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12回国会参議院1951/11/12

電気通信委員会 第9号

発言数
45
登壇者
6
会派数
3
開催日
1951/11/12

会議録

鈴木恭一自由党

○委員長(鈴木恭一君) これより本日の委員会を開きます。  先にアメリカに御視察においでになつておりました寺尾、山田、新谷委員より、この際我が国でいろいろ問題になつておりまするテレビジヨンを中心としてお話をお願いしたいと思います。

山田節男日本社会党

○山田節男君 実は本委員会の寺尾、新谷並びに私、それから衆議院の關内正一代議士、長谷川代議士の五名がアメリカ政府の招待によりまして、電通事業の視察のため、去る八月十五日東京を出発しまして、先月二十一日に羽田に到着するまで、約二カ月余に亘りまして電通事業全般を視察したのであります。最初にワシントンのDCのフエデラル・コミユニケーシヨンズ・コミツシヨン、連邦通信委員会と申しますか、そこに参りまして、主としてFCCの厄介になつて、アメリカの電気通信全般を見学したのであります。ワシントンにおきましては、一週間のいわゆるオリエンテーシヨン・コースと申しまして、アメリカ一般事情に通ずる諸般の教育がありまして、二週間日から第三週目にかけて、FCCの一室に我々は閉じ込められまして、連日FCCのコミツシヨナー、それから各局部長、これはFCCの機構が昨年の七月に改革になりましたので、その機構改革による職務、職能の区別等を聞き、なお又丁度そのときにアメリカの一九三四年に制定された通信法の改正案が下院において、これは何と申しますか、インターステート・エンド・フオーリン・トレード・コミツシヨン、そこでこの改正案が審議されておりますのて、我々五名はこれに出張いたしました。それから下院の電通関係委員長のミスター・クロツサー、又上院の電気通信関係のインターステート・エンド・フオーリン・トレード、コミツシヨンの委員長のミスター・ジヨンソンに会いました。かようなわけで、FCCの電気通信、電信電話に関する行政関係を勉強をいたしまして、それからニユーヨークに九月八日に到着しまして、その後三週間アメリカ電話電信会社、アメリカン・テレフオン・エンド・テレグラフ・カンパニー、勿論それにはウエスタン・エレクトリツク・ベル・システムも加えておりますが、そこに四日間厄介になり、又国際電気通信会社、インターナシヨナル・テレフオン・エンド・テレグラフ・カンパニーと、その子会社のマツキイ・ラジオを廻り、又その他CBS、NBC各放送機関でありますが、今議題となつておりまするテレビジヨンを我々が視察しましたことについて概略を御報告申上げたいと思います。もとより私は技術家でありませんので、非常に誤謬が多かろうということは想像に余りありますが、この点は專門のかたもおられることでありますし、後ほど御説明願うことにし、なお寺尾君なり、或いは新谷君のような最も專門的な立場で行かれたかたもありますので、この点は補足して頂くとしまして、私の見ましたテレビジヨンの概況を御報告申上げたいと思います。  御承知のようにアメリカのテレビジヨン放送局は、今日におきましては百七局ありまして、これはFCCは百九局にオーソライズしていたのであるけれども、百七しか開通していない。その中で一番大きなのが六つありまして、それが即ちNBC、ABC、CBS、MBC、リバテー、デユモント、これが六大放送会社ということになつておりますが、我々はNBC、ABC、CBS、MBCの四つを見学したわけであります。先ず最初に見ましたのが、CBSで、これは御承知のようにアメリカにおきまして最も古く、早くからテレビジヨン並びにカラー・テレビジヨン、即ち天然色テレビジヨンに手を着けているので有名な放送会社であります。又NBCのほうは、グランド・セントラル・ステーシヨンの二階の大きな所をスタジオに使つておりまして、そこへ行つていろいろ見たわけであります。それから次には、セントラル・パークに沿つたたしか第六十街でありましたが、ABCのテレビジヨンのスタジオをも見学しました。それからミユーテユアル放送会社、MBCのほうは、役員と主として机上の質疑応答でありまして、スタジオのほうは見なかつたように記憶しております。とにかくテレビジヨンというものが非常に発達しているということは事実驚いたのでありまして、一昨年の十月に私がニユーヨークに参りまして、例えばバーであるとか或いはレストラン、こういう所に、ここにはテレビジヨンがあるぞということが非常に大きく広告をしてありましたけれども、又一般の市街住宅地等に行きましても、テレビジヨンのアンテナを見ることは非常に稀であつた。ところが今回行つて見ますと、もうテレビジヨンは全くこれは一つのなくてはならんものになつておりまして、ホテルにはロビーにありまするし、私はワシントン、ニユーヨークのYMCA宿舎におりましたが、そこにも立派なテレビジヨンがあつた。ちよつと郊外に出ましても、或いはマンハツタンのオフイス街に行きましても、至る所アンテナを張つております。如何にテレビジヨンが普及したかということを証明しておるのを見たのであります。これはFCCの第二十一回の一九五〇年の報告にも発表されているところ、並びにその後に報告された七月中旬現在で、テレビジヨンの設備が据付けられておるものが約一千三百万あります。そうしてそれに対する視聽者はこれはどういう推定基準か知りませんが、約八千万、視聽者と申しますか、視聽者がある。即ち全人口の五一%はテレビジヨンを毎日見ておる、こういうような工合になつておりまして、このテレビジヨンが一つのインダストリー、即ち産業としてそれじや果して堅実な基礎を持つておるか、ここに例えばCBS、RCAの昨年度末までの会計報告がございますが、これを見ましても、例えば一九四八と四九年、五〇年の收入状態を比較してみますと非常に收入が殖えております。全く幾何級数的に殖えております。そうして殊に何と申しますか、広告を主としておりますので、この広告收入というものが一日例えば午前八時から午後十二時まで、これを如何に聞き得るかということにつきまして、いわゆる時間を限つておるわけでありますが、それが一九四八年の一月においては、例えばイーブニング・アワーズ、即ち六時から九時までの間がせいぜい、ニユーヨークにおけるネツト・ワークを以ちまして約六百ドル、五百八十六ドルという相場をCBSで立てております。が、それが一九五〇年になりまするというと、それが更に四倍に増加しておりまして、それが一九五〇年になりまするというと非常な値段になつておるのでありまして、この幾何級数的に收入が殖えたということは、非常に收入が殖えた原因になつておるのでありまするけれども、一面においてはこのテレビジヨンの放送は、要するに費用が莫大である。殊にプログラムを作るために非常に金がかかる。で特にこのNBCで演芸放送に要する費用がどういう方面に一番かかるかと申しますると、勿論機械的にもいろいろ金はかかるけれども、人件費、殊にこのプログラムの編成上、演劇と申しますかレビユーでいろいろな人を引くような芝居をやつたり、ドラマをやつたり、或いはレビユーをやつたり、シヨウをやる、こういうように人気役者や人気のある歌う人を使うとなります非常に高い、これらが非常に強固ないわゆる職業組合的ながつちりした組合を組織しておりまして、非常に何と申しますか、出演料が高い、而も高くてもいいものを広告主が選んでやるというようなことで、そういう点にも経費が非常にかかるということで、今日までにCBS、NBCは結果においては一九五〇年におきましては、やはり黒字になつておりません。若干の赤字になるという状況であります。併し地方のネツト・ワークの放送局におきましては金を儲けている所もあつて、一九五〇年以後におきましては黒字をぼつぼつ出しておるというような状況であります。このテレビジヨンというものが、今日の文化生活と申しますか、生活上なくてはならんようなものになつていることは、これは事実であります。従いましてこのテレビジヨンというものの普及度が高まるにつれまして、又この百七つの放送局、殊に六大放送会社が技術的にも、或いはプログラムの点におきましても非常な競争をやつております。一日々々と技術の点においても非常に進歩していることは、これは我々が全く驚異とすべきものがございます。このテレビジヨンがかように進歩して参りましていろいろな問題を起しておるのでありますが、これは又新谷君からも詳しく御説明があるだろうと思いますが、とかくこのテレビジヨンがアメリカにおきましてすべて商業放送である。いわゆる広告主の意向によつてやる一つの商業的企業体である。ここにアメリカのテレビジヨン産業の非常に特質があると思います。御承知のように今日世界で商業放送をしているのはアメリカだけでありまして、メキシコも近く商業放送をやるかも知れないと言つておりますが、まだきまつていない。他は全部公共或いは国営放送でやつておりますが、アメリカは百七つというものが私企業、プライベートな産業としての放送をやつておる。これは我々にとりまして、何と言いますか、教訓を與える点が多々あるというように見て帰つたのであります。このアメリカの現在テレビジヨンをやつておる制度においてどういう点が欠陥であるかという点は、これは何と申しましてもプログラムの、つまり番組編成の問題でありますが、商業放送の当然の結果としまして、広告主の意を迎えなくては広告がとれない。あるから広告主の気に入るようにしなくてはならんということは、要するに物を広告するのに何でもかんでも人にものを植え付けよう、こういうのでやりますので、これはよくFCCでも申しておりましたが、いわゆるエクセツシヴ、アドヴアテーズメント、余りしつこい広告をやるということであります。それからもう一つは、そういうように非常に興味本位でやりまするからして、とかく道徳的に見ても非常によくない。教育的に悪い結果を及ぼしておる。例えば酒の広告、又広告收入から見てもわかりますが、一九五〇年度の收入が殆んど三割五分、四割近くというものがたばこの会社の広告であります。こういうようなものや酒、つまりそういつたものの広告をやるために、従つてそれに附随したシヨウ、芝居等も極めて猥褻なものがあつて子供には見せられんと、こういうような批判も起きて来ておるのであります。かようなわけで、このテレビジヨンの産業を私的の産業でやつておるために今アメリカが一番悩んでおるのは、このテレビジヨンがもたらす社会的効果、特に道徳的効果を如何にすべきかということであります。ニユーヨーク州では、これはFCCはもうすでにその準備をしておると申しておりましたが、ニユーヨーク州ではこういう商業放送のテレビジヨンでいわゆる民心を何と言いますか、レベルを道徳的に下げては困る、もつと教育的なプログラムをやらなければいかんというので、州が主体になりましてこのフリクエンシイの割当をきめて、そうしてニユーヨーク州で一つ、いわゆる公共のテレビジヨン放送をやりたい、こういうことを教育委員会の人たちが主唱しまして、そうしてFCCのほうもこれに対するフリクエンシイの割当をきめているということを申しております。併しながら私らが参りました時には、まだこれがいつ実現するやら可能性がさつぱり見込がつかない。と申しますのは、非常に金がかかるのだそうであります。ニユーヨーク州は人口が今千五百万と言われておりますが、このニユーヨーク州だけにテレビジヨンを新らしく放送してやるということになりますというと、ニユーヨークだけで放送局が三十五要る。そうしてこの一つの局が大体三十万ドルの金が要る。一カ年に二百万ドルの経費が要る。そういうことになりますというと如何にニユーヨーク州といえども、この厖大な経費のかかるテレビジヨンの放送はまだ実現のめどが立たない、こういうような状況であります。更に私どもがおります時に、ワシントンにありますデイストリクト・オブ・コロンビア、ワシントン地帯の教育委員会では、どうもテレビジヨンの社会的効果は目に余るものがあるからして何とかして道徳的な教育的なプログラムを主とした放送をやりたいというので、FCCのほうへ申請書を出しておるような状態であります。どうしてこういうことになつたかと申しますというと、このテレビジヨンの過去、まあ歴史から言えば、十年くらいもすでに放送をやつておるわけでありますが、最近人口の半分以上がこれを見ておるというようなテレビジヨンの社会的効果が誠に憂うべきものがあるというので、各州においては勿論のこと、教育、宗教団体がそれに対しましてたびたび番組の編成について文句を言い、或いはそれに対して何とかならんかということを申入れたのであります。商業放送の本来の性質からしまして、とかくそういうことを無視しなくてはならないような結果になつて来るために、こういうような問題が今新らしく起りつつあるのであります。かようなわけでありますし、テレビジヨンの産業というものは非常に発達しておりまするけれども、社会的にこれをコントロールして、今までのラジオであるとか、耳で聞くというようなものでなくて、今度は眼で見ると同時に音と姿を見るということによつて実感性というものが非常に強くなりますので人に非常な衝動を與え、或いは影響を與えるということになりますがために、この番組の問題が一番今日重要な問題になつているように私は観察したのであります。  それで丁度私たちがおります時に、これは日本でもちよつと新聞で見たのでありますが、私ども、殊に私は素人でありまするので、行つて驚いたことは、天然色テレビジヨンの問題、これが非常に大きな問題になつておることであります。これは皆さん御承知のことでありましようが、問題はCBSとNBCとの色付きテレビジヨンの問題であります。これは行つて見ますと、丁度この天然色のデレビジヨンの問題についてFCCに一昨年の十万でありましたか、例のRCAのNBCと、それからCBSとそれからカラー・テレビジヨン協会CTIの三つがそれぞれ天然色テレビジヨン放送のシステムをFCCに申請したのであります。FCCはこれに対しまして愼重に審議をしまして、約一カ年間これを審査いたしました。そして結論を申上げますると、結局このCBSのいわゆるフイールド・シークエンシヤル・システム、これは最も実際的である、そして非常に簡單である、そうして安いというので、このCBSの天然色テレビジヨンが教養用として、いわゆる何と申しますか、ナシヨナル、スタンダードとして認められたのが昨年の十月でございました。そこでこのRCAのNBCは子会社でありますが、RCAのほうも非常に憤慨しまして、そうしてシカゴの連邦裁判所に向けてインジヤンクシヨンと申しまするから、その商業放送を差しとめる禁止令を要求して訴えたのであります。ところがシカゴの連邦裁判所はこのCBSの方式のほうを認めまして、RCAは負けたのであります。それでRCAは更に最高裁判所にこれを訴えたのでありますが、最高裁判所におきましても、やはりFCCの與えた裁定が是なりというようなことになりまして、結局このNBCが負けまして、CBSが勝つたということになりました。いよいよCBSが今年の五月二十一日に、最後の認可を得たというので、六月からいよいよカラー・テレビジヨンの定時放送を始めるというところに私たちは参つたのであります。このNBCとCBS、即ちこのRCAとCBSの論争の最中にニユーヨークに我々が参りまして、NBCの色テレビジヨンを見まするというと、非常にまあ自信満々としておりまして、とにかく我々は何といつてもカラー・テレビジヨンについては我々のが当然一番進歩したものであるからして、他の追従を許さぬということで威張つております。それからRCAに行きますと、これはまあRCAの社長のサーノツフ将軍或いはRCAのコミユニケーシヨンスの社長のイングルス将軍、それからその他NBCの幹部に会いましても、RCAの方式はなぜCBSに負けたかというと、それは仕掛けが非常に複雑であつた、それからもう一つ我々の負けたということは、FCCで行なつたデモンストレーシヨンの際の結果が非常にまずかつた。もう一つは、我々は政治的の裏の取引に負けたのである。併し我々のシステムが何といつても一番理論的にもいいんだというのです。それで幹部、重役連中が別室でNBC式のカラー・テレビジヨンの実験視聽をしているところで、我々は三十分ばかり見ました。CBSの所でもカラー・テレビの同じくらいのセツトを三つも四つも並べて彩色を比較研究しているのを見ました。私は素人でありますからよくわかりませんが、とにかくRCAに言わせますというと、CBSは機械的である、メカニカルである。そうして何と申しますか、赤、青、緑、これはドラムと申しまして、ドラム罐のような形体に三原色を塗つたものを廻してやるのと、それから円盤型になつた三色のついた、いわゆるデイスクを廻してやるのと、両様式を使つて色を出す仕掛けでやつていました。併しそれは非常に不自然である。RCAのほうは……NBCのほうは、そんなことをやつていない。それからドツト・シークエンシヤル・システム、点で画像に色彩を與えるのであります、それで撮影しますときにも、レンズを三本、チユーブを三本、そうしてそれが赤、青、緑の作用を別々にやつて、それが吸い取つて電気精力に変えて電波として送るのだというようなことを言つております。それでこれが完成すればもうRCAのほうがよほどいいのであるが、我々はもうすでにこれが完成に近いと看取しました。これはたしかカリフォルニア大学教授ローレンス博士と記憶しますが、この人が極く最近、従来RCAがやつておつたドツト・シークエンシヤル・システムを更に改良したものを発明したのだそうです。それを採用してNBCのカラーというものが全く完全なものになつた。それで今度一つCBSの鼻をあかしてやらなければいかんというので、丁度私どもが九月二十八日までおりましたが、九月二十九日から新らしく改良したNBC方式の色テレビジヨンのデモンストレーシヨンをやり、それからそれが済むとワシントンで十月の十日から五日間デモンストレーシヨンをやつて、そうして各界の專門家や公衆に見てもらつて批判を仰ぐということになつて私たちはそれを到頭見ることができませんでしたが、RCAの各幹部の人に聞きまするということ、これこそ完全な、最も簡便な天然色のテレビジヨンが完成した、かように申しております。で、殊にCBSのいわゆる天然色のテレビジヨンは、これは今の白黒のセツトではそのままでは受けられないのだそうであります。それにはアダプターとコンバーターとをセツトに附設しなくてはならんのだそうでありますが、アダプターとコンバーターというものを付けなければ、色テレビジヨンが受けられない、ところがNBCのほうは全然そういうものを付ける必要がない、従つて現在白黒のテレビジヨンのレシーバーを持つている人は、そのまま受けられる、ここに非常に特点があり、CBS方式のほうでは、受像器にアダプターとコンバーターを付けると、どうしても百三十ドルか百五十ドルくらい費用がかかる、この点から見てもNBC方式の色テレビジヨンがより優れたものであるということを申しておりました。いろいろ宣伝文書等を出しておりまするが、まあこれはどちらがいいかということは、私は素人でありますから、この判断は專門家に任すといたしまして、かような経過になつていることを御報告する次第です。丁度私たちがサンフランシスコにいた十月十六日のニユーヨークタイムス紙にRCAのカラー・テレビジヨンによつて、従来十二インチに九インチの大きさのスクリーンでやつておつたのが、今度はそれを更に拡大して、十八フイートに二十四フイートの大スクリーンで、劇場に据え付けるということになりまして、いわゆるCBSの如何に時代遅れであるかということを証明すべく、RCAがいよいよ一大デモンストレーシヨンを始めることになつたということが出ておりますが、かようにしまして、RCAとCBSの天然テレビジヨンに対する論争が非常に激烈になつておるのであります。まあこれはそのくらいにしておきましよう。  次に我々が今後テレビジヨンを日本に設ける前に、どういうような心がまえでおつたらいいかというようなことを、例えばRCA即ちNBC或いはFCC当局者に質問したことに対する返答を御紹介したいと思います。これにはいろいろの説がございます。殊に私はテレビジヨンのスタンダードについては、アメリカの最高権威と言われるミスター・フインクの言われたことが、最も印象的なんであります。ミスター・フインクは、ヨーロツパの各テレビジヨン放送局を指導して廻つておるのでありますが、こういうことを結論的に申しております。このRCAの色テレビジヨンは、今大デモンストレーシヨンをしているが、確かに理論的に見ても、RCAのカラー・テレビジヨンが将来完成すればCBSより立派なものになるであろう。日本で色テレビジヨンをやるごとになれば、やはりこれは急がずに、念には念を入れて、両方式の進歩改良の結果を研究して、どちらの方式を採用するかをきめるほうが賢明だと思うと申していました。それからテレビジヨン放送を始める場合に、それでは白黒から先にしたほうがいいかということについては、ミスターフインク氏はこれはやはり白黒で始めたほうがいい、こういう説であります。それからNBCのほうでは、これは今アメリカのほうに白黒と色テレビジヨンと両方同時に並行して行うのがいいんじやないか、こういう説でございまして、やはり白黒から始めるか、又その工合によつて色テレビジヨンを並行してやつたらいいんじやないかということを申しておりました。それからテレビジヨンは何と申しましても非常に金がかかるのでありまして、日本で一体ああいう千マイル近い長い島でありますが、こういう場合にどうしたらいいかとミスター・フインク氏に聞きましたところ地図を出しまして、これは東京と大阪を中心として人口が一番集結しておる。先ずこの二カ所に放送局を設けて、それで次第に全国的にやるのが一番いい、地理はよく知らないけれども、そういうように常識的では思える。とにかく自分としてはやはり白黒から始めて行くべきだということであります。それからいわゆる問題はスタンダードの問題、標準方式をどうするか、これはミスター・フインクも或いはFCCもCBSもNBCも同じように言つておりましたが、スタンダードをよほど愼重にしなければならない。殊に私は知らないが、RCAの社長、この人は非常な專門家だそうでありますか、このスタンダードはやはり鉄道のレールが狭軌、広軌というようなもので、これは一旦きめた以上はなかなか変えられない、であるからしてこれは非常に愼重にやらなくてはいけない、あらゆる知能を固めて、そうしてトツプに進歩している先生がたをつかまえて起案をしなくちやいけない、かように申しておりました。殊にミスター・フインクはパリから帰つたばかりでありました。フランスはこの何と言いますか、走査線はたしか八百何本でしたか、八百十九本でしたか、非常に多いんで、アメリカの五百二十五本に比しますというと非常に多い。精密度は高いけれども、これによつていわゆるちらつき、ドツトが降るようになりまして、画を見ておりますとライン・クロールが出る。そういうのを防ぐのはどうしても走査線が多いとなかなか、今の技術の標準では精密度としては成功しておるけれども、そういうちらつきやいろいろな妨害が時々出るので、非常にまずい。然らば五百二十五が一番いいかというとこれもやはり一日々々進んでおるテレビジヨンの、殊に電信のほうの学の進歩から言うと必ずしも五百二十五はいいものでない。現にアメリカを除いたヨーロツパ各国においては六百二十五、或いはアメリカもかつては四百四十一という走査線を使つておるのであります。とにかくこの標準方式、これは今後日本として採用する場合には十分一つ研究してやられたほうがいいということを誠意を以て忠告してくれておりました。殊に私どもが特に素人として感じましたことは、やはりテレビジヨンの放送をやれば、これは一地方の者が、金持だけがこれを專用するものであつては絶対にいけない。テレビジヨンの社会化という條件が備わるような見込がなくては、テレビジヨンを開始すべきものではない。アメリカの例を見ましても、今日はかように全国放送にネツト・ワークが完成しました。これまでには非常に多額な金まで使つておる。かつ又それを全国放送網にし得る施設が他の方面からも協力的にできておつて、九月四日の例のサンフランシスコにおける平和條約会議の状況をアメリカで初めて正式にサンフランシスコからワシントン、ニユーヨークへ放送されました。私どももこれを見たわけでありますが、実にはつきりしておりました。これはなぜかようにたやすくできたかと申しますと、これはアメリカの電信電話が晝夜兼行を以ちまして、サンフランシスコ、ニユーヨークの間に百七つのマイクロ・ウエーブのラジオ・リレー・ステーシヨンを建設いたしました。これは而も六チヤンネルのものであります。勿論これまでのものが他の放送局もこれに協力いたしまして距離が三千四百、五百マイルばかりあるものを完全にテレビの放送ができる、かような点から申しましても、かように日本が今後テレビを開始するにしても、アメリカの過去の苦心から見ても、日本の今日の経済上から見ても深く考えなければいけないということを言われました。申忘れましたが、テレビを日本において開始するについて注意してくれた一つの意見に、余り急ぐことはない、テレビは革命に革命を重ねておるのであつて、必ずしも急ぐことはない、少しでも待つて一番いい設備をとつてやつたほうがより完全なものになるという意見でありました。  私は個人の意見になりますけれども、この日本で講和が済みまして、賠償問題が起きておるときに、東京でもつてビルデイングがたくさん建つておるということは、日本は賠償能力があるというように考え、又近くは東京温泉がアメリカで問題になつたという、日本人はどうも不謹愼だということであるが、テレビが必ずしも贅沢品と申すわけではないのでありますが、非常にここに複雑な問題がある、金がかかるから……。併しながら日本にも是非紹介しなければならん。これを如何に調節し、テレビを開始するかということは我々として十分考えなくてはならんように考えた次第でありまして、かようなわけでありまして、私どもの見ましたテレビがアメリカにおきましては、今や産業としましては実に前途洋洋たるものでございますけれども、これに連れまして新らしいいろいろな社会問題、或いは経済問題等を起しておるということを現実に見まして、テレビの文化に貢献する面において如何に調整するかということにつきましては、十分我々としても今後研究しなければならない、かように考えたわけでありまして、私は素人でありますので、ただ外面的に見て、又聞いた点を申上げたのでありまして、私の足りない点、或いは間違つた点につきましては、新谷君、寺尾君等から是正して頂くことにいたして私の報告はこれで終ります。

新谷寅三郎緑風会

○新谷寅三郎君 私からアメリカで二カ月間電気通信事業を見学いたしました中で、今日は特に放送なり、テレビに関します事柄を報告したいと思うのであります。大体のところは山田委員から御報告になりましたので、それで御了承願いたいのでありますが、山田委員の御報告にありませんでした事項とか、又或る問題については多少見方の違つたようなこともありますので、そういう点をかいつまんで御報告したいと思います。私も御承知のように技術者ではありませんし、又テレビなんかの問題についてはこれは全然素人でありますから、我々の素人の目で見たテレビということについていろいろ又御希望があると思うのであります。その点は十分あとで伺うことにして、とにかく私の見て来た放送なりテレビジヨンというものについて一応申上げます。  アメリカでは御承知のように放送もテレビジヨンも根拠法が一九三四年の通信法にあるのであります。この通信法では、政府は極めて簡單なと申しますか、極く小範囲の事項についての監督しかいたしておりません。これは詳しくは申上げませんが、例えば周波の割当でありますとか、或いはそのテレビジヨンを立てるところの認可でありますとか、それからその認可をする場合の期限がありますから、その期限が切れた場合の更新の問題でありますとか、毎年相当詳細な報告を取りまして、その報告に基いて、次の免許の更新のときに、果して認可更新をしていいかどうかということを更に考慮するというようなことをやつております。放送については大体免許期限が三年、テレビジヨンについては、免許の期限は一年ということになつているようであります。特にここで申上げたいのは、その免許の更新をいたします場合に、非常に注意いたしますのは、放送もそうでありましようが、更にテレビジヨンについては、山田委員も言われたように、国民に対する影響力が非常に強いという点からいたしまして、その管理権と言いますか、事業を管理いたしますものが一体誰であるかと、特に外国人の管理に移ることを非常に注意をして調べることでありました。この点は日本の放送法ともその揆を一にしておるものと考えるのであります。それから、これは現在はまだ法制化されておりませんけれども、山田委員が縷々言われましたように、特にテレビジヨンの番組につきましていろいろ問題が起つております。国民からのいわば苦情というようなものが、このテレビジヨンのプログラムに集中しておるような状況でありまして、例えばお酒類なんかの広告が多過ぎるとか、たばこなんかの広告を余りやるのはけしからんとか、或いは虚偽な誇大な広告をやるのはけしからんとか、射倖心を唆るようなものはいかんとか、いろいろ非難が出ておりまして、FCCに参りまするこのコンプレインの中で、テレビジヨンに関するものが七十五日間に千通を超えるようでありまして、FCCとしてはこれを見まして、いろいろこの関係会社に注意をしておるようであります。そういう状況でありますので、現在の法制のごときはプログラムについては一切の検閲をしておりませんし、又結果として検閲をするようなことになつてもいけないということになつております。併しながらこの影響力が大きいために、FCCのほうの説明によりますと、プログラムに関して国会が何らかの法律を作るような可能性があるということを今言つておるのでありまして、これはどういう内容で、どの程度の制限をするのか知りませんけれども、そういうことを国会におきましても、愼重に今研究をしておるようであります。まあこういつた法制の下に放送なりテレビジヨンが私企業として商業放送を中心にして行われておるというのがアメリカの実情でありますが、我々、山田君が言われたように、大体四つの大きなシステムを実地に見学いたしまして、そのそれぞれで説明を受けましたところは、多少は違う点があるのでありますが、大体のところを要約して申上げますると、一体このテレビジヨンというものがアメリカで非常に盛んになつて参りましたのは、一九四五年、つまり戰争が終つてから後のことであります。非常に急激に受像機の数も殖えて参つたのでありますが、たしか日本でも放送法案の審議をいたしました一昨年頃の受像機の数が大体百万程度で、恐らく一昨年のうちには百五十万になるだろうというような調べをしたことがございましたが、今日では公式の数字でも千三百万、今度サンフランシスコの会議がありまして、始めて西海岸と東海岸との間に中継ができるようになつたのでありまして、その機会にテレビジヨン会社が非常に宣伝をいたしまして、少くとも百万殖えただろうと言われております。今日では千四百万を少し上廻つておるのではないかと考えられます。その程度に急激に発達したのでありますが、これは現在はいずれも白黒のテレビジヨンであります。山田君も言れたように、アメリカのテレビジヨン界は今そのカラー・テレビジヨンに転換しつつあるのであります。CBSとNBCとの間に論争が繰返され、FCCの裁定は一応CBSに落着いておりますけれども、RCA即ちNBCのほうでもカラー・テレビジヨンのほうに非常に力瘤を入れて宣伝いたしておりまして、近い将来にこれが完成いたしました場合には、このいずれがアメリカにおいてよりよく伸びるであろうか、国民の間にそれが普及されるであろうかということは、非常に興味のある問題であると同時に、国民全体にとりまして、この問題は非常に大きな問題になつておるのであります。  このカラー・テレビジヨンを実現いたしました場合に、一体どのくらいの経費がかかるか、テレビジヨン全体に非常に経費のかかるということは、山田君が言われましたので、重複することを避けますが、現在の白黒の受像機に附属品を付けて改造してカラーを見られるようにするにはどのくらい経費がかかるか、このCBSの説明によりますと、二百ドル程度でできるであろう、それからカラーだけの受像機を作つた場合にはどのくらいかかるだろうか、これは現在は三百ドル程度と言われておりますけれども、将来大量生産をいたしますれば、何とかして二百五十ドル程度に落着けたいものだ、これは多少希望的な数字でありましようが、そういう説明をいたしております。又一方NBCのごときは、たとえ今カラー・テレビジヨンが実現いたしましても、自分のほうは千九百四十九年にRCAから独立して、一つの会社になつたので、経費の関係もあるし、今白黒からテレビジヨンに変更する意思はない、当分の間白黒でやつて行くということを申しておりましたが、従つて視聽者側でもカラー・テレビジヨンと、白黒のテレビジヨンと両方を見られるようにする必要が出て来るわけでありますが、その場合に簡單にスイツチを切換えまして、カラーも見られるし、白黒も見られるというような受像機を作つたとすれば、現在ならば四百ドルから五百ドルくらいかかるであろう、併しこれも大量生産して普及するようになれば、大体三百ドル程度に落着くであろうということをCBSでは申しておつたのであります。  このCBSとRCAのカラー・テレビジヨンの比較の問題については、これはそれぞれの立場からそれぞれの主張をしておりますので、これは私、技術的にはどちらがいいか悪いかということはここで申上げません。ただ現状におきましては、山田君からの御報告もあつたように、これはFCCが数カ月に亘る公聽会を開き、実地にテレビジヨンの試験をいたしましてCBSのほうに軍配を上げたわけであります。現在におきましてはCBSの方式だけがアメリカでは認められておるということは、これは事実であります。いろいろ方式も違いますし、又説明によりましてもCBSの方式は走査線が四百五本であつて、白黒とカラー・テレビジヨンと両方を見るようにするためには受像機のほうに難点があるということを、これはCBSのほうも認めておるのであります。併し一方RCAの方式は非常に複雑であり、値段が高いということもこれは事実のようでありまして、これらはいずれもアメリカにおけるFCCの方式に対する決定を待つて日本においても研究をすべき問題かと考えます。私資料をすべて船で送つたものですから、今手許にありませんけれども、昨年のFCCの決定の当時にどういう理由でCBSのシステムを許可し、RCAのほうをとつたかという理由書を書いたのがあります。これは非常に大部なものでありますが、これはやがて着くと思いますから、着きました場合には提供して特に技術的にも御研究を願いたいと思うのであります。  併しこのテレビジヨンを実現いたします場合に、実は私日本を立ちますときに非常に心配でありましたのは、いわゆる特許権の問題であつたのであります。今日單にテレビジヨン或いは放送のみならず、日本の全体の生産工業に大きな関係を持ちますものは特許権の問題であります。十年間日本が国際的な登録をすることができなかつたために、問題にすれば幾らでもできる性質のものでありますが、併しアメリカの通信関係の関係会社の意見を総合いたしますると、この特許権については、そう日本は神経質にならなくてもよろしい、CBSのごときは、特許権は、若し日本でカラー・テレビジヨンをおやりになろうというのならば、單に名目だけの特許料でよろしいので、自分たちは特許料で稼ごう、こういうことは考えてない。技術並びに製造方法については喜んで日本の希望に応えて提供する用意があるということを申しております。これは或る程度RCAにおいても同様のことを聞いたのでありました。これは恐らく戰争中にアメリカのすべての生産工業が非常な変化を遂げまして、従来と違つた方式で、つまり発明改良の内容というものは決して私しない、これは技術を公表してお互いに技術水準を高めるようにしなければいけないというようなことが現実にアメリカにおいて行われて、これが今日でもいい結果をもたらしたというので、引続いてその方式で、その方法で進んでおるためであると考えるのであります。日本に技術を移し植えます場合に、この点は非常な強みであると考えたのであります。それからテレビジヨンは、山田君も言われましたように、私ども日本で考えておりますように、現在の放送に少し設備を増せばこれでできるんじやないかというような、実は私はそういう甘い考えで見に行つたのでありますが、事実はもう全くそれと違うようであります。非常な経費を要するものであります。これは單に受像機が高いというだけではなく、電波を出しまする施設のほう、企業者のほうにおきまして非常な経費を入れないと、このテレビジヨンというものは成り立たない、でき上らないということが極めて明瞭なのでありまして、いろいろのスタジオを見ましたが、例えばテレビジヨンの撮影をいたしておりまする所にありまする撮影機でありますとか、その背景を作るいろいろな道具類でありましても、或いはスタジオにいたしましても、これは普通の声だけの放送とは全く違つたものが見られるのであります。いずれもこれは非常な経費を要するものであります。従いましてこのテレビジヨンを実現するかどうかということを考えます場合に、これはどうしても我々はこの国民の経済ということを頭において考えて行かないといけないということを痛感いたしたのであります。一、二の例を申上げますと、このテレビジヨンの放送には映写機が一番大事であると言われますが、この映写機は現在の白黒の場合でも大体一つについて一万ドルくらい要るそうであります。今日アメリカではこの白黒の映写機というものは、撮影機というものは非常に大量に生産されているようでありますけれども、それでも一万ドルくらいかかる。カラー・テレビジヨンになつて参りますと、CBSの説明によれば、自分のほうの方式で一生懸命安くして行けば大体二万ドルくらいでできるだろう。併しこれはCBSの宣伝かも知れませんが、RACの方式だと一台について、四、五万ドルかかるというようなことを言つておりましたが、この数字は別として、少くとも撮影機一台について数万ドルの費用がかかる。而もその撮影機というものが一つの場面を写しますのに、同じ方向から写しておつたのでは、これは全く興味がないわけでありますから、一つのスタジオの中の一つの場面を写すのでも少くとも三台から四台くらいの撮影機が付いている。それが絶えず角度を変えて撮影をして見せてくれるのであります。そういうスタジオが一つの何かシヨウでも、或いは物語でも放送いたしますのに、同じ場面だけを写しておつたんじやこれは問題にならんわけでありますから、一つのシヨウにしても少くとも三つか四つのスタジオを使つて放送をしております。そういうスタジオの下にそういう撮影機が数台要るわけでありますから、この撮影機だけ見ましても、これはなかなか大変なことだなという感じを持つたのであります。又スタジオ自身につきまして私ども内地で声だけの放送をしておりますスタジオと大分趣きが違う。單に天井や壁の簡單な防音装置だけではいけないので、私音響関係はよく知りませんけれども、一見いたしましても、いずれも何か天井にバルクヘツトの装置のようなものが何メートルおきかにずつと付いております。一見しても設備が違うのであります。つまりこれは音響と光線と両方を考えなければならんから、そういうことになるんじやないかと思つたのであります。これは私具体的には説明がないのでありますが、御研究を願わなければならんことだと思います。要するにテレビジヨンの放送につきましては、これはもう非常に経費のかかるということは事実であります。今申上げたのは施設者の関係でありますが、これが国民の側から見て見ましても、先ほど申上げたように、カラー・テレビジヨンになりますと、相当の経費がかかり、又白黒の場合になりましても、現在アメリカで最も普及されております型は、大体二百二、三十ドルから二百五十ドルくらいのテレビジヨン受像機であります。これは私から御説明するまでもなく御承知と思うのでありますが、テレビジヨンの受像機は何インチとかいうので、余りに小さい型のものでは意味をなさないのであります。と同時に又非常に大きなスクリーンに写すというような、非常に大きなものになりますと、これは線で出て参るものでありますから、これは又見にくいものになつて来るので、自然にテレビジヨンの受像機というものは大きさに限度があるのじやないかと考えられるのであります。勿論これは技術的な進歩によりまして若干は緩和されるでありましようけれども、余りに小さいもの、余りに大きなものはこれは見にくいのであります。自然そこに限度が出て来ると思うのであります。現在アメリカで一番普及されておりますのは、大体二百二、三十ドルから二百五十ドルくらいのものが普及されております。殆んどどの家庭に参りましても同じ程度の型のものが備え付けられておつたのであります。そういう点を考えますると、日本で国民経済の状況からいたしまして、そういう受像機が一体どういうように普及して行くだろうか、又普及し得るかということを考えなければならんと思うのであります。この点は十分に御研究をお願いしたいと思うのであります。  それから受像機に関連いたしまして、アメリカでは只今はいわゆる白黒の受像機というものは相当オーバー・ロプダクシヨンになつておることは事実であります。二、三の大きな会社はカラー・テレビジヨンの実現ということもあるでありましようが、テレビジヨンの受像機の製造をむしろ手控えておるという状況であります。而もなお昨年来できておりまする受像機をはかすのに非常に苦心しておるというので、ときどき一カ月に一回くらい、いわゆる投売りをやりまして型の古い受像機を捌いております。そういう状況でありますが、日本にこれを移し植えます場合に、果して日本の工業というものと関連を持たさずに考え得るかどうか、これは非常に問題であると思うのであります。勿論一台や二台の受像機でありますれば、これは日本に買つて来てもそのくらいの外貨は日本にもありましようけれども、数万台或いは数十万台ということになりますと、それは全部如何に安いものでありましても、外貨を出して買つて来るなんということは到底できない。我々はやはり日本の中で普及する受像機というものは、日本において製作するのが当然であると考えるのであります。この問題に関係いたしまする特許の問題は、先ほど申上げた通りでありますが、それらの交渉を遂げて、日本の工業でこれを如何に受入れるかということがやはり当面の大きな問題になるのじやないかと考えるのです。なお山田君が言われましたように、私も各関係会社を見学しましてどこでも注意を受けましたことは、標準方式の決定についてであります。日本がこれからテレビジヨンにスタートしようというときに一旦これを間違いますと、これは取返しの付かない損害を国民に與えることになるわけであります。單に経営する会社が非常に損をするというだけでなしに、受像機を買つた国民がどんなに迷惑するかということを考えますと、これは愼重の上にも愼重を期してやるべき問題でありまして、日本のあらゆる技術を動員し、そうして外国から取入れられる技術を極度に取入れまして、そうして日本においてそれが国民経済の上からいつてどの程度に受入れられるか、又日本の通信工業の上からいつて、どういうふうにすれば日本人の利用する送信機なり受像機を製作できるかというような点も併せてこの標準方式を決定して欲しいと思うのであります。この点は山田君の御意見に私も全然同感でございます。  重複を避けましたので非常に話が断片的になつたのでありますが、最後にこれを私特に希望を申上げておくのでありますが、こういうふうにアメリカの中で急速にテレビジヨンが発達した。これももとは全体の技術水準が高まつたということに基因するのでありましようが、その一つの問題として考えられますことは、アメリカの政府の研究所もそうでありましようし、特にこういう関係会社の研究所というものが実に施設も完備しております。非常な経費をこれにかけております。アメリカの研究所の大部分が私が企業に附随しておりまして、その営業というものに結び付いておるということが一つの大きな要素であると思いますが、それにいたしましても、実に将来に対しまして大きな目標を持つて、相当の経費をかけて着々研究を進めておる。この研究活動というものが不幸にして日本では現在のところ殆んど見られない。国内の研究所も文部省関係の僅かな経費で賄われておる。特別研究費で賄われておる。各省の研究費も極めて少いという状況である。のみならず私企業に附随しております研究所のごときは、経費の関係からいたしまして殆んど、人間だけは持つておるけれども、研究活動というものは停止状態にあるというのが現状であると思うのであります。研究所の活動に対しましてもつと力を入れて、そうして今申上げたようなことを実験し、試験いたすのでなければ到底こういうふうな高度の技術を要するテレビジヨンの実現というものは日本においては容易なことじやないということを痛感したのであります。  更にもう一つ申上げたいのは、先ほどもちよつと触れましたが、技術をお互いに交換するということであります。これは或る会社で話合いましたときも注意されたのでありますが、どうも日本では仮にいい一つの研究ができましても、それを土台にして更にもう一段発展しようというような努力がなされない。又できないということは、お互いに何かいい技術を発明されましてもそれをひた隠しに隠しておる。そうして他の者に知られることを極端に恐れているというために、いつまでも一つの発明というものが、その段階にとどまつてしまつておる。ところがアメリカにおきましては、その発明改良のあつた場合に、その技術をすつかり公表してしまう。そうして仮にそれが商売上の競争相手でありましても、それを土台にして更によりよき技術の進歩向上を図るということにお互いが努力している。この点は実に私は羨しく思つたのでありますが、そういう意味におきまして関係の技術の総合的な発展を図るような措置を政府は速かに講ずべきであるということを痛感いたすのであります。要するに私の報告も標準方式の決定については最も愼重にしてもらいたい。併しアメリカの技術を取入れるについては、特許料については相当に寛大な態度をとるようであるから、それについては多少の楽観をしてもいいのじやないか。なお受像機なり送信機なりの製作については、日本の工業能力なり或いはその技術なりというものの関連を考え、更ににテレビジヨンの実現については国の経済、国民経済という大きな観点から判断をして決定すべきものであるということを結論的に申上げまして、簡單でありますけれども私の御報告といたします。

鈴木恭一自由党

○委員長(鈴木恭一君) 寺尾委員はどうしても止むを得ない御事情があつて、今日は困難らしいようですから、他日に譲りまして、只今山田委員や新谷委員からの報告があつたのでありますが、委員各位から御質問でもあれば、この際お願いしたら如何かと存じます。

村尾重雄日本社会党

○村尾重雄君 一つ聞きたいのですが、今のお二人の報告で、特に山田さんよりの報告で、アメリカ合衆国に百七の局があるという話で、大きいのは六つだというような、まあ大局あるということをよく伺つておるが、これは全部がその全国放送をやれる立場に立つているのですか。

山田節男日本社会党

○山田節男君 やれるのです。

村尾重雄日本社会党

○村尾重雄君 ローカルに地方局ということになつているのですか、その点一つ。

山田節男日本社会党

○山田節男君 今申上げたのは、まあ四大と言いますが、六大テレビジヨン放送会社が、今申上げたNBC、ABC、CBS、MBC、その他デユモント、リバテイ、この六つは放送網を持つておるわけです。だからあとの百一は各地方の放送局を持つておるわけですね。例えばシカゴ、デトロイト、或いはキヤンサス、それからサンフランシスコ、ロスアンゼルスに放送する放送網を持つておるわけです。そこで自分のローカル放送をやつておるわけです。と同時に、例えばNBCであれば全国にネツト・ワークを持つておる。それから自分のネツト・ワークを持つておるのは、そこの例えばシカゴならシカゴにあるやつに連絡をとるという工合に、ネツト・ワークを持つておるわけです。地図……、こういう工合ですね。例えばミユーチユアルならばこれだけのネツト・ワークを持つておるのです、このくらいの……。これ以外に又地方に百一という各放送会社があるわけです。ですからこれがNBCのネツト・ワーク、これを持つておるわけです。ですからこの四大放送会社と言いますか、六大放送会社で殆んど全国に亘つてネツト・ワークというものを押えておるわけですね。ですから放送料も、例えばサンフランシスコまで行く必要はない、この辺にやつてくれということになれば、放送料も安いわけです。例えば十五分幾らというのが三百ドルすれば、こつちはやらない、こつちだけでいいということになれば百五十ドルでいいということになる。で、六大放送会社というのは、こういう放送網を全国的に持つておるわけですね。

村尾重雄日本社会党

○村尾重雄君 僕の聞いておるのは、六つの会社が全国放送をやれるわけですか。

山田節男日本社会党

○山田節男君 ええ、やれるわけです。ですから広告料も非常に高いわけですね。

新谷寅三郎緑風会

○新谷寅三郎君 その点山田さんも言われたようですが、全国にどの親会社も全部各ステーシヨンとの間に契約があるのです。で、例えばCBSならCBSがカリフオルニアのためにステーシヨンを自分がネツト・ワークにするということを契約するわけなんです。それは大抵のCBS傘下に行くわけですね。その他どの親会社の放送でも、それは契約すれば得られるのですけれども、併し実際としてそういうふうに行われていなくて、大体関係会社としてネツト・ワークのあれがきまつておるわけですね。それでアメリカのむしろこれは独占禁止と言いますか、何かそういうふうな思想から来ているのでしようが、一人の個人が七つ以上の放送のステーシヨンを持つことをこれは禁止しているのですね。皆独立会社が多いのです。それがそれぞれに契約をして、その契約上のネツト・ワークの中に入つて来るわけです。ですから毎年変つて来るのですね。変り得るのです。

村尾重雄日本社会党

○村尾重雄君 今その西海岸と東海岸との連絡に一つの電気通信会社が、電話通信会社ですか、この一つの協力した、それで西と東とが連絡できることになつたという話を聞いたのですが、するところの六大会社の放送が、やはりそうした会社の協力を得なければ放送でき得ないのか。その六大会社の放送を、テレビ放送に対して他の人の協力があつて可能であるのかどうかという、現在アメリカの状態を……。

山田節男日本社会党

○山田節男君 それは先ほど申上げたように、今のアメリカ電話会社のサンフランシスコからニユーヨークへ行くまでのマイクロ・ウエーブの際のリレー・ステーシヨン、これを八月一ぱいで完成するというので突貫工事をやつてやつたということも、この平和会議も全部それのマイクロ・ウエーブでニユーヨークまで全部リレーしようというので、それは電話にも使うのですけれども、そういう目的も一つはあつて急いで作つた。

村尾重雄日本社会党

○村尾重雄君 私の言うのは、日常の六大会社の営業が、例えば他の協力を得なければやれないのか、六大会社だけで十分にやれる設備を持つているのかということです。

山田節男日本社会党

○山田節男君 それはさつき申上げているように、この放送会社はたくさんあるわけでしよう。百七も……。キヤンサスも、ロサンゼルスも、サンフランシスコも、このネツト・ワークを利用しておるわけですね。

村尾重雄日本社会党

○村尾重雄君 それはわかるのだ。ほかの協力を得なければならんのか、例えば日本に一つの会社ができ上る場合に、その会社が全国的な設備をしなければならんのか、例えばほかの電気通信の設備だとか、放送局の設備だとか、いろいろなものを利用してやり得るということがあるが、アメリカではそういう協力を得ておるのかどうか。

山田節男日本社会党

○山田節男君 アメリカは現に今の電話会社の協力を得ていますわね。だから今のテレビジヨン放送会社というのが自分でマイクロ・ウエーブのリレーをして施設を作るのはこれは大変な金でしよう。

村尾重雄日本社会党

○村尾重雄君 それは契約してやつているわけでしよう。

山田節男日本社会党

○山田節男君 それはマイクロ・ウエーブは電話にも使まえすからね。

新谷寅三郎緑風会

○新谷寅三郎君 そういうことですね。結局アメリカのロング・デイスタンスですね、電信電話、これをATTでやつていますね、ですからATTとしましては、一方通信にも使える。それを特にテレビジヨンの中継に役立つような有線と無線の中継線を西海岸から東海岸に完成したわけです。で大体その三分の二が無線で、三分の一が有線なんです。これはATTのロング・デイスタンスの一環として作る。

鈴木恭一自由党

○委員長(鈴木恭一君) 私から一つちよつとお尋ねしたいのですが、FCCが曾つてアメリカの標準方式を作つたときに、当時はまあ天然色カラーは出て来なかつた時代だと思うのですけれども、その標準方式というものはやはりそのカラーはテレビジヨンに移行する際のことを考えていたのか。又私は考えているようにも当時聞いておつたのですけれども、それはどうなつたのでございますか。

山田節男日本社会党

○山田節男君 いや、これは例のFCCの一九五〇年度の年報に、これはやはり初めスタンダードをきめる場合にはテレビ施設が、何と言いますか、いわゆるウルトラ・ハイ・フリクエンシー、即ちUHFというのだそうですが、UHFはそこまで考えられていなかつたのですね。いわゆるAMだつたのです。ですからこれにも書いてありますが、今までずつと見ると、FCCが初めテレビジヨンのスタンダードを作つたときにはカラー・テレビジヨンを考えていなかつたのです。たしかテレビジヨンのスタンダードを作つたのは一九三一年ですか、二八年ですか、これにちよつと出ておりましたが……。

新谷寅三郎緑風会

○新谷寅三郎君 私その点は特別に注意を払つて聞いたのだが、CBSなんかは当時もカラー・テレビジヨンを初めからやるべきだということを一九四五年にFCCのほうへ申出たそうです。ところがFCCはそれに対して殆んど顧慮しなかつた、問題にしなかつたというのですね。それが今日になるとカラー・テレビジヨンの技術が進んであそこまで実現の見通しが付いて来た。で、CBSに言わせるとFCCのやり方は非常な失敗であつた。僅か五年やそこらの間に又ここで大きな変化をもたらすようなことをしなければならん。これはテレビジヨン会社も非常な経費がかかるし、国民全体が大変な費用がかかるじやないか。だから初めからやつておけばよかつたのじやないかということをCBSでは言つておつたのです。全体を通じでFCCが標準方式をきめた当時の考え方は、どうも今日の発展を予期しなかつたのじやないか、非常に慎重を欠いたのじやないかというような非難を放送会社のほうでは発しておりましたね。

山田節男日本社会党

○山田節男君 今の新谷君の言われたことで思い出したのですが、RCCはスタンダードはきめなかつたけれども、いわゆるスペクトラ、ムカラー・テレビジヨンのスペクトラムですが、何と訳しますか、スペクトラムだけはとつてあつたのだ。けれどもスタンダードはCBSから一九四一年にあれは許可を受けたのです、実験放送で成功しておつたのです。そういう申出があつたけれども、今新谷君の言われたようにFCCはきめなかつた、スペクトラムの割当だけはとつてあつた、こういうことを言つていますね。何か記録はとつていますが。

鈴木恭一自由党

○委員長(鈴木恭一君) そこで今回CBS、NBCの争いが起つた。私は争いの根源はよく存じませんが、結果的に見るとCBSのほうにその判決を與えてそれを認めた、RCAのほうが敗れたということは、今のお話を聞くと、RCAのほうは白黒からカラーに移行するのに複雑ではあるけれども、行くんだ。CBSのほうは何かはかにその附属機械を付けたりなんかして値段も二百ドルもかけなければカラーにならないのだ。結局CBSの機械というものに非常に困難だ、それを許したということになるとFCCというものは、そういつた考えというものを全然放棄した、私から言わせれば放棄したというふうに思えるのですが、そうじやないのですか。

新谷寅三郎緑風会

○新谷寅三郎君 それは、私の言つているところはそうじやなくて、CBSのほうはカラー・テレビジヨンを新らしく始めるのに四百五本の走査線を使つているので、白黒との関係を考えるとどうも受像機のほうに多少難点があると、これはもう率直に言つていますね。併しカラー・テレビの公聽会をやり、実験をやつたときにはCBSのほうはカラー・テレビだけを考えると値段も安いし、それからその実験のときに非常にはつきり色が出たそうです。RCAのほうは実験のときにはよく色が出なかつた。そのためにCBSのほうが採択されたので、RCAのほうは今後の研究によつて更に色がはつきり出るようになり、値段の点ももつと複雑さを軽減するような方法をとつてやれば、これは許可される見込はあるのだということをFCCでは言つておるのです。その点は前の経緯とは関係ないものとお考え願いたいですね。

山田節男日本社会党

○山田節男君 今の問題ですが、FCCの査問委員会でこの三つ、CTIとNBCとCBSと争つたのですね。ところがCBSのは非常に簡單ですね。アダプターとか、コンバーターを付けるけれども、非常に簡單に行つて機械的である。簡單であるけれども非常に絵の明瞭さがはつきりされる。RCAのほうはぼんやりしておるというので、デモンストレーシヨンで勝つたというのです。RCAはそういうことを言うのです。私は素人でわかりませんけれども、RCAのほうは走査線が線でなく点である。成るほど絵がNBCを見ますと非常に立派ですね。非常にナチユラルです。それで操作が非常に簡單になつておる。それから非常に絵がはつきりして来た。ですからこの点は私は絶対に負けないと思う。問題はむしろ経済問題といいますか、CBSはナシヨナル・スタンダートとされたために、メーカーのほうで非常に困つた問題になつておる。メーカーでも総計約二十億ドルの施設投資をやつておる。而もNBCが駄目になると業者が非常に困るのです。それで業者からの歎願書というものが出ておるのですね。これで争いが大きくなつて来たのです。

鈴木恭一自由党

○委員長(鈴木恭一君) 先ほどのRCAの走査のゲージですが、それは鉄道のゲージのようなものだから、標準方式は愼重でなければならんというお話、これは私どもによくわかるのですけれども、それが白黒からカラーに対する点まで考慮して考えろということになれば、現在の日本としては百年河清を待つがごときもので、今のアメリカの事情をお聞きしてもなかなか大変なことではないかと私感じたのです。その点はアメリカでもそこまで考えて、新らしい日本としては考慮しなければならないというサゼツシヨンであつたのか。ただそのことだけはよくわかるのですけれども、具体的にはどういうことなんですか。

山田節男日本社会党

○山田節男君 私が聞いたミスター・フインクの言によると、フランスの走査線は八百十九です。欧洲諸国の大部分は六百二十五走査線で、この六百二十五は非常に絵の精密度はいいけれども、ドツト・クロールやライン・クロールが画面に出やすいのですね。そういう欠点を補う技術がよくなればいいというのです。アメリカのほうはその点は非常にいいのですけれども、絵の精密度が悪い。ヨーロツパよりも悪いということです。

尾崎行輝緑風会

○尾崎行輝君 新谷委員の特許権のお話がありましたが、向うの特許権をこちらに買いたいということはいいけれども、八木アンテナに関してはどういう考えを持つておりますか。

新谷寅三郎緑風会

○新谷寅三郎君 八木アンテナの内容はよく知りませんけれども、テレビジヨンに関する問題ですが、それは向うでは殆んどそういう話も出ないし、第一技術の水準が無線方面では少くとも我々日本が二十年乃至二十五年くらい遅れておるということを痛感したくらいですから、一言に言うと問題にしていないと私は思うのです。  それから鈴木君の言われた問題ですが、実は今日の報告の時には特にもう少し研究したいと思つて申上げなかつたのですが、私個人として言うならば、カラー・テレビジヨンをやるべきだという考えを今は持つておるのです。というのはカラー・テレビジヨンは例えばアメリカで今なお少くとも研究段階にあるということであることやら、それからカラー・テレビジヨンの受像機の生産を当分の間禁止したということなどから考えまして、多少時期はずれると思うのですが、併し我々が現実に見たところでは、カラー・テレビジヨンというのは実に立派に写るのです。而もカラー・テレビジヨンと白黒というものを並べて見た時に、これは問題にならないくらいの効果があるのですからカラー・テレビジヨンのほうが……丁度声とテレビジヨンとの差のように、白黒とカラーとを比べるとこれは問題にならないくらいの感じを受けるわけです。それがすぐ隣りの国でどんどん実用化されておるという時に、日本が白黒から始めてここ十年や二十年は、カラー・テレビジヨンはほかの国々に普及しても日本では辛抱しようじやないかという気持をみんなが起してくれるならば問題ないのですが、私はそういうことはあり得ないと思うのです。僅かの違いでできるならカラー・テレビジヨンを先ず取上げてやるかやらんかということをきめるべきだ。向うのCBSの副社長の説明では、我々に対してアドヴアイスしてくれたのですが、それは今申上げたような特許料なんかは心配するな、若し日本でカラー・テレビジヨンをおやりになるならば喜んで技術なり製造方法を提供しましようということでカラー・テレビジヨンから始めるのが得だということをCBSでは強調しておりました。ミスター・サーノツフのほうでは、山田さんが報告したように、先ず段階としては大都市でやつて、漸次普及するのを待つて中継放送を考えて行つたらいいじやないかということと、カラー・テレビジヨンはなかなかむずかしいだろうから白黒から先ずおやりになつたらどうかということをミスター・サーノツフが言つておりました。併しこれは想像するにCBSとRCAとのカラー・テレビジヨンに対する立場が違いますから、私はそういう点が多分に入つておるのではないかということを、これは私個人で判断したのですが、とにかくRCAのを見ましても試験では相当いい色が出ています。ですからカラー・テレビジヨンが軍事生産のほうの制限が解けて来れば、これは急速に普及することは確実なんで、その場合に日本としては何もかもこれからスタートするのですから、その場合にやはり私はカラー・テレビジヨンというものを先ず第一に実行できるかどうか、その点を先ず考えるべきじやないかと思うのです。

山田節男日本社会党

○山田節男君 僕もそれは新谷君の言われるように、カラー・テレビジヨンもこれはRCAの極く最近の九月の末が十月にニユーヨーク、ワシントンでデモンストレートしたのを見ましたけれども、私があそこの重役連中が見ていた所で見たのでは、これは非常に立派なものです。たくさんのドラムで廻るやつで三台ばかりでやつているのを三十分ばかり見たが、これも立派なものです。カラー・テレビジヨンというものは技術的には今の水準で最高とは勿論言えないが、もう実用には十分適しておる。問題は経費とそれからプログラムの問題でしよう。従つて商業放送にするか、公共放送にするかということによつて、これが岐れ路が生ずるのであります。

村尾重雄日本社会党

○村尾重雄君 今のカラーの問題ですが、カラーのほうが非常に技術が上で、非常にそのほうが鮮明だということの断定のように僕は報告を聞いたのですが、例えばそれが映画の場合においても、今までの白黒とカラーに対する批判があるが、これが普通写真で見た場合、いわゆる写真の鮮明さと言うか、写真の持つ味から言つて、白黒方式を支持する意見というのは全然ないのですか。カラーのほうが技術が高度のものだから、そのほうがより進んだという意見ばかりで、白黒を支持する意見はないのですか、技術的に見る者の立場から言つて。

新谷寅三郎緑風会

○新谷寅三郎君 それは白黒とカラー・テレビジヨンとを比較する場合に、技術がどうこうという問題はこれは起らんだろうと思うのです。

村尾重雄日本社会党

○村尾重雄君 技術じやない。白黒を支持する意見があるかどうかです。白黒を支持する意見は、これはテレビジヨンを実現したほうがいいと言う人の中には白黒のほうがいいと言う人はいないのです。それは御覧になると、映画なんかの場合よりももつとあの画面が小さいですけれども、非常にはつきり出て来るし、特にああいう大きなものになりますと割合その点はつきりするのですが、テレビジヨンの受像機で見ますと、ただ距離の関係がカラーの場合と白黒の場合とは非常に違いがある。つまり遠近の関係が非常にはつきり出て来るわけです。カラーの場合は。殊に商業放送なんかでは致命的だと思うのは、色がないと、例えばよくデパートなんかで広告するようなフアツシヨン・シヨウというのは、色がないとどんな色の着物を着ておるのやら、形だけわかつて色がないので、それがただ薄ぼんやりと黒く写るだけで殆んど広告価値がないですね。だから例えば選挙放送で人間が立つて喋つておるのを、テレビジヨンで写すような場合には、そうカラーも影響しないかも知れないけれども、特に商業放送として見ると、或いは何かいい景色でも見せるというような場合には、これはカラーと白黒の場合では私が到底比較にならんと言つたのはそこですが、問題にならんくらいです。それをやるならば、カラー・テレビジヨンというものを見た人はすべて感じるだろうと思いますね。

山田節男日本社会党

○山田節男君 サーツフ将軍がRCAの社長ですが、白黒ができたということは一つの革命だけれども、カラー・テレビジヨンが今後ますます進歩して来てこれが殆んど全部カラー・テレビジヨンになつたらこれはもうあらゆる分野に革命を起すのだ。例えば君たちのような代議士諸君もカラー・テレビジヨンで選挙放送をやることになると、これは顔つきから服装から全部写るから……(笑声)

村尾重雄日本社会党

○村尾重雄君 それはよくわかるのですが、白黒を支持する意見があるかないか、その点だけを伺つておるのです。

尾崎行輝緑風会

○尾崎行輝君 さつきの八木アンテナのことですが、向うが問題にしないということは……

鈴木恭一自由党

○委員長(鈴木恭一君) 八木アンテナにつきまして長谷長官からちよつと御説明願いたい。

長谷愼一電波監理長官

○政府委員(長谷愼一君) 八木アンテナというのは日本でも外国ででも特許権が設定されておりません。従つてアメリカでも盛んに使用しておりますけれども、御質問のような問題は起つておりません。

尾崎行輝緑風会

○尾崎行輝君 もうすでにその権利はとらないままに失われてしまつたというのですか。

長谷愼一電波監理長官

○政府委員(長谷愼一君) お話の通りです。

山田節男日本社会党

○山田節男君 これは八木アンテナの写真ですか、これはなぜ申上げたのかと言うと、これはたしかATアンドTのナトレー研究所のあそこで八木アンテナの話をしたのですが、その時八木アンテナはしているけれども、これは八木アンテナより大分違つているということを言うのですがね。この絵ですが。

長谷愼一電波監理長官

○政府委員(長谷愼一君) 一部はそのままでございます。全部じやございません。

鈴木恭一自由党

○委員長(鈴木恭一君) それではほかに御質問もなければ本日はこれで散会いたしたいと思います。明日電波管理委員会のほうから欧洲のヨーロツパ様式のことにつきまして御説明を願いたいと思います。明日は午前十時から会議を開きます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十一分散会

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