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13回国会衆議院1952/02/27

外務委員会 第6号

発言数
203
登壇者
16
会派数
5
開催日
1952/02/27

会議録

仲内憲治自由党

○仲内委員長 ただいまより外務委員会を開会いたします。  まずポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く賠償庁関係諸命令の措置に関する法律案を議題といたします。  本案につきましては、質疑もないようでありますから、ただちに討論に移ることといたします。討論の通告がありますので、これを許します。佐々木盛雄君。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 私は自由党を代表いたしまして、本法律案に賛成の意を表するものであります。平和條約の発効に伴いまして、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く賠償庁関係の諸命令のうちで、昭和二十六年政令第四十号、すなわち朝鮮総督府交通局共済組合の本邦内にある財産の整理に関する政令につきましては、当該整理がなお半年余りの時日を要し、当然平和條約発効後にわたると思われますので、この政令に必要な改正を加えて、條約発効後の法律としての効力を存続せしめようとする法案であります。また昭和二十一年勅令第二百八十六号、すなわち特定財産管理令につきましては、平和條約において戰犯未決中の財産管理に関する明文がなく、平和條約発効後は現在の特定財産管理を継続する必要がないのでありますから、本勅令は條約発効と同時に廃止しようとするものであります。従いましてこの法案はまことに時宜を得たものと考えますので、わが自由党といたしましては賛成の意を表する次第であります。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 並木芳雄君

並木芳雄改進党

○並木委員 改進党としても別段異論はございません。賛成いたします。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 戸叶里子君。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 社会党もただいまの法案に賛成するものでございますが、一言づけ加えたいことは、政令第四十号の朝鮮総督府交通局共済組合の本邦内にある財産の整理に関する政令第八條に総理府できめるところにより年金債務を一時金に換算して支拂うとございます。ポツダム宣言は、戰後ある一定の期間、敗戰国として受諾したものでありまして、従つてそれに基く命令にも、ある場合従わなければならなかつたものがありますが、独立国となる場合、命令はあり得ないのでありまして、今後はすべてが民主的に行われて行かなければならないと思います。そうした意味からいつて、当然ここにある総理府令というものは法律にかえられ、債務に関する換算率は法律によつてきめられなければならないと思うのでございます。こういう、総理府令できめるというふうに独断的にするところに、現内閣が国民と離れて独善的な行動をすると言われ、非難の的となるところがありますので、今後そういう点に十分注意されんことを望みまして、賛成するものであります。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 林百郎君。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 共産党を代表いたしまして、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く賠償庁関係諸命令の措置に関する法律案につきましては、私の方は反対であります。理由は、特定財産管理令の廃止等がその反対の理由の最も中心になるのでありますが、われわれが戰争の責任を明確にし、日本の国の軍国主義的な勢力の復活を嚴格に押えるということは、ポツダム宣言並びに極東委員会の、日本の国に課せられた重大な任務の一つであります。ところが最近吉田内閣は、続々ここの戰争犯罪人あるいは戰争責任有の追放を解除しまして、この復活をはかり、日本の国をして再び軍国主義的な空気を横溢させて、かつての軍国主義への逆もどりをはかろうとしておるのであります。人的には戰犯の追放解除をすると同時に、財産的な保護の処置も、このようにして、特定財産管理令の廃止という形でやつておるのであります。こうした一連の吉田内閣の軍国主義的な復活の意図をもつてなされる法律的な処置に対しては、わが党は平和を愛する日本国民を代表しまして、断固反対するものであります。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 これにて討論は終局いたしました。採決いたします。ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く賠償庁関係諸命令の措置に関する法律案を、原案の通りに可決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

仲内憲治自由党

○仲内委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。     —————————————

仲内憲治自由党

○仲内委員長 次に麻薬に関する協定、條約及び議定書を改正する議定書並びに附属書への加入について承認を求めるの件を議題といたします。本件につきましても、別に質疑はないようでありますから、ただちに討論に移ります。討論の通告がありますので、これを許します。佐々木盛雄君。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 私は自由党を代表いたしまして、本件に賛成の意を表します。戰前多数国家間におきまして締結されておりました阿片及び麻薬に関する六組の條約、協定及び議定書は、従来その一定の任務を国際連盟に與えておつたのでありますが、国際連盟の解消の結果は、これらの任務をいずれかの機関に引継ぐ必要が生じたわけであります。この議定書及び附属書は、これに応ずる措置といたしまして、これらの任務を国際連合及び世界保健機関に引継ぐために、六組の條約、協定及び議定書に必要な改正を加えることを規定いたしたものであります。日本はこの六組の條約のうち、一九三六年にジュネーヴで締結されました條約を除く他の五組の條約の加盟国でありまして、またわが国は昨年九月八日サンフランシスコにおいて、この議定書及び附属書に加入することを、平和條約において宣言をいたしておるわけでありますから、今回この加入について承認を與えることは、もとより当然のことであろうと考えるわけであります。そのゆえにわが自由党におきましては、本條に賛成をするものであります。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 並木芳雄君。

並木芳雄改進党

○並木委員 改進党も賛成であります。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 戸叶里子君。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 社会党も賛成であります。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 林百郎君。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 共産党も、こうした危險薬の取扱いについて、国際的に協力をして、世界人類の健康と福祉を増進するという点については、何ら異議はないのでありまして、この條約及び議定書を改正する案については賛成いたします。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 これにて討論は終局いたしました。  それでは千九百十二年一月二十三日にへーグで、千九百二十五年二月十一日、千九百二十五年二月十九日及び千九百三十一年七月十三日にジュネーヴで、千九百三十一年十一月二十七日にバンコックで並びに千九百三十六年六月二十六日にジュネーヴで締結された麻薬に関する協定、條約及び議定書を改正する議定書並びに附属書への加入について承認を求めるの件について採決いたします。本件を承認すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

仲内憲治自由党

○仲内委員長 御異議なしと認めます。よつて本件は承認すべきものと決定いたしました。  なおただいま採決いたしました二件につきましての報告書の作成は、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

仲内憲治自由党

○仲内委員長 御異議がなければ、さよう決定いたします。     —————————————

仲内憲治自由党

○仲内委員長 次に国際情勢等に関する件を議題といたします。質疑を許します。菊池義郎君。

菊池義郎自由党

○菊池委員 行政協定の大体の概要が発表されたのでありますが、米軍のための施設、地域は大体何箇所ぐらいになる見込みでございましようか。はつきりわかつておりますか、まだ決定されておりませんか、もしできるならば具体的に……。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 まだ何箇所とかどうとかいうことははつきりわかつておりません。

菊池義郎自由党

○菊池委員 それでは施設、地域における米軍の権利、権限の主要なものを参考にお聞かせ願いたいと思います。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 間もなく岡崎大臣がお見えになるので、行政協定に関します問題は大臣が見えてから御質問願う方が正確を期すると思いますので、行政協定以外の問題でしばらくお願いしたいと思います。

菊池義郎自由党

○菊池委員 それではあとまわしにいたしまして、行政協定以外の問題についてお尋ねいたします。日本の賠償でありますが、今まで極東委員会のさしずによりまして、全国の六百十四の工場施設が今日まだ賠償が解除されず、そのままになつておりますが、これはいつごろ解除される見通しでございましようか、その辺のお見通しをお伺いしたいと思います。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 菊池君、賠償庁の所管ですが、今政府委員がおりませんので、あとで……。

菊池義郎自由党

○菊池委員 いやそれは賠償庁の所管というようなものの、外務省に入つております情報でたいてい御見当はつくのでありましよう。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 建前といたしましては、講和発効と同時に一応根拠法といいますか、根拠になりますものが全部かわつて参りますから、そのときに原則としては一応解除になるものと考えられるのであります。さらにそれをその後引続きどういう形で使うかという問題については、まだ今後の研究に残されておると思います。

菊池義郎自由党

○菊池委員 これは非常にうれしい御報告でありますが、つまり講和條約において日本の賠償が役務賠償に限定されたということによりまして、講和後にこれはみな解除されると考えてよろしいわけでございますか。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 大体さように考えていいと思います。

菊池義郎自由党

○菊池委員 それから小笠原の引揚者の復帰でありますが、六千人ばかりの人が内地へ全部引揚げて来ておりますままに、まだ向うへ返されていないのです。日本国中のどの島も住民が引揚げたままになつているところはないのでありますが、今まで司令部に当られた向うの意見はどういうものでございましようか。向うに残つておりますのはただアメリカ系の人々ばかり百何十人でありまして、みな帰りたがつておるのです。非常な作物の豊富にできるところでありまして、帰つて働きますならばたいへんな得になるわけでありますが、小笠原島だけまだ返さないのです。まことに不合理千万であると思うのであります。この小笠原島が将来どうなろうと、とにかく住民は返さなければならいものであるとわれわれは考えているのですが、その点についての御意見をお聞かせ願いたいと思います。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 これはただいま菊池委員からお話になりました通り、現地に帰つておりますものは欧米系の二世というか、帰化人の百三十名ばかりで、まだ六、七千くらいはこちらに残つております。その通りであります。これは御案内のように、小笠原帰還促進連盟というものができまして、昭和二十二年以来、当時のマッカーサー司令官、引続いてリツジウエイ大将、ダレス特使、シーボルト外交局長と引続きましてたびたび帰還促進の請願、陳情を行つておるのでありますが、まだ実現に至つていないことは、われわれといたしまして非常に残念に思つておるところでございます。今後も島民の熱意が先方に反映いたしまして、なるべくすみやかに目的が達成できますように、ただいまでもあらゆる機会をつかまえまして、それぞれ島民の熱望を当局に伝えておる次第であります。今後とも一層努力を続けて行きたいと思つておる次第でございます。

菊池義郎自由党

○菊池委員 米国の方では、向うへ返さないというのはどういう事情に基くものか、何か事情があるのか。理由は別にないでしようが、どういう事情でしようか。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 先方からもその事情の説明もございませんし、今のところどうもどういう理由で返さないのかということは……。

菊池義郎自由党

○菊池委員 その事情くらい聞いてください。そんな腰の弱いことでどうなりますか。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 もちろん聞いたり、いろいろなことをやつておるのでありますが、先方が今日に至るまで事情をよく説明してくれないようであります。まことに残念に思つてあります。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 並木芳雄君。

並木芳雄改進党

○並木委員 行政協定がやや明らかになるとともに、まだ非常に不安が残つておるので、特にその中で警察予備隊が保安隊になつた場合に、海外派遣というような問題が起るのじやないか。こういうような点は解明され盡しておりません。政府はそういうことはないという答弁はしておりますけれども、釈然としない。そこで佐藤長官に私は憲法の建前から若干質問しておきたいと思います。  その第一点は、憲法第九條に、自衛権はある、しかし自衛戰争はできないということが明らかになつております。ところで自衛戦争はできないというのならば、これはつまり戰力の行使によるところの自衛戰争はできない、こういうふうに政府は解していると思います。そうすると九條を見ますと、戰力と武力という文字が使いわけをしてあります。政府はあるいは警察予備隊とか保安隊とかいうものは戰力ではないけれども武力ではある、こういう解釈をするのではないかと思うでのす。そうすると自衛権の発動として自衛戰争はできないけれども戦力の行使にあらざる他の方法による自衛行為、つまり自衛武力の行使というようなも  のはできる、こういうふうに解するのではないかと思いますけれども、まずこの点お伺いしてみたいと思います。

佐藤達夫法務府法制意見長官

○佐藤(達)政府委員 大体において並木委員のおつしやるところ当つておると思います。私どもの了解しておりますところは、今のお言葉にもありましたように、憲法は侵略戰争を禁止しておるということがその主眼であることは当然でありますが、この九條から逆  に自衛権があるかないかという点に相なりますと、今のお話にあつたように自衛権のことは触れておりませんから、これは自主独立の国として一般に認められている自衛権というものがあります以上は、憲法九條の規定せざる限り、わが国においても自衛権は確かにある。これはもう問題のないところであると思います。ただ自衛権の行使というその手段の問題になつて来ますと、九條の第二項によつて戰力というものを否定しております。それから国の交戰権というのを否定しております。従つて自衛権行使の有力なる手段というものは否定されておりますから、換言するならば、自衛戰争というようなものはできないような形になつておるということが言えると思います。  そこで自衛権があります場合に、その自衛権を行使する場合の戰力、それから交戰権というものは否定されておりますけれども、それ以外のそれでは方法が何かありはしないかということになれば、それは戰力にあらず、また交戰権の活用によらない方法というものは、これは差引勘定すれば当然あるわけであります。そこでときどき話に出ますことは、竹やりを持つてとか石を持つてとかいう話が出て来るのです。それは今の観念につながつた事柄であると存ずるのであります。でありますから憲法の建前は今申しましたようなことであると思いますが、さてしからば今現実の問題としてお触れになりました警察予備隊がどうかということになりますと、これは私どもの考えといたしましては、もちろん警察予備隊は憲法第九條第二項にいう戰力ではありません。また武力であるとも規定しておらないわけであります。保安隊になつたあかつきにおいてはどうかということにつきましても、今までの政府の——これは政府といいますけれども、私自身の立場からいいますと、最高政策には触れておりませんから、客観的な描写をいたしますけれども、政府のいわれているところを聞いておりますと、これを予備隊の性格とかわつたものにするというような考えは、全然うかがわれておらないわけであります。

並木芳雄改進党

○並木委員 今の御答弁で結局自衛戦争はできないけれども、警察予備隊という今の姿そのままでもつて、戰力の行使にあらざるところの他の自衛行為、この中に含ませて、万一自衛権の発動として警察予備隊というものが海外に出る場合があつても、それは憲法違反ではないというふうにとれますけれども、その通りですか。

佐藤達夫法務府法制意見長官

○佐藤(達)政府委員 海外に出る場合は一言も私申し上げておりませんので、少くとも今日の現行制度のもとにおいて、警察予備隊令その他においてこれが海外に出るということは、制度上規定されておりません。のみならず自衛行為として海外に出るということは、普通には想像されないところであろうと私は考えております。

並木芳雄改進党

○並木委員 それをつまり憲法の建前からもう少しはつきりしていただきたいのです。つまり憲法の建前としては、もし必要の場合に自衛権の発動として国の外に出ることがあつても、それは違反にならないのだ、こういうことが言えるわけですがどうですか。

佐藤達夫法務府法制意見長官

○佐藤(達)政府委員 それは自衛権という事柄の観念の問題になりますが、日本の国家に対する急迫性の侵害、それをいかなる線において食いとめるか、海岸線において食いとめるか、領海内において食いとめるかという問題であつて、事の性質から当然判断さるべき問題であると考えます。

並木芳雄改進党

○並木委員 私もそう思うのです。ですからそこに一脈の不安がある。つまり自衛権の限度内ならばやはり海外に出るということも憲法の建前から考えられる。  そこで私は次に今佐藤さんが触れられた自衛権の限度の問題なのです。自衛権の発動には他にかわるべき方法がないということが重要な條件の一つになつております。ですから私は今度の日米安全保障條約によつて、米軍が日本に駐留する限りは警察予備隊なり、あるいは名前がかわつて保安隊になるにしても、それが出なければならないという現実の状態は起り得ないと思うのです。つまり他にかわるべき方法がある、それは米国の駐留軍が当るべきである。だからいかなる自衛権の発動の状態が起ろうとも、日本の警察予備隊あるいは保安隊というものは、米軍が駐留する限りは自衛権を発動する対象にならないのだ、こんなふうに考えるのですけれども、どうお考えになりますか。

佐藤達夫法務府法制意見長官

○佐藤(達)政府委員 米軍が駐留しようとしまいと、予備隊なり保安隊は外に出るということは全然考えておりませんし、問題にならないと思います。

並木芳雄改進党

○並木委員 日米安全保障條約に、日本及び極東の平和を守る、そのために駐留しておるのですから、いかなる事態が起ろうとも駐留軍が当るべきであつて、日本の警察予備隊あるいは保安隊というものは、国内不安に限られるものである。私はつまり他にかわるべき方法がないという状態が起り得ないと思うのです。その点くどいようですけれどもいかがですか。

佐藤達夫法務府法制意見長官

○佐藤(達)政府委員 警察予備隊というものは先ほども触れましたように、国内治安の維持のために国家地方警察及び自治体警察の力を補うためにできているのでありまして、今の駐留軍がおろうとおるまいと、それにかかわらずにできている制度でありますから、それが外に出て行くとかどうとかいう問題は、われわれはゆめにも考えておらないと申し上げるほかはないのであります。

並木芳雄改進党

○並木委員 それならばいいです。私はもう少し憲法に照してそれをはつきりさせようと思うのですけれども、そういうふうに答弁されますと、次にそれをさらにつつみ込んで行く方法がなくなつてしまうわけです。私としては自衛権の発動というものをもう少しはつきりして、自衛権の発動の対象にならないということを言つてもらえば、そうすれば海外出動というようなことも絶対に起らないのだという保障になるわけなのです。  次にお伺いしておきたいのは、日本の側では自衛権の発動であるといつて、万一その限度内で海外に出た場合があるとする。それでもやはり国際法上ではこれは自衛戰争である、こういう誤解を受ける場合が多いと思うのです。かつて自衛戰争であると称しながらそれが侵略戰争とかわつたと同じような意味において、日本では主観的に自衛権の発動であると思つても、国際法的にはこれはそうでなく、自衛権の濫用であるといういうな場合があるのです。ですから日本の憲法で自衛戰争を禁ぜられておるにもかかわらず、自衛権の発動であるとして出動するようなことがあるならば、これは非常に日本としては立場が苦しくなると思うのです。その点をひとつお伺いしておきたいと思います。  それからもしあくまでも日本が、それは戰争ではないのだ、自衛戰力ではないのだと言つてがんばると、これは国際法上暴動ですか、徒党とかそういうふうなものにみなされて、今度は逆に国際法上の享受すべき権利を受けない。たとえば捕虜の取扱いを受けないで、重罪犯人として絞首刑にかけられるような取扱いを受けることなども考えられるのです。そういう点に対して政府の考えを聞いておきたいと思います。

佐藤達夫法務府法制意見長官

○佐藤(達)政府委員 大体御趣旨をそんたくいたしますが、この自衛権の名義の濫用ということは、これは歴史を通じてあつたことであり、かつあり得ることであろうと思いますけれども、これはもちろん主観的判断でなくて、客観的に判断せらるべきことである。その事態が濫用であるか、本来の自衛権のわく内であるかということは、主観的に判断すべきではなく、客観的に判断せらるべきであるということは、これは当然のことであろうと考えます。この万一云々、たとえば万一この自衛権の発動として日本がそういう誤解を招くようなことがあつたらというようなお尋ねにちよつと拝聴いたしましたけれども、そういうことは先ほどからるる申しましたように、ないことであり——ないことであるというと独断的でありますけれども、この憲法は、むしろ自衛戰争の名において侵略戰争がなされた、それがいけないから憲法九條というものができているのでありますから、そういうことはあり得ないことだと用います。

並木芳雄改進党

○並木委員 あとの点はどうでしようか、国際法上の権利を受けない、暴動とみなされるという……。

佐藤達夫法務府法制意見長官

○佐藤(達)政府委員 国際法の問題になりますと、西村條約局長というエキスパートがおりますから、その方にとくとお尋ね願つていいと思いますけれども、それは国際法上の戰争でないものについては、戰時国際法なり何なりの適用がないことはこれは明らかであります。国際法上の戦争であれば、戰時国際法上のいろいろな、何といいますかいわゆる交戰権と私ども狭く解しておりますけれども、交戰権をおのおの認められる。客観的に言えばそれだけのことであります。

並木芳雄改進党

○並木委員 今度の行政協定の案を新聞で拝見いたしますと、米軍に雇われるいかなる日本人の要員といえども、これは米軍の要員ではないというようなことが触れております。そこでちよつとお伺いしておきたいのですが、日本人が自分の意思に基いてアメリカの軍隊に雇われて、向うの飛行機に乗つたり船に乗つたりして、戰闘行為に従事するようなことが、日本の憲法上許されることかどうか、こういう点なんです。

佐藤達夫法務府法制意見長官

○佐藤(達)政府委員 これは現実問題はどうなるか、私ども存じませんが、純粋の憲法論として申し上げますならば、日本人個人々々というものは職業選択の自由を持つておりますから、その職業選択の自由に基いて、自分の選ぶところの仕事につくということは、これは憲法が禁止してはおらない。ただ国家として困るという立場からそれを制限する立法をすることはこれは考えられましよう。そういう特設の制限の立法がない限りにおいては、職業選択の自由というものが働いて来るというふうに申し上げなければならないと考えます。

並木芳雄改進党

○並木委員 もう一つ聞いておきます。それは憲法違反の疑いのあるものに対する提訴の問題について、憲法上の解釈をお聞きしておきたいと思います。例の八十一條です。これは具体的の問題が起らなければ提訴できないのだというふうに解するのは、私は少し狭いのじやないかと思うのです。それはなぜかというと、九十八條に「この憲法は、国の最高法規であつて、その條規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。」ここに宣言的な一つの條文があるのです。そうすると最高裁判所というものは、明らかに憲法違反の法律その他の行為が出た場合には、たといそういう提訴がなくても、一つの宣言的なものをやつているのだから、具体的の問題が起らなくても当然提訴できるのだと私は思うのですけれども、政府の考えをこの際明らかにしておいていただきたい。

佐藤達夫法務府法制意見長官

○佐藤(達)政府委員 これは実は立法政策の問題で、こういう法制をつくつたらどうかという立法政策の問題としては、私は並木委員の御指摘のようなむずかしい問題があると思います。そのことはあとでまた触れてもよろしゆうございますが、立法政策の問題としてはその問題はあるかもしれない。しかしながら現行法制上その道は認められておらない。現行法制はなぜその道を認めておらないかと申しますと、結局それはさきに触れました立法政策の問題を解決するかぎにもなるわけなのですが、一体裁判所というものは、どういう本来の職能を持つているものか、司法権の作用というものは本来どういうものかということを考えてみますと、これは伝統的に一つの相場がきまつているわけです。その相場というものは、結局裁判所は具体的な事件につい具体的に適用をせらるべきその法規をまず確定して、それをその具体的な事情に当てはめて宣言するというのが本来の司法権の作用であることは、もう古今東西を通じて誤らざるところであろうと思う。現行法制はその建前にのつとりまして、個々の具体的事件に関連して、たとえば今の農地改革について補償金が少いのは憲法違反ではないか、第一農地法自身が憲法違反じやないかというふうに、土地を無理やりに買い上げられた側の地主さんが、自分の損害を種にして訴えて出る。その訴えについて裁判管轄がどうなつているかというと、地方裁判所、それに不服があれば高等裁判所、さらに憲法問題であれば最高裁判所にたどりつく、下の方からたどりつく。そうして最高裁判所としてはその人の訴えをその具体的事件について、憲法違反であるとか憲法違反でないとかいうようなことを判断しているわけです。それが本来の司法権のあるべき姿であつて、憲法もそういう司法権を前提としてできている。従つて今申し上げました現行法制というものは、むしろ憲法の予想しているところに合致していると思います。そうすると今の現行法制上ずつと最高裁判所にこの事件は憲法違反じやないかという訴えを出すということは、許されておらないということになると思います。

並木芳雄改進党

○並木委員 八十一條と九十八條についての用語の問題ですが、八十一條は「一切の法律、命令、規則又は処分」、そうなつています。九十八條の方は「法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部」。用語が違うのです。これはどういうわけですか。

佐藤達夫法務府法制意見長官

○佐藤(達)政府委員 これは大体の趣言を申しますと、この九十八條の方は憲法改正の前後を通じてのことを頭に置いて書いたのであります。ことにこれは憲法の前文にも同じような文句が出ております。その点からいつても明らかでありますように、およそ新憲法の前後を通じましてすべての行為のことを網羅的に効力問題をここで解決して行くという立場から、詔勅からあるいはまたその他の行為の全部というようなことで広く表現を用いている。ところがこの八十一條の最高裁判所の関係は、御承知のようにこれは法令審査権ということで今後起つて来る問題を主眼として規定している條文であります。そこでたとえば九十八條の方では法律、命令と簡單にやつつけているところを——やつつけているという言葉はたいへん失礼でありますけれども簡單に済ましているところを、法律、命令、規則というふうに砕いている。しかし大きく飜つて考えますれば、ほんとうはあまり言葉を使いわけても実益のないところでありますけれども、そういう気持で書きわけている。その程度に御承知願えればけつこうであると考えております。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 松本瀧藏君。

松本瀧藏改進党

○松本(瀧)委員 まず一番最初にお伺いいたしたいことは、講和條約の発効の大体の見通しでありますが、今までわれわれは三月の上旬あるいは中旬、下旬というぐあいに、いずれにしても三月中には効力が発生するというような印象を受けて参りました。十一箇国のうちのアメリカを含んだ大筒国の批准寄託によつて効力が発するというここは、條約に書いてある通りであります。しかるに、今日まで批准書を寄託した国は英国ただ一国であります。その他の国の進捗状況等については、われわれまつたくわからないのでありますが、この状況並びに効力の発生いたしましすところの時期に対する見通しの問題について伺いたいと思います。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 他の十箇国ですか、アメリカを除くと九箇国になりますが、それぞれ準備を進めておるようであります。但し多くは——これは想像でありますが、アメリカの批准がいよいよきまるときに具体的に手続を進めるのじやないかと思います。従つて一般には、今言われたように、三月中はというふうにも言われてありますが、われわれの国会等の発言においては、三月もしくは四月というふうに言つておるわけであります。

松本瀧藏改進党

○松本(瀧)委員 次に御質問したいことは、治外法権の問題でありますが、先週のこの委員会におきまして、治外法権の定義が問題になりました。政府委員の答弁におきまして、治外法権というものは土地についているのだという説明があつたのであります。内外の国際法学者のいろいろな見解を調べてみましたところが、外国人が現に住んでいる国の法律下に立たないもの、特にその国の裁判管轄権に服さないものを、広義に解決いたしまして治外法権といつているものがあります。また大使とか公使、イミュニティー並びにスペシャル・プリヴイレツヂを與えられている人に対しても治外法権というものが認められている。これを狭く解釈いたしまして、領事裁判権を認める場合のみを治外法権といつている見解もあるのでありますが、しかし内容におきましては中身は同じだと思うのであります。従つて治外法権というものは、岡崎国務大臣の見解では人にもあるものである、こうお考えになりますかどうか、ひとつ所見を承りたいと思います。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 治外法権というのは、私の知る範囲では、これが治外法権だというふうに、はつきりした定義はないように思います。今言われたようにはつきりしないで、あるいは領事裁判権のことを言つたり、あるいは居留地のようなものを設定して、そこだけでやるというような場合を言つたり、いろいろすると思つております。治外法権という観念は、これは言葉が簡單だからずつと使われて来たのだと思いますが、内容は、いろいろわけて、その具体的なものを議論しないと、ただ一括して治外法権というような意味で話をすると間違いが多い。つまり自分の方と相手の方で観念が違つたものを持つて言つているかもしれぬという場合が多いと思います。私は特に治外法権が何であるかということは、十分の知識もございませんが、しかしそういうふうに考えております。

松本瀧藏改進党

○松本(瀧)委員 そうしますと、先週の外務委員会における土地に限定しておるという説明は、これは必ずしもそうではないというふうに、私ども政府の見解として受けるのでありますが、属人主義にも治外法権的のものが認められるという解釈が成り立つと思うのであります。そうしますと、今度の行政協定の中の、ことに裁判権の問題等におきまして、治外法権的のものが十分認められるというような感じを抱くのでありますが、これにつきまして、岡崎国務大臣の見解をお聞きしたいと思います。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 この前私がここで申したのは、属地的というか、属地方式といいますか、ある地域の中においてはある国の裁判のみが適用されるというようなことは、治外法権的のにおいがよけいするからというふうにお話したと記憶しております。治外法権であるということは一言も言つたはずはないと思います。が、それは別として、一般的に治外法権といわれておるもの、これを狭義に解釈して、たとえば大使館が治外法権であるとか、軍艦が港に入つて来るとそれは治外法権になるとか、こういうものは別として、普通のいわゆる——これはあいまいな意味ですが、治外法権と称せられているものは、外国の一般の居留民が、裁判上その他のの特権を受けた場合をさすのであつて、特殊の、たとえば国際法で、ある特権なりあるいは慣習なりを認められておる軍隊が特別に駐屯する、その軍隊に限つて、ある種のものを裁判権その他において認めるということと、それからその国の一般の居留民が、そういうような特権を認められるということとは非常に違うと思います。それで今度の協定なども趣旨は軍隊の所属員だけのことであつて、何もアメリカ人全般にある種の特権を認めるとかいうふうふうなことではないのでありますから、私は治外法権の定義がいかなるものにせよ、そういうことで論ずるのは間違いであると考えます。

松本瀧藏改進党

○松本(瀧)委員 いろいろな学説等あたりが、今後行政協定が明るみに出ますと、いろいろな論戰の的になると思うのでありますが、いずれ将来この問題をもつといろいろとお尋ねすることにいたしまして、次に移りたいと思うのであります。  今日まで日本の国民は、行政協定の内容につきまして、いろいろ知りたがつておりました。昨日の一部の新聞にその行政協定の内容なるものが発表されましたが、これによりますと、今まで政府から説明を受けたもの以上の詳しいものが出ておつたのでありますが、はたしてこれが正式のものであるかどうか。いろいろと内容が違つておりますので、われわれわからないのでありますが、いずれにいたしましても、その内容を読んでみますと、先ほど軍隊に属しているものというお言葉がありましたが、その通りで、軍人であろうと軍属であろうと家族であろうと、また公用中であろうと私用中であろうと、これらの軍人、軍属並びに家族が、地域の内外を問わず、すべてその裁判権が米国側にあるという原則のように考えられるのでありますが、さようでございましようか。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 これはなるべく話を早く終つて公表したいと考えておりますので、その際さらに十分御研究を願いたいと思います。ただいまのところは内容自身には直接触れることは避けたいと思いますが、いわゆる属人主義といいますか、そういうやり方は当然今おつしやつたような意味になるわけであります。

松本瀧藏改進党

○松本(瀧)委員 先般の本会議における説明の際におきましても、家族ということがはつきり入つておりました。従つてこういう面から見まして、私はちよつと世界に例のない協定ではないかという感を深くするのであります。たとえば世界の例を見ますと、家族はもちろんのことでありますが、軍人においてすら、これは地域内は別でありますが、地域外にあつては、その駐在する国の裁判権が大原則になつておるのであります。但しその中に例外として三つ私どもは発見いたします。その一は、メンバー・オブ・ザ・フオーセス、すなわちこれは軍人、軍属に限定されておるのではないかと思うのでありますが、そのメンバー・オブ・ザ・フオーセスの公用中の軍人、軍属ということでありましよう。これが第一。第二は軍人同士が犯した事件、第三は駐在しておるところの国の国家安全——セキリユリテイという言葉が使つてありますが、国家安全に関する問題に触れたとき、しかもこのセキユリテイというものの範囲がはつきり限定されておりますが、四つにこれがわけられております。反逆罪であるとか、あるいは怠業、間諜、国防上の祕密、こういう場合に限定されております。挾められた範囲内の国家の安全の問題に触れた場合には、これは裁判権が向う側にあるというように規定されておるのでありますが、これを最もきついと思われますところのフィリピンとの協定と照し合せてみますと、フィリピンにおいては、この三つとも規定されております。しかし英国の場合におきましては、このセキュリティの問題、国家の安全だけにこれが限定されております。またNATOの協定によりますと、軍人同士の事件と、いま一つは公務中の軍人、こう限定されております。こういうぐあいに比較してみますと、日本の場合には、この三つのほか主部が含まれておる。しかもアメリカ側の裁判権というものが非常に広い。日本の司法権というものに制限が加えられておる。しかも家族に対するところのとりきめというものは、世界にはまつたく例のないものであるというぐあいに、私ども研究の結果教えられるのであります。従つてこの問題に関しまして、岡崎国務大臣の考えを承りたいと思います。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 われわれもNATOの方式が一番いいと考えておりますが、これはまだ効力を発生しておりませんので、効力が発生したならばそれにならおうと思つております。その趣旨で話をいたしております。それまでは大体私はイギリスとアメリカの間の一九四二年のとりきめといいますか、その趣旨に従つたつもりでおります。

松本瀧藏改進党

○松本(瀧)委員 英国のとりきめの趣旨に従つたと言つておられますが、もし昨日の新聞の内容というものに少しでも真相があるとしたならば、非常に苛酷なものであつて、たとえば銀行ギャングのごときものも、日本の法律ではせ罰られない。施設内で日本の国家の安全を侵すような犯罪があつても、日本では罰せられない。あるいは外出中の兵隊が日本人を殺しても、これは日本でさばかれないということになりますと、これはきわめて治外法権的な、最も悪い範疇に入るのではないかということを私どもは考えるのであります。しかしこれをいくら問答しておつても始まらないので、いずれ正式の発表がました後に、いろいろとまたその内容を取上げて検討していただきたいと思うのであります。  次に先ほどNATOのとりきめがきまりましたらそれにならうのだ、新聞によりましても、そういうことが書いてあつたのでありますが、このNATOの協定の十八條の中に、加盟四箇国の批准終了後三十日に効力を発生するということが書いてあるのでありますが、一体その後の批准状況というものはどうでありましようか。参考までにひとつお聞かせ願いたいと思います。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 まだいつかちよつとわからないと私どもは見ております。

松本瀧藏改進党

○松本(瀧)委員 全然見通しはつきませんですか。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 これはわれわれの関係した問題ではないものですから……。(「関心を持つべきだ」と呼ぶ者あり)NATOのことは、関心を持つたつて、それ以上のことはわかりません。

松本瀧藏改進党

○松本(瀧)委員 これはきわめて重大な問題でありまして、NATOの協定の効力が発生した場合にはこれを切りかえるといつても、先がわからない場合には、二年でも三年でもひつばられる。あるいは、新聞によりますと、一年後は云々ということがありますが、もしそういうことになりますと、日本の一般国民は、やはり占領が継続しているという強い印象を與えられるのであります。私どもは日米関係はできるだけ友好的にこれを持つて行つて、両国の関係をもつともつとスムーズにやることによつて、日本の将来を考えたいという強い信念を持つて一員であります。しかし今の行き方では、ますます反米思想を不必要にあおり立てるような傾向にあるというように私どもは考えますが、その点に関して、御所見を承りたいと思います。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 私はここでさらに発表したときに、内容についてはつきり御意見も伺いたいと思いますが、元来昨日の新聞は、私の知る範囲では朝日新聞と読売新聞に出ていたと思います。私は念のために二つを詳細に比べてみましたが、両方とも非常に違つております。そうすると、どうもどの新聞をとつて議論されるのかよくわかりませんが、私が今考えつつある協定とも大分違うところがあると思います。従つて、いよいよ確定したときに御意見をゆつくり伺いたいと思いますが、NATOの協定が効力を発生する前は、結局こまかい点は別としまして、趣旨においてはいわゆる属人方式といいますか、あるいは属地方式といいますか、このどちらかの原則をとらざるを得ないと思います。それ以外の方法は何もないのであります。(「占領の継続だ」と呼びその他発言する者あり)それを占領の継続などと言うは、無理に自分から卑下されておるのであつて、何らそんな理由はないのであります。また私の知る限りでは、たとえばポーランドに駐屯するソ連軍の特権などというものは、これは恐ろしいものであります。念のために申し上げておきます。

松本瀧藏改進党

○松本(瀧)委員 私の質問は昨日の読売及び朝日及びけさの毎日新聞に出ております、あの行政協定の内容を基準にしてやりましたので、どれをとつて云々というのではなく、與えられました共通の感じを取上げて質問しておるのであります。そこでこの問題は非常に重要でありまして、いずれ行政協定が発表されました後に、またいろいろ御質問する権利を留保いたしまして、次に移りたいと思います。  安保條約第三條の中に、軍隊の配備を規律する條件を行政協定に託しております。しかしてこの三つの新聞の内容を見ますと国民の権利義務、予算並びに司法権に制限を加えるような重大な問題が規定されております。普通の協定の観念から申しますと、これは技術の問題であり、たとえば電信、電話、郵便というような面の技術協定というものが、今日までの協定というぐあいにわれわれは解しておるのでありますが、この中には大蔵省の関税問題のごとき、法でまだ決定していないものまでがやはり含まれております。こういう重大な協定というものは、これは国会において事後承認を得る必要があると思うのでありますが、いかがでありましようか。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 これは何べんも申した通り、安全保障條約第三條に基く細目のとりきめでありまして、日本の政府が行政府として結べる範囲のものを結んでおります。従つて行政府限りでは実行のできない、たとえば法律を要するもの、予算を要するもの等は、法律なり予算を国会で成立させたときに、効力を発生するのであつて、それまでは効力を発生しない、これは当然であります。

松本瀧藏改進党

○松本(瀧)委員 ただいま国務大臣の御答弁は、いつも承るところでありますが、しかしながらこういう場合にやや行政協定の内容がはつきりして参りますと、これは單なる協定を逸脱しておる、非常に広い範囲のコミツトメントであるということをわれわれは感ずるのであります。このNATOの行政協定ですら、十八條に批准を必要としておるのであります。協定という言葉は、ただ言葉の上でこれをぼかしてありますが、議定書、協定、條約というものを全部調べてみるとわかるごとく、きわめて簡單なものが條約であつたり、きわめて重大なものが協定であつたりするのであります。その意味からしまして、私はこの厖大なるところの行政協定というものは憲法第七十三條に基いて、国会の承認を求めるということが原則ではないかと思うのであります。アメリカの場合におきましても、新聞によりますと、仮調印をする方がいい、仮調印をして事前にアメリカの国会で了解を求めて、しかる後に日本とのとりきめを批准するというような方向に行つているということを聞きますにあたつても、日本においては、われわれはこれを国会において承認を求める必要があるというように考えるのでありますが、その見解を承りたいと思います。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 NATOの協定というものは、これは今講義なさつたように、協定とか條約とかいろいろりますが、これは行政協定ではないと考えております。従つて批准を要するのは当然である。しかしわれわれの方のは行政協定であるということを初めから断つております。なおただいま新聞に云々と言われましたが、新聞はおおむね正確に報道されていることは認めますけれども、この点は正確でないと思います。仮調印をして上院の承認を求めるなどということは、ごうも根拠のない報道であると思います。

松本瀧藏改進党

○松本(瀧)委員 私に與えられた時間をすでに超過いたしましたので、もう一点だけ御質問いたしまして、あと時制を割愛したいと思うのであります。最後に承りたいことは、先ほど申しましたごとく、アメリカにおきましても、事前の承諾を得て、そして批准に入るというような方向に進んでおります。こういう重大な協定を国会において承認を求めることなく、政府がどんどんやつて行つたならば、先ほど申しましたごとく、協定という名前はあるいはぼけておるかもしれませんが、條約よりももつとこれはきついものである。これを承認なしでするということになりますと、政府がいろいろこういう協定を結ぶことによつて、国内法に優先するような場合が起ると思う。最悪の場合には、憲法ですら協定を結ぶことによつて、これをかえるというような事態を起すのであります。これは私きわめて危険なことであると思う。従つてそういう意味におきましても、こういう問題はもつと慎重に取扱うべきではないかと思うのであります。昨年でしたか、この外務委員会で当時の大橋法務総裁は、国際協定は国内法に優先するということをはつきり言つておるのであります。そうしますと、こういうぐあいにどんどん政府が協定を結ぶことによつて、国内法に優先するような事態をもたらすということになりましたならば、少数の政府によつて、国民の意思を無視して、旨く言えば独裁的な傾向、あるいは総動員法よりもつときついものが出るということを、われわれ恐れるのであります。これにつきまして岡崎国務大臣の見解をただして、私の質問を打切りたいと思います。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 政府は当然法律を忠実に遵守する義務を持つておるのでありますから、法律違反というようなことは決していたしません。なお先ほど繰返して申しておるように、必要な立法措置は国会の承認を得なければむろん動かないのでありますから、行政府の権限内でとりきめ得るものは、政府としては当然とりきめてさしつかえないと考えております。

黒田寿男労働者農民党

○黒田委員 ちよつと岡崎国務大臣に関連質問をさしていただきたいと思います。実はただいま松本委員からお尋ねになりました問題は、根本問題でありまして、先般の予算委員会におきまして、私はこの問題を岡崎国務大臣にお尋ねしたのであります。岡崎国務大臣はただいま松本委員に対してお答えになりましたと同じような御答弁があつたのであります。岡崎国務大臣の御答弁それ自身としてははつきり割切つておられる。この行政協定は国会の承認を求むべき條約ではない、こういうふうに割切つておられるのであります。ただ政府の部内におきまして、岡崎国務大臣はそのように割切つておいでになりますのに、木村法務総裁の御答弁はそうでなかつたのであります。それからまた大橋前法務総裁の前国会における行政協定の性格に対する御答弁も、岡崎国務大臣の御答弁とは違います。それで私は実は、昨日予算委員会において、この点につき徹底的に総理大臣御自身の口から政府の御解釈の統一されたものを伺いたいと考えたのでありますが、遂にその機会を與えられないで、今日に及んでおるのであります。そこで私は木村法務総裁の答弁に関する部分についてまでは岡崎国務大臣にお尋ねはいたしませんが、もし岡崎国務大臣があくまで国会の承認を要するものでないというように御主張なさいますならば、私はひとつ次の問題をお伺いしてみたいと思います。  それは憲法の第九十八條の第二項に、「日本国が締結した條約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」ということになつております。そうしますと、この條文との対比において、行政協定は国会の承認を経る必要がない協定である。そして私どもの解釈では、この第九十八條の第二項の、日本が締結した條約というのは、憲法第七十三條第三号の国会の承認を経たる條約である、こういうふうに解釈しております。これはついでに佐藤長官にお伺いしてもいいと思いますが、私どもはそういうふうに解釈しておりますので、私どもの解釈から行けば、——これは私どもの解釈だけでなくて、憲法学者も大体私どものように解釈しておると思いますが、そういう解釈から行けば、この行政協定という、新聞に発表されております二十九條もあるような重大なる国際協定は、われわれ国民がこれを誠実に遵守することを必要とするところの條約にはならぬ、その條約の範囲には含まれないという結論になる。われわれがこれを大して遵守する必要がないような協定だ。こういうことになつて来ると、重大問題になるのではないか。そういう矛盾が生ずるように私は思います。この点について岡崎国務大臣にお尋ねしまして、なお多少憲法上の解釈になるかもしれませんので、幸いに佐藤長官が法務府における最高の政府委員としてここにおいでになつておりますから、今私が申しました第九十八條第二項の、「日本が締結した條約」とは、これは憲法第七十三條第三号の條約であるかないのか、国会の承認を経ないような條約もこれに含まれるのかどうか、私は国会の承認を経た條約でなければ、第九十八條第二項の條約ではないと思いますが、この点あわせて佐藤長官にもお伺いしてみたい。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 この前に安全保障條約が国会にかかりましたときに、反対党の諸君がいろいろ論議をされました。その論議の一つの重要な点は、安全保障條約第三條に行政協定を結ぶということが書いてある。これは政府が自由に結べるのであるから、この内容がわからないうちに條約そのものを承認するのは困難である、こういう議論がしばしば衆参両院にあつたと記憶しております。つまり安全保障條約締結の承認のときに、すでに反対党の諸君はこの條約を承認すれば、政府は行政協定を結ぶ自由を持つものである、こういう仮定のもとに議論をされておつたと思います。ところが、安全保障條約は承認されたのでありますから、当然政府はその意味からいつても、行政協定を結ぶ自由は認められておると考えております。また他の憲法上の問題もありますが、それは私よりは法制意見長官の方が正確と思いますから、佐藤君よりお答え願いたいと思います。

黒田寿男労働者農民党

○黒田委員 佐藤長官よりお答え願う前にちよつと岡崎国務大臣にお尋ねします。今岡崎国務大臣のおつしやいましたことは、今まで岡崎国務大臣の、この行政協定について国会の承認を求める必要がないという大臣御自身の論拠としておいでになりましたこととは全然違う。岡崎国務大臣が今まで言つておいでになつたことに関連して私は尋ねたのである。岡崎国務大臣は先日の予算委員会においては、安全保障條約が承認されておるのであるから、行政協定もあわせて了解が得られておるのだという議論は絶対にしておられません。それは木村法務総裁がそういうことを言つておられたのである。あなたの御答弁はそういうことではなかつた。もつと割切つていた。国会の承認を経ないという結論だけが法務総裁と同じなだけで、その理由は全然違う。私は特に先般予算委員会におきまして岡崎国務大臣に御質問したのです。きよう、今になつて急に他の理由をおつしやるなら、それもそれでよろしい。私は次の議論に進みましようけれども、一体岡崎国務大臣は何を言つておいでになるのですか。どちらがほんとうなのですか。きようになつて両方だとおつしやるのですか。それをひとつはつきりしてもらいたいと思います。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 私は自分の説明は繰返し繰返しあきるほど申したのであります。それでもわからぬから、別の論法をもつて説明したのであります。

黒田寿男労働者農民党

○黒田委員 わからぬのではない、わかつておるから質問したのです。そんなばかなことはない。私はあなたの御意見はよくわかつておる。どういうことがわかつておるかというと、元来が国会の承認を経べきものではないというあなたの意見、それはよくわかつておる。だから、そういう協定であるならば、今新たな問題が起る。第九十八條第二項の條約に含まれるかどうかという問題を提起したのである。わかつていないから、質問しておるのではない。あまりによくわかつておるから質問したのです。ただあなたの御意見が他の閣僚とあまりにも相違がある。そうしてあなたは独自の解釈を持つておいでになるから、私はそれを問題にしておるのです。なお私はあなたの独自の解釈に対しては、日本の憲法の建前から見て、そういう解釈は間違つておるということは先日予算委員会で申したから、きようは申さないが、今提起した問題点についてはつきりしてもらいたい。今まで予算委員会において、なお、きよう松本委員に対してお答えになつたような意味で、あなたはこの行政協定は国会の承認を経る必要がないと言われるのか、それとも木村法務総裁が言われるような理由をも、あわせてもう一つつけ加えたいとおつしやられるのか。あなたの意見がはつきりすればどちらでもいいのです。これは二本で行くのか、一本で行くのか、その点はつきりさせてもらいたい。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 私の申した意見はしばしば申しているのと全然かわつておりません。

黒田寿男労働者農民党

○黒田委員 そうしますと、あなたは行政協定は国会の承認を経る必要がないという御意見と解釈してよろしいですか。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 それは申すまでもございません。なお木村法務総裁にも確かめましたが、私の意見とかわつておるところはありません。

黒田寿男労働者農民党

○黒田委員 それは違います。それではよろしい。関連になりますから、ひとつ佐藤長官の御意見をちよつと承りたい。

佐藤達夫法務府法制意見長官

○佐藤(達)政府委員 岡崎国務大臣のおつしやつた通りであります。それ以外に蛇足をつけ加える必要はありません。

黒田寿男労働者農民党

○黒田委員 そうではない。私があなたに質問したのは、そんな答えを得るために質問したのではない。憲法第九十八條第二項の條約というものは、国会の承認を経た條約だけを含むのか、それとも国会の承認を受けない條約、すなわち岡崎国務大臣の言われるような行政協定をも含むものであるかということを私は尋ねたのである。岡崎国務大臣の言われるような議論から行けば、国会の承認を経る必要のない一種の協定であるから、日本国民が尊重すべき條約の中にはそれは含まれぬものであると私は思う。しかしそうではなくて、憲法第七十三條第三号の條約であるということになれば、それはまた別問題になる。私があなたに質問したのは、この行政協定のことをお尋ねしたのじやない。間違えていただいては困る。私が佐藤長官にお尋ねしたのは、憲法第九十八條第二項の日本国が締結した條約というのは、憲法第七十三條第三号の国会の承認を経た條約のことではないか。国会の承認を経ないような一種の協定というようなものは、この九十八條第二項に含まれないのではないか、これに対する佐藤長官の御意見いかん。これを尋ねたのであつて、それに対してはつきりとお答えを願いたい。

佐藤達夫法務府法制意見長官

○佐藤(達)政府委員 言葉は重なりますが、二段にわけてお話した方がいいと思います。  第一段には、もとより行政協定といえども本年の安保條約の付属でありまして、実質的にはこれは一体をなしており、関連を持つたものであります。従いましてその点からいいますれば、安保條約及びその実施細目である行政協定についても、御指摘の憲法の條文は働いておるということになります。  これは簡單明瞭であろうと思います。  第二段は言う必要はないと思います。

黒田寿男労働者農民党

○黒田委員 はつきりしない。私はそんなことを尋ねているのじやない。この第九十八條第二項の日本国の締結した條約というのは、憲法第七十三條第三号の條約のことであるか。そういう承認を含まない條約、すなわち憲法第七十三條第三号以外の国際的協定もこの二項に含むかどうかということを尋ねているのであるから、はつきり答えていただきたい。顧みて他を言うような、そんなぼんやりした答えを、佐藤長官ともあろうものが、されては困る。イエスかノーか、それだけはつきり答えてもらいたい。

佐藤達夫法務府法制意見長官

○佐藤(達)政府委員 イエスかノーかは今お答えした通りであります。それはイエスであります。言葉を重ねて申しますれば、たとえばここで御審議になつた條約の郵便関係の協定とか…。

黒田寿男労働者農民党

○黒田委員 そんなことを聞いているのではない。

佐藤達夫法務府法制意見長官

○佐藤(達)政府委員 私はりくつを申し上げているのでありますから、りくつだけをお聞き取り願いたいと存じます。その中で細目事項は別に郵政官庁あるいは郵政当局者においてきめるということが條約の中にうたわれているのであつて、それに基いて郵政当局者がこまかい協定を結ぶことはたくさんございます。その場合に本体の條約だけが拘束力があつて、こまかい郵政当局者の協定は全然拘束力がないというような議論はそこに出る余地は全然ないと思う。これは理論的にはつきりしたことであると考えます。

黒田寿男労働者農民党

○黒田委員 私は関連質問でありまして、佐藤長官に対して私はもつと議論したいし、承服はできませんが、しかし佐々木君の発言の順序になつているようですから、私はこの程度で、ここではとめて、また他の機会に佐藤長官あるいは法務総裁にもこの点もつとお尋ねいたします。一応関連質問は終ります。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 佐々木君。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 私は岡崎国務大臣に行政協定に関する問題につきまして、きわめて総括的なことでありますが、二三の点を承つてみたいと思います。  まず第一に、国会内におきまして行政協定をめぐる論議がすさまじく行われているわけでありますが、一面岡崎・ラスク会談というのはただいまきわめて順調に進んでいるそうでありまして、これは近く妥結調印の運びになるということでありますが、一体いつごろ調印の運びになるものか、その点についてまず承つてみたいと思います。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 いつということをまだはつきり申し上げられないのは、はなはだ残念でありますが、ごく二、三の点は別としまして、もう実質的には話はほとんど終つております。ただわれわれの方も政府に報告してその承認を求めなければならないわけなのですが、ラスク大使の方も国務省に報告して承認を求めなければならぬ。ところが時差の関係がありまして、こちらが晝聞電話をかけても、向うは夜中になるということで、距離がありますものですから、訓令、回訓といいますか、そういうものがどうしても東京におるより遅れがちになることはやむを得ないことであります。そういうものがすつかり出そろい、それでみんないいということになりますれば、できるだけ早く妥結に持つて行こうという考えで、もうそんなに時間も要さないのじやないかと思つております。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 次に私は、先ほど来各委員から熱心な討議の行われておりました、いわゆる行政協定という條約の方式に関連して質問をいたしたいと思うのであります。今度の行政協定というような方式は、国際條約の中でまことに新しい行き方であろうと考えるわけであります。なるほど先ほど来岡崎国務大臣の繰返し申し述べておりますように、今回の行政協定というものは、日米安全保障條約第三條に基くものでありますから、従つて私は法理論的には、行政府に委任された事項でありまして、必ずしも国会の承認を必要とするものとは考えません。しかしながら政治的な行き方としては、野党の諸君の指摘されておるような点もまた一面において私は多分に尊重すべきではなかろうかと考えるわけであります。もとよりこういう新しい方式は、アメリカのような大統領に対して非常に広汎な権限の與えられております国におきましては、大統領の権限の範囲内において行政協定ということを締結する自由を持つておるのでありましようけれども、日本のように国会が国権の最高機関であるという新しい憲法の精神等から考えますと、やはり政治的な行き方としては、国会の承認を求める方が、より理想的ではなかろうかと考えるわけであります。しかしそれによつて、ただいま政府のとつております方針が間違つておるとか、越権であるとかいうことをわれわれは指摘するわけではございませんが、こういう方式は将来も繰返してとられるものかどうか。一つの新しい時代の動行といたしまして、これからもしばしばこういつた方式がとられるのではないかとも考えられるわけであります。なるほど安全保障條約という総括的な外包み、オブラートだけは国会が承認をいたしておるわけでありますが、その中に盛る、オブラートの中に鎮静剤を包むか、興奮剤を包むかという、そこまでのことも国会があらかじめ承認するかどうかという問題は、おのずから別の問題でもあろうかと思います。そこで私のお聞きいたしたいことは、こういつた方式が今後ともしばしばとられるものであろうかどうかという点につきまして、政府の御見解をまず伺つておきたいと思うわけであります。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 この内容が重大か重大でないか、技術的であるか技術的でないかは御判断によるわけでありますが、形式的にいえば、前からこういうことは行われておつたのであります。これは形式だけの問題ですが、たとえば先ほど佐藤君が指摘しましたように、郵便條約の細目は政府間できめるというようなことで、実質は細目による場合が非常に多いのであります。また今後も、條約においてこう協定を結んでさしつかえないということが規定されて、これが国会の承認を得ますれば、行政府は当然こういうことはできると思いますが、将来やるかやらないかということになりますと、事態の状況によるものでありまして、やるともやらないとも方針としてははつきり申し上げることは困難かと考えます。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 次に私はいわゆる伝えられます行政協定なるものの大体のアウトラインを通してお聞きするわけであります。米軍の出動の場合の條件や時期等の問題でありますが、これは真相を伝えておるかどうか知りませんが、いわゆる新聞の報道によりますと、米軍が出動する場合におきましては、米軍を日米安全保障條約第一條に規定された目的のために使用するにあたつては、必要に応じて日米両国政府の間に協議が行われなければならないと規定いたしております。その日米安全保障條約第一條というのは、申すまでもなく一つには極東における国際の平和と安全の維持のために、二つには日本へ外部からの武力攻撃が加えられたときに、日本の安全を守るため、三つには外国の教唆または干渉によつて引起された日本国内における大規模な内乱、騒擾を鎮圧するため、この三つの場合に限つて米軍が出動するというふうに解釈できるわけでありますが、政府はこれに対してどのようにお考えになつておりますか。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 その通りであります。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 そういたしますと、外国から軍隊が日本に侵略を加えた場合でなくして、單に国内における内乱や暴動が起つた場合においても、アメリカ軍は出動する。たとえば先般来各地において騒擾事件がたくさん起つておるようでありますが、こういつた騒動がもう少し大規模になつて来て、日本の治安力をもつてしては、この安全確保に十分でないというように認めた場合においては、アメリカ軍が出動して、日本国内の治安に当るということになるわけでありますが、そうでありましようか。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 それは條約に明記してあります通り、第一の要件は、日本の政府の要請によるわけであります。ただいま政府としては、国内の予想されるような治安の撹乱はあまり見られませんし、またかりに何かあつたとしても、国内の警備力で十分これは治安の維持に当り得る確信を持つております。しかしながら浮来どういう事態になるか、なかなか予想もできないわけでありますから、万一の場合をおもんばかりまして、日本政府の要請があつた場合は、そういう場合にも出動できる、こういうふうに規定してあるわけであります。これはまあ万一の用心とでも申しましようか、そういう意味であります。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 この合同委員会というものは、米軍の出動の問題には全然関係のないことを扱うものでありましようか。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 これは先ほどから申しておりますように、條約に基いて、いわば細目をきめるのでありますから、この中にきめられたことは、行政協定として動く限りにおきましては、比較的機械的といいますか、そういう種類の細目に限るように、政府としては注意をいたしておるのであります。従いまして合同委員会でやる仕事のおもなるものは、條文はまだできておりませんが、内容的に申せば、主として施設及び区域を決定する、また将来その施設がいらなくなつた場合においては、よくこれを見て、いらなければ日本に返すとか、万一ほかに新しい施設を必要とする場合には、これを調べて出すというような、施設、区域に関することがおもなる仕事であります。その他行政協定の運営にあたつていろいろ必要がある場合には、それには関與いたします。しかしながら出動等のむずかしい大きな問題については、合同委員会は関與しない建前といたしております。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 そういう緊急事態が生じたときに、日米両国の間で協議を行うというのでありますが、合同委員会が緊急事態に処する軍の出動に関する問題を取扱わないといたしますと、はたしてどういうところでこの問題を取扱うのか、そういう協議をするのは、どういう時期において協議するものか、いかなる機関を通じて協議を行うか、あるいはそれに対する指揮権はどうなるかというようなことについて承りたいと思うのでありますが、行政協定の中の一番の眼目は、やはり治安の確保、内外から来るところの脅威に対して安全を守るということが最大の眼目でありますから、従つて軍隊の出動ということが私は一番の重大な問題であろうと思います。そこでこれを合同委員会が取扱わなければ、一体どういう機関で取扱うかということも、かなり私は交渉の中には出て来たのじやなかろうかと思います。またこの点につきましては、かなり明確にしておく方がよくはなかろうかと考えるわけであります。あまりとりきめが具体的でなくしてぼけておりますと、とかく力の関係や国際政治力の関係等におきまして、場合によつては日本の好ましからざるような事態あるいは紛争というような微妙な、複雑な問題が生れて来はしないかとも考えるわけであります。そこで当然これらの点につきましては、具体的なとりきめとか、條約、協定というものができないまでも、岡崎ラスク間におきましては話合いが行わるべきであると考えますし、また当然行わなければならない思いますが、その軍隊出動の場合の協議の時期や機関、あるいは指揮権というようなものはどういうふうになつておるかという点について承りたいと思います。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 少しお言葉を返すようでありますが、安全保障條約の趣旨は治安維持と申しますか、そういう日本の安全保障にあることは当然でありますが、その主たるねらいは、前にダレス氏が言われたように、デタリング・パワーと申しますか、アメリカの軍隊をここに駐屯することによつて、侵略を未然に防ぐといいますか、相手国にむやみに日本を侵略するというような気分を起させないということが主眼であります。従つてどちらかといいますと、戰闘行為を目的としてアメリカ軍がここにおるのではなく、平和維持といいますか、そういうことが起らないためにおるのであります。従つて原則としてはアメリカ軍がここにおる限りは、そういう不測の事態は未然に防げるという考えで来ておるのであります。むろん御指摘のように、そういつても万一の場合があります。ことに安全保障條約の中にもありますように、世界にはいまだ無責任なる軍国主義が跡を絶たぬという状況でありますから、そういう場合も万一の場合として考えておくのは当然であります。そこでいろいろ考えましたが、この問題は安全保障條約の細目といいますか、言葉は正確でありませんが、それに基く行政協定でとりきめるにはあまりに大き過ぎる問題である、こう考えます。同時にこれは日本国にとりまして、あるいはまた日本国民にとりまして、あるいは容易ならぬ万一の場合があればたいへんなことになるのでありますから、当然行政府の中心である日本政府がアメリカ政府とおそからざる時期に、これはいずれ国際の情勢でありますから、危険の兆候は前もつてわかりましようし、そういうときには、おそからざるうちに両国政府でとくと協議をする。それ以外に私は方法はないであろう、こう考えております。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 軍隊の出動等の問題を取扱うために、両国政府間において別個に話合いをするというお話でありますが、そういたしますと、今度の行政協定とは別に、またたとえば協定であるとか、あるいは申合せであるとかいうような、両国間に何らかのとりきめができて、それに従つてその軍事行動の問題等を取扱う、こういうふうな措置を講じようという御方針でありましようか。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 ただいまのところはあらかじめそういう協定をつくるという考えは持つておりません。元来これはどういう事態になるか想像がつかないのでありますから、その危険なる事態がかりに万一起りそうな状況にあつたときに、いち早くそれに適応する最良の手段を両国政府で相談する。これは相談するのはあたりまえの話でありますが、それよりほかに、今からこういう事態にはああやる、ああいう事態にはこうやるというふうに書くことは、とうていむずかしいのではなかろうか、こう考えております。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 今のお話によりますと、いよいよ現実にそういう緊急事態が起つて、その起つた事態に対処するために、両国政府間において急遽話合いを遂げる、こういうふうに解釈できるわけでありまして、そういう不測の事態が起らないであろうというふうな想定のもとに立つておられるようでありますが、私はまつたくそれとは見解を異にするわけであります。日米安全保障條約の中にも明らかに書いてありますように、米軍出動の場合、先ほど申した三つの場合のまず第一の極東における国際の平和と安全を守るために——今日極東においてこれほど極東の平和を乱されたときはないと私は考えます。また日本で外部からの武力攻撃に対して日本を守るために——今日本の周辺は世界歴史始まつて以来の非常な脅威にさらされておる。これほど脅威にさらされた例はかつてないと思います。第三の要素は、外国の教唆または干渉によつて引起された日本国内における大規模の内乱を鎮圧するため——まさにこれに類似する事件が最近頻々として勃発して、国民は戦々きようきようとしておるわけであります。かかるときにおきまして、そんなことは起らないであろう、起つた場合に急遽両国政府の間で話合いをするというのでは間に合わないのではないか。でありますからどうしてもあらかじめ、万一起つた場合にはこういう機関を通じてこういうふうにやるのだという申合せくらいは当然必要じやなかろうかと考えるのでありますが、それらの点についてはいかようにお考えになりますか。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 国内の例も引かれましたが、最近いろいろの事件が起つておるのは新聞でも御承知の通りであります。が私は内乱というものが起りそうなけはい濃厚なりと感じてはおりません。また国際の情勢も険悪であることは、私ども当然承知しておりますが、しかし吉田総理もしばしば言われるように、第三次世界大戰というようなことは起らないであろう、こういう見通しを政府は持つておるのであります。しかしながら今申しましたように、それでもそうのんきなことも言つておられないだろうから、万一の場合に備えるためにこの條約を結んだのであります。そのときは、国の最高の行政責任者である政府が米国政府と交渉する、話合いを進める、これが最良の方法で、別にその下に機関を設けるとか、そういう取扱いの人間を定めるとかいうことでなくて、政府全体が共同の責任においてこれに対して善処する、これが最も正しい方法であろうと考えております。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 最後に私はもう一点だけ確かめておきたいと思いますが、緊急な事態が起つた場合に、そのときに初めて両国政府において協議をする、そういう方針である。従つてあらかじめ万一起つた場合のことを想定しての話合いはしない、こういうわけですか。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 これはその情勢判断と申しますか、そういうことも当然政府としてはアメリカ政府とも、ここに軍隊を置いてもらう以上は、危険であろうか危険であるまいかということについては、おのおの材料を持ち寄つて将来はむろん相談をいたすでありましよう。これは常識的のことでありますが、しかし実際の具体的の措置というのは、そういう危険が実際に起らないにしても、危険が見えて来たというような場合に、はつきり具体的なことがきまり得るのであつて、その前に想定してやることはなかなかむずかしいのではないか、こう依然として考えております。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 もう一点だけ。日本の予備隊を中心とするところの国内の治安力と申しますか、というものと駐屯軍との協力の問題これまた今後話合いによつてきめるということになるのか、どこで一体そういう問題は協議することになるのでありましようか。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 これは国内の治安の第一の責任者はむろん警察であり、それが手に負えない場合に予備隊が出て来るわけであります。万一それでも手に負えない場合には、安全保障條約の規定に基いて、日本政府が米軍の出動を要請することがあるかもれぬということになつておりますから、予備隊と駐屯軍との間には、そういうような場合には緊密なる連絡があると思いますが、今は予備隊は予備隊、駐屯軍は駐屯軍ということで、われわれの方からいえば、自衛力の増強をはかつて行く、こういうつもりであります。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 戸叶君。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 行政協定の目的とするところは、当然日本側の平和と安全保障のための防衛を目的とするといわれております。それもそうでありますけれども、それだけでなしに、アメリカの防衛のために日本との協力ということが大きな目的になると思うのです。そこで新聞などを読んでおりますと、アメリカ側の言動から、日本の国民は、日本の国のためにだけやつてやるんだという印象しか受けられないのですが、これは日本政府が秘密外交をもつて卑屈な印象をアメリカ側に與えておる結果の現われではないかと私は思うのでございます。たとえば欧州防衛の問題をめぐりまして、ドイツが対等の立場を強調しておるのと比較してみたときに、日本の政府が、いかにもふがいないように私どもは感じられるのでございます。そうした印象を一般国民に與えておる責任は、行政協定の直接任に当つていらつしやる岡崎国務大臣にあると思うのですが、その点どうお考えになるか、伺わせていただきたいと思います。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 これは日本の安全保障のためのみでありまして、アメリカの防衛には関係はないのであります。私どもはこれはまつたく平等の立場で日本の——ただ残念なことは、われわれの方に軍隊とか、そういう国を守る手段がありませんので、その点ではアメリカの援助を求めておるのでありますが、それ以外の点におきましてはまつたく平等に、また日本の利益のためにこういう協定、條約を結んでおるのであります。決して卑屈なことでも何でもありません。戸叶さんもどうぞそういう意味で国民によくお話を願いたいと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 日本の利益のためのみであるとするならば、もつと日本側の意見がいれられてもいいのではないかと思うのでございます。たとえてみますならば、裁判管轄権の問題も、先ほど来いろいろ問題になつておりますが、属人主義とか属地主義というようなうとが唱えられて、当然私どもから見れば、駐留軍の家族の人たちの裁判権までもアメリカ側にあるというようなことは、不合理だということを主張できるのではないかと思うのですがどうしてそういう点が主張できないのかどうか伺いたい。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 駐留軍が日本におるということは、これは日本においては初めての事態でありますから、まだわれわれも国民の認識を得るだけの説明も十分でなかつたかもしれませんが、実は駐留軍がおるのはよその国においてもしばしば例のあることでございます。またその駐留軍の裁判管轄権あるいは駐留軍といいますか、外国の軍隊の所属員とはいかなるものかということにつきましても、家族を含めたという例はあるのでありまして、日本が初めてということではないのであります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 それに関連していることなんですけれども、先ごろ起きた千住の富士銀行のギヤング事件とか、そういうような事件が国内にひんぴとして起つて参りまして、これは外国人のしたことであるということがはつきりしております。いくら国内で警察予備隊が擴充されて、そうして治安を保とうといたしましても、そういうような外国の人で国内治安を乱す者が現われて参りましたときに、日本人は今まで非常に卑屈な教育がされておりましたために、今日のような裁判管轄権の決定を見ましたときに、日本人はさらに卑屈になつて、外国人が日本人の治安を乱した場合にも、積極的にこれを取締ることができないような立場になると思うのでございます。そういうようなことを考えましたときに、もつと日本人にとつて日本の利益になるような裁判管轄権——利益というとおかしいですけれども、日本人にとつて有利なような裁判管轄権というものが與えられなければならないと思います。そこで私例をあげて御質問したいと思います。たとえば今は占領下にありますから、この前の例を引くのは当らないかもしれませんが、この間のような凶器をもつて人を脅迫された場合に、日本側もこれにピストルで応対することが今後において許されるかどうかということも、はつきり伺つておきたいと思います。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 お説のように一般に卑屈なような感じがありとすれば、これははなはだ残念なんで、できるだけこれは直して行かなければならぬと思います。これは今の銀行ギヤングのお話ははたしてアメリカの軍の所属員であるか、それとも軍服を着た違う外国人であるか、これはわかりませんが、いずれにしましても、凶器をもつておどかされたというような場合に、正当防衛からいいましても、当然こちらが凶器を持つて対抗する——持つておれですが——ことは当然できることであります。何もふしぎなことはないのであります。また今後独立しましたあとにおきましては、むろん日本の警察官等がこれを逮捕することもできれば、あるいは嫌疑がありと見れば捜査することをもできる、これは当然のことと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そういうような犯罪とか、あるいはまたそういうような犯罪によつて起きた被害、あるいはまた損害の賠償というものは、今後の一体だれが支拂うようになつているのでしようか。たとえば米軍基地においての演習などが行われて、その接続地帶などが機関銃あるいはその他の流彈によつて被害をこうむるような場合もあると思うのです。それが今後はどういうふうに処理されるか伺いたいと思います。それはなぜかと申しますと、先ごろ習志野で機関銃を持つてアメリカ軍が練習をしておりました。その流れだまがある人に当つて、その人の生命を失つたときにごくわずかの弔慰金が與えられた。それは占領下にあるときですからしかたがないと思いますけれも、今後はそういう場合にどういう賠償方法がとられるかを承りたいと思います。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 行政協定の内容はまだ発表の時期になつておりませんから、直接それについて申し上げることは差控えますが、独立後におけるそういう事態に対しては、国際的の慣習があるのでありまして、これに従うことは当然日本としてあたりまえのことであります。普通それによりますと、公務の場合と公務でない場合とにわかはますが、今おつしやたのは公務の場合のように思います。日本に駐留するアメリカ軍というものは、公務でいろいろ演習をするということは、同時にこれは万一の場合でありますが、万一の場合には日本の安全を保障するために、平時から訓練をしておるものでありますから、そういう公務のために損害を及ぼしたことは、それはむろん故意にやつたことでも何でもありませんししますので、被害者に対しては十分の補償を與えることになつております。そしてそれの費用はどこから出すかといいますと、これは今申しましたようにアメリカ軍の演習ではあるが、同時に日本の安全保障のためにも平素から訓練しておかなければならぬということでありますから、これは両国政府が分担するというのが普通であります。もつとも国によつて両国政府が半分ずつ分担するというような例はありますし、先ほどお話の北大西洋條約に基く協定の中では、確か七割五分が被害国、二割五分がその駐屯している国というふうにしようとしているようであります。まだこれは成立しておりません。こういう分担の率は多少違うようでありますが、両国政府が分担するということはかわらないようであります。またそれで補償をかりに拂いました場合といえども、被害者が満足をしないときは、これは普通の手続によつて国内の裁判所に訴えて損害賠償を求める権利は当然被害者にある、こういういうわけになるのが普通のやり方であります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 それではそういうような規定は一応今度の行政協定の中に盛られるわけでございますか。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 今申したように、もうわかり切つたようなことでありますが、両国間の話合いの結果できる協定でありまして、まだ発表されておりませんから、私からそれに直接触れることは避けたいと思いますが、常識的にはそういうふうになると、こうお考えになつてさしつかえない。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 直接侵略を受け、そうしてまた緊急非常事態が起きた場合においても、警察予備隊あるいはまた保安隊になるでしようが、そういう人たちは侵略軍を防衛してこれを撃退するのにとどまつて、海外には出動しないということを幾たびか政府が答弁せられておりますが、そういうことに対しましては国民はまだみな納得の行かない点が非常にある。いざという場合に連れ出されて行くのじやないかというようなことを言つておりますが、その点のことをはつきり行政協定の中で、そういう場合に日本の防衛隊などを出動させないということが、規定づけられておるかうどかを承りたい。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 行政協定はアメリカの駐屯軍のデイスポジシヨン、国内における配備というか、デイスポジシヨンをきめる協定となつておりまして、それ以外のことは政府としても條約によつて権限をまかされているとは思いません。従つて予備隊をどう使うかということを行政協定に入れるということは、これは筋が違うと思つております。予備隊は予備隊令等に基きまして、日本の国内の治安を維持するということになつておりますから、政府のたびたび申すように海外には出て行かない。今おつしやつたような万の場合、また万の想定でありましようが、言われるような場合もありましよう。りくつからはあり得ると思います。安全保障條約の第一條には、アメリカ軍は国内だけで日本への侵略なり国内の内乱なりを防ぐのではなくして、必要があれば極東の平和維持のために国外にも出動できるということになつております。従つて予備隊は国内で治安を十分に維持するというような運用のやり方はいろいろある思います。予備隊が出て行くということは政府としては全然考えておりません。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 米軍の出動のことがさつき佐々木委員からも問題になりましたが、ここに直接侵略あるいは極東の平和と安全のために出動する際は、事前に政府と協議することになつたと書いてあります。これは当然今までのような日本が占領されているときには占領軍のすることにはわれ関せず焉で、黙視していられましたが、今後は独立国になりますと、そういうことを黙認することができなくなると思うのです。その場合日本に相談をかけられ、あるいは日本と話合いの上で出動する場合には、当然あらゆる責任というものが日本にもかかつて来る、共同責任を負わなければならなくなると思うのであります。そうしたところに駐留兵が日本から外国へ出動した場合に、その報復爆撃を日本が受ける可能性が多くなると思うのですが、そういうことに対する政府の責任はどうであるかを伺いたいと思います。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 極東の平和が脅かされるような事態というものは、これは当然日本の治安あるいは安全にも関連のあることでありまして、今おつしやつたのはよくわかりませんが、要するに安全保障條約というのは、日本の安全を守るためにある。その日本の安全を守るためには、たとえば直接侵略の軍隊が日本の領水といいますか、領土内に入つて来なければ守れないのか。それでは実は役に立たない場合がある。そこで極東の平和を維持するために外へ行つて押えるということもあり得るのでありまして、日本政府としては十分その点は協議をいたし、また日本の安全にも関係することでありますから、国内で十分手配をいたすことは当然と思いますが、大筋から申せば、先ほど申したようにアメリカの駐屯軍はデタレント・パワーとしてその威力を発揮するというので、今おつしやつたような事態はむろん万一のことになるのであつて、万一の場合の用心にそういうことを定めたというふうにおとり願いたいと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 日米両国間の防衛分担金の問題ですが、今度の予算で日本側が防衛分担金を大体六百五十億計上しております。もしもこの予算で足りなかつた場合には、日米両国間の折半主義をおとりになるか、それとも日本側で負担をしなければならないかということについて伺いたいと思います。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 これは本来ならばもつとたくさんの金を出して、アメリカの負担を少くしたいというくらいに思つておるのでありますが、財源その他の関係上、そういうことができないのであります。私の申すことは誤解があるかもしれませんが、要するに頼んでここにいてもらうのだから、できるだけわれわれで費用を負担するのが当然の筋であると思つております。しかしそれもなかなかできませんから、六百五十億は出す。それ以上よけい費用がかかれば、これはアメリカの負担にしてもらうより、はなはだ残念だけれどもしかたがない、こう考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私どもから言わせます、と、六百五十億も非常に多過ぎると思うのです。その辺は岡崎さんとの見解の相違ですが、それを超過した場合には向う側が出すというので一応了承しますけれども、それだけの金は、日本の今日の経済状態から見て決して少いということは言えないと思いますし、その点は今後のこともありますから、そういうお考えをなくすようにしていただきたいと思います。  私最後に一言伺いたいことは、新聞によりますと、約二十万の国際孤児がいると言われております。これはわずか過去六年間にわたつてのことで、非常に驚くべき数字だと思いますが、この国際孤児に対して、今までは育児保護の形で十分でありましたけれども、これから学齢に達して参りましたときには、取扱い方というものを別途に考えて行かなければならないと思います。日本の国内においてこれらの孤児に教育を授ける場合に、こういう孤児が周囲からの冷たい目によつて感情をそこねて、そしてその成長過程において精神的にゆがめられて行くために、自暴自棄に陷つたりして、そしていろいろな社会問題を起すようなことが考えられるのでございます。日本人の中に混血児が入つて参りますと非常に目立ちまして、周囲から驚異の目でもつて扱われるために、その人たちがつい、親はないし、また外国人であるというような目で見られて、自暴自棄になるようなことが多いと思います。これはゆゆしい問題だと思いますが、こういう人たちをアメリカのキリスト教の団体なり、あるいはまたアメリカの何かの団体で引受けて教育してくれるというような話が、今までに外務省に入つたかどうか。あるいはまた入らないとしたならば、こういう人たちに対して何か方法をお考えになつていうつしやるかどうかを承りたいと思います。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 二十万という数字は私は知りませんが、そういうものはなかなかむずかしいのありまして、人のことを言つてはいけませんが、過去においてもいろいろそういう例があるのであります。フイリピンでも何かこれをカフエ・オウ・レー・チルドレン——コーヒーの中ヘミルクを入れたというような話でしようが、そこでもこれはなかなかむずかしい問題であります。キリスト教団体のみならず、いろいろ進駐軍の人たちも心配して、現に世話しおるのもしばしば見受けますまたいろいろ計画しているのも聞いております。またその世話をするのに本国から寄付を取寄せてやつているというところも聞いております。今後ともいろむずかしい問題があると思いますが、これは罪がどちらにあるとか、間違いの原因はどちらかということでなしに、われわれとしてはそういう子供は政府としてできるだけめんどうを見るのが当然であろうと思いまして、いろいろ頭を悩ましておるような状態であります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 今の日本の人口問題からいいましても、これはできるならばアメリカ側へお願いして、そして向うで教育してもらうという方が妥当であると思いますが、岡崎国務大臣は今のところそういうことに頭を悩ましていうつしやるだけで、積極的にそういうことを依頼なさろうとする御意思はないかどうかを承りたいと思います。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 私はまず、日本の政府がこういう子供たちのめんどうを見るのが第一の務めであろうと考えおります。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 小川半次君。

小川半次改進党

○小川(半)委員 行政協定の問題については、松本委員初め二、三の方から相当御意見が出ましたので、私はこの機会に旅券法に関連して岡崎さんにお尋ねしたいと思います。御承知のように四月三日からモスクワにおいて国際経済会議が開催されることになり、わが国に対しても一部の方々にその招請状が参つたのでございます。ところが最初に出席するとうわされておりました北村徳太郎氏やら、あるいは村田省藏氏その他の方々は、出席をおやめになつたようであります。そのやめるに至つた原因というのが、政府において旅券交付について難色があるということが伝えられたので中止されたということでありますが、政府において国際経済会議出席に関しての旅券交付はいたさないというふうな意思表示をされたかどうか、お示し願いたいのであります。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 政府としてはそういう意思表示は、まだいたしておりません。ただし国際経済会議に対する出席につきましては、たしか外務委員会で政務次官からも言われたと思いますが、政府としてはそのとき何と申しましたか、要するに賛成しない旨を示したと思つております。

小川半次改進党

○小川(半)委員 政府を代表して石原次官から、この国際経済会議は好ましくないから旅券交付を行わないつもりである、こういう正式な御答弁があつたのであります。好ましくないとは一体どこに根拠があるのか、明らかにしていただきたいのであります。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○石原(幹)政府委員 旅券を出す出さないという結論までは、私からもまだ何ら、一回も言つていないのでありまして、経済会議のことにつきましては、あの経済会議がずつと今日まで計画されて来ました発生の経過、並びにあの経済会議で動いておるいろいろな関係者の動きその他等から考えまして、これはやはりソ連の一連の平和攻勢、ことに今回は経済面を通ずる平和攻勢ではないかと考えられるのであります。それから諸外国の動き等を参考にいたしましてもそういうふうに言えるのではないか、こういう見地からいたしまして、経済会議に出るということについて、しいて意見を求められましたならば、これは好ましいこととは思わないということをこの委員会で申し上げたわけであります。

小川半次改進党

○小川(半)委員 同会議の開催趣意書によりますれば、イデオロギーにとらわれず、かつまた政治的な党派あるいは経済制度等の意見の相違等、そういう問題から完全に離れて、二つの世界を含めて平和的に国際通商の円滑な交流を促進したい、これが趣意書であります。こういう趣意書の立場から立ちますと、われわれは何ら疑う余地もないし、いわんや政府当局ともあろうものが、こういう国際経済会議の趣旨を曲解したり、変に疑つたりするということは、やはり一国の襟度を示す立場からも、これは非常によくないことだと思うのです。問題は要するに日本政府の方で旅券を下付するかしないかの問題でありますが、海外旅行の自由は新憲法においてもこれは認められておりますし、世界人権宣言あるいは旅券法の規定等、あらゆる角度から見ましても、これは基本的人権であります、政府はこの基本的人権をも押えて旅券を下付しないのかどうか。目も切迫いたしておりますから、政府はここうあたりで、はつきりした態度を示していただきたいのであります。特に私は岡崎さんを信頼しておりますから、岡崎さんからひとつお答えを願いたいのであります。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 小川君は趣意書等を申されましたが、この国際経済会議の基因するところは大分前のことでありまして、コミンフオルムの大会の決議から端を発しておるのであります。そしてそれがだんだん平和運動に転化しまして、今度の経済会議の準備会に三転して来ていると思います。そして共産党の諸君がよく平和條約等に対する反対を述べるときに、北京放送でこういつておるというようなことを言われましたから、北京放送というものはかなり信頼できるものかと思いますが、これによりますと、第一は、いわゆる自由主義諸国が、ソ連圏の諸国に対して軍需物資と申しますか、こういうものの禁輸を断行しておる、これを打破するのが第一の目的である。第二には、自由主義国家の中のある国を孤立さしたり、ある国とある国を衝突をさしたり、こういうことも目的であるというふうに述べられておりまして、日本にもその放送は聞えるのであります。そうしてその目的が、もし真に世界経済の均霑をはかるというならば、一番中立的な所でやるのがほんとうと思いますが、モスクワでやるということは、私どもには相当解せない節もあるのであります。またこれに招請するやり方も、日本におきましては、ある特定の一、二の人に手紙が来まして、その人たちの判断でいろいろの人に招請状を出しておるのであります。直接モスクワからいろいろの人に招請状が来たとは考えられせん。彼此いろいろのことから考えて、政務次官は、これは何と申しますか、おもしろくないというのですか、そういう意見を述べたと思つておりますが、私もそのように考えております。また旅券法の問題につきましては、いろいろ御意見があるようでありますが、これはこちらにもいろいろ意見があるのでありまして、実際旅券が出ておりますか出ておりませんか、私はまだ知りませんが、実際問題として提起された場合には、種々の角度から検討する、こういうつもりでおります。

小川半次改進党

○小川(半)委員 戰後わが国民の中には、かなり広範囲にわたつて、世界の各国を視察し、あるいは調査して来た方がかなり多いのでありますが、不幸にしてソ連を調査し視察した人は非常に少いのであつて、国民はソ連の実体というものを非常に知りたがつておるのですが、幸い、こういう国際経済会議があればこれに出席して、そうしてソ連の実体などをこの機会にいろいろ御報告になることが、やはりソ連を知る意味においても私は非常に有益ではないかと思うのであります。特に旅券法の手続その他の問題ですが、旅券法の立場から行くと、私は政府の方で何ら拒む余地も権利もないはずだと思います。すでに外務省の事務当局では、これについて何ら拒み得る余地がない、事務的に見れば当然旅券は交付しなければならない。旅券は御承知のように、現在は先方からのインヴイテーシヨン・レターあるいは為替保証の書類さえあれば、これは一応だれでも、法律の範囲に規定されているところの人は別として、それ以外の人はだれでも外国に渡航できるのであつて、たとえばとら狩りに行きたければ、為替保証さえあればとら狩りにも行ける。こういうような状態で、何ら旅券法の建前から行けば、拒み得る権利も何もないはずですが、一体それでも政府の方では旅券を交付しないおつもりかどうか、お示しを願いたいと思います。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 ソ連の実体を知るということは、私もけつこうなことと思つております。また諸外国でも、それはきつとそう思つておるだろうと思います。ただお断りをしておかなければなりませんことは、戰前及び戰争中も、わが国はソ連に大使を出しております。しかもそれには優秀のスタッフを多数つけておつた。また外国もそうであつたと思いますが、それにもかかわらず、ソ連の実体というものは結局つかめなかつたというのが実情でありまして、その結果、終戦当時などは、ソ連を仲介にして平和を結ぼうという申出をやつて、後に至つて、何という見当違いをやつたのかというふうに非難をされておるくらいであります。しかも正直なところ、ソ連の実体というものは、日本の優秀なる人々のソ連駐在による努力によつても、実はその程度にしかわからなかつた、こういわざるを得ないと思います。今度の場合でも、諸外国もおそらくソ連の実体を知るということについては興味があるのだと思いますが、アメリカ、イギリス等においてだれも行かないという話であります。おそらくその利益よりも宣伝に利用されたり、あるいは内部の擾乱に利用されたり、その他の不利益の方が多いからということだろうと考えております。また旅券法の問題についていろいろお話がありましたが、実は正直に申しますと、旅券法の規定の法律解釈は私も自信がないのでありまして、これは法律専門家に十分研究さしてみたいと思います。できるという意見もあるかもしれませんが、できないという意見も私は聞いております。

小川半次改進党

○小川(半)委員 世界から鉄のカーテンをおろしておると言われておるソ連が、ようやくとびらを開きかかつたのですから、私はこの機会こそ絶好のチヤンスではないかと思うのです。しかもそれについて日本が日本政府の方からこれに出席する機会を與えないようにするということは、日本こそ鉄のカーテンをおろす国であるというような、そういう誤解も私は受けるのではないかと思う。岡崎さんは多年外国におられて、各国を歩いて来られて、旅券についてこういう強制的な圧迫を加えた国はどこにもなかつたでしようし、いわんやあなたの紳士的な立場から行くと、これは当然あなたは認められるものだと私は朝待しておつたのです。この間石原次官はとんでもない、岡崎さんとは違うことを言つておるなと、私はそう考えておつたものですから、きよろ特にあなたの御出席を願つてお尋ねしたのです。私は旅券法の手続に関してもいろいろ疑義がある、とあなたはおつしやいますが、あなたは率直におつしやつてかえつて正直なんです。これは解釈によつてはいろいろな意見があるでしようから、その点私も了承しますが、しかしそういういろいろな問題にこだわらずに、やはりこの機会に参加せしめることが日本のためにもよいのじやないかと私は思うのですが、結論として一体どうされるのですか。旅券を下付する御意思がないのですか、あるのですか、これが問題なんですが、ぜひどうぞ……。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 旅券を下付しないというのがいろいろ人権の蹂躙のようにおつしやつておりますが、私の知るところでは、たとえばアメリカのごときは国務省が下付しないという権限も持つておると了解しております。決して世界に例がないことじやないと思います。ただ日本の法律につきましては、意見が二つあるようでありまして、私には今のところどちらが正当かということは、もう少し法律専門家の意見を聞いてみなければわからないのです。政府としては、法律の定めるところを忠実に実行する義務があるのでありますから、法律の解釈がどうかということによりまして、おのずからこれはやれるかやれないかきまると思いますが、もし政府が法律上も旅券を下付しないことができるという法律的の解釈になりますれば、政府としては旅券を下付したくないという腹を持つていることは先ほど申した通りであります。

小川半次改進党

○小川(半)委員 それじや政府は旅券を下付する意思がない、こう解釈してよろしいですね。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 それはつまり法律的に旅券を下付しなければどうしてもいけないのだという法律解釈になれば、それはいやでも下付しなければならぬわけです。しかも下付しないこともできるのだという解釈になれば下付したくない、こういう意味です。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 林百郎君。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 会の問題ですが、佐藤法制意見長官がおりますが、一体旅券法の第何條によつてこの旅券を下付しない根拠があるとお考えになりますか。

佐藤達夫法務府法制意見長官

○佐藤(達)政府委員 旅券法自身は、おそらく本委員会で御審議になつたでありましようから、あらためて申し上げませんが、この中に例の発給しない場合のことが規定してあるわけです。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 発給しない場合のどれにモスクワ経済会議、それから平和賞を受領した大山さんがモスクワに行くことについて、旅券を下付しない根拠があるとお考えになるのですか。

佐藤達夫法務府法制意見長官

○佐藤(達)政府委員 ここであらためて申し上げるまでのことはございませんけれども、一体この法令の執行と申しますか、行政事務というものは、すべて法律と具体的の事実とのかみ合せによつて判断して行かなければ、事はきまらないのであります。ここで抽象的に法律のりくつを申し上げるような種類の事柄ではございません。従いまして具体的事実との関連においてわれわれは研究しているというほかはございません。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そうすると法理上の解釈からいうとどうなんです。

佐藤達夫法務府法制意見長官

○佐藤(達)政府委員 法理上は先ほど触れました。この旅券法というものがございますから、何といいますか、文理上あるいは條理上導き出される結論というものが法律上の解釈であります。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 だから、それをあなたに聞いておるのです。たとえば北村さんだとか帆足さんだとか村田さんだとか、そういう人たちがモスクワ経済会議に行くのに、著しくかつ直接に日本の利益、公安を害する行為に該当すると解釈するのですか。そんなことは実情からいつたつてないじやないですか。そんなへりくつを言つたら、われわれ法律をつくつても法律の権威が認められないじやないか。しかも先ほどコミンホルムの決定でやつたなどというが、とんでもない。コミンフオルムの第何回の決定か、それを聞かしてもらいたい。東條時代だつて、日独伊の防共協定があつたときでも、日本人はソビエトに行つておるのです。あれほどの反共、反動時代でも行つた。秋田雨雀のごときは、国賓として待遇されて、日本に帰つて著作まで許されておるのですから、あなたの考えは東條目上じやないですか。先ほども聞いていれば、外国人のつくつた子供を日本政府が見たいと思う、アメリカの駐留軍の費用も少くて申訳ないと言う、一体どこの大臣なんです。そんなパンパンの子供を見るくらいなら、日本の学童の給食費でも出したらいかがです。もう少し日本の国の大臣なら、日本人らしいものの考え方をしたらどうです。ですから私は佐藤法制意見長官と岡崎さんに申し上げたいが、せつかく向うの方が手を伸ばして来たのだから、こういう人たちが行つて実情を見て、しかも日本とソビエトの間にも平和的な関係を広げて行つたら、直接侵略、間接侵略というような問題も、日本に関する限り薄らいで来て、今言うように、アメリカの軍隊が日本におる必要もなくなるでしようし、そうすれば国民の負担も減るんじやないですか。軍隊をつくるばかりではなく、和平的な空気をつくるためにも、あなたは売約済みの外務大臣だそうですから、今から外務大臣の心がけとして努力なさつたらどうですかこの点についてあなたの御見解を聞きたい。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 私の見解は先ほど申した通りであります。林君が熱心になれば熱心になるほど、よけい研究したくなる。(笑声)

林百郎日本共産党

○林(百)委員 別の問題でお尋ねをいたします。そういう売国的な大臣ではしようがない。そこで行政協定の問題ですが、あなたは治外法権ではない、治外法権ではないと言われますが、治外法権というのは、元来外国に駐在する公使、家族、随員の裁判の特権に対していわれておるのが、治外法権でありますが、しかしこういう場合でも、たとえば日本の例を申しますと、日本に駐在する公使、大使に対してわれわれは治外法権を認めると同時に、一方日本の国の当然の権利として公使に対する召還の請求、あるいは退去、追放命令の申請というような、相手方が不当な行為に出た場合には、日本の国の正当の防衛手段として、その公使に対する召還要求、退去あるいは追放命令というものが下し得たのです。また公使あるいは外国使節の暴行に対して、日本人の自衛の権利というものが当然認められていたのであります。従つてこの外国の軍隊の特権につきましても、これは当然駐屯の地域内だとか、あるいは公務執行中というような制限があるべきものを、日本とこのたびのアメリカとの間の行政協定のとりきめでは、地域の内外のいかんにかかわらず、しかも軍人、軍属、家族までの裁判権を相手方に與えているというのは、これは例のないことだと思うのであります。従つて、かつてわれわれが安政の下田條約のころですら認められていた日本の国の当然の利益を守るための正当防衛であるとか、召還要求、退去、追放命令あるいは公使の暴行に対する自衛の権利、こういうような、すでに国民が当然持つている自衛の権利というものは、この裁判管轄権問題のいかんにかかわらず持つのかどうか。たとえば日本に駐屯しておるアメリカの軍隊が、ピストルで日本人の生命、身体に危害を加えるような場合には、これに対して自分の身を守るために正当防衛の権利を行使するというようななことは、当然認められるかどうか、その点をまずあなたの御所見をお聞きしたいと思います。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 いろいろたくさんお話になつて、よく質問の要旨がわからないのですが、安政の條約というのは、これは普通の外国人の居留民に対する問題であります。今度の旭台は普通の、たとえばアメリカ人で日本に居留する人に対しては、全部日本の裁判管轄権が及ぼすのでありまして、特定の軍隊に対するものだけでありますから、安政の條約などはまつたく性質が違うのであります。  それから正当防衛等について言はれましたが、これは先ほど戸叶さんに対するお答えではつきりしたと思います。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 たとえば今度の行政協定のとりきめの中に、これを見ますと、米軍の機密及び財産に対する保護の規定を将来するつもりだというようなことがありますが、これは岡崎国務大臣も御承知の通り、今占領軍に対する保護の規定として、いわゆる三百二十五号という政令がありまして、これに基いて、たとえば平和運動をするというようなものも、これは只領目的違反だといつて彈圧される、あるいは言論、出版に対する、反戰的な言論に対してはこれを取締るというようなことがされておりまして、結局日本に駐留する米軍の軍機あるいは財産保護というようなことに対する立法が、現在の占領目的阻害行為処罰の政令三百十五号、これのまつたく継続な形をとるのでないかというように、われわれは考えるのでありますが、この米軍の機密及び財産に対する保護のための立法というようなものは考えておられないのかどうか、そううて考えているとすれば、それはどういう限度で考えられるのか、この点については、将来の日本の平和運動あるいは言論、出版そのほかの国民の権利義務に対して非常な重大な影響を及ぼすと思いますから、この点についての岡崎国務大臣の構想をお聞きしておきたいと思うのであります。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 ただいまの占領軍といいますか、進駐軍と申しますか、この連合軍は、幾つかの占領目的を持つております。その一つは、日本における民主主義の確立ということでありまして、名を平和運動にかり、あるいは再軍備反対にかりても、実際上民主主義の確立を妨げるような運動であれば、これは占領目的違反として取締られるのは当然であります。今後の、日本が独立したあとのアメリカの駐屯軍は、日本の安全を保障することを目的としておるのであるからして、性格がまつたく違つて来るのであります。従つて駐屯軍の財産とか安全とかを保障することは、その範囲にとどまります。から、そう今から御心配の必要はないと思いますが、いずれこれは研究の上成案ができますれば国会の審議を求める、これは当然でありますから、そのときまでしばらくお待ちを願いたいと思います。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 もう少し具体的にお聞きしますが、たとえば占領軍の日本国内への駐屯につきましても、これは立場を異にする者にとつては、外国への植民地化の憂いがある、あるいは日本の国をアメリカのアジア作戰の基地にされるきらいがあるということで、一日もすみやかに外国の軍隊に撤退してもらいたいという強い希望が、国民の中からほうはいとして起きて来る可能性が考えられるのであります。こういう場合に、占領軍の撤退を希望するというような言論、出版、政治運動、こういうようなものは一体取締られるのかどうか、これは日本の国民の輿論の一端としてそういう輿論も許されてしかるべきだと考えますが、こういうようなことについてはどういう構想を持つておられますか。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 そういう抽象的な御質問に対しては、なかなか返事がむずかしいのでありまして、さつき佐藤意見長官が名答弁をされましたように、法律と実体とがかみ合つてどうなるということがきまるのでありまして、もしあなたの言われるような一見無害のようなことが、実は日本の治安を乱す目的であつたり、あるいはその他平和もしくは国家の安全を危殆に陷れんとするようなけはいが見えますれば、駐屯軍の手を待つまでもなく、日本政府において厳重に取締ります。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そうすると、たとえば米軍の軍需品の生産をしている工場におけるストライキあるいは米軍の軍需品を輸送するのに対して輸送を拒否する、一日も早く占領軍が日本国から辰退してもらいたいという希望のもとに、軍需生産の拒否あるいは軍需輸送を拒否するというような権限は、これは労働者の争議権として当然ありますが、こういうような労働者の争議権を、占領軍の軍機及び財産の保護というような名目でこれを処罰するようなことを考えているかどうか、これを聞いておきたい。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 いろいろ取越苦労をしておられるようでありますが、労働者の権利は日本の法律によつて守られており、日本の法律は遵守されるのであります。しかしながら労働者の生活権の擁護というものが、変なほかのイデオロギーとまじるようなことは、好ましくないと思つております。しかしこういう場合はそのときどきのことできまるのでありますが、私はそんなに輸送の拒否とか、アメリカ軍の撤退を求めるためのストライキというようなことは、林君のお率いになるごく少数の分子を除けば、そういうことは決してないと確信しております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 少数の分子か大きい分子か知りませんが、やはり日本に駐屯している外国軍隊は一日も早く去つてもらいたい、そういう一つの手段として、労働者が賃金値上げの問題とからんで争議をしたり、あるいは軍需品の輸送を拒否するというような場合が当然考えられるのでありますが、これを将来の立法で禁止するのかどうか。あなたは具体的に問えと言いますから、こく具体的に尋ねているのでありますが、こういう場合、やはり立法措置で取締る方針なのかどうか聞いておきたい。心配するなといつても、現にやつているのです。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 ただいまのところ、国内には労力が非常にたくさんありまして、そういう人たちを雇わなくても、十分に労力の供給は確保できると確信しておりますから、そういう心配は持つておりません。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そうすると、この軍需品の生産、輸送を拒否してもこれは取締らないということを確言したととつていいですか。われわれはこれを労働者諸君に報告する義務がありますから、はつきり聞かしてもらいたい。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 ですからそれは先ほどから申すように、法律と実体とをかみ合せてみてのことである。実際に当つてみても取締られるような状況であるか、取締らなくてもいいような状況であるか、そのときの判断によるわけであります。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 林君、一時半から本会議が始まりますし、天野文部大臣も見えており、並木君の質問も残つておりますから、もう一つぐらいで……。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 それではもう二問ほどです。次に外国軍隊の出動だとか、いわゆる非常事態というような問題が論じられておるのでありますが、先ほどの戸叶委員の質問に対する岡崎国務大臣の答弁の中にもあつたように、いわゆる日本の治安の維持が、極東の治安の維持と密接な関係があるから、日本に駐留するアメリカ軍隊は、日本国外に出動する場合がある。そういう場合には、当然日本は施設あるいは役務を提供して協力しなければならない。要するに日本に駐留するアメリカの軍隊が国外に出動することによつて、日本の国の中には戰争の状態が発生して来る。日本の戰力が国外に出る出ないにかかわらず、日本に駐留するアメリカ軍隊の国外派遣によつて、協力するという形から戰時状態が出て来ると、私は考えざるを得ないのであります。そこでいわゆる非常事態、緊急事態というのは、たとえば今日台條約を交渉しているようでありますが、台湾の蒋介石政権が中国へ新しく大陸の反攻をするとか、あるいは中華人民共和国が台湾を解放して、あそこを蒋介石の亡命政権の支配から完全に取除くというような事態が起きた場合、あるいは朝鮮で李承晩政権がすでに朝鮮人民の支持を失つて、朝鮮に新しい民主的な政権ができる場合、要するに現在朝鮮あるいは台湾にある政権が変革されるような場合は、非常事態というように考えられるのかどうか。さらに最近はヴエトナム、仏印におきまして、ハノイがホー・チーミンの人民軍によつて危機に瀕している。そうするとバオダイ政権も今や危殆に瀕している。こういう場合に、アメリカの好ましい政権であるバオダイとか、蒋介石とか李承晩とか、こういう政権が人民の反撃によつて変革されるような場合は、安保條約による極東の平和と秩序が侵される、あるいはいわゆる非常事態ということなるのかどうか、その点を聞いておきたいのであります。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 国際の現に統治をしておる国々の政府の主席の名前をあげて、これが転覆するとかしないとか、そういう仮定の問題をお話になることは、この外務委員会としても適当でないと思います。こういう問題にはお答えすべき事柄でないと私は考えます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 もう一問だけ……。その点はあなたは簡單にそう言つていますが、たとえば今度の日台條約の中にも、台湾の亡命政権側からは、安全保障のとりきめをしたいということを希望條項として申出ているわけなのです。それからまた安全保障條約を見ますと、日米の安全保障條約も、将来これにかわる個別的もしくは集団的の安全保障措置が効力を生じたと日本国及びアメリカ合衆国の政府が認めたときは、効力を失うということで、これは安保條約の第四條を見ますと、将来個別的もしくは集団的安全保障とりきめをするということは、当然考えられておるのであります。それで極東において日本が集団的安全保障とりきめをするとすれば、今のアメリカ側の意向、またあなた方の考えている思想からいつても、当然台北の蒋介石亡命政権、李承晩政権、バオダイ政権、あるいはキリノもそうでしよう、こういうところと集団的な安全保障とりきめをするより道がないと思う。それらの政権が非常に人民の反撃にあつて、危殆に瀕しているとすれば、あなた方が将来とりきめをしようとする安全保障の対象である政権がぐらついて来たときは、これは極東の平和が侵されたということで、日本に駐留するアメリカの軍隊が出動する、場合によつては日本がそれに施設、役務という形でその戰争に協力するということは、当然考えられるのであります。そこでこの点は日本の将来の重要な問題でありますから、あなたとまじめに見解をとりかわしたいと思います。とにかくアメリカ人とパンパンとの間の子供を日本政府で見なければいかぬというようなことを言う将来の外務大臣でありますから、私は将来この点を非常に杞憂しておるのであります。そこで日台條約、日韓條約には絶対に安全保障のとりきめを将来しない、そういう人民の反撃を受けて、まつたく余命幾ばくもないような政権と、日本とは安全保障のとりきめをしないと、あなたはここではつきり断言できるかどうか、それを私は最後に聞いて、私の質問を終りたいと思います。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 あなたのおつしやることは、いろいろ関連があるようですが、個別的、集団的安全保障という安全保障條約の文句をお引きになりましたが、その前にもう一つ抜けている字がございます。国連によるという字があるのであります。われわれの方では、国連の安全保障体制のもとに、国連憲章に基く集団的、個別的安全保障、こういうふうに考えております。(林委員「国際連合の措置またはこれにかわる云々だ」と呼ぶ)だからそれでいいのであります。そこで将来の措置といたしましては、亡命致権とかいろいろ言われましたが、われわれは一度もどの政権を亡命一致権であり、どの政権をどこの傀儡政権であるとは言つておりません。将来適当と思う措置は、国際條約及び日米安全保障條約の趣旨によつて、政府として適当なる措置をとるのでありまして、またそのとる場合には、條約である限りは国会の承認を経るのはあたりまえでありますから、今論ぜられずに、そういう具体的問題が起つた場合に議論をされることを望むのであります。

中山マサ自由党

○中山委員 日米安全保障條約によりまして、アメリカの軍隊が日本の安全を保障するために駐留することは、むろんわかつているのであります。しかし今のところ、司令部の屋上には国連の旗が翻つております。この国連軍というものは、結局朝鮮に向つての行動としてあるわけでありますが、日本が独立した場合に、この国連の旗がなおも継続して日本に翻るのでございましようか、これはどこへ行くべき運命を持つておりますか、私はこの点を伺つておきたいと思います。と申しますのは、私の一つの心配でございますが、うまく朝鮮の休職が運ばれて、そこに平和が確立されれば、もう心配はないのでありますけれども、万一——これは仮定と言つてけられればそれまででありますが、女は気が小さいですから、万一のことも心配いたしまして、万一の場合に、もし独立した後にも国連のあの旗があるということになると、私はある大きな心配をはらむのじやないか、こういうことを考えております。独立後この国連の旗はどこへ行くかということを教えていただきたいと思います。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 たびたび申しますように、国際連合の措置は、これは戰争の行為ではないのでありまして、国際警察として、あたかも国内で警察官がどうぼうを力をもつてつかまえる場合でも、これは暴力行為とせずして、警察行為と認められると同じことで、国際連合の措置は相手国と戰争をしておるのはないのであります。そうしてわれわれは国際連合という世界の大多数の国の集つて決定した意見というものは、これは正しい意見と当然考えるのでありまして、そのために国際連合の決定に対しては協力をするということになつておるのであります。これはむろん目的は世界の平和と正義の確立でありまして、そのためにあらゆる努力を各国も拂つておりますし、日本も将来同様に貢献をいたしたいと考えております。実際問題として、これは諸外国の決定によるのでありますけれども、日本としても、もし国連の、たとえば日本に駐留する軍隊が同時に国連の軍隊であるというアメリカの決定になりますれば、駐留軍に対しては行政協定をもつてこれに当り、国連軍に対しては別に国連協力の筋ででき得る限りの協力を行う、こういうことになろうかと考えております。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 並木君。

並木芳雄改進党

○並木委員 私も岡垣さんにいろいろ質問があつたのですが、時間も参りましたし、ただいま天野文部大臣が見えましたから、天野文部大臣との関連において一点お伺いしておきたいと思います。  それでは私簡單に申し上げます。天野文部大臣は今度の行政協定に関連してどういうことを要望され、申入れをされたか、それに対して岡崎大臣の方で、文部大臣関係の行政協定をどういうふうに扱われたか、それだけをお伺いしたいと思うのです。要点は、駐留軍が継続して日本にとどまると、日本人とアメリカ人との交際がまたはげしくなつて参りますから、文教上その他にもいろいろ問題を起すのでありまして、そういう点についての質問でございます。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 私自身は別に申入れをしておりませんが、事務当局同士で相談をされております。

並木芳雄改進党

○並木委員 事務当局はどういうことを申し入れたのですか。

稻田清助文部事務官(大学学術局長)

○稻田政府委員 事務当局といたしましては、教育施設のうちで今日接収せられておる施設が相当ございますので、教育上の必要から返していただきたいというような措置をとつていただきたいと、外務省その他関係当局と交渉いたしておるような次第でございます。

並木芳雄改進党

○並木委員 その点はほかの委員会でも触れられおるようですから、私はその点をお伺いしたがつたのじやないのです。実は米人が駐留されますと、日本人との交際が続くので、いろいろ問題が起るのじやないか。たとえばこの間東京都の国立町から——あれは文教地区に指定されましたけれども、なおいろいろの陳情が出て参ります。文相も御承知と思います。また中学生のつづり方の問題というようなものも起つた。あれは実は私の村なんです。この問題は文相としても苦慮されておると思われるのですけれども、やはり行政協定の中で根本的な解決策をとつてもらうのがいいのじやないかというのが声なんです。私の村なんかでも村会で決議なんかして、いろいろ自粛自戒しようということはできておりますけれども、終局的には、やはり今度の行政協定で何らかの申合せが要望されておるのです。法律を尊重するということになつておりますが、法律のみならず、風俗、習慣、そういうものを尊重してもらつて、何とかして文教上に影響を及ぼすこういう問題が起らないように適当な方法が考えられないものか、そういう点なのでございます。これは両大臣にお伺いしたいと思います。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 私はそういう個々の問題を一々ここできめなくとも、そのときどきで解決できるというふうに思つております。日本の風俗、習慣というようなものは十分尊重してもらうようにしたいと思つております。

並木芳雄改進党

○並木委員 岡崎大臣はそういう点については今度の行政協定には全然話合いがなかつたかどうか、米人駐留に伴う問題でありますからお聞きしておきたいと思います。

岡崎勝男自由党賠償庁長官

○岡崎国務大臣 これは非公式にいろいろ雑談的にはありましようけれども、行政協定というものはアメリカのディスポジシヨンをきめるものでありますから、協定の中にそういうものは入る筋合いのものでもないと存じます。

並木芳雄改進党

○並木委員 天野文部大臣にお尋ねいたします。大臣もこの問題はいろいろな要素がそこに含まれて参りますから、相当苦慮されておると思うがどういうふうに今後持つておいでになりますか。その場その場で対策を練ればいいとおつしやいますけれども、たとえば国立の問題にしましても、中学校の生徒がつづり方にまで取上げたような問題につきまして、大臣としてどういうふうに対策をしておるか、それをお聞きしておきたい。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 これは何か一つのことをきめたものが、すぐそれできまつてしまうわけには行かないと思う。その時その場でいろいろなこと起つて来る。そういうことを予防するように、そのときどきいろいろ相談をしてやつて行くよりほかしようがないじやないか。簡單にものをきめても、その通りということには行かないので、非常に複雑しておると思います。

並木芳雄改進党

○並木委員 かなりむずかしい問題であり、しかも重要な問題ですから、大臣も、この点はよく考えていただきたいと思います。  次に條約が発効しまして、外国との文化の交流の問題が起つて参ると思いますいよいよ国際文化交流の具体化の時代に入つて来ると思うのでございますけれども、国際文化協定というものを締結して行く計画はどうなつておられますか。さしあたつてアメリカなどとの間に、そういう協定を結ぶの話も伝えられておりますけれども、どういう国々と、どういう内容を持つたところの文化の交流を進めて行かれるか、それをお伺いしておきたいと思います。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 アメリカとは、たとえばフルブライトなどもその一つだと思つております。その他の場合には、すでにフランスなどは留学生を出しておるとか、また学者の交換とか、そういうようないろいろな道で行きたいと思つております。一船的にはユネスコを通じますが、個々別々の国とはそれぞれの事情によつて、学者の交換とか、留学生を出すとか、そういう方法でやりたいと思つりおります。

並木芳雄改進党

○並木委員 国宝、美術品などが大分国外に流出しておるので、これも今度の国際文化協定などに当然盛られておると思うのですけれども、この機会に、今までどのくらいの金額のもの、あるいはどういう種類のものどういう数量が国外に流れているかどうか、その状況をお聞しておきたいと思います。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 事務当局からお答えさしていただきます。

森田孝文化財保護委員会事務局長

○森田(孝)政府委員 国宝、重要文化財につきましては、私の方の調査によりますと、刀劍類を除いては海外に流出していないのであります。刀劍類に関しましては、終戰直後におけるところの美術、刀剣等の審査がありました機会に、あるいはまたあやまつて持ち出されたものが御承知の通りあるのでありまして、それは重要美術品も加えて総計四十五件であります。これは一切りストができておりまして、司令部を通じまして、目下各該当と予想せられる国々において調査いたしてもらつている次第であります。

並木芳雄改進党

○並木委員 税金などの問題が海外に出る原因になつておりますかどうか。重要美術品、国宝などに対する海外流出防止対策にはどういうふうになつておりますか。

森田孝文化財保護委員会事務局長

○森田(孝)政府委員 これに関しましては通産省と協力いたまして、輸出の場合については、国宝美術品についてはこれを海外に出すべきものであるか、法律上許可を要するかということにつきまして、文化財保護委員会に文書をもつてその都度協議して参ることになつておりまして、われわれの方で、これが出してもいいという意見を出さなければ、海外には輸出できないことになつております。

並木芳雄改進党

○並木委員 もう一点お伺いしておきます。講和発効後の学制改革について文部大臣としてはどういうふうに考えておられますか、米国の教育使節団の勧告などはやはりそのまま踏襲して行かれますか。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 いわゆる六・三制でございますが、六・三制の体系はそのまま維持する考えでございますけれども、その内容には、まだ幾多改良すべきものがあるのではないかと考えております。たとえば自由選択というものが高等学校あるいは大学などにはあまり多過ぎる。そういうような内容の点はいろいろありますが、体系そのものは維持して行こう、こういう考えであります。

仲内憲治自由党

○仲内委員長 本日はこれにて散会いたします。  次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後一時四十一分散会

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