海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第6号
- 発言数
- 138 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1952/02/18
会議録
○小平委員長 これより会議を開きます。 本日は初めに未帰還同胞の調査に関する件について議事を進めます。 ————————————— この際お諮りいたしますが、先日の委員会において、去る十日夜ラジオ東京が読売新聞社提供の臨時ニユースとして伝えた、ソ連地区抑留の元独立歩兵第百九大隊及び第百十一大隊の生存者氏名判明の放送と引揚援護庁当局の調査との相違があり、一般に深刻な影響を與えておりますので、これに対する事情を明確にするため参考人を招致することと決定いたしたので、本日ラジオ東京より編成総務兼報道部長鈴木恒治君、読売新聞社より地方部長和田副治君の出席を求めましたが、両君を参考人として事情を聽取することに決定するに御異議はありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小平委員長 それではさよう決定いたします。 これより参考人諸君より本件について事情を承ることといたしますが、参考人諸君には御多忙のところ御出席願い、委員長としてお礼を申し上げます。 未帰還同胞の調査に関しましては、終戰以来七年にわたる今日、いまなお多数の同胞が未帰還のまま外地に残留せしめられ、一部はいまだ生死未確認の者もあるのでありまして、政府当局も、これら未帰還者の生死認定については、帰還者の証言等の資料により、極力その確認調査に努力しておるのでありますが、その調査の正確さと一日も早い調査完了について、われわれ国民のみならず、世界各国も引揚げ問題の基礎として注目しているものであります。われわれとしても、この調査の正確とすみやかなる完了を期待するものでありまして、一家の支柱を奪われ、苦難の生活を歩んでおられる留守家族としては、肉親の早急なる引揚げはもちろん、生存の確認及びこれに関する情報も待ち望んでおるのでありますゆえ、もしこれに関して不正確な認定あるいは情報がありますときは、肉親を待ちわびる留守家族に深刻な波紋を投ずるのであります。本委員会としては、この意味におきまして一応本問題の経緯等について明らかにいたしたく、参考人諸君に御出席を願つたのでありますゆえ、本委員会の意図をおくみとりくださいましてお話願いたいと思います。 では、まず最初にラジオ東京の鈴木恒治君よりお話を願いたいと存じます。
○鈴木参考人 あの当時の、臨時ニユースの出るときの模様を申し上げればよろしゆうございましようか。
○小平委員長 さようでございます。
○鈴木参考人 最初に御理解願いたいことは、ラジオ東京は出発の歴史から見まして、朝日、毎日、読売の三新聞社が母体になつて発足しました。そういう関係から、ニユースは三社交代にやつていただくというような形式になつております。ニユースは、ほかのいろいろ報道関係の番組はたくさんございますが、生のニユースに関する限りは、新聞社の特色を出していただきたいというので、三社のそれぞれ編集権と申しますか、やかましく言えばどういう言葉になりますか、とにかくアナウンサーに原稿を渡して読み上げるまでのところは、各新聞社がそれぞれ責任を負つてやつていただくというような建前になつております。それですから、新聞社にラジオに関する担当の部門がそれぞれありますが、その部門で原稿が集まつたものの中から取捨選択されまして、その上放送用語に書き改められて、ラジオ東京報道部のデスクに参ります。その参つた原稿を、さらに私の方で念のために目を通しまして、間違いがあれば、新聞社に一々通告して訂正を求めるなりして、最後にアナウンサーに渡す。その場合、原稿の最後の仕上げ、リライトと私の方で申しますが、放送用語に改める仕事は、新聞社でいえばちようど整理部にあたると思います。ですから、それぞれの新聞社が新聞社の名前でニユースを放送する限り、新聞社は最後の整理のところまで責任を持つのがあたりまえではないかというような考えから、新聞社の方で積極的にリライトして、最後に出すところまで責任を持とうというような形になつております。その場合に、どの原稿を第一番に読むか二番目に読むかというようなことまでも、新聞社の方の考え方、やはりそれぞれの特徴をそれぞれの新聞社が持つ限りは、やはり外電を先にするか社会種を先にするかということについて、新聞社のそれぞれ意向がありますので、その意向に従つて順序をきめるというような建前であります。その前に、ラジオ東京と三新聞社との関係は、根本の出発のときから、お互いの紳士協約と申しますか信用協約と申しますか、お互い信頼し合うというような形で出発しておりまして、契約というようなものは何らありませんでした。ですから商業放送ですけれども、電波を新聞社がお買いになつてこれをお使いになるという建前でもありません。さればといつて、ラジオ東京がニユースをすつかり買つて自分の方でやつているのかというと、そうでもありません。お互いが信頼し合つて出発しているような形であります。 それからニユースと臨時ニユースのことでありますが、臨時ニユースは、私どもの商業放送のいろいろ番組の関係がありまして、かつてに新聞社の言う通りカツトして入れるということもいろいろむずかしい問題がありますので、これは私の方の編集権と申しますか、入れるか入れないかの権限は私の方にいただく、そのかわり私どもは、いやしくも三大新聞のニユースというものに疑問をさしはさんでは、第一私どものラジオ東京の報道が成り立たないのでありますから、その裏には三社を信頼しておるのでありますが、その三社が臨時ニユースに入れる価値があるかどうかを判断してきめていただきましたら、私の方はその新聞社の価値判断に従つて、入れることに努める。但し入れられない場合もあるから、そういう場合はわれわれの方におまかせ願いたい、こういうような建前でやつて参つております。当日の臨時ニユースもやはりこういうケースで取扱つたものであります。私どもの放送は午前六時半から午後十一時半までやつております。十一時半が終りでありますが、ニユースは午後八時一回を除いて、七時から十一時までずつと続いております。毎時間ごとに出しておりますが、十時、十一時のニユースはニユース時間が五分間ずつでございます。それで、その中に読売から提供されて参りました臨時ニユースを入れることはとてもむずかしいだろうというので、特に時間を延ばしてほかの番組のやりくりをしまして、十一時二十分から十五分間放送いたしました。以上のような経過でございます。
○小平委員長 ありがとうございました。次に和田副治君、お話を承ります。
○和田参考人 話の順序といたしまして、最初この問題より少し前に報道いたしました、ソ連から帰つて来た衣部隊の石部伍長という人のことからお話いたします。 この部隊の死亡者名簿を、この部隊の石部という伍長がこまかく名簿を書きつけて、これをくつ底に隠して日本に帰つて来た。この知らせが山梨県の県庁の世話課に届きました。私の方はそのことを聞きまして、ただちにこれを取材いたしました。同時に、この仕事を全国的に統轄してやつております千葉県稻毛にあります復員局の留守業務部に行きまして、いろいろ綿密に私の方も聞いたのであります。ところがその死亡者として書かれたその人の中に、一名生存者があつたのであります。それは所を申し上げますと、東京都墨田区吾嬬町西四ノ七十一、石田秀夫、この人が生存して帰つて来ていることが私たちの新聞社の調査によつてわかつたのであります。その結果私どもの方の新聞社では、この部隊の中にはかに生存者があるのではないかというふうな観点から、同じく留守業務部に行きましていろいろ聞きましたところが、そのときにこういう話でありました。この部隊は全国から編成された部隊であるが、大体終戰当時朝鮮の咸興におきまして警備についておつた部隊であつて、ほとんど戰闘をしていない、全員病死者を除いては生存している部隊である、それがソ連のウオロシーロフに連行されまして、そのうち帰つて来た人数が、全体の二千六百人のうち八五%以上、約二千人というものが無事に帰つて来ておる、その残余の者はまだ帰つて来ていない、あるいは死亡等の者もあるが、大体これは生存していると見てさしつかえない、この業務を担当している当事者は、それは確実に生存しているものと自分たちは見ている、このことについてわれわれは苦心を重ねて調べておるが、反対資料が出ない限り、われわれの建前からしても生存者扱いするのは当然である、かりにも死亡というようなことは自分たちは絶対に認めることはできないという話でありました。それでそのときの話でありますが、二月の十二日と十三日の両日、大宮の文化会館において、この衣部隊の関係者が集まつてこの資料に基いて調べた、そうしてただいま申し上げました通り、反対資料がない限りこれを生存者と確認するというお話でありました。事海外に残留している人たちの大きな問題でありますので、私たちといたしましても、これはただちに報道にすべきものであるというふうに考えまして、新聞に掲載すると同時に、当日ちようど読売新聞のニユースを提供する担当日になつておりましたので、ラジオ東京の方にこの原稿をまわしたのであります。それが、ただいま鈴木参考人からお話になりました通り、十一時二十分からの十五分間の臨時ニユースになつたことと思います。次いでその翌日十二日に、先ほど申しました大宮会館において、関係者と関東五県から三十五人のこの部隊の人たちが集まりまして、そうして各自持つている資料について綿密に調査したのであります。続いてさらに十三日も関係者が集まりましてそれを調査した。その結果この部隊については、百八十二人のうちに生存者百十二名、そのときに死亡と確認された者二十二名、逆にウオロシーロフから満州あるいは朝鮮方面に逆送された者、これが四十八名、こういうふうな結論を得たのであります。従いまして私どもは十四日は同じくラジオ東京にニユースを提供する当日でありましたので、このことをラジオ東京の方にも申しまして、先ほどの百八十二人についてさらに調査の結果を報道して、そうして今日に及んだわけであります。
○小平委員長 ありがとうございました。 参考人の発言に関し、本件について政府当局及び参考人に対する質疑を許します。質疑は通告順にこれを許可します。玉置信一君。
○玉置(信)委員 私はただいま議題となつております衣部隊生存者、死亡者等のラジオ東京放送並びにそれに関連して読売新聞社の報道された件について、参考人の方々にお伺いいたしたいと思います。 その前に、先ほど委員長から大体趣旨をお話くださいましたので蛇足を添える必要はないかと思いますが、一応お伺いする前提として申し上げたいことがありますので、お聞き取りを願いたいと思うのであります。それは先ほど委員長からもお話がありましたけれども、特にこの引揚げ問題につきましては、報道機関であります各新聞社並びに放送各機関の方々が終始在外同胞引揚げ促進に大きな役割を果され、しかもこの促進に偉大な貢献をされているということは、私ども委員会といたしまして常に感謝をいたしておるところであります。一つは国会の立場において、一つは報道機関の立場において、両々相まつてこの問題と取組み、同胞愛から在外同胞の引揚げに非常な努力を拂つておるのでありますが、お聞きのように、いまだソ連地区には三十数万の同胞が抑留されたまま、あるいは消息不明のまま今日に至つておるのでありまして、これがために留守家族の方々におかれましては、寝てもさめてもこの肉親の安否を気づかつて、はたで見る目もまことに気の毒なくらいの明け暮れをしておられるのであります。そういう状態のときに、今回のラジオ東京が臨時ニユースとして報道された衣部隊の生存者の状況を聞いた私どもはもちろんのことでありますが、特にこの留守家族の方々はどれだけ喜んだであろうか。あたかも暗夜にともし火を得た心持で喜んだであろうと私は想像しておるのであります。またそうしたことについて、引揚者の中から、あるいは留守家族の中からも新聞社の方に、あるいはラジオ東京の方にも照会されたということも伺つておりますし、また当委員会の委員にも照会があつた事実があるわけであります。かような状態でありますので、私どもは放送当局あるいは新聞社のこうした報道に対して非常に歓喜するとともに、ここまでその実情を把握して報道されたことに対して非常に感謝をいたしておつたのであります。そこでこの実際報道されたことによつて政府機関である引揚援護庁がどれだけの引揚げ対策を講じているかということを当委員会で取上げられて、それが議題となつて、先般の当委員会において委員長からも発言されまして引揚援護庁長官にその実情をただされ、また委員の中からもその実情について質問いたしたのであります。時間の経済上前後を省略いたしまして、木村援護庁長官が当委員会にこうした答弁をなさつたことによつて今日参考人のおいでを願うことになつたということを、まず最初に申し上げて質問に入りたいと思います。すなわち「木村(忠)政府委員先般夜間にラジオ東京で放送になりました衣部隊生存者の問題でございますが、あの放送につきましては、厚生省引揚援護庁といたしましては全然関知いたしておらないのであります。引揚援護庁の調査によりますれば、ああいう事実が最近においてあつたということは絶対にない。従いましてかの報道がどこから出たかということは、援護庁としては全然知らないのであります。なおあそこに出ておます百八十二名という数は、衣部隊の未復員者の数——まだ全然引揚げていない数とちようど一致いたしております。しかしこれは生存者の数ではないのでありまして、未復員者の数でございます。なお大宮市におきまして、これについての世話課長の会議があるように報道されておつたのでありますが、これは間違いでございまして、当日は前からやつておりますところの調査究明をいたしますために、衣部隊の関係者の方々四十名にお集まりを願いまして、その後の消息等について聽取いたす会合をいたしたのであります。その際におきましてどういうような結果が出たかということにつきましては、昨日、本日調査究明いたしておりますので、その結果につきましては、またわかりました事項は留守家族の方々に密接に御弾絡申し上げることにいたしております。」こういうような答弁をいたしております。劈頭のこの答弁から申しますと、全然これに関知をいたしていないし、こういう事実がないような答弁をされておつたのであります。そこで先ほど申しましたように、先輩諸氏はもう終戰後の国会以来引続きやつておると思われますが、私といたしましても、第五国会以来今日まで三年有半、終始一貫この問題と取組んでおるわけでございまして、たまたま今度の問題起つたときに、これだけラジオに、しかも臨時ニユースで放送され、新聞が取上げておるにもかかわらず、援護庁がこれは知らぬということはおかしいじやないか。そこで報道された方々の御意見を直接伺いたいというので当委員会が取上げたのでございます。私はまずこの行き違いが一体どこにあるかということをお伺いしたいのであります。 ただいま前提として申し上げましたように、報道されたことが信用できるものであるか、あるいは政府機関である援護庁長官の答弁を信用すべきか、この信憑性がいずれにあるかということを明確にいたさなければ、今日留守家族の方々も非常に迷うでありましようし、当委員会当然の責任として、これは明らかにしておかなければならぬというところからお伺いをいたす次第でございます、先ほどラジオ東京の鈴木さん並びに読売新聞の地方部長である和田さんから経緯を大体お伺いいたしまして、了解できる点が多々あるのであります。 そこで最初に参考人の和田さんにお伺いをいたしますが、あなたの方で提供したということは、私数日後に知つたので、非常に勉強が足りないで、ラジオ東京が独自で社員を派遣してキヤツチされたと思つておたのでありますが、今参考人のお話もありましたように、読売新聞が提供されたということでありますし、さらに重ねて取材の確実性を把握するために、かつて衣部隊に所属しておつて引揚げて来られた石部伍長にお聞きになつたことまでも付言され、大分つつ込んでお調べになつておるようであります。 しかし私ここで疑問に思うことは、援護庁がこれだけ否定しておるということであります。新聞社はもとより独自の立場であらゆる問題をキヤツチし、報道される機関でありますので、信用しないということでなくして、お聞きするのですが、そうした一部の方々の話だけで、これだけの人が生存していることがはつきりしたという確認をいたしたのでありましようか、そのほかに何かよりどころがございましたでしようか。
○和田参考人 先ほどの補足説明として申し上げます。私の方の記者が留守業務部に行つていろいろとお聞きしておるうちに、衣部隊の未帰還者の名簿がある。その名簿を私たちに見せていただきまして、そのときのある係官が、このうちこれだけは生存しておる。間違いないというので、わざわざとじてある名簿の中からその数だけをはずしてくれました。そうして私どもの方に見せてくれたのであります。私の方も生死は重大な問題でありますので、これを写そう、写すから貸していただきたい、こういうふうに言いましたところが、それでは明日この会議があるから、それまでにお返し願えればけつこうだというので、その中から生存者百八十二人という名簿を私の方でお借りしまして、そうしてまたそれをその係官にお返ししたのであります。こういうふうに確実に生存者ありと名簿を渡してもらうというふうになれば、われわれとしても、国民感情の上から言いましても、まず生存者と見るのが当然である。しかも経緯を聞ききますと、先ほど申しましたほかにも、この六年間にこの部隊の方においては苦心に苦心を重ねて綿密に調査しておるという條件もありますので、私どもの方では生存としてさしつかえない。但しこの結果は十二日、十三日の会議で判明することであるが、一応当局が生存を確認しておるということに信憑を置きまして、これを発表したのであります。そのほか私の方ではこの衣部隊の石部伍長、そのほかいろいろな各部隊の生存あるいは死亡の方について、全国の各支局を動員して地方世話課その他についていろいろと調査して、この発表となつたのであります。
○玉置(信)委員 重ねて和田さんにお伺いいたしますが、今のお話によりますと、新聞社の方々がみずから調査された以外に、さらに当局の方より信憑性を求めておられたということで、私その点は非常によかつたと思うのですが、そこで新聞の報道したところによりますと、だんだん生存者、死亡者の数が判明して来たというような報道があつたのでありますが、そうしますとこれは十二、十三日の、かつて衣部隊に属しておりました方々の会合で資料を出し合つて話をした際に求められたニユースに基いて報道されたのでありましようかどうか、この点をお伺いしたい。
○和田参考人 その通りであります。最初に報道いたしましたときには、反対資料のない限り生存者扱いをする、但しそのうち八名は生死不明で、このときの会議によつてはつきりきまるという材料でありましたが、その後多数の人が集まりまして、また読売新聞で報道しましたので、その報道に基いて意外な人まで出て来て証言する、あるいは生きているという資料を出すということもありまして、結局そのときの会議では先ほど申しました通り百十二名は確実に生きているという、いわゆる確認という結果になつたのであります。
○玉置(信)委員 重ねて和田さんにお尋ねしますが、百八十二名確実に生きておられると断定されたのは、そうした会合の席で手にした数字によつたのでありましようか。それともそれをさらに援護庁当局に連絡して確認されたものでありましようか、その点をお伺いします。
○和田参考人 その通りであります。その結果については、そのとき集まりました担当官の方からも取材いたしまして、これを裏書きしたのであります。
○玉置(信)委員 援護庁長官がおられないのでしかたがないのですが、先ほど読み上げた木村援護庁長官自身の答弁にも、多少調査の点において不確実な点があるように思われるのであります。それは後ほどに讓りますが、最初和田さんのお話の中の、記者の方が援護庁当局にも当られたように伺つたのでありますが、記者独自の調査と、一方においてその信憑性を確実にするために、同時に援護庁当局に当られたでありましようかどうか、その点だけ重ねて伺いたいのであります。
○小平委員長 なお申し上げておきますが、厚生省からは厚生政務次官松野頼三君及び引揚援護庁引揚課長山本浅太郎君、両名が出席しております。
○和田参考人 援護庁当局というのは中央官庁のことでありましようか。
○玉置(信)委員 稻毛の方ですか。
○和田参考人 中央官庁である援護庁よりも、実際の仕事をしておるのが稻毛の留守業務部であります。お役所の仕事でありますので、一々中央官庁に報告されてないことがたくさんあるのであります。私たちは実際の仕事をしておるところから調査したのであります。
○玉置(信)委員 政務次官はあまりお知りにならぬと思うのですが、先ほど読み上げましたように、援護庁長官が大宮において会議をされたその結果について報告するということを明言いたしておるのでありますが、会合の結果どういう情報が得られたか、その点をまず政務次官にお伺いいたします。
○松野(頼)政府委員 今のお話は、実は非常に時間的にも発表が大きな影響を及ぼしました。たしか二月十一日の夜十一時でありましたかに発表があつた。会議は十二日、十三日に大体衣部隊からの帰還者三十五名に集まつていただいて、これに担当官が出席して会議をした、こういう状況であります。木村さんの答弁は別に聞いておりませんが、本日はちようで風邪で役所も休んでおりますので、これはしばらくおいて、そのときに各留守家族の方の問題になつております石部さんもいろいろな当時の状況を報告されました。何としても当時の状況から申しまして、御証人の石部さん自身も、全員に対する確認は非常にむずかしい。部隊の中で自分が会つた何人かについては、その者の死亡を自分は認定するけれども、同じ部隊であつても、自分と同じ收容所にいなかつた者に対しては、はなはだ残念ながら確認ができない、こういうお話も聞きまして、正確に調査いたしましたが、いまだに生存者という発表の段階には至つてないのじやなかろうか。ニユースの方はだれにお聞きになり、どの書類をごらんになつたか存じませんが、会議の結果においては、生存者と認定するにはちよつとむずかしい、こういう報告を私は受けております。
○玉置(信)委員 今一応政務次官にお伺いして、それから参考人にお尋ねしたいと思います。先ほど申し上げましたように木村援護庁長官は、引揚援護庁の調査によれば、最近においてああいう事実があつたということは絶対にない、絶対にという言葉まで使つて、実は否定に近いような答弁をされておるわけです。そこで今政務次官の御答弁になりました未復員者の数というべきであるか、死亡の数というべきであるか、生存の数と考えられるか、それははつきりしないということでありますが、それはごもつともであると思うのでありますけれども、援護庁長官においても、夫復員者の数が百八十二名というのは一致しておるというふうに御回答をしておられるわけです。ところが先ほどの読売新聞社の地方部長であります和田さんの御答弁によりますと、はつきり百八十二名は生存しているという確認ができた、こう申されておるわけであります。もとより新聞社の調査されることは、ときにより役所より相当確実性を持つた調査をすることもあるのですが、こうなるとどちらが真実であるか、実は私ども委員会として取上げることに非常に困るわけで、もう少し見通しをつけたいので、重ねて政務次官の御答弁を願いたい。
○松野(頼)政府委員 今の私の答弁にありましたように、あるいは未帰還者という定義が問題になつて来るかと思いますが、生存したという証拠のある人はもちろん生存であります。死亡したという証拠のある人はもちろん死亡でありますが、その両方ともに何か確証の得られない、あるいは証言の得られない、あるいは認定者がいない者に対しましては、どうしても私の方は未帰還者という言葉で整理いたしますので、さよう御了承願いたい。私どもの発表はそういう発表になつております。
○玉置(信)委員 そこで参考人の和田さんにお伺いいたします。これはなかなかめんどうな問題ではありますが、今政務次官にお伺いする前提に申し上げましたように、これをはつきりしないと、社の方でもラジオ東京の方でもお困りになりましようが、実は私たち委員会としては、常に引揚者、留守家族等から連絡がありますので、どうしてもこれははつきりしておきたいと思うのであります。先ほど和田さんは、百八十二名ははつきり生存が確認できたとおつしやつておるのでありますが、その確認はどういう方法でありましようか。ただこれは死んだ数と引揚げた数と残つておる数を勘案して、差引勘定において得た数というような常識的な生存数を会合の席で出されるということになると、非常にこれは信憑性が薄いのじやないかという心配があるのです。そこでこういうような確認をするに至つた径路を調査されておりますか。この点をまずお聞きしたい。
○和田参考人 この部隊の中にも死んだ人もあります。先ほど申し上げました通り、復員業務で六年間苦心に苦心を重ねて、生還者からいろいろ個々別別に資料を集めた結果、百八十二人生存しているといういろいろの資料が出て来たと思うのであります。しかしさらに念のためにこれを調べようというので、十二、十三日に大宮にその部隊と関係者あるいは関係官が集まつていろいろと資料を持ち寄つて、会議を開いた結果、先ほど申しました通り、確かに生きているという確証を得た者が百十二人、それから確かに死んでいるという確証を得た者が二十二人、生死不明、つまりその抑留所からさらにいずれかへ移されてしまつた者が四十八人。但しこの四十八人の中にも生存者は相当ある見込みであるというようなことになつたのであります。そのときの資料で生存しているか、していないかというこの言葉の解釈になりますが、たとえば具体的なことを言いますと、自分のおやじが生きているといつても、今離れて生活をしておるとすると、確かにその顔を見るまでは生きているか死んでいるかわからない。そこまでいつたら非常にむずかしい問題であると思う。生きているという証拠を得た以上は、自分のおやじは生きていると見てさしつかえない。これは私たちの言葉の解釈上からいつても正しいものだ、こういうふうに考えております。
○玉置(信)委員 先ほど私の生存者百八十二名と申し上げたのは、今百十二名の誤りであることがわかりましたので、訂正しておきます。 今和田さんのお話を聞いておりますと、なるほど向うへ行つて顔を見なければほんとうの確認はできないということは、理論上成り立つことであるので、そこまで私はつつ込んでお伺いしようとは思いませんが、ただ最初の臨時ニユース、引続く新聞報道等によつて相当家族の方々が気持の上で混乱を来しておるということは、和田さんも鈴木さんも御承知になつておられるだろうと思うわけです。私どもの委員会としてねらつておりますことは、この家族の方々の迷い心を去らしめて、正確な実情を知らしめてあげたいと思うのでありますが、新聞社並びにラジオ東京といたしましては、今までのこうした食い違いの点はどういうふうにして納得させるようにしようと思つておりますか、この点をお聞きしておきたいと思います。
○和田参考人 未帰還者が生きているか死んでいるかということは、非常に大きな問題であります。今後も新聞社としてはできる限りの力を盡して、あらゆるところから資料を集めてこのために幾分でも貢献したいと思つておるわけであります。生きているという確証がなくても、死んでいないという資料は、その家族にとつては大きな問題であろうと思うのであります。これによつて今までの暗い気持がいくらかともし火を得たということは、われわれはお互い日本国民としても同様であろうと思うのであります。従いまして新聞社におきましても、国民にたくさんのニユースをお知らせするという建前からも、できる限りこういう問題について私の方も独自にやり、また官がせつかく苦心してお調べになつている資料をやはり日本の人たちに報道するのが私たちの使命だろう、こういうふうに考えております。
○鈴木参考人 ただいま新聞社としての立場からお話になりましたので、ラジオを担当しておる立場から申し上げます。 放送をしておりますことですから、万が一間違つたニユースを報道をすれば、当然それに対して適当な訂正をすることはあたりまえのことであります。私どもの方では朝日、毎日、読売新聞社に十分な信頼をして報道をおまかせしておることは事実であります。そこでもし自分の報道に間違いがあれば、新聞社は当然訂正されることと存じます。ラジオ東京としては、新聞社の提供されました報道を通じて訂正する場合にはするということが、一番いいのではないかというふうに考えておる次第であります。
○玉置(信)委員 参考人の御両人とも非常に真摯なお立場で御答弁願つて、私非常に満足いたしておるわけでありますが、ただいまお話のあつたように、私ども実は八千万国民監視のもとにやつておることでありますので、今後ともどうかただいま申し上げたような線で、一段と引揚げ問題に御貢献あらんことを希望いたしておきます。 最後に一言、これはあとでほかの人から問題が出るのではないかと思いますが、私からお伺いしておきたいことは、鈴木さんの最初に申された、間違いがあれば、社に通告して改められるというお話でありましたが、そもそもの提供者である新聞社のニユースの内容に間違いがあるなしということは、どういうようなことによつて判定されておりますか。
○鈴木参考人 私の申し上げ方があるいは悪かつたのかも存じませんが、ただいま仰せの通り、ラジオ東京としてはあくまで三大新聞社に対する信頼の上に立つて記事を報道しております。私ども自身取材活動はいたしておりませんから、生のニユースに関する限りはそういう建前でございますので、これもお互いの話合いで、もし間違つておるならば、新聞社の方から当然自発的に訂正があるものと私は信じますし、三大新聞社に対してそれくらいの信頼を持つておるのであります。これに対して要求するとか頼むとかしなくても、自発的にするのではないかと考えております。
○小西(英)委員 ただいまの参考人の終りの言葉で、大体ラジオ東京はこの報道に対して、今後とも生のニユースについては責任を持つていない、そうしてこの問題についても、今後とも自己の意見というものはないということに、了承してさしつかえないですか。
○鈴木参考人 これは先ほども申し上げましたが、非常に嚴格の意味で、法規的にはどこに編集権があるのかということを私ちよつと研究しておりません。しかしながらラジオ東京が新聞社からニユースをいただく場合に、アナウンサーにまかすまでの責任と申しますか、それは新聞社でやつていただくことを建前にしております。そして最後にラジオ東京の者が目を通して、誤りがないかを確実に文章の上で調べてアナウンサーに渡すという手続をふんでおります。しかしながら放送法にもあるのでありまして、ラジオ東京に責任がないということはむろん考えておりませんし、謙虚な気持で当然あるべきものだ、たとえば新聞社で申せば、署名の原稿が誤つておつた場合に、執筆者に責任があると同時に編集名義人にも責任があるというような常識的な解釈をして、私は少くとも道義的な責任を負うべきものだと考えております。それでありますから法規的にいえば、たとえば編集権の問題についても相当研究の余地があるのじやないかと思います。
○小西(英)委員 ラジオ東京の参考人のお言葉を私了承いたします。 政府に対して意見をお聞きしたいのでありますが、本日読売新聞地方部長の和田さんが当委員会で説明されたことと、現在政府の考えておることと一致しておるかどうか、これをお尋ねいたします。
○松野(頼)政府委員 百八十二名という数字の結論は合つているかと存じます。と申しますのは、たしかさつきは百八十二名と言われたのか百十二名と言われたのか、ちよつと私参考人の言われた数字の聞き違いが二回ばかりありましたが、玉置さんからも御指摘があつたように二、三内容の数字がかわつておりますが、百八十二名という数字は合つております。内容におきまして、私どもの考えているのは未帰還者として百八十二名を計上し、この中には生存見込者もございましようし、死亡見込者もございましようし、状況不明の者もございますが、この数字が衣部隊におきまして百八十二名、こういうふうに解しております。
○小西(英)委員 本日参考人の方に特に委員会においでを願つたことは、この百八十二名、さらにその内容の点について相当な開きがある、はたして読売新聞並びにラジオ東京の発表したニユースなるものが正確であるかどうかということを特に私どもが重視して呼んだわけでありますので、現在の和田さんの心境としては、ラジオ東京に発表したニユースなるものが現在もなお正しいものであるということを考えておられるかどうか、伺いたい。
○和田参考人 発表いたしましたときにおいては、先ほど申しました通り百八十二人、但し反対資料が出た場合には当然減つて来る、その結果百十二人は生存しておるというふうに当時の会議で発表されておるわけであります。ここに出ている刷りものはどこから出たか存じませんが、この刷りものに書いてありますのは第一次の会議の発表ではないかと思うのであります。現在も私たちはこの会議の結果発表された百十二名、さらにそのときに立ち会つた人たちからいろいろと私の方で個々に談話をとりました結果、百十二名は生存しておるというふうに考えております。なおこの記事については、他の新聞においてもいろいろな形で出ております。読売新聞のみならず、他の新聞においても死亡者の名前を出しておるところがありますが、逆に各県版などを調べますと、明らかにその百十二名の生存者の氏名を各県別に載せている新聞もございます。
○小西(英)委員 和田参考人の現在述べられましたことについて、政府として数字的に、また内容的に不審な点があるかないかを伺いたいと思います。
○松野(頼)政府委員 ただいま皆様方のお手元に差上げました資料は、百九、百十一大隊合同調査結果表の十三日の会議後において出た結論でありまして、正式に百十二名という発表をしたという報告も実は受けておりません。ただ会議模様を私のところに報告に来ておりますのには、たくさんの記者諸君がその会議の席上におられ、非常に熱心に取材しておられた。会議中にはいろいろな意見が出たこともありますし、できれば帰還者の三十五人の方に十分意見を言つていただく趣旨の会議でありますから、まとまりはこういう結果になりましたが、その中で、だれの御発表であるか知りませんが、百十二名というものが出たかどうかは——あつたかもしれませんが、結論的には当局からの発表はそういう数字は出ておりません。
○小西(英)委員 この間のニユースによつて一大センセーシヨンを巻き起し、生存の点につきましては、日本としては現在外交権がなく、政府の言うのがはたして確実であるか、あるいは新聞社の報道が確実であるかということは、われわれといたしましても非常に判断がつかないのでありますが、この重大なニユースがあつた今日、特に政府の調査並びに新聞社の発表したことについてもし一致しないようなことがあつた場合には、これを何かの方法をもつてさらに正確にしていただきたいと私は考えております。こういう機会に政府がますますこの問題を重要視して、特に生存並びに死亡等についての明確な数を御勉強になる機会ができたということは、今回のニユースによつて得られた一つの大きな收穫であると考えます。本日は特に両者とも率直な意見を述べていただいたので、私たちはさらに突き進んで、今後ともこの部隊のみならず、諾地域にある生存のわからない部隊あるいは残留されておる人たちに対しての特段の研究資料になつたので、私の質問をこれにてやめます。
○川端委員 私は先ほどから同僚各位のお話を伺つておりまして、この特別委員会が引揚げ並びに遺家族の問題につきその苦楽をともにわけ合い、その苦を少しでも救うようにして行こうという努力の委員会であると心得えて参つておるのであります。先ほどからいろいろ質疑応答を伺つておりまして、その中で特に今回の衣部隊の問題が発生いたしましたのは、留守業務の責任者が、報道機関にあまり判然としないような資料を出し、簡單にこの重大な問題の資料を公開するような機会があるということを、私は非常におかしく考えるのであります。今回こういう問題を起したのも、留守業務部で確信のない、しかも報道機関がそれを見まして誤解を受けるような資料を発表する、見せるというようなことを当局においても簡單に許されているのかどうか、まずこの点から伺いたいのであります。
○松野(頼)政府委員 これを秘密にしろと言われましても、実は材料提供者の方はなるべくたくさん来ていただかないとわからない。かえつて来ていただくことによつて判明することもありますし、これを秘密にするということも、どうも現在の日本の調査状況においては私は非常にむずかしいのではないかと思います。ただ生存するか死亡かという大事なことを発表するときには、ただいま川端委員がおつしやつたように、愼重に扱わないと人心を迷わすものだ。これは愼重にやりますけれども、全然名簿も見せてはいけない、話も聞いてはいけないということにしては——この兼ね合いがこういうような結果にもなつて参りましたが、やはり帰還者の方々にはなるべく来ていただき、名簿を見ていただいてそのときの状況を話していただく。これは現在の業務上どうしても必要ではないかと私は思います。
○川端委員 私も新聞記者の経験を持つております。従つてこういういろいろなことはいち早く報道をいたしたい。しかも世間が非常に関心を持つております引揚げの問題は、留守家族に少くとも一刻でも早くこの朗報を伝えたいという、まつたく同胞愛の気持から努力をいたしまして、報道をいたしたい気持をわれわれも盛んに持つて参つたのであります。従つてそういう資料というものがかなり見つかれば、即刻発表されるのは新聞記者の当然の責務であり務めであります。そういう場合に、参考となるべき資料については、当局はもう少し慎重にやつていただきたい。そうしなければ、報道機関がこういうものをいち早く報道するのはあたりまえなことである。従つてそういう材料となるべきものについては、しかもこうして世間に影響の大きな材料となるものについては、今後一層愼重に取扱つていただきたいと思うのであります。 そこで私は参考人の方に伺いたいのですが、山梨県の世話部の石部伍長、この世話部関係でわかりました石部氏の消息の文書、こういうようなものが読売新聞社の特種であつたかどうか。ということは、百八十二名の報道をいち早くいたしたということも、その動機におきましてわれわれは一刻も早く留守家族の人に安心させたい、まつたく留守家族の気持を察しまして、そして早くこれが事実であれば留守家族がどれだけ喜ぶかもわからないという、非常に同胞愛の気持から私は百八十二名という報道がいち早く行われたのだ。しかもまたこの引揚げの問題については、読売新聞社が非常に関心を持ち、努力をいたして来た証左とも考えられるかと思うのであります。過去の委員会においても、この百八十二名の信憑性について意見も出ておつたのでありますが、読売関係の記者の人がまつたく純真な気持でもつてこれをやつたのである。そしてその後に判明した点についでは、刻々報道をされたものと思います。従つて私はその当時の動機、あるいはその当時の気持、こういうものを知るためにも、あるいは読売新聞のこの人たちに対する努力の点を知るためにも、この石部氏の記事が特種であつたのかどうか。あるいはその後百八十二名の報道をなさつたあとで、何べんくらいこの内訳について報道をなさつたかもあわせて伺いたいと思うのであります。
○和田参考人 この石部伍長のことと百八十二人のことは、これは二つあるのであります。同じではないのであります。石部伍長というのはこれは前に帰つて来まして、そして自分は確かにこれだけは死んだということに基いて、こまかく紙切れをつけてこれを持つて来まして、それを山梨県庁の世話課へ報告したのであります。私の方では前にも復員引揚調査委員会がありまして、ことに未帰還者の問題についてはいろいろの機会あるごとに、また機関を使つて調査しておるわけであります。折から国連総会においてもこの問題は相当世界的な反響を呼んでおるときでありますので、私どもの方では、なるべく詳しくこういうものについては調べるようにという指令も出ておるのであります。その結果、私の方の機関だけがこの石部伍長の持つて来た死亡者の名前を知らせたのであります。これによつて、今までどこで死んだかわからないというようなものがはつきり死んだのだということの証拠にもなりまして、これも私たちとしては、報道の責任の一端を果したと思うのであります。さらにこの報告に基いて調べたところが、先ほど申しました通り生存者が一名現われた。このように現われたような場合はさらに調べる必要があるというので、それから引続いて調べましたのが百八十二名の生存で、これにかかつた。そうして続いて会議がありましたので、私の方では朝刊から夕刊、夕刊から朝刊というふうにかけて、十四日付の朝刊まで、項目数はいろいろとありますが、連続掲載しております。なおこの問題がさらに発展して生死その他がわかれば、引続きこれを報道しなければならない、私はそういうふうに考えます。
○川端委員 その後百八十二名の第一報以来、この内訳について回を重ねて刻々報道をなさつて来られた事情は上くわかりました。 次に千葉の稻毛の留守業務部の橋口という人が、読売新聞の記事の上にも感謝の言葉を述べておつたのであります。これは私は多分読売新聞が百八十二名の第一報を入れまして——これは相当関心の数字でありましたが、爾来これによつて衣部隊の正体がはつきりしつつある、こういう動機をつくつたというようなことから、橋口氏が感謝の談を発表しておつたのかと思います。あるいは巷間、この橋口氏が百八十二名という問題がこれほど注目の的になつておるのに、どういう意味で感謝の言葉を出したのだろうというようなことも言つておるのであります。委員会等でも話があつたのでありますが、私は多分これが動機になつたからという意味であつたのではないか。私は談話を読みませんでしたが、和田さんからそのときの談話の意味を伺いたいと思うのであります。
○和田参考人 あの部隊では死亡者の名前が出まして、それがきつかけとなつて、今まで入手困難であつた、あるいは消息不明であつた者が新聞社の報道によつて糸口がついて、わからなかつた者もわかるようになつた、こういうことは自分らが苦心に苦心を重ねてやつておつた仕事がさらに報いられて、新聞の報道によつて自分らの入手できなかつたところからも入手できるようになつた。しかも死んだと思つた人が読売の報道によつて生きておるということさえ自分らの方にわかつたので、まことに自分らその業務に携わつている者も感謝しておると、実は私のところの当事者の記者に対しても橋口厚生事務官からねんごろな礼状が来ております。
○川端委員 私はさらにお伺いいたしたいのは、今度は当局に多少注文を加えたいのでありますが、先ほど玉置委員からも質問がありましたが、木村援護庁長官からただちに否定するような発表をなさつたことも事実であります。その後また確認という言葉を用いられました。一人も確認ができないのだ、これはその通りでありましようけれども、こういう問題についてはおおむね確認のできないのが事実であります。ところが確認というお役所式の言葉を用いまして報道機関等がせつかくこうして好意をもつて報道をいたしておる記事に対して、確認者は一人もないのだというような木村さんのお話は、この間に留守家族を惑わすところ非常に大きいのじやないかという感じを持つておるのであります。先ほど申し上げましたように、そういう資料を簡單に、あるいは不用意に報道機関に漏らすという態度、それから確認という言葉をもつて押し通すという態度、その間に私は相当開きがあり、矛盾があると思いますが、なぜ確認というお役所的な言葉をお用いになるのか、伺いたいと思うのであります。
○松野(頼)政府委員 報道陣から未帰還問題に関して御協力をいただくことは、非常にありがたいことです。ただ私たちは、先ほども申しましたごとく、確認ということについてはよほど愼重に取扱いまして、言葉も未帰還者ということで主として発表しておりまして、生存見込みとか死亡見込みとか、あるいは状況不明という詳細なことについては愼重に取扱いたい、こういう態度でおります。それではなぜその業務部の者がかつてに見せるのかと言われますが、業務部におきましても、なるべく全国民から協力していただきたい、おれの親類へは中共地区からたよりが来た、こういう個人的なものがありますれば、さつそくそれも御報告願うことが一番近況を知る早道です。すでに一般通信の可能な地区もありますから、なるべくならばそういう意味で窓口を広くあけておりますので、発表につきましてはお役所仕事でなく、わかつた者は早く発表したらよいのではないかと言われますが、事実を調べて、またその当時同じ收容所におられた方々の様子も聞いてというように、発表という段になりますと非常に愼重に取扱つております。これもお役所仕事で融通がきかぬとおつしやればそれまででありますが、それもなるべく間違いの起らないようにということで、未帰還者の数の中に生存者の方が入つておられることももちろんあるでしよう。はつきり生存者という自信のないときには未帰還者という数の中に入つております。これは御了承願いたいと思います。
○川端委員 ただいま政務次官からお話を伺いまして、ごもつともだと思いますが、こういう未帰還の方々の消息については、おおむねニユース・ソースは一つである場合が多いと思うのです。役所の扱い方、報道機関の扱い方、それぞれ扱い方にはかわりがありましても、ニユース・ソースはただ一つ、こういう場合がたいていの場合かと思うのであります。従いまして新聞等に報道されましたその形と、それから役所がこれにあるいは世間的に見るとブレーキをかけたような発表の仕方、そこに待ち焦がれている国民大衆は非常にぴんと来ない感じを持つのじやないかということ私はしばしば懸念いたしておるのであります。こういうニユース・ソースはおおむね一つでありまするから、ある程度まで役所の側の愼重はけつこうでありますけれども、その扱いについては歩調を合せてやつていただきたいと思うのであります。また未帰還者の数についても、その中に死者もあり生存者もあることはごもつともでありまするが、向うから帰つて来ないからといつて死んだものであるというふうなことは、留守家族の心情からいたしまして好みません。また確実に向うで死亡したのだということがはつきりとわからなければ死亡通知を受けたくないというのが留守家族の偽らざる心情であります。しかも死亡したのだといつて遺骨が帰つて来て、その箱の中を見ると番号札が入つている、こういうような場合もある。これはやむを得ない場合もありましようが、こういうふうに簡單に死亡の宣告を受けるようなことは、留守家族の心情からいつて絶対に好ましい感じは持ちません。そういうこともおもんばかりまして、私は未帰還の方々を報道機関が生存者という扱いをされたにいたしましても、留守家族の心情からいつてやむを得ないとも思うのでありまするが、死亡しているかのような印象を與えるようなことは嚴に愼んでもらいたいという感じを持つておりまするから、今度の衣部隊の問題をきつかけに、当局にも愼重な扱いを要望しておきたいと思います。いろいろ伺いたい点もありまするが、以上かいつまんで私の気のついたところを伺つて質問を終ります。
○飯塚委員 このたびの衣部隊の生存者のニユースは、ひとり残された家族の方々ばかりなく、われわれとしても非常に感謝して報道を見たのであります。しかしその感謝も、もし今日問題になつているようにその報道が真実でないということが家族の方々にわかりました場合に、これはどれだけ逆作用を起すか、どれだけ悲観するか、その心持はお互いによくわかることであり、何とかして今日おいでになつた参考人のお話が真実であることを私は念じているものであります。この報道に対しまして、一言報道人としてのラジオ東京の鈴木さんにお伺いいたしたいのでありますけれども、先ほど来あなたのお話を伺つておりますると、その報道に関する責任の所在、これはどちらにあるか、天下の大新聞朝日、毎日、読売三社のニユースであり、それとまた表裏一体になつておるラジオ東京のニユースとして、当然その三社のニユースを信頼されて報道されるということは、これはわれわれもよくわかります。しかしニユースが一旦放送されたあとの責任、これはどちらにありますか、その点をまずお伺いしたいと思います。
○鈴木参考人 ごもつともな御質問でございます。実は先ほどもちよつと申し上げましたが、編集権というようなことは別にしましても、ラジオ東京がいやしくも波に乗せて出したニユースがある限り、そのパーセンテージはともかくとして、何パーセントかの責任を負うことは当然だと思います。ただその負い方としまして、私は生のニユースに関する限り、かりにある新聞社がニユースの時間にあやまちを犯したという場合は、そのあやまちを犯した新聞社に調査していただいて、そうして訂正をしていただくということが私は一番実効があるのではないか、法規的な問題は当局側の意見も聞いて、編集権のこういう場合の帰結はどこにあるのかといろいろ研究はいたしておりますが、実際問題としてはそういう形で行くのが一番いいんじやないか、ついてはもし間違いではないかというような不安のあつた場合には、その新聞に対してどうかと確めて、そうして訂正を受けるべきものならば訂正したい。現に読売新聞の場合にも早速参りまして、臨時ニユースの跡始末と申しますか、その後の経過については必ず責任をとつて放送していただきたいということを申し入れまして、新聞社の方も当然そうすべきことだということで、十四日の読売新聞ニユースのときに、先ほど和田さんがお話になりました世話課の、その後の数字の内訳等について、午前八時と九時との二回にわたつて放送をいたしました。さようないきさつになつております。
○飯塚委員 あなた方の御苦心のほどはよくわかります。私も民間放送の成長、民間放送の発展ということに対しては心から懸念しておるものであります。二十五年の電波三法案の成立するときには、私も電気通信常任委員会の委員として御協力を申し上げた一人であります。そのとき規定された法規の中に、これは当然御承知置き願わなければならない問題でありまするが、大体あの放送法の中にはNHKに関する規定が多いのであります。ただそれを民間放送にも適用するという條文がありますが、それは第五十三條の規定によつて、四十四條の規定は民間放送にも適用するという規定がございます。その四十四條の第三項の中に、事実を曲げて放送してはならないという意味の規定がございます。ただいまのあなた方のこの問題に関する放送は、決して事実を曲げているとは思つておりません。絶対にそうは考えておりませんけれども、もしもそういうような規定に触れるようなことがありますれば、その責任の所在というものは、NHKであればNHKみずからその全責任を負うのでありますから、どうかその点も十分御考慮の上で、これからあなた方の放送に対してはわれわれは非常に期待をもつてその成育を念願いたしておるものでありまするから、将来聽取者の疑念を抱くような放送はなさらないように、われわれとしてはその放送一つ一つが信頼できしかもそれがわれわれ念願しておる問題であればあるほどそれを信頼したいのでございますから、この点は御発表になる前に十分に御考慮を願わないと、その反動がさらに留守家族をしてがつかりした気持に陷るようなことになるのではないかと考えますので、この点特に御注意願いたいということを御注意申し上げまして、私の質問を終ります。
○受田委員 一般放送事業者の問題はこの前の放送法をつくるときに非常に討議されまして、ただいま飯塚さんの御質問にあるごとく、五十一條から五十三條までに一般放送事業者という規定を設けてこれを取上げたのであります。ところが民間放送を取入れることが公共放送を侵害しはしないかという点については、公共放送の公共性と放送の自由性というものを民間放送によつて確かに効果あらしめるときこそ、 一般放送事業者の力が認められるのであるということで、非常な論争をされてこれが取入れられたのでありますが、放送の公共性、自由性ということを尊重する立場から、放送者が責任を負うべきではないかと思います。従つてただいま飯塚さんの御発言になつたごとく、第五十三條によつて、第四十四條第三項の規定は一般放送事業者に準用するというのでありますから、新聞社が資料を提供したにしましても、放送の当面の責任は一般放送事業者であるラヂオ東京が負うべきであると思うのでありますが、いかがでありますか。
○鈴木参考人 その問題は私個人的にも質疑を受け、私個人も専門家の意見も聞いたりして、ただいまいろいろと研究中と申しますとおこがましうございますが、考えているところでございます。それで先ほどの話にもどりますが、非常にむずかしい。法規的なことは私不得手でございますが、新聞社に最後の編集をおまかせして、いわば編集権はニユースに関する限り新聞社が負つて一応やつていただいている。普通のわれわれの常識の意味で言えば編集権でございます。しかし電波を出したのはラジオ東京であります。放送法にはお話の通りに五十三條、四十四條並びに放送法第四條にも、明らかに訂正する場合はこうこうしろというようなことが記載されてございます。ただその訂正する精神として、私先ほど来たびたび申し上げるように、当然新聞社がニユースにもし誤りがあれば責任を負われると同時に、ラジオ東京も共同責任と申しますか、一緒に当然放送事業者としての責任を負わなくちやならぬ。ただその責任者をどういう形で現わしたらいいか、たとえばニユースの誤りであつた場合にはどうしたらいいかというやり方については、先ほども申し上げましたが、その間違えた新聞社の名前を通じて同じ條件のもとでするのが一番妥当ではないかと思つております。法律上の見解については、そうすることがラジオ東京が訂正したことになるかどうかということについては専門家に御意見を伺つてはおりますが、どうもその辺がむずかしいことだというような御意見で、よく研究していただきたいというふうにお頼みしている次第でございます。十分御質問の御精神なり御注意は了承いたしております。ありがとうございます。
○受田委員 ラジオ東京が民間放送の最高のものとして活動していることは慶賀すべきことだと存じます。しかし同時に従来せつかく放送協会が公共性を重視して、誤りなき放送という点で歴史をつくつて来たのでございますが、民間放送がNHK放送と競争をするために、広告放送の特徴を発揮し過ぎて、何とか名をとりたいというような形に流れたならば、もはやこれは放送の公共性というものが失われて、放送の実体を傷つけることになると思うのであります。この点新聞社が材料を提供し、編集の責任は全部新聞社にあるという点においては、新聞社に一般放送事業者としての一面の責任があることは、これは私は法的にもはつきりすると思うのでありますが、とにかく放送法をつくるときに、一般放送事業者というものにどれだけの責任を課すかということについて非常に論議されて、結局公共放送と同じ立場から、放送法の第四十四條第三項は同時に民間放送にも共同の責任を負わそうじやないかという結論に達したと私は信じております。この点において、民間放送の先がけをなすラジオ東京がただ名を売るために広告放送の特徴を発揮し過ぎて、何とか広告放送の効果を早く收めようとするあせりぎみから、政府との折衝も十分しないで事実を曲げて放送する憂いはないかという点であります。折衝もしないで放送を繰返すというようなことが今後もしあつたとするならば、私はこれは非常に残念なことだと思うのであります。従つて民間放送の歴史を傷つけないように、スタートをいたした民間放送として、これを契機として真実を伝えるという点に一層の努力をしていただきたい。私はこれが真実を曲げていると前提しておるわけではなくて、少し愼重にやつていただきたいということを念願するのであります。 もう一つ、厚生省としましてはこの死亡者の確認という問題をどういう点でなさつておられるのか。公報を発せられる際にいかなる手を経てやつておられるのか。何人ぐらいが死亡の確認をした場合にこれを公に報ずるようにしておられるのか。もちろん一人の発言でも死亡が確認される場合もあるでしようが、その死亡の確認に至るまでの厚生省の手続の状況を報告願いたいのであります。
○田島説明員 ただいま調査の方法を大体どうやつておるかということから申し上げた方がおわかりになるかと思うのでありますが、御承知のように最近ソ連地区からは引揚げがございませんので、現在やつております方法を申し上げますと、大体部隊がいかなる行動をしたかという点に基礎的な調査の結果を求めて行くわけであります。そうしてこの部隊がこういうふうな行動をしたということがわかりますと、そこに個人の名を当てはめまして、その方が大体こういう行動をされたということが逐次明瞭になつて来るのであります。そこで某時期、某地点におきましてのその方のことをよく知つておられる方から見当がだんだんついて参りますので、そういう方から資料を得まして、生存であるとか、あるいは死亡であるとか、そういう確認をいたす、こういう状況になつておるのであります。死亡と申しましても、大体がソ連の病院で相当の処置をされて、その上で死亡されるという方が相当多くあります。その病院には大体日本人の医官がおります。そこである人たちからこういう人はこういう状況で死んだという情報が出ますと、大体そこ出身の医官に尋ねます。そうしてその情報の確度を勘案しながら、これは間違いないという状況を得ましたならば死亡の公報を差上げる。その死亡の公報は目下都道府県知事の名前で出ておるのでございます。そこでこれは先ほど受田委員のお言葉にもありましたが、死亡なさいましたときの状況によつて非常に違うのでありまして、今私は病院において死亡なさいましたときの状況を申し上げたいのでございますが、そのほかたとえば行軍の途中であるとかいろいろあります。そこでなるべくならば部隊の責任者であるとか、そういう証言の確実度の高い方に照会をする。あるいは出頭していただきまして、なるべく多くの証言を得た上でやる。こういうふうになるべく愼重なやり方をいたしております。終ります。
○受田委員 南方そのほか、ときには中共付近においてさえも、すでに死亡の公報が入つている人たちが生存者として帰還する数が漸次ふえております。この問題は死亡の調査が十分でなかつたという当局の責任を追究されてもしかたがないと思うのでありますが、家族たちにとつては、この後ほど判明する生存者の状況に対してまだ一縷の希望を持つておる人もいます。うちのは生きてるのじやないか。この点において、死亡の確認がされて当然状況明瞭なものはすぐ発表していただきたいけれども、その調査は、十分念を入れなければならないような状態にあるものを好んで早く発表する必要はないと思います。すでに死亡の公報が入つている人が後に生存者として帰つて来る、この問題について当局はいかなる説明をなさいますか、お伺いしたいのであります。
○田島説明員 戰鬪が相当はげしくありまして、たとえばその部隊がほとんど全滅に近い損害を受けるというような場合が相当あつたのでございます。そういう場合におきまして死亡の確認をいたすということは、実ははなはだむずかしいのでございまして、そういう戰鬪で全滅的な打撃を受けたり、あるいは戰場で舟艇機動をいたしておりまして、その途中において船が沈没いたしたというような場合が相当ございます。そういう場合には、どういたしましてもただいま受田委員から御指摘になりましたような事態が出て参りますので、この点はなはだ私ども遺憾に存じておるのでございますが、ただいまはそういうところを通り過ぎまして、その後の状況に今主力を注いで調べておるのでございます。今の態度は、先ほど申し上げました通りなし得る限り愼重を期して、わかつたならばなるべくすみやかにお知らせ申し上げる、こういうやり方をいたしております。
○受田委員 大宮市において発表された数字についてお伺いしたいのですが、この石部伍長の声を新聞社が取上げられたというのでありますが、この石部伍長の発言について、厚生省としてはすでに十分聽取済みのものでありましたか、お伺いしたいと思います。
○田島説明員 石部伍長は、甲府の世話課に出られまして、苦心してお持ち帰りになりました例の三百余名の死亡者の書類とともに、そのほか御自身でいろいろ見聞なさいましたことを甲府の世話課でお述べになりました。その甲府の世話課で陳述されました結果が留守業務部の方に報告として届いております。石部さんが所属しておられましたのは第百十大隊でございまして、現在問題になつておりますのは百九大隊と百十一大隊でございます。しかしながら現地におきましては、これらの部隊は非常にごちやごちやにして收容所收容所というふうに送られておりますので、石部さんの証言によりましても得るところ非常に多かつたというような報告を私は聞いております。
○受田委員 厚生省としては、石部伍長の発言はただ参考に聞き置くにとどめる、まだもつと裏づけがほしい資料ですか。
○田島説明員 石部さんの証言は、従来生存確実なりとして各方面からいろいろ情報が入つております、そういう方に対する裏づけの資料として、非常に有力なものがあつたようであります。なお石部さんのお話で、あの人はこの時期のこの收容所のことはよく知つておるというようなことをお話になりまして、その方にただいま書面をもつて照会をし、事後その資料をどういうふうにして出していただくかということについて御相談を申し上げておる方もあります。
○受田委員 厚生省は、この読売新聞並びにラジオ東京によつて報道された実態を確認するに至つていないけれども、その一部は確認をするということになるのですか。
○田島説明員 私どもが大宮におきまして研究いたしまして、そうして事後そのとき得ました結果をさらに留守業務部の方に持つて参りまして、留守業務部には従来からのほかの資料等もいろいろありますので、それでいよいよこれならばというところの結果が出たものが、先ほど参考資料として差上げたものであります。
○受田委員 発表は全部確認できないのですね。
○田島説明員 確認と申しましてもいろいろ言葉があると思いますが、研究いたしました結果、百八十二名の中で二十三年ないし二十五年の間で某時期に生存しておられたという資料のありますものが七十五名、死亡と判断される資料のある方が二十九名、そのほかたとえば二十三年以前に、この方はどこどこの收容所において生存していたという資料のある方が七十一名、それから部隊におられたことは確実でありますが、その後の資料が全然ない方が七名、こういう結果を得ておるのであります。
○受田委員 問題は、厚生省のこの問題に対する態度と読売新聞並びにラジオ東京がこの問題に取組んでおる態度とに食い違いがあるのです。これを調節するところはどこかという問題です。それから政府として責任ある発表をしなければならぬ立場にあるものが、ラジオ東京を通じて大衆はすでにそれを真実であると信じておることに対してそれを傍観して行く態度なのか、あるいは政府の態度はこのようなものであるということをあくまで解明されようとするのか、この点を政府側の立場から言つていただきたいのであります。
○田島説明員 先ほど新聞社側の方でおつしやつたと思いますが、私どもといたしましては、死亡をしたという確実な資料が出ない限りにおきましてはとにかくどこかで生きておるのではないか、そういう公算ももちろんありますので、そういう方につきましては、たとい現在資料がないとかあるいは不確実な資料があるというような方につきましても先ほども申し上げたように、その部隊の行動という基礎資料の中にその方をはめ込みまして、ここでは資料が出ないだろうか、あるいはこの時期この地点においては何か資料が出ないだろうかというように資料を探し、なるべく確実な資料を得るように努力いたしておるのでございます。そういう点で、係官は死亡資料がない限りは生きておると思つておる、そういうふうにできるだけの方法を盡して生存の資料を得るように努めておる、こういう態度を新聞社の方にも申し上げたのであろうと思いますが、これは私どものふだん考えておりますものとまつたく同じ考えでありまして、とにかく資料のない方、資料の不確定な方は一日も早くどこかの地点、どこかの時期において生存という資料が出て来るようにということでいろいろ努力しておるのであります。
○受田委員 政務次官、大臣がおられないので、政府側の責任ある答弁として田島さん御苦労なさると思いますが、このラジオ東京と読売新聞が取扱つた事柄に対し、政府としてはいかなる態度をもつて臨まれるかということをお尋ねしておるのであります。
○小平委員長 受田委員、その点は援護庁長官並びに大臣の出席を求めて別の機会におやりになつたらどうですか。
○受田委員 それでは新聞社側の意見をお伺いいたします。
○和田参考人 ラジオ東京、読売新聞だけが報道しているように言われますが、読売新聞以外の新聞においても、この程度のことは報道していることか御認識願いたいのであります。一面においてほかのことを報道しながら、また他の面において各県版において生存をしているということが報道されているのでありまして、そういうことを頭の中へ置いていただきたいと思います。
○受田委員 ラジオ東京と新聞社との関係でありますが、第五十一條によるところの「一般放送事業者が、対価を得て広告放送をするときは、」とこうありますが、対価を得るようにしてラジオ東京は成立しているのでありますか、その関係をお聞きしたいのであります。
○鈴木参考人 ただいまの御質問はニユースに関することでございますか。
○受田委員 そうです。
○鈴木参考人 対価を得てというような言葉で表現するような関係はございません。新聞社の積極的な協力を得ております。ラジオ東京は三社の新聞報道について、お互いが信頼し合い協力し合つてというようなむずかしい御質問になりますと答弁に迷うのですが、出発当時三社並びに電通と一緒に集まつて創立されたといういきさつから、あるいはどちらがどういうように言い出したかわかりませんが、ラジオ東京のニユースは三大新聞社が積極的に援助しよう、ラジオ東京の方もそういう建前で行こうというので、ニユースに関する取材も、直接の生のニユースに関する特別の取材網は持つておりません。
○受田委員 そういう場合に法の制裁を受ける責任者は一般放送事業者であるラジオ東京か、あるいは新聞社であるかというのです。
○鈴木参考人 先ほど申し上げたと存じますが、非常にデリケートな問題で、専門家に伺つても即答のできかねる問題でございます。責任が一応あることははつきりしております。何か問題が起きた場合には、ラジオ東京はどういう程度まで責任を持つか、新聞社はどういう程度まで責任を持つかということになつて来ると、問題が起きてみないとむずかしい問題で、研究させていただきたいのでございます。但し私しろうとでございますがはつきり申し上げられることは、新聞の紙面では署名執筆者である筆者に責任があると同時に、それを載せた新聞社にも責任がある、そういう意味がラジオにも成り立つのではないかと常識的に考えます。
○受田委員 最後に私は、本日おいでいただいた読売新聞の部長さん並びにラジオ東京の部長さんよりわれわれに対して率直な御意見を述べていただいたことを感謝しますと同時に、民間放送の行き方について私自身が新しいヒントを得たと思うのであります。この民間放送とNHK放送との間の調節といいますか、公共性、自由性という放送の本質的なものを失わない立場で互いにみがき合つて、日本の放送事業に貢献していただきたい。その点において少くとも法の対象となる責任者がだれであるかということは、われわれの方でまだ十分研究しなければならない問題ですが、あなたの方でも十分検討を加えていただきたい。 もう一つは、今後こういうことに対して政府とその事実を連絡して報道するというような、たとえば石部伍長の報道について確認を求めるような態度をとられる用意はないのであるかどうか、お伺いいたします。 さらに政府に対してあわせてお伺いしますが、この数字は、新聞社等の間においても非常にあいまいであり、また政府自身においても、先ほどから聞いていると、引揚援護庁長官の発言と田島さんの発言との間にも考えさせられる問題があると私思うのです。この政府の当面の責任者がここにおられないので、政府の態度をはつきりおつしやることができないということは遺憾でありますが、今後こういう報道のあつたときには、政府としてただちにそれに対して連絡して、それをはつきりさせるようにしていただくとか、何か国民に疑惑を與えないような態度に出られる必要はありませんか。先ほどの質問の第一をお二方に、最後の質問を政府側の責任者にお尋ねしたいのであります。
○鈴木参考人 今の委員の方のお話、かんじんな点をちよつと聞き漏らしましたが、何かNHKのニユースは非常に正確であるが、ラジオ東京のニユースは不正確であるというような前提に立つてお話になつているようでございますが、私はこういう表現はちよつと間違いではないかと思います。事実NHKもよく間違います。大体NHKの材料にしても、共同通信から出ておるものでございます。自身の取材もある程度持つておられますが、これはきわめて貧弱なものでございまして、これがいつも正しいというふうにはならないと思います。むしろ私は朝日、毎日、読売新聞、この三大新聞こそ非常に信頼し得るものであるというふうに考えておりますので、先ほどのNHKだけが正しくて、ラジオ東京のニユースは怪しいものだというふうな前提に立つたような御質問であれば、御遠慮申し上げたいと思います。
○受田委員 今の御発言でありまするが、民間放送は広告放送を重視するあまりにおいて、大衆に魅力のある放送をしたいという気持が起ることは行きがかりとしてそうなるだろうと思うのです。ところがそれは、NHKが正確で民間放送は不正確だと私は言うたのじやないのです。放送の公共性、自由性をそこなつてはならないのである。だから民間放送で今回のようなこういうことを放送される場合に、これは政府の引揚援護庁関係で確かに調査しているはずだから、ちよつと電話ででも確かめてみようという用意を持つていただきたいということを私は要請したので、NHKと民間放送と競争させ、その間の感情を悪化させるためにやつたのではなく、ほんとうに放送の正確性を要請するあまりに、出発後間もない民間放送を激励したのであります。
○鈴木参考人 今のお言葉で非常によくわかりました。御好意を深謝いたします。今受田委員が仰せになりましたような精神をもつて、ラジオ東京も三社と協力してりつぱな、NHKに負けないニユースを出したいという信念を持ち、確信を抱いておるものであります。出発後間もないことでいろいろと御批判はあるでしようが、私どもの信念はさようなことであります。
○田島説明員 この報道が出されましたあとで、長官なりあるいはそのほかの方からいろいろなされましたことについて申し上げておきます。それは長官は、ラジオ東京から取材に来られましたので、ここに御報告申し上げましたものが今日のところ得た結果である旨を報告をいたされました。なお厚生省の新聞記者諸君にお集まりを願いまして、そして長官がお会いになり、その結果についていろいろお話になりますと同時に、復員局の方に、その留守家族の方々に対してなるべくすみやかに今度の大宮の調査の結果を御連絡申し上げるようにというお話がありまして、これもすぐ各御家庭には全部通知が行つております。それだけの処置をとりましたことを今ここで御報告申し上げます。
○和田参考人 ただいま政府当局からお話がありましたが、木村長官が厚生記者会でお話をしているということであります。そのときに木村長官は、ある一部の新聞記者に聞かれて、そういう事実は確認していないのだということを答えた。ところが私の方で終始これを担当している記者が、それは違う、あなたはそういう資料をもつて答弁されたか、業務部からそういう事実についてどういうふうな報告を受けたかと聞いたところ、実はそういう資料は何ら受けていない、今の発言は間違いであるというふうに言われております。これは私の方の記者の報告であります。
○苅田委員 今までいろいろ聞いておりまして非常にふしぎに思いますのは、大宮における稻毛の留守業務部が主催になつて開かれた全国世話課長会議で出たその部隊の生存者とか、死亡者、不明者、こういうものの結論がまつたく違つて引揚援護庁側の資料と、読売並びに他の取材しておられた新聞社による発表とが二つ出ているということです。これは私どもとしては、單なる食い違いとかなんとかということではどうしても済まされないと思います。事は小さいようですけれども、たつた二千六百人くらいの一衣部隊の調査について、しかも同じ場所で、生死とか不明とかいうような問題に関し、読売の地方部長の方では当日の取材の正しさについて讓られない御主張がありますし、また引揚援護庁関係の出席者におかれては、あくまで今日発表されたこの文書による数字が正確だというような主張をしておいでになるので、私どもはいよいよもつてこの引揚者の調査が非常に不明確であり、不明朗であるということの結論を出さざるを得ないと思います。もし政府の方で、あるいは委員会の方で、実際にこういうような不明確な問題をはつきりしようという誠意があるならば、重ねて私は当日の主催者であつたところの稻毛の留守業務部の人たちを直接調査することをぜひお願いしたいと思います。わずか二千六百人くらいの部隊の調査がこんなふうに食い違つているようで、国際的に発表され、国連に提訴されたところの三十何万というような引揚者がどうして正確な資料に基いているというようなことが断言できるか。私どもはそれらの様子を見まして、今の引揚げ問題についてやつていることの不明確さというものがここに明らかにされたと思うわけであります。ぜひこの問題をこのままにしないでいただきたい、引揚げの問題にからんで何か裏に問題が残つているような気がいたしますので、どうしてもこの問題をさらに究明していただきたいということをお願いする次第であります。 それに関連してちよつとお聞きしたいのですが、稻毛の留守業務部で確認しておることがそのまま引揚援護庁の確認ということになつているのでしようか、それとも援護庁の方では、この留守業務部の確認の通知を受け、その信憑性についてさらに何らかの機関、何らかの資料によつてお調べになつた上、援護庁としての正確な資料というふうにしておいでになるのか、この関係をひとつお聞きしたいと思います。
○田島説明員 今お手元に差上げてありますところのこの資料は、これは稻毛の留守業務部で各種のこういう部隊の調査をいたしておりますが、その部隊の調査をいたしますために、こういう資料がたくさん出ておるわけでありまして、たまたま衣一〇九部隊、一一一部隊が問題になりましたので、その分だけ稻毛の調査中の資料として現在までつかんでおる資料をまとめたものを差上げてあるわけでございます。これがこのまま引揚援護庁の資料ということでありませんで、稻毛では現在これだけの程度に資料を得ておるというその報告をこちらに御報告申し上げたのであります。
○苅田委員 ですから私は、この稻毛から提出されました資料をまた別個の機関でお調べになつた上で援護庁の資料というものができるのですかどうですかということを、お聞きしておるわけであります。
○田島説明員 これは引揚援護庁の組織の問題になるわけでございますが、御承知のように引揚援護庁には長官がおり、その下に次長がおります。その下に復員局長がおりまして、復員局長の下に復員業務部、留守業務部、こういうふうになつております。復員業務部と申しますのは、留守業務部とは並んだ機関ではありますが、これは復員業務全般の企画をし指導をしておる部でございます。そこで稻毛の留守業務部でこういうような程度に——これはまとめたものでございますが、これに関する一つ一つの資料がございます。それによつて処理をしなければならない事情が出て参りますと、必ず復員業務部に連帯を求めて参ります。そうしてそれが復員局長に行き次長に行き長官に行くということで行政措置になるわけでございます。
○苅田委員 これは稻毛の方で調査中の資料だとおつしやるわけですが、そうすると資料が援護庁として確認されるには、また別個な調べの方法をお持ちになつて確認されるとか何とかいうことになるのですか。それとも、どういう機構を通るか知りませんけれども、大体留守業務部での調査はそういう機関を経て援護庁の発表となるのかどうか。これは今までもこれだけではなくて、おそらくいろいろな留守家族の調査にはやはりそういう手続があつたと思うので、従来とも稻毛の業務部の調査は信憑性のあるものとしてあなた方の方で認めておいでになつたのかどうか。それとも認めない場合には別個な調査機関でそれが訂正されるのか、そういうことをお聞きしておるわけです。
○田島説明員 この調査をいたします復員局内の機関が稲毛でございます。従いまして稻毛が全責任を負つてこの調査をいたしております。なお先ほど申し上げましたように、調査のやり方その他に関しまして復員業務部なるものがありまして、それが絶えず企画をし指導をいたしております。そこでその結果について報告を受け、それに対する要求をし、あるいは向うから逆に援助方を求められていろいろいたすことはございますが、調査そのものに関する限り、復員局内の仕事といたしましては稻毛だけのものでございます。なお稻毛のほかに各県には御承知のように世話課というのがございます。それから世話課と復員局との中間機関といたしまして、各地方に復員連絡局という役所を設けております。そういうところで資料を絶えず交流しております。本局としては稻毛だけでございますが、地方の復員連絡局並びに世話課というようなところで、それぞれこの部隊はどこどこの機関が担任するというふうにして担任部隊をきめます。そうしてそういうものと稻毛とが絶えず資料の交換をいたしてやつておるのでございます。
○苅田委員 稻毛で大体引揚の調査を担当しておるということになりますと、全国の世話課長が集まつた席上で発表された数字が、当日立ち会つておられた報道機関の発表とこれほど違つておるということにつきましては、私は容易ならないことだと思うのです。この点につきまして、もしも政府の今発表しておる引揚げの数字があくまでも正しいと言われるのであれば、こんなわずかの部隊で引起しておりますこういう問題について、全国民の疑惑を晴らすような態度をとられなければ、おそらく国民が納得しないだろうということを申し上げておきます。 ついでにお聞きしますが、稲毛で調べておりますのは、單に関東の引揚げだけでございますか、それともここで全国の引揚者の調査をやつておるわけなのですか。
○田島説明員 留守業務部では全国の調査をいたしております。先ほど申しましたように、その部隊は地域々々で特色がございます。たとえば衣といいますのは師団でございますが、この衣部隊の留守の担当をいたしておりましたのは東京の留守師団でございます。なお一〇九、一一一という部隊の留守部隊は東京及び佐倉でございます。従いましてここの部隊からお帰りになつた方は大体南関東が非常に多うございます。そこで、浦和に三十五名ばかりの帰還者を集めまして——先ほど苅田委員から全国の世話課長とおつしやいましたが、そうではございませんで、そこに調査関係の担当官が出て行つたので、世話課長は参つておりません。そこで調査いたしました結果が今ここまで参つておるのでございまして、この結果は、おそらく爾後調査が進むに連れて——これもある程度動いておりますが、こういう動き方をして、これがだんだん正確なものに近づいて行く、そういう筋合いのものだと考えております。
○苅田委員 きよう大臣なりあるいは政務次官なり、政府の責任のある方がおいでになれば、私はその方に今政府の発表しておる引揚げの数字をもう一ぺんお伺いしたいと思いますが、きようはおいでになりませんので、それは後日にいたします。 そこで和田参考人にお伺いしたいのですが、先ほどのお話によりますと、衣部隊は成興で警備をしておつて、戰闘には参加しない部隊というような御発言が再三あつたと思いますが、これは読売新聞でございましたか、はつきり記憶しておりませんが、新聞によりますと、この部隊は当時八路軍討伐にも関係しておつたというような記事が出ておつたのでございます。その点につきましてもう少し詳しく御存じはないでしようか。
○和田参考人 この部隊が八路軍の討伐に当つたかどうか私は知りません。当局の調べによつて、成興において当時警備についたという報告を受けております。
○福田(喜)委員 私は二つお伺いしたいと思います。第一は確認の問題でございますが、この衣部隊の表によりますと、一方では七十五と書いてある。一方においては生存者百十三名、こう書いてありますが、これに関連して厚生省御当局にお伺いしたいのは、確認の問題は今でも終戦直後に特殊の情報を集めたと同様におやりになつておるかどうか。というのは、自分自身のことを申し上げてはなはだ恐縮でございますが、稻毛の留守業務部に行きましたところ、私の弟の属していた東部一三九二八部隊は、将校は全員戰死ということが書いてある。私の弟も、福田少尉戦死ということが書いてある。その通り私は母に通知いたしましたところ、その後約一年ほど経過いたしまして、本人がひよつこりシベリアから帰つて来た。こういう事実もあります。それから一三九二八部隊というのを稻毛へ行つて調べましたところ、通信連隊第四十二部隊というので、帰還者がぼつぼつ出始めたので、私は聞きに行つた。ところがその部隊に福田少尉というのは二人おつて、一人は馬のたけほども背が高い、一人は背の低い男で、これは両方とも生きているということが帰還者の口からわかつた。こういうように、稻毛の留守業務部では戰死ということで、やがて遺骨が着くから受取れということを事もなげに言つております。こういう事態が現在でもあるので、私は調査というか確認の問題について、はなはだ疑いを抱くのですが、その点について、第一にどういう確認の方法をおとりになつたのか、お聞きしたい。
○田島説明員 先ほど申しましたように、調査の方法といたしましては、現在は引続いてソ連から帰つておいでになつた時期と大分違いまして、非常に調査は困難なのであります。のみならず現在ここにこうして残つておるような方は、非常に調査の困難な方ばかりでございます。そこで繰返して申すようでありますが、部隊の行動、部隊の編成表といつたものをなるべく明瞭にいたしまして、それでその部隊の行動の中に調査、究明したいと思う方を、ある時期ある地点についてそこに置くわけであります。そうしてそこの状況を知つておる人から情報をとる。そういうふうにあちこちから情報を集めて確認するということなのであります。これが初期においては、たとえば鈴木一郎という人が全国に七百名近くも実はあるというような状況でありまして、そういう点で非常に混乱を来したようなこともあるのであります。ことにソ連に入りました部隊は、戰闘いたしました部隊と戰闘しない部隊とあるわけですが、戰闘した部隊で全滅を伝えられために、死亡の確認がやや早過ぎたいということもあるように私は聞いておりますが、現在のところは今申しましたようにでき得る限りの愼重さをもつて調査いたしております。かような状況であります。
○福田(喜)委員 ここに二十三年から二十五年の間の某時期に生存しておつた者の資料が七十五となつております。新聞社は百十二名となつておりますが、これについて何か確かめるような措置を講じておられますか。
○田島説明員 この二十三年から二十五年の間の某時期に生存しておつた資料のある者、これは今度の結果におきましても一名もふえておりませんので、そのままであります。ただ私どもが聞いておりますのは、その資料についてさらに裏書きがあつたということは聞いております。 それから一つ飛んで左側の「(一)(二)以外の各種の資料あるもの」四十三名、三十三名、それがそれぞれ四十名、三十一名となつておるのであります。ここの四十三名が四十名になつておりますのは、四十三名の中から三名だけは、この方は大体確実になくなられたのではなかろうかという公算の大きな方が出ました。それからさらに一番左の「全然生死の消息に関する資料のないもの」の二人が一人になつております。それはたしかこの方はなくなられたらしいという情報がそこで上つて来た。そこで死亡された方が四名ほどふえておる、かようにいたしまして、すべてこれは経過中の数字でございまして、まだこれによつて確認——確認という術語は、私どもは大体この方はなくなつたに間違いないというのを死亡の確認と称しておるのでございますが、そこまでは至つておらないのでございます。死亡と判断される資料があるという程度で、そういう公算があるということで、確認するまでにはまだ至つておらないのでございます。そこで今のお尋ねでございますが、大体一番右に書いてあります七十五名というのは、これは大体生きておられるであろう、生存の公算が非常に大きい方でございます。一つおいて左の七十六名、これも相当生きておられる公算がある。しかしながら先ほど新聞社の方からもお話がありましたように、われわれとしてはとにかく死亡という確証が得られない限りは何とか生きておられるのじやないだろうかというので調査を続けるわけなのでございまして、この七十六名という方の中にも公算が非常に大きい方と小さい方といろいろあると思うのでありますが、大体こういう範疇に入ると認められましたのがこの表であります。その調査の経過の途中におきまして、七十五名の生存の公算の非常に大きい方と、七十六名中の公算の相当大きい方ということで百十二名という数が出て来たのかもしれないと思いますが、その点私は確かめておりません。
○和田参考人 七十五人の中にはすでに生存通知が出ておる者もあるように聞いております。この百十二人というのは、十二、十三の両日にその関係の人たちが集まつて、そこでいろいろと資料を出し合つて照し合つた結果、そのうち三十七人だけさらに生きているという資料が得られたのでありまして、それに基いて合計いたしますと、七十五人と三十七人で百十二人という数字になります。
○福田(喜)委員 その数字の三十数名の違いにつきまして、厚生省当局は、生存せるやいなやを確認あるいは調査する方法を何か講じておられますか、あるいは講じられる意思がありますか。
○田島説明員 先ほど申しましたように、ここに差し上げてあります表は、これからの調査の基礎になる表でございます。従いましてここにあります方は、これは全部が引続き調査を必要とする方ばかりであります。この部分はもう調査はいらないという方は一人もない、百八十二人が百八十二人とも調査を必要とする。なくなられたという資料がある方でも、それをさらに確認するためにはこれからまだ調査を続けなければならない。現に、この表には出ておりませんが、大宮の調査におきまして、この方とこの方とはこういう場所の、こういう時期の資料についてさらに非常に有力なものを持つておられるというような好資料の保有者がわかりましたので、さしあたりの調査の手段としてそういう方に照会して、この資料からさらに成果を生むべく今努力いたしております。
○福田(喜)委員 法規問題とか責任の問題を追究することはやめまして、私は放送の問題をお尋ねします。法規問題を争つたところで死んだ者が生きて帰るわけではない。私は生存者が一日も早く帰ることを希望するのでありますが、ラジオ東京の方にお尋ねいたしたいのは、そういう問題を離れまして、これはホット・ニュースとして読売新聞のニュースを信憑されたからこそ放送をされたことと思いますけれども、今日厚生省当局の御発言に対しまして、依然として放送内容については訂正する必要はない、放送の当時と気持はおかわりないというのでありましようか、ひとつお確かめいたしておきたいと思います。
○鈴木参考人 同じようなことを繰返して相済みませんが、私そのために責任をのがれるという意味は毛頭ございません。先ほどもちよつと申し上げたかと思いますが、率直に申し上げますれば、ラジオ東京の成立そのもの、機構そのものが、新聞社のニユースを信頼して、新聞社の協力を得て行くという建前ででき上つた機構でありますし、取材活動の手足も、直接ニユースに関する限りは持つていないという形でございます。そこで朝日、毎日、読売という三大新聞に対して私どもは絶対に信頼を持つております。もちろんあやまちを犯すことは大新聞でもしよつちゆうあることでありますから、これは当然あり得ることだと思います。そういう場合には、率直に訂正させていただくよう私どもの方からも申入れしようと思いますが、現在のところでは、私ども自分個人としての資料をまつたく持つておりません。ここで今どちらが正しいかということは御当局も、また皆さんも御判断に苦しんでいらつしやるようですから、私も率直に申し上げて、自分でこれがこうだというふうに申し上げかねるのであります。
○福田(喜)委員 最後にお尋ねいたしたいのでありますが、先ほどの読売新聞社の和田さんの御発言と、厚生省当局の方の御発言内容と大分違つておつたようでございます。その点につきまして厚生省当局はいかなる措置を講ぜられますか。今厚生省当局の御発言に対して、和田さんは大分御訂正なさつておられるが、この点は世間は重大関心を持つておるのであります。ただ記者発表だけの問題ではないと思う。対世間的にいかなる措置を講ぜられる御用意があるか、承りたい。
○田島説明員 御趣旨のほどよく長官に伝えまして、適当な措置をとられるように申し上げたいと思います。
○小平委員長 この際申し上げます。本件の今後の取扱いにつきましては、理事会に諮つた上で適当に処置いたしたいと思います。 なお本件とも関連いたしますので、来る二十二日に稻毛の留守業務部を本委員会として視察いたしたいと思いますから、各委員の御参加を希望いたしておきます。 これにて参考人よりの事情聴取を終了いたします。 参考人各位には長時間にわたつてお話くださいまして、まことにありがとうございました。これにてお引取りを願います。 —————————————
○小平委員長 次に引揚者及び遺家族に対する更生資金に関する件及び在外公館等借入金に関する件について議事を進めます。質疑を許します。小西英雄君。
○小西(英)委員 生業資金と更生資金の問題の前に、一点お尋ねいたしたいことがあるのであります。それは愛媛県に起つた惨事であります。実は昭和二十一年の十一月六日、満州方面より内地に帰還いたしまして、広島県の尾道から第十東洋丸に乗船して愛媛県の今治に向つて復員軍人が帰つておつたのであります。途中台風にあいましたために、第十東洋丸が沈沒いたしました。その死亡者は、当時としては大体はつきりしていて、県の扱い方も戦死者と同様の扱いをなすことになつたように伝えられ、県の護国神社等にまつられておるのでありますが、このたびこの問題が援護局の方からどこかに通達があつて、これを戦死とみなすやらどうやらわからぬということで、遺族の方が非常に心配されまして、今回の遺族に対する年金あるいは弔慰金をもらえるかどうかというお尋ねがありましてその点を厚生省の方からはつきりした御答弁をお願いしたいのであります。
○山本説明員 今度出ます遺族援護法の法律の書き方にもよると思いますが、御承知のように、陸軍刑法を廃止する等の措置に関する政令が出ておりますときに、その政令の規定を見ますと、未復員者はそれぞれ従来の業務に相当する業務を行うべしという内容になつておりますので、そういう未復員途中の自己の責任に帰することのできないことで死亡した者の例は、今立案中の遺族援護法の対象になり得ると思いますが、ただ戦死という扱いになりますかどうか、この点は復員局の所管でありますので、田島事務官の方から答えていただきます。
○田島説明員 先ほど小西先生がおつしやいました点につきましては、今山本課長から申し上げた一般的な取扱いでございます。まだ未復員中であるということでございますが、いわゆる戰死として取扱うことは非常に困難であります。公務によるものというようなことにすべきかどうかということについて、ただいま研究されておる問題の一つでございます。それだけ御報告いたしておきます。
○小西(英)委員 実際に大陸あるいは南方において歴戰の勇士が、その職務を終らないうちに事故で死んだということについては、これは事実をもつてしても、戰死であるかどうかということは問題であつても、今般の遺族援護対象になること、私が常識で判断しても必ずならざるを得ないと考えておりますが、そういう点今まだ法律ができておりませんが、ひとつ事務当局においては戰死者並と申しますか、弔慰金をいただき、あるいは遺族の人が年金を一般の人と同様にもらえるように特にお願い申し上げてこの問題を終ります。 次に生業資金と更正資金について引揚者あるいは未亡人、戦争遺族の方が、本年厚生省の予算の中に突如として計上されて覆いが、これはどういうわけかというお尋ねがあるので、厚生省の方がこの予算を大蔵省に出さなかつたのか、あるいは大蔵省がこれを切つてのけたのかということを、まず最初にお尋ねいたしたいのであります。
○山本説明員 厚生省といたしましては、明年度予算に最終的に大蔵当局に対しまして、新規貸付資金を九億九千八百七十九万八千円、それから事務費四百三十万五千円お願いいたしました。厚生省といたしましては、更生資金の果しておりまする役割が非常に大きいことにかんがみまして、数次の復活の際もぜひのつけてもらうように要請して、最後の復活要求までこの金額をお願いしたのでありますが、大蔵当局の財政上の都合ということによつて遺憾ながら削減されたのであります。従いまして明年度予算におきましては、既往の貸付金から償還が期待され、それが元金として運用されます四億五千六百万円余りで当面運用しなければならないという実情になつておるのであります。厚生省といたしましても大蔵省の査定に必ずしも満足してはおりませんので、各地方側の要望なり、あるいは国会の御意見なり等によりまして、明年度適当な機会に、何らかの形におきまして、この資金の増額といいますか、そういうものが期待されるようなおお願いしたいと考えておるような状況でございます。
○小西(英)委員 来年度の予算の中に入つているのですね。
○山本説明員 先ほど申し述べましたように、新規財政支出といたしましてはゼロでございます。既往の償還元金運用額が四億計上されておるにすぎないという状況でございます。
○小西(英)委員 そうするとやはり大蔵当局が切つたものとわれわれは推測いたします。大蔵当局は一社に対して何十億、商社に対して多いところは百億から貸し付けておる。これは一般の金融業者でありますが、更生資金というものは零細な資金であつて、外地から帰つて来、あるいは戦沒された人の未亡人等の零細な資金で、民生安定の上からきわめて必要な資金であるにかかわらず、更生資金と生業資金とをごつちやにして考えて、大蔵大臣等の予算委員会における説明等をわれわれ聞きましても、はつきりわかつていないのじやないかという点があるので、両資金の相違について、性格の上においては一緒であるが、実際の内容のかわつておることを知つておられるかどうか。生業資金は国民金融公庫法に基きまして、一般の市中銀行から融資を受けられない、いわば信用力の稀薄な企業に対して貸し付けられ、あるいは純粋の事業資金であります。それに反しまして更生資金は、建前は生業資金同様事業資金ということにはなつておりますが、創設せられた当時は、主として引揚者に更生の機会を與えるという目的であつたのでありまして、内職業職、就職の準備等に要する立上り資金であります。また生業資金は国が国民金融公庫に対する直接の出資として支出されております。更生資金も同じく財政支出ではあるが、厚生省がその運営を公庫に委託し、事務的には都道府県が公庫に委託するという形をとつておる。貸付條件についても相当内容が違つております。生業資金は、純粋の事業資金であるという性格に基き、コマーシャル・ベースに立つ金融であるから、融資の対象となる企業は一般市中銀行から貸付を受けられない企業であつて、左の條件を具備しなければならないことになつております。過去における事業の実績を有し、あくまで償還確実なものでなければならない。事業の資金計画が適切でなければならない。更生資金もいわゆる生活資金でなく、建前としては事業資金であるが、その貸付は、何らかの手がかりが得られ、自立更生が可能であり、かつ回收の見込みが十分であることが條件であつて、民生委員及び市町村長の証明が必要とされております。従つて更生資金は社会政策的な意味を多分に含んでおります。さらに貸付の手続の相違点として、生業資金の貸付は、国民金融公庫の嚴重なる机上並びに実地調査によつて決定されるのでありますが、更生資金の方は主として民生委員、市町村長の証明が必要であり、それに基き公庫の調査によつて貸付が決定せられるが、大口連帯の貸付の場合は都道府県更生資金運営委員会によつて決定されます。さらに更生資金の利用者の変化という点から見ますと、更生資金は最初引揚者更生に重点的に利用されましたが、最近におきましてはその五〇%ないし六〇%が遺族、未亡人、留守家族、身体障害者あるいは戦災者等に貸し付けられるに至り、しかもその需要は現在年間二十億に上つておりますが、これに対応する貸付は事実上きわめて限定されております。次に地方自治体の更生資金に対する監視とその利用の点より見ますならば、更生資金はまた風水害、大火等の災害によつてこれが復興の応急的資金として優先的に利用され、地方自治団体は民生安定の重要な一つの制度であることの認識を深めております。さらに一歩進めて地方自治体においては、国による更生資金とは別途に、都道府県民の要望にこたえて、都道府県費をもつてこれと類似の資金制度を創設し、生業資金と称しておるようなところが多いのでありまして、庶民の自立更生に資しておりまする北海道あるいは宮城、東京、神奈川、長野、京都、兵庫、山口等それであります。こういうふうにこの更生資金の制度が各地に徹底して参りまして、一息ついて更生の明るい見通しがある際に、今回は厚生省の予算の中にゼロになつておるので、非常に心配いたしております。更生資金そのものに対する需要は年間二十億円を上まわる現状でありましてしかもその対象者は当初のころとはだんだん違つて参りまして、その六〇%以上は、先ほど申し上げましたように、遺族あるいは未亡人、戰災者、戰傷者、未帰還者、留守家族等が占めておる最近の実情であります。ことに講和発効後のわが国の経済事情を考えると、国民生活もにわかに好転することが考えられないので、諸般の情勢からこれを考え合わせると、ますます更生資金の需要は増大する一途にあると思うのでありますが、政府はかかる現実を忘却いたしまして、昭和二十七年度の予算においては新規引揚者の見通しがつかないという理由によつて、更生資金を計上しておりません。新規財政支出を打切つたのみならず、これが運営のための事務の指導費、あるいは府県に対する補助金すらも打切るに至つたことは、どうも引揚者といたしまして、あるいはこの委員会としても納得ができないのであります。遺族対策が留守家族に十分に実施し得ない現下の財政事情からいつても、これを補足する意味からいつても、この際政府は更生資金制度をもつと強化してもらいたい。戰争犠牲者を初め、生活に困窮しておる国民大衆の自立更生を促進したいという考えを持つておるのでありますが、これについて今のうちなら何とかなるのではないかと思いますが、政府はこの二十七年度にこれを入れる意思があるかどうか、大蔵当局にお尋ねしたいのであります。
○岩動説明員 更生資金につきましては、過去今日に至るまで政府資金あるいは償還金の運用等で約四十五億の資金運用をいたして参つております。それで明年度におきましては、先ほど厚生省からもお話がありましたように、新規の財政支出はいたしておりませんが、約四億六千万くらいの償還金を当てにして、それをさらに運用して行くというふうに予定をいたしておるわけであります。大体更生資金の出発は、引揚者を対象といたしまして特別に融資をいたして行こうという趣旨で出発いたして参つたのであります。従いまして昭和二十一年ごろ引揚者が非常に多かつた当時は、相当にその効果もあげて今日に至つておりますが、昭和二十五年度におきましては、引揚者も相当数減つて参つております。さらに昭和二十六年度におきましては、非常に減りましてわずかに千六百人くらい、これは一面から言いましてきわめて遺憾な数字でありますが、こういう実績になつて来ておるわけであります。従いまして更生資金の本来の出発の意味から申しますと、このための引揚者だけを対象とする限りにおいては、資金の増額というものはさして必要でないということも一応言い得るのであります。しかしながらただいま小西委員からもお話がありましたように、引揚者だけを今日におきましては対象といたしませず、さらに戰災者あるいは未亡人等、特殊な條件にある方に対しても貸付をするというふうに、引揚者の数が減つて来ると同時に、そういつた方向にもまたこの資金が運用されて行くという現実になつて来ておるわけであります。ところがこの国民金融公庫自体の本来の趣旨が小口の資金を貸し付けて行くということにありますので、政府といたしましては、できるだけこの国民金融公庫の全般の資金の中でそういう方々の所要金も融資をして行くという方向に切りかえて行く方針で参つておつたわけであります。従いまして本年度の補正予算におきましても、厚生省から補正追加の御要求もありましたが、それもそういう趣旨で、新規に更生資金という名目での貸付の資金は計上いたさずに、別途二十億の小口貸付の資金の額をふやしたというような事情になつております。この方針を二十七年度におきましても踏襲いたしまして、政府資金としては一般会計から三十億、預金部資金から二十億、あわせて五十億を国民金融公庫の新たなる貸付の資金として計上して、四億五千万の償還金のほかに、さらにこちらの方でも相当にめんどうを見て行くという趣旨で進んで参つておるわけであります。従いまして今日政府といたしましては、予算上これ以上更生資金を増加するということは考えていない次第であります。
○小西(英)委員 今の大蔵当局のお話によりますと、これはやはりわれわれ知つている範囲から考えましても、更生資金は引揚者を対象に貸す——むしろわれわれその当時としては、貸すより、何も持たない引揚者に対して職につくまでの間の生活資金というような感覚で大体貸しておつたようにも考えているのでありますが、現在の内容はだんだんかわつて参り、やはり確実に返さなければならないという面も出て参りまして、はつきり申しますと、初めもらつたものについてもみな返している。回收ができているし、この生業資金と更生資金とは担保とかその内容において大分違うので、こういうふうなことが非常に民生安定の上からいいということになつて、この更生資金を非常に喜んでおつたのでありますが、もう今年限りで、来年はそれが対象がかわつたから、今の更生資金の金をむしろ生業資金の形で多く貸すというような考えを持つておられるように承るのですが、それでよろしいですか。
○岩動説明員 更生資金といたしまして来年度償還される四億数千万円の金を対象といたしまする貸付は、従来同様更生資金と同じ扱いでやつて参ります。従いましてこれは先ほど申しました五十億の出資による甲種あるいは乙種の一般貸付とは別途に、従来通りの貸付の方法で運用するという計画でございます。
○小西(英)委員 今まで出ている更生資金の総額をちよつと教えてもらいたい。
○岩動説明員 四十五億一千六百六十六万七千円。これは二十六年度の償還金の運用分まで含めてであります。
○小西(英)委員 大体四十五億の金が現在の更生資金に出ておりますが、それが返れば順次回転しつつ、新しい金はつぎ込まないが、それをまた当分の間貸していただけるというわけですね。
○岩動説明員 ただいまはそういう計画で考えております。
○小西(英)委員 大体その点はわかつたのですが、去る二月五日の予算委員会において、池田大蔵大臣が軍人遺家族の生活に資するために国民金融公庫の貸出しに別わくを設け、生業資金を優先的に貸し付ける方針であると答弁しております。誤解を生ずるおそれがあるので、この際その内容並びに條件、手続等をちよつと承りたい。
○岩動説明員 はなはだ遺憾でありますが、私その具体的な内容についてまだ伺つておりませんので、御答弁いたしかねます。
○小西(英)委員 先ほど言われた新規に二十億円を増加した資金は、それとは関係ありませんか。
○岩動説明員 大蔵大臣のおつしやつた具体的にどう実行されるかにつきましては、これは所管も予算と違いますし、私まだ何も伺つておりませんので、別の機会に責任者の方からお答えするようにいたしたいと思います。
○小西(英)委員 事務当局だけでは今の遺族の資金に対する内訳等もわからぬようなので、きようは非常におそくなつたから、この次の機会にそういうふうな詳細の点、あるいは尋ねたい点を譲りたいと思います。これで私の本日の質問を終ります。
○飯塚委員 先ほどの別途小口貸付として二十億とおつしやつたのは、これは国民金融公庫へ別途に出すのですか、それともほかの機関から出すのですか。
○岩動説明員 私が二十億と申しましたのは、二十六年度の補正予算において、国民金融公庫の使用し得る資金の範囲を増加したということを申し上げたのであります。
○飯塚委員 それは特に今対象になつている戰災者とか未亡人とか、そういう更生資金としての振り当てのものであるか、その点を伺いたい。
○岩動説明員 これは国民金融公庫のいわゆる普通貸付の種類に入るものでありまして、更生資金とは別口のわくになつております。
○玉置(實)委員 私は在外公館借上金の問題につきましてごく簡單にお尋ねをしたいのでありますが、ただいま更生資金の問題が出ておりますので、一点だけ要望を申し上げておきます。先ほどの質疑応答を拝聴いたしますと、国民金融公庫と更生資金とが混同されたのではなかろうかという疑点もございますが、厚生省当局といたしましては、もし二十七年度において補正を組むというチャンスがありましたならば、ぜひとも組みたいという御意向を持つておるように承つたのでありますが、大蔵省の主計官の御意向によりますと、補正をやる意思は全然ない、こういうように、政府側内部においてまつたく相反する主張のようであります。更生資金の四億五千万円の運用の金額が多いか少いかは別問題でありますが、御承知のように更生資金は社会保障制度の一環といたしましても相当重要であろうと思いますので、この点は厚生省におかれまして政治力を発揮していただきまして、ぜひ大蔵省と御交渉をいただきたいと思う次第であります。 時間がおそくなつておりますから、在外公館の問題はごく簡單にお尋ねをいたします。この問題は相当世間の注目を浴びております。第十二臨時国会に大蔵省から原案が出たのでありますが、これがやみからやみに葬られたような次第であります。現在この法律案がどういうような取扱いになつておりますか、ごく簡単にお知らせをいただきたい。
○上田説明員 お答え申し上げます。御承知のようにこの法案は臨時国会から継続しての審議に付されておりまして、大蔵委員会で審議されているように承知いたしております。御承知のようにその後証人の喚問等も衆議院、参議院ともにあつたことを承知いたしておりますが、その後呼出しがございませんで、実はこちらで御審議を継続しておるものと私は考えておるのであります。
○玉置(實)委員 そうしますと、大蔵省の原案につきましては政府側として御修正になる意思があるかないか、特に問題点といたしますのは換算率の問題、五万円で頭打ちにするという問題、この二点が前国会の大蔵委員会と当委員会との合同審査委員会において一番大きな問題となつたのでありますが、この点に関するあなたの方のざつくばらんな御意向を拝聽させていただきたいと思います。
○上田説明員 お答えいたします。大蔵省といたしましては、提案いたしました法案について自発的に修正をするという意向は持つていないと承知いたしております。
○玉置(實)委員 法案の逐條審議におきましては相当理論的な難点があろうと思いますが、これは他日に譲りまして、ごく一、二点だけお尋ねをいたしたいのであります。朝鮮、満州あるいは中国等における現地通貨と当時の為替相場と申しますか、交換比率に相当問題があると思うのであります。ごく簡單に申しますと、政府におきましては購買力を一つの中心として、現地通貨と日本円どの交換を決定したと思うのでありますが、理論的に申しますと購買力平価税と申しますか、当時の購買力の平価によりましてああいう換算比率を設定しながら、しかも現在の円と六年前の円との間の購買力平価につきましては何らの言及がないのであります。この点をおそらく金をお貸しになつた当時の人々は最も不満に思うと考えるのでありますが、われわれといたしましてはこの購売力平価、つまり換算比率について相当根本的な改訂をお願いいたしたい、こういうふうに考えておるのでありますが、大蔵御当局の御意見を承りたい。
○上田説明員 御指摘になりましたようにレートのきめ方につきましては、考え方の根本を申しますと、購買力平価と申しますか、購買力で一応比べる。しかし購買力平価のとり方は、理論的に申しますと実にいろいろのとり方があると思いますが、一応そのうちで窮余の策といたしまして、米に対する購買力で全体の購買力を推定してとつたというようなことになつていることは、しばしば御説明申し上げた通りであります。そういう形で現地の借入れ当時の通貨の価値と日本の円とを比較いたしましてレートをつくりましたが、建前といたしましては、そのときにそれだけの円をお借りしたのである、そういう建前で進んで来ております。従いまして当時の円の価値が現在までに下りましたことにつきましては、これは一般の大きな問題といたしまして、預貯金やその他円で政府が預りました、あるいは借りましたものに対して現在返している問題、それと同様な考え方をとる、それが大蔵省の建前と存じております。
○玉置(實)委員 この問題につきましては、当時の外務大臣でありまする吉田総理からの訓令に基きまして、現地で通貨を集めたような状況でありますることは御承知の通りであります。理論的な点から申しますと相当問題があろうと思いまするし、換算率の問題しかり、また五万円で打切るという問題しかり、この二点が一番大きな問題でありまするが、ただいま大蔵委員会におきまして継続審議中でありまするので、特に委員長にお願い申し上げておきたいのですが、早急に本案をおきめなさらずに、もう少し角度をかえまして、理論的にもまた政治的にも配慮を加えまして、十分に当委員会の意向が大蔵委員会に反映いたしまするように、最後の決定におきましては、大蔵、引揚合同の審査委員会を特にお開きいただきたい。そこで衆議院といたしましての修正意見等につきましても徹底的な意見の具体化をはかりたいと思う次第であります。まだたくさん申し上げたいことがありまするが、時間がおそくなつておりますし、なお本問題は相当政治的な関係がございますので、單に課長のみの事務的折衝では相当むずかしかろうと思います。でき得ますならば政務次官に御出席をいただきまして、政治的な解決をはかりたいと考える次第であります。他日に質疑を留保いたしまして、私はただ問題の経過だけを本日お尋ねしておきたいと思います。この点委員長におかれまして十分御連絡をお願いする次第であります。
○小平委員長 玉置委員の御要望に対しましては理事会にもはかりまして、御趣意に沿うようにいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時五十九分散会