厚生委員会 第3号
- 発言数
- 79 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1951/10/24
会議録
○松永委員長 これより会議を開きます。 まず前回に引続きBCG接種に関する件について、厚生大臣に対する質疑を続けて行きたいと存じます。 御承知の通り、BCG予防接種の強制かいなかの問題は、新聞等によつて、社会的に大きく取上げられて参りました。当委員会におきましては、すでに先年予防接種法が実施され、また本年結核予防法が実施されておる現在の段階におきまして、学界からこういつた申入れがあつたということについては、幾多の疑義を持ち、さらに急速にこれを検討して解決をしなければ、国民大衆に及ぼす影響が大きい、かように存じまして、去る二十二日厚生委員会において、全会一致をもつて学術会議塩田第七部長に対しBCGに関する申入れの根拠となる資料を早急に提出願うよう、委員長から公文をもつて要求いたしておきましたが、ただいままでのところ、資料は参つておりません。いずれ客観性のある正確な資料が参ることと存じますので、本委員会といたしましては、該資料を十分検討の上で、態度を決定いたしたいと存じます。しかしながら、BCGの接種は、法に基いて現に施行されており、事人命にも関する重大問題でありまして、一日もこの問題を等閑に付することはできませんので、重ねて委員長より厚生当局に対し、世上の疑惑を一掃する意味において、この際お伺いしておきたいと存じます。 新聞、雑誌あるいは世間のうわさによりますと、本問題は、そのよつて来るところが深く、單にBCGに関する専門的な純粋な動機からのみ発したものではなく、その裏面に政治的な意味があるやに伝えられておりますが、はたしてさような事実があるのでありましようか。もしさようなことが事実であるとするならば、まことに遺憾きわまることでありまして、われわれは徹底的に追究剔抉しなければ相ならぬと考えます。もう少し具体的に申しますと、結核予防会は、厚生省の有力なる外郭団体で、同会の会長は厚生省に対し大きな影響力を持ち、人事はもちろん、予算にまで発言権を持つているといわれております。またBCGのワクチンを独占的に製造しておる関係上、厚生当局に働きかけて、BCGをきわめて大量に必要とする結核予防法を立案せしめ、BCGの接種を強制しておる。この結核予防会の首脳となれ合つて結核予防行政を進めつつある厚生出局に対する反感から、BCGの専門家にあらざる学者に働きかけ、突如として今回のごとき申入れを行つたものであることの説をなすものもありますが、はたしてさような事実が伏在しているかどうか。厚生当局として何か思い当る節があるかないか。火のないところに煙は立たないということわざがありますので、もしもさような事実がありとすれば、この際忌憚なく率直にお答えを願いたいと存じます。これに対しまして橋本厚生大臣及び関係当局より明快なる御答弁を願いたいと存じます。
○橋本国務大臣 ただいま委員長からの御質問を承りまして、この前の委員会において一わたり私の立場及びこれに関する経緯を申し上げたところでございまするが、私は誤解を避けまするために重ねて申し上げたいと存じます。 私は、政治的云々ということでなくして、真に国民の保健衛生を担当する責任閣僚といたしまして、真に良心的にこの問題に当つておるのでございます。去る十月四日に、日本学術会議の第七部の有志から、BCGの強制接種が行われておるけれども、この問題についてはなお疑点の抱かれる部分があり、調査研究を要すると思うから、慎重に処理をしてもらいたいと申入れを受けました。その際に、書面は四日にちようだいいたしましたが、十二日にその代表の方々に来ていただきまして、趣旨の説明を聞きましたところが、このBCGの問題については、これが非常に有効であるか、それほど有効でないかという問題についても、また真に害がない、あるいはまたこれの接種によつて結核の病状を増悪するような弊があるかないかというような問題についても、いろいろ疑義があつて、なお研究を要するものである。いやしくも研究を要するとするならば、法的に強制をするということはどうかと思うから、考えられたらどうかという趣旨のことを塩田第七部長、それからまた東大の兒玉医学部長、慶応の阿部医学部長その他から承つたのであります。 なお本日学術会議第七部長塩田廣重氏の名前をもつて、公文書で私あてに、こういうことを言つて参られました。「BCG強制接種に関する件」といたしまして 「去る十月四日、BCGの強制接種に関する件について申入れをいたしましたが、本件は十月十九日の第七部会において全員により追認されたことを御報告いたします。」 という二十日付の書面でありまして、本日これを受取つたのであります。私といたしましては、これは申すまでもなく、今春の国会におきまして成立した結核予防法によつて、BCGの強制接種が行われた。それに対してこういう疑義が出るということは、まことに重大な問題である。一般の経済政策等に関してならば、これは多少の疑義があつても、行つて、行いつつ是正して行くということはよいことでありましようが、いやしくも人間の健康であるとか、生命であるとかに関係があるものならば、これはなお相当の調査研究を要するというのでありまして、法的に強制するということは、これはいかがなものか、そこを良心的に相当研究しなければならぬ。いやしくも研究をするということになりますれば、その研究の結果というものは、一面的に必ずますます強制した方がいいのだという結論が出るかどうかわからない。どうしてもこれは良心的に考えなければならないというふうに考えまして、国民の健康を預かる責任者として、非常に良心的に悩んでおるわけであります。学術会議におきましても、今回の意見書を出された一番根本の動機になりましたものは、最近アメリカの結核病学会の会長のマイヤー教授が、結核病学会の会長としての報告として、BCGに対するいろいろな研究の結果、結論として、BCGは得るところがあまりにも少くて、失うところがあまりにも多い、従つてこれは考えた方がよろしい、無害であるということについてもほんとうの証明はないというような論文を出しておられる。こういうような見地から見ても、日本においていろいろなレポートもあるから検討したいということであつたのであります。私はこれに関しまして、先般も申し上げました通り、これはきわめて重大な問題でありますから、決定的に有効、あるいはそれほど有効でない、あるいはまた無害であるか、有害な場合があり得るかという問題に関しましても、これはもう相当の期間をかけて研究機関で研究をしなければならぬだろうけれども、少くともそういう問題を取上げてなお調査研究しなければならないというに至つた動機、たとえば今申し上げましたマイヤー教授の論文が出たということも一つでありましようが、そのほか、そういうような、この問題はなお調査研究がいりますということを言われた根拠になる資料だけはちようだいをしたいということで、そろえてもらうことになつております。その上で私は慎重にものを考えたいと思つております。ただ私自身は、従来の厚生省内の解釈に従つて、これはまあ法的強制であるというふうに考えて参つたのでありまするが、これに関しては、結核予防法を成立させましたときに、従来あつた種痘の強制接種などと違つて、これに罰則をつけておらないということは、おのずからそこに取扱いの差異があるのであります。種痘ほど学問的に割切つた問題でないだけに、これは今日の結核予防法の立て方自身が、たつての強制をやらないでもいい趣旨なんだ、従つてこれについては、なお論議をされつつ研究をしつつ、そうしてできるだけ強い勧奨を行つて、しかしあくまでも自由意思を抑制してやらすという趣旨でないんだというお話もありますが、こういう点についても、私はもう少し検討をいたしてみたいと思つている次第であります。どちらにいたしましても、私が今日BCGの問題についてとつておりまする態度は、今日すでに成立した法律でありますから、これに対する疑義が出たということはきわめて重大だ、これに取合うかどうかということが、まず第一に大問題でありまするが、しかし、いやしくも相手が日本学術会議の第七部、つまり日本医学界としては最高の人々の意見であり、そうしてそれには相当問題とすべき論拠があるようでありますから、それならばやはり取上げて検討すべきものであろうと考えておるのであります。ただ変更をするということになれば、どういう形で諮問をするか、あるいは諮問をして結論が出て来るまでの法の取扱いをどうするかという問題につきましては、もう少し資料を見てから検討をいたしたいと考えております。 政治的問題が伏在しておる云々のお話がございましたが、これは少くとも私が今日これに対処している気持からは、全然別の問題でございまするし、不肖私は、今日厚生大臣として省内を統率する立場から参りまして、厚生事務当局は全部私と一心同体の気持で動いており、そうしてこれが厚生大臣としての責任者である私を、別な力によつて支配されたり、何らかの問題があるということは、私は信じたくないということを、ここにはつきりと委員長に申し上げておきます。
○松永委員長 何かほかの方から御意見ありませんか。 ただいま厚生大臣から、はつきりとした御答弁を承つたのでありますが、現在実施中の段階ではありましても、学界からこういつた疑義がさしはさまれ、申出があつた場合に、これをさらに検討するという厚生大臣の考え方は、われわれも正しいと思いますが、さしあたりの問題としまして、現に実施をし、きようの新聞によりますと、東京都のごときも大々的にこれを実施するということが書いてあります。これは、まあ法が現存する限り、それがほんとうだと思いますが、こういうような各種の問題を通じまして、もつと早急にこれを解決してそうしていずれかの方向に決定しなければ、国民大衆はこれに迷います。かつ国民大衆がこれに迷うということが、ひいては結核予防法の実施の上に、亡国病である結核撲滅の上に、大きな影響を与えるということも考えられるのであります。事は重大でありますから、厚生大臣初め厚生当局におかれましては、きわめてすみやかなる処置を講ぜられんことを委員長として要望いたします。 なお本件について、御質問の通告がございますから、順次これを許します。金子委員。
○金子委員 このBCGの問題につきましては、先般来から非常な問題が新聞紙上等において取上げられ、なおどういうふうな意図があつてかはわかりませんけれども、両三日前に日本医師会からことさらに速達の形で、マイヤーのいわゆるBCGは効力がないというような文献を送られて来ているということになりますと、私ども想像しますに、日本医師会も反対意思表示をしているのではないかと考えられるような行動を起されております。そこで衆議院の厚生委員会の理事会で、委員長からこの問題を諮られましたときに、私はこの問題をより大きくするならば、必要以上に国民大衆に不安を与えるだけであるから、なるべく早く終止符を打つべきものである。どういうような方向かに善後策を講ずべきだ、それでは委員長長の名において、学術会議と大臣に文書をもつて申入れをして、それで終結しようということに賛成しておつたのでありますが、先日の大臣の御答弁をお聞きいたしまして、何か私どもふに落ちない点がありますので、本日三、四の点についてお伺いいたしたいと思うのであります。 まず最初に、十月四日に学術会議から大臣に申入れされましたところの申入書というものが、もしこれにおありになるならば、一応私どもにお示し願いたい。内容をお話願えればけつこうだと思うのでありますが、その点をまず第一にお伺いいたします。
○橋本国務大臣 昭和二十六年十月四日「日本学術会議会員第七部有志」としまして、厚生大臣橋本龍伍というあてであります。「BCGの強制接種に関する件」という標題でありまして昭和二十六年四月一日より実施せられている結核予防法に基くBCGの強制接種については世上にいろいろ問題があり医界にも疑義をいだくものがあつて尚研究の余地があるように思われるから政府においてはこの点について慎重に調査して遺憾なきを期せられたい。 次に名前が書いてありまして、塩田廣重、児玉桂三、戸田忠雄、大森憲太、操坦道、寺田正中、内村祐之、小澤凱夫、荻生規矩夫、阿部勝馬、北村精一、比企能達、小池敬事、これだけの名前でありまして、それに対しまして、この有志というのはどういう意味かということを、私も十二日に代表者をお呼びしたときに聞きましたところが、学術会議は全国に会員がおるので、その時の会合に二、三欠席した、つまり地方から集まらない人があつた。そこでこれは有志としたのだけれども、あとで全員集まつたところでこれに締めくくりをつけますというお話であつたのであります。それに対して、きよう参議院の聽聞があつた帰りであつたと思いますが、先ほど申し上げましたように、去る十月四日BCGの強制接種に関する件について申入れをしましたが、本件は十月十九日の第七部会において全員により追認されたことを御報告いたします。日本学術会議第七部会部長塩田廣重という公文を頂戴いたしました。
○金子委員 その申入れがありました当時、大臣はその代表者に対しまして、この法律が四月一日から実施になるその以前におきまして、立法化までに相当長い期間を持ち、またこの法律が四月一日から実施されまして相当期間がたつてからの今日こういう問題を、しかも法律になつてしまつて、実施中に相当期間を長く置いた今日に至つて改めて申入れをする理由はどうかということ。またそういうことであるならば、その当時、学会の権威として、国会に対して何らかの注意をすべきじやなかつたろうかという点に対しての疑問、それを代表者に尋ねたことはありませんですか。
○橋本国務大臣 四日の日は、ちようど私がおらないときでありまして、塩田博士が来られてこれを置いて行かれたのだそうであります。そこで私が連絡をとつて、これだけの書物じや困るので、代表者に来てもらつて話を聞きたい、趣旨も聞きたいということを申しましたところ、塩田さんの旅行などで十二日になつたのであります。その間におきまして、私も、実は今お話のありましたことについて疑問を持ちました。私が連絡をしていたときに、塩田さんはこう言うておられました。大体今日までの間、保健衛生関係の行政については、なかなか意見を言いにくい状態にあつて、言つてもなかなか取上げてもらえないのだ。そこで今まであんまりものを言わなかつたのだ。BCGの問題についても、国内的にもいろいろ問題があるし、学会の研究等も内外ともにいろいろな問題があるので、ぜひ一つ意見を聞いてもらいたいという話のようでありました。私はそれに対して、まあどんな御事情にしても、意見というものは、いつの時期でももつとどんどん言われるべきであつたろうということを一言言うておきました。それで十二日に見えられました。そのときにはたしか五人か六人見えられたのでありますが、その話は、塩田さん相手に、私が中間で、皆さん集めて来てほしいという間に聞いておりましたから、十二日に皆さんおいでになつたときにその話を言われるのなら、意見は今まででもどんどん言つてくださつたらいいし、今後も言つてくれたらいいじやないかという話をしたかと思いますけれども、どの程度に強く念を押したかということは、記憶がございません。
○金子委員 この問題は、立法化され、しかも実施期間を相当過ぎましてから、ことさらに申入れがあつたことに対して、私個人としては割切れない点がありますので、ただいま大臣はどうお考えになるかということを御質問したのであります。 それでは次に、この法律を提案しました当時の政府当局も、しかもこれを審議しました委員も、今のままで大体かわらないでおりますが、この当時、この法案を提案いたしましたところの当局にお伺いしたいのでありますが、この学術会議その他の意見というものは、全然当時は問題に取入れてなく、この問題の結論に達したのかどうか、その点をひとつただしたいと思います。
○山口説明員 この結核予防法を御審議いただきました当時には、学術会議の方からは、特別何もお申入れはなかつたのであります。ただ、先ほど大臣も申されましたように、このたび学術会議の方から有志の先生方として最初にお申入れがあり、あとでまたそれを追認されたという話でございますが、その前に学術会議の先生方から、私がときどき伺つておりました事柄は、先般法を御審議いただきます前、あるいは昭和十三年から学術振興会が取上げてこのBCGについて研究を重ねられました当時からも、たとえば潰瘍の問題、あるいは結核を増悪させるとか誘発させるとかいう問題も、すでにしばしば論議されておりましたということ、そういう問題でございます。ただ、先ほど大臣がお話になりましたように、最近アメリカなどで、一部の人たちが新しくそういうふうなことを申しておる事実はございます。それからこれは、私どもの方にも、大臣から、よく調査するようにという御命令を受けておりまして、最近の外国の資料に、動物実験などによつて一部のデータが出ているものがございますが、それは今どの程度のものかということを、よく調査することにいたしております。
○金子委員 次に大臣にお伺いしますが、先ほど来の大臣の御説明では、事人命にかかわる問題である限りは、他の経済立法その他のように、少々の弊害があつてもこれを敢行するというわけに行かないので、至急これを善処しなければならないというお話でありましたが、それは一面まつたくごもつともなことであります。しかしそれについて大臣は、行政上の命令なり、指示なり、善後策を、部下の関係にどういうふうに命令されてありますか、その点をひとつお伺いします。
○橋本国務大臣 この点は、先ほど申し上げましたようにきわめて重大な問題でありまするので、十二日に学術会議のメンバーが来られたときにも、なお研究の余地があるように思われるから慎重に調査して遺憾なきを期せられたいということは、きわめて重大なことを承る。ものの考え方のいかんによつては、まあ、大多数というか、たいていがよければ、少々何らか誘発するとか増悪するとかいうことがあつてもかまわないじやないかという考え方の人であるならば、それは法的強制をやりながら、片方で研究するというのもいいかもしれぬけれども、私はその点については非常に心配だと思う、という話をいたしました。その席に五人か六人来ておられましたが、慶応の阿部医学部長と東大の兒玉医学部長は、自分らがここに、なお研究の余地があると思うから慎重に調査して遺憾なきを期せられたいと言つたゆえんのものは、研究の余地のある問題であつて、そうして、人命や健康に関係があるのだから、一時強制をやめた方がいいという趣旨だということをはつきり言うておられたのであります。ただ私は、今日までのところ、事務当局に対して研究を命じたことはありますが、どういうふうに措置するということはきめておりません。きめておらないゆえんは、二つあるのでありまして、一つは、とにかく、なお研究の余地があるという意味につきましても、これを特ち出された学術会議の方から、なぜ研究しなければならないのかそいうデータ——実はこれは国家で、私の手元にも春以来とさどさ投書のようなものが参つておりました。新聞等でも見たことがありまして、BCGのおかげでからだが悪くなつたというのがぽつぽつあるわけであります。そういうたようなもので、調べなければならぬというような事実が相当あるなら、その事実をしつかり知らせてもらうなり、あるいは医学者のそういつた研究を知らせてもらうなり、とにかく私としてはここで聞き、またはこの結論を見せてもらつただけでなくて、研究の余地があるといつた基礎になるデータだけはもらつてから処理する方がいいと思つて、それはやつておりますのが、それを向うで翻訳したりまとめたりしているということであります。 それからもう一つの問題は、私も実はBCGの強制接種という話を聞いておるものですから、これははなはだ不敏でありますけれども、定はまつたく種痘と同じような強制接種だと思つておつたわけです。それで、実は問題になつてから初めて今回知りましたことは、BCGは法的強制とはいうけれど、罰則がつけてないので、従来からありました種痘の法律とは違うのだ。そういう観点からいつてみて、実は法制局にも私尋ねてみましたが、要するに罰則のない法律というものは、これは何々しなければならないといつた場合に、これは法制的解釈としては、原則として訓示規定だということになつておる、ほかにも例がありますという話であつたのであります。もし結核予防法が、検診をやつて陰性であればBCGを接種するというのが、種痘の場合と話が違つているというふうなことであるならば、むしろどうでもやらなければいかぬ。何か心配だからいやだという人でも、やらなければいかぬというふうな態度で末端が強制をしているとすれば、むしろ法を改めるというよりは、法の趣旨を徹底させればいい問題ではないかというふうにも考えられますので、その法制的な点にも、もう少し研究してみないと、かりに措置を要するとしても、どういう措置をしていいかわからないので、私はこれに対してどうしろということの割切つた論を今のところ出しておりません。 それからもう一つの問題は、私といたしまして、今日問題が非常に大きく取上げられまして、衆参両院の委員会でも、こうやつて論議をしておられるわけでありますが、その間に、私が本法をつくられた委員の方々に何らの連絡なしに、何らか特別の措置をするということもいかがなものかとも思つておりますし、こういう三つの考慮からいたしまして、今日私はこれに対してどうしろという措置を内部に指令いたしておりません。
○金子委員 いろいろ報道や何かの誤りかしりませんが、内部に対して一つの措置をとつたかのように見ておるのでありますが、そういうことがなかつたということを伺いまして、私はそれが当然だ、こういうふうに考えるのであります。ただ、大臣が良心的な気持から、事人命にかかわる問題であるから、あくまでも慎重に慎重を重ねなければならぬ、こういうお気持はよくわかるのでありますけれども、しかし、これはすでに実施しつつある法律でありますので、これを善処するとか善処しないとかいうことは、なるほど一面から言うならば、先ほどのお話にあつたように、罰則がない法律だから、強制とはいうけれども、純然たる強制権ではないというようなことは、それは法制局の人たちはそう言うかもしれぬが、一般国民は、また地方庁の人方は、出先においてそういうふうに解釈する云はおそらくない、やはりしなければならないものはしなければならない。強制として、実質上解釈されると思うのです。従つて罰則がついていない、ついているということは、法の專門家が考えたときに、いろいろの問題はありましようけれども、一応今の予防接種は強制だ、私はそう国民常識はなつておると思うのであります。そこで大臣の考えなければならないということの気持は、よくわかるのでありますけれども、もしそれが有害無益なものである、ないしはそれに近いものだということで、これをやめることになるならば、私どもその專門家ではありませんけれども、その当時のこの法案を提出いたしました当局と同時に、それを審議いたしました私どもは、その不明をわびなければならぬ重大な問題だと思うのであります。従つて私どもは、責任を持つて委員会で一つの法の審議をする以上、それがまつたくさかさまな結果が、一年もたたないうちに出て来るということであるならば、これは非常に重大な問題だと思うのであります。従つてこういうふうに新聞等に騒がれる前に、また大臣がほかの方方に向つて何らかの形においても意思表示をする前に、その立法した当時の当局者と、またその委員会もそのまま現存いたしておるのでありますから、私の気持から言うならば、法に関係があることだから、これをなぜ委員会に非公式なりでも、こういう問題があるんだが、当局の立法化した委員会はどう考えるかということを御相談くださらなかつたか、それに対して非常に不満を持つておるのであります。これらに対して、大臣はどういうふうなお考え方でありますか。
○橋本国務大臣 ただいまの御意見でございますが、大体論でございまして、これは研究しなければいかぬ問題でありますが、私は実は学者でありませんからわかりませんが、私自身結核であつた関係で、子供などの結核についても心配になるのでありますが、大体BCGというものは無効であるというふうなことでなしに、私は絶対有効なんだと従来思つて参りました。ただその有効の程度というものがいろいろな議論があるのだと思いますし、また薬の使い方なり何とかでいろいろな関係があると私は思うのです。不満足ながらも結核の有力な予防方法である、そしてそれを従来日本政府が学術振興会を使つて調べたり、あつちこつちでやつて来た。かつまた少くとも医者がこれを使用するのを害であるものとして禁じないでやつて来たゆえんのものは、人体に害があるものなら、法律的に一般的に使わないでも、有害な薬はとめなければいかぬわけですから、それを一般に許して使つて来たということも、やはりとにかく益があるだろう。従来やつて来たように、今後も日本政府がを改善しながらこれを使つて行く方向に骨を折ることは、なお研究するにしましても、必要なことだと、実は私も考えているわけであります。ただ、要するに問題は、種痘のような場合であれば、これはもう種痘によつて天然痘はほとんど百パーセントに近いくらいに防げる、しかも害は比較的少いというふうに世界的に論議もなくなつて来るのに並行して、世界の文明国が法的強制種痘を行つて来たという歴史があるのであります。BCGの問題に関しましても、国としてやつかいな結核の、不足ながらも相当な予防方法として大いに利用することは、けつこうなことであります。法的強制がいいかどうかということは、相当問題があり得るということを学術会議の方から言われれば、私ももつともだと思うのであります。これに罰則もつけて強制してないという点も、そこにそれがけの含みを持つて法律ができていると、実は私は思つているのです。ただこの問題について問題が出て参りました際、私が閣僚の一人としての立場からいえば、まず第一にやはり考えなければならないのは、内閣の中での責任者との相談の問題でございます。私国会の方にも、なるたけ早く御連絡を申し上げたいと思つたのでありますが、委員長への連絡も、私が動いておりましたために遅れました。もつと早く連絡すべきだということがあるかもしれませんが、私としては相次いでなるべく早い機会に御連絡申し上げたつもりでおるわけであります。
○金子委員 この法律の成立が三年なり五年なりずつと長い間の後の問題であるならばいざしらず、第十国会できめまして、四月から施行されて、まだほんとうに日が浅いのでありますから、私どもが知らない間に厚生大臣がああ言つたとか、こう言つたとかということが、はたして言われたか言われないかは別としまして、それが新聞紙上にとりざたされて大きな問題を起し、同時に国民の人たちが動揺しておるというその後になつて、私どもが厚生委員会としまして、しかもその法律をきめました責任の者が、今ごろこういうふうなことを論議しなければならないということは、非常に醜態だと思うのであります。こういう問題に対して、そのままの委員も、政府の事務当局もおるのでありますから、もし問題ができたならば、外部に対して大臣として何らかの意思表示をする前にまず立法の責任者でありますところの委員長ないし委員会の秘密会議で、こういう問題があるから、これに対して法律的にかあるいは研究的にか善処すべきではないかということを言つていただきたかつたと私どもは考えております。でありませんと、私どもは重大な責任があるのであります。結局われわれの法律審議が粗漏だつた、そして国民にそういうようなことをしいたという責任を、私どもは十分に感じておるがゆえに、そういうことを申し上げるわけであります。 それから最後にお伺いしますが、今後善処するとか、あるいは考えるとか、研究とか言いますけれども、一方法律はすでに施行され、しかも末端におきましては、どんどんこれを実行しておるわけでありますから、これに対して研究の機関はどういうふうにやつて行くか、あるいは法律をこの国会において改正しておいてやるとか、そのことに対して一日も早く大臣のはつきりした態度をお示し願い、同時に、それがこの委員会で審議すべきことであるならば、一日も早く審議いたしまして、こういうふうに法律は強制しておるのに、一方では緩和してもよろしいとか、あるいは手心だとか、あるいは罰則がないとかいうことで、このもやもやした状態に置くことは、国民のために非常によくないことだと思いますので、それに対して、大臣はどういうふうな方法をお考えでありますか、その点をお伺いいたしまして、私の質問を終ります。
○橋本国務大臣 重ねて私の立場を申し上げておきたいと思いますが、私は実はこういう問題が起りましたときに、ただちに国会にはせつけるということが、責任閣僚として正しい行き方であるとは考えておりません。私は執行の責任者としても、またこういう申入れを受けた責任者としても、こういうことを言われましたがどうしましようかというので、委員会の御開催を願うということは、あまりにも不見識であつて、やはり政府部内で相談をして、たとえば、こういう申入れがあつたから研究に着手しようとか、研究に着手するならば、一応政府自身も疑義を持つていることなんだから、やはりその間法的な取扱いをどうしようかというふうな政府としての責任のある腹づもりをきめて国会に御相談するのが筋ではないかと、私の物の考え方としては考えておるわけでございます。ただその間におきまして、私はそういう筋で運ぶべきものだとは思いますが、中間連絡としてはもつと密接に連絡すべきではないかという御意見はあるかと思いますので、その点は今後もできるだけ私としても注意をいたすことにいたしたいと思います。ただ私は政府部内で審議をいたしております間に、日本学術会議から意見が出たことが五日の日にすぐ新聞にも出ましたし、いろいろ閣内から問題を尋ねられて処理をし出している間に、政府側としての腹もはつきりときめかねている間に大あらしになつてしまつたというのが、私の今日置かれている立場でございます。御意見の趣旨によつて、なるべく早く何らかの措置に出るべきことは申すまでもないところでございまして、本来ならば、早く政府部内の意見をきめて御相談を願うところを、中間の段階で審議が始まつたということになりましたので、相互に御連絡をしながら善後措置を私も考えて参りたいと思つて、なるべく早く措置をするつもりにかわりはありませんけれども、しからば具体的にいかなる措置に出ようかということについては、本日ここで言明申し上げるのは過早であろうと思つております。
○松永委員長 次は松谷委員。
○松谷委員 ただいま金子委員からもすでに御質問がありましたので、重複する点を避けさしていただいて、二、三お伺いしたいと思います。 前後いたすかと思いますが、ただいまの大臣からの御答弁に関連いたしてでございますが、大臣は厚生省の一つの意見をまとめてから国会に相談するのが順序であるというふうにお考えになられたというお言葉があつたのであります。今日当局としてのお協議の結果は、どのようなところにあるのでございましようか、それを一応承りたいと思います。
○橋本国務大臣 これは執行している法律の問題でもございますので、厚生省内の技術的な研究のほかに、当局としてよほど考えなければならない問題があるわけであります。何と申しましても、むろん大体論ではいけないので、できるだけ資料を見て考えたいと思つております。まだどういうことでどうするかというふうなことを申し上げる段階になつておりません。
○松谷委員 これはいつの委員会でございましたか、私その日をはつきり記憶いたしませんが、本国会に入つてからと記憶いたします。委員会において、その担当の係でおありになると了承いたしております山口局長に私御意見を伺いましたところ、局長のお考えでは、従前通りの御意見に相違はないというお答えをいただいたと記憶いたしております。これに対して局長は、現在もその御意見をお持ちでございましようかあるいはまた前回のその局長の御意見と、従来から新聞等で発表されております大臣のお考えとの間に、やはり相違するものがあるじやないかと私思うのでございます。ただいま大臣の御答弁で、まだ部内としての決定的な意見はないというお話でございますので、あるいはまたそこに相違があるのかとは思いますが、そうした点のお話合いは、部内においてまだ全然なされておられないのであるかどうか、その点も承つておきたいと思います。
○橋本国務大臣 この点は山口公衆衛生局長がそういう答弁を申し上げるのが筋でございまして、今日も公衆衛生局長の意見はかわつていないはずだと思います。私は公衆衛生局長からも、次官からも、これについて指示を仰がれたのに対して、あくまでも政府当局というものは定められた法律の執行の責任があるのであつて、要するに、事務当局というものはきまつたものを執行して行かなければいけない。今日の法律を今日の法律通りに良心的に執行するということについては、私が判断して何らかの指図をし、それが政府の意思決定として了承されるまでの間、それに違うような特別な考え方を持つた措置をとつたらいけないということを私は指令してございます。事務当局は全部完全にその線に沿つて動いておると思います。一切の立法的ないし将来の変更的措置は私の責任でありまして、事務当局は忠実に定められたことを執行すべきものでありますし、その点厚生省内は私はりつばに責任を果しておることと信じておる次第であります。
○松谷委員 ただいまの大臣の御意見は私も了承できるのでございますが、そこで私疑義が出て参りますのは、大臣が、少くとも法で決定した問題に対して、これを行政府が一つの責任を持つて執行する、その責任を果さなければならないという、その省内に対する大臣の御意見はこれを了といたしますが、私としてそういうお考えをお持ちになつておられる大臣が、少くともああした報道になるような御発言を大臣自身がなすつたということに、どうも私ふに落ちないところがあるのでございます。その場合少くともあの大臣の御発言の内容というものが、衆参の委員会でいろいろ取上げられる動機にもなりましたように、やはり一つの大きな問題を社会に投げかけておることは事実だと思うのでございます。そういうふうに、大臣が少くとも省内においてそれだけのお考えをお持ちになつておられるにもかかわらず、ああした大臣の御発表をなされなければならなかつた、あるいは御発言になられる一つの何か具体的動機、そういう具体的な事実、BCGによつての一つの集団的な弊害でございますとか、何かそういう具体的な動機があつたのでございましようか。その点もこれは前と重複するかもしれませんが一応お伺いいたします。
○橋本国務大臣 私はこう考えております。実は私のところに参りました抗議の文書、これには十分調べてくれということを言つて来られる方もあるし、それから結核予防法に対して疑義を持つた学術会議の意見を取上げたのはけしからぬという投書もあるのですが、その学術会議の意見を取上げたのはいかぬという投書の中に、こう書いてあるのがございました。結核予防法は国会を通つた法律である。国権の最高機関たる国会を通つた法律に疑義をさしはさんだ者の意見を取上げるのは、国会無視であるというような意見を言つて来たのです。これはどうも私は非常にむちやな議論と思います。私は事務当局は仕事を忠実に執行して行くのが責任であると思つておりますが、私といたしましては、執行している法律に対して何らか取扱いに対する注文なり疑問なりというものが出て来ました場合にはいやしくも今日執行している法律だから、疑義を特たれると困るというようなことで、これを伏せてしまうとか、あるいはこつそり扱うというふうなことは非立憲的じやないか、大よそ意見なり疑義なりというものは、これはできるだけオープンに解明されなければならないということを、私は始終考えておりまして、この問題についてもそう考えております。従いまして、日本学術会議から意見がございましたことが新聞紙上にも出ておりますし、これに対する措置というものを、私は事務当局に忠実に法律の執行をさせながら、立法論的にまたいろいろな面で取合うべき意見には取合つて行かなければならない責任があると考えております。動機云々というお話がございましたが、動機はまつたく日本学術会議というのは、今日の日本では学界の最高峯を集めたものと考えられておりますし、従つてそこに出ておられます方々はそれぞれの専門ということだけでなくして、いろいろな学者のグループの意見を代表しておられるのだと思いまするのでそこから取上げて出て来ました意見というものは、きわめて重要であつて、取合うか取合わないかということは、出た法律だから困りますけれども、やはり取合つて行かなければならないのではないかというふうに初めから考えておるわけでございます。
○松永委員長 ちよつと申し上げますが、ただいま両條約特別委員会の方から、民主党の並木委員から橋本厚相に対する質問があるそうです。それでもう十分くらいたてば向うに出席しなければならないというお申入れがございますので、厚生大臣に対する質問はあと苅田さんも残つておりますので、残余は他の当局に対してしていただいて、厚生大臣に対する質問だけにしていただきたいと存じます。
○松谷委員 ただいまの大臣の御意見の、法律に対して疑義が出た場合には、それを隠蔽するのじやなくして、それを真剣に取上げて事を運ばなければならないというお答えについては、私もまつたく同意見でございます。決してこれを隠蔽しようとか、それに対して改正を考えないとかいう、そういう問題を私は考えるものではありません。先ほど金子委員の御発言にもおありになつたようでございますが、少くとも大臣のお考えを一応省内でまとめられると同時に、やはりその法律をつくつた委員会に、一応の御相談があつてもしかるべきではなかつたかと思うのでございます。あるいはまた一面厚生省が一つの定見を持たれて、その学術会議の意見というものを、もう今日取上げなければならない段階に来たんだという、一つの御意見を持つてであるならば、また別でございますが、まだ今日その段階にも達しておられないという場合に、私はやはり金子委員の意見と同じように、大臣は一応立法府に対して、やはり御相談をさるべきではなかつたろうかと、これは決して国会無視とかいう問題ではなくして、少くとも法律を執行して行かなければならない、また事務当局はそれを執行継続なされなければならないという立場に立たれておつて、その場合の弊害が出て来たときには、事務当局と同時にまた立法府の大きな責任というものは、人命の問題に重大な影響を与える問題であるだけに、私どもは立法府とか行政府とかの一つの権力、あるいはなわ張りの論争の問題ではなくて、協力し合つて、一刻も早く解決をしなければならない問題だと考えるのでございます。これに対して先ほど金子委員も伺つておられましたが、なお大臣のこの問題に対する今後の方針、今日通りにこれをやはり継続して行こうとなさるか、あるいはまたこれに対してどういう処置をおとりになをか、現在の大臣のお考えを伺つて、あとは事務当局との質疑に移らせていただきたいと思います。
○橋本国務大臣 繰返して申し上げますが、私は実は厚生省内でも相談をし、また政府部内でも相談をいたしまして、また私率直に物を申しますが、自由党の党員といたしまして、党の政務調査会等とも相談をいたしました上で、国会の方にも適宜な相談をしたいと、実は初めから思つておりました。ところが、問題が並行してずつと起つて来てしまつたわけであります。今後の措置に関しましては、くどいようでございまするが、もう少し私は、重大でありますだけに、自分自身が材料にも目を通しそうして、何らかの判断をして、御相談をしたいと考えておりまして、今日ここでどうということをただちに申し上げるのはもう少し待つていただきたいと思います。
○松谷委員 ただいま御答弁いただいたのですが、具体的な現実問題といたしまして、日々健康診断は進められておりまするし、BCGの接種も、先ほど委員長からのお言葉にもございましたように、進められております。これを受けます側の立場といたしまして、あの大臣の御発言以来相当の不安——受けながら不安を持つており、不安を持ちながら受けているというような状態が、各所に出ておるのでございますが、なかなか一日や二日で今回のこの問題の結論というものは出るものではないと思います。その暫定期間、一つの不安というものを一応一掃して、その次の段階に進めなければならないという大臣のお考えはございませんでしようか。そうした何か一つの大臣の意見の発表なり、あるいはまた厚生省としての意見なり、私は何らかやはりその中間の——一つの中間報告と申してはおかしゆございますが、中間の一応の措置が何かとられていいのではないかと思うのでございますがいかがでございましようか。
○橋本国務大臣 私は実はその点は、残念でありますが、松谷委員の御意見を、必ずしも全面的に受入れいたしかねる、と申しまするのは、今日不安を、私が表明したということを言われましたけれども、そうではないので、不安を表明いたしたいのは、日本学術会議の第七部の医学の関係の方で下安を表明されて来たわけであります。私といたしましては、その表明された不安に取合うかどうかという、きわめて重大な責任者としての関頭に立たされたわけでありまして、ただいま不安を一掃しろということでありますると、つまり日本学術会議第七部全員が、きよう追認して参りましたが、その全員が不安があるのだという表明に対して、かりに暫定相にせよ、あの不安があるといつたのは違うのだということを、つまり学術を政治で割切るという形にならざるを得ないのではないかと思つておりますので、それはどうも無理じやないだろうか。やはり問題はそこに——今日私は、結核予防法は実に慎重な立法をされておると思いますけれども、罰則をもつて強制されている法律でない。その点は、ほかのものと違うという観点でありまするならば、先々の処置については、私もなるべく早くもう少し割切つた措置を講じたいとは思いますけれども、しかしどうにもきわめて重大な問題でございまするので、もう少し待つていただきたいと思います。
○松谷委員 私の質問の申し上げ方が悪かつたかと思いますが、私が不安を一掃していただきたいというのは、大臣の言われる通り、日本学術会議第七部から出ましたBCG自体に対する不安というものは、これは当然一つの学術的な論争として、過去から今日まで続いている問題として、これを大臣に云々していたたきたいということを申し上げたつもりではございません。そうではなくして、そういう過去からございました、とにかく法律を制定する時代からあの論争というものはあつたと私も認識いたしますが、少くとも当時でさえあつたその論争を、一体いずれをとるかということが、一つの政治の立場であつたと思うのでございます。あるいは厚生省の責任官庁としてのお立場であつたと、私は思うのでございます。少くとも今日の現実の姿が、過去からございましたそうした学術の論争というものの中に、政治自体が巻き込まれてしまい、あるいは行政官庁自体がそれに巻き込まれて、今日の不安、いわゆる学術上の不安ではなくて、一つの社会的な不安というようなところにまで問題を持ち込んだのではないかと私は思いますので、大臣の言われる通り、その学術的な一つの論争というものは、これは私どもしろうとが云々する問題ではないと思うのでございます、どこまでもその專門の科学者たちの一つの結論を私は待つべきだと思うのでございますが、その学術的な不安ではなくして、いわゆるそれを行政に移し、あるいはそれを立法に移して行く場合の、私どものつくり出す一つの社会的な不安というものを幾らかでも——不安という言葉が誤解を招くかもわかりませんが、今日問題になりましたこの点に対する日本学術会議が出しました不安というものが、今生まれたのではなくして、これは従来からあつた一つの論点だと私は今認識いたしておるのでございまして、これもあとで事務当局の方に、わかる範囲の一つの発展段階を伺いたいと思いますが、そうした点について、事新たに今突如としてこの問題が発展されたのではないという、その一応の真相と申しますか、そうした一つの段階にあるのだというようなことを、国民全般に厚生省の立場とされ、また少くともそういう論争を一応新たに取上げようとなすつた大臣の一つの責任からしても、私は国民の前にそういう問題について大臣がもう一度何らか発言をなさるべきではないかと考えます。
○苅田委員 議事進行について……。先ほど委員長からのお話で、橋本厚生大臣はあと十分ぐらいしかいられないという、それからもう十分近くたつたと思うのでございますけれども、私は今日の質問は、大臣がおられなくては、はつきりした御答弁はできない種類のことが多いと思つているわけなんです。それで條約の委員会の質疑については、私はあるいは次官がこれを代理して来られてもよろしいのじやないかと思うので、大臣には、この席でやはり御答弁を願いたい。そうでなければ、私の質問は全然意味をなさないと思うので、その点をぜひ私はお考えを願いたいと思うのであります。
○松永委員長 ただいまの苅田委員の御意見はごもつともでありますが、條約委員会の方からの要望がありますので、時間の許す限り、迎えに来るまでということでひとつ……。
○橋本国務大臣 松谷委員からのお話でございましたが、ただいまのお話につきましても、私先ほど申し上げましたように、どういうふうに具体的に措置をするかということにつきましては、もう少し私自身に検討する余裕を与えていただきたいと思います。
○松永委員長 次は苅田委員。
○苅田委員 私、本日もし質問できない部分は、條約委員会を終りになりましてから、あるいはできるだけ近い機会において、これは国民にかわつて、はつきり大臣の御所信を問いたいと思いますので、それまではぜひ私は質問をさせていただくつもりですからこのことをあらかじめ委員長に御通告しておきたいと思います。 第一番に、橋本厚生大臣は、本日の席上でも、十分な調査研究が必要だということを、繰返しておつしやつたわけであります。そうしてその十分な調査研究をするために、一時、この厚生委員会で、国会の決議でもつて発足いたしました法律の実施に、ある程度のブレーキをかけられても、あるいはむしろそのブレーキをかけることが目的のような談話さえ発表されておるのでありますが、それには私は大臣としてよほど明瞭な御計画をお持ちだつたろうと思うので、どういう方法によつて今後この問題を調査研究されるか、これは一に、結核予防法が今後どうなるか、BCGの強制実施の問題がどうなるかということにもかかつておるので、これにつきまして明瞭な御腹案をお伺いしたい。 特に私はこれに関連して、こういう点については、ぜひお答えを願いたいと思うのです。それは、この研究には、必ず予算が伴うと思うのでして、この研究のために、厚生大臣としましては、補正予算なりあるいは二十七年度予算なりに、どういうものを計上されて、そうしてこれだけ大問題になつておるBCGの接種をどうしようかという問題をきめられるために、これをなそうとしておるかという、その予算上の措置をお聞きしたいことと、それから現在のBCGの製造等につきまして、まだ非常な疑点が残つておるということは、言われておることでありますが、そうすれば、現在厚生省といたしましては、もつばら結核予防会に対しまして、あるいは委託生を出しましたり、あるいは研究費を出したりしておるのでありますが、今後はこういう方法でなくて、もつと別個な方法によつて、たとえば北里研究所であるとか、あるいは伝研であるとか、そういう研究機関をも動員して、この問題について即時結論を出すような方法を考えておいでになるか。この二点は明瞭な御答弁を私は得たいと思うのです。
○橋本国務大臣 ただいまのお話は、非常に先へ進んでおる話でありまして、私が今日問題にしておりまするのは、繰返し前から申し上げたつもりでありますが、学術会議の方で私のところに言つて参りましたのは、とにかくこの問題についてはあまりに疑問が多く、研究調査の余地が多過ぎるので、なお研究調査を要するのだということを言うて来ました。私はいやしくも研究、調査を要するのだとするならば、その間の進め方というものはあまり無理じいをしてはいかぬというふうに——阿部さんや兒玉さんの言う通りに、不自然なる結果だと思いまするので、研究調査をするというはつきりした決意をするかどうかということについて、いろいろ考え、またいろいろた政治責任の問題もあり、相談をしておる間に、問題が非常にはでに展開されたという形になつてしまつたのであります。研究調査をぜひする必要があるというような結論を、もしはつきり私が出しましたならば、その上で、その研究調査の方法というものをどうするか、その間における扱いをどうするかというふうに私は考えたいと思つております。今日まだ問題はそこまで参つておらないのであります。
○苅田委員 そうすると、厚生大臣がこのような重大なことを新聞記者に発表なさつたということは、これはただ自分は音楽が好きだというようなことを言つたり、自分はあすどこへ旅行するのだというようなことを言つたりするのと違つて、これは非常に重大な問題であつて、またこういうことを言えば、新聞記者がただ笑つて、そうですかといつて済ますものではなくて、必ずこれは国民一般に広がる重大な問題だと思う。研究調査をするということが、厚生省の方でまだ腹もきまつていないというような問題が、どうしてそういうふうな重大なことになつたかこれは私は非常におかしな答弁だと思うのです。
○橋本国務大臣 その点、私は非常に見解が違うのであります。私は研究調査が必要かどうかという問題が、この問題で一番大きな問題だと思うのです。それは当然、法的強制というものをどの程度に理解するかという問題になつて、あとは要するに政治家が政治で判断するというのではなくて、学術的に判断されて、そうして効能が非常に多くで、害が非常に少い、ことに生命的な危険はないのだということになつて来れば、むしろ結核予防法というのは、今のような中途半端な形でなくて、明治以来からやつて来ておる種痘と同じような形をとるべきだということも発展して来ましようし、いろいろな結果が出て参ると思うのであります。苅田さんはどういうお考えか知りませが私は、なお研究調査が必要かどうかとことが、今日私の責任として最大重要な問題であつて、これは私自身がかつてに判断するのではなくて、十分に討議を要する問題だと考えております。
○苅田委員 それではこのことを率直にお聞きしますが、厚生大臣があの談話を発表されました目的はどういうところにあると、われわれは了解したらよろしいのでしようか、それをひとつお聞きしたい。
○橋本国務大臣 学術会議からの申入れのありましたことは、五日の新聞にも出ておりまして、それ以来私は、閣内からもいろいろ尋ねられもし、あるいは記者諸君の方から尋ねられもしてやつて来たわけであります。私といたしましては、これはきわめて重大な問題であつて、私自身、格別これをとりたてて伏せておかなければならぬとか、あるいはとりたててぜひ言わなければならぬということでなしに、私の判断で、普通に行動して参つたつもりであります。
○苅田委員 そういたしますと、厚生大臣の当時の発言はきようおつしやつたように、国民の保健衛生を担当しておる厚生大臣として、格別国民に何らの注意を喚起するというような意味でなくて、ついうつかり自分の本心を話してしまつた、こういうふうに理解してよろしいでしようか。
○橋本国務大臣 さようではありません。私は、これは十分に究明して、何らかの結論を見るべき重大な問題と考えております。私はおのずから、ものを話す場合には、あまりくだらないことも話しませんし、秘密を要するようなことも話しませんし、十心心得ておるつもりでございます。繰返して申しますが、私はこの問題について、法的強制をするのに、なお研究を要するという問題は、きわめて重大であつて、研究を要するならば、法的強制というものはどうするか、結核予防法の現在の実施をどの程度の強制に解すべきかということは、十分に皆で検討しなければならぬ問題であると思いまして、私はあちこちに御相談をするもつもりでおつたわけであります。
○苅田委員 私は厚生大臣が何を言われましようとも、どういうふうにお考えになられましようとも、それをとやかく言うわけではないのですが、そうしますと、厚生大臣としては、学術会議の進言によつて、まだ別にこれをはつきり、政府として慎重に取上げて、もう少し調査研究すべきものだという確信もなく、ただそういうものを学術会議から言つて来られたが、これは何とかしなければならぬ、いいものはしたらいいが、BCGは厚生大臣としても疑点を持つておるのだからということを、国民がこれによつて知ることを望んで、こういうようなことをおつしやつたのでしようか。
○橋本国務大臣 苅田さんの御趣旨がよくわかりませんけれども、私は、人間の健康とか生命だとかいうものは、きわめて重大な問題であつて、全体的に相当効能があるから、何か問題があつても押しつぶしてしまうというような考えは持つておりません。従つて、こうした疑義については、これをきわめて重大に考えまして、BCGの法的強制というものをどう扱うか、つまりなおこれについての研究を要するというこうであるならば、その研究段階において法的強制をどう扱うかということについて、これはもう真剣に考えるべき重大な問題だと考えておるわけであります。それを私が真剣に心配をし、またそれを発言もし、相談もするということは、むしろ私の当然の職責だと考えておるわけであります。
○苅田委員 これはもうそれだけお答えをお聞きしますればよろしゆうございますが、ただ一点お聞きしたいことは、現在厚生省の中では、そういう疑点を、ただ外部の学者間の論争あるいは研究に待つという態度、あるいはこういう厚生委員会その他の場所での公の討議に待つという態度以上に、積極的にこの問題を省内でも何とか究明しよう、こういうお考えはお持ちになつておらないのですか。考えがあれば、当然それにつきましての物的な措置もあると思いますが、そういうふうに考えてよろしゆうございましようか。
○橋本国務大臣 公衆衛生局長に対しまして研究を命じております。その研究は、まず第一段階といたしまして、とにかくあらためて調査をするということは、これは一つの不安の種でもあり、疑義もあることですから、要するに今日国内的にBCGの予防接種に対するいろいろな不安なり疑点なりというものの報告を、率直にできるだけ集めるということが第一点、それからまた、これに対する内外の医学者の意見を集めることが一点、それからもう一つ、BCGに関する外国の法制的な取扱い、これもこの春のとき以後においても、なおいろいろ取扱われているという話も聞きますので、こういうようなものを調べて、なおBCGについて本格的に調査をするかどうかという決断の資料を得たいと考えて、命じております。その上で、それではあらためてBCGの効能なり、あるいは害があるとかないとかいう問題なり、あるいはまたこれをできるだけ改善して行く方法なり、そういうふうな物的な研究の方途については、これはもう二段目に考えたいと思つております。
○松永委員長 苅田委員に申し上げますが、大臣に対する御質問の残された点は、次会にひとつ保留していただくことにします。
○苅田委員 次会と申しますといつ……。
○松永委員長 明後日ということに予定しておりますが、ちよつと今部屋がとても混んでいるので、間違いましても今週中に……。
○苅田委員 それではできるだけ早い機会に質問を続行させていただきたいと存じます。
○松谷委員 事務当局に対して二、三お尋ねしておきたいのであります。先ほど大臣の再三のお答えの中にございました、大臣の発言の根拠となりました日本学術会議第七部会からの意見書、——今度申入れがございましたその一つの意見、あるいは研究段階というものは、かつて法律を制定いたします当時、当然当局でもいろいろと各学者るあいは各学会の研究を、調査または聽取されたここと確信いたしますが、その際の段階では意見のなかつた問題にまで発展した内容でございましようか。あるいはその当時とあまりかわらない内容であるという御見解でございますか。
○山口説明員 学術会議第七部会からの申入れは、先ほど大臣が申し上げましたよううに、言葉はどうかと思いますが、非常に漠然としたものでございまして、その正確な資料はまだいただいておりません。ただいままで私どもが口頭で伺つております範囲の問題につきましては、すでに本法を国会で御審議いただきました時にも、あるいは先ほど申し上げましたように、その前からすでに問題になつておつたことでございまして、それは結核の專門家の意見によりますれば、学術的な根拠がないというお話の問題でございます。ただ書面によつて正確な別の資料が出ますれば、これはまた別の問題でございますが、ただいままでに私どもの承知いたしております範囲では、すでに検討いたされた問題であります。
○松谷委員 なお重複してお尋ねいたしますが、そうしますと、今日出て参りましたあの申入れ程度の疑義、こういうものは、法制定当時もあつたけれども、これは一応その弊害以上にBCGの効力を認められて、そして法制定に発展したというふうに解釈してよろしようございましようか。
○山口説明員 ただいままでの口頭でのお話の範囲内でございますと、そういうふうに解釈していただいてけつこうだと思います。ただ先ほど申し上げましたように、文書によつて新しい資料が出て参りますれば、これは別問題でございますが、ただいままで私どもの承知いたしております範囲では、御意見の通りでございます。
○松谷委員 法制定当時、学術会議などから、ただ單なる、今私ども聞かされましたああした漠然とした抽象的な言葉による報告でなくて、もつと学術的な内容を持つた、もつと記録された、いろいろな研究材料を当局はお取寄せになつて、そうして御研究なさつたと思いますがそれはいかかでございましようか。
○山口説明員 法を御審議いただきます当時は、特に学術会議から資料を取寄せたということはありませんでしたが、それ以前に、すでに結核の専門家あるいはその他の方々から、いろいろな資料に基いて討議されておりました。そういうものを材料といたしまして、私ども原案をつくつたわけでございます。
○松谷委員 私しろうとでございますので、しろうとくさいお尋ねをいたしますが、先ほど局長のお話でございましたか、その中にも、そうしたBCGに対するいろいろの意見というものが、何か昭和十三年でございましたか、そのころからあつたやに承りました。そのBCGに対する学術的な論点、そういうものは、これはBCGに限らず、すべての問題にいろいろ論点はあろうと思いますが、そうした一つの疑点あるいは研究段階というものは、法制定当時から今日までに、それほどの大きな変化があるということを、これは局長のお立場として、厚生省の立場として、お考えになつておられましようか。あるいはそれほどの発展段階はない、やはり当時と同じような段階にはあるけれども、その一つの取上げ方というものの相違によつて、今日のような問題になつて来たという見方をなさいましようか、いずれでございましようか。
○山口説明員 学術会議からの正確な資料をいただかないと、何ともはつきりしたことは申し上げられませんが、ただ先生方から伺つておりますお話の、BCGによつて結核を誘発する、あるいはすでに存在しておつた結核が増悪する、あるいはBCGの接種によつて局所に潰瘍ができるというような問題に対しましては、特別な新しい発展は、ただいままでに伺つておる範囲ではないと存じます。
○松谷委員 今度の問題がいろいろやかましくなりましてから、BCGに対する躊躇というようなものが、やはり国民の中のある部分に出て来ているのではないかという点を、ちらほら聞くのでございます。そういたしました場合に、少くとも今大臣のお話では、とにかく研究するのだということでございますが、この研究するというそういう態度の中にも、従来でございますれば、当然その期間に受けているべきはずの方が、そうした一つの不安から、そういう意見がはつきりまとまるまで、あるいはBCGがどうだということの結論が出るまで、これは見合せておこうというような国民が、これはだんだんふえて来るのではないかということをおそれるのでございます。そういう事態があるいは来るだろうと私も想像いたしますが、そうした場合に、このBCGについて今日学術会議で持ち出されている一つの疑義、それによつてBCGの接種が少くなる状況、それから出て参ります弊害と、結核予防対策に対する効果あるいは結果から見まして、あるいはBCGを打つて出て参りますところの、その学術会議でいわれる一つの弊害と、一体どちらをとる方が、結核予防対策の上からいつて、妥当だとお考えでございますか。これを聞くことは、あまりに聞く方が妙なことを伺うかもしれませんが、私は一応次の段階に大臣に質問をいたしたいので、その一つの私の参考資料として、わかり切つたことでございますが、伺つておきたいのでございます。
○山口説明員 ただいまの御質問に対しまして、私の考えといたしましては、この際従来長年の研究の結果、法律にも取上げられましたし、相当効果があるというふうに認められておりますBCGによる接種が、行われないようなことが起るということは、これは結核予防対策上、非常に大きな損失である、こういうふうに考えております。
○松谷委員 なお、これは局長にお尋ねするのは、少しお門違いになるかと思いますが、先ほど大臣のお話の中で、これは塩田博士だと思いますが、何か保健衛生の件については、学術会議が申入れをあらためてなさつた。それに対して大臣が何か塩田博士に質問なさつた際に、保健衛生の件については、何か非常に言いにくい点があつたと言われておりますが、これは対外的な問題をさされてのことでございますか。
○山口説明員 ただいまお尋ねの点は、塩田先生の御意図がどういう点であつたのか、私よく了知しておりません。
○松谷委員 少くとも国内的にそういう問題があるということをお考えでございましようか。保健衛生のことについて言うことが、非常に言いにくい点があつたという……。
○山口説明員 私といたしましては、そういうふうな点はないと考えます。塩田博士はどういうふうにお考えになつて、そういう御発言をなさつたか、私よくわかりません。
○松谷委員 私の質問は、きようはこれで終ります。
○松永委員長 他に本件についての御質疑はありませんか。 —————————————
○松永委員長 それでは次に災害救助に関して、今回西日本並びに東北を襲いましたルース台風の被害状況についての御説明をお聞きしたいと思います。木村社会局長。
○木村説明員 簡單に台風の状況と、これに対します措置とにつきまして、御説明いたします。 十月の十四日に本土を襲いましたルース台風の被害は、非常に大きなものでございまして、昨年のジエーン台風よりもはるかに被害の程度が大きい上に、鹿兒島県のごときは、昨年の大阪府に対します被害よりも、大都市がないにもかかわらず、非常に大きいというような報告であります。また山口、広島、徳島等におきましても、局地的に、狭い範囲でございますけれども、その範囲に対しましては、非常に激甚な被害を与えておるというような状況でありまして、交通が杜絶いたしましたり、通信がなかなか復活のできないような被害を受けたのであります。 これに対します措置につきましては、情報をとりますだけでも、相当困難なありさまであり、救助の措置も非常に困難をいたした状況であります。鹿兒島、宮崎、熊本、佐賀、福岡、長崎、大分、徳島、広島、山口、愛媛、和歌山、島根各県とも全部または一部に災害救助法を適用いたしまして、災害救助法による救助を実施いたしております。各県とも、今回は相当の救助準備をしておるようであります。ただ中に二、三の県におきまして、その救助が十分でないというところもあるようでございます。 厚生省といたしましては、十月の十四日にルース台風の参りますことがわかりましてから、これに対して各県との連絡につきまして準備をいたしておつたのであります。厚生省のとりました措置につきましては、先般お手元に配付いたしました資料に書いてあります通りでございます。私たまたま鹿兒島県に行つておりましたので、鹿兒島県並びに九州各県に対しましては、連絡の措置を十分とつて参つたのであります。なおそのほか、厚生省から災害関係の事務官を二名ずつ、鹿児島、宮崎、大分、山口、広島の三班にわけて派遣いたしまして、災害救助の措置についての指導並びに調査をいたさせたのであります。 なお十月の十六日に、ララの救援物資を、お手元に配付いたしました資料のように配分いたしました。これはララ委員会の特別の決定によりまして配分いたしたのでありますが、なおその後災害の度が非常に大きい状況でございますので、これに対しまして前に配分いたしました二倍以上のララ物資の配分につきまして、ララ中央委員会の決定を得まして、これも発送をいたしております。 それから応急仮設住宅につきましては、昨年のジエーン台風以来、非常に災害の大きな場合に応急仮設住宅を建設することを認めておるのでございますが、今回の台風につきましては、局地的でありますけれども、非常に大きな被害を与えております関係からいたしまして、応急仮設住宅の建設戸数を増加いたしまして、従来ジエーン台風の場合におきましては、流失、全壊戸数の一割を建設することを認めたのでありますが、今回は市部につきましては一割、郡部につきましては二割という大体の限度を、大蔵省の方と話合いをつけまして、地方の方にやることを認めておるのでございます。これに対します災害救助が、経費を節約すると申しますか、十分出しかねているという県が二、三ございますのは、御承知の通り前々御指摘になつておりますように、一定の金額までは国庫補助がないという、現在の災害救助法の補助の仕方によるものであるというふうに考えるのであります。鹿兒島とか山口というふうに、すでに今回の災害につきまして非常に大きな補助を受け得るというところにつきましては、割合に災害救助の手は十分に打たれるというふうになつております。なお災害救助費に対しまする国庫補助の交付につきましては、現在予算を私どもとしまして五千万円持つておりますので、第一次分といたしまして、今週中に鹿兒島に対して三千万円、山口、大分につきましては各七百五十万円、宮崎に対しましては五百万円、これだけを交付する予定で準備を進めております。 大体現在とつておりまする措置並びにこれに関連ありまする諸問題につきましては、以上の通りであります。
○松谷委員 ちよつと部分的な問題でございますが、ただいま報告をいただきました点ではございません、熊本県の天草でございますが、これは熊本県内には入つておりますが、地理的にむしろ鹿兒島に近うございまして、今度のルース台風の歩きました道のやはり通り道になつております。熊本県としてはララ物資の対象にもならず、また全体の総額からもたいへんな——これは第一位ではございませんが、天草地帶の実情から、熊本県並に扱われては非常に困るという陳情が、盛んに地元から出でおりますので、これを鹿兒島県並に、一応島でございますから、切り離して、何とか対策を立てていただけないものか、お考えを伺いたいと思います。
○木村説明員 ララの物資につきましては、県の被害全体が、一定限度以上に達した場合のみに、これを出しておるのでございます。しかも現在御承知の通り、ララの物資はきわめて在庫が少うございます。しかも、ありまするものが、ほとんど婦人用のものばかりでありまして、男性のものはございません。そういつたような状況でございます。そういうような関係で、今回のララの方からの援助物資というものは、従来に比べまして若干少いようでございます。これはもう在庫まで拂いましてその程度でございまして、今向うから来るような予定はあるようでございますが、そういうような状況といたしまして、ララといたしましては、現在精一ぱいのことをいたしておるようであります。従いまして、これ以上のことをいたすというのは、おそらく現在のところとしましては、困難じやなかろうかというふうに私は聞いております。
○松谷委員 ちよつと重ねてお尋ねしたいのですが、そういう場合に特に陸続きでなくて孤島でございますので、そしてまたこれを一つのただ地域的な県別として一律に——救助法の問題は別といたしまして、具体的な措置として、特に厚生省の方では、そうした災害者に対する処置を特別に何かおとりいただくような方法はございませんでしようか。
○木村説明員 熊本県といたしましては、御承知の通り県内は——県内と申しますか、陸地の方は大した被害はないのでありまして、ここにあります被害は、大部分天草でございます。しかしながら、今までララから援助物資が配分されておりますのは、やはり県全体として相当の被害があつたというような場合に限つてやられておりまして、従来からいたしております基準に、たまたま熊本等は当てはまらないというような現況でございますし、現在特に物資が非常に来ておらないというような状態でございますので、特別にこれ以上配分するということは、困難じやなかろうかというように私は考えております。もちろん私の方は、ララの方に災害状況を通報いたしまして、向うの委員会の御決定によりまして出しておるのでございますが、私どもといたしましては、現在の在庫状況等から見ましても、これをお願いするというのは、無理じやなかろうかというように考えております。
○青柳委員 ちよつとお尋ねいたします。災害救助の費用でありますが、この概算的な処置が行われたということを承つて喜んでおるのでありますが、本年度の補正予算に、災害救助の費用が相当計上せられておるかどうか。もし計上されておらないとすると、残りの部分が来年になつてしまうのでありますが、その点はどうでありすか。
○木村説明員 この補正予算を組みます場合には、もう災害がないものという一応の見通しで、五千万円を持つておつたのでございますから、別に災害の補正の方はいたさなかつたのでありますけれども、大体災害救助費は予備金で出るのが原則であります。予算は一応とりあえずの応急的なものに措置するために持つておるわけであります。従いまして、私の方といたしましては、予備金の方からできるだけ早く出るようにという十全の措置を考究いたしたいというふうにに考えております。
○青柳委員 その予備金というのは、災害復旧の予備金の中に入つておるのでございましようか、全般的の予備金でありますか。
○木村説明員 これは災害復旧の方ではございません、一般的の方の予備金でございます。
○青柳委員 そういう予備金から早く出していただかなくちやならないのでありますが、現在どの程度予備金が残つておりますか。
○木村説明員 私も詳しいことは知りませんけれども、大体五億円ぐらいは今あるというふうに聞いております。従いまして、これが全部こちらにまわるかどうかわかりませんけれども、われわれといたしましては、災害救助という仕事の性質にかんがみまして、できるだけこれから概算交付として、当然出さなければならぬ程度のものは出すように努力いたしたいというふうに考えております。 —————————————
○松永委員長 他に本件についての御発言もございませんようですから、この際委員派遣承認要求の件についてお諮りしたいと存じます。——ちよつと速記をやめてください。 〔速記中止〕
○松永委員長 それでは速記を始めてください。 先般今回の台風の災害状況を調査するため、相当多くの委員会が委員派遣の申請をいたしたように承りましたが、当委員会といつたしましては、時間的な余裕もございませんので、これを見送つた形となつたのでございますが、今後時間に余裕のある時期となりましたならば、災害救助を所管に持ちます当委員会といたしましては、現地調査の必要を生ずることと存じます。その際委員会を開きまして御了承を得ることができますれば、けつこうでありますが、それができない場合もあろうかと存じますので、その節は本件に関しましては、すべて委員長に御一任願つておきたいのでございますが、そのように決するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松永委員長 御異議なしと認めそのように決します。 本日はこれをもつて散会いたします。次会は二十七日午後一時より開会いたします。 午後三時四十七分散会