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12回国会衆議院1951/11/08

労働委員会 第3号

発言数
105
登壇者
10
会派数
2
開催日
1951/11/08

会議録

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 ただいまより会議を開きます。  公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件、議決第一号を議題といたし、前会に引続いて質疑を続行いたします。船越弘君。

船越弘自由党

○船越委員 一昨日の平林参考人の御証言によりますと、專売公社の給與決定については、一般公務員あるいは国鉄の職員と均衡を失するようなことがあつても、これは公社ができた以上はやむを得ない、こういうふうな御証言がございまして、私ももちろん同感でございます。     〔委員長退席、島田委員長代理着席〕 いま一つ今井参考人の御証言によりますと、個々の労働問題の解決をはかるのであつて、人事院が検討しておるような一般的な問題を取上げてやるのではない、こういうふうな御発言があつたように聞いております。しかしわれわれ国会議員がこういう問題について検討する場合には、やはり各般の情勢を見て検討しなければならない、こういうふうに考えますので、私は簡單にまず今井参考人の方にお尋ねしてみたいと思うのであります。  この国鉄調停の前提となつておりますCPI毎月勤労統計の昨年六月以降本年十一月までの上昇の足取りが、調停委員会の推定しておりました三二%上昇というのではなくして、一昨日の御証言によりますと二七%だ、こういうふうに一言われたと思うのでございますが、この点は間違いないのですか。

今井一男公共企業体仲裁委員会委員長

○今井参考人 二七%と申し上げましたのは、昨年の九、十、十一と本年の八月とのCPIの実績の対比です。これは実数を比較いたしましたので、正確に言うと二六・八%になります。どなたがおやりになつても同じ結論になると思うのであります。單に算術の問題です。調停委員会の方でおやりになつたと申しますのは、おそらくCPIそのものでなくて、賃金の上り方の推定の数字じやないかと思います。その点はわれわれよりはよほど高い数字をお出しになつております。

船越弘自由党

○船越委員 そうしますと、国鉄調停は現実には高過ぎるというようなお考えでございましようか。

今井一男公共企業体仲裁委員会委員長

○今井参考人 今のお話ですと、專売のわれわれの裁定と国鉄の調停と比較して一概に申せませんし、なおわれわれ仲裁委員会といたしましては、調停委員会という他の独立機関の決定いたしました案を、われわれがやむを得ず審議する場合は別でございますが、そうでない限り、あまり高いとか、まずいとか、やり方が下手だとかいら批判は加えたくないということを、いつもわれわれは考えております。その点御了承願いたいと思ひます。

船越弘自由党

○船越委員 專売調停による基準賃金は、二十六年八月二十五日の專売調停によりまして、基準賃金が一万一千九十三円ということになつております。ところがこのたびの仲裁委員会の仲裁によりますと、一万四百円という数字が出ておるわけでありますが、この懸隔が非常に大きいと思うのであります。どうしてこういうふうに大きな開きができたのか。あるいはまたこの調停委員会の一万一千九十三円という基準賃金について、どういうふうに今井さんとしてはお考えになつておりますか。

今井一男公共企業体仲裁委員会委員長

○今井参考人 この前に申し上げましたように、今回の紛争の対象は、本年度の賃金は一度両者間で裁定により話がきまりまして、現実に実行されている金額でありますが、その七千九百円という賃金を、年度の途中におきまして、経済事情がかわつたという理由で、両者間に変更を加えよう。こういつた問題でございます。従いまして、われわれの考え方は、初めに七千九百円を約束したときの経済事情の変化の程度だけ、変化させるという考え方であります。ところが調停委員会は、それより一年前の資料から起算されました数字をおとりになつたこと、並びに資料の扱い方が毎月勤労統計と申します、かなり月々にいろいろの変化が起り得る資料を、われわれは移動平均によりましてある程度ならした上で推定いたしたのでありますが、調停委員会ではそつくりそのまま、いわば生の数字をお使いになつた、そういつたことが両者の数字の開きました一番大きな原因であります。

船越弘自由党

○船越委員 專売公社職員の給與は、国家公務員の給與との均衡を考慮した場合に、どういうふうにお考えになりましようか。どのくらいがよいとお考えになつておりましようか。補正予算におきますると、一千五百円のべース・アツプ、こういうことになつておりますが、この一千五百円のベース・アツプに比較すべきものは、專売公社についてはどのくらいになるかということをお尋ねいたします。

今井一男公共企業体仲裁委員会委員長

○今井参考人 公務員そのものとじかに比較はでき得ないのではないかと考えます。これは賃金に対するものの考え方にかかわつて来ると思うのでありますが、公務員、特に行政権を行使いたしますところの警察官とか、あるいは税務官吏とか、こういつた諸君は、かりに成績が上つたからといつて賃金がふえるとか、成績が下つたからといつて賃金を減らすとか、こういつたような、いわゆる成績そのものと見合うような賃金はきわめて不適当だ。そういうことは、公務員の本質上適当でない職種でございます。ところが專売は、公共企業体になりました立法精神からいたしましても、一つの企業体といたしまして、労働そのものの実績と見合つた、つまり労働生産性などというものがぴつたり出て来る職種でございます。従いましてこれを單に従来ございますような、年齢が幾つであるとか、あるいは家族が何人であるとかいう、純粋の生活給の理論を持つて参りますならば、比較の方法があるかと思いますが、われわれ現在の仲裁委員三人は、そういつた考え方は、日本の復興、あるいはもうこういつた経済状態になつた今日、適当ではない。なるべく労働の質と量というものにぴたつと見合わすような賃金が正しい、こういつた考え方をいたしておりますので、この席ですぐさま簡單にお答えはいたしにくいと思います。

船越弘自由党

○船越委員 このたびの專売裁定につきまして、人事院の勧告というものを御考慮の上、裁定を下されたようなことがあるかどうか、ちよつとお聞きいたします。

今井一男公共企業体仲裁委員会委員長

○今井参考人 全然ございません。私どもの今回の考慮は、要するに両者間で一度賃金が本年度きまつたけれども、この賃金は事情がかわつたらかえましよう、こういう約束がある。その約束の線をずつと考慮して参りまして、その約束の分だけを変更する。こういう技術的な立場でこれを行つたのであります。もちろん年度ごとに新しい賃金をきめます場合には、私ども基本的に、今お話のような人事院勧告とか、あるいは民間賃金とか、公務員とか、その他いろいろの事情を検討するのも必要かと思いますけれども、今回は要するに両者の約束の線をわれわれとして検討して行つて出したというだけでありまして、人事院の勧告の出たことも知つておりますし、一応資料も拝見いたしましたけれども、直接の材料としては全然使つておりません。

船越弘自由党

○船越委員 直接の資料としてはお使いにはなつておらないが、一応そういうものを見られて、参考にはなさつたのでございますか。

今井一男公共企業体仲裁委員会委員長

○今井参考人 読んだだけでございまして、今回の一万四百円の計算の基礎の中には全然入つておりません。

船越弘自由党

○船越委員 このたびの專売裁定の一万四百円の数字の中には、年末手当とか、そういうようなものは含まつておるのでございますか。

今井一男公共企業体仲裁委員会委員長

○今井参考人 一万四百円は、專売で申しますいわゆる基準賃金だけでございまして、すなわち本俸、扶養手当と地域給、この三つの合計だけでございます。

船越弘自由党

○船越委員 そうしますると、年末手当は月額にして中に入つていない、こういうことになつておるのでございますね。

今井一男公共企業体仲裁委員会委員長

○今井参考人 年末手当は入つておりません。

船越弘自由党

○船越委員 もし年末手当を出すとすれば、仲裁委員会としましては、幾らくらい出したら適当か、こういうふうなことをお考えになつたことがあり、あるいはまたもしお考えになつておれば、承りたいと思います。

今井一男公共企業体仲裁委員会委員長

○今井参考人 私どもは両者が問題を起せば、そのときに考える、こういう立場をとつておりますので、年末手当につきましては、今回の紛争には両者側から全然御意見もございませんし、また紛争も出ておりませんので、私どもといたしまして触れなかつたわけでございます。ただ今回の一万四百円で考慮いたしました――直接考慮したわけではありませんが、間接に考慮いたしました点は、理由書の中にございますように、昨年十二月に初めて年末手当制度ができまして、專売も公務員並に半月分の年末手当を與えられたのでありますが、これだけはプラス、アルフアーとして考えるべきであるということで、七千九百円の計算の基礎のときには、八千二百円になるべき数字を三百円だけ削つたのであります。ところが、そのときまでの資料によりますと、そういうやり方は、われわれとして間違つておらなかつたと思うのでありますが、その後判明いたしました資料によりますと、一般民間では非常に臨時的な給與が数多くなりまして、金額も二倍半程度にまでふえておる事実が確認されましたので、今回の裁定にあたりましては、その三百円差引いたのは、その後の事情変更と認めまして、八千二百円をもらつておつたものと仮定いたしまして、それにその後の上昇率をかけました。その意味におきまして、それだけの程度が、本問題の解決上、われわれとして年末手当に触れた点でございまして、二十六年度の年末手当につきましては、両者から議論が別に出ておりませんでしたので、われわれとしては別に触れなかつたわけであります。

船越弘自由党

○船越委員 えらい仮定の問題ばかり出しますが、もし年末手当を先ほど言われましたように〇・五だけなお出すというような状態になつた場合には、国鉄の職員との給與の均衡というようなことについて、何かお考えになつたことはありませんか。もう少し申し上げますと、もし年末手当を含めますと、專売職員の方は一万一千五十円というふうになるのであります。そうしますると、国鉄の方の一万八百二十四円という、年末手当を含んだところのペースとのつり合い、こういうことについて何か考慮したことはありませんか。

今井一男公共企業体仲裁委員会委員長

○今井参考人 ただ国鉄は調停案が四月以降ということになつておりまして、一万八百二十四円という数字と――お話のように私も仮定ばかりで、こまかい数字を置かないままお答えするのはどうかと思うのでありますが、感じだけから申しますならば、一万八百二十四円と、一万四百円プラス先ほどおつしやいました年末手当――今おつしやつた仮定が私にはよくわかりませんが、年末手当を半月分といたしますれば、四百何十円何がしにしかならないと思うのであります。そういたしますと、いわゆるパリテイーと申しますと、国鉄と專売とが同じような数字になるのじやないかと思うのであります。そういたしますと、国鉄の方がある程度低いという感じがいたすのでありまして、具体的に手取りその他からいたしますと、片一方は四月からという調停案になつておりますので、ちよつと簡單に比較は申し上げにくいのではないかと存じます。それからまた一方、企業の支拂い能力という点も、また新規の賃金をきめる際の一つの要素として考えなければなるまいかと思いますので、その点もこうした問題には響くと思います。

船越弘自由党

○船越委員 秋山説明員にお尋ねいたします。この仲裁裁定実施による給與の不足額の財源として、予備費を流用する、こういうことをお考えになりまして、もし大蔵大臣の許可を得るとするならば、こういう予備費の方を流用せられようとするのか、あるいはまたそのほかに何か財源があるのか、そういう点を詳しく御質問いたします。

秋山孝之輔日本專売公社総裁

○秋山説明員 当初私どもの考えました財源といたしましては、まだ予備費というものは、お話のように、不時の支出に備えるということから、アンノウン・ファクターが相当ありました。たとえばタバコの購買費、あるいは台風時における天災に備える額とかいうことで、まだ予期し得ない数字が相当入つておりましたために、私どもは裁定に服従するという義務を感じたために、当時タバコの売れ行き等から考えまして、補正予算案をつくつた後に、まだ相当タバコが売れ得るというような形勢も見えたものですから、下級品において三、四億の売上げを増進することは、さまで難事でない、こういう案を一応出したのであります。その後陣日もだんだん経過いたしまして、收納も相当進行して、量目、品質等の目当もつきました。また最近の台風も済みまして、これ以上はなはだしい年々来る災害もないであろう。もちろん日本には地震とかそういう不時のこともありますけれども、これは人間の生命と同じで、あすをもはかれないのでありまして、さようなことは考慮せずに、大体災害費、タバコ購買費とか、そういう不時に起ることを想像される費用というものを考慮して、予備費から支出をするのが妥当ではないか、こういう考えから大蔵大臣にはその予備費をお出しになつていただきたい、こういうことは申し上げました。

船越弘自由党

○船越委員 大蔵当局の方にお尋ねしたいのでありますが、今回の專売公社の給與改善費に、六億七千六百万円を補正予算へ出した。これを組まれたときにはいわゆる公務員であるとか、あるいはまた国鉄であるとか、こういうところの職員との均衡を考えられてこれを組まれたのですか、その点をお伺いしたい。

久米武文大蔵事務官(日本專売公社監理官)

○久米政府委員 ただいまのお尋ねは、予算を編成する国庫大臣たる立場における大蔵大臣に対する御質問だと思いますので、私政府委員ではありますが、主計局長その他主計局を代表する政府委員からお答えする方が答弁の正確を期するゆえんだと思いますが、一応のことを申し上げますれば、主計局の代弁をすることに相なりますけれども、国家公務員、国鉄職員、專売の職員という三者は、予算を編成する大蔵大臣の立場として、給與の均衡ということはもちろん重要な考慮の要素に相なつております。

島田末信自由党

○島田委員長代理 森山欽司君。

森山欽司国民民主党

○森山委員 提案理由の説明によりますと、專売裁定は公共企業体労働関係法第十六條第一項の規定に該当するという御見解でありますが、「第一項の規定に該当する」とは、公共企業体の予算上不可能な資金の支出を内容とすることという御解釈でありますが、一体今回の裁定が何ゆえに第十六條第一項の規定に該当して、予算上不可能だというような御結論が出たのか、承りたいと思います。

久米武文大蔵事務官(日本專売公社監理官)

○久米政府委員 公共企業体労働関係法第十六條におきまして、予算上不可能と申しますのは、これはすでに本委員会においても前回にお答えいたしました通り、現に成立しておる予算において可能か不可能かということを判断いたしまして、現在は不可能であるということを判定しておるわけでございます。  なおちよつと敷衍いたしますと、現に成立しております專売公社の予算における給與総額は、四十一億七千九百六十一万三千円ということに相なつておりまして、この給與総額の中で措置し得るものは可能であり、この中で措置し得ないものは予算上不可能ということに相なるのであります。なお現に御審議中の補正予算におきましては、この給與総額は四十八億五千九百二十五万五千円ということに相なつておりますので、この補正予算が原案通り御承認をいただきまして、補正予算として成立いたしますれば、この補正予算で予定した数字の四十八億五千九百二十五万五千円という給與総額の範囲内で措置し得ない部分が、予算上不可能である。今回の裁定の一万四百円べースというものは、この予算総額というものに照しまして、予算上不可能であると考えましたので、この議案を提出したわけであります。

森山欽司国民民主党

○森山委員 政府委員も言われます通り、本労働委員会において、かつて国鉄裁定の際に、この問題は論議されたのでございますが、その後本年度の予算からは給與総額というものをもつて、さらに予算上のわくが定められております。国鉄裁定の際には、国鉄全部の予算の中から、当時いろいろ論議がございましたが、十五億何がしの金をひねり出す余地があつたのであります。しかるに本年四月からの予算によりますと、給與総額というわくによつて縛つておりますから、少くも給與べースの引上げということを、人員整理と切り離して考えた場合におきましては、あらゆるすべての場合について、これは予算上不可能だという結論が出て来ることになりはしないかどうか、伺いたいと思います。

久米武文大蔵事務官(日本專売公社監理官)

○久米政府委員 ただいま御質疑の中に、あらゆるすべての場合というお話がございました。ここに政府が提出しております議案におきましても、公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定により、国会の議決を求めるということになつております。国会の議決というものによりまして、あらゆる場合に不可能になることはないと存じます。

森山欽司国民民主党

○森山委員 十六條第二項との関連は続けて御質疑することでありまして、私がお伺いいたしたいのは、十六條第一項は、現在の政府の御見解によりますならば、先ほど申し上げた言葉をもう一度繰返しますと、少くとも給與べースの引上げに関する限り、人員整理を前提にしない限りにおいては、常に予算上不可能になりはしないかということを聞いておるのです。そのことについての御答弁をいただきたい。

久米武文大蔵事務官(日本專売公社監理官)

○久米政府委員 政府で予定いたします給與べースの引上げというものは、常にそれに対応する予算上の措置を伴うものであると考えております。

森山欽司国民民主党

○森山委員 しからば十六條一項の解釈につきましても、かつての国鉄裁定当時よりも、さらに不可能の程度がはげしくなつて、給與ベースの引上げ問題は、人員の整理を伴わない限り、これは常に不可能であるというふうに考えてよろしゆうございますか。

久米武文大蔵事務官(日本專売公社監理官)

○久米政府委員 予算上、給與総額の規定がなかつたときと、ある現在とを比べれば、事情は違うと思います。

森山欽司国民民主党

○森山委員 労働省にお伺いいたしたいと思いますが、一体十六條一項における予算上不可能ということの解釈は、従来は既定予算の範囲内というような解釈だけであつたのでありますが、給與総額ということで、ほとんど予算上不可能であるからというので、すべてこれを国会に持ち込まなければ、解決つかないような現状になつておるとお思いになられるかどうか、伺いたいと思います。

山村新治郎自由党労働政務次官

○山村政府委員 法文における予算というものは、これは国会において承認された予算をさしておると考えます。

森山欽司国民民主党

○森山委員 予算が事実上常に不可能であるということになりますと、十六條第一項というのは、ほとんど必要がないということになりはしないかどうか、御見解を伺いたい。

山村新治郎自由党労働政務次官

○山村政府委員 国会におきまして御承認をいただきましたならば、いつでもその項は生きて参ると思います。

森山欽司国民民主党

○森山委員 十六條第二項を私は伺つておるのじやない。政府の御解釈によれば、第十六條一項は死んでいないかということを聞いておる。

山村新治郎自由党労働政務次官

○山村政府委員 公労法の精神は生きておると考えております。

森山欽司国民民主党

○森山委員 公労法の精神が生きているとおつしやいますが、それでは公労法の精神はどういうことを考えているのですか。

山村新治郎自由党労働政務次官

○山村政府委員 御指摘の予算上可能なる点につきましては、支出ができるということに相なつている次第であります。

森山欽司国民民主党

○森山委員 予算上可能であることは支出ができるのでありますが、常に予算上不可能であるという十六條第一項の現実的な結果は、今大蔵省側が御説明になつた通りであります。しからば十六條一項は死んでおりませんかと聞いておるのです。

山村新治郎自由党労働政務次官

○山村政府委員 その趣旨によりまして、はたして御承認をいただけるかどうかを、国会にかけているわけであります。

森山欽司国民民主党

○森山委員 十六條二項のことを私は聞いていない。十六條一項だけを切り離して聞いているのです。十六條一項だけから見れば、常に予算上不可能であるということは、十六條一項が死んでいるということになりはしないかというのです。死文化しておりませんかということを私は伺つておるのです。

山村新治郎自由党労働政務次官

○山村政府委員 公労法の精神は生きておると考えております。

森山欽司国民民主党

○森山委員 公労法の精神とは何か伺いたい。――いま一度伺います。公労法の精神から十六條一項が生きているということは、どういうことを言つておられるのですか。

松崎芳労働事務官(労政局労働法規課長)

○松崎説明員 一項は死んでいるか、二項のことは聞いていないというお話なんですが、公労法の十六條の一項と二項と切り離して問題を考えるのではなしに、一項と二項とをタイアツプさせて問題を考えていただけば、国会の御承認があれば公労法の精神を生かして行くということに相なる次第であります。一項だけを取上げて、死んでいるか生きているかということを言われると、こちらとしても答弁に困るのであります。

森山欽司国民民主党

○森山委員 二項の関連は追つていたしますが、この予算上というのは、少くも十六條一項に関する限り、給與総額とかそういうことにとらわれないで、既定の專売公社の予算全体を考えるように、公労法の解釈をかえなければいけないのであります。こういうように私は考える。特に提案理由の説明によれば、補正予算が通ればまた文句をかえると、こういうこともはつきり言つている。そうすると、既定予算ばかりでなく、実質上においては、その既定予算を補正する補正予算まで含めて考えるのが、公労法の精神ではないか、こう思うのですが、労働省の御見解はいかがでしようか。

山村新治郎自由党労働政務次官

○山村政府委員 ただいま法規課長から説明がありましたごとくに、一項、二項を切り離さないで考えていただきたいと思います。

森山欽司国民民主党

○森山委員 労働省にこれ以上何を聞いてもむだであります。国鉄裁定当時の法規論争をまた繰返しても時間がかかりますから、これは追つて労働大臣の御出席のときでもむし返したいと思います。しかしこの際、そういつた十六條一項の精神について、公共企業体労働関係法に基いてできております仲裁委員会の委員長が来ておられるので、仲裁委員会としてはこういうことを一体どういうふうにお考えになるか伺いたい。形式論議ではなくして、公労法の精神から言うならば、この予算上、資金上可能というのはいかなる解釈をするのが正しいか、あなたの忌憚ない意見を聞かしていただきたいと思います。

今井一男公共企業体仲裁委員会委員長

○今井参考人 先ほど来お話のございました通り、公労法ができました当時、また第一次の国鉄裁定が当労働委員会で非常にお世話になりました当時、この予算上、資金上、少くとも予算上という問題は、その企業の予算全体のやりくりの範囲内ということははつきりいたしておりました。また財政法の建前からいたしましても、現在はもとより、また公共企業体になる前から、なるべく專売及び国鉄の特別会計が企業的に活動ができるように、その間の流用につきましては、国会の御承認をいただかなくてやれるような仕組みに、政府も変更をされておつたのであります。ところが率直に申しまして、專売裁定の第一次が当労働委員会でごやつかいになりまして議論のありました結果、結局これは履行されたのでありますが、その後二十五年の四月から、今日の給與総額という問題が入つたわけです。公共企業体という特殊な企業性を発揮させようという法律をこしらえた以上は、これを人夫何人使つて、それに幾ら幾らの賃金をやつて、それで仕事をやれというふうにきめることが、はたして企業の能率上いいかどうか。これは一般の官庁におきましても、こういつたことはないのであります。一般の行政官庁におきましても、その間の俸給費その他のやりくりは、国会の御協賛を経なくともやれる面がございます。ところが公共企業体に限りまして、そういつた予算総則が加わつておるのであります。企業が企業性を発揮いたしますためには、ある場合におきましては、物件費の方によけい使つて、人件費の方を節約することが、より能率的な場合もありましようし、また反対の場合もあろうかと思うのであります。また比較的に高賃金の人を少く雇う、あるいは低い賃金の人を数多く雇う、そういつたような強力的なことがなければ、おそらく企業として能率は出せまい。むしろ国家公務員のように、先ほどもちよつと申し上げました警察官とか、税務官吏の諸君のような特殊な立場にある人こそ、非常に嚴重に縛らないと欠陷が起るというなことも考えられるのでありますが、それがさかさまに、公共企業体だけがそうなつておるという点につきましては、私のみならず仲裁委員会、調停委員会を通じまして、非常に納得のしにくい処置が行われたという意味で、昨年一度そろつて陳情申し上げたこともございますが、今日に至つております。従いまして結果的に申しますと、公務員べースそのものから引き直されました賃金できめられました給與総額、この給與総額を越えるものは全部国会に諮らなければならぬということは、結局調停ができないということになる。調停は直接国会に参りませんから、できないということになる。調停できないということは、団体交渉の対象にならぬということになりはしないか。従つて公労法第八條の団体交渉の規定から賃金だけは削つたらどうか、これはかなり行き過ぎの点もございますが、そういつた意見さえわれわれの一緒に仕事をしておりまする調停委員会方面では出ております。少くとも公労法ができました当時の、資金上、予算上という意味は、給與総額ということの挿入によりまして、しかも一般の官庁にない特殊な制限を公共企業体に加えられたということによりまして、事実上その運用が意味がかわつて来た。少くとも私はその意味におきまして、この予算上という言葉を、即給與総額という言葉に結びつけることについては、公労法の立法の当時の沿革からいたしまして、疑問を持つております。持つておりますけれども、少くとも総則に嚴として明文がございます以上、結果的には同じことになるかと思います。とにかくもしもそういつたような給與総額できめてしまうのが適当だということになりますと、それは先ほど来の労働省、大蔵省のお話では、そういうことは国会でさらに御審議願うのだというお考えのようにも拝聽いたしたのでありますが、ぜひこの給與総額の問題につきましては、いま少し両者の団体交渉がやれるような仕組みにお考え直していただく必要が、この公労法の建前からいつてあるのではないかということが、われわれ関係者一同の一致した見解でございます。

森山欽司国民民主党

○森山委員 仲裁委員会委員長にいま一応お伺いいたしますが、法の解釈というものは、單に形式論理だけを展開して解釈すべきものではないと思う。なるほど政府の解釈は、形式論理から行けば、一応筋は通つていないことはない。すべて法律は、その法律の立法の精神から解釈すべきものであります。決して文理解釈のみにとどまるべきものでないことは、私どもが法律学を習つた一番最初からきいておる。しからば、法の精神から解釈するならば、この第十六條第一項における予算上とは、これは既定予算はもとよりのこと、今後補正さるべきところの予算を広く含んでおる。そのことは今回の提案理由の説明にも、補正予算が通つたらすぐ修正してやるということが書いてある。こういうふうな、衣の下からよろいが見えるような面がちよつとある。そういう面を見ると、この十六條一項における予算とは、既定予算のみならず、今後補正さるべき予算も広く含むのが、公共企業体労働関係法の精神に合致するものであるという解釈を、仲裁委員会はとつておられるのか、おられないのか、ひとつあなたに伺いたいと思います。

今井一男公共企業体仲裁委員会委員長

○今井参考人 私どもこの点につきましては、公社の現実に精通しておられるという点におきまして、大蔵省の諸君と見解を同じにいたしております。

森山欽司国民民主党

○森山委員 労働大臣の下にあるのでありますから、あなたに聞いてもむだだと思う。そこで法の解釈はともかくといたしまして、公社としては今回の裁定が、それでは公労法第十六條第一項に該当すると、公社は一体考えるのであるかどうか伺いたい。

秋山孝之輔日本專売公社総裁

○秋山参考人 ちよつと初めの方を聞き漏らしましたので、はなはだ失礼ですが……。

森山欽司国民民主党

○森山委員 今回の裁定が公労法第十六條第一項に該当するものとお考えになるかどうか。そういう政府の解釈の線に沿つてやつて行くことが、正しい行き方であるとお考えになるかどうか伺いたい。またそういうやり方で、公社の経営が今後やつて行けると思われるかどうかを伺いたい。

秋山孝之輔日本專売公社総裁

○秋山参考人 法の精神の問題は別といたしまして、法のある上はやはり第十六條第一項に従うべきものである。それがいい悪いはおのずから別問題であります。私、経営者として、これで将来やつて行ける、やつて行けないという問題については、この席上においてお答えいたしかねます。

森山欽司国民民主党

○森山委員 いずれも大蔵省並びに労働省の監督下にある善良なる職員の方方のお答えでございまして、私はこれ以上追究いたしません。しかしちようど労働組合の委員長が来ておられるのですが、あなたは一体どう考えるか、ひとつ聞いておきたい。

平林剛全專売労働組合中央執行委員長

○平林参考人 私は公労法の十六條については、一項、二項を含めて、この公労法の中で一番悪い箇所だと思つております。なぜかといえば、公労法三十五條において、双方が絶対に服従をしなければならない。われわれ労働者に対しては、ストライキをなくしたかわりに、仲裁委員会でもつてきめたものに服従しなさいと言うておるわけです。公社に対しても同じように服従しなさいと言うておるわけです。そういう意味において、それだけの規定であるならば、私は公労法の精神は、まことに公共の福祉のために、われわれの罷業権を奪うかわりに、仲裁裁定で生活を保障する、この精神が生かされておると思うのです。ところがこの十六條の存在によりまして、労働者と使用者との間のバランスは失われておる、つまり一片において一つの口実をつけて、絶対に服従しなければならないという裁定さえも、一つの逃げ道を與えているところに、私はこの公労法の最大欠陥があり、労働者の生活をほんとうに守るため、あるいはわれわれの生活を保障するための法律ではない。そういう意味で、私はこの十六條について考えた場合においても、労働法の中で最も悪い法律であるといつも考えております。特に予算上の問題につきまして、この十六條をそのまま読めば、労働省や政府の役人の言われる通りであるかもしれませんけれども、今度の国会において私はそれをさらに拡大しておるように思うのであります。なぜかといえば、既定予算で国会がおきめになつたのであるから、予算上不可能であるというりくつは、十六條一項を解釈すればある程度通ると思う。ところがまだ既定予算にならない予算が、今臨時国会で補正されつつある。これはまだ国会がおきめになつたわけではないのです。審議中であるわけです。これまで含めて政府はこれをおきめになれば、予算上不可能であるというお考えや、もしくは消極的な態度をとつておられる。そうではなくて、大蔵省は公労法の精神からいえば、まだ既定予算にならないものであるから、今のものをもつと組みかえ直して出すのがあたりまえじやないかと私は思う。それならば私は公労法は、十六條一項があつても、正しく理解され、運営されて行くと考えるわけであります。ところが、今度はまだ補正予算がきまらないうち、またこういう問題を論議しているときにも、仲裁裁定がどう進行するか知らぬ顔をして、今の補正予算を組んでしまつて、国会で承認していただければ、それでもう予算上不可能であるというのは、公労法の精神にまつたくはずれておるものであると考えておるわけであります。私は十六條についてはさような解釈をとつております。

森山欽司国民民主党

○森山委員 私も労働組合の委員長とは同感であります。かつて牧野英一博士が、悪法もまた法なりというような法の解釈はいかぬ、悪法は悪法でないように解釈しなければならぬと言われた。その点であの解釈はきわめて法理学的に陳腐な議論でありまして、労働省はすみやかにこの法の解釈の素朴性を佛拭されまして、ひとつ法律をよく勉強されておる方をもう少したくさん採用して、勉強し直していただきたい、私はこういうように考える次第でございます。  そこで私は次の十六條第二項の問題に移りたいと思います。十六條の第二項に書いてある條文、これも国鉄裁定の際問題になりましたが、「前項の協定をしたときは、政府はその締結後十日以内に、これを国会に付議して、その承認を求めなければならない。」、先ほど大蔵省の政府委員がお手元に持つておられました賀来さんの解釈には、これはちやんと予算案をつけて出すのがほんとうだということを言つておられるのでありますが、そういう解釈はとらないのだというふうに、時の大屋運輸大臣が述べられております。国鉄裁定の際のそういう解釈を依然として政府はおとりになつておられるかどうか、この際伺いたいと思うのでございます。

山村新治郎自由党労働政務次官

○山村政府委員 従前通りでございます。

森山欽司国民民主党

○森山委員 先ほど労働省の説明員の方が、十六條一項だけを切り離してはいかぬ、十六條二項との関連において考えてくれろ、こういうお話で、十六條第二項の関連で考えようと思うと、これもまた奇妙な話になります。ただ出しまして、これだけの額は認められるけれども、あとの額は国会の議決を求めると、きわめて漠然としておる。そうして実際は現在の予算の給與総額に盛られておる以上は一文も出ませんから、国会できめてもらいたい、こういうようなやり方をしておるのですが、そうすると、この提案理由の中にある公共企業体労働関係法の趣旨を尊重するというのは、一体どこを尊重しておるのが伺いたい。

久米武文大蔵事務官(日本專売公社監理官)

○久米政府委員 提案理由は大蔵省側で御説明いたしましたから、便宜私が先にお答えいたします。今回問題となつております專売職員の基準賃金についての仲裁裁定について、議決を求める議案を本国会に出しておりますが、その基本精神において、公労法の予定しておるりつぱな運営というものは、われわれ提案者において、ぜひこの公労法の精神に従つてやつて行きたいという基本精神が、まず第一になくてはならないのでありまして、その根本的な心構えをまず宣明したわけであります。

森山欽司国民民主党

○森山委員 公労法の精神を御尊重になられますと、そういう結論が出て来るかどうか。この問題についてはなくなられた末弘先生が、本委員会においてはつきり言つておられるのでありますが、その後委員長もかわられまして、先ほど仲裁委員会の委員長のお話を伺うと、これはもうきわめて素朴な法理解釈に結局は従わなければならぬじやないかというようなお答えをしておるのですが、末弘先生はこの前の委員会では、十六條二項についてはそうじやないのだと私は考えるというお答えをしておりますが、後任のあなたはどういうお考えでありますか。仲裁委員長の御意見を伺います。

今井一男公共企業体仲裁委員会委員長

○今井参考人 どうも従う、従わないという質問の御趣旨がよくわからないのですが、十六條二項に従うか、従わないかというのですか。

森山欽司国民民主党

○森山委員 私の言い方も足りなかつたかもしれないけれども、よく聞いていただきたいと思います。これを国会に出したというのは、こういう出し方ではたしていいのかどうか。これに予算案を付けてちやんと出すのがいいやり方かどうかということです。

今井一男公共企業体仲裁委員会委員長

○今井参考人 公労法のできました趣旨というのは、これは私だけの意見になりますので、仲裁委員会の意見というわけには参らぬかと思いますが、森山委員のお考えと少し食い違つている面があるように思います。それはこの專売、国鉄が公共企業体になりました趣旨は、御承知の通り昭和二十三年七月のマ書簡でございます。このマ書簡がなぜ公共企業体にしたか。それは要するに国鉄と專売というものを団体交渉のある労働組合として、これを存置するというところから出ているのでありますが、この立法精神は、私の理解するところによりますと、二・一スト以来、全官公等が政府に対しまして直接的ないろいろの運動をした。政府相手の団体交渉は、結局発展するところ、政府と予算や税の問題まで団体交渉できめろというようなことになつてしまう。そのためにあの書簡が出た。そして結局人事院というものをこしらえまして、人事院の勧告案として国権の最高機関である国会に出る。一方專売、国鉄につきましては、公共企業体として団体交渉で問題を片づけ、できないところは調停、仲裁によりまして、最後の議決はこれも同じく国会につながる。すなわち政府というものを――変な言葉で、表現はまずいかもしれませんが、この間の傍観者と申しますか、第三者と申しますか、とにかく当事者となることから避けさせようとする。これが結局におきまして、全官公の諸君なりあるいは公共企業体の諸君なりの労働運動を、なるべく政治運動化させないゆえんであるという関係から出たものと私は理解しております。従いまして私の理解に従えば、政府はやはりそのまま国会へ出すということが、正しい考え方だと思います。これだけを認める、認めないというような形は、これは政府が当事者になる立場でありますので、私どもいいと考えられません。しかしながら予算をつけるつけないということは技術的な問題で、私どもは大したウエートはないのではないか、かように理解するものであります。

森山欽司国民民主党

○森山委員 そうするとあなたは、政府は相手にならない方がいい、国会は相手になつていいということでございますか。

今井一男公共企業体仲裁委員会委員長

○今井参考人 さようでございます。私は少くとも内閣打倒の労働運動ということは、全官公二・一スト以来よくあつた問題でありまするが、また事実賃金問題がすぐさまそこにつながるのでありますが、国会を打倒するというような運動はちよつと考えられない。また民主的に選出されたところの最高機関である国会がおきめになつたところは、万民すべて納得するところである、こういつた趣旨で、ただいまのマ書簡は出たもの、かように理解するのであります。

森山欽司国民民主党

○森山委員 日本の憲法はアメリカと異なつて、議院内閣制をとつております。形式上は国会でありましても、議院内閣制という日本の憲法の建前から申しますと、これはあなたの言うような形式的な解釈だけで済むかどうか、お伺いいたしたいと思います。

今井一男公共企業体仲裁委員会委員長

○今井参考人 大分むずかしいお話になつて参りましたが、アメリカといえども形式的な分立はございますが、また民主党、共和党が次々に政権をとつておることは事実でありまして、少くともそれが政党政治による政府というものを発展させて行く行き方と、国会というものとは観念的に分離して考え得る、また考えるべきである。事のよしあしは別にいたしまして、少くともマ書簡なり立法精神なりは、そういつたところから出て来ておるもの、こう私は了解しております。

森山欽司国民民主党

○森山委員 しからば、かりに議院内閣制の実質という面を一応取除きましても、今後專売労働組合が賃金交渉をしようといたしますときには、仲裁委員会というのは、單なる一つの目安を與えるものにすぎない、最後は常に国会を相手に闘わなければならない、常にこれは政治的な色彩をもつて行かなければならないということに、あなたは御解釈になつておるのかどうか伺いたい。

今井一男公共企業体仲裁委員会委員長

○今井参考人 先ほど申し上げましたように、われわれ給與総額という予算総則の一点につきましては、非常に疑問を持つておるということを強く申し上げた次第であります。しかしながらとにかく予算総則というものがあつて、予算上国会に出さなければならぬということになりますと、私の意見は意見としてございましても、少くとも現在の法規の建前といたしまして、結果的には公労法第十六條の意味する予算の意味とそれから予算総則の給與総額の問題が、結局におきまして実際的には同じ効果になる。その結果、あらゆる賃金ベースの改訂が国会へ出されなければならないことになる。こういつたことは非常に公労法の運用上、当初と違つたきわめてまずい結果である。これはもう私は前々から申し上げておる通りであります。

森山欽司国民民主党

○森山委員 労働省の高官に伺いますが、国会を常に相手にしなければ賃金の話の結末はつかない、従つて国会を常に相手にするということは、政治的な色彩なしにはなかなかできにくいものであることは、これは政治的な事実であります。そういう御解釈の結論になつてよろしゆうございますか。

山村新治郎自由党労働政務次官

○山村政府委員 公労法につきましては、御存じの通り最初できました当時に、早々の間にでき上つたために、相当の意見もあるようでございます。従いまして政府といたしましては、今回労働関係法の改正の問題につきまして、先般政令諮問委員会の答申もございましたし、なおまた今回労、使、中立の三者の構成による委員を委嘱いたしまして、十分御検討を願いまして、特にそれらの精神につきましての成果が発表されました結果を見まして、十分善処いたしたいと考えておる次第でございます。従いまして公労法についての御解釈は、いろいろな御解釈があることであり、御意見は十分拝聽いたす次第であります。

森山欽司国民民主党

○森山委員 公企労法についても、何らかの改正等のお考えがあるというふうに今伺いましたが、私が御質疑いたしましたのはそうではなくて、ただ現在の公共企業体労働関係法十六條の政府の解釈の線に沿つて行くならば、賃金の決定は国会を相手にしなければ話がつかない。従つてまたこれは常に政治的色彩を持つて来る。これは悪い結果だけれども、そうなるのだということを労働省としてはお認めになられますかと聞いておるのです。だからイエスかノーか、これは私は決して無理じやないと思う。ただ論理をつき詰めるところ、そうなりませんかということを伺つておる。

山村新治郎自由党労働政務次官

○山村政府委員 国会におきましての御決定をまちまして、政府といたしましては善処する以外に考えはございません。

森山欽司国民民主党

○森山委員 もうこれ以上お聞きいたしません。追つて労働大臣等がおいでになりましたときに、またあらためて御質問いたします。  なおこの問題に関係いたしまして、この裁定の全般に対して、公社は一体どういうお考えでありますか、総裁から……。

秋山孝之輔日本專売公社総裁

○秋山説明員 私ども従来から組合と団体交渉をやつて来ましたが、公社の考えるところは裁定よりさらに若干安いのであります。しかしながら私はこの公労法規の精神から申して、金額の少々高いとか低いとかいうことをば度外現して、この法律を尊重して拡充すべきものである、こういう考えでございます。

森山欽司国民民主党

○森山委員 この問題を国会で承認するか承認しないかは、これからのことでございまして、われわれは與、野党の立場を離れて、この問題の解決に努力をいたさなければならぬと思います。この問題がかりに不承認になつたとすれば、不承認の部分はどうなるか伺いたい。

久米武文大蔵事務官(日本專売公社監理官)

○久米政府委員 予算上、資金上不可能のものとして、政府を拘束しないという効果が確定するのであります。

森山欽司国民民主党

○森山委員 私はまだよくはつきり記憶しておりませんが、国鉄裁定のときは、裁判所に訴えて出たようでしたが、あれはどうなつておりますか、前例を伺いたい。

松崎芳労働事務官(労政局労働法規課長)

○松崎説明員 今の御質問の点は、公労法解釈として非常に問題のある点であります。従来の政府の解釈といたしましては、国会の承認、不承認という行為によりまして、この問題はけりになるというふうに考えております。

森山欽司国民民主党

○森山委員 問題は、裁判所によつてもう一度確認していただきたいということでありますから、私はこれは一応これでやめます。ただこれは仮定でございますが、もし国会が不承認の場合に、どういうような結果が起きて来るか、ひとつ伺いたいと思うのでございます。労働組合としては、この不承認の事態がかりに生じたとするならば、どういうようなことをあなた方は考えておられるか、労働組合の委員長に伺いたい。

平林剛全專売労働組合中央執行委員長

○平林参考人 私は今度の国会で、不承認を與えるようなことがないと確信をいたしております。それは自由党の幹部の方々にも、裁定は尊重すべきであるという御意見が多数ございます。私は国会が公労法を正しく解釈して、必ず裁定について承認を與えて行かれるものだと考えております。これは今御質問がありました公労法第十六條の第二項についても、公労法の精神から行くと、私はやはりここに書いてあるように、予算上不可能な協定をした場合、あるいは予算上不可能な裁定をした場合には、その裁定の承認を求めるというのが、第十六條の第二項に書いてあることだと思うのです。ですから、政府は重大な関係者として、裁定そのものの承認を求めよというのが、私は第十六條の第二項の解釈であると解する。そういう行為をおやりになる。そういう慣例を残すことが、公労法をスムーズに進めるものだと考えておる。私はそういう確信のもとから、国会においては決して不承認を與えるということはあり得ないことだ。少くとも自由党の諸先生方が、この裁定はぜひ尊重すべきであるという確信を持つているものであるから、私は衆議院の労働委員会においても、満場一致かかる決定があるものと確信をいたしております。

森山欽司国民民主党

○森山委員 私はあなたと同じような結論が出ることを望んでおります。また本労働委員会一般の空気といたしましては、きわめて裁定に対して好意的であるということも事実でありましよう。しかし私は念のために伺つておきたい。仮定ではありますが、現在の政府原案、あるいは後に修正さるべき原案でもつて、他の部分は不承認ということになつた場合、労働組合はどういういうことを考えておられるか、承りたい。一つの仮定の議論であります。

平林剛全專売労働組合中央執行委員長

○平林参考人 先ほど政府の方から意見が述べられまして、かりに国会で不承認ということがありました仮定のことについてお答えがありました。これはこの国会でけりがつくというお答えのようでありましたが、私はまだこれについては相当公労法上において、法律上の解釈に異議があると思います。これはなお法律上の解釈について争うべき大きな余地を残しておる。かように考えております。でありますから、国会が不承認というようなことは、常識から見て考えられないのでありますが、さようなことがあつた場合におきましても、なおこれでけりがついてしまうかどうかということは、次の課題として、われわれは功労法の正しい解釈によつて解決して行くべき義務があるように考えております。

森山欽司国民民主党

○森山委員 労働組合の委員長さんは、仮定の問題に対してはお答えにならないようでありまして、どこやらの内閣の総理大臣とよく似ております。そこで私はあなたにこれ以上追究しませんが、ただ現実に、国会の附近において、断食に入つてすでに百時間に近い時間やろうとしております。それからまたそればかりでなく、伺うところによれば、超過勤務の拒否、休日出動の振りかえ拒否というような問題について、相当動きがあるように、私は情勢を判断いたしておるのでありますが、それでは公社側に伺いたいのですが、国会が不承認の議決をした場合、どういう事態が予測されるかということをお伺いいたしたいと思います。

秋山孝之輔日本專売公社総裁

○秋山説明員 私は仮定の問題について申し上げることを好まないのでありますけれども、およそ仕事というものは、やはり気合いというようなものがあるのでありまして、不満の間に仕事をするということについては、はたして私どもの予定しておるような仕事の成果が現われるかどうかということについては、若干の不安を持つておりますけれども、私ども極力善処して組合と融和をはかり、成績を上げたいと思いますが、その成果の将来については、確言は申し上げられません。     〔島田委員長代理退席、委員長着席〕

森山欽司国民民主党

○森山委員 公社、労働組合ともきわめて穏健でございます。しかし現在公労法に認められております範囲内における、これに対する対抗策を講じた場合、私どもの推測によるばかりでなく、現に全專売労働組合が配つておりますいろいろなパンフレツトや情報等を見ますと、これは年度末までに数十億の穴が明くというような事態が生ずる。おそらく全專売労働組合は、合法のわくは一歩も出ないでありましよう。しかもなお国家財政の上において、大きな影響を與えると私は思います。そればかりでなく、今炭鉱問題等も起つておりますが、労働問題等について私どもは年末から来年にかけて相当多事であろうと思う。いろいろな点から考えてみて、今後起るべき事態に対して、労働省としては責任を負うことができるかどうか。これも一つの仮定でございますが……。

山村新治郎自由党労働政務次官

○山村政府委員 労働省といたしましては、この裁定の結果は尊重しておるものでございますが、国会がいかように御決定になりますか、国会の御決定になつた結果は、最高の決議機関でございますので、おそらくその精神を尊重して参られることと存じます。同時にまた、仮定の上につきましての答弁は、ちよつといたしかねる次第でございます。

森山欽司国民民主党

○森山委員 現段階においては、これ以上あまりお聞きしない方がよいと思いますから、このくらいにとめておきたいと思います。  それでは、かりにこの国会でもつてこれをのむような議決が両院においてなされた場合、それは次の予算に対してはどういう関連を持つことができるか。法律上これは政府に責任がありやということを伺いたい。

久米武文大蔵事務官(日本專売公社監理官)

○久米政府委員 ただいまの御質問に対してお答えするのは、あるいは主計局長の方が適任ではないかと思うのでありますけれども、一応これも先ほど申しましたような意味で代弁いたしますが、本国会におきまして議案となつております件を承認いたしたといたしますれば、予算を編成する大蔵当局としても、それに即応する必要な予算上の措置を講ずる道義的義務があると考えます。代弁でございますから、もし御不満でありますならば、これは主計局長からお答えいたします。

森山欽司国民民主党

○森山委員 それは前の国鉄裁定の際にも、池田大蔵大臣は、法律上の責任はない、政治上の責任はあるかもしれないという程度の答弁がございました。そうすると、公労法というのは一体どういうことになるのか。最初協定はしたけれども、協定がまとまらない。調停をやつて、調停がだめだ。仲裁裁定に持つて来る。仲裁裁定に持つて来ても、受諾できない。国会に持つて来る。国会で承認の議決をしても、政府がこれをやるか、やらないかは自由だというのでは、一体公労法というものは生きているのか、死んでいるのか。これはどうなります。公労法の趣旨を尊重してとおつしやるけれども、尊重したことになりますか。これは法律上の問題ですから、やはり国会がよいと言つた場合には、法律上やらなければならないという義務を負うというふうに解釈をしなければ、全然無意味になると思う。いかがです。

久米武文大蔵事務官(日本專売公社監理官)

○久米政府委員 先ほどお断りした通り、十分責任のある答弁は主計局長からいたしたいと思いますが、従来われわれが政府委員としてお答えしておりますことは、これは道義的な責任が大蔵当局にありまして、従つて道義的な責任を感じて必要な措置をとるということは、期待されて大体間違いないだろうと思います。

山村新治郎自由党労働政務次官

○山村政府委員 承認された場合におきましては、おそらく政府としてはそれに対する予算上の措置をしなければならないと考えます。

森山欽司国民民主党

○森山委員 あなたのおつしやる気持はよくわかるのですが、少くともこれは法律の解釈でございますから、従つて法律上の責任を伴うかどうかということをはつきり明言していただきたい。そうでないと、ここでいくら議決したところで、政府は政治上の責任しか問われないというのでは、いくらやつてもしようがない。

山村新治郎自由党労働政務次官

○山村政府委員 ただいまお答えいたしました通り、政府といたしましては、国会の意思を十分尊重いたしまして、善処いたすことを約束いたします。

森山欽司国民民主党

○森山委員 山村さん、まことにお気の毒でございますが、公共企業体労働関係法の法の趣旨から申しまするならば、これは法律上政府が責任を持たなければならないような解釈をしなければ、この法律は死んでしまいますよ。あなたはそうお考えになるか、ならないか。ひとつ法の解釈として私は伺いたいのです。

山村新治郎自由党労働政務次官

○山村政府委員 たびたびお答えいたしました通りでございます。

森山欽司国民民主党

○森山委員 私はまだ質疑をいたしたい事項がたくさんございますけれども、他に御質疑なさる方々がたくさんございますので、私の質疑はひとまずこれで終りたいと思います。ただ前の国鉄裁定の際には、経済三原則とか、賃金三原則とかいう問題が、大きくクローズ・アツプされておりました。さらにまた関係方面の力というものも非常に強かつたのです。今日においては、少くともスローガンとしての経済三原則、賃金三原則というようなことは、問題になつておりません。また関係方面のプレツシヤーというものも、これは大分違つております。現に私も接触いたしまして、違つた印象を受けておるのであります。従つてこの裁定を取扱うまわりの状態が、前の国鉄裁定の際と今回の裁定の場合とはうんと違うのです。これはごく安直にのめるべき問題であるのにかかわず、なかなかのめないのは、まことに私は残念でございます。どうかひとつこの際政府はもとより、本委員会におきまして、委員長においても、先般私が予算総会において大蔵大臣に申し上げましたような、高度の政治性を発揮されまして、できるだけ早い時期にひとつこの問題の御処理をお願いいたしたいと思います。それは一つは公共企業体労働関係法の精神が、この裁定をしましてから十日以内に、これを国会に付議するということをきめてあることをもつていたしましても、この解決をすみやかにやらなければならないというのが、この法の趣旨であります。のみならず、現在の本裁定に対するところの公並びに組合の現状を見ますときに、一層すみやかなる解決を私は要望せられておると思うのでございます。本日私は言い盡さない点がたくさんございますけれども、問題の推移いかんによつては、さらに再質問しなければならない事項がたくさんあることをこの際申し上げまして、ひとまず私の質疑を打切りたいと存じます。

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 この際委員長から政府側に希望いたしますが、公共企業体労働関係法に対する解釈論というものは一定しておるはずでありまして、ただいま森山委員からお尋ねになりました事柄についての答弁を承つておりますと、明確を欠くような印象を與えられるのでありますが、次回の委員会までに政府の所信もをう少し明確に説明されるように、委員長から特に希望をいたします。  本件に対する質疑は本日はこの程度にとどめまして、次回の委員会に本件の質疑を続行いたしたいと存じますので、本日御出席の参考人各位の御出席を再びお願いいたしたいと存じますから、御足労ながら次回の委員会にも御出席をお願いたしたいのでございます。右御了承をお願いいたします。     ―――――――――――――

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 なおこの際お諮りいたしますが、ただいま内閣委員会において行政機関職員定員法の一部を改正する法律案を審査いたしております。本法案は当労働委員会の所管事項と重大なる関連性があると思われますので、この際内閣委員会に連合審査会の開会を申し入れたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 御異議がなければさように決定いたします。  なお諸般の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますから、御了承を願います。  本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後零時五十五分散会

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