運輸委員会 第36号
- 発言数
- 11 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1952/05/26
会議録
○岡村委員長 これより会議を開きます。 この際お諮りいたします。本日付付託になりました造船法の一部を改正する法律案、坪内八郎君外二十名提出、衆法第四九号を日程に追加するに異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○岡村委員長 異議なければ、さよう決定いたします。 造船法の一部を改正する法律案を議題とし、まず提出者より提案理由の説明を求めます。坪内八郎君。
○坪内委員 ただいま上程されました造船法の一部を改正する法律案につきまして、提案者を代表して提案理由を説明いたします。 今日わが国造船業は、戰争によつて崩壊した商船隊の再建に、あるいは輸出船の建造による外資の獲得に、目ざましい業績を上げていますが、わが国造船業の今日の地位は、ひとり戰後における造船業者の努力のみでなく、明治中期以来長年にわたつて造船業を培養して来た造船奨励法、製鉄奨励法、関税定率法等による国家の保護政策も、またあずかつて力があつたのであります。このように国家が造船業に保護を加えて来たことは、この事業が海運業との関係においても、また関連諸産業との関連においても、その消長が重大な国家的関心事であつたからであります。しかも造船業に対するこのような国家的関心は、いまなお減少せざるのみならず、いよいよその重きを加えているといわなければならないのであります。すなわち現在造船業は日本の存立に欠くことのできない商船隊船腹の供給者であるばかりでなく、二百余種に上る広汎な関連産業に囲繞される一大総合工業であり、造船所の所在する地方において、その経営が地方民生に重大な影響力を持つていることについてはすでに数々の実例が示すところであります。またその経営の適否が金融界全般に著しい影響をもたらす点でも、軽視できないのであります。 しかるに今次戰争後におきましては、事情かくのごとき造船業に対してさえも、財政事情その他の理由から、何らの財政的保護政策が行われていないのであります。そして今後といえども造船業に対する財政保護政策の実施については、並々ならぬ困難が横たわつていると思われるのであります。一方諸外国を見ますれば、米、英、仏等の主要海運国はもちろん、イタリア、ドイツ、ベルギー、北欧諸国等におきましても、それぞれ建造補助金の交付、造船融資あるいは各種の免税等の措置を講じているのが実情であります。 このようにきわめて不均衡な事情にありながら、講和発効後においては、日本における造船業の経営は、国内的にも何らの制限なしに解放されることとなるのでありまして、その結果わが造船業界に収拾することのできない混乱の惹起することも十分予想せられるのであります。 右のような観点から、われわれはこの際消極的ではあるが、財政事情その他の事情に拘束せられずになし得るせめてもの方策として、わが造船業に混乱を招来するような資本投下、特に何らの制約なしに国際資本が流入することを防止し、国民経済的な角度から、その能力施設に適切な調整を行い得る措置を講じておく必要を痛感するのであります。 ここで改正法の内容を簡單に御説明いたしますれば、現在の造船施設の届出制を許可制に改め、なお施設の讓受けについても許可を要するものとしております。ただその対象たる施設は、現行法では総トン数百トン以上または長さ二十五メートル以上の鋼船の造修施設であつたのでありましたが、本改正法ではこの範囲を縮少し、総トン数五百トンまたは長さ五十メートル以上の鋼船の造修施設に限定されております。 この改正法の立法精神は、あくまでさきに述べたごとく、わが国造船業の健全な運営を目的とする、いわば一種の保護手段であります。従つてわが国造船業者の企業的創意及び自主的運営をはばむ趣旨のものではなく、その運用についても、経営上の必要に基いてなそうとするやむを得ない施設の整備、改善を阻止する結果とならないよう、嚴に留意すべきものであります。また対象となる施設の範囲も船台、船渠その他若干のもの等、法改正の趣旨を徹底するために必要な最小限度にとどめ、かつ設備改善または技術導入の促進を阻害することのないよう、許可の対象を限定して行くことが必要と思われるのであります。 最後に現在の日本の造船能力の実情を具体的に概観し、無秩序な資本投下の不可なることを明らかにしたいと思います。 現在の造船能力は、各造船所の雇用量をペースとする能力で算定すれば、外航船建造については五十八万総トンと推定されストライク報告による算定能力も五十七万八千総トンとなつております。従つてわが国の外航船建造能力は平常の状態において五十八万総トン程度と判定してさしつかえないと思います。これに対して建造量の見通しは大体年間五十万総トンであり、現状では大体バランスがとれております。もつとも今後の国際情勢いかんでは需要の増加も考えられますが、民業に転換する旧工廠等の合理的な生存をもはからねばならず、需給のバランスをとつて行くことはなかなか困難であります。従つて外資導入が日本経済全般の復興と発展を促進する契機となることを確信しておりますが、わが国造船業の実情を見れば、流入する外資が真にわが国造船業の健全な発達を促進し、日本経済の自立化に貢献するよう調整されることは、ぜひとも必要であると思われるのであります。 以上がこの法律案を提出する理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを望みます。
○岡村委員長 本案に対する質疑は、次会より行いたいと思います。 —————————————
○岡村委員長 次に道路交通事業抵当法案を議題とし、提出者より提案理由の説明を求めます。
○植竹参議院議員 道路交通事業抵当法案の提出理由について御説明いたします。 最近における道路運送事業及び通運事業の発達は、きわめて顯著なものがありまして、これに伴つて企業経営の維持及び拡充をはかるため、金融の円滑化に対する業界の要望も切なるものがあります。このため個々の自動車に対しては、昨年六月当時当委員会の御審議も経まして自動車抵当法が制定せられ、短期資金調達の道が開かれた次第でありますが、さらに設備資金等の長期資金調達の円滑化をはかるため、企業を一体として担保に供する財団抵当制度を確立する必要がありますので、この法律を制定いたしたいと存じて提出いたした次第であります。 さて道路運送事業に対しては、すでに旧自動車交通事業法において、その財団抵当制度が設けられていたのでありまして、旧法は昭和二十三年一月一日に廃止せられた次第でございますが、本法案におきましても大体旧法の線をたどつておりますが、本法案が旧法と異なる点はおおむね次の通りであります。 第一に、財団を設定し得る事業の中に、新たに通運事業を加えることといたしました。 第二には、旧法では財団を一個の物とみなして、鉄道抵当法にならつて制度が構成されておりましたが、本法案では登記その他の手続上の簡便をはかるため、財団を一個の不動産とみなして、工場抵当法にならつた法体系をとつております。従つて財団の登記に関しては不動産登記法の規定が、財団の抵当権に関しては民法上の抵当権の規定が、また財団の抵当権の実行に関しては民事訴訟法及び競売法の規定がそれぞれ適用されることになりますが、そのほかに事業財団の特殊性及び事業に対する監督行政上の必要から若干の特則が加えられております。 第三に、財団の担保価値を高め、かつまた事業監督行政の必要から、財団は属する事業の一体性を確保することは、ぜひとも必要でありまして、この点に関しては、第一に事業用の物件が財団に当然所属すること、すなわち当然所属主義をとつておること、第二には原則として財団組成物件の個々的な処分を禁止すること、第三には競落人は、免許に属する権利義務を当然承継すること等の規定は、旧法とおおむね同様に設けております。以上が道路交通事業抵当法案の大要であります。 以上によりまして、本法案の提出理由につきまして御説明を終りますが、長期金融の円滑化を確保し、道路運送事業及び通運事業の健全な発達をはかりますためには、ぜひともこの法律の制定を必要とするものと考えますから、何とぞ御審議の上可決されるようお願いいたします。
○岡村委員長 次に同法案に対し、補足説明を求めます。
○植竹参議院議員 この補足説明につきましては、この法案立案にあたりまして特段の盡力がありました参議院法制局の岸田部長から御説明申し上げたいと存じます。お許しを願います。
○岡村委員長 岸田参議院法制局第二部長。
○岸田参議院法制局参事 ただいま植竹議員から御説明のありました道路交通事業抵当法案につきまして、若干補足的に御説明いたします。 最近の道路運送事業及び通運事業の発達はきわめて目ざましいものがありまして、経営規模の拡大とともに、資金の需要も著しく増大いたしております。そこでこれらの事業のより一層の健全な発達をはかるために、金融の円滑化が強く要望されるに至つておるのであります。道路運送事業につきましては、すでに昭和六年に制定されました旧自動車交通事業法によつて、その財団抵当制度が確立されましたが、その後事業拡張が行われがたい客観情勢によりまして、自動車運送事業の資金の需要が著しく減退したため、その利用率も年々低下いたしまして、遂に旧道路運送法制定に際して、一応この財団抵当制度が廃止されるに至つたのであります。その後、道路運送事業及び通運事業に対する基本的政策といたしまして、免許の複数制がとられ、戰後経済の復興と軌を一にしまして、これら事業は著しい発達を遂げ、それに伴いまして廃止されました旧財団抵当制度を復活して資金調達の道を開くことについて、業者の要望も強く起るに至つたのであります。 これらの要望にこたえまして、昨年六月、自動車抵当法が制定されたのでありますが、この法律は個々の自動車を抵当権の目的としまして、短期資金調達の道を開くことを主眼として制定されましたもので、企業の新設や拡張に伴う多額な長期設備資金をまかなうためには不十分であります。ここに事業を一体といたしまして財団をつくり、これを担保に供することができる制度を設けますときは、その担保価値は、單に物的交換価値の総和以上に、企業の収益力、免許に関する権利が一体となることによりまして一層高められ、多額の長期資金調達に便宜を得ることができるわけであります。自動車抵当法と財団抵当法とは、短期及び長期融資の道を開くものといたしまして、両者相まち、おのおのの効用を発揮することによりまして、わが国自動車界の発達に資するものであります。 以上法案の内容につきまして御説明いたします。 第一は本法の目的でございます。第一條に規定されます通り、この法律は、道路運送事業及び通運事業を対象として財団抵当制度を確立し、これらの事業に対する資金調達の道を開くことによつて、事業のより一層の健全なる発達をはかることをその目的とするものであります。 第二は事業財団の設定でございます。これにつきましては第三條で、事業者は一または二以上の事業單位につき、事業財団を設定できると規定いたしております。この事業者及び事業單位につきましては、第二條にそれらの定義を明示しております。すなわち事業者とは、道路運送法による一般自動車運送事業もしくは自動車事業、または通運事業法による通運事業を営む者をいいます。特定自動車運送事業と荷主限定を受けた通運事業とは、事業財団設定の対象から除外されております。 次に、同じく第二條で定義されています事業單位という言葉について御説明いたします。財団を設定するにあたつて、事業の全部のみでなく、その一部についても設定を認めることは、金融の便宜からぜひ必要でございます。しかし無制限にこれを認めますときは、事業の細分化を招來するという好ましくない結果を招くおそれがあり、またあとで御説明申し上げる通り、本法案では財団の組成物件について、当然所属主義という建前をとつておりますので、ややもすれば財団の組成物件の所属が不明確となりやすくなります。また本法案では、競落人に事業の免許を当然承継させることとしていますが、このためには、財団に属する事業が独立性、一体性を持つ必要があります。これらの理由によりまして、事業財団を設定するにあたつては、財団設定の最小の單位を定める必要があるわけでございます。ところでこのような事業單位は、事業財団の設定者によつて客観的に判断されることは困難であり、またこの判定を登記官吏にゆだねることも無理でございます。そこでこれを事業の監督官庁たる主務大臣の認定にまつことといたしました。 次に、本法案第六條第一項に規定します通り、事業財団の設定は、登記所に備えつけられた道路交通事業財団登記簿に所有権保存の登記をすることによつて行われます。この事業財団の設定にあたりましては、手続上若干の制限がつけられております。すなわち第五條に規定されております通り、自動車道事業については一般自動車道の敷地、その他の事業については不動産と事業用自動車が存しないときは、事業財団を設定することができません。これらの物件が存しないような事業は、おおむねその経営規模が小さく、従つて担保価値が小さくて、事業財団の設定を認める必要性がないからであります。また事業財団の登記所は、不動産の所在地を管轄するものとしましたので、不動産がないことはその運用上困ることになります。 次に第七條では、事業單位に属する土地、建物または自動車は、事業財団の所有権保存の登記の申請前に、それぞれ登記または登録を受けなければならないこととしております。これは登記または登録を受ける物件については、それぞれの登記簿または登記原簿を照合することによりまして、それらが他人の権利の目的となつているかどうかを確かめ、また事業財団に所属した旨を登記簿または登記原簿に記載することによりまして、第三者に公示し、取引の安全を確保する必要があるからでございます。 第三は事業財団の組成物件についてであります。組成物件の要件は、一、第四條各号に掲げるものであること、二、同一の事業者に属すること、三、当該事業單位に関するものであること、四、第六條第二項の但書によりまして、現に他人の権利の目的等となつていないことでございます。第四條各号には、事業経営に必要な不動産、動産を初め、地上権、地役権、賃借権等の物権及び債権を包合させております。 次に、本法案では法律構成上、組成物件に関して当然所属主義といわれる建前をとつていますが、これについて御説明いたします。第六條第二項で、事業財団登録簿に所有権保存の登記をしたときは、第四條に規定するものは、当然事業財団に所属すると規定しましたのがそれでございます。この意味は、事業財団の登記が行われますと、事業財団目録の記載の有無を問わず、前に述べました組成物件としての要件としての要件を満たすものは当然に事業財団に所属するということであります。何ゆえかかる建前をとるかといいますと、工場抵当法のように、財団の設定者が事業を構成する個々の物件をかつてに選択して財団をつくることとしますと、それが競落されたとき、事業の一体性がそこなわれる結果となつて、免許制の建前から好ましくなく、また競落人に免許を承継させることもできなくなるので、財団の担保価値を著しく減少させるおそれがありますし、また自動車運送事業等は日々発展、変化するものでありまして、この発展の姿を財団にそのまま反映させる必要があるからであります。ただ本法案におきましては、第六條第二項の但書によりまして、現に他人の権利の目的等となつているものは、組成物件となることができないことといたしております。これは権利関係を明確にして、第三者の権利が不測の損害を受けることのないように例外を設けたわけであります。 第四は事業財団の性質についてであります。第八條の規定によつて、事業財団を一個の不動産とみなしております。鉄道抵当法のようにこれを物とみなすか、または工場抵当法のように不動産とみなすかは、本質的な差異がないというのが一般の学説でありまして、本法案におきましては、立法技術上の便宜からこれを一個の不動産とみなすこととしました。従つて民法、民事訴訟法その他の法律の不動産に関する規定は、当然事業財団に対して適用されます。また事業財団の抵当権につきましても、民法の抵当権に関する優先弁済権、不可分性、物上代位等の諸規定は、当然事業財団の抵当権に対して適用があります。 第五は事業財団の登記についてであります。第十條におきまして管轄登記所を定め、第十二條及び第十三條で登記の申請書と道路交通事業財団目録について規定いたしましたほか、登記に関するこまかい規定は工場抵当法を準用しております。その手続上の細目については、道路交通事業抵当登記取扱手続が制定されることになります。 第六は抵当権の実行についてであります。民法上の一般抵当権の実行の要件は、債務不履行、債務者の期限の利益の喪失、破産等でありますが、本法案では、事業財団が免許を前提として成り立つものでありますので、第十四條によりまして、免許の取消しまたは失効の場合にも実行できることといたしております。この実行は、競売法に基く任意競売によるものでありますが、判決その他の債務名義があれば、民事訴訟法に基く強制執行も可能であります。 次に抵当権の実行に際しましては、事業の免許をいかに処理するかが問題でありますが、本法案では第十八條におきまして、原則として競落人に免許を当然承継させることといたしました。これは事業の存続をはかるとともに、事業財団の担保価値を高めることを目的とした規定でございます。ただしかし競落人が免許基準の属人的欠格條件に該当しますときは、免許を与えることは不都合がありますので、第十八條但書によりまして、主務大臣がその免許を取消すことができることといたしました。 次に、第十四條及び第十五條におきまして、競売にかかる免許の取消しまたは失効に対する措置を規定してございます。免許の取消しまたは失効があつたときは、抵当権の実行が終了するまで財団が消滅することのないように免許を存続させ、また競落人に元のままの免許を承継させる必要があるので、実行の要件となつた当該免許の取消しまたは失効はもとより、一旦競売開始決定になつた後における免許の取消しまたは失効も引続き存続させ、競落人が競落の代金を支払つたときに元の形に復活させるような規定を設けております。この措置は抵当権の実行のときばかりでなく、一般債権に基く強制競売のときも必要でありますから、これに関する規定を同時に設けたわけであります。 第七は、事業財団の分割、合併及び消滅についてであります。事業財団の分割、合併につきましては、今国会に提出されております工場抵当法の一部を改正する法律を準用いたしまして、その制度を本法案においても認めております。また事業財団の消滅につきましては、その所有権保存の登記があつた後、三箇月以内に抵当権設定の登記がなされないときには登記の効力を失いますが、そのほか抵当権の消滅後三箇月以内に新たな抵当権の設定の登記がなされないときに消滅いたします。 第八は罰則についてであります。事業財団に属する動産につきましては、登記に対抗力がありませんので、抵当権者の権利を保護するため、債務者が譲渡または質入れの目的で動産を第三者に引渡した場合に罰則を適用させる必要があります。第二十一條の規定がそれでございますが、同條第二項で両罰規定を設けましたのは、代理人、従業員等の違反行為によつてその法人または本人は不当の利益を受けるわけでありまして、抵当権者の保護のためには、法人または本人を罰する必要があるからであります。 最後に附則についてであります。本法の施行にあたりましては、法律の内容の周知徹底と登記手続上の準備を必要としますので、公布の日以後二箇月を準備期間といたしました。次に旧自動車交通事業法に基く自動車交通事業財団は、本法案に基く道路交通事業財団と並列して存続させることといたしましたが、その際旧自動車交通事業法に若干実情に沿わない点がございますので、附則の二項でこれを改めました。また本法施行に伴いまして、登録税法及び担保附社債信託法を改正しなければならないので、附則でその旨を規定いたしました。 以上で御説明を終りますが、道路運送事業及び通運事業の信用の増進をはかり、ひいてはこれらの事業の健全な発達をはかるために、ぜひともこの法律案が必要でございますので、何とぞ十分な御審議をお願いいたす次第でございます。
○岡村委員長 本案に対する質疑は次会より行うこととし、本日はこれにて散会いたします。 午後二時二十二分散会