法等に準拠してこの取扱いがなされるものであつて、その間にいささかも外交官の特権もしくは特権的な待遇というものは、ないものであると私は考えておるのでございますが、政務次官ないし條約局長でもけつこうでありますが、御答弁願いたい。
○石原(幹)政府委員 キスレンコ少将のような立場の者の後任として参られるようなことは、おそらくあり得ないと思いますし、またそういう場合には当然受け入れるべきものでないと私は思つております。
○佐々木(盛)委員 それではかつての代表部あるいはソ連の外交関係の人々が、日本への入国を申請して参つた場合においては、いかなる基準によつてこの問題をきめて行くか、つまり外交官ないし外交官に準ずるような特権的待遇ということが一体あり得るかどうか、もとより理論的に考えまして駐日代表部後任が来るということは考えられないのであります。もしそのようなことがあればどういうふうな態度をとるか、一般の外国人並の外国人登録法や出入国管理令等の適用を受けるものかどうか。
○石原(幹)政府委員 公的の立場において入国を申請して来るものは、おそらくあり得ないことと私は思つておりますが、その他の入国申請が出ました場合には、個々のケースにつきまして、條約のない国の外国人の入国について扱いますような方針によりまして、審査の上個々に可否を決定して行くべきものであります。
○佐々木(盛)委員 外交官的特権というようなものはないのでしようか。
○石原(幹)政府委員 それはもちろんないと思います。
○並木委員 私も一点だけ簡單に伺いたいと思います。項目だけ申し上げます。それは駐留軍の日本人従業員の問題でございます。国連軍関係になりますけれども、英濠軍区域の呉地区に従事していた日本人従業員の間でストライキが起りました。その他待遇改善などについていろいろ注文が出たようでございます。これはアメリカの駐留軍との間の従業員と二種類ございますので、同じ日本人の従業員としては、やはり同じような差別のない待遇を受けることが望ましいと思う。それとともに間接雇用から直接雇用に移るという情報などのために、かなり従業員が動揺しております。そこでお尋ねしたいのは、呉地区における日本人従業員のストライキの原因とか状態、それがどういうふうに解決をしたか、政府としてはどういう態度でこれに臨んでおるかということ、それからアメリカ駐留軍の日本人従業員に対しての雇用の方法、これは直接雇用であるということを聞いておりましたけれども、そうきまつたのか、あるいは間接雇用という方法がとられるようになつたのが、給與の問題、それから労働三法が適用されるのかされないのか、今度條約発効に伴つての切りかえで退職手当の問題が起つておりますが、それはどういうふうに解決したのかというような点について、この際お尋ねしておきたいと思います。
○山田説明員 私調達庁の労務次長であります。呉地区の英濠軍に使われておるところの人々のストライキ状態、それから解決の状況、これに臨んだ政府の態度、こういう御質問でございますが、実は平和條約発効までは終戰処理費によりまして、英濠軍が必要とする労務者を日本政府機関がこれを雇い入れて向うに提供しておつた、その雇い主は特別調達庁であつたということであり、実は平和條約発効後におきましては、調達庁はこれに対しまして労務は提供いたしておりません。従つて所管ではございませんが、占領終結まで、ビーコフの必要とするところの労務者を提供し、管理しておつたという関係で、呉地区のビーコフの直用になつた労務者諸君のその後の待遇その他につきましては、常に関心を拂つておりますので、所管ではございませんが、そういう立場から御説明いたします。 ただいま御指摘のように、呉地区に今およそ九千ほどの日本人従業員が英濠軍に直用で雇われております。なおストライキをやりましたのは、この呉地区の労務者以外に、山口県の岩国におりますところの、これまたビーコフに使われておるところの直用労務者約千人ほどが、一斎に三十日の午前零時を期しまして、四十八時間ストに入つたのであります。 そこで何ゆえにストライキに突入したかといういきさつを、広島県庁の連絡、あるいは関係の労働組合からの連絡を基礎といたしまして申し上げますと、関係の労働組合はビーコフの必要とする労務者につきましても、アメリカ駐留軍が使つておりますところの日本人労務者と同様に、間接雇用にしてくれという要望を持つておるのであります。しかしながらそれに必要な協約といいますか、協定が英濠軍とわが方とにおるわけではありません。従つて平和條約発効後におきましては、ビーコフは一切直用でやつておるわけであります。 そこで直用になつた後の待遇と、占領終結前に日本政府が提供しておつたときの待遇とを比べますと、基本的な給與については変更はございませんが、日本政府機関が提供しておつたころに支給しておつた扶養手当といいますか、家族手当、これはビーコフ直用になつた後においては、支給をしないということが大きな違いであります。そのほかに占領終結前には、日本政府機関といたしましては、勤続に応じて退職手当を支給しておりましたが、ビーコフ直用になつた後におきましては、この退職手当は支給もない。その理由としましては、失業保険を適用する。これによつて失業した際、その後の保障をする、ゆえに退職手当は支給しない、かような取扱いになつたわけであります。もう一度申し上げますと、扶養手当を支給しなくなつたということ、退職手当を支給しなくなつたこと、この二点が大きな違いであります。 労務者各位は、これに大きな不満を持ちつつ、占領終結後今日まで仕事をしておつたわけであります。そこで関係の労働組合といたしましては、数次にわたりまして英濠軍の労務担当の将校あるいは司令官に、待遇の改善方を要望しておつたのであります。それが六月の下旬のごろまでの状況でありますが、六月の二十四日ごろに、司令官といいますか、向うの代表者から待遇改善要求事項に対しましての回答があることになつておつたのでありますが、本国の方からの承認がまだないというようなことでもつて延び延びになつておつた。そういうような状況にありましたところ、回答が遅れるような場合においては、労働組合といたしましては、また労務者側といたしまとても、ストライキに入るかもわからぬというような通告をいたしておつたようであります。そこで具体的にストに入りました。 スト前に要求しておりました事項を申し上げますと、まずビーコフ直用の労務者についても、労働三法を適用しろということが第一点。それから従前日本政府が使用の際に支給しておつた扶養手当とか年末手当、それから夏期手当といいますか、公務員に今回出ました臨時手当、そういうようなものを支給しろ。それから従前使われておつた者を完全雇用せよということ、それから退職手当の制度を復活しろということ。それから将来米国関係の労務者の給與につきましてベース・アツプが行われた場合におきましては、同時同率をもつてベース・アップを行えということ。それから英濠軍は、すみやかに関係の労働組合と労働協約を結べ。大体この六点であつたと記憶しております。ところが先刻申し上げました通り、向うとの話がうまく進まぬというので、三十日の午前零時を期して四十八時間ストに、呉地区の労務者と岩国地区の労務者が入つたわけであります。 そこでその後の状況は、これまた広島県から連絡を受けたところでありますが、ストに入つてから間もなく話合いがかなり進みまして、さしあたり要求事項のうち、扶養手当の支給は復活するということ、それから夏期手当は、米軍関係の労務者に支給された程度のものは支給するという二点がきまりまして、それから退職手当等の問題につきましては、なお研究して答えるというようなことになりまして、争議それ自体は、十七時間程度でもつて終つたというように聞いております。 そこでこれに臨みました政府の態度と申しましても、私は先刻申し上げました通り、占領終結まで、これらの労働者の大部分を雇い入れ、管理をしておつたという関係上、現在でもこれらの人々の扱いというものに関心を持つておるということから、事柄を知つておるという立場に立ちまして御説明を申し上げたのであります。従いまして、これに臨んだ政府の態度というようなことは、私から申し上ぐべきことでないと考えますので、この程度で御了承願いたいと思います。 それからアメリカ関係の駐留軍の必要とする労務者の雇用形態の問題についての御質問でございますが、これは今までといいますか、占領後ずつと終戦処理費をもつて、アメリカ軍のみならず、他の連合国軍の必要とする日本人労務者の提供も、日本政府が無條件降伏したことに伴う義務として向うに差出しておつたわけであります。そういう関係にありましたが、昨年七月以降は、米国側が必要とする労務者につきましては、アメリカ政府が経費を一切負担するということに相なりました。その形式は、アメリカ政府を代表しましたところの対日調達本部の司令官と、日本政府をこの面で代表しますところの調達庁長官が、労務基本契約と申しておりますがこれを結びまして、七月以降はアメリカ側からドルの償還を受けつつ、日本政府が労務者を雇い入れる雇用上の責任者となりまして、向うに提供しておつた。こういういわば間接雇用の形式をとつております。行政協定のでき上る前に、今までのような間接雇用を続けるか、あるいは直接雇用にするかどうかというような問題も若干あつたのでありますが、その労務基本契約を使つてただいまも間接雇用の形式をもつて、アメリカ軍が必要とする労務者につきましては、日本政府が雇い入れて向うに提供するという、いわば間接雇用の形式をとつております。しこうして給與の決定という問題でございますが、雇用主が調達庁長官と相なつておりますので、法律上は当然雇用主たる調達庁長官が、勤務條件その他給與等の基準は定めることに相なつております。これは今国会で御審議をいただきまして、去る六月十日に公布になりました、日本国との平和條約の効力の発生及び日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する等の法律によりまして、調達庁長官が明らかに駐留軍労務者の給與その他の勤務條件は定めることに相なつております。ただ一言つけ加えて申し上げておきたいのは、法律上かように相なつておりますが、労務の提供、労務者に支拂うところの給與、それからこれの管理に必要な経費は、一切アメリカ側から償還を受けるという建前に相なつております。従いまして、調達庁長官が給與等を定める場合におきましては、やはり経費を実際に負担しますところのアメリカ側と事前によく連絡いたしまして、最後的な決定をするという手続は必要かと存じております。それから、講和條約発効に伴いまして、身分切りかえになつたところの労務者の退職手当はどうなつたかという問題でありますが、これまた、ただいま申し上げました公務員法等の一部を改正する法律によりまして占領下に連合国要員として勤めました期間に応るところの退職手当は、現金では支給いたしませんが、将来の退職事由に煩わされることなく、軍命解雇となつた場合と同率の、言いかえれば最高の退職手当を支給する。なおかつ退職手当の利子と将来の退職事由に煩わされないという二点を保証するほか、駐留軍労務者になつてからこの退職手当をもらうまでの期間、すなわち退職手当をもらう時期といいますのは、駐留軍労務者を最後的にやめる場合でありますが、その期間までは年五分の割合をもつて計算したさらに特別の手当をつけるという措置を講じたわけでありま
○並木委員 国連軍の仕事に従事する日本の従事員に対しても、ただいまアメリカの駐留軍に従事する條件と同じように、政府としてはこれからの国連軍との協定をやつて行くつもりであるかどうかということ、それから物資の調達について、最近日本側としては非常にやりにくいという声を聞くのですけれども、従来と講和発効後との相違について、政府はどういう点を重視しいるかをお聞きしておきたいと思います。 最後に、この前問題になつて保留になつておる問題ですが、立川市におけ飲料水の問題について、政府からこの際その原因、対策等についてお尋ねしておきたいと思います。
○石原(幹)政府委員 労務あるいは物資の扱い等につきまして、先方からもいろいろの要望があり、こちらからもいろいろの意見もあるのでありますが、ただいままだ下交渉の段階でございまして、何ら確定したことを申し上ける段階に至つておりません。 それから立川の飲料水の問題でありますが、こちらからも調査に参りまして、先方に申し入れております。先方でも調査をするということになつておりますが、ちようど厚生省からも政府委員が見えておりますので、簡単に政府委員の方から御報告を願います。
○楠本政府委員 調査は、当省におきまして、地元の立川市並びに東京都及び関係軍と、共同調査をいたしておつたのであります。なおその後、厚生省があつせんをいたしまして、外務省並びに特別調達庁とも連絡をいたしまして、目下は特別調達庁におきまして、正式に調査を進めておるわけであります。その結果につきましてはいまだ確たる根拠に基く成績は出ておりませんが、常識的に考えますれば、おそらく飛行場に何らかの関係があるであろうという程度でございます。
○長岡政府委員 御承知の通り、條約発効前は調達庁にきおきまして、アメリカの側の要求に基いて物資を調達して、アメリカ側に渡しておつたのであります。現在におきましては、調達庁は一切関與しておりませんで、アメリカ側においていわゆる直接調達をいたしておる次第であります。ただ、ただいまお話のありました通りに、やりにくくなつたとかどうかということにつきまして、今後いろいろ紛議が起るかと思います。この紛議は日米双方の委員会できめられることになると思いますが、この関係におきまして、調達庁が各現地でタッチいたしまして、なるべくあまりむずかしくないように現地でそれぞれ解決する方法を講じたい、この仕事を調達庁がやるごとに相なつております。
○仲内委員長 横田甚太郎君。
○横田委員 わずかしか時間がないので聞き流しになつてしまうようなおそれがあるのを残念に思いますが、各人が日本の自主権の喪失の真相について熱心に質問しておられる。ところがそれに対して答えるところの政府委員があまりに日本人的な気魂を失つている。それを私は非常に残念に思いますので、非常に不満ですから質問いたします。大体質問は三点あります三点のうちの最後の三番目のは、大体記録の上においては警察関係の人は来ているようになつているのですが、今は帰つておられないようですから、これは文書で後ほどに答弁してもらいます。 第一問は自由党の佐々木委員が質問されました中国関係のことであります。大体これは中華民国の実体が問題になつている。これを論究してわが党の林君が懲罰になつている。これに対しまして政府委員が常にぐらぐらしている。これは事実である。そこでそれをきよう論議されまして、その審議の中においても中華民国を主体としての話合いだということを言つている。そうすると何か聞きようによりましては、中国は二つあることを認めているように私は聞くのです、また世間でもこれを実際に認めている人が賢明なので、認めていないのを反動と言う。中華民国以外の中国とはどのような内容を持つて、そうして一体どういうふうに呼ばれているかということを承りたい。この中国と言つているが、アメリカがどのくらいこれに苦情を言おうと、この新しい中国を認めることによつて世界の悲劇が治まるのだろうと思う。これを認めないところにこの世界の悲劇が繰返され、アメリカの崩壊が近いと私たちはこう考える。この形を認めないままにおいても、しかも大きな力を持つているところの政府に対して、中国に対して、吉田政府なるものは命脈も迫つておりましようが、今後わずかの命の間においても一体どういう態度をとるのか。しかもこれは黙つているのではないのでありまして、常に新しい形において日本に呼びかけている。その呼びかけが御存じのように日本と中国との貿易になつている。これに対しまして宮腰さんとか帆足さんが行きまして、輸出入総額六百億の話合いをして来ている、これは非常に私は喜ばしいことだと思う。だからこういうことに対しまして、今の政府は、岡崎さんのような官僚の古手がじやませずに、日本人的な立場から、これは中小の業者さえも喜ぶのですから、これに対して協力する意思があるかないか。これに自由党の議員は臆病で行つておらないのですから、野党のやつたことにやきもちをやくのだつたら、政府が別の形において、具体的に何らかそういうことをやる意思があるかないかということが、私の尋ねたい第一点であります。 それから二番目は簡単なことですが、並木委員の質問から私は何するのですが、ここに出ておりますのは、たしか呉では英連邦軍の基地に勤務しておりますところの約一万名の日本人従業者なるものが、三割方の給與が引下げられたということに端を発しての争議であつたと私たちは解釈している。このときに英軍の司令官は、英軍基地に対する協定を締結すべく日本政府とただいま交渉している、従業員の要求に対しましては十分考慮したいが、それは協定の成立後にする、こういうことを言つている。こういうような見解は非常に従業員を惑わすものです。なぜ惑わすかと申しますと、おそらく日本と英連邦軍との協定は、労働者の賃金に関する細目まではやらないと思う。ところがこれによつて見ますと、何か賃金までもきめてしまうのではなかろうか。やはり戦後におけるところの日本の労働運動を害されたのは、ドツジ・ラインによる給與ベースの決定であつた。だからそのようなことが外国の軍隊のもとにおいて今後もこれが繰返されるのではなかろうか、全然これは間違いではなかろうか、こういうのが第二点であります。 第三点は、文書による答弁を要求するのですが、大石委員の質問に対しまして答えられました警察関係の答弁は実に厚願無恥である。日本人としての血が流れているかということを疑いたいのであります。だから明らかに事実を述べて私は反論するのです。そうして答弁を求めているのです。これはすでにわが党がずつと以前から調査したことでありますが、きようの新聞さえ明らかに言つている。これによりますと、一人の婦人にカナダの妙な兵際が約四時間にわたつて暴行を加えたあげく、事件の発覚を恐れて婦人を海水につけて殺そうとして、これが未遂に終つている。ところが先の答弁によりますと、これは根拠のないことだとか、あるいは数字になつた後に答えますとか、数字になつたときに対策を立てますとかいうようななまぬるいことを言つておりていいのか、悪いのか。それから二十八日以後の犯罪の件数は少いと言つておられますが、事実はうそでありまして、たくさんふえている。そのうちの悪質なものをあげましても、五月二日の、名前も出ておりますが、呉市朝日町五十五、石田洋子なる二十一の女の方で、被害者が上記場所を帰宅途中、後をつけたカナダ兵一名が空地に引込み、ズボンを脱がせ強姦しようとしたが、同女が抵抗したので、未遂に終り、被害者が本通り十三丁目飲食店兒玉トキ子に逃げ込んだので、同店に入り、カウンターにあつた児玉トキ子所有の現金四百九十円を奪つて逃走した。急報により朝日派出所員が逮捕、MPに身柄引渡した。同じく三日、翌日ですか、加害者は上記場所において被害者の上におおいかぶさつていたのを、通知によつて阿賀署員が四名でかけつけ、強姦現行犯人として逮捕した。関係者を取調べたところ、非常に酔つておつた。これをやられた人は、呉市阿賀町新開の沖田誠一さん方の小野幸子さんでありまして、これは呉市においてやらたことは事実であります。こういうようななまなましい事実があり、しかもここに全体的に数字であげますと、強盗が四、強姦が四、強姦未遂が四、窃盗二十四、詐欺七、暴行十二、傷害十、器物毀棄二十三、その他たくさんのものがあつて、これを合計いたしまして八十八件、そのうちの六十五件を検挙した。これを国籍別に見ますとカナダ五十八、英国十九、濠州九、ニュージーランド四〇こんなことは言うのはやぼであつて、わが党の前から知つている事実であります。こういうようなことはどこから見ましても、犯罪の質並びにやつたところの外国人の性格から見まして、やれないことをやつている。こんなことをやられたときには非常にわれわれは憤激しなければならない。日本の兵隊においてかつてこれをやつた人があつたときには、隊内でこれをやつたところの関係軍人並びにその指揮官はどのような処罰を受けたかということを考えられないか。あなたたちは、すでに戦犯に対する減刑を主張するほどの道徳心を失つているところのあなたたちは、これは明らかに犯罪につながる考えだから、これに対して憤激を感じないのだと私は思う。だからここにあげられました強姦にしろ窃盗にしろ強盗にしろ、あまり憤激を感じない。吉田総理のもとにおけるところの天野文相の道徳をもつてしても、どこからどれを推薦してほめなければならないものは何もない。いいものが何もない。こんな悪に対して敢然として闘い、襲いかかつて、こんなことをやる外国の軍隊をなぐり殺してもいいのだ。それさえもできない政府は一体われわれの政府として承認することができるだろうか。黙つていることができるか。だからこういうことに対して一体政府はどんな見解をとるか。それから同時に外国軍隊というものはこんなことをするために来ているのか。こんなことをするのは徒党です。これは帝国主義軍隊の非常に堕落した姿です。だからこういうようなことに対しまして、今後絶無を期するように政府は言明できるか。もしできないならば、国民の力によつてこれを守らなければならない。朝日新聞の天声人語によりますと、奈良県におきましてもアメリカの兵隊が朝鮮で戰つて来た、目的のない戦争のために戰つて日本に帰つて来た、だから命あることをふしぎに思うて、学校から帰るまだ二十に満たない高校生、いわゆる女の学生を襲いまして非常に暴行を働くために、かわいそうな学生たちは、集団をなして帰らざるを得ないほど恐怖の中にたたき込まれている。こういう現状を日本の男子として見ておつていいのか悪いのか。こういうようなことを政府がよう手を打たないのだつたら、日本国民がみずから自衛力を持つてこの軍隊に対決する、この態度が政府としていいのか悪いのか。そういうようなことをやつたために、自由党の方では実力行為と言い、暴力と言うだろうが、ここにこの暴力があつてこそ国が守られるのじやなかろうか。そごに私たちは疑問を持つておるのですから、その点に対する詳細なる答弁を得たい。非常に時間が制約されておりますから、わが党にもちよつと手落ちがありましたので、残念ながら、あとのことは文書をもつて明らから答弁を要求します。先の二点につきましては、なまいきな、反発的な答弁にならない限り再質問しませんが、なまいきなことを言うのだつたら再質問いたしますから、答弁を願います。
○石原(幹)政府委員 第一の問題につきましては、先般の参議院の外務委員会におきまして、総理大臣並びに外務大臣がいろいろ答弁されておるのでありますが、これをもちまして権威あるものと御承知を願いたいと思うのであります。 それから中共との貿易の問題は、これは何回も申し上げているのでありますが、国連協力の立場並びにバトル法等の制約があるのでありまして、その他それ以外の点でできるだけのものは、これは事実上の行為としてやつたらよいものと思つております。 それから賃金率の問題でございますが、これは国連軍との協定がまだ下交渉中でありますから、その内容につきまして具体的なことは何ら言えないのでありますが、賃金率のようなものがこの協定の中に規定されるというようなことは、ちよつと考えられないと思うのであります。 それから呉地区の英濠軍の暴行問題でございますが、この問題は先ほども論議されまして、外務省の態度は十分申し上げているところであります。まことに暴行事件は遺憾でありまして、先方に対しては強く抗議を申し入れ、折衝中でございます。
○仲内委員長 本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。 午後二時五十二分散会