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11回国会衆議院1951/09/18

法務委員会 第2号

発言数
125
登壇者
15
会派数
3
開催日
1951/09/18

会議録

安部俊吾自由党

○安部委員長 これより会議を開きます。  本日は法務行政及び検察行政に関する件について調査を進めたいと存じます。質疑の通告がありまするから順次これを許します。猪俣浩三君。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 大橋法務総裁にお尋ねしたいと思うのでありまするが、それは講和が調印されまして、いずれ効力も発生するようになろうかと存じまするが、そういう際におきまするポツダム政令の処置というものを政府はどうたさる考え方であるか。この質問いたしまするゆえんのものは、大体ポツダム政令なるものは、これは占領治下やむを得ざる一つの異例の処置であると考えるのであります。その母法でありまする勅令五百四十二号、これ自身は日本の憲法の処置からいたしますると、はなはだ違憲的な法規だと考えるものでありまして、金文たつた四十字しかない法律、おそらくこのくらい全権委任的な法律はないと思うのでありまして、日本国憲法におきましてはかような全面的に命令に委任するような法律というものは憲法違反だと私は考えておりますが、まあ占領治下やむを得ざる処置として認容したといたしましても、こういう元来がはなはだ憲法違反の疑いの多いところのかような法律を根拠といたしまして、無数なる政令あるいは勅令が出ておる。申すまでもなく法律で規定しなければならぬことは憲法上明らかに相なつておるのでありますが、この政令の中には、法律で規定すべき事項をどんどん規定しておる。そこでこれを正常にもどすということが憲法を守るゆえんの一つでもあると考えておるものでありまして、このおびただしい政令を、政令の効力と憲法の精神とにらみ合せまして、政府はいかようなる処置をこの講和後おとりになるのであるか、その根本方針を御説明願いたいと思うのであります。

大橋武夫自由党法務総裁

○大橋国務大臣 お答えを申し上げます。ただいまの方針といたしましては、連合国軍の進駐に際しまして「政府ハ「ポツダム」宣言ノ受諾ニ伴ヒ連合国最高司令官ノ為ス要求ニ係ル事情ヲ実施スル為特ニ必要アル場合ニ於テハ命令ヲ以テ所要ノ定ヲ為シ及必要ナル罰則ヲ設クルコトヲ行」、これを昭和二十年九月二十日、いわゆる当時の憲法によりまする緊急勅令の形式をもつて制定いたしまして、爾来ただいま御指摘の通り各種の立法事項に属する事柄を、この緊急勅令を根拠といたしました命令によつて規定をいたしておつたのでございます。これがいわゆるポツダム政令というものの法律的な根拠でございまするが、まず連合国最高司令官というものの存在は、これは講和条約の効力を生じました際においてはおのずから消滅するということは当然の考え方でございます。その後におきまして連合国最高司令官の要求によつて、この緊急勅令が運用されるということは、これはもとよりあり得ないことであります。従いましてこの勅令は、その際におきまして当然これを廃止するの措置をとるのが適当であると考えております。但しこれに基いてすでに制定せられ、現に有効に成立いたしておりまするところの各種の政令その他の命令はどういうことに相なるか、これらは法理論といたしましては、現在正当に憲法上の根拠に基いて制定せられてある政令でございますから、講和後においても引続き法律的な効力を持つて続くべきものである、こういう見解もございまするし、あるいはまたこれらは、その前提たる連合国最高司令官の要求に基いているのであるから、その最高司令官というものの権威がなくなつた場合においては、当然実質的に効力を消滅すべきである、こういう解釈も行われておるのでございまして、この二つの解釈のいずれを政府がとるかということによりまして、立法的な方針というものが当然異なつて来るわけであります。しかし望ましいことは、講和条約の際におきまして、法理上の理論的な解釈をどの点に求めるかということに無関係に、法律的な手続によりまして将来の効力を明らかに定めるということが望ましいことではないか、こういうふうに考えておるのであります。こういう見解をもちまして、現に法務府におきましてこの問題を研究いたしておる次第でございますが、いまだこれは政府といたしまして公式の意見という程度まで熟しておらないことを特にお断り申しておきます。またかようにいたしまして、講和条約の際におきまして、法律上当然、あるいは特別な法律的措置によりまして、これらの政令が引続き効力を有し、施行されるという場合におきましても、その内容につきましては、ただいま猪俣委員から御指摘になりましたる通り、今日の日本憲法の精神なり、あるいは規定から考えてみまして、憲法の規定あるいは精神に違反しておるのではないか。これと抵触するような内容を持つておるのではないかと認められる事柄はもちろんあるわけでございまして、これらの点につきましては、将来日本が独立をいたしました場合におきましては、当然日本国憲法の条章によつてその後の一切の国の行政を運用しなければならない。こういう立場からその際において日本国憲法に適合するがごとく内容的の改正を行うということはこれは当然必要な事柄でございます。このことはポツダム政令をそのままの形で、何ら法律的措置を用いずして有効に存続したものとして政府が取扱う場合においても、またそうでない立法的措置によつて有効なものとして取扱つて行く場合においても、どちらの場合におきましても、日本国憲法の規定に抵触する疑いのあるというポツダム政令の条項は、これはその際におきまして憲法に適合するがごとく改正措置を必要とする、かように考えておる次第であります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 勅令五百四十二号というものが発せられまして、これは先ほど申しましたように全文四十字の法律、しかもこれは緊急勅令として制定されたものでありますが、この勅令五百四十二号自体が、その後新しい憲法の実施の際に出ました日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律、昭和二十二年四月十八日に出ました法律第七十二号、この中に五百四十二号が含まれておらないという学説がありまして、元からこの「ポツダム」宣言ノ受諾ニ伴ヒ発スル命令ニ関スル件という緊急勅令は有効ではないという学者の議論もあるのです。それはそれといたしまして、かような母法自身憲法上母法として効力ありやいなやさえ争われている際でありますから、そういう基本法から憲法の規定にまるで沿わないところの命令がたくさん出て、みな国会を素通りして出ておるのであります。これを正しく日本国憲法の趣旨に沿うようにやるということになりまするならば、この命令を法律に切りかえるという処置をとるべきことが至当であろうと思うのでありますが、今の御答弁によりましては、まだその点に対してはつきりした政府の態度がおきまりになつていないようであるというふうに考えられるのでありますが、この政令は、法律あるいは憲法施行のために出すものであつて、法律に規定せらるべき事項を政令で規定するということは憲法違反なんであります。その趣旨からこのポツダム政令なるものを御点検くださいまして、いやしくも法律で規定すべきことを憲法が要求しておるものについては、国会にこれをかけるというふうに一元的な態度をおとりになることができないかどうか、重ねてお問いいたします。

大橋武夫自由党法務総裁

○大橋国務大臣 現在昭和二十年勅令第五百四十二号が昭和二十二年の法律第七十二号の中に規定してないので、従つてこれは今日法的効力を有するやいなや疑わしいというただいま猪俣委員の御発言もございました。さような解釈は私今日まで不敏にして承つたこともないのでございまするが、元来この二十二年の法律第七十二号は、日本国憲法施行の際におきまして、現に命令として通用いたしておるもの、命令としての効力を持つておるもの、さような命令につきましては、これを憲法施行の際に特に法律として効力を有するというふうに改められたものでございます。昭和二十年の勅令第五百四十二号は、日本国憲法施行の際に、現に法律として効力を有しておつたものでございまして、従いましてこれは法律第七十二号において取扱うべき本来の範囲に属しておらないものである、そういう趣旨をもちまして、これはもう解釈上当然として法律第七十二号には規定をいたさなかつたのであります。現にこの趣旨は最高裁判所の判例においても明らかに承認せられておるのでございまして、最高裁判所の解釈におきましては、昭和二十年の勅令第五百四十二号は、日本国憲法施行後におきましても、法律と同等の効力を有しておるものであるという趣旨の判例がある次第でございます。  それからただいま勅令第五百四十二号に基く各種のポツダム政令を、いずれも将来憲法の趣旨に従つた法律として取扱うことのできるように、この機会においてこれを法律案に直して国今に提案するようにする方がいいではないか、またそうする意思はないかどうか、こういう御趣旨の御質問でございましたが、この点につきましては、ただいまお述べいただきました御趣旨をもよく考慮に入れまして、今後政府といたしまして十分な研究を遂げ、合憲的な解決をいたしたい、かように考らております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 大体御趣旨はわれわれの希望をおいれくださるような御答弁だと承つておるのでありますが、なお具体的に一、二の法令につきましてお尋ねしたいことは、電力再編成令及び警察予備隊令、これは非常に重大な立法事項であると思うのであります。これが国会の開会中政令で出されたことに対しましてははなはだ私ども遺憾とするものであります。これはいろいろ連合国の要望もあつてさような態度をおとりになつたと思うのでありますが、講和になりましたならば、かような国会の開会中を避けて特に政令で出したというような法令こそ、第一番目に法律に切りかえる必要があると存ずるので、この電力再編成令あるいは警察予備隊令を立法化する御用意があるかたいか重ねて承りたいと思います。

大橋武夫自由党法務総裁

○大橋国務大臣 今まで国会の開会中におきましても、昭和二十年勅令第五百四十二号に基きまする命令を発布いたした例はあるわけでございまするが、ただいま御指摘の警察予備隊令は国会閉会中の制定でございまするし、また電力再編成に関する政令は国会の休会中の事柄でございまして、ただいま御指摘の政令はいずれも国会の開会中のものではございません。しかしながらこれらの国会閉会あるいは休会中に出されたところのこの勅令の授権に基きまする政令をも含めまして、勅合第五百四十二号に準拠して制定せられましたる一切の命令は、この機会に政府においてよく検討いたしまして合憲的な取扱いをいたしたい、こう考える次第であります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 なおその構想から出ておるものと思うのでありますが、団体等規正令あるいは公職追放令、そういうものを廃止されて、ここに統合した一つの国家安全保障法というようなものを制定する御意思あるやに新聞に拝見するのでありますが、これはもし伝うるごとき内容のものであるといたしまするならば、一般国民に対しまするところの関係は実に重大であります。これはどういう内容であるかわかりませんが、もしこれが悪用せられますると治安維持法の再現ということに相ならぬとも限らぬのでありまして、私どもといたしましては、そのほんとうの姿を一日も早く知らせていただいてこれに対する研究をしなければならぬと存ずるのであります。そこで本年の九月六日の毎日新聞に構想のようなものが出ておるのでありまするが、その目的ないし大体の法案のねらい――詳しいことはまだ御答弁できないと思いまするけれども、いかなる目的によつてどんなことを規制するのであるか、伝えるところによれば、ゼネストを禁止するあるいはプレス・コードの代用をさせるというようにあらゆるものを、この国家安全保障法なるものに織り込んで取締る、しかも四百条からなる厖大な法案になるものであるというふうに聞かされております。事実はたしてしかりとするならば、しかも臨時国会に提案されようというほどであるならば、臨時国会も十月十日ごろには開くというようなことであるから、大体のことはもはやきまつていなければならぬはずであります。そこで何という名前になりますか、国家安全保障法とか治安法とかいろいろな名前がございましようが、この法案についての骨子でもひとつお知らせ願いたい。目的、それからいかなる事項を取締りの対象にしてあるか、その罰則はどういうふうになつておるのであるか、あるいは最終決定はまだなされないにいたしましても、大体の構想だけはお知らせ願いたいと思うのであります。

大橋武夫自由党法務総裁

○大橋国務大臣 猪俣委員にお答えを申し上げます。ただいまお尋ねいただきました研究中の法律案の構想について申し上げます。あらかじめお断りいたしておきますが、今日申し上げまする点は、いまだ政府としての公式の見解という形をなすに至つておりません。従いましてこれはなお主管大臣でありまする私の意見の域にとどまつておるものであるということを特に御承知願いたいと存ずるのでございます。御承知のごとくに、今日におきまする反民主主義的な各種の治安破壊活動に対する取締りというものが、刑法等の基本的な刑事法令によりまするほかに、団体等規正令、公職追放令等のいわゆるポツダム政令と、それから連合国軍最高司令官より出されましたプレス・コード、アカハタ発行停止の書簡その他の指令によつて行つているのが現状でございます。これらのうち、特にポツダム政令及び連合国軍最高司令官の指令というものは、行政上相当重要な役割を果しているということは、まず第一に御注意願わなければならぬ点であると存ずるのでございます。しかしてこれらの指令というものは、当然講和条約の効力発生とともに消滅いたすものでありますことは、いまさら申し上げるまでもないところでございます。また団体等規正令あるいは公職追放令というような、いわゆるポツダム政令も講和条約の効力発生によりまして効力を失うものであるかないかということは別問題といたしまして、その内容といたしましては、今日これに基く行政措置は裁判所におきまして訴状却下という特別な取扱いを受けておるわけでございます。かような状態を講和条約の効力発生後もそのまま続けて参るということは、憲法の精神から見まして、まつたく当を得ないことと存ずる次第なのでございます。私といたしましては、今日治安関係の根拠法令がただいま述べましたるごとき次第でありますことにかんがみまして、講和条約の効力の発生いたしましたときには、十分に日本国憲法に合致をいたし、しかも現下の情勢にかんがみまして、有効に反民主主義的な破壊活動を取締ることのできますような法律制度を確立しておくということが、今日必要と考えるわけであります。こうした考えのもとに、団体等規正令及び公職追放令を中心といたしまして、これに関係ある各種の指令等を法律化するという仕事につきまして、その研究を現在事務当局にやつてもらつておるわけであります。これをいわゆる国家安全保障法あるいは公安保障法というような仮の名称をもちまして伝えられておるのであります。もちろんその名称も、ほんの便宜的な仮称でございます、そこで以下いわゆる公安保障法という名前のもとに研究いたしておりまする法案の大体の構想を、かいつまんで申し上げてみたいと思うのであります。もとより事柄は研究中の事柄でございますから、あるいは将来実際提案する際においては若干の変更が加えちれるということもあり得ることを御承知願いたいと存じます。大体の構想を申し上げたいと存じます。  まずこの法案を考えるにあたりまして、私どもの立場といたしましてぜひ考えておかなければならぬ前提は、三項目あるわけでございます。第一は、法案の内容が特に日本国憲法の特色としておられますところの人権に関する各条規に厳密に合致したものでなければならない、これが第一点であります。第二点は、その内容としてとられる各種の行政措置というものは、実際において現下の状況から見て有効適切なものであり、また必要なものでなければならない、こういうことであります。第三点は、現在におきましては、これらのポツダム政令による行政手続につきまして、これを訴訟において争うということが許されていないのでございますが、この新しい法案において考えられるすべての行政措置というものは、いずれも基本的人権に関する重要なる内容を持つものでございますから、当然これは訴訟化するものであるということを考慮しなければならぬ。この三つの前提をもつてこの法案を研究いたしておるわけであります。  そこでこの三つの前提のもとに、法案といたしましては反民主的な破壊活動を取締り、国家の公安保持に必要なところの実体的並びに手続的な規定を網羅いたしたい、こう考えておるのであります。従いましてそのうちでまず問題となる点は実体規定でございまするが、実体規定といたしましては、この法案におきましては何が反民主主義的破壊活動であるか、何が国家公安の維持を阻害する行為であるかということ、この点が最も重要な点でございまして、ただいま私といたしましては、第一に現在の団体等規正令第二条に規定されておりますような、対外的には不法の侵略的な武力行為、また国内的にはたとえば日本国憲法を暴力で破壊する等の、いわゆる暴力により公安を害する行為、及びこれを宣伝煽動するような活動がこの破壊的行為の実体となるべきものと思うわけであります。  次には日本国内に正当に駐留いたしております外国の軍隊であるとか、あるいはまたわが国自身の秘密の事項等を探知収集するというような行為もまた国の安全を害する行為であると存ぞるのでございまして、これもまた内容として規定する必要があるのではなかろうかと存じております。この種の行為をこの法律の規定する違法行為として、これに対しましては、まず行政措置といたしましてはかような違法活動を目的といたしたような団体については解散をするというような手続を規定する。またかかる行為をなしたる個人につきましては、たとえば公職より追放するというような行政措置を考えて行かなければならぬ、また同時に刑事上の犯罪としてこれらの行為につきましては、その責任を問うということも必要であろうと考えておるのであります。しかしこれらの行政措置というものは、憲法上当然裁判所に訴え得るものでございますから、この点に対して必要な規定を設けなければならないというのは、これは当然のことではなかろうかと思います。この点につきまして、外国の事例を参考としてただいまのところではいろいろと研究をいたしておる次第でございますが、この取扱いにおいて今特にわれわれが念頭に置いております事柄は、現在の団体等規正令あるいは公職追放令等によつて団体の解散または公職追放の行政措置というものは、普通行政官庁の一方的な措置によつて実施をいたしているのでございますが、今後憲法の精神に沿うようにこういう国家の権限を運用する、そういう必要から考えますと、特にこの権限を行使すべき行政機関というものについては、真に妥当な権限を逸脱したような、行政庁の一方的な、恣意的な運用を避けるような有効なくふうをしなければなるまい。行政機構といたしましても、特に基本的人権を保護するという意味におきまして、かような措置が一方的、悪意的に行われることのないことを保障するような、そうした行政機関の構成を考えなければならないのではなかろうか、こういうふうに存じて、ただいま研究をいたしているのであります。もちろんかような機関によつて実施せられましたる各種の行政措置に対しまして不服のある者につきましては、当然裁判所に提訴せしめるということが、この種事件の取扱いとしては適当ではないかと考えまして、これらの点についてもただいま研究をいたしている次第なのであります。  以上がいわゆる公安保障法と伝えられている法案といたしまして、私どもが考えております実体的並びに手続的な基本的構想でございます。  これ以外になお政治団体届出の制度は引続き存続いたしたいと考えております。  こうした構想のもとに合憲的にいたしまして、かつ有効適切に動き得るようにと、いろいろ実体的な、また手続的な規定の整備を研究いたし、今日におきまして、ある程度の段階には到達したのでございますが、まだ具体的に完成したというわけではございません。従いまして、劈頭にお断りを申し上げました通り、これが政府の公式の見解として取上げられるという段階にはいまだなつておらぬのでございます。責任者としての私の個人的な研究の一、二を申し上げたのにすぎないということを重ねてお含み願つておきます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 個人の御見解であるということでありますので、まだ政府としての方針がきまつておらぬようなことになりますが、しかし法務総裁は内閣の法律顧問であられるし、この法務総裁を中心とした法務府の考えというものが、いずれ政府の原案になる公算が十二分にあります。そこで私どもの意見を申し上げたいのでありますが、一体法は三章をもつて足るということが為政の根本であると言われております。しかし現在の複雑なる世相に際しまして、法三章をもつて足るというような原則は、これは理想であつて実現はできない思います。あまりいろいろの処罰法規を屋上屋を重ねるがごとき立案は、御考慮願いたいと思う。法を取扱つている者は、えてそういうものをつくりたがる一種の遺伝的慣習があるのでありますが、これは大いに反省する必要があると思うのであります。これは占領治下において、やむを得ずいろいろな法令が出たのでありましよう。これはまあしかたがないとして、今日占領を解かれまして、このポツダム政令を整理される際においては、なるべくこの法の上にまた法を重ねるというような方針をとらずにいただきたい。今御説明のような国家公安の維持はもちろん大切でありますけれども、現在の立法でありまする刑法を見ましても、内乱に関する罪、外患に関する罪、国交に関する罪、公務の執行を妨害する罪というように、第一章をあけて見ましても出ている。これを活用いたしまするならば、治安の維持は十二分にできると思うのであります。さような刑法があるにかかわらず、治安維持法のごときものが存在したことが、過去の日本のがんでありました。そこでこういう刑法の規定が存在するがゆえに、私どもはこれを一元的にここに吸収いたしまして、そういう特別な法令はなるべくつくつてもらいたくないという考えを持つているものであります。法務総裁の御見解としては、刑法の罰条ではこの治安を維持することが困難であるという御見解でありますか、その点について承りたいことと、立つたついでになお申し上げますが、実は労働組合側あたりにおきましては、かような風説が伝わつて重大関心をこの公安保障法というものに払つているのであります。それは今労働三法の改正問題が出ているけれども、これはあまり手をつけないでおいて、半面この国家公安保障法というようなものによつて十分取締るというふうな政府の態度に進んでいるということが、労働組合あたりの見方であります。そこで労働三法なんかをいじくるとうるさいから、そつとしておいて、片方の方から取締るというようなおそれを持つているのであります。そこで国家公安保障法の中にはストライキを制限し、あるいはこれを禁止するような項目が含まれるのであるかどうか、いま一つは、なおこのほかにプレス・コードのような処置が含まれるのであるかどうか。いずれも基本的人権に属するものでありますが、最初法務総裁の説明がありましたように、日本審法の人権に関する条規に合致するようにやるという御趣旨まことにけつこうだと思うのでありますが、しかしそれをあまり徹底しますと、こういう特別法をつくる趣旨が何もなくなるのではないかと考える。そういう趣旨でおやりになつたとしても、相当ここには伝家の宝刀を含ましているというような規定があるのではないかと思われるのでありまして、この点をいかに取扱われます御構想でありますか、お答え願いたいと思います。

大橋武夫自由党法務総裁

○大橋国務大臣 公安保障法として考えておりまする法律案の内容につきましては、ただいま申し上げたところに尽きているのであります。従いましてこの法案の中におきまして、労働組合の罷業権の制限を規定するとか、あるいはまた新聞、出版の制限を行うとかいう事柄は含めておらないのでございまして、そうした事柄についてはまた別の面において考える、こう思つております。  それから一般刑法において公安の維持は十分ではないか、こういうような御意見も承つたのでございますが、なるほど刑罰につきましてはもとより刑法において原則的な規定をいたしているのでございまして、これ以外には特別に刑罰法令を制定する必要があるという場合は、これはよほど特別の必要のある場合でなければならない。これは原則的な考えといたしまして私も了承いたす次第であります。しかしながらただいま申し上げましたるごとく、公安保障法というものは決して単なる刑罰法令ではないのでございます。これはむしろ公安保障のために国民の基本的権利を発動するということが、国家公共の福祉に牴触するというような特別な場合におきまして、行政的な判断によりまして、その公共の福祉を擁護いたしまするに必要な最小限度の制限的措置を行政的にいたして参ろう。その公共の福祉を守るための個人活動に対する制限の行政的措置、これがこの公安保障法の主要な内容をなしておるのでございます。従いまして刑法以外に、かような行政措置のためにはどうしてもこの種の立法が必要であるこう私といたしましては考えておるようなわけであります。しかして刑罰法令といたしましては、この行政措置を行いまする場合におきまして、この行政処分の効果を有効ならしめるために必要な刑罰規定を最小限度において公安保障法にあわせて規定する、こういう趣旨でございまして、決してこれは刑法の罰が軽いから、これをもつと重くする。あるいは刑法あればというような――刑法だけではいけない。刑法の目的は刑罰でありますが、公安保障法の目的は刑罰にあらずして、その制限のための行政的な措置、これが主たる眼目である。その措置を有効ならしめるために必要なる罰則を伴う、こういう趣旨で立案をいたしておるということを申し上げる次第であります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 大体わかりました。これはまた実際法案として国会へ提出せられましたときにお尋ねし、研究することといたしまして、現在平和促進運動というようなものが展開されておるのでありりますが、この限界であります。もちろん占領軍を誹謗するというような言動がありますならば、これは取締られるのでありますが、ただ今度批准せられようとする講和条約に対して反対である、再軍備に反対である、及び外国の軍隊が日本内地に駐留することに反対であるというようなことを、文書あるいは演説等においてそういう活動をすることが、今度できまする国家保障法案のどこかにひつかかるようなことがあるのかないのか、まだ厳密にそれができておらないのでありますか。法務総裁の頭の中にはそういうものを一体対象として立案されておるのであるかどうか。なおまたただいま申しましたようないわゆるこの再軍備反対、軍事基地反対、あるいは日米安全保障条約反対というようなことを叫びますことが、現行法の何かに触れる点があるかないか、この点をお答え願いたいと思います。  大橋国務大臣 ただいま研究いたしておりまする法案といたしましては、平和運動の提唱でありまするとか、あるいはまた軍事基地反対というような純粋な言論的な主張を制限しようというものではないのでございまして、先ほど申し述べましたるごとく、わが国の方から対外的に不法な侵略的武力行動に出るべきである、あるいは国内的に、たとえば日本国憲法を暴力で破壊するというような暴力による公安を害するような行為、そうしてこれを宣伝しあるいは煽動するようなきわめて限られた目的を持ちました言論活動がこれにあたるわけでございまして、一般的な政策に対する批判であるとか、あるいは政府に対する新政策の採用についての要望であるとか、かような純然たる言論は、いかなる意味においてもこの法律において制限されるべきものではない、かように考えております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 もう一つ。この講和条約によりますると、日本は国際連合に加盟しなくても国際連合に協力するところの義務を負担されておるのでありますが、朝鮮事変がもし停戦できませんで、発展するような場合におきまして巷間伝うるところによれば、日本の警察予備隊がいわゆる国連軍に協力する意味において朝鮮に渡るような説をなすものがありますが、かようなことにつきましては、もちろん私ども信ずるわけではありませんけれども、かりにさようなことがあり得るとすれば、これは憲法違反だと考えます。憲法を守る以上は、たとい軍隊にあらずといえども警察予備隊なるものを朝鮮に派遣するというようなことはあり得べからざることと考えるのでありますが、内閣の法律顧問たる法務総裁の所信を明確にしていただきたいと思います。

大橋武夫自由党法務総裁

○大橋国務大臣 警察予備隊は、ポツダム政令でありまする警察予備隊令によつて組織せられておるのでございます。警察予備隊令のいかなる条項を見ましても、警察予備隊が朝鮮に派遣されるということはあり得ないわけでありまするし、また現に政府といたしましても、さような場合があるということはとうてい予想いたしておりません。

安部俊吾自由党

○安部委員長 押谷富三君。

押谷富三自由党

○押谷委員 日共の活動状況につきまして法務総裁にお尋ねいたしたいと思います。本月四日の払暁を期して断行されました日本共産党幹部十八名に対する総検挙と、それに引続いてなされ指導部員十九名に対する公職追放指定の処分、またさらに日共の主流派の中枢機関紙と言われております党活動指針も無期限の発行停止処分になつたのであります。これらの処分は、日本共産党に対する事実上の非合法化措置といたしまして非常に注目されているところであります。しかして今回の政府のとられたこれらの処置は、講和成立、新日本発足にあたつて、今後の最も重要なる国内治安の上から、まことに当を得た機宜の処置なりと信ずるものであります。ついてはこれらの処置の総合的な原因をなしました日共活動状況、特に講和をめぐる日共の最近の活動状況につきまして、政府が入手せられましたいろいろな情報あるいは資料に基きまして、御説明を承りたいと存じます。

大橋武夫自由党法務総裁

○大橋国務大臣 最近の共産党の活動状況につきましては、特に吉河特審局長から御説明申し上げたいと存じます。

吉河光貞検事(法務府特別審査局長)

○吉河説明員 御指名によりまして、私から簡単にお答えいたします。  まず最初に申し上げたいのは、日本共産党は、今日合法政党として許されて存在している政党でありまして、かような意味におきまして、団体等規正令により、その党員の数の届出をしておるわけであります。現在その届出の党員数は五万五千四百十三名となつております。これが届出の登録のメンバーで、同党の実績というふうに考えております。さらに日本共産党に対しましては、正式に党員として加入しない方々で同党の主義主張を支援され、支持され、その党活動に参加される方もあるわけであります。これらの方、並びに選挙等におきまして同党が収められる相当数の投票数というようなものを見まして、現在日本におきまして同党は相当数のいわゆる同情者と申しますか、共鳴者と申しますか、――を持つておるというふうに大体考えておるわけであります。現在いろいろ日本共産党が、公然面における活動に合せまして、非合法面における活動を展開せられておるというようなことが、新聞雑誌その他に論ぜられておるのでありますが、情報としてかような活動をなされるということを申し上げる程度でありまして、その実体につきましては、具体的に申し上げる段階に立ち至つておりません。  御承知でもございましようが、現在日本共産党では――ここに梨木委員もおいでになるのでありますが、平和闘争というような闘争を主として展開されておるように承知しております。平和擁護日本委員会、または全面講和愛国運動協議会というような大衆的な組織が結成されまして、これらの組織を通じて、五大国平和条約締結、全面講和、再軍備反対等のスローガンを掲げて、一千万の署名獲得を目標に、全国で約一万の委員会を結成したいというようなことを目標にして相当運動されておるというように大体承知しておるのであります。なお同党が党勢拡充のために各般の組織の建設に努力されておることも、新聞雑誌その他において伝えられておる通りでありまして、これも大体情報として承知しておる次第であります。  これを要するに、先ほど冒頭に申し上げました日本共産党の党員数は、昨年来非常に減少の一途をたどつておりまして、ただいま申し上げた数字も、前月の数字に比べまして非常に減少を見ておるというような状況になつております。簡単ではありますが……。

安部俊吾自由党

○安部委員長 押谷委員にお諮り申し上げます。法務総裁が閣議に列席する前にきわめて簡単な質疑をしたいという、花村委員からの申出がありますから、ひとつ……。

花村四郎自由党

○花村委員 私は簡単に登記所廃止問題について法務総裁にお尋ねをいたしたいと思うのであります。今日各方面から登記所廃止に関する反対陳情がわれわれの手元に参つておるのでありますが、今日の法務府における機構並びに登記所存置の必要性にかんがみ、かくのごとき問題の起きますことはまことに遺憾に思うのでありますが、こういう登記所廃止に関する何か構想をお持ちになつておるのであるかどうか、あるいは持つておられるとするならば、その内容いかん、これをお尋ねしたいと思うのであります。

大橋武夫自由党法務総裁

○大橋国務大臣 登記所廃止に対します反対運動なるものは、私も電報あるいは書面によつて受けておるのでありますが、政府部内におきましては、ただいまのところ、登記所の廃止というようなことは何ら考えもありませんし、また問題にもなつておらないわけであります。しかしながら、目下御承知の通り行政整理が問題となつておるのでございまして、この行政整理が一般的に行われるとするならば、当然法務局あるいは地方法務局等においても人員の整理が必要となるのではないか。もしさようなことに相なりますと、法務局、地方法務局におきましては、現在その処理いたしております広汎な事務の種類及び分量の点からかからかんがみまして、その整理のいかんによりましては、最悪の場合においては若干の登記所事務を停止して、人員の配置転換を行わなければならないような事態になるのではないか、かような予想のもとに、それでは困るからという趣旨で、かような反対運動が多少行われておるのではないか、かように推察をいたしておる次第なのでございます。もとより国家全体の問題といたしましては、行政整理の必要のありますことは、これは否定することはできないのでありまして、またその場合におきましては、政府の各機関におきましても、でき得る限りこの国の必要とする行政整理を可能ならしめるためにこれに対して協力すべきであるということも否定することのできない点でございますが、何分にも登記所と申しますものは、各種の登記、あるいは土地台帳、家屋台帳等に関しまする事務をつかさどつておるのでございまして、一般公衆の利害と至大直接の関係があり、登記所の事務を停止いたすようなことになりますならば、必然的に国民に多大の不便をかける結果と相なるのでございますから、法務府といたしましては、もちろん行政整理に対しましては、法務府としての立場から、十分たる協力をしなければならないという考えは持つておるのでございますが、しかしその結果、当然登記所の事務を停止するというようなことに相なりますと、これは当を得ざることと考えておりまして、さような事態の生ずることのないように努力いたしたい、かように存じておる次第でございます。

花村四郎自由党

○花村委員 大体御趣旨はよくわかりましたが、行政整理をせなければならないこと、これまた当然でありまして、われわれが何らの異論をさしはさむ余地がないのみならず、進んで行政整理を徹底的にやられんことを政府に要望する一人であります。わが国の行政機構を通観いたしてみますのに、行政整理について合理性を持つている面がすこぶる多いと申し上げてよろしいと思う。しかしこの登記所に関する限りにおいては、行政整理の対象として扱うことがはたして妥当であるかどうか。これを考えます場合において、われわれは大きな疑問なきを得ないと思うのであります。従いましてただいま法務総裁の説明をお聞きいたしますと、廃止するようなことは考えておられないようなお話でございますが、しかし一たび登記所廃止等に関する風説が流布せられるや、ただちに日本全国から最も真剣味を持つた幾多の陳情がわれわれの手もとへすらもまわつて来るというこの姿を見ても、大いにこの問題に対しましては、慎重なる態度をもつて臨まなければならぬことは、この一事をもつて明瞭に相なることであろうと思います。本日も富山県下の新川郡からそうした陳情に来ておりますのみならず、ことに静岡県引佐郡の伊平村のごときは、非常に関係町村が広範囲にわたつておりますのみならず、同県周智郡の水窪町のごときも、これまたただいま申しました伊平村に劣らざる相当に広範囲な事務を担当しておるというようなことで、もしこの登記所が廃止せられるような場合においては、この地方民の重大事なりとして、ここに村長その他郡の有志も傍聴に来られておるというようなことに相なつておるのでありまして、地方にとりましては、登記所事務こそまことに重大であり、しかも地方民に切つても切れない深い関係を持つており、しかも利用せられることがすこぶる多いという関係にありますのにもかかわりませず、今日のこの登記所の事情を見てみますならば、なおまた地方における交通関係等から見ても、むしろ少きに失するのではないか、また人員等も、農地整理を断行いたしまする場合においては職員も相当多かつたのでありますけれども、すでに農地整理が済んだ今日においては、そうした職員も整理をせられておるというような関係からいたしまして、土地台帳もしくは家屋台帳に関しまする事務がふえて参りました登記所といたしましては、むしろ人員も少きに失するの感があるのでありまして、その建物といい、あるいはその設備といい、あるいはまた職員の配置といい、不足こそ感ずれ、決して多いというものではないことは、衆人の認めてもつて争わざるところでございまして、この登記所に行政整理のほこを向けるがごときは、これはまことに愚のはなはだしきものであると申し上げてよろしいと思う。こういう見地に立つて考えまする場合において、行政整理まことにけつこうでありますけれども、拡大強化して地方民の便益に供さなければならぬ今日、設備においてむしろまことに不便きわまるものが多い。こういう登記所の事務に関しましては、ひとつ十分に行政整理の上から御考慮願いたいということを特に申し上げておきたいと思うのであります。  これを要するのに、行政整理についてはもちろん異存がありません。行政整理を徹底的にやつてもらうことはわれわれの希求してやまざるところでありますが、行政整理の対象は幾らもあるのであります。登記所のごときこまかい問題を対象として行政整理を考えるがごときは、私はまことに愚の骨頂であると申し上げたいのであります。なるほど職員の配置転換はけつこうでありますが、むしろこういう方面に増してもらうことこそ、今日の登記所事務整理の上から見て必要欠くべからざるものであることを、かえつて声を大にして私はここで申し上げたいと思うのであります。でありますから、ただいまの法務総裁のお話によれば、大体心配はないようでありますが、なるべくどころではない、絶対にこういう面に対するこまかい行政整理などはしてもらいたくないという希望を多くの人が持つておるのでありますが、法務総裁の御所見を最後に承つておきたいと思います。

大橋武夫自由党法務総裁

○大橋国務大臣 ただいま花村委員からお述べいただきましたことは、私どもことごとく同感に存ずるわけでございまして、今後この問題につきましては、十分に御趣旨を体しまして善処いたしたいと存じます。

押谷富三自由党

○押谷委員 私の質問に対して吉河特審局長の答えは、まつたく琴線に触れないものでありますが、事件がただいま捜査段階にある今日においてはやむを得ないと思います。そこで一、二の点を重ねてお尋ねをするのでありますが、伝えられておるところによりますと、日本共産党は八月十四日のモスクワ放送をきつかけといたしまして、全国的にゲリラ工作拠点の設定、講和妨害闘争を初め、文書による露骨な反米活動を開始したと言われているのでありますが、はたしてかかる事実があるかどうか。なおまた八月の十七日から三日間、都内杉並区の某アジトにおきまして、徳田球一氏ら潜行幹部を交えまして、秘密裡に中央委員会を開催して、新テーゼとも言うべき闘争新綱領を決定したと言われているのであります。はたしてかかる事実があるかどうかをお尋ねいたします。

吉河光貞検事(法務府特別審査局長)

○吉河説明員 ただいま御質問になりました事項は情報としてこれを入手しております。しかしながらその事実の有無、出所の点につきましては、目下慎重に調査中でありまして、ここで御答弁申し上げるような事実をつかんでおりません。

押谷富三自由党

○押谷委員 今回の日共の手入れは、極秘のうちに運ばれたにもかかわらず事前にこれらの情報が日共方面に漏らされていると思われる奇怪な事実につきまして、お尋ねをいたしたいと存じます。聞くところによれば、今回の手入れは、警視庁始まつて以来の厳重な統制下になされておつたそうであります。事前にこの情報を知つている者は、古屋刑事部長、島田捜査第二係長、鈴木第三係長と主任警部くらいであつてしかもその人たちは、当時動員されました私服刑事百八十名とともに、前の晩から都内の某所に分散カン詰めにいたして、行動を起す寸前までは、何人にもこの事実は知らされておらなかつたというのであります。かような厳重な緘口令下に置かれたにもかかわらず、この重大なる情報がすでに日共側に漏らされていたと思われることは、当時大阪市東区安堂寺町の天声閣において発見されました三日の午前九時発日共指導部からの電文によりますと、秘密文書を整理せよとあつたそうであります。前日の朝すでに彼らはこの捜査手入れに対する対策を指令しているという事実があります。また手入れの前夜東京の代々木の日共本部におきましては、夜通し電燈をあかあかとつけまして、ただならない気配がただようておつて、附近の人も不審に感じたというのでありまするが、はたせるかな、この四日の未明五時半に、岡村警部を先頭に捜査第二課員が侵入をいたしましたときには、目ざす岩田英一氏はすでにもう身じたくを整えて微笑しながら受付に待つておるという状況であり、そうして飛び込んで行つた捜査課員に向つて、君らが来るのはもうすでに知つておつた、だから水も打つておる、いすも並べておる、こういうような状況で検挙隊の方があつけにとられたということでありまするが、かような状況下においてなされたのでありまするから、せつかくこの手入れにもかかわらず、十八名の逮捕状に対して事実逮捕された者は八名のみである。十名は再び地下に潜行せしめたということになるのでありますが、決して感心した手際とは申し上げられません。かような事実を前にして、どういう径路からこの秘密が漏れたものであるかということは、御調査になつていると思いますが、その点をお伺いしたいと思います。

大橋武夫自由党法務総裁

○大橋国務大臣 当日の検挙に関しましては、もちろんこの種の事柄の性質といたしまして、関係各機関、ひとり警視庁のみならず、あらゆる機関におきまして、極秘裡にこれを取運んでおつたのでございます。これがために、特にいろいろな特殊心づかいをいたしたわけでありますが、その結果から判断をいたしますと、この十七名の中で、最初から六名ばかりは確実なる居所というものを明らかに捜査側においていたしておらなかつたのでありまして、場合によりましては、最初からこのうち六名だけは急速なる検挙は困難であるかもしれぬ、こういうふうに考えておつたのでございます。しかるに結果といたしましては、当初予想いたしました六名ばかりでなく、そのほかに約三名の者が行方を明らかにいたしておらないという状態で、今日いまだなお検挙に至つておらないという実情でございます。このことにつきましては、あるいは事前に当方の意向が察知されまして、それがために他へ秘密裡に移動をした、その結果検挙ができなくなつたのではないかというふうなうわさもございます。いわゆる情報が漏れたのではないかといううわさもございまするし、またわれわれの側といたしましても、非常に意外な結果に相なつておるのでございまして、その原因は、うわさのいかんにかかわりませず、慎重に検討をいたしておる次第でございます。ただ当局といたしましては、今日なお各機関におきまして、残余の人人を一日もすみやかに逮捕するということに努力をいたしておるのでございます。この情報が何ゆえに事前に漏洩したか、はたして漏洩しているかどうか、漏洩したとすればいかなる径路によつて漏洩したか、この点に関する十分なる調査はもちろん現在におきましてもやつてはおりまするが、しかし徹底的にそれをいたすべき段階にはまだないと、こう考えております。

押谷富三自由党

○押谷委員 ただいま調査中であると言われるのでありまするが、私はこの今回の秘密漏漫は非常に重大なものがあると考えるのでありまして、この事件につきましては、特審局から告発をされたのは、おそらく二日かあるいは三日の朝だと考えられます。それにもかかわらず三日の午前九時の発信にかかる日共指導部の電文の中に、すでに申し上げたように、秘密文書を整理せよと言つておるのであります。こうなつて来ますと、この秘密を漏洩したその筋があるいは特審局内にあるのか、あるいはまた検察庁にも日共の情報網が張られているのではないかと考えられるのでありまして、今後の日共に対する対策の上からきわめて重大だと考えるのであります。従いまして、この点につきましては万全の処置を講ぜられて、さような事実があるかないかは、格別に御調査を願いたいと存ずるものであります。  それからいま一つお伺いしたいと思いますることは、今回の手入れの直接原因となりましたのは、非常な有力な文書でありまして、この有力な文書が手がかりとなつた。これは特審局の中国支局員が鳥取県の共産党委員会事務所において、ここを襲うた際に入手いたしました秘密文書だと聞いております。この有力な証拠書類を広島から東京の特審本局に逓送する途上において、列車中におきまして、日共の行動隊から奪還を企てられたという事実があるそうであります。広島特審支局においては、非常な周到な注意から、特に郵送という方法を避けまして、これを練達堪能な松本事務官に携行せしめるという方法を選んだのでありますが、この松本事務官が単身この重任を帯びまして、車中におきましては、特に車掌室に入つてみずから内部から錠をおろしまた駅ごとには窓を閉めるというような、非常な周到な注意をもつて臨まれたのでありますが、しかし日共の行動隊数名が暴力によりましてこのドアーを破壊する、あるいは錠前がこわれるというその寸前に、たまたま車掌が通りかかりまして事なきを得たというのであります。幸い重要な証拠書類は無事に特審本局に届けられましたことは、まことに幸いでありましたが、これがために今回の手入れとなつたのです。もし不幸にしてこの書類が途中で奪われておつたとするならば、これは大きな蹉跌を来したと考えられるのであります。そこで私が考えまするのには、こういう重要な任務を帯びて重要書類を携行するというような場合に、広島と東京は二十時間から汽車に乗らなければならぬ、単身これにおもむかしむるというのは少々不用意ではないか、日共の組織や日共の行動に対して見方が甘過ぎるのではないかと考えられるのでありまして、今後かような不用意があつてはならない、一人で行くところを二人、三人をつけて行くならば、かようなことはおそらくあり得ませんし、かりにあつたところで、それに対しての一つの備えをつけておるということになり得ると思います。こういう関係をながめまして、政府当局におかれてはどう考えられているか御意見を承りたいと思います。

大橋武夫自由党法務総裁

○大橋国務大臣 特審局におきまして重要なる指令あるいは押収いたしましたる重要なる参考品または証拠物、こういつたものを本局に逓送いたしまする際に危険が伴うということは、これは事実でありまして、これがためにはできるだけ一人でなく数人、少くとも二人以上そういう人たちが一緒に同行してその逓送に当る必要のありますることは確かに御税の通りでございます。今日まで当局といたしましても十分にさような注意をいたしておつたのでございまするが、しかし手不足の関係上時として一人できわめて重要なものを運ぶというようなこともやむを得ずやつておつたのでございます。今後におきましては最近の経験にかんがみまして十分にこの点に注意をいたしまして、必ず危険のないような措置を講じたい、かように考えております。

押谷富三自由党

○押谷委員 いま一点お尋ねをしたいと思いまするのは、松本事務官の場合におきましても、単身任におもむかしめるというようなことは、結局は特審局における手不足というような関係もあつたと思われるのであります。今日の日共の活動状況なりあるいは講和後における日本の国内治安というような大きな問題から考えまして、特審局の拡充強化というものも当然必要だと考えられます。総裁におかれては特審局の拡充強化の方法についてどういう構想をお持ちになつておるか承りたいと思います。

大橋武夫自由党法務総裁

○大橋国務大臣 特審局といたしましては、最近の国内の治安状況から考えまして、特審局の拡充が必要であろう、こう思つております。また将来におきまして、ポツダム政令によつておりまする現行のいろいろな治安に関係ある行政手続が、新憲法の趣旨に適合した、訴訟化された手続として行われるということになりますると、この面におきましても、当然現在の陣容を強化するのでなければその使命を達成し得ない、こういうように考えております。ただいまその強化の方法を研究いたしておるのであります。その大体の構想といたしましては、ただいまなおこれに関係いたしまする予算案を、大蔵大臣と協議中でございまして、まだその了解を得るという段階になつておりませんので、まつたくのこれは法務府だけの考えでございます。それにつきまして御説明申し上げますると、現在におきまして、大体特別審査局の陣容というものは、中央及び全国八支局、これは相当強化されまして、ある程度期待できるような実情にございます。しかし第一線機関である各府県にありますところの関係機関の実情というものは、きわめて微弱でございまして、これでは第一線におきまして必要なる調査を行い、必要な行政措置を準備するというには、至つて不足を感じておるのでございます。特に今回の強化におきましては、この面、すなわち各府県の第一線の面を強化しなければならぬ、こう考えておるのであります。大体強化の規模といたしましては、現在約千二百名ばかりでございまするが、これを本年度内におきまして、三千名程度にまで拡充し、来年度以降におきましては五千五百くらいにまで拡充をいたしたいものである、こう考えております。但しこれは先ほど申し上げましたごとくまだこれに関する予算につきまして大蔵省と折衝中であるということをつけ加えておきます。

押谷富三自由党

○押谷委員 もう一点。今後の治安関係についての政府機構として先般橋本大臣だつたと思いますが、治安長官を法務府に置くというような言葉があつたのでありますが、はたしてさような構想があるかどうか、また治安長官と特審の関係、これにつきまして、もしおわかりでありましたならばお聞かせを願いたいと思うのであります。

大橋武夫自由党法務総裁

○大橋国務大臣 私も新聞紙におきまして行政管理庁長官として、の橋本国務大臣の御意向として、ただいまお述べになりましたような記事を読んだことがあるのでございますが、しかし治安関係の機構というものは、個人の基本的権利の制限ということを必然的に伴うものでございまして、これにつきましては日本国憲法というものの人権保護というような精神から考えましてその機構におきましてもかような精神をそこなうおそれのないような十分な用意を持つて機構を考えて行くということが必要である、こう考えるのであります。かような趣旨につきましては、私もいろいろな機会におきまして橋本国務大臣とお話合いをいたしたこともあるのでありますが、なお現在の状況といたしましては、橋本国務大臣におかれまして、この点について十分な御理解を持つて御研究中である、こういうふうに承知いたしております。従いまして新聞紙におきまして、橋本国務大臣の確定的な御意見であるがごとく伝えられておることは、多少実際と食い違いがあるのではないか。事実はなお橋本国務大臣におかれまして御研究中の状態にある、こういうふうに私は承つております。

押谷富三自由党

○押谷委員 ちようど法務総裁が御列席でありますから、一言先般お尋ねをいたしました恩赦関係について、重ねてお伺いをいたしたいと思います。先般政府の御意見、法務総裁の御意見としては、今回の講和は国をあげての喜びであり、この喜びを国民全般にわかちたいという趣旨から恩赦の発令をいたしたいという構想を説明せられたのであります。幸いに先般サンフランシスコにおいて日本の講和調印を終つたのであります。この事実にかんがみまして、恩赦の発令は大体いつごろなされるものであるか、あるいは日本の国会の批准であるとか、あるいは講和の発効というような時期との関係につきまして、法務総裁の御意見を伺いたいと思います。

大橋武夫自由党法務総裁

○大橋国務大臣 平和条約の成立に関連いたしまして、恩赦権の発動ということの必要性につきましては十分に考えておるのでございまして、この発動の時期は、ただいま法務府といたしましては、平和条約の発効の時期がこれに最もふさわしい時期ではなかろうか、こういう方針で準備を進めつつあります。

押谷富三自由党

○押谷委員 恩赦の範囲でありますが、従来はほとんど恩赦の恩典に浴する者は政治犯でありますとか、国事犯であるとか、あるいは一部の経済事犯といつたようなものでありますが、今回のこの喜びを広く国民にわかつという趣旨からいたしますならば、政治犯、国事犯あるいは経済犯、ポツダム政令の違反等の者はもちろんのことであつて、特に破廉恥罪というような犯罪者につきましても、広くこの喜びをわかつという必要があるのではないかと存じております。行刑方面の役人や事務当局の考え方を見ましても、一部の犯罪者が恩赦から漏れるということは、思想的にも非常に大きな影響があるそうでありますから、特に広く御考慮を願いたいと思つているのであります。この点に つきましての御意見を承りたいと思います。

大橋武夫自由党法務総裁

○大橋国務大臣 ただいま押谷委員のお述べになりましたことにつきましては、当局といたしましてもまつたく同感でございまして、さような趣旨をもつてただいま研究を進めつつございます。

安部俊吾自由党

○安部委員長 梨木作次郎君。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 法務総裁に伺いたいのでありますが、去る九月四日に行われました共産党のいわゆる幹部と称せられる人々に対する逮捕並びに捜査の問題についてお尋ねしたいのであります。この逮捕はまことに不当なものであることは申すまでもないのでありますが、この点はあとで触れるといたしまして、捜査について非常に不当なことが行われた。それは第一に、この十七人の中に四名の国会議員、つまり参議院議員が一人に衆議院議員が三人おるわけでありますが、第一議員会館におきまして河田賢治議員の部屋を捜索しておるのであります。ところがこの捜索には河田賢治君の秘書の杉山君というのが立会いを要求しております。それから同僚の私の方の党の議員でもある柄澤登志子議員も立会いを要求したのであります。しかるにその立会いを拒否いたしまして捜索が行われておるという事実があるのであります。御承知のように刑事訴訟法の第百二条並びに百四条によりますると、国会議員つまり衆議院議員あるいは参議院議員、同じことでありますが、国会議員に対して捜査をする場合に、これは職務上の秘密に属するものであるという申立てをした場合は、院の許可がなくては押収することができないのであります。ところでこれは、この刑事訴訟法によりますると、本人の申立てということになつておるのであります。でありまするから、議員としての機能を十分果させるためには、つまり国政調査の権利並びに立法の審議の権利、これらの機能を十分に果させるためには、行政官憲からの不当なる圧迫、制肘から独立してその職務が遂行できるように保障がない限りは、国会議員としての職務を遂行できないのであります。この精神からいたしまして、刑事訴訟法の百三条並びに百四条で、議員に対する一つの保障が行われておるのであります。でありまするから、国会議員に対して家宅捜索を行う場合は、必ず当該議員の立会いがなければできないわけであります。なぜならば、その立会いをさせない限りは、百三条並びに百四条に保障している権利を行使する機会が奪われるのであります。御承知のごとく国会議員は憲法におきましても、会期中は逮捕されないという権利並びに国会内においての言論並びに表決については院外において責任を問われないという保障がなされておる。これと並行いたしまして――これはむしろ形式的と言えば言えないこともない。その内容となるべきものは、国会議員が行政機関を監督しあるいは監視し、あるいは適切なる法案を審議するためには、その審議に必要な資料を収集し保存し管理する権利というものが完全に保障されていない限りは、この機能を果すことはできないのであります。従つてこの刑事訴訟法の百三条並びに百四条の保障というものは、議員の権限権利を保全し保障する建前からいつて最も重要な規定であります。これが今回の共産党議員の捜査にあたりまして無視されておるのであります。第一議員会館においては、河田賢治君にしてそのような不当がなされておるし、それから九段の議員宿舎におきましては、砂間一良代議士の部屋を捜索するにあたりまして、やはり同僚議員の山口武秀君が立会いを要求したにもかかわらず、これを拒否しておるのであります。こういう事実があることが一つ。  もう一つは、捜索を終りまして、この刑事訴訟法によりますならば、押収目録というものを手交しなければなりません。ところが押収目録というものを議員会館の事務員に渡し――これは事務員か会館長かよくわかりませんが、とにかく秘書やその他河田君の代理となるべき者には渡しておらないのであります。そしてこの押収目録と現実に押収した物件とをこれらの関係者に対照させる機会を与えないで、まつたくこそこそとこの議員会館から引揚げておるのであります。こういうことが放置されますならば、こういうことが許されまするならば、これは何を押収して行つたかさつぱりわからない。しかも現在の特審局や検察庁のやり方というものは、まつたくわれわれから申しますならば、事実を摸造した基礎の上に検挙を行つておる。そういう事実がたくさんある。そういたしますならば、現物と対照する機会を与えないで、かつてに持つて行つて、そうしてこういうものがあつた、ああいうものがあつたという目録をつくつて、これを言いがかりにして議員に対する不当 な刑事制裁や、あるいは行政措置をとる基礎にするというようなことは、まつたく国会議員の地位の安全と、それから独立の保障に対する破壊であり、侵害であるとわれわれ考えざるを得ぬ。この点についての法務総裁の見解を聞いておきたいと思うのであります。

大橋武夫自由党法務総裁

○大橋国務大臣 今回の議員会館並びに議員宿舎等におきます捜索につきましては、これは特審局、検察庁において当つたのではなく、司法警察官においてこれに当つておるのであります。これらの司法警察官の職務上の事柄につきましては、公安委員会において常に刑事訴訟法の条規に適合した取扱いを指示、指導しておられるのでありまして、ただいま御指摘になりましたような違法の措置というものはおそらくなかつた、こう考えております。もしあつたということでありますならば、的確な事実を御指摘いただきますならば、私どもの方で十分に取調べをいたしたい、こう存じます。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 総裁の手元にまではまだ報告が行つておらないようですが、これは衆議院の大池事務総長にお聞きになつてもはつきりこの事実が明白になるのでありまして、当時杉山秘書並びに柄沢議員が立会を要求した。実はこの家宅捜索が始まつたということで、大池事務総長の方に連絡があつたのであります。大池事務総長も急を聞いてかけつけたのでります。それで杉山秘書並びに柄沢議員がどうしてもわれわれ同僚議員としてまた秘書として立会いたいということを要求した。ところが中からかぎをかけまして、どうしてもあけなかつた。ところがこの部屋のそとに警戒にあたつておつた警官がおつたので、この警官に、どうしてもあけないから、大池事務総長が、あなたはそれでは同じ警察の人として中へひとつとりついでくれないかということを頼んでおる。ところが大池事務総長に対しても、そういう必要はないといつてこれを頼んで、捜索をやつておるのであります。これはもう明白な事実であります。でありまするから、これは法務総裁も総裁であると同時に、国会議員なんでありまして、これは国会議員全体の重大問題であると思うのでありますから、かようなことが放置されまするならば、まつたくこの一角から日本の行政官憲による独裁化という、国会に対して大きな権力的な圧迫が加わり、ひいて国会の独立というものが毀損されて来るという重大な問題をここに包蔵しておると思うのであります。従いましてこれにつきまして十分な調査をしてもらいたいということが一つと、もう一つは、今後国会議員に対する家宅捜索をやる場合には、これは私は大池事務総長ともこの問題について話し合つたのでありますが、これは刑事訴訟法によると、本人の申立ということになつておりますが、しかしこれは本人がおらなくとも、秘書やあるいは同僚議員が立会いを求めた場合には、この法の精神からいつて必ず立会わせなければならぬ。われわれは実際は本人の来るまで家宅捜索は中止しておくべきである。なぜならばどれが職務上の秘密に属するかは本人でなければわからないのでありますから……。第二段階といたしましては、それは秘書やあるいは同僚議員はある程度わかるかもしれません。このことが保障されておらない限りは、今後講和後においても、国内的にいろいろな複雑な問題、いろいろの対立、相剋が出て来ると思うのでありますが、その過程においてもかような国会議員に対する地位、身分の保障というものは十分にやつておかないと、これはまつたく官憲による独裁化が助長されて来るということを、われわれは非常におそれるのであります。従つて今後この家宅捜索にあたりましては、とにかく当該国会議員の立会いなくしてはやらない、このことを部下に十分徹底さしてもらいたいということをお願いしておくのであります。  それからもう一つはいわゆる幹部と称せられる人々に対する逮捕が行われておるのでありますが、これはきわめて不当であります。なぜならば事実この九月四日のサンフランシスコの調印を前にいたしまして、あの調印にまつこうから反対しておつた議員を逮捕するということは、もちろんあなた方から言えば犯罪の嫌疑があつたとおつしやるかもしれません。しかしながら事は政治活動、つまり破廉恥罪でも何でもない、要するに政治活動の問題に関連しておるのであります。さようなものを、この重大な国会を前に控えて、これに反対する党派の議員を逮捕することはきわめて不当であり、明らかにサンフランシスコの会議の調印に反対する党派の議員あるいは党を弾圧するという印象を国民に与えているということは否定できないのであります。ところで、この問題と関連いたしまして、逮捕すると間髪を入れず、これを公職追放にしておる。これは一体どういうわけなんですか。われわれの常識からいたしまするならば、この刑事裁判が確定した後において、この問題が公職追放に該当するような事案でありまするならば、それを理由に公職追放することは実質的にはともかくとして、法的な手続からいえば、さような方法をとることが最も民主的だろうと私は考える。ところが間髪を入れずに公職追放にするというようなことは、どういう理由でそういうことをおやりになつたのか。どのような手続でおやりになつたか、つまり前のわが党の中央委員二十四人に対する追放は連合軍司令官の指令があつたということになつておる。今度の場合もやはりそういう事例があつたのかどうか。それとも政府独自の判断でおやりになつたのか。その点を聞いておきたい。つまり政府独自なのか、指令があつたのか。その追放の理由、根拠はどうなつておるのか、これを伺いたい。

大橋武夫自由党法務総裁

○大橋国務大臣 まず御質問の第一点でありますが、将来国会議員の住居あるいは事務所等の捜索においては、本人が必ず立ち会わなければ捜索してはいけない、あるいはまた同僚議員の要求があれば、必ずその立会いを拒むことはできない、こういう趣旨で刑事訴訟法を運用すべきである、またそうしてもらいたい、こういう御要求でありまするが、私どもはすべて法律の執行というものは、厳格に法自体に基いてなすことが民主主義の原則に適合いたしておる、こう考えておるのであります。従いまして、刑事訴訟法の捜索に関する規定の適用につきましても、厳格に法律によつて執行すべきでありまして、それ以上に国会議員について特別の訴訟法上の特権を認めるというがごときは、これはこの種の法規の運用の民主的な精神からいつて適当でないという考えを持つておるのであります。もし梨木君の言われるように、そう運用すべきものであるというのでございましたならば、私ども関係当局といたしましては、現在の刑事訴訟法においては、御希望のような運用をすることは、不必要であるばかりでなく、不適当である、そういう法意である、こう解釈いたしておりますから、少くとも国会におきまして御趣旨のような改正が明らかに行われまするまでは、私は現在のごとき運用をする以外にない、こう考えております。  次に今回の検挙の時期等から見まして、政府が政治的な反対派に対する弾圧をいたしたような印象を与えておる、こう言われたのでございますが、すべて犯罪の検挙というものは、その端緒がありましたならば、法の命ずるところによりまして、平等に公正に取扱うべきものでございまして、現在講和条約が調印されておるかいないか、そういうような事柄について考慮をめぐらすということも、これは政治的にはそういうことも適当かもしれませんが、私といたしましては、かくのごとき犯罪の検挙については、さような政治的な考慮を加えるということは、法の運用上かえつて妥当ならざる結果を惹起する場合が多いのでございまして、その種の政治的な考慮というものをむしろ抜きにいたしまして、厳密に法律を執行するということが適当である、こういうふうに考えておるのであります。従いまして、九月の四日に検挙が行われたということは、この犯罪の容疑について十分な理由あるところの端緒をわれわれが最初につかんだのが八月の十四日でありました。これが現地から東京に送られて参りましたのが約四日後でございます。その後当局といたしましてあらゆる角度からこの材料を検討いたしました上で、告発すべきものであるとこう考えまして、九月一日に告発をした。この告発に基きまして検察庁その他の捜査当局におきまして検挙の準備をいたし、最も早い時期、すなわち九月四日の早朝に検挙をいたした、こういう順序でございます。従いましてこれはあらかじめ仕組まれたる時期において検挙が行われたるものでなく、また特に故意に政治的の意図をもつて九月四日に検挙をされたものではございません。ただまつたく偶然さような時期になつたわけでございます。  それから次に公職追放の措置を政府においてとつておるが、これについての措置は犯罪に関する裁判の確定後においてすべきものではなかろうか、こういう御意見でございますが、私どもは従来公職追放は純然たる行政処分として考えておるのでございます。その理由につきまして別途に刑事訴追が行われる場合におきましても、その訴訟に属しまする確定判決をまつ必要はない、そのときどきの公衆の福祉を保護するために必要な行政措置ということはこれはあえて刑事訴追の手続の終了をまつまでもなく、必要を感じた都度これと独立にいつ何時実施してもさしつかえない、こういう解釈をとり、さような趣旨をもつて運用をいたしておるわけでございます。  なお公職追放の法的根拠についての御質問でございましたが、この法律的な根拠といたしましては特審局長から御説明を申し上げます。

吉河光貞検事(法務府特別審査局長)

○吉河説明員 今回の公職追放を取扱つた局は特審局ではございませんが、私が聞いておりますところによりまして、知識としてお答えいたします。今回の追放の法的根拠は、連合国軍最高司令官が発せられました先般の日本共産党中央委員追放の指令に基くものでありまして、その指令の中には、団体等規正令の基礎をなす覚書五百四十八号に該当するものは、公職追放令の基礎をなす覚書五百五十号によつて追放するということが明記されておるのでありまして、これが公職追放の法的根拠になつておる指令であります。今回の措置は、もとより日本政府の措置として行われたものでありますが、当然この公職追放することにつきましては、連合国総司令官の承認のもとに行われたことは申すまでもありません。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 日本政府の措置としてやつたというのでありますが、これは最高司令官の発した日本共産党中央委員の追放指令に基くというのでありますが、この認定は政府がやつたのでありますか、それとも司令部の方で認定したのでありますか、これはどういうことになるのでありますか。

大橋武夫自由党法務総裁

○大橋国務大臣 すべて公職の追放につきましては、形式上日本政府の権限になつておりますから、実質的の認定は、日本政府がやる建前になつております。但しこり公職の追放の日本政府の権限というものが、元来連合国最高司令官の最高権限に基くものでございます。従いまして日本政府の認定というものは、必ず処分の前におきまして、司令部によつて再検討されるというのが従来の実情でございます。

安部俊吾自由党

○安部委員長 それでは休憩をいたしまして、午後二時より再開いたします。  休憩いたします。     午後一時三十九分休憩     ―――――――――――――     午後二時五十分開議

安部俊吾自由党

○安部委員長 休憩前に引続き質疑を続行いたします。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 出入国管理庁の方お見えになつておりませんか。――それでは刑政長官の方からお答えできる範囲にお答えいただいて、他はまた係の人が来ましたらお尋ねすることといたします。  それは中国人の取扱い方であります。御承知のように、国民政府と中共の政府とがあつて、日本には国民政府の代表部というものが来ておるようでありまして、日本の領土内にありまする、たとえば東京華僑総会、これは法人ではありませんから、組合だと思うのでありますが、こういう組合に対しまして国民政府を支持するような声明を出せというような要求があつて、それを出さぬと解散を命ずるというようなことがありました際に、一体日本政府としてはこれに対してどうするか。たとえば現在起りました事件といたしましては、東京華僑総会の事務所の東京華僑会館というものが西銀座八丁目にあるのでありますが、そこで先般も六十名近い暴力団の一味がやつて参りまして、執務中の華僑総会の会長、副会長その他理事、事務員に対しまして暴行を働いて、さつそくここを明け渡してしまえというような要求をし、そうして机からひきだしを引出して書類をみんな持つて出る、あるいは倉庫へみんなひきだしを集めてかぎをかけてしまう。そうして厳封なんという札を張つて、執務ができないような状態にしてしまうようなことが起つておるのであります。商人のこういう組合でありまして、何ら治安を乱すような行動もなし、ここに正式な事務をとつておる者に対しまして、そういう一団が入つて来て暴行をやる。その原因をだんだん聞いて見ますと、こんな東京華僑総会などは国民政府の代表部が解散を命じたので、自分たちがそれにかわつて今度はこの会館の支配をするのだというようなことを言うて乗り込んで来た。そのうちの一入は茶わんでもつて後頭部を乱打せられまして、けがをして鮮血が事務所を染めたというようか事案がありました。そこでかような場合におきまして国民政府のこういう組合に対しましての解散命令というものにどういう効力があると一体日本政府は見るべきか、及び、もちろん刑事犯罪が行われた場合には、これは処断するでありましようが、組合の総会で市式に決定しました会長、副会長の地位を否認し、全然総会で何らの選挙もされずしておる一団の者が、国民政府の代表権があるというようなことを言うて、引渡しを要求するというようなことがあつた場合に、一体日本の取締り官庁はどういうふうにこれを処置すべきかということに対しまして、御意見を承りたいと思うのであります。

草鹿浅之介刑政長官

○草鹿説明員 私の担当しております事務に関連いたします範囲でお答えいたします。日本に在留しております中国人に対しては、一律平等に日本人と同じように取扱いをやつております。従いまして、ただいま仰せになりました先般の華僑総会のことについて騒擾事件がありましたとすれば、これが取扱いにつきましても日本人同様の取扱いをやることにしております。そのことにつきまして両方の当事者から先般それぞれ警視庁に告訴状を出されたということを聞いておりますが、この事件につきましては目下警視庁において取調べていることと思いますので、その結果が判明しなければ、どういうことがあつたか、まだわれわれはよくわかつておりませんですが、いずれにいたしましてもわれわれとしましては公正な立場に立つて捜査を行つて、いやしくも違法の点があれば、法律の命ずるところに従いまして日本人同様に取扱いをやつて行くことに相なります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 これは刑政長官の権限であるかどうかわかりませんが、結局、国民政府の代表部なるものが、日本の内地におきまして中国人に対していかなる命令権があるのであるかという問題になると思うのであります。たとえば国民政府を支持するという声明を出さなければ、華僑総会の役員に対して追放するというような命令が出されたといたしますならば、それは一体どういう効力があるか。日本における公職追放令による追放のような効力があつて、それを日本の法務府が認めるのであるかどうか。そういうことについて何か御見解がありましたら承りたい。

草鹿浅之介刑政長官

○草鹿説明員 私の所管ではございませんので、この際私的な意見を述べることは差控えたいと思います。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 ちよつと今の問題に関連して伺いたいのであります。国民政府の代表部から一つの命令が中国人に出された。その命令を執行するについて日本の警察官憲がこれを援助する、こういうことが行われておるわけでありますが、これは日本の官憲がさような命令を執行するについて、これを援助するというような義務がどういう法的根拠において負わされているのか、また日本官憲はこれを援助する場合にどういうような判断でやつて行くのか、つまりこれが適法な命令であるかどうか。それからまたわれわれの法理的な見解から言えば、やはり国民政府の代表部が何か行政的なことを中国人に対してやる場合には、やはりこれは連合国最高司令官を通じてやるべき性質のものであると思う。そうすると、その連合国最高司令官の命令を執行するについては、日本官憲はこれを援助しなければならない義務は負うておると思うのであります。さような事務の運営にあたりまして、一体どういうふうな基準で行われておるのか、この点についての政府の見解を聞いておきたいと思います。

草鹿浅之介刑政長官

○草鹿説明員 国民政府の命令によつて日本の警察官が何か仕事をやつた、こういう事例は私まだ聞いておりませんので、私の想像できますのは、今おつしやいましたように、司令部のあります限りにおいては、やはり司令部の命令であれば格別ですが、国民政府から命令されて日本警察官が動いたということは私まだ聞いておりません。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 問題を具体的に申しますと、こういうことになるわけであります。つまり国民政府の代表部から華僑の団体の事務所の接収命令というものが出たというのであります。この接収をするために、中国人のいわば民間人が接収に行つたわけであります。民間人というか、代表部の人も行つたかどうか、そこのところは明確を欠いておりますが、その際に築地警察とそれから警視庁の方から警察が参りまして、そうして執行を援助した。大体こういうような事案なんであります。そこで私たちの法律的な常識から申しますならば、日本の官憲といたしましては、連合国最高司令官の出した命令を執行する場合にはこれを援助する、また執行を命令されれば、執行しなければならぬ義務を負うておると思うのでありますが、そうでない、中国の国民政府代表部が何らかのやりたいことをやろうとした場合に、一体日本の警察官がその執行を援助しなければならぬのかどうか、援助しなければならない義務を負うておるのかどうか、一体そういうことは日本の官憲の義務として負わされておることなのかどうか、そういうことは職権を逸脱したことではないかというふうにわれわれは考えるのであります。その点についてまず伺いたいと思います。

草鹿浅之介刑政長官

○草鹿説明員 具体的な事実を私どもよく存じませんので、はたしてどういうことがありましたか、私からは何とも申し上げかねます。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 別な問題で……。先ほどちよつと政府に質問するのを失念したのでありますが、九月四日の私の方の党の人たちに対する逮捕にあたりまして、上村進代議士ですが、上村進代議士は法廷から逮捕されておるのであります。法廷の中で捜査権を執行することは不当である、これはまことに行き過ぎであると私は思うのであります。法廷からどこへも逃げも隠れもしないのでありますから、法廷が済んでから逮捕してもちつともさしつかえないものであろうと思うのであります。この点につきまして、私の方は非常な人権の蹂躙として、またこれは法廷警察権の一種の侵害として、人権擁護局に対しても申立てをしておるのでありますが、この点について政府の方でどういうようにお考えになつているか伺いたいと思います。

草鹿浅之介刑政長官

○草鹿説明員 われわれの方で聞いておりますところによりますと、法廷が済みまして裁判官が退席した後に逮捕状の執行をやつたと聞いております。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 私の方で調査したところによりますと、裁判官と検察官は退廷した。しかしながらまだ終つたばかりで、法廷の中で上村さんが法廷の記録をしまい込んでおる、そこを逮捕したというのであります。この点は新潟地方裁判所の所長談が新聞に出ておりますが、これはやはり行き過ぎであるというふうに談話を発表したようであります。それからこの点につきましては、新潟弁護士会の会長も非常に不当であるということで、人権擁護局に対しても、人権侵害の申立てをしておるという新聞記事をわれわれは手にしておるのでありますが、少くとも法廷が終つたといたしましても、法廷の中で弁護人を逮捕するということは、何もそういうことをしないでも、廊下を出てから逮捕できるはずでありまして、私はこれはやはり行き過ぎであろうと思うのであります。今法廷侮辱制裁法のことが国会におきましてもいろいろ審議されておるのでありますが、やはりこういうことにつきましては、裁判所の法廷の中においても、裁判所長の訓示といたしまして、法廷の内外におきまして騒擾のことをやつてはいかぬということが所長の掲示として出されておる、われわれはこれを目撃しておる。そういう精神からいたしましても、いやしくも法廷の中で捜査権を執行することは私は行き過ぎであろうと思うのでありますが、この点についての御見解を伺いたいと思います。

草鹿浅之介刑政長官

○草鹿説明員 具体的な細かい事実を実は私承知しておりませんので申訳ないですが、今お話によりますと、人権擁護局の方へすでに訴えておいでになりますので、やがてその結果は明瞭になると思いますが、われわれといたしましても、被疑者の逮捕等につきましては、十分人権を尊重するようにやることが望ましいことは申すまでもないことだろうと思つております。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 もう一点。それから細川嘉六参議院議員でありますが、この細川嘉六議員の逮捕に際しましては、細川嘉六さんは六十を越えた老人であり、しかも結核をわずらつているのであります。病身であります。この人に対しましてトラック二台で逮捕に来ているのであります。しかも玄関に現われた、この細川嘉六氏に手錠をはめているのであります。刑事訴訟法の規定から申しましても、被疑者の名誉を尊重しなければならぬということが書いてあるのであります。しかも国会議員に対しまして、トラック二台で武装警官が逮捕に来ている。どうして逃げることができますか。しかるにこの人に対しまして――病身で、しかも六十を越えた老人に手錠をはめるとは何事です。国会議員には国会議員としての名誉がある。こういう人権を無視したような捜査のやり方は十分考えてもらわなければならぬと思うのでありますが、この点についてはどういうようにお考えになりますか。六十を越えた病身のしかも結核をわずらつておる国会議員です。それがトラック二台の武装警官で逮捕に来ているのであります。一体逃げる余地がありますか。それが玄関へ出て来たとたんに手錠をはめるというようなことは、私は行き過ぎであると思いますが、どうお考えになりますか

草鹿浅之介刑政長官

○草鹿説明員 逮捕いたしましたのは司法警察職員が逮捕状の執行をいたしましたので、はたしていかなる逮捕をやつたかよくわかりませんが、逮捕いたします場合には、法律に許されました範囲において、逮捕に必要な措置をとつたことと思いますけれども、これはただ私のりくつだけでありまして、実際の具体的な事実を知りませんので、今お話になりました細川さんに対する逮捕の当否ということにつきましては、私からは何ともお答えのいたし方はありません。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 でありますから私は、細川さんという方は六十を越え、病身である、しかもトラック二台で武装警官が逮捕に来ている、こういう事情を申し上げておるのであります。いずれこれは世間に公表されまして、かような場合に手錠をはめて逮捕するということが、はたして被疑者に対する名誉を尊重した配慮が行われているかどうかということは、輿論がこれを適切に批判するであろうと思うのでありますが、この点について検察当局におかれても十分被疑者の名誉を尊重するようにとりはからつてもらうように希望しておくのであります。

高橋英吉自由党

○高橋(英)委員 関連して梨木君にちよつとお伺いするのですが、今の被疑者の名誉を尊重するということも賛成ですし、国会議員に対して相当考慮した取扱いをしろというのも賛成ですが、共産党の方の梨木君らも、国会議員は国会議員としての特別の名誉があつて、そういう場合には特別の取扱いをすべきだという御主張があるのですね。特権的なものを認めておられるという意味ではなしに、やはり国会議員は国会議員として特別の取扱いをしてもよいという主張ですか。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 それにふさわしい配慮というものが必要だという意味であります。

安部俊吾自由党

○安部委員長 押谷富三君。

押谷富三自由党

○押谷委員 拘置所の敷地問題について法務府当局にお伺いをいたしたいと思います。問題は考え方によれば一地方の関係のようでありますが、およそ拘置所という国家の施設をつくる場合におけるその用地の選定は、おのずから他の官庁とは異なつた観点において考慮を払わるべきではないかと考えておりますから、そこでこの問題をあえて取上げてお尋ねをする次第であります。具体的の問題は、大阪拘置所を最近移転改築をせられるという計画がなされているということでありますが、拘置所が非常に狭隘でありまして、収容人員が多いために収容し切れない、勢いどこかに移転改築をせなければならぬという必要に迫られて、その用地を、大阪の都心であります北区の北錦町に選びまして、すでに用地買収を終り、登記手続も経たと聞いているのであります。この土地は北大阪における随一の繁華街天神橋筋を控えておりまして、人口はきわめて稠密いたしている場所であります。かような場所の中心に、いわゆるどまん中に、約一万坪の高い塀をめぐらした拘置所をつくる。これが土地の発展を妨げ、あるいはその付近の子女教育にも決して芳ばしくない状況に置かれておるのでありまして、拘置所の敷地といたしましは、その形状なり、あるいは裁判所の距離なりの関係からは適切でありましようけれども、大都市計画の見地から、また子女教育の上から考えて、非常に不適当だと存ずるのでありますが、当局におかれて、拘置所あるいは刑務所の敷地買収にあたつて、かような事情を特に考慮せられる必要があると思いますが、この点に対する当局の御意見を承りたいと思います。

草鹿浅之介刑政長官

○草鹿説明員 拘置所とか、刑務所といいますものは、これはだれしも自分の近所に来てもらつてはあまり気持のよいものではないのでありまして、できれば市街地から離れたところが望ましいかもしれませんが、一面拘置所の特質からいたしまして、あまり遠方の地にありますと、未決におります人たちの人権を擁護するという点に非常な不便が生ずるのであります。大阪拘置所の場合におきましても、大阪拘置所はもともと大正の初めごろに支所としてごく小さな規模しか持つていないのでありまして、今日では大阪の拘置所としては少しも適当ではなくなつて参りましたし、加うるに、終戦後におきまして未決収容者の数が非常にふえて参りまして、根本的に何とか拡張したければいけない、こういうことになつて参つたのであります。そこで適当な場所をいろいろ選定いたしたのでありますが、先ほど申しました通り、未決収容者は、刑務所の受刑者と違つておりまして、裁判所や検察庁、警察署、これらの間の交渉が非常に多いのであります。さらに弁護士の方とか、あるいは家族の方が面会に来られる、こういうような必要から、どうしても裁判所と相当接近した地点でありまして、しかも交通の便利な場所にあることが必要な要件になつて来るのであります。今回の大阪の拘置所の候補地として買収いたしました天満駅の前の北綿町、ここの土地も、いろいろこういつたような条件、それから法務府で買いますときのいろいろな財政的な制約、これらの点をいろいろ比較考慮いたしまして、近所の方にはあるいはごめいわくかもしれませんが、結局現在の所に、各観点から見まして、ごしんぼうを願うよりほかいたし方ないんじやないか、こういうことできめたのであります。

押谷富三自由党

○押谷委員 現在御選定になりました北錦町は、今刑政長官のお言葉の中にありましたように、現在の拘置所がつくられたのは大正七、八年ごろでありますが、現在の拘置所のつくられた以前に、大阪に堀川監獄というのがありまして、それが大阪の土地発展を阻害するものであり、教育上もよろしくないから、ぜひ移転をしてもらいたいという市民の猛運動の声を聞かれて、松室司法大臣の当時であつたと思いますが、その輿論に基いてこれを移転されたという歴史があるのであります。その移転をせられた堀川監獄の跡は、ちようど今選ばれた土地の約一町ばかり西にあたつておるところでありまして、まつたく過去においては、市民の努力によつて、土地の発展を阻害する刑務所を、一部は堺へ、一部は裁判所にひつついた現在の拘置所に移転させたのでありますが、それがさらに再建をいたしまして、一町ばかり東のこの土地に拘置所を選ばれるということになるのでありますから、歴史を考えましても、この土地は市民としては絶対賛成のできない場所にあたつているのであります。これを新聞の発表によりまして大阪の住民が知りまして、先般住民大会を開いて、かような場所に拘置所をつくるということは絶対反対である。土地の発展からも、またその地位が省線天満駅の真下でありまして、また子女教育の上からも絶対許される場所ではないと猛運動を続けているのであります。この反対の声はまさに爆発の頂点に達しているというのが今日の状態であります。拘置所をおつくりになるのに、あるいは収容者の家族との連絡であるとか、弁護士の関係というものも御考慮になることはもちろんけつこうでありますが、しかし土地の発展を妨げるとか、あるいは人口稠密の都心にさようなものを設けるということが正しいとお考えになつているか。そういう市民の声に対していかなるお考えを持つておられますか、御意見を承りたいと思います。

草鹿浅之介刑政長官

○草鹿説明員 その土地の方の立場に立ちますと、ただいま仰せになりました御意見はまことにごもつともな御意見だと思います。その御意見をいれて、しかも先ほど私の申しました条件の両方が立つような場所がございましたならば、これは私は一番いいと思いますが、財政の面とか、その他いろいろな面で拘束を受けるものですから、まことにその土地の方には御迷惑とも重々思いますけれども、現在といたしましては、どうもほかにすべての面の御要求にかなうような場所がございませんので、現在におきましてはまず天満駅前のところを第一の候補地に考えている次第でございます。

押谷富三自由党

○押谷委員 この問題につきまして、先般来法務府当局とも折衝を遂げたのでありますが、もちろん大阪のごときほとんど発展しておりまする土地におきましては、裁判所を中心にした交通の至便なところで他にかわり地を求めることはきわめて困難でありまして、この土地は大体裁判所から二キロ半から三キロあるところだと考えております。最も近い距離をはかりましても約二キロのところに位するのでありますが、私どもが地元の人々の声を聞き、地元の人々の協力によつて、大体かわり地として考えられる場所を選んで御参考に申し入れておる場所は、裁判所から約三キロばかりのところでありまして、しかも地元住民は大体反対をしない、裁判所からの交通も相当便利であるという場所であります。ただ問題は弁護士が面会に行くのに相当距離が遠いので困るとか、あるいは連絡のために収容者の家庭の人々が困るという点につきましては、多少の不便はありましようが、しかし交通機関から約二、三町ないし五、六町のところでありまして、歩いても十分かそこらで行けるような場所である。私はこの問題について先般法務府当局にお目にかかつたときに、大阪の弁護士会が現在の場所に賛成をしており、これを変更する場所は反対であると言われたのでありまするが、弁護士は自体弁護をするために被告に接見を求める、あるいは弁護の資料を集めるとかいうことは、いわゆる職務なのであります。その職務を遂行するために、ごく一部の人が、自分の営業上の利便からいろいろな要求をする場合に、これにあえて耳をかしてはならないとは言いませんけれども、そのことにとらわれて、大衆の声をおおうてはなりません。大阪市民大衆がごうごうたる反対の事あげ、しかも最近大阪市会におきましても、この問題を取上げて意見書をまとめつつあるというのが現状であります。こういう輿論を押し切つて、なおかつこれを断行せられるのであるか、それとも適当なかわり地があつて、ややしんぼうができるという程度のものであるならば、再考をせられる用意があるかをお伺いしたいと思います。

草鹿浅之介刑政長官

○草鹿説明員 もちろん他に非常に適当な場所がございましたら、そちらへ移らないわけではございません。現在この場所以外に絶対にほかに変更しない、こういうわけでもございませんが、われわれの方でいろいろ考えました結果、現在におきましてはこの場所が一番適当である、こう考えております。

押谷富三自由党

○押谷委員 この点については特に現在の計画について一つの変更をしてもよいという、ゆとりのある見方をぜひお願いいたしたいと存じます。  それからこの敷地に建てる刑務所の建築様式その他の計画でありますが、これは先般八月三十一日の大阪の朝日新聞、毎日新聞に、大阪拘置所の玉井所長の言として出たところであります。これによりますと、今回つくられるものは大体費用は五億円であつて、その計画は三年間、そうして収容者を入れるために、独房個室を約一千室、三人定員の雑居房を約七百室つくつて、それはいずれも冷房装置や暖房装置をつくる、そうして各房にはエレベーターかエスカレーターで行くのである、浴場は各部屋ごとに個室バスをつくる、雑居房には濾過装置の特殊ふろをつくる、そうして付属病院を設けて、芝生に囲まれた地上運動場、テニス・コート、図書館、レクリエーシヨン・ルームなどを併置するものであつて、新聞ではまさにホテル以上のものであるといわれておるのであります。こういうことが当局から発表されたのです。問題は御承知のように、戦災地の大阪のみならず、戦後の戦災都市におきましては住宅問題はまだ解決されておりません。政府も地方の当局も住宅問題には非常な努力をいたしておりますが、まだまだたいへんな不在でありまして、現在少数ではありますけれども、この附近には壕生活をいたしておる者もおります。相当土地は発展をして、復興は目ざましいものもありますが、住宅問題はまだバラツクの程度を出ておりません。こういう戦災地において、かような状況のもとに苦しんでおる市民を前にして、ひとり拘置所だけが一流ホテルにも匹敵する六階建のものをつくつて何が誇りでありましよう。アメリカのようにすべての官庁がりつぱにでき、住生活も完全になつたときに、初めてかようなモデル拘置所というものが許されると思います。しかるにこの大阪のこの戦災地のまん中で、しかもごうごうたる反対の声を前にして、玉井所長がこの発表をせられたのです。一体かような計画があるかどうか、お伺いいたしたいと思います。

草鹿浅之介刑政長官

○草鹿説明員 申すまでもなくそういう計画はございません。われわれも何百年か後になればけつこうだと思うような拘置所を今からつくる計画はございません。

押谷富三自由党

○押谷委員 もちろんかようなことは私も想像ができないことでありますが、しかし拘置所長の名において、政府の役人の名においてかようなことが発表されたのでありますから、私は発表するという政治感覚について一つの疑いを持つものであります。今反対をされておるさ中において、中央の法務府と打合せの結果、移転は決定的になつたという見出しのもとにこれが書かれておるのであります。かようなことで大阪の人たちは、今日本の窮乏せる国家財政がはたしてそんなものをつくるだけのゆとりがあるのか、そんなゆとりがあるならば、われわれは苦しんで税金を払う必要はないのであるという、一つの反税運動の理由にさえなろうとしているのであります。私はかようなことは政府が一つの責任を負わなければならぬ重大な失言だとさえ考えているのであります。将来特に御考慮を願いたいと思います。  それからこの土地の買収でありますが、すでに買収を終えて移転登記をせられたというのですが、その事実はどうなつておりますか。

草鹿浅之介刑政長官

○草鹿説明員 土地の所有権移転の登記は完了しております。

押谷富三自由党

○押谷委員 所有権移転登記は完了せられたとすれば、その代金は支払われたと思いますが、その代金の支払いと国会の審議を経た予算の関係をお聞かせを願いたいと思います。

山田明之助法務府事務官(総裁官房営繕課長)

○山田説明員 予算につきましては、財政費のわくとして処理したように記憶しておりますが、詳しい点については調べてお答えしたいと存じます。

押谷富三自由党

○押谷委員 かような土地の買収は、おのずから移転計画が確定をして、国会において大阪拘置所移転という一つの理由から予算をとられるという順序になり、国会もそれを審議するという形になつて来なければならぬと思うのであります。私は寡聞にして大阪拘置所の移転費用を国会で審議をしたことを知りません。もしなされたのならば、おそらく国会の審議をしないほかの方法によつてなされたものだと思いますが、この点はまた特に御調査の上適当な機会に御報告を願いたいと思います。

安部俊吾自由党

○安部委員長 牧野寛索君。

牧野寛索自由党

○牧野委員 私は裁判所、検察庁の庁舎並びに敷地問題について少しくお尋ねいたしたいと存じます。  まず順序といたしまして裁判所側からお尋ねいたします。裁判所の庁舎の問題につきましては、最近とかく世論は批判的でありまして、私は裁判所の権威のためにも黙過することができ得ない実情にありますので、あえてお尋ねする次第であります。先ほど大阪留置所の建築の問題について押谷委員からも言われましたことくに戦災にあつた国民の住宅というものも復旧いたしておらぬ。日本の経済状態というものも敗戦の結果まつたく破壊されまして、その混乱の中に国民は今日まで歩んで来たのであります。そして重税に苦しんで来ました。そのときにおいて各地方に、所々ではありましようが、裁判所の建築が、まことにりつぱな、宏壯な建築がせられておるというようなことに対しましては、重税とそれから住居に悩むこれらの国民に対しまして、はなはだ強く刺激をしておるというような観があるのであります。なお今日におきましては、終戦後教育の刷新と文化の向上のために国民教育に六・三制をとつたことは御承知の通りであります。この六・三制の実施につきましては、校舎をつくるについては全国の町村が非常な苦しみをしております。そして国家もまた窮乏した財政のためにこれらに補助を満足に与えることもできない立場にありまして、いまだにこれらの児童を収容する校舎がほとんど半ばにも達していないような実情にあるときに、裁判所のみがひとりりつぱに方々にできるというようなことは、これは当然一般国民をして裁判所に対して不快の念を持つような結果になることは、いなみがたいことであろうと思うのであります。私は理想といたしましては、裁判所に対しましては、やはりその威信と尊厳を保つために、りつばな建築をせられることは望んでおるものであります。しかしながらこれらの建築をするにあたりましても、日本の現在の国家財政の上からよく考えまして、その均衡を得てやらなければならぬ、また一般国民の感情を刺激するようなことなくして、国民が心から納得する建築でなければならぬと思うのであります。外郭がいかにりつぱに建ちましても、国民が納得せずして、むしろ反感を持つようなことでありましたならば、裁判所の威信と尊厳というものは保たれるものではないと私は思うのであります。ことに聞くところによりますと、がまんすればまだ使用できるような木造庁舎をとりこわして、新たに鉄筋コンクリートの本建築をしたというようなことさえあると聞いておるのでありますが、まことに今日の国家財政の上から見ましても、国民感情から見ましても遺憾の点が多いと私は思うのであります。私たち法務委員は裁判所の威信と尊厳を保持するためには、でき得るだけの協力を今日までいたして来ております。裁判官の待遇の改善の問題においてしかり、また訴訟促進の問題、あるいは裁判所侮辱制裁法等の問題につきましても、最大の協力をいたしたものでありますが、この観点から行きまして、裁判所の庁舎のりつぱにでき上ることにつきまして、われわれは積極的な協力を惜しむものでは決してないのであります。ただ先ほど来申し上げました通りに、やはり今日の国情、国家財政というものを考えて適当なる処置をしていただかなければ、それが裁判所のためにもならないことではないかと思うので今回質問いたす結果になつたのであります。もし私初めこうした国民の感情が誤解であると言いますならば、なおこの誤解を解くためにも左の諸点について明確なる御答弁を願いたいと思います。  その第一点は裁判所の営繕、つまり庁舎に関する来年度の予算並びに構想、方針等をお聞きいたしたいのであります。たとえば金額であるとか予定地であるとか、規模であるとか、基準がどうなつておるかというような問題であります。それから第二点といたしましては、終戦後本年度までの営繕の実情がどうなつておるか、土地あるいは建物、また金額、その規模等につきましてお尋ねいたします。第三番目といたしましては、将来の構想がどうなつておるか、この点をお聞きいたしたいと存じます。第四点といたしましては、戦争前の数年間の事件件数と、裁判官その他職員の数と、終戦後における事件件数と、裁判官その他職員の数がどういうふうになつておるかをお尋ねいたしたいと存じます。それから第五点といたしましては、新憲法実施によりましては裁判所と検察庁とが分離いたしましたが、その分離について、庁舎、敷地等についていかに取扱われておるかをお尋ねいたしたいのであります。  なお以上第一点から第五点につきましては、やはり検察庁に関しても同じでありまして、この点につきましては法務府にお尋ねいたしたいのであります。以上御答弁を得ましてから、さらにあらためてお尋ねいたしたいと思います。

安部俊吾自由党

○安部委員長 この際お諮りいたします。本日の議題に関しまして、最高裁判所事務総局事務次長石田和外君、経理局長吉田豊君より、参考人としてその御意見を聴取することにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安部俊吾自由党

○安部委員長 御異議なければ、さよういたします。吉田豊君。

吉田豊最高裁判所事務総局経理局長

○吉田参考人 便宜私からお答え申し上げたいと存じます。ただいま裁判所の庁舎敷地の問題に関しまして、裁判の威信と権威のためにまた裁判所の将来のために、まことにありがたいお言葉をいただきまして、非常にありがたく存じております。そこで裁判所といたしまして、庁舎敷地についてどんなふうに考えているか、この問題をただいま五点におわけなさいましてお尋ねいただきました点と関連しながら申し上げたいと思います。この五点につきましてこまかく申し上げますことは、ここで数字もあまり完全に用意してございませんし、これはまた後ほど御報告させていただきたいと思いますが、一応大体のお話を申し上げたいと思います。  そこで、現在の裁判所の庁舎は、御存じのように、ほとんど大部分明治初年にできました木造庁舎でございまして、この庁舎が現在では五十年・六十年、さらに七十年になんなんとする庁舎ばかりになつておるのでございます。そこへ加えまして今度の戦災によりまして約四〇%が焼失いたしました。そういたしまして、この新憲法後、事件の数はもちろんふえておりまして、今この事件数を対照的に申し上げることはできませんが、少くとも職員数について考えてみましても、約三倍に近くなつております。その三倍になりましたのは、やはり訴訟手続の改正、その他家庭裁判所の新設問題、いろいろな改革から当然引起つた問題でございますが、さように三倍にも増加している現状でございまして、そのために法廷は数は少く、調停室も非常に少い。極端な庁では、調停室は一室も持たないという現状でございまして、そのために国民全般に非常な御迷惑をおかけし、訴訟の遅延を来している。その訴訟の遅延というものは、物質的に考えてみますと、この庁舎の狭隙だということに尽きるくらいな現状でございます。そこで、裁判所といたしましては、ちようど裁判所の全国の庁舎を改築する時期に到達しておりますので、それを全国的に全部実施して行かなければならないのでございますが、これについてはもちろん今お話がございましたように、財政との権衡、やはり国力に応じたやり方をしなければいけない、この点については、私どももよく承知しておるわけでございます。それで私どもが将来の構想として考らておりますことを実現いたしますためには、現在の予算額をもつてしては、約四十年間かかるだろうという計算になるのであります。これに対照いたしまして、先ほどお話がありました六・三制の問題は、私はこれは新聞によつて承知したわけでございますが、一応文部省の案によりましても、今後約八年間かかれば文部省の理想案が達成せられるように、私は新聞で承知しているわけでございます。そこへ参りますと、裁判所の庁舎問題は今後四十年間を要する、こういうことをまずもつて申し上げてみたいと思います。  そこで庁舎の構造でございますが、りつぱ過ぎて国民の感情を害している点がありはしないか、こういうお話でございますが、これについては、私どもも非常にそういう点を懸念しながら考えているわけでございます。しかしどんな内容の庁舎ができるかということも、実際まだ国民の方が御存じないから、そういう御心配もあるのでないかと思われるのであります。たとえてみますと、裁判所の庁舎の全坪数の中で裁判所の職員だけが使います室の坪数は約一七%、二割弱というのが一番多い。それから十五・何パーセントというようなことで、とにかく裁判所の職員、いわゆる廷吏、小使に至るまで使用する室の面積を含めました全部の裁判所の職員の使用する面積というものは、全体の二割以下である。そのほかはいわゆる公共的なものとして考えていただいていいのではないかと思われますような、法廷あるいは調停室、ことに弁護人の方が裁判所でも当事者とやはり話し合われるような室、そういつたものを考えてつくつてございますので、決して裁判所職員だけのことを考えているのではなくて、むしろ国民全般の利益を考えて設計などを進めたわけでございます。  それから国民の反感問題でございますが、あるいは一部にはそういう点があるのかもしれませんが、少くとも県、市当局の方々、それから県会、市会の方々については、必ず何らかの連絡がとれるようになつておりまして皆様から非常な御協力と、御指導、御鞭撻をいただいておるような現状でございます。それと申しますのも、庁舎の設計その他裁判所がいかにあるべきかということをよく理解していただいている結果だろうと私は考えておるわけでございます最後に、がまんできる庁舎をこわしてまで鉄筋コンクリートの庁舎を建てたところがあるのじやないかというお尋ねでございますが、私といたしましては、そういうところはないと思つておりますが、もしございましたら、何かまた御注意いただきたいと思います。一応簡単でございますがお答えいたします。

牧野寛索自由党

○牧野委員 第五番目の点について……。

吉田豊最高裁判所事務総局経理局長

○吉田参考人 失礼しました。第五番目の点でございますが、これはむしろ司法省の方からお話を聞いていただいた方が適当かと思いますが、私の方からも一言申し上げたいと思います。  新憲法によりまして裁判所が検察庁と分離するということがきまりまして、それと同時に裁判所が司法省の所管を離れるということになりまして、このときに当然に会計の分離という問題が起つて来たわけでございます。会計の分離といいますのは、庁舎、敷地その他の備品、また保管金の問題もございますが、いろいろの点についての分離問題が当然起きるわけでございます。そこで司法省の方で裁判所の代表者と検察庁の代表者とを入れまして委員会をつくられたのでございます。その委員会の方々は今はつきりいたしてはおりませんが、私の記憶では、その当時の次官が委員長になられまして、旧大審院の代表者、控訴院及び東京地方裁判所の代表者、片方からは大審院検事局及び控訴院検事局、それから東京地方裁判所検事局の代表者といたしまして検事長、検事正が委員会のメンバーとして出られました、委員会に、すべての問題をかけて行つたわけであります。この庁舎と敷地の問題もその委員会にかけまして、その委員会から出た結論がございます。その結論によりますと、今まで裁判所と検察庁が共同で使つていた建物は、裁判所が管理する。この管理するといいますのは、国の財産については、所有はもちろん国自体でございまして、いわゆる各庁といたしましては、管理する、こういつた立場でものを考えておるわけでございまして、事実上は民法上の所有権に近いものと考えていいのじやないかと思つております。そこでその合同で使つていた庁舎については、裁判所が将来管理する。いわゆる裁判所の所管に移す。おのおの独立に使つていた庁舎は、その敷地とともに、その使つていた庁が管理する。こういうふうに分離することにきまつたわけでございます。その委員会の結論に従いまして、今まで裁判所と検察庁が、それぞれ分離を徐々に実行に移して来たわけでございます。

牧野寛索自由党

○牧野委員 ただいま新憲法後において裁判所と検察庁とが分離した場合に、委員会にかけて管理権の問題を決定したというお話でございますが、これは昭和二十二年八月十三日の最高裁判所会甲第三〇四号最高裁判所事務嘱託、司法大臣官房会計課長田中治彦、こういうような通牒ができておりますが、きまつた結論というものは、これに書いてある通りなのでしようか。

吉田豊最高裁判所事務総局経理局長

○吉田参考人 私はさように承知しております。その結論を通牒でおまわしになつたように聞いておるのでありますが、その点はまたほかの方から……。

田中治彦民事法務長官

○田中説明員 今の第五の点につきまして経理局長から御説明申し上げましたが、少し補足して私から申し上げてみたいと存じまする新憲法で裁判所と検事局が分離いたしますときに、その所管いたしております会計の分離、これに伴つて主として庁舎敷地の分離の問題の経過は、ただいま吉田局長から御説明いたした通りであります。委員会の議を経て、その後分離直前に行われました所長、検事正の会同の席上で、その結果を御報告いたして御承認を得たのであります。一つ補足しておかなければならぬのは、その際管理は裁判所に移す、しかしながら分離のとき、そのとき現在において庁舎に使用しておるものは、現地の所長、検事正の協議によつてその国有財産を分離する、こういうことを申し合せてあつたと記憶いたします。その点だけを補足しておきます。

牧野寛索自由党

○牧野委員 吉田局長にお尋ねしたいのですが、要するに分離の場合は検事正並びに裁判所長ですか、それが協議して分離するということになつたというお話でありますが、その点は裁判所においても御承知になつておるでありましようか。

吉田豊最高裁判所事務総局経理局長

○吉田参考人 そういう今のお話は私ども裁判所側としては承知いたしておりません。ただ考えられますのは、所長と検事正が協議して実行するという問題は、その所管の手続について、所管がえ手続をいつやるか、そういう問題は協議の上できめる、こういつた趣旨のことをおつしやるのではないか、これは想像でございますが、そう思つております。今のお話のような趣旨は全然承つておりません。

牧野寛索自由党

○牧野委員 裁判所と検察庁の間で、その点が、一方はそういうことになつておつたと言い、一方は知らないということになつておりまして、ここに相当紛争の原因があつたのではないかと思うのであります。しかしこの通牒の第二項によりますと、同年五月二日現在において裁判所及び検事局、供託局が庁舎として同一の建物を共同に使用しておるその建物は、同月三日以後裁判所の会計事務管理者がこれを管理する、この場合その使用区分は同月二日現在の範囲とする、こういうことになつておるのでありますが、この事実は吉田局長御承知でありましようか。

吉田豊最高裁判所事務総局経理局長

○吉田参考人 それはその通りてございます。現在使用しているものについては、そのまま使用して行く、決して、検察庁がそれをすぐに明け渡さなければならない、こういう趣旨ではございません。ただ管理上の問題としては裁判所側にその日以後は完全に移る、こういう趣旨で私どもは読んでおるわけでございます。

牧野寛索自由党

○牧野委員 それではこれまでに分離について、庁舎、敷地等について、検察庁と裁判所の間において何か紛争というようなものを起したことはなかつたでしようか。

吉田豊最高裁判所事務総局経理局長

○吉田参考人 紛争という言葉が当りますかどうか存じませんが、検察庁の方から裁判所の敷地を一部譲つてもらいたい、こういうお話があつた地方はございます。

牧野寛索自由党

○牧野委員 私たちの聞くところによりますと、神戸等においては相当深刻な紛争があつたように聞いております。なおまた高知においてもしかり、その他浦和においてもしかり、また松山においても未解決の問題があるようであります。なお検察庁との問題ではなくして、地方法務局であつたか、たしか私の郷里の山形かと思いますが、従来の土地の一画を譲つてもらいたいという話があつて、地元でもこれを承知しておつたが、最高裁判所がどうしても承知をしないということで、この問題も遂に円満な妥協が得られなかつたようにも聞いておるのでありますが、その点から見ますと、今吉田局長が言われたように、紛争はなかつた、重要な問題ではなくして、やはり個々の管理権の問題ということの解釈の問題かどうかわかりませんが、それらについて相当のいざこざがあつたように思われるのであります。私は個々的な問題を追究するものではございませんが、講和後の今後の治安の対策というものは非常に重大な問題になつて来るのでありまして、裁判所も検察庁も、ともに協力をいたしてこの治安対策をいたさなければならぬときに、各地方において土地や庁舎の問題において紛議をかもしておるような状態がもしもあつたとするならば、国民の思想に及ぼす影響、治安に対する問題が、非常に重大な問題になると思いまして、お尋ねいたすのでありますが、この管理という言葉は、一体どういうふうに御解釈になるのでありましようか。これは法務府と最高裁判所と両方にお尋ねしてみたいと思います。

田中治彦民事法務長官

○田中説明員 今の牧野委員の仰せになりました、重大な時期にかりにそういういざこざがあるとするならば、私ども法務府、裁判所の責任者としては、まことに申訳ない次第だと想うのであります。今の点につきましては、もう少し補足して具体的に申し上げてみて、その説明によつてこれを御了解いただきたいと思います。従来裁判所と検事局とは御承知の通り、同一の庁舎に入つておりました。現在の法務局またしかりであります。そこで官庁が独立するにあたりまして、その住居である庁舎をどうするか、持つておるものをどうわけるかということは、これは普通の人間と同じに、非常に深刻な問題であるのであります。従いまして今吉田局長から御説明申し上げたように、私当時会計課長をやつておつたのでありますが、慎重にこれを諮る必要があると思いまして、その手続をとつたのが、先ほど申し上げた委員会であります。その委員会の席上で、すでに非常にはげしい議論があつたのです。ところが国有財産法の上から行きますと、一つのもの、一つの土地を共有する私法的な共有ということが許されないのであります。その土地、建物その他のものは、従来からも裁判所の管理に属しておる。だから今度も裁判所の管理に属せしめるよう。しかしながらその使用は現在の使用区分に従つて、これを使用しようじやないか。その場合に一つの例を申し上げますと、これはどうしても分離してもらわなければ困るのだ。だから裁判所と検事局が同じ玄関の中で入品を別にして、この際はつきりしておこうというような議論さえあつたのでありますが、そこを委員会で調整されまして、そういうことはしないで、お互いに裁判所、検事局というような職務についているが、そういういうことで紛争があつてはならない。従いまして五月三日現在においての使用に従つて、これを分離しよう。管理は裁判所に移す。そのわけて行くわけ方は、これは現地の責任者である所長、検事正にまかせようということにきまつたわけであります。そこで私ども当時考えておりましたのは、裁判所が司法省からわかれて独立して行きますのに、裁判所は裁判所として、りつぱな広い敷地に、国民の信頼にこたえるだけの威容を持つたものでなければならぬ。そこで官庁は別であります検察庁というものは、また別にもし求めることができれば、他に敷地を求めて、そこに庁舎を新しく建てて、分離して行くことが理想であろう、こういうふうに考えておつたわけであります。そういう理想の時期に至るまでは、共同して従来通り仲よく使つて行く。かりにその敷地をわける、あるいは建物をわけることができる建物であり、土地であるとするならば、それはその使用区分に従つて、先ほど申上げた通り、現地の所長、検事正、責任者にまかせようじやないか。その上申に従つて、当局は国有財産の分離の手続を運んで行こう、こういうふうに委員会の席上できまつたと私は承知しております。そこで先ほど申し上げた通り、所長、検事正の会同で、そのことを特に申し上げた。これは財産の分離であり、仲のよかつたものが、ちようど夫婦と同じでわかれる、争いがかりに生ずると非常に深刻だから、そこは良識にまかせて善処していただきたいということを、重ねて御説明申し上げたと思うのであります。  今申し上げた管理という問題でありますが、これは先ほど吉田局長が申し上げた通りで、私どももほとんど所有権と同じと考えておりまして、処分権は含まないものと考えております。

吉田豊最高裁判所事務総局経理局長

○吉田参考人 先ほどお尋ねいただきました、現地の所長と検事正が話がついたものを裁判所が拒否したことがあるかどうか、これはその通りあつたことは間違いございません。その理由は、その庁ではその庁の将来の建築がどうなるか、全然考えておられませんし、また考えらるべきお立場でございませんので、それを知らずに何か御相談なされたものについては、私どもの方の計画に反する範囲内において、それはお断りしております。しかしながら裁判所ができまして、今までに将来の計画にさしさわりのない限度で、検察庁として土地をおわけした箇所が大小まぜて四十一箇所ほどございますので、決して裁判所の方で無理由で拒否しておるわけではございませんので、その点はぜひ御了解を得たいと思います。

牧野寛索自由党

○牧野委員 今の点でありますが、将来の計画に反した点、これは最高裁判所で、現地の所長と検事正との話がついておつても断つたというようなお話でありますが、しかしながらこの通牒から考えてみましても、やはりこれは両方に実質上は共有権が従来あつたものでありまして、ただここに管理権あるいは所有権と見てもよろしいのでありますが、これは裁判所で認める。しかしその使用区分は、やはり現在の範囲においてこれをわけるというこの第二条の精神から行きましたならば、やはりこれは裁判所だけが一方的に将来の計画にのつとつて、そうして現在の使用という検察庁の建前を無視しておるというようなことは、これはでき得ないのじやないか、こう思うのでありますが、もし現地において、その使用区分について検事正と裁判所長とが話合いがついたならば、これは最高裁判所の将来の計画云々というものによつて左右せられることは、この通牒からいつてできないということを考えますが、この点いかがでありましようか。

吉田豊最高裁判所事務総局経理局長

○吉田参考人 その点でございますが、それは現在の使用しておる状態を変更することは、検事正と所長との話合いがない限りはできない。たとえば部屋を十使つていたものを、それを検察庁の方は今度は少く八つにする、こういつた場合には、もちろん検事正の承諾がなければいけない、こういう意味にその結論は考えられるのでありまして、新たにそこに建物をつくるとかつくらぬとかいう問題になりますと、やはり管理権者の意思と申しますか、その立場でその国有財産を処理して行くことは、ほかの庁についても同じことが言えるのじやないかと思います。かように考えております。

牧野寛索自由党

○牧野委員 その点において非常に両者の間に考えのずれがあると思うのでありまして、私たちどうも吉田局長の今の御説明では納得できないのであります。かようなことでありますならば、やはり将来ともにこれは紛争のもとになるのじやないかとも考えられるのであります。将来円満にこれらの問題が解決せられるお見通しがあるのでありましようか。もしもこういうことがなくして、この国家重大なときに紛争を起すようなことがありましたならば、やはり国会といたしましては、これらの解決の問題として一つの立法化をしなければならぬのじやないかというようなことも考えておるのでありますが、その将来の見通しはいかがでありましようか。

田中治彦民事法務長官

○田中説明員 私が先ほど申し上げた言葉が足りないために、誤解があるのではないかと思いますので、念のために繰返して御説明申し上げたいと思います。現地の所長、検事正の話合いできめよう、これは原則であります。これは間違いないのであります。その結果今吉田君が申し上げましたように、裁判所が一貫した計画をお持ちになつてその計画にはまらない、かりにそういう場合があつたとすれば、それは最高裁判所のお立場においてさらに現地の所長あるいは検事正の再考を促され、あるいは協議をされて、そしておきめになつて行くのが当然であろうと思います。ゆえなくお断りになるということはないだろうと思います。私の申し上げておる趣旨は、繰返して申し上げますと、何としても原則としては所長、検事正にその現地の状況に従つて話合いをしていただく、そして上申してもらう。それをとるかとらぬか、もちろんりくつから言えば、管理権者の問題でありますが、法務府あるいは最高裁判所の当局の責任者の良識にまつて判断すべきものである。かりにただいまここでお話になつているような事態があつたとするならば、それがこの時世に合つた良識ある健全な判断であつたかどうかという御批判になるのじやないか、こういうふうに考えます。その後いろいろの問題が起きたことは、私も耳にしておりますが、所管外で詳しくは存じておりませんが、これは両方とも、裁判所も検察庁も、先ほど吉田局長から御説明申し上げた通り、裁判所も非常な拡張をし、検察庁も御承知の通り非常に人員が増加しておる。そこへ元の登記所、今の法務局でありますが、これも非常に大きく拡張されている。昔の一つの小さいからの中に、大きく広がつた三つのものが入つておるということで無理なのであります。そこでそれをどう区分し、どう所有して行くかということになるのであります。その点で、先ほど申し上げたように、多少の解釈の違い、考え方の違い、立場の違いから、いろいろ問題が起きたのではないかと考えますが、いずれにいたしましても、私ども責任者の責任であります。御心配をかけたことはまことに申訳ありませんが、何といたしましても、狭い土地の上に大勢入るのですから、そこを裁判所、法務局の良識にまつて処置を講じて行くのが便宜であり、御期待に沿うゆえんではないか、私は所管外の人間としてただいまそう考えております。

牧野寛索自由党

○牧野委員 私はこれで質問を終りたいと存じますが、ただ希望するところは、管理権その他の問題についても、これは非常に疑義を有するものでありまして、両者のこのはつきりしたところの解釈というものもまだ出ておらぬようであります。また現地においての紛争等を考えてみますときに、やはりこれは国会といたしましても、相当今後において注目をいたさなければならぬ問題だと思うのであります。しかしながら、でき得るだけ裁判所並びに検察庁においても円満なる解決をいたして、従来のごとき紛争を起さざることを私は望んでやまないのであります。  なお、先ほど私が一点から五点までお尋ねしましたことについての詳細の点、いわゆる数字的の点については、機会を見てひとつ裁判所も、検察庁も私に提供していただきたいと思うのであります。

天野武一検事(法務府総裁官房経理部長)

○天野説明員 法務府の営繕関係につきまして、ただいま牧野委員から御懇切なお尋ねがございました。これに関連しまして、最高裁判所あるいは田中長官より詳しくお話がございましたが、私の方から現在の立場について若干申し上げておきたいと思います。  先刻来お話がありましたように、分離当時裁判所に従来附置されていた検事局が、独立して検察庁になつたのでありますが、建物、敷地等は共同に使用しておつた関係で、裁判所がこれを管理するということで、新しい制度に入つたのであります。ところが先ほど裁判所からもお話がありましたように、裁判所も非常に手狭になつた、あるいは非常に改築を要することになつたというようなことで、結局検察庁がそこから離れて別に建物を探す、あるいは土地を探して新築するということのやむない場合が非常に多くなつて来たのであります。予算さえ許しますならば、広い土地をとり、あるいは適当な建物を建てるということが円満に進むのでありますが、何分にも検察庁の立場は出て行く立場でありまして、既存の建物を一つも持つていないのであります。従いまして、新しく敷地を物色し、また新しく建物を見つけ、あるいは新しく建物を建てるということになりますので、非常に予算的に苦労しなければならない。しかもまたその建物は仕事の便宜から言いましても、あるいは弁護士、刑務所それから一般の周囲に与える関係から言いましても、裁判所のすぐそば、あるいはすぐそれに隣合つて設けられる庁舎でなければならないわけであります。そういうようなところは敷地としてはなかなか見つかりませんし、またあつても非常に予算を食う場合が多いのであります。そこでどうも思うようになりませんので、できるならば裁判所の敷地の一部なりとも使わしていただきたい、そして手狭なところを救つてもらいたいというようなことで、いろいろ折衝したことがあるのであります。そこで先ほど牧野委員からお話がございましたように、それでは法務府は来年度予算はどういうふうに考えておるか、営繕の実情はどうか、あるいは将来どういう構想を持つておるかということがございましたので、簡単にお答え申し上げておきます。  来年度の営繕の方針といたしましては、敷地のきまつておるものについてだけ建物を建てるということにいたしております。従来継続して工事をしておるものは、引続きこれを工事するのでありまするが、継続工事の数が高等検察庁から末端の検察庁まで入れまして二十四箇所ございます。それから新営工事、新しく工事に着手したいと考えておるのが百十四箇所ございます。これは例の建築基準法によりまして、耐火構造を必要とするものは鉄筋コンクリート建、耐火構造を必要とするので、予算的にも木造とは違つた多くの金額を要するのでありまするが、そういうようなことで予算を要求しておるのでございます。そこですでに裁判所から検察庁が分離を必要とするとこるが、全国で五百五十八庁ございまして、そのうち二百七十四分離いたしました。つまり四九%はすでにわかれたのでありますが、あと五一%これからの問題として残るわけでございます。このうち裁判所から敷地をわけていただいたもの、あるいは貸してもらつておるものが、高検から支部検察庁まで入れまして十四百所ございます。あとはわれわれが独自に敷地を確保しており、あるいはこれから確保しなければならないと考えておるのでありまして、確保できた分について、そのすべてではございませんが、早く建物を建てるということで予算を要求しておるのでございます。分離につきましては、ただいま申した通りに非常に検察庁の工事予算というものがきゆうくつでありますことと、何分にも新しくわかれて敷地を探し、建物を建てるということでございますので、すでに財産を持つておるものと全然違う立場で非常な苦労をしておるということに隘路がございます。  将来の構想ということもお話がございましたが、これは私ども内々内輪でいろいろ話しておるのでございますが、できるならば裁判所も検察庁も別別の敷地を必要とするというようなことのないように、合同の庁舎を持つということで解決したらどうであろう。あるいはまた横に広がるということよりも、空間を利用することをお互いに考えて、少しでも敷地を食わないようにしたらどうだろうかというようなことを考えておるわけであります。簡単に考えを申し上げます。

高橋英吉自由党

○高橋(英)委員 ちよつと裁判所側の方にお尋ねいたしますが、管理権の問題が、司法省時代において実質上裁判所と検事局、それから現在法務府の管轄になつておる戸籍事務、登記事務ですか、供託事務など、とにかく現在の系統から行くと相当入り乱れたものが包含されておつたわけであります。従つてそれぞれ独自の権限みたいなものがあつたことになります。ことに司法省というものの本筋は法務府が継承しておると思いますが、当時司法省というものは非常に権力が大きかつたのです。それが、管理権というか所有権に近いほどの権限がなぜ裁判所にゆだねられたか、裁判所の管理権になつたか、その原因をひとつお答え願いたい。

吉田豊最高裁判所事務総局経理局長

○吉田参考人 委員会の結論に至り言ましたときの、なぜそういうふうになりましたかの点は私からちよつと申し上げるのもいかがかと思いますが、私の想像では、旧憲法時代には司法省のもとに裁判所、検察庁、登記所というものが入つていたわけでございます。そこで司法大臣が持つております管理権を各地の所長に委任しておりましたために、各地ではその土地の裁判所長が裁判所、検察庁、登記所の建物全部について管理をいたしていたわけでございます。そんな沿革からいたしましても、司法省と分離してしまつた以上は管理権を全部最高裁判所に渡した方がよいのじやないか、そうする方がかえつて紛争を防ぐのじやないか、こういうことも考えられたのじやないかと思います。なぜ一方にだけこれを渡したかという点は、紛争ばかりでなく、将来両方が共倒れにならないようにということも考えまして、検察庁の立場としてははなはだお気の毒にたえないのでありまして、その点十分私ども察知いたしておるのでありますが、やはりどちらか一方がその土地を捨てて新たに土地を求めて庁舎を建てて行く、こういうふうにいたさざるを得ないのじやないかと考えております。

高橋英吉自由党

○高橋(英)委員 そうすると、そういう沿革から今のような結論に委員会がなつたものですから、従つて松察庁側というか、法務府側は全面的な降伏をしたことになります。発言権も全面的に放棄してしまつた、管理権とか所有権とかいう問題については毫末も関係がないというような立場になつたという御趣旨でありますか。

吉田豊最高裁判所事務総局経理局長

○吉田参考人 さように考えるのであります。たとえば商工省から農林省へある所管事務が移つた場合には、それに伴つて国有財産の分離問題が出て来るのと同じだと私は思つております。

高橋英吉自由党

○高橋(英)委員 ほかの場合は知りませんけれども、検察庁と裁判所で現に同一建物を従来通り共用しておるわけなんです。従つてこれを全面的に降伏した、発言権を全部放棄してしまつた、何らの要求も留保していなかつたというようなことはわれわれ想像ができない。なるほど沿革的には局長の言われた通りでありましようし、またわれわれ現地において裁判所の構成を見ると、法廷あり、その他裁判所本位にやつているから裁判所に一応管理権を認めるというのが本筋かと思われますが、しかし何といつても行政の方の立場からいうと法務府の方が強い。司法大臣の方が強かつたわけですから、なかなか無条件に降伏したわけではない。田中長官の言われたように、現地における検事正と裁判所長との会議によつて相当重要なことが決定せられ、ことに検察庁が分離するとか、また裁判所が新たな土地を求めて分離するとかいう場合においては、表面的な管理権の問題はともかくとして、大局的に考えてお互いの立場を認め合つて、そこに互譲の精神で最も妥当な結論を見出すということが、形式的な条件でなくても精神的な条件であつたのではないかと思いますが、その点に対して局長はどういう所感を持つておられますか。

吉田豊最高裁判所事務総局経理局長

○吉田参考人 私が今申し上げましたのは、委員会の結論について解釈いたしますと理論的にそうなると申し上げたのでありまして、実際問題といたしましては、やはり検察庁と裁判所とが協力して司法事務に当るのが当然であります。建前といたしましてもできるだけ両方が円満に話し合つて行く、これは常識から来る当然なことだと思つております。従いまして従来もそのつもりで、その心構えでやつて来ておるわけでございますが、不幸にして意見の違う場合がございますので、その場合に、あたかもそれが紛糾したように外部に言われておるのじやないかと思いますが、この点は何も裁判所と検察庁との間に起る問題だけではないように思いますが、決して紛糾というふうにお考えにならないで、円満にできるだけ私どもも話し合つて行く、こういうことだけはぜひ御了解を得たいと思います。

高橋英吉自由党

○高橋(英)委員 局長のただいまの御答弁で釈然といたしました。そのお心持でぜひやつていただきたい。従つて牧野君の言うような紛争解決の立法措置なるものがおそらく必要じやないかと思われます。この過渡期時代においては、ぜひひとつお互いの立場々々を固執せずに、今局長の言われたように円満にやつていただきたいと思います。われわれは分離のときに裁判所の管理権を主張した者、応援した者の一人ですが、大体司法省並びに検事局が当時横暴をきわめておるということは公知の事実であつて、国民並びにわれわれ法曹関係者の同情が自然に裁判所側の肩を持つという形になり、従つて当時の司法省なり検察庁関係が私は負けたのじやないかとも思われますが、今度司令部の後援や国会や法務委員会の後援で、裁判所の方がどうも少し立場を異にせられたのではないか、実質的にそういうふうな傾向もなきにしもあらずという批判をする人もありますが、私は今の局長のお言葉を聞いて非常に釈然といたしましたから、そういうことはおそらくないと思いますが、結局この目に見えない気の毒にたえないところの無形の同情といいますか、そういうものが横暴するものに対して背中を見せるということになる、違背するということになろうかと思いますから、どうぞ裁判所の将来の繁栄というと変ですが、裁判所のためにひとつ自重くだされんことをお願いいたしまして終ります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 今国民政府の代表部というものがあつて、これが留日華僑、ことに東京の華僑の人たちの支持を得んとして非常にいろいろの手を打つているようであります。先般聞きますと、この代表部の威令に服するような華僑に対してはパス・ポートは出すけれども、しからざるものは出さないということをやつているようであります。そこでとにかく国民政府を別に積極的に支持するというような声明を出すということは、商人であつて政治的に中立を維持している者は困る。そこでそういう声明を出さないでいるということになると、また出さぬような華僑に対しては非常な圧迫があるというようなことですが、こういう国民政府のパス・ポートというものを持たない者が帰国するような場合には、日本の管理庁はどういうふうに取扱つて生られるか、そこの実際をひとつお聞かせ願いたいと思います。

松尾隆男外務事務官(出入国管理庁第二部第一課長)

○松尾説明員 ただいまの御質問に対しましてお答え申し上げます。御承知のように、一国の政府とその国民のパス・ポートの問題は、全然当該国の問題でありまして、私たち出入国管理庁としては、在日中国人に対して、ある者に対しては国民政府代表部においてパス・ポートを出し、ある者に対しては出さない、その理由は何であるかということについては、私どもは何も関知しないのであります。それで今御質問にありました在日中国人にして、国民政府のパス・ポートを持つていない者が日本から出国するときに、出入国管理庁はこれに対してどういうふうにやつておるかということでありますが、国民政府の中国人でパス・ポートを持つていない者というのは、大きく申し上げますと、スキャップのサーキュラによりましてレジデント・オブ・ジャパンというカテゴリーに属するものであります。具体的に申し上げますと、一九四一年の九月二日ですか、それ以前、すなわち終戦前から引続き日本に居住しております中国人であります。これは当然国民政府のパス・ポートを持つていない者が多いのであります。しかしこの人たちが、たとえば台湾に帰りたいというときには、私どもの方に参りまして、スキャップがきめました出国許可申請書というものがございます。あるいはまた出国並びに再入国許可申請書というものがございます。ホームはここに持つて参りましたから、あとでごらん願いたいと思うのであります。これに所定の事項を書きまして、そして私の方からスキャップに提出いたします。そしてスキャップの方でその本人についていいろ所要事項を調査いたしました結果、スキャップがこれを許可したものに対しては、これに許可したというスタンプを押しまして、私どもの方に回送して参ります。それによつて本人に対して、スキャツプの方からあなたの出国許可け許可されたからということを通知いたします。そうしますと本人が参りますので、私の方でそのスキャップの許可したという証明書を本人に渡し、本人はそれを持つて中国代表部の領事部に参りまして、パス・ポートに必ず在日華僑の帰国証明書の交付を受けて参ります。その証明書を交付されまして、再び私どもの方に参りまして、私どもめ方はそれの裏側に司令部の指定いたしましたスタンプを押すわけであります。すなわちスキャップにより日本から出国することを許可した、あるいは出国並びに再入国することを許可したというスタンプを押すわけであります。それによつて航空会社、あるいは船会社に参りまして、切符を買い、ポートから出国するのであります。もちろん出国いたしますときには、私どもの方の仕事をやつております出入国管理官というものがありまして、羽田、横浜等、そのポートにおきまして、その証明書に、さらにもう一つ何月何日どこそこから出国したというスタンプを押すのであります。それで終るのであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そうすると一応中国の代表部のところへ持つて行つて、証明をしてもらわなければならぬということがありますね。その際に今言つたように中国の代表部として来ているのは国民政府でしよう。そうするとお前には証明しないというようなことがあり得るのですか、ないのですか。

松尾隆男外務事務官(出入国管理庁第二部第一課長)

○松尾説明員 それは国民政府の代表部内の問題でありまして、私がある中国人から聞いた話によると、お前にはパス・ポートを出さないということもあつたようであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 その場合にスキヤツプを通つて行つているのに、そういうふうな証明書を出さぬということになると、帰国はできないということが起りますね。それに対しては、何ら救済方法はないでしようか。

松尾隆男外務事務官(出入国管理庁第二部第一課長)

○松尾説明員 そのパス・ポートを出さない。今私が申し上げましたのは、在日華僑帰国証明書の問題と、それからパス・ポートの問題と別個にお考え願いたいのであります。在日華僑帰国証明書の交付を受けなかつたということはまだ聞いておりません。ただ私が覚えておりますところによると、かつて中国代表部の重要なるメンバーとして日本にいた人が、どういう理由か知らないけれども、パス・ポートの交付を受けられなかつたというのは、チエンジ・オブ・ステータスでミッシヨン・メンバーからコンマーシャル・エントラントにかわるわけで、本人は代表部のメンバーのパス・ポート、外交官に対する外交旅券というものを使用する権限はないのであります。それに対して本人が司令部に行つたけれども、お前はだめだと言われたそうであります。その理由は私は何も聞いており言せん。また私は聞く権利もないのであります。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 東京におります華僑の人たちがつくつている会、この会に対して代表部の方から解散を命ずる、財産の接収を命ずる命令書を持つて、そして新しく会の役員になつた人たちが接収に行くわけであります。それに対して日本の官憲がこの接収を援助するということをやつているのでありますが、これにつきましては代表部が日本の国内におる華僑の人たちのいろいろな生活上の問題に一つの命令を出すことに対して、日本の官憲がこの命令を執行するのを援助するということ、それは法律的に見るならば非常に不当だし、暴力を行使するような場合に救済を求めても、傍観しているというような事実があつたことをわれわれは聞いているのであります。この点についてまずあなたに伺いたいのは、一体この代表部は、そういうような命令を、スキヤツプを通じないで出すことがあるのかどうか。それはどういう効力があるかをまず聞きたいのであります。

松尾隆男外務事務官(出入国管理庁第二部第一課長)

○松尾説明員 私は出入国の管理庁の者であります。成規の出入国についての管理はいたしておりますけれども、ただいまの御質問に答える私はポジシヨンにないのであります。遺憾ながら御回答申し上げることはできないのであります。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 それではもう一つお伺いいたします。最近朝鮮人をまた朝鮮に送還するといううわさが広まつておりまして、日本の国内におる朝鮮人諸君が動揺しているのでありますが、この点について送還の計画があるかどうか。それから今度講和条約が効力を発生いたしまするならば、この点について何か法的な処置を講ずる構想をお持ちかどうか。この点を伺いたいと思います。

松尾隆男外務事務官(出入国管理庁第二部第一課長)

○松尾説明員 ただいまの韓国人の送還問題でありますが、これまた一部の問題であります。私は二部一課でありまして、成規の出入国者のみを扱つておるのであります。ただ私が了解をいたしておるところによりますと、ただいま大村の収容所に収容せられておる韓国人すなわち退去強制の送還韓国人の総数は約四、五百になつておるだろうと思います。大体これは、昨年の十一月以来不法入国者の退去強制は、スキャップの指令によりまして日本側政府の権限、責任であります。従つて昨年十一月一日に出入国管理庁が発足いたして以来、すでに三回にわたつて退去強制を実施しております。船の都合等がございますので、大体収容されておる人数が四百ないし五百になつて参りますと、収容所の収容能力、護送して帰る船の収容能力等を勘案いたしまして、適時これを送還することになつております。現在の収容者の数から見まして、いずれ近いうちに送還されることになるだろうと私は考えております。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 送還して、どこへ引渡すのですか、それを伺いたいと思います。

松尾隆男外務事務官(出入国管理庁第二部第一課長)

○松尾説明員 私どもの方はただ釜山まで運びます。そうして韓国政府の方にあります外交部の係官の方に渡しているわけであります。但し私はその担当官でありませんから、私の申し上げることが正確であるとは申し上げられないのであります。

梨木作次郎日本共産党

○梨木委員 その場合、北鮮に籍を持つている人の分は、韓国に引渡すような措置をとつておられるのであるかどうか。  それから引渡された後におけるこれらの人々の韓国内における処置、これがもしおわかりだつたら聞きたいのであります。

松尾隆男外務事務官(出入国管理庁第二部第一課長)

○松尾説明員 それもまた私はあずかつておりませんので、御満足の行くような御回答を申し上げられないことを残念に存じます。一応大村から送還いたしまする者は、釜山でもつて全部韓国政府の係官の方に渡してしまい、北鮮系の者はどういうふうになるか、あるいはまた韓国の人であつても、送還され、韓国政府側に引渡された後において、韓国政府が彼らをいかように扱つておるか、私はまだインフオメーシヨンを受けておりません。  もし御希望ならば、一部の部長なり、不法入国者の退去強制をやつておる部長なり課長にお聞き願いたいと思うのであります。

安部俊吾自由党

○安部委員長 本日はこの程度にいたしまして、散会いたします。     午後四時四十四分散会

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