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13回国会衆議院1952/05/07

外務委員会 第23号

発言数
94
登壇者
10
会派数
5
開催日
1952/05/07

会議録

仲内憲治自由党

○仲内委員長 ただいまより外務委員会を開会いたします。   国際連合への加盟について承認を求  めるの件を議題といたします。本件に  関する質疑を許します。

並木芳雄改進党

○並木委員 駐米大使のきまるまでの経過をお聞きしておきたいと思うのです。白洲さんがアグレマンが得られなかつたということを聞いておりますが、どういうわけで得られなかつたのか。これはわれわれ政府に対して、大使の場合には国会の承認を得べしという条件をつけようかと言つたくらいですから、注文があつた場合には、当然政府としては報告の義務があると思います。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 この問題は新外務大臣から直接お答え願う方がいいと思うのでありまして、十一時過ぎにはここへ出席されると思いますので、答弁を保留しておきたいと思います。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 メーデーの損害について、何か日本政府が損害を賠償すると  いうような交渉をされたいというのですが、それはどういう根拠から出ておるわけでしようか。われわれ行政協定を検討しているのですが、何もああいう場合に、すぐ日本政府が行つて賠償をしなければならないというような規定はないようです。その経過をひとつ説明願いたいと思うのです。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 先般のメーデー当日におきまする外国人に対する危害並びに物件に対する損傷は、わが国といたしましても、まことに遺憾千万に感じておるところでございまして、この問題につきましては、さつそく当該国にも一応の経過、事情を報告いたしますとともに、法務府等とも打合せ、よく実情を調査いたしました上で、適当なる対処策をとる予定になつておるのでございまして、損害賠償といいますか、お見舞といいますか、これは国際儀礼の上から考えましても、当然の措置ではないか、かような考えから調査中の問題でございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 われわれの常識から考えるところによると、これはメーデーとかなんとかいうことにこだわらなくて、今後の基本的な問題ですが、日本の人民から何らかの損害を向う側に与えたとして、向う側が請求しない場合にはまず問題がないと思うのです。外交的な儀礼は別として、請求があつた場合には、その具体的な額はやはり裁判によつて確定するというように私はなると思うのでありますが、その原則的な筋道をこの際はつきり政府から聞いておきたいと思う。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 これはただいま林委員が言われましたようなまつたく法律的、訴訟的立場によつて、事案が処理される場合も事例によつてはあるかと思いますが、先般のような事例につきましては、これは人道的考慮といいますか、あるいは国際儀礼、こういう意味からいたしまして、被害者に対して適当なる救済をする、お見舞をする、これは当然のことであろうと思うのであります。法律的にいいましたならば、その場合に日本国といたしまして、警備その他について十分なる措置がとられておつたかどうかとか、過失があつたとかなかつたとか、いろいろ理論的には問題があると思います。しかし今回のような事例につきましては、たとい法律上の責任があろうがなかろうが、これは国際儀礼上から当然賠償する、あるいはお見舞する、こういうことを考えて行かなければならない。これがまた通常の国際的慣行でもないかとわれわれは考えておる次第であります。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 外国人に対するああいう問題が起きたのは、国際的にいえば、日本の国に外国の軍隊が駐留するということに対する国民の気持の一つの現われだというようなことを言つておる筋もあるわけです。それから一国に外国の軍隊が駐留しておる場合に、それに対するいろいろな反抗というものは、エジプトにもイランにも、至るところで起きておるのでありますが、そういう場合に一々国際的儀礼だといつて政府がお見舞を出しておるという例は、私は聞かないのであります。もし外国にもそういう例があるならば、それをはつきりこの際外務省のどなたからでもいいから、聞かしてもらいたいということが一つと、同時にそういう人道上の問題だというならば、向うの飛行機が日本の民家へおつこつて、民家が焼けたり人が死んだりいろいろするのでありますが、そういう場合に、向うは今までどういうお見舞を出しておつたのか、そういう点を聞かせてもらいたいと思います。これはインドやイギリス、アメリカの新聞にもありますが、一国の軍隊がよその国に駐留するということは、いろいろの摩擦が起るのだ。原則としては一日も早くその国から外国の軍隊が撤退するということが、根本的な問題の解決になるのだ。現に外国の軍隊かある一国に駐留するためにいろいろ起きている紛争というものは方々にあるわけでありますが、そういう場合にお見舞をエジプト、イランとかいうような所で出しているとか、あるいは中国でも朝鮮でも出した例があるのか。植民地なら別ですけれども、独立した国で国民のそういう憤激に対して、政府が一々お見舞金まで出している例があるかどうか、はつきりしてもらいたい。向うでは向うの飛行機が落ちたときにお見舞を出しているのかどうか。それを聞かしてもらいたい。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 林委員は何か先般の事件が、国民的反感の現われであるように言われるのでありますが、(「外国の新聞にそう書いてあるんだ」と呼ぶ者あり)それは外国の一部の新聞がそう言つているかもしれませんが、全部ではない。われわれは一部破壊不穏分子の行動としか考えていないのでありまして、先ほどから申し述べましたように、これは当然何らかの措置を講じなければならぬものだと思つております。外国の事例を一々ここで私からただちにどういう事例があつた、どういう賠償をしたということで申し上げる材料を今ここに持つておりません。それから飛行機の事故、あれば日本占領中の特殊の形の問題でございます。     〔「人道上の問題だと言つたから     だ」と呼び、その他発言する者多し〕

仲内憲治自由党

○仲内委員長 静粛に願います。黒田君。

黒田寿男労働者農民党

○黒田委員 条約局長にお伺いしたいと思います。国連に関する問題でありますが、平和条約第三条に琉球諸島その他一定の地域が、合衆国を唯一の施政権者とする信託統治制度のもとに置かれるという方針が規定されましたし、この条約はすでに発効したのであります。そこで私はその事柄自身を今日とやかく問題にしようとは思いません。しかしながら私ども日本人として考えてみて、琉球諸島などをアメリカ合衆国の信託統治領域にするということには、どうしてもその合理性を認めることができないのであります。ただ力関係でそうなつたといえば、これは別問題でありますけれども、必ずしも国際間のことは今日このように簡単に解釈すべきものではないと思います。何かそこに合理性がないか、そう私ども考えてみますけれども、どうしても私は琉球諸島などをアメリカの信託統治にするということの合理性が見出されないのであります。従つて私ども日本人といたしましては、非常な不満の意を表わさざるを得ないのであります。そういう感情を私は率直に持つておるということを申し上げながら、この問題の非合理性について私がそう考えます根拠をあげまして、政府の御所信を承つてみたいと思います。第一は、元来信託統治制度は非自治領の統治及び監督のために設けられるというのが、この制度の設けられました本旨であります。そこで琉球諸島は一体非自治領であるかどうか、私どもそういう疑問を発せざるを得ないのであります。元来非自治領というのは大体植民地であると申したらよろしいと思います。必ずしもその全部が植民地である、非自治領とは植民地のみを言うのであるというように解釈することは、不当の解釈になると思いますが、大体において私は非自治領というものは植民地であるというように解釈してよろしいと思います。琉球諸島が本来そのような意味におきまして信託統治制度をしくべき非自治領と解すべき地域であるかどうか、私どもは琉球諸島についてはかような考え方を持つておりません。この点が私にはよく納得が行かないのであります。政府は琉球諸島を非自治領というようにお考えになつて、アメリカの提案に同意をなさつたのでありますか。アメリカが主張したことであるから、敗戦国である日本としてはやむを得ず承諾したのだというのならば、これは議論の余地はありませんけれども、何か私は政府がそれを承諾されましたにつきましては、理論的根拠があると思います。まずこの点を伺いたい。琉球諸島は非自治領であるかどうか、この点について、私はそうではないと思う。琉球を信託統治にするというアメリカのやり方は、信託統治制度設定の精神に反している。私にはどうもそういうように思われるが、この点をちよつとお伺いしてみたい。

西村熊雄外務事務官(條約局長)

○西村(熊)政府委員 その問題は平和条約批准について国会の御審議を願いましたときに、総理並びに私からたびたび御説明申し上げたところでございます。われわれとしましては、南方諸島は民族的から見ましても、歴史的から見ましても、文化の面から見ましても日本本土の一部であり、われわれと同じく日本人であると存じておりま  す。南方諸島は非統治地域というような観念を持つたことは一度もございません。

黒田寿男労働者農民党

○黒田委員 政府の御意見は私どもとまつたく同一であります。だからそこに問題が起る。私はただいまの条約局長の御意見はよくわかりましたが、私もそうだと思う。だからアメリカが琉球諸島を信託統治領にするというのは国際連合の信託統治制度の設定の精神に反している、こう私は思うのです。政府はこの点についてどう考えるか。私はアメリカのやることは不合理だ、何ら信託統治制度の趣旨に沿わない、要するに根拠のないことだ、こういうように私は考えますが、この点どうでありますか。

西村熊雄外務事務官(條約局長)

○西村(熊)政府委員 国連憲章の第七十七条には、どういう地域に信託統治制度をしくかという問題について、地域の面から規定いたしております。そのb項には「第二次世界戦争の結果として敵国から分離される地域」ということになつております。領土問題につきましてはポツダム宣言、降伏文書によりまして、日本の領土は四大島と連合国が決定する付近の諸小島に限られるということがありまして、それは日本政府は受諾いたしておるわけであります。連合国におきまして南方諸島を日本から分離するという決定をし、第七十七条のb項に従つて「第二次世界戦争の結果として敵国から分離される地域」として、これを信託統治制度に置こうと、こういう考え方であるとわれわれは説明を聞いているわけであります。なぜアメリカとしてそういう方式をとらざるを得なかつたかということにつきましては、サンフランシスコ会議でダレスも演説の中で説明しておられます。それによりますれば国際の平和と安全の見地から、南方諸島を日本から離して、合衆国の領有としろという主張をした国ないしは自国の領域にすべきものであるという主張をした国もある、そういう国と、また日本国の立場との間を調和するには、信託統治の制度をとるほかになかつたのだという、連合諸国間の南方諸島処理に関する意見の対立の最後の妥協策としてこの方式を考えたのである、こういう説明をいたしております。そうして同時に日本人の要望にこたえて、平和条約は南方諸島を日本の領土権から離すものではないということを説明してくれておるわけであります。そういう点から見まして、私は信託統治制度をしく可能性を平和条約に規定したということは、南方諸島の最後的処理について、連合国間の意見の対立及び日本政府の強い要請、これらの諸要素を考慮に入れての、政治的の妥協的解決である、こう見ておるわけであります。申すまでもなく信託統治制度は本来からいえ  ば、後進地域……。

黒田寿男労働者農民党

○黒田委員 ちよつと委員長……。

西村熊雄外務事務官(條約局長)

○西村(熊)政府委員 いや私の説明が終らない、もうちよつと待つていただきたい。

黒田寿男労働者農民党

○黒田委員 その点は大体その程度でけつこうです。あとからそれについて聞きます。

西村熊雄外務事務官(條約局長)

○西村(熊)政府委員 後進地域にしかれることが趣意でありましようが、第一の目的は国際の平和と安全の増進という目的があるわけであります。従つて私どもが当初から聞いておる説明は、極東の平和と安全の見地からして、南方諸島をある期間信託統治制度に置くということを了としてもらいたい、こういう説明を受けておるわけであります。それに対しまして私どもが無条件によろしいと申し上げたのではなくて、日本政府としましては黒田委員がおつしやるようなことは事理を尽して説明いたしました。こういういきさつでございます。

黒田寿男労働者農民党

○黒田委員 私はただいま条約局長がお述べになりました点につきましては、あとで別個の観点から実はお聞きしたいと思つておりましたが、そのことは別として、とにかく私の質問したところに対するはつきりしたお答えになつていないで、顧みて他を言われておると思います。私は要するに政府と同じように、琉球諸島は国際連合憲章の精神からいうと、信託統治地域にすべき性質の地域でないのを——ここまでは政府と私と意見が一致しておる。  しかるにアメリカがあえて信託統治領域にしたのは何かそこに私には割切れぬものがあるので、政府はどうお考えになるかということを質問いたしましたが、それに対しただいまのお答えだつたのであります。たとえばただいま条約局長が御指摘になりました第七十七条のbであります。私は朝鮮のような地域に——これは私は日本の植民地であつたと思います。そういう植民地であつて、そうして敵国から分離せられる地域、朝鮮は私はそういう地域だと思う。だから朝鮮を一時信託統治にするというのならば、私どもは別にそこに不合理も何も感じないのであります。またそのことは現にモスクワ会議で、四箇国で五箇年でありましたか、朝鮮を信託統治地域にしようという、一応の決定さえなされたようなことがある、後日それが実行せられなかつたというたけでありますから、そういうふうに私は朝鮮でありますならばりくつがわかるのでありますが、琉球諸島についてはどうしてもわからない。しかしこれ以上政府に質問いたしましても、はつきりお答えにならないだろうと思いますので、私はアメリカのやることは不合理だという考えを日本人として持つているということだけ申し上げておきまして、次の質問に入りたいと思います。  そこで次の質問はただいま条約局長もお触れになつた点に関連するのでありますが、一体琉球諸島などを信託統治領にするという国際法上の実定法の基礎は何か、これは言うまでもなく、ただいま条約局長が申されましたように、第七十七条のbであると思います。これはそうであるかどうかなどと問うのが私はばかげておると思います。そうであると政府もお考えになつておるという前提で、次の質問に移つて行きたいと思います。これは実は私は繰返して政府に質問しており、しかも今日までなおはつきりしないところでありますし、先般林君もお尋ねになつたところでありますけれども、もう一度お尋ねいたします。琉球諸島等は第七十七条のbによりますと、とにかく一応は日本の領土から分離せられることになるのではありますまいか。  なお私は時間の節約上ついでにあとの質問をも一緒にしておきますから、あわせてお答え願いたいと思います。元来信託統治領というのは、その地域が将来自治または独立に向つて進むというのが、本来の目的でありまして、もう一度日本の領土に復帰するというようなことは、信託統治領としては本来の行き方ではないのであります。けれどもそれは私はどつちでもよい。将来日本の領土に復帰することになれば、これほど望ましいことはないと私は思いますし、日本人全部が、また琉球人も、それを欲しておると考えます。けれども将来復帰するといたしましても、一応第七十七条のbによりまして分離せられるのでありますから、とにかく信託統治領になつておる間は、日本の領土ではなくなるというのではいかと思うのであります。この点について私はお尋ねしてみたいと思います。今まで信託統治領になつたその区域にだれが主権を持つかということについては、いろいろと議論がなされました。たとえば施政権者が主権者になるのであろうとか、あるいは国際連合がなるのであろうとか、元の本国がなるのであろうとかというような議論がなされていたように考えますけれども、それはとにかくとして実定法上の基礎からいえば、日本から分離せられるということになるのでありますから、日本の主権のもとから離れるというようにだけは解釈するよりほかはないと思います。ただいま条約局長は、アメリカが琉球諸島を領土にしたいという希望を持つておる、それに対してそれに反対する意見があつた、その妥協として信託統治領にするという結果になつたのであると言われました。ここにも私は……。

西村熊雄外務事務官(條約局長)

○西村(熊)政府委員 そうは申しません。

黒田寿男労働者農民党

○黒田委員 それでは私の聞き違いでありましよう。しかしどこかの国が——それをアメリカといつては条約局長のお話と違うことになるというので、ただいま御注意があつたと思いますけれども、私はアメリカよりほかに琉球諸島を信託統治領にしろという考えを持つておる国はないと思う。それ  以外の国でそういう意見を持つておる国があつたといたしましても、アメリカがその主たる国の一つであつたということは否定できない。そこで琉球をある国の領土にしよう、こういう意見と、ただいま申すように、反対意見とがあつて、その妥協が信託統治領の決定というところにおちついたのだ、こう言われるのでありますけれども、元来琉球諸島を日本の領土から離して、どこかの国の領土にしようということそれ自身が、私は不合理であると思う。第二次世界戦争後の領土処分の大方針は大西洋憲章においてすでにきまつておりましたし、またカイロ宣言等によつてもきまつておるのであります。日本がどこの国からも過去の戦争で奪取したところでない地域を他国の領土にするということは、大体そういう考え方自身が連合国の大方針に反しておるのであります。私はこの意味におきまして、千島も問題であると思います。この点ちよつと私は共産党の諸君と意見が違う。これは話が横にそれましたけれども、千島をソ連が領有するというのは、よしヤルタ協定があつたにいたしましても、そのヤルタ協定が大西洋憲章の大精神に反しておるのであつて、私はああいう協定をやるべきものではないと思います。樺太については、これは日露戦争の結果日本がロシヤからとつたのでありますから、私はこれが取返されるのはやむを得ないと思う。そういうわけで、私は千島についてもそう考えますけれども、一体琉球を外国の領土にしようという考えがそもそも間違つておる。だからそうした間違つた考えとの妥協の結果が、信託統治領になつたということそれ自身がまた間違つておると思う。どうしてもそこに合理性があるようには私には考えられないのであります。しかし、その議論は議論といたしまして、とにかく琉球を信託統治領にする実定法上の基礎は、ただいまも条約局長の御指摘になりましたように第七十七条のbである。もしbであるとすれば、一応日本の領土から分離されることになるのではないか。しかるにダレス大使などが潜在的主権があるというておりますから、この点も次にお尋ねいたしますが、一体潜在的主権というのはどういう意味であるか、やがて日本に復帰する見込みがあるからそういうのかとも考えられますけれども、そういう意味ではないと思います。そうでなくて潜在的主権というのでありますから、信託統治領になつておる期間中にもなおかつ日本に主権がある、こういう意味であると解釈するよりほかはないと思います。一個の学説としてそういうことを述べるのは自由でありますけれども、どうもそうなつて参りますと、実定法上、すなわち第七十七条bとの関係はどうなるのであるか、第七十七条bによれば「分離される」と書いてある。「分離される」ということは、常識上日本の領土から分離されるのでありますから、日本はその地域に対しては領土主権はなくなるのであります。領土主権がなくなると私ども解釈するよりしかたがない。第七十七条bによりまして、琉球諸島が信託統治領になるのに、なおかつそこに日本の主権が潜在的ではあるけれども存続するということは、私にはどうしてもわからない。これはダレス氏などが日本に対する、何といいますか、気休めに、慰め言葉に——もともとアメリカが琉球等を信託統治領にするということは無理でありますから、アメリカもそういうふうにいわざるを得なくなつた。大体信託統治領にすべき地域でないところを無理に信託統治領にしようという、そのアメリカの無理がそういう説をなさしめておる。そうして、日本人に、何ら実定法に基かない一種のから証文と申しますか、とにかくそのようなものを与えておるにすぎないのであります。やはり第七十七条のbによつて日本の領土から分離せられることになるのではないか。私どもはそれは欲しないのでありますけれども、そう解釈するよりしかたがない、こう思うのであります。なおあとに尋ねたいことがありますが、ちよつとこの辺で打切りまして、政府の御所信を承つておきます。

西村熊雄外務事務官(條約局長)

○西村(熊)政府委員 私は黒田委員の御質問に対しましては、平和条約の御審議を願いましたときに、繰返し繰返し答弁いたしたことでございますので、今日は繰返さないでおきたいと思います。ただ先刻黒田委員が合衆国が沖繩の領有を主張したというようなことを私が言つたとおつしやいましたが、その点は厳に御訂正を願いたいと思います。合衆国といたしましては、一回も領有を云々いたしたことはないのであります。

黒田寿男労働者農民党

○黒田委員 了承いたしました。

西村熊雄外務事務官(條約局長)

○西村(熊)政府委員 私の知つておる範囲内では、琉球の領有を強く主張したのは中国でございます。それから自国の安全保障の見地から、南方諸島がそのまま日本に復帰することに反対をした国がまだ二、三あるということを承知いたしております。しかし国名を申すことは差控えます。そういうふうな連合国間の複雑な意見の対立を調整し、同時に日本の輿望にこたえる意味において、合衆国としては信託統治制度を考えるよりほかなかつた、こういうことでございます。第七十七条のb項の分離の意味でございますが、形象は分離するというだけでございまして、分離する方法については何ら規定いたしておりません。従いまして、いかなる方法によつて分離されるかということは、当該地域に関しまする信託統治協定ができればはつきりいたすと思います。明らかに領土権を剥奪する場合もございますし、また南方諸島の場合のように、平和条約第三条によりまして、第二条との比較において明確になりまするように、日本の領土権の放棄を要請いたしておりませんし、のみならず要請する意思がない意味において第三条のような規定をしたものであるということを、この平和条約の主たる作成者である英米両国政府が、世界の面前におきまして公式に宣言いたしております関係上、南方諸島が他日信託統治制度に置かれることがもしかりにあるといたしましても、その協定による分離の方法は、必ず主権の放棄を伴わないものであるということは、今日から断言いたすことができるわけであります。繰返しこれは日本政府も断言いたしております。従いまして、信託統治制度に置かれることがかりにありといたしましても、その期間におきましても、南方諸島は依然として日本の領土であり、同地の同胞諸君は依然として日本人であるということを従来とも繰返し繰返し申し上ております。これは日本政府の確信でございます。従いまして黒田委員のように、第七十七条のbの文字、または平和条約第三条の文言、その他の文言だけから、いわゆる起草者の意思を考慮に入れないで、しかも公に声明されておる意思あるにかかわらず、なおかつ分離の場合は領土主権の放棄を意味するのである、信託統治に置かれれば、その間日本の領土権がなくなる、従つてわが南方における同胞諸君も日本人でなくなるというような考えをとられることに賛成いたしかねるわけであります。黒田委員もわれわれと同じく日本人であると思いますので、私どもば、平和条約第三条によりまして英米両国政府から確たる保障を与えられております領土主権は日本に残る、南方諸島の住民諸君も依然として日本人である、こういう面からして、いかなる場合におきましても、いかなる地位に南方諸島が一時的に立ちましても、従来存在していた関係が最大限度に新制度のもとにおきましても維持されるように、われわれは努力して行くべきものであると考えますし、そういう方向に向つて私どもは努力いたしておるわけであります。しかもわれわれのこういう努力に対して、合衆国政府並びに合衆国の輿論はきわめて理解的であると御承知願いたいと思うのであります。

黒田寿男労働者農民党

○黒田委員 私はただいまの条約局長の御解釈にはどうしても納得が行きません。私はやはりこの第七十七条のbの「分離する」というのは、領土主権が日本になくなる、そう解釈するよりほかないと思います。次にこれに関連しまして、私はかりに条約局長のような御見解であると、また新たなる矛盾が起つて来はしないかと思われますので、これを質問してみたいと思います。私は条約局長の御意見に賛成することができませんが、もし条約局長の御説のように、琉球が信託統治領になるといたしましても、領土主権は日本に存続するのだという御意見であるとすると、私は次のような矛盾が起ると思うのであります。ひとつ私の考えが間違つておるかどうか聞いていただきたい。それは国際連合憲章の第七十八条であります。第七十八条には「国際連合加盟国の間の関係は、主権平等の原則の尊重を基礎とするから、信託統治制度は、加盟国となつた地域には適用しない。」こう書いてあります。日本が国際連合に加盟するということは、平和条約によつて予想せられておるところであります。これがいつ実現するかは別といたしまして、アメリカの方針といたしましても、そういう方針であるということは、平和条約の中にはつきり現われておるのであります。そうすると、日本は加盟国になるという前提のもとで、アメリカは日本に対処すべきであると考える。しかるに条約局長の仰せられますように、琉球が信託統治領になつても、依然として日本の領土主権が続くということになつて来ると、そこに矛盾が発生するのではないか。日本は国際連合に加盟する、その日本の領域に——条約局長の御説に従えば、日本の主権が潜在的ではあるけれども依然として存続しておる、その地域の上に信託統治領域を設定するということは、第七十八条との間に矛盾が発生するのではないか。日本から琉球が分離せられて、領土主権がない地域になるから、そこに信託統治領域が設定できるのではないかと思うのであります。日本が国際連合に加盟することが予想せられておるそのときに、一方において国際連合に加入させながら、一方において日本の主権の存在しておる地域に信託統治地域を設定しようというのは、私にはどうも合点が行かないのであります。その点につきまして私に納得行くように御説明を願いたい。

西村熊雄外務事務官(條約局長)

○西村(熊)政府委員 黒田委員のお考えが間違つているからそういう結論になるわけであります。これは第七十八条がどういういきさつで国連憲章に挿入されたかということをお考えになればすぐわかるわけであります。第七十八条がなぜ入りましたかといいますと、サンフランシスコ会議にはシリア、レバノンという、その当時まだフランスの委任統治のもとにあつた国が招請せられておるわけであります。そこで信託統治制度がしかれる場合にシリア、レバノン両国は、フランスとの条約によつて、間もなく完全な独立国になる道程にあつたわけであります。それでこの両国から、この両国が国際連合加盟国になつたあとも、なおかつフランスの委任統治制度が持続し得るような誤解を招くと困るという不安が開陳されましたので、第七十八条を置いて、現在委任統治制度または信託統治制度に置かれる地域が漸次発達いたしまして独立国となり、国際連合加盟の資格を認められるようになつた場合には、もう信託統治はその地域にしいてはいけないぞという趣旨で入つたわけであります。これは日本文の飜訳ではその意味は出ませんが、英文をごらんになれば信託統治のもとにある地域全体が国際連合加盟国になつた場合には、もう信託統治制度をしいてはいけないという趣旨であることがよくわかります。これは日本文が不完全だからであります。その点は「国際連合憲章の説明書」の八十二ページ、八十三ページに説明してありますので、それをお考えになれば、南方諸島に信託統治がしかれた場合に、それが第七十八条との関連において問題があるという議論は何ら起る余地はありません。この点もまた前回の国会で、参議院において口をすつぱくして説明したところであります。衆議院では問題になりませんでした。

黒田寿男労働者農民党

○黒田委員 この第七十八条が設けられるに至りましたいきさつにつきましては、私も知つております。ただいま条約局長の仰せられました通りであります。だからそれはそれでよろしい。けれどもその精神はやはり第七十八条の中に生きておるのであります。ただいま仰せられましたように、ある地域が、将来独立して国際連合に加盟したあかつきは、その地域が信託統治であるということと両立しない。すなわち信託統治領の状態から脱却する。このことは私はよくわかります。だからこそ、そういう精神が存在しておるからこそ、日本の主権の存在するその地域に、国際連合の信託統治領を設定してはならない、そういうことにならなければならない。事例は違いますけれども、精神からいえば同じである。今仰せられました地域にこの第七十八条が適用されるのであれば、日本の潜在的主権の存在しておる地域に、信託統治領を設定するということは、ただいま申しましたような第七十八条をつくつた精神に反しておると思います。ただ第七十八条をつくるいきさつが、日本の場合と行き道が違うだけであつて、その精神からいえば、すなわちその行き道でできた条文であれば、日本の場合にもまた適用できる、適用しなければならない。従つて私は政府が、領土主権が潜在的にも琉球等に存在すると言われるならば、その地域に信託統治領を設定することは、第七十八条の精神に照して間違つておると思います。私はこの点については西村条約局長の御説明には、どうしても承服することはできないのでありますが、岡崎国務大臣が来られましたので、私の質問はここでちよつと中止します。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 ただいま岡崎外務大臣より発言を求められておりますのでこれを許します。岡崎国務大臣。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私、先般外務大臣に任命せられました。今後ともよろしくお願いしたいと思います。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 これより外務大臣に対する質問を許しますが、時間の都合上、質疑は一人十分くらいにお願いいたします。

植原悦二郎自由党

○植原委員 岡崎衆議院議員がこのたび外務大臣に就任されましたことには、私ども全幅の敬意を表するとともに、非常に心から喜びとするものであります。この場合にひとつぜひ衆議院のため、民主主義のために、お考えになつていただきたいことを、私は申し述べておきたいのであります。  従来、日本の議会と政府との関係において、私は外務省というものが一番非民主的だと思います。外務省ほど、口に民主主義を唱え、実際において、その議会に対する運営上において、非民主的のところはなかつたと思います。今日日本国民は、平和条約が発効した、主権を回復した、独立自主の国になつたといつて、国民一同非常に喜んでおりますが、その次から起ることは、日本再建のためにはどうしても民主的に日本国民を指導し、日本国民が民主的にならなければならない、こう言わない者は、一人として政府当局者のうちにもないと思います。しかるに過去の実例を見ますと、外務省はほとんど国会の外務委員というものを、ただ審議のためには使いますけれども、その以外に考慮を払われておらないと思います。外国の使臣を外務省が招待するような場合においては、必ず外務委員長をその中に加えるのは、民主国家の慣例であると申してもよろしい。しかるに日本の外務省においては、ほとんど外交のことは、また外交の関係において外国の使臣と接触することは、役人だけでよろしい、国会というものはほとんど無視してよろしいという、知らず知らずの間にそういう態度をおとりになられたというのが、過去においての実例であります。どうか将来、日本の国会の権威を尊重する上においても、日本の国会議員が、外交においてよりよき地位を占むる上からいつても、また国民全体が外交によりよき関心を持つようになる上のことを考えましても、どうか新聞崎外務大臣に私は新慣例を開いていただきたい。今までの外務省の非民主的な慣例を打破つて、重要なる外国使臣と外務省が中心になり、あるいは政府が中心になつて、社交的のことでも会合される場合においては、衆議院の外務委員長を必ずその列に加えることを忘れないこと、また次官などを加える場合においては、外務委員の理事程度は必ずそのうちに加えるということ、かようにしてこそ初めて日本の外交というものが民主的になるので、ただ儀礼であり、儀式でありますから、何でもないようなことであるけれども、そこに民主主義の発展があることをお忘れないように。おそらくこういうことを外務省に言う者は、私以外には多くあるまいと思いますので、あえてこのことを新外務大臣にお願いいたしておきます。お忘れないように、これを実行せられることを切に望みます。(拍手)

仲内憲治自由党

○仲内委員長 並木芳雄君。

並木芳雄改進党

○並木委員 新しい外務大臣に対し、第一の質問をいたしたいと思います。われわれ外務委員の中から出た大臣でありますから、そういう意味で、私も喜びの言葉を申し上げたいのでありますが、岡崎外務大臣が第一にわれわれの目に映じてなされた行為というものは、やはり黒星であつたのではないかと思います。それは駐米大使のことでございます。駐米大使に白洲さんをきめるというようになつておつたようでありますけれども、そのアグレマンが得られなかつたということは、やはり新任岡崎外務大臣の黒星ではないかと思いますが、駐米大使決定に至るまでの経過について、御報告を願いたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは、今個人の名前をあげてお話でございましたが、私はある個人の方のことに関係なく、一般的に申しますと、大使の任命等につきましては、相手国がこれを歓迎するのが普通でありますが、ごくまれな場合には拒否することもできるのは、御承知の通りであります。従つて相手国がかりに、今度の場合にだれに対しては賛成であつたということなら言えそうに考えられても、そうやつて行きますと、ある場合には相手国が拒否したということも報告する必要が出て来ますが、そういう場合には、アグレマンと申しますものは、元来双方の国の約束で、これはごく内密の、内部の話合いで、そうして向う側の意向をただしてから任命するということになつておりますので、アグレマンが求められたとか求められないとか、これは一般的の問題でありますが、そういう点についての御質問は、かりに並木君がなさつても、私どもはお答えする立場にない  のであります。それで、今度の場合を申しておるのではありませんけれども、一般的に、いよいよ任命になりましたら、こういう事情でこういう方を任命したという事情は、十分説明いたしますが、そうでないときに、そういう質問をなさつてもちよつと御返事のしようがないのでございますから、この点は御了承願いたいと思います。

並木芳雄改進党

○並木委員 国連加盟について、私ども一番憂慮にたえないのは、共産主義諸国との間の国交調整であろうと思います。先般衆議院でアジア諸国との善隣友好について決議をいたしました。岡崎外務大臣は、まつたく同感であり、鋭意努力を続けると答弁をしております。そこで私は、独立した日本の新しい外務大臣として、自由な発言もできる今日この際、外相の具体的の構想をお聞きしておきたいと思います。特に中共とソ連とに対して、どういう国交調整の道をとるか、お尋ねいたします。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 この前の衆議院の決議は、これはいわゆる善隣友好といいますか、アジア諸国をひつくるめての問題でありまして、特に中共とかソ連とか——ソ連をアジア諸国の中に入れるのはどうかと思いますが、これらにつきましては、これはイデオロギーの問題でわれわれとかくのことを言つておるのではないのであります。イデオロギーはイデオロギーとしまして、事実上多数の人がまだ返されておらない。その返されておらない人々の家族のことを考えますと、非常に同情すべきものがあるわけであります。また漁夫、漁船等も帰つて来ないものもたくさんありますし、また元来中ソ同盟条約というようなものは、少くともこれは日本を仮想敵国として同盟を結ばれたということは、一般国際学者あるいは外交官の経験のある人たちの、これは日本のみならず諸外国でも、定評であろうと思います。こういう問題があります際には、われわれはまずこういう問題を解決しなければならないのであつて、国交回復と言われるのは、その第一歩は、こういう問題の解決である。これをほうり出しておいて、この点をあいまいにしておいて、国交回復は困難であると私どもは考えております。従つてまずこういう種類の問題をだんだん解きほぐして行くほかにない。その実際上の方法は、中共とは直接の関連は今のところありませんけれども、いよいよ独立しておりますから各国との関係か出て来ますので、その各国を通じてもいろいろ方法もあろうかと考えております。そういう方面で漸次懸案をまず解決して行くというつもりでかかつております。

並木芳雄改進党

○並木委員 そういう方向で国交調整をはかろうというならば、それならば了解ができるのでありますけれども、先般外務省の情報文化局で発表になつた「平和日本の安全と使命」または「独立日本と世界の動き」を読みますと、今外相の意図するような点が出て来ておりません。まつこうからソ連を攻撃しているのでありますから違うのであります。こういうふうにまつこうからソ連を攻撃しておいて、はたして今後国交調整ができるとの見通しを持つておられるかどうか。いろいろこういう解決手段に訴えて行つた場合に、ソ連がどうしてもこれに応じないという場合には、どういう手段に訴えて解決をはかつて行くつもりでございますか、聞いておきたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私はこういう今おつしやつたようなパンフレツトといいますか、書物、書きものは私も見ましたけれども、並木君の言われるようにまつこうからソ連を攻撃しておるとはとうてい私どもは考えておりません。しかしながら実際の実情というものを、歯にきぬを着せないように国民に率直に示してその判断を請う必要がある、こう考えまして、これは国民の判断をする材料として事実をありのまま出したつもりでおります。決して故意にどこの国を攻撃するなんという考えのもとに書いたものではないのであります。

並木芳雄改進党

○並木委員 いろいろの解決の手段を講じても、なおどうしてもソ連がこれに応じなかつた場合に、どういうふうな方法によつて訴えて行くか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 それはわれわれの方から言いますと、いろいろの解決の方法を講じてみます。それでなかなか成功しないでありましよう。しかしこういうものは気を長くしてまた熱心にやる必要があるのでありまして、そういう方法がだめなときにはどうするかということはわれわれは考えておりません。できるだけそういう方法で忍耐強くはやらなければなりませんが、手段を尽す。その手段はいろいろの方法が時とともに出て来ると思います。決してだめになつたときにはどうするというようなことでなく、必ずでかしてみせるというつもりでやる以外に方法はないと思つております。

並木芳雄改進党

○並木委員 その方法の一つとして、外務大臣は経済によつてソ連、中共との国交の道を開いて行くというお考えはありませんか。ソ連とか中共に渡航したい人はずいぶんおるようでありますから、そういう者に対しては旅券を発行したらどうか、そうでないと密航者を増加させるばかりではないかと思います。伝えられるところによりますと、共産党の追放幹部の中でも、密航しておる者があるとのことでありますけれども、政府の調査したところはどういうふうになつておりますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 経済の問題もむろんこれも重要でありまして、実際中共と貿易をやつたときに、非常に大きなものがあるか、それとも期待はずれで、今あまりにこれを誇張して考えておるか、これは議論があろうかと思います。しかしいずれにしましても、経済の道を開くということは、一つの方法であることはこれは私もまつたく同感でありますけれども、われわれは今申しましたように、いろいろ懸案がありまして、ことに未帰還者の家族等の心情を考えますと、それらの人々の気持を踏みにじつてまで、経済の利益のために主義上の問題を捨てるということは、私の忍び得ないところであります。よくこの場合当てはまるかどうか知りませんが、われわれの政府の考えておるようなことを概括して申しますと、あるいはサイレント・プロテストというようなことになるかしれません。それは別としまして、要するにわれわれとしてはこういう問題があるのである。これをぜひ解決しなければならぬのだという立場を、まず強く維持しておるのでありまして、その立場をかえない限りにおいては、経済の問題も考えられると思いますが、この立場を破棄して、ただ経済上の利益を追うというつもりはないのであります。

並木芳雄改進党

○並木委員 渡航の問題、旅券、密航者の問題……。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これはどうも私にお聞きになつてもしかたがないので、法をくぐつて行く人があれば、それの取締りをやりまして、取締りにひつかかれば罰するし、逃げられてしまえばしかたがない。しかしわれわれの考えでは、今申しましたように、この懸案事項の解決を大事に思つておりますから、密航する人があり、かりにそういうことが事実としても、それだから旅券を表向き出した方がよいじやないかと、こういうりくつにはならぬと私は考えております。

並木芳雄改進党

○並木委員 外務大臣として共産党追放幹部の密航の問題は調査しておらないですか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 それは外務省の所管でありませんから、報告は聞いておりますが、私の手で、もしくは外務省の手でそういうものを調査しておるということはありません。

並木芳雄改進党

○並木委員 ソ連代表部に対する処置をどうするかということは、目下考慮しておりますということをこの前岡崎外務大臣が答弁されております。その後大分日がたつたのでありますけれども、在日ソ連代表部に対する措置をどういうふうに決定を見ましたか、質問しておきたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 ソ連代表郡と申しますものは、御承知のように連合国最高司令官に対して派遣されておりまして、そうして対日理事会の一員となつておつたわけであります。ところが講和発効とともに、最高司令官というものは消滅いたしました。また対日理事会というものもすでに存在しておらないのでありますから、ソ連代表部が日本に派遣せられておつた理由は、ここに消滅したものと私どもは考えております。  そこで大体の考え方はそういう趣旨でありますが、これをいかに取扱うかということは、国際間の先例もありますし、またかりに国交は開いていなくても、将来いろいろの懸案事項もある国に対しましては、一つの国際礼譲というものもあるわけでありますので、取扱いにつきましてはどうするかということは、今慎重に考えつつありまして、まだ決定を見るに至つておりません。しかし大体の考えの筋はそういう点にあるのであります。

並木芳雄改進党

○並木委員 では最後にもう一点聞いておきたいと思います。それは朝鮮動乱をめぐつてのやはり大戦の危機ということについてでありますが、新しく外務大臣になられた岡崎さんの口から、第三次大戦の危険性いかんということに対する見通しを聞いておきたいと思います。今後国際連合に加盟を申し込む日本としては、独自の外交によつて世界大戦の危機をしりぞけるように仕向けて行かなければならないと思うのであります。ただいたずらに他国に従属的な外交、依存するような外交だけでなく、日本がみずから世界の平和に貢献しようとする自主性を持つた外交というものが実現して来なければならないのであつて、そういう点について現在の国際情勢、戦争の危機というものに対する外相の所感と、いかにして貢献するか、そういうものに対する方法等について、お尋ねしておきたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは私も前々から考えておることでありますが、しかしまだこの間外務大臣になつたばかりでありまして、今ここでお答えするほどに考えはまとまつておりません。またこういうものは、だんだん国際的な立場が各国に認められて来て、発言権を 尊重されるようになり、また国力も、それに従つて大きくなつて来るという点において、発言権の増大ということは、考えられるのでありまして、そういう点を考えずに、ただ力み返つておつても、しかたがないと思います。先ほど植原先輩のお話もありましたように、こういう問題につきましては、外務委員会等の御意見も十分参考にしまして、できるだけ善処したいと考えておるわけであります。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 林百郎君。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 並木委員からも質問が出たのでありますが、外務大臣として、やはり外交方針の一つの大きな目標として、ソ同盟あるいは中国との関係をどう調整して行くかということは、新任岡崎外務大臣の重要な任務だと思います。この問題が出ますと、いつも三十七万の未復員者の問題が出るのでありますが、引傷者の家族の心情からいつても、やはり一日も早く外交関係を結んで、実情を知り、かりにあなた方の言う通りに未復員社があるとしたら、これを返すような手を打つて行かなければならないと思います。大体従来の外務当局の方針を聞いておりますと、事実上の外交関係を結んで行く方向のように聞えますが、もし不正確であつたら訂正していただきたいと思います。そこで当面の懸案の問題を解決しなければならない。当面の懸案の問題としては、漁業問題あるいは引揚げの問題そのほかがあるというようなことを聞いております。その当面の懸案の問題を打開する糸口はどういうところから求められて行くのか、それをまず聞いておきたい。懸案の問題を解決しなければならないと言つておりながら、何らの手も打たないのか、あるいは何らかの手を打とうと考えておるのか、そこをまず聞いておきたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 ソ連と国交を回復しないというわけではないのでありまして、サンフランシスコにもソ連の代表は招請されており、あそこで調印して条約を批准すれば、もうすでに国交は回復しておつたかもしれない。しかし調印しないで帰つてしまわれたので、国交が回復できない。そこでこれはわれわれの方のことではなくして、ソ連側で調印しなかつたということに、第一は基因するのであります。そこでただいま御承知のように、未調印国も含めまして、世界の大部分の国と徐々に国交回復の道が開けて行つております。おそらくことし一ぱいもかからないうちに、世界のほとんど百分の九十以上の国とは国交が回復するのじやないかと考えております。そうして国交を回復しない国がごく少数となりますと、やはり国際間のことは、国交回復ということがどうしても考えられて来るのであります。ソ連側もサンフランシスコ条約を認めて、あれに加わるようになるであろうと期待はいたしておりますが、まず先方で考えてもらうのが第一番である、こう考えております。  それから懸案の事項は、ただいま林も言われたようにいろいろあります。たとえば引揚者の問題にしましても、国連の委員会なり、その他いろいろの手段を尽して、できるだけ早く解決いたしたいと思つて努力いたしておるわけであります。その方法は時とともにいろいろのやり方が出て来ると思います。そのたびにできるだけ各種のやり方を利用しまして、ソ連側の考え方も今までのようでなく、かえてもらわなければならぬと思つておるような次第であります。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そうすると、ソ連側が何か手を打つて来るのを待つというのか、あるいはこちら側も、仲介になる国連あるいは中立的な立場にある国を通じて、外交の糸口を探そうとするのか、あるいは民間における既成的な外交関係の事実の積上げを政府としてはしばらく見ておつて、それが何らか政治的な高まりまでなつたときに、何らかの手を打つというふうに考えておられるのか、そこをもう少し具体的にお聞きしておきたい。たとえば今一つの糸口として、引揚げの問題については、国連の引揚委員会か何かを通じて、ソ連側の意向を打診してもらいたいという話がある。そのほか通商の問題あるいは漁業の問題、あるいはもつと言えば正式に戦争状態終了の問題、こういう問題が山積しておるのでありますが、こういう問題については静観して、向うが何らか手を打つのを待つのか、あるいは他の方法によつて、第三国を通じて行うとか、直接民間との関係を見ておるというのか、その辺をもう少し具体的に、きめのこまかい構想をお持ちなら説明してもらいたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 民間の何とかの積重ねとかいうことは、私どもは考えておりません。またそんなことができようとは思つておりません。こちらから進んでソ連側に話をすべき問題は、懸案の解決であります。懸案の解決をほつておいて、国交回復というようなことをやるのは、私は正しくないと思つております。従つてわれわれの働きかける点は、未帰還者の引揚げその他の懸案であります。他方、諸外国がこぞつて日本と国交を回復するようになれば、ソ連側も日本と国交を回復するということを真剣に考えざるを得ないであろう、こう予想をしておるわけであります。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 ソ連側が真剣に考えるまで待つというのは、少し思い上つた考え方じやないかと私は思う。ソ連は何もどうしても日本と外交関係を結ばなければやつて行けないというのでなくして、むしろ日本の方が、最も隣接  の関係にある中国、ソビエトと友好関係を結ばなければ、外交上非常に不安な状態に陥るのではないか、また経済的にも非常に大きなマイナスになるのではないかというように思われる。むしろ日本の方から積極的に、どう打開するかということを外務省としては表明すべきじやないかと思う。実はきようの新聞を見ますと、西ドイツでは、共産圏との貿易制限を排除するということを下院で社会党が提案し、これについては全政党が支持して、決議をなされておるということが出ておるのでありまして、日本と同じような立場にある西ドイツの国会が、積極的に共産圏との国交を、貿易を通じても行おうという意思表示をしておる際に、ソ連邦もおいおい改まるだろう、それまでは待つておるということでは、いかにも能のない話ではないか。そこで先ほど私が、民間のこういう力がだんだん積つて行くのをしばらく政府としては見ているのかということを申し上げたのは、実は国際経済会議の決定に基いて、将来日本でも各国の貿易の見本市を開催するということが、国際経済会議へ参加した各国の実業家の間で決定されて、中国、インド、モスクワあたりからの品物の見本並びに見本に基く貿易の責任者がこれについて日本へも来る、こういう問題が一つ起きております。それから国際経済会議の決定に基いて、今後の国際貿易を振興し発展させるための国際的な情報の交換ということが決定されておる。それから国連の社会経済理事会へ、将来は政府間の貿易関係を打開する提案を、国際経済会議としては提唱するということが決定されておる。それからつい最近日本の国際経済会議の報告会で、鮎川義介氏の提案で、国際経済会議の事務局長をやつていたシヤンベルン氏を北京から日本へ招請して、いろいろの意見を聞くというようなことが決定されておる。民間では政府の反ソ的な外交方針にもかかわらず、むしろ積極的ないろいろな手が打たれておるのであります。たとえば国際経済会議の決定に基いて日本で見本市を開くとか、あるいはシヤンベルン氏を来朝させるとか、こういう問題については政府としてはどういう態度で臨むのか、これを許さないのか、あるいはそういうものを許しながら民間の自然の動きを見て、政治的な手打つことをねらおうとしておるのか、その辺のことについてあなたはどういう感じを持たれておるのか、シーボルドさんへのサービスばかりがあなたの能じやないのでして、外務大臣になられたのですから、あなたももう少しスケールを大きくしていただいて、日本の外交関係をどういうように安定に置くかということを考えていただきたい。客観的に見ると、どうもシーボルドさんのごきげんばかりとつておるように見えてしかたがない。また世間の風評にも、シーボルド氏への点数かせぎをやつているのだというようなことが出ております。おそらく当らないと思いますが、やはりあなたに、中共だとかソビエトだとか、こういう共産圏に対しても大きな構想を持つて、一歩々々そういう方向の政策を実現して行くという気概が見られないと、ついそういう風評も流れるかもしれません。これは私は新外務大臣の前途を憂うるの余り申し上げておるわけでありまして、決していやみを言つておるわけじやないのであります。こういうように民間からも積極的打開の道が開かれておるわけでありますが、そういうものに対してあなたはどう考えておるか、あるいはバルト法の緩和についても、ある程度向う側と交渉して、だんだんこういうものを緩和して、経済的なつながりから結びつきを持つて行こうというようなことを考えておられるのか、そういう面をひとつあなたに聞いておきたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 林君はソ連の代表者のように、ソ連の方は別に日本と交通を結ぶ必要はないのだ、日本の方があつたのだと言われますが、林君もそうソ連の意向をよく知つておられるかどうか、私もわからないのであります。しかしわれわれの考えるところでは、よその国が全部日本を認めて日本と国交を回復すれば、当然ソ連もそうせざるを得ない状況になるであろうと私は信じております。それから西ドイツでこうやるから日本もやれと言われますが、それこそ先ほど並木君も言われたように、日本は日本で独自の考え方でやるので、よその国のまねばかりすることもないのであります。先ほども繰返して言いましたように、われわれとしては経済上の多少の利益等によつて、この大事な主義上の問題、懸案の問題をいいかげんにされるということは、とうてい考えられないことであります。まず懸案問題に表面からぶつかつてこれを解決してもらう、その上でなければ国交を開くということは、国内にある抑留者の家族等の心情から見ても、私はとうてい忍び得ないところであります。また民間からのいろいろの盛り上りと言われますが、元来モスクワ経済会議と称するものも、これは何も公のものでも何でもない。従つてその決議がどれだけ実行されるのか、そんなことは将来の問題で、ただいま決議がされたからといつて、それがすぐに実行されるものと即断するわけにも行かないのであります。民間の方のいろいろの決定があると言われましたが、私はそういうものを正式には何にも聞いておりません。またそんな見本市をやるとかやらぬとかいうことにつきましても、国交の回復していない現在において、そういうものを認めるかどうか、はなはだ私は疑問だと思います。こういうような問題は、実際具体的になつたときに実情を調べて考えるだけの話であつて、今から原則的にいいの悪いのと言う必要はないと考えております。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 林君、時間が来ておりますから簡単に願います。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 すぐ三十七万の未復員者の家族の心情問題に帰するのでございますが、それは私は政治じやないと思うのです。その心情の問題を解決するために、当面の懸案を具体的にどういう糸口から解決して行くのでしようか、それをちつとも言わなくて、ただ懸案々々で行くということは、大きな外交方針、政治方針をそういうまつたく卑近なものでごまかしてしまう。ことに未復員者の数の問題については、いろいろの争いが両方にあるのですから、かりにこういう問題を早く解決するにしても、まず外交関係を結ぶとか、旅券を発行して向うへ行く糸口をつくるようにしないと、解決する糸口はつかないじやないですか。懸案の問題を解決するその糸口を何に求めようとしておるのか、これをお聞きすることと、それからソ連との関係を徐々に懸案の問題からでも解決して行きたいという際に、今日のある新聞によりますと、あなたの部下である宮崎外務省情報文化局長談として、ソ連は近く引揚げるであろうというようなことが書いてありますが、しかしソ連代表部の問題については、御承知の通り対日理事会でも問題になり、極東委員会でも問題になり、四大国の一致並びに拒否権の問題があつて、必ずしもソ連の足場がないということが国際的に決定しておるわけでもないし、ソ連の側からいえば、ソ連の拒否権によつて対日理事会は存在するんだ、あるいは極東委員会においてもソ連の代表部はあり得るんだ、それから最高司令官と対日理事会の間の意見が不一致の場合には、問題は極果委員会に持ち込まなければならないという問題があつて、国際的にまだはつきりした決定もないのに、一情報文化局長が「ソ連近く引揚げん」というようなことを言うこと自体、先ほど植原先輩も言われたように、どうも最近の外務省にはかつての情報局のような官僚的な空気が充満しておるのではないかと思います。私もこの外務省から出ました「独立日本と世界の動き」「平和日本の安全と使命」、これを読んでみますと、これはかつての陸軍の報道部の「皇国の民に与える」というようなものと同じで、外務省の勅語にもひとしい説明だと思うのです。この外務省の官僚的な空気をこのまま見のがしていたならば、これは日本の外交関係に非常に大きな問題を起して来ると思う。外務省の役人がそういうように官僚的にいい気になつておるから、やむを得ず民間の人が実力に訴えても、自分の好む方向へ外交関係を打開して行かなければならないという不幸な事態が起きて来ると思います。そこで締めくくつてお聞きしておきたいことは、当面の懸案の問題の解決について、どういうことを考えておるかということが一つと、それから宮崎情報文化局長が「ソ連近く引揚げん」ということを新聞記者に話をしておりますが、これはどういう根拠から日本を去ると予想しておるのですか、責任ある大臣の地位にある岡崎氏から御説明をお聞きしたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 未復員者の問題は、先ほど申したように特別委員会等いろいろの措置によりまして、世界の各国の正義の観念に訴えて解決するのが一番よろしいと思います。たくさんの俘虜をとつたことは事実でありますが、それについて死んだのやら生きておるのやら、全然通知がないのであります。これは当然ソ連側で反省して通知すべきものと考えております。通知しない間はできるだけ各国の輿論を動員して、国際正義に訴えるつもりでおります。なお情報文化局長の話は、私は聞いておりませんが、林君のお考えと、われわれの考えはどうもいろいろの点で根本的に違うようであります。私どもの常識から考えれば、対日理事会は終了しておる。全体、かりにソ連だけががんばつておられましても、ソ連の代表一人で会議はできないと私は思います。極東委員会にしても同じことだと考えます。従つて、一人で会議ができない以上は、これは消滅せざるを得ないと思います。そうすると、その会議に代表として送られた人は帰るのが、常識的にはそうだと思います。しかし情報文化局長がどう言つたか、これは私は直接聞いておりませんから、さらに調べてお答えいたします。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 簡単にお願いします。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 妙なことをお聞きしたのですが、対日理事会や極東委員会が事実上機能を失つたということと、その代表部が引揚げなければならないということとは別だと思う。ですから、事実上機能が失われたということに対しての責任が、一体どちら側にあるかということも問題になると思う。たとえば第二次世界大戦、並びにその後のいろいろの国際的な諸協定は米、英、中、ソ四箇国一致の精神に基いてずつととりきめが行われて来て、それが破られて来た。少くも旧敵国の日本とアメリカが、かつての同盟国である中国、ソビエトを仮想敵とするような軍事協定を結ぶこと自体、中国、ソビエトとしては、国連憲章の精神に違反するのだと言うことは当然だ。従つてこういう事態を起して来た責任がどちら側にあるか、ソ連側からいえば、逆にアメリカ側にあるということが言えると思う。その責任問題はいずれにしても、会議の機能を失つたからといつて、ソ連がすぐ引揚げなければならないというのはりくつが成り立たない。これが一つと、かりに対日理事会やあるいは極東委員会が機能を失つたとしても、降伏国との関係がある限り、降伏国に関する利害関係がある以上は、日本の国にソ同盟として足がかりを持つことは当然だと思う。そういうことを無視して、一方的なアメリカ並びに  一部の人たちの解釈を外務省の情報文化局長あたりまでが宣伝して、そしてソ連に対し敵対的な関係を宣伝しながら、懸案の問題を解決しようとか、あるいはいろいろな問題を解決しようと言つたつて、それは不可能じやないですか。国連へ加盟するということについても、一番問題になるのはソ連の拒否権の問題だと思う。ほんとうに日本が国連へ加盟しようということを真剣に考えるならば、少しでもソ連、中共との関係を改善すべき方向に努力すべきだけれども、いたずらに刺激するような談話を一情報文化局長が無責任に新聞に出すことは、日本の外交を誤らせるものだと思う。この点をあなたから厳重に忠告してもらいたい。最近外務省の諸君は実に思い上つていると私は思う。そういう意味で、対日理事会、極東委員会の機能が失われたということと、ソ同盟が日本に足場を持つことができないということとは別問題である。特に降伏国との関係がある限り、自分の利害関係の代表としてソ同盟が足がかりを日本に置くことは私は正しいと思う。こうう意味で、ソ同盟が日本に足がかりを持つことができないということは暴論と思いますので、最後にこのことを質問しつつ、なお念のためにあなたの外務省における情報文化局長あたりが、将来友好関係を結ぶべき諸国に対して、いたずらに刺激をするような言語は厳重に慎むべきだと考えます。これに対してあなたは、十分なる責任と、警告を発することを希望し、なおあなたの意見を聞いて私の質問を終りたいと思います。これは共産党だとかなんとかいう立場でなくて、中国、ソビエトと友好関係を結ぶということは、極東における日本の立場としてどうしても不可欠の条件だと思う。政治的にはあなたが議会でそう言つても……。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 林君、簡単に願います。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 それらの国々と友好関係を結ぶように努力して行くということが、私は日本政府のやるべきことであると思う。それをぶちこわすようなことを情報文化局長がやつて行くということは、一番悪い外務省の官僚的な雰囲気の現われで、憂慮すべき事態だと思う。このことについてあなたの責任ある答弁を聞いて私の質問を終ります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 先ほど林君は私に対して、シーボルドさんの点をかせぐと言われましたが、林君も別にソ連に対して点をかせがれる必要はないと思います。  そこで今のお話ですが、私は何もソ連と、もしくは中共とまず友好関係を結ばなければならぬのだと言つたことは一度もないのであります。懸案を解決するのが先決問題であるということであります。林君は、友好関係を結ぶ必要があるから云々と言われますが、そうではない。懸案を解決するのが先で、懸案が解決されたら友好関係も結べるかもしれぬというわけであります。そうしてまた、懸案を解決するにつきましても、何もソ連なり中共なりに、腰を低くして解決してくださいと言つて頼む筋合いのものでないのであつて、堂々と要求すべきものであると私は考える。  なお宮崎情報文化局長の談話は、今申しました通りよく調べてから申し上げます。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 佐々木盛雄君。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 私は、先ほど来の同僚委員の質問に関連をいたしまして、一、二の点だけ簡単に質問いたしておきたいと思います。  まずソ連並びに中共と日本との間の通商貿易のことに関してでありますが、先ほど大臣もちよつと指摘いたしましたように、中ソ軍事同盟の性質から考えましても、かりに日本と中共、ソ連との間に貿易が再開されたといたしましても、はたして実際にどれだけの貿易が実現するかということは、きわめて疑問であると考えられますし、かつはまた、昨年のサンフランシスコにおける平和条約並びに日米安全保障条約、これを契機といたしまして、日本の進むべき国際路線というものはもう決定いたしたと思つております。そういう関係においてでありますから、従つて中共やソ連と日本との通商関係というものも、またきわめて限られておるではなかろうかと考えるのであります。この際あまりにソ連や中共との貿易に、日本が狂奔しているかのごとき印象を国際的に与えますことは、私はあまりよい影響をもたらさないものと考えるわけでありまして、この点に関しましては、先ほど来の同僚委員の質問の趣旨とは反対の見地から私は承つておるわけであります。従つてこの際、ソ連並びに中共と日本との通商貿易の再開が、今日の日米関係を友好的に持続しながら、なおかつ相当大きなものが期待されるかどうかという点につきまして、外務当局の見解を求めておきたいと思うわけであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは今御指摘のように、いろいろ過去の経験から誤解を生じておる点があるかと思います。一つは、日本は満州には非常に大きな投資をいたしており、また中支、北支等にも非常に大きな投資がありました。その投資に関連した取引がかなり大きな量になつておつたのであります。ところが、それがなくなつておる現在では、かりに昔と同じ程度の交易をいたしたと仮定しましても、その投資分の果実と申しますか、そういうものだけ減りますから、たとえば満州を含めて二割五分とか三割とかいわれておりました量は、普通にいいましても非常に大きく減ると思わざるを得ないのであります。また終戦後の中共とソ連との特殊の関係によりまして、いろいろの貿易とりきめがありまして、満州における大豆等も相当大部分が向うに行つておるというような関係もありますから、今度は終戦後の特殊事情によりまして、日本が輸入できる品物がまたかなり限られておる、こう思つております。それに加えて中共なりソ連なりの各経済による貿易のやり方というものは、結論的にいえば、これは三角貿易でなくして物々交換の形をとるわけであります。これは私から説明するまでもなく、自分の国に必要なものだけを輸入する、それの輸入に必要なだけの輸出をするという形になりますと、貿易の量は年々減つて来るのは過去の経験で明らかであります。従つてかりに何も制約なくして昔の通りにやつてみたところで、おそらく中共貿易を考えておる人々の思うような量の何分の一、何十分の一になるのじやないかと想像されますが、不幸にしてまだそういう状況になつておりませんから、私が口でこう言うと、いかにも政府はこれを過小評価しておるように世間にとられますけれども、実際にやつてみればそんなものになつてしまうのじやないかと私は考えております。が、それは別としまして、今中共に対しましては国連で一定の経済措置をとつております。かりにアメリカと日本の関係あるいは経済協力等の関係を顧慮しなくても、国連の措置に対しては、われわれは平和維持の考えからこれに同調する方針をきめておりますし、これは平和条約等を承認されて国会でも認めておられるところでありますから、実際上の問題としては、この国連の措置が続く限りは、中共等に対して元のような貿易をやるつもりは、政府としては持つておらないのでありますが、かりにそういうものがなくなつた場合を考えても、おそらく今申したようなことで、貿易の量は思つたより少くて、失望される向きが非常に多いのじやないかと考えております。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 外務当局の所信のほどは了承いたしたわけでありますが、ややともするとソ連並びに中共と日本との通商を誇大に宣伝し、日本がいかにもこれに血道を上げているような印象を海外にも与えつつあるということは、まことにおもしろからざる影響を与えておるのじやなかろうかと思うわけであります。幸いにして政府の所信のほどに私も同感の意を表するわけであります。たまたまただいま大臣の答弁の中にありました満州におけるかつての日本の権益について一言承つておきたいと思いますが、御承知のように大戦の末期にソ連軍がかつての満蒙地区において、戦利品だと称して奪取いたしました権益が、ポーレイの賠償使節団の報告によりましても、たしか二十億ドルとか評価いたしておつたようでございます。邦価に換算いたしますなればまことに莫大な額でございますが、これらは当然戦利品の対象たるべきものではなくして、日本の在外資産として見らるべきものでありますから、この権益につきましては、当然ソ連に日本側が返還を要求する権利があると私は考えるわけでありますが、いかようにお考えになつているか。またこれらの点につきまして、どういう措置をとろうというお考えであるかということも、この際あわせて伺つておきます。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 御説の通りその中には、よく調べてみますれば、一部は戦利品としてとられるべきものもあるかもしれません。またあつたでありましよう。しかしこれは、常識的にいいましても大部分は——まあほとんど全部といつていいかもしれませんが、大部分は戦利品として取上げらるべき性質のものでないことは当然であります。しかしながら、事実上これを解体して持ち運ばれてしまつた現在におきましては、これも先ほど申し上げました懸案の一つになるわけであります。日本としては、平和条約の規定等もありまして、海外の財産については特別の規定がありますけれども、しかし筋道を違えて戦利品として持つて行かれるということについては、承服できない点があることはあたりまえであります。われわれの考えでは、これも一つの懸案の事項であると考えておるわけであります。この戦利品であるべきでないということは、関係各国も大体ほとんど意見が違わないように私どもは聞いております。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 先ほど来、懸案といたしまして、未帰還者の内地返還のことや、拿捕漁船の返還あるいは漁業権の問題等が論議されたわけでありますが、この際ひとつ領土問題に関連して承つておきたいと思うのであります。御承知のように歯舞、色丹というものは、連合国側におきましても、これは明らかに日本の領土である、北海道の一部であるということを認めておるわけであります。しかしながらこの歯舞、色丹等には、今日現にソ連の軍隊が占領いたしておる状態でございます。従つて、現実に占領いたしておりますものを、実力をもつて排除するということはもとより日本には不可能なことであり、また今日の国際情勢から見ましても、簡単に実現することではないわけでありますが、これらの懸案のうち特に領土の懸案の問題について、政府といたしましては、どういうふうな方式によりてこれが解決をはかろうとするのか。たとえば国際司法裁判所に提訴するとかなんとかいうように、具体的にはいかなる方式をもつてこの懸案の解決をはかろうとされるのか。すでに平和条約は発効し、日本の主権は完全に回復いたしたのであります。これからの問題であるといつてあまりのんきに考えておるべき問題ではなくしで、現地におります島民にとりましては、火のついた焦眉の急を要する問題でもありますから、この際ひとつ外務省の見解を承つてみたいと思うのであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 御承知のように、歯舞、色丹等の島が根室に属しておつて千島に属していないということは、これはもう明らかな事実であります。ただ終戦当時千島を防衛しておつた軍隊が、歯舞、色丹がちようど島であつたものですから、あわせて防衛の指揮下に入れておつた。従つてその司令官がソ連側に降伏したときに、歯舞、色丹もあわせて降伏したように考えて、占拠して来たというのが始まりでありまして、今に及んでいるわけであります。これは平和条約の中にも定義はいろいろありましようが、千島は日本が権利、権原を放棄することになつておりますが、しかしそれにしてもまだソ連が調印しておりませんから、ソ連に対しては千島に対する領土権等は発生しておらないわけであります。しかしそれは別として、歯舞、色丹等は当然日本の領土であることはあたりまえな話であります。これはどこから見ても御説の通りであります。これをどういうふうにやるかということにつきましては、まず事態をできるだけ明らかにして、各国の了承を求めなければならない。そして国際的の輿論をこれまた動かさなければならぬ。またかりに将来世界の諸国が日本と国交を回復して、ごく少数の国だけが取残されたというような事態になれば、ソ連側もあるいはいろいろ考えて来るかもしれません。そういう場合には、この問題は一つの懸案事項としてまず解決を試みるべきものであると思つております。方法はいろいろありますが、今ただちに力をもつてどうということは、とうていわれわれは考えておらないことでありまして、それ以外のあらゆる方法でわれわれの考えを実現したいと思つておるような次第であります。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 最後にやはり領土問題に関連して、もう一点だけ承つておきたいと思います。ただいまのお説のように、歯舞や色丹が明らかに日本の領土であることは既定のことでありますが、この日本の独立の機会におきまして、日本の主張し得べき当然の権利を国際的に堂々と宣明することが、最も世界の輿論を喚起するゆえんであつて、望ましい結果を招来するものと私は考えます。新大臣におかれましては、ひとつ躊躇逡巡するところなく、勇敢に所信のほどを表明していただきたいと考えます。さらに先ほどの大臣の答弁の中に、もう遠からずほとんど九〇%の国と日本との間の平和状態が回復するから、従つてソ連もいつまでも日本との法律上の戦争状態にあることを好まなくなるだろう、そういうときには、日本とソ連との間の平和関係が回復するであろうというような意味のことをおつしやつたわけでありますが、それでは一体ソ連と日本との講和がこの三年以内くらいに実現するというようなお見通しを持つておられるものかどうか。この平和条約によりますと、平和条約の効力発生後三箇年の間に、日本は今度の平和条約に参加しなかつた国と、同様の条約を結ぶことを用意すべきである、但し日本国の義務は三年間をもつて完了するという規定があるわけでございます。そこではたして今日の外務当局が今お考えのような観点からいつて、ソ連と日本との平和状態の回復が、この三年以内にでもできそうであるというようなお見通しをお持ちになつておるかどうかということを、承つておきたいのであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私の言つたことがちよつと誤解があるかもしれません。私は、要するにソ連も国交を回復せざるを得なくなるであろうから、そのときにまずこの懸案を解決する、それが満足の行くようになれば国交回復に向うのだ、こういう趣旨であります。そこでその国交回復とかなんとかということは、懸案解決をほかにしてはできないということが、まず第一の問題であります。第二には、常識的にいえば——私は常識的に言つておるのであつて、常識的にいえば、ソ連はサンフランシスコ条約にまず調印すべきがあたりまえであつたと思うのですが、いろいろな理由で調印しなかつた。今度も三年以内くらいには、常識的にいえば国交回復に向うへきが当然であると思いますけれども、これはまたソ連はソ連のいろいろ違つた考えがありますから、そういう点の見通しはとうていつきか  ねるわけであります。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 平和条約の規定によりますと、この平和条約から生ずる権利義務の関係は、平和条約に署名調印した国にのみ適用されるということになつております。そして日本は千島、樺太の主権を放棄するということもまた宣言をいたしております。すると、もしも三年以内に日本とソ連との間の平和条約が実現を見なかつた場合におきましては、日本の放棄した千島、樺太の主権は、はたしていずこに帰属するものか、私は当然主権の放棄を規定いたしたときの精神や事情から考えて、ソ連との平和条約か結ばれた場合のことを想定しての項目であろう  と考えるわけでありますが、もしも三年以内にソ連との平和条約が不幸にして実現できず、ない場合におきましては、これらの島々の主権に対して日本はどういうふうに考えるべきであるか、また日本政府といたしましては、どういうふうにこの問題を取扱う所存であるかという点を承つておきたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは今でも、たとえば千島、樺太は別としまして、歯舞、色丹などは、ソ連軍が撤退して、日本側に引渡すべきものと私は考えております。しかしながら実際上はまだ占拠しておつて、これをどうすることもできないという状況でありまして、三年後の状況はどうなりますか、そのときの情勢を見て、十分実際上に考えるのが政治であろうと思います。ただ条約上の解釈としてどうなるか、法理的にどうなるかということは、これはまた別の解釈でありますが、その点は条約局長から御説明をいたします。

西村熊雄外務事務官(條約局長)

○西村(熊)政府委員 最後に御質問の点は、要するに連合国間においてこれらの地域の最終的帰属が決定されるまでは、帰属関係が未決の状態にある、こういう事態が続く、こう思われます。こういう事態は、世界戦争のような大きな戦争があつた場合においては、必ずしも珍しいことではございません。複雑な領土の調整問題でございますので、それが最終的に決定するまでには数年、数十年を要するということは、あえて異とするには足りないところだろう、こう考えております。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 黒田寿男君。

黒田寿男労働者農民党

○黒田委員 国際連合に加盟するということがただいま現実の問題になつておるのであります。この間もちよつと岡崎国務大臣に御質問申し上げましたように、日本が真に国際連合に加盟したいと考えておりますならば、何としましても安全保障理事会の常任理事国の全般に対しまして、日本との関係を良好にしておかなければ、拒否権を発動せられて、国際連合への加盟が実現しないというようなおそれが十分にあるのであります。そこでできるだけ、たとえばソ連等に対しても、懸案の解決のためにもつと積極的に日本の態度を示して、ソ連との関係をも好転させるという方向へ向けて行かなければ、事実上国際連合に加盟することはできないのであります。そこで私はそういう私どもの考慮に関連いたしまして、多少岡崎国務大臣にお尋ねしてみたいと思います。  第一にソ連の代表部として従来存在しておりましたものがなくなる——これについては意見がわかれておりまして、対日理事会、極東委員会は消滅するのである、この間の講和条約の発効によりまして、すでに消滅したものであるという意見と、そうでないという意見が対立しており、日本政府としましては、消滅したという見解をとつておいでになると思います。そのことに関するよしあしの議論はしないことにいたしまして、かりに日本政府の考えておりますような考え方であると、対日理事会に対する機関といたしまして、ソ連の代表部が日本に駐在しておつたのでありますから、日本政府の見解からいたしますと、その対日理事会がなくなつたのでありますから、そうするとソ連代表部というものも存在する必要がなくなる、こういう御見解であると思います。しかるにまだ現在、現実には、かつて代表部でありました機関が在日しておるということも事実であります。そうしますと、それはいかなるものとして存在するかということが私どもには考えられるのでありますが、とにかく実情としては在留しておる、これは事実であります。それに対してお尋ねしたいと思いますことは、日本としまして対日理事会に対する連絡機関としての代表部というものはなくなつたのであるから、代表部として存在しておりました機関、それが事実上の存在を続けておりますのに対して、一体退去を——これは仮定の問題でありますし、りくつの問題でありますけれども、退去を求めるというようなことができるのであるかどうか、私は日本の政府がそのような乱暴なことをするとは考えない、ただりくつとして聞いておるのでありますが、退去を求めることができるかどうか、その意思があるかどうかということを聞いてみたいと思います。日本はソ連に対しましては、現在降伏国の関係にあるのでありますから、戦勝国たる地位にあるソ連が、軍隊等を持つて来るということであればこれは別問題でありますが、平和的機関としての代表部の機関のごとき一種の機関を、何らかの意味において日本との交渉のために存在させようという意思があつたとしたならば、それを日本としては拒むことはできぬのではなかろうか、こういうふうに考えるのであります。これはすべて仮定の問題でありますが、一応このことを承つておきたいと思います。  それから時間がございませんからついでにお尋ねしますが、私はこの問題と関連しまして、さらにむしろそういう機関の在留を日本としては求めるという積極的な意思を持つておいでにならないか。それは岡崎外務大臣も先ほどから申されましたように、いろいろソ連との間には懸案を解決しなければならない問題がたくさんございますので、何かソ連に対しまして交渉をなし得る手段が東京に存在しておるということは、懸案の解決のために私どもはたいへんそれが利益であつても、日本のために損にはならぬと思います。それであらゆる機会を通じまして——岡崎国務大臣の先ほどのお話では、懇願するのではないと言われた。それはそれでいいと思います。負けた国と勝つた国の関係でありますから、よし懇願しても、これははずかしいことではないと思いますが、かりに懇願でないにしましても、日本として何らか積極的に話合いをしたいという態度だけは、そしてまたその気持だけは、絶えずソ連に対して持つており、機会あるごとに何か話合いの糸口をつけて、積極的に懸案の解決をはかる努力をする、私はそういう態度を示すということが、国際連合に日本が加入を申し込む場合に、ソ連の拒否権の問題と必ずしも無関係ではないと思います。ほんとうに日本が国際連合に入ろうと思いますならば、私は積極的にソ連に今申しましたような意味において、近づきの機会を持とうという態度を政府がお示しになつた方がよいと思います。先般私は、外交方針を転換する意思はないか、という質問を岡崎国務大臣にいたしましたけれども、それに対してはむろん積極的な御意見の開陳はなかつたのであります。具体的に代表機関の問題について今日はただいまのようなお尋ねをしたのであります。積極的に対処するという御意思はないのでありましようか、この点だけをきようは私はお伺いいたしまして、あと時間がございましたら、もう少し条約局長に一、二点お尋ねをしておきたいと思います。まず岡崎外務大臣にお伺いいたします。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 国連加入の問題について、ソ連の拒否権を何とか食いとめるためにというお考えと、代表部を何かの形で残しておいたらどうかというお考えは、やはりこれは同じような考え方から出ておる御質問だと思います。われわれはソ連が拒否権を使えばむろん加入はできませんけれども、そうかといつて特にそのためにソ連に対してどういう働きかけをするというような意向は持つておりません。私どもは日本の憲法に基いて、日本の国をきちんと運営して行けば、国連加入は当然認めらるべきものであるという見解をとつております。もしそれに対して拒否権を使えば先方が悪いのであつて、それ以外の何ものでもないと考えております。  それから対日理事会等がなくなつたということは、われわれは占領軍最高司令官からの通報で承知しております。もしそれがいいか悪いかということになれば、それは連合国間の問題であつて、日本としては連合国最高司令官のそういう表示がありますれば、当然これはもう対日理事会は消滅いたすものと、こう考えるのはあたりまえであります。消滅いたしました以上は、対日理事会に派遣されておるソ連の代表部は存在の理由を失う、これもりくつ上当然であります。なおそれについて代表部を何らかの形で残しておいて交渉したらどうかというお話でありますが、従来もソ連の代表部が日本政府に直接なり間接なり交渉事を持つた例は一つもないのであります。また降伏しましたからといつて、その跡始末につきましては連合国があり、連合国はその最高司令官をもつて降伏条項を処理するということになつておりますので、それ以外に特殊の代表というものは別に考えられないのであります。平和条約ができまして、日本の独立が世界の大多数の国から認められますれば、これはただ日本の独立を認めない国があるというだけで、日本の独立自体に対しては、何ら疑問をはさむ点はないのでありますから、平和克服後において、ソ連の代表部が法律的に存在する理由は私は全然ないと思います。従つて従来のような特権を持つた代表部があり得るということは考えられません。ただこれをいかに処置するかということにつきましては、先般お答えしたように、ただいま慎重に考究中であります。そのうちに具体的の案をきめるつもりでおります。

黒田寿男労働者農民党

○黒田委員 考慮中だというお話でございますので、積極的なお話もまた消極的な御意見も承ることができませんでした。しかしそうおつしやるならば、そう承つておくよりしかたがありません。そこでひとつ希望といたしましては、せつかくのこれは平和的な機関としての存在でありますから、むしろその存在を認めて、積極的に懸案解決のために善用するように進めていただきたいと思います。どうもソ連に対する関係におきまして、岡崎外務大臣のお考えは非常に消極的でありまして、新外務大臣としては、私ははなはだ物足りないのであります。もう日本は独立したのでありますから、そういつまでもほかの国に遠慮する必要はありません。日本の地位ということを考えるならば、なにもソ連と積極的に懸案の解決に乗り出しても不利益はない。アメリカだつてそれを決して妨害しません。妨害したらアメリカの方が間違つているのです。この懸案の解決に乗り出すということは、何らどこの国にはばかる問題でもない。そこが独立したという意味でありますから、私はひとつ積極的な態度に岡崎外務大臣に出ていただきたいと思いますけれども、これも今日は私のそういう希望だけを申し述べまして、外務大臣に対する質問は一応終ります。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 これにて本件に関する質疑を終了することといたします。それではこれより討論に移ることといたします。討論の通告がありますので、これを許します。佐々木盛雄君。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 私は自由党を代表いたしまして、国際連合への加盟に承認を与えることに賛成の見解を、簡単に表明せんとするものであります。国際情勢の現段階におきましては、国際連合をもつて世界の平和と安全を保障し得る最も理想的な機関といわなければなりません。敗戦によつて身に寸鉄を帯びざる日本が、その平和と安全を確保する最も有効なる方途が、国でもないのであります。日本はさきに締結されたサンフランシスコの平和条約並びに日米安全保障条約におきまして、国際連合への加盟を申請し、かつあらゆる場合に国際連合憲章の原則を遵守する旨を声明いたしておるのであります。従いまして日本の国際連合への参加は、今日あらためて甲論乙駁すべきものではなくして、すでに昨年九月八日サンフランシスコにおける平和条約並びに安全保障条約調印の日に確定いたしておるところでありますから、両条約を圧倒的多数をもつて承認いたしましたわが国会といたしましては、国際連合への参加にもまた圧倒的多数をもつて承認を与うべきものであることは、言をまたないところであります。政府は国会の承認を得て、国際連合への加盟の手続を遅滞なく行うべきはもちろんでありますが、さりとて日本の加盟が実現するまでには、幾多の困難があり、なかんずく安全保障理事会におけるソ連の拒否権が、おそらくは最大の難関であろうと想像されるのであります。国際連合発足以来今日までの間において、ソ連が拒否権を行使すること実に五十数回に及び、世界平和と安全を確保せんとする国際連合の機能は、ソ連の理不尽きわまる横車によつて、常に甚大なる支障を来しておることは、世界周知のところであります。従つて自由主義国家陣営の日本に対する友好的な態度にもかかわらず、日本の国際連合への加入は、常任理事国たるソ連の拒否権発動に妨げられて、少くとも現状におきましては不可能に近いほどの困難を想定しなければなりません。しかしながらたといソ連の拒否権行使のために加盟が認められない場合におきましても、現にイタリアはニユーヨークの国際連合本部に連絡部を置きまして、国際連合と緊密に協力いたしておるのであります。日本もいまだ国際連合加盟国ではないのでありますが、国際連合の専門機関である食糧農業機関、万国郵便連合、国際電気通信連合、国際労働機関、世界保健機関、ユネスコ等にすでに参加いたしまして、国際連合に協力をいたしておるのであります。ゆえに日本政府といたしましては、イタリアの場合のごとく、国際連合に対して日本の連絡ないしオブザーヴアーのごとき派遣を実現し、国際連合の経済的、社会的、文化的活動に協力するとともに、日本の個別的自衛と世界の集団的自衛目的達成のために、国際連合への協力が実質上可能となるような措置を講ずべきことを強く政府に要望いたしまして、私の賛成討論を終る次第であります。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 並木芳雄君。

並木芳雄改進党

○並木委員 私も本案には賛成の意を表明いたしたいと思います。国連加盟については、四月二十八日条約発効の日に、衆議院において決議案を上提可決いたしまして、その通り私の方の改進党といたしましても、その一日もすみやかならんことを願つてやまないものであります。しかしながら現内閣のもとで、はたして国連加盟が促進され得るやいなやについては、多大の疑問を抱かせられますので、今後の政府の外交方針に対し、強い要望を付しておきたいのであります。  元来国連加盟には二つの大きな障害が横たわつておつたのであります。その一つは、自国の軍隊を持たなければ加盟ができないのではないか、加盟できても義務と責任が果せないのではないかということでありました。もしこれが条件であるとしたら、憲法において軍備を放棄した日本の場合、特例が認められないかということがわれわれの念願であつたのであります。この点最初は明確ではなかつたのでありますが、このたびの本案審議において、幸いに自国の軍隊を持つことは条件でないということがはつきりしたのであります。しかしここに注意しておかなくてはならないのは、だからといつて、これをよいことにして、自分の国を自分で守るという自主的精神を忘れて、自衛力確立を怠るようなことがあつてはならないのであります。現内閣のように、警察予備隊をもつて事足れりとするがごときは、日本の独立精神をあいまいにする以外の何ものでもないのであります。ましてや、警察予備隊なら海外に出さなくても済むが、軍隊にすれば海外に出なければならないから、再軍備をしないのだ、と説くような与党議員がいるに至つては、ただに内、国民を欺くのみならず、外、国際信用にももとるものであります。予備隊であろうと軍隊であろうと、日本政府が海外には出さぬと決意さえすれば、絶対に出さなくても済むのであります。国連から強制的に押しつけられることはありません。われわれは国連から義務づけられるからとか、義務づけられないからとかの議論と全然かけ離れて、自主独立のために自衛力の確立を急ぐべきであるということを政府に注意しておきたいのであります。  もう一つの障害は、せつかく国連加盟を申し込んでも、ソ連の拒否権行使によつて、実現できないのではないかという点であります。この点政府はいかなる見通しを持つているかということをただしたのでありますが、残念ながら政府としても悲観的であります。ただ何らかの便法がとられるのではないかと申しております。その便法とは何ぞやという点になると、ただ漠然たる見解以外にはないのであり、単なる気休めの観測にすぎない模様であります。これには私ども失望しているのでありまして、政府はすべからくソ連との国交調整をはかつて、ソ連が拒否権を行使することなく、堂々とわが国が国連に加盟できる道を切り開いて行かなくてはならないと思います。アジア諸国との善隣外交の必要性については、これまた四日二十八日の決議に盛られておるのであります。現内閣にこの決議にこたえる熱意と方策があるかどうか疑問であります。ややもすれば、自由主義、民主主義の範疇を狭めて行き、自由主義、民主主義を共産主義とまつこうから対立させて、一方的色彩を濃くしてしまつたことは、憂慮にたえない次第であります。これは最近外務省から発表された「独立日本と世界の動き」を見れば、いよいよその感を深くするものがあります。国連加盟の最大目的は、かかる両陣営対立を緩和し、真に世界の平和をもたらすことにあるのであります。しかるに現政府のごとき一方に偏した態度をとるにおいては、かえつてこの対立を激化せしむるおそれがあるのであります。さなきだに、国連は英米の傀儡機関であるとの非難が一方の陣営から出ておる今日、これに拍車をかけるがごときは、策の得たるものではございません。われわれは政府に対し、真に国連本来の面目を発揮せしめるよう、自主的な役割を果すことを切に要望するものであります。  以上の希望条件を付して、本案に賛成の意を表します。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 林百郎君。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 私は、ただいま議題となつている、国際連合加盟について承認を求むる件については、共産党を代表して反対するものであります。  御承知の通り、一国が国際連合に加盟するためには、安保理事会の常任理事国の一致した承認を必要とするのであり、この常任理事国にソビエト同盟があることは明らかなことであります。ところが、サンフランシスコ講和条約によると、アメリカは講和の発効後、日本の国際連合への加盟を支持する旨がとりきめられておるのであります。もしアメリカにして真に日本の国際連合への加盟を支持するというならば、何ゆえ、国連の安保理事会の常任理事国たるソ同盟もまた日本の国連加盟を支持するような方向にともに努力しないのか、このことが私は問題だと思うのであります。すなわち全面講和を締結するという方向にあらゆる努力を日米ともにすることが、真に国際連合に日本を加盟することになるのであつて、この全面講和への努力を全然拒否して、日本を国連に加盟するというようなことを口の先だけでとりきめたところで、これはまつたく無意味なものであります。国連の本来の使命は、第二次世界大戦における旧敵国の侵略主義的な勢力の台頭を徹底的に防ぐということが根本精神であります。このためには、旧敵国に当つたところの英、米、ソ、仏、中国等の大国一致の精神に基づいてこれを運営する。要するに常任理事国の一致した態度をもつて、この旧敵国の侵略主義的な勢力の台頭を防ぐということが、国連憲章を貫いておる一貫した精神だと思うのであります。従つて拒否権が認められたのもまたここに根拠があると思うのであります。ところがこの旧敵国の一つである日本と、常任理事国である一国のアメリカが、他の常任理事国であるソ同盟、中国を実質上は仮想敵とするような軍事的な同盟、すなわち日米安全保障条約並びに行政協定をとりきめて、日本から飛行機が朝鮮に飛んで、国内にはあらゆる反ソ、反共のデマ宣伝が、アメリカ並びに日本の反動的な人たちによつて飛ばされておるときに、これで日本を国連に加盟させようとし、それについてソ同盟の承認を求めようといつたところで、それは木によつて魚を求めると同じことだと思うのであります。これはいかに口先だけでアメリカが日本の国連加盟を支持しようといつても、実際は不可能であるし、むしろ日 本の国連加盟を妨害しているものといわざるを得ないと思うのであります。ソ同盟や中国に対して軍事的な同盟を 結び、その胸元にピストルを突きつけたような状態にしておきながら、しかも友愛に基いた握手を日本に与えるということを求めても、これは不可能であることは、三歳の童子といえども明らかなことだと思うのであります。  しからばなぜ今日このような提案を日本がするか、という問題について私たち考えたいと思うのでありますが、明らかに日本の国連加盟にあたつてソ同盟が拒否権を行使するということは、これは想像にかたくないのであります。そこでもしソ同盟が拒否権を行使した場合に、アメリカ並びに日本の吉田政府は、それをきつかけにしてさらに日本に反ソ、反共の宣伝を徹底的にしようというねらいが一つあるということは、これは否定できないと思うのであります。その反ソ、反共の宣伝にこの国連加盟の問題を使つて、ますます日本をアメリカ側に引きつけ、中ソに対する軍事的な基礎を固めて行こうということを考えておるものであると私はいわざるを得ないのであります。もしアメリカがそうでないというならば、日本の国連加盟を真に支持するというならば、大国一致の精神を尊重し、少くとも五大国平和条約の締結というようなことを、みずから日本にかわつて世界に唱えるべきだというように私は思うのであります。第二に問題になることは、もしアメリカが真に日本の国連加盟の精神を尊重するというならば、これは国連憲章を貫いている最も大きな精神である民族の自主権の尊重、これをみずから実行すべきだと思うのであります。これは御承知の通りに、アジア・アラブ十一箇国の提案に基く、民族自決を基本的人権として認める決議案というのは、ソ同盟以下賛成三十六、米、英、仏、十一の反対があつたけれども、昨年の国連総会で可決されているのであります。アメリカはこれに反対しているのであります。もし真にアメリカが各国の民族自主権を尊重するというならば、日本の国を植民地にしようとするような政策はもちろんのこと、日本の国に自国の軍隊を置くというようなこと、また先ほど黒田委員からの質問にもありました通りに、琉球、沖繩の信託統治制度というのは、これは明らかにとりやめるべきものだと思うのであります。住民の願望としているところの、日本への一日もすみやかなる復帰を、みずから率先して行うべきだと思うのであります。この沖繩の問題につきましては、講和発効祝賀の日に、日米講和約条の第三条を廃棄して、一日もすみやかに日本へ復帰したいという決議が、沖繩の立法院、奄美大島の住民の決議として行われているのでありまして、アメリカが真に日本の国連への加盟を支持し、国連の精神である民族自決の精神を尊重するというならば、まずこの琉球、沖繩の問題について、みずから率先して主権を日本に完全に復帰させるべきものだというふうに私は考えるのであります。第三に問題になりますことは、国連の名のもとに最近の朝鮮事変が行われておるということであります。朝鮮事変はどう見ましても、実際はやはりアメリカの国策として、朝鮮が共産主義的な勢力によつて支配されることを防ぐための、名は国連の名において行われておりますけれども、実際の朝鮮戦争における実質的な軍事力というのは、一方はアメリカであり、一方は朝鮮並びに中国の義勇軍であるということは、否定し得ない事実だと思うのであります。中国の義勇軍というのは、鴨緑江からずつとソ満国境までアメリカ軍が進撃して来たことに対する正当の防衛として出たと思うのであります。ところが、このアメリカの朝鮮における戦争が、国連の名のもとに行われており、また吉田・アチソン交換文書によれば、将来極東における国連の軍事行動について、施設、役務あらゆる援助を提供するということが規定されておるのであります。そうすると、将来極東における朝鮮あるいは台湾、場合によつては仏領インドシナというようなところに民族独立の闘争が起きて来、あるいは民族独立の内紛が起きて来た場合に、これに対してアメリカが極東におけるソビエト勢力の封じ込め政策の一環として軍事行動を起す場合に、国連の名を用い、そして国連の名を用いることによつて日本に軍事的な協力を求めるということが起ることは当然予想し得るのであります。この問題について外務委員会における各委員の質問を見ましても、超党派的に各委員から質疑された点は、明らかに国連の名のもとに行われるアメリカのアジアにおける軍事行動に日本が巻き込まれる危険があるということであります。いまだに朝鮮事変も解決されておらず、現在の国連が実際は平和のとりでではなくして、むしろアメリカの戦争遂行の名を国連の名においてするための投票の道具になり下つており、このために国連の根本的な精神であるところの五大国一致の精神並びに民族自決の精神が、全然無視されておる現状のもとで、単にアメリカとの話合いだけで日本が国連に加盟するということは、結局第一には、国連協力の名のもとに日本をアメリカのアジアにおける侵略戦争に巻き込ませる危険があるということ、第二には、これをきつかけにして積極的な反ソ、反共の宣伝を吉田内閣がしようとしておること、そしてかりに日本が現状のままで国連へ加盟することがあつても、これは日本が単なる投票の道具に使われる危険があるということ、こういう立場からいいまして、私はむしろこの際日本の国の外交方針としてなすべきことは、国民が打つて一丸となつて要望しておるところの中国、ソビエトとの友好関係をも含めて、英米その他の五大国との協調を基盤とした平和的なとりきめをし、何ら政治的な制限のない取引並びに貿易を振興するという、日本の外務省の方針とは異なつた国民の外交、これを政府が保護、助長し、こういうものの上から将来の日本の外交を考えて行くということこそが、当面の日本の外交方針として考えるべきことだとわれわれは思うのであります。そういう意味におきまして、現在国連加盟の問題を日本の国会が承認を与えることについては、わが党としては絶対に反対するものであります。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 武藤運十郎君。

武藤運十郎日本社会党(第二十三控室)

○武藤(運)委員 私も条件を付しまして、本案に賛成の意を表したいと思います。申すまでもなく、国際連合は国際連合憲章によりまして、必要の場合には陸海空軍の兵力を用いることができることになつておるのであります。そうして国連に加盟した国は、国連の要請がありますれば、これに協力しなければならないということになつておるのであります。しかるに日本は憲法第九条によりまして、軍備を持たず戦争を放棄しております。しかもこの憲法はどこまでも守らなければならない憲法であります。最近再軍備の問題と関連をいたしまして、憲法第九条の改正ということが唱えられておるのであります。私どももちろんこれに反対でありますが、政府もまたこの改正には反対であるという意思を表示されておるのであります。従つてわれわれが国連に加入します以上は、国連の求める義務に服さなければならないことはもちろんでございますが、その限度はおのずから国内基本法としての憲法の範囲内で服したいというふうに考えるのであります。私はその意味におきまして、政府が国連加入の申入れをする場合におきましては、ぜひ現在の日本の平和憲法の範囲内におきまして義務を負うことに条件をつけて申入れをしていただきたいと思うのであります。国連もいろいろ複雑ではありましようけれども、考えまするのに、国連を構成しております主要な国は、同時に先般の連合軍を構成する主要な国々でありまして、平和憲法を制定しました当時から、日本の憲法の内容を知悉いたしておるのであります。従つてこの点は十分に了解されると私は思うのであります。ただ漫然と申入れをし、加盟がかりに許されまして、兵力による協力をしなければならないというような結果が出て参りますと、条約によつて国内法、ことに憲法を変更するというような問題も起つて来るのであります。私どもは外国と結ばれた条約というようなものの既成事実の前に、日本の憲法を改正して再軍備もやむを得ないという結果になりますことは、賛成することができないのであります。その意味におきまして、本件には私は賛成はいたしますが、しかし陸海空軍による協力の義務を免除してもらつて加盟をする、そういう条件を付して賛成をいたしたいと思うのであります。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 黒田寿男君。

黒田寿男労働者農民党

○黒田委員 私は国際連合に加盟する件に賛成をいたします。但し現内閣の考えておりますような考え方や、現内閣のとつておりますような態度を承認するという意味ではまつたくないのであります。私どもの考えは全然別個であり、態度も全然別であります。私は簡単にそれを述べてみたいと思います。国際連合に加盟するという方針それ自身は、もとより私どもは正しいことであると考えます。ただ現状におきましては、国際連合は国際連合本来の平和的機能を失つておりまして、片寄つた活動をしておるということも、これは公平に見る者のひとしく見のがしていないところであろうと考えます。わが国が国連に加盟するにつきましては、こういう現状をそのまま肯定いたしまして、このような傾向の中に日本が飛び込んで、その傾向を多少とも助長するというような結果になるということであつてはならないと思いますし、なおさような態度を日本がとる限りは、加盟しようと思いましても、そこのとの実現が不可能であると考えます。岡崎外務大臣は日本が国連に加入を申し入れた以上、加入できるのが当然のことであつて、万一拒否権を行使するようなものがあるとするならば、そのやり方の方が間違つておる、こうはつきりと簡単に言明せられたのでありますけれども、私は外務大臣の態度としましてはあまりにも単純過ぎると思う。これは間違つた考え方である、単に間違つておる考えというだけでなくて、不遜な考えであると思います。それは私どもに対して不遜な態度をとるというのではありません。世界各国に対しこのような態度が私は不遜であると考えます。世界をばかにしてはいけません。私どもから率直に言わせますれば、そういう岡崎外務大臣の軽卒な態度は、まじめに国際連合のことを考えております人々の顰蹙を買うと思う。そう言えばソ連あるいは中共のことを言うておるとお考えになるかもわかりませんが、そうではない、他の国国で国際連合を本来の国際連合として、大国協調の場として、これを生かして活動させたいと考えておる国は少からず存在しておるのであります。私はそういう国々のまじめな政治家が、岡崎外務大臣のような考え方を日本の外務大臣が持つておるということを知るときに、日本は何という不遜な大臣を持つのであろうか、こう考えるだろうとひそかにそれを憂えるのであります。国民は岡崎外務大臣のあまりにも割切つた態度には、はなはだ不満であります。政府は日本は独立したといつておりますが、私どもは独立したとは思いません。むしろアメリカに対し新たなる従属関係に入らされたと思うのであります。けれども、とにかく政府は独立したというのでありますから、そう考えておいでになりますならば、その独立したというその地位を積極的に利用いたしまして、日本の利益のために、ソ連との懸案解決ののために、積極的な努力をなさるべきだと私は考えます。これが現在の日本の利益に合することであり、後日に至つて現在の歴史を顧みて、この時期における外務大臣が、長い目で見て日本の利益に合致する政策をとつたものと評価される、私はこのように考えるのであります。しかし現内閣はこのような行き方をしようという態度を持つていないのであります。そうすれば私は見通しといたしまして、現内閣のもとではとても国際連合に加盟することはできません。私どもははつきりこういう見通しをつけることができる。私は日本の利益のためにこのような内閣にはむしろ退陣をしていただきたいと思います。国連に対する日本の態度は、私はインドのネールのような態度であるべきだと考えます。国連を、先ほども申しましたように、大国の協調の場として利用する、こういう努力をネールはしております。現在、世界がこのような対立をしておりまして、日本には簡単にどつちかにつけというようなことをいつておる人が多いのでありますけれども、真に世界の平和を欲し、世界の真の繁栄を欲する人々の中には、たとえばインドのネールのごとく、国際連合を大国協調の場としようという努力を、この対立の中にあつてさえも、なおかつ決して絶望しないで、続けておるものもあるのであります。私はこの努力は正しいと思います。これは私は平和機構としての、国連の存在の意義を正確に把握した態度であろうと考えます。国際連合の本来の精神を精神として生きる態度であろうと私には考えられるのであります。日本もこの態度でなければならない、こう私は考えます。私は決してネールに学べというようなことを言うのではありません。そんな自信のないことを言うのではありません。ネールに学べというのではなくて、ネールのような態度をとることは、国連に加盟するものの本来の態度でなければならぬ、そういう意味におきまして私はネールの態度をただいま例に引いてみたのであります。いくら政府がどう考えましても、現在のような立場、すなわちインドのネールがとつておりますような立場に立たない限り、とうてい国際連合への加入はできません。これは私は強く言つておきます。またこういう精神、そういう国際連合の本来の協調精神を生かすために加入するのでなければ、日本が加入する意義もないのであります。またそういう態度をとるのでなければ、先ほども申しましたように加入することそれ自体ができないのであります。この失われた国際連合の精神を回復するために日本も加入するのだというくらいの意気込みで加入を申し込むのでなければならない。そうでないと非常な誤りを犯すことになり、また加入の目的も達せられない、こう私は思うのであります。しかしこの際加入の申込みをすることに対しましては、最初申しましたように、私は反対するものではありません。しかし、現内閣の態度ではおそらく拒否せられるに違いないと思います。拒否せられますならば、国民は、なぜ拒否せられたかということを考えましよう。林君はそのときは政府が反ソ宣伝にこのことを利用するだろうと言われました。私はそれも事実だろうと思います。けれども私はいま一つの面があると思う。国民の中にも真剣に考える者があるのであります。なぜ拒否せられたかということについて、岡崎外務大臣のようにそれはソ連が悪いのだというように簡単に考えないで、現内閣の態度が間違つておるということが少くとも加盟できない大きな原因の一つである、こういう反省が国民の中から出て来ると私は思う。決して私は政府の反ソ宣伝のために利用せられるだけではないと思います。だから私どもは、いかに現内閣の方針が間違つておるかということの一つの実物教育を国民にするということになると思います。やがて民主的な政府ができて、現内閣のなし得なかつたことをやり遂げる、そのとき初めて加盟できる、こういうように私はなると考えるのであります。  私はこの際一言外務省の官僚諸君の態度に注意しておきたいと思います。私どもから見ると、どうも外務省の官僚諸君はあまりに一辺倒である、これを私は率直に申します。外務官僚が地方に出て講演をしたのを聞くと、私どもから見ると共産党のやつておることの裏返しをやつておる、外務省の官僚諸君はもつとおちついた立場に立つてものを考えなければならぬ。大衆の多くの者の目から見ると、共産党も一方的過ぎると見られるような議論を盛んにやつておる、それをただ裏返しただけのようなことを外務官僚はやつておる。私どもから外務省官僚諸君の書いたパンフレツトを見たり、それから地方に出てやる講演を聞くと、私どもにはそう思えるのであります。国民の中には、こういう見方を持つて外務官僚の現在のやり方をながめておる者が少からずあるということだけを申し上げておきます。私はこれは実に遺憾なことであると思う。軽卒な態度である。真に日本の将来を深く考えたような大きな外交官の卵の態度ではない、私にはそう思われる、これは私は真剣な気持で申し上げます。このことを考慮に入れてもらいたい。私は、最近外務省の発行したパンフレツトについてあるいは御質問申し上げるかもしれません。  私はこれだけ申し上げておきます。なお国連への加盟条件と日本憲法の規定との間に問題がありはしないかと思う点があるのであります。このことについては私は先般条約局長に対しまして御質問申し上げてみたのでありますが、しかしこの問題は懸案としておきます。とにかくここでは加盟の申込みに賛成をいたします。ただ繰返して申しますが、現在のところでは、現内閣の態度では見込みはありません。私どもがやつてみせる、そう申し上げておきます。私の討論はこれで終ります。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 これにて討論は終局いたしました。それでは国際連合への加盟について承認を求めるの件について採決いたします。本件を承認すべきものと議決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

仲内憲治自由党

○仲内委員長 起立多数。よつて本件は承認すべきものと決しました。  なお本件につきましての報告書の作成は、委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

仲内憲治自由党

○仲内委員長 御異議がなければさようとりはからいます。次会は公報をもつてお知らせいたします。本日はこれにて散会いたします。     午後一時三十分散会

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