人事委員会 閉会後第1号
- 発言数
- 80 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1951/08/23
会議録
○理事(加藤武徳君) それでは只今から会議を開きます。 我々のこの委員会、十一国会が閉会せられまして、国家公務員の給与に関しまする案件が継続調査として付託されておつたのですが、短期間の十一国会の明けました現在において、引続きこの案件が我々の委員会の継続調査の案件になつておるのでありまして、この国家公務員の給与に関しまする件は、先般人事院がたしか二十日かと思いましたが、国会と内閣に対しまして新給与の勧告があつたようでありまして、これらの内容等につきまして今日は議題にしたい、こういう工合に考えます。 なお人事院からは山下人事官がお見えになつております。如何でしようか、山下人事官から新給与の勧告についての内容をお伺いしたいと思います。
○説明員(山下興家君) 今お話がありましたように、去る二十日に人事院といたしましては給与に関する報告と勧告を国会並びに内閣に出したのでありまして、その内容につきまして概略のことをここで御説明申上げたいと思います。御承知のように二十五年の五月の経済情勢によりまして、勧告案を去年の八月に内閣及び国会に出したわけであります。それから物価がだんだん上昇いたしまして、又勧告をしなければならないというような情勢になりましたものですから、今度の勧告をすることになつた次第でございます。それで私どもが考えております根本理念は、公務員には団体交渉権もありませんし、それから争議権もないのでありますから、その待遇については政府として十分に研究をし努力をしてこれがか実現を期さなくちやならんというわけでございます。それでこの公務員に対する給与というものは、昔……、とにかく旧憲法の時代とは変りまして、公務員が国民に対して奉仕をするのだ、その奉仕に対する謝礼として納税者たる国民が公務員に出す報酬が即ち俸給であるのだという建前でありますから、私どもがきめます数字は、公務員を満足さすと同時に、納税者にも成るほどといつて納得して、喜んでその給与を上げるというようなふうに適正なものでなくてはならんと思うのであります。それで適正というのはどういうところを狙いましたかと申しますと、公務員の平均給、或いは公務員の生活水準を国民の平均の生活水準に合わすということであつたら、これは公務員も満足しなくちやならんだろうし、それから納税者としても、争議権がない者を、その公務員の生活を国民平均より以下に置いてもいいという理論は成立たんだろうと思いますから、これは全部の国民に納得してもらえるものであろう。で国会は国民の代表者であるから、国会でも異議なくこれを了承してもらえるはずであろう。そういう考えの下に忠実に民間の給与を研究いたしまして、そうしてそれに合わすという方法をとつたのであります。 でこの前の給与をきめます場合には、実は一番上の十四級六号という一点をとり、それから下は十八歳の成年男子が国民と同じだけのカロリーを摂取する、生活をするのに幾ら要するかということを出しまして、この二点を結附けた曲線ですべてをきめたわけであつたのです。併し考えて見ますと、それは相当粗雑でありまして、もう少し合理的にやる必要があるということを感じたものでありますから、今度は各級別に、例えば三級はどういう仕事、四級はどういう仕事、五級はどういう仕事といつて、その職務別分析をしまして、そうして民間の同じような職務に従事しておる人を調べて、それの毎月きまつて得る収入と、それからボーナス的の、毎月きまつていない収入と、こう二つに分けて考えまして、そうしてその一つずつの合計を出したのであります。でこの合計は、無論曲線になりますが、その曲線を結附けて、最もこれに近似する曲線を見出そうと、でこれは前のと大分変りまして、複雑な操作であります。計算上は非常に複雑でありますが、これをやつたのぐあります。数字では最小自乗法と称する操作によりまして一つの曲線を作つたわけであります。ただそれですから今度のは忠実に民間の給与に従つたといつていいのであります。例によりまして十八歳の男子の生活が、国民の平均のカロリー摂取と同じだけのカロリーを摂取するのにはどれだけの費用がかかるだろうということを計算いたしまして、それは勤務地手当がない場所において四千二百円あればよろしいという計算が出たのであります。これは東京に直しますと、無論五千二百五十円かになるわけでございます。ですからそれよりも十八歳の男子については下げないようにという、一つの保障をとつたわけであります。それによつて曲線を作りましたのでありますが、この民間の給与の調査というものは、実は今年の三月の実績を調べたのであります。併しできるだけ最近の資料にしたいと思いまして、労働省あたりの毎月勤労統計その他によつて三月から五月までの給与の全産業の上昇度によつてこれを補正したのでありますから、簡単にはこれは五月の資料に、民間資料によるとお考え下さればいいのであります。そしてこれを切り換えますときには、私どもはこれは八月一日に遡つて実施してもらいたいという希望でございますから、七月末の公務員の給与の実態はどうなつておるかということを研究いたしまして、で七月末の現在でここに掲げてあります表によつて切り換えて行きますと幾らになるかということを出したのであります。それで、そうしますと国家公務員全体の総平均一万一千二百六十三円ということに相成つたのでございます。でいま少し詳しく申しますと、そのうちの俸給だけは平均が八千八百八十四円、一人当り八千八百八十四円となるのでございます。それから扶養手当が入つておりますが、この扶養手当は、民間の調査をして見ますと、余り変つておらないのでございます少し下り気味になるようでありますが、殆んど変つておりませんから、今まで通り妻は六百円、長子は六百円、それからあとが四百円、四百円というようなふうのものにいたしまして、それで結局扶養手当が平均いたしまして一人当り八百八十円ということに相成るのであります。それから勤務参地手当はこの前おきめになつたようなふうにこれを五段階といたしまして、そうして二五%、二〇%、一五%、一〇%、五%という五段階にしまして、そうしてその支給地域は、去る五月十七日に人事院が国会並びに内閣に勧告いたしましたものを採用するといたしますと、一人当り千二百四十九円となるのであります。それから特殊勤務手当は一人当り二百五十円ということにしたのでありますが、特殊勤務手当というものの中を細かく研究して見ますと、いろいろなものが混つておりますから、これは十分に研究いたしまして、種類別にもう少し分類して行きたいという気持がございます。そういうものを皆集めて見ますと、先刻申しましたように一万一千二百六十三円となるのであります。それでこの中には今申しましたような扶養手当とか勤務地手当、それから特殊勤務手当が入つております。併し超過勤務手当は入つておりません。それから又石炭手当、寒冷地手当といつたものも同じく含まれておらないのでございます。 それからこの前には年末手当といたしまして、それを支給することを勧告したのでございますが、今回はそういつたものを民間でどれだけ支給しているだろうか、毎月きまつた給料以外にボーナス的なものがどれだけあるであろうかといつて調べて見ますというと、一・四カ月ということが出て来るのでございます。主にこれは十二月に、それから少しを六月末、あとは又三ヵ月ぐらいで出すところもありますし、相当むらではありますが、総計いたしますと一・四カ月であります。これは私どもの勧告といたしましては、年間を通じて一ヵ月ということにしたのであります。なぜ一・四ヵ月を一ヵ月としたかと申しますと、これはどうも確定したものではありませんで、狂う場合が相当あるのでありますから、少し控え目にいたしまして一カ月ということにしたのでございます。それから奨励手当というものを今度こしらえることにいたしました。この奨励手当というのはどういうことかと申しますと、現業なんかで生産量がはつきりと測定で「きるものがたくさんある。これは普通の行政でありますと、監督とか指導とかいうふうなものでありますが、中には郵政、電通、その他アルコール工場とかいつたようなものがありまして、政府自体の手で生産をしているところがありますから、それでこれに対しては生産量がはつきり測定できるのであるから、奨励金を出したほうが能率増進上よろしいということを考えまして、これは予算の範囲内において能率増進をして節約をするのでありますから、それをどういう分配方法をするかというようなことは、ところどころ場所によつて違いましようから、おのおのその方式を現場で研究して、それを人事院と相談をして、そうして承認を得てこれを実施するという方法をとることにしたのであります。それから今申しましたような現業に属するもの、例えば郵政、電通、それからアルコール工場、印刷、造幣庁、そういつたようなものは監督でなくて、そのもの自体が生産に従事しているのでありますから、人の数が割合に多いのである。それからそれの監督者という者が少くて、従事する人が多いのでありまして、一生その生産に従事しておる。そうして監督者になるという人は少いのであるから、普通の行政とは性質を異にしております。そういう人の給与表というもの、俸給表というものは少し別にしたほうがよかろう。即ちそれに従事しておりますと、熟練によつて生産が増して行くのでありますから、最初のうちは割合に生産最が殖えますが、それからだんだん齢を重ねて行きますれば、その能率の上り方が割合に少い。併し永年そこに勤めておるのに工合がいいようにという意味からこれを別表にいたしました。こういつたものにつきましては今度急いで出しましたわけは、予算の中に早くこれを考慮してもらいたいという意味において勧告したのでございますから、こういうものをすつかり盛り込みまして、そうして法律改正で、又給与準則が間に合いましたら是非給与準則で行きたい。それが間に合わないようなことがあつたら、又給与準則にまで行かないかも知れませんが、それの意見の申出は追つてするということにいたしたのであります。大体そういつたようなことでございまして、御質問がございましたらお答えいたします。
○理事(加藤武徳君) 只今の御説明に対して御質問はございませんか。
○千葉信君 只今の御説明の中で、人事院としては取あえず急いで勧告したという言葉でございましたが、私ども今度の勧告の時期というのは、やつと補正予算の編成に遅ればせながら間に合つたというような程度で、従来の物価の上昇の状態からいいましても、又従つて公務員諸君の生計費の苦しい状態からいいましても、こんなに遅れて提出されて、而も取あえず急いで出したなどということをぬけぬけと言われる人事院の態度に私は最初に不満の意を表しながら質問に入りたいと思います。 先ほどのお話の中で先ず第一番にお尋ねいたしたいことは、人事院としては公務員の給与は国民が税金で以て負担しておるものであるから云々という言葉がございました。これは人事院として常に苦心されるところで、公務員の給与、は国民に公務員が提供したサービスに対する補償である、代償である。こういう立場から一方においては国民が納得するような給与でなければならない。国民が税によつて負担するものだからそういう行き方をとることが必要だと思う。こういうお話がありましたが、そのことについてお尋ねしたい。私は最近新聞を見ますると、いろいろ行政整理その他の問題に関連して、現在も日本国内においては、大体その公務員の家族を含んで、国民七・四人で一人の公務員並びにその家族を養つておる状態だ。これほど日本には公務員の数が多過ぎるというような、行政整理を遂行しようとするためのデマ宣言が相当濃厚に而も顕著に行われておる状態でございます。丁度そういうときに只今人事院のほうから公務員の給与なるものが国民の税金によつて負担されているというお話でございましたが、問題を一般職の職員に限つて考えて見ました場合に、一体人事院としては一般職の職員諸君に対する給与は、その職員の総数の何%程度が国民の税金によつて負担されているというふうにお考えになつておられるのか、その点を承わりたいと思います。若しくは又一般職の職員全部の俸給が国民の税金によつて負担されているとお考えになつておられるかどうか。その点を先ず明確にされたいと思います。
○説明員(山下興家君) 私どもはこの税金の問題、予算の問題については責任がないのでございますから明確なお答えはできません。但し私ども自身として考えておりますのは、これは赤字財政であるべきはずでなく、よく均衡がとれた財政であるはずだから、大体は、細かい点はどうか知りませんが、先ず大体納税によつてこれを賄うべきものだ、こう思つております。それの中がどれだけが何になるというようなことは、私どもの関係することではありませんから詳しいことはわかりません。
○千葉信君 公務員の給与自体が国民の税金によつて負担されておるものであるからということを常に口にされる人事院が、一般職の職員だけに限つて、一体どの程度国民の税負担によつてその給与が賄われているかということの明確な限界をつかんでおられないということは、私は非常に不思議だと思います。御承知の通りこの問題については、現在の行政整理を進めるための一つの方法として、一部の人々から盛んに流布、宣伝されておるところでありまするから、この際私はせめて人事院としては国民の税負担によつて賄われている一般職の職員はこれこれに限るんだということくらいこの際明確にされたいと思います。私どももこの点に関する見解としては、一応現在九十三万人の一般職の職員のうち、少くとも電通、郵政等の職員は税金の負担によつてその給与が賄われているのではない。これは御承知の通り特別会計になつておりまするし、而も郵便料にしても電話料にしても、或いは電報料にいたしましても、明らかにこういう国家施設に対する使用料という恰好で、税金ではない。こういう状態に対して明確に人事院としては態度をはつきりさしてもろう必要があるんではないか。今のように国民の税負担であるから、公務員の給与の決定にはこういう考え方が要るんだということを言われておる人事院としてその関係をもう少し明確にされる必要がこの際あるんではないか。この点について人事院に対して先ず要望いたしておきます。 それから次に質問申上げたいことは、この前の八千五十八円の人事院の勧告の当時には、十八歳の成年男子を基準として、その基準が二級一号になつて勧告された。ところが十二月に決定されました、いわゆる政府案によりますると、その基準が二級三号にずらされた。ところが今度は人事院自体が、政府原案で決定しました現在の給与法の考え方と同じに二級三号にその基準がずらされておる。こういうふうに基準をどしどしずらして行くということになりますと、一体その基準というものがどこに明確な基礎を置かれるかどうかということは、恐らく公務員諸君にとつてはこれは非常に不安に堪えない問題だろうと思います。この点についてなぜ二級三号に、曾つての政府案の考えに人事院の考えが移行されたかどうか。この点を承わつて置きたいと思います。
○説明員(山下興家君) 十八歳の男子を私どもは前に二級一号としました。政府は二級三号でなしに二級四号であります。なぜかというと、四号が二級の真ん中だからという意味において二級四号ということになつたのであります。当時は十分明確な資料がなかつたので、細かく調べて見ますと、やはり二級三号が現在においては十八歳に当るということになつたのであります。ただここでお断りして置きたいことは、この前の問題のときには二級一号であるか四号であるかということは非常に重要な問題でありました。なぜかというと、二点のうちの一点でありますから重要であります。今度は全く重要でないとは申しません。併し全般の給与について民間の平均をとりましてずつと引いて来たのでありますから、四級というところから引いて来ておるのでありますから、あとの二級三号にするのか、二級一号にするのかということは事実上殆んど問題にならなくなつたのであります。なぜかといいますと、その点は保障でありまして、殆んどあすこは平になつてしまう。四級、五級、殆んど平になつてしまうのでありますから、これは重要性においてがた落ちになつたのであります。ただ併し十八歳は独立生計を営むべき者であり、それはどれくらいな俸給、給与がないと国民の平均カロリーを摂取することができないかというような点で、その点では必要でありますから、それを調べたのであります。ただ民間の中には小使や何かありまして年を取つた人も相当その辺には入つておりますが、そういう者を除けても、やはり公務員と同じような年齢層を予定いたして見ますと、やはり民間も四千二百円で、我々が今出しました理論生計費として出したのと合致するのでございます。
○千葉信君 次にお尋ねしたいことは倍率の問題ですが、八千五十八円の勧告のときの人事院の倍率というのは、たしかその結論において七・五倍、政府案の場合には八・三倍というのが現行給与法における問題点でございます。この点について十八日の本会議の緊急質問の際に、曾つての政府原案に対して倍率が開き過ぎるといつて明確に反対された人事院が、今度の勧告では十倍強の倍率の勧告を行なつておる。現在の生活給という給与の状態の中では、上下の開きはそういう大きな倍率を持つべきでないといつて八・三倍の倍率に反対された人事院が、今度は十倍強の倍率の勧告をされておる。而もこの前の増額する分に対するだけの倍率の場合には、これは人事院案の場合には二十二倍強、而も今度は人事院自体が給与を増大する分だけの倍率は二十七倍という形に拡大されておる。而も浅井総裁はその私の質問に対してどう答えられたかというと、この前人事院では、おつしやる通り明らかにその倍率の増大ということについては反対いたしました。併し今度の勧告では上も下も給与を殖やしておるから、倍率が開いても差支えないという考え方で勧告したといつて満場の失笑を買つております。一体上も下も給与を増額するから、倍率はどんなに大きく開いても差支えないという人事院の考えはどういう理窟から来ておるか、その点を承わりたいと思います。
○説明員(山下興家君) この前は御指摘になりましたように我々の勧告は七・三倍でありました。それは二十五年の五月の民間調査によるのであります。ところが今度のは今年の五月の調査によるものであります。そこに一年の開きがある。今は御承知のように生活給から能率給に急速に変りつつあるのであります。それであの当時政府は給与というものはかくあるべきものだというようなイデオロギーによつてこれを変えたから私どもは反対したのであるけれども、私どもも給与は如何にあるべきかという普通の理論ならば、理論は持たないわけではない。併し今は生活給であつて、それで国民の平均のところに持つて行くということなら、国民は誰一人反対はしないであろうという立場に立つておりますから、この比率も民間の比率そつくりそのまま使つて我々が何らそこに理念を差挾まないでやつたら、これは国民も賛成してくれるであろう。こういう問題の中で、今は能率給がここに来ておるのだ、或いは生活給をここに持つて来るのだといつたような理念を差挾むと反対を唱えられる人がある虞れがあるから、それで我々のほうでは理念は除けて、そうしてとにかく現状をつかまえて、現状が十倍であるから十倍、それでとにかく国民に、納税者に賛成して頂きたいものだ、こういうものは差支えないと思うのであります。それで反対論が少しもないようにする目的を以て我々は一応理念を除けて、それで今度能率給に変つたら、又給与というものはかくあるべしということは又考えるかも知れませんが、それはそのときのことであります。
○千葉信君 只今山下さんの答弁された結論からいうと、これはもう明らかに人事院廃止論が飛出して来るのは当然だと思うのです。今の山下さんの御意見からいうと、自分たちは一定の識見なりイデオロギーを持つてこの前は勧告したけれども、今度の勧告の場合には、民間の給與の実態を調査して、自分たちのイデオロギーを一切捨てて、若しくは理想を一切捨てて、民間給與と同じ形に持つて行つたのだ、若し人事院がそういう態度をとつてよろしいということになれば、これは人事院は明らかに要らないという結論になるはずです。どこかで簡単に民間給與の実態を調査して、それと同率同条件の給與という恰好に持つて行けばそれでいいということの結論が出ると思います。 これは非公式に人事院から聞いた意見も今の山下さんの御答弁と同じで、今度の勧告案が出されている。それで私は今度のことについては非常に不満に堪えない。なぜかというと、これは人事院も口ぐせのように、人事院自体がそう主張するように、今度の勧告にも出ておりますけれども、政府は最大の雇用者として常に一般の模範でなければならない。そういう立場を政府としてはとらなければならないはずである。而もそういう給餌を、模範的な雇用者としての給與の支給の場合にはどういう考え方で進まなければならないかという一つの理想を持つ必要があると思うのです。従つてそういう立場からすれば、人事院がこういう最大の雇用者としての公務員に対する給與を決定する際には、民間給與の実態なり実情というものを把握して、それと余り均衡を失しないといつたのについても考慮をめぐらす一方、一体給與というものはどういう状態、どういう理想を持たなければならないか、どういう方向へ進まなければならないかということについての一定の識見なり理想なり、若しくは今山下人事官がおつしやつたように一定のイデオロギーというものを持つていなければならない。それを人事院は今度は、前には人事院としては一定の識見を以てこの前の倍率なるものを勧告したけれども、今度は民間給與の状態に応じて、そのイデオロギーを放棄して、民間給與の状態だけを取入れた。そうしてそのことによつて人事院としては、恐らくできるだけ人事院の勧告は通るということを狙われたという気持だけは、人事院の勧告が実現するという安易な途を狙われたということはわかりますけれども、併しそれによつてこの倍率の問題にしても、私は決して納得できないような恰好の、給與自体が低い生活給の水準の中で能率給的様相を帯びるという形になつてしまう。こういう点について私は人事院としては大きな責任があると思うけれども、将来の問題としても人事院は給與の問題等について最大の雇用者であるという国の立場を考えないで、又公務員の状態を考えないで、民間給與の状態だけに左右されるという今度の態度を持続されるおつもりであるかどうか、その点を御答弁承わりたいと思います。
○説明員(山下興家君) 給与については、この最小と最大の給与の比率というものは、相当重要な意味を持つということは十分我々も承知しているのであります。でこれはどういうふうな変遷をしますかというと、生活給の時分にはその比率は少いのであります。だんだん能率給になるに従つてこの比率が増して来る。これははつきりした事実であるのであります。それでこの一年間に民間の給与というものは相当な変化を来たしております。例えば今のボーナスの問題を見ましても、この前の調べのときには一カ月ちよつと少なかつたのであります。ところが今度は一・四ヵ月といつたようなことにもなり、ボーナスも殖える、それから最低と最高の比率もだんだん増して来ているのであります。これを見て初めて生活給から能率給に変りつつあるのだということが言えることであります。この前の我々の調査では七・三になつているのを、内閣で給与というものはそう少いはずのものではないのだ、もう少し比率を上げるべきだというこの理念の下にそれに手を著けられたから我々はそれで反対した。今度はそれが十倍ということが出て来た、十倍と出て来たけれども、それは少いからして十三倍にする十四倍にするということならば、それはもう私どもは反対する。なぜかというと、民間の実態をつかまえる、民間に従う、こういうことでないと、ここに理念を持つて来ますと、給与はかくあるべしといつて簡単なことを言つてもそれはいけない。で、そういう点もすべて民間の給与に倣うべきだという点は今まで通り、今までそうして来たのであります。但し今までの行き方は、数学的にいいますと多小安易の途を選んでおります。十四級六号と今の下のところと二点を等比級数で結び付けるということは数学的にいうと安易なことだと思います。今度は全部の点をとりまして、それが数学的に正しいという曲線を引いているのであります。これは私どもが如何に理念を持つておつたという……この実情から離れるということはいけないだろう。少くもインフレのときに給与ベースを上げようということを納税者に歎願する時期においてそういう理念を人事院が振廻すべき時期ではないと、こう思つております。
○千葉信君 いろいろ御答弁に不満の点もありますけれども、他の委員諸君も質疑を持つておられるようですから、一潟千里でそれに進みたいと思います。ただ只今の問題に関連してもう一つお尋ねしておきたいことは、人事院としては今度倍率の問題に関連して、従来の生活給から能率給の方向に転換しつつあるというお考えを持たれたということでありまするが、御承知のように現在一般消費者価格等は二割程度も上つておりますし、それから又御説明によりましても、今度の米価の値上り等も新しい給与水準の勧告の中には織り込まれておるということでありまするが、そういういろいろな消費物資、特に主食の値上り等を考えますと、今度の人事院の勧告による増額分というのは全く生活給としての範囲内における増額のようにしか私ども考えられませんが、一体能率給の要素を持つたものを民間給与が帯びているからといつて能率給の方向に移行されて行つた人事院の勧告が、その能率給に該当する分として職務の性質に応じていろいろ責任給であるとか、或いは繁雑に対する給与だとか、そういう意味の能率給的要素の因子としてどの程度今度の勧告に織り込まれたか、その点を承わりたいと思います。
○説明員(山下興家君) 私どもも千葉さんのおつしやるようにまだ生活給だと思つております。その意味は扶養手当があるということ、それから勤務地手当が存置されておるということ、こういうようなことはそれを証明するゆえんでありますから、能率給になつたとは申さないのであります。併しその比率の変り工合を見ますと、相当急激に比率が変つて来て、比率が増しておるという事実だけをつかまえて見ますと、なぜだろうかと、こういうと、どうも一般世の中は生活給からだんだんと離脱して来ておる。そうして能率給に向つて進みつつあるものだと私どもは解釈するよりほかに方法がないのであります。まだ併しこのほかに理由が何かあるかも知れませんが、大体そう思つておる。それでこれは先刻から申しましたようにたくさんの点を数学的に結び付けたのでありますから、この比率は何としても変えることもできんし、我々はただそれに従う以外に途はないのであります。それで能率給的色彩をほかにどう盛込んで来ておるかということになりますと、殆んどないのであります。ただ特にやつたとしますと奨励給が多少その色彩も持つだろう。即ち生産量によつて給与の分配をする。即ち現業に対してそういう方式をとつたことは、それ自身が多少能率給的色彩を持つておるのだというふうにも考えられるのであります。
○千葉信君 只今の御説明によると、能率給に移つて行くことについてどうしても必要ないろいろな理念というか方針というのが、只今の御答弁では非常に不明確なんですが、併しこれ以上この問題を論議してもいたしかたありませんから次の問題に入りますが、只今の御答弁の中で、能率給の一部というふうにお考えになつておられる奨励手当のこの項目に関する勧告を見ますと、「予算の範囲内において、」ということに相成つておりまして、そして又先ほどの大綱の説明におきましては、奨励手当はその職務若くは仕事の能率が挙つた場合にそれに対して支給するんだ、こういうことになつておりまするが、一体この奨励手当の因子は勿論これは給与ベースの中には含まれておりませんけれども、併しこうして勧告をされるということになれば、一体その因子をどういうふうにお考えになつておられるか。従来奨励費支出に該当するような給与が事務費の中から出されておることは往々あつたようで、この場合にはその仕事の能率が挙つたという立場から、事務費の中から何らかの方法が具体的にはとれただろうと思います。今度の人事院のこの奨励手当の予算の範囲内でというこの言葉は、人件費を指すものであるか、それともその仕事の能率が挙つた場合にその事務費の中から差繰つて給与の形、まあ給与ということは無理かも知れませんけれども、具体的にとられておつた従来の例に倣つて事務費のほうからという、そういう含みを持つておられるかどうか。この点を承わりたいと思います。
○説明員(山下興家君) この奨励給につきましては成るべく単位を小さくしたいと思つておるのであります。例えば電通なんかは黒字である、それから郵政は赤字であるといつたようなことが影響すると困りますから、そうではなくて、例えばここに十人なり二十人なり、三十人なりの或る一つの仕事がある、それによつて或る程度の生産ができておる。そういうのに、仮によその部局で人が減つて人が要るというのでここから何人か向うへ融通をしたというようなことがありますと、その元あつた人間からよそへ融通をした人だけは予算が余るじやないかという見方から、全体として如何に赤字であつてもその部局ずつで能率を挙げさえすれば、そこに従事している人は余分の給料をもらえるようにすべきだと私は思つております。併しこれは現場からいろいろな、これから先どういう組織にするかというようなものをその現場々々で立案しまして、そうして人事院とも相談があることと思いますから、今から予測はできませんが、私の気持は、或いは希望は、今私が申上げたようなものでございます。
○千葉信君 最後に一つお尋ねしたいことは地域給の問題でありまするけれども、それはさておいて、今度の別表の第五に附いておりまする特殊職員級別俸給表の中に大蔵関係、通産関係、郵政、電通関係が含まれておるようでありまするが、第十国会で参議院としての立場から全会一致で出ました結論によると、農林、厚生、建設省の各現業職員もこの特別俸給表を適用する必要があるということを政府のほうへ申し送つてありまするが、なぜそれらの三省の現業職員が除かれたか、この理由を承わりたいと思います。
○説明員(山下興家君) ここには電気通信省等と、等という字が入れてありまして、これに限定するわけではありません。ただこういう何といいますか、部類に属する人たちは、業態は相当広範囲にあると思うのであります。先刻申しましたように、監督とか指導とかいうのでなくて、実際に仕事をして行くと、そうして生産をするんだというこの人数が非常に殖えておつて、上の監督者の数は非常に少いというのは、これは業態としては又あるべきことである。そういうものをこれからもう少し研究いたしまして、成るべく包含したいとは思つております。併しただこういつても、この中のそれではどれだけの範囲にするのかという点も又ありますから、これはできるだけ搾つて、本当の理念に合うものを成るべく広い範囲において、そしてこの俸給表が適用するというのはどことどこかということを調べまして、これをもう少し増したいと実は思つております。
○千葉信君 それでは只今の御答弁からいいますと、この特別職員の級別俸給表の適用というのは、勧告の第一にもありまするように、只今の御答弁によつては、こういう現業職員に準ずる他の省の特殊な職員に対しても、人事院が指定するというふうに私ども了解していて差支えございませんですか。
○説明員(山下興家君) そういうふうに私どもは実は考えておるのであります。
○木下源吾君 まあ今日特別これは委員会が開かれたんですが、二、三ひとつお尋ねしておきますがね。この前の一月からの給与法の改正によつて支給されておるあれは人事院は反対である、反対であるということを口癖に言うておつたのですが、反対だというだけで、内閣に対して反対だということに対する具体的な申入れか意見書か何か、そんなものを出されたことがありますか。
○説明員(山下興家君) 何が反対だというのですか。
○木下源吾君 政府のこの前の給与法は人事院の勧告通りやつておらないのですよ。それで人事院は反対だということをしばしば委員会に言うておられるのだが、その反対だという意思表示か何か内閣におやりになりましたかというのです。
○説明員(山下興家君) 書いたものでも何でもないのでありますけれども、実は交渉がありました。内閣ではこういう原案で以て国会へ出したいんだというような内交渉はあつたのであります。併しその中で我々の希望を向うに入れてもらつたものもあります。それからどうしてもこちらの希望を入れないというものもありました。その中には今のような最小、最大の比率だとか、それから何か特別号俸の切下げとか、その他まあいろいろありました。併しそういうことは我々納得できませんとはつきり言いまして、併しそれでも国会へ出されようというならお出しなさい。私どもは国会で我々の所信を述べるということを口で申しました。
○木下源吾君 今回はどうですか。先例に鑑みてそういうことを釘を打つて置く必要があると思うんだが、そういうことをおやりにならなかつたのですか。
○説明員(山下興家君) これはまだ出したきりでありまして、内閣がどういう案を持つておるかということは全然わかりませんから、それでそれにつきましては我々が納得ができないものは納得ができないと言うだろうと思います。
○木下源吾君 これは全く符節を合したようにあなたのほうでは勧告をする、一方政府ではそんなものを歯牙にかけない振りをして、そうして今度千五百円又増額するんだというようなことをもう堂々と発表しておるんですね。人事院の勧告なんというものはあるかないか、そんなものなんか眼中にないという態度を示しておるんですな。こういうことについて何も言うて来ないというばかりでなく、ああいうような態度に対しては、やはり人事院が積極的に出て、私は所信を明らかにする必要があるんじやないか。その方法はまあどうあろうとも、合法的な方法で一つやる途があるんだと思うのです。人事院もお考えの通り新しい勧告を出すんだということを国会でも言うておるし、そうして勧告を出した。すぐ政府は同時に千五百円だけやるんだと、ちよつとその内容を調べて見れば、人事院では一般職、特別職に一ヵ年に三百六十何億円要るんだと、今度の勧告では要るんだと、ところが政府から言えば百八十億、而もこの下半期で九十億あればいい、半分のことだけよりやらないんだ、人事院なんかおかしなことを言いよるというような態度ですね。これでは人事院が公務員の利益を守つてやるということの建前から、やはりこの前もそういうような政府との関連があるんですから、今お話のようにあるんですから、もう機を逸せずに人事院として内閣に何らかの方法をとらるべきじやないかと、こう考えておるのですが、そういう点についてはどういうようにお考えになつておりますか。
○説明員(山下興家君) 衆議院の人事委員会へ管野副長官と私が出たところで、やはりそういうような質問が出ました。そのときに管野副長官は、千五百円とか何とかいうようなことは、あれはまあ新聞の話であつて、政府は絶対に関知しておらないのだととうお話がはつきりありました。なおその際人事院の今度の勧告は大変理論的でいいといつたようなことも話合つたわけでございます。それによりますと、人員整理の問題にしても、予算の問題にしても、まだ全く白紙だと、これから十分尊重をするんだというお話であつたのです。
○木下源吾君 併し補正予算についてはもう省議がまとまつておることは御承知でありましよう。数字まで新聞に出ておる。給与に関するものは九十億であるということが出ておるわけです。あなたのほうの計算から行けば百八十何億が要ることになるんです、これは。ところが一方九十億だといえば、半分だということがわかつておる。省議でもう決定しておる、大蔵省議で。これは今後どういうように最終的にはなるかどうか知りませんが、大体出す意思がない。そうすれば人事院が一生懸命になつてやつておられるだけだと、こういうことになる。責任から見るとおかしいですね。実際それでもかまわないんだと言うなら私はそれでもよろしいから、この前の新給与法のときにそういうように向うから言つて来た経緯もあり、あなたがたの話もあるならば、やはりそれは一つの慣例をなすものであるから、堂々と私は積極的に人事院から言つて行けばいいんだと思うのに歯痒いんだな。これは一つ御相談して何とか処置せぬと、相手は生きもので、皆人事院を頼りにしておるのですから、そういう者から見れば歯痒いから、何とか一つ処置をするようにお願いしたいんだが、何かそれについてお考えありませんですか。
○説明員(山下興家君) 実は私どものほうとしてはとり得る処置はできるだけとつておると思います。それは予算の当局者その他について細かな説明をしますし、その資料全部を提供して十分説明して了解をしてもらつておるわけです。その以上ファッショ的に何かこう抑える方法というものはちよつとないと思いますが、そうしてなお先刻申しましたように、これは内閣としては何らきまつておらんのだということを国会で言明しておられるのでありますから、それまでも疑つてかかるということはちよつとむずかしいのじやないかと思います。
○木下源吾君 どうも山下さんそれはちよつと、私はファッショ的な、何かやれというのじやない。相手がファッショ的なんです。そういう内閣に対しては人事院の性格は公明正大でやはり守らにやいかん。こちらから何もファッショ的に出る必要はない、守る程度のことはやらにやいかん。こういうふうに私は希望を述べておきます。大体そうして政府のやつておる給与体系というものは、この前は人事院の勧告とどこか偶然に一致したところがあるくらいのところをいつておりましたが、あの態度はまさに私人事院の存立のつまり意義を無視し、そうして給与というものを民主的にやるということを無視して、そうして一方的に押しつけたというような態度なことは御承知の通りなんです。今度の勧告を見ますると、いわゆる特別手当であるとか或いは奨励手当であるとかいうものは、能率給といえばそれは能率給のようなものであろうか知らんけれども、やつぱりこれは雇用者の独断的な意思によつて左右される封建的な一つの要素です。手当ですよ。だから人事院は政府に屈服したように見える、我々が具体的な事実から見ると。これでは人事院の存立の意義が私は全く疑われるのも無理じやないのじやないか、こういうように考えられるのですが、こういう点についてはどういうようにお考えになつておりますか。
○説明員(山下興家君) 政府に屈服をしたようだとおつしやるのはどの点でございましようか。私どもは屈服した覚えは一つもないのであります。
○木下源吾君 賞与だとかいろいろそういうようなつまり恩恵給だな。計算がつまり民主的に科学的に出て行くところの給与ではなく、予算を持つておるものが一方的に自分できめ得られるようなそういうようなまぎらわしい手当です。それは本質はやはりファッショ的な、そうして封建的なような性格を持つたものだと私は思うのです。
○説明員(山下興家君) その点は大分根本的に私の考えと違うと思いますが、例えばここにこれだけの人の中で一トンなら一トンの品物を作れた、ところがトンを仮に作るのにそれじや二倍の労力を使わなくちやならんかということであれば、これは問題なんであつて、人間が頭を使いますと、労力それ自身は増さんでも、二倍の生産は簡単にできるというようなことがあるとき、二倍の給料を仮にみんなに分けてやる、それがどうしてファッショになるか、私にはわからない。それでこそ初めて文化的であり、能率的な作業をすることができるのでありますから、仕事それ自身はそう簡単に二倍したから労力は二倍使つたのだというようなことは私どもはそうは思わないのであります。
○木下源吾君 あなたのおつしやることであるならば、今の六月十一日に特別手当をやるというのは、そういう計算の下に出て来るわけですか。
○説明員(山下興家君) これは違います。これは日本ではやつぱり暮というものは、生活給の季節的変動を見ても、十二月には非常に金がたくさん要つているのであります。それに今度は六月にも多少要ります。そういつた習慣性があるのを、やはりどこまでも毎月同じ給料を支払うべきかどうかということについては、多少疑問が私どもあるのであります。それでこの前やつばり年末には十三回払といつたことにして、とにかく労働の対価ではあるのだ。これは何も恩恵を政府から受けるわけでも何でもないのだ。ただ支給方法が必要なときに必要なだけたくさん支給したほうが工合がいいのだろう。たくさんな給料をもらつているときには毎月貯蓄して、それで十二月なり六月なりに払えばいいのだけれども、なかなかそれだけの余裕が今ないのだ。それだからそれを六月と十二月に分けてもらうということのほうが便利なんだ。そう思うのであります。併しそれは決して政府から恩恵的に受けておる金とは私は思わない。やはり労働対価として、労働の評価だけの問題だと思つております。
○木下源吾君 それならば生活慣習なんということは使わんがよろしいですね。古い慣習を今破ろうとしておつて人事院ができておるわけなんです。生活慣習に従つてやるというようなことは、私はこれは余計なことだと思う。それよりももつと明確に労働の対価というものを科学的に出して、そうして堂々と出されたらよろしい。こう考えます。 まあそれはそれとして次に国鉄の先般の調停の何は御承知の通りでありますが、今回の勧告は公共企業体に関してはどういうような関連性を持つて考えられたですか。
○説明員(山下興家君) 国鉄のことにつきましては私どもは考えておりません。併し若しも国鉄が国家公務員と同じように、こちらの勧告と同じような線に沿うて同じだけ増加するものと仮定すると幾ら国費が要るだろうかということの概算はして見ました。それは間違つておるかも知れませんけれども、政府としては十二カ月分といたしまして、政府自体としては三百六十二億要る、国鉄は百六十二億、専売は十四億五千万円、それだけ要るだろうと推定したわけでございます。それで国鉄がどうせられようとも、そういうことは私ども関係するところではないのであります。
○木下源吾君 民間給与を重要視しておられるのですが、私はやはり公共企業体の給与も人事院では相当関心を持たにやいかんのじやないかとこう思うのです。こういう点については、そういうものは関係しないほうがいいという何か根拠があるのですか。
○説明員(山下興家君) それは国家公務員法によつて我々は制限を受けておりますから、そこまでも勧告をするということはできないと思います。
○木下源吾君 勧告ではなく、勧告をきめる際に国鉄の給与の状況等ですな。
○説明員(山下興家君) それは大体において国鉄も国家公務員と同じであつてもいいのじやないかとは私は思つておるのでありますけれども、それまで口を出すだけの権限は持ちません。この辺でお許しを願います。
○木下源吾君 実は権限の問題を言つておるのではなく、それは触れてはちよつと工合が悪いかも知れませんが、公務員と国鉄と両方ながら実質賃金の切下の競争をやつておるような恰好になつておる、実際においては。これは何と言おうともそういうことになつておる。そこで私はやはり人事院としても、公務員の勧告の場合には十分私は関係を持たして、そうしてやるべきだと、私はそう考えておる。併し公務員としてはそんなものに関係せんほうがいいというのならそれでよろしいです。併しながらやはり国鉄の調停では相当な資料を以て、その資料というのは大体あなたがたが使う資料、そういうものを以て調査の結果、やはり調停額というものが私は出ておるものだ、こういうように考えておるわけなんです。で国鉄の場合と政府の場合とはそう違うものではなかろう、こういうように考えておるのです。従つてそういうものには全然関係しない、そういうものの調査の方法には関係はないからというなら別ですけれども、当り前に考えるものは、これは調停委員会だつてただいい加減に勘で調停を出しておるんではないということぐらいはわかるだろうと思う。ですから同じやはり予算上、資金上では大蔵大臣の権限内にある公共企業体でありますので、相当人事院はやはり国鉄の場合の給与の問題については常に関心を寄せて、そうして公務員の給与の勧告に対してもそれらについて関心を持たなければいかんのじやないか、こういうように考えておるわけです。
○説明員(山下興家君) ちよつと一言……今の問題でございますが、私どもは資料は決して秘密にいたしません。全部に、全部といつても紙の費用が大変かかりますし、なかなか費用の問題がありますけれども、例えば国鉄の関係の人たちとか、そういうような特殊な人の要求によりましてはすべての資料を出すのであります。そうしてその資料によりまして誰が計算しても同じような答えが出るようにしようというので、その理論から何から皆大変大きなものでありますが、ここにももうすでにお配りしてあると思うのですが、そういうものを十分御利用願えると無駄な骨折りを省くことができる、こういうように思うのであります。
○木下源吾君 今度の勧告は八月一日から実施するようにという、こういう勧告ですが、政府は十月というような、これもまだ嘘か本当かわかりませんが、そういうことを言つておるのですが、仮に十月一日とすれば、八月との切替えの際にどのくらいの差額があるかというような予想がわかりますか。
○説明員(山下興家君) これはこういうふうになつております。我々の切替えは七月末現在で切替えたとしたらこうなるという答えをしたわけです。それはどこから出たかといいますと、調査が五月でありますから、五月末で切替えたとしたらこうなるというのが先ず出るわけです。それから後昇給とか何とか号俸が変つて来ておりますから、それは七月に切替えればそうなる。仮に十月ということであの切替表を作つて行きまして、それが十月で切替えますと、この総額は殖えますけれども、それを遡及しなかつたというだけでありまして、七月末に切替えて、それから後昇給があつて、十月なら十月にどうなつているかという姿が出て来るわけです。併しあの切替表を変えてしまいますとこれは別問題です。
○木下源吾君 その変えない場合ですね、大体十月、九月三十日の切替えでやるならばどういうような数字が出て来るか、総額から推して出て来るかということは、まあ大体予想がつくんじやないか。
○説明員(山下興家君) それはどうもちよつとすつかり研究しまして、カーブを引いてでないと申上げかねるのでありますけれども、大体の見当としますと、これが五月末実行をしたものを七月末までにこれを繰延ばした場合に、殖えたのがたしか三、四%だつたと思うのであります。それですから七月から八、九と九月末になる時分には余り殖え方が違わないのじやないか、そういうふうに思つております。必要があれば詳しく申上げます。
○木下源吾君 そうしますと、三、四%でも五%でもよろしいが、十月の場合に、政府がやるというような場合には、人事院との勧告とは違つて来る。これは実際に公務員ではそれだけの損をするわけです、一口に言えば。こういう問題については何か人事院は考えておられますか。
○説明員(山下興家君) 私どものほうは八月一日から実行を切望しておるわけでありまして、それが国会にかかつて、どうしても八月にできないから十月だ、何月だということは、これは予算だけの関係であろうと思いますから、それは国会でそれを国民の代表として御判断願うよりほかに方法がないのでありまして、それまでこつちはどうすることもできないのです。どうかよろしくお願いいたします。
○木下源吾君 よろしくお願いするならもつと早くお出し願わなければだめなのです。御承知のように今度は十月中頃でなければ国会を開けないことになると思う、これは御承知の通りだと思います。今講和に皆出かけてしまつて、国会というものはその間開かれない。八月一日からやれと言つたつて、これくらいのことはやはり人事院は考えなければならないのじやないかと思うのだな。そのときに給與は遡つてやらないのだというようなことなら、みすみす泥棒に取られたようなものであります。(笑声)その手先を人事院がやつておるものだから……。
○説明員(山下興家君) それは十月にお開きになつても、そのときにこれは七月末切替えて八月から遡及するのだというようなことをおきめになつたらそれは遡及ができるわけでありますから、何も十月に開かれるから八月に遡及できんというわけじやないわけです。
○木下源吾君 地域給で御質問しますが、どうですか地域給は……。人事院はもうなかなか骨が折れておるだろうし、国会議員も相当これは骨が折れておるのですよ。そこでこの間この委員会では各派皆でもう一遍一つ人事院何とかしたらどうかということを申入れたわけであります。今度の勧告を見ますと、五月十七日にあの勧告が通つたというように書いてある。あの通りにやると、これはまあ人事院が考えておられることでありましようが、大体地域差が少くなつて、そうすればまあだんだんこれをなくするのだということを言われておるのですが、なくするたびに実質のつまり基本給が減らされるようなことが、危険性が非常に多いのですよ。そこで私はなくする前に先ず一つ全国的に公務員のおるところへ一律に一つぐんと皆やつたら一番解決が早いのじやないかというように、こういうように考えるのですが、どうも不合理なものにいつまでも頭を悩しておるというよりも、一律に、まあ多少は率は変つてもよろしいが、公務員がおるところは一つ全国的にやつたらどうか。という理由は、もはや設定せられた当時の事情と経済事情は違つて来ておる。当時は統制、マル公の時代で、闇が高く実効価格というものが出て、而もそれが都市において実効価格が高いのだというようなのが実態なのです。今日は実効価格というものは極めてその当時と逆になつて来ておる。而も現内閣の政策、自由経済政策、これを一口に言えば、もうおわかりのように、田舎へ行けば行くほど高くなる。従来とはもう逆な現象になつておりますから、少しここでやはりそういう実情に即するように、これは思切つて全部公務員のおるところへ一つ地域給をつける。多少今度は逆になつて遠いほうが余計になるかも知れない。田舎のほうは多少の等差をつけておくのもよいが、そうして一遍やり直したらどうか。この本給にみんな繰入れるのです、その次には……。そうしたほうが理窟でも合うし、やりいいんじやないか。今の場合だつたらば人事院もどこも、国会議員も仕事にも何にもならないだろうと思う。それでいいなら、頼まれればはいはいと言つておつても、やつぱり確信のないことを言つておつても、これは良心のある者は誠に困つたことであろうと思う。そういう点についてどういうふうに考えておられるか。
○理事(加藤武徳君) 人事官の御答弁を頂きます前に、新給与の問題につきましてはほかに御質問は、ございませんか。紅露さんは地域給ですね。
○紅露みつ君 そうです。
○木下源吾君 この地域給は勧告についてです。
○理事(加藤武徳君) 勧告に関連しての地域給ですね。
○木下源吾君 いや、やはり地域給も勧告の中に入つております。
○理事(加藤武徳君) 新給与と関連しての地域給と判断してよろしゆうございますね。千葉さんの先ほどのお話はプロパーな地域給の問題ですか、それとも新給与と関係のある問題でありますか……。 それでは地域給と離すということでなくてこの新給与の勧告と併せて地域給のことについても議題を進めて行くということでよろしゆうございますか……。それでは山下人事官。
○説明員(山下興家君) 勤務地手当については誠に不合理なもので、ございまして、御承知のように数年前までは地域によつて給与が違つておるというようなことはなかつたのでありますが、インフレになつてから余りみんなの給与を上げるわけには行かんから、地域給といつたようなものでごまかした、ごまかすということはないが、まあ或る程度それを糊塗したわけであつたんです。もうこうなつて来ますと、今度は都会の物価とそれから田舎の物価は、前には非常に開いておつたのがだんだん接近して来まして或る程度の差はありますが、もうこれから先きれいに一緒になるということはないんだろう。先ずこれで大体のところ輸送設備や何かが改善されてこれ以上は接近しないだろうと思う。それで一方考えて見ますというと、勤務地手当というものがあるがために転勤が非常に困難になつたり、一例を申しますと、この間も東京の大学の先生が千葉の研究所へ転勤になつたら、一遍に給料が下つちやつたと、そうして行くのには電車賃なんか余分に要るしどうも困ると、もうそういうことは至るところにあるのですから、この勤務地手当ほど悪いものはないから、あれはできるだけ早く取払いたいと私どもも思つておるのです。それは木下さんのおつしやる通りでございますが、ただそうかといつて、今二割五分ぱつと切つてしまつたらそれでいいかというと、それでは今喰べられないという状態になるわけでございますから、木下さんのお説のように全部二割五分をつけましてそうしてこれは皆本給に繰入れると、こう一遍やれば地域給はなくなるんでございますが、それが一番いい方法であると思いますが、それには大体一人当り千円かかるようでございます。その千円が出るか出ないかということでございまして、千円が出れば一遍に行けるし、半分ぐらいしか出なければ、まあ半分ぐらい残すというような方法をとるよりほかにないのでございます。で、そうなつて来てきれいに取払つたら、今度は初めて給与というものが給与のあるべき姿になるのでございますから、一日も早くそういうことになるように私どものほうとしては希望するわけでございます。どうぞ国会でもよろしくその点をお願いいたします。
○木下源吾君 もう一点だけ………。それにしても私の言つておるのは、今の不合理を現実に是正しなければならん問題なんです。不均衡を、一口に言えば……、今も陳情に今日来ておるのだがな。大阪の周辺の衛星都市と東京の周辺の衛生都市、こういうものの不合理ですね、この不合理を何とかせんと、一番政治でも悪いんです、不均衡は、不公平は……。ですからこれは何とかしてこれを一日も早く直してしまう。根本的な問題は別としまして、今のようになかなかあんたのおつしやるように千円の金がないからだめだと言われるか知らんが、このことについて人事院は一段と努力をしてもらわなければならんが、差当り何か考えておりませんか。
○説明員(山下興家君) これは御承知のように前には科学的に研究いたしませんで、各地との折衝や何かで昔はやつておつたんです。現在の地域給はそういう状態であるのです。これが如何にも不合理だから何とかしたいというので一年半ぐらい前からC・P・Sや何か調べて、そうして新たな態勢を整えてこれを実行しようと思つたら、下ることがあるからなかなか工合が悪いというので、この前の八千五十八円のベースのときにさあ一緒にやろうと思つたら、今度は内閣のほうでは、今の三段階から五%切つたところで予算配分してあるから、今はそれはできないということで、二十六年度の予算に延ばされたわけです。延ばされたら今度は離れるから、やはり今までもらつておるのを出さなくちやいけないという話になつて、これも困つた、困つたあげくこの前のように下るのはないので、上るのだけやつて行く、それでもどうせしまいには一緒に二五%によつて切下げるのだから、まあ進む途ではある、反対の途ではないから、多少不合理ではあるけれどもまあまあ下げないで上げるだけだ。多少上げておこうというので勧告をしたわけだつた。あれをまだ実行……、やつていないわけです。それですから長年かけて研究して何千万円の金を使つてあるのに、又やり変えるというのであると参つてしまうのでありますから、まあいい加減のところで、どうせぼろ着物で、こつちを修繕すればこつちが破れるというわけですから、きれいに捨ててしまうことを早くしたい。それまでの間まあ少し我慢を願いたいということなのでございますがね。
○木下源吾君 これは要望しておきますが、先般この委員会が全会一致を以て申入れをしたことについては、これは人事院でも十分一つ御考慮して頂きたい。その努力をやつて頂きたい。こういうように要望しておきます。
○紅露みつ君 大体地域給のことでは、何かわかつたようなわからないような御答弁で済みそうでございますけれども、そんなような簡単な御説明ではこれは済まされないのではないかと思います。けれどもその事情からお立場はよくわかる。定めしお困りになるだろうと思う。私どももいろいろ陳情を受けて困つておるのだから、それから推しまして定めしお困りであろうと存じます。どうもこれはぼろ着物で、一方につぎを当てると、一方から破れるんだから暫く我慢せいと言う。そんな行き方は人事院としてとるべき態度じやないように思うのですが、むずかしいことはわかりますけれども、むずかしいからどうにもならないと言うなら、それに対する代案を考えておかなくちやならない。二割五分切つてしまえば、今までその支給を受けていた者は生活ができないと言われますけれども、それは二割五分もらつていた人はそうでありましようけれども、非常に不公平な取扱いを受けていた者については、そういう者から考えますと、是非これはつけてもらわなければならんという主張が当然なされるだろうと思います。近頃になつて、最近物価の変動がないからと言われますけれども、勧告がなされました、この前の勧告後の変動を言うておるのではないのです。あの勧告までの、あれ自体が非常に不合理だ、不公平だ、だから是正してくれということなんですから、どうも人事官の言われることはちよつと納得がしかねる。で非常に簡単に片付けていられますけれども、この問題はもうお互いに承知しておりまするように全国的に起つておる問題でございましてなかなかそんなふうにほほかむりで通しおおせないと私は思うのであります。ですからもうちよつと何か考えておられることもあるだろうと思うのですが、もう少し納得の行くような御答弁がこの席で伺いたいと思うのです。
○説明員(山下興家君) これはどうも困りましたのですが、今の三段階で、三段階それ自身もおかしいし、その三段階の地域給、地域それ自身も変で、余り激しいからそれは何とか訂正をしたいというので、先刻申しましたように一年半前から何とかしてこれを合理的にやろうというので、例の三百八十都市を選んで、その特別C・P・Sから何から全国的に動員をして毎日々々それに苦しめられて来たわけであつたのです。それは現在の三段階よりはよほどいいと思うのであります。その改正案もだめじやないかと言われると、それは合理的に行きません。なかなか幾ら経つても、これは何年研究しても合理的に、これなら合理的だというわけには行かないから、もうそんなものは早く捨てたいと思うという泣言を私は言つておるだけでございまして、決して今まで努力しなかつたのではなくて今までこんなに努力した問題は恐らくないのであります。何千万円ほど使つておる。そしてこれは各府県へお願いして全部、まあ申しますように三百八十都市は、これは統計局にお願いして順位を付けて、その後は皆各府県で順位を付けて下さいといつて順位を付けて、その間に挾み込んで、これなら何とかうまく行くだろうといつて考えたのが今の案なんです。ですからそれもだめだと言われると、もうちよつと立つ瀬がないくらいに苦しい状態なんであります。
○紅露みつ君 人事官はこれまでもその苦しい立場はよくわかり、それから努力していられることは私どもは認めないというのじやありません。だけれどもどんなに努力してもそんな不合理は困るじやありませんか。どうですか。それからいつも言われるように絶えず研究をしていられる。それから陳情についても請願についても、各地方から出る不合理な点についての是正要求については研究を進めていると言われるのですが、一体そのままの勧告を、又これを押し通すというのでしたら、何を一体研究をしていられましたか、その後……。これを伺いたい。絶えず研究をしていた、そうして資料については決して拒否しませんからどんどん出して下さい、研究をいたしますと。何を研究していられたかちよつとわからん。その点を一つ釈明して欲しい。
○説明員(山下興家君) 実際地域給で我々が苦しめられておるのは、毎日もう随分な時間でございます。あなたがたも随分お苦しみになつておる立場も承知しておるのでございます。そうして研究しておることも確かでございます。資料を以て研究しておるのでございます。但し勧告いたしましたのは、給与のベース・アップに対する勧告をしたのは、先刻申しましたように先ず先に手を打つのだ。それから今度はそれについて意見の申出をあとからするのだと、こう申したのであります。で結局えらい大きな変化がありますと、これは予算に随分大きな影響がありましようけれども、まあそれほどでなくても、何とか少しぐらいなことならできるかも知れんと思つて今それを研究しておるのでありまして、それが間に合うように、若しも出すのがあつたら最後には出そうとは思つておるのでありますけれども、まあこの辺で一つお許しを願いたいと思います。
○紅露みつ君 了承々々。
○千葉信君 そうしますと、只今の御答弁の中から私ども勧告の第八号で見ますと、新給与法の改正については追つてその法律案に関して意見を提出する、これは丁度去年の八月の勧告に対して九月に法律案の意見の申出がございました。その意見の申出の中で地域給に関しては別に法律でこれをきめる、こういうふうにこの法律案の勧告があつたわけです。今度の勧告にも符節を合せるように、只今の御答弁と符節を合せるようにこの法律の修正については、改正については近く意見の申出を行うことをここに申入れる。この勧告の第八号による意見の申出という中には、具体的には地域給等の支給区分等の改訂も含まれておるか、それとも他に又この意見について何か具体的におよそ只今仮にでも見通しが立つておる事項がありましたらこの際できるだけ明らかにして欲しい。
○説明員(山下興家君) この前意見を申出るときに地域給について勧告をするようにということがありました。それで勧告したわけでございます。一応済んでおることと思うのであります。ただ勧告の修正がどうかというだけの今の問題でありまして、必ずしもこのベース・アップの意見の申出のときに同時にしなくちやならない問題でもないと思うのであります。若し訂正すべきものがあれば勧告の追加してでもいいのじやないかと思います。
○千葉信君 それから関連しての質問ですが、昨年の九月の法律改正の意見の中で、初めて地域給の決定は別にこれを法律できめるという形で、国会で最終決定をしたほうがいいという意見が人事院から出たわけです。政府の原案も又これに従つて地域給の支給区分等の決定についてはやはり同様に、その意見書の通りに法律で別にこれをきめる、こういうことになりながらとうとう今日まで地域給の決定が行われないでしまつた。そこで政府としては今度の法律案の改正の意見書の中で、地域給の改訂については人事院の指令によるという形で、つまり法律によつてきめるということを放棄してしまつて、人事院でこれをきめるというふうに変える御意思があるかないか。その点を承わりたいと思います。
○説明員(山下興家君) 只今のところそういう意思はありません。併し法律でそうおきめになれば又それでも結構でございますけれども、今のところそういう法律を改正してもらおうという意思はないようでございます。
○千葉信君 それから先ほど木下委員の質問に答えて、地域給の問題についての今後の見通しなり御意見のようなものが山下人事官から言われたようでありますが、あれは私はどうもまだ人事院として具体的にいろいろ審議されたり御相談されたりした御意見ではなくて、山下人事官個人の意見に過ぎない程度の状態ではないか、こういうふうに私ども実はさつきお話を承わつていて考えたわけなのです。そういう意味は、先ほど山下人事官は地域給の改訂についてはもう過去一年半以上も非常に努力したけれども、今のような状態に陥つて非常に困つておる。努力の割に成果が報われないということを歎かれましたけれども、この地域給の決定が今日のように荏苒として決定されずに放置されたということの大きな責任は、勿論事務的には人事院当局の努力は私どもよくわかつておりまするけれども、併しながらやはり人事院には大きなミスがあつた、人事院に大きな過誤があつた。それはどういう点かというと、これは昨年の第九臨時国会の開催以前に、人事院のほうから法律案に関する意見が提出されました後に、地域給の改正については国会の始まる以前に支給区分等の勧告を行え、こういうことをしばしば人事院に要求したし、人事院も又できるだけ臨時国会の以前に提出すると言つておりながら、とうとう第九国会でも、又第十国会の十二月下旬に至つてもとうとうなされない、そうしてやつと第十国会の末期に至つてから、渋々と人事院から地域給の勧告がなされた。こういう人事院の怠慢のためにこの問題が暗礁に乗り上げたことは、これは又私から申上げるまでもなく、人事院自体としても恐らく十分に反省されている点だろうと思うのです。従つてそういう点から行けば、地域給の問題が今日のような状態であるということについては、当然これは人事院として十分考えてもらわなくちやならない。 それからもう一つの問題は、先ほど地域給の問題と関連して人事行政上いろいろ不利や不便が起つている。こういうことについて成るほど地域給の決定が非常にむずかしいし、そうして又そういう人事行政上の問題も起つて来るからという理由や、或いは非常にその合理的な決定ということがむずかしいということのために、山下さん自身の御答弁の中では、成るべく地域給のようなものを早くなくしたほうがいいという御意見がありましたが、これは私ちよつと納得できない点だと思うのです。それは先ほども給与ベースの勧告の問題についてお話がありましたように、特に能率給或いは生活給という問題についていろいろお話がありましたけれども、併し何と言つても現在の公務員諸君の給与の水準というのは飽くまでも非常に低い生活給の段階である。従つてこういう生活給の段階の中で、俸給の幅を拡大するということは、ますます下級公務員諸君にとつて生活の苦しい状態をそのまま放置する状態だ。そうして一方だけが能率給的な傾向を帯びるために一方的な恩恵をこうむつているという状態なんです。従つてこういうふうな生活給という要素の中では、おつしやる通りに扶養家族手当にしても、或いは又その他の勤務地手当にいたしましても、特殊勤務手当にしても、どうしてもそういう生活給であるために救済する措置が必要だ。そういう恰好の中でこの勤務地手当が支給されているわけでありますから、若しこれを勤務地手当のようなものを固守せられるということならば、勤務地手当だけに限つた問題ではなく、その他の生活給としての給与の全般として問題を解決する方向に持つて行かなければならない。そうなれば、先ほど具体的には一千円とか幾らというお話が出ましたけれども、そういう生活給という問題から能率給の方向に持つて行くためには、そうして又こういう派生的な救済の給与というものをなくするというためには、少くとも相当な金額というものがこの際考えられなくちやならない、つまり理想的な形の能率給ということは、少くとも公務員諸君が現在のように八〇%以上もその給与の中から食糧費に支出するというような格好になつてはいけない。四〇%乃至三五%程度を食糧費に支出し、その他の分を保健衛生費であるとか、衣料費であるとか、住居費であるとか、そういう方面に消費できるような給料の水準でなくちやならん。そうなれば、これは私ども概算的に考えても少くとも千円や二千円ではなくて、現在の給与から一万八千円くらいのべースに持つて行つたときに、初めていろいろな生活給としての救済措置である特殊勤務地手当或いは家族手当、或いは地域手当というものをなくしてもいいという、そういう考え方にしなくちやいけない。その意味もありまして、特殊勤務手当だけを切離して解決するというだけで、問題がむずかしいからといつてそういう方向に一挙に進むことは非常に危険な問題だと思う。そういうふうに私ども考えておるわけであります。従つてそういう点から行けば、先ほどの人事行政上いろいろ地域給があるということのために支障が生じて来ている。こういう状態は一にかかつて人事院自体が地域給の支給区分等の勧告について合理的でないものを含んでいるからだ。若しどこまでも、誰が聞いても、誰が分析しても納得のできるような合理的な科学的な基礎に立つて地域給の支給区分等を研究し勧告されれば、そういう人事交流上の問題なんかも起らないし、その地域給は或る程度スムースに解決できると思う。それを人事院が殊更にこの前の勧告なんかでは、給与政策というものと価格をくつつけて見たために不合理であるという声が、そういう給与政策の対象から漏れた地域から起つて来ている。従つてそういう人事行政上のいろいろの支障や困難というものは、地域給を合理的に決定しないから起つて来る。そうして而も地域給の問題についてさつき一律に幾らかの金額を増額してやれば問題は解決するというようなお話でありましたけれども、その点については現在の生活給の段階では到底賛成できないということ。 それからもう一つは、現在のようにこういう低い生活給の水準の中では、やはり何と言つても或る程度地域的に、物価の高低がはつきりあるという段階では、山下さんのさつきのような御意見は非常に危険ではないかと、こう私は考えるわけであります。従つて先ほどの山下さんの地域給の将来に対する御意見は、これは人事院としての御意見が、山下さん独断の御意見か、この際一応明らかに承わつておきたいと思います。
○説明員(山下興家君) 勤務地手当とまあ称しますが、勤務地で何も生活するわけではないのでありますから、やかましく言えば住居地の手当でなくちやならんわけです。ところが実際問題としてそれはできないのであります。それはなぜかというと、例えば或る人がどこかに下宿しておつて、それが変つたらそれを一々整理して、どこにおつたか、物価の二割高いところにおつたか、安いところにおつたかということは、これは調べることは到底できない状態です。それ一つ考えても勤務地手当なるものが如何に不合理であるかということはわかるわけです。なお更に橋一つ越えたら俸給が一割違うなんというようなこともおかしな話でありますから、根本的に地域給なるものはやめるべきものだ。どうしてやめるかといえば、インフレで以てお金が高くかかつても……、そういう逃道でなしに、全般に対して給与のベースをうんと上げて行きさえすればよかつたんですが、全部上げて行くのにはお金がかかり過ぎるから、先ず食うだけの高くかかるだけは余分に払えという地域給を生み出したことなんです。生み出したときには楽でありましたけれども、これを取去るのは並み大抵の仕事ではない。というのはこの種の給与のやりかたを今まで経験しております、例えば満鉄とかその他の状況を考えて見ても明らかなわけであります。それでとにかくここに千円なら千円お金があれば、地域給を取払つて、そうしてあとから民間とのバランスで以て給与ベースを上げるなり下げるなりそのことをやるわけなんです。そういうことができたら誠に都合がいいということは、私はこれは人事院として人事院会議にかけたり、聞いたこともないのでありますが、恐らく誰も反対を唱える人はないと思います。なぜかというと、給与というものはそうあるべきものなんだから。だけれどもこの地域給を早く捨てなかつたからこんなことになつたんだ。これは人事院の責任だと言われますのは少々困るのでありまして、これはこの前も申しましたように、この地域差を多少でもよくして行くのは、今までもらつておつたものを吐き出すのじや困るから、それだから給与ベースが変るときに同時に実行しよう、同時に実行すればたくさん上るのがあり、少く上るのがある。すべてのものが上るので、自分のものから吐き出すのでなくて整理ができるというのを狙つておつたのであります。だから先刻申しましたように一年半もそれが遅れたということになる。ところがこの一月から実施になりましたから、ベース・アップが実施になつたから、あのときだと思つたけれども、あのときは内閣との話合いでは、もうすでに今の三段階から全部五%ずつ取払つて、それで予算を組んで各省に渡してしまつてあるから、この際上げたり下げたりいろいろいじられると予算措置上、事務上どうしても不可能な問題だから、これを二十六年度の予算にしてもらいたいということであつたんで、不可能なら仕方がないからそれで延ばしたわけでした。ところが二十六年になつて見たら、さて今度は離れたということの事実の私はお話をしておるのであつて、これは言訳というわけではありませんが、こういう状態でここに来た、こういうことであります。
○千葉信君 私の質問に対して適切に答えられておらない部分が今の御答弁の中ではかなりあるのです。特に冒頭に申されました現在の勤務地手当は本来ならば居住地本位であるべきものが、これが勤務地主義という恰好になつておるというようなお話もありましたが、この点についてはいろいろ意見があると思うのです。実際上意見はどうあろうとも、現在の勤務地手当は実行上の理由から勤務地主義という恰好で、居住地主義をとつていないということは、これは人事院当局の従来の答弁からもはつきりしている。従つてこういう点に関連しての只今の答弁は、私はいささか当を得ないと思うし、それならば最も極端なる一つの例を挙げられて、橋一つで一割も給与が違うというようなことが起るとすれば、非常にこれは人事行政上無理が起ることも当然である。こういうふうなところにこの話を引用されたようなんですがこの橋一つというようなものは極端な例であつて、その場合といえども調査を十分に行なつて、而もそれに対して適正な考慮を加えるならば、こういう場合といえども決して不合理なまま放置することなしに決定できる問題だと思うのです。要はそれだけの努力なり調査なりがなされておらないというところにも私は原因があると思うのです。併しこういう地域給の問題について只今山下さんからいろいろお話がありました御意見については、私は殆んどその御答弁の全部が納得できませんから、この点については今日は時間がないから割愛することにいたしますけれども、只今の御答弁の中でただ一つ何としても容赦できない御答弁があつたと思うのです。それは今年の一月に人事院のほうで、政府との話合いによつて政府のほうでは予算はもうすでに決定しているから今年度はだめだ。従つて二十六年度からということでこの問題を考えて欲しいという政府の要望に基いて人事院はとうとう二十五年度中に勧告を出さないでしまつて、一月中に政府とそういう話合いがあつたという只今の御答弁は、これは私は納得できない答弁だと思う。一体本当に今の山下さんの御答弁のように、地域給の勧告を出す出さないというようなことについて政府とそういう折衝があつたのかどうか。もう一回これは重大な問題でありますから、山下さんからその点御答弁を承わりたい。それは御承知の通り事は政府と人事院だけで話合いをすべき問題ではなくて、最終結論は飽くまでも国会で出すべき問題であるし、国会で決定すべき問題であるし、又勧告するしないというようなことについて、政府と予算上の問題がどうのこうのということについて話合いをした結果、人事院の態度が左右されたり結論が変るということでは、これは容赦できない問題だと思います。只今御答弁になりましたことは速記録にもはつきりしておりまするが、もう一回山下さんからその点について御答弁を承わりたい。
○説明員(山下興家君) その問題につきましては、言葉が少し足りなかつたかも知れませんが、先刻、こういうこの前の政府の案について人事院と交渉があつたかということの御質問があつたときに、それは今日こういうものを政府から国会に出したいから、そういいうことがあつたが、その中で人事院はどうしても受入れることができないものもあつたし、折衝をして向うに人事院の案を容れさしたものも相当ありましたということです。その中の一つとして、地域給は現在のものから五%下げて、そのままにするという原案が実はあつたのであります。それは困る。それは困る、どうしてもこれだけ研究したのだから、五段階にして実行はしたいのだ、そういうときに、同じ二十五年度には何としても技術上できないのだ、だから二十六年度からこれを実行をするということで折合つたわけであつたのです。その内輪話を今したのであります、こつちから申出したものではなくて、政府のほうから原案を見せてもらつたのに対して、こつちの意見を申出したというわけでございます。
○理事(加藤武徳君) 大分意見も出たようですが。
○千葉信君 今の御答弁によると、人事院は明らかに政府と闇取引を地域給の問題に関してはやつておる。これはもうその他の給与ベースの金額の問題等は抜きにして、いろいろ従来勧告をする時期等が遅れておることについて、私ども不思議に思つていたし、それから又全体の給与の枠そのものについても、例えば一定の給与ベースの枠をはめられておる。その枠の中で勧告をしてしまつて、八千円前後の枠をはめられてしまつたときに、いろいろこの前八千五十八円になつたということについても半信半疑でいたのですが、今の地域給の問題について政府と人事院で今のような交渉があつたということになりますと、これはその他の場合にも人事院では常時行なつていたのではないか、そうしていつでも一方的に人事院が政府に地域給の場合と同様に抑えつけられたり、政府の意見や立場に聴従したり屈服したりして来ていたという疑が、今日を境にして私ども油然と湧いて来るわけです。従つて私ども今の地域給の問題については今日時間の関係がありますから、今度の委員会にこの問題を譲つて、もう少し具体的の問題を究明したいと思います。
○理事(加藤武徳君) 如何でしようか。もうあと発言がなければこれで散会をいたしまして。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(加藤武徳君) ほかに発言ございませんか。では今日は散会してよろしうございますか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(加藤武徳君) ではこれで散会いたします。 午後三時四十九分散会 出席者は左の通り。 理事 加藤 武徳君 千葉 信君 委員 草葉 隆圓君 西川甚五郎君 木下 源吾君 小野 哲君 紅露 みつ君 事務局側 常任委員会専門 員 川島 孝彦君 常任委員会専門 員 熊埜御堂定君 説明員 人 事 官 山下 興家君