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13回国会衆議院1952/06/12

外務委員会 第32号

発言数
94
登壇者
9
会派数
4
開催日
1952/06/12

会議録

仲内憲治自由党

○仲内委員長 ただいまより外務委員会を開会いたします。  まずインドとの平和條約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。本件につきましては、昨日岡崎外務大臣より提案理由の説明を聴取いたしましたが、引続いて逐條の説明を聴取することといたします。倭島政府委員。

倭島英二外務事務官(アジア局長)

○倭島政府委員 昨日提案理由の説明の際に、言及せられておるわけでありますけれども、逐條の説明を申し上げる前に、二、三この條約の全体にわたつての特徴と申しますか、それを申し上げてから逐條説明に入りたいと思います。  第一、このたびのインドとの條約は、従来のたとえばサンフランシスコ條約とか、日華條約とは異なりまして、戦争状態が終了しましたあとで、平和並びに友好関係について結ばれる條約であるという点が第一であります。サンフランシスコ條約、日華條約等では、第一條に戦争状態を終了するということが規定してございますが、インドとの関係におきましては、すでに去る四月二十八日に、インドが戦争状態を終了するという意思表示をし、わが国においてこれを歓迎し、受諾した手続が済んでおりますので、従つて戦争状態は去る四月二十八日にインドとの間では終了しておるというわけでございます。従つてこの條約では、條文の中に直接戦争状態を終了するということを規定する必要がなか2たわけであります。  それから第二の特徴と申しましては、交渉の当初は、この條約はこの前の戦争の跡始末だけを規定すればいいのではないかという意見がございまして、特にインド側の方では、そういう意見を当初持つておつたのでありますけれども、今御説明をいたしましたように、戦争状態というものは、この條約の締結以前に済んだという関係になりますので、このたび結ばれる平和條約では、戦争の跡始末ということだけではなくして、両国間の永久の平和並びに友好関係というものについて、はつきり規定するのが至当ではないかということを申しまして、これは主としてわが方から言つたのでありますが、それに対してインド側も賛成をいたしまして、本條約第一條に規定せられておりますような合意に到達したわけであります。なおもう一つその関係で交渉中のことを申しますと、インド側との交渉の初期においては、両国が共通の福祉並びに平和、安全のために協力をするということを考えておりましたけれども、さらに国際連合憲章の原則基いてその協力をやるということを明確にしたらどうかということになりまして、前文にそういう趣旨を入れることになつたわけであります。  それから第三の特徴と申します点は、従来の平和條約よりも、二、三の点においてさらに友好の精神があふれておると思います。いずれ逐條御説明を申し上げるときに言及しだいと思いますけれども、この條約においては、たとえば賠償問題とか、財産の返還の問題だとか、あるいは紛争解決の仕方だとかいうことについて、従来の平和條約よりもさらに友好的になつております。  第四の特徴と申しますのは、実は昨年の十二月ごろから、この平和條約の交渉をしておつたわけでありますけれども、最近になりまして急に話がまとまりかけ、実は話のまとまるものならば、わが方の都合としては、本国会の会期中にでもまとめたいということをわが方から申しまして、それではそういうことにしようじやないかということで、急に話が進展したわけであります。従つてそういう急にまとめたいという事情もございましたので、この條約では、さしあたり従来話のついておる英文で署名を済ませまして、それから日本文とインド文による正文は、一箇月以内に双方で交換しようというふうな了解になつたわけであります。これは従来の條約の関係からいえば、例は少いわけでありますけれども、特に両国間において友好的な気持から、早く片づけようじやないかということになりました結果、こういうような締結方法にしようということになつたわけであります。  以上申し述べました四つの点が、あらかじめこの條約の特徴とも言える点かと存じます。  次にいま少し詳しく各條について御説明申し上げたいと思います。前文には、今言及をいたしましたが、主として二つのことが書いてございまして、日本とインドとの間の戦争状態を終結した、ここには「インド政府が」と書いてございますが、インド政府が申出たのを日本政府において受諾して、結局戦争状態の終結ということになつたわけであります。  それから前文の第二項のところは、これも今御説明をいたしましたが、国際連合の原則に従つて、両国の共通の福祉並びに平和、安全のために協力をするということであります。  それから第一條は、これは先ほども御説明いたしましたが、第一條以外の條文は大体戦争の跡始末ということでございますが、この第一條は、跡始末ということよりは、堅固かつ永久の平和並びに友好の関係が日本とインドとの間に存在をするということで、これは長くそういう関係を持つということを規定したわけでありまして、第一條と他の條文とはそういう意味で異なるわけでございます。  第二條は、これは通商関係の暫定的なとりきめを主としたものでありまして、第二條の(a)のところに、いずれ本格的なものは交渉をして締結をするという双方の意思をはつきりしておりますが、(b)のところでは、さしあたりそういう本格的な條約ができるまでの間、今年の四月二十八日以後四年の間は、もしも本格的のものができればそれによる、できなければ、さしあたりこの第二條の項に書いてあるところで双方の通商関係を規律しようというのが、この第二條の趣旨であります。四年となりましたのは、もちろん申すまでもございませんが、サンフランシスコ條約の規定にならつたわけでございます。  それから(b)の(1)は航空交通の関係でございまして、これもサンフランシス院コ條約では別の條文をなしておりますが、インドとの関係においては、特に別の條文を設ける必要もあるまいということで、相互に最恵国待遇を與えるという規定になつておりますが、この規定の効果といたしましては、さしあたり今後サンフランシスコ條約の関係から四箇年間、他の連合国との間の航空交通に関する規定がございますので、それがこのインドの関係においても最恵国待遇ということで適用せられるということになるわけでございます。  (b)の(2)のところは、これは最恵国待遇を約したところでございまして、この條文は、実は英語がもとになつており、その英語は従来の国際協定等をもとにしてこしらえました関係上、日本語に訳しますと多少ごたごたしておりますけれども、要するに、ここに双方が合意に達しました点は、最恵国待遇を與えるというものがそこに書いてございますように六つございます。第一は関税及びすべての種類の課徴金、これが第一のアイテムであります。第二のアイテムは、貨物の輸入及び輸出に関連する制限その他の規制、これが第二のアイテムであります。第三のアイテムが輸入もしくは輸出のための支拂い手段の国際的移転に課せられる制限その他の規制、第四が関税及び課徴金の徴収の方法、第五が輸入及び輸出に関連するすべての規則及び方式、第「六が通関に際し課せられる課徴金、その六つの事柄につきまして最惠国待遇を與えるというとりきめでございます。  それ以下は、ほかの国際協定等に多少ならつて、念のために規定せられたものでありますが、(2)の前半は個別的に列挙しておりますが、さらにその後半において念のためにこういう規定を置いて、ただちに無條件に與えるというふうな念のための規定を添えたわけであります。  それから(b)の(3)のところでございますが、これはインドが日本に内国民待遇を與える限度において、日本も海運、航海、輸入貨物並びに自然人及び法人、あるいはそれらの利益に関して内国民待遇をインドに與えるという規定でございます。現在インドは内国民待遇を外国にほとんど與えておりません。従つて日本にもはたして内国民待遇を與えるかどうかわかりませんが、これも念のためといえば念のためのようなことで、インドが内国民待遇を日本に與えるという際には、日本も與えるということを書いたわけであります。現在インドが内国民待遇を與えておるといいますのは、インドのすぐ隣のネパールという小さな国たけに、内国民待遇を與えておる模様でありますが、その他には與えておりません。  それからその次の但書でございますが、以上のように最恵国待遇あるいは内国民待遇を相互に與えるということを規定しておりますが、但し以下のような際の差別待遇は、これは双方がその必要によつて與えてもさしつかえないということにしたわけでありまして、その差別的な待遇の措置というものぱ四つございます。一つは、通商航海條約に普通規定されておるような例外、それから二は、対外的財政状態もしくは国際収支を保護する必要に基くもの、これは大体為替関係の措置であります。それから重大な安全上の利益を維持する必要に基くものは、事態に相応して、つまり何か安全上特に例外的に扱わなければならぬという」とが起つた際には、これも認める。それからもう一つの例外がその次の段落に書承てございます。「千九百四十七年八月十五日前から」といいますのは、インドが自治領になりましたときでありますが、それ以前から英帝国の「部分として持つておりましたもの、「又はインドが隣接国に與えている特恵又は利益」というものは、これはその前の方に書いてあります最恵国待遇とか丙国民待遇の、これも例外にするということであります。この條約の特に通商関係のところで、従来のサンフラツシスコ條約とかあるいは日華條約と比べまして、今申し上げました最後の点が特にインドとの條約においての特徴と申しますか、わが方において認めた点であります。ただこの点は、わが国との関係だけにおいて認あられるということよりも、インドが従来ほかの国との通商條約等においても、こういう規定を置く了解で進んでおりますので、わが国の関係においても、これを認めてほしいということになつたわけであります。なおいわゆるガツトといわれます関税及び貿易に関する一般協定、それとの関係においても、インドはこういうような関係を大体認められておるわけ仙でありまして、わが国とのこの條約においてこの点が入りましても、特にわが国がインドのために大いに讓つたということにはならないわけであります。  その次の(c)の点でありますが、これはあとに出て参ります第五條との関係を、ただそこで言及しただけであります。  それから第三條に移りますが、第三條の点は、これは桑港條約にもございますが、ほとんどそれと同種のものであつて、漁業の保存発展のためにインドが希望するときは、漁業と関する協定を結ぶ交渉に入ろうということであります。インドとの関係については、相当あの近所は魚もたくさんおり、それから従来あまり濫獲されておらぬ模様でありまして、特に漁業についての保護等を目的とした協定は必要がない模様でありますが、もしもインドが将来何らかのために必要だということなら、結んでもよろしいということであります。むしろ将来協定を結ぶということになりますならば、インドの漁業発展を日本側で援助する、あるいは協力するために、何らか結ぶということがあり得る程度だろうと考えております。なおこの漁業の問題につきましては、現在すでにインドとの間に契約に基いて、日本から大洋漁業の船が一隻伺うに行つて、漁業の協力と申しますか、インドの漁夫に漁業の仕方を教えたり、その他いろいろ便宜をはからつておるような状況であります。  次に第四條に移ります。第四條は第六條と大体関連をいたしまして、このたびの條約でインド側が特にわが国に対して好意的に考慮をしてくれたという結果できたものといつていいと思います。これも今回の交渉の初期におきよ立ては、インドにある日本の財産、利益等については、他の連合諸国と同様に、インドの方で没収するということが適当であるということが考えられておつた状況でありますけれども、その後第六條の幻にございますが、「インドは、日本国に対するすべての賠償請求権を放棄する。」このことは従来インド政府の首脳の方々が新聞その他で発表しておつたところでもありますし、もしもこの賠償請求権を放棄するということであるならば、インドに従来ごさいました日本の財産あるいは利益等を没牧するというようなことは、筋が立ちにくいではないかというような点も、交渉中に話が出まして、結局最後にこの第四條に規定せられておりますように、わが国の希望をあつさりインド側でいれまして、これを返還する、あるいは戦争開始のときにあつた状態を回復するということになつたわけであります。特にこの点については、ネール首相の配慮があつたということを聞いております。それから第五條であります。第五條は、日本にございましたインド及びその国民の財産あるいは権利、利益を日本側が返還するという條項でございます。実はこの前の戦争中においては、インドは敵国というかつこうで取扱われておらず、インド人は敵国人という取扱いを受けておらなかつたわけでございます。この條文はサンフランシスコ條約の第十五條に大体ならつた條文でございます。敵国あるいは敵国人扱いをせられた例がありませんが、ただ他の敵国あるいは敵国人の財産にまぎれ込んで、敵国人の財産と同じような取扱いを受けておるものがごく少数ある。そのためにこの規定が設けられたわけであります。実際問題といたしましては、この第五條の適用によつて日本から返還するというものは大してございません。しかしながら、ごく少数にしましても、この條項を設けようということになつたわけであります。従つてこの條項との関係から、この條項しの最後に書いてございますが、「日本国の連合国財産補償法の定める條件よりも不利でない條件で補償される。」ということになつておりましていずれ今会期中に、連合国財産補償法をこのインドの関係においても適用するというような措置がとられることと思つております。  第六條に移ります。これはごく簡明に書いてございますから大して説明を要することもございませんけれども、第六條はサンフンシスコ條約の第十四條の規定に匹敵するわけでございますが、ちようど第十四條に規定されておるとこぢをインドは放棄するということをはつきりさしておるわけであります。     〔委員長退席、佐々木(盛)委員長代理着席〕 特に第六條の(a)におきましては、「インドは、日本国に対するすべての賠償請求権を放棄する。」それから第六條のこれは大体サンフランシスコ條約の第十四條の川と同じようなことでうそのほかの請求権を放棄するということむ明確にしておるわけであります。  第七條に移ります。これはやはりサンフランシスコ條約の第十七條に相対応する規定でございます。戦時中に日本の裁判所が行つた裁判であつて、何かぐあいが悪いということで再審査を、しなければならぬということになつた際には、再審査ができるように必要な措置をとることに同意するという趣旨の條文でございます。これもインドとの関係では、われわれの承知しておる限り、現在ほとんどそういう例はないだろうと思いますが、しかしごく少数の例がもしも万一あつた際には、それを救済しなければならぬとい一つことで、念のために設けられた條文でございます。すでに出ております平和條約の実施に伴う定事判決の再審査等に関する法律とか、あるいは刑事判決の再審査等に関する法律というようなものに適当なる修正を加えまして、インドの場合にも適用があるようにせられるごとと思います。  第八條に移ります。これはやはりサンフランシスコ條約の第十八條をほとんど生写しにしだような條文でございまして、戰争状態があつたということによつて、戦前の債権債務関係に影響を及ぼさないということ、あるいは日本の対外債務に対する責任を確認するという点、さらにその他の戰前の請求権及び債務について双方が支拂いを容易にするようにしようじやないかということを相互に約したわけでございます。  第九條に移ります。これもサンフランシスコ條約にございます。第十九條とほとんど同じでございます。第十九條の中からドイツ関係だけをはずしまして、ほとんどそのままここに規定されておるわけでございまして、日本が戦争から生じた請求権をインドに対して捨てるということを書いたものであります。  第十條に移ります。これは、もしこの條約の解釈あるいは適用について争いが起つた際には、どういうふうに解決するかという規定でございまして、サンフランシスコ條約の第二十二條には、国際司法裁判所に持ち出すということになつておりますけれども、この條約では、第一次的には両国の協議によつてその紛争を解決しよう、その協議によつてどうしても解決されない、少くとも六箇月以内に解決できそうもないというときにば、両国がまた相談をしまして、その相談の結果に基く方法の仲裁によつて解決しよう。これも相当友好的な精神からこういうふうな規定になつたわけであります。  第十一條に移ります。これはニューデリーで批准を交換するということが趣旨であります。  未文のところは、「東京で本書二通を作成した。両国政府は、この條約の日本語及びインド語による本文を本日一から一箇月以内に交換するものとする。」これは最初申し上げましたように、双方の合意が成り立ちましたわけでありますし、さらにできるならば日本の方としては、本国会中にもこういうりつぱな條約は早く成立をさせたいという意向を持つておりましたので、またインド側もそれはけつこうだということでとにかく用意ができておる英文についてそれでは早く調印の手続をとろう、日本語並びにインド語による本文は一箇月以内に交換しよう、交換をすればいずれも成文になるわけでございます。  それからこの條約に交換公文が一つついております。その交換公文は、先ほど御説明申しました通商関係についての第二條のの一番最後についております了解について、さらにこういう了解にしたい。要するに、従来ありました特恵関係あるいは利益のことを、現在まであつたものについてそういうふうな了解をするということが、本文の第二條の規定でございますけれども、交換公文では、将来何らかそういうようなものを與えなければならぬという面ことがあつた際にはそれも認める。しかしながら、日本に対しても、日本がほかの第三国に比べて不利益なことになるようなことにはしない。もしもその特恵というものが第三国にまた與えられるというような関係になるときには、日本にもそれを與えるという了解を書いたものであります。つまり本文の第二條では、現在までの特恵、利益のことを規定し、交換公文では将来のことについて了解をとりつけたという点であります。  大体以上で簡単でございますが御説明にかえたいと思います。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員長代理 それではこれより本件に関する質疑を許します。

並木芳雄改進党

○並木委員 議事進行……。今の御説明でわかつたのですが、どうもこの正誤表で来たやつがわからなかつたのです。第八ページの「千九百五十二年六月九日東京で本書二通を作成した。両国政府は、この條約の日本語及びインド語による本文を本日から一箇月以内に交換するものとする」。とれが正誤表で配られたのですが、それでは何のことだかわからなかつたのですけれども、今の説明で、その前のところに「以上の証拠として、下名の全権委員は、この條約に署名した」。と書いてあるにかかわらず、署名してございません。それはわかつたわけです。この日本語の、インドとの平和條約には署名してないわけです。ですからその点はどういうことになるか。憲法第七十三條にいわゆる調印前の事前の承認を求めているのか。そうだとすると、今までの政府の説明はひつくり返つて来る。そうでないとすればこういう日本文によらざるものが有効であるかどうか。これは正式の條約案としてわれわれは受取ることができないのじやないか。そういう疑問が当然出て来るわけです。これに対して説明を求めます。そうでない限り、本案の審議はわれわれはできないのじやないか、そういう見地から議事進行について発言いたします。

倭島英二外務事務官(アジア局長)

○倭島政府委員 お手元に配付してあります第一ページのところに「訳文」と書いてありますが、ごらん願いたいと思います。それから英文そのものも差上げてあると思いますが、今御審議願つておるのは、訳文で今御説明をしたわけであります。

下田武三外務事務官(條約局長)

○下田政府委員 並木委員の御質問中、本條約はまだ署名をされていないのじやないが、それに対して国会は審議するわけに行かぬというお話でありましたが、これはここに書いてありますように、六月九日に英文の本文について署名が行われております。それで倭島局長から申しましたように、ここに訳文と書いておりますのは、現実に署名したものは英文だけであるからであります。英文に署名がございます。それで、ここに訂正で入れましたように、先ほど倭島局長から御説明がありましたように、何分本條約の署名を急ぐ必要から日本語とインド語のテキストは一箇月以内に作成して交換する、その交換が行われたあかつきにおいて、日本語とインド語というものは、やはり條約の本文になるわけであります。しかしながら現在の段階におきましては、署名されましたものは英文のみでありまして、この日本文は、御審議の御便宜のために作成をいたしました訳文であります。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 北澤直吉君。

北澤直吉自由党

○北澤委員 大臣が来られましたら、大きな問題について大臣にお尋ねいたしますが、来られるまでの間、政府委員にお尋ねいたしたいと思います。  今度の日本とインドとの平和條約は、サンフランシスコ平和條約と比較しましてもちろんいろいろの点発きまして日本に有利になつておる点は私も認めます。ただそれについてお伺いしだいのは、第二條の通商関係であります。サンフフンシスコ條約では、航空は第十三條、通商貿易に関するものは第十二條になつておりますが、今度の日印條約には、サンフランシスコ條約より相当詳しく書いてあつて、しかもそれには最恵国待遇を與えるというふうになつておる。そこで一つの最も大事なことは、先ほど政府委員からもお話があつたのでございますが、イギリス帝国特恵関税及びインドと隣接国との特恵には、最恵国待遇は適用がないというふうな規定があるのであります。そこで問題は、こういうふうにサンフフンシズコ條約よりも日本にも有利であるが、相手国にも有利な條項が入つておる。たとえばサンフランシスコ條約第二十六條によつて今回の條約が結ばれたと思うのでありますが、これによると、「日本国が、いずれかの国との間で、この條約で定めるところよりも大きな利益をその国に與える平和処理又は戦争請求権処理を行つたときは、これと同一の利益は、この條約の当事国にも及ぼされなければならない。」そうすると、日本がインドに対して特恵を認め、さらにインドと隣接国との間の特恵を認めるということになれば、サンフランシスコ條約第二十六條の規定によつて、日本はさらにそれを、あるいはフランスはインドシナその他の関係もあり、オランダはインドネシアとの関係もあり、そういう関係で、そういう特恵関係というものをよその国にもインドと同じように認めなければならないかという点でありますが、この点について政府はどういう解釈を持つておられますか。     〔佐々木(盛)委員長代理退席、委員長着席〕

下田武三外務事務官(條約局長)

○下田政府委員 北澤委員の御質問の要旨は、交換公文によつて、インドが隣接の諸国に與えている特恵、それに日本が均霑する場合に、日本はサンフランシスコ條約第二十六條の、今後締結される平和條約で、今回の締結国に與えた以上の待遇を與えることはできない、ひとしく與えなければならないという御懸念から出たものと思いますが、交換公文に規定しますことは、インド側が一方的に與える場合のみのことでありまして、日本側から與える特恵ではないわけであります。つまり具体的に申しますと、インドがたとえば第三国、アメリカに、コモンウエルスに、あるいは隣接国に與えていると同じようなフエーヴアーを與えました場合に、その際は日本にもそのフェ治ヴアーを與えるということを規定したものでありまして、従いまして日本から與えるフエーヴアーでございませんので、桑港條約第二十六條の適用はないと考えております。

北澤直吉自由党

○北澤委員 今の政府委員の答弁は、見当が違います。第二條の最後のところに、「前記の(2)のいかなる規定も、千九百四十七年八月十五日前から存在し、又はインドが隣接国に與えている特恵又は利益には適用しないものとする。」とある。従つてインドは英連邦諸国及び隣接国に対しましては、特恵を與え得るわけですね。それを日本は承認しなければならないでしよう。そうすると、今度はオランダがインドネシアとの間にそういう特恵を認めたいという場合に、認めなければならぬじやないか、あるいはフランスが仏印との関係において、そういう特恵を認めた場合においては、日本はやはり同じように認めなければならぬのじやないか、あるいはアメリカとフィリピンとの間にそういう特恵ができた場合に、これを認めなければならぬのじやないか。要するにインドに與えると同じ利益を、あるいはフランスなり、オランダなり、アメリカなりに與えることになりはせぬかという意味です。

下田武三外務事務官(條約局長)

○下田政府委員 先ほど北澤委員の趣旨をとり違えておりました。北澤委員の御質問の趣旨は、インドがそういうことをするのを日本が認めておることを、一つのフェーヴアーだ、そういうようにおとりになつておられるのじやないかと思います。しかし、そういう意味で日本が認めたフエーヴアーは、サンフランシスコ條約第二十六條の適用外の問題であると了解しております。

北澤直吉自由党

○北澤委員 どうもその点私納得行かないのです。こういう英帝国特恵関税というものは、これは今度の日印條約では日本に認められないが、印度に対しては日本が認める一方的なものです。日本だけがインドに対して、連邦諸国に対する特恵あるいは隣接国に対する特恵を認める。従つてこれは桑港條約以上の利益をインドに與えておるものである、私はこう思います。桑港、條約にはそれを書いていない。そうすると、よその国が日本にそれを要求した場合、たとえばアメリカ、フランス、オランダが要求した場合、オランダが今度はインドネシアとの間に特恵、関税を設けたいという場合に、日本はやはりインドと同じように、そういう利益を與えなければならぬじやないか。これは桑港條約第二十六條の適用を受けはしないかということを私は心配しているのです。

下田武三外務事務官(條約局長)

○下田政府委員 ごもつとものことでございます。むろんこういう例外規定は、日本側としては認めたくない規定であつたわけでありますが、コモンウエルスとネパールとかビルマ等、近隣国に與えておりますフエーヴアーは、これは歴史も古く、ガツト—一般関税協定にも、ある程度国際的に認めたフエーヴアーでありまして、やむを得ず日本はこれを認めるとともに、もし第三国がそれに均霑する場合には、日本も均霑させろという條件付で認めたのであります。従いまして、これと同じようなことを、フランスあるいはオランダがかりに将来やることがありましても、それは国際的に認めがたい特恵であります。日本が日印平和條約で、第二條末端のことを認めたからと申しましてすぐそのままサンフランシスコ條約第二十六條によつて、日本がただちに認めなければならぬという筋合いのものではないと了解しております。

北澤直吉自由党

○北澤委員 大体政府の説明を私了承するのですが、ただ條約自身の解釈からいうと、そういう解釈はなかなかむずかしいのです。そこで私の解釈から申しますと、この桑港條約の第十二條ですが、最恵国あるいは内国民待遇を與える場合の例外として、通常の通商條約に規定されておる例外の場合を除くというふうに書いてあるのです。それでもししいて考えれば、こういう英帝国特恵関係、そういう特恵関係というものは、こういう普通通商條約に書いてある場合の例外に入るのだ。従つてこれは桑港條約第二十六條によつて、インド以外に與える必要はないのだ。そういうような解釈ができればいいのでありますが、もしそうでないというと、とにかく桑港條約第二十六條に矛盾する。今回の日印條約の、今のイギザス連邦あるいは隣接国の特恵関係というものは、これは桑港條約以上に日本がインドに非常な利益を與える。従つて先ほど申しましたように、フランるとかあるいはオランダとかそういうふうな植民地もしくは自治領を持つている国々が、それを要求する場合に、日本も與えなければならぬよりなことになりはせぬかと、特に心配をして申し上げたのでありますが、その点もう一ぺん政府のはつきりした考えを伺つておきたいと思います。

下田武三外務事務官(條約局長)

○下田政府委員 まことにごもつともぐありますが、先ほども申しましたよりに、日本以外の国も、インドの主張、つまりネパールとかビルマ、チベツト等にコモンウニルスが與えているフェーヴアーは、歴史的にも古く、かつ非常に特殊なものであるから、これだけは除外したいというのがインドの強い希望であります。そのために、インドは独立早々諸国と通商條約の交渉をしているようでありますが、各国もそれをいやがつて、なかなか妥結しないという現状でございます。従いまして、日本もできればこういうことは認めたくなかつたのでありますけれども、全体的の見地から、これはやむを得ないと認めまして、先ほど申しましたように、アメリカがこれに均霑するなら日本もこれに均霑するぞという、條件付で認めたわけであります。一方サンフランシスコ條約第二十六條の解釈論といたしまして、その利益というのは、日本が具体的なフェーヴアしを與える。関税を安くするとか、そういうコンプリートなフェーヴアーを與える場合のみに均霑するのでありまして、抽象的な地位をある條約に認めるという場合に、ただちに自動的に第二十六條の適用が起つて来るのだというようには、私ども解釈し得ない次第であります。

北澤直吉自由党

○北澤委員 大体それで政府の説明を了承いたしますが、どうも私まだはつきりしないのです。私どもは今度の日印條約で、インドに対して日本が英連邦諸国間の特恵関係、つまりネパールとか、ビルマとか。パキスタンとか、そういう隣接国に対する特恵関係を日本が認めることは、私は反対ではないのであります。ただそういうことをする結果が、あるいはオランダなり、あるいはフランスなりアメリカなり、そういうふうな自治領もしくはそういうものを持つている、特恵関係をやりたいというような国々が、インドと同じような待遇を日本に要求しはしないかという点を、実は心配しているのでありますが、政府の今の説明によりますと、そういうのは均霑しないのだ、こういうような答弁でありますので、その説明を了承いたします。  それに関連して伺いたいのですが、従来イギリス連邦諸国の間には、英帝国特恵関税というものがありました。オタワ協定によるところの連邦諸国間の特恵がありました。これが日本の貿易上非常な障害になつておつた。従つて日本と英連邦との貿易上におきまして、日本側は不利な立場に立つて、オタワ協定に対しては終始日本は反対したわけでありますが、今度インドとの條約におきましては、インドと英連邦との間の特恵、それからインドと隣接国との間の特恵関係は認めるが、日本はほかの、たとえばイギリスとカナダあるいはイギリスと濠州、そういうふうな、いわゆるオタワ協定のような、自治領と英国との特恵関係につきましては、私は今でも日本は反対の立場をとつている、こう思うのでありますが、この点に対して念のために伺つておきます。

下田武三外務事務官(條約局長)

○下田政府委員 ただいまの北澤委員の御質問は、あるいは條約局長として答弁する範囲外だと思います。必要がございましたら、経済局長を呼びますが、私の了解しておりますところは、北澤委員のおつしやいました通り、日本は、英帝国連邦間でなわ張りをきめて、特恵をやるということは、決して歓迎しておりませんし、従来の英帝国との交渉でも、常にその点日本政府側の苦心の存したところでありますが、ただ先ほど申しましたように、ガットですらある程度までは認めておるようでございますので、結局どの程度まで認めるかというようなことはへ個々の交渉の際の兼ね合いの問題だと存じております。しかしながら、今後とも北澤委員の御趣旨通りに、私ども交渉にあたつて努めたいと思つております。

北澤直吉自由党

○北澤委員 これは杞憂かもしれませんが、こういうふうにインドに対して特恵関係を認めるということになりますと、もしインドがパキスタンなどの隣接国との間に、関税同盟でも結ぶというようなことも、われわれは考えるわけですが、関税同盟のようなものは、これには入つておらぬ、そういうものは日本は認めない。こう解釈していいのでありますか、その点を伺つておきたいと思います。

下田武三外務事務官(條約局長)

○下田政府委員 関税同盟のごときものは、旧時代の遺物でございまして、現在ガットができておりますような情勢におきましては、もう関税同盟というようなものは、今後ますますできないと思います。インドとチベット、ネパール、ビルマとの間の関係が関税同盟という程度まで進んでおりますかどうか、その点つまびらかにする資料をただいま持つておりませんが、それほど強固なものではないと了解しております。

北澤直吉自由党

○北澤委員 それではついでに伺いますが、結局今度の日印條約で、多少問題になるというのは、今のような点だと思うのであります。そうすると、これが具体的に現われるのは、今度のこの平和條約に続いてつくられる日印間の通商航海條約というものの中に、私は具体的にこれが出て来ると思います。この日本とインドとの間の通商條約につきましては、何か新聞によりますと、多少話合いも行われているというふうなことでありますが、日印間の通商航海條約というものの進みぐあいにつきまして、もし伺えましたら伺いたいと思います。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 通商航海條約につきましては、御案内のごとく、ただいまアメリカとの間において大体基本的の打合せをしております。他の諸国につきましては、これができましてから、と言うのも言い過ぎかもしれませんが、その後の問題といたしたいということで、日印間に通商航海條約の、まだ具体的の話合いには入つておりません。

北澤直吉自由党

○北澤委員 もう一点だけ政府にお尋ねして、あとは大臣に対する質問といたします。御承知のように、インドはサンフランスコの平和会議に語誌を受けたのですが、これには出席しなかつた。その理由は、琉球、小笠原諸島を信託統治するのは反対であるとい、りこと。それから台湾、澎湖島、千島、樺太の所属をはつきりきめないのもいかぬということ。あるいは日本に独立後も駐留軍を置くのはいかぬ。こういうふうな態度から、あの桑港会議にはインドは出席しなかつたと私は思うのであります。今度の條約におきましては、そういう点は取入れていないのでありますが、これはインドの方におきましては、そういう主張は依然として留保して、今でもそういう主張を持つておる、こう了解していいのでありますか、その点を伺いたいと思いす。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 御指摘のごとく、今回の條約には、ただいま話されした、インドがサンフランシスコ條に参加しなかつたような建前からの題は、何ら触れておりません。そから今回の條約の交渉にあたりましは、そういう問題について、特別の話合いはなかつたようでありますが、気持としてはやはりそういう気持日持つておるのではないかと考えます。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 並木芳雄君。

並木芳雄改進党

○並木委員 今話のありました点は、私は非常に関心を深く持つておるのです。今度の日印條約というものは、非常にけつこうだと言つて、政府は無條件にこれを賞讃しておるようでありますけれども、私どもから見ますと、ただいまの領土の問題なんかは、ぜひ話合いに載せてもらいたかつたし、この條約にもはつきり意思表示をしてもらいいたかつたと思うのです。あるいは本文へ加えることができなければ、せめて例の日華條約のときの前例もございますから、インドとしては領土問題については、こういう意見を持つているのだということを、はつきりしておいてもらいたかつたのですけれども、それが触れられなかつたということは、むしろ私どもは重要ポイントがぼけているのではないかと思う。今の質問に対しても、インドがそういう意思を持つているかどうかということに対しては、お答えになつておりません。この点どういうふうに今後インドとの間に話合いを、進めて行くつもりであるかどうか。われわれが不当に領土を失つたということについては、平和條約の審議のときから問題になつておるので、そういうものに対しては、一日も早く回復をはかりたい念願を持つておるものでありますがゆえに、私は特にこの点を聞いておきたいと思うのです。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 今回のこの條約は、日本とインドとの間が一刻も早く修好関係に入ろう、こういうことでざいまして、しかも一方日本は世界の大多数の国とサンフランシスコ平和條約を結んでおるのであります。しかるにインドとだけの間で、こういう領土問題とか何かを、この條約にあるいはまた付属の面において表明するということも、これはどうかと思うのでありまして、この條約にはそういう問題は何も直接関連をしていないと私は思います。

並木芳雄改進党

○並木委員 関連をしていないと澄ましているところに、われわれは物足りないものを感ずるのです。日本の政府としても、何も領土の問題について、先方の意向を確かめたりしたことはなかつたのですか。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 この條約を日印間に結ぶこと自体と、領土その他の問題とは、何ら関係がないと思うのでございまして、領土問題その他について、特にインドとの間に、この條約締結に関連して討議したということはございません。

並木芳雄改進党

○並木委員 もう一つ私どもが物足りないと感ずる点は、日華條約の場合には、はつきり本文の中に、国連憲章にのつとつて、お互いの安全をはかる、こういうような條項が入つておりましたけれども、今度の日印條約では、全然そういうところがございません。ただ前文に国連の原則にのつとつてという文字があつて、むしろインド特有の福祉国家を目ざしてのためでございましよう、福祉という点に重点が置かれて、おるようであります。私どもはやはりインドといえども、お互いの安全ということに対しては関心が深いと思うのですけれども、何ゆえに今度の場合には、安全についての條項というものを盛らなかつたか。その話合いはどういうふうに行われたのであるか、お尋ねをいたします。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 今回の日印條約の前文にも、はつきりと「国際連合憲章に基いて、両国国民の共通の福祉の増進並びに国際の平和及び安全の維持のため友好的な連携の下に協力することを」云々とあるのでありまして、日華條約の方におきましても、「国際連合憲章第二條の原則を指針とするものとする。というような、大体同様の建前になつていると私は思います。

並木芳雄改進党

○並木委員 それならば伺いますが、インドは中立的立場をとつております。ところが日本は日米安全保障條約を結んだのであります。これに対して今度の條約の会談途上において、インドはどのような見解を表明したか。また今後太平洋を中心として、インドその他の国々との間に、安全保障の態勢をつくるような話合いがあつたかどうか。それから、もう一つ尋ねておきたいのは、そういう條項が含まれた以上、インドとしては日本の再軍備問題などについて関心が深いと思うのですけれども、そういう点について何か触れた点があるかどうか。以上の点を伺います。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 そのような問題につきましては、何ら別に話合いはいたしません。

並木芳雄改進党

○並木委員 そうすると、国際連合憲章に基く平和を確保しようという具体的の方法は、今後インドとの間では、どういうふうに進めて行く所存でありますか、政府の所信を伺いたいと思います。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 これはこの前文にもありますように、国連憲章の原則に基いて、国際の平和及び安全の維持のため、友好的な連携のもとに協力することを希望する、この精神のもとに進んで参ります。

並木芳雄改進党

○並木委員 その精神はわかつているから、私は具体的にどういうふうにするつもりであるかということをお尋ねしているのであります。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 これは国連憲章第二條の原則といいますか、あるいは国連の組織を通じて、世界平和の維持のために互いに協力提携して行こう、こういうことを考えております。

並木芳雄改進党

○並木委員 その前提はわかつているのですけれども、私が聞いているのは具体的に、たとえば太平洋同盟などというものを今後つくる場合に、インドは熱意を示すかどうか。そういうものは反対であるとか、そういうようなことが当然この安全を確保しようという以上は、話に出ないはすはないのです。そうだとすれば、われわれとしてはこの條約というものが物足りないという感じを抱くのはあたりまえです。私はそこをお尋ねしているのであります。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 先ほどお答えしましたように、今回のこの條約締結の協議にあたりましては、そういう問題については何ら話合いは出ておりません。ただ根本精神といたしましては、この国連憲章の原則に基いて互いに世界の平和、安全維持のために協力して行こう、こういうことであります。

並木芳雄改進党

○並木委員 中立的立場をとるインドとして、日本が日米安全保障條約を結んでおることや、その他最近持ちたければ軍備を持つてもいいという風潮に基いて日本が動いておる。そういう動向に対してどのような意思表示がインド側にあつたか、その点お聞きしたい。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 失礼ですが、今の御質問ちよつと聞き落しましたか……。

並木芳雄改進党

○並木委員 つまりインドの立場というものが、前には相当日本の立場を快からず思うような節もあつた。だからこそインドはサンフランシスコ会議に参加しなかつた。アメリカはこれに対して非難をしたくらいであります。ですから今度の日印條約を結ぶに際しても、インドの方からいろいろ注文が出たであろう。日本のそういうやり方に対して要望があつたのではないかと思いますので、聞いておるのであります。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 どうもよくわからないのですが。日本の態度に対してインドがどうこうということはなかつたと思うのでありまして、ことに今回の会談に際しては、たびたび申し上げますように、いろいろそんな御指摘になつたような問題については全然話は出ておりません。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 並木君、簡単にひとつ願います。

並木芳雄改進党

○並木委員 ちようどこの日華條約の会談も行われておつた最中でありますけれども、日華條約を結ぶについても、インポとしては何か意見があつたように報道されておりましたが、そういう点についてもインドは何も意思表示は」たしませんでしたか。それから日本と中国貿易との関係などについても何も意思表示がなかつたのか、そういうことを—つまり私は大事な点として、こういう会議の途上における審議というものが重要な参考材料になるので伺つているのです。もう少し親切に答弁してもらいたい。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 そういう問題も全然出ておりません。

並木芳雄改進党

○並木委員 それから先ほど戦争状態が終つたというインド側の宣言に基いて、日本の政府としてもこれを了承する手続が済んだという説明がありました。この手続に対しては、国会には別に何も承認を求めなかつたのでありますけれども、よきにつけ、あしきにつけ、こういう問題はやはり憲法の建前から国会の承認を経べきものであると私は思うのですが、いかがですか。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 先方の戦争終了宣言、まあ一方的と申しますか、それを当方として非常に歓迎したわけでございます。何ら国会にかけるべきような問題ではないと思います。

並木芳雄改進党

○並木委員 その点は手続を済ましたというふうに倭島局長が説明をしたので、私は特に聞いたわけです。  それから第二條の切ですけれども、今後四年間という期間があります。これはサンフランシスコ條約に合せたと言つておりますが、サンフランシスコ條約が効力を発してから相当年月が経ておるから、その期間だけは差引いて歩調を合せるというならば、話はわかります。この四年間というものに何か特に意味があるのかどうか。そういうしやくし定規の條約をきめて来ないようにという意味であります。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 これはよく読んでいただけばおわかりと思いますが、同じことなのであります。やはり二十八日から四年間ということであります。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 並木君、まだほかにも質問者が大分ありますので、簡潔に要点だけお願いします。

並木芳雄改進党

○並木委員 第五條で略奪財産というものもこれに含まれておるのかどうかということです。もしあれば、それはどのくらいの額か見当がついておるかどうか。

倭島英二外務事務官(アジア局長)

○倭島政府委員 略奪財産というものは、これに含まれておりません。略奪財産はすでに処理をしておりますから、もしも従来の処理によつて—処理と申しますか、返還を従来やつておりますが、返還したそれに漏れたものがもしもあれば、あるいはこの條項によつて救済するということになるかもしれませんが、略奪財産そのものは従来すでに占領期間中に返還をする手続をとつております。

並木芳雄改進党

○並木委員 賠償請求権を放棄してもらつたことは非常にありがたいのですけれども、今までインドとしては、どのくらいの賠償を請求しようというような具体的な額などを表示したことがありますかどうか。つまり賠償額をフィリピンのようにかりに日本に対して請求されたとしたならば、どのくらいのものがされたであろう、そういうような何かよりどころがありますかどうか。

倭島英二外務事務官(アジア局長)

○倭島政府委員 私の承知いたしておりますところでは、大分早い時期から、インドでは賠償をとる気持がないということが新聞その他に出ておりました。従つて賠償をどれくらいとるというような発表をしたことを承知しておりません。またこの交渉中にも、そういうようなことは一つも交渉の議題には載つて参りませんでした。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 林百郎君。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 日印條約について質問したいと思いますが、サンフランシスコ條約の際には、インドとしてはサンフランシスコ條約に参加しなかつた理由の中に、三つの理由があげられていたと思うのであります。一つは沖縄が信託統治になることは、日本の主権を完全に回復させるものでないということ、それから第二は台湾、澎湖島、千島南樺太の帰属を不明にして置くことは、極東における平和を確立するゆえんでなくして、かえつて紛争の禍根を残すものである。第三は駐留軍が日本に依然として駐屯することは、日本の主権を脅かし、占領状態をそのまま継続することであるということで、サンフランシスコ條約に反対しておつたのであります。ところがこのたびの日本とインドとの間のこのとりきめは、かかるインド側の従来の態度を改めてサンフランシスコ條約を承認し、サンフランシスコ條約の基盤の上に立つて條約を結んだのか。あるいはサンフランシスコ條約には依然としてインドとしては反対の態度をとつている。しかし別個にインドはインドの立場において日本との間の特殊なとりきめをしたい、そういう立場に立つたのかどうか。これは先ほど北澤委員もちよつと触れられたと思いますが、基本的な態度としてこのことを聞いておきたいと思うのであります。いずれ大臣が来たら大臣にも聞きたいと思いますが、この條約のベースはどのようなペースに立つておるかということなのです。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 先ほど北澤委員にお答えしたところと同じでありますが、日印間の修好関係を一刻も早く開始したいということで、これは結ばれたのでありまして平和條約に対する態度とか考え方というようなものを、この條約の協議にあたりまして特に何ら表明いたしてはおりません。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そうすると、従来サンフランシスコ條約に反対しておつたインドの態度が改まつたというような根拠もないわけですね。当然そうだと思いますが、念のために一応あなた方の見解を聞いておきます。サンフランシスコ條約に対するインドの従来の態度は態度としてこれとは別個に日本ととりきめをする、こういう解釈をしていいのですか。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)委員 これはたびたび言いますように、先方のことでございまして、インドがどういう考えを持つておるかということを、日本政府の者がいろいろここで言うべきことでもないと思います。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そうするとその問題については、インドとしてはサンフランシスコ條約に対する従来の反対の態度については、別に意思表示がなかつた、従つて政府は別として、われわれとしては、やはりサンフランシスコ條約に対するインドの態度はそのままでこの條約は結ばれたものと一応解釈して質問を進めたいと思います。  そこでこの條約でやはり一番重要な問題になるのは、この第二條の(b)とそれから交換公文だと思うのであります。これは先ほど北澤委員も触れられたのでありますが、與党の立場にあるから大分つき方が足りないように思つたのであります。われわれとしては、このようなとりきめがされて、これがサンフランシスコ條約の第二十六條に基いて、将来フランスのブロック、オランダのブロック、アメリカのブロック、こういうように特殊なとりきめをする道を開くことになるということが、われわれとしてはこの條約の最も欠陷になるものだと思われるのであります。ということは、まず第一には隣接国との間の特恵待遇については日本に適用しないということは、そうしますと、こ将来ブロックブロックの間の特恵待遇を認めさせることになると思うのでありまして、そうすると、たとえば東南アジア貿易—東南アジア貿易といいましても、スターリング・ブロックだけが固まつてしまつて、ここで相互の特恵待遇を與えて、その特恵待遇は日本には與えないということになりますと、経済的にインド中心あるいは英連邦中心としてのスターリング・ブロックから日本が経済的にボイコツトされることになると私は思う。この点について第一に、この條約の第二條の中にある「インドが隣接国に與える特恵又は利益」のこの「隣接国」というのは何をさし、「特恵又は利益」というのは何をさすかということの説明を求めたい。

倭島英二外務事務官(アジア局長)

○倭島政府委員 隣接国という点でございますが、地理的に申しますれば、境を接しておる国ということになると思いますけれども、実際上の取扱いで今度の交渉のこの條文を話をするときの関係を申しますと、パキスタン、それからビルマ、ネパールという三国をインドは考えておつてほかの国は考えておらないという、交渉の際のインドの意向もはつきりしており、われわれもそれを了承しております。御存じの通り、パキスタンは従来一国をなしておつたところであり、ビルマはかつて独立する以前においては英帝国の一部ということでごく親近関係にあつた。それ以外のところとしてはネパールでありますが、この隣接国というのはその程度のことをここで意味しておるわけでございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 「英連邦諸国」というのは、何をさすのですか。

倭島英二外務事務官(アジア局長)

○倭島政府委員 この交換公文に「英連邦諸国」とあるのを訂正をいたしております。それは訂正文では、コモンウエルス・カントリーということになつておりますので、さよう御訂正を願いたいと思います。このコモンゥエルス・カントリーというのは適当な日本訳がございませんので、やはり原文のままにコモンウェルスというふうに使いたいと思つております。しからばコモンウェルス・カントリーというのは何かということでございますが、それはイギリスの王冠を自由な結合の象徴とすることを承認している国でありまして、イギリス、カナダ、オーストラリア、南阿、インド、パキスタン、セイロン、こういう国が入ると思つております。的に非常に危険になつて来たという際に、自由に投資したものを返還し、元本の送金の許可が自由に得られるような状態になつているかという点が一つ。それから開発銀行によつてインドのそれぞれの鉱山を開発することが、日本の吉田内閣の政策の一つになつておりますが、インドの土地あるいは鉱業権を日本の資本が取得することの自由が保障されているかどうか。この二つの問題についてお聞きしておきたいと思うのであります。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 日本からただいまインドに出ておりますおもなるものは、化学繊維、生糸、鋼材、鋼製品、機械類というものでありまして、繊維関係等が大部状態がかわつて来るのじやないかというただいまのお話でございますが、これはインドの今後の産業界の発展によりまして、そういう傾向をとつて来ると思います。そのかわりといたしまして、日本からは、機械であるとか、あるいは鋼製品、鋼材あるいは電源開発関係のものであるとか、そういうふうに交易関係の内容が今後は相当かわつて来ると思うのであります。これは大体東南アジアという後進地域各地との関係においてそういうことに相なつて来るかと思います。それから鉱業権の問題でありますが、これはインドの中で登記されておる会社であります限りにおいては、いろいろの條件のもとにこれを許されておる、こういうことになつております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 貿易の額の点についてちよつとお尋ねしますが、日本とインドとの貿易の総額については輸出入関係が大体どういうようになつているか。もしわかつていたら聞きたいし、もし経済局を呼ぶならそのときでいいです。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 インドとの貿易は、輸出額におきまして—これは昨年のものでありますが、千七百九十五万六千三百十九ポンド、輸入額が千五百六十九万五千七百八十四ポンド、こういうことになつております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 もう一つ根本的な問題へもどりますが、先ほど、日本とインドとの條約がサンフランシスコ條約に基くかどうかということについては、インドとしては何らの意思表示がなかつたというように言われた。そうしますと、日本と連合国との間のとりきめであるところのポツダム宣言を認め、ポツダム宣言に基いて締結された條約であるかどうか。もしポツダム宣言に基いてこれを是認した條約であるとすれば、明らかに領土の問題、あるいは非武装の問題等の條項について、当然見解が持たれなければならないと思うのであります。もしポツダム宣言に基かない條約だとすれば、これは明らかに平和條約ということに値しないものであつて、むしろわれわれの憂うるところは、将来スターリング・ブロックが何らかの関税障壁を設けることを合理化するだけの経済的とりきめだけをするということ、これを疑わなければならないのでありますが、これは明らかにポツダム宣言に基いて行われたものであるかどうか。ポツダム宣言に基いてだとするならば、日本の領土の問題あるいは非武装の問題あるいは将来の平和の安全の保障の問題、こういう問題が当然とりきめがなければならないと思いますが、この点についてはインド側からどう意思表示があつたのか、あるいは日本政府側はどういう見解を持つているか、はつきりしてもらいたい。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 今回の条約交渉にあたりましては、ポツダム宣言との関係がどうであるかというようなことについても何らの意思表示はございません。ただ日本の占領管理の必要が終つたといいますか、完全に平和の関係をとりもどしたという事実はもちろん認めまして、その前提のもとに日印條約が結ばれたものと私は解釈しております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そこで政府にお聞きしたいのは、一体政府がこのたびの條約を締結されたのは、サンフランシスコ條約は効果があつたということをこれによつて裏づけるという意思に基くのか。御承知の通り、インドは、アメリカあるいはイギリスよりも、とにかく中国あるいはソビエトに対して友好的な関係をとろうという努力が、これはインドの国民の全般的な要求に基いて見えるのでありますが、日本としては、インドとの外交関係の口火をここで切ることによつて、将来の中国あるいはソビエトとの友好関係の一つの踏台にこれをしようということを考えられておるのかどうか。これは大ぎな外交方針ですから、もしあなた方で無理だつたら大臣でもけつこうですから、そういう考えがあるのかどうか。実は昨日ソビエト側から、ソビエト代表部が日本に存在する法律的な根拠に対する日本政府側の見解については、これは明らかに連合国側が決定すべき問題うだと言つて拒否している。そうしますと、日本政府の現在の態度が相当改められない限り、日ソの直接関係というものは将来相当困難に到達し、他国を通じての交渉ということが考えられるわけです。そこで、そういう場合にこれを役立たせるというような考えがあるのかどうか、この点をひとつ確かめてみたいと思うのであります。また、新聞に出ているように、昨日そういう通知が正式に外務省に一体あつたのかどうか。もしあつたとずれば、これに対して日本政府は一体どういう措置をとるのか。日ソの外交関係を打開する直接交渉を今後努力するつもりかどうか、あるいは、第三国を通じての方法を考えるのかどうか、その辺も、これは国民ひとしく憂えており、問いただしたいと思つていることでありますから、もし次官でわかるならばこの際次官からひとつ答弁してもらいたいと思うのであります。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 この條約は、インドとの平和友好関係を一刻も早く取進めたいという趣旨から、結ばれたものであることはもう何回も申し上げた通りであります。ただこの條約の締結によりまして、いろいろな国際的影響といいますか、そういう関係においては、日本の立場といたしましても非常によくなるとはもちろん考えられぬのであります。しかしこの條約は、ソ連、中共との間の交渉の踏台にしたいとか、足場にしたいというような意図のもとに結ばれたものではございません。  それから、ただいま日本におりますソ連側の方の者から通知があつたということは事実のようでございます。この問題につきましては、もし詳細なるお尋ねであれば、他の機会に大臣におただし願いたいと思います。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そうすると、昨日あつたことは間違いないですね。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 ええ。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 それに対する日本側の善後処置、対策は持つているのですか、また持つていないのですか。持つているけれども大臣に聞けということですか。その辺をもう一度念のために一聞きしたい。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 通知があつたこほ事実でありますが、目下いろいろ検討中でございまして、これらのことについては、別の機会に大臣からお聞願いたいと思います。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 もう一つこの機会に聞ておきたい。実はこれは日印に直接関係はありませんが、やはり善隣友好という意味からいつて非常に重要だといます。昨日、国連軍の最高司令官クラーク大将から、共産軍がこれ以上増強される場合には、中国本土を爆撃ることも考えられる、これはずでに指令のわくの中の言明であるということ言われて、新しくまた中国本土の爆撃問題が、これは日本に駐留しておる駐留の最高司令官であると同時に、国連軍の最高司令官、一人で二人の資格を持つたクラーク大将から言明されておるのであります。この言明の範囲をよく検討してみますと、中国本土の広汎な地域の無差別爆撃の権限を與えたものでなく、共産空軍が攻撃を起す満州の空郡基地を爆撃することを、主眼としたものであるということが言明されておのであります。そうしますと、このことは当然に中ソ友好同盟の発動にもなり、あらためて日本にある国連車の室郡基地の報復爆撃ということも考えなければならないと思うのであります。この点はやはり国民のひとしく憂慮しておる点でありますが、このような国連軍が—日本の駐留軍とは別個に、国連軍がいつまでも日本にいるとい、ことについて、どういう條件で、どういうように政府は考えておるか。われわれとしてはこのような危険な、朝鮮作戦のための、日本の防衛のための駐留と別個な国連軍が、これ以上日本に駐留する必要はないと思うのであります。これは明らかに国連軍は日本から去つてもらいたい。その一切の費用は日本政府は負担すべきでないという、とを、はつきりとこの際言明すべきだと思いますが、今日イギリスの方の国防相も来ている際でありますから、国連軍が日本に駐屯することについての交渉をどういうように政府はしておるのか。非常に憂慮すべき事態が発生する危険もあるから、この際わかつている限りのことでいいですから、次官に聞いておきたい。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 国連軍は、もうここで何回も申しておりますように、極東の平和安全維持のために駐留をしておりまして、いろいろの行動をとつておるわけであります。この日本におる根拠は、吉田・アチソン交換公文によつて承認されておるところでございます。ただその後の條件その他につきましては、御承知のごとく、ただいま先方といろいろ協議をいたしておるところでございますが、まだ最後のところまで至つておりません。これは朝鮮における先方の侵略といいますか、ああいう事態が平定し、極東の平和が維持される、こういうことになりましたならば、当然国連軍の行動は一切終るものであると私は思います。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そうすると、朝鮮事変がある限りは、国連軍が日本に駐屯することを認めるわけですか。そしてその費用は日本が持つというわけですか。先ほどあなたの言明によりますと、朝鮮の戦線が平和的な状態になれば解消するけれども、という答弁があつたようですが、そうすると朝鮮の戦線が戦闘状態にある限りは、国連軍の日本駐屯ということは当然である。そしてまたその費用も吉田・アチソン交換公文によつて日本が持つということになりますと、この中国本土爆撃のクラーク大将の言明は、やがては日本における国連軍の空軍基地の報復爆撃を予想せざるを得ないような言明である。そういう事態がないということは、われわれは保証書ないのですが、朝鮮戦線があつても、日本を基地にする国連軍を日本から去つてもらうという交渉はできないのですか。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 この国連軍の関係のことは、吉田・アチソン交換公文に示されておる通りでありまして、別段何ものもつけ加えることはないと思います。それから費用その他を一切日本が持つということでございますが、そのようなことは全然ございません。この交換公文をよくごらんになれば一切おわかりであろうと思います。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 持たないなら持たないでけつこうです、持つのですかと聞いておるのですから……。国連軍が朝鮮戦線のために日本に駐屯しているときには、その費用は日本側は持たないなら持たない、持つなら幾ら持つか、それを聞いているのです。それをそんなにあなたがはつきり知つていれば、それをはつきり説明してもらえばいいのです。今それが一番問題になつているところですから……。それからイギリスの国防相もわざわざ来ておるわけですから戰…。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 これは交換公文にありますように、大体日本に駐留する安全保障軍としての必要な費用は、一これは話合いによりまして一部を日本が持つということになつておりますから、その他のものにつきましては、これは日本は負担しない、先方の負担であるということは、交換公文に示されておる通りでございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 その区別は安全保障軍としての性格と、朝鮮の作戦軍としての性格をどういうように区別するのでしようか。たとえばアメリカの軍隊は、これは安全保障軍の性格のものである、この費用は持つ。あるいはアメリカ以外の英濠軍は、これは安全保障軍ではなくして、朝鮮の作戦軍のためだから、この費用は持たないという意味なのか。あるいは米軍の中でも日本の、いわゆるあなた方のいう日本の安全保障のための駐屯軍の部分もあるし、あるいは朝鮮の作戦軍のための部分もあるのですか。とにかく司令官が、日本の駐留軍と国連軍の司令官と同じ人ですから、一体どういうようにそれを区別するのか。もとあなた方の方でそれを区別するなら、どういうように区別しているか、それを伺いたい。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 安全保障軍は、この日本の安全保障のために、日本に駐留しておるのが安全保障軍でございまして、その範囲において行動する費用その他が、いわゆる安全保障軍としての費用に相なると思うのでありまして、それは行政協定その他で定められておるところでございます。極東の平和のために朝鮮等で作戦しておる部分につきましては、それはいわゆる国連軍としての行動となり、費用関係も国連軍としての関係によつて律せられる、こういうことになります。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 大分はつきりして来ましたが、そうすると六百五十億の国防分担金以外には、日本としては一切この費用的な負担は、国連軍に対しても、また駐留軍に対しても持たないということですか、そういう意味でいいですか。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 そういうふうに解釈されていいと思います。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 戸叶里子君。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 この條約の一番問題点である第二條の(b)につきましては、すでに多くの委員から質問がありましたので、私はごく簡単な点を二点ほど伺いたいと思います。  まず最初に在印日本資産が大体どのくらいあるかということと、これの返還方法をどういうふうになさるかということを伺いたいと思います。

倭島英二外務事務官(アジア局長)

○倭島政府委員 その在印日本資産の額の問題でございますが、実は目下調査中でございます。新聞等で何か伝えられておりますけれども、まだ正式の通報を受けておりません。また政府はそれを受けるために今交渉中でありますし、それからその返還方法につきましては、今後両国政府で交渉をしました上で決定することになると思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 それでは貿易の問題で伺いたいのは、先ほど昨年度の貿易の額が示されまして、その中で輸出のおもなものはお述べになりましたが、輸入のおもなものをちよつと参考までに教えていただきたいと思います。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 輸入品のおもなるものは、綿花、それから粘結炭、鉄鉱、塩、こういうものでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 このインドとの貿易は、この條約を締結して、今後ますます上昇するとお思いになるでしようか、それともどういうふうな傾向か、それをお伺いいたします。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 これは先方の経済界の模様等にもよるのでありまして、昨年末来のインド経済界の不況、それからインドの、先ほどちよつと話がありましたように、国内工業、ことに軽工業等の生産増加等もありますので、急激に輸出増加ということは、あるいは望めないかども思いますが、ちよつと先ほども私申し上げましたよりに、工場設備でありますとか、機械類であるとか、あるいは将来電源開発とか、そういう問題が進んで参りましたならば、そういう方面におきまして相当の輸出増大が期待されると思うのでございまして、われわれといたしましては、この條約締結によりまして、今後一層修好関係は深められると思います。将来の期待を持つておる次第でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 将来どのくらいを見越していらつしやるでしようか。大体貿易の計画がおありになると思いますが、何ポンドくらいを輸出したいということの計画をお持ちになつておつたら、お示しを願いたい。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 ただいま経済局長がおりませんので、おるとき詳しく申し上げます。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 本日の質疑はこの程度にとどめまして、次会は明十三日午前十時より開会することといたします。  これにて散会いたします。     午後零時三十八分散会

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