法務委員会 第14号
- 発言数
- 23 件
- 登壇者
- 2 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1951/11/16
会議録
○押谷委員長代理 これより会議を開きます。 まず陳情書の審査を行います。本日の陳情書の日程中、日程第一、第一〇、第一五の簡易裁判所及び検察庁設置の陳情書、並びに日程第八、第二ないし第一四、第一六、第一八、第一九の地方法務局出張所存置の陳情書は、昨日審査いたしました請願と同一趣旨でありますので、政府よりの意見の聴取はこれを省略いたします。 ―――――――――――――
○押谷委員長代理 次に日程第二、暴力者根絶に関する陳情書を議題といたし、政府の意見を求めます。高木法務政務次官。
○高木政府委員 暴力によつて犯罪を敢行する者に対しては、従来より厳重な処罰方針をもつて臨んでいるのであつて、こういつた暴力者の存在を公然と認めているような事実はないと考える。今後もこの種暴力事犯に対しては、取締り機関が一致協力して厳重な取締りを励行し、これによつて社会の秩序を確保し、この種犯罪の根絶を期する所存であるが、これらの犯罪は往往その立証に困難を感ずる事例が少くないから、そのためには一般国民の勇気と協力を切にお願いする次第であります。
○押谷委員長代理 御質疑はありませんか。 ―――――――――――――
○押谷委員長代理 次に日程第三、司法事務改善に関する陳情書を議題といたし、政府の意見を求めます。高木法務政務次官。
○高木政府委員 ただいまお申述べになりました司法事務の改善に関する陳情に対する政府の意見を申し上げます。 まず第一の点でありますが、民事訴訟における訴訟書類の送達料を低廉にすることは、国民の権利の保全を容易にするために訴訟費用の軽減をはかるという問題の一環としまして、まことに必要性のある問題と存じますが、最近における物価の高騰等の事情からいたしまして、その送達料を現在以上に安くするということは、国家財政上の見地から見ましても、相当困難ではないかと存じます。しかしながらこの問題は重要な問題でありますので、なお将来十分研究してみたいと存ずる次第であります。 第二点につきましては、司法修習生を簡易裁判所の刑事事件につき、国選弁護人に使用してはどうかという御趣旨かと存じますが、国選弁護人は、刑事訴訟法第三十六条及び刑事訴訟規則第二十九条によりまして、弁護士の中から選ぶことになつており、特に簡易裁判所における事件につき司法修習生の中から選任するということは、国費の節減等の見地から研究すべき問題とは存じますが、他面憲法第三十七条第三項の規定により、国選弁護人は資格を有する弁護人でなければならないことになつておりますので、一般に弁護人たる資格のない司法修習生を、国選弁護人に選任することといたすことは困難かと存じます。 次に第三点でありますが、新刑事訴訟法におきましては、裁判所の裁量による保釈のほか、いわゆる権利保釈の制度が新設されまして、保釈の請求があつたときは、裁判所は一定の除外事由に該当する場合以外は、当然保釈を許さなければならないことになつております。従つて裁判所がいかに保釈決定について慎重でありましても、必ず保釈を許可しなければならない場合があるのであります。政府におきましても、新刑事訴訟法実施以来の実績に徴しまして、この権利保釈の範囲の適否について、目下検討を加えている次第であります。なお保釈について保証人を要するとする点は、保釈中の被告人が逃亡した場合等に、保証人は何等かの責任または制裁を科することになるのでありますが、このような制度の効果につきましては、なお検討の余地があると存ずる次第であります。 最後に第四の点につきましては、司法書士法におきまして、裁判所書記官等の職に三年以上あつた者のほか、これと同等以上の教養及び学力を有する者も、法務局または地方法務局の長の認可を受けて司法書士となることができることとなつており、実際におきましては、前者に該当する者より、後者に該当する者の方が、より多く認可を受けて司法律上となつている状態でありますので、まさに御趣旨の通り運営されておるものと考えております。
○押谷委員長代理 御質疑はありませんか。――御質疑がなければ次に移ります。 ―――――――――――――
○押谷委員長代理 日程第四、不良文化材取締法制定に関する陳情書を議題といたし、政府の意見を求めます。
○高木政府委員 青少年に悪影響を及ぼす悪質な出版物については、出版法及び新聞紙法の廃止(昭和二十四年五月二十四日法律第九十五号)された現在においても、刑法猥褻罪、名誉毀損罪、信用毀損罪等の規定を適用することによつて、相当に取締りの成果をあげ得るのであつて、これを励行して参りたい所存であるが、そのほかに特別法の制定が必要かどうかについては、さらに研究したいと考えております。 なお不良出版物の取締りを実効あらしめるために、民間においても、この種出版物の一掃に協力するような機関の設けられることが望ましいと考える次第であります。
○押谷委員長代理 御質疑はありませんか。――御質疑がなければ次に移ります。 ―――――――――――――
○押谷委員長代理 日程第五、国民身分登録証制定に関する陳情書を議題といたし、政府の意見を求めます。
○高木政府委員 ただいま議題となりました、国民身分登録証制定に関する陳情につきましてお答えいたします。 陳情の趣旨のような国民身分登録証の制定は、去る六月八日制定された住民登録法が近く実施されるに伴い、同法による住民票の記載事項、証明書等を利用することによりまして、ある程度その目的を達成することが可能であると考えられます。 しかしながらこの制度とは別個に、国民の全部に身分登録証明書を所持させる制度を、全国的に実施する法律を制定することは、財政上の見地その他からみて困難であると考えますので、住民登録法の実施とも関連して、慎重に研究したいと考えます。
○押谷委員長代理 御質疑はありませんか。――なければ次に移ります。 ―――――――――――――
○押谷委員長代理 日程第七、治安態勢強化に関する陳情書を議題といたし、政府の意見を求めます。
○高木政府委員 終戦以来、わが国再建の努力が漸次その成果をあげつつあることは、御同慶の至りであります。政府といたしましては、新憲法の精神を破壊し、わが国の再建を妨げるような治安の撹乱行為に対しては、全力をあげて断固秩序を保持する決意のもとに治安対策を練つており、またこれに必要な立法上の措置についても、慎重研究を進めているところであります。 もとよりこれらの治安対策の確立にあたつては、正当なる労働運動ないし政治活動については、これに不当な制限を課することなく、わが国の民主化の確立を一層推進するという点にも、極力意を用いなければならないこともちろんでありまして、政府といたしましては、それらの諸点を十分勘案いたしました上、御要望の趣旨に沿いたいと存じております。
○押谷委員長代理 御質疑はありませんか。――御質疑なければ次に移ります。 ―――――――――――――
○押谷委員長代理 日程第六、所有権移転仮登記による地方税の徴収阻害防除に関する陳情書外一件を議題といたし、政府の意見を求めます。
○高木政府委員 仮登記がなされていることによつて、滞納処分の実行が困難となる場合のありますことは、想像にかたくないところであります。しかしながら、たとえば滞納処分による差押えを免れる目的で、不動産の所有者が第三者と談合し、差押え前に所有権移転の仮登記をしたような場合におきましては、国税徴収法第十五条、地方税法第六十一条第一項等の規定により、その原因たる行為を取消した上で、地方公共団体において、仮登記権利者に代位して、仮登記の抹消を求め得ることになつておりますし、また滞納者が抵当権または質疑を設定して、その本登記を行わずに、仮登記をしたような場合におきましては、公売処分による所有権移転の登記をする際、登記官吏において、不動産登記法第百四十八条の規定により、職権でその仮登記を抹消することになつております。従つて仮登記があることによつて生ずる滞納処分の実行上の困難なるものは、多くの場合、これらの規定の運用によつて除くことができるものと考えます。もし関係法律の規定を改正いたしまして、所有権移転の仮登記は、地方税の納期限より一年前になされたもの以外は、滞納処分による公売により、その効力を失うものといたしますと、善意の仮登記権利者までも不当に損害をこうむるこことなるおそれがあり、現在仮登記の制度が広く利用されていて、経済上重要な機能を営んでおります事実等を考え合せますと、右のように関係法律の規定を改正いたしますことは、相当考慮を要する問題であろうと思われまするしかしながら仮登記が滞納処分の実行を阻害している事実及びその対策等につきましては、当局といたしましても、なお十分に研究いたしたいと存じます。
○押谷委員長代理 御質疑はありませんか。――御質疑なければ次に移ります。 ―――――――――――――
○押谷委員長代理 日程第九、国家安全保障法案反対に関する陳情書を議題といたし、政府の意見を求めます。
○高木政府委員 現下の国内治安情勢より見て、反民主主義的な破壊的、暴力的な不法活動をなす団体等に対し、必要最小限の規正をなすことは、公共の福祉を維持するためにまことにやむを得ないことであつて政府としてはこの観点より、目下その法律案を立案中でありますが、これはあくまで日本国憲法のわく内において、必要かつ最小限度のものとして立案いたすべきものでありまして、決して国民の権利を不当に制限するようなものであつてはならないと考えておる次第でございます。
○押谷委員長代理 この際お諮りいたします。本日審査いたしました陳情書日程中、第一ないし第四、第七、第八、第十ないし第十六、第十八、第十九はいずれもこれを委員会において了承いたすこととなし、ただその決定を延期いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○押谷委員長代理 御異議がなければさよう決定いたします。 それでは本日はこれにて散会いたします。 午後零時十二分散会