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12回国会参議院1951/10/17

予算委員会 第1号

発言数
11
登壇者
5
会派数
3
開催日
1951/10/17

会議録

和田博雄日本社会党

○委員長(和田博雄君) それでは只今から委員会を開会いたします。  先般地方財政平衡交付金と公共事業費の問題につきまして、現地の実地を調査しますために各地に議員のかたがたに行つて頂いたのでありますが、これから派遣議員のかたがたの一つ御報告を順次お願いいたしたいと思います。第一班高良さんから一つ。

高良とみ緑風会

○高良とみ君 第一班の経過報告を申上げます。  本班は安井、堀木、高良の三議員と専門員長谷川喜作君外一名を以て構成し、第一回派遣議員団の視察と重複を避けて、北海道における主要都市、町村の財政事情その他を調査しました。以下その結果について問題点を中心に概要を御報告申上げます。  本班が直接調査の対象としました箇所は、網走、釧路、空知の三支庁、小樽、網走、釧路の三市、美幌、伊達の両町、他に美幌の警察予備隊と室蘭の富士鉄輪西工場などを視察しました。上記箇所を視察調査するに当り、道内全般の事情を知るために、先ず道庁において市町村の財政事情一般及び北海道開発計画の進展状況の説明を聴取しましたが、その詳細は第一回派遣議員団の報告になされておりますから、本班の報告はこれを省略いたします。  さて最初に見たのは小樽市であります。同市は人口十八万を擁し、戰前までは貿易港及び漁港として函館と共にかなりの殷賑を極めた都市でありますが、終戰後、特に最近は出入船舶の激減、出廻貨物の減退、漁獲高の急減等、経済的悪條件の山積に街は一般に沈滯の空気に蔽われておりました。併しこの街の景況から眼を市の予算に向けますと、その財政事情は案外に健実なのに一驚いたします。即ち二十六年度総額七億九千三百万円の歳入予算のうち、市税が四億五千六百万円を占め、総額の五割七分を超えております。尤も市当局の説明によりますれば、のつぴきならん歳出を賄うために、本来なら平衡交付金、起債等に依存したいが、それもできないので、止むを得ず市税にその重荷を持つて行き、当年度は前年度に比し固定資産税につき土地において一五%、家屋において二五%の引上げを行うという増税を見込んで、漸く辻褄を合わせたとのことであります。然らば市税の徴税成績如何と見まするのに、二十五年度の実績では市税の予算に対し九一・二、同調定に対しては八五・六という成績を挙げ、殊に固定資産税では調定に対し九二・二の好調を示しております。即ち同市財政は税収の実績に徴し、且つ歳入総額に占める市税の割合から見まして悲観すべきものでないことが窺い得られるのであります。ところが二十五年度決算見込では赤字を生じ、不足額六千七百万円は翌年度の繰上げ充用をなしてこれを埋めております。その事由は平衡交付金の削減と起債の縮減にあります。そのために二十六年度予算は平衡交付金において前年度決定額の五千六百万円を五千五百万円にいたし、又起債は全然計上していない。而も歳出においては繰上げ充用を計上してある実情から見て、若干の起債と、市税の徴収が前年度並みの成績が挙がれば優にその収支を償うのではないかと推定し得ますが、国家公務員の給與ベース引上げに伴う地方公務員のベース引上げにつきましては全然予算がなく、又計上されず、その財源捻出に市当局は頭を悩ましております。ちなみに同市の公務員の給與水準でありますが、同市は実は本年一月に年末手当を入れて二千円のベース・アップをいたして、平均給與九千八百円となつておりますので、国家公務員の水準に比し相当の高水準を示しております。そこへ更に中央において千五百円のベース・アツプが行われ、従来の例によつて引上げをいたしましては到底市の財政が賄い切れないというので、今回の引上げに対しましては千六百七十円に限つて予定している由であります。中央の千五百円に比して若干上廻ることにはなりまするが、従来の例を破つて引上げ率を思い切つて圧縮しようとしている点は注目に値いたします。小樽市の財政事情は大体以上のようでありますが、港湾埠頭構築の財政負担について、市の国庫に対する不信認の事情を紹介いたします。  同港の埠頭は昭和十二年第一、第二の計画をいたしまして、当初市の負担は三分の一ということで着手し、同十四年残りの分について更に二分の一負担を要求せられて、止むなくこれを出資いたしましたにもかかわらず、戰時中工事の中止となり、終戰後再び工事を復活するに当りましては、負担完了のはずの第二埠頭の残部の金額と、新規計画の第三の分について重ねて各四分の一の負担を国庫から要求せられております。市としては港の発展の必要上、埠頭の完成は一日も速かにせねばならぬので、止むなく右要求に応じようとしておりますが、国庫のやり方は余りにひどいというのが市当局の言であります。右の不平はひとり小樽港のみでなく、釧路、函館においても同様な不平を聞かされました。そこでその真相を大蔵省主計当局に質しましたところ、工事完成後に精算の上過不足が判明するから、その上で国の支拂分と市の負担分とをはつきり精算することになるはずだとの言明でありました。併しそれならばそのように最初から市に対してよく説明をして納得せしめる親心が必要ではないかと痛感いたします。  次に本班の第二行程として選定した網走支庁、網走市及び美幌町について述べます。先ず網走支庁管内の財政事情でありますが、同管内は北海道の東北端に位し、開拓の歴史が浅く、従つて諸般の行政施設が殆んど未完成の状況であり、加うるに産業の形態は農林牧畜を中心とするので、実態は粗朴な原始産業の域を出ず、町村民の家計はおおむね貧困をかこち、これを基本とする町村財政は勢い貧困化を免れざるところでありますが、人口増加に伴う教育費の逓増は、かかがる僻陬の地にも迫つておりまして、且つ雪害、凍上等の自然の被害による土木費の増加等、相重なつて歳出の増加を来しておりますために、常に赤字を余儀なくされております。今二十五年度最終予算による財政の状況を紹介いたしますれば、管内二十八カ町村の予算総額十二億五千万円に対し、歳入中税收入が四億百万円、平衡交付金二億七千二百万円、国、道支出金二億一千百万円、その他経営收入一億一千五百万円、計約十億円で、差引二億五千余万円の不足を生じております。それをカバーするために町村債九千九百万円、寄附金六千六百万円、財産処分八千六百万円を以てその辻褄を合せた次第であります。次いで二十六年度は当初予算十一億二千三百万円で、その歳入中町村民税は所得税減免の結果減收を免れないために、その不足を固定資産税の倍率を高めて歳出との見合いを保つという策をとつておりますが、町村民の苦しい家計が果してそれに堪え得るかいなかは当局自身が危んでおります。こうした事情から支庁長及び町村長代表者等は一致して本員等一行に対し、町村債、平衡交付金或いは財源付與等について格段の配慮を乞う旨の強い要望をなした次第であります。  次に網走市を見ました。同市はオホーツク海に面する漁港を控えた、農漁民を中心とする人口四万足らずの小都市で、その財政事情は、二十五年度決算見込を見れば、歳入一億七千百万円、歳出一億八千八百万円、差引千七百万円の赤字が予想され、事業面で繰延又は中止を余儀なくされるごとく、余り芳しくありません。併し街の景況は失業者皆無でありまして、求人の放送が道行く人を明るくしております。この点から見て、そう悪いとも思われないのであります。市の財政事情が余りよくないのは教育費、警防費等の出費が割合に嵩むのに反し、税收は農漁民を対象とする点から、その割合に増收の期待が困難である事情によるものと認められます。又漁民の活動もマツカーサー・ラインの制約から十分な活躍が期待できないこともその一つの原因でありましよう。  次に美幌町を見ました。同町は特に本班の視察を墾望されて立寄つた町でありますが、初めに同町郊外にある警察予備隊を見ました。同隊は旧海軍飛行場基地の施設を利用して三千余名を收容し、活溌な訓練をやつていますが、宿舍兼事務室の舍屋は、一階が予備隊、二階が国立病院の病室になつているという実情には一驚を喫しました。事情を聞きますと、町の誘致努力によりまして、最初の国立病院を同所に設置しましたが、施設になお余裕がありました。たまたま予備隊設置の報がありましたので、町当局は町の繁栄を図るために熱心に運動をいたしまして誘致に成功し、場所を前記国立病院の所在地に指定したのであります。尤も同地は病院としては適当とは思えない点がありまするので、目下移転を目論んでおりますが、暫定的のものではありますけれども、町財政の事情により今なお移転の目鼻がついておらず、目下その財政措置に当局は懸命の努力を続けているとのことであります。一方予備隊のほうは、宿舍が病院と同じ棟であるばかりでなく、トラツク百二十台の大半は爆災地跡の野天に雨ざらしになつている状態であります。隊長の説明によりますと、自動車置場は予算関係で今までできなかつたが、今度の補正予算で追加が認められれば至急にその工事に取りかかるとのことであります。財産保管の見地からは、教練と施設と併行して推進されねばならんことを強調いたしたいのであります。さて美幌町の財政事情でありますが、当局は町の繁栄のために遮二無二国立機関の誘致に懸命になつて、その努力は功を奏しましたが、その結果財政負担にはつくづく悲鳴を挙げております。即ち国立病院の移転問題に悩み、そのほうを実現すれば、小学校校舍の築造資金を喰われるし、而も予備隊設置に伴い隊員の有家族者の子弟が居住する結果、住民と兒童数は著増して、狹隘な現校舍のみでは收容し切れず、増築は目の前に迫られているという実情であります。而もその所要財源を起債に求めんとするも、極度の圧縮で、目下のところでは急速解決はむずかしいと告白しておるのみならず、気の毒とも言うべきことは、町の発展のために誘致したのは、三千人以上を有する予備隊の消費生活を計算に入れて、相当の金が町に落ちて商店を潤おすであろうという点にあつたのに、実際は隊自身で消費組合を結成して、町にはさして恩惠がないという、いわば期待に反したことに対する恨み言を聞かされたことであります。要するにかかる結果を招いたもとは、当局が町の財政実態を十分に把握せず、ただ一途諸施設誘致に走つたことの報いであり、いわば自繩自縛とも言えば言えますが、国においても責任の一半がなしとしません。苦しい町の財政負担をそのままに放置することはよろしくないように思います。国の施設を二つも置いて、そのために増加兒童の收容校舍の増築の起債を認めないというがごときは、余りに無責任のそしりを免れないというべきでありましよう。国はよろしく校舍関係起債の承認は勿論のこと、病院移転に伴う不足経費の捻出に協力し、且つ一方予備隊の施設を一日も速かに充実して、雨ざらしのトラツクを並べて置くごとき不経済をやめると共に、結核病院に入院している患者にも不安を與えないようにすべきでありましよう。この意味において本班は、町の当局者に対し今後はかかる無定見な誘致策をなさんよう嚴に戒しめると共に、政府に対し現に実施済の両機関に対してはよろしくその善後措置を講ずべきであることを勧告せんとするものであります。  以上は美幌町の財政事情の概貌でありますが、次に予算上からこれを見ますと、同町二十六年度予算総額は一億五百万円で、前年度六千二百万円に対し著しく殖えております。これは町債において二千三百万円、国庫及び道支出金において五百万円、平衡交付金において千七百万円をそれぞれ増加收入の見積りを立てているからであり、その歳出の主なるものは、教育費千六百万円、保健衛生費五百万円(内隔離病費三百七十万円)住宅費八百七十万円、諸支出金五百万円(美幌観光協会補助その他)等で、その大半は校舎、病院、住宅のためであり、その原因は予備隊及び国立病院の移転にかかわるのであります。即ち計数的にも前に述べた事情が明らかに出ております。  次に第三行程の釧路国支庁管内及び釧路市について申上げます。同支庁管内の面積は本州の山口県に近く、而もその人口は十一万人に足らない(釧路市の十万を除く)という密度極めて稀薄で、四町、七カ村に分れております。その財政状態は二十六年度当初の予算総額三億二千百万円で、その歳入内訳は、税收入一億三千七百万円、平衡交付金一億円、その他收入八千四百万円となつており、歳出は役場費、教育費がその過半を占めております。これを二十五年度の最終予算総額四億五千万円に対比すると、今後追加されるべき相当額が予想せられます。この管内で財政上最も頭を悩ましている問題は教育費であります。土地が広範囲に亘るに対し人口密度が稀薄の関係上僻陬地指定を受けておりますものは六八%を占め、單級複式を一年から六年までやるという実情で、兒童一人当りの〇・七坪の標準では到底成り立たないのであります。而も建築費の單価において、文部省の坪一万六千二百円に対し実際は二万三千円乃至二万五千円が必要なので、坪数と單価と両方から二重の負担を強要されている実情であります。尤も十一カ町村全体が悪いというわけではなく、釧路村、阿寒村のごときはさまで困難を訴えておりません。税收歩合についてみても、釧路村では町村民税の対調定割合は九八%、固定資産税においては九九%、阿寒村においても村民税が九八%、固定資産税九八%という実情が出ております。要するに当地方においても地方税法の中の欠陥が特に教育費において明らかに現われておると見るべきであります。  次に釧路市を見ました。同市は港湾として最近とみに繁栄を呈している上に、太平洋炭礦、十條製紙、埠頭会社等固定資産税の負担層に大物が介在しているに加えまして、漁港としても北洋漁業の基地たる観をなし、本州は遠く下関あたりからも出漁している有様で、これら漁船は港口狹しと錯綜して碇泊しております。鯨の処理工場その他の漁獲物の荷さばきに街はかなりの賑わいを見せております。かかる実情は町の財政にかなり反映しております。即ち二十六年度当初予算を見ると、総額五億二千万円のうち市税が二億一千七百万円、平衡交付金五千万円、財産收入二千三百万円、受益者負担金千二百万円、使用料及手数料千七百万円、国庫支出金一億五百万円、道支出金千万円、起債七千二百万円となつており、更に最近の補正では、総額を五億六千四百万円に、即ち四千四百万円を増額し、これを市税において二億四千八百万円、即ち三千百万円増額によつてその大部分を埋めており、而も市税の大宗たる市民税において九千六百万円、固定資産税において一億三百万円を予定している。かかる実情は明らかに市の財政の底力の強靱さを物語るものであります。市の当局者の意見を聞きますると、地方税制については現行固定資産税その他の変更に反対であると言明しているが、誠に宜なりと申すべきでありましよう。要するに同市はその財政事情と言い、町の景況と言い、同港と同じ環境にある室蘭と相共に、曾つての小樽、函館に代つて繁栄への途上にありと評し得るでありましよう。  次は最後の行程たる空知支庁管内及び伊達町に移ります。空知支庁管内については、岩見沢駅乘換の待合せ時間を利用しての短時間調査のため、詳細なことは望み得なかつたのでありますが、支庁長以下各担当官の説明を総合して簡單に述べますれば、先ず同管内には、美唄その他有力炭鉱所在の関係もあつて、税收は比較的惠まれており、その成績も悪くないのであります。即ち二十五年度の実績では、町村税の調定対比八一%、固定資産税同八〇%を示しているのであります。ただ問題は、起債関係で、二十六年度事業費総額九億円のうち七億三千万円を起債に申請しており、内示は僅かに五千八百万円の金額に過ぎない。而も事業費の内訳を見ますと、教育費二億四千万円、上水道事業費二億七百万円病院事業費一億九千八百万円で、約七割を占め、その事業の性質上等閑に付し得ないものであります。起債申請に対してはいま少し枠の拡大をしてもらわなければ、他日社会的欠陷となつて現われたとき、とやかく言われても責任は持てないと、当局はやや捨鉢的な口吻を漏らしていました。これを聞く一行は、全く胸を締付けられた思いがしたのであります。  最後に伊達町の財政を述べます。同町は四千二百戸、人口三万四千人を擁するかなりの町で、その戸口の構成は農業千二百戸、漁業四百戸、商業千百戸、その他千五百戸となつておりまして、近くに室蘭市を控えて、農産物の蔬菜類その他のさばきに苦労を要せず、加うるに気候、地味が農耕に適しているため農家は惠まれた経営を行なつておりますが、漁業は近年不漁に次ぐに不漁を以てし、曾てはその大宗をなした、いわし、にしん、さば等も、今では殆んど皆無の状態に近く、遠く日高、釧路、根室方面に出稼ぎする者、或いは職業転換をなす者等頽勢の一歩を辿り、商工業又その影響を受けて不況に呻吟しており、全戸数の七割を占めてこれら各層の担税力は著しく低下、窮迫を告げております。  今この町の財政を見まするに、二十五年度最終予算総額八千八百万円のうち、町税は僅かに二千八百万円、三割二分弱という程度でありまして、而もその税率は隣接室蘭市の倍に達し、町民中室蘭に通勤する者の不平が絶えない有様であります。この町の歳出中主なるものは役場費、警察消防費、土木費及び教育費であることは他の町村と似ておりますが、一行は町の当局から土木費の国庫支弁の未済額について嚴しい苦情を訴えられました。それは二十四年度以降災害復旧工事として建設省の嚴重な査定を受けて工事に着手した金額が千四百万円に達しているにもかかわらず、国から支拂われたものは半額の七百万円に過ぎない。町としては全額国庫支弁の建前であることから、一時立替の上工事を完了したものの、半額の七百万円に上る未済額を抱えているため、引当に計画した校舍築造もできず、困窮している矢先、本年度に入るや、従前の災害復旧国庫支弁は打切りになつたと伝え聞いて、今や泣くにも泣けぬ有様であるが、一体その真相はどうなのかということでありました。そこで一行は帰京の上、長谷川専門員をして調査せしめましたところ次のごときことが判明しました。 一、二十五年度までの分は全額国庫負担の建前であり、未済額は国が支拂うことに変りはない。 二、建設省の査定は法に基いてなされたもので国の責任である。 三、二十三年度以降二十五年度までのかかる未済額は全国の総額約千億円に達しているので、今のうちに整理しなければいけないが、いつまでに支拂わねばならぬという法的措置に欠けている。明年度において根本措置を講ずべく目下建設省内においてその方法を検討中であるというのであります。  さて右の旨を同町の責任者宛に回答を出しておいた次第であります。  ここで我々の驚きましたことには、伊達町においての不平は氷山の頭に過ぎないもので、国庫の空手形に近い未済額が一千億円にも達している点であります。かくのごとくいたしましては、地方民の国に対する不信用も無理ならぬことと申さなければなりますまい。政府はよろしくこの際かかる空手形の一掃に乘り出すべきであることを痛感したのであります。  以上本班視察及び調査の概略を述べたのでありますが、左に要約して問題点の結論を示すと、第一に政府は、港湾埠頭の構築等に際し地元負担の限界をはつきり示し、無用な不信用を釀さないよう地元民に対し十分納得せしむる必要があること。第二に国家機関の地方設置に当り地元民の誘致算を鵜呑みにして、財政負担力の点につき十分なる調査をなさずに事を運ぶのは、後日当該地方財政の破綻を招くと共に、施設の運営にも支障を来たす結果となるを以て、設置個所の選定には地方民の財政負担について特に嚴正な調査をなす必要があるのであります。而して一旦決定の上は仮に調査上に若干の齟齬があり、当該団体の負担に堪えないことが判明した場合には、政府はその善後措置につき積極的に協力するの責任があるのであります。第三に概算一千億に上る災害復旧費国庫負担金支拂未済額は、国の地方民に対する信用保持の見地からも、至急善処決済する必要があるのであります。  これを以て報告を終ります。

和田博雄日本社会党

○委員長(和田博雄君) 第二班の池田委員にお願いいたします。

池田宇右衞門自由党

○池田宇右衞門君 第二班としては、私と伊藤委員の二名ということになつておりましたが、伊藤委員が都合ができないので、私一人で参りました次第であります。これより御報告申上げます。  昭和二十六年度予算の執行状況調査に関連して、主として地方財政平衡交付金及び公共事業費についての現地調査を行うため、去る九月五日より十一日に至る七日間、秋田県及び山形県に派遣されましたので、秋田県下においては県、秋田市及び船川港町、山形県下においては県、米沢市、赤湯町及び上郷村の合計七つの地方公共団体について調査を行なつて参つたのであります。以下その結果について簡明に御報告いたしたいと思います。  国の予算に計上すべき地方財政平衡交付金の額の決定に当りましては、地方財政委員会と大蔵省の見解が相違し、その結果政治問題化するのが毎年の例のようになつておるのでありますが、今年度の当初予算においても地方財政委員会の勧告でありますところの地方財政平衡交付金は千二百九億円が千百億円に削減されたのであります。又起債の六百十五億円も四百億円に削減されたのであります。これは皆様すでに御承知の通りでありますが、若し地方財政委員会の申すことが地方財政の実情であるといたしますれば、今年度は地方において三百七十五億円の財源不足が当然予想されるのでありまして、財政規模をそれだけ圧縮しなければならない運命にあつたわけであります。ところが補正予算の編成に関連して、これが再び問題となつたわけであります。即ち地方財政委員会は、最近における地方財政の窮乏はひどいものであつて、今年度内において六百七十五億円の赤字を生ずる、その充足方法としては国庫補助金の増額で四十四億円、地方起債の増加で二百五十五億円、平衡交付金の増額で三百七十五億円が必要であると言い、大蔵省では、地方では今年度において三百八十九億円の黒字となつておるから、平衡交付金の増額は行わないつもりであると言い、この間に又大変な見解の相違が生じたのであります。この間、地方からは知事代表、市町村代表等の上京が相次ぎ、又々政治問題となつたのでありますが、丁度この前後に私どもが現地へ調査に参りましたので、なお更意義が深かつたのであります。そこで調査に当つては、先ず第一に、かかる事情が各地方公共団体の昭和二十六年度の予算編成を通じてどう現われているかを調べてみたのであります。  先ず秋田県から申上げます。秋田県の昭和二十六年度予算の現計総額は六十三億五千余万円でありまして、歳出の主なる経費を申上げますと、県庁費が五億二千七百余万円で、総額の八%、土木費が三十三億七千六百余万円で三七%、教育費が十六億一千百六十余万円で二五%、産業経済費が十一億三千九百十余万円で一七%、その他が一三%、という割合になつております。これに対する歳入といたしましては、県税が六億二百三十余万円で、歳入予算総額の一〇%、地方財政平衡交付金が十九億三百四十余万円で三〇%、国庫支出金が二十一億三千三百三十余万円で三三%、県債が十一億四千七百余万円で一八%、その他で九%という割合になつておりまして、県の一般財源の大半を地方財政平衡交付金に求めております。国家財政に対する依存度は六〇%を超える高いものであります。而してこの地方財政平衡交付金の額は、予算上の收支を合わせるために水増しをしてあるのでありまして、予算編成の前建から申しますと、よいことではないのであります。財源措置の不十分から来る止むを得ない半面も窺われたのであります。而して国の当初予算に計上された千百億円から推算される秋田県の配分額は十七億円でありますので、県予算計上額と実配分額との差額一億九千六百万円は赤字となることが予想されるのであります。公共事業費は総額二十八億三千八百余万円でありまして、その財源の内訳は、国庫補助が十五億九千余万円で五五%を占め、寄附金、分担金で三%、一般歳入で二%、残余の四〇%、即ち十一億余万円を起債に求めております。又県の單独事業では総額四千九百余万円で、そのうちの八〇%である三千九百余万円を起債に求めております。これらの起債の額が県債として予算に計上されておるわけでありますが、これが二億しか承認されておりませんので、起債の面において九億円の赤字が生じておりまして、計十億円の赤字となるそうであります。  次に秋田市について申上げます。秋田市は人口二十一万の商業都市でありまして、この市の本年度の一般会計予算の総額は四億一千七百六十三万余円でありまして、歳出の主なる経費を申上げますと、市役所費が一番大きく九千百万円で二四%に当り、警察消防費が八千二百万円で二〇%、社会及び労働施設費が七千五百万円で一八%、教育費が六千八百万円で一六%、土木費はずつと少なく二千三百万円で五%、その他が一七%という割合を占めております。これに対する歳入といたしましては、市税が二億二千六百余万円で、予算総額の五四%を占め、地方財政平衡交付金が五千二百余万円で一二%、国庫支出金が六千八百余万円で一六%、市債が千六百万円で四%という割合になつております。市になりますと、自己財源の占める割合が相当高くなつております。国家財政に対する依存度は約三〇%で、相当県より低くなつております。市債の内容は、公共事業費の起債が千四百余万円、單独事業費の起債で二百万円であります。当市の公共事業費は総額五千三百万円でありまして、その財源は四一%を、国庫補助に、六%を県費補助に、二六%を起債、二一%を一般財源に求めております。又單独事業費は九%を起債に、九〇%を一般財源に求めております。單独事業費の財源としては、通常大半を起債に求めるのが普通でありますが当市の場合は一般財源に求めております。併し本年度は前年度に比して給與改訂の経費や事業費の増加が一億一千四百余万円に上るので、決定見込の起債額を合せましても、歳入不足は四千六百万円に達するので、事業中止等を行なつても、どうしても二千九百万円は不足する。従つて起債において二千五百万円、平衡交付金において四百九十余万円の増額を是非とも願いたいということでありまして、新たな財源措置がなければこれも赤字となるわけであります。  次に船川港町について申上げます。これは人口一万七千の港町でありまして、港湾関係の業務従事者が過半を占め、その他が農業、漁業に従事する者が半々であります。この町の本年度の現計予算の総額は四千二百四十七万余円でありまして、歳出経費の主なるものは、役場費が五百六十九余万円で一三%、警察消防費は千三十八万円で二四%を占めて一番大きく、教育費が七百二十七万余円で一七%、社会及び労働施設費が七百六十一万余円で同じく一七%、失業対策費が二百九十九万余円で七%の割合になつております。失業対策費の多いのは港湾の不振によるものであります。これに対する歳入といたしましては、町税が千九百二十四万余円で四五%に当り、平衡交付金が千百二十七万余円で二六%、国庫支出金が六百三十九万余円で一五%、県支出金が二百五七万余円で六%、町債が百五十余万円で三%という割合になつております。この町の国家財政に対する依存度は三〇%であります。この町の町債は自動車ポンプ購入費だけしか見てありませんが、公共事業費の予定が別にあるのでありまして、この財源として、起債六百七十万円の予定が当然入つて来るわけでありますが、町費で負担すべき六百二十九万円の調達見込が立たないというので未だ予算に計上してなかつたのであります。従つてこの町においても何らか新たな財源措置がなければ、公共事業は中止の運命にあるわけであります。  次に山形県について申上げます。本県の昭和二十六年度の現計予算の総額は四十四億八千四百余万円であります。県の財政規模としては、これは資料の関係上二十四年度で見たのでありますが、県民所得の一二%となつておりまして、秋田県の一九%に比すれば相当小さいのであります。歳出の経費の主なるものを申上げて見ますと、県庁費が四億二千余万円で、総額の九%、土木費十億百万余円で二二%、教育費が十七億四千二百万余円で四〇%、産業経済費が七億六千七百余万円で一七%、その他で一二%というおのおの割合を占めております。これに対する歳入といたしましては、県税が五億九万二百余万円で、総額の一三%、地方財政平衡交付金が十七億七千四百余万円で三一%という割合になつておりまして、この県においても一般財源の大半を平衡交付金に求めております。国庫支出金が十二億三千百余万円で二七%に当り、県債が五億一千万円で一一%を占めております。本県の国家財政に対する依存度は六八%であります。県債は二億八千五百万円しか承認されておりませんので、残りの二億余万円が赤字になるわけであります。平衡交付金の額も前年度より一億七千万円増額計上してありますが、実際配分されるべき額は十六億百万円であるということでありますから、そこに一億七千二百万余万円の赤字が生じます。これも收支を合わせるための水増しでありまして、健全なやり方ではないのでありますが、財源不足の結果から止むを得ないこととも言えるのであります。又この県における公共事業費の昭和二十六年度における総額は十三億六千余万円でありまして、うち一億三千三百余万円は直轄事業分担金でありますが、その財源としては国庫補助が七億五百余万円で五一%、寄附金等が五千四百余万円で四%、起債が二億四千四百余万円で一八%、一般財源で三億五千六百余万円で二六%の多きに上つております。かくのごとき状況でありまして、山形県の本年度における赤字は六億円に上るということであります。  次に米沢市に入ります。米沢市の昭和二十六年度予算の総額は一億八千五百八十余万円でありまして、歳出の主なる経費は、警察消防費が二千七百余万円で一四%、土木費が一千万円で五%、教育費が千四百万円で八%、社会及び労働施設費が五千百余万円で二八%を占めておりまして最高位、保健衛生費が三千四百万円で一八%を占めて第二位、役所費が二千八百余万円で一五%、警察消防費が二千七百余万円で一四%、教育費が千四百万円で八%、土木費が一千万円で五%という割合になつております。秋田市と比較いたしまして異つております点は、秋田市は役所費の占める割合が歳出中第一位でありましたのに、米沢市は第三番目であります。それと反対に、秋田市で第三位にある社会及労働施設費は、米沢市では歳出中第一位を占めております。これに対する歳入といたしましては、市税が六千百余万円で、総額の三三%、平衡交付金が三千八百余万円で二〇%、国庫支出金が三千七百余万円で二〇%、県支出金が一千余万円で五%、市債が三千余万円で一六%という割合になつております。自己財源の占める割合は県よりは多いのでありますが、国家財政に対する依存度は四〇%にも達しております。又市債の占める割合は一六%でありまして、秋田市の四%と比較すると、当市の財政の貧弱さが明らかであります。又当市の財政困難をしている原因の一つとして、平衡交付金の算出の方法が実情と甚しく合わないことを訴えておりましたが、これは今年度の平衡交付金が三千八百余万円となつておりまするが、この数字の算出資料でありまするところの市民税中の源泉徴收分所得割額及び法人税割額の基準財政收入額に見なされるところの額と実際の調定見込による基準財政收入額との間に九百余万円の差があつて、その結果配付される平衡交付金の額が減少しているということであります。更に公共事業費について見ますと、総額三千四百六十七万余円でありまして、その財源は国庫補助が千六百三十余万円で四七%県費補助が三十五万円で一%、市債が五百八十五億円で一四%、残りの三八%を一般市費に求めております。単独事業費は全額一般市費に求めております。ここにも起債の枠の少なさが如実に現われております。この市における財源の不足は、警察費と社会及び労働施設費において甚しいのでありまして、平衡交付金の算定基準が過小であります。即ち昭和二十六年度における国家警察の警察官一人当りの予等が四十万五千二百九十円であるのに比して、当市の予算は二十万六千六百四円であるそうでありまして、半額にしか当りません。又兒童福祉施設措置の兒童数も実際より甚しく過小だそうであります。かくして年度内の財源不足は三百万円に上るので、起債において千三百九十余万円、平衡交付金において二千九百万円の増額をどうしてもお願いいたしたいと言つておりました。  次に赤湯町に移ります。この町は人口九千の小さな温泉町でありまして、農業従事者が約半数を占めております。この町の昭和二十六年度予算の総額は二千二百二十三万余円でありまして、歳出経費の主なるものを申上げて見ますと、役場費が四百五十二万余円で予算総額の二〇を占めて第二位、警察消防費が四百六十二万余円で二〇%強で第一位、社会及び労働施設費が四百三万余円で一八%、教育費が二百九十五万余円で一三%、土木費が百六十九万余円の七%等がこれに次いでおります。  これに対する歳入といたしましては、町税が千十七万余円で総額の四五%を占め、平衡交付金が四百八十三万円で二一%、公営企業及び財産收入が百二十七万余円で五%、国庫支出金が百二十万余円で五%、県支出金が八十四万余円で四%となつております。国家財政に対する依存度は二十数パーセントにしか過ぎません。平衡交付金は前年度の実績の九割を計上し、歳入欠陷に備えて健全財政をとつております。この町の公共事業としては、上水道拡築工事を特別会計を設けて行なつております。工事費の総額は六百万円でありまして、その財源としては国庫補助金が五十万円で八%、公共事業関係の起債が百五十万円で二五%、単独事業関係の起債で二百万円で三三%、残りの二百万円、即ち三三%を一般町費に求めております。この町費の捻出は、徴税が限界に達している現況にあるので、平衡交付金の増額を是非願いたいと申しておりました。  次に上郷村に移ります。この村は人口約六千の農村であります。今年度予算の現計総額は千九百八十一万余円でありまして、歳出の主なる経費を申上げますと、役場費が三百三十九万余円で総額の一七%、教育費が九百三十三万余円で四七%に当つております。その他大きな費目としては、社会及び労働施設費の百五十八万余円八%、ぐらいなものであります。これに対する歳入といたしましては、村税が五百三十四万余円で総額の二七%を占め、次で平衡交付金の二百六十一万余円で一三%、公営企業及び財産收入が百三十六万余円で七%、国庫支出金が五百十二万余円で二六%となつております。国家財政に対する依存度は村としては高いほうであります。そのほか村債として百八十万円九%を計上してあります。而して平衡交付金の額は赤湯町と同じく前年度実績の九割を計上して歳入欠陥に備えておりますので健全財政であります。公共事業といたしましては、中学校の独立校舍の建築でありまして、総事業費が七百二十万余円でありまして、その財源の内訳は、国庫補助が二百四十万余円で三三%、起債が百八十万円で二五%、寄附が百七十七万余円で二四%、一般財源が百二十万余円で一七%という割合になつております。そのほか災害復旧事業では残存事業量が四百八十六万余円あるのでありますが、この財源は全部国庫補助と寄附金を以て充てております。この村は特に寄附に財源を求めている割合が多いのでありまして、シヤウプ勧告により寄附金の額を減らした趣旨に逆行しているようであります。又十月からの給與改訂の経費は組んでないので、この分は平衡交付金の増額によつて充てたいと言つておりました。  以上昭和二十六年度の予算を通じて各地方公共団体の財政状況を見た結果を申上げたのでありますが、いずれも平衡交付金及び起債の増額を願わなければ昭和二十六年度予算の編成及び執行が困難である旨を強く訴えているのでありまして、その状態が県及び市において特に甚だしいのであります。而して県における平衡交付金の水増し計上はよろしくないと思うのであります。  第二に、いわゆる「地方財政の問題点」の中で指摘された点を二つだけ取上げて地方の実情を明らかにして見たいと思います。その一つは、地方予算の歳出面における一番大きな問題であるところの教職員を含めた地方公務員の給與関係の経費であります。地方公務員の給與ベースは国家公務員に比して高過ぎると言われておりますのでありますが、この度の調査の結果では、秋田県では一般が七千七百三十三円、教職員が八千六百七十五円、平均八千二百四円となつております。秋田市では一般が七千七百八十円、警察が八千百十五円、消防が九千百七円、平均八千三百三十四円となつております。船川港町では六千八百円となつております。又山形県では、一般が七千四百九円、教職員が九千百十四円、平均八千三百二十二円であります。赤湯町では、五千二百二十円、上郷村では、六千四百四十五円であります。米沢市では、一般が七千五十二円、警察が八千六百六円、平均七千八百二十九円であります。即ち地方公務員の給與ベース又は県や市の一般公務員は国家公務員並の水準でありますが、町村に至つては低いものでありまして、村などでは超過勤務手当や家族手当さえ出していないところもあります。又ベース・アツプの方法において、国家公務員の千円アツプするときに、地方では二千円ものアツプを行なつておるといわれておりますが、山形県において調べて見ました結果を申上げますと、千円ベース・アツプの際に、国家公務員で六千八百五円の者が千二百四円上つて八千九円になつておりますのに対して、山形県の一般の職員は六千二百三十八円の者が千七十一円上つて七千四百九円になつておりまして、むしろ国家公務員のベースより下廻つております。教職員の場合は六千八百八十七円が級別格付により百四十三円、ベース・アツプにより二千八十五円、計二千二百二十八円のアツプになりまして、九千百十四円のベースとなつております。平均しても八千二百六十一円にしかなつていないので、国家公務員より僅か高いだけであるということが明らかになりました。次に年末手当でありますが、これは大蔵省としては二十四年度も二十五年度も節約により支給しているのだから、二十六年度においても節約によるべきであるとしているのに対し、地財委では新規の需要増加と見るべきであるとし見解が対立し、金額においても一番大きな差になつていたのでありますが、米沢市においては、二十四年度も二十五年度も年末手当を支給しておらず、今年度初めて計上したそうであります。その他の市町村においては皆支給しておりました。又昭和二十六年度予算中に占める給與費の割合を各地方公共団体について調べて見ますと、山形県では五〇%、秋田市では四〇%、米沢市が二六%、船川港町では二六%、上郷村は二〇%というふうになつておりまして、県や市においては特にこの割合が大きいのでありまして、財政がそれだけ苦しいわけであります。  その二は、租税の自然増收であります。国の予算においても、補正予算の経費は租税の自然増收により賄うのであるから、地方の補正予算でも物価騰貴や給與改訂に要する経費は自然増收による措置でできるというのが大蔵省の見解でありまして、地財委はこれに対し、あつても少くて問題にならないと言つているのでありますが、地方の実際を調べて見ますと、秋田市においては、法人事業税において千百万円、入場税において百万円しか見込んでいないのであります。一方十月からの給與改訂の費用は一億四千三百万円に達するので九%の財源にしかならないと言つております。又山形県においては、自然増收ではなく自済減收になつているのでありまして、その減收見込額において大蔵省の調べよりなお三千万円減收が殖えるそうであります。又市町村民税においては、法人割は増加しているが、均等割が減少しているので財源的に余裕を生じないということでありました。  以上調べて見ましたところでは、朝鮮事変の影響などの殆んどない農業県においては、自然増收は問題にならないということがわかりました次第でありまして、以上御報告申上げます。  なお、今度参りました各公共団体における要望事項の主なものを申上げます。先ず基準財政需要額については、積雪寒冷度の補正が実情以下に見られている市町村が非常に多い。又積雪地方の特殊事情を考えて徴税費、衛生費及び社会福祉費にも四号補正を加えてもらいたい、又寒冷地手当については実際の支給額を確保できるように増額されたい等の希望でありました。基準財政收入額については、事業税及び入場税の算定方法を過去三カ年の平均調定額を基礎として地財委の見込んだ基準財政收入額を按分して算定されたいというのであります。つまり法人事業税の算定に当つては、昭和二十三年の統計資料に基く従業者数を用いているが、その後の経済情勢の変化甚しく、現在においては、戰時中の疎開工場は殆んど引揚げ、従業者は甚しく減少している。又朝鮮事変の影響などは殆んどない。こういう地方に全国平均の單価一万八百六十六円を以て算出されることは、余りにも課税力を過大に見積られ、平衡交付額において著しい差を生ずるというのであります。又入場税も、昭和二十五年度の実績に対し、全国平均二七%の増加率を見込まれるのは、最近の農村経済の行詰りを考えてくれないので困るということでありました。又公共事業費関係では国庫補助金が基準通り来ない所があるそうであります。災害復旧事業では、起債において全額を認めてくれない結果、融資の対象にもならないので困ると言つておりました。又建築費の單価の増額は各地で要望されましたが、米沢市の例で申しますと、坪二万三千円なければ到底できない、現在の一万五千八百円では問題にならないと言つておりました。又六三制建築の坪数は、応急基準の〇・七坪の大体行なつておりましたが、雪国地方では一、二坪は必要であるということでありました。  以上いろいろな面から地方財政の実情というものを見て来たのでありますが、相当に窮乏しているということは事実であります。而してその原因は、結果から言えば、平衡交付金の総額が実際の財政需要額に関係なく別個に決定され、財政需要額算定の基礎となるべき單位費用はむしろ配分の基準にしか過ぎなくなつているということがいえるのでありまして、このため地方では平衡交付金の不足を訴えるのは当然であります。実際には及ばなくとも、適正な費用だけは見てやらなければならないわけであります。又起債においても、国家全体の資金計画から受くべき制限は止むを得ないのでありますが、その使途を見ますと、地方住民の福祉に最も直接の関係のある公共事業、災害復旧或いは單独事業の主要な財源をなすものでありますからあたう限りの増額をしてやることが必要であります。現在のごとく三〇%乃至四〇%の承認率では少な過ぎると思うのであります。従つて補正予算の編成に当つては、平衡交付金においても、起債においても国家財政の許される限度において増額をしてやるべきものと思うのでありますが、幸い法人税の予想外の増收等により余裕を見込まれましたので、平衡付交金において百億円計上されましたし、起債も又百億の増額を認められたようでありますから、どうやら危機は突破し得るものと思われます。併しながら地方においても講和後の日本の困難な財政の実情を理解し、積極的に財政規模の縮減を図り、健全なる地方自治の発達を進められるよう希望いたします。以上を以て御報告を終ります。

和田博雄日本社会党

○委員長(和田博雄君) 次に第三班の波多野鼎君。

波多野鼎日本社会党

○波多野鼎君 第三班は、私と内村委員、西郷委員及び水谷調査員の一行でありますが、去る九月四日から十日まで、七日間に亘つて愛知県及び岐阜県において現地調査を行なつたのであります。この間県としましては、愛知県と岐阜県、市といたしましては名古屋市、豊橋市、岐阜市及び高山市、町村としましては愛知県下の知立町及び藤川村、岐阜県下の下呂町及び牛牧村、以上合計十カ所の県市町村を調査いたしたのであります。その現地調査の結果につきましてはここに詳細な報告書をまとめてございますので、これを速記録にとどめて頂くことにいたしまして、ここでは総括的な結論だけを御報告申上げたいと存じます。この点あらかじめ御了承を願いたいと思います。  我々の現地調査の結果を要約いたしますと、先ず府県の財政が非常に窮乏しているということは、これは世間周知の通りで、実地調査の結果から見ましても疑問の余地がないところでありますが、それとも同時に市町村も又財政難に喘いでいるのでありまして、昨年度の税制改革の結果、市町村の財政が強化されて、多少とも余裕があるという見方は全く誤りであるということがわかるのであります。即ち税制が改正されましても、税收だけでは足りない部分を補填すべき地方財政平衡交付金の総額が絶対的に不足しているという現状では、市町村の財政も、府県財政同様非常に窮乏状態にあるわけであります。殊に給與ベース改訂、新法令の実施、政府の施策等に伴う経費の増、公共事業に伴う地方負担の増等、義務的経費の増加が著しいものがあるにもかかわらず、所要の財源措置が講ぜられていないために、各地方団体がそれぞれ收入不足に悩んでいるのは当然でありまして、我々の視察した範囲内でも各県市町村の收入不足額は次の通りであります。  即ち、愛知県十一億円、名古屋市六億六千万円、豊橋市一億六千万円、知立町、これは未確定、藤川村百八十万円、岐阜県十四億円、岐阜市一億円、高山市五千八百万円、下呂町三十六万円、牛牧村五十六万円で、一つの町を除く全部が收入不足を訴えているのであります。  地方財政委員会の最近の推計によりますると、地方の財政の不足額は六百五十二億円となつており、又全国知事会議の集計しました都道府県の不足額は五百六十七億円、全国市町村会議の集計しました市町村の不足額は百九十三億円でありまして、これを合計いたしますと、地方財政全体の不足額は七百六十億円となるのであります。従いまして六百五十二億円という地財委の数字は恐らく不足額の最低限度の見積りを示すものと思われるのでありますが、その收支不足額の補填方法は、地財委の案によると国庫補助金の増額四十四億円、地方債の増加二百五十五億円、平衡交付金の増額二百億、その他百五十二億円ということになつているのであります。  地方財政の不足を補填すべき地方財政平衡交付金制度そのものは極めて合理的な制度でありますが、併しながらその運用において平衡交付金の総額を政府が一方的に削減し、従つてそれに伴つて基準財政需要額の過少見積り、或いは基準財政收入額の過大見積りが行われている現状におきましては、かくして算定された平衡交付金が財政收支の不足を補填し得ないことは当然でありまして、このことは二十五年度の実績に徴して極めて明らかであります。  二十六年度におきましても平衡交付金仮決定に関する規則案によりますると、基準財政需要額は依然として單位費用が過小なため不当に低く抑えられているのみならず、基準財政收入額につきましても又やはりこれを過大に見積る傾向が顯著でありまして、例えば愛知県のごときは基準財政收入額を標準財政收入額に直しまして、県自体の税收見込額に比較いたしますと二十二億も上廻つているのであります。地方財政平衡交付金の総額が主として政治的に決定されている現在の段階では、問題の解決を單に算定方法の改善のみに期待することは勿論不可能でありますけれども、併しながら交付金算定の基礎である肝腎の財政需要額や財政收入額の測定方法の未熟な点や不合理な点を改善して、この制度を客観的合理的な基礎の上に置くことは何といつても当面の急務でありまして、又同時にかくすることによりまして平衡交付金の総額が合理的に決定されるということが最も必要であると思うのであります。  次に公共事業費の問題でありますが、地方における公共事業の財源の主体をなすものは、国庫補助金でありますけれども、それを除いた地方負担分の財源は、従来その大半を起債に仰いでいたのであります。即ち地方負担額に対する起債の割合は、全国平均で二十四年度は六〇%、二十五年度は五五%でありましたが、二十六年度においては公共事業の事業量は前年度よりも増大しているのに、起債の総枠は逆に三十億円も縮小しておりますので、その割合は著しく低下しておることは確実で、我々が視察しました各県の公共事業費について見ますと、愛知県では一六%、岐阜県では二七%となつておるのであります。  このように起債財源が激減しましたために一般財源へ切替えなければならんものが激増した上、物価騰貴等に伴い、国庫補助金そのものも單価が低過ぎて一般財源からの継ぎ足しを要するものがこれ又ますます多くなつておりますので、さなきだに窮屈な地方の一般財源は公共事業に伴う地方負担の増大のために非常に過重な負担を背負わざるを得ないのであります。従つて地方における公共事業の遂行につきましては、先ず補助金額を適正ならしめると同時に起債の割当を増大することが絶対に必要であります。  以上要するに二十六年度におきましては、少くとも地財委の最近の意見書にある程度、即ち地方財政平衡交付金二百億円、起債二百五十五億円程度は是非とも増額することが必要であり、然らざる限り地方における公共事業の実施はすこぶる困難であるばかりでなく、地方財政は破綻に瀕せざるを得ないと考えられるのであります。  これを以て私の報告を終りますが、最初に申上げましたように詳細は文書報告にしてございますので、その文書報告を速記録に載せて頂くよう委員長においてお取計らいをお願いしたいと思います。以上です。

和田博雄日本社会党

○委員長(和田博雄君) 第四班藤野繁雄君。

藤野繁雄緑風会

○藤野繁雄君 昭和二十六年度の地方財政平衡交付金及び公共事業費を中心として地方財政の実情を調査するため宮崎、鹿児島の両県に派遣されました第二回現地調査第四班の報告をいたします。  本調査班は私と専門員の野津高次郎君の一行でありまして、九月五日東京を発し、両県下の地方財政を調査の上、同月十三日帰着いたしました。宮崎県においては県財政と延岡、宮崎両市の財政を調査したのでありますが、先ず県財政について申上げます。本年八月末における宮崎県一般会計の二十六年度予算は、歳入歳出とも四十七億一千百余万円でありまして、これを前年度、即ち二十五年度の最終予算五十三億八千九百余万円に比較しますと、六億七千八百余万円の減でありますが、本年度の歳出所要見込額はその他になお二十億四百余万円に上つておりますので、その全額が成立し、これを加算するとせば二十六年度予算は六十七億一千六百万円弱になるのでありますので、二十五年度予算に比し十三億二千六百余万円の増となるのであります。併しこの歳出所要見込額二十億四百余万円に対する財源は、国庫補助金及び租税自然増收等をこれに当てましてもなお十四億六千八百余万円の不足を生ずるので、県としてはひたすら平衡交付金の増額と起債の枠の拡大を要望しておる状況であります。  次に八月末現在の二十六年度一般会計歳入予算の内容を検討いたしますと、先ず地方財政平衡交付金は十四億五千七百万円を計上しておりますが、これは歳入総額の三割一分に当ります。又国庫支出金は十九億五千四百万円余、即ち歳入総額の四割一分を計上しておりますから、宮崎県財政の歳入はその七割二分を国に依存し、県独自の歳入は僅かに二割八分に過ぎないのであります。この県独自の歳入中租税歳入は五億二千六百万円余でありまして、総歳入の一割一分に当るのであります。この貧弱なる租税歳入についても、数年来打続く台風被害による農村経済の疲弊に原因してその納税成績は甚だ不良で二十五年末における滯納税額は一億六千九百八十六万円余の多額に上つておるのであります。  次に歳出中その首位を占める費目は災害県だけに土木費であつて十三億七千百余万円、歳出総額の二割九分余を計上し、教育費は十二億五千三百万円、歳出総額の二割六分余、産業経済費十一億八千三百万円歳出総額の二割一分余でありますから、この三費目で総歳出の八割弱を占めておるのであります。これらの費目をはじめその他の費目中に計上された公共事業費は二十七億一千三百万円余に上つておるのでありますが、その他になお本年度施行を必要とするも、財源の見通しつかざるため予算措置を講ぜざるものが約一億円あります。これは先に述べた本予算に計上してない本年度の歳出所要見込額の一部をなすものであります。  なお、本県においては病院事業、電気事業、印刷事業、競馬事業及び山林、基本財産について特別会計を設けており、その二十六年度予算合計額は七億七千七百余万円に上つております。  以上述べたところからだけでも年々災害に見舞われる県財政の前途は容易ならざるものがあることが推測されるのであります。独立財源の大宗たる租税歳入が総歳入の一割余というごとき状態では、到底大なる財政発展を遂げられないのでありますから県当局としても産業の振興によつて県民負担力の増強に努力しておるのであります。即ち電源の開発による工場の誘致、惠まれたる山林の利用による木材、木炭の増産等を奨励しておるのでありますが、最後に後者については沿海の漁獲物とともにその販路を京阪神地方に求めるのが最も有利でありますので、目下本県と京阪神地方へとの間に定期航路の開設につき調査中であります。  次に延岡、宮崎両市の財政について述べます。この両市はおのおの宮崎県南北両地方の中枢部市でありますが、一は宮崎県における政治教育の中心をなす消費都市であり、他は旭化成会社のレーヨン、ベンベルグ、肥料、爆薬等の製造工場を中心とした生産都市であります。両市とも戰災及び台風により甚大なる被害を受けましたので、これから起ち上らんとするその財政経営は相当困難なものがありますが、両者を比較すれば、近代工業を有する生産都市延岡市が有利であることは論を待たないところでありまして、経営歳入の根幹たる租税收入が二十六年度予算において宮崎市は総歳入の三八%なるに対し、延岡市においては実に五七%を占めておる。而もこの租税收入の五九%は旭化成会社が納付するという事実によつてもこの関係は明白であると思います。二十五年度末において宮崎市は滞納税額六千万円余に上つておりますが、延岡市においては四千万円余に過ぎなかつたのであります。  現行の地方税財政は、歳入面における屈伸力が乏しいから、健全財政を行わんとせば、歳出面において調節を図らなければなりません。戰災や数度の水禍をこうむつた両市は、その復旧に多額の経費を要する以上、復旧以外の面においては戰災や水禍を受けなかつた或いは比較的少かつた都市に比し、一層緊縮節約の予算が編成されなければならないと信じます。然るに両市、特に宮崎において、この努力不十分で財政規模の縮小、経費節減の跡がほとんど見られないのは遺憾であります。宮崎市は現在予算として、四億三千百万円余を計上しておりますが、このほかに本年度においてなお施行を要する公共事業費、單独事業費、県及び政府事業の負担金、二十五年度の未拂金、ベース切替、物価値上りによる物件費の増等々に対し約一億六百余万円の予算を追加計上しなければならないし、更に前記四億三千万円の予算中に包含されあるも、その財源措置の不確定なるものが六千七百万円に上り、結局両者を合した一億七千四百万円に対する財源としては、多少租税の自然増、一般経費の節約を見込み得るとしても、それは多額を期待することはできません。市はひたすらに望み薄の平衡交付金の増配と起債許可額の増加に期待をかけているような不健全財政を執行しているのであります。  かくのごとき不健全なるやりくり財政となつたのは、もとより理事者の責任に帰すべきでありますが、理事者をしてここに至らしめたのは、制度の罪もありましようし、又戰災や天災等の不可抗力による点もありましよう。併しここに政府の責任として看過すべからざることとして指摘して置きたいのは、国又は府県から要望さるる嵜附金や地方負担であります。或いは税務署庁舎の建築費とか、或いは大学設置負担金とかその他道路港湾庁舎等の国又は府県の施設に関し、法規に基かないで要望され、市町村は断固これを拒否することができないで、予算に計上することとなり、貧弱なる財政をいやが上にも弱体化せしめている実状であるのであります。  二十六年度予算において、この種経費を延岡市は一千六百万円余、宮崎市は二千五百万円余を計上しております。市町村財政健全化の観点から、国及び府県はその施設事業に十分なる予算を計上することができないならば、たとえ地元市町村からの陳情請願があつても、これを実施すべきでないと痛感せしめたのであります。  次に鹿児島県について報告いたします。鹿児島県においては県財政と鹿児島市、隼人町、谷山町及び西桜島村の財政を調査し、又公共事業としての天降川改修工事を視察いたしました。鹿児島県二十六年度予算(九月一日現在)は、歳出歳入とも五十四億四千五百万円であつて、前年度決算に比し歳出において三千九百万円減、歳入において二億九千四百万円増であります。かくのごとく二十五年度歳出歳入に対する比較差を異にするのは、二十五年度において三億三千三百余万円の歳入欠陥を生じ、この歳入欠陥を翌二十六年度歳入を繰上充当したため、二十五年度において歳出と歳入との間に三億三千三百余万円の差額を生じたからであります。この繰上充当額は二十六年度歳入を前借して支出したのでありますから、二十六年度予算においてはこれを歳出に計上し、その辻褄を合せてあるのであります。  二十六年度歳入予算を検討いたしますと、なお次のような不健全な内容を包含しておるのでありまして、例えば地方平衡交付金が二十四億三百万円余が計上してありますが、この額は前年度決算額十九億九千七百万円余に比し、五億六百万円余多いのであります。二十六年度予算編成当時平衡交付金配付基準細目が未決定であつたからとはいえ、国家予算において交付総額が前年度より僅かに十五億円増の一千百億円が計上せられておる以上、その増加分の三分の一以上が鹿児島県一県に増配せらるるとは常識的に考えられないのでありますから、この平衡交付金の五億六百万円の増額計上は過大と認めなければなりません。又県税の二十五年度末における徴收未済額は二億二千九百万円余に上つておりますが、二十六年八月末現計において、この未済額と二十六年度の新規賦課額とを合せた六億九千百万円余の調定額に対し、收入済額は僅かに一億四千八百万円余で、収入未済額五億四千三百万円余を残存しておる点から見て、本年度においても予算が七億四千五百万円余を徴收することができず、又々前年度にも増した徴收未済額を翌年度に繰越すのではなかろうかと憶測を抱かしめたのであります。もともと鹿児島県は純然たる農漁業県であつて、近代工業の見るべきものは殆んど存在しておりません。従つて糸へん景気も金へん景気もないのであります。而して漁業については、太平洋戰争において有力な漁船と中年層の漁夫とが共に徴発されて全滅した関係上、これが再興のためには新たに漁夫を養成すると共に漁船を新造しなければならないのでありますが、現在その復旧ができておらず、僅かに沿岸漁業が行われているに過ぎません。  又農業については、農家戸数が昭和二十年に二十二万七千九十戸という全国府県中第一位の多数を占めておりますけれども、その一戸当りの平均経営面積は、五反七畝余という小面積であり、更に戰後農家戸数の急激なる増加のため、一戸当り面積は五反三畝余と一層零細化して来たのであります。その他本県農地は、田より畑が多く、而もその畑の土壤は生産性の低いシラス土壤であること、又台風通過による被害が多いこと等、農業経営上の悪條件が累積しておるのでありますから、今俄かに農業所得の増加を期待することはできません。かく観じ来た場合、果して本年度内に徴收未済額五億四千数百万円を徴收し得るか否かはいささか杞憂憶測を逞ましくせざるを得ないのであります。  以上のごとく本県の主なる産業が貧弱である上に戰後軍関係者及び海外移住者の帰還した者その他で、県人口は二十五年には、二十年に比し、二十六万六千三百三十九人の増加を来しており、この増加人口は殆んど租税力のないものであるから、財政上はマイナスにこそなれ、プラスにはならないのであります。されば、本県財政の健全化を期ぜんとせば、極力財政規模を縮少し、歳出の節減によつて先ず民力を休養し、おもむろに県民担税力の増強を図ることが必要であると信ずるのであります。従つて、県財政としては、この基調の上に歳出の査定が行われなければならないと思われますが、二十五、六年度の歳出予算においては、この点の認識、この点の実現が不十分であるように感ぜられました。  本県における公共事業としては、天降川改修工事を視察したのでありますが、本工事は、総工費二億七千万円、五カ年の継続事業で、二十三年度より着工され、関係町村は隼人町、国分町、清水村、日当山村、東襲山村、牧園町の六カ町村にまたがるものであり、この工事の完成により、本川流域の耕地千二百町歩、家屋二千六百戸等が被害を免るることとなるばかりでなく、関係町村に海外より引揚帰還した人々の失業救済事業となつておるのであります。    〔委員長退席、理事東隆君委員長席に着く〕   次に鹿児島市の財政について申上げます。本市は、戰争被害が全国で最も甚しかつたところでありますが、この戰災を契機として、特別都市計画法に基き、戰災復興事業が施行せられたのであります。この特別都市計画事業は、その規模が大なれば大なるほど、その支出すべき負担金は多くなるのでありまして、本市の負担金は、二十六年度には実に一億六百万円余に上つておるのであります。かくのごとく、戰災復興特別都市計画を施行している都市としては、さきに宮崎市財政について述べたごとく、健全財政の建前から戰災を受けなかつた、又受けても軽かつた都市に比し、他の歳出面において一層の緊縮節約を行わねばならんのに、鹿児島市においては、この点に関する認識の不十分なることを思わしめるのであります。鹿児島市は、二十六年度現予算において、十二億七千二百万円余の歳出を計上しておりますが、地方起債が自由でない今日において、果してよくこれを賄うに足る歳入を確保することができるでありましようか。先ず歳入の主要な項目について一応の検討を加えて見ましよう。  本市は、二十五年度財政において、すでに二千五百七十余万円の歳入欠陥を来し、二十六年度の歳入を繰上げ充当しております。又二十五年度事業を二十六年度に繰越したため、事業に伴う負担金等を二十六年度歳入を以て支出するために要する経費二千七百七十余万円があり、両者合して五千三百四十五万円余は二十六年度歳入を以て賄わねばなりません。又租税については、二十五年度決算見込額において、調定額四億一千八百四十万円余のうち、收入済みは僅かに六五%余の二億七千三百八十万円余で、收入未済は三五%の一億四千四百五十万円余であります。然るに本年度においては、調定見込額の四億八千六百五十万円余に対し、約七三%に当る二億五千四百九十万円余の歳入が計上せられ、調定額に対する徴收率を六五%から一挙に七三%に引上げてあります。併しながら、右調定見込額中の過年度調定額には、焦げつきとなつて收入不能のものが多かるべく、又本年度の調定額も、資金難に苦しむ中小企業者からの徴收は困難で、又々多数の徴收未済額を残し、これを翌年度に繰越すのではなかろうか。若し然りとすれば、三億五千万円余の計上は過大見積りではなかろうかと思われます。更に又地方平衡交付金についても、二十五年度の決算見込額八千八百二十七万九千円に対し、その八割五分余の増の一億六千五百万円を計上することは、県財政について述べたと同様、少しく過大に失するものにあらざるか。又国庫支出金を二十五年度の決算見込額一億八千八百八十八万二千円余の七割増の三億二千六百三十万円を計上することに対し、同様の批判が加えられるのではなかろうか。更に公債についても、二十五年度の九千八百余万円の起債許可を得たのに対し、二十六年度においては、その二倍半余の二億五千二百万円余の許可を得ることは不可能ではなかろうかと思われるのであります。かく観じ来ると、二十六年度歳入予算として計上された十二億七千二百万円余は過大な見積りであつて、年度内にこれだけの歳入は確保できないように思われます。かくのごとき不確実な歳入を見合いとして歳出を計上した二十六年度予算は、再び歳入欠陥を来たし、二十七年度歳入の繰上げ充用をやらなければならないではありますまいか。年々歳々雪達磨式の歳入欠陥、繰上げ充用を行うことは、鹿児島市財政の信用を地に落すものであります。されば、鹿児島市財政当局としては、従来の放漫財政を一擲し、確保せられ得る歳入の限度に歳出を縮少すべきであろうと思われます。  鹿児島県市財政については、なお批判すべき幾多の事項がありますが、本報告においては、この程度に止め、二、三の町村財政に一瞥を加えて見ます。  先ず、鹿児島市に隣接せる谷山町について見るに、本町人口は海外移住者の引揚等により、戰後急激に増加し、その数県下町村中第一位を占むるに至つたのでありますが、その七割は農民であつて、その農民一世帯当り平均農地は僅かに三反歩という小面積であります。又農民に次いで多い漁民も、その中年層が戰時中、漁船と共に徴発せられて全滅したため、今や僅かに沿岸漁業を行なうに過ぎません。本町にはその他に目ぼしい産業がないので、経済的に惠まれない点は、全く県の縮図といつてよいのであります。従つて租税收入も、二十五年度決算見込みでは、二千百余万円で、総歳入の二二%に過ぎず、その徴税成績歩合は調定額の七一%で、徴收未済額の八百三十七万円余は翌年度に繰越されておるのであります。租税増徴のほか、他に自主的に歳入増加を図るの途がないのでありますが、以上のような状態では増税もむずかしく、年々膨脹する歳出に対しては、ひたすらに平衡交付金の増配と町債許可の枠拡大を要望しておる状態であります。  又鹿兒島市の対岸にある西桜島村は、有名な桜島大根や枇杷、蜜柑等の果実栽培により県下町村中経済的に最も惠まれたところでありますので、村財政の運営も最も健実に行われております。二十五年度の決算額による村税收入額は四百六十九万円で、その調定額に対する收入歩合は九七・六九%という殆んど完納に近い好成績であります。二十六年度予算においても見積り過大と認めらるる項目はありませんが、ただ公債財源において、申請額がそのまま認めらるるか否かにつき一抹の不安はあると思われます。  又天降川改修工事の行われておる隼人町について見ますと、本町も戰後七千人余の帰還者を收容して、現在一万九千六百五十三人の人口となりました。戸数は四千百八十戸で、そのうち農家戸数は二千六百五十二戸を占め、その一戸当りの農地経営面積は三反五畝歩であります。農業以外に別に有利な産業も行われておりませんから、町民の担税力の程度もほぼ想像し得らるるでありましよう。二十三年度から施行せられた公共事業として、この天降川改修工事は、この町民の失業救済に大いに役立つておるのであります。経済的に惠まれないこの貧弱町にも、健全財政は維持され、まだ一回も歳入欠陥による翌年度歳入の繰上げ充用等のことは行われておりません。二十五年度末の租税未收額は二百五十一万円余に過ぎないのでありまして、その收納率は調定額に対しては八五%余、予算額に対しては一〇〇%を超えておるのであります。二十六年度現予算において租税でも平衡交付金でも又町債でも、大体前年度決算額を目安としてそれ以下に計上し、過大見積りの誤りなきことが期せられております。この点については、鹿兒島県市財政当局者が、本町当局者に学ぶべきであろうと思われます。  以上宮崎、鹿兒島両県下の財政を視察して感ぜらるるのは、町村財政は僅かに三ヵ町村ではあるが、比較的に堅実に行われておるが、県市財政はいささか放漫に流れているのではないかとの点であります。宮崎、鹿兒島両県、市とも皆戰災、台風害を受けた県市であるからには、その復旧が完成するまでは、その被害なき又は少かつた県市に比し、健全財政の見地から一層の緊縮節約が行われねばならないという苦言を呈し置くこととして本報告を終ります。   —————————————

和田博雄日本社会党

○委員長(和田博雄君) この際お諮りいたします。先国会閉会中、昭和二十六年度予算の執行状況について継続調査を行なつて参つたのでありますが、本件に関しては、参議院規則第五十五條による報告書を議長に提出することになつております。つきましては、この報告書の作成及び手続等に関しては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

和田博雄日本社会党

○委員長(和田博雄君) 御異議がないものと認めそのように取計います。  なお、この報告書に御賛成のかたは、順次御署名を願います。    〔多数意見者署名〕     平岡 市三  佐多 忠隆     藤野 繁雄  東   隆     岩間 正男 池田宇右衞門     石原幹市郎  郡  祐一     白波瀬米吉  荒木正三郎     岡田 宗司  波多野 鼎     飯島連次郎  高良 とみ     小林 政夫  西郷吉之助     岩木 哲夫  櫻内 義雄     鈴木 強平  深川タマヱ     堀木 鎌三  矢嶋 三義

和田博雄日本社会党

○委員長(和田博雄君) これで散会いたします。    —————・—————    午後四時十五分散会

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