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12回国会衆議院1951/10/11

法務委員会 第2号

発言数
64
登壇者
4
会派数
2
開催日
1951/10/11

会議録

押谷富三自由党

○押谷委員長代理 これより会議を開きます。  委員長がおられませんので、理事であります私が委員長の職務を行います。  本日の議事日程に入ります前に、昨日の委員会におきまして協議決定し、議長に提出いたしました国政調査承認要求書は、同日議長において承認せられましたことをお知らせいたします。     —————————————

押谷富三自由党

○押谷委員長代理 それでは本日の日程に入ります。  まず法務行政に関する件、及び検察行政に関する件について調査を進めたいと存じます。発言の通告がありましたからこれを許します。猪俣浩三君。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 法務総裁に対しましていろいろお尋ねしたいことがあるのでありますが、本日は閣僚懇談会がおありで、時間的に制限があるようでありますから、私の質問はなお続行することを前提といたしまして、時間の許す範囲においてお答えを願いたいと存じます。  第一は、先般行われましたる日本共産党のいわゆる臨時指導部と称せられる方々の逮捕及び追放問題であります。この逮捕及び追放されましたるところの方々の中には、国会議員が四名も含まつておるのであります。そこで事態ははなはだ簡単でないと私は考える。まず第一に逮捕するにつきましては、どういう手続で逮捕されたのである、かその手続を承りたいと思います。

大橋武夫自由党法務総裁

○大橋国務大臣 逮捕につきましては、検察庁におきまして、所要の手続を経て、裁判所から令状をとつたと想像いたしております。この件につきましては特審局より団体等規正令違反の容疑によりまして告発をいたしたのであります。その告発を基礎といたしまして、検察庁におきまして、捜査上の措置として逮捕令状を受けたということに相なつております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 その具体的な問題につきましては、なおあとで、これは法務総裁でなくともいいかとも存ずるのでありますが、法務総裁に伺いたいことは、今回のこの追放につきましては、これは日本の政府がイニシアチーヴをとつてやられたのであるか、司令部の方からの命令によつてやられたものであるか、その点についてお尋ねをいたします。

大橋武夫自由党法務総裁

○大橋国務大臣 公職追放令によりまする公職追放は、すべて連合国軍最高司令官がポツダム宣言によつて日本政府に指令をせられましたこの指令に基きまして、内閣総理大臣が行うところの行政措置でございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 その追放の根拠は、もちろんいわゆる勅令第一号あるいは団体等規正令というような條項でございましようが、具体的に行政処分をなさるその具体的な事案に対しまして、いわゆる司令部側のサゼスチヨンによつて活動されたのであるか、日本政府が積極的に活動されたのであるか、その具体的な事案はどういうふうに運行されたのであるか、そこをお尋ねするのであります。

大橋武夫自由党法務総裁

○大橋国務大臣 最高司令官の指令によりまして、内閣総理大臣が処置したわけでございます。具体的にさような手続をとつております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そうすると最高司令官から日々のこれこれの幹部を追放せよという特別な指令が出たとおつしやるのでありますか。

大橋武夫自由党法務総裁

○大橋国務大臣 さような趣旨でございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 これは岡崎官房長官にお尋ねしないとわからぬことになりますが、岡崎官房長官が答えられた答弁と食い違つておると思うのであります。今回の措置は、この前の徳田球一以下の措置とは違つておつて具体的なる指令が司令部から出たのではない。いわゆる先ほど法務総裁がお答えになつたように、特審局の告発があり、それからこの内閣において追放問題を考えて追放された、こういうふうに私どもは承つておるのでありますが、特にさような指令が司令部から出たということは、今日初めてあなたから承る、それは間違いありませんか。

大橋武夫自由党法務総裁

○大橋国務大臣 司令部の指令によつて追放が行われたわけであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 私があなたに言うのは、この法的根拠はもちもん司令部のいわゆる覚書とか指令とか、そういうものが背景にありましよう。具体的に上村進以下この国会議員を含みまするところの十九名ですか、これを追放いたしましたることにつきましては、そういう上村進その他の名前を列挙してこれを追放するような指令が出たのであるか、出ないのであるか。こういう事柄であります。

大橋武夫自由党法務総裁

○大橋国務大臣 先ほど申上げましたるごとく、公職追放につきましては、すべて最高司令官の指令に基く以外には、内閣の措置はあり得ないわけでございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それではこういうふうにお聞きしましよう。もちろん最後は最高司令官の許可あるいは指令という形になりましようが、そういうふうに最高司令官の活動を促す行動は、日本政府が積極的にやつたのであるか、向うから日本政府にさような下令があつたのであるか、どちらでありますか。

大橋武夫自由党法務総裁

○大橋国務大臣 最高司令官の指令が、いかなる経過によつて出たかは私の方から申し上ぐべき事柄でないと存じます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 その答弁は岡崎さんが来ましてからなお岡崎さんに尋ねてみますが、岡崎さんの答弁と違つておる。  次に、この追放に関する日本側の所管者と申しますか責任者と申しますか、これは行政処分であるならば、その所管者かあるいは主任と申しますか、そういうものが政府機関の中にあるはずでありますが、それはいかなる機関でありますか。

大橋武夫自由党法務総裁

○大橋国務大臣 これは内閣総理大臣でございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 内閣総理大臣がさような日警固の責任者でありましようが、この追放問題を所管するその事務を遂行する役所はどこでありますか。

大橋武夫自由党法務総裁

○大橋国務大臣 これは総理府でございまする

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 総理府……。これも岡崎官房長官の答えと違うと思います。  そこで今ちようど岡崎さんがお見えになりましたから岡崎さんにお尋ねいたします。今回の日共幹部追放につきまして、このイニシアチーヴをとつたのは、日本政府であるか、司令部であるか、岡崎さんにお尋ねいたします。

岡崎勝男自由党内閣官房長官

○岡崎政府委員 今来たばかりで、ちよつとよくわからないのですが、もう一度おつしやつて下さい。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 あまり打合せをしないうちに答弁をしていただきたい。(笑声)  今回の日共のいわゆる臨時中央指導部と称しますか、そういう人たちと政府が認定されて追放せられましたのは、具体的にだれくを追放せよという指示が司令部からなされたのであるか。日本政府がイニシアチーヴをとつてかような行動をされたのであるか。言いかえれば、徳田球一らの追放のときと同じような状態で追放が敢行せられたのであるかどうかということであります。

岡崎勝男自由党内閣官房長官

○岡崎政府委員 わかりました。追放措置につきましては、私は二種類あると思います。一つは今まで普通にいわれている追放の措置で、これはポツダム政令に基いたものであります。もう一つは、一番初め昨年マツカーサー元帥の指令に基いて、またその指令でやつた以外に、その指令の継続として行われた措置があります。第一番目のものは、過去の軍国主義その他のポツ政に書いてあるような人たちを追放する措置であり、第二の場合は、これは新らしくマッカーサー元帥の指令に基いてやつた措置であります。今回の場合も過去のつまり戦争前もしくは戦争中の行為に対しての追放措置でないのでありまするから、当然司令部の指令に基いた措置というべきであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 官房長官にお尋ねしますが、あなたは十月九日の午後十二時四十分(笑声)共産党の林、高田両代議士が立合いで、いわゆる追放せられましたる細川嘉上へ砂間一良、堀江邑一、福本和夫、山辺健太郎、こういう方々とお会いになりまして、この件について問答されたことがございますか。

岡崎勝男自由党内閣官房長官

○岡崎政府委員 これらの人は、その日だつたと思いますが、日は別として、来ましたが、私は前から約束がないから会えないと言つて、一応断つたのであります。そうしたら、ぜひちよつとでもいいから会つてくれというから、第一に、これは全然非公式な会談として会うなら会う。しからずんば、約束もないのに、たとい短時間でも会えない。こう言つてよく断つておりまするから、会つたことはありまするが、これは非公式な私的の会談として、こういう場合に引用せらるべきものでないという了解のもとに会つております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そうすると、私的の会合であるから、引用すべきことではない。—あなたがそう断られたかどうかということは、今一方的で、立証がありませんが、そのときは私的の会合であつたとしても、あなたがでたらめを言つたとは考えない。私的の会合のときはでたらめを言い、公的の会合のときはほんとうのことを言うというのは、われわれとしては反対に考えられる。たとい私的の会合であつても、そのときは本晋であつて、こういう委員会となると、いろいろなことを考えて、どうも違つた答弁をするというのが常識であります。どつちが正しいかは大衆の判断にまかせる。そのときにあなたは、今度の追放のイニシアは日本政府がとつた、日本政府の責任においてやつたのだということを明言されておる。こういうことを、私的でもいいが、おつしやたことがあるかないか。

岡崎勝男自由党内閣官房長官

○岡崎政府委員 ただいま申した通り、そのときの話で、こういう公の場所で引用しないことになつておりますから、それにはお答えしませんが、追放措置は、かりに指令であろうが、指令でなかろうが、その責任は日本政府の負うべきであることは当然であります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 法務総裁よりも法律的にはつきりしていると思うのであります。責任は日本政府が負うべきことは当然であります。しからば官房長官になおお尋ねしますが、この追放関係の事務の所管者は、政府のいかなる機関がやつておられるものであるか、それをお尋ねします。

岡崎勝男自由党内閣官房長官

○岡崎政府委員 これは総理大臣の名においてかかる措置をとるのでありまするから、正式に、また法的に申して総理府である、こう考えております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 これも私的なあなたの意見としては、今回の追放の所管は、特審局の調査に基く大橋法務総裁の判断によるものである。責任はもちろん総理大臣である。—法規上の責任は総理大臣でございましよう。ただ実際事務をやりましたその所管者というものは、大橋法務総裁の判断であるとあなたは言われたが、これは正直な答弁だと思うのであります。私は、責任が総理大臣にあるという答弁は、それはさようであろうと思いますが、こういう追放の判断、行政処分の判断の第一次的の判断者としてはだれなんですか。

岡崎勝男自由党内閣官房長官

○岡崎政府委員 これは、原則的に言えば、われわれは指令に基いてやつおるのでありますから、司令部の判断が当然であり、第一次的と思いますが、しかしこの際司令部云々を別にしますれば、総理府の中には監査課というのがあります。またこういう法律的にも、またいろいろ共産党関係のことも精通しておられる、内閣の法律関係のオーソリティーである法務総裁に御相談する等のことは当然でありますし、また事務的には総理府の監査課を利用することも当然と思います。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 今回の追放が、その前提といたして国会議員を含めます人たちが逮捕せられた。そして身柄を勾留されておる。それが九月の四日である。そして九月の六日には追放せられておるのであります。そういたしますると結局逮捕と追放の間には密接不可分なる関係があると思うのであります。この逮捕の責任者は、政府機関としては法務総裁であるはずでありますがゆえに、法務総裁の判断というものがこの追放の最大原因になつたということが常識であろうと思いますが、法務総裁がこの追放についてはどれだけの働きをしたのでありますか。あなたの、法務総裁の判断によつたものであるという答弁は間違いでありますか、間違いでないのですか。

岡崎勝男自由党内閣官房長官

○岡崎政府委員 先ほど申したように、私のこの間共産党の人々にお話したことは、ここで引用されてもお答えはいたしません。なお猪俣君がどういうソースでそういう話の内容をお聞きになつたのかは知りませんけれども、それも一方的にお聞きになつたので、私に確かめたものではないと思いますから、必ずしも正確かどうか、これは別問題であります。それで今のお話でありまするが、政府の部内でどの程度相談したとか、どの程度どうしたということは、これは政府部内のことでありまして、お答えの限りでありません。要は、日本政府が責任を回避するものでない、またこの法律上の実際責任者としては、総理大臣の名前で追放しておるのだ、こう御了承を願いたいと思います。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 私どもが申すまでもなく、今回の日共幹部の追放につきましては、私どもは共産党それ自身に対しては批判をいたします。しかしながら、お互い同僚もその中に含まれておる。これが実に不明朗な状態でもつて追放された。これを法務総裁のように、一に司令部の責任であるような、ほとんど政府の方面の責任を一言もお言いにならぬということは、これは私は司令部に対してもあまりよいことでないと考えられる。行政処分である以上は、ここに行政処分を行うに至つた政府部内のそれぞれの責任があると思うのであつて、それを明らかにしていただきたい。かような何万票かをもつて当選した議員を、一ぺんの通達によつて首を飛ばしてしまうというようなことは、実に大きな人権蹂躪であります。かようなことをやりながら、これは全部司令部の覚書により、あるいは司令部の指令によつてやつたことだということで、日本政府においていかなる機関が責任を負うのであるかということを明らかにできないというようなことは、法治国家として実に恥ずべきことだと私は考える。この意味において先ほどから法務総裁に質問しているのでありますが、司令部一点張りで要領を得ない。政府の責任といい、総理大臣の責任といい、これはもちろんのことであります。しかしながらここは法務委員会であります。実際こういうことがたびたび行われますことにつきましては、われわれ戦々兢々たらざるを得ない。そこで一体実際にどういう内部的な機関がいかなる活動をやつて、そうしてこれの手続が運ばれたものであるかを、この法務委員会でざつくばらんにお話願いたいと思つて今質問しているのであります。岡崎官房長官が九日の日に語られたことは相当具体的であり、なおまた私どもの常識に合致する答弁であります。それをことごとく何だか変更されておるということに対しましては、ふに落ちない。しかしどうしても御答弁なさらない。あれは個人の意見であり、ここではそれに対しては答弁できないということであるといたしますと、われわれが今度は判定するよりもしかたがないのでありますが、ただ非常に私は了解できないし、遺憾だと思います。なぜ岡崎さんが九日の日に釈明されたような答弁がここでできないのであるかということに対しては、はなはだ不可解でありますが、これはまた後日に譲りまして、なお岡崎官房長官にお伺いいたしたいことは、御承知のように、この刑事訴追逮捕問題と追放問題とが相関関係にあることは、常識上何人も疑うことはできない。しかるにこの逮捕問題につきましては、現在釈放されてしまつた。これはほとんど逮捕の原因がなかつたのだと判定せざるを得ないのであります。そういたしますると、この特審局の材料に基きまして逮捕するに至つた事情というものと、追放の理由というものとが同一のものと私たちは認定するのでありますが、追放の理由は一体どこにあるのでありますか。この逮捕の理由と同じものであるか違つたものであるか、違つたものだとするならば、逮捕の理由以外いかなる理由があつて追放されたのであるか、官房長官にお尋ねいたします。

大橋武夫自由党法務総裁

○大橋国務大臣 私からお答えをいたします。先ほど来申し上げておりますごとく、公職追放は最高司令官の指令によりまして行つておる行政措置でございまして、この件につきましては日本の裁判所もこれを論議する権限はございません。従いまして国会もまたこれを論議する権限がないことに相なつておるのでございまして、この国会の論議を通じまして、公職追放の理由を説明するなり、あるいはこれについて論議を承るということは適当でないと思料いたします。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 念を押しておきますが、行政処分としてなされた追放の理由については、国会においては質問をすることも許されないという御見解でありますか。

大橋武夫自由党法務総裁

○大橋国務大臣 司令部の指令に基く措置であるということはすでにお答えをいたしておるわけでありますが、この指令がいかなる根拠によつて出たものであるか、またこれが出るまでにいかなる措置が行われたかということは、これは結局最高司令官の指令そのものの論議と相なるおそれがございまするので、この際この点について触れることは適当でない、かように存ずるわけでございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それは法務総裁たるあなたの見解であるか司令部の見解であるか。

大橋武夫自由党法務総裁

○大橋国務大臣 これは私の見解であることはもとより申すまでもないことであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そうすると、それは行政府の一機関であるあなたの見解にすぎない。国会がこれに対して質問することは自由だと思う。答弁する責任のある法務総裁が、自分で答弁すべきものにあらずという見解のもとにこれが答弁をしない。これは一体おかしな論議だと思う。それはそういう最高裁判所の判決なりそういうルールがあつてあなたが答弁しないというなら理由がわかるのであるが、答弁する第一の責任者が自分で答弁すべきにあらずと解釈して答弁しない、こういうことではすべて事が明らかにならぬ。みんなやみ討ちというようなことになる。最高司令官がやみ討ちした張本人だと私には考えられない。これは公平な立場に立つて判断なされておると思う。もしこれが誤つたならば、誤つた判断をされた政府の責任でなければならぬ。今岡崎長官もこれは政府の責任であるとおつしやつておる。しかあるべきだと思う。そうすれば政府の責任になるような行政処分については、国会で答弁しないというようなルールを答弁の責任者自身がきめるというようなことは、それは越権もはなはだしいと思う。何の根拠でもつてあなたは国会でその理由が説明できないのであるか。それは裁判の管轄権がないことは明らかであります。最高裁判所の判決にも出ておる。不肖といえどもそのくらいのことは知つております。しかし日本政府の責任がある。しかもこれは行政処分である。最後の断はもちろん司令部の断でありましよう。しかしそこまで運んだことについて日本政府にも責任があるということになるならば、国会はこの行政府の責任についてただすということが当然のことである。何がゆえにこういう理由でこれは追放したということが、法務総裁として答弁できないのか。

大橋武夫自由党法務総裁

○大橋国務大臣 まず根本的に御理解を願つておかなければならない点は、官房長官から、この追放の措置について日本政府の責任であるということを申されたのは、これがすなわち日本政府の行政措置として行われておるということを申された趣旨と私は承つたのであります。申すまでもなく、日本政府の行為であることはこれは確かであります。しかしながらこの日本政府の行為でありましても、すべて公職の追放というものは、最高司令官の指令に基いてのみ行われるものでございまして最高司令官の指令に基いて行われましたる日本政府の行政措置というものは、この責任は最高司令官に対する日本政府の責任でありまして、国家に対する日本政府の責任ではない、こういうふうに理解せられておるわけでございます。この趣旨を申し上げまして、国会においてこの点の論議を承るべきでない、こういうふうに申し上げたわけであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 追放に関しては最高司令官に対する責任であつて、国会に対する責任がないんだ、かような理由であ参ります。私どもはこの追放の可否の判断を国会としてここであなたにさせようというのではないのであつて、一体どういう理由で政府は追放されたか、これがかりに司令部の意向でやつたといたしましても、しからは司令部がどういう理由で追放を命じたのであるか、政府としてその理由がわからぬ道理はないから、それを国民の代表である国会に明らかにしてもらいたいというわけなのであつて、それまでも一切秘密であるというようなことは、私はこれはかえつて最高司令官に対する冒涜だと考える。これこれの理由で追放せよという命があつたから追放処分にしたのだということを国民に明らかにするということは、ぼくは政府の責任じやないかと思う。そうして日本国民と最高司令官との間の橋渡しと融和をそこにはかることが、政府の責任ではないかと思う。みんな最高司令官の命令であつて、そういうことは一切タブー—融れちやならぬというような態度は、昔行われた袞龍の袖に隠れる一つの言動であろうと考えるのであります。こんなことは子供だましの、責任のがれの言動だと私は思う。しかしどうしてもそれは言えないとなれば、これまたいたし方ないのでありますが、この点に対しましてもはなはだ私どもは不愉快であります。  さらにお尋ねいたしますことは……。

押谷富三自由党

○押谷委員長代理 ちよつと猪俣君に申し上げますが、開会前にお諮りいたしましたように、官房長官も法務総裁も、閣僚懇談会で二時からそちらに出席されますので、もう時間が来ておるのでありますが、次の機会に続行してそのときに御質疑願つたらいかがでしよう。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 実は今法務総裁は二時半とおつしやつた。そこで官房長官に一点だけお尋ねいたしまして、あと法務総裁は二時半ということを言明されたのだから、二時半までお尋ねいたしたいと思います。  官房長官がお急ぎになるのでありますから、私は論理の必然を追つて質問をすることができなくなつて、ぽつんぽつんとなりますが、法務総裁は、新聞紙の報道するところによると、団体等規正法というような法案を出す。この法案を点検いたしますと—もちろん法案が出ておりませんから具体的なことはわかりませんが、大橋法務総裁の構想なりとして、新聞紙の報道したところによりますと、これはいわゆる言論の自由に対し相当のわくをはめる、あるいは労働運動に対して相当のわくをはめるということが出て来ると思うのであります。そこで内閣の大番頭であります官房長官にお尋ねするのですが、大橋さんは新進気鋭であつて、なかなか勇敢な法案を立案しますが、内閣といたしましてこの臨時国会にかような団体等規正法案あるいはゼネスト禁止法あるいは何か。プレス・コードを法制化、したようなものを提出する御意思があるのであるか、ないのであるか。

岡崎勝男自由党内閣官房長官

○岡崎政府委員 その前にちよつとお断りをしておかなければなりませんが、閣僚懇談会の方は私が幹事役を勤めておるのでありますから、どうしても出ないと始まりませんので、きようは中座せざるを得ないのであります。さよう御承知を願いたいと思います。そこで今のお話ですが、プレス・コードにつきましては、内閣としてもいろいろ考慮するところがありまして、元来はこの趣旨は新聞社等のお互いの間の規正といいますか、約束によつて運行されるのを理想といたします。そのほかには各国の例もあります。ある国では新聞の自由をある程度束縛するような法律のあるところもありまするし、そうでなくして名誉毀損等の法律を置きまして、新聞社がかりに事実に違う報道をした場合に訴えて、ひどい罰によつてこの方面を弊害のないようにしておるというような趣旨のところも多いようであります。どういうふうにしたら一番よいか、ただいま考究中であります。  それから団体等規正法等につきましては、これもただいま研究中でありまするから、はつきりしたことは申し上げられませんが、名前は非常に恐ろしいようになつておりますが、かりにできましてもそう恐るべき法律ではないと私どもは考えております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 官房長官に対しましては、これで本日の質疑を終了いたしまして、また他日に留保いたします。  大橋法務総裁に対しまして、なお質問を続行したいと存じます。団体等規正法案あるいはプレス・コードの法制化あるいはゼネスト禁止法案というようなものは、まだはつきり内閣でできておらぬというのでありますが、法務総裁は相当具体的な要綱を新聞にも発表されておるのであります。これがただ法務総裁の試案であられるような調子でありまするから、われわれ要案織り込む意味におきまして、質問をしたいと存ずるのであります。まだ法案が出ておりませんから、詳しいことは逐條審議に際しまして審議いたしたいと存じまするけれども、新聞に発表せられましたる団体等規正法案のあなたの構想を見ますと、私は何だか終戦前に返つたような気がしたのであります。試みにあなたがいろいろの項目をあげておられましたが、日本国の安全を害する意図のもとに国家の機密を探知収集、他に漏らすこと、これを処罰する、あるいは日本国に正当に駐留する軍隊の軍事上の用に供する施設を破壊し、その他これに軍事上の損害を與え、または公表しない軍事情報を探知収集または他人に漏らす、こういうようなことを団体等規正法案によつて処罰しようという構想のようであります。ところがここにあなたの用いられましたる言葉自身をとつてみましても、探知収集、他に漏らすというようなことは、これは終戦前にありました軍機保護法二條、あるいは国防保安法の数箇條にもみな同じ言葉が使つてある。軍機保護法の二條を見ますと、「軍事上ノ秘密ヲ探知シ又ハ収集シタ者ハ六月以上十年以下ノ懲役ニ処ス」と書いてある。この言葉をそつくりあなたはとつて来て発表されておる。でありますからまずこういう構想を練りなさるにあたつては、軍機保護法あるいは国防保安法などという法律をよく御研究なさつてお考えになつたのだと思うのでありますが、これはとんでもない話だと思う。こういう法律をつくつていかにわれわれの基本的人権が抑制されたか、言論あるいは集会、結社、出版、あらゆることが抑圧せられたかは私がここで申すまでもない。しかるにまたこういう軍機保護法で使われたような言葉をそのまま使われて、ここに言論の抑圧をする。プレス・コードそれ自体を法規化さんといいましても、このあなたの構想だけを見ましても、これは幾らでも縛ることができる。また戰々競々として新聞社は報道しなければならぬというようなけはいが見えるのであります。  なお昭和十一年に出ました不軌文書臨時取締法、これは昭和十二年が日支事変であります。その一年前にこの不穏文書臨時取締法が出た。それから太平洋戦争が昭和十六年十二月に起つた。その数箇月前、昭和十六年三月に国防保安法が出た。どうもこういう法案が出ると戦争の前ぶれのような気がする。またあなたがその文句と同じ文句を使つて、そうして団体等規正法案なんというものを出そうというのでありますが、どうも私はまた戦争する心構えになつたんじやないか、こういうような気がするのであります。そこで一体あなたはこの前新聞に発表されましたようなこういう法案を、この臨時国会に必ず提出する意気込みであられるかどうか。そうしてこれが言論あるいは出版の、すなわち憲法上の権利と基本的人権とどういうふうな関係を持つのであるか。その点についてお答え願いたいと思います。

大橋武夫自由党法務総裁

○大橋国務大臣 団体等規正法案は、今国会にでき得る限り提案をいたしたいと考えております。その内容につきましては、いまなお研究中でございます。また表現等につきまして、いろいろ御批評もございましたが、これはなお研究をしなければならぬと考えております。申すまでもなく、かくのごとき法規におきましては、言論、集会あるいは表現等の憲法によりまする基本的人権の制限を伴うことが免れないのでございまして、これらの自由権というものは、言うまでもなく民主主義のよつてもつて立つところの基礎でございますから、その制限が濫用せられるに至りまするならば、必ずや民主主義が破壊をせられるということに相なるわけでございまして、私といたしましては、団体等規正法案のごときものが民主主義を守るために必要やむを得ずつくられる、しかもその民主主義を守るためにつくられるところの法規の濫用によつて、かえつて民主主義の破壊を招くということは、まつたく無意味であるばかりでなく、その弊害は申すまでもないのでございまして、真に国民の福祉を守るために、必要な最小限度の範囲にかかる制限はとどめられなければならない、その必要最小限度の範囲を逸脱しないように注意をいたし、いかなる意味においても、自由権の正当な行使を抑制することのないような十分な保障の道を法規それ自体において講じておく必要がある、かように考えておるわけでございます。かような自由権の保障というものは法規の規定の内容において十分な検討をいたす必要がありますると同時に、この法規を運用いたしまする機関の機構の上におきましても、十分なるくふうを加えまして、決していささかなりとも濫用が行われないというふうにすることが絶対に必要である、かように考えておるわけでございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 終戰前にありました治安維持法あるいは軍機保護法、国防保安法などと比較いたしましてあなたの構想の団体等規正法案なるものがいかに峻厳であるかということは、前には追放なんという規定はなかつた。疑われましても昔の大審院、今では最高裁判所の判決になるまではその被告人はその地位を保つておつた。しかるに今度の日共幹部の処置に見たるがごとく、刑事問題になつたとたんに追放できるような仕組みになつているといたしますならば、これは実に終戦前よりもよほど苛酷なる基本的人権の侵害が国家の名において行われ、容易ならざることだと思います。そうしてしかもあなたの構想なりとして報道される中には、いろいろの列挙した條項に違反した場合においては、いわゆる公職と認めるものの範囲を労働組合の役職員から一切のものを含んでおる。そこであなたの構想の中には、報道関係の役職員も追放の対象になるのでございますか、ならぬのでありますか。

大橋武夫自由党法務総裁

○大橋国務大臣 実は追放ということにかりに書いてありまするが、私どもの考えておりまするのは、現在ありますがごとき公職追放という制度は、団体等規正法において取上げるべき問題ではないと考えております。ただ日本の民主主義なり、あるいは日本の政府に対する暴力破壊、こういつた傾向のあるということが十分に証拠立てられておる人々が、政府の機関なりあるいは産業上の重要な機関において破壊活動を行うおそれがあるという場合において、これを予防する措置というものは、何らかの方法において考える必要があるのではないかと考えて、ただいま研究をいたしておるわけであります。しかしながら現在の追放制度のごとき、たとえば政治活動を一切禁止せられる、あるいはまた公職の候補者として選挙に出るところの資格を制限される、こういうような制限に至つては、これは適当ではないのではないかというふうに考えておるわけであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そうすると、あなたが団体等規正法案に盛ろうとするこの追放の問題と、今お答えされている追放とどういうところが違うのでありますか。もう少し具体的に御答弁願います。

大橋武夫自由党法務総裁

○大橋国務大臣 今団体等規正扶案において考えておりますものは、追放というよりはむしろ一定の職場についての就職の制限、これはその人の行動からいたしまして破壊的な活動をなす十分なおそれがある、こういう場合において破壊から守るために、その人をその職場から遠ざけるというような方法を考える必要がありはしないか、この点を考えているわけでございまして、現在のごとき政治行為を含みますところの、候補者として立候補を制限するとか、あるいは一切の公職に対して、選挙をも含む公職についていけないとか、あるいは政治的な問題について意見の発表をしたりすることはいけない、こういうような政治活動の制限、そういうことは全然ただいま考えておらない状況であります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それから今の追放の問題と違う点であるかどうかわかりませんが、たとえば訴願の道を開くという構想をお持ちになつているようであるが、そうするとこれが高等裁判所において審査するということになつても、その判決の確定するまではその地位は失わぬという構想でありますか。今のように処分されてしまうと、とたんにその地位を失うという構想でありますか。

大橋武夫自由党法務総裁

○大橋国務大臣 この就職制限の効果につきましては、これに対する不服は当然裁判所の手続によつて争われるというふうにしなければならないと考えております。ただ、この裁判に対して執行停止の効力を與えるかどうかという点は、ただいま研究をいたしております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 もう時間がありませんので、詳細なる質問は十七日に延期をいたします。  なお一応これは労働組合側で非常に心配をいたしておりますので、あなたが新聞に放送されたことが正しいのかどうか、あれは個人の意見であると言われると困りますから、ここであらためて念を押しておくのでありますが、いわゆるゼネスト禁止法というようなものを、この国会に提出なさる意思があるのであるか、ないのであるか。あるとすれば、あの新聞に放送されたような構想でおやりになる意思があるのであるかどうか、そのお答えを願いたいと思います。

大橋武夫自由党法務総裁

○大橋国務大臣 新聞にどういうふうに書かれたかは存じませんが、先般参議院の労働委員会においても同様な質問がございまして、その節、できれば今期国会に提案いたすつもりで、ただいま準備をいたしておるということをお答え申し上げたことがございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そうすると、それは大体どういう御構想なんです。

大橋武夫自由党法務総裁

○大橋国務大臣 この構想といたしましては、もとより罷業の権利、すなわち労働組合によるところの罷業権を制限するとかあるいはその内容を制限するというような事柄は、この法案において考えるべきことではなく、いかなる罷業は正当な罷業であり、いかなる罷業は不当な罷業であるかは、おのずから罷業権に関します労働法規の規定するところであろうと存じます。かような労働法規によりまして、正当とされるか、あるいは不当とされるか、いかなる罷業でありましても、その罷業が国民経済に回復しがたい重大な損害を與えましたわ、または国民生活に広汎にして深刻な混乱をもたらすというようなものであります場合において、他に適切な手段がありますればともかくも、さような手段がない場合においては、国民経済を保護し、また国民の生活を保護するために、その罷業権に対する制限ということを考えなければならないのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。もちろんその法律によつて、争議行為が国民経済に対して回復しがたい重大な損害を與え、または国民経済に広汎かつ深刻な混乱をもたらすおそれがあり、かつまたこれを避けるために他に適切な手段がないと認めるに足りるに十分な理由がある場合におきまして争議行為を制限する、そういう事業はやはりすべての事業というわけではなく、運輸事業、電信電話、水道、電気、ガス、医療または公衆衛生の事業、銀行、石炭鉱業というように、業務の停廃が国民経済に回復しがたい重大な損害を與え、または国民生活に広汎かつ深刻な混乱をもたらすようなそうした事業に限られるということは、これは当然であろうと思つております。しこうしてこの法律におきましては、これらのいろいろ重要な事業があろうと存じまするが、その重要な事業が、国民経済に重要であり、または公衆の日常生活に欠くことができないものであるという理由だけでその争議行為を制限するという趣旨のものであつてはならない。そうしてまた、この法律は、事業の経営を危殆に陥れるとか、あるいはまた公衆の日常生活の不便を招くものであるというただそれだけの理由だけで争議行為を制限するというようなものであつてはならない。また、この法律は、政治目的を含むものであるという理由だけで争議行為を制限するものであつてはならない、こういうふうに考えております。要するに、本案におきましては、争議行為が国民経済に回復しがたい重大な損害を與え、あるいは国民生活に広汎かつ深刻な混乱をもたらすことを避けるために、他に適切な手段かない場合においてのみ運用さるるものでなければならない、というふうに考えているわけであります。そうしてかような争議について、この法律によつて権限を発動いたすという場合におきましては、内閣総理大臣が、特にこの認定の当否を調査審議するために設けられました特別の委員会の意見によつて、閣議を経て裁判所に制限を申請するというような仕組みにしてはいかがであろうか、こういうふうに考えておるわけでございまして、詳細な点に至りましては、なお労働省と連絡をいたしまして、十分に研究をいたしておる段階でございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 時間が来ましたから一点だけ。この点につきましては、アメリカにタフト・ハートレー法などができまして相当トラブルを起しており、司法府と行政府の対立まであるというような実情もありますので、慎重の上にも愼重なる御考慮を願うことを希望いたしまして、なお具体的な案が出ましてから論議することにいたしまするが、今特審局長が見えておりまするから一点だけお尋ねいたします。吉河特審局長は、今回の日共幹部の逮捕問題について、責任を感ぜられて辞表を法務総裁まで出しているということでありますが、その事実はありやいなや。

大橋武夫自由党法務総裁

○大橋国務大臣 さような事実はございません。またさような筋合いのものでもないと考えております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 もう一点。先般吉河特審局長の出席をお願いいたしまして、日共幹部の逮捕問題についてお話を承りたいと存じましたところが、法務総裁と一緒でないとぐあいが悪い、こういう御答弁であつたそうで、おいでにならなかつたが、一体それはどういうわけなんですか。

大橋武夫自由党法務総裁

○大橋国務大臣 ただいま特審局長は政府委員を命じてございませんので、当然出席する資格がないわけでありまして、それで……。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 よろしゆうございます。もう私の質問はこれで終りました。ちようど二時半であります。

押谷富三自由党

○押谷委員長代理 それでは本日はこの程度にいたしまして、次会は来る十七日水曜日午後一時より開会、質疑を続行いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後二時二十九分散会

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