外務委員会 第19号
- 発言数
- 123 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1952/04/16
会議録
○仲内委員長 ただいまより外務委員会を開会いたします。 まず請願の審査をいたします。 請願日程第一、安全保障條約締結に伴う駐留地域の決定に関する請願、宮原幸三郎君外七名紹介、第六一五号より日程第九、行政協定に伴う旧軍港施設の利用に関する請願、宮原幸三郎君外三名紹介、第一三九五号までを一括議題といたします。紹介議員の説明を求めます。紹介議員宮原幸三郎君。
○並木委員 議事進行。一言言つておかなければならぬ。きようの請願は非常に重要な請願で、この前たつて與党委員の方からの申出があつたために、われわれもその要求をいれて特別に上程したのです。しかるに委員長、きようの様子を見てください。與党委員は一人きりです。こういうことでは実際われわれが熱意を持つて国民の声を反映しようと思つても反映できないですから、以後とくと注意をせられたい。これはわれわれは健全なる野党として一言冒頭に注意をしておく必要があると思うから発言したわけであります。
○宮原委員 紹介議員として請願の趣旨を弁明いたしまして、御採択相ならんことをお願いいたしたいと思うのであります。行政協定に伴います予備作業が急速度に進行中でありまして、その対象となつております全国各地のうちでも、特に旧軍港でありましたところの横須賀、呉、佐世保、舞鶴の四市がまことに重要なる立場に置かれておりまして、今や四市の運命を決すると申しても過言でない重大段階に入つておるのであります。本委員会において、特にこの会期の中間において、この請願をお取上げいただきましたということは感謝にたえないのでありますが、その趣旨はまことに本請願を深い御認識のもとにお取上げいただいたのでありまして、この請願に対しましては御採択いただけることを期待いたしますが、同時に当局におかれても、この請願の取扱いは、他の請願ももとより重要でありましようが、特に御留意相ならんことを切望いたしまして、冒頭に所見を申し上げておくわけであります。 この予備作業に従事せられる政府当局及び政府の首脳部のお方々が、十分旧軍港市の実情を把握していらつしやるかどうかということについては、もちろんこれをあまり疑つてかかつておるわけではありませんけれども、しかしその認識の程度においては、われわれはさらに政府に対して相当強い特別の御留意を要望せざるを得ないのであります。この旧軍港市が従来日本の旧海軍で立市の基盤を築いて相当繁栄いたしておりましたので、そのためにとかく世間に誤解が行われがちでありまして、旧軍港市は敗戰によつて壞滅したが、このたびの行政協定によつて何か米軍または連合軍の基地化せられるかのごとき状態に置かれておるが、それによつて旧軍港市は、将来ともに立市の基礎がむしろ旧軍港市に適合して強化されるかのごとく、一口に申しましたなれば、旧軍港市は元来が海軍の基地であつたのであるから、軍事基地として一本化すればそれで足りる。こういうような観測が政府筋に行われておるのじやないかという疑念をわれわれは今日なお抱かざるを得ないわけであります。ところが、この軍事基地一本化という線から旧軍港を取扱うということほど重大な錯誤はないのであります。この旧日本海軍の時代において旧軍港市が、あるいは人口においても、その他経済状態においても、相当繁栄したかに見えておりましたが、その繁栄したのは、軍事基地であつたがゆえに繁栄したという部面よりも、むしろ海軍工廠という存在、軍需産業数万、またははなはだしきに至つては十万以上にわたる従業員を擁するところの大工場があつたがゆえに繁栄をいたして来たのであります。それで将来とも米軍の基地となる横須賀——基地ということは言い過ぎかもしれませんけれども、アメリカから言えば一種の、ベースという言葉を使つておるようでありますが、この横須賀にしても、また近ごろ非常に大事がられて来ておるところの佐世保にいたしましても、米軍の艦船の出入等はなるほど漸次活発、瀕繁になるでありましよう、そのために多少の繁栄に資するところもあるかもしれません。しかしながら米軍は、軍需産業は米本国でその産業をいたされて、日本の、彼らのいわゆる基地として利用せられんとするところの旧軍港四市は、ただ艦船の出入をするだけにとどまるという状態でありますので、旧日本海軍時代のごとき繁栄を期することはもちろんできませんだけでなく、産業を根底から失つておりますところの四市というものが、将来永久にただ軍事基地一本化では繁栄することなどは夢想だもできない次第であります。ことに旧海軍時代においても、大幅の軍縮が二度もありましたときの旧軍港市の衰微——一時的ではありましたが、衰微した状態を追想いたしますときに、将来米軍が徹退いたしました時期等のことを考えますと、ここに軍事基地一本化というような簡單な考え方で旧軍港市四市を取扱われるということは、まつたく錯誤もはなはだしいわけであります。そこで一昨年、旧軍港市転換法の立法がなされ、これによりまして、平和産業港湾都市としてスタートを切りましてまず二箇年に相なります。ただいまやや軌道に乗りつつあるわけであります。このときにあたりまして、予備作業の対象となつて軍事基地一本化ということで、せつかく若芽を出しかけておりますところの旧軍港市の平和産業港湾都市としての建設が、はばまれるがごとき事態が起りますと、まことに旧軍港市だけの不幸でなく、国家的、社会的、また見方によれば国際的の重大悲劇が起ることを予想せざるを得ないのであります。 この四件出ておりますところの請願で、第六一五号、第一二一七号、第一三四七号、第一三九五号、この請願は、私なり同僚一同の紹介いたしましたものであります。われわれこの旧軍港市関係の議員六十四名で旧軍港市転換促進議員連盟というものを結成いたしております。そして本請願のごとき問題は超党派的にこれを取扱いまして、本日ここに御列席になつております永井、前田両代議士も、われわれとひとしく議員連盟を結成して、力強く旧軍港市の問題を取扱つておるわけであります。この請願はその意味において、われわれの議員連盟の総意によりましてここに紹介をいたした次第であります。 そこでこの日程にありまする順序によりまして、なるべく簡單に請願の趣旨を御紹介したいと思うのであります。この第一に出ております佐世保市のこの請願につきましては、すでにこの二月二十日の当委員会において、質疑応答の形で私が発言いたして、相当その請願の趣旨をその発言の中に盛つてありますので、これを繰返す煩を省きますが、特に重点として繰返さざるを得ない問題が一つあるのであります。それはこの請願の第一項に盛られておりますが、立神地区岩壁倉庫臨港線の全部が朝鮮動乱前と同様、国際貿易埠頭としての機能を生かすごとく開放せらるること、こういう問題であります。これは佐世保市としては、貿易港として立市の重大方針になつておるのでありまして、この地点の開放はぜひともこの機会に達成いたしたい、こういう請願であります。この地区はただいま朝鮮動乱によつて再接收になつておりますが、朝鮮動乱まではそこに西日本倉庫という会社が接收解除により使用を許可せられ、そうして利用いたしていたのであります。朝鮮動乱になつて再接收ということに相なりましたが、これには数千万の地元投資がすでになされておりますし、現に米陸軍が主として利用しておるようでありますが、陸軍の利用状況は、まことに利用しておるというよりは、むしろ放置してあるという状態に近いのでありまして、中央から何か監査にでも来られる場合に、にわかに貨物を並べて、いかにも利用したかのごとくカムフラージユされたというような場合もあつたそうであります。そんなふうで、まことにほとんど利用いたしていないという実情であるのであります。そういう点もありますので、特にこの点に重点を置いてお願いをしたいのであります。 それから佐世保地域について、もう一点申出ておりますることは、あの旧海軍の造船部がありました第四ドツクの問題があるのであります。これはSSKという会社がありまして、この会社がアメリカからタンカーの注文をとろうといたして、その見積りを出すについて問題になつたのでありまして一会社の問題としてではなく、佐世保市として重要な問題として取上げておるわけであります。この第四ドツクは米軍の接收中ではありますけれども、これの使用の許可について力強い要望がなされております。この点もあわせてお取扱い願いたいというのが、請願の趣旨のうちに盛られているわけであります。 なお次に横須賀の問題に移りますが、横須賀は主として追浜地区の問題があるわけであります。追浜地区の問題のほかにも請願にはいろいろ盛られているようでありますが、主として追浜地区の問題を簡單に御紹介申し上げたいと思います。追浜地区は御承知のように二十二の会社、工場が進出、誘致せられております。それが今予備作業の対象になつておるのでありますが、昨年の九月以降、これを行政協定に持ち込まないで、終戰処理として、どさくさに再接收をしようという米軍の野望がありまして——地元海軍司令部においては反対され、米陸軍の方においてこれを再接收しようという野望があつた。野望というと非常に語弊があるようでありますが、決して語弊とも言えないのであります。そこで今日の行政協定から予備作業の方へ持ち込まれておりますが、引続きこの追浜の将来米軍の使用ということに対しましては、地元において力強い反対をいたしておるわけであります。その反対の理由を一々申し述べる時間がありませんが、要するにデツカー将軍時代以来、この旧軍港市を平和産業港市への転換の意図を持つて、二十二の会社、工場をあらゆる方法をもつて誘致をいたした、その道義上の問題もあるわけであります。それを無視して行くというわけにも参りません。もちろん経済上の問題としては、横須賀市だけの問題でなく、これはある意味において、米軍の一つの專横ということに対しまするわれわれの一種の正当防衛的な見地から考えましても、また同時に経済上から見てもまことに重要な問題になつておるわけでありまして、この追浜地区の再接收ということについては、現在なお力強く反対をいたしております。それでこの追浜の問題もあるのでありますが、そのほかにも、この横須賀地区には接收地域を現在以上に拡大しないことという意味におきまして、特に重要産業に転用されている次の地域は基地供與地域から除外されたいというので、追浜地区が第一に上つております。第二に長浦港地区。それから別の項で、返還を要望する接收物件及び施設、これは図面でもつて示されておるわけであります。これは港湾さん橋の運営上、また産業経済の開発上ぜひ返還の上、市が使用したいというのであります。 第三項として、基地に供與すべき施設については、政府は事前に十分市長の意見を徴せられたいということになつておりますわけは、他にもなお米軍との関係でまだ請願に盛ることができないで、平和産業港湾都市としての立市の必要上意見を申し述べたい重大問題があるから、特にこの点をつけ加えておるわけであります。その重要問題ということについては、私どもの関知しておりますところでは、あの観音崎の観光開発の問題などはその一つであります。 次に呉市の問題に移りますが、呉市は英濠軍の基地になつておるのであります。それで日米行政協定による予備作業の対象としては、必ずしも呉市を全面的に取扱うことは可能でない面があるわけであります。多少状況が複雑いたしております。それで将来予想されているところの国連協定に伴う合同不備作業等で主として取扱われる面が多いとは思うのでありますが、それだけ複雑性を持つているだけに、現在この取扱いについては多少あとまわしになつておる点があるようでありますか、いずれにせよ、現在の英濠軍の接收ぶりを実地調査をいたしますと、まことに放漫な接收ぶりであります。占領軍からおしかりを受けるかもしれませんが、何のカーテンか、一種のカーテンが張られていて、内部の事情がよくわかりませんが、しかし大よそ推測いたしますに、ほとんど不要ではないかと思うくらい利用していないのにもかかわらず、開放がまことに遅々として進まない。当初二百万坪の接收をいたしまして、そのうち百万坪は開放したのでありますが、残り百万坪は依然として接收を続けて行かれております。それで英濠軍の撤退ということが呉市にとつては最も重大な問題になつているわけであります。朝鮮動乱の終止の時期には撤退することは当然過ぎるくらい当然ではありますけれども、次いで締結せらるべき国連行政協定、内容は対英濠軍行政協定になるわけでありますが、その協定に盛られる條項が、日米行政協定と同様に、その撤退の時期を別に期限をつけずに、無期限に駐留できるがごとき行政協定の内容になつたとしたならば、呉市としてはまことに迷惑千万なわけであります。その行政協定に、政府筋におかれては、よほど強腰をもつてこの点を明らかに條項に書き上げられなければならぬのではないか、こういうふうに考えるのであります。その趣旨を基本にいたしまして、呉市の請願はなされているのであります。詳細は請願書にこれを讓ります。ただ残りの百万坪を早く返還をしてほしい。この未返還地区と返還地区とにわけまして、詳細に将来の平和産業港市に転換するための計画がこの請願書に盛られておるわけであります。その趣旨におきまして呉市の問題を御処理願いたい、こういう請願になつております。舞鶴につきましては、もとより他の三市と同様の趣旨において四つの要望條項があげてありまして、一は接收物件中この際返還を希望する物件、二は接收除外を希望する物件、三は軍事仮還を希望する物件、四は接收中のものについて将来返還を希望する物件等が詳細に盛られておるわけであります。その他のことは請願書にこれを讓ります。 終りに簡單に要望を申し述べたいのでありますが、予備作業に当られる政府の人たちは、予備作業にあたつては必ず現地を視察をしてほしいのであります。こういう希望が口頭で私のところへ参つております。現地を視察することを怠つて予備作業を進めるがごときことは、もつてのほかであります。それから次に地元市長の意見をぜひ聞いてもらいたい。官僚独善的にこれを決定せずに、民主的に御処理が願いたい、こういう点であります。なお願わくは、国会の外務委員会におかせられても、現地をぜひ御調査願いたい、こういう希望であります。仄聞しまするに、参議院の外務委員会では三市の視察が済んで、十九日には横須賀の調査をなさるそうであります。何でも衆議院は鉄則があつて、開会中は御調査に相ならないということを聞くのでありますが、これにも絶対例外措置がとれないわけでもないのでありましようから、特にお願い申し上げたい次第であります。 たいへん長くなりましたが、この趣旨におきまして請願を御紹介いたします。どうか御採択になられますることを特にお願い申し上げます。
○仲内委員長 これにつきまして政府側に御意見はありませんか。
○石原(幹)政府委員 ただいまの請願につきましては、大体同様のものが前国会からもいろいろございましたし、陳情書もたびたびあり、またただいまお話のありましたように、参議院の外務委員が現地の調査をやつて、いろいろその意見も承つております。御趣旨につきましては十分留意いたしまして、なるべく御期待に沿うように今後も努力をいたしたいと思います。ただいま御案内のごとく、予備作業班で検討中でございまして、いろいろ具体的の御希望等も出ておるのでありますが、具体的の問題につきまして、これがどうなる、ああなるということは、ただいまのところでは申し上げることができないのであります。しかし御趣旨は十分くみとりまして、できるだけ御期待に沿うようにいたしたいと思います。ただ四市のうちにおきましても、駐留軍の施設としての重要度といいますか、そういうものは必ずしも四市が同列ではないという点、並びにその各都市の立市の條件等を十分勘案いたしまして、極力善処し、御期待に沿うようにいたしたいと思つております。
○林(百)委員 請願の趣旨は條件こそ異なれ、みな同じであります。たとえば地方などでは演習地の取上げというような問題もありまして、本来ならば予備作業班が出るべきものが予備作業班も出なくて、また市当局あるいは自治体当局にも相談なくして、場合によると直接当事者へ話に行つて土地の取上げが行われるという実情もあるわけで、この接收の問題、接收解除の問題については、地方自治体、それから各市民、農民が非常に大きな関心を持つている問題だと思うのであります。当外務委員会もこの問題について非常に重要な責任を持つておると思いますので、先ほどの請願説明の議員からの希望もありました通りに、呉、佐世保まで行くのはたいへんですが、横浜、横須賀あたりなら一日あれば十分だと思いますから、当外務委員会が調査に行つて、横須賀あるいは横浜の市当局から実情を聞くという機会を、ぜひ委員長においておとりはからいを願いたいということを希望として私から申し上げる次第であります。
○仲内委員長 今の林委員の御希望の点は、理事会に諮りまして後日善処いたします。 ほかに御質問がなければ、ただいまの日程第一より第九までの各請願はこれにて質疑を終了することといたします。 —————————————
○仲内委員長 次に千九百二十七年九月二十六日にジユネーヴで署名された外国仲裁判断の執行に関する條約の締結について承認を求めるの件及び国際計数センターの設立に関する條約の締結について承認を求めるの件の両件を一括して議題といたします。両件につきましては質疑を終了しておりますので、ただちに討論に入ります。討論の通告がありますので、これを許します。佐々木盛雄君。
○佐々木(盛)委員 私は自由党を代表いたしまして、ただいま議題となりました仲裁判断の執行に関する條約並びに国際計数センターの設立に関する條約の締結について承認を求めるの件につきまして、賛成の趣旨を申し述べたいと考えます。 まず第一に、仲裁判断の執行に関する條約に関しましては、われわれはさきにサンフランシスコにおいて締結を見ました平和條約におきまして宣言をいたしておるところでありまして、われわれは当然本條約に加入することを義務づけられておるわけでございます。さらにまた仲裁は当事者間に敵対感情をもたらすことなく、紛争に対し簡易かつ迅速に時宜に適した解決を與えることを特色としておりますし、わが国といたしましても、戰後仲裁制度が著しい発達を遂げておりますので、仲裁判断の執行について国際協力が望ましいことは当然でございます。従つてわれわれは本條約に加入することは最も適当であろうと考える次第であります。 さらにまた、国際計数センターの設立に関する條約に関しましては、わが国は電子計数装置が従来なかつたために解くことができず、また解き得ても多くの労力と日数を要する複雑な計数の問題が、各種の科学、技術の分野において山積をいたしておるのであります。本国際計数センター設立條約の当事国となりまして、わが国に計数研究所の設立ができますれば、非常な利益を得ることになるのであります。しかもわが国の分担金は附属書によりますとわすかに五千米ドル程度でありますから、本條約に加盟することは、わが学界技術界に非常な利益をもたらすものと信じまして、これに対しても賛成をいたす次第であります。
○仲内委員長 並木芳雄君。
○並木委員 わが改進党としても両件に対して賛成の意思を表明いたします。
○仲内委員長 戸叶里子君。
○戸叶委員 社会党も両件に対して賛意を表します。
○仲内委員長 林百郎君。
○林(百)委員 共産党は両件について反対いたします。 ということは仲裁判断の問題ですが、これは日本の国の現在の実情として、たとえば日本とイギリスあるいはそのほかの国とかりに仲裁判断がなされたとしても、完全にまだ独立をしておらないし、また国力の回復しておらない日本が、こうした大きな国と仲裁契約を結ぶということは、事実上日本が国力の差から来るいろいろの拘束を受ける。これは否定できない事実だと思います。たとえばわれわれが常識的に裁判で調停というような問題を持ち出してみましても、やはり調停の場合には力の強い者に有利な調停がなされる。たとえば家主と借家人の場合の調停につきましても、これは卑近な例でありますが、ともかくどうしてもうちを出なければならない。ただ期限を幾らか延ばすか延ばさないかという問題くらいで事実上決定されるのであつて、話合いとか仲裁とはいいながら、やはりその背後に力関係が非常に大きく響いて来る。むしろこれは法律的に拘束されるということになりますと、非常に重大な問題だと思うのであります。今の日本の国の実情、今の国際的な関係からいつて、この仲裁判断の契約を結んで、仲裁判断の拘束を受けるということをすべきでないというようにわれわれは考えるのであります。 第二の問題としては、これは黒田委員からも熱心な質問がありましたが、とにかく日本が外国貿易でクレーム、キヤンセルで一番問題になつているのはアメリカでありますけれども、このアメリカが仲裁判断の條約に批准しておらないことは、これは日本だけが国際的な制約を受ける、しかしアメリカの方は自由であるこということになると、これは事実上何ら意味のないことになつてしまう。この点もわれわれは非常に実際問題を解決する上からいつて、アメリカが入つておらないならば、日本の貿易には何らの影響もない、しかも国際的な義務を負うということになりますから、私はこれについては賛成できない。 第三の問題としては、事実上は何ら日本の国に実質的な利益を與えないにもかかわらず、條約を批准したというようなことから、国民に国際的な地位が向上したというような幻想だけを與えて、実質的には不利な国際的な拘束を受けるということになると、これは自由党の諸君が考えておる單独講和が、実際の日本の国際的な地位が回復したというような幻想だけを與える講和にすぎない。この幻想を與える一つの手段として、このような條約に加盟させて行くということになると、要するに單独講和の地ならしの手段だともわれわれ考えられるのであります。 こういう点から申しましてわれわれは外国仲裁判断の執行に関する條約に加盟することについては、現在の情勢においては賛成いたしかねるのであります。 計数センターの問題につきましても趣旨は同一でありまして(「共産党は何でも反対だ」と呼ぶ者あり)これも同じくアメリカも入つておりません。そうしてこういうものを通ずることによつて、日本の單独講和の地ならしを一つずつつくつて行くということになります。何でも反対だと言いますが、アメリカが入つていないじやないか。アメリカはなぜ入らない。諸君の主人のアメリカが入らないものに、なぜ日本だけが入る必要がある。これを言つても共産党がただ反対するという、国際情勢の現在からいつて、ただ條約にさえ入ればいいというわけのものじやない。大きな国は責任をのがれて何も拘束を受けるものでない。しかも日本がこういうものに入つて、イギリスその他と対等の判断を受けるものと思つたらどうかしている。そういう立場からわれわれは両方に反対であります。責任だけ負つて義務だけを負つて、何らの権利も取得しないことになるのでありますから、われわれは反対であります。
○仲内委員長 これにて討論は終局いたしました。 それでは千九百二十七年九月二十六日にジユネーヴで署名された外国仲裁判断の執行に関する條約の締結について承認を求めるの件及び国際計数センターの設立に関する條約の締結について承認を求めるの件を一括して採決いたします。両件を承認すべきものと議決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○仲内委員長 起立多数。よつて両件は承認すべきものと決定いたしました。 なおただいま採決いたしました両件についての報告書の作成は、委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○仲内委員長 御異議なければさよう決定いたします。 —————————————
○仲内委員長 次に日本国との平和條約第十五條(a)に基いて生ずる紛争の解決に関する協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。政府側より……。
○並木委員 議事進行について。この協定の案ですけれども、これは協定の案となつている。今までの協定というものは政府が調印をして来て、そうしてわれわれの方へ承認を経る手続をとつておりました。ところが私ちよつと見ただけでありますけれども、今までの前例を破つておつて、これは協定の案そのものはできておりません。ということは、印刷にはなつているけれども、われわれが平和條約その他のときに鋭く政府に追つたことは、よもやお忘れにならないと思う。内容のきまつておらないものを国会に出しませんということが、政府のいつでも繰返し繰返し答弁に当つておつた最大の理由でございました。しかるにここにこの紛争の解決に関する協定案、これで出すということは、まことにわれわれを愚弄するものであつて、私は先日来憤慨にたえなかつたのであります。それはここに突如として出したことに対して、従来の見解を一擲したのであるかどうか非常に重要な問題であります。この点いかがですか。
○西村(熊)政府委員 御指摘の点はさように重大な問題ではないと思います。この協定は御一読を願えばわかりますように、署名によつて効力を発生する協定でございます。従来は批准條項を含んだ條約の場合でございましたので、署名後批准前に国会の承認の手続をとつて参つた次第であります。批准條項を含まない国際條約の際においては、憲法で要請されております事前に国会の承認を経ることを要するという要件を満たそうといたしますならば、署名前に国会の御承認の手続を経るのが当然の政府の立場であろうかと、こう考えられます。国際協定なるものは批准條項があります場合には、批准書の交換または批准の寄託によつて確定的に成立いたします。署名で実施される協定の場合には、署名によつて確定的に成立いたすわけでございます。でございますから條約締結の当事者である政府といたしましては、関係国との交渉の結果、署名によつて実施される協定の場合には、案文が確定したときに、その確定を待つて署名前に承認の手続をとるべきものであろう。こう思います。これは従来国会におきまして、條約についての国会承認の時期についてたびたび御質問を受け、並木委員からも数回御質問を受けまして、そのたびごとに同じ趣旨のことを申し上げておいた次第でございます。従来の政府の考えによりまして、この協定につきましても措置をとつた次第であります。
○並木委員 それですから私は、平和條約、日米安全保障條約のときにも、これはむしろ批准條項がない方が、われわれ国会の立場を尊重する意味からいえばいいのじやないかというような、とつぴなように思える質問さえしておつたわけです。それはもし署名で最終的に効力を発生するものならば、どうしても政府というものは署名前に内容を確定する必要が起つて来るからであります。従つてその場合には、平和條約にしても、日米安全保障條約にしても、仮調印という方法をとつて、正式の調印前にわれわれの承認を経る手続に及んだであろうと思うのです。ですから私はそういう発言をしておいたのでありますが、ただいま西村條約局長の答弁によりますと、この協定には批准條項は含まれていないから、事前承認として署名前に国会の承認を求めたのであるという、ちようど私どもが考えたことと一致する答弁を得たのです。それではこの協定は仮調印か何かしてあるのですか。
○西村(熊)政府委員 この協定案につきましては、仮調印はしてございません。主として日本政府と合衆国政府との間に、過去一年半にわたつて、東京において、または書面によつて交渉をいたしました結果、最近に至りまして、この案文をもつて最終的なものとすることに合意があつた次第であります。イニシアルはしてございません。
○並木委員 仮調印してなければ、調印前に内容について変更が生ずる可能性があるわけではありませんか。これは本件だけではありません、一般論としてそういうことが言えるのではありませんか。
○西村(熊)政府委員 これ以上内容及び文字について修正を加えないという合意が関係政府間に成立いたしましたときに、協定案文は最終的にきまるわけであります。最終的にきまつたということを公式にお互いに確認いたしたときに、その事後において各締約国はおのおの憲法上所定の手続をとつて、その手続をとつたあと署名する、こういう段階に入るわけであります。もはやこの案文はかわることはございません。
○並木委員 しからば政府にこれからのことについて私は聞いておきたい。これは批准條項があろうとなかろうと、関係国の間に合意ができたときには、それが国会の承認を求められるのだという答弁でありますから、これから出て来る條約というものは、一切合財そういう方法をとつてもらいたい。批准條項があろうとなかろうと、それは関係がないわけです。関係国の間に合意ができて、それは仮調印でなくても何でも合意ができるという答弁があつたのですから、そういう合意を得た上で調印に行く前に、必ず国会の承認を経るというはつきりした言葉を、この際表示してもらいたいと思います。
○西村(熊)政府委員 御要求のようなお約束は私はいたしません。私が申し上げますのは、條約には二つの形式がある。重要な條約については大体批准條項が入ります。この批准條項が入りますということは、慣例上いろいろ意味は違つて来ておりますが、現在における意義は、主として行政府によつて締結する條約に対して、立法府に審議の機会を與える目的をもつて批准條項が入るわけでございます。従いまして批准條項が入る條約につきましては、署名後に批准前に原則といたしまして国会の承認手続をとるということになると思います。従前もその通りして参りました。また他の種類でありまする署名と同時に実施になる協定につきましては、憲法の要請に従いまして、原則として署名前に、時宜によりましては署名後に国会の承認手続をとります。こう申し上げるほかないと存じます。
○仲内委員長 それでは政府側より提案理由の説明を求めます。石原外務政務次官。
○石原(幹)政府委員 ただいま議題となりました日本国との平和條約第十五條(a)に基いて生ずる紛争の解決に関する協定案につきまして提案理由を御説明いたします。 わが国が昨年九月八日にサンフランシスコで署名いたしました平和條約の第十五條(a)は、連合国財産の返還及び補償について規定しております。政府は、連合国財産の補償の実施のため、さきに連合国財産補償法案を第十二臨時国会に提出いたし、この法案は同国会で可決され、法律として公布されました、しかしこの場合、政府で平和條約第十五條(a)及び連合国財産補償法の規定に従つて連合国財産の返還または補償に関し措置をとりましても、当該連合国がそのような措置に満足しないため紛争が生ずることのあることが予想されるのであります。そこで平和條約第二十二條は、同條約の解釈または実施に関する紛争の解決について、特別請求権裁判所への付託または他の合意された方法によることを予想しておるのであります。この協定案は、この第二十二條に従つて平和條約第十五條(a)の解釈及び実施に関する紛争を、日本国政府が任命する委員一人、当該連合国政府が任命する委員一人及び両政府の合意によつて任命される第三の委員の三人の委員からなる委員会に付託して、解決するための手続を設定することを目的としております。この協定は、平和條約に署名した連合国のうち希望するものと締結することになつております。よつてここにこの協定案による協定の締結について御承認を求める次第であります。 愼重御審議の上本件につきすみやかに御承認あらんことを希望いたす次第であります。
○仲内委員長 それではただいまの、日本国との平和條約第十五條(a)に基いて生ずる紛争の解決に関する協定の締結について承認を求めるの件及び国際連合への加盟について承認を求めるの件を一括して議題といたします。両件に関する質疑を許します。並木芳雄君。
○並木委員 国際連合加盟についての質問を継続いたします。第五十五條の関連でございますけれども、国連憲章第五十五條には経済的及び社会的国際協力という項目に触れております。それを採用して先般モスクワの国際経済会議が国連に対し勧告しておることは政府も御承知と思います。この勧告と第五十五條の関連について政府はどのように考えておられるか、それをまずお伺いしたいと思います。
○西村(熊)政府委員 御質問の点につきましては、不幸まだモスクワ国際経済会議の国際連合に対する勧告なるものの正確なテキストも持つておりませんし、どういう内容のものであり、また国際経済会議から国際連合のだれにあてたものであるかもわからない今日でございますので、御質問に対してお答えする資料を持つておりませんことを御了承願いたいと思います。
○並木委員 最近ソ連方面の出方を観測しておりますと、あるいは平和條約の効力が発生した後において、日本に対し個別的講和條約の締結の申出があるのじやないかという感じも受けるのでありますけれども、政府としてはどういうふうにこの点見ておりますか。
○岡崎国務大臣 そういう新聞報道も間々聞いておりますが、どうなりますか、政府としてはまだどうなるということは言えない。言うだけの材料もないのであります。ただサンフランシスコの平和條約と同様のもので平和條約を結びたいという話であるならば、これは当然応ずべきことであると考えております。はたしてどうなりますか、今のところまだ予断を許さないと考えております。
○並木委員 日本の国連加盟ができるかどうかということは、一にかかつてソ連陣営の出方にあるわけですから、それでお尋ねするのですが、ソ連の方からそういう申出がなくても、日本としては條約発効後進んでサンフランシスコの平和條約と同じ條件で締結してもらいたい、こういう申出をするお考えはありませんか。
○岡崎国務大臣 それはどんなものですか、今のところサンフランシスコに参加しなかつた国々からもいろいろ申出があつて話合いを進めておりますが、これらはいずれも相手国からの申出に応じてこちらはやつておるのであります。ソ連の場合はサンフランシスコに参加されて、意見が異なつて調印しなかつたという実情、またその当時の演説等から見まして、また日本側からそういうことを言う意義があるかどうか、これはよほど考えるべき問題であると考えます。
○並木委員 條約が効力を発生しますと、日本にあるソ連代表部の機能はとまつてしまうのではないか、こういういろいろの問題が出て来る。その交渉は今後どういう機関を通じてやつて行くようになりますか。それをお伺いしておきたいと思います。
○岡崎国務大臣 これは、たとえば戰争中でありましても、日本の利益保護のためには中立の国を使つていろいろ依頼をしたわけでありまして、今度は多数の国と平和関係に入りますから、つまり日本の友好国なるものが非常にたくさんあるわけであります。その中にはソ連と国交を開いておる国がたくさんありますからしてこれらの第三国を通じていろいろの方法が考えられると思います。つまりソ連側との何らかの話といいますか、あるいはいろいろな懸案もありますが、そういう問題につきましては、第三国を通じて日本の考えが先方に伝わるようにはできると思つております。
○並木委員 その第三国の中で予定されているのはどこですか。
○岡崎国務大臣 まだ予定はいたしておりません。事件の内容によりまして、第三国といつてもあるいは特定の国でない場合、つまり国際連合の委員会等も考えられるのでありまして、その事柄の内容によりまして、いろいろ違うだろうと思います。
○並木委員 国連の特別総会についてお尋ねしておきたいと思うのです。朝鮮の休戰協定が成立した場合には、国連の特別総会を開くことをことしの初めのパリ会議で決定しておるわけです。それで特別総会というのはどういう場合にどういうことを目的として開かれるものであるか。朝鮮休戰協定に関しては特にどういうふうな取扱いがなされるか。
○岡崎国務大臣 今お話のように、休戰の話合いができますれば、そういう特別の総会を開くということになつておるようであります。これは第二十條に手続のところがありますが、「総会は、年次通常会期として、また、必要がある場合に特別会期として会合する。特別会期は、安全保障理事会の要請又は国際連合加盟国の過半数の要請があつたとき、事務総長が招集する。」この最後の規定によりまして特別総会を開くことになつていると了解しております。
○並木委員 朝鮮休戰の協定が成立いたしますと、中共の国連加入という問題も出て来るのではないかと思います。その場合に、中共の国連加入の実現性が濃くなつて参りますかどうか、政府はどういうふうに見ておりますか。
○岡崎国務大臣 どうも政府も今のところその問題はよくわかりません。正直なところ国連加盟各国の実際の状況も直接には知りませんので、ただいまのところは正確なお答えはできないのであります。
○並木委員 休戰が成立しますと、軍縮という問題も起つて来ると思うのです。国際連合の軍縮に対する今までの取扱い、それから今後休戰成立とともに軍縮に対してどういうような方法をとるか、こういうことについてお尋ねしておきたいと思います。
○岡崎国務大臣 これは国際連合の中でも意見の違う、つまりソ連側及び米英側いずれも原則的には軍備縮小ということについて考慮しておると考えております。ただ一番その中の重要な問題である原子力の管理という点についてかなり意見の相違がありますので、これをやらずして他の軍備縮小をやつたところで、大して意味はなくなるように考えられておると私は思つております。これにつきましては、ずつと前からいろいろ議論があることは御承知の通りでありまして、はたしてどうなりますか、なかなかこれは解決のむずかしい問題であろうと思つております。それで軍備縮小、その他の問題について、はたしてうまく行くであろうかどうか、一番重要な問題が解決しない現在においては、相当困難ではなかろうかと思いますけれども、国連の各関係者はまだあきらめずに、熱心にその方法等を考究しておるようであります。まだその考究の段階であつて、どちらの方向に向くであろうかというところまでは、予測できないような研究段階と私は考えております。
○並木委員 朝鮮休戰が成立した場合に、中共の方から日本に対して個別講和を結ぼうというような申出があつた場合に、政府としてはどういう態度をとりますか。
○岡崎国務大臣 これはいろいろの問題が含まれておりまして、簡單にお答えはしにくいのではないかと思います。原則的に言えば、サンフランシスコ條約の條項に基いてあのような條約を結びたいという意向が表示されれば、原則的には拒む理由はないわけであります。しかしながら国連としては、中共に対しても現在においてはある種の措置をとつておりまして、これらの措置が、もうとる必要ないということに将来なる場合があるし、またならない場合もあり得ると思います。そういう点もやはり考慮に入れなければなりません。また日本自体の事情からいいますと、まだ中共地区には相当数の人々が、現に日本に帰りたくしてまだ帰れずにおるという状況にあるのであります。これなどは当然まず先決問題として日本に送り返されるべき人々であろうと思つております。こういうような特殊の事情がありますので、ただサンフランシスコ條約の條項によつてすぐにそういうものを結べるかどうか。実際上のそのときの実情を見てみないと、今ここで原則的なお答えをしてもあまり意味がないように考えております。
○並木委員 その場合、もちろん條約が効力を発生して後のこととして、日本政府独自の見解できめることができると了解しておりますが、その通りでいいですか。
○岡崎国務大臣 これはもうお考えの通りであります。
○並木委員 私どもは何とかして国連に一日も早く加盟したいのですけれども、なかなかむずかしいとなれば、そういう際に準加盟国、アソシエート・メンバーというような制度が考えられないかどうか。それとともに、オブザーヴアーの派遣ということもありますけれども、完全メンバーでなくても、何とかして準メンバーになるような方法はないものかどうか。御答弁願いたいと思います。
○岡崎国務大臣 国連自体に対しては、準会員といいますか、準メンバーといいますか、そういう種類のものは制度上ないと思つております。たとえば国連の下部機構の一つであるエカフエなどには準会員というようなことがあつて、準会員として取扱われる国もあるわけでありますが、国連自体にはそういうものはないと思う。ただ事務総長の承認を得れば、いわゆるオブザーヴアーを派遣することはできるわけであります。オブザーヴアーでも、日本としては加盟前にこれをやる方が、国連の諸般の情報入手、各国の状況を知る上にも有益であろうと思つておりますから、オブザーヴアー派遣の方はできるだけ早く実現するようにいたしたいとわれわれは考えております。
○並木委員 信託統治の問題ですけれども、沖繩とか小笠原の場合、信託統治協定案というものを提出するのは、これは日本が提出するのですか、それともアメリカの方で提出するのですか、その協定に参加する国々はほかにあるのですか。当事国だけですか、それともどういう国が参加するか。それともう一つ、信託統治ができ上つた場合に、国際連合というものはどういうような権利義務をこの信託統治に対して持つものであるか、お伺いいたします。
○岡崎国務大臣 信託統治協定案というものは平和條約の第三條にも「合衆国を唯一の施政権者とする信託統治制度の下におくこととする国際連合に対する合衆国のいかなる提案にも同意する。」というふうに書いてありましてこういう提案は合衆国が出すのが当然であると了解しております。日本からは出すのではありません。それからどういう国が参加するか、これは今のところわかりません。 〔委員長退席、近藤委員長代理着席〕 原則的に言えば合衆国だけであろうかとも思いますけれども、あるいはどういう都合でどういう国が参加するか、まだ提案自体ができておりませんのでわかりません。 その次は国際連合の信託統治に対する権利義務でございましたか、これは国連憲章の第八十七條に「任務及び権限」というところがありまして、「総会及び、その権威の下に、信託統治理事会は、その任務の遂行に当つて次のことを行うことができる。」施政権者の提出する報告を審議する。あるいは請願を受理し、施政権者と協議してこれを審査する。それから信託統治地域の定期視察を行わせると書いてありまして、こういう種類のものが国連の権限かと考えております。
○並木委員 最近の情勢では信託統治にする可能性が多いですか、あるいは信託統治にしないでこのまま行くのであるならば、信託統治になるまでの間に、アメリカと日本との間でとりきめをすることが必要ではないかと思うのです。平和條約では原則論が出ております。米国の行政権、司法権その他に服するというようになつておりますが、それは一般論ですが、それを具体化したもので、これこれのことはどうするというような一種の行政協定ですか、あるいは普通のとりきめ、そういうものを結ぶ必要があるのではないかと思いますけれども、政府のお考えを聞いておきたいと思います。
○岡崎国務大臣 これは今おつしやつた通りで、平和條約第三條にはこのような提案が行われ、かつ可決されるまでは、合衆国はこれらの地域及び住民に対して、行政、立法、司法上の権利を持つておるということがありますけれども、お話の通りアメリカ側では、潜在主権と言うと語弊があるかもしれませんが、要するに日本の主権があそこには潜在しておるのであるという建前から、今年の初めにもリツジウエイ最高司令官は、軍事上支障のない限りは、経済的文化的にはできるだけ沖縄方面の住民と日本本土との交通を自由にしたいという意向も表明されております。従つて渡航であるとか、あるいはその方面との物資の交流であるとか、あるいは文化施設、学校その他の文化方面、あるいは先生をこちらへ連れて来て教育してまた返すとか、いろいろ問題があると思います。そういう点については実際上協定を結ぶということになりますか、あるいは実際上の取扱いで行ける範囲は行きますか、これは具体的に話合いをしてみなければわかりませんが、すでに関税等につきましては、沖繩の方面を国内と同じように取扱いたいというつもりでやつておりますし、教科書なども必要があればこちらから送つてもやろう、先生も必要があればこちらへ連れて来て教育もしよう、これらのことは実際上措置としてできる部分も大分あると思います。要するにでき得る限り本土の国民と似たような、近いものにしたいという考えで実際上の措置を進めております。その中にはつきり協定を結ばなければいけないということがあれば協定を結ぶことにしますが、要は実質的にそういう趣旨の取扱いをいたしたい、またいたすべきであると考えていろいろ話合いを進めております。 〔近藤委員長代理退席、委員長着 席〕
○並木委員 政府としては、沖繩、小笠原へ政府の代表機関というか、責任者を置く予定はありませんか。
○岡崎国務大臣 今のところまだいろいろ話合いを進める段階でありますので、そういうことになるかどうかわかりません。また必要があれば何かそういうものも置き得るかとも思いますが、その点は全然まだ具体的に話合いはいたしておりませんから、ここで何ともお答えはできません。しかし往復は自由になりますから、たとえばこちらから行く人も何もそこにいなければならぬということでもないかと思います。実際上の状況を見ていろいろきめたいと思います。
○並木委員 国際通貨基金のことでありますけれども、三億ドルを申出たに対して、とうとう削られて、二億五千万ドルになつてしまつたということでございます。三億ドル以上を請求した理由、それを二億五千万ドルに削られた理由、これはどういうわけでありますか、説明願いたいと思います。
○岡崎国務大臣 これは大体その申入れる国の国民所得であるとか、貿易の状況であるとか、あるいは外貨の手持ち状況であるとか、その他一般の経済の実勢といいますか、そういうものを考慮して国連がきめるのでありますから、三億ドルが適当であろうという意見もありましようし、二億五千万ドルが適当であろうという意見もあるわけであります。これにつきましてはその内部でいろいろ審議されたことは私どもは仄聞はいたしておりますが、これは各国ともにその国の立場上ごく秘密に協議いたしておるようであります。かりにそれを仄聞いたしましても、こういう委員会等で政府から申し上げることは差控えるべきだと思いますし、三億ドルが適当であろうという意見もありました。日本側としましては、これは多いほどいいりくつでもありますから、多い方を希望するのは当然であります。しかし各国の割当その他いろいろの問題がありますので、それが適当のところに折れ合つたということと御了解を願いたいと思います。
○並木委員 国会の承認を求めるのはいつになりますか。閣議で大体十八日にきめて、すぐ申入れをするということですが、これは国会の方の承認を求めないで申込みをするか、その手続はどういうふうになつておりますか。
○岡崎国務大臣 まだ閣議でもこれはきまつておりませんが、いよいよ加入を申請する場合には国会の承認を求めるために議案を提出するつもりでおります。
○並木委員 十八日の閣議に上程されるという話ですが、そうじやないのですか。
○岡崎国務大臣 閣議の方はいつという日は申し上げることをお許し願いたいと思いますが、できるだけ早くいたしたいと考えております。
○並木委員 国際通貨基金への加入ができますと、今度は国際復興開発銀行への加入、こういう段取りなのですか、それともすでに国際復興開発銀行への加入も申請しておるのかどうか、その関係がちよつとはつきりしませんので、お伺いしておきたいと思います。
○岡崎国務大臣 国際開発銀行の方にも——つまり通貨基金の方へ入りますと、常識的に言つて開発銀行の方にも入るのが普通であります。開発銀行の方に入りたいと考えております。しかしながらまだ手続はいたしておりません。
○並木委員 その手続はすぐやりますか。
○岡崎国務大臣 これは私も正直なところ手続はどういうふうにやるのか、よく知りませんが、できるだけ早く一緒にやるつもりでおります。
○並木委員 平和條約の発効でございますけれども、大分迫つて来たようです。アメリカの方から予告と申しますか、公電と申しますか、そういうものはもう政府にあつたろうと思いますけれども、いかがですか。
○岡崎国務大臣 本日朝到着しました電報によりまして、二十八日ということになつたと了解しております。
○並木委員 それでは例の地域的とりきめですけれども、地域的とりきめをやつた場合に強制行動に移る、そのときは安全保障理事会の許可がいるということになつております。そこで日米安全保障條約は地域的とりきめの一種であるという岡崎国務大臣の答弁からして、もし共同して強制的な制裁行動に出た場合には、安全保障理事会の許可がいるわけでありますけれども、その場合にはまた例の拒否権というものも出て参ります。そうすると日米安全保障條約というものができても、実際に軍事行動に移るようなことはむずかしいのではないかという心配も出て来るのですが、それに対しては何か例外的なものがありますかどうですか。
○岡崎国務大臣 私は日米安全保障條約が考えておりますようないわゆる自衛の措置につきましては、第五十一條等の規定によりましてさしつかえないものと考えております。
○並木委員 それではもう一つ……。国連できめる強制措置、これは日本が国連に加盟した場合です。強制措置というものはこれは強制的なものですから、日本としては断れないと思います。安全保障理事会と関係各国との間でいろいろの特別協定というものができるはずになつているのですけれども、これは今までできてないとのことなんですが、そうするとこの前特別協定によつてきめられているという答弁を得ておると記憶しますが、どうなりますか、この強制措置というものがきまつた場合に、日本はその強制措置に対して責任を免れることができるかどうか。これは日本が軍隊を持つべきかどうかという問題ともからんで来るわけですが、その点どうなつておりますか。
○岡崎国務大臣 これは要するにこうお考えになれはいいと思います。特別の協定ができました場合は、その協定に基いて義務を生ずるのであります。それ以外の場合は勧告であります。従つて勧告となれば、たとえば朝鮮の問題におきましても、その勧告に基いて朝鮮に兵を出しておる国は、出さない国よりも少いのであります。しかしそれは義務違反ということにはならないのであります。従つて特別の協定がなければ、義務違反というようなことは生じないものと考えております。
○並木委員 国連の警察軍、あるいは国連軍隊と申しますか、そうするとそういうものは特別協定というものによつてつくられるのですか、どうですか。特別協定が結ばれて初めてそういう国際連合警察軍というものができ上るのかどうか。朝鮮に行動しておる国連軍とわれわれがいうあの国際連合軍というものは、国連憲章による、いわゆる正式の国際連合軍隊であるのかどうか、お尋ねします。
○岡崎国務大臣 今御質問の点が二つありますが、いわゆる憲章に予想されておるものは、特別の協定によつてでき上るものであると思いますが、朝鮮で今行動を起しておりますものは、これは通称国連軍と言うだけでありまして国連側からの勧告に応じて軍隊を派遣しておるということにすぎないと思います。
○並木委員 最後に、その特別協定というのは、各国と国連と個別に結ぶのですか、それとも集団的に結ぶ協定もありますか。
○岡崎国務大臣 それは両方の場合もあり得ると思います。たとえばこちら側が数箇国一緒になつて協定する場合もあり得ると思います。一国の場合もあり得ると思います。
○並木委員 今まで特別協定が結ばれなかつたという原因と理由はどこにありますか。
○岡崎国務大臣 これはいろいろなことがあると思いますが、その一つは、いわゆる五大国の供出する軍隊につきまして、ソ連は兵力の総数について、また構成について、両方とも五大国平等の原則が適用さるべきであるという主張をしておる、それから西欧側は、五大国の実力に応じて供出すべきものである、こういうような意見の相違もあり、その他いろいろ技術的の意見の相違もあると思いますが、結局は私はそういう技術的の問題よりも、むしろソ連側とアメリカ側、あるいは西欧側と申しますか、それがいろいろの点においていわゆる冷たい戰争で、意見がなかなか合わない。その結果がここにも出て来ておるのではないか、こう思われるのであります。
○仲内委員長 佐々木盛雄君。
○佐々木(盛)委員 私は先ほど同僚議員から質疑が行われました国際連合に対する日本のオブザーヴアー派遣の問題に関しまして、少しく承つておきたいのでありますが、講和條約は今月の二十八日に効力を発生するといたしまして、その後に国際連合に加入の申請の手続をとる、そしておぞらくは国際連合の理事会において、いわゆるソ連の拒否権のために日本の加入が難関に逢着するであろうことはおよそ想像できるところであります。おそらくは日本の加入もそう急には実現しないのじやないかと考えられるわけでありまして、従つてその間に日本のオブザーヴアーを派遣しておくということは、できるならばまことに必要なことじやなかろうかと思うわけであります。日本の国際連合の正式加入が実現しないといたしましても、独立を獲得した日本が、国際連合の諸機関を通して解決しなければならぬ問題は、山積しておるのじやなかろうかと思います。そういうふうな見地からいたしまして、どうしてもここに日本の立場を代表する者が、国際連合の本部に駐在することがまことに必要であろうと思うわけであります。伝え聞くところによりますと、日本ではすでに代表の派遣について人選を行つておるというようなことまでも聞いたわけであります。またイタリアのごときも、今日ニユーヨークには大使級の外交官を派遣いたしまして、相当なスタツフを持つて国際連合に協力しておるというような実情でよありますので、日本といたしましてはさつきゆうにこれの実現をはからなければならぬと思います。日本が講和條約の発効によつて独立国となる以前においても、オブザーヴアーのごとき資格においては派遣し得たのでなかろうかと思うわけでありますが、過去においてそのような試みを政府においてなされたことがあつたかどうかという点や、さらに将来この点について考慮するというようなことでございますが、もう独立の日は間近に迫つておるわけでありますし、かつまた日本の国際連合の正式加入ということが、かなり難関と予想されますならば、当然その間の暫定的措置として日本の代表、オブザーヴアー派遣ということも、現実の問題としてお考えを願わなければならぬ段階じやなかろうかと考えるわけであります。従いまして政府といたしましては、過去においてそういつたことの交渉をせられたことがあつたかどうか、また現実に当面の問題としてこれからどういうふうにしようとお考えになつておるか。ひとつ具体的な点についてお話を願いたいと思います。
○岡崎国務大臣 今まではまだ機が熟しておりませんから、そういうことを交渉したことはないのであります。今後はやはりお話のように、なるべく早くオブザーヴアーを派遣する方がいいと考えております。できるだけ早くこれは実現するようにいたしたいと思つております。
○佐々木(盛)委員 この国際連合加入の申請は、政府から出されております国際連合への加盟について承認を求めるの件の提案理由の中に、平和條約の効力発生後、なるべくすみやかに国際連合憲章第四條の規定に基いて、国際連合への加盟を申請することとしたいということでありますが、そうすると今のオブザ—ヴァー派遣の件は、国際連合への加盟を申請したあとでおやりになるというようなお考えなのか、あるいはまたこの加盟申請というものは一体いつごろおやりになる御予定なのか、国会の承認を得ればただちにやるというような御意向なのか、講和條約の効力発生と同時にやるというようなお考えなのか、その点につきましてもひとつ御所見を伺いたいと思います。
○岡崎国務大臣 むろんこれは国会の承認を得なければできないのであります。国会の承認を得ました上で講和條約の効力が発効しましたならば、できるだけ早く加盟を申請いたしたい、こう考えております。
○佐々木(盛)委員 今のオブザーヴアー派遣の件につきましても、この国際連合への加盟申請と同時ごろにでもそのような申出をしたいというようなお考えでありますか、どうですか。
○岡崎国務大臣 これは事務総長の承諾を得ればできるということになつておりますので、あらかじめその方面にもまず当りまして、なるべく早く実現するように努力いたしたい、こう考えております。
○佐々木(盛)委員 次日にソ間の紛争解決の問題について承つておきたいのでありますが、ただいま日ソ間に横たわつております幾多の紛争の中で、特に歯舞、色丹等の領土問題や、あるいはソ連領にあります日本人捕虜の送還の問題等につきまして、これらの問題は單に日本とソ連の両国間のみの紛争というよりは、むしろもつと大きな、世界の人道につながり、正義につながつたところの普遍的性格を持つたものであろうと考えます。従つてこういう問題の解決は、單なる第三国の利益代表国のようなものを選んで、その国によつて解決してもらうというよりは、やはり世界の人道に訴え、世界の道義に訴えて解決すべき性質のものではなかろうかと考えるわけであります。従いまして、日本が国際連合への加盟を許されましたあかつきにおきましては、当然この国際連合やあるいは仲裁裁判や、その他の国際連合の諸機関を通して、この領土の帰属、捕虜の引揚げ等の問題について、政府といたしましてはすみやかに措置を講ずべきであろうと考えるわけであります。しかし国際連合への正式加盟が、御承知のような国際連合の実情から考えまして、かなり遅れるといたしましても、その間におきましてもこの紛争の解決を国際連合に持ち出すということは可能なことであろうと考えるわけであります。従いまして国際連合へ正式加盟したあかつきにおいてはもとよりのことでありますが、その以前においても、これらの領土問題や日本人未帰還者等の問題は、この国際連合という世界的な機構を通して解決をはかるべきであると考えるわけでありますが、これらに対しまして、どういうふうなお考えを持つておられるか、承つておきたいと思います。
○岡崎国務大臣 これは先ほども並木君にお答えしました通り、必ずしも第三国ということを考えておるばかりでなくて、その他のたとえば国連であるとか、国連の委員会であるとかいうことも考えておるのだと申し上げた通りであります。未帰還者の問題については、すでに国連にも特別の委員会ができて会合もいたし、日本側からも代表が行つて事情を説明しておるわけでありまして、こういう種類の機関を通じ、またその他の今おつしやつたような輿論を動員するような方法で、なるべく早く円満な解決をしたい、この努力は今後もずつと継続するつもりであります。歯舞、色丹等の問題につきましても、お話の筋は了承いたしますが、どういうふうにいたすか、これは十分考慮すべき問題でありますから、さらによく研究をいたすつもりであります。
○佐々木(盛)委員 私の質問はこれで打切りますが、日本の国際連合への正式加盟が許されない前の段階におきましても、今月の終りには日本が主権を獲得いたしまして、国際社会へ復帰するわけでありますから、独立国となつた日本が従来の立場を脱却いたしまして、たとい国際連合の正式加盟国とならないまでも、国際連合の諸機関を通してこれらの問題の解決に積極的に政府が乗り出してほしい。その前提といたしましては、オブザーヴアーの派遣のごとき問題につきましても、早急にお考えを願いたいという点を特に申し添えまして、私の質問を打切つておきます。
○仲内委員長 林百郎君。
○林(百)委員 私は岡崎国務大臣に、国連の経済的社会的国際的協力という第九章の問題にからんで、モスクワ国際経済会議の問題について、きようはこの前よりもう少し掘り下げて意見を問いたいと思うのであります。その後モスクワ国際経済会議の情報がだんだんわれわれに入手さるに従つて、これが看過できない重要な意義を持つていることは、否定できなくなつて来たと思うのであります。政府としては、政治的な立場がかりに日本政府とソビエト、中国とどういう立場にあろうと、経済的な関係はこれを推し進め、拡大する方向に努力しなかつたならば、日本の経済界に及ぼす影響も、非常に重要なことになるのじやないかというふうに思われるのであります。従来外務委員会における岡崎国務大臣の態度、言動から見まして、もしそのままの方向が吉田内閣によつて続けられるならば、日本は国際的にも取残されるのではないかということを私は憂慮せざるを得ないのであります。この問題につきまして、たとえば国際経済会議でアメリカの代表のヴイツカリーの発言を見ますと、政治制度の違つた国家でも経済協力はできるものであるということを述べております。それからアメリカの実業界としては、第三次世界大戰は気違いざただと考えておる。自分のお客を殺そうと思つておる実業家には気違いの着物を着せて気違い病院に送り込む必要がある。これは非常にアメリカ流の極端な表現だと思うが、こういう率直な意見を吐いております。「原料資源の最も豊かな国は米国とソ同盟である。このためこの両国は大きな責任を持つているわけである。両国はその資源をその他の国にわかち與えるべきである。」「会議では制限や差別待遇をもうけることなく、自由な貿易が行われるように努力すべきである。」最後にヴイツカリー氏は、「この会議が国際平和に役立つことを希望する」ということで、米代表のヴイツカリー氏も相当この国際経済会議の問題については、重大な関心を持つていることは否定できない。それからイギリスのハロルド・デーヴイスの発言を見ますと、イギリス国会議員ハロルド・デーヴイス氏は四月五日の本会議において、エム・ヴエ・ネステロフ・ソビエト代表の演説に触れて、この演説は最近二十年間の最も重大な声明であると述べて、東と西との通商関係を強化することは、きわめて有意義であるというように述べております。それからフランスのバーナル・ド・ブラの発言は、従来の会合ですと、外交的な会議は戰争の跡始末を目的とするだけで、残念なことに新しい紛争の準備を事とするものがあまりにも多かつたけれども、この会議は多くの外交的な会議と違つて、後になつて歴史的な事件だとみなされるような、平和を保障するものであるというような意見を述べておるようであります。このモスクワ国際経済会議に対して、業界でもまた非常に大きな関心を持つておりますが、まず政府としてはこれに対してどういう考えを持つておるのか。またこのモスクワ国際経済会議の採択された決議によりますと、今後第二回の会議を当然持つべきだ。それから国連へは、各国政府間の国際貿易の拡大をはかるための提案をすべきだということが、決議として採択されておるのでありますが、こういうようなモスクワ経済会議の内容が逐次明瞭になるに従つて、日本政府の従来の方針その他について新しい見解を持つておるのか、またこれに対してどういう所信を持つておるのか、まずそれをお聞きしておきたいと思うのであります。
○岡崎国務大臣 私の方はまだ林君の持つておられるほど正確なニユースを持つておりませんが、今のところ今までの態度を変更する必要はないと考えます。
○林(百)委員 今までの態度を変更する必要がないということは、たとえば中国あるいはソビエトとの間の通商関係を、何とか改善するという方向の努力も全然する意思がないというように解釈するのですが、それともその方向については政府としても何らかの協力の措置をとりたいというように考えておりますか。モスクワ経済会議の情報がまだ手に入らないというならそれはそれとして、中国、ソビエト、あるいは東ヨーロツパの諸国もそうでありますが、政治的な体制の異なつている諸国と経済的に何らかの関係を取結び、これを広げて行きたいというような方向への努力を政府はするつもりでおりますかどうですか、その点を聞いておきたいと思います。
○岡崎国務大臣 政府としては通常の貿易ならばなるべく拡大した方がいいと考えておりますが、單に貿易上の利益のために、三十数万の人々の始末をあいまいにされてしまうようなことは望まないのであります。まずそちらの方が先決問題である、こう考えております。
○林(百)委員 私はこの際岡崎国務大臣に警告をしたいのであります。あなたは何かというと三十七万、三十七万と言いますが、吉田総理が国連の赤十字捕虜委員会へ出したのは七万になつているし、またアメリカ側が国際連合へ出している報告書によると六万という数字になつている。また私は政府に質問書を出して、もし六万なり七万あるというならば、その姓名、住所を全部示してもらいたい。トランスフアー・ペーパーはたしか受取つているはずです。それとの数字の差を発表してもらいたいと言つても、今の段階では政府は発表することができないと言つておる。三十七万の未復員者という問題は、反ソ、反共のプレス・カンパニアの一つの手段であつて、政府はいつまでもこういうことを言つて、国際的な経済関係までも犠牲にするということを考えているならば、私は重大な問題だと思う。きようの商業新聞、たとえば毎日新聞を見ましても、日本がこの問題を看過することによつて、バスに乗り遅れるようなことがあつてはならないということで、業界の間において真劍に考えているときに、政府は今もつて三十七万、三十七万で、すべて中ソとの関係をほおかむりするということは無責任だと思う。かりに三十七万の問題を解決するにしても、あなたは糸口を何で求めるのです。直接向うが手を伸ばして来たらその手を握つて、その手を広げて行つたらどうなんです。そこで私はあなたにお聞きしたいのですが、たとえば英国はすでに中国との間に繊維、金属製品、化学製品を一千万ポンド、ルーマニア、ソ同盟との間に六百万ポンドの取引を調印した。フランスは中共との間に千二百万ドル、東ドイツとの間には一千万ドルの取引を成立している。オーストラリアはソ連との間に五十七万五千ドルのバーダー契約が締々されたということになつて、本日の新聞を見ますと、大阪、名古屋の財界は、非常に不況に悩んでいる日本の繊維界としても、英国と中共との間の一千万ポンドの契約については非常な関心を抱かざるを得ないというような業界の意見があるのであります。従つて今後政府としては、このソ同盟、中国との貿易の問題について、従来とつておつたバトル法あるいはバトル法に基く日本の通産省令というようなものについて、これを緩和し、これらの国との貿易を緩和するという方向へ努力する意思はあるのですか、ないのですか、その点をお聞きしておきたい。ということは、やはりバトル法を緩和してもらいたいということは西欧諸国からも出ておりますし、日本の業界からも出ている。日本の通産省令はこのバトル法よりもさらに嚴重な禁止品目が書かれている。これを緩和してもらいたいということを西欧諸国は言つている。ましてやそれ以上嚴格な禁止品目のある日本の業界にとつては当然でありますが、このバトル法、あるいは日本と中国、あるいはソビエトとの貿易の禁止の制限を緩和するというような方向へ努力する意思が政府はあるかどうか、その辺をお聞きしておきたいと思います。
○岡崎国務大臣 今おつしやる通り貿易業者、輸出業者は十分な輸出が思うよう行きませんので、非常に困つております。従つてその目の前にどこそこと千万ポンド、どこと何万ポンドとやれば、それはのどから手が出るほどやりたい気持はあると思います。私どもも普通の、通常の貿易ができるものならば、これをあえて阻害するつもりはありません。しかしながらそういうえさにつられて大事な点をはぐらかされてしまうことは困ると、はつきり考えております。バトル法その他につきましては私の所管外でありますから、通産大臣等にお聞き願いたいと思いますが、今のところこれを緩和するということは私は聞いておりません。
○林(百)委員 あなたはソ同盟、中国との取引が、取引のほかに何かプラスがあるということを盛んに気にしているが、業界がのどから手の出るほど期待しているということをあなたは認めている。あなたは自転車業をやつているが、あなたの会社がいかに不況で、労働者に賃金を遅配、欠配しているか、私どもよく調査して知つている。(笑声)あなた自身が労働者に賃金を遅配、欠配している。自転車がちつとも成り立つて行かない。ところであなたは何かくつついていると言つて心配していますが、西ドイツですら代表を出しているでしよう。日本はそんなに自信がないのですか。あなたのような有能な外務大臣候補がいながら、一千万ポンドやそこらの取引をすれば、それで日本の国がソ連の方へひつぱつて行かれるような、そんなに自信がないのでしようか。業界がそんなに取引を望むなら、業界に取引をさせ、政治的には別だという信念を持つて行くだけの自信がないのでしようか。いかにも心細い国務大臣でないでしようか。ひそかに密貿易でもやつていれば、これは別ですが、そういう点、西ドイツや、イギリスや——イギリスだつて国連に加盟して朝鮮に警察軍を出しているでしよう。そうしていながら、中共と取引をしているのです。それが政治じやないでしようか。私のような者からあなたに言うことはないでしようが、もう少しあなたは何とか政治家らしく、日本の危機をくぐり拔けるために、貿易関係については緩和をするとか、あるいはなるべく業者の間の取引を助成するつもりだという考えを持たれるのかどうか、その点をお聞きしたい。そこでもう少し質問を集中したいのでありますが、そうすると、日本の業界がソ同盟の通商代表部と、あるいは香港との引合いをして日本の業界が直接取引することについては、政府は何らの干渉はしないということを、あなたからはつきり保証ができますか、この点はどうですか。
○岡崎国務大臣 通商代表部とはいろいろ話をしておることは聞いております。しかしこれは輸出とか輸入とかについては、ある品目については許可もありますし、また外貨の関係、国内の金融の関係等いろいろ問題がありますから、私はここでそういう原則的な回答をすることはできません。これはむしろ通産大臣に聞いてください。
○林(百)委員 通産大臣と逃げてしまわなくたつて、あなたは自分でも事業をやつているのですから、そういう観点からもひとつ答えてもらいたいと思います。御承知の通り、モスクワ経済会議では、その国の通貨で決済ができるということですから、外貨でなくて、円で取引ができるわけです。そうすると日本の業界がソビエトの通商代表部と交渉を持つことについては、政府は何ら干渉しない、こういうことをあなたは保証できるのですか。これもいけないというのですか。
○岡崎国務大臣 それはどういうふうになりますか、私は実際の手続は知りませんが、まだ現在においては法律的には司令部のオーケーをした事項についてのみ各ミツシヨンと直接交渉ができる、こういうことになつております。林君は非常にソビエトとの貿易を御熱心のようでありますが、私の方では林君が御熱心になればなるほどよく考えてみたい。
○林(百)委員 林君だの、捕虜三十七万だのと、あなたは実際スケールが小さくて驚き入つてしまう。一林共産党の議員があなたに質問するからといつて、日本の業界について重要な問題を、口先だけだと思いますが、そんなことであなたは答弁を言いのがれしなくてもいいと思います。そこでもう一つ、それじやお聞きしますが、十三日の朝日新聞の時評欄にもあつたと思いますが、ローマで国際医師会議が持たれる。これへはソビエトも参加する。「時節柄、三つの世界の医師が一堂に会する会議の意義は大きい。よもやとは思うが、モスクワ経済会議に示したような禁止的態度を、政府が繰返すならば、日本国内にかえつて不満を誘発する結果に陷ることを恐れる。」慶大講師、内科の北沢英雄という人の時評という欄があるのです。これは五月に開かれるのでありますが、この問題、それからルーマニアで世界ピンポンの大会があるのでここへ日本の選手を派遣したいということがあつた。ところがこれはルーマニアだから、旅券はまだ考えているということ、ピンポンですら赤くなることを恐れている。実に驚き入つた次第なんです。それから五月一日には北京からメーデーに日本の人たちがぜひ参加してもらいたいということであります。こういう異なつた世界からいろいろな呼びかけがあるわけなんですが、あなたはアメリカとアメリカの一部の傀儡的な国以外には、一切日本人はやらないというおつもりなんでしようか。それともせめてピンポンくらいはルーマニアヘやる、医師の会議にはローマにやる、いくらソ連がいやでも、まさかソ連人の顔を見せることをお禁じになるとは考えられませんが、こういう問題は日本国内で非常に大きな関心の的になつておりますので、この五月に開かれる医師会議あるいはルーマニアのピンポンとか北京のメーデーだとか、こういう問題もひつくるめて、政府は何とかして政治的な体制の異なつている国々、しかも世界の半分がこういう体制をとつているのですから、これとの親善関係、友好関係、外交関係の改善、こういう方向をどういうようにお考えになつていますか。このルーマニアあるいはローマ、こういうところへ旅券を出すというような問題とからめて、もう一度そういう国々との友好関係、親善関係をどう開拓して行くか。そういう努力がなくしては、せつかく国連加盟の申請をしたところで、これはまつたく形式的な手続になつてしまう。そういう努力の中から真に日本が国際的に尊敬を拂われることになり、名実ともに国際関係の一員として完全にその地位をとりもどすことが私はできるようになると思いますが、その点について岡崎国務大臣はどういうように考えていますか。何らかの改善、親善の道を考えているか、またそういう国際的な会議になるべく旅券を出して、日本人の視野を広める方向へ努力されるかどうか、これをお聞きしておきたいと思います。
○岡崎国務大臣 医師の会議については私はまだ聞いておりません。どういう性質のものか聞いてからお答えしようと思います。ピンポンの話も聞いておりません、今初めて聞いたのでありますが、ピンポン等についてわれわれはなるべく貴重な外貨を使用することは節約したいと考えております。オリンピツクといえども、できるだけ節約して外貨をあまり使いたくない、こういう気持は持つております、それからメーデーの話につきましては聞いておりますが、これはむしろ私の方から林君に御質問したいのであつて、林君のよく言われる祖国ソ同盟ですかの口ぶりによりますと、アメリカ及びその傀儡政府、こういうようなことを常に口にしておられる。私はこういう態度が、政府をしてこれらの国に出すことを澁らせる一つの大きな原因であろうと思つております。アメリカ及び傀儡政府とは何を言うのか私にはわかりませんが、とにかくあなたのおすきな国国は、すべて自由国家群はアメリカ及びその傀儡政府である、こういうふうに片づけておられる。そうすると勢いわれわれの方からいえば、そういうところに人を出すことは、躊躇せざるを得ないという結果になるのであります。もつとも私はメーデーに旗をかついで示威行列等をやることにわざわざ北京まで行く必要はごうもないと考えております。いずれにしても、原則的にそういう、何といいますか、向ソ一辺倒的な考えを中共政府その他が示しておられることが問題の起りであつて、日本政府等の態度はそれの結果である、こうお考えになつていただきたいと思うのであります。
○林(百)委員 実にふまじめな回答だと思います。たとえば私がアメリカの傀儡政権と言いましても、中国の利益代表を台湾の蒋介石政権だと、アメリカが主張し、北京の政権が国連へ加盟することを最も強く反対しているアメリカの態度が、公正な態度と常識的に言えるのでしようか。しかも台湾政権の財政のほとんど三分の二はアメリカが補助しておる。同じことは朝鮮にも言えると思うのです。ほとんど朝鮮の人民から支持を失つている李扶晩が、ただアメリカだけの支持でなつているじやないですか。これを私が少くともアメリカの傀儡的な政権と言つても間違いはない。毛沢東政権だとか、あるいはそのほかの、たとえば朝鮮におきましても、朝鮮民主主義人民共和国が、中国、朝鮮の人民の利益を、少くとも李承晩や蒋介石よりは代表している。国際的にも独立した国家としての権限を持つておると私が言つたところで、これがどうして間違つているでしようか。少くともわれわれの目の前で見ているアメリカの極東政策にしましても、これはやはりアジアの人民の意思を相当無視した、アメリカの一国の利害から出発している政策だと私は言わざるを得ない。台湾を中国に返還することを拒否して、あすこへ蒋介石政権をつくつて、これに財政的には五分の四以上の援助をして、中国の統一を妨げているといつたら、これは私は傀儡政権だと言つても、そうあなたから非難を受けることはない。また北京のメーデーの問題ですが、何も私は赤旗をひつさげて行くということではない。これを通じて中国との友好関係、通商関係、国際的な関係が開けるなら、そういう機会を使うべきだ。だから向うから実業家に対しても招請が来ている。日本のメーデーと違つて、向うはメーデーは国家の独立の祝典なんです。日本はまだ革命は起きなくて、あなた方が政権をとつているから、労働者が広場へ赤旗を立てて労働歌を歌うよりしがたがないのですけれども、これは革命が成立したお祝いの祝典なんですから、そこへ日本人を呼ぶということは、日本と中国との親善関係がそこでできるのだから、ここへ代表をやつたらどうかということを私は言つておる。あなたはどうもふまじめな、まつたくわかり切つたような形式論で私の質問をおちやらかしている感じがして、非常に不愉快です。ですから私はもつと真劍な意見をあなたに聞きたいと思いますが、どうもだんだん不愉快になつて行く。 そしてこの問題は別として、次にもう一、二お聞きしたいことは、日台の会談のことでありますが、これはおそらく朝鮮の休戰会談が進捗し、第五議題の政治会議まで発表して来ておるということになると、これはやはり今の北京政府が中国の代表だということになり、あるいは国連加盟の問題も出て来ると思いますが、そうなつた場合に、日本が台湾政権を独立した政権として條約関係を結んでおいて、あとになつて取返しのつかないような状態が発生することも予想するにかたくない状態です。朝鮮の休戰会談が成立し、極東の一般的な平和の確立の問題が国際的に審議され、確立されるまでは、何も急いで日本と台湾との間に條約を取結ぶ必要がないと思いますが、この点について政府の見解と、それから今日台会談はどういう状態になつておるのか、その点をお聞きしたい。
○岡崎国務大臣 台湾は従来申すまでもなく日本の領土であつた関係上、合湾島民といいますか、台湾の人々は日本に多数いるのであります。そうして今度平和條約が成立しますと、これらの人々は当然日本の国籍を失うと考えられます。ところが台湾の政府は、これはあなたが何とおつしやつても、事実上台湾で実力を行使して統治をいたしているのであります。その台湾の政府との間に話合いがつかなければ、これらの人々は国籍を持つことができなくなるのであります。従つてこれはできるだけ急いで條約をつくるべきであると考えております。條約の話合いの模様は、ほとんど大部分の点については意見が一致したようでありまして、まだ詳細な報告は聞いておりませんが、昨夜おそくアジア局長が帰つて来まして、大体重要な点については話合いがついたが、まだ数箇所こまかい点で打合せなければならぬ点があると聞いております。従つてそうであるならば、もうそう長い期間かからずして、條約調印のところまで行くのではないかと考えております。
○林(百)委員 倭島氏も帰られたのですが、もう少しお聞きしたいと思います。そうすると、日台條約の中で、これはよく限定條約、限定條約というように言われておりますが、蒋介石政権の統治の及ぼす地域的な制限というものは、條約に明記されているのかいないのか。それから賠償の問題についてはどういうようなとりきめがされているのか。たとえば中国全部の賠償の問題を日台の條約できめるのか、あるいはそういう問題は條約の正面には出ていないのか。それから地域的な限定というのは明記されているのか、それは伏されているのか。また伏されておつても、それは地域的には制限があると言われているのか、この点が一つと、それからもう一つは、日台の條約の中に将来の安全保障とりきめをする、個別的あるいは地域的集団安全保障とりきめをするということがあるのかないのか、あるいはまた了解事項としてあるのかないのか。その二点がわれわれにとつては非常に重大な関心のある問題になつておりますから、お聞きしておきたいと思うのであります。
○岡崎国務大臣 今おつしやつたようなことは、いずれも交渉の内容になることであります。これはただいま交渉中でありますので、先方と話合いの上発表すべき以外のことはここで申し上げるわけに行かないのであります。いずれ話合いがきまりますれば、国会に條約案を提出して審議を願うわけでありますから、そのときに十分御審議を願いたいと存じます。ただごく概略的に申し上げますれば、あなたの御心配のような点はおそらく條約の中にないであろうということを申し上げられるのであります。
○林(百)委員 そうすると、安全保障とりきめ、個別的あるいは地域的安全保障とりきめは條約の上にはない。おそらくそうすると了解事項の中にもないともちろん解釈していいと思いますが、その点が一つ。それからそうすると、やはり朝鮮の休戰会談あるいは中国問題についての極東の平和問題の一般的な解決という朝鮮休戰会談にからんでの結論が出る前に、日本はやはり台湾との間に條約を近日中に結ぶという結論は、もうきまつておる、そういうように解釈していいかどうか。
○岡崎国務大臣 大体條約はそれに附属して交換公文であるとかあるいは議事録というようなものがつくのが当然であります。台湾との間の條約につきましても、そういうものがあると思いますが、これらは全部——議事録は別でありますが、国会に提出するのであり、また議事録も隠すものは一つもありません。祕密なものは一つもありません。従つてこれらができ上つたときには、ひとつ十分ごらんを願いたいと思います。 それから台湾との條約の交渉は、これは朝鮮の問題とは全然関連がありません。従いまして朝鮮の休戰ができようができまいが、それと関連なく行われるものであります。
○林(百)委員 もう二点ほどお聞きしたいと思いますが、朝鮮の休戰会談とからんで私がお聞きするのは、二つの観点からで、一つは朝鮮の休戰会談の第五議題の政治問題の談判ということにからんで、やはり台湾の中共への返還あるいは中共の国連への加盟というようなことが将来かりに問題になつたとすれば、これは国際的にやはり中国の統治権者が北京政府だというようなことに朝鮮問題の第五議題から発展した場合に、日本が今台湾との間に條約を結んでおけば、あと処置のできないような事態に陷るということが懸念されるから、私は朝鮮問題にからんでお聞きいたします。これが一つ。 もう一つは、北京政府としてはやはり台湾の解放というか、あるいは台湾を名実ともに自分の支配下に入れるということは、これは従来から声明していることであつて、もし日本が台湾と條約を結ぶことによつて、蒋介石側に加担するというようなことになつて、直接間接この戰争を日本が蒋介石を通じて援助するというような立場になりますと、これは重要だと思つて私はこの二つにからんで聞いているのであります。この点は岡崎国務大臣も日本人でありますから、まさか蒋介石政権と心中するようなとりきめは万々してないと思いますが、アメリカとの振り合いもありまして、アメリカには大分あなたも忠実のようでありますから、これにあまり引きずられてしまつて、遂に日本が蒋介石と心中するようなことのないようにということから、私はあなたに聞いているわけです。念のためにあなたに申し上げるわけです。大分気を悪くしているようですが、念のためにこれを言つておきます。 もう一つ最後に聞いておきたいことは、これは同じ関係の問題で、日韓会談の問題があるのでありますが、これはその後どういうような経過をたどつておるのか。これは朝鮮に統一した政権ができたときにとりきめをすればいいのであつて、何も今争つている当事者の一方と深入りする必要もない。またこの問題については漁業権の問題そのほかもあるのでありますが、これはその後どういうように進展しているのか。これは朝鮮に統一政権ができる前に日本は李承晩政権ととりきめをしてしまうのかどうか。これも日韓会談とからんで聞いておきたいと思います。
○岡崎国務大臣 私は決して気を悪くしておりません。林君がソ連に忠実であるほどには私はアメリカに忠実じやないのです。さよう御了承を願います。 そこでこれは中共政府が台湾を解放すると言つておるからとおつしやるが、台湾の国民政府は中国本土を中共の手から解放すると言つておるのでありまして、他国の政府のことについて、とやかくどちらがいいとかどちらが悪いとか、どちらが強いとか弱いとか、そういうことは私は言うべきものではないと思うのであります。現実の事態を見て一番実情に適する問題の解決方をはかるべきである、こう考えております。 それから朝鮮の問題でありますが、現実に争つておると言われますが、少くとも国際連合は朝鮮に自由なる選挙を行つて、統一政府をつくろうという意思のもとに選挙を行つたのでありますが、国連の監視委員等は三十八度線以北には入れてもらえなかつたものでありますから、その選挙は南鮮だけに終つたという事実はありますが、これは国連が実際上やろうとしてもできなかつたわけであります。従つてある部分には選挙が行われなかつたけれども、国連の考えによつて可能な範囲で行つた選挙の結果つくられたのが今の大韓民国政府である、こう私は了解しております。これにつきましても、台湾の人々よりもさらに非常に数の多い朝鮮の人々が国内におりまして、これも平和條約が効力を発生しますと、この人たちは日本の国籍を失うのであります。そこで何らかの方法でこの人たちの在留を認めなければならない、それにはいろいろ便法も考えておりますが、そこで可能な範囲で話合いも進めて、いろいろの懸案もある、漁業の問題もあり、あるいは国籍の問題もあり、その他いろいろの問題がありますので、これもできるだけ早く話合いを進めて行きたい、こう思つておりますが、やはり双方にいろいろ主張がありますので、まだ話合いがまとまるところまでは行つておりません。ただできるだけ早く話合いをまとめて、これまた台湾と同じように條約をつくり上げたい、こう思つて今努力しておる最中であります。
○林(百)委員 岡崎国務大臣の答弁で蒋介石政権は本土を解放する、北京政権の方は台湾を解放すると言つている、そういうあなたの言葉の中から、どちらの政権が実質的に中国を代表しているかということは、もう答えは出ていると思うのです。しかしこれから本土を解放すると口で言つている蒋介石と日本は深入りしたとりきめをしようとしている。実質的の中国の代表は仮想敵として相手にせずというようなかつての近衞声明みたようなことを言つている。ここに日本の外交政策の、非常な事実を無視した危險な方向が、はつきりあなたの答弁の中から出ていると思うわけです。このことはあなたの口から出ているので、これ以上言う必要はないと思います。 もう一つ朝鮮の問題ですが、会談をしてとりきめようとしておるというのですが、会談は今進行しているのか。それから今どういうところが大体問題になろうとしておるのか、あるいは一時これは中止されているのか。その辺の経過が全然新聞にも出ませんし、政府側の発表もありませんから、もう少しその後の日韓会談の模様について、どんなようなことが大体問題になつて、今どういう状態にあるかということを、国会で説明し得る範囲で説明されたいと思います。私の質問はこれで打切ります。
○岡崎国務大臣 朝鮮との間には、両政府間の関係を平常状態にもどす基本的な性格の條約の問題がございます。それから国民の国籍の問題もあります。それから漁業の例の李承晩声明というようなこともありますが、それ以外にも漁業の関係の問題もあります。また船舶の問題もありますし、それから平和條約にもありますようなクレーム、財産権の問題もあります。これらいろいろの問題がありまして、双方で研究をし、また結論が出ると討議するということになつております。最近少しく会議をいたしておりませんのは、先般朝鮮の代表が朝鮮に帰られましたものですから、ちよつと会議を中止しておりますが、これは事務的にはやはりずつと研究を進め、また非公式な話合いもいたしております。双方でいろいろ解決のために努力はいたしております。しかしなかなかいろいろ問題を含むものでありますから、早く條約を結ぶためにいいかげんな協定を結ぶということはできませんから、従つて長引いておりますが、双方でいろいろ努力しておりますから、解決がつくものにつきましては、順次解決して行くというつもりでやつております。
○仲内委員長 戸叶里子君。
○戸叶委員 時間がありませんから、ごく簡單に国連加盟の問題に関連して二点だけ伺いたいと思います。 参考までに伺つておきたいのですが、国連に加盟を申請しまして、安全保障理事会などで拒否権を使われて、加盟することのできない国が、今何箇国あるかを承りたいと思います。
○岡崎国務大臣 私も正確に今ここですぐ御返事できませんが、今ここで聞きますと、十八だそうです。
○戸叶委員 十八の国といいますと、相当多数の国ですけれども、それだけの多数の国が加入できないということに対して、安全保障理事会あるいは国連の総会等で、何とかしなきやいけないというふうな空気はないものでしようか。
○岡崎国務大臣 これは前から議論のあるところでありまして、原則的には国連に加入したいという国を、安全保障理事会でまずきめて、拒否権を使つてこれを入れないということはよくない。兵力使用というような重要な問題ならば、それは安全保障理事会の決定により、またそれは五大国の拒否権があつてもしかたがないけれども、加入くらいは何とかしたらいいじやないかという意見がずいぶんありました。御承知の通り総会の決議で入れたらどうかという意見もありますけれども、そういうふうに憲章の趣旨をかえることが、すでに五大国の拒否権を含む同意を必要とするものですからして、実現しないでいると考えております。それからまた他方においては、先般ソ連側からの提案のように、今まで拒否権を使つて拒否しておつた国、イタリアであるとかその他の国も入れてやるかわりに、自分の方も、つまり共産圏の国家も入れて、一まとめにして入れようじやないか、こういう提案もあつたように聞いておりますが、これはいかにも便宜主義で、原則と合わない、そういうことはその加盟する国に対して失礼じやないかというような議論もあるわけで、なかなか実現もいたしておりません。要するに拒否権というものがありまして、それが解決しない以上は、どうもなかなかうまく行かないのではないか、いろいろ苦心して何とか打開の道を考えておるようでありますけれども、いまだにはつきりしたところが出ないというのが実情だと思います。
○戸叶委員 もう一点伺いたいことは、日本は国連憲章の第二條の五項の義務規定というものを、平和條約の中で承認して来ております。すなわち「国際連合がこの憲章に従つてとるいかなる行動についても国際連合にあらゆる援助を與え、且つ、国際連合の防止行動又は強制行動の対象となつているいかなる国に対しても援助の供與を愼まなければならない。」というこの国連憲章の義務規定を平和條約の中で承認して来ておりますが、この義務規定を引受けておりながら、しかも現実の問題としては、なかなか国連加入が困難だというような状態にあると思うのです。そうしますと、一体この義務規定を受ける場合に、政府は国連加入ができるというようなことを見通した上で、これを承認なされたか、それともどういう立場でこれを承認なされたかを承りたい。
○岡崎国務大臣 正直に申しますと、加盟できるかできないかは、これはわかりません。しかしながら政府は加盟したいという強い希望を持つておることは事実であります。その趣旨は、要するに国際連合の憲章というものが、これは世界の平和維持のために最も有効なものであり、日本の国の建前からいつても、これにできるだけ協力して、世界の平和維持に幾分でも盡すというのが趣旨でなければならぬ、こういうつもりで、加盟し得るかいなかは別問題として、国連の行動についても援助するし、また国連が防止行動等をした場合でも、これに対しては協力する、こういうつもりでやつておるのであります。むろん国連としては加盟国でなくしても、その地域の安全が脅かされるとすれば、行動を起すことはあり得るのでありまして、たとえば朝鮮の場合もそうでありましよう。従つて日本が加盟しなくても国連の保護を受け得るのでありますが、しかし保護を受け得るから援助をするというようなやりとりの問題でなくして、まず国連の憲章というものの趣旨に賛成いたしまして、できるだけ援助をするということで進んでいる、保護を受け得るか受け得ないかということは別問題です。実際上は保護を受け得ると思いますけれども、それだからという意味ではないのであります。
○戸叶委員 そうすると、今の段階では、日本の国は義務だけは盡すけれども、権利は何もないというふうに了承してもよろしゆうございますか。
○岡崎国務大臣 考えようによつてはそうお考えになつてもけつこうだと思います。日本の国ばかりじやありません。世界の各国は世界の平和維持のために十分の努力をいたすべき義務は、道徳的には当然あるものと考えております。 それからこれはまた別問題でありますが、国連との関係におきましては、日本が国連に協力する、つまり国連憲章の第二條の義務「特に次の義務を受諾する。」として平和條約の第五條に書いてあります。しかしこれに関連しまして、(a)項で日本はこういう義務を受諾するとなつておりますが、あとの(b)項の方に行きますと、これは日本と連合国との関係で国連との関係じやありませんが、「連合国は、日本国との関係において国際連合憲章第二條の原則を指針とすべきことを確認する。」と言つて連合国も第二條に従う。日本もこの第二條に従う。こういう平和條約は国連と直接関係ありませんから、連合国と日本との間の條約でありますから、これは両方でこういう趣旨でやつて行くのだ、こう書いてあるわけです。そして国連との直接の関係は、今申した通り国連の趣旨にわれわれは賛成しておるから、これに対してできるだけの協力をする、こういう建前をとつておるわけであります。
○仲内委員長 それでは本日はこの程度にいたしまして、次会は公報をもつてお知らせいたします。 これにて散会いたします。 午後一時七分散会