通商産業委員会 第4号
- 発言数
- 61 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1951/09/28
会議録
○小金委員長 ただいまから通商産業委員会を開会いたします。 議事に入ります前に、委員の変更についてお知らせいたします。本日委員風早八十二君が委員を辞任せられまして井之口政雄君が補欠選任せられました。以上お知らせ申し上げます。 さて本日は、かねて御通知申し上げてあります通り、貿易に関する件について調査を進めます。質疑の通告があります。順次これを許します。小川平二君。
○小川(平)委員 最初に、やや特殊な問題でありますが、ひとつお尋ねをいたしたい。先般来新聞その他で伝えられるところによりますと、時計の大量な密輸入が行われておつて、これが街頭に氾濫をして、公然と販売をされておるといいます。大百貨店にもこの種の密輸時計が現われておる。また知識のない小売業者等の中には、あたかもこれらの時計が合法的に輸入されたものであるかのごとく心得て、平穏公然に販売しておるということも聞いております。聞くところによりますと、昨年OSSからきわめて少量のものが放出をされた由でありますが、その際に使用された証紙が、この密輸入の時計を販売するために用いる目的で一枚二千円程度で売買されておるということを聞いております。業界の推定によりますと、この種の密輸時計は毎月少くとも三万個以上のものが入つて来ておる、こういうことであります。現在精工舎であるとか、シチズンというメーカーの生産数量が、毎月合計して五万個そこそこであると聞いておりますが、この五万個に対して三万個の密輸入が行われておるということがもし事実であるとすれば、まことに驚くべきことといわなければならないと思うのであります。しかもこういつた密輸入品は、必ずしも高級品に限らない。四千円程度の値段で販売されているものもたくさんあるということを聞いているのであります。国産品の六割にも匹敵する大量の商品が関税を免れ、物品税を免れて、公然と販売されているのであります。かような事実がもしあるとするならば、何よりもこれは国家の体面、威信にかかわることであると思うのでありまするが、関係当局においてはこのことについて何事かを知つておられるか、あるいは調査なさつたことがあるか。もし事実であるといたしまするならば、もとより拱手傍観しておられるはずはないと思いまするが、何らかの措置をおとりになつたかどうか。これらの点を承りたい。まず通産省の御当局からお話を承りたいと思います。
○牛場説明員 そのお話は、実は私ども特に注意をして調べたことは今までございませんので、税関部長の方から答弁していただきたいと思います。
○小川(平)委員 この話を特に調べたことがないという御答弁でありまするが、今申し上げまする通り、かほどの大量のものが公然と販売をされておるということは、これは国産保護の見地とか、財政収入の見地とかいうことはさておきまして、国の体面にかかわる、威信にかかわる非常に大きな問題であると思う。これについて何事も御存じないということは、いささか御答弁が受取りかねるのであります。
○首藤説明員 ただいま通商局長から、何らの対策を講じてない、知らないということを答弁したのでありますが、同局が主管でなかつたものでありますから、省内の連絡がとれていなかつたと思います。この問題は先般来そういうことをたびたび耳にいたしまするので、現在税関の方に申し入れまして、その真相の調査を依頼してあるわけであります。本日税関の担当官も出席しておりますので、この内容については、税関の関係官から御報告申し上げた方が適当ではないかというふうに考えております。
○小川(平)委員 これにつきましては、冒頭申し上げた通り、過般来各種の新聞等に報道されておる。通産省においても機械局の担当官が意見を述べておるのであります。きようは機械局の方にも御出席を願うように御要求を申し上げておつたが、何ゆえ出席をしていただけないか承りたい。
○首藤説明員 機械局局長はちようど他に重要な会議がありましてその方に出席しておりますので、担当の課長が出席しております。
○北島説明員 ただいま時計の密輸入につきまして御質問がございました。密貿易の取締りは主として私どもの税関の方でいたしておりますので、私からお答えした方がよろしいかと思います。 ただいまお話がございましたように、最近密輸入品と思われる外国製の時計が市中に相当出まわつておるということは事実であります。これが昨年あたりまではそう目立たなかつたのでございますが、本年に至りまして、ことに最近急激に市中に氾濫しておるようであります。私どもといたしましては、現地の税関を督励いたしまして、その情報の収集及び捜査をただいま進めておりますが、ただいままでに一応得ました情報をもとといたしまして、ここで御説明申し上げたい。大体時計が密輸入されます径路を調べてみますと、三つの径路があるようでございます。その一つはまず船舶の乗組員または旅客から密輸入される。すなわち船が港に入りまして、そのときに船員あるいは乗客が下船いたします際に、こつそり隠して持つて出るというようなものであります。これは最近になりまして相当ふえて参りまして、横浜、神戸、名古屋、大阪など各港におきまして、最近ひんぴんと検挙されております。しかしこの数量全体の密輸入の中に占めるただいまのルートによる割合は、あまり多くないのではなかろうかと思います。何しろ携帯して出ますにつきましても限度がございますので、一人でせいぜい二十個あるいは三十個程度だと思われますから、全体の数量としては大したものではないようであります。第二に考えられますルートは、航空機の旅客から携帯輸入されるものであります。御承知の通り羽田は、毎日何回となく海外から飛行機が到着し、あるいは出発しておりますが、ただいままでの羽田税関の取締りといたしましては、羽田は何しろ国際的な航空港でございまするし、ただいままで出入しておられる方々は、相当紳士ばかりであるという前提のもとにおきまして、比較的携帯品の検査なども苛酷にわたらないように、むしろ外国人にいい印象を与えようという趣旨のもとに、比較的寛大な取扱いをいたしておりまするが、これに乗じまして、一部のバイヤー等が香港その他に往復しまして、持つて来ておる数量が相当に上るということが言われております。私どもはこの方面につきましても、今後今までとは多少趣を違えまして、個人々々によりまして、場合によつては相当厳密に検査しなければならないかと思つております。第三のルート、これが一番大きいルートかと思われるのでございますが、これはSPS、すなわちスペシヤリテイ・シヨツプからの商品の横流れであります。SPSは進駐軍機関並びに外国人専用の特殊販売店でございまして、昨年七月一日総司令部の指示に基きまして、関税法上におきまして特殊保税倉庫という取扱いをいたしておりまして、このSPSにおきまして外国貨物の蔵置及び販売を認めますとともに、そこに派出税関官吏を置きまして取締りを行つておるのでありますが、このSPSから占領軍機関または外交使節団に納入する商品は、昨年の総司令部のサーキユラーによりまして、IEの四二六号という一定の様式によつて該当担当係官が認証したものを持つて来ると、すべて通関手続を経ないで免税で輸入されているのであります。ここにどうも横流しされる余地が相当あるのではないかというふうに想像いたしております。もちろんこのSPSは、本年一ぱいで特別預金勘定の廃止とともに、特殊保税倉庫の取扱いも廃止いたしまするので、今後来年からはこういう径路も少くなるかとは思いまするが、ただいまのところこのSPSからの商品の横流れということが相当行われているのではないかと推測いたしております。私どもといたしましては最近の状況にかんがみまして、目下現地税関を督励いたし、相互に連絡をとりまして、その取締り対策に苦心いたしているのであります。たとえば神戸税関におきましては、特に時計の捜査班を置きまして目下捜査いたしております。また横浜税関におきましても、最近東京におきまして相当大口の時計の密輸入品をつかまえました。これを調べてみますと、やはりSPSから出たということがわかりましたので、目下極秘裡に捜査いたしております。なお今後の問題につきましては、SPS関係の時計の密輸入は東京を中心として行われておりますので、横浜税関の本館から東京税関の支署に相当多数取締員を配置転換いたしまして、できるだけこういうことの起らないように取締るとともに、軍機関に納入したものに関しましては、その納入をはつきり確認いたしますために、軍の機関から受領書をまわしてもらいまして、それによつて正当にそれだけの数量が軍へ納められたということを確認したらどうかと思いまして、ただいま関係方面と折衝いたしております。ただいま捜査いたしております問題もございますので、機微にわたる点はちよつと御容赦願いたいと思いますが、大体の径路並びにただいまの私どもの取締りの現況を申し上げますと、以上のごとくであります。
○小川(平)委員 ただいま密輸の行われるルートについて御説明がありました。その問題はさておきまして、これらの時計が公然とまとめて販売されておるという事実に対して、いかなる措置をとられるつもりか。私はこの問題について、現行の法規がどうなつておるか、詳しく調べる余裕がなかつたのでありますが、この種の品物を公然と店頭に掲げて販売しておるということは、いわば贓品の故買に類することであつて、没収することも当然できてしかるべきではないか、あるいはまた営業の停止を命ずるということもでき得てしかるべきではないかと考えるのですが、その点いかがですか。
○北島説明員 市中に氾濫いたしておりまする密輸入品とおぼしきものについては、確かに私どもも密輸入品ではあろうと存ずるのでございますが、末端までだんだん伝わつて参りますと、はたして犯意——罪を犯す気があるかどうかという問題になりますと、非常にあぶない点がございますので、もとの方をつかまえて、もとを押えるという方法で、ただいま捜査を進めております。
○小川(平)委員 もちろんもとを押えるということが、文字通り抜本塞源的な対策ではありましようが、先ほど申し上げた通り大きな百貨店等でも公然と売つておる。こういうことはもちろん国の体面に関してまことにおもしろくないと思います。今犯意云々という言葉がありましたが、反復して同じことを繰返している者に犯意がないということはとうてい言えない。また実際密輸されたものがあるかどうか認定が困難であるというお話ですが、最近時計に対しては輸入の許可が特殊のものを除いて一切なされておらないと聞いております。そういうことでありますれば、現在公然と売られておる外国製の時計というものは、すべてこれを密輸品であると断定しても、いささかもさしつかえないと考えますが、いかがでありますか。
○北島説明員 なるほどまことにごもつともなお話でございまして、全然許可がないとすれば市中にあるのは全部密輸と断定してよろしいのでありますが、従来輸入もはなはだ少数ではございますが若干ございますし、それからまた正当に外国人があるいは税金を払つて、そのあとで売つたというような場合もなきにしもあらずと思われるのでございます。その点末端でつかまえますことはなかなかむずかしい問題も伴いますので、私どももただいまのお話はまつたく同感でございますが、できるだけもとをつかまえまして、もとでもつてぎゆつと押える。末端になりますと非常に件数も多く、しかも犯意がわからない場合が多いのであります。前の人があるいは関税を納めているかもしれないと思つて買つたのだということになりますと、どうも犯意という点がむずかしくなりますので、できるだけもとの方をしつかりねらつて洗つて行きたいというふうに考えております。
○小川(平)委員 私もこの問題につきましては、今後いろいろと調査を進めてみたいつもりでおりますが、何と申しましてもかような状態で放置しておかれるということは——申すまでもなく日本はいずれの国の植民地でもないのですから、何よりも国の体面を損うことが大きい問題であると思います。たれの遠慮気がねもいらないことでありますので、よほど腹を据えて、できるだけ徹底的な措置をとつていただきたい、このことを切望いたします。
○高橋国務大臣 ただいま小川さんからたいへん御鞭撻をいただきまして、まことに恐縮する次第であります。私どもも御趣旨に沿いまして、今後腰を据えましてできるだけ根元の方をがつちりつかまえて、こういう密輸品が市中に氾濫するようなことがないようにいたしたいと思います。
○小川(平)委員 それではただいまの問題はこの程度にいたします。 次に最近輸入契約の不振が各方面で非常に憂慮されておるようであります。七——九の外貨予算等もろくに使われておらない。外貨もだんだんふえて来ておる。これに対しまして輸出の方は七月以来漸増の傾向にある。言うまでもなく、こういう状態で放置しておきますれば、昨年同様買付のチヤンスを失する。国際価格がだんだんまた上向いて来ているときでもありますし、再び昨年の轍をふむ、同じような失敗を繰返す、こういうことでありますると、原料不足から生産も縮小再生産に陥り、またインフレの再発の危険もあることと思うのであります。そこで一体政府においては最近における輸入不振の原因をどう見ておられるか、御見解を承りたいと思います。
○高橋国務大臣 輸入不振の点ですが、私も非常にそれを憂慮しておるのです。輸入不振の原因といいますか、これはもう私が申し上げるまでもなく、この春の輸入品が高値をつかんで、それが国際市場の価格の下落のために、物によると二倍以上の値段のものをつかんでおるという、六、七月ごろの状況ではそういうわけであつたのであります。それで輸入業者が、国際市価をそういうふうに下まわつたために、引取り資金がなくなつてしまつて、それがためにまた国内でも投物が出る、一層価格が下るということで、輸入業者は非常な打撃をこうむつたわけです。しかし現在はそれらの滞貨も減りまして、大体物によつて違いますけれども、半分くらいあるいは年内に消化される状態になつて来た。また海外の市価も非常に下つておるのであるから、この際輸入が促進されぬというと、今御質問のお言葉のうちにありましたように、また品物がなくなつて生産もできない。あるいはまたそれが原因でインフレを促進するというおそれが多分にあると思う。私どもそれぞれの業者に輸入を促進すべく勧告をしておるのですが、実際の事情は、何といいますか、あつものに懲りて、熱くて口を焼いたから、現在ではなますをふうふう言つてよう口にしないというのが実情であろうと思う。それから金融業者がこれまた非常におびえ切つて一向協力をしないので非常に困つておりますが、国内市場がそういうふうになつて来ておりますからして、だんだん輸入ができて来るだろうと私は期待しおります。われわれとしてはそういう方針で進むもつりで、輸入業者あるいはメーカーに勧告をしておるのが現状なのであります。
○小川(平)委員 業者に対してできるだけ輸入するように勧告をしており、まただんだん輸入も増進して来るであろうという見通しを持つておられるということをただいま承つたのですが、それ以外に輸入促進のために通産省としては積極的な手を打つておられるかどうかを承りたい。
○高橋国務大臣 現在通産省のとつております方針は、ただいま私が述べたようなことにとどまつておるのであります。
○小川(平)委員 一体この輸入を不振ならしめておるところのいろいろな原因を取除く努力をされないで、ただ業者に輸入しろしろと勧告されても、これは一向実効が上らないと思いますが、今後においても、しからばただ形勢を観望されるだけで何ら手をお打ちにならない、こういうことでございますか。
○高橋国務大臣 情勢を見まして、現在われわれが勧告をしておるわけでありますが、情勢が改善されない場合には、このままで放置することはできぬと考えております。
○小川(平)委員 今日この事態を生じましたことは、ただいま御説明があつた通りいろいろな事情がございましようが、今のお言葉にある通り、あつものに懲りてなますを吹く、これが一番大きな原因であつたのではないか。どうも今日まで政府の貿易政策というものが、とかく変転する現象をおつかけまわしており、長期的な見通しによつたところの組織的な対策というものが欠けておつたのじやないか。 〔委員長退席、高木委員長代理着席〕 たとえば今もお話のありました輸入引取り資金の問題も、ユーザンスの期限が来ると同時に当然起つて来る問題であるということは、これは何人もつとに予見しておつた問題である。昨年の夏ごろから、本委員会においてもしばしば政府に警告を発しておつたのですが、しかるにもかかわらずこのような事態を引起しておる。そこでただいまの御答弁を承つて私ははなはだ心細い感じがするのでありますが、こういうことをやつておると、二度でも三度でも同じことを繰返す結果に必ずなるに違いない。繰返して申し上げるまでもなく、この状態を放置することによつて出て来る事態というものは、まことに恐るべきものがあると存じますので、どうぞこの際周到な、かつ長い見通しに立つた確固たる方針を樹立されて、この問題に対処していただきたい。このことを切望申し上げる次第であります。それから次に承りたいのですが、最近日英支払い協定の締結等によりまして、今後ポンド貨の手持が増大することが予想される。これに反しましてドル貨の方は、むしろ種々の方法で節約をして行かなければならない、こういうことになると思うのでありまするが、このポンドの活用、ドルの節約ということにつきまして、どういう具体的な対策を持つておられるか。たとえば市場の転換のごとき、商品別にいろいろな計画を立てておられるやに新聞等で拝見をしておりますが、これらの点について承りたい。
○高橋国務大臣 局長にかわつて方針を説明いたさせます。
○牛場説明員 御説の通り、ポンド貨につきましては、今後イギリスが日本を軟貨国扱いにいたしまして、輸入のライセンスの発行を自由にしてくれるということになりますと、相当程度の輸出の伸びが予想されるわけです。それで大体どの程度の額に達するかということにつきましては、ただいまイギリス側とも話をしておるのですが、私どもといたしましては、従来年間約一億八千万ポンドくらいでありましたものを、三億ポンドぐらいにまで上げて行きたいというふうに考えております。これはもちろん日本からそれだけのものを売りたいわけでありますが、それと同じくらい重要なことは、それだけのものを向うから買いたいということでありましてこれにつきましてなおイギリス本国のみならず、これは主として濠州でありますとか、インドでありますとか、パキスタンでありますとか、そういうような国との話合いの問題になりますので、これから、その話合いにだんだん入つて行こうというふうに考えておるところであります。ポンド貨の累積をどうするかということにつきましては、まず第一に、この間の日英支払い協定におきまして、ポンド貨の振替が認められておるのでありまして、これを最大限度まで活用いたしましてポンドでスターリング地域以外から物を買うという方式でやつて行きたい。これにつきましては、イングランド銀行の方もできるだけ便宜を与えるという約束をしておるわけでございます。 それからさらにその次の手段といたしましては、ドル地域からの買付をなるべくポンド地域に転換して行きたいという問題でございまして、これは値段の関係から行きまして、そう簡単には行かない点が多いのであります。たとえば鉄鉱石、これは大体においてポンド地域から今も来ておるのであります。それから強粘結炭、これを最近インド方面から年間百万トン近いものをとりたいというふうに考えております。ただこれにつきましては、主として向う側の、カルカツタあたりの積出し能力、それから配船の問題などもございまして、まだはつきりした結論には達しておりませんが、日本が一年間くらいの買付を約束すれば、相当程度のものが出て来るという状況になつておりまして、これにつきましては、鉄鋼三社とも相談をいたしまして、なるべくその線で鉄鋼三社の方でも政府に協力して買付をやろうということになつております。 それからもう一つの品目は食糧でございます。現在の日本のドル不足の非常に大きな原因は、東南ア地域からの米が入らないために、アメリカ、カナダからの小麦を買つておるという点にあるのであります。これを何とかしてひとつ元へもどしまして、ビルマ、タイ、それからできればインドシナあたりからも米を買いたいというふうに考えております。現在ビルマからは年間約四十五万トンくらいのものを買いたいというふうに考えて、この交渉も最近に開始するつもりでございます。タイからは昨年買いましたものがまだ順調に出て来ておりませんので、これにつきましてさらに交渉を重ねる必要があると考えておりまして、近く新しい通商協定の話が始まりますので、それと関連しまして大いにこれを促進して行きたい。それから小麦につきましても、濠州から小麦が買えますれば非常に助けになるのでありますが、これは例の国際小麦協定に日本が入りまするときの空気からいいましても、なかなか濠州は小麦を売つてくれないであろうという懸念がありますので、これにつきましては、在京濠州のミツシヨンを通じまして極力促進したいと思つております。その次にドル不足の問題でございますが、これにつきましては、まず第一に私どもはドルの輸出を大いに伸ばしたいということを考えておるのでありますが、御承知の通り綿花などというものは、大部分ドルで買つておきながら、製品はほとんどことごとくスターリングの方に流れてしまいまして、スターリングのオープン・アカウントに流れまして、ドルの輸出並びに特需を合せて年間の約一〇%にも足りないという状況であります。これはぜひ紡績並びに輸出業者の方に努力してもらいまして、できれば報奨制度のようなものを考えましてドル地域への輸出を伸ばして行きたいと考えております。何分生糸が昔日の面影がございませんので、現在のところドル地域へ出て行く大きな品物がないので、まとまつた政策をとりにくいのであります。これは振興課の方から御説明申し上げると思いますが、輸出信用保険ないしは優先外貨というものを活用いたしまして、ドル地域のものに対しては特に待遇をよくするというような方法をとりたいと考えております。さらに特需の問題も、やがて開始されるであろうと思われますECAのドルによりますところの東南ア諸国からの日本への注文、こういうものにつきましても大いに期待しておるのであります。ただこれにつきましては、御承知の通り値段が問題でございまして、鉄鋼製品、機械類ないしはプラント類に相なりますと、相当程度今のコストを下げる努力をしなければならないのでありまして、これにつきましてもなお一層具体的に研究並びに方策を進めて行きたいと思つておる次第でございます。
○小川(平)委員 運賃の面でドルを節約する方法について、何か具体的な案を持つておられますか。
○牛場説明員 結局根本的には造船を増加する以外にはないのでありまして、大体本年度におきましては第七次、第八次の造船計画の遂行によつて、約五〇%くらいまでの荷物を日本船で運び得るようにしたいという計画を持つておるのでありますが、御承知の通り資金面その他からなかなかこの計画を完全に実行することは困難な状況でありまして、これは通産省といたしましても大いに促進したいと考えております。さらになるべくアメリカの船を使わないで、イギリス系の船を使えれば、ドルの節約になるのでありまして、そのためにはロンドンのマーケツトを大いに利用して今後やつて行きたい。それには先般締結いたしました日英支払い協定なども大いに助けになるのではないかと考えております。
○小川(平)委員 振興局の方から輸出振興策について御説明願えるようでありますので、今お話の出ました輸出信用保険あるいは優先外貨制度ですか、こういつた点について、簡単でけつこうですから御説明を承りたいと思います。
○高橋説明員 ただいま牛場通商局長から御答弁がありましたように、輸出振興、特にドル地域向けの輸出の振興ということにつきましては、現在の状況から申しまして、何らかの振興策を講じて、できるだけドル不足を克服したいと考えておるのであります。その一つの策といたしまして、輸出保険制度をでき得ればこの際大幅に改善いたしまして、こういつた方面に寄与いたしたいというわけでただいま草案を研究しておる段階でございます。どんなことを考えておりますかと申しますると、現在の輸出信用保険のほかに、プラント輸出等を促進するというのを主眼にいたしまして輸出信用保険、それからさらに戦前の輸出前貸し制度にやや似ておりまするが、輸出金融保険、さらに輸出促進費用保険、いずれも仮称でございまするが、そういつたものを考えて研究中でございます。 ごく簡単に概略を申し上げますると、まずこの目的でございまするが、先ほども申しましたように、このたび講和の成立に伴いまして、いよいよ本邦経済の自立達成の基本的条件であるところの輸出の振興をはかる、そういう目的をもちまして現在やつておりまするところの輸出信用保険を、便宜輸出契約保険と改称いたします。そうしてこの輸出契約保険をその保険の契約の相手方に応じまして、具体的に申し上げますと、輸出業者の場合にはこれを輸出契約保険、それから輸出品の生産者の場合にはこれを輸出生産保険というように名前を一応区別しておりまするが、これはいずれも現行の輸出信用保険を基礎にしたものでございます。そうしまして、輸出貨物の代金の決済につきまして、たとえば輸出契約の成立後に新たに外国において実施されました為替取引の制限とか禁止とか、あるいはその他当事者の責めに帰すべからざるような事情の発生、これを担保危険としているのであります。 その次には、先ほど申し上げました主としてプラント輸出を考慮いたしまして、輸出契約の相手方でありますところのバイヤーの信用危険ということを担保しよう、特に長期にわたりますところの代金決済のなされますプラント輸出、これをこのバイヤーの信用危険を担保することによつて促進をしよう、こういうふうに考えておりまするのが輸出信用保険、非常に名前がまぎらわしいのであまりいい名前とは考えておりませんが、それが輸出信用保険として一応考えているものでございます。(「もつと直截に言わなけりやわけがわからぬじやないか」と呼ぶ者あり)それではもつと簡単に、あまり個々のことにわたりまして、わかりにくくて非常に恐縮でございますが、それではごく簡単に要旨的に申し上げます。こういうふうに輸出に際しまして輸出業者もしくは生産業者がその責めに帰し得ないような事故、危険、そういつたもののあるためにどうも輸出に積極的になり得ないというような事態を、その保険制度を活用しまして救つて行く、それによつて輸出業者なり、あるいは輸出品の生産業者の生産意欲、輸出意欲を伸ばして行きたいということを考えているわけであります。 さらに優先外貨制度、これも司令部のスキヤツプインに根拠いたしまして今まで実施されて参りました。これが輸出振興上相当大きな役割をいたしておつたのであります。そういう実情にかんがみまして、このスキヤツプインの取消し後、本年七月一日以降の輸出に対しましては、この優先外貨制度が適用されていないのでありまするが、これを何とかさらに改善いたしまして、輸出業者の一つの刺激といいますか、報奨といいますか、そういうことによりましても、輸出を伸ばして行きたい。特にドル地域向けの輸出の増進ということに重点を置きまして、新しい優先外貨制度ができるとすれば、その中にいわゆるダラー・ドライヴの観念を加味いたしまして、ドル地域向けの輸出に対しては、より大きな報奨を与えるというようなことで、新しい優先外貨制度の実現を期したい、これによつて輸出増進に貢献いたしたい、こういうふうに考えておるのであります。しかしながら、現在のところまだ実現を見ておらないのですが、この優先外貨制度の復活と申しますか、新しい制度の実現採用は、業界においても非常に熱望いたしておられるところのように承知しておりまするので、ぜひともこれが実現をいたしたいと考えておるのであります。
○小川(平)委員 関連して伺いたいことがまだたくさんあるのでありますが、時間がありませんし、次の質問の通告者もありまするので、この程度で質問を打切らしていただきますが、最後に、今日の経済事情にかんがみて、アメリカの例のウエツプ・ポメリン法のごとく貿易に関しましてはアンチ・トラストの適用を除外する、いわゆる輸出事業法の制定の問題、これが多年の懸案になつておるわけですが、今日においてはすでに客観情勢も大きく変化をして来ておるので、私どもはぜひともこの実現を期待しておる次第であります。成案を得て立法の運びに至るものかどうか、その辺の見通しを、時間がありませんからきわめて簡単な御答弁でけつこうでありますが、承らしていただきたいと思います。
○首藤説明員 輸出促進のために輸出組合をつくりたい、またこれが非常に効果的であるということはもう議論の余地がないのであります。従いまして、政府といたしましては、かねてから輸出組合を何とかして構成いたしたいという強い希望を持つておるのでありますが、御承知のごとく独禁法並びに事業者団体法が現在のままでは、かりに輸出組合をつくりましても機能の発揮ができないということに相なりますので、講和条約成立を機会に可及的すみやかにこの独禁法並びに事業者団体法をできる限り大幅に修正、できれば廃止いたしたいという実は強い希望を持つておりまして、すでにこれらの原案も一応できておるのでありまするが、今日までの折衝の過程では、なお近い将来に目的を達するのはいささか困難ではないかという気持がいたしまして、この輸出促進上非常に効果のある対策である輸出組合の創設に若干の不安を持つておるのが実は現在の真相であります。しかしながら、自立経済達成のためには、どうしても輸出を促進しなければならない。そうしてそのためにはこの方法が一番効果的であるという信念から、今後もその障害となる独禁法並びに事業者団体法の修正あるいは廃止にまちまして、あらゆる努力をいたしたい、かように考えておる次第であります。
○高木委員長代理 今澄勇君。
○今澄委員 私は三十分ほど質問をいたしたいと思います。 第一点は通産大臣に対して為替レートの問題をひとつお聞きしておきたい。いろいろ大蔵省関係の放送や、その他現在の三百六十円レートについての意見があちらこちらで出ておるが、これに対する確定的な報道がない。そこでこの三百六十円レートというものは、今後の情勢のいかんによつてはかえられるのかどうか、それとも現状を維持してずつと行かれるかという点について、通産大臣としての見通しなり御見解を承つておきたいのであります。
○高橋国務大臣 為替レートがかわるのではないかという質問は至るところで私も受けるのですが、政府ではこれはかたく維持して行きたいという方針にきまつております。
○今澄委員 それからもう一つは、この際日米経済協力の推進その他自立経済のために、基礎資材について、現状のもとにおいては補給金政策というものがやはり大きく取上げらるべきものであるという意見が非常に出ておるのです。そこで通産大臣に、全般的な現下の問題から、補給金政策というわけには行くまいが、一部のものについてはそういつたことを考えておられるかどうかという根本的な問題について、ひとつ御意見をお聞きしておきたいと思います。
○高橋国務大臣 補給金といいますれば、ことに最近非常に取上げられて、私ども各方面で質問を受けるのは鉄の補給金、私の見解ではこれはまだなかなか困難の状態である。すなわち速急に実現することはできないと私は観察しております。
○今澄委員 大臣の大体の御方針を承りましたので、細目について政務次官なり担当の方にお伺いしたいのでありますが、まず先ほどるる御説明のあつたプラント輸出促進のためには、鉄の値段をどうしてもあれしなければいけないというので、政府は明年度プラント輸出のために、補給金制度を設けるというような情報がすでに流れているのですが、事実かどうか、もし鉄鋼の補給金制度の構想があるとすれば、それはプラント用のためか、それとも鉄鋼価格自体が国際的に高いので、鉄鋼の価格自体のために考えられるかどうかというような詳細の点について政務次官なり担当の方からひとつお話をお伺いいたします。
○首藤説明員 プラント輸出について補給金の構想があるかどうかという御質問でありますが、結論的に申し上げますれば、プラント輸出のために補給金を出す意思は現在のところ持つておりません。先ほど大臣から答弁されましたように、補給金は鉄鋼全体に対して補給金を出すか出さぬかということが若干懸案になつておるという程度にすぎないのであります。ただしかしながらこのままではプラんト輸出も言うべくしてなかなか伸びない。そこで先般来行政措置としまして、鉄鋼メーカーと懇談しまして、プラント輸出に対しましては、鉄鋼価格をある程度引下げてもらいたいという行政措置を特に講じまして、現在実行しておりますのが一割五分の値引きであります。但しこの一割五分程度の引下げで、東南アジア方面のたびたび行われておりまする入札に全部入るかどうかということは疑問でありますが、しかし今日まで各メーカーの出した価格を見ますと、単に鉄鋼価格が高いというだけではなく、その他にも相当合理化する余地ありというふうにわれわれは考えております。従つてこの点に対しましては、特にそれぞれのメーカに強く要請いたしまして、他の方面の合理化をできる限り早く促進いたして、そうしてプラント輸出の促進に協力してもらいたいということを申し入れておるのであります。同時にまた一方におきましては東南アジアの開発、特にゴアの鉄鉱石の開発、これらも重大な関心を持つているのでありまして、これをできる限り早く促進いたしますれば、それだけについても鉄綱価格は相当安くなる。もう一つは東南アジア特にインド、パキスタンあるいはビルマというようなところは、今日まで御承知の通り工業設備がきわめて原始的であります。この機会に東南アジアの開発とあわせて、これら各国の工業設備をできる限り上昇するように、そうしてそれのプラント輸出を日本からやりたい。従つてそれがためには先ほど申したようないろいろの対策も講じまするが、同時にミツシヨンの交流を今後できる限り頻繁に行つて、日本の工業力をそれらの未開国の国民に周知徹底するような方法を講ずる、あるいはまたそれらの国と日本の業者との懇談の機会を多くいたしまして、それらによつてもプラント輸出の促進をはかりたいということで、そういう計画を持つておるのでありますが、先般パキスタンに行きましたミツシヨン、並びにこの春パキスタンから見えたミツシヨン、これらの結果は非常に効果的でありまして、この過去の事実から見ても、今後このミツシヨンの交流がきわめて必要であるということを痛感いたしておるのでありまして、できる限り頻繁に行つて、その面からもプラント輸出の促進をはかりたいと考えております。
○今澄委員 大体プラント輸出についての先ほどの振興策、並びにただいまの政務次官の振興策など、まことに努力のあとは見られますが、しかし昨年の一月から十二月のプラント輸出は三千三百万ドルになつたが、今年は一月から八月の輸出実績が一千二百万ドルというふうに、まるきり話にならぬ。それからこれが鉄鋼の値上りによつて販売価格が国際価格に比するというと、火力発電タービン等は大体三四%、有蓋貨車が三六%というふうに、著しく割当高になつている。それで伝えられるプラント輸出の一年間の計画一億三千万ドルというふうな大きな数字が、東南アジアを目ざして計画されておるものとすれば、かんじんかなめの鉄鋼の値段と、その他鉄鋼材料に関する補給金政策というものを盛り込まずして所期の計画の実現は不可能であるとわれわれは思うが、この補給金政策というものは全然考える余地はないのか、また今とり得る方策というものは全然ないのかどうか、重ねて政務次官にお伺いしたい。
○首藤説明員 補給金制度は、一面から考えれば一つのダンピングであります。それでなくても、日本が将来ダンピングをしやせぬかということは、各国とも非常に警戒的な態度をもつて臨んでおるのでありまして、もし日本がこういう際に補給金をもつて輸出の促進をやつたということになりますれば、当然辛辣な非難を受けますのみならず、当然それに伴うところのいろいろな対策がとられまして、結果的には輸出促進にならぬのではないかというような不安もありますから、この問題はそう簡単にやるべきでないというふうに考えておるのであります。もう一つはこの春以来の成績がきわめて不良でありますが、これは一つはインドから過去二、三年続きました紡績工場のプラント輸出が、一応暫定的に一段落したこと、もう一つは、本年二月、三月のいわゆる鉄鋼ブームの場合に、タイその他でひんぴんとして入札が行われたのでありますが、ちようど国内の経済がインフレ状態にあつた関係上、将来の鉄鋼価格の異常な値上りを予想して、この入札に対して各国と比較した場合、きわめて高い価格を入れたということも、日本に落札しなかつた一番大きな原因だと思うのであります。先ほど申し上げましたごとく、鉄鋼価格の値上りでなく、その他に大いに自粛しあるいは節約される余地があるということは、こういう点でありまして、この点は業者に特に強く要望して、今後の入札に慎重を期せられるような要請をいたしておりますので、今までと違つて、今後は若干ふえて参るのではないかというような見通しを持つておるのであります。
○今澄委員 これでプラント輸出については質問を打切りますが、大蔵省関係からは為替が今の三百六十円が五百円くらいでなければ引合いがなるまいというような意見が放送せられたり、いろいろ日本の輸出にとつては、将来待てば安くなるというような情勢を感じさせ、補給金政策もとらず、現状のままに行かれればこれは非常に私はまずいと思いますので、やはり為替なら為替についても、政府は毅然として態度をきめて、そうして輸出振興の政策についても十分ひとつ東南アジア開発の計画とにらみ合せて御検討になるように希望いたします。 次はせつかくお見えになつておるので、私は日英支払い協定について、その後の経過並びにこれがもたらす影響等について、ひとつ簡単でけつこうですから御説明を願いたい。
○木内説明員 その後の経過という御質問でございますが、現在まで格別申し上ぐべき事態は起つておりません。あの協定をやりました効果の一つとして、あれは御承知の通りいい面もあり心配な面もある。いい面と考えられたことは、あちらの輸入、すなわち日本の輸出に対して、今までよりも楽な態度をとるであろう。従つて日本の輸出は急激にふえるであろうと考えられたことであります。英国はいつもの通り大帝国でありまして、決定が先の方まで行き渡るのにはなかなか時間がかかるだろうと思います。そのためと思いますが、まだはかばかしく輸出がふえたということは認められない。もうそろそろその効果が現われてもいいのではないか、少し待ちくたびれるという感じが起つて来たという程度であります。しかしたとえばこの間セメント業者に会つてその質問を——特にしたわけではありませんが、セメントが相当出だしたということもありますし、濠州あたりは相当引合いもあるような——多少かわつて来ているのかもわかりませんが、まだはつきりふえておりません。 〔高木委員長代理退席、委員長着席〕 それに関連して、実は日本側の方もあまりそれを早くやれと言つて責めるわけにも行かぬ立場にありますのは、例の日本が持つてもいいというダラー・クローズ、あれくらいは日本で持つことは覚悟なんですが、それがあまり大きくなれば無理なことになつても困るということが、ダラー・クローズを落すことについて争点であつたことは御承知と思いますが、その幾ら持つべきかということはいろいろあります。実はまだ私の方からも通告をしておりません。ただ協定をしましたときに、いろいろ数字をあげて例の五千万ポンドというようなことを言つて、五千万ポンドまでふやしてもいいから、ダラー・クローズを落してくれというようなことを言つた関係もありまして、そのときにずいぶん話はいたしました。こちらの大よその意図は伝わつておりますが、正式な申込みはいたしておりませんから、向うから言えば、正式の申込みを待つて輸入許可緩和の措置をとるのだと言われればしかたのない事情にあります。これも近日のうちにその通告をなす運びに持つて行こうと思つておりますが、御承知の通り、思わざる輸入不振があつてみたり、いろいろ予期せざることがありますので、ちよつと考えを要することがあつてお待たせいたしております。協定を結んだためにどういう変化が起つたかということは、まだ格別なことはないのであります。 御質問の第二点、今後の見通しですが、協定でダラー・クローズをあれだけの条件のもとに落してもいいと考えましたのは、すなわち輸出は相当に伸びるであろう。しかしその金で買うものは十分にあるであろう。従つて大して今度はたまることなしにポンド地域との貿易は相当伸びるだろうという考えは別にまだかえる必要もない。ただ、まだそういうふうに運んで来たとは申せないということを申したので、そういう期待を持つてあの協定をした、その期待を裏切るような事情はまだちつともありません。いずれそうなることと思つております。
○今澄委員 日英支払い協定については、向うのロンドン特電一日の報道等から見ても、いろいろお聞きしたいことがあるが、ほかの関係もございましようから、この程度で一応打切りまして、中共貿易について、あと一問だけ通産大臣なり次官にお伺いをしておきたいと思います。それは、昨年十二月以来禁止されておつた中共貿易も、今回政府が最近の繊維類の輸出不振、及び鉄鉱石、石炭等の輸出価格の高騰、及びドル不足打開等のため、これら緊急物資の輸入の見返りとしてバーター貿易に限つて許可し、懸案の中共貿易に明るい希望をもたらした。こういう現状で、大体政府は今回の再開によつて一体どの程度の貿易量が増大する見通しか。それから今回の措置によつて、その取引は一体どの程度を見込んでおるのか。なおもう一つは、中共貿易と台湾の国民政府との貿易について、こういう講和締結後の微妙な情勢に処して、政府特に通産省はどういう根本的な考え方をもつて対処するかという点について、ひとつ御答弁を願いたいと思います。
○首藤説明員 昨年十一月以降中断しておりました中共貿易に対しまして、最近繊維品の輸出が許可されたということは御指摘の通りであります。ただしかしながら、この繊維の輸出にいたしましても、戦力増強になるような、たとえば自動車タイヤ・コードであるとか、あるいはまたヴイスコース人絹コードであるとか、あるいは落下傘、気球というようなものは除外されております。そこで今後幾ばくの輸入ができるかという御質問でありますが、先方の事情が御承知の通りまつたく不明なのでありまして、こちらの方で現在具体的な計画を立てるということが困難な事情にあります。そこで向うから繊維の引合いが来る、それに対してバーター的に鉄鉱石あるいは強粘結炭をこちらからも要求いたしたい、しかもこれは少くとも向うから品物が入つた後にこちらのものを輸出いたしたいという気持を持つておりますが、もう少し向うの事情が推測できるような情勢になりませんと、具体的な数字を立てることは困難かと考えております。なお中共と台湾の問題でありまするが、講和条約が成立いたしたからといつて、現在のところ中共と台湾に対する日本の考え方は別にかわつておりません。従来の方針を当分は継続して参れるものだという気持を持つておるのであります。
○今澄委員 私は、今回政府のとつた措置は非常によいと思う。御承知のように英国などは活発に中共貿易をやつておるのであつて、いわゆる西欧民主主義陣営の英国が非常に活発にやり得るのに、特に近い日本において、いろいろ輸出許可基準等もあるが、そう活発にやれないというようなことは、貿易政策としてはまずいと思う。やはり中共貿易ということは、政治的な問題を離れて、経済的な日本の行く一つの大きな目安としては、これに目をつけなければならぬ。そこで今承認されたものは綿糸、綿織物、人絹、スフ等に限られておるが、これらのものをプラントもの、鋼材、二次製品等に拡張する意思はないかどうか。それから中共貿易については、政府は今後努めて向うの市場の状況を明らかにして、積極的に手を打つて行かれる意思があるかどうか。以上二点をもう一ぺんお伺いしておきます。
○首藤説明員 御承知の通り、日本経済で今最も関心を持たれておるのは鉄鋼の割高であります。いわゆる国際水準を非常に上まわつておるのは鉄鋼がおもなものであります。そこで、この鉄鋼の価格をできる限り国際水準に並行させたい。それがためには中共貿易を活発にいたして北支から鉄鉱石あるいは粘結炭を持つて来るということが最も有効確実な対策であるのであります。従つて中共貿易に対しましては特に関心を持ち、できる限り、これを活発化したいという強い希望を持つておることだけは、この際申し上げておきたいと思います。従つて、これらに対する対策は今後も引続いてやりたい。ただ現在の段階におきましては、向うの事情があまりはつきりしませんので、具体的な数字を申し上げかねまするが、今後あらゆる方法をもちまして、先方の状態も調査いたしたいし、また向うからもいろいろの情報が今後入つて来ると思いまするから、それらに関連して、おのずから向うの情勢も推測し得る状態に相なつて参るのではないかというふうな気持を持つておるのであります。
○小金委員長 福田一君。
○福田(一)委員 本日は貿易に関する調査を進めておられるので、あまり多岐にわたることはどうかと思うのでありますが、実はこれに関連して一点だけ大臣にお伺いしたいことがあるのであります。それは、御存じのように北陸には福井、石川、富山の三県があるのでありますが、福井県は大阪通産局の管下にあり、富山、石川は名古屋の管下に入つております。御存じのように、北陸は電源県でもあるし、いろいろの輸出関係の仕事がたくさんありまして、そういう関係で通産局との折衝その他にもいろいろと仕事が多いのでありますが、そういう場合、福井としては大阪まで、石川、富山の方は名古屋まで行くということになりますと、特に石川、富山のようなところは、名古屋に行くには非常に交通関係が不便であります。米原で乗りかえる、あるいは高山線で行くということになりますと、とうていその事務が敏捷にまた円滑に動かない、そういうことが非常に多いのでありまして従来非常にみんなが迷惑を感じておりましたのでその、関係上ただいまでは実は富山に名古屋通産局の総務部の出張所のようなものを設けまして、事務を処理しておる。福井の方は今のところは大阪に行つて処理しておる、こういうことになつておりますが、聞くところによると、政府は行政整理を行う、出張所のごときものは、全部これを廃止するというお考えがあるやに承つておるのでありますが、私たちは行政整理自体にはちつとも反対はないのであります。やるべきものは大いにどしどしやつてもらつていいと考えておりますけれども、しかし石川、富山のような名古屋と非常に交通不便なところがその管下に入つておる、そうして出張所もなくなるということになつたのでは、とても輸出関係の産業をやつておる者、またはこれを担当いたしておりまするところの両県の公吏以下非常な不便を感ずると私たちは考えるので、どうしても、富山と石川には、行政整理とは別に、名古屋通産局の支局のようなものをぜひひとつ設置していただきたい。これは実は多年の懸案でありまして、過去数回にわたり各方面に陳情をし、了解を求めて今日に至つたのでありますが、なお実現を見ておらないのは非常に遺憾でありますので、通産省としては今回の行政整理とは別に、石川、富山に名古屋の通産局の支局を設ける意思があられるかどうか、この点をひとつ御質問いたしたいのであります。
○高橋国務大臣 北陸地方に通産局がないので、非常に不便だということは、せんだつて私名古屋に行きましたときにも、あの地方の業者がお見えになつておりまして、その当時から、そのほかにもたびたびそういう意見は聞いておるので、私としてはしごくごもつともな御意見だと考えております。今度の行政機構改革にきつましては、まだ何も問題になつておりません。地方通産局のみならず、ほかの機構につきましても……。私はこの地方通産局というものは、相当地方の業者に便益を与えておるというとを確信しておりますので、少くとも現状は維持すべきだというかたい意見を持つております。北陸に支局を設けるとか、あるいはあそこへ独立した通産局を置くことができるかどうか。これちよつとまだ私今日答弁ができません。お話の御趣意はよく了解しております。
○小金委員長 次は河口陽一君。
○河口委員 私肥料の輸出問題でちよつとお伺いいたしたいのですが、先般新聞紙上で、過燐酸、硫安おのおの十万トンずつ輸出することが政府で決定されたと拝読したのですが、これは国内の需給がいかなる数字の上に立つて、こういうふうに御決定になつたのか、その点お尋ねいたします。
○高橋国務大臣 まだ閣議で決定したというのではないのです。ただこの肥料の海外からの要請は非常に旺盛なのでありまして、今申込みを受けておるのだ、硫安に換算しますと九十三万トンという数字なのです。それで通産省としてはこの内地の消費というものは、どうしても優先的に考えて行かなくてはならぬと思うのですが、増産をして海外に輸出をする。世界的に肥料が非常に欠乏しておりますので、輸出をすると相当利益があります。それでメーカーにそういう利益を与えて、内地の肥料の価格はできるだけ安くする、現在よりも安くするということを奨励したい。そういう方針でおるのです。ところが内地の肥料増産ということを省内でいろいろ研究してみたのですが、電力不足のために、電力さえあれば、まだ非常に余力があるのですが、御承知の本年、ことに昨年の電力不足のために、最初二十万トンの増産計画を立てたのですが、それが不可能になつてしまつた。それでやむを得ず十五万トンに縮小して、その十五万トンを増産するためにも、ほかの産業に割当てる電力を幾らか減らして行かなければ、それもできない。だからアルミの方も非常に要請があるので、アルミをただいま三万何千トンかの予定であつたが、それを五万トンにふやしたいと考えておつたのですが、そういうものを犠牲にして、十五万トンの増産計画がようやく立つておるのです。それもはたしてできるか、あるいはまた十五万トンが二十万トンの増産になるかこれは一にこれからの電力状況によるわけなのです。せんだつても農業関係の団体の人が大勢私のところに陳情に見えたのですが、そういう方は非常に誤解されておる。またことさらにああいうふうに宣伝されておるのかと思うのですが、それらの人が言うには、輸出をして内地の肥料が減ればどうしても値が上る、困るという陳情なんです。それは非常な誤解で、われわれは増産して輸出をして、そしてそのために内地の肥料の価格を下げようという精神なのであります。現在世界の各国から、ヨーロツパの一、二の国からも要請しておるのですが、そういうことはどうしても考えられないのです。朝鮮、台湾それからフイリピンからも非常に強い要請があるのです。この三国は、政治的に考えてもできるだけの便宜を与えなければいけないだろうと思う。昨年は二十五万トン輸出をしておる。これが遺憾ながら現在では見込みが立たない。現在まだ閣議できまつたというわけではないのですが、現在では少くとも十五万トン増産をして、それを輸出に振り当てたい。なお内地の需給に余裕ができて来れば、それも輸出に振り当てたいというのが、私どもの考えなのであります。
○河口委員 政府がはつきり決定してないということがはつきりいたしたわけですが、今相当輸出が有利であるという御答弁でありますけれども、現在引合いになつておるのはどの程度であるか、それらもお聞かせ願いたい。 なお輸出する場合、公団が廃止になりました当初は、農林省の了解を得て輸出をすることになつておりますので、これらの手続をとられることと思います。現在そのことが決定されておらなければよろしいのですが、もし決定されておるとするならば、農林省との話合いが十分なされておるかということをお尋ねしたい。今後なされる場合、そうしたことが行われるかどうか。
○高橋国務大臣 農林省の了解を得るということは、これはもうそうなつておるわけなのです。いよいよ輸出をするときは——あるいは十月にその中の二万トンを出すとか、三万トンを出すとか、それは農林省と話合つた上でできるわけなのです。
○首藤説明員 引合い価格は、各国によつて一致はしておりませんが、大体七十一ドル前後の引合いが一番多いのであります。中には七十二ドルあるいは七十三ドルというのがありますが、七十三ドルくらいが一番高い。これを今の内地の価格にいたしますと、相当高値になるということになります。
○河口委員 過燐酸はどうですか。
○首藤説明員 過燐酸は最近あまり引合いが来ておらないようですから、ちよつと価格は申し上げかねます。
○小金委員長 ほかに別段御発言はございませんか。
○高木(吉)委員 政務次官にちよつとお聞きしたいのです。中共貿易の綿糸布が輸出許可品目から除かれております。メモランダムによりまして輸出要許可品目は解除されておりますが、その中で帆布とか、そういうようなものに対しましても許可はできるのですか。
○首藤説明員 輸出要許可品から除外されたのであります。先ほど申し上げました戦力増強の疑いのあるものだけは除外されておりますけれども、その他は輸出はできるのであります。政府の許可はいります。
○高木(吉)委員 なお生糸の輸出の問題でありますが、ただいまロンドンの絹業委員会におきましては、糸価安定のために大体三ドル八十セントということで、これが世界の輿論でありますが、現在におきましては四ドル五十セント近くの値段がしているわけであります。もしもこれが外国から強要されて来た場合におきましては、通産省といたしましては、どういうようなお考えを持つておられますか。
○首藤説明員 生糸は農林省の所管でありますので、その点は、農林省の方でいろいろの場合を想定して対策を検討しておるかと思います。通産省は、この問題について目下のところ何ら検討いたしておりませんが、聞くところによりますと、農林省の方でも、生糸輸出を推進するためにはどうしても糸価を安定させなければならぬというので、今度の臨時国会かあるいは通常国会に対しまして、糸価安定法案というものを出す準備をしているということであります。
○小金委員長 ほかに御発言もございませんようでありますから、本日はこの程度にて散会いたします。次会は明日午前十時より開会いたすことといたします。 午後三時四十八分散会