厚生委員会 第1号
- 発言数
- 38 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1951/08/16
会議録
○委員長(梅津錦一君) それでは只今から厚生委員会を開きます。 先国会以来継続調査をしておりまするところの社会保障制度に関する件ですが、第十回の国会から継続して閉会中も、すでにもう調査をして参つたのでありますが、調査が未だ完了しておりませんので、未了報告書を提出することにしたいと思うのですが、それに対する文案の作成或いはその他の手続については委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(梅津錦一君) 御異議ないものと認めます。この報告書には多数意見者の署名を附することになつておりますので、御異議のないかたから順次御署名願いたいと思います。 多数意見者署名 小杉 繁安 井上なつゑ 有馬 英二 石原幹市郎 大谷 瑩潤 中山 壽彦 長島 銀藏 山下 義信 堂森 芳夫 藤原 道子 谷口弥三郎 松原 一彦 —————————————
○委員長(梅津錦一君) 次に、この調査は今期の国会が閉会になると思いますが、この閉会中においても、およそ終了いたしませんので、閉会中も継続して調査をすることの要求書を提出したいと思いますが、これも同じく文案その他の手続は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(梅津錦一君) それではさようお願いいたします。 —————————————
○委員長(梅津錦一君) 以上が主なる案件でございますが、厚生省関係に対して質疑の件がございますので、一応厚生省関係に中山さん御発言がございますならば……。
○中山壽彦君 山口公衆衛生局長にちよつとお尋ねをして置きたいと思います。七月の十一日の日付で、厚生省公衆衛生局結核予防課長の名において、結核予防接種について都道府県の衛生部長に通牒が出ております。この七月の十一日は前小川予防課長が愛知県の衛生部長に転任をされまして、山口局長が予防課長を兼任をされておるときと記憶いたしております。この通牒文の末尾に、ちよつと読んで見ますが、「なお去る七月七日、日本学士院において開催された学術会議「綜合研究結核研究委員会」予防接種科会において別紙のごとき決議があつたので、出席者名簿を添付して送付するから、保健所並びに関係各方面に周知方取計らわれたい。」、こういう通牒文が出ておるのでありますが、この通牒文を読んで見ますというと、日本学術会議が主体で、この会合を催されたように理解できるのであります。ところが日本学術会議の第七部長の塩田広重博士より、この会合は日本学術会議が主催したのではないという取消を時事新報その他に出されております。私はこの結核の予防接種の問題は、御承知の通りこの春も当厚生委員会において一度問題になつたことでもありまするし、全体この綜合研究結核研究委員会予防接種科会というものは私的なものであるか、公的なものであるか、ちよつと私どもわかりにくいのであります。で、塩田博士はこの取消を要求されておりまするし、又亀山学術会議会長は、この問題を非常に重要視して、来月の日本学術会議の総会でこの問題を処理したいというような意見を持つておられるということを耳にいたしましたので、この際これが誤まりであるかどうかということを、当厚生委員会におきまして将来のため明確にいたしておきたいと存じまするので、この際公衆衛生局長より御答弁が願いたいのであります。
○説明員(山口正義君) 只今のお尋ねの結核予防接種に関しましての結核予防課長から各都道府県の衛生部長に宛てました通牒の最後の部面の只今御指摘になりました点は、誠に申訳ないのでございますが、これは事務当局の手落で誤まりでございました。当時この会が日本学術会議の存在しております日本学士院、あの建物で行われましたので、事務当局といたしまして、これが学術会議の会議であるというふうに勘違いをいたしまして、その席上でBCGに関する意見書が出ておりましたので、それを学術会議でお取上げになつたものと思いまして、予防課長名で地方庁に通牒を出したのでございます。その後あれは学術会議のあずかり知らんところであるというふうな申入れがあり、正式にはまだ伺つておりませんが、いろいろ塩田先生のほうからの御注意がございましたので、私どものほうでも、当時御出席の先生がたにもいろいろ御意見を伺つたのでございますが、初めのうちはどうもその会議の性格がはつきり私どものほうでもつかめなかつたのでございますが、いろいろ調べて見ました結果、文部省のほうにも問合せて見ました結果、当日の会議は文部省の科学研究費による結核研究班予防接種研究科会、そういう会を日本学士院の建物において開かれた。そうして当時出席されました先生がたがBCGに関して御意見書をお作りになつたということが極く最近になつてわかつたのでございます。塩田先生からも、そういう学術会議のあずかり知らんところであるというふうなお話もございましたので、私塩田先生にもお目にかかりまして、私どもが勘違いをいたしておりましたことをお詫び申上げまして、厚生省といたしましても、前の通牒の表現が間違つておりましたということを、改めまして、早速通牒を追かけて出すというふうに決定して、今丁度昨日からそういうようなことがはつきりわかつて参りましたので、通牒を起案いたしまして、本日早速これを地方に出したいと、そういうふうに考えておるわけでございます。
○中山壽彦君 只今山口公衆衛生局長からの御言明で、私らもその筋がわかりましたが、これはやはり日本学術会議の亀山会長に対しても、まあ塩田先生には御了解を求められたというお話でありますが、学術会議の亀山会長に対しても、やはり至急にその釈明をされておくことが適当ではないかと思います。なお地方の衛生部長に対しましては、適当に一つ前通牒の誤解を招いた点をはつきりと再通牒なさることが必要じやないかと、さように一つお取計らいを願いたいと思います。
○説明員(山口正義君) 亀山会長に対しましては、御注意通り早速お詫びに上りたいと存じます。地方に対しましては、只今申しました通り早速本日通牒を出したいと思います。
○委員長(梅津錦一君) 中山さんもう御質問は以上で……。
○中山壽彦君 もうよろしうございます。
○堂森芳夫君 医務局長にお尋ねいたします。先だつての委員会において、福井県の国立病院鯖江の一病院の入院患者の急死事件についての詳細なるその後の経過を御説明願いたいと思います。
○説明員(阿部敏雄君) 先般概略を申上げましたですが、その後厚生省のほうからも係官を派遣いたしまして調査いたしました結果を御報告申上げます。 事件の起りましたのは八月の二日の午後一時十五分でございまして、死にましたのは大関茂、男五十六歳、これは職業は日雇いで、入院しております病名は栄養失調でございます。それからもう一人の死にました患者は森下実というのです。二十六歳、これは現在無職でございますが、病名は肺浸潤兼気管支喘息、こういうのでございます。いずれも入院の形は生活保護法によつておる入院患者でございます。事件の起りを申上げますと、その鯖江病院におきましては、必要な注射薬を婦長のほうから数日前に薬局のほうに申入れまして、それに従つて薬局のほうで調剤するという形になつております。従つてこの八月二日事件の起りました前日の八月一日に調剤をいたしております。その日の調剤は、いろいろ注射薬の調剤はたくさんあつたのでございますが、たまたまここでは消毒を二つのコツホでやつておつたのが、当日一基が故障いたしておりましたために、一基を使いまして、そして三回に亘つて作業をいたしております。この問題の起りましたのは第三回目の消毒のものであります。そのときにはヌペルカインの注射薬です。これを百CCのコルベンに入れまして、それから同じく百CCのコルベンに葡萄糖を三十二本一緒に消毒いたしております。そのときのその調剤の責任者である三浦貞治、これは作業が非常に遅くなりましたために、注射を消毒をしたままで最後にそれを取上げて整理をしなくて家へ帰つておる。それで明る日になりまして、即ち当日になつて、その調剤助手である笠島希代枝というのが、朝九時頃コツホの消毒器械からそれを出しまして、そうして薬の棚へ整理して置いた、こういう状況であります。たまたまその日の午前中に医者の指示によりまして、四人の看護婦が葡萄糖を請求に参つた。そして一〇〇CCのものをそれぞれ一本ずつ持つて帰つた。その中にヌペルカインの三プロ液が葡萄糖に間違つて入つたのであります。それをそれぞれ持つて帰りまして、それを葡萄糖と誤まつて、ヌペルカインを渡された岩佐という看護婦は、自分の室に持つて帰つて、そうしてレツテルを読んだそうであります。ところがこれは内科で使う薬と違うのだというので、机の上に、横のほうへのけて、そうして見たところが、まだ自分のほうの看護室に使い残りの葡萄糖があつたので、それを使いまして、それで丁度事足りたので、何事もなしにそれで済んだわけであります。ところが齋藤すずという看護婦がレツテルを読まずに、さつきの岩佐看護婦が横にのけておいたコルベンをそのまま葡萄糖と思い込みまして、そうしてレツテルを読まずに、三本の注射器にそれを分注しまして、そうしてそれを持つて注射を始めようと、こうしたわけなんです。そこで三人の看護婦が一本ずつ注射をしようとしたのでございますが、その中で、齋藤すずというのと、北川仁子というのと、この二人だけは同時に二人の患者に注射をやつたのであります。そうしたら患者は間もなく死亡した。それでもう一本の注射をやろうとしたのは、遅れておりましたために使わなくて済んだ。結局二名の犠牲者が出た、こういう状況でございます。 そこで考えますのに、ここには、患者側には勿論何の失策もございませんので、全部病院側の失策でございますが、第一には調剤関係でございます。同じようなコルベン、これはまあ止むを得んとしましても、消毒の棚を雑然としまして、而も劇薬であるという標識もせずに、それを消毒して、そうしてそれを消毒済みのものを引出して分類するときに、製剤の責任者がやらなかつた。これはそのふだんの場合には大体製剤の責任者がやるのだそうですが、十遍に一度ぐらいずつ製剤助手である笠島希代枝というのが今までもやつておつた。たまたまその場合にぶつかつた。それでその責任者が処理をしなかつた。それから看護婦がもらいに来ましたときに、その助手の笠島希代枝というのがよくレツテルを確かめずに看護婦に渡した。ここに一つの原因がある。それからそれを受取りました看護婦は一応そのレツテルを確かめまして、これは何か注射薬とは違うのだというので、よそへ分けたという点において、普通の注意は届いたということも言われると思うのでございますが、その処置が、ただ机の上にこれは違うというので使わなかつたというだけで、非常に不用意な処置をした、そうすると、次の実際使つた看護婦は、それをレツテルを見ずに、このコルベンならいつもの葡萄糖だというので、それを実際に使つた。更にその主治医の問題でございます。主治医といたしましては、当然主治医の監視の下に、仮に看護婦にささすにしましても、監視の下にさすべきものを、ただ葡萄糖をさして置けと言つただけでありまして、現場でそれを監視をしてやらなかつたという点に、主治医のほうにも落度がある。それから又院長といたしましても、全般にそういう不徹底な危険極まる薬剤の処理の仕方をやつておつたという点において非常に責任がある、かように考えております。 そこで私どものとります処置といたしましては、いろいろあるのでございますが、家族に対しましては、取扱えずの病院の香奠とか、或いは医者の香奠、病院及びその職員等の看護婦等からの香奠を差上げ、そうして現在法務府の支局長と人権擁護委員とが中に入られまして、そうしてどういうふうの慰藉料を出したらいいかということをいろいろと折衝されております。それがきまりましたら、できるだけ鄭重に当然慰藉料を出したい、かように考えております。それから更に刑事問題が発生して来ております。これは検察当局のほうで、今責任の所在その他を慎重に調べ中であります。それに従いまして、医者、看護婦に対しましては行政処分が当然付随して来ると思います。それからこういう事件に対しましては、誠に申訳ない次第でありまして、厚生省としましても、当然厳重なる処分を行うべきである、かように考えております。それから今後こういう問題が繰返されては大変でございますので、只今詳細な書面に基きまして、それを各国立病院に流しまして、そうしてこういう問題を決して起さないようにというようないろいろな注意を与えるというので、今注意文書を決裁に廻しておりますが、今明日中にはそれぞれ詳細な内容を記して注意を喚起するという処置をとりつつあります。更に文書ばかりでなく、今後の問題としましては、この問題を極めて重大な、誠に申訳ない問題でありますから、間違つてもこういうことのないように、制度等を十分検討いたしたい、かように考えております。なお詳しくの問題につきましては、技官が行つて調べて参つておりますので、御質疑に応じましてお答え申上げたい、かように考えております。
○堂森芳夫君 お調べになつた結果ですね、鯖江病院の綱紀が非常に弛緩しておるということについて、一応そういう何か事実があると思いますが、一般に国立病院がそういうふうな声をよく聞くものですから、そういうことが鯖江病院にはなかつたかということは如何でございますか。
○説明員(阿部敏雄君) 今の綱紀の問題につきましては、私まだ具体的に聞いておりませんが、私が今申上げましたように、常識として考えまして、極めて遺憾な点が山積しておるのでございます。一つ一つについては、これは偶発的な問題もありますけれども、とにかく医者の問題、薬局の製剤の問題、看護婦の訓練の問題、いずれをとつても皆遺憾な点が非常に多いのであります。これを以て綱紀が非常に紊乱しておるのだといえば、当然紊乱しておるということは申されます。この問題につきましては、先ほども申上げましたように、徹底的にあらゆる角度から調べまして、これを適当な処分に付する、と同時に処分するのが目的でなくて、今後ほかの国立病院がこういうことを繰返さないように指示をいたしたい、かように考えております。
○井上なつゑ君 薬室におります助手の笠島といいますのは、資格はどういうものを持つておるのでございましようか。
○説明員(阿部敏雄君) 薬剤師の資格はございません。ただ新制高校を出まして、製剤の手伝いをしておつたのであります。ですから当然これは単独行動は全然とれないわけであります。たまたまその日に製剤主任が遅刻して来たということが大きい原因をなしておるのであります。
○井上なつゑ君 それに関係いたしまして、看護婦の何と申しましようか、年齢はどのくらいでございましようか、看護婦は年の若いかたでございますか。
○説明員(阿部敏雄君) 両方とも二十一歳だそうでございます。
○藤原道子君 それは有資格者ですか。
○説明員(阿部敏雄君) 看護婦は有資格者でございます。
○井上なつゑ君 その国立病院は看護婦の養成所と申しましようか、甲種とか、乙種とか、訓練所は持つておりませんのでしようか。
○説明員(阿部敏雄君) 両方ともございません。
○堂森芳夫君 二人の犠牲者のうち、特に一人は、私のところに来たのですが、非常に生活困窮者で家族は路頭に迷つておるので、いろいろ国の対策を、慰藉の方法を早く講じてもらいたいと思つておるが、未だに何にもしてくれない、これは局長のお話を聞いておつても、何も今までしてないというのですが、如何でございましようか、いつおやりになるのですか、どんな方法でおやりになるのですか。
○説明員(阿部敏雄君) 先ほど金額は申上げませんでしたが、これは極めて僅かでございますけれども、香奠として一万円、それから葬儀料として五千円、それから職員一同としまして一人一千二百円、それから齋藤看護婦から個人としまして一千円、これだけを香奠、葬儀料に含めまして差上げたのでございます。その他の問題につきましては、今申上げましたように、離れたところでもございますしいたしますので、今人権擁護委員会のかた及び法務府の出張所のかたにお願いいたしまして、適当な額をきめて頂くようにお願いしておるわけなのでございますが、今お話のような状況も、生活保護法によつて入院されておるかたであれば、当然予想もできますので、大至急に解決いたしますように努力いたしたい、かように考えております。
○堂森芳夫君 それから職員の処分ですが、院長は刑事問題とは別個に、当然はつきり責任はわかつておりますから、それとは別個の立場で、これは早くはつきりさせるということが国立病院の権威を保つ上において私は必要と思います。ですから刑事事件としての処罰或いは結論とは別個にやるべきと思いますが、如何でしようか。
○説明員(阿部敏雄君) その点につきましては、いろいろ考え方もあるわけでありまして、お話のように、こういう大変なことをする前に、取りあえず適当な処置を、誤ちをおかさないように講じておくということも考えられると思います。今の医師免許状の剥奪、医業の停止、こういう問題は或る程度刑事問題にもなると存じます。併し院長の資格を一時剥ぐとか、そういう責任の地位とか、何とか、そういう点につきましては、これは今のでき上つた事件だけで或る程度私は処置できるだろうと、かように考えております。その点につきましても、至急処置をとるようにいたしたいと、かように考えております。
○委員長(梅津錦一君) 今のお話をお聞きすると、葬儀料と慰藉料で合せて一万七千二百円、こういうような少数の額なんですが、それで日雇労務者が失業しておると労災保険がないわけですが、労災保険に入つておれば相当、大体十万円か、二十万円の労災保険が来るわけです。ところが労災保険に入るような職場におらなかつたために、慰藉料とか、葬儀料とかいう意味の僅かの金で、これでは家族の将来の幾分の生活の補助にもならない。一家の屋台骨なのですから、これに対しての取扱としては非常に私は軽少だと思うのですが、厚生省のほうとして、特にこれは大臣の出席を要求して御答弁願えば一番適当だと思いますけれども、当面の責任者である医務局長から、何らかの処置をし得る枠がおわかりでありましたら、お尋ねしたいと思います。
○説明員(阿部敏雄君) 私今説明を申上げたのがまずくて、ちよつと誤解を招いたと思いますが、今ここに申上げました一万七千円というのは当座の香奠でございまして、慰藉料の意味は全然含んでおりません。慰藉料については遺族が何とかやつて行けるように、これは今考えておるのでございます。金額の問題はいろいろ折衝をやつておるわけでございますので、それでここではちよつと申さなかつたのであります。決してこれだけで、あと多少追加するぐらいで、これをその場を糊塗するというつもりは毛頭ございません。それだけははつきり申上げておきます。
○井上なつゑ君 それでこの問題はよくわかりましたが、この上とも……。これは瓶のレツテルを間違えるというようなことは、看護婦の基礎教育というものが欠けておるためだと考えます。これには看護婦の教育に今後特別の努力をして頂くことにいたしまして、それと別にちよつと関係いたしまして、昨日のニユースで、横浜の国立病院が火事になつて看護婦の寄宿舎が焼けたそうですが、その詳細をちよつと承わりたい。
○説明員(阿部敏雄君) まだ公文書が私のところまで参つておりませんので、正確なところを申上げるわけには参りませんが、病院の本館でなく、薬品倉庫と看護婦の寄宿舎が焼けた。こういうお話でございます。あの病院は大分古く、井上さんも御存じと思いますが、相当広い建物でございまして、至急にその点は支障のないように対策を講じたいと思います。恐らく今日は向うの院長がいろいろな対策を持つて来るだろうと考えております。
○松原一彦君 曾つて医薬分業問題のやかましいときに、薬剤師側からも特に薬剤の取扱いは薬剤師でなくてはならないという主張がありまして、医師といえども薬剤の取扱いはできない。法律で以て強制的に分業しなければならんという主張があつたのであります。それほどにむずかしい薬の取扱いであるならば、薬剤師が薬室において助手を使つてやらせることができるかという私は質問をした記憶があります。そのときには当局の側から、薬剤の取扱いに助手を使うことはできないという御返答があつたと思つております。今承わりますというと、高等学校を卒業したばかりの素人を、何ら薬剤の知識のないものを助手に使つておる。一体そういう慣例があるのでございましようか。又それは今日のやかましい薬剤師法の上に許される行為でありますか、いやしくも国立病院というものが、そういうようなことを公然と認めておるのでございますか。又殊に麻酔薬であつたそうでありますが、麻薬というような特別やかましいこのものを、そういう未経験の、薬剤の知識のないものに取扱わせる、而もその薬室には責任ある薬剤師が出席していなかつたというようなことは、私は実に奇怪な話だと思う。医薬分業法で随分手きびしい議論のあつた直後のことであります。この点につきまして、一体そういう慣例があり、又それを公式に厚生省のほうではお認めになつておるのかどうか、はつきりして頂きたい。
○説明員(阿部敏雄君) 薬剤助手というような言葉を使いましたので甚だ恐縮でございますけれども、この薬剤助手というのは薬の、注射薬の調合を手伝うとか何とか、そういう意味ではございません。ただその薬室におりまして、各医局から請求のある薬を、そのそれぞれ整備してある棚からとつて、そうしてこれを渡すということなんで、それを更に幅を越えまして、薬剤師が欠勤したときに、薬剤師が来るまで待てばいいのを、自分が乗出してそれを出して来て、そうして渡したというところに欠陥があるのでございます。これは当然認めたことではございません。私は明らかにその点はここに大きな欠陥があるんだ、病院管理上に欠陥がある。自分の権限を乗越えたことをやつたことに欠陥がある、かように申上げたのであります。決して素人の人間を調剤の助手に使うということを考えておるのではございません。
○松原一彦君 お考えになつていなくても、すでに調剤助手としてそこに使つており、それがそういう麻酔薬等の、はつきり管理上区別しなければならないものをば自由に出し入れのできるというようなことが現に行われておるということに対しましては、非常に私は遺憾だと思う。この人間の年齡並びに資格を一つはつきりと御報告願いたい。只今御答弁ができなければ、改めて書面で御報告を願いたいのですが……。なおもう一つ伺いますが、静脈注射といつたような行為は、これは看護婦の責任範囲にない。許すべきことではないと私は心得ております。私は常に看護婦に、医務室においてもそのことを申しております。これは医師がすべき行為である。医師以外の者は、断じてしてはならない。薬剤師は往々にしてそれを店頭でやるというのですでに問題を起している。この辺に対しまして、非医師の調剤行為、つまり医師の妻君とか、書生、看護婦等の調剤行為は許されるかということを質問したところが、これは許されない。助手としては許されない。医師においてのみ自己の処方箋による調剤が、今日の薬剤師法においても、医師法においても認められているのだというので先般この法律ができ上つた。ところが国立病院で静脈注射等を平気で看護婦にやらしておるということは、一体そういうことに対してのふだんの監督といつたようなことが行われておつたのかどうか。随分薬剤師法なんというのはむつかしい法律であつて、取締りの文章の上からは実によくできておると思うのでありますが、この点につきましては、日本医師会のほうでも注意をしたことはないといつたような、誰かの御答弁があつたし、どうも自粛、自戒を欠いている点が非常に多い。こういうことは非常に厳重にしなければならん。医師以外の者に注射は許さんということでなければ、看護婦は医師の下におりますから、医師から命ぜられるというと、どうしてもやらざるを得ないことになる。さしてはならん。するな。私は常に申しておるのですが、私の申すことは誤まりでありましようか。又そういう慣例が今後も続いてよろしいのであるか。これは看護婦の方面に非常に詳しい井上委員や藤原委員もおいででありますが、看護婦にどこまで注射を許されているのか。カンフル等の応急注射等は看護婦も許されておるのかどうか、委員の方からも一つこの際承わりたいと私は思うのでありますが、当局の御見解はどうなんでしよう。
○説明員(阿部敏雄君) 年齡は今ちよつと調査はございませんので、はつきりしたことは申上げられませんが、調査しました上で申上げます。 それから本人が専門的の経験者でないということは、先ほど申上げました通りに専門家ではございませんです。本人の勤務といたしましては、飽くまでも薬室におつて注文の来た、伝票の来ましたものを整理した、それぞれ標式のあるものの中から出して看護婦に渡すということに限られておるわけでございます。それから今の注射の問題は、誠に御尤もな御意見であると思います。国立病院によりましては、非常に厳重に守つておるところもありますし、それから今度の例にありましたようなルーズな場合もありますので、厳重に、静脈注射のごときものを看護婦にやらすというようなことはさせないようにいたしたい。かように考えております。ただカンフルとか、そういうものを医者の指導の下に皮下注射程度をやらすことはどうかという問題になりますと、私はまだ参りましたばかりで、本当の対策はよくわかつておりません。よく研究いたしまして御答弁いたしたいと、かように考えております。
○井上なつゑ君 只今松原委員の御質問でございましたから、私ちよつと申上げたいと思いますけれども、只今の松原委員の御意見の通りに、看護婦はそれは絶対に注射してはならないと思つておりますのでございますが、ああした大きな病院になりますと、そうしていつもすることが、一つの何と申しましようか、習慣的と申しましようか、同じことを繰返し繰返しやつておりますようなときになりますと、ついこれをやつておいてくれというようなことでやるようなことがございますが、これは絶対に私どもは、看護婦としまして、これは避けなくちやならないと思います。看護婦は看護婦の割当の大きな看護婦業務というものがございまして、お医者さんの業務を手伝いますと、勢い病院における患者への看護量が少くなつて来る。私ども常々看護量を如何に多くするかということを研究し、又何でございます、看護量が少くなつて来ると、患者に対する看護の時間が少くなることを非常に恐れておりますので、極力私どもは避けたいと思つて、常々お医者さんとの協力を願つておるわけでございますが、恐らくそうした国立病院は、昔戦争時代からの惰性があるのじやないかと存じますが、緊急処置のようなことがつい普通のような習慣になつて来たのじやないかと存じますけれども、私どもの立場からいたしまして、これは極力そうしたことはお医者さんにやつて頂くということをお願いしたいと私は思つております。
○委員長(梅津錦一君) 丁度十二時になりましたが、本日はいろいろ控室のほうでお話合いもあると存じますので、この程度で会を閉じたいと思いますが、如何でございましようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(梅津錦一君) それではこの程度で本日は散会いたします。 午後零時一分散会 出席者は左の通り。 委員長 梅津 錦一君 理事 小杉 繁安君 井上なつゑ君 有馬 英二君 委員 石原幹市郎君 大谷 瑩潤君 中山 壽彦君 長島 銀藏君 堂森 芳夫君 藤原 道子君 山下 義信君 谷口弥三郎君 松原 一彦君 事務局側 常任委員会専門 員 草間 弘司君 常任委員会専門 員 多田 仁己君 説明員 厚生省公衆衛生 局長 山口 正義君 厚生省医務局長 阿部 敏雄君