運輸委員会 第7号
- 発言数
- 75 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1951/10/25
会議録
○大澤委員長代理 これより会議を開きます。 委員長不在でありますので、私が委員長の職務を行います。 先般来当委員会は、鉄道運賃値上げを行おうとする本案に対しまして、連日にわたりまして愼重なる審査をいたして参つたのでありますが、本日は参考人の方々においでを願つて、運賃値上げの問題に関しまして、われわれの審査に各階層の人々の意見を聽取いたしまして、十分に国民の声を反映いたしたいと思うのであります。この機会においでを願いました参考人の方々にごあいさつ申し上げます。 本日は御多忙中にもかかわらず、御出席を煩わしましたことを、厚くお礼を申し上げます。申すまでもなく運賃値上げは各種の方面にわたりまして、重大なる影響を與えることが明らかでありまして、国民生活に重大なる負担となつて参るわけであります。本日各職域の方々においでを願いましたことも、鉄道運賃の値上げがいかに影響を及ぼすか、皆様方の立場から具体的な事情をお話願いまして、本問題に対する忌憚のない御意見を承りたいと思つたからであります。われわれの趣旨を十分おくみとりの上、率直なる御陳述をお願いいたしたいと思います。 それではこれより御意見を承りたいと思いますが、時間の関係上、大体十五分程度にいたしたいと存じます。なお一応参考人の方々全部の御意見を承りまして、しかる後委員各位より参考人の方々に対する質疑を行います。議事運営上、一言御注意申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得るごと、また参考人は委員に対し質疑することはできません。 まず上田光春君より御意見を伺います。
○上田参考人 ただいま委員長から御指名にあずかりまして、私日本中小企業連盟代表の立場において一言申し上げたいと存じます。 今回国会におきまして、国鉄貨物運賃の三割値上案を検討せられております。現下の経済情勢下におきましては、貨物運賃の値上げは、全物資価格に影響を及ぼすものでありまして、これが実施については愼重に考慮を要する問題であります。特に中小企業者の立場としては、企業数におきましては全体の九九%を占めており、しかも生産額、輸出額については全体の六〇%以上であるのであります。このような地位は占めておりますけれども、この運賃値上げによつて来るべきしわ寄せが、どうしても弱小の中小企業者におぶさつて来るというわけであります。特に中小企業者の負担増が当然考えられるわけでございます。低物価政策の堅持は、国際経済に乘り出すわが国産業といたしましては、今後必然の方向でございますが、ここに運賃値上げをいたすということは、これと逆行もはなはだしいと思います。特にコマーシヤル・ベースといわれておりますが、コストの割高を来し、ひいては輸出貿易にも悪影響を及ぼすことは確かであろうと思います。なお負担力におきまして、ややもすれば消費者に転嫁することは起りがちでありますが、中小企業者におきましてはなかなかそうは参りません。サンドウイツチの形で、大半は中小企業者の負担と相なる結果となるわけであります。たとえば木材関係に例をとりますならば、特に鉄道の輸送量に対して非常にウエートの多いのは、石炭についで木材関係でございます。石炭は、これは大企業に消費するものとしてしばらくおきまして、木材業のことにつきまして一言触れたいと思います。運賃値上げが、とかく輸送量の多いという観点からいたしまして、われわれ業界に及ぼす影響は非常に重大であります。かつ木材は他の物資と異なりまして、特異性を持つておるのでございまして、この点を特に御考慮願いまして、木材に対する輸送運賃の軽減の措置を大いにはかつていただきたい、こう切に要望を申し上げます。 さて木材中に占める運賃の比率はどうなつておるかと申しますと、これは国鉄の調査は、われわれ業界の調査と大体において一致しておりまして、妥当なものと思われます。これを検討するときに、素材については一トン当り四千七百二十五円、製材については九千円、これに対する運賃は、東京市場における最近六箇月間の入荷実績による推定を別表に出してございますが、これから得るところは、素材の運賃は六百三十九円四十六銭、製材においては六百八十九円三十七銭と相なつております。従つて価格中に占める運賃比率は、素材においては一三・五四%、製材は七・六六%と相なつておりまして、他の物資に比して、いかに運賃比率が高率であるかということがうかがわれるのでございます。なお木材価格中に占める運賃比率の高い点におきましては、前回の運賃値上げの際にも特に問題となりまして、国会の御議決にあたりまして、負担能力の低いところの木材については、特に考慮してくださるという附帯條件がついておつたはずでございますが、この事情は現在においても何ら変化なく、改訂されずにいる現状でございます。 木材の運賃負担能力と木材の価格の変動のことに触れてみますと、東京市場について木材の運賃の比率は、素材、製材を平均しまして昭和十一年の当時において一〇・六三%である。昭和二十四年中に存在しました公定価格を基準とした場合の旧運賃——約八割値上げ以前のものでありますが、その占める比率は七・七二%、従つて昭和十一年当時の比率まで負担能力ありとしても、三割八分の値上げにとどむべきことを主張したのでございます。その結果として普通木材は七級に是正されたのであります。木材全般としてその結果、約七割の値上げと相なつておるのであります。前回の値上げに際しまして、一般経済状態から見て、消費者価格に転嫁することの不可能なことは、業界として大いに力説いたしました。昭和三十五年当初の運賃の高騰にかかわらず、木材価格は七月まで低落の一途をたどりまして、別表にもございますが、木材市場価格の変動は、製材について一応申し上げますれば、昭和二十四年度公定価格の約二〇%安に相なつたのでございます。その後朝鮮動乱の影響によりまして、今年の四月までは上昇をたどりまして、四月以降は再び下落をしております。現在の価格は最終公定価格に比しまして、二八%の値上りにしかすぎません。従つて旧々の運賃値上率と木材の負担限度は、大体次のようになつております。運賃の値上率は、前回は七割上げていますから、一・七〇に今回三割上げんとする一・三を乗じますと、二・二一になります。木材の負担限度は、先般の一・三八に対して一・二八を乘じますと、一・七七となりまして、八〇%になりますから、現行のものとかわらない。これ以上の負担がないということがここに見受けられるのでございます。 それから販売業者の利潤と値上げの吸収率はどういうふうに考えられるか。木材価格は運賃の高騰にもかかわらず、現在の水準以上には高騰し得ないということは、一般経済事情より見て予測し得るのでございます。特に木材につきましては、木材の有効需要の減退、世界情勢による特需の減少見込み、木材需要が彈力性を有する特異性により、しかも現在の市場販売価格を見ますと、発駅価格でございまして、運賃諸掛を差引いたところで、製材について営業費が平均石当り百五十円、仕入原価に対して約八%にしかすぎないのであります。これに比しまして東京市場への製材品トン当り貨車納金は六百八十九円三十七銭、これが今回三割値上げせられるといたしますと、石当り約四十五円になります。この四十五円はとうてい吸收する能力がないのでございます。してみるとその及ぼすところ、値上り分は立木価格に食い込んで行くという結果に相なります。ゆえに立木価格の影響度を今ここに考えてみますと、現在全国平均の立木価格は、林野庁の調査によりますと四百八十円でございまして、これに運賃値上分が食い込むといたしますれば、立木価格は一割弱低下しなければならない。その結果といたしまして現在の立木価格をもつてしても、どうしても再造林ということが困難視され、林業の経営はますます破滅に陷るのでございます。治山治水、国土保全ということに対して、非常に憂慮される段階と相なると思うのでございます。 ほかに木材樹種別の混載の関係の不合理、以下需要、樹種別等に対していろいろ申し上げたいことがございますが、時間の関係でこれは割愛さしていただきます。 木材の需要関係の影響度を申しますと、東京都内の入荷需要出荷地別の表にもありますように、最近の入荷状態は長距離の輸送は減少しておりまして、近県生産地に依存する傾向を示しております。この傾向は運賃値上げによりまして、さらに拍車をかける結果と相なるのであります。この樹材種別、価格別におきまして、非常に複雑なるところの木材の需要に対して、限定された地方から集めるということはとうてい困難でございまして、不利な輸送をも行わなければならないという結果に相なると思うのであります。また最近改正されました森林法による計画伐採の実施によりまして、各生産県における伐採数量は限定されます。従来の近県地帯の過伐は不可能となりまして、しかも需要を充足するのには最小限度の伐採量である関係上、今後は遠距離の輸送ということにまたざるを得ない関係もありますので、木材業者の負担はさらに拡大をされるのでございます。以上のような理由によりまして、木材については特段の措置を願いたいと思いますが、基本的に一律に二級引下げてもらいたいというのが、業界の声でございます。いかし今般の改正は、等級に対しては変更はしないということが原則になつておるのでありまして、最小限度の要望を申し上げますれば、樹材種別の不合理の是正をしていただくこと、品種別におきましては素材、製材の二分野にわけて、距離関係において三百キロ以下は素材で一〇%、製材において五%、三百一キロ以上七百五十キロに対して素材一五%、製材一〇%、七百五十一キロ以上に対しては素材で二〇%、製材で一五%というふうに、これを最小限度として減率を願いたい。かく希望するものでございます。 なお木材というものは、特殊な貨車を要望されるものでございまして、木材の合理的な輸送という面について、貨車の配分を大いに御考慮願いたい。新車を建造するにあたりましては、この点を特に御注意くださいまして新車の構造改良に当つていただきたい。かように要望するものであります。 その他こまかいことにつきましては、先般行われた運輸審議会の運賃改訂の公聽会のときにるる述べてございますし、資料も提出してございますから、それをごらん願いたい、かく申すものでございます。 以上はわが田に水を引くということでありませず、專門の立場で木材を例にとつて申し上げたのでございます。冒頭に申し上げましたように、この際運賃の高騰を見るということは、一般中小企業者に大なる影響を及ぼすということを十二分に御考慮の上、御検討あらんことを切にお願い申し上げる次第でございます。
○大澤委員長代理 次は高橋秀雄君にお願いいたします。
○高橋参考人 委員長の御指名によりまして、私の意見を申し上げます。まず申し上げる前に、全体を通じての私の結論を先に申し上げたいと思います。 運賃の値上げの問題に対しまして、意見を求められるということになりますれば、多くの場合賛成をする人はほとんどないと思います。しかし私は交通学研究という客観的な立場から判断いたしまして、必ずしもこれに反対するものではありません。運賃はむしろ適切な調整をなされていることが、輸送力を合理的に利用するということになりますので、この際旅客、貨物ともに三割の値上げをいたしまして、そうして旅客関係におきましては、特に負担能力の少い通勤旅客の運賃に対して二割五分、また貨物運賃に対しては、負担力に乏しい特定の貨物に対して、運賃の割引あるいは等級の修正を行いまして、全体の調整をしていただくようにお願いいたしたいと思います。 これに対する理由を、以下申し上げてみたいと思います。まず第一に、今度の運賃値上げの問題が起りましたのは、国有鉄道の財政に赤字ができたということが原因のようであります。その原因は、昨年の朝鮮動乱に伴う物価の騰貴、またこの物価の騰貴に関連しまして、生活費の高騰による給與ベースの改訂、こういう関係から経費が膨脹して来た。そこで運賃値上げの問題が起つて来たものと思うのであります。 こういう問題がありますと、まずそれに対して運賃を値上げしないで、何かほかの方法を講じたらどうかということがここに言われ、その第一として経営の合理化ということが取上げられるのであります。しかしながら国鉄の財政状態を見てみますと、昭和二十四年度はほぼ收支が償うようになりまして、一〇三%の営業ケースであります。二十五年度は営業ケースが九八%でありまして、ほぼ收支のバランスがとれておつた。二十四年度以前には二割あるいは五割という赤字が出ておつたのでありますが、それがいろいろ経営の合理化が行われ、相当経費も節減されて、とにかく收支のバランスはとれて来たのであります。そこへ朝鮮事変の関係から経費の高騰が起りましたので、運賃値上げの問題がまた起つて来たのであります。経営合理化ということはまだやる余地はあるとは思いますが、経営合理化だけで、この赤字を解消するほどの経費の節約ができるとは考えられないのであります。 そこでこの赤字に対しましてどうするかというと、運賃値上げをしないとすれば、一般会計よりの補給にまたなければならぬということになるのでありますが、運賃の問題は、受益者負担の原則によつて、鉄道を利用する人が運賃を負担すべきものでありまして、一般会計がそれを負担するということは、必ずしも適当でないと思うのであります。また一般会計としましても、鉄道ばかりでなく、ほかの各企業で出た赤字を、一般会計で補給するというほどの余力はおそらくないことと思います。またそれをやろうとすれば、一般の増税ということが必然的に起つて来るのでありしまして、この増税は結局国民が負担する。運賃の形で負担するか、税金の形で負担するかという問題に帰するのでありますから、やはり運賃は適切なものであることがむしろ望ましいのであります。もし運賃が不当に安いということになりますれば、そこにはやはり鉄道輸送力の濫用といいますか、アビユースが行われるのでありまして、その実例は今度の戰争後の輸送状態に、各所に現われておるのであります。また極端に社会主義をとつているソビエトのような国でさえも、やはり適切な運賃に調整がなされておるのであります。でありますから運賃はやはり適切なる運賃であることが、むしろ経済の健全なる発達のためには望ましいと思うのであります。 運賃は元来生産原価の一部をなしておるのでありますから、他の原価が高騰するのと同じ意味におきまして、経営原価が上れば、運賃も調整される。その調整される面が、価格調整の一つの要素になるということが、当然考えらるべきものと思うのであります。これも外国の例でありますが、フランスで一九五〇年に約一千億フランの赤字を出しました。フランスの場合は、自動車運送との競争の影響から出た赤字でありまして、運賃値上げによつてこれを補うことはできない。そういう関係からこの一千億フランに対して、一般会計が負担する、あるいはそのほかのいろいろな対策を講ずるというようなことが行われたのでありますが、しかしインフレに伴う各種の高騰に対しましては、やはり運賃で調整することが望ましいと思うのであります。 そこで運賃を調整いたします場合には、その基準をどこに置くかということが、次の問題になつて来るわけであります。運賃を調整します場合には、まず鉄道の経営原価、適切な減価償却、それから公正報酬を加えたものが、運賃の基準になる。これが一般の原則でありまして、まず原価の問題から考えてみる必要があると思うのであります。 そこで国鉄の経営原価はどのくらいだろうかということでありますが、これを一般物価指数によつて判断することは、必ずしも適切な判断が得られないのであります。と申しますのは、一般物価指数の構成の内容と、国鉄の消費する物資の内容に、相当大きな開きがありますので、国鉄経営原価の傾向を見るためには、国鉄物価指数を計算して、それによつて判断をすることが必要だと思うのであります。その影響を見ますと、大体二十五年度に対して二十六年度が三割見当の値上りになつております。そのほかに一般の給與指数の問題でありますが、職員の給與は、生計費の高騰に伴う調整が必要であることは言うをまたないのでありまして、これに対しましては、先般中央調停委員会の結論が出ておりますが、それを一応取上げることがこの際適当と思うのであります。そういう関係から両者の関係を見まして、全体を平均しますと、約三割の値上げが適切であろうと思うのであります。しかしながら国鉄の運送原価そのものの性格からいたしまして、運輸数量が増加します場合には、原価は逓減して行く傾向を持つのであります。昭和二十五年度の原価を見ましても、運送原価の絶対額そのものに比較しますことは、インフレの関係から適切でありませんので、やはり国鉄の物価指数を用いて、昭和十一年の当時の価格に換算し、十一年当時と二十五年とを比較してみますと、旅客関係におきましては五一%、貨物関係におきましては六一%になつております。というのは、旅客関係の運輸量が二倍半になり、貨物が二倍になつておる。こういうふうに運輸量がふえた結果、旅客の方は十一年当時の原価の半分になるし、貨物は六割一分になるというふうに減少しておるのでありまして、この関係から見ますれば、二十六年度は二十五年度よりも運輸量はふえておることが想定されるのでありますから、運輸量の増加によるところの運送原価の逓減という面を考えてみますと、三割上げつ放しということでなくて、やはりそこに財源が出て来ると思うのであります。その財源を、後に申し上げますように、逓減の財源に充てるべきでないかということを考えるわけであります。 また旅客関係と貨物関係のバランスの問題でありますが、国鉄の経営原価の内容としての間接費的なもの、これも正確な言い方ではありませんが、一応通説に従つて、間接費の取扱いは、必ずしも直接費だけを標準にして配付すべきものとも限らないのであります。場合によつては直接費の関係以外の他の客観事情、運賃の負担力あるいは過去の運賃値上げの状況というような関係を考慮して、運賃の制定をすればいいのでありまして、間接費の割掛を直接費の基準によつて、そのまま割掛けるというような考え方をとるべきではないと思うのであります。そういたしますと、旅客と貨物について輸送原価の関係からすれば、旅客の方が赤字の出る割合が少くて、貨物が多いのでありますが、先ほど他の参考人の方からもお話がありましたように、日本の経済自立の面からは、やはり低物価ということが望ましいのでありますから、貨物の運賃値上げを旅客の値上げよりも多くするということは、この際望ましくないではないかと思うのであります。でありますから私は旅客と貨物は一応同率で値上げをし、財源が出たところでその財源を利用して、旅客関係のうちでは負担力の比較的乏しい、またわれわれの生活の必需的な旅行であるところの、通勤旅客の運賃値上率を低くするということが考えらるべきであろうと思うのであります。また貨物においては、インフレの特色として各種の物価が平等に値上りするものではなくて、あるものは五割、六割、二倍あるいは三倍にもなるというように上りますが、また他のものは一割か二割しかしらぬというようなこともありがちであります。またそういう現象があるのをもつてインフレというのでありますから、この価格の上り方を考慮いたしまして、負担力なきものに対しては、貨物等級の修正を考えられる必要があると思うのであります。今回の法律案は、賃率一般の改正であり、等級修正ということは予定されておらないのでありますが、賃率の改正後、引続いて等級の修正をなるべく早く行われまして、負担力の乏しいものについて運賃の調整、等級の調整をすることが必要ではないかと思うのであります。また貨物の種類あるいは地方的特殊事情により、貨物等級表だけで調節のできないものがあります。また一般賃率だけで調節できないものが中にあるわけでありますが、そういうものについては特に特殊な事情を考慮いたしまして、運賃の割引をして調整をするという措置が講ぜらるべきものと思うのであります。 以上は運賃の一般的な問題について申し上げたのでありますが、次に各運輸機関の運賃のバランスという問題について、一言申し上げたいと思うのであります。国鉄の運賃を幾らにするかということは、また私鉄あるいは自動車の運賃等とも密接な関連を持つております。と申しますのは、現在のわが国における全交通輸送量を見ますと、旅客関係におきましては国鉄の輸送する数量よりも、民間の経営するところの交通機関による輸送の方が、はるかに多いのであります。また貨物におきましても、国鉄の輸送する数量よりも、民間輸送数量の方が相当大きな割合に達しております。たとえば最近の状況で見ますと、国鉄の輸送数量が全体の六割を占めるのに対し、国鉄以外の運輸機関による輸送数量が約四割を占めております。従つて各運輸機関の運賃がそれぞれ調整されておらないと、合理的な輸送が行われないことになるわけであります。また国鉄があまりに安過ぎると、他の運輸機関に影響を與えますし、他の運輸機関の運賃が相当上つておれば、また国鉄の運賃もある程度上げなければならないということになるわけであります。この面から見まして、他の運輸機関の運賃が現在すでにある程度上つておる現状におきましては、国鉄の運賃も相当の程度まで調整して行くことが必要だろうと思うのであります。 もう一つは、国鉄の運賃に対して今までいろいろ社会からきびしい目で見られておつた。それは従来鉄道の運賃が独占性を持つているということから、それに対する政府の干渉が相当強かつたのでありますが、先ほど申し上げましたように、各運輸機関が相当の輸送量を持つており、これらが競争をしておる現状であります。現在においては交通機関全体としての輸送力が足らないという状態でありますから、競争関係はそれほど緊切ではありませんが、しかしこれが一旦ゆるむということになりますと、ただちにその間に猛烈な競争が行われる可能性があります。ことに一般の企業でありますれば、大企業と小企業が競争すれば、大企業が勝つという現象を呈するのでありますが、鉄道、自動車あるいは海運というような場合におきましては、大きいものが必ずしも勝つわけでなく、大きいものが小さいものにいじめられるという現象が普通なのであります。これはひとりわが国だけの現象ではないのでありまして、ヨーロツパ各国あるいはアメリカにおきましても、やはりそういう現象が現われております。従つてヨーロツパ大陸あたりにおきましても、自動車の営業で大きな鉄道が相当いじめられて、悲鳴をあげているというのが現状でありまして、ことにフランスは非常な困り方をしており、それに対する対策も、運賃だけでは調整できないという現状になつております。また英国のごときはこの競争を避けるために、国鉄と自動車を一緒にした公共企業体に改めるというようなことも行われておるのでありまして、鉄の運賃の独占制という面に対しましては、だんだん従来と意味がかわりつつあるということを申し上げておきたいと思うのであります。 最後に、運賃問題とは間接的な関係でありますが、国鉄の経営に対して一つの希望を申し上げたいと思うのであります。第一は、国鉄の経営において、資金の関係その他から、十分に戰災の復旧がなされておらないということであります。従つて安全な輸送が行われないのではないかということを考えるわけであります。これに対する対策としましては、運賃によつてその資金を生み出すことはとうてい困難でありますから、戰災復旧特別勘定か何かをお設けになりまして、資金の調達に対しましては、別に何か政府資金または民間資金を流入するような道をお考え願うことが必要ではないかと思うのであります。そうして安全な輸送をし、サービスの質をよくし、実質的に運賃を下げて行くということをお考え願うことが必要と思うのであります。 第二は、経営の合理化の問題でありますが、合理化につきましては、運賃値上げをできるだけ少くするという意味におきまして、一層強度にこれを行つていただき、高能率、高賃金という原則によつて、賃金の問題を考えていただきたいと思うのであります。必ずしも公務員の一般ベースによらないで、能率を上げた場合にはそれに対して相当賃金も払う、いわゆる信賞必罰ということを行つて行く必要があると思うのであります。国鉄も公共企業体となりました以上、いわゆる企業としての存在、企業としての経営成果ということに対して、従事員が十分な関心を持つことが必要であり、また従事員の関心いかんによつて、その成果が上るか上らぬかがきまるのであります。成果が上つた場合には、従事員の労に対してそれを還元することが、勤労意欲を高揚するために特に必要であろうと思うのであります。 以上簡單でありますが、私の所信を申し上げた次第であります。
○大澤委員長代理 次に大和与一君にお願いします。
○大和参考人 国鉄労働組合の副委員長の大和であります。本日お招きを受けまして、運賃値上げに関する参考人の役を勤めるわけでありますが、この問題は国民生活に直結しておりますので、なかなか微妙な問題であります。先ほど高橋先生からもお話があつたように、この運賃値上げについては、基本的にはだれも反対であるということが前提になると思いますが、われわれ労働組合としましても、基本的には運賃値上げには反対である。ここにおられる国民の選良としての皆様の立場としても、やはり選挙区に行つて、おれは運賃値上げをしたなんてことはまさか言えそうもないし、国家財政とにらみ合せてやむを得ないのだということにもなろうかと思われます。そういう苦しみというか、哀情というか、忠孝両全の道というか、そういうことはいろいろ苦労があるわけであります。それで私は基本的に反対であるが、運賃を値上げするとなつたならば、適正運賃であれば了承するにやぶさかではない、こういう持論を前から持つておりますが、さて適正運賃とは何かということになると、なかなか議論があるわけであります。それにつきまして二、三の点を申し上げてみたいと思います。時間がないということで、簡單でありますので意を盡さない点がありますが、その点は御賢察いただいてお聞き取りいただきたいと思います。 第一に、客観的條件について申し上げたいと思いますが、戰後わが国は敗戰国として失意のどん底にあり、経済的復興は至難のざわだと思われておりました。インフレーシヨンは悪性的相貌を呈し、国家財政の破綻は焦眉の急となりました。そのときに占領下にある特異性に加えて、アメリカからドツジ・ミツシヨンが来て、再三の勧告によつて思い切つた剔抉のメスが下され、悪性インフレーシヨンの様相は小康を得、いわゆるデイスインフレーシヨンになつたということがいわれております。しかし昨日の新聞を見ましても、大蔵大臣の御答弁は、少くともデイスインフレーシヨンの時代は去つたということであるが、今後悪性的な要素を持つのではないかという心配も考えられます。ですから政府が、このインフレ政策に対してどう考えているか、こういうことが私たちは一番心配になるわけであります。何とか調節をしたいと非常に苦慮されておることはよくわかりますが、それに対して運賃の値上げのみをとやかく言うのではなく、基礎産業に要するあらゆる物資の値上りを、もつと大きな国家財政の見地から、ぜひとも上らないようにしてもらうということが、最も大きな先決問題でなければならないと思います。それでそれらの物資とにらみ合せて、政策的に均衡を考えて運賃を上げる。上つてしまつたものはしようがない。だからそのしようがないものに合せるために、運賃なり電気料金なりを上げなければいけない、こういう形にやむを得ずなるのではないかというように考えられます。石炭なり、枕木なり、鉄鋼なりというものは、直接国鉄に非常な影響を與えるので、それらの値上げをなるままにまかせるというのでは、はなはだ困るのであります。またこれらの値上りによりて、零細な資本によつて生活をしている中小企業家の方々あるいは給料生活者は、相当の部分を足代に使わなければならないということで、生活の脅威が直接に考えられ、インフレーシヨンによる他の物価の値上りによつても、給料はそれに比例して上らない。こういう現実もよくお考えをいただかなければならぬと思います。かつて政府は価格差補給金を出しましたそのときにも国鉄に対しては運賃を押えて、補給金を出さずにがまんをするように強圧された。その結果は戰災復興費も自分で持つたために、車両の改修、保安度の安全性もはかばかしく行かず、不十分なままに今日に至つております。また国鉄電化の促進も、涙をのんで延期中止のやむなきに至りました。この点も先ほど高橋先生がお触れになつたところであります。このことはひいて従業員の待遇問題についても、物価の変動にかかわらずすえ置きとなり、非常に労働強化をしいるという傾向が出るのではないかという心配がございます。また今回二十六年度の予算を組むに際しても、初めから朝鮮動乱の見通しもきわめて不徹底だつたと思われますし、三月に組まれた予算が当時の物価を基準にして、その値上りについてはどうも考えが足りなかつたのではないかということも考えられるのであります。予算が足りないということはやむを得ないとして了承しましても、その穴埋めに運賃の値上げによつてその一端を補いたい、こういうお考えでは困るので、ぜひとも大所高所と申しますか、国家財政全般的な、国民経済全体のにらみ合せから、政府が適切な処置をしていただくことをお願いしたいと思います。 第二に、主体的條件について申し上げたいと思います。公共企業体になつて独立採算制ということがいわれておりますが、公共企業体労働関係法あるいは日本国有鉄道法というような、いろいろのややこしい法律があつて、しかもその法律は一夜にしてなつたというか、はなはだ不十分な点が多く、今後ぜひともこれをもつと正しいものにかえてもらわなければいけない。そのために、独立採算制という言葉はあるが、実際に国鉄の企業は独立採算制にならない。あらゆる資金面において、すべて国会なりその他の承認を得なければならぬ、こういうことでは健全な企業の独立採算制ということは考えられない。こういうがんじがらめの形では困るので、この点もぜひとも御考慮いただきたいと思います。 第三に、具体的條件について申し上げたいと思います。およそ一個の企業が健全に成り立つためには、收支のバランスがとられ、赤字がなく、減価償却を行いつつ、新規事業の計画が進められるほどの安定性を持たねばならぬことは、論をまつまでもありません。今回の運賃値上げも、その妥当性を肯定する一面もないわけではありません。すなわち生産費に該当すべき輸送原価と、商品に値すべき運賃との割合を、経済が比較的安定し、国鉄企業が健全に運営されていた昭和十一年を基準としてみると、昭和二十六年度のそれは、旅客において輸送原価が百五十倍になつているのに反し、運賃は百七倍にしかなつておらない。貨物においては原価百五十五倍の高騰に対し、運賃は百三十八倍の上昇になつている。この限りにおいては輸送原価と運賃とのバランスは、企業経営の観点からは決して合理的なものとは言えません。また昭和十一年の基準年次における物価を百とすると、今年一月における物価指数は、卸売物価において二百九十六倍となつており、鉄道運賃と物価との上昇率に、大きな懸隔がある。運輸收入と人件費の割合は、ほとんどかわつておらない。昭和十一年度は三四%、二十五年度は三六%。こういうふうにあわせ考えると、赤字の原因が物価高騰に起因しているということを雄弁に物語つております。国鉄経費の主たる財源が、旅客、貨物を主とする運輸総收入によつてまかなわれておる現在、物価は前述のごとく約三百倍の上昇を示しているにもかかわらず、運輸総收入が二百三十七倍にしかなつていないことを、注目する必要がありましよう。このように輸送原価ないしは物価との関連から、主として経費の合理性の上に立つて見るときは、現行国鉄運賃制度は必ずしも当を得ていないとも言うことができるでありましよう。 これらを打開するために、当局が苦心しておつくりになつた鉄道運賃改正資料を一通り目を通して見たのでありますが、なるほどつじつまの合つたりつぱな資料には違いありません。しかしたとえば経営の合理化について十八億の節約ができるとありますが、これなどは的確な資料を手元に持つていないので正確でありませんが、まだまだ何とか節約ができるのではないか、こういうような点にはなお一層のお骨折りをいただきたい、こういうふうに考えるわけでございます。それで適正運賃の徹底ということがありますが、私たちから言わせると、公共企業体労働関係法なり、日本国有鉄道法なり、そういう法律の矛盾は別といたしましても、それでは労働組合が経営に参画して一緒にやる。私、最近オランダ、イギリスに行つて参りましたが、そういうところでも国際運輸労働者会議の議題としても、ぜひとも経営に参加いたしたい、こういうことが主たる議題となつております。このように私たちが経営に参画して、適正運賃をもしはじき出すことができるとするならば、これは私たち消費者に対して、そういう人たちのことを十分考えながら、何とかそこに幾らかでも適正な、絶対とは言えませんが、そういうふうな運賃が出るのではないか、こういうこともぜひとも今後できるようにお願いしたい、こういうことを考えるわけでございます。 以上を要約いたしまして、理論と現実ということが言われますが、筋を通そうとすれば、もちろん運賃値上げには反対である。しかし現実にはいろいろな面において、たとえば一つは私をして言わしめれば、政治の貧困もあるだろう、こういうふうに考えますと、何とかこういうことをやらないで、一般会計からの繰入れ、貸付け、あるいは建設公債というような、いろいろな方法も考えられまして、もしもそれでまかなつていただけるならだ非常に幸甚だと思います。しかしそれが困難だということになれば、今回の一応当局から出されたところの資料の内容というものが、はたして適正であるかどうか、こういう点は十分皆さんの御賢察にまかせて愼重に御審議をいただいて、そしてこれが不当なものではない、先ほども申し上げましたように企業の形として、どうしてもある程度はやむを得ないというふうなことがあり得るかもしれない、そういう点は一に皆様の愼重な御審議に待つというふうなことになると思います。先ほど申しましたように十一年に人件費は五八%、物件費は四二%でありましたが、二十五年には人件費が四三%、物件費が五六%というふうになつているのであつて、決して人件費の増大によつて、今回の運賃値上げがどうこうということではないと思います。また石炭の節約につきましても、三三%も二十三年から二十五年までは節約しているというふうな状態にございます。以上のことをいろいろ御勘案いただいて、ぜひとも愼重にこの適正運賃ということについて十分に御審議をいただきたいと思います。 最後にたとえ話が非常によくないかもしれませんが、昔一体和尚がおつて、ついたてに虎の画が書いてあつた。殿様が、虎がおるから一体和尚に虎をくくつてくれ、こう言つたところが、一体和尚がはち巻をしてなわを持つて来て、よろしい、つかまえましよう、さて準備をしてから殿様に、その虎を追い出してくれと言つた、こういうふうな昔話がございますが、私たちもぜひとも政府が、われわれにこういうふうに運賃値上げをしないでよいように、反対なり賛成なりする場合には十分それができるように、もつと私たちをしてほんとうに適正運賃を裏づけさせるような、そういう方途を国家財政全体の大局的な面から講じていただく、こういうようなことを切にお願いしたいと思います。基礎物資の値上りがあつたのでは、あらゆる日本の物価がすべててこ入れになつてかわつて来る。狂瀾を既倒に返すというか、そういことができるならば、ここに運賃値上げは絶対しないでよろしいでしよう。しかしそれは次善の策であつて、もうすでに基礎物資は上つて来ておつて、運賃だけここでぎゆうぎゆう締めたつて、これが国家財政全般については、むしろもつと大きな目で処置しなければならないだろう、こういうふうな考え方をいたします。以上きわめて簡單でございますが、私の公述を終ります。
○大澤委員長代理 次に松宮あや君にお願いいたします。
○松宮参考人 委員長の御指名によりまして、私は主婦の立場から一言意見を述べさせていただきとうございます。私たち主婦連合会は、主婦の立場から今回の国鉄運賃の値上げに対しまして、反対の意見を持つものでございます。 その理由の一つは、まず第一に運賃というものは、あらゆるものにはね返るものでございまして、最近においては主食の値上り、ガス、電気等、生活の根本をなすものが次々と値上りしておりますので、私たちの家計は、これ以上どうにもならない線まで追い詰められているのでございます。このときにまたまた国鉄運賃を値上りされるということは、はなはだ耐えられないことでございまして、私の一家庭の例を見ましても、主人は池袋駅から東京駅まで毎日通勤いたしまして、その運賃の三箇月分が千九十円でございます。それが二割五分値上げ案によりますと、大体一箇月に九十円くらいの値上りになるのでございますが、これは私たちの家庭の、たいへん貧しい一日の副食物の費用になるのでございます。これは單なる交通費の増額で現われた数でございますが、運賃の上るということは、あらゆる物資の消費価格に影響して来るもので、この値上りによつて私鉄もまた上るということも必至でございます。通勤者あるいは通学者に直接の影響は大きいのでございます。この大きな物質的の影響を受けております通勤、通学者は、朝夕のラツシユアワーにもむちやくちやにされて、人間的の扱いはされているでしようか。国鉄はいつもサービスをと言つておられるのでありますが、このようなことを解決しないで、赤字であるからといつては値上げをし、その負担を国民に押しつけているということは、国民に大きな不満を起させるものになると思います。たとえば中小業者の方々が、赤字だからといつて品物にそれをかけたならば、売れなくなつてたいへんなことになるでしよう。それを赤字にしないように、企業の合理化をはかつて努力していらつしやいます。私たち主婦も、與えられました月給をどうしたら赤字を出さないで行けるだろうかということを毎日のように考えながら、生活の合理化をはかるのに苦心いたしているのでございます。国鉄当局におかれましても、せめて私どもと同じような気持になつて運営していただきたい。また機構の上のいろいろの縮小もございましようし、また家族パスのような制度もやめていただきたい。公共機関に勤めているがゆえに役得的な特典は、国民の立場を不公平にするもので、不愉快なものでございます。国鉄ばかりではありません。ガス会社、電気会社の社員割引等もまた同じでございます。弘済会の売上げも鉄道の大きな收入の問題になるように、これまた考慮して値上り防止の一部に充てていただきたいと思います。どうしても値上げを避けられないとすれば、毎日どうしても乘らなければならないところの通勤者、通学者の定期の値上げはやめていただく。また生活必需物資の輸送賃金も、最低の線で食いとめていただきたいと思います。最近あるおしようゆ屋さんにお聞きした話でございますが、塩の値上りよりも運賃の値上が痛いと言つて、もうすでに品物の値上りを警告しているのでございます。ゆえに、あらゆる物価を押えるブレーキとなつております国鉄運賃でございます。この点を御考慮の上御審議くださいますよう、重ねてお願い申し上げまして、簡單ではございますが私の意見といたします。
○大澤委員長代理 次に天日光一君にお願いいたします。
○天日参考人 御指名にあずかりました社団法人鉄道貨物協会の天日でございます。地域的に申しますと、日本全国を網羅しておるのでございまして、産業の種類から申しますと、農業、漁業、水産、林産、工業、鉱山、あらゆる産業、生産業者、荷主等を含んでおるのであります。この貨物運賃の値上げの問題につきまして意見をお聞き願いますことは、はだはだありがたく御礼を申し上げる次第であります。時間等の関係もございますので、きわめて端的に結論をまず冒頭に申し上げることにいたしたいと思うのであります。荷主側多数の意見を要約して申し上げますと、結論としては貨物運賃の値上げは、原案によりますと三割ということになつておりますが、これを二割五分程度に御圧縮をお願いいたしたい、これが第一点であります。 第二点、貨物運賃は、お扱いといたしまして一応一律に、とりあえず値上げが実施されるのでございますが、これに関連いたしまして最近各種生産物資の間におきまして、価格のアンバランスが相当はげしいのでございますから、これに即応いたしまするように、貨物の等級の御修正をお願いいたしたい。またさらに今回貨物運賃の値上げが行われましたならば、今申し上げた等級の御修正を願うとともに、遠距離を動く貨物なり、またその他経営上諸般の点から御研究を願いまして、運賃の割引制度を十分御活用願いまして、それぞれの物資の実情に即するようにおとりはからいを願いたい。 以上申し上げましたのが、私のお願い申し上げる骨子でございまして、あと数分の時間をいただき、ごく簡單にそれを敷衍させていただきたいと存ずるのであります。私の方で先刻申し上げた多数の全国にわたる会員、すなわち荷主につきましていろいろ意見を調査いたしておるのでありますが、ただいま集計できました千二十五枚の回答につきまして、内訳を御参考までに申し上げますと、第一、貨物運賃の値上げに反対であるという意見が、四百五十六に相なつております。それから第二に、値上げはやむを得ないとするが、二割五分程度にとどめていただきたい、かような意見が三百三十、また第三に、三割以上の値上げはやむを得ないとは考えるが、その実施の條件としては、運賃の等級の改正その他をお願いするというのが三十七であります。それから三割以上の運賃値上げもやむを得ないかと考えるというのが百六十三というような数字でありまして、意見不明なのが三十九、かような次第でありまして、約四割五分程度は今回の値上げに反対の意見を持つておりますし、三割三分程度が二割五分程度の値上げにおとどめを願いたいというような回答であるのであります。以上率直に調査の結果を申し上げる次第であります。 運賃値上げのやむを得ない事情につきましては、荷主側といたしましてももとより今申し上げたような状態で、ある程度了承いたすのでございますが、なお旅客と貨物の値上げの率の差異等につきましては、いろいろ意見があるのでありまして、なるほど国鉄の輸送原価コストの面から見ますと、旅客よりは貨物の方が費用がよけいかかつておる、原価が高くつくということに相なつてはおりますけれども、これも見方をかえて考究の余地があろうかと存ずるのであります。と申しますのは、いろいろ諸掛のうちで、共通的なものを旅客と貨物とに振りわけるそのあんばいの方法でございますが、これなどはなお相当考える余地があろうかと存ずるのであります。もしも輸送原価という点のみから申しまして、輸送原価を相償うという、その一本やりだけの考えで参りましたならば、たとえば旅客運賃の中におきましても、定期旅客については最も著しい赤字を生じておるのでありますから、これにつきましてはさらに高率な引上げをせねばならぬという、非常におかしな結果にも相なるわけであります。これを要しまするに旅客といい、貨物といい、あわせて鉄道一本としての收支を勘案されて、値上げの率なり何なりをおきめ願えればよろしいのではないか、かように考えるのでありまして、こまかい種別ごとの輸送原価というものに、あまりとらわれることのない方がよろしいのであります。一本としての御勘考をお願いしたいのであります。 なおいろいろ旅客運賃なり貨物運賃の値上りの幅でございますが、これはすでに御承知かと思いまするが、私の方で調べますと、昭和十一年を基準として、現在の普通旅客の運賃を見ますと九十三倍となつております。定期旅客は八十六倍であります。これに対しまして貨物運賃は百三十一倍という大幅な値上りになつておるのであります。なおまた最近の昭和二十一年を基準にとつてみますと、現在旅客運賃は十九倍でありますのに対して、貨物運賃は四十五倍の値上りであります。今もしも原案のごとくに旅客運賃について二割五分、貨物運賃につきまして三割の値上りが実施されるといたしましたならば、これを昭和十一年を基準としたものに比較いたしますと、旅客は百十九倍の値上りとなるのであります。これに対して貨物は百七十六倍と非常に大幅な開きがあるのであります。また二十一年を基準としたものに対比いたしますと、旅客は二十四倍の値上りでありますが、貨物は五十八倍というような大きな値上りの幅の差異があるのでございます。最近国内におきましては、インフレの高進を抑制し、外には輸出の振興をはかるということが、刻下の急務として各方面から要請さ国れておるのでございますが、この内におけるインフレを防止し、外に対する輸出を増進するということは、とりもなおさず物価の高騰を抑制いたすことに、その基調を持たねばならぬと存ずるのでありまして、一般物価の最も基礎をなしまするところの運賃の値上りということが、産業なり一般民生に対して、物価面上非常に広汎な、かつ大きな深刻な影響をもたらすことは、いまさら申し上げるまでもないわけでありますが、値上りを必ずしも——各産業が、その産業々々の合理化によりまして吸收いたすことは、なかなか困難な状況でありますので、自然一般物価にそれが転嫁され、物価の高騰を惹起するということに相なるわけでございますから、この点特に国会といたされまして、十分の御勘考をお願いいたしたいのであります。一口に貨物運賃三割値上げと申しまするけれども、物により、地区により、あるいは距離のいかんによりましては、たとえば一つの例でありまするが、三割二分以上の値上りになるものもあるのでございまして、しさいに見ますると、必ずしも三割以下にとどまるわけではないのでありまして、かような点などもまた十分御檢討を願いたいのであります。 また朝鮮事変以来、一般に物価が高騰したということも事実でございまするが、なお十分御檢討を願いますれば、ものによりましては、さほどの高騰を来していないものもあるのでございまして、かような面におきましては現在の運賃すら、辛うじてこの負担に耐えておるというようなものも相当あるのでございます。冒頭に他の参考人の方から、中小企業のお話も承つたのでございまするが、多数の中小企業などの荷主におきましては、現在の運賃の負担につきましても、相当難澁いたしておるわけであります。これ以上の負担ということになりますると、その難澁、また吸收でき得ないという点は、十分御勘考願えるかと存ずるのであります。 以上私が申し上げたことにほぼ盡きるわけでございまするが、なお最後に、全国から集まりました反対の数字を御参考までに読み上げてみますると、今回の貨物運賃の値上げ問題についての反対理由としまして、一番多いのは、やはり一般物価の値上りとなる、これが百三十六でございます。それから第二に、インフレの助長となるというのが五十三、鉄道の合理化を前提とする、これが四十四、生産者に対する打撃がはなはだしい、かようなのが三十六、それから取引が縮小する、少くなるというのが十九、価格の中で運賃の占める割合が高くなつて輸送ができなくなるというのが十五、第七に、低物価政策に反するというのが十四、経営が困難になる、できなくなるというのに近いのが十一、また貨物運賃の支払いに円滑を欠くようになるというのが四、それからかくのごとく運賃が値上げされたのでは、自動車輸送に転換せざるを得ない。自動車輸送に依存せざるを得なくなるというのが三つほどございます。その他若干ございまするが、かような調査によつて現われた実情を率直に申し上げておるのであります。 なお最後に、鉄道の経理はなるほど独立採算制ということに相なつております。また本則といたしましては、なるほど受益者負担ということが望ましい姿でもございましようけれども、御承知の通り日本といたしましては、実に長い間政策運賃、いわゆる貨物運賃というものは、国内の物価に対する見地なり、あるいは輸出の振興というような見地からいたしまして、長い間貨物運賃というものは政策的に、その輸送原価を必ずしも相償わない方式をとられて来たのでありまして、これは実にわが国の特殊な事情から、さような長い間の慣行と相なつたことと思うのでありまするが、かような点も大局的の見地から、十分御審議をお願いいたしたいと思うのであります。 なお鉄道貨物は承りますと、今年の上半期におきましては八千三十一万トンの輸送実績であつたそうでございますが、おそらく今年の下半期におきましては、上期の八千三十一万トンを越える輸送数量があろうかと推察いたすのであります。御承知の通り現に駅頭に荷物がたまつておりますが、それが二百万トンを越えている状況でありますから、下期において八千万トンを越える予想は、必ずしも失当ではあるまいと存ずるのであります。かような趨勢が持続できましたならば、本年一億五千六百万トンを予想されております輸送量に伴う予定收入は、輸送量が一億六千万トン、あるいはそれを出るくらいにふえる関係上、増收が必然的に起るものと思うのでありまして、かように考えて参りますならば、増收もあるわけでありますから、従つて値上げの率も今少しく圧縮して行くことは、可能であろうかと考える次第であります。 以上申し上げたことに盡きるわけでありますが、だんだん申し上げたことからいたしまして、一番初めに申し上げた結論に到達するのであります。お聞き取りいただきましたことを厚くお礼を申し上げます。
○大澤委員長代理 次に東京新聞論説委員福良俊之君にお願いをいたします。
○福良参考人 もうすでに各方面の方方から、いろいろ御意見の陳述があつた際でございますから、なるべく重複を避けまして簡單に申し上げたいと思います。 今度国有鉄道が運賃の値上げをするのについて、ある程度の値上げは私もやむを得ないと思います。しかしこの値上率は、できるだけ小幅にすべきであると考えます。その理由が二つ考えられます。一つは、先ほども御指摘になりましたけれども、国有鉄道の持つ性格から考えて参りたい。他の一つは、国民生活への影響、また物価への影響、こういう点を考えてみたいのであります。 第一番目の国有鉄道の性格についてでありますが、現在日本国有鉄道は独立採算制を建前としております。しかしながら大和さんからも御指摘がありましたように、完全に独立採算制がとられておるかというと、必ずしもその通りには行つていないように思うのであります。たとえば日本国有鉄道法の最後の一條に、国有鉄道は年末の賞與を支給せずというような一項目がありますが、企業が企業努力によつて生み出した利潤というものをどのように配分するかということは、その企業の持つ性格によつていろいろ違いますけれども、企業努力によつて生み出されたものが、賞與としても支給されないというような状況であつて、現在国有鉄道が独立採算制だといつても、必ずしも妥当ではないように思うのであります。さらにもしも独立採算制ということを強く主張して行くならば、現在国有鉄道が持つておりまする営業的に採算の合わない路線、あるいは航路というものを廃止しなければならないのでありますけれども、国有鉄道の持つ一つの性格からいつて、そういう営業に合わない線までも経営して行かなければならない、こういうふうな点から考えて参りますと、営業の收支に赤字が生じた。従つてこの赤字を補填するのに、他方において企業努力によつて生み出すものがあるけれども、大部分を運賃の値上げによつてまかなわなければならないということは、そこに少し疑問があるように思うのであります。 第二の問題でありますが、国民生活への影響、この部面につきましては、先ほど主婦連合会の方からもお話があつたと思いますけれども、特に私どもとして強調いたしたいのは、さきに電気料金の値上げがあり、これはまた来年の四月には再び値上げが行われるということでありますが、続いてガスが値上げを予定され、水道料金も上り、また通信、電話、郵便料金というようなものも上る。そこに今度の国有鉄道の運賃値上げ、こういつた公共性の強い企業、公益的な性格の強い企業が料金を上げるということは、他の産業が、いろいろの原料資材が上つたからといつて価格を引上げる場合に比較しますれば、はるかに大きな影響力を持つものである。そういう点を考えて、今度の国有鉄道の運賃値上げについても、かなり考えさせられるものがあるのであります。 最後に、一般物価への影響でありますが、この点につきましては、先ほど他の方々からいろいろとお話がありましたが、計数に出て来たところでは、現在の個々の価格に占める運賃の比率というものは、はつきりと数字で示されますけれども、実際問題として考えてみますと、おそらくここに示されておる比率以上に物価にはね返えりをするのではないか、かように考えるのであります。 こういつた国有鉄道の持つ基本的な性格の点から考え、また国民生活及び今後の物価一般に與える影響の点から考えまして、今回の国有鉄道の運賃値上げについては、できるだけ愼重を期せられたい。またもし引上げがどうしてもやむを得ない場合でも、できるだけその引上げの幅を小さくすべきであると私は考えるのであります。私の意見はこれで終ります。
○大澤委員長代理 これにて参考人の陳述を終りましたが、委員より御質疑がありましたら、これを許します。
○岡田(五)委員 一つ簡單なことでございますが、上田さんにお尋ね申し上げたいのであります。先ほど上田さんのお話を承つておりますると、あるいは私の誤解であるかもしれませんが、今度の鉄道運賃の引上げは、結局物価の高騰にはね返つて来ないで、むしろ生産者または販売者の利潤の中にしわ寄せされる。利潤という言葉があるいは悪いかもしれませんが、生産者または販売者の側にしわ寄せされる。たとえばもなかのようだということをおつしやつておられましたが、そういうような現在の経済界といいますか、購買力の状態における経済界においては、そういう見通しをおつけになつておりますのでございまするか。またこの運賃の値上げは、大部分は物価の騰貴というところにはね返つて行くものであるというようにお考えになつておりますでしようか、その辺のところをもう一度お伺いいたしたいのであります。
○上田参考人 ただいまお尋ねの件につきまして、簡單にお答えいたします。もちろん中小企業の立場におきましては、私が冒頭に申し上げましたように、わが国の商工業の九九%が中小企業者でありまして、これが国民生活に及ぼす影響度というものは、非常に高いのでございます。従つてこの国鉄の値上げということのみならず、あらゆる面において、中小企業者に常にしわ寄せされるということが、一般の状態に相なつております。この基本的国民層がうまく行かないということは、国家の存立に影響度が非常に大きいという点を、まず国会としてお考え願いたい。 もう一つ、木材の面につきまして私が申し上げたのは、これはおよそマージン格差において、非常に縮減されておるのでございまして、これが吸收率が悪くなれば立木に影響する。そうなると、森林法の改正もされ、また治山、治水、国土保全の施策もせつかく行われているのでありますけれども、最善ということはとうてい現状においては不可能であります。治山、治水、国土の保全ということに対して非常な影響がある。かかる点からして、相なるべくは運賃値上げはできるだけ小幅に願い、特に木材の観点から見ますると、非常に運賃の負担力が重過ぎるということであります。これは一般に何割上げるとかいうことでなく、基本的には等級の引下げを、負担力の観点から願いたいという一例を申し上げたのであります。どうかさよう御了承を願います。
○岡田(五)委員 もう一つ、この機会にお伺いいたしておきたいことは、よく承ることでございますが、鉄道運賃は原則として現払いといいますか、前払いといいますか、貨物を託しますと、直ぐ現金払いをしなければならぬ。ところが送られたもの及び原料のようなものの代金は、小切手だとかで相当長い期間の後払いで支払われるので、こういう現払いのものが上ると、運転資金が多くいるというようなことで、引上げられる率は比較的少くとも、実際に事業経営上、また商売をやつて行く上において、相当打撃を受ける、こういう話をよく承るのであります。また事実現在の商取引の現況からいたしましてそうだと想像いたすのでございますが、その辺のところはどのような模様でございましようか、上田さんにお伺いいたしたいと思います。
○上田参考人 業界数ある中には、ただいまのお説のように金融難のために運賃の負担力が非常に大きい、重いという面のあることも、苦しい現在の情勢下においてはやむを得ないと思います。そのよつて来るべき原因はどこにあるかというと、負担力が非常に重いということが、一つの原因に相なつておると思うのであります。この点、運賃バランスがすべて当を得ますれば、そういうような不合理な面はなくなる。今日そんな面は数としては一小部分であると解釈いたしたいと考えております。
○大澤委員長代理 他に質疑がなければ、参考人に対する質問は終りたいと思います。 参考人の皆様方に一言お礼を申し上げます。お忙しい中を長い間、いろいろ参考になることをお聞かせいただいて、ありがとうございました。 〔大澤委員長代理退席、岡田(五)委員長代理着席〕 —————————————
○岡田(五)委員長代理 それでは質疑を続行いたします。 なお運輸大臣は目下予算委員会に出席されておりますが、予算委員会が終了いたしますれば、当委員会に御出席になるようになつておりますので、運輸大臣に対する御質疑がございましたら、その節にお讓りを願いたいと思います。
○淺沼委員 この際二、三の点についてお伺いしたいと思うのであります。第一は、運賃値上げに関連する従業員の賃金に関する問題であります。賃金に関する問題は、調停委員会で調停が成立いたしまして、それによつて予算に組まれて来ておるようであります。しかし、これは四月に調停が成立したにもかかわらず、八月から予算に組まれて来ておるようであります。現在は仲裁委員会にかかつておるようであります。しかし仲裁委員会にかかつて決定ができましても、今回の予算には間に合わないということになるのでありまするが、労働者側から申し上げまするならば、仲裁委員会の結果に対しては非常に注目しておると思うのであります。私どもがうわさに聞くところによりまするならば、この二十日ごろには裁定ができるであろう、こういうぐわいに伺つておつたのでありますが、日時は大体いつごろになるのか。裁定ができれば、その裁定を重んじて予算の修正というようなことをみずからやるようなお考えがあるのか、こういうような点についてお伺いしておきたいと思います。
○長崎説明員 ただいまの従業員の賃金ベース・アツプの問題でございますが、これは調停にかかりまして、調停案が一応できて、組合の方もわれわれの方もその調停案を受諾したのでありますが、その受諾にはおのおの條件みたいなものがついておりまして、なかなかまとまりがつかなかつた。そこで調停委員会が裁定の方へ上して行つたというようなかつこうでございますけれども、その調停の本旨というものは、ぐつと砕けて申し上げますと、つまり期間の問題で、どこまでさかのぼるかということなんでありまして、これは労使双方でもう少し歩み寄れば、話合いがつくのではなかろうかと私どもは考える次第でございます。裁定の期間は本月の二十一日でございましたが、それをもう少し延ばして、その間にもつと労使の間で歩み寄りをする道はなかろうか、どうであろうか。またせつかく国会において運賃法の一部改正、あるいは補正予算なるものがかかつておる時期であるから、それらのことも勘案いたしまして、組合側に私から、二十一日にいよいよ裁定の期間が来たのだが、どうですか、期間をもう少し延ばしてもらつて、政治上の国会の情勢その他もお互いに見てみようじやないかということを申し入れたわけであります。それに対しまして、組合側においてもたいへん議論があつたようでございますが、私どもの考えと合致いたしまして、その結果、それではしばらく延ばそうというので、労使の間に合意ができまして、双方相携えて中裁委員会を訪問いたし、しばらく裁定を延ばしてくれぬかという申出をしておるのでございます。従いましてまだ裁定がございませんから、どういう裁定になりますか。私どもはせつかく調停のラインにある線が出て、これが双方で努力しさえすれば、まとまらぬ限りのものでもないのでありますから、初めてのことでございますが、できるならば調停のラインで双方まとまつてみたらどうかというので、せつかく今努力いたしております。裁定の問題については何とも今のところはお答えいたしかねます。
○淺沼委員 そうすると政府側の原案に出て参つておりますのは、八月から値上げをしよう、従業員側は四月からやろう、この期間の問題についてお互いが努力しようということで継続をされているわけですが、さように理解してよろしいのですか。
○長崎説明員 そうでございます。
○淺沼委員 そういたしますと、いずれにいたしましても双方が努力をしておるということになれば、話合いがつくということになつて、八月でもないし四月でもないということが、大体話合いのもとになろうと思うのです。そういうものが出たときには、やはり予算の裏づけはされるということになるのでしようか。
○長崎説明員 そこはまだ話合いがついておりませんから、わからないのです。
○淺沼委員 今度の官庁におけるベース・アツプは、勧告よりか下まわつておりまするけれども、年末手当として〇・五であつたものが〇・八になるようであります。従いまして国鉄の方には年末手当並びに氷手当といいますか、夏季のそういうものがないために、本年は夏季手当を中心として相当深刻な闘いがあつたようでありますが、他の官庁にあつて国鉄にないというところに、しかも賃金ベースの点から申し上げましても、何も特別に国鉄がいいというわけでもないようでありまして、その年末手当あるいは夏季手当等について、今後お考えになるという考えを持つておられるでしようか。
○長崎説明員 手当の問題については、私詳しいことを存じませんけれども、何か立て方が違うようであります。
○淺沼委員 次にお伺いしたいのは、首の問題です。行政整理は政府で方針をきめたようでありまして、その結果、われわれの知る範囲においては二万二千二百三十二名とか、国鉄側において首を切られるようであります。しかし首を切るということは、従業員、労働者にとつては非常に重大な問題でありまして今のような失業者が続出をしており、こういうような深刻な経済界においては、ある意味から申し上げまするならば、間接的な死刑の宣言のようなものでありまして、こういうことはなるべく避けなければならぬことであろうと思うのであります。しかも当局側において一万六千人の増員を必要とする、それでなければ現在の国鉄が円満に動けないということを言われて、国鉄としては政府の方に一万六千人の増員を要求したように承つておるのであります。一方において増員を必要としながら、一方において政府の方から首を切れという、そこで国鉄側としては当然首を切らないで、一万六千人の人間を收容するようなことにならなければ、国鉄全体が能率的に、なおかつサービスの機関として、奉仕的な仕事ができないという結果になろうと思うのですが、この矛盾をどこで御解決になるというお考えでしようか。
○長崎説明員 これは淺沼さん御承知だと思いますが、昭和二十六年度の最初の予算においては、年度末までに一万数千人を減員する予算になつております。その減員を見通しての一万六千人の増員という要求をしたわけであります。今回の整理は九月末現在人員で、それから二万何千人、最初の案は三万幾らでありましたが、いろいろ折衝の結果二万二千人、しかもその二万二千人の中には、長期欠勤者の一万数千人というものが入つておるのであります。でありますから、現実に整理されるというものは、私はそう大なる苦痛なしに行ける、かように考えます。と申しますことは、われわれの仕事は一般官庁と違いまして、事業の繁閑、いろいろなことに応じまして増減員いたしておりますから、私は本来ならばいわゆる行政整理なるものはないのであると思います。そういう趣旨を政府においても認められた結果、ただいま申し上げたような僅少の数にとどまることに相なつた次第であります。
○淺沼委員 そこで長期欠勤者の問題でありますが、長期欠勤者は事故のある者が欠勤をしておるという形になろうと思うのであります。長期欠勤をすべき條件がなければ、長期欠勤をしないわけでありますから、事故のある者が長期欠勤をしておる。主として病気欠勤その他のものがあろうと思うのであります。病気で長期欠勤しておる者を首切るということになれば、自然そのうちの生活はやつて行けないことになる。病気でない者は、他に転業ということも許されるのであります。しかし病気で欠勤しておる者が首切られたら、自然淘汰の形になりますけれども、家庭の生活はやつて行けないという形が出て来るのでなかろうかと思うのであります。そういう意味において長期欠勤者を首切りの対象にするということは、相当真劍に考えなければならぬ問題だろうと思うのであります。その点について、長期欠勤者についてもつと親切なやり方というものをお考えにならぬでしようか。
○長崎説明員 はつきりしたことを申し上げかねるのですが、長期欠勤者の扱いは、ちようど休職みたいな形になつて、これた対する立法が今度出るはずだと心得ております。
○淺沼委員 休職だというここになりますれば、待命制度という形を採用する結果になろうと思うのであります。まだ私どもは国鉄の内部に待命制度があるということを伺つておりません。しかし今の答弁によりますと、鉄における人員整理は、待命制度を採国用する結果になりはしないかという考えを持つのであります。そういうような結果になるでありましようか。そうすると真実の意味における整理ではなくして、待命制度による整理という形になりますか、さよう理解してよろしいでしようか。
○足羽政府委員 ただいまの総裁の説明に、私補足さしていただきたいと思うのであります。先ほど整理人員として総裁があげられた数のうちには、病気の長欠者がその人数のうちに含まれて、定員外の扱いとしてめんどうを見る。こういう意味に総裁はさつき説明をされたわけであります。待命制度とおつしやいましたが、休職という扱いになると思います。そうして籍を残してめんどうを見る。それはさつきの整理人員の数の中に入るわけでありますから、つまりそれだけ整理者が減るわけであります。
○淺沼委員 そうすると二万二千有余の人を首切つて、そのうち長期欠勤者が一万三千八ほどある。その方々は整理ではなくして、待命制度で休職を命じて、それに対して手当を支給するという結果になるでしようが、そういたしますと、これは整理ではないということになる。要するに整理ではなくして、新たに休職制度を採用する、待命制度というものを採用するような結果になつたと理解してよろしゆうございますか。
○足羽政府委員 待命という名前ではございませんが、大体そういうふうに御理解いただいてもよかろうと思います。
○淺沼委員 そうすればこれらの人には、賃金の中の何ぼかを支給しなければならぬということになろうと思うのであります。いわゆる待命であるがゆえに、全額賃金を支給しないで、そのうちからある程度の額をきめてやらなければならぬと思うのでありますが、基本的な賃金がありまして、何ぼくらいのものをそのうちから支給して、その人の生活にどういう影響を及ぼす結果になるでしようか。これについては、資料で御説明していただいてけつこうです。 それから首切りの問題については、団体交渉をやつて行われるのか、この行政整理については、前の定員法の施行と同じように、一切団体交渉をやらないということになるでしようか。労働組合の自主性を認めての首切りの問題ということになれば、労働組合にとつては、これほど重大な問題はございません。従いまして、労働組合で持つております基本的人権擁護のための団体交渉権は、明らかに活用されて参らなければならぬと思うのであります。そういう意味合いにおいて、この首切り問題については団体交渉権を活用されるのか、あるいはこの団体交渉をやらないで、ずばりとやつてしまうのか、こういう点について、ひとつ伺つておきたいと思います。
○足羽政府委員 団体交渉の対象になると思います。 それから先ほどのお話でございますが、実ははつきりした資料を持つて来ておりません。たしか本俸と扶養手当、勤務地手当を加えた総額の最高八割以下のものを、それぞれ公傷病あるいは私傷病といろいろ区別があると思いますが、支給するような内容できめられる予定になつております。
○淺沼委員 その話を聞けば聞くほど、行政整理ではなく、待命制度の採用だということになるわけですね。
○足羽政府委員 はい。
○淺沼委員 わかりました。それからもう一つ、これに関連をして伺いたいと思う点は、人員整理に伴う退職金は、一体いかほどくらい払われるのか。これは総裁には少しこまか過ぎるから、監督局長の方から願います。やはり首を切られることになつて、人員整理が行われる場合には、退職金は何ぼくらい出せるのだということが、首を切られる者あるいは自発的に退職しようという者にとりましては、非常に重大な問題だと思います。そこで一体何ぼくらい出されるものかということ、またこの出す額についても団体交渉に応ぜられるのかどうか、これについてお伺いしたいと思います。
○足羽政府委員 どのくらいな率で出すかということは、私、実はまだはつきり知らないのでございます。今回の行政整理に関連をして、あるいは税法上の軽減の取扱いとか、いろいろな問題がありまして、まだそういう点がきまつておりませんが、近くきまるはずでございますから、それに歩調を合せて大体今後きまると思いますので、今私、ちよつとはつきりとはまだ申し上げかねます。
○淺沼委員 それに関連をいたしまして、恩給法のことをお伺いいたしたいのであります。一般公務員の恩給法のことについても、いろいろ議論があるようであります。それと同時に国鉄の関係においても、この問題についてはもつと現状に即した恩給が必要ではないか。人間がある仕事に自分の生命を捧げて働き、それがやめた後においてその人の老後をよく見るということは当然なことでありまして、恩給制度というものは、必ずしも否定すべきものではないと私は考えておるのであります。しかしその恩給制度をきめるには、やはりその作業々々の関係において、その実情に合せたようにしなければならぬと思うのでありますが、国鉄当局においてはこの恩給法の改正、現実に合わない恩給に対しては、改正をするというようなお考えを持つておるのかどうか、この際承つておきたいと思います。
○長崎説明員 私は従業員の老後の問題、職をしりぞいた後の安心感といいますか、そういうものについては、淺沼さんのお考えと同じようなことを考えております。どうしてもこれを安定させて、安心して職務に従事していただくということは、きわめて重要なことと思つております。なお恩給法の改正につきましては、今たしか人事院その他で案を練つておるやに私は承つております。しかしその内容は、私まだはつきり存じません。
○淺沼委員 それからこの際鉄道当局から伺つておきたいと思いますが、今出されて参りました法案は、運賃値上げに関するものであります。しかし鉄道関係の法案を審議するにあたりまして、当然付随して来なければならぬ法案があろうと思います。大体どういう法案を出されるのか、この際これを承つておきたいと思うのであります。ことに今労働者側において非常に問題になつておりますのは、交通事故に対する法律が非常に要望されているようであります。もちろん政府側においては、鉄道保安法というようなものを考えておられると思うのでありますが、こういうようなものについて、どういうようなお考えを持つておられるのか、これを説明願えれば非常にありがたいと思うのであります。それから国鉄に災害が起きたとき、従業員の立場は保障されておらないのであります。この災害補償に対して、どういうふうな考えを持つておられるか、この際承つておけば非常に幸いだと思います。
○足羽政府委員 この臨時国会に提案いたします法律は、この運賃法の改正と、先ほどちよつと申し上げました長欠者を休職にするという点に関しての、現在の国有鉄道法の一部改正を出すことになるかと思います。 それから今お話のありました保安法、それから施設基準法の話かと思いますが、実はこれら二つの法律は、国鉄といわずあるいは私鉄といわず、鉄道全体に通じましての施設の基準が、現在それぞれ省令できまつているわけでありますが、そういうものを法律に格上げをして、内容をもう少し明確にいたしまして、かつそれらのきまつた時期がずつと以前でありますので、時代も非常にたつておりますから、見直して、一定の基準を與えて、鉄道の施設を輸送機関の安全という面からはつきりいたして行きたい。それが施設基準法の抽象的な立法をしたいという趣旨でございます。それから鉄道保安法と申しますのは、鉄道の運転につきまして、やはり国鉄、私鉄を通じて、その共通の基準をもつて運転の安全、保安という観点から、明確な一つの線を出して行きたい、こういうことでいろいろ内容を立案、検討いたしておるわけでありますが、実はまだ国会に提案して御審議を願うという運びになつておりません。内容の詳しい点については、そういう次第でありますから、ここで説明することを省略させていただきます。
○淺沼委員 最後に一点、これは大臣並びに国鉄総裁に伺つておきたいと思うのですが、今労働三法の改悪問題が問題になつております。しかし国鉄におきましては、労働者の罷業権というものはとられておるわけであります。しかして罷業権がとられたときの客観的情勢というものは、二・一スト前後における日本の客観的な情勢が、そういうような立法になつて現われておると思うのであります。しかし大体において労働組合も、民主的な労働組合として労働運動をするようになつておるのでありまして、国鉄におきましても、この労働者の基本的人権でありまする罷業権という問題については、真劍に労働者の立場を考えて取組んで行くべき問題ではないか。そういう方面における法律の改正ということも考えてしかるべきだと思うのでありますが、大臣並びに総裁は、労働者の基本的人権が狹められている国鉄の従業員の動向にかんがみつつ、これをやはり元の基本的人権を認める立法に返すというようなお考えにはなれぬものでしようか。その点をひとつ伺つておきたいと思うのであります。いわば独立が行われるようなことになつて参りますならば、日本は日本人自身の力によつて、日本の再建をやつて参らなければならぬと思うのであります。従いまして占領政策施行のために、いろいろとなされておりました政令あるいは法律というものは、当然日本の労働者の自主的立場を考えられまして、憲法で規定されておりまする基本的人権を認めて行くという立場をとるべきであろうと私は思うのであります。そういう意味合いにおいて、自然公共企業体労働関係法を改正して参らなければならぬということになるだろうと思うのでありますが、経営者の立場から考え、また監督当局の立場から考えて、基本的人権を奪われておる鉄道従業員の基本的人権を、返してやるというようなことは考えられぬものでしようか。
○山崎国務大臣 お答えいたします。ただいま御指摘の点は、すなわち公労法により罷業権を押えられておる点をお尋ねと考えるのであります。もちろん今お話の通りに、当時の国情が今日の立法の姿を得たことは、御説の通りであるのであります。しかしこれを高所大所から通観いたしました場合においては、国情が徐々に安定をしつつある今日の際でありますから、これをさらに狹めるという点には、私どもは十分賛成はできないのでありまして、これはむしろ今後改廃があるような場合には、御説のような線に沿うて進むべきではなかろうか、かように考えておる次第であります。
○淺沼委員 山崎運輸大臣から非常に心強い答弁を伺いまして、非常に喜びにたえません。というのは、ややもいたしまするならば、日本が独立をし、いよいよ自立をして行こうという傾向のときに、せつかく持つておりまする基本的人権を狹め、あるいは民主主義の立場を狹めて参るという傾向が非常に多いのであります。そのことがあるいは団体等規正令というような形になつて現われ、あるいはそのことが労働三法改悪というような形になつて現われておるのでありまするが、今大臣は、今持つておるものを狹めることはやらないであろうとおつしやつたのであります。これは当然なことでありまして、鉄道従業員各位が持つておりまする憲法で保障された人権を、これ以上狹めるというようなことは考え得ないことだと思うのであります。しかし私が質問をいたしましたように、占領政策施行のための一環としてなされたものに対して、愼重に考えて、やはり時代に合つたようなことにしなければならぬということを伺いまして、心強く感じます。これをただちに取上げるかどうかということは、大問題であろうと思うのでありますが、気持の上におきましても、そういうような気持で従業員の基本的人権を尊重されて、総裁並びに大臣は大いにやつていただきたいということを心から念願いたします。以上をもちまして私の質問を終ります。
○江崎(一)委員 関連してお伺いしておきたいのですが、今の長崎総裁の言によりますると、二万二千三百二十二人の人員整理を、九月現在の人員から行う、しかし一万三千の者が長欠者であり、これを含んでおるから、実際の首切りの人員はもつと少くなり、大体九千人くらいになるというお話のように承つたのです。この九千人という人員整理は、やはり血が出る首を切るわけなんですが、この人員整理でこういうような減員をやつても、国鉄はやつて行けるのかどうか。自分はあちらこちらを見まして、この減員が国鉄を半身不随にするのではないかという危惧を持つのですが、その点についてはどうですか。
○長崎説明員 それは先ほども申し上げましたように、二十六年度の予算において、すでに年度内において一万数千人を減員する計画のもとにできておるのであります。
○江崎(一)委員 実は非常にふしぎなことを、私はこの間国鉄の労働者から直接聞いたのです。それはこういうことです。今度ひとつやめてもらわなければならぬ、しかしこれは前の首切りとは性質が違う、今度は君に新しい任務を與える、今度やめてもらつたら、さつそく警察予備隊に入隊してもらう、そして給與その他は決して悪くしない、また在職年限は引続いてこれを換算するようにはからうつもりだから、そのつもりでよく考えておいてもらいたいというようなことを、ある自分の監督者から言い渡されたということを聞いたのです。総裁はこういうことを部下がやつていることを御存じですか、またそういうことについてどう思われますか。
○長崎説明員 私はそういう話を聞いておりませんし、そう無理なことをしなくても、大丈夫整理ができるのじやないか、こう確信しております。ただ一番困難なのは何かと申しますと、配置転換なのです。私の職場は、御承知のようにある一箇所に集中いたしておりません。日本全国にばらまかれております。しかもその職種の間には、過剰のものもあり、非常に少いものもあるというような、非常なアンバランスがあるということは御承知の通りだと思います。それを是正することが一番むずかしいのでありまして、四十数万の人間から、八千や一万の整理をするというようなことは、私はそう無理な、いわゆる血で血を洗うというような無理をしなくても、可能だと確信しております。
○江崎(一)委員 これははなはだしい暴論であると思います。今首を切られたらどうして食つて行けるか。あなたは、首を切られたらその日の生活に困る労働者の生活を知らぬのかもしれぬ。だからそういうことをぬけぬけと言われるのかもしれませんが、実際は先ほど淺沼委員が言われたように、これはまつたく死刑の宣告である。そう軽々しく考えられては困る。またそういう九千人からの整理については、今何か具体的な整理基準について考えておられるか。その点、整理基準を何か考えておられるようであつたら、それを話してもらいたいと思います。
○長崎説明員 今着々準備をいたしておりますので、まだお話することはできません。
○江崎(一)委員 この十一月一日から運賃が値上げになる、それに引続いてこの整理をやろうというのに、いまだに具体的な方針が立つておらないようなことでは、国鉄総裁としてお役が勤まらぬ。そういうことを言うて今あなたは逃げておられる。現実に回答をサボつておられるのだ。こういうことは当局として、もうはつきり方針を立てていると思う。あなたが御存じないならしかたがないが、着々今準備をしておりますということで逃げることは卑怯だと思う。その点をはつきりしてもらいたい。
○長崎説明員 私は逃げているわけでも何でもないのでありまして、予算のできるちよつと前にきまつたことは御承知であろうと思います。それを今すぐどういう方針でというような、そういうこまかいことは申されません。御説の通り、人の整理をするというようなことは、決して軽々にやるべきことではないのでありますから、愼重にやはり案を練つて実行しなければならぬものと思つております。
○岡田(五)委員長代理 江崎委員に申上げますが、この間のあなたの質問に対しまして、当時経理局長の答弁が不十分であるということでありましたが、今吾孫子職員局長が参つておりますので、今追加答弁をしていただきます。
○吾孫子説明員 先般お尋ねのございましたのは、青函連絡船の火手の整理の事案があるかどうかというお尋ねであつたように承つたのでございますが、本年の四月からただいままでの間におきまして、火手の整理というようなことは別にやつておりません。ただ乘務定員を二十五年度に比較いたしまして、二十六年度は若干削減いたしておりますので、現在火手の面におきましては、多少過員のような形にはなつておりますが、これについて何か整理をしたというような事実も、調べましたけれどもございません。ただいままでにやめた者は、なくなつた人と合せて十名程度でありまして、別にそのようなことはないのでございます。
○江崎(一)委員 なくなつた人とやめた方、合計十名というような御回答であつたのですが、なくなつた方もあります。しかしやめさせられた人があるわけです。そうして聞くところによりますと、定員は二百三十名だそうですが、現在二百二名になつております。それで労働強化が行われる。火夫の人たちは非常に疲れてやり切れないといつている。こんなひどい労働強化の状態で運営して行くつもりかどうか。この前の委員会で聞きましたところが、これはメカニカル・ストーカーがとりつけられたから、これでよいのだというような、でたらめなお答えでしたので、この問題をさらに説明してくれということをつけ加えておいたのです。この点をあらためて追加して御回答を願いたい。
○吾孫子説明員 ただいま定員の件について、数字をあげてお尋ねになりましたが、火手の昭和二十五年度の定員は九百四十二名になつております。それを本年度は七百九十四名に削減いたしましたので、差引百四十八名の定員減になつておるわけでございます。それで現在員は八百八十三名おりますので、差引いたしますと、新しい定員に対して八十九人ほど過員になつておる、こういう数になつております。それでメカニカル・ストーカーというお話もございましたが、この定員を査定いたしましたのは、実は従来一つ一つのボイラーに全部定員を張りつけてあつたわけでありますが、船によりまして五つのものもありますし、六つのものもあるそうであります。それでそのボイラーのうち、一つだけはいつも予備ということで使つておりません。その使つておらないボイラーに対しても、使つておるボイラーと同じような定員を張りつけてあつたわけでありますが、予備のボイラーを使います際には、どれか現在動いておりますボイラーを休止するというかつこうになりますので、その予備に張りつけてあつた定員だけを削減した、こういう関係になつております。それからただいま何か無理にやめさせた者があるというようなお話がございましたが、その点も実は現地の方にも間き合わせまして、一応調べたのでございますが、無理にやめさせたというような事実はないというふうに聞いております。
○江崎(一)委員 いろいろな官庁で、職制を通じて調べた結果と、われわれが直接労働者に、だれの目も光つていないところで聞いたのとでは、まるで反対の結果が出て来るのです。これは私たちは労働者の方に直接聞きまして、そうしてこの委員会でその真偽をただしておるのであります。ところが職制で調べられますと、労働者はなかなか正直には言わぬのです。そういう点をよく考慮して考えられませんと、とんだことになると思うのです。そういう点について特にこれから考慮してもらいたい、そのことをつけ加えておきます。
○原(彪)委員 昨日は総括的な御質問を申し上げましたが、今日は少しこまかい点をお聞きいたしますから、大臣、総裁以外の係の方でけつこうでございますから、答弁を願います。 大臣に先に一点だけお伺いいたします。これは新聞紙上でもよく報道されておりまするが、線路、まくら木の耐久年数は、御承知の通り大体線路は三十年、まくら木は八年と私は記憶しておりますけれども、全国的にこれの補修取替というものをやらなければ、交通の安全性というものは確保できないと思うのであります。しつかりした線路の上に汽車が走り、国民が安心してそれに身をゆだねて旅行するのでなければ、安心して行けないと思いますが、今後貨車、客車の安全性という見地からして、安全のためにこれを保守し、改修して行くのには、相当な費用がかかると思うのであります。資材もいるでありましようし、資金もいるでありましようが、大臣として今後これに対してどういうお考えでおやりになるか、その一斑を伺つておきたいと思います。
○山崎国務大臣 特にお名指しのお尋ねであります。今日の国有鉄道の姿は、先般も申し上げたように、十年というもの酷使に酷使を重ねて参つておりますから、ひとりまくら木ばかりではなく、レールも、その他の施設も、相当危險線の手前まで行つておるような箇所が、技術的にはあろうかと考えるのであります。今お話の通りに、資材の供給の関係もあります。これの予算の裏づけも用意しなければならないのでありますから、全国的に一斉に改めるということは、経済的にも不利益なことでもありますし、できないことでありますが、こういうことは今まで調べたようないろいろな施設の比較、研究、較量をして、危險の迫るものから徐々に重点的に、予算の許す範囲においてやつて行かなければならない、常識論でありますが、こう申し上げざるを得ないと思うのであります。さらにこれを技術的にはどうかという掘り下げたお尋ねになりますと、私は技術面についてはまことにしろうとでありますから、国鉄当局の方からお答えを申し上げるようにしたいと思います。
○長崎説明員 ただいまの原委員の御意見は、きわめて重要な御発言でありまして、線路のまくら木、これは非常に大切なものでございます。今のお尋ねは、現在のまくら木をとりかえて行くのに、資材の面、資金の両、その他でだんだんきゆうくつになつて来る。従つてそれをどうするかというお話だろうと思いますが、これはまたこれからいろいろ方法を考えなければならぬと思いますけれども、たとえば私どもが鉄道におりました当時、資材などで、だんだんだんりがなくなつて来る。くりがなくなつて来たら、まくら木をどうしようかと心配したこともございましたが、しかしその後注入の方法によつて松でも。あるいは場合によればぶなでも使えるようになつたということもございます。今日ではまだこのぶな材はあまりたくさん使つておらぬと思いますが、ぶな材をいろいろなくふうを加えまして使いますれば、御承知の通りぶなは日本に相当ございますから、まあ材料の供給の方は何とか行くのじやないかと考えております。 それから取替の経費につきましては、これは今度の補正予算等においてもごらんの通り、取替費という面で経常経費としてございますから、それだけは今度の運賃値上げ等ができますれば確保ができる。ただ問題は、建設線として、線路がふえて行きます部分、これに使いますものは、新しく考えなければならぬものでありますが、現在あります線のまくら木取替というものは、経費として今度の補正予算でも、また運賃値上げに際しましてもそれを考えておりますから、まあ資金の面においてはできるのじやないか。問題は私は資材の面だと思います。木材の需要がどんどんふえて参りますから、それについてはぶな材の利用でありますとか、今までまくら木に使つておらなかつた材質のものをも使うようにくふうするとか、あるいは注入のまくら木をたくさん使つて耐用年数を長くして行く。お話のように八年のものを一割長くしましても、所要のまくら木の本数は相当減るのじやないか、かように考えて、せつかくそういうふうに努力をいたしておる次第であります。
○原(彪)委員 全国的の線路を考えますと、これを完全にやるには相当な年数と相当な費用と相当な資材がいると思いますが、これを現在の物価で直すとするならば、概算どれくらいの費用で、どれくらいの鉄材がいるか、また何年計画でおやりになるか、そういう計画を現在お持ちになつておるかと思つてお尋ねしたのですが、概略でけつこうですから御方針を承りたい。
○長崎説明員 大体私の経験から考えますと、正確な数字はわかりませんが、まくら木の本数は毎年四百万ちようないし五百万ちよう使つております。鉄材は五、六万トンです。
○原(彪)委員 私個人は大臣に対する御質問はございません。 それからもう一つ御質問したい点は、運賃値上げにつきましては、経営の合理化と経費の節減等があげられておるのでありますが、またそういう観点から私は御質問申し上げているのですが、現在の滞貨が約二百万トン、これを一掃するために四千六百両の車両をつくるというのを、五千七百両にふやすというお話があります。現在私の聞く範囲では、これは当らずといえども遠からずなんですが、民間の車両会社にこれの製造を注文しているのでありますけれども、国鉄の払いが非常に悪いということを聞いているのです。金の支払いがおそい、こういうことも一つは貨車製造の能率に、非常な影響を與えておると思うのでございます。もう一つは、私はたまたまある会社を視察した場合に、朝鮮向けの大きな貨車が製油されてそこにありました。朝鮮向けの貨車をつくるために、内地の貨車の製造が遅れていやせぬかという懸念もあるのであります。当初予算のときには四千六百両の予定でございましたが、現在何両くらい貨車ができておつて、年内にはたして五千七百両全部製造ができるかどうか、これが滯貨の一掃に大きな役割を果すものでありますために、一応お尋ねしたいのです。
○長崎説明員 金の払いのおそかつたことは、これはかつてあつたようでありますが、最近はそういうことは絶対にないはずであります。もしあるとすれば、非常に特殊な場合であろうと思います。 貨車の製造能力のお話なんですが、私の聞き及んでおるところによりますと、車両の製造業者は、従来は満州の車両、あるいは朝鮮の車両、あるいは南洋方面の車両というふうに、海外にまで手を伸ばしておつたのが、車両会社の業態であつたわけであります。それが今日では内地の、ことに国鉄の車両が大宗を占めるのであるから、車両メーカーの能力には、私は決して失望しておらない。従つて四千六百両の車両が五千七百両程度に、千両足らずの車両がふえたからといつて、それにつまずいてはばまれるというようなことはないと私は信じております。
○原(彪)委員 現在何両ぐらいできておりますか。
○長崎説明員 すでにでき上つたものが二千四百両ぐらいであります。
○原(彪)委員 方面をかえまして、もう一つ疑点がありますのでお聞きしたいのでありますが、経費節減という関係からいたしまして、交通公社の問題でありますが、前には交通公社に団体切符の売却方を国鉄が依頼して、三分かと思いましたが、手数料をとつておつた。一時手数料が廃止になつて、また復活したようであります。またうわさによりますと、切符を売つた金を国鉄に払う、その期間中において、その金を二億ばかり交通公社が浮貸しをしたということも聞くのでありますが、かようなことが事実であるかどうか。またこの金の交通公社から国鉄に入る猶予期間は幾日ぐらいあるのか。また交通公社に出しておる手数料というものは、現在は何分であり、またこれを出す方が妥当であるかどうか、国鉄総裁の御意見を承りたい。
○長崎説明員 手数料が何ぼであるか、猶予期間が何箇月かということは、あとでよく調べまして、書面なり何なりで御報告申し上げます。手数料を出すのがよいかどうかというお話でありますが、これは人に仕事をさせた以上、何分が適当であるかわかりませんが、とにかく手数料はやらなければならぬと思います。それをただでやらせるということは、少し無理ではないかと思います。
○原(彪)委員 国鉄が赤字を出している現在、私は何も手数料を出す必要はないと思います。委託しないで、団体旅行の切符を売る場合には、駅でやつたらよいのではないかと私は思つております。このことについては見解の相違でありますから申しませんが、浮貸しの問題は監督局長はお聞及びになりますか、一応承りたいと思います。
○石井(昭)政府委員 交通公社が、実は旅行あつせん業のほかに、出版の取次事業を一時やつたことがあるのであります。これは先ほどお話がございましたように、乘車券の手数料が国鉄の予算上出なくなりましたので、公社の経営といたしまして、いろいろ多角的な経営を企図したということも、一つの原因だと思うのでありますが、その出版事業の取次を行いました際に、先に雑誌の売掛代金を前払いいたしまして、もちろん割掛でございますが、七割五分か何かでありました。それを小売店に流しまして、小売店からの取立金を回收するということを行つておつたのであります。それが出版事業の不況に伴いまして、小売からの回收が遅れたためにとかくの問題を起して、かつその出版業者自体が立行かなくなつたために、いろいろの問題を起して、とかくの誤解を招いたことはございますが、これはいわゆる出版事業そのものの経営が多少よろしきを得なかつたということでありまして、国鉄に納入する金を浮貸していたというような筋合ではないように記憶しております。また現在ではこの間の関係も一切整理いたしておりまして、何ら国鉄の納金に支障を来しておらない次第でございます。 —————————————
○岡田(五)委員長代理 一昨日設置いたしました観光小委員会の小委員長及び小委員がきまりましたので、御報告いたします。小委員長に畠山鶴吉君、小委員に 大澤嘉平治君 岡田 五郎君 黒澤富次郎君 坪内 八郎君 畠山 鶴吉君 前田 正男君 木下 榮君 原 彪君 山口シヅエ君 江川 一治君 飯田 義茂君を指名いたします。 それでは本日はこれをもつて散会いたします。明日は午前十時より再開をいたします。 午後四時二十三分散会