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11回国会参議院1951/09/26

労働委員会 閉会後第3号

発言数
57
登壇者
10
会派数
4
開催日
1951/09/26

会議録

中村正雄日本社会党

○委員長(中村正雄君) それでは只今から開会いたします。昨日お打合せしました労働関係法規の改正、或いはゼネスト禁止法等の労働関係法規の改正を議題にして本日会議を進めて参りたいと思います。そのために本日中労委の中山さん、仲裁委の今井さんに御出席願つて、それぞれの立場から御意見を聞くということになつておりますが、今中山さんお見えになつておりますけれども、十一時までという時間の御関係もあるそうでありますので、一応中山さんのお話を伺いたいと思います。実は我々考えておりますのは、現在までに労働省関係からいろいろ公式、非公式に見解も発表になつております労働関係法規の改正、又は労働省の機構改正及び法務府で立案中と伝えられておりますゼネスト禁止法等につきまして、一応この道の権威でありまする中山さんの忌憚のない参考意見をお伺いしたい、こう考えておりますので、一つお話を願いたいと思います。

中山伊知郎中央労働委員会会長

○参考人(中山伊知郎君) どういうところから申上げたらいいかわかりませんが、話の順序といたしましては、政令諮問委員会の労働関係法に対する意見が元になつておりますので、それを先ず最初に申上げて、そうしてその次に中労委関係としてそれに対してどういう考えを持つておるかということを申上げて、最後に私どもの伝え聞いております労働省案というものに対して、これは間違つておるかも知れませんが、その限りにおいて簡単に所見を申上げる、こういう順序にいたしたいと思います。  最初に政令諮問委員会の答申案でございますが、これは私は諮問委員会の一員ではございますが、併し要綱としてできました答申案自体は政令諮問委員会自体のものでありますので、私の考えだけでは無論ございません。その意味でここで申上げるのは私一個の考えでございますので、その点を最初にお断り申上げておきます。これに盛られました考え方は、大体御承知のように五つになると思います。第一は一般的な労働関係法の根本問題、それから第二は労組法関係の問題、第三は労調法関係の問題、それから第四は労働基準法関係の問題、そうして第五は手続的な問題であります。  第一の一般的問題は又分かれて三つになります。そのうちの第一は今まで労働関係の法規がいろいろな形で違つた制度として一応でき上つておりますのを統一したらどうかということであります。御承知のように労働関係の法規は労組法、それから労調法、公企業体の労働関係法、それから公務員の関係で地方公務員法の関係、特に問題になつておりますのは地方公務員の労働関係、それからまだこれは法案になつておりませんが、地方の公益事業関係の労働関係、そういうものがそれぞれ別個の形ででき上つており、それにそれぞれ又別個の事務機関と申しますか、取扱機関ができ上つておる。これは何とかしてもう少し例えば労働関係法というような一本の法規にまとめたほうがいいのではないか、どの程度までまとめるか、まとめた場合に事務機構のほうがどうなるか、事務機構といいますか、これを処理する機構、つまり晋通に言つております労働委員会というものがどういう形にまとまるのがいいか、これは別個の問題でありまして、改めて考究を要しますが、併しとにかく余り労働関係の法規がばらばらになつておるということはよくない。よくない一つの例は、例えば地方公務員に対する新らしい法規がこの開議会を通過しましたときに、例の自由世界の労働連盟のほうからは、どうも日本はだんだん労働者の権利をいろいろな形で抑えておるのじやないかという、そういう詰問書が総理宛に、これは五月でありますが出されております。そういう問題がある。これは誤解でありまして、決して今までよりも労働関係を法規的に締めて行くというのではないのでありますが、併し法規が分かれておりますために次々でき上るものが側か新らしく制約を加えておるように見える、そういう世界的な意味での欠点もありますので、この際一本にしたはうがいいのではないか、若し一本にしますならば逆に今まで問題になつておりました公務員関係の現業関係、公務員のほうの現業関係というものを他の労働関係と一本に扱うというような利益も出て来るであろうということが考えられるのであります。それから第二はゼネスト関係の問題でありますが、これは御承知のように政令三百二十五号が今度講和条約によつて一応廃されることになる。そうしますとそれに代えて何かそのような規定を設ける必要があるのではないかという問題でありますこれは一般にもう考えられている問題で、そのことを考慮することの必要には恐らく誰も異存はあるまいと思います。ただ問題は、その前に如何なる法規で以て三百二十五号に代るようなことをやつて行くか、その通りでは無論ある必要はありませんが、併し国民経済の全体を危殆に陥れるようなストライキか起つた場合に、どういうような制度でどのような対処をして行くことが適当であるか、これはどうしても考えなければならない根本の一つの問題でありましよう。この点を一つ指摘してございます。第三には現在の労働委員会の制度、これは特に中労委を初めいわゆる労働委員会、即ち労組法によつてでき上つている労働委員会であります。これが現在のような形で今後起つて参り事いろいろな労働の関係を十分に調整して行くことができるかどうかという点についていろいろ問題がある。具体的に申しますと今年起りました石炭の争議、この場合に労働委員会が十分な活動をすることができなかつたというので、たしかこの参議院におきましても質問が出、その応答があつたと覚えております。そのような労働委員会の機能もこの際もう少し強化して行く必要があるのではないか、強化の内容は何かと申しますと、差当つては地方労働委員会の法律的な根拠をもう少し明確にすること、これは人事、予算の関係で地方自治法との関係で縛られておりまして、中労委のように、中労委も少し面倒がございますが、中労委のように明確な権限がないように思われる場合がある、これをもう少し明確にして独立の権限を行わしめるようにしないと機能が発揮できないわけではないか、この点が一つ。それから現在の労働委員会の規定では争議の場合に調査を行う権限が非常に制約されている、これは予算関係においても法規関係においても制約されておる、従つて丁度石炭の場合におきまして指摘されましたように、今更労働委員会にこれを提訴しても、これから調査を行うのでは間に合わないというような問題がある、そういう点を補充することによつて労働委員会の機能をもう少し発揮させたらどうか、これが第三点であります。これだけのことが一般的な問題として答申されておる、それに従つて現在若干の研究が進行しておることは御承知の通りであります。  第二の労組法関係につきましては一番面倒なのは代表権の問題、それから団体交渉の相手方の認定の問題であります。具体的に申しますと化繊連の争議がございました。組合のほうでは連合体で個々の会社に交渉しようという、併し会社のほうでは労働協約をちやんと結んでおつて、自分の組合とだけは交渉するが、組合の連合体とは交渉したくないというような会社もある。一体その場合に労働協約のほうが優先するのか、それとも団体交渉の代表者というものは労働組合の選定によつて誰でもできるというあの六条の規定が優先するのか、こういう点につきましては実は現行法では少し疑問が多いのであります。もう少し立入つて申しますと、七条二号には使用者側は正当な代表権を持つている労働組合からの団体交渉を正当な理由なくしてこれを拒否してはならない、拒否した場合には罰則を受けるということになつております。併し一体その場合に正当な理由とは何だという問題になりますと、これ又解釈上いろいろ疑点が出て来る。具体的に申しますと、会社をレツド・パージで馘になつた労働者が、これが組合の代表者として選ばれて交渉に当る、そういう場合に会社はこれを拒否することができるかできないか、これは法律の文章を正面から解釈いたしますというと、どんな人でも代表者になり得るのですから、組合を代表し得るのですから拒否できないのであります。拒否できないのでありますが、実際問題としてはそういう問題が起つて事実トラブルがそこに起つている。そういう問題を解決するために一つの案は丁度アメリカのようなこの交渉単位制というものを日本の制度に取入れることなんでありますが、併し今申した問題は交渉単位制を取入れましてもすぐには解決できるとは言えない、のみならず交渉単位制をアメリカの制度のままで日本の制度に取入れるということには又別な意味においていろんな問題がある。そこでとにかく交渉単位制の問題も考慮するが、差当りそのような交渉権というような問題を円滑に処置するようなそういう方途を考えなくてはなるまい、これが労組法の一つの問題点として指摘されております。それから第二は、今の団体交渉の拒否の罰則の問題でありますが、これは使用者の側だけに現在の規定では設けられておつて、労働組合のほうにはそういう罰則の規定もない。即ち使用者は団体交渉を正当な理由なくして拒否することができないが、組合は勝手に拒否できる。これは少し片手落ではないか、現在の組合の責任体制がやかましく言われているときに、やはりこれは双務的にどちらも正当な理由なくして団体交渉の申入れを拒否することはできないとすべきではないか、この点が指摘されております。  それから第三の労調法の関係でございますが、ここでは一番大きな問題は公益事業のストライキに対する一種の制限規定でありまして、現行法ではこの調停申請後三十日の冷却期間を置くということになつております。ところがこの冷却期間というのが十分にストライキをそのように制限する目的を達しているかと言いますと、必ずしもそうではない。よく言われることでありますが、これが冷却期間ではなくて、むしろパスポートをとる期間になつている。だから問題はまだ熟していないのにとにかく調停申請だけをさつさとして置いて、そうして三十日の経過を待ち、漸く熟する時分にはすでにストライキ権を獲得しているというような事態が非常に多い。これは冷却期間の誤用であるかも知れませんが、制度事態にも欠陥があるのではないか。そこであの案ではこれに代えて一種のもつと短い期間の予告期間と、プラス強制調査の制度というのを考えたらどうかということが指示されております。併しこの問題も強制調査というものを取入れた場合に現行の制度と如何にこれを調合するかということは非常に技術的にむずかしい問題でありまして、新たに考究されなければならないものであります。それから第二の点は例の、この保安のためのストライキ禁止の条項でありまして、生産設備に非常に重大な支障を与えるような争議行為はこれをあらかじめ除外するということであります。これは人命に関する限りにおいては現行法でちやんと規定があるのでありますが、併し物的設備でストライキの行為の結果将来生産力の上に非常な大きな障害を与えるようなものについては実は規定がない。併し今後の日本経済の状態を考えますと、そういう問題もあらかじめ処置して置く必要があるのではないか、つまりストライキ行為からそのような設備の根本的な破壊に導くような行為はこれをあらかじめ除外することが適当ではないかという見解であります。ただそういう除外規定をどのように認めるか、例えば法律で人命に関する保安設備の除外のようにこれをあらかじめ約束して置く、その範囲を約束して置く義務を課するという程度がいいか、それともこれは当事者の労働協約に任せて、但し労働協約ではそれをあらかじめ約束して置く、その範囲を約束して置く義務を課するという程度がいいのかという点では議論が分かれますが、答申案では、それは成るべく当事者の自由に任せて、あらかじめ協定して行く義務を課するという程度がいいのであろうということになつております。これも無論考究さるべき問題の一つでありましよう。  それから労働基準法につきましては、これは非常に基準法自体が技術的なものでありますので大変細かい問題に分かれるのでありますが、大筋を申しますとどうも日本の現在の労働基準法は家事使用人を除きまして一人の雇用者についても適用される。ところが一人、二人のそういう極く小さい数の労働者を雇う小規模の企業におきましては労働基準法が本当に遂行されるかどうかはなかなかこれは見当がむずかしい、又これを本当にやりましたら、現在の基準監督官が何人おつても間に合わないような状態である。その上に家事使用人或いは家事使用人ではありませんが、家内労働者、つまり家族労働者というものを、現在の規定では除外しておりますので、家族労働者を使つているところと、それから一人二人の他人を使用している企業との間にアンバランスが起る、一人でも他人を使用するというと、すぐに労働基準法の規定に引つかかつて、非常に競争力が弱められるというようなことが実際問題としては起る。これは政令諮問委員会ではそういう中小企業の代表者が出ておりませんものですから、余り大きな声としては出ませんでしたが、併し事実労働基準局から出ておりますあの年報を、或いは月報を御覧になりますというと、月にどのくらい労働基準法に対する違反事件があるかということを御覧になることができますが、その違反件数の非常に多数のものが、小さいほうの企業にありますので、根本問題として、一体日本のような状態で、一人の使用人をも対象とするような、そういう労働基準法をそのまま強行して行くのがいいか悪いかという問題が起るのであります。これをいきなりまあ政令諮問委員会の案にありますように、五人以下は外すというようなことになりますと、又別個の問題が起りましようが、若し現在外されております家内労働というものに対する規定を加えて、主人以下の使用者を持つているそういう小企業の労働関係については、別個の労働基準法を作るようなことにいたしますれば、一面においては制限されますが、他面においては適用範囲が拡張されるというような利益もあるのではないか、もう少しその他のことを考えて、これを調整したらいいんではないか、これが一つの大きな点でございます。それから今日の労働基準法には、四十条の規定の次に、労働時間の四十八時間制度というものに対する例外規定がございます。時間延長の例外の企業が並んでおります。その企業の中にもう少し例外規定をたくさん置けるような、そういうふうにしたらどうか、例えば具体的に申しますと、新聞記者であるとか記者というのは執筆をしたり報道をしたりする記者であります。新聞記者というようなものに対する労働時間の制限というのは、もう少し例外規定のほうにはつきり入れたらどうか。それから天候に左右される屋外労働者、土建業者そういう場合にも具体的な必要に応じて制限緩和をしたらどうかと、こういう意見が出ております。それからもう一つ、それに関連した大きな問題は、時間外労働をする場合には、今日の労働基準法では組合がある場合には組合の代表者、それから使用者のその他の代表者と会社側とが、契約によつてこれを延長することができるという規定がございます。ところがその契約は現行の制度では三ヵ月ごとに更改しなければならない。でこの三カ月ごとの更改というのが、実際問題としては非常に面倒で、その間に、丁度その期間に、他の問題、例えば賃上げであるとか、或いは他の労働条件の問題であるとかいうものを持出して、しよつちゆう揉める。だからせめてこの期間は労働協約と同じ期間、若し労働協約が半年で結ばれれば、時間延長の約束も半年まで有効である。若し労働協約が一年間の有効期間を持つておれば、その契約も又一年間は有効であるという程度に、これを修正することが適当であろう。こういう意見が出ております。それから、その他婦人少年労働に対する時間外労働の制限の若干の緩和、これは現在の規定では御承知のように一日に二時間、一週六時間、そうして一年間に百五十時間を、時間外労働は、超えることができないと、こう三つ縛つてあります。三つ縛つてありますので、非常に縛り方がきつ過ぎる。これは事業に応じては一週六時間でなしに、一週八時間とか十時間とか働けるようにして、併しその代り一年間百五十時間は超えてはいけないというような大きなところで一つ縛つて置いたほうが、労働者にも又使用者にも無論都合がよいのではなかろうか、こういう考え方であります。地方の蚕糸業であるとか、或いは季節によつて非常に変化のある個人業、或いはデパート業というようなものについてその適用があるわけであります。それからあとまあ休暇の問題とか、その他ございますが、それは省略いたします。要するにそのあとの問題は、現在余り労働基準法が煩瑣になつているのではないか、これをもう少し手続を緩和して、そうして無論国際的な水準を下つてはならないけれども、その範囲内で、まあ余りみつともない結果が統計表の上に現われないようにしたらどうかということなのであります。具体的に申しますと、現在労働基準法違反の件数というものが、一月に約私の記憶で間違いないと思いますけれども、約六万件くらいあります。その六万件くらいのうち、四万件以上のものは、いわゆる形式犯でありまして、帳簿が備えつけてないとか、或いはどこの手洗いが設備してないというようなことなのですね。そういうことが非常にたくさんあつて、何万件というような違反が出て来るというそういうような一体労働基準法というのは、法規として完全なものか。逆に申しますというと、それは使用者のほうが悪いんだから、先ずこの励行をさせろというのが労働者側の要求ではありますが、併しその前に一つそういう法規というものは、つまり守られない法規というものは法規なんだろうかということを、一つ考えて見る必要があるんじやないか。無論それが労働者の労働条件を非常に悪化するのであれば、これは問題外でありますけれども、併し実質的に悪化しないならば、形式的なそういう点では改める点がたくさんあるのではないか。これはその最後に出て参ります手続上の問題であります。労働基準法の問題は最初に申しましたように、非常に技術的な問題が多いものですから、私はここで尽すことができませんが、大体主要な点だけをそのように申上げることができます。  それから最後の第五番目は、この手続の関係でございますが、これは今日このような会合が開かれておりますので、十分におわかりと思いますけれども、労働関係の手続、或いは法規の改正というものは、これは今までの例でも明白なように、内容の如何にかかわらず手続が非常に重要な意味を持つておる。すぐに改悪というようなスローガンが生まれるような形成でありますので、そういう点を十分に考慮して、できればこれを公の会議にかけ、且つ公開的に議論が進むようにしてもらいたい。これだけのことが政令諮問委員会の答申案の内容でございます。これに従つて、私どもの聞いておりますところでは、現在労働三法のこの改正案の取扱いは、すでに労働省のほうにその起案が任されまして、労働省のほうではこれはあとから御説明があると思いますが、基準法関係についてはすでに前から持つておられます基準審議会にこれをかけて、そうして審議をして議をまとめる、その他の関係、その他と申しますのは、主として労組法と労調法と、それからこれから申上げます機構の問題でありますが、その三つの問題については、これからでき上ります五、五、五、でありましたが、三者構成の諮問委員会にかけて、そうしてこれをきめて行かれるというような方針で進んでおられますし、それから残りましたゼネスト禁止、ゼネストという言葉がいいか悪いかわかりませんが、普通そう言つておりますからそう申します。正確な表現では、国民経済を危殆に瀕せしめるようなそのような争議行為を含めた問題についての法規、これは法務総裁のほうで案を今練つておられるということでございます。これだけが政令諮問委員会の関係について申上げる要点でありますが、さて第二にその問題に対して中労委としてはどういう考えを持つておるかというお尋ねでございました。併し中労委といたしましては、実はつまり中労委若しくは労働委員会といたしましては、その問題はいずれも労働委員会に関係するのでございますが、併し直接にすべての問題に対して労働委員会として直接の意見を表明するという問題かどうか多少疑わしい。そこで現在まで労働委員会のとつて参りました態度は、これが労働委員会の制度に関する限りその議をまとめると、こういう方針で進んで参りました。実は七月に全国のブロツクの代表を以て成りますところの労働委員会の特別委員会というのを持ちまして委員会制度を練り、最近に、この十四日でありますが、改めてそこできまりました小委員会案なるものをもう一度特別委員会にかけてそれを再確認するというような手続をとつております。その関係から申しますと中心はどうしても労働委員会の制度ということになるのでございますが、労働委員会の制度に関しては大体現行の委員会制度を、これを育てて行くのが適当であろうという大筋に立つております。これは決して今度の問題が出て初めてでき上りました結論ではございませんので、もう随分長い間、と申しますのは労働委員会ができましてから毎年一回全国労働委員会の協議会というのを開いておりますが、その協議会ごとに三者構成の問題の再検討が続けられていろいろ欠点もあり、決して完全とは申しません、いろいろ欠点もありますが、併しここまででき上つて来た三者構成の委員会をもう少し我々としては続けて行つて、そしてその成果を十分に発揮したいという意向で進んで来ておりますので、従つてこの十四日にでき上りました労働委員会制度の改正要綱というものもその大筋を元にして問題を考えております。その内容を申上げるのは少し小さ過ぎますので、すでにもう根本の問題がきまりましたそれからあと出て参ります改正点というのは極く小さな技術的な点に多くはなりますので、ここでは若し御質問がございますれば申上げますが、省略させて頂きたいと思います。そうして他の、例えば労組法の改正問題、労調法の問題、或いはゼネストに対する問題、そういう問題に対して意見をどうまとめるかという問題、この問題については正直に申上げますと、現在労働委員会としては非常に苦しい立場にあるのであります。というのは労働委員会の委員は三者構成でありますから、労働側、使用者側、公益側と出ておりますが、その労働側の委員が先ほど申上げました政令諮問委員会の案に対していち早く改悪案反対という声を上げておる、そして労働側で言えば全体としてそういう問題を我々は政令諮問委員会の線に沿つて議論することは御免だ、でもつと広い立場で問題を取上げるのならばいつでもそういう議論をすることに参加するが、併しあの線に縛られてあの形で議論をせよということには我々は反対だ、こういう態度を、これは総評もとつております。それからその他の労働団体でもとつておるところがございますが、少くとも労働委員会の労働側委員というのはそういう形で問題を取上げておりますために、実はこういうような特別委員会というような三者構成の委員会を開きましても、それを正面から取上げて或る決議に持つて行くということができない。労働側の委員だけがそういう態度をとつておるのでなく、使用者側の委員も非常に何と申しますか、慎重な態度を以てこれに臨んでおりますので、従つて労働委員会としてはオープンに議論する問題は直接労働委員会の制度に関することだけにしてもらいたいというような申合せがすでにでき上りまして、たびたび会合を開くのでありますが、併し直接にまだそういう問題を正式にかけて或る申合せに持つて行くという段階には行かない、そのもう一つの理由は、いずれそのように三法に関する基本問題はすでに労働省が起案しているのだから労働省の成案というのが出て来るだろう、そのときに労働委員会としては改めて態度をきめてもちつとも遅くないから、そういうふうにしようじやないかというのが全体の考え方の筋でございます。従つて労働委員会としては、まだそれに対する考え方が丁度政令諮問委員会の案の中にはそれぞれの形においてまとまつてはいない。併し若しここで私個人の意見を申すことを許されますならばそれはございます。ございますが、そのことはすでに政令諮問委員会のあの説明の中に含めて大体申上げましたので、政令諮問委員会の案では、私の個人の案では勿論ありませんけれども、それに附加えて申しました説明は大体私の見解と御承知願つて結構だと思いますので、ここでも省略さして頂きたいと思います。そこで残る問題は制度の問題なのでありますが、たまたまその間に労働省のほうから、あとから御説明になります機構の改革案というのが出ております。そしてその中には非常に広汎な問題が含まれておりますので、その問題に関して労働委員会の制度に関する限りここで私見を申上げたいと思います。労働省の案は、私の理解する限り、こういうふうなことになつております。現在の労働委員会の制度ではこれからの労働関係を処理して行くのに十分ではない、と申します理由は、今までの労働関係は労働法というものもございましたけれども、事実問題としては誰も認めるように、GHQのバツクで漸く支持されておる、困つたときにはあすこが何か指示を与えたり、或いは援助を与えたりする形において解決されて来ておる。今講和後においてそのようなGHQのバツクがなくなります場合には、それはそのままの体制でこれに処理して行けるかどうかは再検討を要する、これが最初の出発点であります。この点から考えて行きますと、どうも現在の労働委員会が準司法的な機能とそれから調整的な機能、具体的に申しますと、不当労働行為の判定、労働組合の資格審査、この準司法的な機能というのは司法的な機能に準ずる機能、それから斡旋とか調停とかいうような仕事はそれは調整的な機能であります。この機能を同一の委員会で、無論フアンクシヨンは違いますが、同一の委員会で一緒にやつておるのはどうもよくない。第一それでは準司法的な機能のいわば権威を確立することができない。労働委員会で裁判所のような仕事をするのですが、併し公益委員の質や数、それから経験というものから見て、その判定が裁判所の判定のように権威を持つというわけには行かない。しよつちゆう問題になるのでありますが、これは労働委員会の不当労働行為に対する判定と裁判所の仮処分というのは先に行つたり、後に行つたりごちやごちやする、これはもう種々問題になりますが、その問題に対して今アメリカでは御承知のように労働委員会の先議権というものが、事労働問題に関してはその司法的な処分を最初に労働委員会に聞くという制度が確立されております。が、そのような制度を確立すれば、今言つたような裁判所と労働委員会とのそのような問題に対する先議争いというものがなくなるわけなのでありますけれども、現在のような制度ではそれを十分に確立することはできないのではないか。もつと準司法的機能を取扱う機構は、それ自体として充実、確立しなければならない。その方法として、全国労働委員会、全労委というものをそこに一つ設ける。これは準司法的な機能を取扱う独立の外局であります、それには新らしく調査官というものを置いて、そして調査官をして十分にこの準備或いは調査をせしめる、その上に三者構成の委員会を置くが、併しこれは司法機能でありますからして、本当は公益委員だけが扱う、そして委員は丁度陪審官のような立場でそれに参與する、こういう意味の全労委というものが一つ置かれる。それから調整機能のほうは、先ほども申上げましたように今日の調整機能ではどうも力が弱い、だからこの調整機能を独立せしめると同時に、それに仲裁委員会というものを附置して、これは任意仲裁と強制仲裁との両方を多分扱うのだと思いますが、その点まだ私はつきりいたしません。ともかく仲裁委員会というものを置いて、そして調整で駄目だつたものを仲裁へ持つて行き、いきなり野放しにしないでこれを解決して行こう。必要があれば更に調査権限を持つたところの調査委員会というものを臨時に更に設けて、そして先ほど申上げました労調法の改正ができてクーリング・ペリオツドの代りに調査機関が置かれるならば、その調査機能をそこに置く、そして従来の調整機能を以て労働委員会は、やはり三者構成ではありますが、併しこれを産業別に分けて、例えば石炭は石炭の労働委員会、私鉄は私鉄の労働委員会に、幾つできますか、大体六つか七つになるのではないかと思いますが、そういう一つ一つの三者構成の委員会を設けて、そしてこれを処理して行く。まあその委員会の構成の仕方などは、大体今日の国鉄や専売の調停委員会の構成に似たものになるでしよう。委員の数は、恐らくたくさん設けられるのですからして、一、一、一かせいぜい二、二、二か、まあそれくらいのところが予想せられるでありましよう。そうすればそれぞれ専門の委員会でありますからして、事は非常に速かに処置されるし、又意見が分かれて困るというようなことも恐らくないだろう。それで調整機能はそういうふうにやつて行きまして、そしてその調整機能を助ける機関として、調整官であつたと思いますが、調整官というような名前の役人を置いて、その役人に斡旋をやらせる。事実、調整や斡旋の区別はないのですからして、事実、調整、斡旋のなにはないだろうと思いますが、その役人を調整、斡旋に当らしめる。特に地方においては、労働委員会自体は、そういう産業別の労働委員会自体は、置いても置かなくてもよろしい。これは地方条例によつて置きたければ置く。中央だけには労働省の中に労働関係局を置き、そしてその中にその委員会を持つておるわけであります。地方は、労働委員会は置いても置かなくてもよろしい。ただ調整官に当る者は地方にもおつて、それが事実上斡旋、調停をやつて行く。こういう構造であります。この構造乃至そのフアンクシヨンは、私が申上げるより労働省がお待ちになつておられるのでありますからして、私はこれ以上申上げません。そこでこの考え方に対して私はこうも考えております。現在の労働委員会の制度をもう少し責任の持てる体制に持つて行かなければならんという根本の点においては我々は異存はない。それから第二に労働委員会の現在持つております二つの機能の、それぞれ即ち司法的な機能と調整的な機能といずれをも強化しなければならないということも異存はありません。現在のような制度で何だか準司法的の機能も、裁判所からは違つた目で見られるようなものでやつておるというのはまずい。立派に裁判所の機能と対抗できるような不当労働行為の判定ができるようになつて行かなければならない。そのためには全国の労働委員会にばらばらに、今一つの県には一つあるというような形で、そういうことが行われておるよりも、大体中央若しくはブロツク的にしつかりしたものを置いて、そしてやつて行くということにも、私は必ずしも反対ではありません。又調整機能について申上げますと、現在任意仲裁の規定がありまするが、殆んど活用されていない。強制仲裁という制度はない。そういう制度の下で若し労働法規をこのままにして、一方ゼネスト禁止法というものができますというと、逆に労働関係のものがそのような治安法規によつて処置される場合が非常に多くなる可能性がありますので、これは非常にまずい。若しそれを避けようといたしますならば、労働関係のほうでも仲裁制度、或いはその仲裁制度にくつつけて、調査制度、強制調査の制度というものを整備して、できるだけ労働問題は労働問題として処置するという態度をきめて行かなければならない。その点においては私はその案に賛成であります。ただそこまで賛成いたしますが、これはもう労働省の考えと殆んど違いはないと思うのでありますが、その次にですね、なぜ現在の労働委員会をだから二つに分けなければならないか、それからもう一つ、なぜ調査官とか、殊に調整官というような役人をして斡旋、調停に当らしめなければならないか、その理由は私には呑みこめません。で二つの機能を強化する場合に、それは、抜本的な最後の案としては二つの機関に分けるのはいいかわかりません。長い目で見ると、或いはそのような体制になるかも知れません。併し現在としては一つの労働委員会で、あの準司法機能と調整機能と二つやつておりますことは、実は仕事の上では非常にスムースに行つておる。これは労働関係の法律というものは、御承知のように黒か白かをきめるだけで問題が終るのでなく、問題を円満に解決するのがやつぱり眼目なのであります。アメリカのN・L・R・Bの実績を見ましても、あの一年に何千人と取扱つておるものの殆んど九〇%はアジヤストされておつて、デイサイドされておらない。つまり黒白を議決決定されているのではなくてアジヤストされておる、調整されている。この調整というのと、アジヤストというのと、日本の現在行われておる和解というのと少し違います。違いますが、精神は同じで、黒白をつけて、けりをつけるというのでなくて、やはり同時に問題を円満に解決するというのが狙いなんであります。そうなりますと調整機能と準司法的機能とが一つの機能で取扱われるということは、これは現在としては非常に利益がある、無論欠点もあります。欠点は是正しなければならないし、これを具体的に申しますと、隅々まで一府県に一つという形で置かなければならんかどうか、これは別個の問題であります。併しそういう点を是正して行きますならば、一つの労働委員会で二つの機能を取扱つて行くということは必ずしも不可能ではないし、勿論利益があるのではないか、その点において機能のおのおのを強化をする論旨には賛成でありますが、だから現在の今漸く五年の経験を経て固まりつつある一つの委員会の機能を、二つに分けて弱体化する必要がないのではなかろうかとこういうふうに考えます。それから第二のこの調整機能のほうでありますが、調整機能を分けたらどうなりますか、殊に産業別の委員会を分けたらどうなりますかと言いますと、先ほど申上げますように石炭は石炭で三者構成で三人の委員が出る、それから電気は電気とそれぞれ一、一、一、の三人の委員が出る、これはお互いに何の連絡もありません。そういうことで事務的に技術的に問題は処理できるかも知れませんが、逆に労働問題の全体としての解決は却つてよくないのではないか、現在そういつた問題を解決する場合に、労働委員会では総会を持つて、その総会で誰がこの問題の処理に当るかということをきめて行く、そういう委員の、調停委員の選出の間におのずから委員の相互の間にいわば意見の交流ができ、全体としての問題を解決する地盤ができ上つて行きます。この空気というものがこれがいわば総会の一番いいところなのであります。そういう総会の全体としての意見の統一、或いは交流というものを除外した技術的な委員会、これは成るほど或る特殊の問題についてはスムースに問題をやつて行けるでしよう。現在の船員中央労働委員会というような機構はそれであります。結構でありますけれども、併しそのような特殊のものでさえも、若しもこれを一般の労働委員会というようなものの中に入れて考えて行きますならば、もつとうまく行くのではなかろうか。現在の船員中央労働委員会が相当重要な活動をしておることは私ども認めておるのでありますが、それはそれに相当した機構と何とを持つている。そのような意味で小分割というものは、実はそれを集めても総会にならない。この点が一番重要な問題なのでありまして、私は産業別のそのような委員会というものにそのままの形では賛成を申上げることはできない。それから特に調整官の制度でありますが、これはまあ新らしくできる制度でありますからどんなものができるかは知りませんが、併し丁度小作の調停官というようなことになりましようが、そのような、これは明らかに労働省の官吏でありますが、官吏が直接に労働争議の調停、斡旋をやるということはどういう理由を以ていたしましても、私は今日の労働委員会制度からして逆転だと考える。これは無論いろいろな制度がありますから一概には言えませんが、世界の全体の形勢を見まして、特にアメリカでありますが、我々の一番近いところは、影響を受けておるところはアメリカでありますが、アメリカにおいて御承知のようにこの四月二十三日にトルーマンの行政命令によつてできたところのあの賃金安定委員会、これは完全なる、アメリカとしては最初の完全なる三者構成の委員会でありますが、これが賃金問題や、これに加えてクローズド・シヨツプ或いはユニオン・シヨツプの問題も決定する準司法的な機構ではありますが、併し三者構成の委員会がそれ自体で問題を処置して行くという制度は、むしろ今日の新らしい傾向であると思われる。日本が新らしい民主体制をとつた場合に、この三者構成の委員会をとつたのは或いはその当時としては大胆過ぎたかも知れない。併しこの制度の何と申しますか、いいところはだんだん今現われつつある。これを調整官というような制度、これは形の上では労働委員会の命令を受けておるということになつておるでありましようが、併し命令を受けようとも、そういう小さい委員会が上にたくさん並んでおつて全体を見ておるのは、むしろ調整官、こういうような関係になりますればどちらが主として働くかはこれはもう御想像に十分に足りるところであろうと思われる。そのような制度でこの改革をして行くことは、私は日本の労働委員会制度の逆転であろうと思われる。そこでもう時間が少し過ぎましたので、結論だけを申上げますが、私は労働省案の骨子には賛成でありますので、現在の調停機能では力が弱いというならば、これはその上にはつきりした仲裁委員会というような制度を設けるのも結構である。又その仲裁委員会に必要とあれば強制調査の権限を附与して、できるだけ公益事業その他の大きな争議を収めて行くことも賛成であります。そういう形において労働行政の責任をとる労働省若しくは労働大臣のいわば任務を強化することも私は適当であろうと思われる。それから全体のこの労働委員会の各府県一労働委員会というものに再検討を加えて、特に準司法的機能というようなものを強化するためには、もつとブロツク的な集中的な政策をとるということも恐らく適当でありましよう。つまり準司法的機能はブロツク的な大きな地方労働委員会が担当するというような構想で行けばそれもできるのではなかろうか。そういう意味においてこの労働委員会の制度にまだ改革すべき点もたくさんあろう。これを更に申しますれば、若し現在の労働諸法規を一つの労働関係法規に統一するというような場合が参りますればそれに応じた対策も当然考えられなければならない。そういう意味の改革は日本の労働委員会制度、否日本の労働行政の体制を整備するために私は十分に考慮する必要があると思います。現在の労働委員会の制度を決して十全とは言えないことはもう申すまでもないのであります。併しながらこの際に今申しましたような意味の改革が果してその線に沿うところの改革になるかという点については私は非常に大きな疑問を持つております。外局と申しましても私は労働省に附属しておる中央労働委員会の委員でありますので、その会長が私見とは申せ、余り政府の政策を批判することは恐らくいけないだろうと思う。私は公務員法はよく知らんが、そういうことになるだろうと思いますが、併しながらここでは私見として今のような点を申上げて御参考に供したいと思います。

中村正雄日本社会党

○委員長(中村正雄君) 中山さんのお話について御質問があれば、約十分ほど……。

赤松常子日本社会党

○赤松常子君 私初め参りませんので、ちよつと聞き落したかも知れませんけれども、政令諮問委員会、特に中山先生が御担当なさいました委員会の構成はどういう構成でお話をお進めになりましたんでございますか。

中山伊知郎中央労働委員会会長

○参考人(中山伊知郎君) 構成と申しますか、委員の名前ですか。

赤松常子日本社会党

○赤松常子君 例えばいろいろな労働者側とか、或いは経営者側とか、どういう分野から委員をお選びになつたのですか。

中山伊知郎中央労働委員会会長

○参考人(中山伊知郎君) あれは御承知のように労働関係の問題だけを取扱うのではございませんので、非常に広い範囲の問題を取上げておりますので、今おつしやつたような意味でのどこの代表ということはないのです。これは政令諮問委員会という名前も付いておりませんので、ただ総理の私的な諮問機関と言いますか、諮問機関でございますので、全くプライベートな形で集まつていると私は承知しております。

赤松常子日本社会党

○赤松常子君 それは存じ上げておりますけれども、こういう労働関係の問題についてはどういう方の御意見を中心に……。

中山伊知郎中央労働委員会会長

○参考人(中山伊知郎君) それは中身を私余り申上げる自由はないと思いますが、大体改正意見の出たところは、もうその前から出ております日経連とか、その他事業者団体、それから官庁方面、官庁方面で実際労働法規を扱つておりますところからいろいろな意見が出まして、その意見をあそこの委員会であらゆる問題をみんな討議した結果、そういう試案のようなものをまとめて、それを二、三回討議して結論に持つて行つた、こういう順序です。ですから出ました意見もいろいろな各種の事業団体、その事業団体にはたくさんいろいろな種類がございます。それから官庁で申しますと、労働関係に関係のあるいろいろな官庁、それから自分の経験からのいろいろな改正意見が出ております。それを全部初め書き並べてこれだけの問題点がある、これをどう整理しようかというような点から始まつた。ですから外に対して特に意見を求めたことはございません。それから労働者側としては無論大体においてはあらゆる労働法規については改正反対のほうですが、改正と言いますか、改革反対のほうですから無論積極的な意見は出ておりません。

中村正雄日本社会党

○委員長(中村正雄君) 時間がありませんので簡単に。

堀木鎌三第一クラブ

○堀木鎌三君 ですから極く簡単にお聞きしたいのですが、個人の御意見で結構だと思うのですが、例のいわゆるゼネラル・ストライキの問題について労働関係の問題としないで、治安関係のものとしてこれを取扱うということは今お話の中にもありましたように、これを治安的な意味からのみいろいろこれを見るときには相当他の問題と比較していわゆる官憲の圧迫と言いますか、そういう法規の発動がシビヤになるという傾向が強いと思うのでありますが、こういう観点から、さつき言葉の意味が誤解を招くというので、国民経済を危殆に瀕せしめるというような註釈もあつたのですが、その点についての御意見をもう少し詳しくお聞きしたいのです。

中山伊知郎中央労働委員会会長

○参考人(中山伊知郎君) 最初の考え方では、治安関係に対するまあゼネスト禁止というような問題は、労働関係と離れて規定したほうがいいだろう。これが最初の考えだつたろうと思います。ところがそういうふうにして参りまして、而も現在の労働法規では仲裁の制度も十分に活用されない、或いは強制調査というようなこともできないというようなことになりますると、真中がありませんので、いきなりその治安法規としてのゼネスト禁止法というようなものが、これはゼネスト禁止法というようなものになるかどうかわかりませんが、治安維持法というようなものがいきなり労働関係を規律することが多くなる。それは非常に労働関係としてはまずいことになるんですから、ですから労働関係としてもできるだけ自分のほうでもできることは自分のほうでやつたらいい、そのためにも現在の法規の上でも仲裁制度というものをずつと活用して、もう一段労働関係として処理し得るものを作つて置いたらどうか、そうしたら大体労働関係を普通にゼネストと言われておるものでも、その範囲内で解決されるものが多くて、僅かにそれを逸脱する極端なものだけが治安法に触れることになる。そうすれば労働関係としては秩序の維持もできる、且つ治安法の厄介になるような場合が非常に少くなるのではないか、こういう考え方です。最初はこの三百二十五号に、或いは直接ゼネスト禁止のものですから、あれに代るものをいきなり治安法のほうへ持つて行つたらどうかという考えでやつたんですけれども、それでありまするとまあ判定の如何によりますけれども、余りに多くのものが治安維持法的なものに引つかかつて来ることになるのではないか、これは非常に労働行政としてはまずいことになるのではないかという考えを持つております。

堀木鎌三第一クラブ

○堀木鎌三君 もう一点、そのときにこれが治安関係から見たいわゆる取締の形になるものですか、或いは労働関係の正常のものということと、どつちの法規を適用して行くか。治安関係の人は治安関係だけで見るけれども、労働関係の人は労働関係だけで見るけれども、いずこかでこれは少くとも労働関係の正常な形の争議であるという判定を優先してなされるかという機能的なものがなければ頗る危険なんじやないか、こう考えますが、その点については……。

中山伊知郎中央労働委員会会長

○参考人(中山伊知郎君) その点については若し治安法的なものだけがこの上にぽかつとできた場合には、その判定問題の幅が非常に広くなつて来る。それでそれを労働法規のほうでも一段階上のものを作つて置けば、その判定は非常に問題になる。いろいろな場合にも私はこれは最後の問題は議会になるのではないかと思つております。抽象的なものですが、最後は議会の権限ではないかと思つております。今最初に申上げましたような構想を重ねて行けば、どちらかの判定をする幅が非常に狭くなる。その程度だけしか申上げられません。それ以上は具体的な問題です。

椿繁夫日本社会党

○椿繁夫君 今堀木委員がちよつと申上げましたこのゼネスト禁止の勧告ですが、諮問委員会では三百二十五号の政令が廃止になるので、それに伴う善後措置をということでありますが、そうしますとですね、国民経済を危殆に瀕せしめるというほうが重要に政府のほうに取入れられて、今禁止されていない産業のほうのストライキにまで及ぶようなことは、答申の内容としてはお考えになつていないのでしようか。

中山伊知郎中央労働委員会会長

○参考人(中山伊知郎君) 答申の内容としてはむしろ逆でありまして、三百二十五号というのは実は非常にああいう広いものです。あれは占領政策に反するものという規定ですから、何でも入るものですけれども、実際上は或る特殊な場合にだけあれが発動されておる。併しあの発動の仕方さえも解釈がいろいろありまして、広くとつたり狭くとつたりすることもできる。成るべく私はあの問題はむしろ限定的に広くとれないように規定するのが本当じやないか、こういう意見であつたのです。

椿繁夫日本社会党

○椿繁夫君 もう一点伺いたいのでありますが、基準法の関係について一点だけお尋ねしたいのでありますが、今先生は違反件数が一カ月六万件あつて、その中の四万件ぐらいが形式判定であると御指摘になりましたが、これは違反の事実がこういう統計に現われます場合に申告による監督の結果頭を出して来ます場合と、基準監督署が定期監督を行いまして発見して出て来る場合と二つあると思うのでありますが、労基法については国際的な関係も非常に重要なので国際水準を下るようなことがあつてはならんという基本的な立場で改正を答申された模様でありますが、この一方政府では法の改正を答申に基いて準備すると共に行政的な機構である監督機構の整備縮小と言いますか、そういうことも考えておらるるように仄聞いたしますが、そういうことで労働基準法の所期する目的が国際信用を傷付けたり、或いは水準を低下したりするような結果を生むと私どもは考えられるのでありますが、先生のお考えをちよつと承わりたいと思います。

中山伊知郎中央労働委員会会長

○参考人(中山伊知郎君) これは正直に申しまして、この基準局の職員を非常にたくさん整理しますとそれは法規の一つ二つを撤廃するより大きな影響があると私は思つております。その意味におきまして労働基準局の職員をたしか五割という案が出ておつたと思いますが、実は内部を申上げては相済まんのでありますが、ああいう人数は、私ども委員も直接に一々やつておりませんので、方針に従つてあの案ができるわけでありますが、実はその人数については私どもは私個人としては少し多過ぎるから反対であります。つまり法規に実際上手を着けなくても人が減ることによつて事実上仕事ができなくなるのであります。そういう点から来る労働基準法の緩和というものが或いは意外に多くなる可能性があるのではないか、それは仕事の量と一緒に考えて行かなければならないと思つております。そういう実際上の面から来る緩和というものは非常に不合理でありますから、だから基準がないようなことになつて、それこそ国際信用を害する元になると思いますので、その点はやはり仕事の実際の整理される面と相応じて人数を考えなくては相成らないと思います。

椿繁夫日本社会党

○椿繁夫君 むしろこの法律改正に着手するよりももう少し、逆に人を減らすということよりも仕事の簡素化される部分をもつと監督行政のほうに集中するとか、反対に少し足りないと思われるような部分があれば殖やして行くというような点についての御意見は如何でしようか。

中山伊知郎中央労働委員会会長

○参考人(中山伊知郎君) それは先ほど申しましたように仕事の内容につきまして整理するという中に含まれておりますと思います。ただそういうふうに整理するという言葉で申しましたのは、国全体の行政機構が整理される場合に必要があるからと言つて労働基準関係だけ殖やすというわけには参りますまい。

赤松常子日本社会党

○赤松常子君 それから先ほど私ちよつと伺いましたのでありますが、政令諮問委員会でいろいろ御意見が出ました側のお話は聞いたのでございますけれども、労働者側の御意見を諮問委員会としてこの労働三法に関する限り聞こうとなさつたのでしようか、そういう御意思はなかつたのですか、例えばこの労働三法の現在をやはり労働階級は最善のものと思つておりません。最低のものだと思つておりますので、現実にマツチしてよくするという立場で政令諮問委員会が御開きになられたと思うのでありますが、労働者側でこれに対して不満と思う点などを御聞きにならなかつたのでありますか。

中山伊知郎中央労働委員会会長

○参考人(中山伊知郎君) この点につきましては先ほどちよつと御説明を申したのでございますが、手続といたしましてはあの政令諮問委員会の案を、政府で今度は政府の案として準備される段階になります。その場合には当然労働者側のみならず一般の意見を聞いて頂きたいということを政令諮問委員会では最後に特に謳いまして、そうして答申を終つているわけであります。そこで実際の問題といたしましては、今現に基準法関係については先ほどちよつと御説明いたしましたが、基準審議会におかけになつておりますので、これはもうすでにその審議は始まつておりまして、無論この中では労働者側の代表の意見も十分に聞く、その他の労働法の関係につきましては、これからでき上ります諮問委員会、三者構成の諮問委員会でありますから労働者側も入つて十分に意見が闘わされます。そういう意味で諮問委員会はそういう委員会を十分に持つて、そうして公開で成るべく客観的な形で議論をしてもらいたいということを附加えて答申を終つております。その段階で行つているということであります。

原虎一日本社会党

○原虎一君 これは形式上の問題でありますから一言伺つて置きたいと思いますが、政令諮問委員会に対する諮問ですから、労働法のいわゆる改正を必要とするということについては、政府側はこれは勿論出したと思いますが、その間のいきさつをちよつとお話を願いたいと思います。

中山伊知郎中央労働委員会会長

○参考人(中山伊知郎君) 今御指摘になりましたように、政令諮問委員会というのはどういう成立ちか知りませんが、とにかく政令がなくなる、それに対して対応する措置を考えるというのが中心でございます。ですから政令には関係のない、すでに法律になつているものまで取上げたのはどういうわけか、こういう御質問だと思いますが、その理由は政令に関して考えて見ますと、どの問題も関連があるとも言われますので、従つてこの機会にこういう問題は一つ考えて見たいというので、つまり政府側の発言としては、何と言いますか、労働関係全体についてこの際考えることを一つ討議してもらいたい、こういう意味の発言があつたのであります。あとは全部政令諮問委員会で自分でやつたのであります、問題の取上げ方もその整理も……。

中村正雄日本社会党

○委員長(中村正雄君) ちよつと申上げますが、時間の関係もありますので、参考人中山先生のお話はこの程度にして頂きたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中村正雄日本社会党

○委員長(中村正雄君) それではそういうことにいたします。  それでは次に、今日は法務総裁に御出席を願つておりますので、政令三百二十五号が失効いたしましたあとの措置を法務府で考えているということでありますので、現在までの経過なり、政府の方針について法務総裁からお話を願いたいと思います。

大橋武夫自由党法務総裁

○国務大臣(大橋武夫君) 昭和二十五年の政令三百二十五号、占領目的阻害行為処罰令によりまして、この政令におきましては「『占領目的に有害な行為』とは、連合国最高司令官の日本国政府に対する指令の趣旨に反する行為、その指令を施行するために連合国占領軍の軍、軍団又は師団の各司令官の発する命令の趣旨に反する行為及びその指令を履行するために日本国政府の発する法令に違反する行為をいう。」これに対する有害行為の処罰規定といたしまして、「十年以下の懲役若しくは二十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」という罰則がついているのでございます。現在この政令によりまして、国内におきまするいろいろな行政上の措置を間接的に行使するため、又その行政措置のうちには治安の維持、或いは国民の福祉という面から考えましても、国として欠くべからざる事項が相当あるわけでございます。従いまして、平和条約が効力を生じました曉におきましては、この占領目的阻害行為処罰令はその対象そのものを失うことに相成りますので、従来この政令によりまして企図いたしておりました行政上の目的を、引続き講和後におきましても達成する必要があるものもございますので、これがためには何らか立法的な措置を講じなければならんという事態に相成つているわけであります。併しながらこの立法措置といたしましては、現在の政令三百二十五号のごとく極めて広汎なる、而も内容の特定しておらないところのそうした事柄を法律上の対象といたし、これに対しまして重い処罰規定を設ける、こういうような法律の立て方というものは、これは憲法の趣旨から考えましても適当でない、かように考えるのでございます。従いましてこれに代るべき将来の措置といたしましては、かくのごとき広汎なる規定を設けるというやり方ではなく、現実に必要を感ぜられまする事柄につきましてその遵守義務を命じまして、その義務違反に対する適当なる罰則を設ける、こういう行き方によつてこれを立法化いたすべきものである、こう考えている次第でございまして、かような方針に則りまして、各般の事項につきまして目下政府といたしまして調査をいたしている時期でございます。

中村正雄日本社会党

○委員長(中村正雄君) 今日総裁に出席願つたのは、そういう抽象的なお話でなくして、問題は、一般に言われておりまするゼネスト禁止関係の問題が労働省の主管か法務府の主管か、労働委員会の関係か、法務委員会の関係かの関連等もありまして、少くとも労働関係に関しまする政令三百二十五号に代るべき法規の改正ということについて、もう少し詳細にお話願いたいという目的で御出席願つたわけでございますが、その点でもう一つ御説明願いたい。

大橋武夫自由党法務総裁

○国務大臣(大橋武夫君) 御質問の趣旨を取違えまして恐縮でございますが、特に三百二十五号に対する後始末といたしまして、労働関係の事項についてはどういうことが考えられるか、それについてはどの程度進行いたしているか、こういう御質問かと思います。了承いたしました。政令三首二十五号に関連いたしまして労働問題に関係する事柄は、いわゆるゼネスト禁止の司令部の指令、これによりまして、いわゆるゼネストというものが今日三百二十五号の罰則によつて禁止せられている、これをどうするかという問題でございます。この問題につきましては、先般政令諮問委員会におきまして、一般の労働法規に関しまして再検討をせられましたる機会におきましても問題と相成つたのでございまして、先ず第一の考え方といたしましては、これは一体労働法規的なものであるか、それとも治安関係の法規的なものであるかという点であつたわけでございます。この点につきましては、只今中山中労委員長からも御説明があつたことと承わつたのでございまするが、元来このゼネスト禁止によつて取締をいたそうとする目的というものは、これは勤労者の罷業権でございます、即ちこれは憲法二十八条によつて保障せられました労働者の団体行動権であります。これは基本的権利といたしまして憲法上最も尊重を要する事柄でございます。そこでこれに関する法規の考え方といたしましては、先ず第一にこの憲法上の権利の内容というもの、これは法規によつて、法律によつて規定をするということが適当でございまするので、労働者の罷業権というものが如何なるものであるか、そしてその罷業権の行使に当つては如何なる手続が適当であるか、又この罷業というものは、罷業自体が目的でなく、罷業によりまして、或る労働争議を解決しようということが目的でございまするから、争議解決のためのいろいろな手続、又その手続の効果、こういつたものを規定する、これは当然労働法規と関連すべきものであると思つております。かような意味合いにおきまして、労働法規が非常に精細に規定せられまするならば、これによりまして罷業に伴いまする、社会に対する不測の損失というものも、或る程度予防できることは勿論でございまして、その範囲においては、これは労働法規の分野に属する、かように存ずるのであります。併しながら今日各国の実情を見まするというと、この罷業権の行使によりまして、国の経済が根本的に危殆に陥れられるというような場合も現実には十分に考えられるとこうでありまするし、又一部の人々におきましては、これを政治的な動機から、経済的な労働問題の解決ということでなく、政治問題の手段としてこれを悪用するという、そうした罷業権の悪用も考えられるのでございまして、これに対しましては、国民の福祉を守るという面から、当然必要なる最小限度において制限を認めるということも止むを得ないことではないかと考えるわけでございます。かような見地におきまして、過般の政令諮問委員会におきましては、ゼネストについては別に法規によつて最小限度の制限を規定する、併しながらその制限は労働法規というよりは、むしろ治安維持の建前から考えるべきものであるから、その方面の関係者でありまする法務府において、この仕事を進めたらいいではないかというような話合いもございまして、それでああした答申ができたわけでございます。政府といたしましては、一応只今では法務府におきまして、これが原案を調査立案いたしているのでございまして、成るほどこれはそうした理窟から申しまして、治安のための立法であるということは十分に考えられまするが、併しながら事柄の内容は、先ほど来申上げましたる通り、労働法規において規律されますところの労働者の団体行動権の制限でございまするから、その内容を確定いたしまする場合に当りましては、労働省の当局と十分に協議いたしまして、そうして支障ない案を作るようにいたしたいと、こう考えているわけであります。特に法務府といたしまして、このゼネスト制限の法律等、その案を考えるに当りまして、最も重点を置いておりまする点は、憲法の保障いたします労働者の基本的権利を公共のために制限する、その制限される対象が憲法上の基本的権利でございまするから、その制限は真に社会公共のために必要な最小限度のものであるということが保障されなければならない。こう考えているのでありますが、不当な濫用により、或いは政治的な動機によつて、これが運用され、その結果基本的権利の不当なる侵害を招来するというようなことは絶対に避けなければならんことである。こういう観念の下にこれか考えているのでございまして、特にその目的のためには、これを運用いたしまする機構において、さような濫用を絶対にあらしめないような保障を機構上工夫することが適当ではないか、かように考えている次第でございます。

中村正雄日本社会党

○委員長(中村正雄君) 御質問ありませんか。

堀木鎌三第一クラブ

○堀木鎌三君 今大橋総裁の言われる全体的の方針というもについては我々も或る程度納得される形があるのですが、先ず第一にその点でお聞きしたいことは、今特に重要だとおつしやつた運用機構上何人も納得する形においてそれが保障されなければならない、その運用機構上の問題はどういうことをお考えになつておるのか、具体的にお聞きしたいと思います。

大橋武夫自由党法務総裁

○国務大臣(大橋武夫君) それを今慎重に研究いたしておるのでございまして、堀木委員におかれましても何かいい案がございましたらどうぞお示しを頂きたいと思います。

堀木鎌三第一クラブ

○堀木鎌三君 その上について、政治上の影響が絶対にあつてはいけないということを法務総裁が指摘された。それから基本的な人権に関するものであるから、これは国民福祉との競合においても最小限度にされなければならない。結局何人も納得する姿ということが大切だと思います。殊にこれがそういう方面、いわゆる治安的な方面から制限さるべきゼネラル・ストライキであるか、或いは労働法上から見ますれば、先ほど言われた憲法に基くところの団体交渉権及び罷業権というふうなものから見て正常なる労働問題であるかということを判定する機構が、私は一番政府から独立した形で判定される機構が是非必要である、こう考えておるのですが、その点について実は政府の一機構でもない、全く独立なそういう判定機関であるというふうなものを構成される意思がありますかどうか、こういうことであります。

大橋武夫自由党法務総裁

○国務大臣(大橋武夫君) この問題の根本的な考え方といたしましては、先ほど申上げました通りでございまして、これがためには先ず真に罷業権の制限が公共のために必要な最小限度を超過しないということ、それからそれを保障いたしまするためには、勿論法規の、法文におきましてでき得る限り詳細を尽しまして、さようの趣旨を現わせるようにするという、このことは無論必要なことだと思つております。併しこれだけでは足りないのでありまして、やはり如何に理想的な法規がございましても、これを運用する機構において、その目的を逸脱したる運用が絶無であるということを保障されたような形の機構、そういう機構によつてこれを運用するということが相伴わなければ、かような権力によりまする国権の発動というものはいろいろな弊害を伴いやすい。こういうふうに考えまするので、私としましては法文において十分なさようのことを保障するような趣旨を具体化すると同時に、機構におきましてもさようなことを保障できるような機構を考えたい、こう思つております。従いまして只今堀木委員のお述べになりましたるごとく政府より独立した委員会において最後の決定をする、この権限の決定をするということは極めて適切なことである、こう考えております。

堀木鎌三第一クラブ

○堀木鎌三君 非常に進歩的な御意見が拝聴できて私は非常に仕合せだと思うのですが、大橋総裁もう一点お聞きしたいのは、実はすでに法務府と労働省との間において第一次の打合会が行われたということまで伺つておるわけですが、少くともこの関係につきましては早くその考え方を御発表になつて、それが肯けるような形の法案が、草案としてでも発表して頂く、我々にそれを批判し、参与するというとおかしいのですが、今虚心坦懐に私の意見でも聞こうかとおつしやる程度の雅量をお持ちになるならば、我々の意見も十分それに取入れるだけの余地を残してお示しになることが必要でなかろうか、或いはすでに何かあるのでなかろうかということすら考えられるのですが、あるのでしたら至急御発表になつて頂けませんか。

大橋武夫自由党法務総裁

○国務大臣(大橋武夫君) 誠に御尤もなことでございまして、私どもといたしましてもかような重大な法案でございまするからあらゆる階層の検討に応え、そしていい案ができるということを希望いたしておるわけであります。そこで私といたしましては先般法務府の事務当局に対しまして、労働省その他の関係官庁の当局と十分に連絡を、相談をして、一案を準備して私の手許に出してくれるように頼んで置きましたので、その一案を作るために一、二回労働省と法務府との関係者が合同したということは、恐らくやつておると思います。但しまだ私の手許に出してもらうほどの案はできておらないのでございまして、実は今日の委員会の御通知を昨日頂きまして、或る程度申上げることのできるようなものがありましたならば申上げまして、御批判を仰ぎたい、かように存じましてその案を取寄せたのでございまするが、只今申上げましたる機構等の点につきましてまだ私の意に満たないものがございまするので、昨日その点について再検討を命じてあるという状況でございまして、これは仰せられましたごとく成るべく速かに或る程度の形によつて皆様の御批判を受け得るような状態に置きたい、かように考えております。

堀木鎌三第一クラブ

○堀木鎌三君 私特にこの点についてお願いして置きたいと思いますことは、講和条約の批准を予想していたより早くお取運びになる決心をしておる。そうすると時期的な間隔において非常に迫つておるような気がするのです。他の法規はともかくといたしまして、今言われたようにこれは労働関係法規の実態を非常に備えたもので、労働関係法規というのは御承知のように成るべく関係者が納得する姿において出て来た、民主的な成立過程を経て来ておる。でありまするからこの問題につきましても、特にそういう御報告をお取入れになるという御声明がありましたので、安心しますが、時期的な関係その他から見ると、実際上非常に困難な場合が多いと思いますので、成るべく速かにこの問題だけについてでも切離して、今言われましたように各方面の意見を取入れるような姿をおとりになるように切にお願い申上げます。

堀眞琴労働者農民党

○堀眞琴君 法務総裁のお話で大体ゼネスト禁止の政府の意向というものは一応わかつたわけですが、併し法務総裁のお話の中にはまだまだ問題としなければならん点がたくさんあるわけです。労働関係について労働法規のものか、治安関係のものかという前提からお話になつたところでは、労働法規が完備しておれば何も治安関係によつてこれを取締る必要がないということをお話になる、併しながら各国の実情云云というようなことをお話になつておる。治安関係でストを取締るということになりまするというと、ともするというと戦争前のような治安維持法的なものによつて労働運動を弾圧するという傾向が強くなつて来ることはこれは当然だと思うのです。従つて政府としては勿論そういう治安維持法のようなものを作る意向はないのだろうと私は想像するのですが、若しそうとするならばむしろ労働関係の法規を完備するというほうに重点を置かれて、そうして労働運動を政府の側においても育成して行く、というような方向に持つて行くのが本筋ではないかということが一点と、それからもう一つは、各国の実情を見るというと、どうもそのゼネストによつて国の危殆に瀕するような場合も出て来る、こういうようなお話でありますが、各国の実情から申しますと、実際においてゼネストを治安関係の対象として取締つておるという場合は非常に少い、むしろ例外的な方向だと思う。世界の情勢はむしろ労働問題を労働関係の法規によつてこれを取締るという方向に向いておるのだろうと思うのですが、その点について法務府の考え方はむしろあべこべの方向を向いておるのじやないか、という工合に考えられるのですが、先ずその二点をお尋ねしたい。

大橋武夫自由党法務総裁

○国務大臣(大橋武夫君) これは考え方としてなかなかむずかしい問題だと存じまするので、労働法というものは大体労働者の団結権、団体行動権、これらの労働者の権利につきまして、その内容を規定いたすというのが本来の労働法規の使命であると、こう考えます。従つてこれらの労働法によりまして権利として認められましたいろいろな団体行動権、特に罷業権が如何なる場合において禁止されるか、これはその動機或いは目的において不当であるというものが禁止されることはこれは考えられるのでありますが、併しその場合におきまして単にその動機、目的が不当であるというだけで禁止されるとすれば、それはそれらの罷業というものが不当な罷業である、こういうことになりまして、それらは本来の罷業権の保護の範囲外であるものである、こういうふうな考え方になる。このことを規定することは正当なる罷業権の範囲というものを規定する事柄でありまするから、それは何ら治安上の目的ということではなく、それ自体本来の労働法規であると私は考えておるわけであります。これに反しまして、労働法規に従つて行われまする罷業でありましてもその罷業が全国的に同時に行われるとか、或いはその罷業が広範囲長期に亘る、こういうような事柄によりまして、国民の経済生活に非常な危殆、危険を惹起するような傾向があるという場合におきましては、労働法規の立場から言えば、個々の争議はそれ自体いずれも正当な行為である、正当な罷業である、併しそれが同時に一齊に多発しておるという客観的な事情から、それらが公共の福祉という見地から制限をされなければならんという場合もあるわけでございます。私はかような意味におきまする罷業権の制限というのは、これは治安という言葉は適当かどうかわかりませんが、少くとも公共の福祉という建前から見まして、労働者の正当なる罷業権ではあるが、社会公共の全体の福祉のために、その罷業権の行使を一時的に制限して頂かなければならん。これがいわゆるゼネスト禁止という法理ではないか。こう考えておるわけでございます。かような考えの下に、法務府としては、それを治安の立場という表現が果してその立場を適切に表現するかどうかは別問題といたしまして、真意は、正しい罷業、労働法規の上から考えられては、それは正当と認められるものであるかも知れませんが、併し、そのときのいろいろな国内的、或いは国際的な情勢から見て、国民経済を危険に陥れる、そういうふうな外部からの属性が入つて来ておる、この外部からの属性に着眼いたしまして、罷業権の行使を一時的に制限するということがこの法規の本来の考え方ではないか、こう思つておるわけであります。そういう意味におきましては、労働法規自体の完全に処理する事柄ではなく、やはり労働法規の本来の分野というよりは、又他のそうした公共の福祉という意味からの国民経済の特別な保護といつた他の見地からこれを取上げて制限するという立場を考えるべきだ。私はゼネストの禁止というのは、かような場合において初めて考えられるものではないか。こう思うのであります。

堀眞琴労働者農民党

○堀眞琴君 只今のお話ですと、本来的には、労働法規の上で正しい罷業権の行使であつても、それが国民経済を麻痺させるとか、国を危殆に瀕せしめるというような事態が起つて来た場合には、別個の観点からこれを取締るべきだ、こういうお話のように伺つたのであります。それから外部からの要素云々というようなことをそこに附加えてお話になつておるのでありますが、併し罷業そのものが労働法規の上から正当なものであると認められておる場合でも、いわゆる公共の福祉であるとか、国民経済の観点とかいう点からこれを取締らなければならないということになりますと、問題は公共の福祉とか、或いは国民経済を危殆に瀕せしめるという、その測定、判定が私は非常に問題になると思う。公共の福祉という言葉は、しばしば非常に都合のいい言葉でありまして、政府側によつて非常に濫用される気味がある。何も公共の福祉の内容について、ここで憲法論を繰返す必要はありませんが、ところが、それを実は濫用して、そしてこれを別個の観点とは言いながら、治安の観点から取締るということになりますと、労働運動そのものに対する弾圧だということは、これはやはり結論としては出て来るのではないか。それからゼネストの問題でありますが、ゼネストというか、一時にゼネストが全国的な規模において起る場合もあると思います。併しそうではなくて、各地域地域にストライキが集積されて、そうして、その結果がゼネストになるという場合もあると思うのです。そういう場合もいろいろありますので、一概にゼネストと言つても、これを他の観点から取締るということは、結果において、労働運動の弾圧になるということが考えられる。それから第二点についてお尋ねした問題についてはお答えがなかつたのですが、各国の実情を見るというと、ゼネストがしばしばその国を危険に陥れておる、こういうようなお話があつたのですが、併し各国の実情を見ましても、成るほどゼネストは例えば、フランスなんかにおいてはしばしば行われておる、併しそうかと言つて、ゼネストを治安関係で以て取締るということはいたしておらんと思うのです。恐らく治安関係の法規によつて労働運動を取締るというのは、遅れた二三の国々における状態であつて、例外ではないかという工合に考えられる。折角日本の労働運動を民主的な労働法規によつて取締つて来たものを、別個の観点から取締るということになると、それだけ世界の情勢にも逆行する結果と相成りはせんか、こういう工合に考えておりますが、その点について法務総裁の御答弁を願います。

大橋武夫自由党法務総裁

○国務大臣(大橋武夫君) 先ず第一点で、結局において、ゼネストの禁止というものが弾圧を意図した立法ではないか、こういう御質問の御趣旨でございましたが、このゼネストの禁止ということの趣旨は、先ほど来申上げました通り、国民経済におきまする労働というものが重要なる要素である関係上、大規模なるストライキというものが国民経済を危殆ならしめる可能性が多い、そうしてさような危険性が現実に国民経済の上に迫つたときには、国家といたしましては、この国民経済の破壊を防ぎ、国民経済を守りまするために、これを制限するというのが、これは当然国家の立場から言つて必要なことなのでございまして、それ自体は決して弾圧でも何でもないと私は考えます。ただ、これを一方的な運用をいたしまする場合におきましては、ともすれば、必要なる最小限度を越えて、国民経済上必要なる最小限度を越えまして、禁止又は制限が行われる、この場合においては、当然それは弾圧と言わなければならない。従いましてこの運用上弾圧を発生させる危険が多いということは、これは十分に考えて行かなければなりません。それでありまするから、私はさような弾圧をあらしめないためには、やはり運用の機構というものを十分に工夫いたしまして、一方的な運用によつて、必要な最小限度の制限を越えた弾圧の発生することのないように、それを法規の内容によつて詳細に規定すると併せて、機構の上においても工夫を加えて、真に社会公共のために必要な法規であつて、決して弾圧に亘らないという労働法規として立案することが今日政府の責任である、こう考えるわけであります。それから治安関係の法規でストライキを取締る、私は治安関係の法規でストライキを取締ろうとは考えておりません。先ほど来この点については申上げましたる通り、国民経済を保護するためには、どうしても制限を加えなければならない、その国民経済を破壊から防ぐという立場から争議権に一定の限界を認めるという立場は、従来の労働法規として考えられておつた立場とは違つた立場であるということをただ申上げたわけでございまして、これを違つたと見るか、或いはそれも又労働法規の立場であると見るか、それは自由であると存じまするが、私は少くとも労働法規といたしまては、労働条件なりその他労働権に関する事柄又労働者の団結権或いは団体行動権を保護するために、法規を以ちましてその内容をきめて行くということがこれが労働法規の目的であろうと思います。そうして実際上ゼネストを制限しなきやならんという場合には、そのストライキが労働権を保護するための法規に適合しておるかどうかという問題ではなく、むしろそのときにおきまする国民経済というものの状態によつて変つて来るのでありまして、その状態を労働法規においてことごとく規定をいたし、さような状態において大規模なるストライキが行われるということは国民経済上危険であるから、それは正常なるストイラキの範囲を超越しておるものであるというふうな規定をするということは、現在の立法技術ではなかなかむずかしい。そこでむしろストライキの権利はストライキの権利として認めて置いて、そのストライキの権利が行われた結果といたしまして、国民経済に危殆を感じさせるその場合においては、特にその都度制限禁止するという別の行政措置を構ずる、このほうがむしろ労働法規の目的でありまする罷業権を正当に守るという上から言つても適当であろう、こう申したわけであります。これを治安の観点からと言われるか、或いは国民経済の観点からと言われるか、それは言われる人の自由でありまするが、私といたしましては、何も犯罪を取締るというような意味において申したのではなく、全く国民経済を守るために最小限度の制限をすることが必要である、こういうことを申上げたつもりでございます。

原虎一日本社会党

○原虎一君 もう一点だけ……今質問された中でも答弁を落されておるのですが、これは非常に国際関係の深い問題であります。そうして今法務総裁の御答弁による構想の範囲で、簡単に申せば進歩的な世界各国を理解せしめるに足るだけのものであるかどうか、非常に僕は不安だと思う。そういう点についてのお考えを伺いたい。

大橋武夫自由党法務総裁

○国務大臣(大橋武夫君) どういうのが世界各国に進歩的なものとして受入れられるかということは私まだ確信を持つておりませんが、私といたしましては、とにかく日本が独立いたしまして、世界経済に乗り出して行く場合において考えられまするところのこの種類の法規といたしましては、世界の各国で十分に受入れられるような、そうした進歩的な内容を持つたものでなければならない、こう考えておるのであります。さような内容のものにいたしたいと思いまして、目下各般の資料に基きまして詳細検討いたしておる次第であります。

原虎一日本社会党

○原虎一君 簡単にお聞きしたいのですが、法務総裁の考え方がすでに今御答弁のように国際的に非常に深い関係を持つ法律であるというものを……、その所管々々によつて認識が違う、法務府と労働省との関係において……、これは非常に団結権を制限はしないが、団結権を、基本的な人権を治安という名前において制限する、取締るということになりますれば、先ほど各委員の質問がありました通り、私の一番懸念しておる点は、この国際的に十分認識され得るところの法律にしなければならんということが一番大きな重点だと思うのです。重要な点だと思うのです。この点については、今御答弁がありましたように御研究になつていない。むしろ我々はお持ちならばその点からお聞きしたい。そういう点について如何なる知識をお持ちになつておるかという点をお聞きしたいが、その御答弁が逆なんであつて、どういうもりが国際的に認められるかどうか、考えていない。敗戦日本の経済を危殆に瀕せしめるのであつてはならんからその観点から作るのだという構想では我々納得できない、こういうことを申上げたい。

大橋武夫自由党法務総裁

○国務大臣(大橋武夫君) 案をお示しいたしますとどういうものであるかということはわかるわけでございますが、只今まだ案をお示しいたす程度まで私の意にかなつた案ができて来ておりませんので、事務局を督励いたしましていろいろな点を調査せしめておるわけでございまして、私といたしましては今日の日本の国際的地位又歴史におきまする日本の地位というものから考えまして、何人も納得できるような案でなければならない。ひとり国内においてさようであるばかりでなく、国際的にも納得の得られるような案でなければならない、こういう考えを持つて立案をいたしておるわけであります。どういうものができますか、それは私の力の限界もありますので、必ずしもここでお請合いはできませんが、いずれ不日何らかの形におきまして立案する前に皆様の御批判を仰ぐ機会もあるかと存じます。その節は一つよろしくお願い申上げます。

中村正雄日本社会党

○委員長(中村正雄君) では一応法務総裁に対しまする質問はこれで打切りまして、仲裁委員長の今井さんに出席願つておりますので、陳述を願うことにして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中村正雄日本社会党

○委員長(中村正雄君) ではさようにいたします。  今井さんにお願いするわけですが、実は先般労働省のほうから労働法規の改正の基本方針というものが十四日に発表になつておりますが、その一つに法規の統合という面があるわけなんです。これは労組法、労調法、公労法その他を一本にするというものを中心にしまして、仲裁委員会としてどういうお考えか、又一般の労働関係につきましての権威者としての今井さんの御見解を承わりたい。これでお越し願つたわけなんで、その点についてお話願いたいと思うわけなんです。それからもう一つ、実は昨日国鉄の調停問題についていろいろ審議したわけなんですが、そのときに国鉄の調停が仲裁委員会に持つて行かれておる。仲裁に持つて行くにつきまして組合側の考えておるのと調停委員会の考えておるのとでは仲裁の範囲が違つておるような話であつたわけなんです。組合のほうは第二回の調停申請の範囲、いわゆる調停委員会の調停案の完全実施と賃金協定の問題、この二つを審議願う。言い換えますれば、調停案を基礎として仲裁をお願いする。こうなつておるわけでありますが、調停委員会のほうでは一切を挙げて仲裁委員会に任す。言い換えますれば、調停案を御破算にしてお考えになつてもいい、こういう考え方で、二つの考えが違つておるわけなんです。仲裁委員会としてはどういう範囲によつて国鉄の賃金問題を仲裁なさるか。若しおきまりであればこの点も併せて御陳述願いたい、かように思つておるわけです。

今井一男公共企業体仲裁委員会委員長

○参考人(今井一男君) 実は先ほど発表されました労働省の今回の案というものは、私ども新聞紙上によつて僅かに知つておるだけであります。従いまして仲裁委員会としてこれに対しまして討議をいたしました機会は、残念ながら持つておりません。特に仲裁委員会のメンバーが、去る八月、過半数が更迭になつた関係もございまして実は触れておりません。その意味では仲裁委員長として申上げることは適当ではないと思うのでありますが、一仲裁委員として私の意見を申上げることになろうかと思います。  労働法の統合或いは改正という問題は以前から私どもの耳にいたしておりますが、日本が講和の機会に労働法規を再検討するという点につきましては、一般論といたしまして私はとにかく占領下におきまして総司令部の指導下にありました関係の諸法規というものは、少くとも日本国民の感情としては労働運動に対しまして、いわゆるその行過ぎているという意見はありましても、これを足らないと、もつと労働運動を活溌にさせるようにと、そういつた自主的な要素のほうは、要素の面におきまして、非常にまあ妙な言い方をしましたが、とにかく労働者側に甘かつたと、率直に申上げますと、意見のほうが圧倒的なものであつたろうと、私は確信いたすものであります。又社会的に見ましても恐らくそういつたような観点が大部分であろうと想像いたします。そういつた意味におきまして講和を迎えまして、日本は独立の機会にこれをいじるということは、結局いわゆる労働者側のいわゆる労働法改悪という方向に行くという危険は多分にあるのでありまして、その意味から特に日本が国際社会に復帰する、或いは英連邦、その他のいろいろな輸出貿易等に対する批判等から申しましても、必ずしも、じやない、決して、時期的に当を得たものではあるまいということが概括論として私の意見になろうかと思います。併しながら細かに検討して見まするというと、いろいろまずいところも、直すべきところもあろうかと思うのでありますが、結局要はこういつた労働運動、労働組合という問題は、法規で取締るには極めて不適当な分野でありまして、或る一定の限度を越えましたものにつきまして大きな枠を作るということは必要でありましようが、その中においては労資の自主的な解決に待つということが労働運動の、少くとも労働運動というものが日本民主化の大きな要素であるといたしますれば、とるべき方向ではなかろうかということが基本的には申上げられようかと思います。その意味におきまして今回の法規の統合ということは、統合そのものにつきましては、私は一つの考え方であろうかと思いますが、私が新聞等から察しますると、現在の日本の労働運動がどういつた面において欠陥があり、どういつた姿のものにしたいというその意味においては、現在の法規はこういつた意味で不適当である、故にこう直さなければならん、こういつた目的的なものがどうもはつきり掴めないのであります。そういつた必要の範囲内においていじることに私ども必ずしも不賛成ではありませんが、その点がはつきりしない意味におきまして、どうも今度の改正案につきまして気分的にすつきりしないものを感ずるのであります。又私どもが日頃触れております面から申しますというと、この統合が若し行われるものといたしますれば、一番基本的な問題は、大きな問題は、むしろ国家公務員の問題ではなかろうかと考えております。労働に関するいろいろの基本的な権利というものが憲法に基くものである以上は、この制限というものは極力最小限度にとどめなければならぬことは申すまでもないのでありますが、只今の国家公務員法の建前は、国から給与をもらつておるものは全部国家公務員と考える。従つて進駐軍の家に雇われておる女中さんまでが国家公務員という観念になるのであります。勿論健全な政党政治の発達のために特殊な公務員に対しまして政治的な中立を求めるとか、或いは天降りを禁止するということは、これは必要であろうと思います。併しながらその範囲は極力必要の最小限度にとどめるべきものではなかろうかと考えるのであります。行政管理庁の或る課長の話によりますというと、国家権力の行使に当る国家公務員は僅かに十万人程度だそうであります。そういつた人たちはそういつた制限の下に置くことは必要でありましようが、その他の大部分九割以上のものは、これを私は一般の労働法規の原則に極力よらしめるといつたことが折角統合をなさるならば忘れてはならん点ではなかろうかと思います。又同様に公共企業体におきましても、これを何故あの公労法によりまして労資対等の原則が幾多の個所において打ち破られておるような法規は是非労働法の基本的な観念に統合して頂きたい、こういつた意味において統合が行われることは、私どもの立場からも極めて賛成申上げたいところであります。細かい点は省略いたしますが、一般論としてはさようなことに相成ろうかと思います。一番今私どもが組合側から聞いております今回の改正の問題といたしましては、労働委員会の統合及び労働調整官の問題がございますが、この労働委員会の統合ということは、私はいわゆる地域と産業別という関係におきまして非常にむずかしい点がございますが、これが解決されるならば必ずしも工合の悪いことではないと思いますが、いわゆる調整官のような国家の権力に基く人たちが適当な人が得られるかどうかという点につきましては、私も多大の危惧を持つものの一人であります。なお委員長のお話にありましたので、ついでに国鉄の仲裁のことにつきまして一言申上げます。我々は九日の十八日附で国鉄中央調停委員会から仲裁請求の書面を頂きました。形式的に書面が不備な点がございましたので、これを補完、補充いたしました上、去る二十二日仲裁委員会を開きまして審議の結果、労働紛争が存在しているということは形式上確認されましたので、これを受理いたしました。本日午前調停委員会の御三方に御足労を煩わしまして経過を拝聴いたしました。明日から両当事者を呼出して意見を聞くということであります。委員長のお話に御指摘がありましたように、調停委員会の意見といたしましては、元の申請と新らしい申請とが結局一体である、元の申請が解決されたならば、おのずからあとの申請も解決されるものと、かように考える、こういつた御意見を只今私確認して参つたところであります。併しながら私どもが明日以降両当事者を呼びまして、その申請というものが、趣旨が調停委員会の意見と変つておるようでありますればその際に又別に考慮いたしたいと考えます。要は我々は公労法の精神がむしろ紛争の円満にして迅速な解決ということにあります以上、成るべく形式的な法律論等には囚われませんで、現実に問題を解決して行くように従来とも法の解釈は或る程度運用の妙を発揮して参りまして、例えば昨年の四月専売の調停におきまして二カ月経過いたしましたけれども、両当事者共に何とか話合いでまとめたいといつた申出がありましたので、私どもは法律の解釈を二カ月ということは、結局二カ月たつて労働紛争を解決しないという見通しが立つたときに初めて活動すべきである、この法の解釈のほうが公労法の運用上適当であるといつたような立場におきましてこれを見送りまして、結局その間に団体交渉が成立したことの例もございます。さような実情に即しまして私どもは解釈をいたしますので、或いは形式としては公労法の正面に多少疑問点を生ずる点があるかも知れませんが、そのほうが結局両当事者の意思に合する限りにおきまして労働紛争の性質上飽くまで両当事者の意見を中心にして解決して行きたいといつたのが一般的な我々の態度でございます。極めて漠然としたことを申上げましたが、なおあとは御質問に応じましてお答えいたします。

赤松常子日本社会党

○赤松常子君 労働三法の改悪問題について英連邦の関係方面はこれに対して改悪しないほうがいいという御意見と伺つてよろしゆうございますか、ちよつとその辺はつきりいたしませんが……。

今井一男公共企業体仲裁委員会委員長

○参考人(今井一男君) 直接そういつたことを申しておるふうにも聞いておりませんが、とにかく日本の低賃金なり、或いは悪い労働条件といつたことがとにかく問題になつていることはもう以前からのことでございまして、この際の改正というものは、そういつたことをよりよくするといつた方向に向わないものである以上は私は又向うと外国が考え得られないような立場にある現在におきましては、いじらないほうが国際的に賢明であるこういつた意味の話であります。

中村正雄日本社会党

○委員長(中村正雄君) 一応時間の関係もありますので今井さんのお話はこの程度で打切つて如何ですか。

堀木鎌三第一クラブ

○堀木鎌三君 私はちよつと中座しましたので或いは述べられたのかも知りませんが、先ほどお話になつたゼネストの問題ですね、これが実はどういうようなものが飛び出すか非常に心配をしてるのですが、こういう問題について御意見があつたら労働問題を扱われるかたとしてどう考えるか、これが一点。それから第二点は、国鉄の問題は無論労働問題ですから余り法律論に囚われてものを解決しないという御趣旨はよくわかるのです。と同時に一方に非常に法律的に考えておかしいような態度をとつたときに現実的に妥協して行くと違つた態度のほうに向いてしまう。今度の問題でも率直に言えば国鉄が十六条がありますにもかかわらず国鉄がやはりうしろに政府の予算的措置というものを頭に入れつつすでに協定ができておる。実体的には協定ができておるはずのものが、団体協約としては成立たないというふうに私は考えられるのですが、その点について御意見が伺えたら、この二点だけにして置きます。

今井一男公共企業体仲裁委員会委員長

○参考人(今井一男君) ゼネストにつきましては私どもも心安い人たちと議論したことはございますが、何らかの形で制限は必要であろうと考えますが、併しながら決してこの前の二・一ストのようなあんな大規模な数百万というものが職場を離れるというようなことは決して一片の法律では取締り得ないのではないか。法律の底に拘束力の事実上の限界がある問題になり得る危険性を私は特に指摘したいような気がするのであります。その意味におきましてむしろ個別的なストにおきます適当な何といいますか、取上げ方のほうがよりいいのじやないか。例えば問題によりましては抜打ストとか、その他いろいろございましようが、そういつた間における自主的交渉のような制度の助長と申しますか、そういつたとに重点を置かないというと、いわゆる大きな政治ストというようなものは、法律は無論できましようが、法律を作りましても果してそれがどういうことになるかということにつきましては、私は憂慮いたしておるものの一人であります。なお先ほど大橋法務総裁と堀木委員とのお話中にもございましたが、これは若しゼネスト禁止の形におきまして法案が出ますような際には、この認定機関等につきましては御質問のような非常に慎重な配慮が要ることもこれも改めて申上げるまでもないと思います。国鉄の問題でございますが、これにつきましては藤林調停委員長がこの席で皆様に申上げたのではなかろうかと想像いたしますが、法律上には国鉄公社が独自に団体交渉ができ、而もそれに対して意見が述べ得られるにかかわらず、現実におきまして協約が結び得ないという形はどうも私ども納得しがたいものがあります。この現実を調停委員会は認められまして、特に藤林委員長は結局賃金に対しましてイエスやノーの言えない公社側であるならば、結局公社というものは賃金については団体交渉の能力がないことになりはしないか、そうなるというと団体交渉の目的の中から賃金を削らなければならんということになりやしないかというような虞れがある。そういう事態は労資の間においては望ましくない。その意味におきまして何とか今度の調停案によつてまとめさせたい。このことを委員がそれぞれ念願されまして、その結果調停案には若干の含みを持たせながら、而も両者がそれによつて納得することによりまして、ここに新らしい現実に即した調停の運用の実現を図りたい、そういつた決意を持たれまして調停案が形式的に受諾された後三ヵ月間も殆んどあらゆる手段を尽し努力をしたのであります。私ども仲裁委員会と調停委員会との関係は別に上級下級の関係もございませんし、その点を批判すべき立場にはございませんが、私個人といたしましては今回の調停委員会のとられた態度というものが、現実に即した確かに一つのやり方ではなかろうかと思うのです。ところがそれが遂に実を結ばなかつたことによりまして、調停委員会としてはここで仲裁委員会に仲裁の請求をし、問題を移行させると、こういつた決意で私どものほうへ送つて来られたのでありまして、尤もこういつた点は当初調停案を双方に示されたときから、そういつたふうには両当事者に言われておつたそうであります。その意味におきまして少くとも一つの行き方を示されたものであるのでありまして、国鉄公社の自主権のないということの問題は、これは確かに批判の余地は大いにあるのでありますが、現実に即した行き方としては、私は個人的には調停委員会の態度は御尤もとひそかに感じておるものであります。ただ我々はこの上は問題の所在を確かめまして、成るべく速かに裁定を下したいと、かように存じます。

中村正雄日本社会党

○委員長(中村正雄君) 一応今井さんのお話はこの程度に打切つて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中村正雄日本社会党

○委員長(中村正雄君) 御異議ないと認めます。最後に労働省のほうから発言したいという申入がありますので、賀来さんの発言を許します。

賀来才二郎労働省労政局長

○説明員(賀来才二郎君) お許しを得まして、一言だけ御了解を願つて置きたいと思います。実は先ほど来中山委員長の御説明の中に、労働省案という言葉が随分使われたのでありますが、この経緯につきましては別の機会で御説明を申上げたいと思います。  結論だけ申上げますると、実はまだ労働省の省議によりまして、決定する改正案はできていないんでございます。大臣から政令諮問委員会の答申をどう扱うか、労政局として研究して見たらどうか、で、その研究を一応やつて見てなお改正の要否、及び改正するとすれば、労政局の研究の結果で、各界の有力者、主な人に意向を内々打診して見て、その上で一応の意見も定めて、なおその結果によつて省としての意見もきめたいというお話がございましたので、労政局といたしまして、諮問委員会の答申を中心にして、改正の要否、及び若し事務的に考えれば、どういうふうになるかというふうなことを研究をした結果といたしまして、内々各方面の内意を打診いたしました案そのものが、やはり各界有力者のお一人として中山先生にも説明を申上げまして、その案について中山先生がいろいろ御意見を申されたのでありますが、労働省案という公式のものにはまだなつておりません。労政局の私の案という程度で打診を申上げておつたということにつきまして、念のため御了承を願つて置きたいと存ずる次第でございます。

中村正雄日本社会党

○委員長(中村正雄君) このあと一応その私案についての懇談会をしたいと思いますが、委員会はこれで散会したいと思いますが、如何ですか……。  それでは本日はこれで散会いたします。    午後零時五十四分散会  出席者は左の通り。    委員長     中村 正雄君    理事            一松 政二君            原  虎一君            波多野林一君    委員            赤松 常子君            椿  繁夫君            早川 愼一君            岩男 仁藏君            堀木 鎌三君            堀  眞琴君   国務大臣    法 務 総 裁 大橋 武夫君   事務局側    常任委員会専門    員       磯部  巖君    常任委員会専門    員       高戸義太郎君   説明員    労働省労政局長 賀来才二郎君   参考人    中央労働委員会    会長      中山伊知郎君    公共企業体仲裁    委員会委員長  今井 一男君

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