法務委員会 第19号
- 発言数
- 102 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1951/11/30
会議録
○押谷委員長代理 これより会議を開きます。 法務行政に関する件、法制に関する件の両件について調査を進めます。発言の通告がありますからこれを許します。猪俣浩三君。
○猪俣委員 今国会の当初から問題になつておりました団体等規正法案の件につきまして、一言なおお尋ねしたいと思います。 法務総裁の構想なるものがたびたび新聞に発表せられまして、そのたびに内容がかわつて来ておるのであります。これは私ども決して非難するのではありませんで、世論を徴するためにこういう構想を御発表になり、それに君していろいろな各層から意見が出る、それをまた参酌されて原案を練り直されるという方法は、これは私はけつこうなことだと思うのであります。そういう方法をおとりになつて、この重大な法案を民論に耳を傾けられるいう態度は私賛成ですが、ただこの問題は、労働組合その他は実に重大な問題といたしまして、関心を持つておりますがゆえに、なお私は法務総裁の構想を承らなければならぬと思うのでありますが、第一にこの団体等規正法またはゼネスト禁止法、なお伝えるところによりますれば、各自治体で施行せられておりまする公安條例を一本の法律にまとめて出すという構想もあるやに伝えられておりますので、そこでかような法案を来るべき通常国会に提出される意思があるのかないのか、まずそれを承りたいと存ずるのであります。
○大橋国務大臣 団体等規正法案につきましては、これは現在の団体等規正令の効力を講和後におきましては失効せしめたい。そのかわりとしてある程度の行政措置を考えたい、かように考えておりますので、通常国会にぜひとも提案をいたしたいと考えております。 それからその次のゼネスト禁止法でございますが、この法案に対しまして一般の反響を見ますと、ゼネストに名をかりて正当な罷業までも制限されるおそれはないかという点につきまして、労働組合の諸君が非常に御心配のようでありますが、もともと私どもの考えといたしましては、共産党の戦術としてとられますところのゼネスト、すなわち一種の暴力革命の手段として起るであろうところのゼネストを禁止することは当然のことであると考えまして、そういう趣旨で研究を続けておるわけでありますが、しかし規定の内容によりましては、これが一般の罷業にまで制限が及ぶというようなおそれもありますから、この点を極力避けなければならぬと考えておるわけでございます。この案がまとまりますれば、通常国会に提案をいたしたいと思つております。 それから第三の集会デモ等に対する禁止でございまするが、これは現在自治体の條例といたしまして、非常に嚴重な禁止がせられておる。ほとんど原則的には禁止をいたし、そして必要な、ごく制限せられたものだけを許可をいたすというような、一般的禁止を前提とした許可主義を採用いたしておりまするが、これは憲法の集会の自由等の趣旨から見まして、大いに行き過ぎではなかろうかと考えておるのでございまして、この点を是正するために中央において法律をもつて妥当なものを考えたい、こういうふうに思つて研究をいたしておる次第であります。ただこれにつきましても、一部においては、すでに自治体において自治権の作用として制限をいたしておりますものを中央の法律によつて制限する、すなわち地方の権限を中央に移すというような結果になるとすれば、その点は自治権の制限に当るのではないか、そのことがはたして適当なりやいなやというふうな御批判があるわけでございまして、この点についてなお愼重に考究をいたしたいと考えております。これはできれば出したいと考えておりますが、しかしながら現在すでに私どもから見ますと不当な行き過ぎと存じますが、とにかく一応公安條例という恒久的な自治体の制限があるわけでございまして、講和條約によつて当然これらの條例が効力を失うものではございません。当然講和後においても恒久的な制度として残るわけでございますから、この方は研究の成果によりましては、必ずしも通常国会にどうしても間に合せなければならぬというほど差追つた問題ではないと思つております。しかし現在の制限の行き過ぎをなるべく早く是正するということが、やはり必要だと考えておりますので、そういり趣旨で審議を進めておるような状況であります。
○猪俣委員 そういたしますると、団体等規正法及びゼネスト禁止法は通常国会に出したいと思うという御答弁でありますが、これはもうすでにこの案の内容が閣議において確定されておるものであるかどうか、その点について承りたいと思います。
○大橋国務大臣 いずれもまだ閣議に提出するまでに至つておりません。
○猪俣委員 そういたしますと、通常国会に提案されるとするならば、通常国会も五箇月にわたつて開かれるわけでありますが、この通常国会の当初にお出しなさる御予定でありますか、そり辺を承りたいと思います。
○大橋国務大臣 団体等規正法案につきましては、ある程度目鼻がつきかかりておりますので、なるべく一月中くらいには提案をいたしたいと考えております。しかしゼネストの禁止法につきましては、まだいつごろになるという見当をつける段階に至つておりません。
○猪俣委員 ゼネスト禁止法案の点につきましては、まだ詳細なる総裁の発表もないようでありまして、私どもまだ批評の段階になつておらないと思いますけれども、ただいま御説明になられた共産党の暴力革命に装うたゼネストのごときを禁止する目的をもつて提案したいというような御議論に承つたのでありますが、これは私どもは実はふに落ちないのであります。御承知の通り、日本の現行刑法におきましては、こういうものに対しましては、いろいろの刑罰規定があるのでありまして、十二分にそれを発動することによつて取締りができるはずであります。なおゼネスト禁止法というような單行法を出すごとによりまして、これを禁止する、あるいはこれを処罰する法規をつくるというようなことは、どうあつても私どもはふに落ちかねる。これはおそらく刑法の朝憲紊乱、あるいは騒擾、そういうような犯罪に当てはまらぬようなものを取締ろうというのではないか。そういうことになつて来ると、結局一般の労働組合が、労働組合法によつて、いな、なお憲法によつて保障いたされておりまするストライキに対する一般的な禁圧的な法案となるんじやないか。あるいは上層部におきましては、さような憲法の趣旨に反する立案じやないと申しましても、これが一旦法律となつて施行せられるに至りましては、必ずやこれがいわゆるストライキ禁止の方向に向つて行く。これは労働組合にとりましてはゆゆしき大問題と相なるのでありまして、御承知の通り、総評を初め他の労働組合は、ほとんど神経質と思われるくらいごの法案の提案のいかんについては関心を持つておるのであります。そこで現行刑法において、共産党がかりに暴力革命を企図いたし、それを実行するように相なつた際に、一体これを弾圧することのできる法律がないという御見解であるかどうか、予備陰謀罪も処罰できる現行刑法をもつてして、なお取締りができないというような点が一体あると法務総裁はお考えになつておるかどうか、それを承りたいと思います。
○大橋国務大臣 この点はむしろ法律にお詳しい猪俣委員の方が、私よりかよく御存じだろうと思うのでございます。たとえば内乱罪であるとか、あるいは騒擾罪であるとか、こういうようなものは集団的な暴力的な事態がなければ、そういう犯罪は成立しないわけであります。ストライキということは、幾らはげしくなりましても、ストライキというものは一つのストライキであつて、憲法の許した自由であります。それがいかにひどくなつても犯罪になるというような性質のものではないと思つております。ただそれが権利の濫用としてなされる場合において制限するというのが、この法案の趣旨だと考えます。
○猪俣委員 問うに落ちず語るに落ちるであります。でありまするから、結局ストライキの強圧ということにねらいがあるんじやないか、ストライキが一体濫用されたかどうか、さようなことを行政官がかつてに認定して、そうしてこれを弾圧する、そういう一つのうしろだてとしてこの法律が出るというところに危険性があるというのであります。ほんとうの暴力革命それ自体を鎮圧するというならば、今の刑法の規定をもつて決して不足じやない。予備陰謀までも処罰できる。しかるにかような特別法をつくることにおきましては、それ以外の何らかのものを目標にするということが明日であり、今法務総裁の答弁から見ましても、ストライキは認めるが、そのストライキの濫用を防がなければならぬという、つまり刑法の内乱罪なりあるいは騒擾罪に当てはまらぬようなストライキの濫用を取締らなければならぬという、そこに実に私は危険性があると思うのであります。濫用とは何ぞや、これははなはだこういうあいまいな態度でもつて、いわゆるゼネスト禁止法というようなものが出まするならば、必ずやこれが労働組合の運動を制圧することに相なる。かような点におきまして、労働組合が非常に神経過敏に心配するのも道理があると思うのであります。まだ法案の構想が明らかになつておりませんから、私ども具体的に今議論ができないのでありますが、むやみに刑法の條項を離れましたる単独立法をいたしまして、そうして結局において憲法の保障しました基本的人権を阻害するような行動に出る。これが私どもがだんだん社会が反動的になつて行くということにつきまして心配をするゆえんなのであります。こういう立案をされる際には、一体何がゆえに刑法の規定によつて処罰できないのか、その点につきましてよく御考慮を願いたいと思う。それで処罰できるものをかような法案を出すことは、一般の労働組合に與えまする影響というものは甚大でありまして、ことさらに政府が労働組合に挑戦し、この困難なる日本の経済の撹乱を政府自身がやるような結果に相なることは、政府も庶幾せざることだと思うのでありますが、政府がかような法案を出されるにつきましては、その点をきわめて愼重に御考慮を願いたい。いたずらなる刺激的な立法をすることによりまして、何のプラスするところもありません。いずれ構想が出ますならば、なお詳しくお尋ねしたいと思うのでありますけれども、これは運用のいかんによりましては、日本の憲法の基本的人権というものはこつぱみじんになるおそれがあるのであります。この点につきまして、私どもは民主主義の立場からも、非常な関心が持たれるのであります。 なお団体等規正法につきましては、先般来質疑を重ねて参りましたが、先ほど申しましたように、相当政府の原案と申しますか、法務府の原案というものが変遷をして来ているのでありますが、来国会と申しましても、もう十日に召集されるのであります。その劈頭に提案をされるという今の答弁から考えますならば、閣議を経ておらぬといたしましても、法務府の原案なるものはほとんど確定しておると思われるのであります。 そこで一体どういうふうな構想に相なつておるのでありまするか。法務府の最終案につきましての、内容についてお漏らしいただきたいと思うのであります。
○大橋国務大臣 法務府の最終案はまだ確定いたしておりません。先ほども私が一月中に提案するようにいたしたい、こう申したのであります。召集劈頭にはちよつと提案は困難だと思います。まだ法務府案というものを確定する段階に至つておりません。
○猪俣委員 本日の新聞の伝うるところによれば、法務府の原案が政令諮問委員会において検討されて、ある程度原案が修正されてきまつたように報告されておるのでありますが、今まであなたが発表されたものと、この政令諮問委員会の諮問の結果きまつたものとは、どういうように違つたのでありますか。この新聞の報道通り承つてよろしゆうございますか。公の御発言を願いたいと思います。
○大橋国務大臣 昨日政令諮問委員会が開かれましたので、その際団体等規正法案につきましても、いろいろ委員諸君の御意見の開陳を願つたのであります。その結果改正案というようなものができたというわけではございませんので、三、四点につきましてなお再考すべき余地ありと認めて、再考をいたしておるという次第でございます。 その再考すべき点といたしましては、就職制限というものの範囲を、今までは一般私企業にまで及ぼすことにいたしてはどうかというふうに考えていたのでありますが、私企業あるいは労働団体の役員等についての就職制限ということは、なお研究の余地がありはしないかということであります。次に新聞社、出版社等が、特定の候補者を選挙において推薦したり、あるいはある政党の政策を批判したりする、こうした関係で、これが政治活動と見られ、政治団体として団体等規正法の適用を受けるのではないかという心配があるという意見がありました。 〔押谷委員長代理退席、田嶋(好) 委員長代理着席〕 私どもは、もともと新聞社、出版社等のその行動というものは、またその主張というものは、常に新聞なり雑誌なりに明らかにされておつて、それですでに公開されておるわけでありますから、それ以上に、これを出版する、あるいは発行する出版社、新聞社等に灯して、これを政治団体とみなして団体等親正法を適用するということは、全然考えておらなかつたのでありますか、その点について一部疑問があるようでありますので、これはそういうものの適用のないということを、明らかにすることがよくはなかろうかという点でございます。第三は、機関紙の発刊停止の際に印刷機械の封印をするという趣旨の規定がございますが、これはこのごろの実際から見まして、あまり必要はないのじやないか、これは削除してはどうか。それから第十六條におきまして、不法活動のおそれがある団体に対して、ある行政処分による活動制限を規定いたしておりまするが、不法活動といいうものの範囲が相当広く規定されておる。またそのおそれがあるということになりますると、これは非常に広汎に過ぎるではないかという意見がございまして、第十條は削除するがよろしくはないかという点であります。それから最後に、不法活動の事実認定につきましての委員会の事実認定が、裁判所を拘束するという趣旨の規定——これは七十五條にそういう趣旨の規定があつたのでありますが、これは裁判所の性質から考えて適当でないので修正をいたしてはどうかという点。以上の点につきまして、委員のお述べになりまする御注意はまことにごもつともだと存じまして、再考をいたしておるところでございます。
○猪俣委員 そうすると、昨日の政令諮問委員会におきまして、委員の指摘せられましたる点については、大体において法務府は了承して、さような修正を行うという意思であるというふうに承つてよろしゆうございますか。
○大橋国務大臣 さような線に沿うて進めております。
○猪俣委員 そこでこれは原案ができてからの問題になりますけれども、この団体等規正法案なるものに構想せられます委員会の委員の任命、構成というようなものは、どういうふうな構想に相なつておりますか、承りたい。
○大橋国務大臣 委員は三名ないし五名くらいでよろしくはないかと思います。任命につきましては、できるだけ国会の御承認を受けて任命するような手続をとつたらよろしくはないかと思います。
○猪俣委員 この団体等規正法の委員会というものは、相当重要な委員会と相なると思いますが、こういう法案ができることによりまして、非常な関係があり、また関心を持つておりまする正式な労働組合あたりの代表者をこの委員に入れるような構想があるのかないのか承りたいと思います。
○大橋国務大臣 具体的な人についてはまだ構想をいたしておりません。
○猪俣委員 この問題につきましては、また私ども原案が確定いたしましてから研究したいと思うのでありますが、法務総裁の御意見では一体原案なるものはいつごろ確定せられて、これが公表せられるのはいつごろに相なるか。お見通しを聞かせていただきたいと思います。
○大橋国務大臣 できるだけ年内には確定案を得るようにいたしたいと思いますが、公表等につきましては、閣議決定等の都合もありまするので、いつということは申し上げかねると思います。
○猪俣委員 次に法務総裁に、今度は具体的な問題でありまして、これは法務総裁に質問するのは適当でないかも存じませんが、刑政長官がお見えになつておらないようでありますので、法務総裁のお耳に入れておいて、善処をお願いしたいと思う問題は、足利市におきまする自治体警察の乱脈でありまして、この点につきましては、足利市に民主的な足利市政刷新連盟というものができまして、ほとんど超党派的にこの連盟が今活動を始めたのであります。これは足利の自治体警察がボスの巣窟に相なりまして、幾多の贈収賄問題も起している。人権蹂躙問題も起している。それにつきまして、この市政刷新連盟から検察庁に対しまして正式な告発が行われておりまするけれども、どういう事情でありまするか、検察庁は優柔不断でありまして、この刷新に乗り出さぬ。今官庁の官吏の腐敗ということが相当の問題に相なつておりまするが、綱紀粛正の最も中心でありまする警察及び検察庁が、それに対しまして断固たる態度にでないということが、ますます腐敗しだものを暴露せしめるゆえんでありまして、はなはだわれわれ遺憾に存ずるのであります。足利市におきまする足利警察署長以下署員に対する告発の問題につきまして、法務府といたしましては検事総長に適当な指示をいたしまして、この腐敗を刷新するよう御努力願いたいと思うのであります。なおこれは今手元に当法務委員会へ請願書が出ておりまするので、いずれ参考として法務府にも一通差上げたいと存じまするが、ここに幾多の事例が具体的に提示せられている。なお警察がはなはだルーズであつて、住民の生命、身体さえ保護することができないような状態であり検察庁も事を耳にしながらほとんど活動しておらぬという事例の一つといたしまして、本年の四月に足利郡の三重村というところの十七才になる女の子が渡良瀬川でもつて溺死体となつて現われている。これは前後の事情から見まして、他殺であることは、もうしろうと目にも明らかであります。この子が友達と一緒に映画見物に行つている最中、何者かに呼び出されてそのまま行方不明になつたという事件でありまして、しかも呼び出した人間がみずから強姦したことまでも自白しているにかかわらず、警察は簡單に警察医に診断をさせて、自殺と判定してほつたらかしてしまつている。警察以外の医者が見て、これはどうも自殺と言つてはおかしいという判定を下しているにかかわらず、何ら捜査もせない。検察庁もまたこれを訴えてもほつたらかしている。かような殺人事件という重大な事件であります。一応そういううわさがあるならば、警察は徹底的に捜査しなければならぬはずである。しかるに両親が、どうしても自殺する道理がない、その娘がその晩子供たちに、妹や弟たちにわけてやるためのみやげものまでも買つている事実があり、自殺なんということがあり得べからざる状態であります。そうして有力なる容疑者が出て来ている。それにかかわらずほつたらかしている。そうしてこの警察医の谷なる人物が、これがやはりこの警察のボスの一人でありまして、ぐでんぐでんに醉つぱらつてこの女の子の上半身だけをちよつと見て、ああこれは自殺だ、こう言つて帰つてしまつたというのが真相であります。かような状態でありまして、私ども人命保護の立場から見ましても、この警察署及び検察庁の態度というものは不可解な点があると思います。法務府におかれましては十二分なる調査をしていただきたい。これは当法務委員会におきましてお願いいたしまして、調査してもらいたいと思つているのでありますが、これは今ここで法務総裁の具体的な答弁をお願いするわけに参らぬと思いまするが、こういう事件に対して、法務府としては一体どういう御意思でもつて下部機関を指導監督なされる意思であるか、それを承りたいと存ずるのであります。
○大橋国務大臣 ただいま御指摘の事件の、足利警察署の公務員に対する告訴は検察庁において受理をいたしております。なおこれに対しましては、足利市の公安委員長から告訴人に対し名誉毀損の反対告訴も受理いたしております。これにつきましてはただいま検察庁足利支部の赤木主任検事が鋭意捜査に当つております。それから水死死体の点につきましては、告発によりまして事件を受理いたしたもので、それまで警察からは検察庁に対しては連絡を得ておらないのでありますが、この件も合せまして赤木主任検事がただいま捜査中でございます。当局といたしましては、公正敏速な処理をいたしておる次第でございます。
○猪俣委員 今私が具体的に申し上げました自殺か他殺かの問題の、ごときは、本年の四月の問題であつて、これにつきましては、警察署にも、検察庁にも、自殺じやない、他殺であるから調べてくれろということを関係者がみな言つているはずであります。しかるにそのまま全然捜査をしない。今月の二十五日になりまして、地元の下野新聞その他の新聞にこの告発状の記事が出ると、今になつて赤木検事はこの川の付近を歩いているそうでありますが、さようなことで一体こういう犯罪が検挙できるかどうか。怠慢もはなはだしいと思うのであります。非常に事件が多くて人数が足りないという点も認めなければなりませんが、人名保護ということに対してどれだけ神経をとがらせておるか。つまらぬことには徹底的に神経をとがらせるくせに、こういうことに対しては、半年以上もたつてから河原のあたりをぶらぶらしているなんと、いうことは私ははなはだ神経が遅鈍だと思うのであります。かようなことは、具体的に現われましたほんのつまらぬことでありますが、検察庁の下部機関が弛緩しておると思う。特に人命問題なんということに対しまして、その勘が鈍いと思うのであります。新聞に出るとそこらを歩いて歩くというようなことでは、犯罪捜査にならぬ。足利の警察署が、ボス及び野師の仲間と一体となつて、たくさんの醜怪なる事件を起しておることは、検察庁は耳にたこの出るほど知つておるはずであります。本年の春から夏にかけまして、この市政刷新連盟の人たちが街頭演説をやりますと、三千人ないし五千人の市民が集まつて、どうしてもこのボスと警察を退治してくれろということを一齊に祈願しておるのです。こういう情勢を検察庁が早く解決しないならば、それは無能であります。かようなもとにこういう事件が起つておるのでありますが、一体どこへわれわれは訴えたらいいのであるか、と言つて足利の市民は嘆いておる。私は、やはり法務府がこういうことに対しまして毅然たる態度をもつて、下部組織を緊張せしめて刷新に乗り出していただきたいと思うのであります。とにかくこのふしだらな警察の弛緩しておる状態がこういう殺人事件の捜査にまで影響を及ぼしまして、世人の嘲笑と軽侮と、今度はおのれらの生命、身体の保護にまで不安を感ずるというような状態を呈しておる。これに対しまして徹底的に法務府は調査し、その責任を明らかにしていただきたいと要望するものであります。なお足利市の自治体警察の幾多の贈收賄事件のごときは請願書に詳しく書いてありますので、これをお手元に差上げておきますから、検事を督励して御調査願いたいと思います。この問題につきましてはこれで打切ります。 次に今月の十八日に、都下北多摩郡の横田飛行場の付近にB二九が一機墜落し……。
○田嶋(好)委員長代理 御発言中ですが、猪俣委員にお諮りいたします。実はお打合せもあつたと思いますが、きようは国会の最終日でして、法務総裁は参議院の方がどうしてもひけないという状況になつておりますから、ほかの方々からも法務総裁に対する発言が大分出ているようでありますが、時間もありませんので、もし法務総裁以外で御質問がお済みになるようでしたら、ほかの委員の法務総裁に対する御質問をお許しくださつたらどうかと思いますが……。
○猪俣委員 それでは私、これで…。
○田嶋(好)委員長代理 古島委員。
○古島委員 私は、猪俣委員の御質問に関連いたしまして、猪俣君より初め法案について質問があつたのでありますが、その点で一言御質問申し上げたいと思うのであります。 法務総裁は、団体等規正法もしくはストライキ禁止の法案を次の通常国会に出すというお話でありましたが、各地方自治体が持つておる公安條例にかわるような法案を出すということについては御言明がないようですが、その点はいかがでありますか。
○大橋国務大臣 実は集会デモの取締りにつきましては、現在仰せのごとく、自治体におきましては條例が設けられております。この内容が多少行き過ぎではないか。その結果憲法の保障いたしておりまする集合の自由を制限し過ぎていはしないかと思われるものがございまするので、これらはできるだけ早い機会に是正をいたしたい。その方法といたしましては、法律においてこれらのことを公権的に規定をいたすことが捷径ではなかろうかと存じておりまして、ただいま準備を進めつつあるのであります。ただ一つ問題がございまして、せつかく自治体において自治権の作用として條例をもつて取締りをいたしておりますものを国の法律にするということは、そういう点において自治権を制限することになりはしないか、この点ははたしてどうかというような意向もありますので、その点を目下研究いたしておるわけであります。むろんできるだけ、さような行き過ぎな條例というものを是正しますのは早い方がよろしいとは存じますが、しかし取締りの立場から申しますると、行き過ぎにいたしましても何にいたしましても、とにかく一応あるものでございますから、これの改正というような実質的な意味合いを持つておりますものですからして、全然なくなるものはこれは急いで講和後も引続き何らかの措置をしなければならない、こういう点でゼネストの法案並びに団体等規正法案はできるだけ急ぎたいと思つておりますが、それほどは急いでいないという程度でございます。むろんできれば通常国会中に提案をいたしたいと思います。しかしただいままだそのことを御約束できる程度までには至つておらないという状況であります。
○古島委員 公安條例は、私が申し上げるまでもなく東京都が先にこしらえまして、ほかの都市及び県ではたいがい東京都の公安條例廃止の署名運動が近来盛んに行われており、今ではもう十数万人の署名ができたということです。こういうことで、一方には廃止運動が起り、一方京都のごときはこれは憲法違反だという判例まで出すという。こうなりますと、裁判所の方では公安條例は憲法違反だという判決をいたし、また民衆の方ではこれの廃止の署名運動をとるということになれば、結局廃止にならなければ憲法違反だと言われ、憲法違反ということになれば、廃止せぬでも、これは法律の効力を失うということになるから、かえつて今法務総裁が御心配なさつておるようなことでなく、各府県が持つている公安條例にかわるべきものをこしらえて、一本で取締るということの方がよいように思うのです。そこで今の廃止の署名運動については、いかなる対策を持つておりますか。また憲法違反だといつて判決するような、その判決に対しては検察庁ではどういうふうな控訴をして争うだけの覚悟を持つておるか、その点を承つておきたい。
○大橋国務大臣 署名運動につきましては、法務府といたしましては関係をいたしておりません。それから京都地方裁判所において、京都市公安條例は憲法違反であるという判決をいたしております炉、これに対しましては検察当局は不服として控訴をいたしております。
○梨木委員 団体等親正法の構想をお漏らしになりましたのですが、団体等規正令が廃止され、また追放に関するポツダム政令、これらも廃止されることになりまして、その後におきまして、今度政府が構想されておる団体等規正法では、公選による公務員の就職は制限しないという構想であるようでありますが、現在追放されておる人々も追放が解除されなくても公選による公務員につくことができるということになれば、立候補もできると解釈してよろしいかどうか、その点について伺いたいと思います。
○大橋国務大臣 現在追放処分になつておりまする人たちの処置につきましては、まだ考え方がきまつておりません。
○梨木委員 しかしながらこの点はこういうことになるのではありませんか。追放されておる者について、特別これを存続させるという法律をつくらない限りは、あとの団体等親正法の関係で就職制限が非常に縮小されて来るということになりますから、この点についての立候補の問題は、当然法律的にはできるような形にもなりそうなのでありますが、そういうことになるのではありませんか。
○大橋国務大臣 公職追放令並びに現在の団体等規正令による追放の効果につきましては、なお別途にこれを研究いたしたいと考えております。
○梨木委員 今度追放されておる者についての訴願の制度を設ける法律ができましたが、この法律で、昨年の六月六日の連合国最高司令官の指令によつて追放されました日本共産党の中央委員徳田球一氏ら二十四名、そのほかアカハタの幹部あるいはまた九月六日に追放されました細川嘉六君やあるいは上村進君など四名の国会議員、こういうものについても訴願の手続によつて追放を解除するということは考慮されておるのかどうかを伺いたい。
○大橋国務大臣 実はその法案の案文は、私今手元に持つておりませんので確たるお答えはいたしかねまするが、おそらく申請をされることは可能であると考えます。しかしなお法案をよく見た上でお答え申し上げます。
○梨木委員 それでは捜査の問題に関連して……。盗聽器を使つて捜査をやつておるという事実を、最近ひんぴんとしてわれわれがつかんでおるのであります。具体的に申しますならば、これは十一月二十一日の毎日新聞に載つた記事でありますが、新潟県の日本共産党魚沼地区委員会の委員谷矢一郎君の部屋の外に、盗聽用のマイクロフオンをひそかに警察がつけておつた事実が発見されたのであります。ところがこの問題につきましては、最高検の公安部長代理竹原検事が談話を発表しておりますが、この竹原検事は、居住の安全の侵害だという反対論も出るし、道義上の問題もあろうが、報告書がまだ着かないので、この事件については捜査権の濫用かいなかは今すぐ断定できない、こう答えておりますが、新潟地検の原次席検事は、マイクのとりつけは捜査の必要によるのだから、現行刑法には違反しない、こういうことを言つて、日本共産党は合法政党であるとはいえ、その目的が周知の通り国家の安寧秩序を破壊するにある以上、警察官としては、事件の発生するまで手をこまねて待つている必要はない、積極的に動向を察知するために、あらゆる手段が認容されるということで、盗聽器の使用というものは当然だというような意見を発表しております。しかし日本共産党に限つてこういうことが許されるということになりますならば、これは明らかに居住の安全だけでなくして憲法の二十一條の集会の自由、二十二條の居住の安全、あるいは十三條で、「すべて国民は、個人として尊重される。」とか、法のもとにおいては国民は平等であるとかいう憲法の保障を、完全に蹂躙するものであります。しかもこういうことが許されるということになりますならば、政治活動の自由ということは一切できないではありませんか。政治活動の自由だけではなく、先ほどもここで笑い話に出ておりましたが、若い新婚夫婦のむつ言までも盗聽されることを託すことになります。まつたくこれは重大な問題であろうと思うのであります。こういうことを法務府ではお認めになるのかどうか。北海道でもこういうことが発見されたのであります。私どもの方では、ちやんと写真をとつてある。こういうものをつけておる。これは現物の二分の一ですが、これは重大な問題だと思うのであります。この点についてはどうお考えになつておられますか。伺いたいのであります。
○大橋国務大臣 その点は、私は認めるも認めないもないと思つております。
○梨木委員 認めるも認めないもないということは、どういうことなんですか。こういう盗聽器を使つて捜査をするということは、これは法務府としては適法であるとお考えになるのかどうかということです。
○大橋国務大臣 違法ではないと思つております。
○梨木委員 違法ではないというならば、それでは検察庁あるいは警察が捜査のためにこういう盗聽器を使つていまだ犯罪も起らないのに個人の私宅にこういうものをつけて捜査をするということをお認めなんですね。これは憲法に違反しないというようなお考えなのですか。
○大橋国務大臣 その通りであります。
○梨木委員 これは実に重大な問題であると思うのであります。こういうことを法務総裁が犯罪も起つておらないのに、あらかじめ犯罪が起るかもしれないといつて盗聽器を使つて、そうして個人の私宅のいろいろな談話や、あるいは集会合の内容までも盗聽するようなこういう機械をとりつけるということが、あなたが合法的だとお認めになるならば、それでは一体こういう盗聽器をつけるには、必ず個人の家の器物を損壊しなければつけることができません。そういうことをお認めになるのですか。それでも合法的だとあなたはおつしやるのですか。
○大橋国務大臣 私は盗聽器を用いて聞くことを申しておるのであつて、それがために器物を破壊するとか、あるいは不法に家宅に侵入するというようなことがありましたならば、これはその点は別の問題であります。
○梨木委員 盗聽器というものは、今のところの技術的な面では個人の家へとりつけなければ聞くことができないのであります。全部今のところはとりつけております。この点はどういうことになりますか。これは明らかに私は器物毀棄の刑法上の犯罪になると思いますが、いかがですか。
○大橋国務大臣 器物毀棄とはならないと思います。
○梨木委員 器物を損壊しておるのにかかわらず、器物毀棄にならないとはどういうことなんですか。
○大橋国務大臣 梨木君も法律家ですから少しものを法律的におつしやらなくちやならない。器物を損壊するのでなくして、器物をとりつけるのですから、それは損壊じやございません。
○梨木委員 器物をとりつける場合には必ず物にきずをつけます。とりつけるには必ずきずをつけるという物理的な現象が起つて来るのであります。現在のこれなんかは、明らかにとりつけてある。とりつける場合には、必ずその相手の物質に何らかの損壊を與えなければつけることができない、これはどうですか。
○大橋国務大臣 相手の物質というのは、何のことか私にはわかりません。
○梨木委員 家のいろいろな造作であります。そういうものにきずをつけることになる。
○大橋国務大臣 いよいよあなたが法律的に御研究の足りないということが明らかになりました。刑法におきましては、建物というものは器物じやございません。これは建造物でありまして、器物じやないのです。
○梨木委員 そういう議論は……。建物の損壊になる、それは同じことであります。そういうことをへりくつというものです。ところで私は今法務総裁から非常に重大なことを聞いたと思うのであります。この点につきましては、刑事訴訟法におきましては、まず犯罪が起つて、この犯罪が起つた場合に捜査権というものが発動される。一体盗聽器をつけるということは、犯罪がまだ起らないのにどうして盗聽器をつけて捜査するという捜査権が発生して来ますか。
○大橋国務大臣 犯罪ありと思料したときには捜査をいたします。
○梨木委員 それでは伺いましよう。今問題になつているところの魚沼地区委員会の委員の谷矢一郎君のところには、どういう犯罪が起つておつだのでありますか。
○大橋国務大臣 それはひとつ本人にお聞きください。
○梨木委員 本人にお聞きくださいつて、一体あなたの方は犯罪ありと認定して捜査権を発動しているのですよ。私は本人にまで聞けとかいうようなことを問題にしているのじやない。あなたの方がどういうふうな犯罪が起つているという認定をいたしまして、そうしてかようなものをとりつけたのか、これを聞いています。
○大橋国務大臣 それは警察官本人にお聞きください。
○梨木委員 私はそういう警察官に一々聞くなら、あなたにここで一々聞こうと思いません。捜査の総元締めとして、あなたの見解を聞いておるのであります。一々そういう警察官に聞かなければならぬのならば、一体国会議員は全部国民にいろいろな問題について聞かなければ、ここで問題にできないということになりますか。そういう乱暴なことは、総裁としては言うべきことではありません。
○大橋国務大臣 警察官の捜査につきましては、法務総裁は責任を持ちません。
○梨木委員 捜査権の発動について、これは新潟地検の原次席検事も言つておることでありまして、これはこの新潟地方検察庁の指揮のもとに行われているものについて私は聞いておるのであります。
○大橋国務大臣 検察庁でそこまで指揮をしたということは聞いておりません。
○田嶋(好)委員長代理 ちよつと梨木君にあれしますが、質問はけつこうですけれども、そうした質問でなく、もう少しまとまつた御質問で、時間もないようですから……。
○梨木委員 わかりました。それではこの点はこういうことになつているのですか、この捜査は検察庁の指揮のもとにやつている捜査でない、こうおつしやるのでか、国警の方がやつている捜査だ、こうおつしやるのですか。
○大橋国務大臣 それは今まで取調べいたしておりませんから、はつきりお答えはいたしかねますが、原則として警察は検察庁の指揮によらずに捜査をいたします。また捜査について検察庁が指揮をするということは、現在の訴訟法上許されておらぬので、この点も法律を御研究願いたいと思ひます。
○田嶋(好)委員長代理 ここでお諮りいたしますが、先ほどから申し上げましたように最終の国会で、法務総裁がおりませんと、法案があがりませんので、最後に一つ。
○梨木委員 十一月の七日にこれは名古屋で起つたことでありますが、例の長尾信裁判官の名誉毀損の容疑者として隠岐尚一君外三名の者が逮捕されたのでありますが、このうち隠岐尚一君は警察におきまして、次のような拷問を受けた事実が、面会に行きました桜井弁護士によつて明かになつているのであります。これは十一月八日の午後の二時ごろから取調べを受けたのでありますが、黙秘権を使つているのはけしからぬということで、非常に脅追しまして、越えて十日には朝の九時から午後の四時まで取調べをしたのでありますが、その際足で胴を絞めつけて四回気絶さしているのであります。それからさらにひざの上に乗つて頭髪をつかんで頭をうしろの方へ押しながら襟首をとつて首を絞めたり、額やこめかみなどの急所を押しつけて気絶さしているという事実が、桜井弁護士によつて発見されたのであります。この拷問をやつた人間は福田という強力犯係だそうであります。この事実についてまだあなたの方で調べてなければ、こういう不当な人権の蹂躙をやつている点について報告をとつて、御報告を願いたいと思うのでありますが、御見解を承りたい。
○大橋国務大臣 はたして事実かどうかよく管轄の検察庁に申しつけまして、調査をいたさせます。
○猪俣委員 先ほど申しましたが、北多摩郡の横田飛行場におけるB二九の墜落問題、これは被害者に対する償いとしてどういうふうな処置をとられたか、それを承りたいと思います。
○田中政府委員 法務府の方では今お尋ねの点は詳細にわかつておりません。この所管は厚生省が所管しているのではないかと考えております。
○猪俣委員 ちよつと今はつきりいたしませんが、どこでこれは所管しているのでございますか。
○田中政府委員 おそらくは厚生省の所管であろうと思つております。
○猪俣委員 これは私ども将来のことも考慮しましてはつきりした政府の意向が知りたいのであります。実は法務総裁は内閣の法律顧問であるから、法務総裁の答弁でないと政府の御答弁にならぬのかもしれませんが、こういう損害についての賠償というようなことをうやむやにしておきますると、これはゆゆしき問題だと思う。そこで私はどういう処置をとつたか、一体この損害についての法律関係がどうなるものであるか承りたかつたのでありまするが、法務府としては何かお考えになつておることはございませんか。外国の軍用機によりまして相当の死者及び家屋が破壊された、これに対して被害者はいかなる救済を受くべきものであるかという基本方針を確立しないといけないと思うのでありますが、どういうふうな対策をお持ちなのでありましようか。もし法務府でお考えがありましたらお漏らし願いたいと思います。
○田中政府委員 ただいまお尋ねの、占領軍の軍事行動による被害、これに対する賠償問題は、政府の問題でありますが、法務府といたしまして、御承知のようにこれが訴訟になつて参りまするときには、訟務局においてこれを取扱つて処理をして参ります。従いまして法務府では、こういう問題に対してどういう方針で臨むかということを申し上げることは困難と存じますが、御参考までにこれまで起きました事例を一つ申し上げてみます。ずつと前に、九州の二亦トンネル事件というのがあります。これは御承知かと思いますが、トンネルの中に日本の陸軍が火薬を置いて、それを終戰後占領軍が参りましてそれを爆破した事件があります。三つありまして、一つは事なく済んだのでありますが、第二番目の爆破にあた。ましてこれが爆発してトンネルが吹つ飛んで、付近の人家に非常な損害を與えた事件がありました。この事件につきましては当時の政府におきまして付近の被害をこうむつた住民に何ほどかのいわゆるお見舞金を贈呈いたしまして、事件を処理いたしております。これに対して現在訴訟が起きておりますが、私どもの見解といたしましては、これは外国の軍隊、ことに占領軍であります。占領軍の軍事行動の一つであります。日本政府の、あるいは行政機関の行為とは言えませんので、日本の政府としてはこれに対しては責任がないというふうの抗弁をいたしまして、現在訴訟が進行しておる状況でございます。
○猪俣委員 そうするとその訴訟は国を相手にしての訴訟なんでありますか。
○田中政府委員 さようであります。
○猪俣委員 国を相手としての訴訟について法務府は責任がないのだという見解で取扱つておるということになりますと、こういう被害者が占領軍を相手にして訴訟する道が一体あるのですか、ないのですか。
○田中政府委員 私の所管でないので責任を持つてお答えいたしかねるのであります。私の解するところによりますと、御承知のように占領軍でありまして、占領軍は治外法権を持つております。占領軍は最高司令官の指揮命令に従つて軍あるいは軍行動を起しているので、従いましてそれによる損害というものには日本政府は何ら責任がない。そこで占領軍に対して、そういうことに対する請求ができるかどうか、これはいろいろ御議論がおありになると思いますが、現在におきましては最高司令官の意思一つにかかつております。具体的に申し上げると、占領軍の最高司令官が、内部においてそういう私人の損害を賠償するというような規定なり、法規的なものをおつくりになつておれば、それによつて賠償を求めることができると存じますが、現在はそういうものがあることは聞いておりません。従いまして最高司令官がこれを賠償する意思があればお拂いになるでしようし、意思がなければ賠償の要求はできない、要するにそういう請求権というものは、現在の状況のもとにおいては発生し得ないものじやないか、こういうふうに考えております。
○猪俣委員 そうすると先ほどあなたがあげられた実例について、最高司令官は賠償しておるのですか、していないのですか。
○田中政府委員 私の聞いているところでは、賠償しておらないようであります。
○猪俣委員 これは法務府でもよく御研究くだすつて、法務総裁は内閣の法律顧問なのでありますから、その点を明確にしておきたいと思うのでありますが、今の御答弁だと死んだ者は死に損だ、家をこわされた者はこわされ損で、国も責任を負わない、占領軍も責任を負わない。かようなことはまことに私ども理解いたしかねる。占領軍が責任を負わぬならば、国が責任を負う、自分の国民であります。何らかのそこに方式がなければならぬ。そうでないと皆死に損だ。燒かれ損だということになつてしまつて、これは民心に及ぼす影響は大きいと思うのであります。 そこでこの解決する方法としては、行政協定などというものに織り込まれるかもしれませんが、それにしては私は法務府の態度がはなはだなまぬるいと思うのでありますが、なぜこういう問題についてもつとつつ込んだ研究をし、これに対する対策を考えておらぬのであるか。民事法務長官であるあなたにかようなことを申し上げましても、これは大きな問題であつて、政府の問題になると思うのでありますが、だから法務総裁に私質問したいと思つたのでありますが、法務総裁よそへ行つてしまつて質問ができないのであります。これはあらためて私ども質問いたしますが、こういう損害賠償につきまして、法務府におきましても確固たる方針をきめて、そうして民心の安定をはかるようにしていただきたい。ただ通り一ぺんの責任がないということだけで、一体政府がそれでよろしいのであるかどうか、安全保障條約におきまして、無数なるアメリカの軍事基地が設定せられ、かようなことがたびたび将来起るかもしれない。それに対してみなそれは泣寝入りだというようなことでは民心は安定いたしません。かようなことにつきましては、以前にも実例があるのでありますから、法務府としては確固なる方針を確立して、政府においてもまた確固たる方針を樹立いたしまして、とうに対策を立てておらなければならぬはずである。しかるにただ責任がないというようなことで答弁をやつておつて、そうしてあとはほつたらかし、こういうようなことでは私はまつたく政府の怠慢だと申さなければならぬ。そこであなたに即答を望んでもいたし方ないと存じますが、かようなことに対しまする対策について何といつてもやはり法務府が中心となつて国民の権利義務というものを擁護しなければならぬと思うのでございます。これはもちろん犯罪ではありませんから、刑事問題じやないにいたしましても、こういうことに対しまして、十分なる補償の道を考えるということは、これはやはり法務府が中心となつて立案をしなければならぬ。そうして政府の方針として、その大きな政策の一つとして、樹立されなければならぬ。今日に至るまで、今承りますと、そういう方針が何もないようであります。これは遺憾千万であつて、私ども質問のしようがない。一体こういうことに対する法律関係、占領軍あるいは日本国家及び被害者の法律関係、及び占領関係が終了して独立した場合における法律関係、こういうものにつきましては、私は十二分なる御検討をやらなければならぬと思うのでありますが、一体こういうふうな問題について、法務府では考えておられるのかどうか、今までそういうことについて何らかの構想を練つておられるかどうか、それを承りたいと思います。
○田中政府委員 先ほど申し上げましたのは、純粋な法律論を申し上げたのでありますが、その法律論は現在の占領下における占領軍と日本政府との関係、これは専門家であられる猪俣さんよく御了承いただいていると思うのです。ただいま仰せの問題は、政府はほつたらかしておるのではない。御承知の災害救助法という法律があります。これの運用によつて、被害者を日本政府として救済するという方法があり、先ほど申し上げました二亦事件にしても、今回の問題にしても、そういつた法律の運用によりまして、被害者に何ほどかの救済を與えて行くであろうと存じておるのであります。そうして冒頭に申し上げました通り、その点については厚生省の所管で、厚生省が適当な処置をすみやかにとることを、法務府としては期待しておるのであります。 なおただいま仰せのこういつた問題は、現在條約の効力が発生するまでの間のことを、私は申し上げたのであります。條約の効力発生後、ただいま言われております駐留軍が駐留し、そして行政協定ができた場合に、こういつた問題がやはり引続いて起きると思います。その問題につきましては、私行政協定の内容は存じませんが、いかなる協定ができるものか、その内容に従いまして、そのときにおそらくはこういう点について、必要とすれば、立法措置が講ぜられるであろうと考えております。しかしながら現在具体的に行政協定の内容がわかつておりませんので、法務府としてもまだ具体的な法律をつくる、あるいはそれに対応する法令をつくるというようなところまで、進んでおりません。
○田嶋(好)委員長代理 お諮りしますが、今の点は、これはやはり委員会としても考えなければならぬ問題であります。立法措置等重大な問題だと思いますので、答弁ができないではしようがありませんから……。
○猪俣委員 それでは私はこの問題につきましては、あらためて法務総裁に質問したいと思いますが、ただ事務当局であられる民事法務長官にもお願いしたいことは、今から十二分なる構想と覚悟をもつて、行政協定にそれを織り込むように御努力願いたい。そういう努力についてちよつとゆるふんじやないかと思う。だから私は今構想があるかないかをお尋ねしたいのでありまして、何だかさつぱりそういうことをお考えになつておらないのではないか。これは何といたしましても、行政協定を結ぶその内容にこれを織り込むには、法務府が中心となつて活動しなければならぬ。そういうことについての態度がどうもあいまいじやないか。団体等規正法とかゼネスト禁止法ばかり、神経質になつて考えておつて、一体こういう基本的人権に関する重大な点については、さつぱり考えておらないというところに、私ども不満があるのであります。今あなたにこれを責めてもいたし方ないと思いますけれども、もう今までそういう事例がたくさんあるのでありますから、一体どういう内容にしなければならぬかという確固たる方針をきめて、それぞれ活動をしておらなければならぬ時期だと思うのであります。しかるにこういう具体的な問題が発生いたしましても、これは厚生省の所管で、どうもあまりはつきりわからぬようなことでは、人権の擁護に欠けるところがある。これはとにかく行政協定の問題でありましようし、あるいは單行法をつくる問題でありましようけれども、その中心官庁は法務府でありますがゆえに、これに対しましてもつと熱心に御討究願いたいということを要望しておきます。
○田中政府委員 繰返して申し上げますが、先ほどから申し上げているのは、占領下における法律関係を申し上げているのでありまして、そのほかの救済の点は、これは厚生省の所管であります。法務府が中心になるべき問題ではないのであります。 それから将来の問題について、法務府においては関心を持たないわけではないのであります。また誠意を欠くわけではないのであります。行政協定というものは、これは外務省が中心になつて結ばれる行政協定であります。それに伴つてどういう場合が起きて来るかというようなことは、御注意を受けるまでもなく、私ども事務当局としては十分研究はしておるのであります。ただいま協定の内容がわかりませんので、それを今猪俣委員に申し上げることができないのを残念に存ずるのであります。
○猪俣委員 いや、十分なる構想があるというならばよろしいのです。私どもはどうもそういう構想がないのじやないか、なおまた災害補償などと申しますけれども、こういうことを言うておるのではないのでありまして、先般もある一警官が誤殺をやつた事件につきましても、これは民事訴訟法に基きまして、訴訟を起しまして、七十八万円の支拂いをせよという判決が出ておることは、御存じだろうと思う。そういり意味において、そういう点については、これは厚生省だの何だのという問題ではない。これはただ災害補償なんかでお茶を濁すという問題でない。そういう意味において、国民の権利を確立するようなことは、法務府が中心となつて、そうして今から活動して、行政協定にそれを完全に織り込むという御労力を願いたいということを要望しておるのであります。
○梨木委員 去る十一月十八日の横田基地におけるところのB二九の墜落による被害の補償の問題、これは御承知のように、新聞でも非常に大きく取上げられておるのであります。ところがなぜこういうように大きく取上げられたかということにつきましては、今までも占領軍の軍事行動によつて、日本国民は非常に苦しい目にあわされておる。ひどい目にあわされておる。また軍事行動だけではなくて、ジープにひき殺されても今の政府のやつておる処置は大体人身事故は最大二十万円という見舞金でおしまいになつておるのであります。私どもはたとえばジープの事故なんかにつきましても、一体これはどうするのか、二十万円の見舞金ということだけでは、一人の人間の損害の賠償にはあまりにも少な過ぎるじやないかということで、いろいろ当局と交渉した場合に、これは見舞金であつて、講和ができた後には、その占領軍に対するいろいろな賠償の請求については、講和條約の中でこのことがきめられるのだということであつて、またこれらの請求ができるということに期待を持つておつたのであります。ところが今度の講和條約では、そういう一切の賠償の請求権を放棄するということになつておるのであります。そして当時は、占領軍による一切の日本国民のこうむつた損害というものは、それは占領行為としてなされたのだから、これはどうにもしようがないのだというような処置であつたと思います。ところが今度の横田基地におけるB二九の墜落による被害というものは、従来とは違つておるのであります。どこが違つておるかと申しますと、われわれは従来日本の基地から朝鮮へ飛行機が飛んで行つておるじやないか、これは明らかに日本には、そういう軍事基地をつくつてはいけないというポツダム宣言の規定があり、軍事行動を起してはいけないという憲法の規定があるにもかかわらず、日本の基地からさような軍事行動がなされておるということになりますならば、これは明らかにポツダム宣言や憲法に反しておるじやないかということを、政府に追究したのであります。ところが政府は当時どう答えたかといいますと、いやあれは占領軍が軍事基地をつくつたのであつて、それは占領軍の占領に必要な施設をしておるのである。こういうように答えたり、あるいは朝鮮に対する作戦というものは、国連軍のやつていることで、日本は承知しないことだ、こう言つて政府は逃げておつたのであります。ところが今度の講和條約の審議にあたりまして、例の日米安全保障條約の締結にあたりまして、日本の吉田総理大臣と、アメリカの国務長官アチソン氏との間に公式の文書が交換されたのであります。この交換文書によりますと、従来政府が言つておつた言明を全然くつがえしまして、こういつておるのであります。「連合国最高司令官の承認を得て、日本国は、施設及び役務を国際連合加盟国でその軍隊が国際連合の行動に参加しているものの用に供するごとによつて国際連合の行動に重要な援助を従来與えてきましたし、また、現に與えています。」こういうことがありまして、この前文には、われわれの知る通り、武力侵略が朝鮮に起つている、朝鮮に戰争が起つているとうことが前に書いてある。この朝鮮の戰争に国連軍が参加している。この国連軍の作戦行動に日本が重要な援助を與えて来たり、施設及び役務を提出してやつて来た。こういうことを認めておるのであります。これはことしの九月八日であります。こういうことが明らかに政府によつて表明された後において今度のB二九の墜落問題が起つている。これは新しい事態であります。だからこそ私は、おそらく新聞もこれを大きく取上げたのだろうと思うのであります。つまりこういうことになると思うのであります。従来の軍事行動というものは、これは国連軍がやつておるとか、あるいは占領軍がやつておるとかいうようなことで政府は逃げておつたが、今度は、日本政府もやはり承認を與えてやつておるということになりますならば、日本政府が責任を持つてやつていることです。これは民事的に申しますならば、日本政府にも共同の責任があるということになるわけであります。従つてこの行動から生じた被害につきましては、日米両国が共同の責任を負つておるということは、法律的にいうならば明らかです。そうなりますならば、今度のB二九墜落によるところの被害とうものは、これは日米両国がこの損害を全部賠償しなければならぬ責任があるということは、これは法理論的には一点の疑う余地もないだろうと思います。だから、私は政策の問題は別にいたしますが、政府の法律顧問としての法務府は、明らかに政府がこういうことを承認した限りにおきまして、その後において起つたこの事態に対しては、法律的には日本政府に責任があるのじやないか。同時にアメリカにも責任があるのじやないか。この両国に対して損害賠償の請求ができるという法律的な理論が成り立つということを、私は確信しておるのでありますが、政府の方はどう考えておるか、これをお聞きしたい。
○田中政府委員 お説は、日米共同責任だということは、一見明瞭だという御観念だと思いますが、その法律上の根拠がわかりませんので、その法律上の根拠をおつしやつていただきましたら、御説明できると思います。
○梨木委員 これは、個人と個人との関係におきましては、民法七百九條の不法行為によつて律するということになります。それからこれが国家と国民の関係におきましては、国家賠償法ということになると思うのであります。そこで国家賠償法では、第二條に、「道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。」大体こういう規定があるわけなんでありますが、これは今度の場合にすぐ該当するかどうか、相当疑問があると思うのでありますが、大体こういうような法的な根拠で賠償をする責任があるというように私は考えるのであります。
○田中政府委員 今御指摘になりました国家賠償法の二條、及び民法の七百九條の適用は、この場合ないということは一見明瞭だと思います。公権力の行使でもないのでありまして、故意または過失があつたわけでもないと思います。今度の場合は、占領軍の軍事行動でありまして、その具体的事実を私は明らかにしておりません。その具体的の事実がわからないまでも、飛行場でなされた軍事行動、それが今の施設にどう関係があるのか、ただちに二條が適用されるというようなことは、私どもは考えられません。
○梨木委員 もちろん個人同士の問題を規定しておるこの民法、それから国家と国民との間に起つた問題についての法律的な規定をしておる国家賠償法、これがすぐ今のところ、こういうようなB二九のアメリカの作戰行動から起つたところの諸問題を予定しておらないから、直接的な規定はここにないと思うので、私はあなたが法的根拠を示せとおつしやるから、大体こういりようなところを類推的に採用するというようなことにいたしたのでありまづ。しかし故意または過失、それがなかつたかどうかということについては、私は現地へ行つて調べて見ました。ところがB二九が滑走を始めまして、飛行場の中で落ちているのであります。この付近の人々の話によりますと——これは新聞でも報じておりますか乗務員は一人も死んでおらない。ところがそれは滑走を始めた後において故障を起して飛びおりた、こう言われているが、飛びおりると申しましても、あのB二九が滑走して離陸すると己の速度というものは、大体専門家の話によりますと、時速二百キロぐらいだというのです。私は飛行機の専門家にも聞きましたが、滑走して始めてかりおりるなんというようなことは、とうてい人間わざじやできないことだと言つております。私はそこにいろいろは法律的な責任問題があると思う。そしてこれらの事態を糾明し、しかも日本が施設や役務を提供し、こういう行別を援助しておるというのです。これは日本政府が援助しておるのでありますから、こういう日本政府の與えた承認のもとにおいて起つた事態というものについて、これは法律的に責任があるということは法律家である限りは、私は一点疑う余地がないというように考えるのでありますが、この点につきまして、それでは嚴格に現行法の国家賠償法や、あるいは民法の規定、これまた直接的に今この問題についての国家の責任を引き出せないといたしましても、法律常識に考えまして、私は今援用したような、こういう吉田、アチソン交換文書があり、しかも事態がそういうぐあいにして、とにかく單なる機械の故障だといつても、飛行機が飛び立つた場合には、必ず整備員というものはちやんとこの機械を点検しておるのでありますから、それが途中で落ちるということになりますならば、明らかにどこかに過失があつたにきまつているのであります。それらのことを考えるならば、やはりこの国家賠償法の点から見ても、責任の所在を裏づけることができると思うのであります。この点についてもう少し法律的な見解を聞きたいと思います。これは直接ないにいたしましても、常識的に考えまして法律的な責任が十分国家にあるということについて御意見を聞きたいと思います。
○田中政府委員 ただいま仰せのことは、先ほどから申し上げている通りであります。一体かりにあなたのおつしやつたような民法あるいは国家賠償法の責任がありと仮定をいたしましても、事実関係が明らかでなければ法律の適用がないことは、法律家である梨木さん、万々御承知だと思うのであります。この場合事実関係が的確にわかつておりません。その点からでも責任あり、国家が賠償すべきだという答弁はできないことは、明らかだと存じます。
○田嶋(好)委員長代理 ちよつと梨木君にお諮りしますが、先ほどから言つておりますように、時間はいつまででもけつこうです。夜中まででもけつこうですが、田中民事法務長官は所管外のことでして、これは民事訴訟の対象になるのですが、その人を相手にされてあたなが御質問を繰返されても、決して意味をなしませんので、適当な責任者をお呼びくださつて御質問なさつたらどうかと思うのです。
○梨木委員 しかし委員長、ちよつと。しかしながら今田中さんのお話では、法律的な調査も、つまり一体これは過失かどうかということも確定しないで、責任の問題は論じられないとおつしやいますが、これは付近べ行きますと、いつまたB二九が落ちて来るかしれないといつて、まつたく戰々きようきようとしておりまして、非常な重大な問題になつておるのであります。しかも九月八日の交換公文書が発表された後においての日本政府の責任というものは、別個に十分考えなければならぬ事態になつて来ているのでありまして、われわれは責任を糾明する場合に、やはり調査しなければならぬ、その調査の権限も、やはり政府がどういう程度にわれわれに調査をさせる便宜を與えるのか、こういうこともやはり考えてもらわなければできないわけであります。われわれは落ちた飛行場の外のことは調べられますが、中のことは、調べられないのでありますから、この点についても何らかの便宜を與えてもらわない限り、私は日米両国に対して損害賠償の請求をする権利を認めてもらつても、実際できないということにもなりますから、非常にデリケートな問題だと思うのでありますが、この点についての御意見を聞きたいと思います。
○田中政府委員 先ほどから申している通り、私の申し上げているのは、純粋な法律論なんであります。訴訟になつたときに、その訴訟をどう処理するか、それを法律的に観察して申し上げているだけであります。こういつた問題につきましては、今日も大蔵大臣が答弁していることを承知しておりますが、なるほどこういつた問題で被害をこうむられた国民には、はなはだ政府としてはお気の毒だと考えるのであります。政府当局といたしましては、関係当局が集まりまして、適当な処置を講ずることを目下研究しておりまして、すみやかにそれを具体化して処置するであろうと考えております。
○梨木委員 そこで、外の方の被害の点は、われわれは調べられるのでありますが、中の、日本の進駐軍労務者と申しますか、この人たちが死んでおるのであります。だれとだれが死にまして、どういう理由で死亡したかということは政府におわかりですか、これをまず聞きたい。
○田中政府委員 これは特別調達庁の要員のことをおさしになるの売ろうと思うのでありますが、これに対しましては、特別調達庁は、政府として政府職員に対する救済の方法を講ずることは、当然のことでありまして、特別調達庁がその方法を講じておると承知しております。
○梨木委員 ところがこれは政府だけの調べでは、アメリカとの折衡ですから、政府が調べなければならぬかもしれませんが、しかし私どもは、單にこの死亡が本人の過失がある程度あるのかないのか、全然本人の過失なくしてこの死に至つたものであるかどうかというような問題によりまして、また損害賠償の額がかわつて来るわけであります。こういうことにつきまして、日本人としていろいろ調査をする権限というようなものは、どういうようにお考えになつておるのか、伺いたいと思うのです。
○田中政府委員 占領軍の軍事行動について、日本政府あるいは日本国民がこれを調査する方法はないことは明らかであります。ただ、今御指摘になつた特別調達庁要員が、どういう災害を公務上こうむつたかということは、特別調達庁当局において、その本人なり関係者について取調べをすることは当然であります。
○梨木委員 そこでこういう問題については行政協定の中で、おそらくいろいろな規定が織り込まれるだろうと思うのでありますが、こういういわゆる進駐軍に使われている日本人労務者がこうなるいろいろな損害、被害というものについての権利の主張というものについては、十分法務府としても先ほど猪俣委員からも言われましたが、権利が十分保障されるような措置を考えておいていただきたいということを要望いたします。
○田嶋(好)委員長代理 では本日はこれにて散会いたします。 午後三時十八分散会