外務委員会 第3号
- 発言数
- 111 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1951/11/02
会議録
○守島委員長 ただいまより外務委員会を開会いたします。 まず日本政府在外事務所設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑を許します。山本君。
○山本(利)委員 大使、公使は国家公務員法に特別職としてあげられておつて、その任命は内閣がこれに当ることになつておるのでありますが、こういう重大な職務、つまり外交というものは超党派的に扱わるべきものであつて国家全体の利益を代表しているものでありますから、大使、公使というような外交官の任命にあたつては、国会の同意を経ることが当然であり、そのことが国家のためになると考えるのでありますが、この点に関して当局のお考えを承りたいと思います。
○島津政府委員 御意見の通り外務省の出先としましての大公使の任命が重要なことはもちろんでございますが、これは内閣の所管事項に属しておりまして国会の承認を経るという建前のものでは現在ないのでございます。事務当局といたしましては、その点は考慮しておりません。
○山本(利)委員 ただいまの御答弁のように、現在の取扱いはそうでありますけれども、今日まで占領下に置かれて、この大使、公使といつたような職務についての考え方というものがおろそかにされておつたから、そういう規定の中に置かれたのであつて、今後は、先ほど申しましたような理由から、これは国会の同意を経ることにしなければ、政党政治が漸次盛んになるにつれて、内閣がかわることに大使、公使というものが首をそろえて更迭せしめられるといつたような結果も起りやすいのであります。でありますから、この任命については、国会の同意を経ることにしておいた方が、国家のためになると考えるのでありますが、そのようにはお考えにならないかどうかを承りたいのであります。
○島津政府委員 憲法の建前から申しまして、重要な公務員の任命もすべて内閣総理大臣の権限に属しておるわけであります。その根本の建前がかわりません以上は、現在の手続が続くものと考えております。
○山本(利)委員 それでは次に伺います。将来大使館、公使館、総領事館または領事館が設置された場合に、その管轄区域内にある在外事務所を廃止する必要が生じたときは、政令をもつて廃止することも可能ならしめることというのが、今回議題になつた法律案の要点の一つでありますが、それでは、今後大使館、公使館、総領事館または領事館を設置する場合には、いかなる法令によつてなされるものか、その点を承りたいと思います。
○島津政府委員 これは外務省設置法の中に規定を設けることにしております。これに基きまじて、これは別に外務省設置法の改正といたしまして、今回の国会にこれから御審議を願うことになるわけでありますが、ただいま現行の在外事務所の設置と大体同様に、国会開会中は法律で設置を定める。また特別の事情がありまして、閉会中に急を要する場合は政令で設置できる、そういう建前で行きたいと考えております。
○山本(利)委員 その設置については、今後提出される外務省設置法によるということを承りましたが、こういう公館が設置された際に、在来の在外事務所を廃止するのは政令をもつてしてもけつこうでありますけれどもこういう重大な大使館、公使館、領事館、総領事館というような公館を設置する場合には、急を要するということは私はあり得ないと考えるから、單に政令をもつてやつてあとから法律に直すというのでなしに、必ず法律によつて国会に諮らるべきものであると考えるのであります。その点いかがなものでありましようか。
○島津政府委員 大体公館の設置は相手国との合意によつて行われるわけであります。最初に設置する場合はもちろんのこと、また一応できました公館を昇格させましたり、あるいはまた、下げる場合はないだろうと思いますが、変更する場合もあり得るだろうと思います。そうしまして、今回平和條約が効力を発生いたしますと、それにつれて次々に在外公館ができて参ると存じます。その間、国会と国会の間が非常に間があくというような際には、やはり一日も早く正常な外交関係を設定したいわけであります。従いまして特例をやはり設けていただいた方が時宜に適するというふうに考えております。
○山本(利)委員 ただいままでの説明によつて考えますのに、それでは今度の法律案の提出というものは、外務省設置法というものが出て、その外務省設置法がいかなるものであるかということを審議した後に、今回のこの法律案が提出さるべきものだと思うのでありますが、その点に関してはいかがでありますか。
○島津政府委員 この在外事務所の設置法はただいま御意見がございましたけれども、在外事務所を正式の公館ができました際に廃止するほんの手続上の問題だけをうたつておるわけなのでございます。何らその間、大公使館の設置の手続の方を先に御審議願わないと、この方が進まないという関係にはないものと私どもの方は考えております。
○山本(利)委員 質問を終ります。
○守島委員長 ほかに御質疑がないようでありますから、これにて質疑を終了いたします。 討論の通告がありますのでこれを許します。並木君。
○並木委員 ただいま議題になつておる法案につきまして、私は希望條件を付して賛成の意を表したいと思います。 それは在外事務所なるものが大使館とか公使館その他と違つて、何ら外交の復活した機関ではない、單に貿易通商上その他の便宜上の機関であるという趣旨から出ておりますので、この点については單に台湾の台北のみならず、中国方面、そういう方面に対しても、できるだけすみやかに私どもは在外事務所の設置されんことを要望しておるわけです。そういう点について政府の特段の注意を促したいと思います。 それからただいま山本委員から質疑がありました通り、私どもの方としては、国民外交、超党派外交というものの確立に邁進しておるものでございますので、大使とか公使というような大役の任命にあたつては、少くとも政府だけの人事によらずして国会に対して厳格な意味における承認を求めるということは必要はないかもしれませんけれども、何らかの形において国会にも知らせ、その了解を求めるという民主的なやり方というものをとつてもらいたい。そういう希望を抱くものであります。 そういう点について、とにかく最近の政府がとつておる外交関係の処理については、非常に独断的あるいは秘密外交的のにおいが強いものでありますから、この機会にさらに重ねてこの点を警告しつつ賛成の意を表したいと思います。
○守島委員長 これにて討論は終局いたしました。 それでは採決いたします。日本政府在外事務所設置法の一部を改正する法律案を原案の通り可決するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○守島委員長 異議なしと認めます。それでは本件は可決いたしました。
○守島委員長 次に千九百二十年六月二十一日にパリで署名された国際冷凍協会をパリに創設することを目的とする国際條約を修正する條約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。質疑を許します—別に質疑がないようでございますから、この際討論を省略いたしましてただちに採決をいたします。本件を承諾すべきものと決定するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○守島委員長 異議なしと認めます。本件は承諾すべきものと決定いたしました。 なお本日採決いたしました両案件についての衆議院規則第八十六條による報告書の作成については、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○守島委員長 異議なしと認めます。さようとりはからいます。
○守島委員長 それでは次に国際小麦協定への加入について承認を求めるの件、国際労働機関憲章の受諾について承認を求めるの件、公衆衛生国際事務局に関する議定書を受諾することについて承認を、求めるの件を一括して議題といたします。まず政府側より提案理由の説明を求めます。島津政務局長。
○島津政府委員 国際小麦協定につきまして提案理由を御説明いたします。 この協定は、一九四九年三月二十三日にワシントンで署名され、その存続期間は、約四箇年後の一九五三年七月三十一日までと定められております。この協定の加盟国は、現在までに四十六箇国に上つており、この協定に基いて取引される小麦量は世界における小麦取引量の全体の約七割になつております。この協定の目的は、公正な安定した価格で小麦輸出国には市場を、小麦輸入国には供給を確保することであります。わが国といたしましては、毎年百五十万トン以上の小麦を輸入しなければならない現状を顧みますと、この協定に加入して保証された数量の小麦の輸入を確保すること、及び低廉な価格による小麦の輸入により、約七、八百万ドルの外貨簡約を期待できることは非常な利益であります。政府におきましては、このような見地から、わが国がこの協定に加入して、協定のわく内の小麦を輸入できるよう一昨年以来努力して参りました。このわが国の希望は、ようやく本年六月の国際小麦理事会において承認されました。その際、小麦理事会によつてわが国の輸入保証数量は五十万トンとし、わが国は本年八月「目までに加入書を寄託するという條件を付せられた次第であります。加入書の寄託期間が八月一日までと定められましたのは、同日が今収穫年度の開始日に当つているからであります。しかるにこの期間は国会の閉会中でありましたため、本件加入について国会の事前の承認を経ることは不可能でありました よつてこの協定への加入についての国会の承認は、これを事後に求めることといたしまして、政府は七月二十三日に正式の加入書を米国政府に寄託いたしました。これによりわが国は、正式にこの協定の加盟国となつた次第であります。 右の事情を了察せられ、愼重御審議の上、本件につき、すみやかに御承認あらんことを切に希望いたす次第であります。 次に国際労働機関憲章につきまして提案理由の説明をいたします。 国際労働機関は、今次大戦までは国際連盟の一機関として活動して参りましたが、大戦後、連盟の解消と前後して、その憲章を改正して独立の国際機関となり、かつ国際連合とも協定して、その専門機関となつている国際機関であります。 政府は後に述べますようなこの機関に加盟することの利益にかんがみまして、機会あるごとに総司令部を通じてこの機関への加盟に努力して参りましたが、容易に成功するに至りませんでした。しかるに去る六月六日からジユネーヴで開催されました第三十四回の労働総会の直前に至り、ようやくこの総会へ加盟申請書を提出し得る見通しがつぎましたので、ただちに申請書を提出し、同月二十一日に賛成投票百十七、反対投票十一をもちまして総会の承認を得ることができました。現在国際労働機関は、六十四箇国が参加している大規模な国際機関でありまして、世界の恒久平和は、ただ社会的正義の上にのみ樹立され得るという立場から、多数の人民に対する不正、困苦及び窮乏を伴う諸種の労働條件を、国際的協力によつて改善して行くことをその目的としております。そのために、必要な條約を提案し、勧告を行うとともに、この目的の達成が完全雇用と不断に向上する生産力とのもとにおいてのみ可能であるという見地に立ちまして、世界生産資源のよ。完全かつ広汎な利用、生産消費の増強及び極端な景気変動の防止を目的とする国際的、国内的施策、後進国の経済的、社会的発展」国際的原料品の価格安定、国際貿易量の増加と安定に関し、他の諾機関と協力することをその主たる任務といたしております。 わが国の、この機関への加盟が実現いたしますれば、これによつてわが国労働者の福祉が増進されるばかりでなく、さらに進んで労使間の関係の円滑化、産業の高度化が促進され、もつてわが国の発展に寄与するところは、はなはだ大なるものがあると考えます。さらにこれによりまして日本の労働條件が、法制上、完全に国際的水準に達していることを示すことが可能となり、日本が決して低い労働條件により、いわゆるソーシヤル・ダンピングを行うものではないという事実を広く世界に理解せしめることができるでありましよう。これは、従来製品の輸出にあたつて日本がこうむつていたこの種のとかくの非難及び疑惑を一掃することになり、わが国経済の公正な発展を初めて可能ならしめるものであるといわなければなりません。 この機関への加盟に伴い、戦前わが国が未払いであつた分担金の問題があります。事務局よりの通報によりますと、一九三八年より一九四〇年に至る三箇年のわが国の分担金未払額は、現在の邦貨で約一億二千九百八十六万円でありますが、その金額及び支払い方法については、今後毎年負担すべき分担金とともに、国際労働機関との将来の協議により、できる限り、わが国の負担を軽くするよう努力する所存であります。 以上の次第でありますから、何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御承認あらんことをお願いいたします。 次に千九百四十六年七月二十二日にニューヨークで署名された公衆衛生国際事務局に関する議定書について提案理由を御説明いたします。 わが国は、さきに米、英、仏、伊、露等十二箇国により署名されておりました一九〇七年十一月九日のローマ協定に一九二四年三月七日に加入いたしました。この協定は、公衆衛生事務局をパリに設置したものであります。 その後一九四六年七月二十二日に世界保健機関憲章が署名されました。世界保健機関の設立に伴い、前述の公衆衛生国際事務局は、清算してその任務及び機能を世界保健機関に引継ぐこととなり、このためローマ協定の大部分の国の間で、その当時本日議題となりました公衆衛生国際事務局に関する議定書が署名されました。 わが国は、その後本年五月十六日に正式に世界保健機関に加入しましたので、その加盟国の一国といたしまして、この事務局の早急な清算を希望する立場に立つことになつた次第であります。これがため本年八月一日政府は、とりあえずローマ協定を廃棄する手続をとりましたが、さらにこの議定書に加入して、事務局の清算後その任務及び機能の保健機関への引継ぎを正式に承認することが手続上必要であります。 何とぞ愼重御審議の上、本件についてすみやかに御承認を与えられますことを切に希望する次第であります。
○守島委員長 次にお諮りいたします。国際小麦協定への加入について承認を求めるの件について農林委員会より当委員会に対しまして連合審査会開会要求の申入れがあります。この申入れを受諾いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○守島委員長 御異議がなければさよう決上ます。なお開会の日時等につきましては委員長に御一任願います。
○守島委員長 次に国際情勢等に関する件を議題といたします。質疑を許します。並木君。
○並木委員 先般どの新聞でしたか、日米通商航海條約でございますか、政府の案というものが発表になつておつたようです。大体ああいうような線に沿つて、日米通商航海條約というものは進められて行くものであるかどうか、その辺の事情についてお伺いしておきたいと思います。
○島津政府委員 お話がございました日米通商航海條約の日本側の案というようなものは実はないのでございます。今回平和條約の成立に伴いまして各国と通商航海條約を今後なるべくすみやかに締結して参らなければならない段取りになるわけであります。これに関しまして、大分以前から外務省事務当局といたしまして、いろいろな案を研究をいたしておつたのであります。どの国に向けた案ということはないのであります。一般的にこういうようなことが考えられるというような崖でいろいろ研究しておりました一つが、ああいう形で新聞に出たのであろうと考えます。
○並木委員 通商航海あるいは通商貿易條約というようなものについては、私たちとしては一番関心の深いのは最恵国約款の問題でございます。米国との間では、まず最恵国約款というものは間違いなく与えられるものと了解していいでしようか、どうか。
○島津政府委員 通商航海條約そのものの建前が、人と物と船とに関して最恵国待遇を与えるということになつておりますので、常識上そのようになるものと考えております。
○並木委員 そうしますと英国の場合はどうなりますか。英国では最恵国待遇というものを澁つているということも聞いておりますが、日本と英国との通商航海関係はどういうふうになつているのですか。
○島津政府委員 英国との間の通商航海條約ができます際には、当然そのような建前になることと思つております。ただ現状は、平和條約の條文の中にもありますように、通商航海條約ができるまでの聞こういうことをするということで、あの平和條約の中に條文があるわけであります。よく英国政府が最恵国待遇を与えないというようなことが報ぜられているのでありますが、私どもの想像いたしますところでは、法律的に最恵国待遇を与えるということを現在の段階ではしないだけであつて実際上は差別的な待遇をしていないと思います。
○並木委員 それならば非常にけつこうなことだと思います。そうすると、日米通商條約あるいは日英通商條約というものは、大体いつごろできる見通しですか。
○島津政府委員 これはできるだけ早く締結したい考えでありますが、まだ交渉に入つてもおりませんし、大体何月ごろということまでは見当がつかないわけであります。場合によりましては、通商航海條約の内容は、御承知の通り非常にこまかいところまで入つて参りまして法律的な事項が多い。従いましてかなり急いでも相当の時日がかかるのが前例のようであります。われわれといたしましては、今日までいろいろな研究をいたしまして、実際の話合いになりました際には、なるたけ早く協定に持つて行きたいという考えであります。いつごろということはちよつと現在では見当つきません。
○並木委員 先ほどのお話で、英国が最恵国待遇を澁つておつたということは法律上の問題で、実際上はその懸念はあるまいという答弁で安心したわけなんですけれども、法律上の問題といたしましても、そういうことが出て来たことについては、何か原因があるのではないかと思うのです。どういうところからそういうことが出て来たか、それを御説明願いたいと思います。
○島津政府委員 御質問はどういう点でございましようか、もう一度……。
○並木委員 英国の場合、日本に対して最恵国待遇というものを与えることに難色があつた、そういうことが伝えられたのですけれども、その原因でございます。どういうわけでそういうことが出て来たかということです。
○島津政府委員 これは私だけの想像でございますけれども、平和條約がまだ調印されただけの段階でありまして平和條約の中の規定によりましても、通商航海條約ができるまでの間これこれの待遇をするという規定もあるほどであります。日本がこれからほんとうに独立しまして、どういうような出方をするかということについても、現在の段階では百パーセントに関係国が全部安心しておるという状況ではないと思うのであります。従いまして最恵国待遇の供与の問題についても、法律的に縛られない。もし必要があつたらフリー・ハンドと申しますか、処置がとれるというようなリザーヴを付しておる態度だろう、そういうふうに想像しております。
○並木委員 その点は、こちらからいえば遺憾であつたといわざるを得ないと思います。そこで、今度英国で内閣がかわつたために、対日本関係は好転したと見ていいですかどうですか、政府ではどういうふうにごらんになつておりますか。
○島津政府委員 内閣が更迭しまして、英国の外交政策が相当大幅な展開を遂げるというふうには、これは私どもだけでなく、常識的にそういうことはないという見方があるのであります。具体的に経済政策の問題につきましてどういう政策にこれから出るかということも、まだわれわれよくは承知していないのであります。やはり経済問題でもありますので、内閣の更迭ですぐどつちに、右に行き左に行くということはないのじやないか、結論として大して違いはないのじやないかというような気持であります。
○並木委員 インドネシアとの間に貿易協定の話が進められておるそうですが、その進行状態について御報告を願いたいと思います。
○島津政府委員 インドネシアとの話合いは、先方から代表が参りまして数日前から会談を始めておりますが、まだその具体的な内容について、御報告申し上げる段階には来ておりません。ごく話を始めた程度でございます。
○並木委員 今度の会談では、日本に対する賠償の問題というものは議題になつておりますかどうか。
○島津政府委員 今回の話合いには入つておりません。聞くところによりますと、今月中にまた別の使節団がインドネシアから見えまして、それで賠償の話合いに入るか、入らないかもわからないのであります。少くもある程度調査をするとか、予備的な話をするということはあろうと思つております。まだ来ておりません。
○並木委員 そうしますと、インドネシアからの賠償の要求額というか、要求の内容というものは、まだ全然日本の政府には伝達されておりませんか。
○島津政府委員 額等につきましては、全然承知しておりません。
○並木委員 賠償に関連してお伺いしておきたいのですけれども、フイリピンなどに対する役務賠償の場合に、当然日本人がそれに従事すると思われます。そういう場合に、日本人がどうしてもその役務に従事することをいやがる場合があるだろうと思うのです。そういうときに、政府としてはどういう処置をとる考えであるか。つまり賠償の対象としての役務であるからやれというような、強制措置をとる考えを持つておられるかどうか、そういう点です。
○島津政府委員 賠償の役務のやり方につきましては、目下あらゆる角度から研究を進めておるのでありましてはたしてどういう形で役務賠償が行われるかということも、まだ日本側としては結論が出ておりませんし、また先方との話合いもないわけでありまして、何とも申し上げかねるのであります。しかしどのみち賠償と申しましても、強制労働というような、本人の意思に反して強制的に労働させるということは、私は考えられないのであります。
○並木委員 それは当然そうなくてはならないと思います。賠償の場合には、やはり賠償に関する協定と申しますか、要するに條約が別個に結ばれると思うのですけれども、その点いかがですか。
○島津政府委員 いずれ話合いができました上は、何かの形で協定ができると思つております。
○並木委員 よく日本で戦時中に拿捕、接収された船舶がございます。この戦時中に接収された船舶が返されて来ないのです。これは民間の船舶でございますが、そういう戰時中に連合国から接収された船舶が湛されないということは、所有者にとつては非常に気の毒なわけでありますが、政府としてはこれに対してどういうふうな処置を今後とられるつもりであるか。あるいはこういうものが賠償の対象に充てられてそうして別途に民間の所有者に対して、日本の政府としては補償を払うというような道が講ぜられぬものであるかどうか。
○島津政府委員 その点は、ちよつと私資料を持つておりませんので、確かなことを申し上げかねるのでありますが、戰時中に接収されたような船が、一体どの辺でどのくらいありましたかも承知いたさないのであります。かりにそういうものがありましたとしまして、それが返つて来ない、その場合補償をどうするかというような御質問でございますが、この点も一般の日本人の財産の補償問題、それをも含めまして、これから将来の問題になることと考えております。この段階で補償がどうごうというところまでは、まだ申し上げられないのであります。
○並木委員 その点は相当深刻な問題でありますので、政府としてはやはり特に注意をして努力していただきたいと思うのです。 それから特別調達庁でございますけれども、これは條約が効力を発生しましたあかつきに米軍が駐留いたします。そうするとやはり何らかの形で特別調達庁にかわるものができる必要があるのじやないかと思うのですけれども、特別調達庁はどういうふうにかわつて行くものであるか。
○島津政府委員 占領軍が形態をかえまして、そのあとで特に調達の関係でどういうような手続で処理するかということは現在まだ明確になつていないわけであります。従いまして調達庁のような仕事が、はたしてあのようなかつこうで残るか残らないかということも、実はまだ見当がつかないのでございます。この段階ではこの点もお答えいたしかねるわけであります。
○並木委員 現在進駐軍との間で賃貸借契約に入つておる者、あるいはまた進駐軍の労務者になつておる者、その支払い勘定であるわけなんです。それで米軍が駐留するようになつたあかつきには、そういうのがどういうふうにかわつて行くかということは、かなり関心が深いわけなんですけれども、それに関連して今お尋ねしたわけなのです。どうなりますか、賃貸借関係、つまり日本の政府の方から金を払つてもらうのであるか、どうかというような問題、あるいは労務関係ではどちらが金を払うのかというような問題、わかつている限りお知らせを願えれば幸いと思います。
○島津政府委員 御質問は将来の問題と思いますが、さつきの問題は先ほど申しましたように、具体的なことはまだきまつていないのであります。これはまたお答えいたしかねる次第であります。
○並木委員 それはやはり例の行政協定できまつて来るのですか。
○島津政府委員 行政協定できまつて参りますかどうか、私存じませんが、平和條約の第六條の(c)にございますように、現在「まだ代価が支払われていないすべての日本財産で、占領軍の使用に供され、且つ、この條約の効力発生の時に占領軍が占有しているものは、」云々ということで、返すことが建前になつております。その中に「相互の合意によつて別段の取極が行われない限り、」ということがあるのでございます。ですから相互の合意によつて別段のとりきめが行われなければ、全部返る建前であります。別にまた日本側である種の施設を提供する、それについて合意によつてとりきめが行われれば別と、そういうような書き方をしておるわけです。その点の話合いが現状ではまだ進んでいないというのが実情でございます。
○並木委員 もう一点だけこの際お伺いしてお選たいのですけれども、この前に繰返し西村條約局長は地域的治外法権ではない、つまり基地ができるのじやないということを強く答弁されておりました。要するにその人間に対しては治外法権的なものは与えられるけれども、日本としては基地としての限られた区域を提供する一ものではないという答弁であつたのです。観念的にはそういうことがわけられるかもしれませんけれども、実際の取扱いにおいてどうなりますか、その治外法権的特権を持つた米軍の軍人が駐留されておる地域というものは、やはりその地域を限つて、一つのオフリミツト的なところになつて行くのじやないかと思うのです。実際にどういうふうになつて参りますか、西村さんがあれだけ強調される以上は、そこに何らか、私どもの方から見ると、ああこれは基地ではないのだなという違いが出て来なければならぬと思うのですが、どういうふうに政府は考えられておりますか。
○島津政府委員 その辺の御質問になりますと、私専門でございませんので、條約局長の申しました以上に御答弁いたしかねるのであります。どのみち、この種のことは、行政協定がはつきりして参りませんと、明確にはならないのであります。おそらく條約局長が申しましたのは、ある地域を限つてそれが租借地のようにもつばら占領軍の管轄に入つてしまつて、日本側の行政権が全然及ばぬ、こういうようなことはないということを條約局長は御説明したのだろうと思うのであります。大体そういうような行き方で、区域を限つて、そこには日本人は入つちやいかぬとか、あるいは日本の行政権を全部排除することがないということを申し上げたのだろうと思います。
○並木委員 そうすれば、実際かなりかわつて来ると思うのです。米軍が駐留されておる区域というものに対して、たとえば日本の警察とか、そういうものがやはり行われる余地があるわけですね。
○島津政府委員 そういうような一括日本側の行政権から離れた特定の区域ができるということはなかろうということであります。
○並木委員 けつこうです。
○守島委員長 並木君にちよつとお諮りいたしますが、ほかの政府委員は今すぐ参りますそうですから、一時質疑を中止いたします。 —————————————
○守島委員長 なおお諮りいたしますが、ただいま内閣委員会に付託されております外務省設置法案は、当外務委員会といたしましても、密接なる関係があると存じますから、内閣委員会に対し、連合審査会の開催申入れをいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○守島委員長 異議がなければ、さようとりはからいます。
○守島委員長 それでは質疑を継続いたします。
○並木委員 厚生省の復員業務部長さんが見えたそうですから、お伺いしておきたいと思います。最近参議院の方で取上げられておる問題なんですが、遺骨の引取に関して議員を派遣して云云という事柄について、どういうふうになつていますか、現況をお伺いしたい。
○高山説明員 ただいまお尋ねの外地遺骨引取の件に関しましては、従来南方関係における戦死者が相当多数ありまして、それらの遺骨が大部分は野ざらしになつておるという状況でありますので、どうにかこれを内地に持ち帰りたいという希望が切実であつたのでありますが、最近参議院の方からその御要望がありまして、総司令部の方へとりあえず偵察に派遣することを許可していただくように目下手続中であります。偵察場所としまして、私どもの方からお願いしてありますのは、玉砕地であります硫黄島、沖繩、サイパンの三箇所でありますが、そのうちでも、硫黄島につきましては、再々現地に行つております事業主等からの連絡もありましたので、実情もある程度判明いたしましたから、とりあえずこの分を急ぐこととしまして、目下手続中であります。そのほか参議院の方からの御要望によりまして、ウエーキ島附近も再々邦人等が渡米の途中見聞いたしまして、それらの状況がわかりましたので、この方もどうかということで、目下当つてはおります。大体偵察のための現況は今申し上げた通りであります。
○並木委員 今まで政府としては、これに対して何も手当をしておらなかつたのですか。
○高山説明員 従來は私ども直接総司令部と交渉したことはございませんので、政府としてはつきり申し上げることはできないのでございますが、私らの聞き及びます範囲におきましては、外地へ出るというようなことが相当むずかしかつた関係等もありまして正式にこういうことを申し出たことはあるいはなかつたのじやないかと判断いたしますが、私どもとしてはよく存じません。
○菊池委員 厚生省としては実際それをやるつもりでおられるのですか、どうですか。
○高山説明員 ぜひ実現していただきたいというふうに熱望いたしております。
○菊池委員 これまで兵隊の戦死した場合には、みんな黒髪を切つて送つて来ておるのですか、これまで遺骨をとりに行つたという例はどこの戦争を見ても、日本も日清戰争、日露戰争をやつて来ましたが、例はない。また、行つてみたところでどれがだれの遺骨やら、ちつともわかりはせぬし、敵の遺骨やら味方の遺骨やらわかりはせぬし、そういうべらぼうなことを参議院の連中が言つたところで、ただちにそれを取上げるということはうかつ千万であろう、われわれはそう考えるのでありますが、どう考えますか。
○高山説明員 従来の戦争と今度の戰争とは、本質的に違うような感じでありまして、従来は御承知のような状況でありましたので、遺骨をまつたく野ざらしにしておる、ほとんど大部分野ざらしにしておるというようなことはなかつたと思うのでありますが、今度の戦争におきましては、敗戦の結果、全然手をつけずに放置しておつたというような状況でありますので、全部を持ち帰るということは、とうていできないことでありますが、なし得る範囲で代表的なものでも持ち帰つて、判明しているものは遺族にお渡しするとか、あるいは内地で適当に供養するようにするとか、あるいはそうでない場合でも、現地でなし得る限りの手厚い方法で葬るというようなことをやつていただきたいというふうに考えております。
○菊池委員 とりに行かれるとしましたら、沖繩、硫黄島、サイパンばかりでなく、南の方のテニアン、ロタ、ポナペ、ヤツプ、トラツク、たくさんあります。表南洋の方にしても、フイリピン、マレー、ビルマ—映画にも出ておりますあのビルマの惨劇、ジヤワ、スマトラ、セレベス、ニユーギニア、そういう方面、それから中国、満洲の方面、やはり全体へ行かぬと、国民感情が許さぬだろうと思う。行かれるのでしたら全体へ行つてもらいたい。そうして行くときには、参議院の連中ばかりでなく、衆議院からも出してもらうということにしなければ、国民感情が許さぬだろうと思うのでありますが、この点どうお考えでありますか、やるなら公平に、全部行つてもらいたい。
○高山説明員 ただいまおつしやられましたように、遺骨引取にあたりましては、單にどこそこというふうに限定してという考えは毛頭ないのでありますが、ただ太平洋に散在する各地、及び大陸の全部にわたつてということは、実際問題として不可能と思われますので、玉砕地であるとか、あるいは多数の骨が集団しているところとか、そういつたような特定のところを各方面ごとに代表的に選定したらいかがかと考えておるのであります。経費の関係その他いろいろな條件もありますので、全面的に同時に実現することはむずかしいと思いますが、将来諸般の情勢が許すようになりましたら、逐次範囲を広げていただいたら理想的だと存じております。なお参議院の方、衆議院の方ということは、私どもは直接は考えておらないのでありまして、国会としてやつていただくならば、非常にけつこうだと思つております。
○並木委員 ただいまあげられた地域から、相当今まで遺骨は届いていると思うのですけれども、何割くらい届いておりますか、大体の数字を教えていただきたい。
○高山説明員 太平洋戰争間におきます死亡者の総数は、陸海軍合せまして百万ちよつとでありますが、そのうち復員したときに、関係の方面の好意等によりまして、遺骨を持ち帰つたところと、全然遺骨の携行を許されなかつたところとあるのでありますが、平均いたしまして、約四分の一ないし五分の一ぐらいは、遺骨の一片を持ち帰れたというふうに私たちは考えております。その他の大部分は、未処理の状況であります。
○並木委員 その点について、ちよつと外務省の方にお伺いいたしておきたいのですが、国際関係では遺骨なんかに対しては、どういうふうな取扱いになつていますか、一定のものがあるかどうか、お尋ねしておきたい。
○島津政府委員 国際條約その他で、遺骨の点は私の記憶では、格別きめたものはないと思つております。ただこの問題につきましては、御承知のように、今度の條約に関連しまして、連合国の関係の遺骨その他を整理するということと、また日本側がそういうことをするということも書かれているわけであります。宣言の中に、日本の場合には、「日本国は、連合国が、連合国の領域にあり且つ保存を希望される日本人の戦死者の墓又は墓地を維持するために取極をする目的をもつて日本国政府との協議を開始すべきことを信ずる。」という書き方をしておりまして、その條約の効力発生に伴いまして、当然取上げられる問題だと思います。
○並木委員 国際間の慣習などで、何か前例として参考になるケースはありませんか。
○島津政府委員 ただいま資料を持つておりませんので、この点は取調べてお答えいたします。
○並木委員 わかつたらあとからでもけつこうですから、示していただきたいと思います。 それから遺骨で、よく二度同じ遺骨が届いたとか、あるいは遺骨が来てから本人が生きて帰つたとか、ずいぶんいろいろな悲劇が起つているようでございます。それはどういうところから起つたことなんですか。このためにこれは深刻な問題が起つているのです。その原因などをよく政府はわかつておるはずですけれども、この際お聞きしておきたいと思います。
○高山説明員 ただいまの御質問は、きわめてまれにある例として私どもも報告を聞いておるのでありますが、遺骨を二度渡したという問題につきましては、こういう原因がおもであります。それは戰友のうちの一人が最初遺骨を持ち帰つた。あるいは遺骨がないから遺髪あるいは現地の石であるとか、遺骨にかわるようなものを持ち帰つて死亡したことが判明したときには、それを当初とりあえず留守宅の遺族にお渡しするのでありますが、その後さらに別の戰友がまた遺骨を持つて帰つた。それが本骨である場合には、遺族の希望によつてお渡ししていることもありますので、そういつた際は重複することもありますし、あるいは前の石なんかのかわりにあとで別に本骨をお渡しするというようなこともあり得るものと考えております。 なお第二のいわゆる生きた英霊の件でありますが、これも当然死んだという現認者、確認者等の言によりまして、復員官公所としましては処理いたしておるのでありまするが、ごくまれには、海没等によつて死んだというふうに断定しておつた者が、ときに生きて帰つて来ることがあるのでありまして、この点につきましては、まことに御遺族に対しましても申訳ないと存じております。
○並木委員 ほんとの骨でなくて、かわりのお骨を遺族に渡したというケースもずいぶん多いようなんですが、それは何件くらいあるのですか。
○高山説明員 ただいまのお尋ねの件につきましては、目下資料を持ち合せておりませんので、あとで調査いたします。
○並木委員 実際問題としてそういうのは相当あつたわけですね。つまりほんとの遺骨が届いてない、また遺髪が届いてない。しかしなくなられたことが確認されておるので、これにかわる何かを届けたという……。
○高山説明員 実際問題としてございます。現地の石を差上げることもありますし、あるいは霊璽と称しまして、御位牌のようなものを差上げておることもございます。
○小川原委員 関連してお尋ねするのですが、これは遺骨を全部返すことはとうてい不可能なことで、それはやむを得ないと私は思います。そこでそういうたくさんの遺骨のあるところを、あるいは国の中で三箇所とか五箇所とか特定の地面を選んで、そこに合葬するようにする。これは日本にたくさんあることであります。日本の習慣として石碑を建てるとか寺を設けるというようなことが起るのです。それは外国の地面でありますから、外国の風俗と相反することは、これまたいけないので、国際的に考えなければならないが、あるいは一種の公園を設けてそこに合葬の石碑を建てるとが、記念塔を建てるとか、これは宗教上から考えまして、寺をつくるとか、こういうようにしたらよいということを始終考えておる。それはたくさんの人が戦争の最中になくなつたあとで、骨をどうするの、遺髪をどうするなどということは、できればよいことですけれども、不可能なことで、また届くものでもないと思う。こういうことになりますと、非常に遺族の人々が、安心をする。国際的に考えましても、日本と戰争をしたが、国民感情としては日本人の気持をやわらけるという上において、また国交の上において、非常に利益がある。また平和国家の組織の上から見ても、そうすることが当然だと私ども思つておる。そういうことで、一体外務省なり、あなた方御当局は— これは将来の問題でありますが、どういうようにして行こうというお考えがあるか、それをひとつ聞かしていただきたいと思います。
○島津政府委員 先ほど宣言の内容につきまして申し上げましたように、これらの点は今後関係の連合国と話合いをしまして、できるだけ目的に沿うように処理をしたいと思つております。
○小川原委員 まだそういう具体的な問題までは進んでおらないのですね。もしまた外務当局としてはわれわれはこういう構想を持つているのだということでありますならば、そのこともお聞かせを願いたい。この問題は政争の問題ではないのでありますから、あなた方の考えの足らないところはわれわれも援助をする。またわれわれの言うところで足りない点はあなた方もつけ加えていただく。これは国民とし、世界の平和の上から人類愛の上から考えたならば、国に差別はないのでありますから、今まで敵国であつた国の人も講和を結びさえすれば同じ道で行けるものだと考えますから、これは愼重に考えていただきたい。問題は小さいようでありますが、国民感情から見ても大きいし、また教育の上から考えても、世界平和の上から見ても、人類愛の上から見ても、どういう点から見ても、これは大きな問題でありますから、今までなかつたからせぬのだというのでなく、今までなくても、こういう新たな道を開いて行くことが、世界平和に貢献するのだ、日本はほんとうに一等国民の資格があるのだ、世界から信頼を受ける国民だということを、われわれは歴史の上に残したいと思う。ですからその点につきましての構想がありましたならば、構想を聞かしていただきたい、こう考えております。
○島津政府委員 ただいまの御意見まことにごもつともでございまして、第一次大戦後、仏国領内にありましたドイツ人の墓その他についても、御意見のような処置がとられたと聞いております。ただ、ただいまのところは具体的な案はまだ固まつてはいないのですが、当然お話のような趣旨で努力をいたしたいと思います。
○小川原委員 たいへんあなたのお考えのあるところを親切にお話くださいまして、私も非常に意を強うした次第でありますが、どうか今日の御答弁は今日だけに限らず、ぜひこれは実現をするようにひとつ特に御努力を願いたい、これだけを申し上げておきます。
○並木委員 そこで私は今度の遺骨の引取とか調査はけつこうだと思うのですが、大体今までの情報では、一箇所に集められて安置されているとか、そういうところまで行つているのですか、それとも全然散乱しているであろうというのですか、ほとんどよくわかつていないのか、それともある程度は遺骨なるものが集められて確認できる状態になつているのか、その辺の調査はどうなつておりますか。
○高山説明員 すでに墓地としてその中にまとめて埋葬してあるところが、全地域を通じて七十二箇所ありまして、その中へ埋葬されてあります数は、約五万人でありますが、そのほか墓地ということにはなつておらないにしても、大体その辺に集めて合同して埋葬してあるというところも少くはありません。しかしながら全般の数から見ますと、大部分は遺棄死体になつてそのまま腐爛をしておるというところが多いように考えられます。
○並木委員 それでは次の問題をちよつとお尋ねしておきたいと思います。それはただいまの遺骨とも非常に関係があるのですけれども、靖国神社の合祀の問題でございます。これは戰争中戰死をされた方々で、ほとんど大部分がまだ合祀されていないのじやないかと思うのです。先般靖国神社の大祭が復活したということは、非常に喜ばれてはおりますけれども、戦死者を出している家庭の声を聞いてみると、自分の子供は実はまつられていないのだ、だからああいうお祭りをするよりも、まず合祀をしてもらいたい、そういう声が多いのです。そのまつられていない柱の数はどのくらいであるか。それからそれを至急靖国神社に合口肥すべきであると思いますけれども、政府としてはどういうふうに考えておられるか、そういう点を厚生省でも文部省関係でもどなたでもけつこうですが、おわかりの方よりお回答願いたいと思います。
○荻野説明員 ただいま靖国神社の合祀のことにつきましてお尋ねがあつたのでございますが、お存じのように、戰後は靖国神社も含めまして、神社は国家管理を離れております。従つて靖国神社自体でもし合祀をやりたいと思えば、自由にいつでもできるのでございます。ですから政府の方でそれを勧奨するというふうなことも、少し行き過ぎの感があります。また靖国神社自体がそれを営むという場合に、政府がまたそこに何らか関与するというふうなことも、それも現在困難な状況に取扱いがなつております。従つてその合祀の件につきましては、靖国神社自体が特に考慮しているのではないかというふうに、私どもは推察いたしておるのでありまして、直接政府の問題としては考えられない点があるのでありましてその点御了解をいただきたいと思います。
○菊池委員 ちよつと関連して……。靖国神社が国家管理といいますか、それを離れた、それはどういう原因からでございますか。これから再軍備もされましようし、靖国神社は今までのように、われわれ尊敬して行かなければならぬものと考えておりますが……。
○荻野説明員 靖国神社初め護国神社が、全国各地にたくさんあるのでございますが、これはやはり神社でございまして、神社は戰後、もしそれが宗教ないし信仰としてみずから立つならば、その存続が認められて、そして他の宗教団体、つまり寺院とか教会、そのようなものと同様な法的保護を受けることができる、こういうふうな内容のメモランダムが出た、俗に神道指令と申しております。それはどこから来ておるかと申しますと、政教分離の原則から来ております。これは現在の憲法におきましても、その点ははつきりいたしております。憲法もやはり同じ精神であると思うのでございます。従つてやはり靖国神社の場合も、その神社が他の一般の神社と比較しまして特殊な性格を持つた神社でございますけれども、やはり神社であることにはかわりはないのであります。従つて政教分離という原則から、国家管理を離れたのであります。但し自主的活動は自由にでき、法的保護は他の社寺と同様に受ける、こういうことになつておるのであります。
○菊池委員 そうすると、最近靖国神社を法人にするとかなんとかいう運動は、そこから来ているわけでございますか。
○荻野説明員 法人、と申しますと、おそらく宗教法への意味であろうと思いますが、靖国神社を他の神社と同様に、終戦後宗教法人令というポ勅が出ました。それに、基いてすべての宗教団体、神社も宗教法人になつております。またその機会が与えられたわけであります。靖国神社もその宗教法人令に基いて、みずから宗教法人令による宗教法人になり、現在もそのような形になつております。この四月から宗教法人法という新しい法律が制定されましたので、この新しい法律による宗教法人として、さらに手続を近く進めるといつたふうな状況にあるのであります。
○菊池委員 国民感情としては、あそこは今までのような特殊の神社として、国家でもつて管理してもらいたいというような熱望が、全国民にあると思うのでありますが、それを今まで通りにするには、どういうふうにしたらよろしゆうございますか。
○荻野説明員 そのような希望が、あるいは一部にあるかとも存じますが、私どもが了解しております範囲では、靖国神社関係者においても、そのような意向はありませんし、また私どもの立場におきましても、特に靖国神社のような神社について、特殊な扱いをするということについては、今何ら考えておりません。
○菊池委員 考えておいでになるならないはそれは別といたしまして、今まで通りにするには、どういうふうな法的手続がいるわけですか。
○荻野説明員 そのことにつきましては、ちよつとお答えするだけのものを持たないのでございます。
○並木委員 それじや最後にもう一点お伺いしておきたいと思います。それは最近慰霊祭あるいは遺骨の埋葬というか、英霊の葬儀でございますけれども、そういうものに対して、まだ周知徹底されておらないためかどうか、ここまではやつていいのかどうかという限界点がはつきりしておらないようです。たとえば村で主催をしてそういうことをしていいかどうか、あるいは部落で主催をしてそういうことをしていいかどうか、そういう点についてよくわかつていない筋がありますので、政府としては、現在までにどういう方針をとつておられるのか、それをはつきりここで示しておいていただきたいと思います。
○荻野説明員 慰霊祭は、個人または民間団体が主催して行う場合には自由にできるのであります。これは今日そのようになつたのではありませんで、戦後いろいろ制度がかわりましが、その点についてはずつとかわりがないのでございます。但し部落でやるとか、あるいは市町村で主催してやるとか、あるいは国が主催してやる、いわゆる公葬は、現在でもなおかつできないという取扱いになつておるのでございます。
○並木委員 市長なら市長、村長なら村長という資格で個人または民間団体の葬儀あるいは慰霊祭に列席して焼香する、これはさしつかえないのですか。ちやんと公職についてやる場合ですね。
○荻野説明員 個人または民間団体が主催して行う慰霊祭に、公的資格をもつて公務員が出席すること、そして弔辞を述べること、また香華料を贈ること、このことはさしつがえないということに、最近そういうふうに取扱いをはつきりいたしております。
○並木委員 そういう個人または民間団体の行う葬儀、または慰霊祭に対して、公の機関、市なら市、村なら村の役所あるいは役場から協賛として、あるいは後援というか、そういう役割をなすことができるかどうか。そしてまたそういうものに対して公の金を支出することができるかどうか。
○荻野説明員 現在の取扱いにおきましては、その場合多いろいろ疑義が生じますので、取扱い上、そのような公的援助はできないということになつております。
○守島委員長 本日はこれにて散会いたします。次会は十一月七日水曜日、午前十時より開く予定でございますが、いずれ公報をもつてお知らせいたします。 午前十一時五十一分散会