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13回国会衆議院1952/05/19

運輸委員会 第34号

発言数
22
登壇者
3
会派数
1
開催日
1952/05/19

会議録

岡村利右衞門自由党

○岡村委員長 これより会議を開きます。  航空法案を議題として質疑を続けます。満尾君。

滿尾君亮自由党

○滿尾委員 同僚議員の方々からもうすでに各論にわたつての御質問が済んでおるようでございますから、私は二、三の点をお尋ねしてみたいと思います。  第一は、三十七条に航空路の指定というものがあるのでございますが、これは事業を営む業者のみに対しての指定であるか。将来事業にあらざる航空機が飛ぶようになつた場合に、その航空路を指定するのであるか。あるいは特定地域については、その上空を航行することができぬというふうな地域をお設けになる意思があるのかどうか。もしお設けになるとするならば、どういう種類のものをどのくらい設けるのであるかを伺いたい。

大庭哲夫航空庁長官

○大庭政府委員 定期航空、あるいは不定期航空、あるいは使用事業というものを事業者がやる場合、申請によつてそれらが許可される前に航空路を指定するわけでありますが、単独に産業用の飛行機、あるいは私の飛行機が自由に行動するというような航空路までを指定するということは容易なことでないわけで、それらについての指定はいたさないつもりでありますけれども、航空路と申しますものは、運輸省におきまして指定するからには、保安施設が完備されることが一つの条件になるわけでありますから、政府の予算とにらみ合せながら、それらの航空路の指定を実施して行くわけでありまして、日本の全空域にわたりまして、それらを完備するということも容易なことでなし、またそれだけの必要はないわけであります。従いまして重要な航空路のみに一応限られて来ると存ずるわけであります。たとえば道路で申しますと、国道というようなものが一つの航空路となつて来ますけれども、村道あるいは市道というようなものについてまでも、こちらが指定する計画はないのであります。しかし漸次航空機の進歩、あるいは年月の経過に伴いまして、できる限りそれらも完全な航空路にするように努力いたしたいと考えております。

滿尾君亮自由党

○滿尾委員 政府委員の御答弁は、私の質問の意味を取違えて御答弁になつておるように思うのであります。日本人は将来日本の上空のどこを飛んでもいい、国民の基本的権利として日本の上空を自由に飛べるのかどうかということを私は伺つておる。ここにいわゆる三十七条の航空路というものは、事業を経営しているものを大体目安にしてお考えになつたのではないか。たとえば今日の新聞社の飛行機が方々を飛んで歩きたいとすれば、どこを飛ぼうと一向さしつかえない。しかし昔であれば、要塞地帯の上は飛んじやいかぬ、あるいは宮城の上を飛んじやいかぬということがあつただろうと思うのですが、今日以後の日本におきましては、上空を飛行することを制限する意思があるか。もし意思ありとするならば、いかなる種類の制限区域を何箇所くらいお設けになる御意思であるかということを伺いたい。

大庭哲夫航空庁長官

○大庭政府委員 はなはだ失礼いたしました。日本の空域につきましては、制限する意思はありません。但したとえば地上の人民あるいは航空機に危害を及ぼすというような特定の場所だけに、制限地域を設け得るということになつております。たとえば射撃練習かなんかをやるような地域の上空を通られた場合には、航空機に損害を生ずるという場合があるわけでありまして、そういう特定の地域だけの制限をしたい。昔あつた要塞地帯のようなものは、現段階では想定されないわけでありまして、従いましてそれらの小部分を除きますれば、日本の上空はどこでも飛べるということが前提条件であります。但し先ほど申しましたように、飛ぶのにつきましても、少々迂回してもいい空路を飛んだ方が安全だということから、指定した航空路を飛ばれる場合には、より以上安全であるということが言えるだけであります。

滿尾君亮自由党

○滿尾委員 第六十八条についてお伺いしたい。乗務員は運輸省令で定める基準に従つて作成する乗務割によるのでなければならぬということがここに書いてあるが、一体運送事業に従事する乗務員の航空の実務にあたる時間、勤務関係は、大体どんなことを標準に考えておられるのであるか、お伺いしたい。

大庭哲夫航空庁長官

○大庭政府委員 勤務時間としましては大体一日六時間というのが規定でありますが、これは労働基準法を一部訂正して行く所存でございます。大体世界の例から見ますと、一日六時間が勤務時間になつております。

滿尾君亮自由党

○滿尾委員 その六時間という勤務時間でございますが、これは形式的な勤務時間、給料の計算の基準というような角度からの勤務時間か、現実に航空機を操縦する時間、自動車で申せばハンドルを現実に握つている実働時間はどういうように考えておられるか。これは乗務員の疲労状態、従つてまた航空機の安全に関連して来ると思いますから、特にお尋ねする次第であります。

大庭哲夫航空庁長官

○大庭政府委員 今申しました六時間というのは、操縦士あるいは搭乗員の連続勤務時間としての時間であります。従いましてその間一時間なり二時間なり途中で寄港するというようなものは、それに加算したり、いろいろむずかしい条件があるのでありまして、そのこまかいものはここに持つておりませんから、次の機会にまた御説明してもいいと思いますが、相当むずかしい基準が定められているわけであります。それによつて過労を絶対に防いで、安全を保つて行くというのがその本旨であります。

滿尾君亮自由党

○滿尾委員 第七十条について伺いたい。酒を飲んだり麻酔薬を飲んだりして、航空機の正常な運航ができないおそれがある間はという制限があるのでございます。このことについてはもう皆さんからお話があつたそうでありますけれども、特に私の申し上げたいことは、この条文の実体はもうだれしも御異存のないところで、むしろこの七十条の規定がなまぬるい。この字句を解釈いたしますと、正常な運航ができる限度ならば酒を飲んでもいいという反対解釈ができる。いやしくも勤務につこうとする瞬間には、絶対に酒を飲んではいかんというようになせ明確に立案されなかつたかをお伺いしたい。

大庭哲夫航空庁長官

○大庭政府委員 問題は操縦時において酒の影響があるかどうかという点でありまして、酒もその人の体質そのものによりまして、影響の多い人と少い人、あるいは飲んだ酒の量によりまして影響の大きい場合と少い場合があるわけで、個々別々になつているのでありまして、条文としましては、要は酒の影響がある間は操縦ができない、また操縦してはならないというような法案にしているわけでありまして、この七十条には当然罰則も設けてあるわけであります。従いまして飲んだらいかぬということは法ではちよつとうたえなかつたので、一応こういうような条文にしたわけであります。これは各国とも一応こういうような条文になつております。これは罰則も附加してあるわけでありまして、これで一応取締りができるのではないかと考えております。

滿尾君亮自由党

○滿尾委員 私はただいまの御答弁は非常に不満とするものであります。もちろん酒を飲むことは個人の自由でありますから、私生活に干渉する必要はない。しかし自分が自分の職業とする業務につかんとする瞬間に、少しでも酒を飲んでいるということは排除して一向さしつかえない。酒飲みに遠慮する必要は毛頭ないのであります。私が今度アメリカに行つて聞いたところによりますと、アメリカの連邦政府の公務員は、いやしくも勤務時間中に酒のけがあることを発見せられますと、首になるそうであります。私が昼飯に誘いまして酒を勧めましたところ、酒のけがあつてはただちに首になるというので飲まなかつたのであります。かようなことは航空機の乗務員という大事な立場のものでありますから、職業としてその業につかんとする瞬間におきましては、毛頭しんしやくする必要はない。絶対にこれは厳禁するという明白な規定にお書きになるべきではないか。酒飲みの権利を尊重するようなまぬるい条文の表現の方法は、この法律としては非常に遺憾に思う。  ところが逆の場合に、七十五条を見ますと、機長の責任をきめて、機長は間違いがあつたときは一番最後に飛行機を立ち去らねばならぬと書いてあるのですが、この七十五条は今の七十条と比べて実に奇々怪々なる条文だと思う。この七十五条の規定こそ、ほんとうのいわゆる道義的規定でありまして、これを法律でもつて機長に強制するという考え方はおかしいと思う。それはすでに船舶についてこういうような慣例ができている。しかしながら船舶の法律において、船長は一番最後に立ち去れと書いてあるかどうか、私知らぬのでありますがおそらく書いてないだろう。そういうことを書いたらその法律はよほどおかしい。ところが飛行機の法律はそれを明確に法律の条項として機長に求めている。これは実におかしい。この七十五条は削除せられまして、めいめいの機長が法律に書いてなくても、この域に達するような雰囲気をつくつていただきたい。この七十五条を法律で規定して、七十条のむしろ厳禁すべきものを妙にしんしやくして遠慮しておられることは、彼此対照しまして非常に航空法の値打を落していると考えるのでありますが、政府委員の御感想を伺いたい。

大庭哲夫航空庁長官

○大庭政府委員 七十条のお話でありますが、決して酒を飲めということではないのであります。飛行のすぐ事前にそれを飲めば、当然その影響は発見されるわけで、先ほどの御説明の通り公務員が飲まないということは、公務員がすぐ発見されるから飲まないわけでありまして、結局結論的には同じになるのではないかと考えているわけであります。もし酒のけがなければ問題にならないのですが、酒のけというものはその人によつて、また時間的に影響が出て来る。事前に飲めば当然その酒のけは出るわけであります。それで乗つた場合には罰則が生じて来るので、この条文で酒を飲んだ者ができることは絶対にないと私は信じているわけであります。ひとつこの条文でそういう御解釈がお願いできないかどうかということであります。七十五条につきましては、先生の御説もありますので、もう少し研究してみたいと思つております。

滿尾君亮自由党

○滿尾委員 七十条並びに七十五条については、せひ政府側の御再考を求めたいと思う。七十条は絶対に乗務員は酒を飲んではいかぬとはつきり書くべきであるし、七十五条は道義的な規定を法律で無理に強制している条文だから、全文削除した方がよろしい。しかし七十五条の実態ができ上ることを望んでやまない。将来機長になる人の道義的な自発心にまつべきものだと考えているわけであります。  それから、ちよつと見たところでよくわからぬのですが、緊急着陸するような場合が将来発生する。これに関する条文はどういうことになつておりますか。緊急避難としてどうしても着陸しなければならぬということになると、地上のものに対してある程度の損害を与える。その損害を与えた場合の責任はどういうことになるか。あるいは国がめんどうを見るかどうか、判断した人の責任を追究する考えであるかどうか、お伺いしたいと思います。

大庭哲夫航空庁長官

○大庭政府委員 損害を生じた場合には、一般民法によつて判定をして、それに従うことに一応してあるのでありますが、補償の問題については相当むずかしい問題で、運輸省といたしましては目下全般的に研究を重ねておる次第であります。世界各国の例を見ましても、世界各国ともまだ十分な決断が下されていないような状況でありまして、各国の状況等ともにらみ合せまして、いずれ決定いたしましたら条文の改正なりその他をいたしまして、御趣旨に沿うようにいたしたいと考えております。

滿尾君亮自由党

○滿尾委員 私は緊急避難の発生したような場合、地上の損害を受けた人は、その損害を何人からか補償されなければならないことは事理当然だと思う、しかしながらその場合、機長に過失があると判断されないで、民法上の原則によるとすれば、会社の負担になる。人命救助という公の立場から考えると、航空会社の立場に立つて相当慎重な態度をとり、これは会社が損だからこの際は緊急避難はよそうというわけにはいかない。絶対至上命令として、たとい他人にどんな重大な損害を与えても、その場合は乗つておる人を助けなければならないのだから、彼此考量しておるひまがない。またそういうことをしてもらつては困る。そこで緊急避難をしなければならない。してみると、その損害は公の立場を考慮して他人に損害を加えたのであつて、これがただちに全面的に当該飛行機会社の責めに帰すべきだとのみはちよつと考えられないのではないか。従つてこういう場合にはある程度国がめんどうを見るとか、社会保険をするとかの考慮を払う必要がありはしないか、こういう意味で、一体それに対する措置をどういうふうに考えておられるか伺つたわけであります。ただいまの御答弁では研究中だということですが、これは将来起り得ることであり、大事な問題でありますから、早急に具体案を御研究を願いたい。それから航空事業を育成する方策として、これについては同僚委員からいろいろお話があつたそうですから重複することを避けますが、乗客について保険をつけるということが書いてある。この保険につきましても、会社が純粋に自分の営業上の立場から保険をつけさせるつもりか、あるいはこれに対して国が再保険をするという考慮を払う必要がありはしないか、その点についてはどういうふうなお考えであるか伺いたいと思います。

大庭哲夫航空庁長官

○大庭政府委員 お説の通り国が再保険するということも十分考慮され得るわけでありますが、現段階においてはまだ検討中でありまして、これを幾らかけたらいいかということも、相当むずかしい問題で、先ほどの事故というものから想定いたしましても、日本の現在の経済状況というものからにらみ合しました際に、これは決定をすることが容易でないわけであります。御承知のように現在アメリカにあります航空保険制度というものを一応取入れて、それの料金を日本の経済状況とにらみ合しまして、レートを決定するという方向に現在大体進みつつあるわけであります。

滿尾君亮自由党

○滿尾委員 この航空事業の育成の問題でありまするが、一体こういう航空事業に対しまして、国が自分で投資することが、この法律には書いてないようでありますが、法律上可能であるのかどうか、そういう意思があるのかどうか、ちよつとお伺いいたします。

大庭哲夫航空庁長官

○大庭政府委員 航空会社の補助政策というものにつきましては、この委員会でも何度も御質問を受けた問題でありまして、運輸省としてもその問題については、じつくり取組んでいるわけでありますが、何分にも現段階におきましては、日航がやつている制度というものが、一応チヤーター形式の普通の状態にないために、正当な統計その他の資料を確実に得ることが困難であります。しかしながら総体的に申しますと、航空輸送事業というものは、どうしても確実な補助政策がなしにはやつて行けないという結論が、世界各国とも出ているわけでありまして、アメリカのようにこれを間接的に補助するか、あるいは現在アメリカでも、委員会の報告にあるように、積極的な補助政策に乗り移るか、あるいはイギリス、フランス、オランダ等にありますように、国の一つの特殊会社としてそれを持つて行くか、これらは今後の民間航空の発達を考えます際に、相当重要な問題でありまして、運輸省としましては今それが決定につきまして、慎重考慮を重ねている次第であります。いずれこの法案にも出ていますように、運輸審議会の設立というものを早急に発動いたしまして、これら各権威者から相当の確実な進言を得ることによりまして、それらの方向をきめたいと考えているような次第であります。

滿尾君亮自由党

○滿尾委員 ただいま御検討中ということでありまするから、深くはお尋ねいたしませんが、かつて大日本航空株式会社がございましたとき、国は相当年々直接の補助金を交付しておつた。この補助法を復活せられ、あるいはもう一ぺん制定せられる御意思があるのかどうか。あるいはまた国が株を持つて、国の持株に対しては配当を辞退するというような方法によつても、相当の助成ができる。ぜひ早急に具体的な方法を御研究あらんことを希望いたします。補助法の制定につきましての御用意いかんということを御答弁いただきたい。

大庭哲夫航空庁長官

○大庭政府委員 一応それらの具体案はできているわけでありますが、これを正式に補助法、あるいはその他の問題として国会に提出するまでには、まだ幾多の研鑽を必要とするわけでありまして、国会に提出するまでには、ある時期をおかし願いたいと思います。

岡村利右衞門自由党

○岡村委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後二時十五分散会

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