経済安定委員会 第4号
- 発言数
- 67 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1951/11/02
会議録
○圖司委員長 これより会議を開きます。 本日は事業者団体法等に関する件について、その説明を聽取いたしたいと存じます。まず政府当局の説明を求めます。公正取引委員会委員長中山喜久松君。
○中山政府委員 独占禁止法が実施せられましてから四年三箇月ばかり、事業者団体法が実施されましてから三年三箇月ばかりを経過いたしまし、たので、その間この法律の実施機関である公正取引委員会が何をなして来たか、また最近いかなることをなしつつあるかということ、及び当面の問題でありまするこれらの法律の改正につきまして、最近の模様をこの席上において述べさせていただきたいと思うものであります。 この約四年三箇月の間に、どれだけのことをなして来たかということにつきましては、全般的に数字でもつてお手元に差上げました通り、御報告を申し上げておりますが、そのうち、これらの法律に違反事件として審判開始決定または勧告をいたしました事件が、どれだけであるかと申しますと、これは大体今日までに百九件に達しておるのであります。この百九件のうち、独占禁止法関係のものは六十三件、団体法関係のものは二十九件、両方に関係しておりますものが十七件ということになつております。なおこれを年度別の増減につきまして見まするに、勧告または審判開始決定をいたしました事件は、昭和二十二年度には六件、二十三年度には四件、二十四年度には四十三件、二十五年度には四十六件となつておりまして、本二十六年度に入りまして十月末日までのものは十件となつております。 これをわが国の経済情勢の推移と対比してみますと、わが国の経済がまだ国の統制のもとにありました二十二年度、二十三年度におきましては、これらの法律の違反に問われますることはきわめて少かつたのでありますが、二十四年の九月、御承知の通り石炭の統制撤廃を初めといたしまして、漸次自由経済に復帰するに至り、しかも同時にデイスインフレ政策に伴う購買力の低下、滞貨の累増というような圧迫もありまして、これらの法律の違反に問われなければならぬような事件が、急激に増加いたしたのであります。ところが昨年の六月朝鮮動乱が勃発いたしますと、これを契機といたしましてやや景気が回復をいたしました。これに伴いまして違反事件も減少いたしたのでありますけれども、また今年に入りまして、マリク声明に伴う朝鮮の休戰会談が開始せられたというようなことから、景気が後退いたしましたために、問題となり得るような被疑事件も先般来増加するという傾向が見られるのであります。 最近におきまする違反事件の内容につきまして簡單に申し上げますが、本年の四月以降におきまして、勧告をやり、または審判開始決定をいたしました事件は、先ほど申し上げましたように、総計十件でございますが、このうち最も多い事例は、価格についての協定、及び事業者団体による滞貨の統制行為、またはその準備行為というようなものでありまして、皮革製造業者による価格の協定、日本電気工業会、日本羊毛紡績工業会が行つた基準価格の設定、または全国理容師連盟等の行いました理髪料金の統制等がこれに当りまして、総計七件となつております。なおこのほかの三件といたしましては、教科書の販売につきましての制限、または販売業者の数の制限に関する事件、及び新聞販売についての排他的取引に関する事件等でございます。 なお最近これらの違反事件の処理につきまして、若干特徴的な点を申し上げますれば、今まで審判開始決定をいたしましたものの中でも、違反事実の認定ができず、または違反を排除するための何らかの措置を命ずる必要がないと認められた結果、審決をもつて審判開始決定を取消した事件が本年の二月に二件ございます。また従来諸般の情勢からあまり用いられておりませんでした勧告という方法による違反の排除措置というものも、最近若干の事件につきまして用いることにいたしておるのであります。 以上申し上げました違反事件のほかに、この違反事件を処理いたしておる間におきましても、わが公正取引委員会といたしましては、一々こういう勧告とか、審判開始というような法的措置によらずして、行政的な措置によりまして、この独占禁止法または事業者団体法において期待せられるところの国民的利益を、擁護いたしますように努力をいたして来たのでありますが、最近におきまするその主要な実例といたしましては、本年の七月に化学繊維業界において操短の動向がありますことを見まして、これに警告をいたしたということであります。なおもう一つはすでに御承知のことと思いますが、文部省の学童給食用大豆の加工方式につきまして、文部大臣に申入れをいたしたというようなことで——文部省については違反事件とはむろん言われないのでございますが、違反事件ではなく、この法の精神を徹底させる意味におきまして、行政的な措置をとつた事例なのであります。 以上が概略最近における公正取引委員会の主要な業務の状況を申上げたところでございます。 次にこれらの両法につきましての改正問題につきまして、最近どういう情勢になつておるかということなのでありますが、これをやや経過的に申し上げますと、先ほど申し上げましたように、一昨年の九月以来、だんだん自由経済というものに復帰いたしましたが、これに加えて当時政府のデイス・インフレ政策というものが行われまして、一般の購買力が低下いたしましたために、昨年に入りますと、企業間の競争は急激に熾烈となりまして、それがために協定による生産制限が各協定によつて激しい競争を避けようという動きが現われました。これに伴いまして、この独占禁止法または事業者団体法の違反が急に増加いたし、その当然の結果としてこれらの法律に対する批判の声が高くなつて来たのであります。ところが昨年の六月に朝鮮事変が勃発いたしますと、この一時後退いたしておりました景気が回復いたしまして、従つて前に申し上げましたような動きというものは、漸次影をひそめたのでございますけれども、他面朝鮮動乱の勃発を機会といたしまして、世界はあげて軍備拡張の方向に向い、特にアメリカ経済は、国防生産法の制定などによりまして、急速に統制経済に移行いたしたために、わが国におきましても、再び統制が論議せられることとなつたのであります。しかし今回は、従来の、実情を無視した非能率ないわゆる官僚統制を否といたしまして、経済界のこれに対する自主的統制を可とする声が圧倒的になつたのであります。しかしながら統制において自主的統制の方式をとるということになれば、御承知のように現状では当然独占禁止法及び事業者団体法に抵触せざるを得ないということになるのでありまして、ここに再統制論議にからんで、これらの法律の改廃論が各方面で論議されるということになつたわけなのであります。なおこの間におきまして、事業者団体法につきましては、当委員会におかれましては、つとに事業者団体法に関する小委員会を設けられまして、この法律の改正に努力せられて来られたということは世間のよく承知しておるところでございます。しかし何と申しましても、この両法の改廃論が強力にかつ具体的にとり上げられて来たというのは、本年の五月一日に、リツジウエイ総司令官が占領下に制定された法令の再検討を認めるという旨の声明をいたしまして、その後政府もいわゆる政令諮問委員会を設けまして、これに経済法令の検討の一環として、独占禁止法及び事業者団体法の研究を依頼したということは御承知の通りでありまして、政令諮問委員会は数次にわたる検討の結果、これらの法律の改正について、一応の結論を得ましたようでありまして、これを内閣に報告したようであります。内閣はこれに基いて改正の要綱をつくりまして、七月に至りまして関係方面と折衝を始めたのでありますが、これに対しましては、まだ関係方面より何らの回答がなされていない模様でございます。なお公正取引委員会といたしましては、それらの法律を施行して参りました経験に徴しまして、反トラスト政策の遂行という観点から、つとにこれらの法律の改正ということにつきまして鋭意検討を続けて参つたのでありますが、実はまだ最終的な結論を得るに至つていない状態なのであります。 以上簡單でございましたが、独占禁止法及び事業者団体法の最近における施行の状況と、これらの法律の改正問題について一応の御説明をいたしたわけてございます。
○圖司委員長 これにて政府の説明は終りました。この際質疑があればこれを許します。永井英俊君。
○永井(英)委員 少し行き過ぎた質問かもしれませんが、講和後において、事業者団体法なり、独占禁止法なりが、日本の独自の建前からこれを改廃することができるかどうかという御意見をお聞かせ願いたいのであります。
○中山政府委員 ただいま独占禁止法及び事業者団体法について、日本独自の立場から改廃ができるかという御質問であつたように思いますが、日本の法律であり、日本の国会が制定せられたる法律である以上、原則として日本独自でこれが改廃をなし得るものである、こう私は考えております。
○永井(英)委員 しかし私どもはむろん講和後において独立をした場合には、原則としては当然そうでなければならぬと思うのであります。しかしこの独占禁止法あるいは事業者団体法については、従来の戦争前の日本の貿易の関係等から考えてみて、野放しにこのままに放つておけないというようなことがあつた場合に、独立はしても、ある程度のにらみが日本に及んで来るのではないかということが懸念されるわけでありますが、こういう点はどうでしようか。
○中山政府委員 この問題につきましては、日本がこの両法律を、ことに独占禁止法を制定いたしました根本の機縁と申しますか、ゆえんから申さなければならないと思いますが、これはすでに皆さん御承知の通りでありまして、ここに私が特に申し上げるまでもないことと考えます。しかしただいま御質問になりましたようなことにつきましては、十分考慮をしなければならないことだと考えております。日本がサンフランシスコにおいて平和條約を調印をいたしました。この平和條約につきまして、世界の自由主義国家の四十八国が調印してくれたということにつきましては、彼らの代表の演説によりましてもわかりますように、日本は軍国主義の国ではなくなつた。平和的、民主的な国家になつたのである。また今後も平和的、民主的国家として立つて行くであろうという、信頼し得る状態にあるという前提のもとに、この調印が行われたものと私は考えるのでありまして、従いまして、今後日本が民主主義的ないかなる行動をして行くかということにつきましては、非常な関心を持つておるであろうと考えます。ことに政治の実体であるところの経済に関する民主化ということにつきまして、自由主義諸国の関心というものは重大なるものであろうと私は考えておるのでありまして、ただいまお話のありましたような点について、十分注意をして行かなければならないんじやないかと考えておる次第であります。
○永井(英)委員 現在の独占禁止法において、私どもが最も不便だと思うような点を申し上げてみますと、ここに一つの会社があつて、そしてそれはどうしてもある程度助けてやらなければ、どうしてもうまく行かないという場合に、業種が違つたところでもつてこれを助けるということは、事業の実態もわからないので、なかなか援助ができない。ところが同じ業種であればその事情もよくわかつているので、助ければ十分助け得る。そういう関係にあつて、しかも独占禁止法があるために、その会社が行き詰まつているのを助けてやることができない、こういうような部面が相当あるようであります。それで現在の独占禁止法によりますと、役員及び従業員がそこの株を持つてはいけないというような、非常なきつい制限があるために、どうしても手が出せないというようなことで、みすみすその会社がうまく行けないというような場合が相当あるようでありますが、こういう点はどういうようにお考えになつておるか、ひとつ御意見を伺いたいと思います。
○中山政府委員 ただいまのような事例、及びこれに関する不満、不都合というものにつきまして、われわれは常に訴えられておるのであります。なお私個人といたしましても、従来の経験に徴しまして、まことに不都合な点があるということは考えておるわけでありまして、現状としては、むろんお話のように、競争関係にあるとすれば、その株は持てないわけでありまして、不可能なわけでありますが、これらの点につきましては、十分今後の改正論議の上において考慮しなければならない点であろう、こう考えております。しかしながら友誼的に援助するという意味において株を持つということが、はたして唯一の方法であろうかどうかということも考えなければならないのでありまして、そういう場合にも株を持てるということにする害が、友誼酌援取の場合の利益よりも多いというようなことになりますと、全体的な立場におきまして、また大いに考慮しなければならぬ点があるのじやないか、こう思つておる次第でありまして、十分研究しなければならない点であろうと考えております。
○圖司委員長 志田義信君。
○志田委員 先ほどから中山政府委員のお話を承つておりまして、国民の利益になるようにやりたい、経済に対する民主化を考えて、独禁法に対しては、不都合な点は、個人としてもいろいろ直して行きたいというようなお話でありましたが、国民の利益にならないようなことで、しかも公取が株の取得に対して反対して、そうしてその結果株の分散をさしたいという事実があつたことはないか、それをひとつ承りたい。
○中山政府委員 国民の利益になるということははなはだ議論めくかもしれませんが、法律そのものは、国民全体の利益という観点からつくられておるものである。そうして独占禁止法の各箇條すべてしかりということでありますれば、独占禁止法の定むるところによつて処置するということが、それ自体国民の利益にかなつておるものである、こう考えざるを得ないと思うのでありまして、そういう意味においての処理はありましたが、特に国民の利益にならないような処理をしたという事例はなかつたように思うのでございます。
○志田委員 国民の利益にならないようなことはやつておらない、法律は全部国民の利益になつているのであるから、そのつもりで法律に照らしてやるということになれば、改正法も何もいらないことになる。その法律を施行する面においていろいろ不都合な点がある、少くとも国民の利益にならぬ点がやはり出て来る。そういう過程において、講和後におきましても、あるいは講和以前におきましても、本法改正の要望が、本委員会その他におきましてもあつて、あるいは公取自身におきましてもお考えになつているのではないかと思います。その点は議論になる点でありますから申し上げませんが、先ほどのお話の中に、株を持つことが唯一の方法であるかどうか、これを考えてやつているというお話でありましたが、株を持つことが唯一の方法であるか、あるいは中山政府委員のおつしやつたような友誼的な援助の場合の方がよいかという判定は、どういう基準でなさつているのか、それをひとつお伺いいたしたい
○中山政府委員 私の先ほど申し上げましたのは、法律を改正するといたしまして、競争関係にある会社に無制限に株を持たせる方の害が大きいか、またそのことによつて、つまり援助ができ得るということの利益の方が大きいかというかね合いの問題があるだろうということを申し上げておるのでありまして、この点につきましては、いずれが大であるかを十分研究した上できめて行かなければならないのではないか、こういう見解を申し上げておるだけのことであります。
○志田委員 これはひとり公取の見解だけでおやりになられると、非常に問題が出て来ると思う。そこで私は具体的な実例を申し上げてもいいのでありますが、具体的な実例ではいろいろさしさわりもあるでありましようから、少し御遠慮申し上げます。話の都合によつでは具体的な話を申し上げてもいいのでありますが、つまり友誼的な援助の場合でいいということと、あるいは無制限でも——これは今あなたは無制限とおつしやいましたが、無制限ということは私はどらかと思います。無制限に持たしておくという、そういう会社があるかどうかわかりませんが、株を持つことが唯一な方法でないという判定を下すには、何かそこに基準が公取としてはあるのではないか。その基準をどうなさつておられるのか。その点を私はお尋ね申し上げておるのであります。
○中山政府委員 ただいまのところは、独占禁止法の法律の定める通りが、それ自体が基準になるのでありまして、第十條にあります通り、競争関係にあるものは株を持てないということが行われておるだけなんであります。
○志田委員 第十條で定めておると言いますけれども、一体Aの会社がBの会社の株を持つことによつて、そのBの会社が非常によくなつて行く、それがひいて日本の国民の利益になるというようなことが十分ある。そういうことは法律の中にはないと思うのですが、そういう点もやはり十條で示しておられますか。
○中山政府委員 現在の法律によりますれば、競争関係にある場合は、一株といえども絶対に持てないということになつております。
○志田委員 そうすると、あなたの先ほど申したことには多少相違があるということになりますが、そうではありませんか。
○中山政府委員 先ほどの永井さんの御質問は、今後の改正についての御質問であつた、こう考えて、その場合にいかなる方法でこれを考慮して行くべきかということを申し上げただけなんであります。
○志田委員 私は前委員の質問のことを聞いておるのではないので、私は志田と申しますから……。この志田委員の質問に答えていただきたいと思います。混同のないようにひとつお願いいたします。私の申し上げるのは、法律の十條に規定しているから、その法律の定めによつて、あなた方はそういうことをなさつておると言われるのですが、それを受ける方では、少くともその事業活動の結果、その株を取得することが、国民のためにもなり、国のためにもなる、またその会社のためにもなるということがあり得ると思う。そういうときに、あなたの方は、いや、それでも十條の規定があるから、友誼的の援助の方がいいというような判定を下すことがあつたかなかつたかということで、それをひとつ伺つておきたいと思うのであります。
○中山政府委員 私がたいへん誤解をいたしましたことはおわび申し上げますが、現状におきましては、法律の十條の定める通りにやつておるわけであります。
○志田委員 そうすると法律の十條の通りにやつておる。ところが表面は株を持つことを禁ずる。事実においては、その事業経営の状態からすれば、その株を取得することが、その事業を伸ばして行く上において非常にいいという事例が今までございましたですか、なかつたですか。あなたの取扱つた中に、法律は法律でしかたがないけれども、実際にはこれは株を持たせた方がいいのであるというふうにお考えになつた事例はございませんか。
○中山政府委員 私は一々の事例について実は十分記憶をいたしておらないのでありますが、株を持たせた方が援助に都合がいいというふうに、特に痛切に感じたという事例も、今ここに申し上げかねるのでございますが、ただ一株も持たさないというふうにまでしなくてもいいのではないかということは、ときどき感じられることもあるわけであります。しかし先ほどから申し上げておりますように、現状におきましては、非常に嚴重な規定になつておるということを私は痛感いたしております。
○志田委員 もちろん私は、中山政府委員の頭が、電話帳の名簿のようにどこを引いても答えがでると思つて申しているのではない。しかし少くとも第十條の定めではこうなつているから、それは株を持たせてはいけないけれども、しかし事実においては、その会社の経営をして、発展して国民のためになつて行くということが、あなたの方でも十分考えられた場合におきましては、法律はそうなつているが、実際においてその会社を運営でき得るような何らかの方法を示唆した事実はございませんか。あるいは今までそういう方向に持つて行つた会社はございませんか。それをお尋ね申し上げます。
○中山政府委員 どうも私、記憶がはつきりいたしませんで、事例をあげることができないのでありますが、そういう事例にぶつつかることは必ずあると私は思いますが、法律の許す範囲内におきまして、こういう問題はできる限り国民の利益になるように解決して行きたいということは、常に考えております。
○志田委員 それでは角度をかえて——あまり鋭角な質問をすると、あなたはたいへんおとなしい人のようですから、(笑声)何か影響を與えてはいけませんから、鈍角に質問を申し上げる。別にそれでどうこうというわけではないのですが、たとえばAの会社が、しかも今国として非常に必要とする生産をやつている会社が、Bの会社の株を自分の方に吸收したいというような考えをもちまして、現に六〇%なり七〇%の株は持つておるけれども、それだけでは経営の万全を期せられない。自分の方から重役も行つているけれども、万全を期せられない。どうしてもこれは自分の方に引取つてやろうというような希望なり意見なりが出た、公取は独禁法にさわるといつて、一応大上段に最初はおどかしておきながら、あとでは、それではこうしなさい、ああしないといつて、事実においてはその会社が株を取得しているにかかわらず、表面だけはその株を分割しておるというような実例があるやに、私たちは聞いておるのですが、あなたは今までそういうことをなさつたことはございませんか。
○中山政府委員 公正取引委員会及び委員長といたしましては、そういう指導をいたした例は覚えておりません。
○志田委員 私はそういうことが悪いというのではない。誤解されては困るのですが、決して悪いと言つておるのじやないのですよ。むしろ私たちにしてみれば、法律を改正する前夜において、法律改正はいろいろ政治的な、国際的な影響があつてまだできない。しかし実際日本の産業をそこまで持つて行くためには、やはり経営能力に自信のある人に経営させるということが非常にいいことである。そこで公取としては、それは十條の法律の定めには違反するけれども、何とか違反にならないように処置してやろうということを、今までやつたことがあるかどうかということを聞いておる。あなたは国民の利益に在ることは大いにやると言つておきながら、ここに来ると十條の法律に全部入つておつて、顧みて他を言うようなことを言つておるのですが、私はそういう点をもう少し追究したい。そういうことがあつたかどうか、ないとすれば少し実例をあげたいのですが、あつたかなかつたかということをお伺いします。
○中山政府委員 ごもつともな御質問と考えておるのであります。この法律の十條の上におきまして、非常に困難な問題にしばしばぶつかつておりますが、また十條と申しましても、いろいろ規定がまだほかに一項、二項、三項とございまして、いろいろな点におきましてそういう国民的利益になるものにつきましては、できるだけ日本のためになる解決に持つて行こうということは、従来また今後といえども考えておるのでありまして、今後の改正論議においても、そういう点が非常に考慮されて行くのじやないか、こう思います。
○志田委員 あなた方では、一般からの報告がありまして、そうしてそれに対して審査をして判決をする、これはむしろ事犯のあとにおいてあなたの方で処理せられる、あるいはその他に対して違反の検査については処置される、こういうことになるだろうと思うのですが、公取としては予防的な立場から、やはりこうした方がよい、ああした方がよいということを、それらの会社に対して知らしてやる、予防的な立場でそういう法律違反をしないようにしてやるということは、公取の態度として、あなたたち公取の存在に決して反するものではないと思つている。そういう予防的な処置を今までとつた会社があると思うのですが、あなたは記憶ございませんでしようか、それをお尋ね申し上げるのです。私は、そういう予防的な処置をとつているということこそ国民の利益になる方法である。私は、法律は全部国民の利益からなつたものということはわかつておりますけれども、その法律の適用において緩急よろしきを得なければならぬことは御説の通りでありますから、その予防的な立場で、こういうふうにした、ああいうふうにしたという事例が今まであつたろうと思うのです。今私たちのところに来ている資料の中にはそういうものは見当りません。株式におきましても、あるいは社債その他の状況におきましても、この「届出、認可申請処理状況一覧表」を見ましてもそういうものはない。それをあなたにお尋ね申し上げたい。今までないとすれば、将来——将来といつても今日以後は将来でありますが、将来においてもそういう予防的処置はとらないかどうか、それをひとつお尋ねします。
○中山政府委員 法律の実行につきましてのただいまの御説は私もしごく同感であります。いたずらに事犯をあげて行こうというような考えではよろしくないのでありまして、この法律の精神を十分世間に理解させ、またこの法律に違反しないような行動に導いて行くということが、われわれの一つの責務であろうとも考えておりまして、常にそういう感じは持つておるのでありますが、そういう予防的なことは、実は私の方は、法律の上では正面切つてできないことなんであります。それで実は相談部というものを設けてございまして、この相談部の窓口を通しまして、そういうあやまちのないようなことを期しておるわけであります。
○志田委員 公取ができましてから、法律の建前は別とし、同じ日本の国を愛する至情からそういう予防的処置をやつておられる、相談部ができて、その相談部の窓口でそういうことを指示してやつた件数はどのくらいになつておりますか、ちよつとお知らせ願います。
○内田(藤)政府委員 ただいまの御質問でございますが、相談部に持つて参ります事件が、みんな御質問のようなことであるかどうかはちよつと申し上げかねますが、大体毎日三件くらいの相談がございます。それでございますから、総計いたしますと相当大きな量になるわけでありますが、そのうちで、御質問のごとく指導いたしまして、こういうふうにしたらよかろうというふうに、特にそういう事件が一体何件あつたかということは、ちよつと正確に申し上げかねます。そのうち相当部分あつたと思います。
○志田委員 その結果はどうでございますか。
○内田(藤)政府委員 聞いて参りましたあとでは、実際どうやりましたかということを調査いたすことはむずかしいのでありますが、大体われわれの方に相談の結果、こつちの注意と申しますか、勧告と申しますか、そういうものに従つてやつているものだと考えております。
○志田委員 そういうふうなお考えから相談部ができて、窓口に毎日三件くらい来て、あなたの方が法律にも抵触しないように、しかもその事業が円満な発達をするようにということで勧告しておられる。その勧告をしておきながらその結果を調査しないということはどういうわけですか。勧告しつぱなし、指導しつぱなしにしておいて、それがまた独占禁止法にひつかかるようになつたらどうしますか。そうなつたらその責任はどうなりますか。私はこれは実例があつて言つておるのですよ。ですからしつかりした答弁を願いたい。
○内田(藤)政府委員 ただいまの御質問は、こちらの勧告に従つてやつたことがまた違反になつたといつてひつかけられておる事件があるかということですか。
○志田委員 そういうことがあつたかどうかということを聞いておるのですよ。なければないいです。
○内田(藤)政府委員 ちよつとただいまのところ、正確にあるともないとも御返答申しかねますが、はたして勧告に従つてやつたことであつたかどうか、勧告通りにやつた事件が、またもう一ぺんひつかかつたというような——そういう事件があつたとは私思いませんが、正確にただいまちよつと……。念のために申し上げますが、いわゆる非公式に聞いて来たことに対して、係官が個人の見解で述べたことが、やはり正式の委員会の認定からしまして妥当でなかつた、こういう場合はあるいはあるかもしれぬと存じます。
○志田委員 どうも私はそういうことになると困ると思うのです。せつかくあなた方が相談部までつくつて、そして窓口でそれだけ親切にしてやつて、その結果、それが非公式であつた。こうしたらいい、ああしたらいいと教えてやつて、その通り向うがやつて、それが非公式であつたということになつて、あとで公取委員会で事犯になるということになれば、安んじて相談を受けて、その指導によつて、勧告に従つてやるということができないようなこともありはしないかと思うのですが、その点はどうですか。
○内田(藤)政府委員 ごもつともなことでございますが、私が承知しております限り、相談部におきまして、相談に乘つたことが、あとで事件になつたという例は私はないと信じております。ただ先ほど私が申し上げましたのは、必ずしも相談部ということでなしに、公取の各個人が当つてやつたような場合、——なお誤解のないように申し上げますが、その際にはたして事実を全部相談のときに持ち出されたか、その辺のことが、しばしばあとで問題になるわけなのでございます。たとえて申しますと、自分の都合のいいことだけ言つて、これならどうだ、そうすると、そういう仮定の話がその通りであるならば、それはさしつかえないでしようというようなことで、條件的にお答えいたしましたことが、あとになりまして、自分はすべて公取の了解を得ておつたのだ、こういうふうにおつしやられるような場合も耳にしております。繰返して申し上げますが、相談部におきまして実際上、事実をすつかり打ち開けられて、これはこうこうなさつたらよかろう、こういうふうに申しましたことが事件になつたという例は私はないと信じております。ただ先ほど申しますように公取の人間は、必ずしも相談部だけでない。各事務にもたくさんおりますから、そういうところに、單なる相談めいておいでになりまして、——極端に申しますが、事実のうちで自分に都合のいいような事実だけをお述べになつて、そのとき了解を得たつもりでお帰りになる。ところがあとになつてみると、いろいろなほかの事実も発見されたために、やはりこれも違反の疑いがあるのではないか、こういうふうなこともあるいはあつたかと存じます。
○志田委員 都合のよいような事実だけを述べて——まあ言つてみればそういう会社その他があなた方を一応ひつかけるような形をとる、これはもう悪質です。こんなものは論ずるに足りません。従つてそういうものに対しては、あなた方は責任を負う必要も何もない。しかし一体どうなんですか、皆さんは個人的に話したとか、相談部の窓口で話したことは正しいとか言うけれども、公取の職員が個人的に教えてやつたことには責任がない、そういうことでいいのですか、こういうことは特に委員長に私はお尋ね申し上げます。
○中山政府委員 御承知の通り法律におきましては、われわれは実は法の適用につきまして個人的に見解を述べることを禁ぜられているわけなのでございます。従つてその間のところを調和いたしまして、特に相談の窓口を設けておるわけなのでありまして、個人的に見解を申し上げるということは、実ははなはだおもしろくないことだと私は考えております。私は常にそういう質問なり相談というものは、必ず相談部に集中させることに実は方針を定めているわけなのでありまして、その点は間違いのないようにいたして行きたいと考えております。
○志田委員 これは非常に重大な問題だろうと思うのです。従つて現に当委員会でもそういうふうに同じ机に二人並んでおりながら、委員長と公取の方方の間にも、なお個人的の見解を述べておくのだとか何だとかいうことがよくある。これは委員長は部内の監査に欠けるところがあるのじやないか、部内の監査を嚴重にして、そういうものは法律で規定されるように、個人的見解を述べてはいかぬ、相談部に全部持つて行けということを嚴重にやるお考えがあるかどうか、それをひとつ伺つておきたい。
○中山政府委員 ただいまのお話はごもつともでありまして、私は相談部に集中するということを嚴重に守らせて行きたい、こう考えております。
○志田委員 よくわかりました。御意思の点がはつきりいたしまして、まことに国民のためになる御発言であると私は感謝申し上げます。そこで今日本に、従来国が株を取得しているような事業があるかどうか、戰後におきまして補助金ないしは助成金がなくなつたために、事業が不振になつておる、このままで行けば従業員の俸給、諸手当も拂えない、こういう事業があるかと思いますが、そういうような場合に、幹ほどうしても助けなければならぬ。枝葉は切らなければならぬ。栄養を幹に集中させなければならぬというような、事業経営上の必要から、国の方針、国会の方針によつて、それらの公社的な性格を持つた公共企業体の経営の分派を、他の同列の事業会社が吸收したいというような場合に、これを吸收させることが独禁法に抵触するかどうかという問題が、近く私は出て来るのじやないかということをおそれておる。その点につきましての御見解をひとつ承りたいと思います。
○中山政府委員 ただいまのお話は、具体的にどういう形で現われるのか、予測が私にはつきませんが、そういう場合には、おそらく従来の会社に営業を譲り渡すとか、合併いたしますとか、あるいは重要な固定資産として、固定資産の一部を譲渡するというような形で現われるといたしますと、独占禁止法の十五條、十六條というものがございまして、その両條に照しまして、違反にならないものでありさえすればこれを認めて行かなければならないと考えております。 なおもう一つは、事業能力の隔差という問題がありまして、いわゆる第八條にいう点も考えなければならないかと思いますが、そういうところで不都合のない限りにおいて認めて行くべきものであろうと思います。
○志田委員 お気持の点がよくわかりましたので、私はまたこの問題は必ず起きて来る問題だと思いますので、一応質問をこの機会は留保いたしまして、公取の方々が、今後できるだけ予防的な処置について万全を期していただきたい、こういう点と、個人的見解を述べたために違反にかかるようなことのないように、ひとつ嚴重に部内の監査をやつていただきたい。この二つだけを希望申し上げまして質問を終ります。
○多田委員 この際に二、三お伺いいたしたいと思います。 日米経済協力がこれから推進されようといたしておりますが、日米経済協力を推進する上に、独占禁止法並びに団体法が、ある程度障害になつている面があるというようなことがいわれております。たとえば一つのパテントを日本の事業会社が共有するような場合に、あるいは貿易に関する問題、あるいは価格の協定の問題、こういつた問題が相当あるようでございますが、現在公正取引委員会として、関係各行政庁等の間の話合い、またはこれらの問題を解決するために、これらの法律を改正するための努力をされておるだろうと思いますが、そういつた点からいろいろな障害はあるかというような点と、これらの障害を除去するために、どういうような方法をもつて除去しようというような考え方を政府は持つているか。この点についてひとつ御説明願います。
○内田(藤)政府委員 ただいまの御質問のような事態が確かに起り得るとわれわれも考えております。その場合に、具体的にどの条文に触れるような事態が起るかということは、ちよつと單なる予想だけでは申し上げがたいのでございますが、われわれの想像いたしますところでは、いわゆる国際契約に関連いたしました排他約款等の問題から来る不公正競争法の問題、あるいはまた事業者が協同していろいろなことをやるというようなことから来ますところの団体法上の問題、あるいはまた株の所有等に関連しまして、独禁法第四章の予防規定に触れ得ることが起り得る。それから場合によりましては、独禁法の四條、六條の問題も起り得るかと考えます。ただいまのところ私どもといたしましては、法律が現状のままでございました場合には、それを意識しながら法律違反を犯すということは、ちよつと公取としてはやりにくいのではないか、非常に一つのジレンマだと思つておりますが、しかし同時にいろいろお説もございますように、なるべくこの條文の中で、いろいろ可能な限り、そういうものに現在の状況におきましては即応してやつて行きたい、こう考えております。 それから改正の問題につきましては、これは今外資導入にからんで、あるいは特需の問題、そういうことが確かに改正問題の一つのポイントであろうかと存じまするが、われわれとしても十分そういう点を考慮しつつ、改正の問題を考えている次第でございます。
○多田委員 非常に苦しい立場に立たされているというような御答弁でございますが、しかし実際問題として外資の導入、日米経済協力を推進するために、どうしてもある程度緩和しなければならない問題、あるいはまた暫定的に適用除外の措置をしなければならない問題が起つて来ていると思います。そこでこれらの問題について十二分に検討していただきまして、改正の線に持つて行くように努力願いたい。 その次に貿易組合の問題でございますが、貿易業者が今一番困つている問題は、組合が設立できないということで、金融の面あるいはいろいろな面で困つておるようでありますが、貿易組合を独禁法から別に考えて行くというような線について、現在どういうような状態になつておりますか、その点について御説明を願いたいと思います。
○内田(藤)政府委員 ただいまの御質問でございますが、おそらく現在のところでは、さしあたり問題になりますのは、団体法の問題以外にも独禁法の問題としまして四條、六條の問題が起ると存じます。それでございますから、四條及び六條そのものを改正いたしますことによつて、今のような組合が結成され得るようにするということも一つの方法でございますし、あるいはまた別の法律をつくりまして適用除外をいたす、こういう方法と二つ考えられるわけでございまして、さしあたつて結局これは改正問題のことに話が行かざるを得ないのでございますが、現状のところでは四條及び六條につきまして、改正をいたすということは相当困難ではなかろうかと存じます。それから法律を設けまして適用除外をしたすということは、これはまだそこまで具体的に当つておりませんので、何とも申し上げかねるのでございますが、これにつきましても、やはり相当抵抗はあるのではなかろうかと存じます。
○多田委員 その次に株式の持株の制限ですが、これは主として金融会社の持株の制限については、百分の五ですか、一応の線が引かれておりますが、その他の会社の持株については百分の十というような線も引かれておるようでありますが、金融機関の持株の制限について、相当程度緩和することが、弊害があるかどうかという点、さらに合併の問題、役員の制限の問題等について、現在の状態よりも緩和した場合にも弊害があるかどうかという問題についてお伺いいたします。
○内田(藤)政府委員 ただいまおつしやいました通り、実際金融会社のみが百分の五であるというのは、ちよつとバランスがとれないとわれわれ自身も考えておりまして、保険会社につきましては、保険業法で別に規定がございまして、百分の十まで持てることになつておりますが、金融業者の中でまた二種類になつているというのは、はなはだおかしなことであるとわれわれも考えておりまして、この点は改正のときに現在考慮しておりますし、これはまた実現の可能性あるもみと考えております。百分の十までは少くとも改正されるのではないかと存じます。
○多田委員 その次にこれは独禁法にしても団体法にしても、実際取上げた件数が五箇年間で二百六十一件と百五十九件、非常に少い件数ですが、実際は相当程度抵触する危険のあるものがあるのではないか、しかしこれは日本の経済の実体から考えて、日本の経済を阻害しないような考え方で公取自体が動かれているというような意味からしまして、私どもは非常に好感を持つているようなわけであります。しかしこれは民間の人たちが、そういつた団体法あるいは独禁法に抵触するというようなことを知らずに行つているというような場合には、これはある程度今の公取のやり方でけつこうだと思うのであります。たとえば行政官庁が当然団体法もしくは独禁法に抵触するというようなことを承知しながら、そういつた指示なりあるいは指導なりをされたというような場合に、たとえば酒の販売会社のような場合、問題になつたのでありますが、そういつた場合がまだ相当あるのじやないか。こういつた場合に、行政機関がそういつた指導をしておきながら、他の部面で一応縛つて行くということになりますと、迷惑がかかるのは国民でございますから、そういつた場合に、他の行政官庁との連絡が完全についているのかどうか、またそういつた場合の連絡の方法が、どういつた形で行われているかというような点について、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
○内田(藤)政府委員 過去におきまして、たしかお説のような、はなはだまずい事態があつたということを私は認めざるを得ないと思つております。それで実際その連絡と申しますのが、必ずしも正式な方法というものがないものでございますので、場合によつてこちらに事前に相談を受けましてから、それはこつちの方の法律にひつかかるぞという警告をしてやめさせた場合もございますが、そういつた連絡なしに行われた結果、われわれの方は、われわれの方の法律を施行する立場から、遺憾ながら行政官庁の指導によつた場合でも、われわれの方で一応被疑事件として取上げたような例が確かにございます。これはまことにおもしろくないことと存じておりますので、将来そういうことのないようにわれわれの方からも十分注意して行きたい、こう考えております。
○多田委員 そうしますと、最近の状態からして、他の行政官庁がそういつた指導をされることを、公取自体が黙認しているということでなしに、連絡が不十分のため、そういう事態が起ることがある、その場合でも同じような取扱いをするという従来の考え方に、かわりがないのだと了承してよろしゆうございますか。
○内田(藤)政府委員 率直に申し上げますと、従来われわれの方の行動につきまして、いろいろな制肘がございましたものですから、はなはだおもしろくないようなこともあつたのでございますが、これら明らかに行政官庁の指導によつたものと思われる事件について、審判開始をやるというようなことは、これは私は避けて行けるのではないかと思つております。その場合でも、こちらはこちらの立場でやはりぐあいが悪いからという勧告をいたさなければならぬということは、あり得ることだと存じます。つまりわれわれの方の法律の建前といたしまして、行政官庁の勧告があつたがために、違法性を阻却するという、こういうことをはつきり打ち出すということは、これはちよつと困難ではないかと思います。ただそういつた場合の取扱い方について、なるべく国民の方に御迷惑のかからないようにすべきである、こう考えるわけでございます。
○多田委員 その点がまず問題になる点だろうと思うのでありますが、一般に知らずにこれらの法律の違反行為をしたというような場合に、嚴格に取扱う。他の行政官庁がこれらの法律を知つてやつたか、あるいは知らずにやつたかわかりませんが、とにかくそういう指導をされたということで、これらの法律に抵触するような場合に、今のお話のように特別な取扱いをしてもいいのだというようなことになりますと、非常に問題が大きくなつて来ると思いますので、その点、全般的に考えて行くものかどうか、あるいは他の行政官庁が指導した場合は、特別に考えて行くものかどうか、いま一応御所見を承ります。
○内田(藤)政府委員 私今お答え申し上げました趣旨は、第一段には、行政官庁の指導に際しまして、できる限りわれわれも注意いたしまして、そういう誤解と申しますか、間違つた指導が行われないようにすべきではないか。そうしてでき得べくんばそういつた行政官庁の指導があつたのだということで、特殊なケースができるようなことを、なるべく防止したいというのが第一段の問題でございます。 それからかりに万一そういうものが起りまして、事情がだれが見ても、公平に考えた場合に、いかにも気の毒だというときに、いきなり審判開始をやるということは、これはちよつと妥当ではないのではないか、こういうことで、今のような趣旨をお答え申したわけなのでございますが、それでは確かに知らないでやつているというような、非常に軽微なものと比較したときにどうか、こうなりますと、また確かに問題があるのでございますが、これは私見にわたつて恐縮でございますが、法律を知らないでやつた軽微なものも、そう嚴重にやる必要はないのではないか、それについても、私はそう考えております。お答えになつておるかどうか存じませんが、そういうわれわれの運用と申しますか、動きについては、全般的に十分考慮して行くべきではないか、こう考えております。
○永井(英)委員 ちよつとお尋ねしたいと思いますが、大体独占禁止法なり、事業者団体法というのは、産業界の平常の場合もしくは経済界が非常に上向いて行くというような場合には、これでさほど私は問題にならないと思うけれども、非常な不景気になつて来たような場合には、これがためにつぶれる必要がない事業がつぶれるような事態が、相当あるのではないかと私は思う。もつとも私どもは、自分が関係している事業について申し上げますと、たとえば石炭鉱業のような事業におきましては、たとえば需要が非常に減る、そうして不当に石炭の値段が下るというようなことになれば、この炭鉱の事業で中止しなければならないものがたくさん出て来る。ところが御承知の通りああいう事業は、一ぺんやめてしまうと、そこに投資した金というものは全然死んでしまう。この事業の伸び縮みに対して非常に弾力性が弱い。こういうような事業も同時に独占禁止法でもつて縛られて行くということになれば、結局たくさんの金を投資して、それがむだになるというようなことが私は出て来ると思う。これはちようど石炭鉱業のような事業のほかにもたくさんあると思いますが、不況のような場合に、この法律が非常にじやまになつて特に産業界を圧迫して、せつかく勃興する事業がだめになつてしまうというような場合に、必ず私は逢着すると思うのでありますが、こういう点に対してはどういう御見解を持つておられるか、一応この際お伺いしたいと思います。
○中山政府委員 不況時代に際しまして事業界が非常に苦心をいたしまして、独占禁止法に触れざるを得ないような事態も生ずる場合に、いかに考えるかという御質問であると思います。経済を対象といたしますところのこの法律を実施するに当りまして、この法律の根本のねらいであるところの経済の民主化、これははなはだ言葉は漠然としておるかもしれませんが、この法律に反するような非常な弊害の生じない限りにおいて、当時の経済の実勢というものを十分考えに入れて実施して行かなければならないということは、私どもの常に考えておることでありまして、そのわれわれの考え方及びそのいわゆる措置の仕方につきましても十分考慮をしなければならぬ、こう考えておる次第であります。
○永井(英)委員 これはちようど独占禁止法なりあるいは事業者団体法ばかりでなく、労働基準法等におきましても、日本の各所に基準署があるわけでありますが、大阪のようなところでは、ある程度まあその法律を施行する上においても緩和されておる。ところがいなかの方へ行くと、これを嚴格にやつているということで、まちまちで、所々方々でいろいろな不平があるようでありますが、この独占禁止法におきましても、そういうような不景気の起つた場合に、実際問題として、たとえば価格の協定であるとか、あるいは出炭の制限をして行こうというようなときには、必ず起ると私は思うのであります。そうして行かなければ事業自体を守つて行くということはなかなかむずかしい。実際問題としてそういうものは過去において私ども経験もしておりますが、しかし法律がここに嚴としてある以上は、これを法律の適用においてしんしやくして行くということも、なかなか困難ではないか思うのであります。ただいまの御答弁で実際問題としてそうしていただけばまことにけつこうだと思うのでありますが、こういう点は、もし将来ともこの法律の改正がある場合には、相当な考慮をして行かなければ、私は終戦後今日までの事態と、今後、たとえば世界平和が来たような場合に、この日本産業がどうなつて行くか考えてみますと、相当な、そこにいわゆるパニツクが来て、どうにもならないという時代が私は来ると思うのであります。この点をひとつ十分に考えていただきたいと思います。 それから公益法人の中で、たとえば自転車振興会とか、あるいは小型自動車協会のようなものですが、こういうようなものは、多くはこれは業者の集まりだと私どもは思うのでありますが、こういうようなものは、一体この事業者団体法でどういうような取扱いをしているのか、この点ちよつと伺つておきたいと思うのであります。
○中山政府委員 自転車振興会のお話でございましたと思いますが、それにつきましては、あとで内田政府委員から御説明申し上げますが、その前にちよつと先ほどの私の答えにもう一つ付加しておきたいと思いますのは、経済法につきまして、実施の上において、十分経済の実勢ということを考えながらやらなければならないし、この法律はそこにまた一つの妙味もあると思うのでありますが、しかしどうしても法律で何ともできないという場面にぶつかつた場合におきましては、そういう非常的な事態に対する特別な立法をもつてこれを救済して行くという方法をとるべきではないか、こう考えておるということを申し上げておきます。自転車振興会につきましては、内田政府委員から御説明いたさせます。
○内田(藤)政府委員 自転車振興会のことについてでございますが、これは御承知の通り各府県に振興会というものができておるわけでございます。各府県においてできました振興会が集まりまして連合会というのができておるわけなのでございます。われわれの方といたしまして、当初これができますときに一応検討はいたしましたのですが、そのときの一応のわれわれの結論といたしましては、これは必ずしも事業者団体法上にいうところの事業者団体と見ないでいいのではないかということで今日に至つておるわけなのでございます。ただいまの御意見が、もし事業者団体法のいうやはり事業者団体であるという疑いがあるといたしましたら、今後われわれといたしましても、各府県にあります振興会を実際調査いたしまして、そうして事業者団体であるかどうか、またそのやつていることが、団体法上の違反に該当するかどうかということを調査いたしました上でお答えをいたしたいと存じます。
○圖司委員長 本日はこの程度にとどめまして、次会は来る六日午前十時より開会することといたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時七分散会