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11回国会衆議院1951/08/18

通商産業委員会 第2号

発言数
45
登壇者
8
会派数
1
開催日
1951/08/18

会議録

中村幸八自由党

○中村委員長代理 ただいまより通商産業委員会を開会いたします。  本日は公報に掲げてありますように、滞貨金融に関する件について政府より説明を聴取し、質疑を行いたいと存じますが、その前に委員の変更について御報告申し上げます。本日委員山手満男君が委員を辞任せられて、佐伯宗義君が補欠選任せられました。以上お知らせいたしておきます。  それでは滞貨金融に関する件について質疑を行います。澁谷雄太郎君。

澁谷雄太郎自由党

○澁谷委員 私は滞貨金融の問題に入ります前に一言申し上げたいことは、この前の委員会におきまして、スタンプ手形の問題で輸入物資の引取り資金の問題について質問をいたしておるのでありますが、滞貨金融の問題とからんで、現在の金融情勢の問題は非常に大きな問題だと考えますので、本日は特に責任のある大蔵大臣あるいは日銀総裁の御出席を願つておつたのでありますが、たまたま両氏とも全権としてアメリカに行かれる関係もあるのでしよう、おいでになつておられません。先般来からこの金融問題につきましては、少くともこの通商産業委員会は、密接不可分な関係にありますために、相当責任のある方の御答弁をお願いしたく、われわれは念願しておつたのであります。たまたま今おそらくこのお二人の方々がおいでにならないのは、そういうことの理由のためにおいでにならないと思うのでありますが、それではわれわれがせつかくまじめに国民を代表して質問をいたしておりますのに、いつもあやふやな答弁に終つてしまう。実際にそれが運用されていないというような結果を生み出しておるのではなかろうか。一体現在の金融問題を、大蔵当局なりあるいは日銀当局は、ほんとうに真剣な心持でもつてすべての問題を考えてやつておられるのかどうか。むろん政府の機関でありまするから、相当な考え方を持つておるには相違ないのですが、しかし産業あつての金融であつて、これらの問題を考えてみたときに、よほどこの問題は、少くともわれわれ通商産業に関係のある者の意見を十分に聞き入れて、そうしてそれを施策の上に実際に行つて行くとい考え事を、もつともつと強く認識しなければならぬと思うのであります。五十嵐さんがきようお見えになつておりますが、本日はどういう資格でもつておいでになつたのですか、まずそれを先に伺いたい。きようは少くとも日銀総裁のかわりとして御答弁が願えるのですかどうですか。単に日銀の理事という形でもつておいでになつたのでは、せつかく質問をしましても意味をなさぬのです。日銀総裁の代理として御答弁を願えますかどうか。それをひとつ伺いたいと思います。

五十嵐虎雄日本銀行理事

○五十嵐説明員 本日の賓格については、私は政府委員でも何でもありませんで、参考人として実情を話せということで参つておるわけであります。それできのうも帰りまして総裁に話をいたしまして、私は総裁代理として参つております。日本銀行の理事はだれが出ましても、私ども内部に意見が相違していることは絶対にありません。でありますから、総裁の意見も私どもの意見も、毎日軍役会を開いてやつておりますので一本にまとまつておりますから、総裁の代理として参つたわけであります。御了承願います。

澁谷雄太郎自由党

○澁谷委員 総裁の代理ですか。

五十嵐虎雄日本銀行理事

○五十嵐説明員 そうでございます。

澁谷雄太郎自由党

○澁谷委員 それではまず伺いたいのですが、この前の輸入物資の引取り資金の問題で、ケース・バイ・ケースの形で融資をあつせんするということを言つておられたのですが、それは今日までどういうふうな状態に行つておられ、それがために現在の状態がはたしてわれわれがあの当時に申し上げたような程度に進んでおるかどうか。この問題を、大体においておわかりの範囲においてひとつ御説明を願いたいと思います。

五十嵐虎雄日本銀行理事

○五十嵐説明員 実はぎようは引取り資金の問題でなくて、滞貨金融の問題というようなお話でありましたので、こまかい数字的な資料を持つて参つておりませんために、いろいろこまかい数字がたくさんありますが、宙に覚えておりませんので、話がちよつと数字に基かぬことになりますが、大体私どもの融資あつせんは大豆、油脂、ゴム、これが一番問題の商品であります。ケース・バイ・ケースで金融に乗り得るもの、またボーダー・ラインのものもなるべく金融に乗るようにあつせんしております。皮革のごとき、あるいは三河島、草加あたりのこまかいもの、そういうものも参られまして、個々に解決したものも相当あります。油脂のごときも大体味の素とかそういう大メーカーに融資あつせんいたしまして、なるべく大メーカーに引取らせる。輸入商には融通するに困難でありますので、なるべくメーカーで信用ある者に融資あつせんをいたしまして、そのメーカーが輸入商から商品を引取るように逐次やつておるわけであります。初めから根本的に金融のベースに乗らぬものは、私どもとしていかんともできないのであります。私どもは金融のベースに乗るもの、ないしはボーダー・ラインにあるものはできるだけ金融のベースに乗るようにごあつせんいたしましてやつておるわけであります。しかし根本において大豆、油脂、ゴムのごとき、非常に輸入当時からの値下りがありますから、この欠損をだれが負担するかという問題があるわけであります。ここに大きい問題があります。ですからある程度あつせんでも行かない部面のありますことは、これは御了承願いたいと思うわけであります。綿花の方は幸いに大紡績会社は信用がありますから、大体引取り資金はまあまあ不足がちながら円滑に行つておるようであります。引取り資金につきましては大体以上のことくらいで御了承願いたいと思います。

澁谷雄太郎自由党

○澁谷委員 ただいまの御答弁は滞貨金融ということでありましたが、滞貨金融は必ずしも輸入物資のキャンセルを食つたものが滞貨しておるわけではないと思うのであります。当然ゴムならゴム、油脂なら油脂の輸入原料の滞貨もこの中に含まれなければならぬわけであります。従つて輸入引取り資金の問題は当然関連性がなくてはならないと思うのであります。ただいまの御答弁でありますと、これはもう金融業者のおそらく十八番だと思うのです。もちろん信用は調査するのでありますから、相手方に信用のないものに対しては、それは融資のあつせんができないということは当然であります。それはよくわかります。しかしそこが私は問題が解決でき得ない大きな焦点になつていはせぬかということを考える。日銀当局なりあるいは金融業者の意見を聞きますと、いつでも必ずコマーシヤル・ベースに乗らないものに対しては、すべて金融はできないのだ、これはもう当然のことであります。理論的にこれに対しては何人も反対する人は一人もない。しかし今度の場合のように、たとえば滞貨金融にいたしましても、あるいは引取り資金の問題にいたしましても、それは特殊な事情のために起つた一つの特殊な現象と見なければならぬのじやないかということを、まずもつて根本的に頭に置いていただかなければならぬと、ふうのであります。それでそういうことを頭に費かずに、単なるコマーシャル・べースに乗らぬのだということで片づけてしまうことは、つまり信用の供与というものがそこに一つもはみ出しがない。従来の信用によつて引取り資金の問題を解決しようというならば、何もヶース・バイ・ケースによつて融資のあつせんをするということの言明は何らの意義をもなさないことになつて来るのではないかと考えるのでありますが、それらの問題に対します政府なり、あるいは日銀当局なり、あるいは金融業者なりの考え方が、私は根本的に間違いがあるのじやないかと考えるのですが、そういうことについてどういう考え方で日銀総裁並びに日銀の当局は進んでおられるか。この問題をはつきり伺つておきたいと思います。

五十嵐虎雄日本銀行理事

○五十嵐説明員 私どもは融資あつせんの点は金融のベースに乗らないもの、乗りがたいもの、そういうものをできるだけ金融のベースに乗せて、金融のつくようにお世話しようということで毎日努力しているわけであります。たとえば輸入でもゴムのごときは、輸入当時から見ますと約五割暴落しているわけです。油脂のごとき四割暴落しております。皮革のごときも三割なり四割暴落していると思うのであります。輸入したときの値段で金融をつけなければ、その輸入商社の金融が解決しないわけです。しかしながら現在四割なり五割なり損をしている商品を見返りにして貸す場合において、輸入当時の値段で金融をするということは、普通銀行ができるかどうか、日本銀行ができますかどうか。日本銀行は国全体のことを考える銀行でありまして、ゴムなり、そういう特殊の業種に対して、特別の救済的な金融をするということは、これは大蔵当局の承認なり、あるいは私ども日本銀行の運営をしております責任といたしまして、これは国家保証なり何なりがありませんければできない建前のものでありますから、この値下りの損までも金融せよとおつしやることでありましたら、これは私は絶対できないということを申し上げざるを得ないのであります。そこに国家保証なり、あるいは何か政府の御許可があればできるかもしれません。たとい政府がやれとおつしやつても、政府の保証がなければ、私どもできない問題かもしれぬと思うのであります。その他そういう値下り分を除きました部分の金融につきましては、できるだけ融資あつせんなりの方法で、個々に解決して行きたいということで努力しているわけであります。これは渋谷さんが日本銀行のバランス・シートをごらんくだされば、いかに私どもが現在の事態を重視いたしまして、破局を来さないように、しかもその筋の指示にもかかわらず金を出しておりますかということは、御承知願えるかと思うのであります。これまでに五月に日本銀行の貸出は一月で二百五十二億膨脹しております。それから六月には一月に四百五十六億、これは未曾有のことでありますが、四百五十六億の膨脹をやつております。それから七月は百十九億の膨脹をやつておる。物価が下落傾向にあります際に、中央銀行の質出しがこう膨脹して行きますということは、これは異例のことであります。景気が三月以来中だるみでありまして、本来なら中央銀行の信用は収縮してしかるべきでありますが、一—三の特殊の事情がありますということでそうもできません。そうして八月には、八月の十四日までで日本銀行の貸出しは、四百六十億膨脹しております。半月の間に八月には四百六十億膨脹しておるわけであります。ですから五月から八月の間におきまして、日本銀行の貸出しは千二百八十七億の信用の大膨脹をやつておるわけであります。それでも今の銀行の困難を乗り切ることができるか、まあ非常に心配しておるわけでありまして、これは融資あつせんとかいろいろなご髪やるのでこうなるわけでありますが、決して今の状態を放任して何もしないとか、いろいろお話があつたようでありますけれども、これはひとつ数字をごらんくださいまして御納得をしていただきたいと思います。  金詰まりの問題でありますが、私立上りましたついでに少し御了解を得たい点があります。この金詰まりという問題これは終戦以来、私は日本銀行当局といたしまして、毎日金詰まりの声を聞かない、また日本銀行が金を出さないという攻撃を受けない日はないのであります。従つて私ども毎日その点は考えておるわけでありますが、その金詰まりの原因、これは終戦以来いろいろ原因もかわつて来ております。その辺をひとつお話申し上げて御了解願いたいと思うのでありますが、終戦直後から昭和二十三年までの金詰まりであります。これはインフレーシヨンであります。猛烈な財政インフレーシヨンであります。これは商大の中山博士も、インフレーシヨンは金を軽蔑しながら金に渇望する時代なりと定義しているわけであります。日本銀行が金を出せば出すほどインフレーシヨンになつてますます金詰まりになる。これはその当時の金詰まりの状態であります。それからドツジさんが来られて、二十四年以来安定経済に入つて以来、日本の物価はストップを食つた、そこで物が売れない、過剰人員を擁している、この過剰人員を首切るには退職資金がいる。なお金がかかる。ドツジ・ラインによる安定経済における金詰まりはそういう企業の整備段階に入つて、過剰人員を擁して、物は出ない。終戦直後から朝鮮事変前までのあのさんたんたる時代、あの当時が一番私は金詰まりのひどかつた時代と思うのであります。そういう金詰まりの性質だつたわけであります。それを徹底して、日本の財界を整理して、鉄筋コンクリートの基盤の上で、将来展開せらるべき国際経済戦に乗り出すというのが本筋であるべきはずでありますけれども、ちようど朝鮮事変が起きたわけであります。朝鮮事変から今年の三月まで、この金詰まりは、これは非常にもうけた会社でも金詰まりだというのであります。これはもうけるために金がほしいからの金詰まりであります。ドツジ・ライン下の金詰まりと本質的に違うわけであります。金がありさえすれば、朝鮮事変後は特需があり、輸出が増進する、アメリカが戦争のために高い値段で何でも買つてくれる。もうかる。金があればいくらでも仕事があるからもうかる。もうかるから金がほしい。こういう金詰まり。これは言葉が悪いのですが、専門語で言えば、オーバー・インヴェストメント、過剰投資の結果の金詰まり。朝鮮事変が始まつてから、今年の三月まで。しかし今年の三月以後の金詰まりは性質が違つて来ております。これは御承知の通り、輸入引取り物資が値段が四割なり五割暴落しておりますから引取り手がない。輸入商は輸入したけれども、メーカーは引取らぬ。これは商業道徳の問題でもありますけれども、要するにこの値下りをだれが負担するかとい弔問題。その結果、輸入した物資が値下りで売れないから金詰まり。それから一方海外に日本の繊維製品が売れない。輸出したものの、キャンセルができて来る。この面からの金詰まり。でありますから今年の三月以降の金詰まりは海外市場の変化による金詰まり、世界情勢が景気の中だるみに入つた。今までの金詰まりはあらゆる意味において国内的原因でありますから、ある程度の対策も立ち得るわけであります。もちろん今だつて立ちますけれども、問題は世界景気が中だるみに入つて、その余波を受けて日本経済が中だるみになり、金詰まりになつておるわけであります。事情は世界経済の変化に求めなければならぬわけであります。これは解決はなかなか容易のことじやないと思うのであります。ですからこれからこの世界経済の中だるみに対して日本経済がどういう態度をとつて行くかということが根本問題だと思うのであります。今までの朝鮮事件以来の景気の進展、経済基盤の拡張は、輸出の増進よ特需に基いておりますから、その輸出の増進と特需が少なくなつたために中だるみになつて金詰まりになつておるわけでありますから、これを打開するためには、物が売れるように日本の物価を下げて行かなければならない。もちろん綿糸布その他は国際水準並になりましたけれども、なお一部の商品は非常に割高になりました。日本全体の物価水準——今為替相場は三百六十円でありますけれども、私どもの計算によりますと、五百十何円になります。日本の物価水準は、計算方法にはいろいろ議論がありますけれども、とにかく日本の物価は世界的に割高であります。この割高を温存するがごとき金融政策を今日本がとりますと、これは日本経済の破滅になると思うのであります。それなら輸出が伸びなかつたら日本経済を縮小して、小さい経済基盤で皆が満足するかというと、それでは八千万国民を食わして行けない。第一次欧州大戦後の大正九年の反動期と同じように、どうしても輸出を伸ばして、日本経済の循環をよくして、国民生活水準を上げて行かなければならぬ。それでは私どもの金融政策は——これは政府の要請とお考えくだすつては非常に困るのであります。これは世界経済の変化がこういう金融政策なりこういう政策を要求しておるのだ。これは経済の法則でありますから、どうしてもこの点はひとつコストを下げるなり何なりをする。それにマッチするような金融政策——イージーな滞貨金融などはできないのではないか。そういう世界経済の動向から、世界経済が日本経済に対して要求しているそのこと自体がコストの引下げなり、イージーな金融ができないということじやないかと思うのであります。だからそういう点をひとつよく御認識願いたい。しかし私どもはいろいろ金詰まりの声を聞くのでありますけれども、ここまで経済が回復して参りまして、生活水準も上つて参りました。しかし金詰まりだということで一般の産業界が出せというだけの金を出しましたら、はたして厖大なインフレーシヨンになつたかもしれぬと私どもは思うのであります。いろいろ議論もあるし、またここまで日本経済が来ましたについては、いろいろの曲折もありますけれども、とにかく金詰まりの声を聞きながらも、耐えてここまで来ましたことについては、それはやはり金融政策にも多少の貢献があるのだということをひとつお認め願いたいと思うのであります。はなはだ手前みそのことを申し上げまして失礼いたしました。

澁谷雄太郎自由党

○澁谷委員 大分長いこと金融政策の問題をおつしやつていただきましてよくわかりましたが、これには相当異論がありますが、きようは委員会でございますから、私は金融問題に対してそういうふうな純理論を討議しようという考え方ではないのですから、その問題は別の機会にひとつゆつくり討議を闘わしたいと思つておりますので御承知願いたいと思います。そこで先ほどのお話のところでありますが、なるほど輸入物資が下落したからして、それに対して全額の金融はできないのだ、そういうふうな危険は負担できない、これも私は一応よくわかるのであります。しかしそういうお話に触れて参りますれば、私はこの際黙つておるわけには行かない。それでは翻つて本年の一月から三月までに一体外国為替管理委員会なり日銀なり、あるいは大蔵当局なりが、何ゆえに七億八千万ドルというような厖大な輸入を許容したか、まずそれを考えなければいかぬ。一体大蔵省なり日銀なりがそういう厖大な輸入を許可するということは、日本において輸入物資が欠乏して非常に枯渇状態に陥ると、やがては極端なインフレーシヨンが起るのではないか、であるからこの際いつときも早く多量の物資を日本に輸人しなければならぬというのは、これは大蔵当局ばかりではない、日銀当局も、外為委員会も、あるいは通商産業省も、あるいは安本も、政府当局全体も、国民全体も、そういうふうな考えでおつたことだけは明らかな事実だろうと思う。でありますから外為委員会は当時約九億ドルの為替許可を与えておるのであります。昨昭和二十五年度の一月から十二月までに、一体支払つたドルの金額は幾らであるか、六億七千万ドルであります。輸入の支払い金は一箇年で昭和二十五年度においては六億七千万ドルしか払つていないのです。それが一月から三月の間において七億八千万ドルから九千万ドル、それだけの大きな輸人の契約ができるような状態に持つて行つたということについては、これは日銀当局も、おれは知らぬということは言い得ないでしよう。言えないはずです。また大蔵当局も言えないわけです。関係当局全部がそれは承認しておるわけです。なぜかと申しますれば、現在の状態においては、為替というものはわれわれ民間業者のかつて自由に裁量することはできない。毎四半期ことに為替の許容額をきめて、そうして許可をしておるのであります。われわれの自由な立場でもつてそういうことはできないはずである。その当時の状態を考えてみますれば、物資が非常に欠乏するために、いつときも早く、少しでも多く国内に原材料を確保したいというのが国民全体の声ではなかつたのですか。またそういうことを許容したのは、これはGHQも十分に承認の上であれだけ厖大な輸入許可というものが与えられておる。そうして起つた問題なんです。これを日銀の総裁が、投機的なものは一切融資をしないとかいうような放言をしてみたり、そうしてそれから後今日までの施策においても、それらのものが頭にこびりついておるから、たえずそういう考え方でもつて進んでおる患う。たまたま三月以降において世界の物価が大きく下落を来したからこそ、今日引取り資金の問題に対しても、あるいは滞貨金融の問題に対しても大きな問題が起つて来ておる。これがもしかりにそのままで棒伸しに値段が上つたとすれば一体どうなつておるか、おそらく引取り資金の問題に対しても苦情はなかつたと思う。滞貨金融の問題に対しても何らの苦情は起つていないと思う。そういうふうな考え方でなくてはならぬと思うのです。きようは大臣がお見えになつておりませんが、首藤政務次官がおいでになつておるので、——首藤さんからそれを聞くのは私としても少し面はゆいのでありますが、通産省としては当然重大な責任を負わなければならぬ。また日銀当局にいたしましても、こういう問題に対しては絶対に責任があると思うのですが、日銀当局はそれに対して責任はなかつたと思うのですか、あるいは責任があるとお考えになるのか。これをはつきり言明していただきたい。そういう問題が根本的にきまらないと、次の論議が起つて来ない。でありまするから、本日は私は特に日銀総裁なり、あるいは大蔵大臣なり、あるいは通商産業大臣なり、各責任者に来てはつきり答弁を願いたいと思つた。根本問題が解決しなければ、私はあとの問題は論議してもむだだと思う。冷静にあの当時の事情をもう一ぺん考え直してもらつて、その問題に対しては責任があるかないか。七億八千万ドルのLCを組ませることを承認したのは一体どこなんですか。それはどういう情勢の判断のもとにそういう許可を与えたのか、またやろうとしたのか、そういう政策を立てたのか。その問題について、まず関係当局からおのおの責任のある御答弁が願いたい。

首藤新八自由党通商産業政務次官

○首藤政府委員 私から御答弁申し上げます。ただいま渋谷委員の言われましたことく、昨年朝鮮事変の勃発後の世界経済はめざましい活況を呈しまして、同時に物価もほとんど七、八箇月にわたつて押目なしの続伸を続けたのであります。同時に日本の貿易も著しく伸張いたしまするし、また別個の特需も予想以上の受注がありまして、これが一層物の需要を旺盛にいたしたということに相なつたのであります。同時にアメリカの厖大な軍備拡張の計画、あるいはまた朝鮮事変の将来に対する予想等々から、今年も相当の需要があるであろうという予想は、ひとり政府のみならず民間も同様の予想を持つておつたと考えられるのであります。従つて政府といたしましては、この虚大な需要を充足いたしまするために、できる限り輸入を確保いたしたい、いかなる事態に直面いたしましても、物の不足によつてインフレーシヨンを起すようなことは絶対に避けなければ相ならぬという考え方のもとに、御指摘の通り相当巨額の為替を許可いたしたのであります。そうして民間も同じ考え方から、この巨額の外貨を使用いたしまして輸入をいたしたということは、まつたく御説の通りであります。しかしながらこれはあくまでも商業的行為でありまして、政府がこれに対して責任を持つというようなことはとうてい考えられないことでありまして、ただ責任者はだれかといつても、政府はできるだけこの物価の下落によるところの日本経済に与える深刻な影響を防止いたしたいという責任はあくまでもありますので、この点に対しましては、あらゆる方策をもつて、できる限り金融のあつせんはむろん、その他の対策を講じて参つておるのであります。特に問題となりまするのは金融でありまするが、この金融に対しましては、先ほど五十嵐理事からも詳しく申し上げましたごとく、本月だけでもすでに四百六十億というような巨額な融資が行われておるのであります。日銀の貸出し高も、御承知の通り二千四百億あるいは二千五百億に達しておりはせぬかと思いまするが、急激に貸出しが膨脹しておりまするのも、帰するところこの方法のいかんにかかわらず、金融がきわめて急速度に行われておるという証左であると申し上げてもいいと思うのであります。繰返して申しまするが、一般の経済の情勢とにらみ合して、できる限り国内の需要を充足する、これは政府の責任であります。従つてこれらの対策を立てることもまた政府の責任でありまするが、しかしそれによつて、世界経済が急激に中だるみ、いわゆる反動を来したことまでも政府が責任を持つて賠償するというようなことは、とうてい国家経済の現状が許さない、これも私が申し上げるまでもなく澁谷委員は十二分に御承知のことだろうと思うのであります。ただ政府といたしましては、できる範囲において、可能な限り経済安定のために、もろもろの対策を講じて行くという程度以上は出ないということを御了承願いたいと思います。

福田久男大蔵事務官(銀行局総務課長)

○福田説明員 ただいま澁谷委員からの御質問に対しましては、大体通産政務次官からお答えがございましたので、特に付言するほどのこともございませんが、ただ一言金融の立場から申し添えておきたいと思います。  ただいま政務次官のお話にもありましたように、金融面でできる限りの努力は続けつつあるのであります。特にコマーシャルの立場から見て、可能なる限りの金融的な引取り資金の処置については努力しておるということを御了承願いたいと思うのであります。その具体的な内容等については、日本銀行の五十嵐さん等からも御説明がありましたので、詳細は省略いたしますが、ただ金融によつてすべてを解決するということには、多少問題が残されております。と申しますのは、海外の事情によつて物価が非常に暴落した、その暴落した点については、輸入価格との間に開きがありますので、その分は損失として国民経済上はどこかで負担しなければならぬ。その損失をどこで負担するかという問題であります。それは先ほど政務次官のお話のように、国家においてそれを負担するということは、諸般の財政その他の見地から見ても困難である。そうすればそれを金融で負担すべきか、あるいは企業の方で負担すべきかという問題が残されるのであります。それを金融で負担するということは、一方において銀行なるものの性格から考えまして、多数の預金者から預かつた金を運用するわけでありますから、それをもしも全額金融でまかなつたといたしますと、その損失は銀行がかぶる。銀行がかぶれば、その損失はどこへ帰着するかと申しますと、預金者に迷惑をかけるという結果になりますので、おのずからそこに限界があるべきであろうと思います。従つて五十嵐理事からも先ほど申し上げましたように、金融でやり得るという面にはおのずから一定の限度がある。しかしできる限り救えるだけのものは金融面で努力して救おうという線を出られないということは、日本の金融機関がそういつた預金銀行であるという立場から、当然避けられない一つの線ではないかということを申し上げておきます。

澁谷雄太郎自由党

○澁谷委員 今の為替許容の問題についての五十嵐さんからの御答弁はありませんな。

五十嵐虎雄日本銀行理事

○五十嵐説明員 先ほども首藤政務次官からお話がありましたように、責任とおつしやいますけれども、これは私どもは、日本経済の秩序を維持するとか、通貨の価値を安定するとか、そういうことに対して、日本銀行法には何も書いてありません。しかしこの責任はありますけれども、お役所が行政権に基いて許可なさつたものに対して、権限のない私どもが責任を負うということは、これは私どもできないことであります。また政府の方でもこれは商業行為であるからできるだけのめんどうを見るけれども、責任はとりがたい、こう首藤政務次官がおつしやつておられます。まして権限のない日本銀行か責任を負うということは、責任論の本質からいつても私どもできないことであります。しかしながらこれは問題からそれますけれども、そういう問題の取上げ方を経済行為のモーテイフといいますか、動機にさかのぼつて論議しますことは一応はもつともかもしれませんけれども、私どもは経済問題は経済問題としての扱い方をやりたいと思つております。その経済行為をした動機が思惑であろうと国策に協力したものであろうと、そういうことをいまさら問うて論議しても始まらない。むしろ現在これだけの物資が入つて来ている。これが値下りした、これを日本国民経済が背負つているわけですから、それをどうスムーズに散らしたらいいかということに頭を悩ましているというわけです。その入つて来た物の値下りが、日本国民経済にどういう影響を与え、どの程度の金融をやればこれを何とか越せるのかという点について、心配しているわけです。そういう点についての経済秩序を維持するとか、物価秩序を維持するとか、そういうことに対する責任を私どもは中央銀行として十分背負うつもりでおります。しかしながら為替許可を一・四半期に九億ドルやつたからその責任を負えとおつしやいましても、私どもはそういう許可の権能がないものでありますから、これは負うわけに行かぬのであります。御承知を願います。

澁谷雄太郎自由党

○澁谷委員 私が責任を負えと言つたために、責任という問題が非常に強く響いたと思いますが、私どもは原因のいかんにかかわらず、起つてしまつた問題を解決しなければならぬことは当然のことであります。しかし私の申します責任という問題は、一体そういうふうな情勢下においてなされたことに対して、日銀総裁なりあるいは大蔵大臣なりが、あまりにも冷淡過ぎるということを私は言うのであります。これは首藤政務次官の言われる通りに、為替を使つたのは業者でありますから、業者にもむろん大きな責任があるわけであります。だからその問題を解決しなければならぬことに奔命していることは、当然過ぎるほど当然なことであります。しかし半面においてこの問題が起つたところのものが、国策に沿うべくやつたことというだけははつきりしているわけです。これはいわゆる輸入許可ということが、自由経済の、まつたく為替において自由であつたときのように、業者がおのおの時機を見てかつてに買付のできるような状態であつたならば、それは問題がない、と思うのでありまするが、少くとも一・四半期ごとに為替を許容して輸入の計画を立てておるということであつて、しかも朝鮮事変が起つてから物資の欠乏を来したのは何も一月—三月に限つたことではない。その前からすでにわれわれは輸入の促進を強く叫んでおつた。ところが為替関係、いろいろな関係からいつて結局一月—三月にこういう大きなしわ寄せができて七億八千万ドルという厖大な手続をふむことになつた。それらの問題を考えてみますれば、起つた問題の原因を何も論議する必要はないと言われるかもしれませんが、そういうふうな事態において起つたものでありますれば、たとい業者がやつたとしても、それに対しては政府においても各関係当局においても、別な角度でこの問題の判断を下し、別の角度で批判をし、別の角度で金融措置を講ずるということが最も当を得ているのではなかろうかとわれわれは考えるのです。従つて私が最初にお尋ねしたのは、それなんです。必ずしも損失を政府に負担せよとか、あるいは政府に負担させなければこの問題は解決できぬというような責任問題ではない。これにどういうふうに関与されておつたか、大蔵当局あるいは日銀当局は知らぬというけれども、しかし為替のL・Cが組まれる。すべての問題は、日銀には毎日のように報告があつて、ちやんとその数字というものはわかつておらなければならぬ。今までの過去の状態において、一・四半期にどの程度の買付が行われておつたかということを判断しながら、この一—三の一・四半期においてこういう厖大なものになつて、はたしてこれが輸入して参つたときにどういう結果を招来するかというくらいのことは、あらかじめその当時において判断ができなければならなかつたと思うのであります。ですから、そこはかりにスペキュレーシヨンがあつたとすれば、それはひとり民間業者ばかりではない、政府自体もあるいは全部がそういうような投機的であつたということは言い得ると思う。中には、それは特にそういう思惑的な考え方でもつて進んだ業者もないとは断言できませんけれども、少くとも堅実な、まじめな業者であつたならば、そういうふうな考え方でもつて進んでおつたことは当然でなければならぬと思うのであります。でありますから、この問題の解決はある程度まで政府が適当な金融措置を講ずることによつて打開の道はでき得るという自信をわれわれは持つておるのであります。なぜかと申しますれば、物価が五割値下りしたといつて非常に驚いておりますけれども、少くともわれわれが関係しております業界において、海外において原材料の値下りが現在よりももつともつと大きな場合が少くなかつた。その当時においてさえも、何とかこの問題は解決できた。ただ一—三の場合においては、非常に数量が大きかつた。そうして日本の一般の業者の経済状態というものは非常に脆弱であるがために、こういう問題が特に大きな問題になつておる。この点をよく認識して、すべての問題の解決に当つてもらわなくちやならぬ、こういうことを申し上げたいと考えておつたのです。でありますから、ただ単に大蔵当局の言われるように、できるだけのことはするという、このできるだけのことはするということの考え方に、われわれにも大き責任があるのだから、できるだけのことはするという考え方と、こういう問題は民間の業者だけがかつてにやつたのだ、しかし現実の姿は相当に滞貨が多いとか、あるいは輸入物資の引取りの問題に対して相当の困難な状態にあるから、これを解決しなければならぬという考え方と、自分らもその為替を許容した、あるいはそういう計画を立てた一斑の責任を負わなければならぬからして、この問題の解決にはある程度までみずからその責任を自覚しながらこの問題を解決する、こういう方向に進むというのとでは、大きな開きがある、私はその点を詳しく申し上げ、そうしてその点の認識をほんとうに頭に強く刻み込んでいただかなければ、この問題の解決はでき得ないと思うのであります。  そこでもう一つお尋ねしたいことは、ただいま国際物価に日本の物価をさや寄せをする、そうしなければ輸出も振興できない。従つて日本の経済は非常にきゆうくつな状態に陥るだろう、であるから金融措置もそういう方向に持つて行くことに進めているのだ、一応そのことはわかります。ではありますけれども、一体アメリカの朝鮮事変以来の物価の値上りは二〇%であつて、それにかかわらず日本の物価の値上りは六〇%だつた。であるから大いにこれから先日本の物価を引下げなければならぬというようなことを言われておるのでありまするが、これについて、私はこの短かい時間でくだくだしく申し上げるまでもないことでありまするが、そこには相当大きな理由がある。たとえてみますれば、これは鉄鉱石の問題にしましても、中共との取引がなくなつて、これを非常な高い運賃をかけてよそから持つて来なければならぬというようなことになつて、その運賃が海外において非常な値上りをしておる。七割もしくは三十割というような名大な値上りになつてしまうというようなことがある。それらの高い原料を使つて、あるいは海外の物資が非常に値上りをしたために、それがために国内におきましては、別にその他の生産費においては大きな値上りをしていないにかかわらず、物価が自然に非常に高くなつたというような問題、数え上げればその物価の値上りの理由はたくさんある。あるいは補給金の撤廃の問題であるとか、さまそれの問題がある。こういうふうな問題を取上げて考えてみたときに、ただ単に日本の物価が高いからこれを金融の操作によつてある程度まで値下りをさせようというような考え方には、大きな間違いがあるのではないかと思うのですが、日銀当局はこれに対してどういう考え方でもつて進んでおられるでしようか。たびたびお話を伺いますと、引取り資金の問題につきましても、あるいは滞貨資金の問題についても、どうも日銀総裁はややもすると金融操作によつて、われわれから見ると——そうでないかもしれませんが、われわれから判断すると、少くともむりやりに物の値段を引下げようということに努力しているかのごとくに感ぜられるのですが、五十嵐さんはどういうお考えでありますか、お尋ねしたいと思います。

五十嵐虎雄日本銀行理事

○五十嵐説明員 ただいま澁谷さんのおつしやつた朝鮮事変以後の物価の値上り、まことに私どもも同感に存じておるわけであります。ソフト・グッズとハード・グッズにわけまして鉄鉱石などのハード・グッズにつきましては、運賃の高騰とか、あるいは補給金の撤廃の結果値上りを来しておることは、澁谷さんのおつしやられる通りだと思うのでありますが、一面また金融面からそういう国際物価以上に騰貴率を高めたという原因も、これは私は数字的に申し上げればできると思うのでありますが、あるわけであります。両両相まつているわけであろうと思うのでありますが、そういう朝鮮事変以来の日本の物価の騰貴率がアメリカよりも高かつたからどうこうというのではありませんで、現在の日本経済の物価水準が世界物価水準に対して割高である、この現状をまず認めまして、それをなるべく国際物価並に近づけるような努力を、金融だけではありません。いろいろな手がありますけれども、やつて行くことが、日本経済を生かす道である、こういうことであります。何も金融だけ先走つてどうこうということでありません。また海外に高く売れるなら、何も貧乏国の日本が安く投売りする必要は毛頭ないへ高く売れるならいくら高く売つても私はいいと思う。但し企業のコストだけは下げておかなければならぬ。そうすれば世界経済の反動期に入つても、利潤を少くすればイギリスに対抗できる、こういうことになる。要するに企業のコストを下げて利潤の分を多くしておきますれば、世界経済の反動で世界物価が一割下つても、なに、利潤に一割食い込めばいいのだ、こういうことになるのであります。要するに日本経済に弾力性を持たせる、そのためにはどうしても今の物価の割高を温存するがごとき金融政策はとり得ない。今すぐ下げるという意味では毛頭ありません。この割高を温存するような安易な金融政策はとり得ない。こういうことであります。今現に物価を下げるために金融を引締めているわけでも何でもありません。ただいまお話申し上げました通り、八月は半月の間に四百六十億も、日本銀行開闢以来の貸出しの増加をやつたおるのであります。われわれはそういう目標がありましても、その目標に対するタイミングを考えておるのでありまして、この七—九の間にはとてもそういうことはできるはずはないと思つております。まあもう少し先の話だと思いますけれども、要するにタイミングを考えているわけでありまして、今急にどうこうという、そういう荒療治は毛頭考えているわけではありません。それから、たびたび大正九年のことを出すようでありますけれども、大正九年の商品恐慌の場合、日本銀行はあの当時の金で二億四千万円の救済金融を出したわけであります。それで問題が片づいたかというと片づいていない、その次に大正十一年のひどい金融恐慌が来ており、それからさらに昭和二年に大恐慌が来ているわけです。日本銀行が金を出しまして、一応はくさいものにはふたをするようなことをやりましても、財界全部がこぞつて日本の産業のコストを下げる、企業の合理化をやる、国際物価並に下げる、そういう努力がなければ、日本銀行は一時貸し出しても、決して日本の財界の救済にならないわけです。これは大正九年の反動の場合、あのときは入超です、第一次欧州大戦のときは非常な出超です、どんどん売れておる、日本の物が高く売つても、向うには製造能力がないから売れるわけです。大正七年十一月十一日、休戦でしよう。それから日本経済が反動に人つたわけです。しかしながら翌八年の六月からまた日本は景気が出た。それは敗戦国がまだ対外輸出品をつくるだけの生産が回復しなかつた、その間隙に乗じて、八年の六月から少し出て、またわつといつて思惑が出て、あの九年の大反動になつた。あのとき、日本銀行の貸出しが預金よりも多かつた。大正九年の反動直前には、全国の銀行の貸出高が預金高を上まわつておつたという状態、現在はまさに日本の預金高と貸出高とすれすれのところまで来ておる。私は大正九年のような反動が今来るという意味ではありません。小規模のものが現われるかもしれませんが、決してそう言うのではありませんけれども、大正九年の反動のときに、あの当時の金で二億四千万円の救済金融を日本銀行が出しても、大正十一年の恐慌が来て、昭和二年の金融恐慌が来た。そうして日本の物は割高で、海外に売れない、第一次大戦の結果規模が大きくなつた日本経済を維持するためには、どうしても輸出をやらなければならぬ、しかも日本の産業コストは高くて、物は売れない、そのコストを下げるだけのことを財界はやらぬで、日本銀行の救済金融にたよろう、これが累積して遂に大正十一年、昭和二年の金融恐慌、それから満州事変まで、日本経済というものは次第弱りになつて、それを武力でもつて打開しようとしたのが満州事変、そういうことになるわけです。ですから日本銀行の金融だけで一時を糊塗しても、これは私は問題にならぬと思う。しかし対症療法として、私どもはそれは考えます。考えますけれども、財界の方でまじめにひとつ日本の輸出を伸長する、イギリスと南洋で競争しても負けないだけに、コストを引下げて安い物をつくる。安く売るという意味ではありません。高く売つて、企業のマージンを多くして、国際経済の波動に対して弾力性を持つような鉄筋コンクリートの基盤につくり上げれば、これから誌和になつて自立経済になつてもへのかつぱであります。そういうことに急激にやろうというのではありませんけれども、お互いに一歩一歩そういう方面に近づけて行く、今の国際的に割高の物価秩序を温存するような金融政策はとれないということだけの問題であります。方向としては私は、急激ではありませんけれども、タイムを考えてやりたい、こういうことなのでありますから、御了承願います。

澁谷雄太郎自由党

○澁谷委員 五十嵐さんの金融問題はたびたび伺いますが、先ほどもお話の通りに、われわれが今過去の金融問題を論議しても始まらぬのですが、ただそういうお話が出たから伺わなければならぬのです。もし金融の統制をやつて、そうして、金融を引きしめて物価の下落を要望するということであつたならば、本来から申しまするならば、信用が膨脹したのは本年の一月—三月のときが一番大きな膨脹であつたと思う。でありますから、かりに金融統制をやつて、金融の引きしめによつて物価を引下げようという努力をするなら、少くとも私はあの大きな買付けをしておつたときにおいてその手を打たなければならなかつたのではないかと思う。ところが現在においては、世界物価の中だるみのために非常に物が下落して来た。品物によつては国際水準以下に下つておるということも少くないというような状態になつて来ても、なほかつ金融の引きしめ一本で行く。それはなるほど御承知の通りに、相当の金は出ているだろうということはわれわれも想像しております。出ていなければ現在のようにはとても行かないのでありますから、相当の金が出ていることだけは想像にかたくないのでありますけれども、しかし私どもの希望するところは、同じ金を出すのにも、これは業者だけがやつているのだということで追い打ち的のことをやらずに、いま少しくこの際はある程度まで救済をしながら、そうしてこの難問題を解決して行きたいという方向に進まなければならぬのじやないかということを私たちは考えておるのであります。そこで五十嵐さんの言われた、いわゆるケース・バイ・ケースの問題はほんとうに円滑に行つておるかどうかということを、最初にお尋ねしたのであります。実際においては五十嵐さんの言われておるようには円滑に行つていないのであります。なるほど大企業の方には相当にしわ寄せができておると思いますが、少くとも中小企業に対しましては、そういうふうに行つていないようにわれわれは考える。そこに私は大きな問題が残されておると思うのです。五十嵐さんは一体どういうふうな考え方でもつて今後お進みになり、あるいは日銀として今後どういう方向にお進みになるお考えを持つておられるか。この引取り資金の問題のごときは急速に片づくものではない。まだまだ相当の期間続くと思うのです。私はこの問題については、これから先もまだ何回も繰返してお尋ねしなければならぬようなことになると思いますが、この問題について日銀当局の考えておられる意見を、もう一ぺん率直にお尋ねしたいと思うのであります。

五十嵐虎雄日本銀行理事

○五十嵐説明員 ただいま追い打ちをかけるというようなお話がありましたが、とても私どもは追い打ちをかけるような気持もありませんし、今の財界としてもおそらくとてもできない。いかにして破綻を防いで経済秩序を維持して行くかということにきゆうきゆうとしているわけなんです。毎日朝日をさませば、きようも何もなかつたかというほど、今相当深刻になつているわけです。決して追い打ちどころの騒ぎではありません。ですから日本銀行も今月に入つてあれだけ貸付が膨脹していることは御承知願えると思うのであります。それから輸入引取り業者に対する——もちろん澁谷さんのおつしやる通りに、私ども思惑をやつたからけしからぬとか、そんなことは毛頭考えておりません。しかしできるだけスムーズに行けるものはスムーズに行つていただきたい、こう思つてあつせんしているわけであります。あつせんがスムーズに行かぬ面もありますが、それはここで私は申し上げることはできません。あつせんのスムーズに行かぬ方は、胸に手を当ててその会社の経営なり何なりをごらんくだされば、私どもが日本銀行の融資あつせんでどんなさか立ちしてもできないものは、できないだけの理由があるのです。その点は御了承願わなければいがんだろうと思いますが、できるだけのことはいたしているわけであります。そうして講和前でありますし、決して破綻を来すようなことはいたしません。がたがたいたしますことだけは絶対いたしません。ただ私どもは講和後を心配している。それは電気料金もいろいろのものも上りましよう。賃金も上るでしようし、労働攻勢も盛んになるでしよう。しかし賃金、物価の悪循環が講和後に来たら、それこそたいへんです。むしろ今の講和前よりも、講和後のことを私どもは心配している。そういうようなことをいろいろの点から考えまして、そうそう安易な金融政策はとれない、こういうことだけなんであります。

澁谷雄太郎自由党

○澁谷委員 ただいま五十嵐さんのお話を伺つておりますると、どうもわかつたようなわからないような、そうしてただやります、しかもそれは要するに相手方の信用があるからということに終つてしまうのであります。これでは水かけ論で、何回お話してもわからない。でありますから私は、先ほども言いたくないことを、前のこういう問題が起つたのはどこにあるかということから申し上げた。それがまだ頭に十分に入つていないと思うのであります。なるほどそれは金融問題などは、簡単に言いますれば相手方の信用の問題がある。少くとも銀行業者、金融業者としては、多数の方々の資金を預つておるのであるから、それは十分に貸す相手方の信用を調べてやらなければならないのだから、相手方の信用いかんによつては貸すことはできないのだというふうに片づけてしまえば、問題はもう何回論議しても始まらないことなんであります。だから私は露骨に言うと、日銀がたとえばスタンプ手形の問題を起したときでも、スタンプ手形の問題は、もうああいう問題はやめたいと思うのだ、それから後はケース・バイ・ケースでやるのだという言葉は非常にきれいであつて、また実際において熱があるかのごとく考えられる。けれども実際において行つているところは決してそうではない。だから先ほど私のお話した通りに、いわゆるコマーシャル・ベース、あるいは普通の商取引の場合においての状態で、それ以上の信用を特別に供与しなければこの問題は解決しない。そのはみ出しを一体どうするのか。この問題をもう少し真剣に考えてから行かないと、この問題の解決ができない。のみならず私たちが聞き捨てならぬことは——もちろん業界におきましては、今度の輸入物資の値下りのために、相当大きな打撃を受けていることだけは事実であります。それはいなむことのできない事実なんだ。現実の姿なんだ。入つておる原料の数量から、それから建値から計算すれば、およそ損失の高というものは想像できるが、一つの業界がそういうふうな厖大な損失をこうむつたときに、そう簡単にただ従来のように信用供与は簡単にできないのだというような言葉でもつて片づけてしまつたならば、私はこれらの問題の解決はとうてい望み得ないと思う。現在の日銀当局の考え方でもつて進んだならば、とうてい解決の望みはないと思う。でありまするから、一番先に責任問題を聞くとはけしからぬではないかという日銀当局のお言葉でありまするが、少くとも日銀当局もこれらの問題に対しては、その責任の一斑を負わなければならぬことだけは当然なんだ。またこれらの輸入方策を立てたその他の当局もみなそれだけの責任がある。これは責任があるから賠償せよというのではありません。そういう問題に対する責任があるのだからして、その責任のある問題がたまたまこういうふうな状態に陥つたのでありますから、この問題の解決に対しては、責任を持つて適当な解決策を立てるということが妥当でなければならぬ、こういうふうに考えるわけであります。でありまするから、私たちの考え方からすると、五十嵐さんの言われるような議論で行つたならば、何回やつても水かけ論になつてしまう。そういう水かけ論をするためにわれわれは貴重な時間をさいて、そうしてこういうふうなまじめな委員会を開こうとしておるのではない。少くともわれわれは国民を代表して、今の状態でもつて放任し、あるいは非常に解決策を遷延して、万一ゆゆしい破局でも起るような場合があつたときは、これは日本経済に及ぼす影響が非常に大きいというふうに考えるからであります。これに対する五十嵐さんのはつきりした御答弁をもう一ぺん伺いたい。

五十嵐虎雄日本銀行理事

○五十嵐説明員 どうもたびたび水かけ論になつて恐れ入りますが、私どもは実情を御説明に上つておりまして、決して澁谷さんと意見をどうこうというのではないわけでありますから、澁谷さんの御意見は、よく承つておきます。しかし金融は抽象論ではありませんで、金を貸してとれなければ貸した人の責任ですから、澁谷さん、あすにでも具体的なケースをお持ちくださいますれば、私どもできるだけやりますが、それが金融つかなければ、どういう点でつかないかということを御研究いただきたい。そうすれば私どもがどのくらいやつておるかということがおわかりになると思います。これは抽象論をやつても水かけ論ですから、具体的に金融のつかないケースをお持ちくださいますれば、私どもそれを伺いましてやります。そこではたして私どものやり方が悪いのか、金融つかない業者のやり方が悪いのか、具体的のケースによつて御判断いただきたい。そうしなければ水かけ論になつてしまいます。私どもはできるだけそのケースによつてあつせんします。もしできなかつたらそのできない理由を私どもはつきり申し上げます。そうすれば具体的にわかると思います。私ども悪ければ、その具体的ケースに基いて攻撃してくだすつてけつこうです。そうしなければ水かけ論です。私ども経済秩序の安定維持、金融秩序の維持、こういうものについては責任がありますから、業界の混乱が日本経済全体の秩序を混乱に陥れるというおそれがある場合、もちろんこれは責任を持つてやりますけれども、日本銀行は個々の会社の救済機関ではないわけでありまして、国民全体の機関でありますから、それはひとつよく御了承願いたい。経済秩序の混乱の来るようなある特殊の業界における破綻か何かあるなら、これを未然に防ぐのは私どもの責任でありまして、その処置はいたします。それがはたして日本経済全体の秩序を破壊するまでの大きいものであるかどうかという点の認識の問題があるかと思いますが、抽象論としてはそれだけしか言えないわけです。あとは具体的のケースで、私どものやつておりますことが澁谷さんにほんとうに納得していただけるかどうか、ひとつケースをお持ち願いますれば、それをよく私ども調べます。そうして私どもが悪いか、その会社の経営が悪くて金融がつかないのか、御判断願いたいと思います。

中村幸八自由党

○中村委員長代理 午前中はこの程度にいたしまして、午後一時半まで暫時休憩いたします。     午後零時六分休憩     ————◇—————     午後二時三十四分開議

小金義照自由党

○小金委員長 午前中に引続きこれより会議を開きます。  この際御報告申し上げます。この半年以来懸案の、通商産業委員の米国派遣に関して御報告申し上げる次第でありますが、講和条約締結も目捷の間に迫りまして、わが国の政治的独立に伴つて、経済自立体制を急速に確立する必要がございます。そこで通商産業委員会とし七は、すみやかに委員の一部を米国に派遣することに先ほどの理事会が決定いたしました。  以上御報告申し上げます。     —————————————

小金義照自由党

○小金委員長 午前中に引続いて滞貨金融に関する件について質疑を継続いたします。小川平二君。

小川平二自由党

○小川(平)委員 午前中澁谷委員から日銀の五十嵐理事に対しまして、輸入物資の引取り資金について、きわめて御熱心な質問があつたのでありまするが、これに対して誠意のある、納得の行く御答弁がほとんど得られておらないのであります。与えられていないのであります。あるいは今日の事態は、日銀の力をもつてしてはいかんともし得ざる国際市場の変化によるものであるというふうなお言葉である。あるいはまた過去において大量の輸入を許したのは、これは政府の行政行為である。これまた日銀のあずかり知らざるところである、こういうふうな御答弁であります。あるいはまた輸入先行といいまするか、何をおいてもまず輸入をしなければいけないということが、過去においていわば国策であつたにせよ、われわれは経済問題に対処する場合には、道義に立入ることが正しい方法であるとは思わない。平たく言えば一々事情をしんしやくしたり、血があり涙があつては金貸しは勤まらぬ、こういうことをおつしやつたわけでありましようが、御答弁がまことに人を小ばかにした、まつたく一片の誠意も見られない御答弁の連続である。ことに金の貸してもらえない者は胸に手を当てでよく考えてみろというようなことを放言されるに至つては、私はまことに遺憾の念を禁ずることができなかつたのであります。もとよりこの問題はきわめて深刻な経済問題であると同時に、大きな政治問題である。かような問題に対処するのに、かくのごとき心構えをもつてされるのでは、これはゆゆしい問題であると私は考えますので、監督の立場にある銀行局長におかれては、十分の戒飭を加えていただきたいと思うのであります。かようなわけでこの重大な問題に対し、日銀があるいは政府が今まで具体的にどういう手を打つて来られたか、その結果として事態が少しでも好転しているのかどうかというような点につきまして、具体的には何らの御説明を承われなかつた、かようなわけでありますので、銀行局長からこの問題の経過につきまして、できるだけ詳細に承りたいと思うのであります。

河野通一大蔵事務官(銀行局長)

○河野説明員 お答え申し上げます。実はけさの委員会にお招きを受けておつたのでありますが、ほかの会合の方に出まして失礼いたしました。滞貨金融並びに輸入物資の引取り資金の金融の問題につきましては、かねがね非常に大きな問題でありまして、前国会開会中にもたびたび私どもお呼び出しを受けまして、いろいろ御要望も聞き、また私どもの考えておることをもいろいろ御説明はいたして参つたのであります。はなはだ抽象的なことを申し上げまして恐縮でありますが、基本的な考え方は当時小川先生にも御列席のところで申し上げたかと思いますが、当時私どもが考えておりましたところと基本的な考えにおいては現在においてもかわつておりません。つまり日本の経済が非常に基礎が弱い、資本の蓄積が非常に乏しいような現状のもとにおきまして、この底の浅い、基盤の弱い経済のもとにおきまして、経済の基礎を壊すことなく、でき得べくんばさらにこれを強固にしながら、今問題になつておりますような個々の金融問題をいかに解決するか、こういうことが非常にむずかしい問題になつて参るのであります。私どもはたびたび申し上げておりますように、この際金融政策の基調は、やはりインフレーシヨンを押えて行くという建前をあくまで守つて参らなければならぬ、そのわく内と申しますか、非常に言葉が悪いのですが、そういう基本的な考え方の上に立つて個々の金融問題を十分深く検討を加えながら、個々別々に必要な処置を講じて行くという基本的な態度につきましては、先ほど申し上げましたように、現在でもかわつておらぬのであります。お話の輸入物資引取り資金の金融の問題につきましては、いろいろな御不満あるいは非難等を私どもはずいぶん承つておるのでありますが、日本の経済が今後自分の足で立つて、そうして国際経済に参加しながら、公正な国際競争に耐えるだけの基盤の上に立つて、今後経済を運営して参りますためには、特に日本の国際物資につきましては、どうしても国際物価水準の上に立つて、今後計画通りの輸入もでき、また入れたものを加工して輸出もできるというふうなべースへ持つて来なければならぬと思うのであります。これがためには、一面におきましては、企業自体における合理化ということが当然必要になつて参りましよう。そのほか日本の個々の国内物資につきましてのコストの切下げと申しますか、そういうふうなことについて、いろいろな手を打つて参らなければならぬと思うのでありますが、これらの問題とうらはらになつて、国際物価水準ということをにらみながら、将来にわたつてインフレーシヨンによらず、公正な国際競争に耐えながら、計画通りの輸出をやつて行くというペースにつくり上げるための金融の裏づけはやつて参りたい、かように考えておるのであります。従来問題になつておりました油脂、ゴム、皮革等の問題につきましては、非常にむずかしい問題が多々あつたのであります。現在でも皆様方のお立場から申されるならば、十分に問題が解決いたしておるとは私ども毛頭考えておらぬのでありますけれども、今申し上げましたような、基本的な考えに立つて別わく的な処置はいたしませんが、個個について、できるだけ必要な資金については金融上のめんどうを見て行くことについて、日本銀行方面にも強くその点は指示いたしておるわけであります。基本的な考え方については、日本銀行としても別にその点について異存があるわけではないと思います。けさほど五十嵐君からどういうお話を申し上げたか、実は私よく存じませんが、今私が申し上げました範囲内におきましては、特に日本銀行としても、それと異なつた考え方で運営をいたしておるということではないと信じておるのであります。現に油脂その他の問題につきましても、逐次融資あつせんを通し、また金融機関自体の力によりまして、必要な金融はついて参つておると思うのであります。ただ問題になりますのは、必要な資金という意味が、お互いにやはり考え方が最後の線におきましては若干違つておるところがあるかと思います。それからもう一つは、この金融はあくまで先ほど申し上げましたようなインフレーシヨンを排して行く点と、それから、これは金融であります以上は、言葉は非常に悪いのでありますが、やはり金融に乗るものでなければいけない。単純な救済というような意味における金融ということはむずかしい問題になつて参る。特に中小企業等におきましては、この関係からなかなか金融がうまくつかぬという事情が存在いたしますことは、私どもも十分承知いたしておるのであります。これらの点につきましては、私どもといたしまして、できるだけ特別の措置を講じて行くように、今後国会等にも御提案をして参りたいというふうに考えておるのであります。その一部につきましては、昨日でありますか、私からも若干触れて申し上げたのでありますけれども、中小金融につきましては、政府資金を財政の許します限り多額につぎ込んで、こういう方面から中小企業の金融の円滑化に資して参りたいというふうなことも考えておるのであります。それらの点につきましては、もちろん現状が十分満足すべき状態であるとは私ども思つておりません。今後これらの点についても、さらに改善の方策を講じたいと思うのであります。非常に抽象的なことを申し上げて恐縮でありますが、なお具体的な点で御質問がございましたら、さらにお答え申し上げたいと思います。

小川平二自由党

○小川(平)委員 今この問題に対処する基本的な態度について御説明があつたのでございまするが、御説明を十分了承いたします。しかし今生じておりまするような、経済界に混乱を生ぜしめ、あるいはつぶれる会社も出て来るかような、いわば不健全な形で価格を引下げて国際水準にさや寄せをして行きましたところで、これによつてはたして外国の買進みをもたらすという結果になるかどうか多少問題ではないかと思います。実際の問題としては、値段がくずれて行けば行くほど、もつと下つて来るだろうということで、買控えという現象を惹起しておるのではないかと考えられるのであります。  それから先刻五十嵐理事は、日銀の貸出しがほとんど異例といつてもいいほどの膨脹を見せておる、こういうことを何か誇らのげに御説明があつたのでありますが、その中でどのくらいのものが現実に引取り資金の決済に向つておるかというようなことについて何ら御説明がなかつた。詳細な材料はあるいはお持合せがないかもしれませんが、それらの点について少しく具体的に承りたいと思います。

河野通一大蔵事務官(銀行局長)

○河野説明員 ただいまのお話で最初のお尋ねの点は、言葉は非常に悪いのでありますが、むしろ輸出滞貨に対する金融の問題ではないかと思うのであります。現在繊維品について相当その問題がやかましくなつておるのは、私どもよく承知いたしておるところであります。この綿糸布を中心といたしました繊維品につきましては、現在の国際価格だけではなくして、近い将来におけるいろいろな情勢なら来た国際価格というものをにらみ合せながら、いかに国際情勢がいろいろ変転いたしましても、この程度のものは確実に国際価格としておちつくべきところというのはおのずからあると思う。最近御承知のように綿花の作柄が非常によろしいわけで、綿花の値段も相当下つて来ておるようなわけであります。これらの価格を中心にして、これにいろいろな加工その他の生産費を加えて計算せられた、あるべき姿といいますか、あるべき綿糸布の価格というものが国際的には出て参ると思うのであります。これは見方によつて若干の相違はありますけれども、一応常識的にある金額が出ておる。しかしこれは現在の国内における市価よりも若干下まわる値ではないかと私は考えております。もつとも現在三品市場で立つております綿糸布の価格というものも、現品取引されておるものではないのでありまして、相当上下をいたしておるやに聞いておるのでありますが、いずれにいたしましても、あるべき国際価格というものを見通しながら、その程度で近い将来に売れるものにつきましては、これは何らかの形で個々に判断して金融はつけて行くということでやつて参りたいと思つておるのであります。そのためにわれわれとしてもいろいろ努力はいたして参つております。  第二点の日本銀行が現在二千四百億余、二千五百億近くの貸出しをいたしておるが、このうち輸入物資引取り資金にどれくらいまわつているかというお話であります。これは実は的確に申し上げかねるのであります。と申しますと、第一には日本銀行は御承知のように、各市中銀行の金融のしりをぬぐつておるのが通常であります。従つて市中銀行の貸出しというものの用途別は大体においてわかりますが、これは俗に言われるように、金にしるしはございませんので、的確にこれをつかみがたい点があります。  それから第二点は、銀行がさらにこれを商社に金融をいたしました場合にも、商業手形の形になつたり、その他いろいろな形になつたりいたしおりますが、これは各商社におきましても、あるいはメーカーにおいても同じ事情でありますが、輸入物資の引取りのために使つでおるか、あるいは普通のその他の運転資金にまわつておるかということは、なかなか的確につかみがたい。しかもその資金がさらに転々して参りまして、次から次へ手形の形で動いて参ります場合におきましては、なおさらその金額は、どの程度輸入引取り資金の方へ出ておるかということは、これはちよつとお考え願つてもなかなかつかみにくいわけであります。ごく雑に申し上げれば、ユーザンスが切れて ——御承知のように一時ユーザンスは残高が大体二千八百億を越えておつたのであります。それが現在では七百億足らずということに実はなつておるわけでありますが、これは結局それだけ輸入物資のユーザンスが切れて、引取り資金にまわつて来たものだと考えていいかと思うのであります。日本銀行のユーザンスが二千八百億台を示しておりました当時における日本銀行の一般貸出金は、御承知のように千百億から千二百億程度であつたのじやないかと思います。的確な数字は持つておりませんが、大体そんなものじやなかつたかと思います。今申し上げました二つのデータからしいて言えば、ユーザンスの残高の減つた額だけが、おおむね日本銀行の貸出金の増加となつて——若干の相違はありますが、出て参つておるわけであります。先ほども申し上げましたように、これを的確に結びつけて考えることは適当ではありませんが、しいて何らかの基準として何か言えないかとおつしやれば、今申し上げましたような点をお含み願つて御判断願いたいと思います。

澁谷雄太郎自由党

○澁谷委員 ただいま小川さんの質問に対しましての銀行局長の御答弁のうちで、午前中の会議においでになつておりませんから、おわかりになつていないと思うのですが、引取り資金の問題につきましてはかなり前にも強く申し上げてある。ことにきようの午前中の五十嵐さんの態度は、私たちははなはだどうも不満にたえなかつた。と申しますことは、私の質問の仕方にもちよつと語気が荒いところがあつたかもしれませんけれども、ただいま小川さんからお話のように、ほとんど今日までの経過を十分に了解して答弁されたのかどうかということが、はなはだ疑わしいわけなんです。それはわれわれといたしましては、少なくとも何も過去のことを無理やりに責任に結びつけるわけではないのですが、この前のときも、輸入引取り資金の問題につきましての考え方について、もう少し真剣に考えていただきたいことを強く要望しておつたのであります。その問題に関連をいたしまして、午前中に私は相当にこまかく質問したのでありますが、せんだつてある雑誌社の座談会かで大蔵大臣は、引取り資金に対しては少なくとも政府もその責任の一端を負わなければならぬということを言つておられたように書いてあるのです。これはまあ雑誌に書いたのでありまするから、大蔵大臣は責任がないと言えばそれまでなんですけれども、私はあの言葉は非常にもつともの言葉だと思う。と申しますことは、あの当時たとえば一月上二月のときの輸入物資の問題は——また午前中のことを繰返すと長くなりますから省略しますが、相当に国民全体が輸入促進ということに全能力をあげておつた。むろん政府も全能力をあげておつたのであります。であるがために七億八千万ドルという厖大な輸入契約ができたのであります。前の年を一億万円以上もオーバ治する取引ができたということは、これは異常な場合なのであります。それがただ単にスペキュレーシヨンであるかのごとくに、いかにも投機的であるかのごとくにみなしておることから、金融問題に対する大蔵省なり日本銀行なりの大きな考え方の違いが起つて来るのではないかと思う。小川さんの御質問に対しましての御答弁は、物価の値上りその他の問題で、金融操作をするのに慎重な態度をとつて行かなければならぬという点は、われわれよくわかる。また金融業としては、いわゆる金融のベースに乗らないような非常に薄弱な業態のものに対しては思うような操作は行えないという。これも私たちはよくわかる。しかしわれわれの言おうとするところは、いわゆる国策が輸入物資を極力国内に保留しよう。そうして万々一海外の物資があの当時よりもより以上の大きな値上りをした場合にどうなるか。あるいは場合によつては、盛んにあの当時主張されておつたのでありまするが、国際割当のようなものが起つて来たような場合においての日本の海外物資の確保の問題はどうするか。それからそれらの物資を国内にたくさんに保留しようということは、要するに日本の国内におけるインフレーシヨンを未然に防ぐ方策としてそういうことをしなければならぬということから、ああいう問題が行われたのではないかと思う。そうすればこれは国策であり、また国民大多数の方々がそういう方針で進んだわけなんです。従つて業者もそれに並行してすべての手当をしたというわけなんです。でありますから、たまたま契約いたしたものが、海外の経済上の大きな変化のために、途中から非常な値下りをして、しかも物資が急速にどしどし入つて来る。そこでこれらの物資の処理の問題、引取りの問題について大きな問題が起つたのであります。こういうことから考えますと、私の言わんとするところは、これは単なる業者のスペキユレーシヨンだ、思惑だというような考え方でなく、この問題に対しては、少くとも政府あるいはその当時金融その他に関係しておつた各人は、この問題は何とか最善を尽して処理するという考え方でもつて進んでもらわなければならぬのではないか。ところがこれは私が直接聞いたわけではないからわかりませんが、日銀総裁はかつて新聞紙上に表われたところでは、投機的な仕事をやつたものに対しては引取り資金の問題に対しても心配することはできないというように、簡単にそこを片づけている。われわれがこういうふうなことを聞いたときに、われわれとしては非常な不愉快な印象を受けるわけです。また一般の産業界全体が協力して日本の産業を推し進めて行こうという考え方でもつて進んでおる。ここに首藤政務次官も出席されておりますが、その当時においては、政府自身はこれは具体的には実現されなかつたけれども、ある物資に対してはある程度まで政府の資金において相当の量を国内に備蓄しようという計画までも立てておられた。そういう際に政府が備蓄することは実際において不可能であつたから、いわゆる民間業者にランニング・ストックの形においてこれを保有させようじやないかというのがああいうふうな大きな輸入をさせるもとになつておる。こういうふうにわれわれは解釈しておる。従つてそれらの物資は、その限度があつたけれども入つて来て、その引取り資金の問題でいろいろな支障が起る場合におきましては、そういうふうな前後の事情をよく考えながら、政府自体が万全の対策を講ぜられることが最も妥当ではないか。ただ物価の値上り、物価の値上り、インフレーシヨン、インフレーヨンということだけを恐れて、いたずらに金融の梗塞をさせて、そうして今日のような非常なむずかしい事態に追い込んでおる。現に私の関係しておりますゴムのごときは、これは国際市場の相場と比べてみると、——ゴムの原料自体は日本では何も加工しておりません。入つて来たままですが、ただそれらの物資の引取りの問題あるいは滞貨の問題のために、現在の海外相場よりはまだまだ非常に低い相場になつておる。本来から申しますれば、海外の相場に運賃をかけ、そのほかの費用もかけて日本に入つて来るのでありますから、海外値段より相当高くても当然なことなんです。にもかかわらず実際においては、海外相場より以上に相当大きな値下りをしておるということは一体何を意味するのか。こういう問題について、ある程度までの根本的の考慮をしていただかなければ、ほんとうの輸入物資の引取り対策としては万全のものではない、こういうのがわれわれの主張なのである。それに対する日銀当局の先ほどのお話は、われわれが考えたのとは非常に違つた方向に進んでおります。そうしていわゆるケース・バイ・ケースでもつてやるというような、きわめて簡単な考え方で、しかもそういう金融措置は相手方の信用程度いかんによつてきめるんだということでもつてつつぱなしてる。もちろんわれわれもここでもつてお話をする以上、金融業というものはいかなるものであるか、金の借りる資格のない人間がむやみに貸せと言つても、そんな者に貸せないことの当然であるくらいなことは、いまさらいろいろな方々からの御意見を伺わなくてもよくわかるわけです。しかし原因がそういう原因で起つて来たものに対する対策は、そういうふうな簡単なものでこれをけつてしまうということは非常に遺憾なことじやないか、こういうことなんです。結局そういう考え方で今の御答弁であつたとすれば、私たちなお進んで局長なり大蔵当局の御意見をもう少し伺わなければならぬと思う。もう一ぺん私の納得の行くような局長の御答弁をお願いいたしたい。

河野通一大蔵事務官(銀行局長)

○河野説明員 今の御質問にお答え申し上げますが、基本的に私どもが申し上げておきたいと思いますのは、業者が思惑で入れたから、それはわしの知つたこつちやないというようなことは私ども考えておりません。日本の経済がうまく動くように、円滑な循環をいたして運行されるようにすべての問題を解決して行く、そのために必要な金融政策を私どもは考えて来ておるのであります。その意味でこれは誤解があつたのかと思います。私は五十嵐君の言つたことをきよう聞いておりませんので、何とも申し上げられぬのでありますが、動機を問わないということを五十嵐君が言つたのは、これはおそらく動機が悪いからそんなものはめんどうを見ない、こういつた意味で五十嵐君は言つたのではないと思います。問題は日本経済が全体としてうまく動くということが第一なんです。それがために金融上の施策を講じて参らなければならぬ。この点については、私どもは決して政府に責任があるとかないとかいう問題ではなくて、もう少し突き進んで、日本経済をうまく動かすために必要な措置はとつて行かなければならぬ、かように考えております。しかしながら具体的な問題になりますると、先ほど澁谷さんもお話のように、一つは日本の経済が必ず国際経済に参画して公正な競争に耐え得るということの基礎がどうしても必要だ。それがためにはもちろん日本の経済がインフレーシヨンになつてはいけない、また金融は金融ベースに乗るものが対象である。この点もその通りだというお話であります。今申し上げました二つの点の範囲内においてこれを処置いたしますならば、別わく的な観念でなくして、ここにやはりその事情を見て必要の有無を判断して参るよりしかたがないというのが私どもの考え方であります。ただ窓口における取扱い方が親切だつたか不親切だつたかという点につきましては、いろいろ皆様方の御不満なり御不快を買うような現実があつたかと思うのであります。これらの点は今後といえども十分注意をさせますが、基本的な考え方は、今私が申しましたところであるし、また前半において澁谷さんがおつしやつたその前提の考え方においては、大体私の考え方を御了承いただいておるのではないかと思うのであります。ただ後段におきまして、澁谷さんの言われたところの、政府は輸入を大いに促進した、政府は責任があるのだ、だからそういう原則的な考え方にとらわれないで、この限りにおきましては特別な方途を講ずべきだというお考えに対しては、私どもは責任は十分感じておりますし、今後責任の有無にかかわらず、日本経済を円滑に動かして行きたいということは考えておりますが、これがためにそういう責任論から、特別な措置を講ずるということは、なかなか困難ではないか。一例を申し上げますと、それがために必要な、要求された資金をどんどん出して行く、そうすると、これは目に見えてすぐインフレーシヨンになる。そう簡単には行きませんが、結局そういうことになる。そうすればやはり一般物価は上る。それぞれいろいろな施策を講じましても、結局悪循環を繰返すということになるわけです。そういう意味における特別な措置というものは、この場合考えられない。しかし日本の経済を円滑に動かして行き、日本経済の混乱を防いで行くということについては、今後私ども一層努力をして参りたいと思います。その基本的な考え方については、私の考えを十分御了承いただけるものだというふうに考えておる次第であります。

澁谷雄太郎自由党

○澁谷委員 重ねてその問題についてお尋ねしたいのでありますが、今のお話を伺つておりますと、金融と物価の問題はあくまでも切り離すことができない問題でありますが、政府の考え方が、金融措置を講ずるとすぐインフレーシヨンになる、こういうふうなことに非常にこだわつておるようにわれわれは考える。一応金融と物価の問題は、これはどうしてもつきまとつておるのですから、その点は十分諒とするのでありますけれども、反面においてはあまりにこの極端な金融の引締めを現在のような不況の状態において、それは全般的の業界から言つたら不況かどうかということはわからないと思いますけれども、少なくともそういうような滞貨を非常に持つておられる業者、あるいは輸入の引取り資金の問題で非常に困難を感じております業者とか、あるいは高いものの買付をして今ここで非常に相場が下つたものを引取つて仕事をしなければならぬというような業者というものは、少なくとも今非常に困難な状態に陥つております。こういうものに対しまして、ただそれらの問題もある程度までの金融措置さえ講じますれば何とかここでもつてあまり大きな問題を起さずに切り抜け得る方策がないではないと思うのであります。たとえて申しますれば、一つの例でありますが、三箇月間の必要な原料を買いつけてありますが、現在のように相場が下り、そうして国内の需要も非常に少なくなつたために、それらの原料を十分に使い果すことができない。また一方においては先安のために今度は高い原料をもつてつくつたところの製品が滞貨の形となつてストックされておるというような場合において、ここで金融措置を講じなかつたならばますます外国の相場よりもより以上にそれらの原材料というものの値段は下つてしまう。そうして一方においては先安であるということの印象のために国内の当然有効需要として起らなければならないようなものまでも需要が起つで来ないというような現象が必ず少なくとも一時的には起つて来ると思う。こういう場合においてこれらの業者を非常に危険視して、そうして金融措置に対していわゆる金融ベースに乗るとか乗らないとかいう考え方で金融を引締めるような場合があつたならば、これがある程度まで何箇月の間か金融措置さえ講ぜられれば完全に切り抜け得る業者が、その金融措置が講ぜられないために次々と倒れて行かなければならないというような状態が現在起つておる。これから先も起り得ると思います。そういうような状態に対しては、これは政府がある程度の特別なる措置をとつて金融措置を講ずることが妥当ではないかということをわれわれは主張する。それは必ずしもインフレーシヨンにはならない。なぜかと申しますれば製品自体が海外よりも非常に安い。原料自身が海外よりも安い。そうしてただある期間切り抜ける措置さえ講ずれば必ず復活し得る可能性がある。こういう場合の金融措置に対する対策が、日本銀行当局あるいは一般の市中銀行の方々も、大蔵省当局も、そういう問題に対して真剣に考えていただいておるかどうか、この問題を私は聞きたいのであります。

河野通一大蔵事務官(銀行局長)

○河野説明員 今お話のように、必ず国内ないしは国外に対して売れるものだ、しかも相当長い、五年も十年も先の問題ではなくして、さしあたりすぐ売れるものだというものでありますならば、結局金融の問題は価格の問題だと思います。価格も将来あるべき国際価格に比較して相当低いところでつけられるということになれば、それはついて行くと思います。またつけなければならないと思います。銀行としても従来からの取引先であつたりすれば、もちろんそういうことに対して自分の必要なる判断によつてつける、つけてさしつかえない。金融をつけなければ自分も結局参るのですから、銀行としてもそれは十分判断して行くと私は思う。ただ問題はその前にどの程度の形で切るかという問題が非常にむずかしい問題だと思います。それから個個の具体的な問題につきまして、今お話のありましたゴム等につきましては、お話のありましたように最近国際価格を割つておるという実情がある。しかしこの場合におきましても、先ほど申し上げましたように、それがその業者の力と申しますか、信用力等から見ましても、金融の対象になり得るものであるかどうか、この点も十分に判断して参らなければならぬ点が一つあると思います。これで戦争中やつておりましたような命令によりまして将来の損失は背負わぬという制度は今はないわけです。これはやはり銀行は、金融機関は自分の判断で、自分の責任において自分が今後を期待して金融をいたさなければならぬ立場にありますから、おのずからそこは金融機関の判断というものが客観的に正しいか正しくないかという問題はありましても、私どもからこれを強制することはできない。ただ銀行が判断して、これは適当だと思いますものについて、日本銀行としてその金融をさらによく選別いたしまして、必要なものについては個々の判断をつけておるのでありまして、そのつけ方が程度として十分であるかないかという点についてはいろいろ御批判はあろうかと存じますが、今後におきましても十分その点については妥当の線で金融はつけるように努力させて参りたい、かようにいたしております。ただ先ほどもお話のありましたように、そういうものであるから特別な措置というか、別わく的な措置を何らか考えないかというお話に対しましては、これは何度も繰返して申し上げますように特別措置を講ずることはこの際必ずしも適当でないという考えを持つておるのであります。個々の必要について必要な金融は今後においてもつけて参りたいと考えておる次第であります。

澁谷雄太郎自由党

○澁谷委員 その点は私たちも無理にそういうことをしなければならぬということを主張するのではありませんけれども、特に私たちがこれは実際に業界の全般を通じて見たところは、日銀なりあるいは大蔵当局がいわゆるケース・バイ・ケースによつてこれを処理するという、言葉は非常にきれいなのですが、また実際に親切気があるかのごとくに見える。ところが事実当つてみるとそれが実際において行われていない。これは先ほども五十嵐さんは、胸に手を当てて考えてみろというように、何か私が話でもしたかのごとくに非常な下劣な言葉でもつてそういうことを言われておりますが、私たちはそういうふうなあさましい考えでもつてものを言つておるのではない。業界全体を考えてみたときに、それは相当の大企業であつて、相当各方面に金融措置を講じているものは、これはただいまのお話の通り銀行家自体がそれらの大企業が万一破産状態に陥るようなことがあつたならば、金融はなるほどいわゆるコマーシャル・ベースでもつてやるのだというけれども、大企業に対してはコマーシャル・ペースを超越したような貸し方をしておるものはひとりわれわれゴムの業界ばかりでなく、すべての産業にもそういう例は見ておる。むしろわれわれからすればスケールこそ小さいが、小企業の方がかえつて自己資金を持ち、あるいは自己の相当の財産を持つて、そうして堅実な歩みをしておるのでありますけれども、それがいずれもそういうふうな中小企業でありますから、金融業者との取引が大企業に比べますれば非常に小さい。ところがこれはそれらの業者が実際に資金的に運用している金額を、大企業のそういうふうに自分の持つている資産状態と運用しておる資金の状態等に比較すれば、ものの数でないくらいに堅実なものに対しましても、とかく中小企業に対しては、そういうふうなケース・バイ・ケースの仕事を各金融業者がやろうという心持ちが少い。そういう熱意がないばかりでなく、日本銀行も表向きにはそういうふうなケース・バイ・ケースの融資のあつせんをするということをたびたび明言しでおりますが、実際においては行われでいない。それはなぜ行われないかというと、そういうふうなこまかい問題でもつて市中銀行が日銀に話をすると、日銀はその問題については別に問題でないけれども、今度ほかの問題に入つて来てからいろいろな今までの融資の問題とからみ合つて来るというようなことのために、それが実際においては円滑に行われていない。しかし大企業であり、大きな資金面でありますれば、そういうようなことも言つておられないし、そういうことをしておつては、今度は大企業がかえつて参つてしまうから、しやにむにその問題について解策を講ずる、こういうことのためにそれができているのではないか。それは真相なんです。われわれが多数業者の状態を調べてみての真相なんです。そういうようなことであつたのでは、せつかく大蔵当局が引取り資金あるいは滞貨資金に対して特別な融資のあつせんをするというような考え方を一応持つても、それは理論的にだけはりつばに成り立つておるが、現実にはそれが行われておらない、あるいは行われておることがきわめて少いという結果になつておるのではないか。この問題を私は非常に憂慮しておりまして、それがために私たちは、よつて起つた原因はどこにあるかという問題から突き進んで、この問題を解決しなければ、ほんとうに単なる金融ベースの解決だという一片の逃げ言葉では承服することはできない、こういうように考えるのですが、局長はどういうふうにお考えでしようか。

河野通一大蔵事務官(銀行局長)

○河野説明員 重複してお答えすることになるかと思うのですが、私どもは今お話のような点で、日本銀行なりあるいは各市中金融機関の運営が片寄つた運営になつてはいけないということは、始終考えております。それから市中銀行は大企業に偏しないで中小企業にもできるだけ金融をして行くようにということは、かねぞれ大蔵大臣自身はつきり申しておりまして、私どももそのつもりで銀行の方は指導いたしております。しかしながらもちろんまだ十分行つているとは思いません。そういう観点からこの問題を打開するために、今後中小金融について、普通のコーシャル・バンクにおいて手の届かない点については考慮しなければならないというところに来ておるのであります。これらについて十分私どもは研究して参りたいと考えております。さればといつて、もう普通の市中銀行は中小金融はやらないのだ、だからこれはもう全然当てにできないのだというふうにお考えになつていただいても困るのであります。現に市中銀行の、ことに地方銀行等におきましては、百万円という数字がいいか悪いかわかりませんが、一件百万円以下の金額は総貸出金額の五〇%近くを占めておる。もちろんこのうちには大企業に対して、たまたま百万円以下の手形が幾らかあつたということはあり得ましよう。あり得ましようが、とにかく中小銀行におきましては、金額の五〇%が百万円以下の貸出であります。いわんや無尽会社、信用組合、その他の中小企業の金融を専門にいたしておりますものは、ほとんど大部分が中小企業の金融に向つておる。それらの点からいいまして、決して銀行は中小金融についてやつておらぬということはないのであります。しかしそれで私どもは満足しておりませんから、今後におきましても金融については、十分市中のコマーシャル・バンクもこの方へ一瞬努力をするようにやつて参りたい。個々の問題について、こういう場合に一体どうするというような問題でもございますれば、よく伺つて善処して参りたい、かように考えております。ただ先ほど私が別わく的な措置はしないと申し上げましたのは、今お話のような点なんです。各銀行のしりを日本銀行がみることになる、その場合にほかのことを何も言わないで、これを出して行けば、これは結局別わく措置ということになる。従つて各取引金融機関に対しては、あらゆる場合において、この金繰り全体を見て行くということについて、もちろん日本銀行としてはそうならざるを得ない。それをやらなければ別わくの措置なんです。それがそういう別わくの考え方をとつてないという意味は、どうしてもそれを見て行かなければならぬと思います。ただその場合に見る方が手加減があまりきつくやつて、なるべくそれを押えるような立場からやつておるかどうかの運用の問題だと私は思うのであります。もう出て来たものは全部日本銀行が金融するということになれば、何度も繰返して申し上げますように、これは別わく的な取扱いになる、こういうことになるわけであります。具体的な問題について必要なものは、日本銀行が出すということについては、私ども日本銀行として別に異存はないと考えております。ただこれはおしかりを受けるかもしれませんが、あくまでインフレーシヨンは避けて行きたい、そして日本の経済が国際経済べ参加して、ちやんとやつて行けるように素地を築くために、金融というものを考えてもらわなければならぬという気持だけはいかにおしかりを受けても、この点だけは堅持して参りたい、かように考えております。

澁谷雄太郎自由党

○澁谷委員 そういたしますと、もう一点お尋ねしたいことは、最近滞貨金融の話がどうやらつきかけておるとか、ついたというようなことが新聞紙に載つておるのですが、大企業が結束していろいろな申出をすると、それはむろん信用の程度が高いから別わく融資のような形でも融資あつせんをする。中小の業者は苦しんでおつても、個々に苦しまなければならないのであつて、そういうふうな団体的な折衝を持つて行つても追つ払われてしまう、こういうような感じが強く出て来る。かりに滞貨金融の問題につきましても、やはり別わく融資でなくて、ケース・バイ・ケースのような場合でもつてやられるとすると、同じような結果が起つて来るのではないかと思う。これは滞貨金融の問題はどの程度まで話が進んでおるか、それをひとつお話を願いたいと思います。

河野通一大蔵事務官(銀行局長)

○河野説明員 基本的な考え方は、先ほど私が冒頭に小川さんの御質問に申し上げた通りでありまして、輸入物資の引取り資金の問題も、輸出滞貨の——滞貨という言葉がいいかどうかわかりませんが、輸出関係のそういう手持ち物資に対する資金の金融の問題も、基本的な考え方は同じ立場で考えております。従いまして今のお話のいわゆる滞貨金融の問題を別わく的な方法で日本銀行から金融することは考えておりません。個々にこの問題は取上げて検討して参りたい、価格の問題その他につきましても今後あるべき価格というものは頭に置きながら金融を個個的に考えて行きたい、この方針はかわつておりません。

澁谷雄太郎自由党

○澁谷委員 そこで問題になりますることは、いわゆるケース・バイ・ケースでもつて融資あつせんをすることの考え方が、結論はどこに置くかということになつて来る。どの程度までやるかという問題になつて来る。それが最後の落ちじやないかと思います。どうしても別わくでもつてやらないとすれば、結局個々の業者を対象としてやる。そういう場合において一番問題になることは、大企業は比較的にやりやすいが、中小企業というものは非常にやりにくい。それからたとえてみますれば、これは一つの例で、こういう事実があつたかどうかわかりませんけれども、市中銀行に今の融資あつせんをお話すると、一応はそれを受けておりながらいよいよ今度は日銀にその問題を持つて行つて折衝しようとすると、今の日銀対市中銀行との全体の取引の関係から、いろいろな間葉が起つて来るわけです。これは今局長の言われる通りであります。そうなつて来ると今度は引取り資金の問題でなく、市中銀行対日本銀行とのいろいろな融資の問題がそこに入つて来る。それがためにかえつて今度は引取り資金なりあるいは滞貨金融の問題がそつちのけになつてしまうというおそれが多分にあると思います。一つの例をあげますれば、ある銀行がビルディングの建築の方面に非常に大きな融資をしている。それがために滞貨金融なり、あるいは引取り資金の融資のために、それらの問題を話に行つても、日銀からの借入金は相当に多額になつているために、そういう問題に対しては手をつけられないというようなことがあり得ると思います。それに類似したものが相当にあり得ると思う。そうなつて参りますと、業者から直接に日銀にあつせんを依頼することを非常にきらうというおそれがあり、市中銀行はそれを非常にいやがる。従つて市中銀行対業者との間では、従来の取引を保有するために、それまで進んでやつて、日銀のあつせんをせなければならぬということにならない。こういうふうなはめに追い込められている実例が相当に多くあるように思うのです。こういう問題は一体どういうふうな考え方で進められるのか、それをひとつお尋ねしたい。

河野通一大蔵事務官(銀行局長)

○河野説明員 非常に具体的なお話であります。要するに問題は、私がたびたび繰返して申しましたような基本的な考えのもとに、具体的な処置をどういうふうにつけて行くか。問題は、先ほど澁谷さんからもお話のありましたような、まあ具体的には程度の問題ということに帰するかと思うのであります。今お話のような場合にはいろいろな方法が考えられると思います。一つは、銀行がそういうふうな従来の資金を比較的不要であるか不急である方面、不適当な方面に資金を固定してしまつたり、つまり日本銀行から資金を借り入れる資格を失つているものがもしありとすれば、その銀行はその取引先との関係において、日本銀行までつながつた貸出しができないということになります。従つて取引先は別の銀行を利用してもらうとかいうようなことになるかもしれません。その場合は、今お話のような例が、一体どの程度までそういうことで従来の金融が不適当であつたかということの個々の判断にかかつて来る。私どもは常に言つているのでありまするが、市中銀行も反省しなければならぬところがある。今度の輸入引取り物資の問題につきましても、大体ユーザンスによつて、将来の金融のことも考えないで、ユーザンスが非常に機械的に行われた。そのためにその後における期限の来た結果、金融が非常に詰まつて来たという問題もあると思うのでありまして、市中銀行自体がいろいろな方面で反省しなければならぬし、今後抑制すべき点と積極的に活動しなければならぬという部面がおのずからはつきりわかつて参りまして、金融機関としての使命に即応したような金融をやつて行かなければならぬ。そのために改善をし、反省をいたさなければならぬ点が多々あると思うのでありますけれども、そういう点も私どもは個々に十分直して参りたいということで努力もいたしております。そういうわけで個々の場合におきまして、一体こういう場合には日本銀行は金融するのかしないのかという問題につきましては、金融機関としても必要な金融については、日本銀行によく説明をして、その金融をつけるように努力をしなければならぬ。日本銀行に頭を下げに行くのが非常にいやだというようなことで、何もかも断つてしまうというような態度がもしありとすれば、まことに不適当な考え方であり、態度であると思います。これらの点につきましては、十分改善を加えて参りたいと思います。今の具体的な倒につきまして、今お話のような点だけでいかに判断するかというようなことを言われますと、私もこれはいろいろな解決方法もあるし、その事柄をさらに詳細に伺つた上で、この場合はこういう態度をとるべきであろうということがおのずから出て来ると思いますが、今お話のような程度のことではちよつとそれをどう思うかと言われましても、私どもはなはだどうも結論を出しにくいというように思われます。銀行等が今申し上げましたような観点から不適当な態度をとつております場合には、十分今後ともお示しによりまして、ともに注意して参りたい、かように考えております。

澁谷雄太郎自由党

○澁谷委員 私のは一つの例でありますから、別に具体的にそういう例があるということを申し上げているのではないのであります。ただしかし、そういうようないろいろな問題にからんで、要するに中小企業に対するケース・バイ・ケースの融資というものは現実に非常に困難な状態にあるということをはつきり御認識を願いたい。だからこの問題に対する解決策は、これは大蔵当局においてもう少し突き進んで御検討を願わないというと、せつかくわれわれがこれを強く主張して、引取り資金の問題についても、いわゆるケース・バイ・ケースをもつてやる、あるいは滞貨金融の問題についてもケース・バイ・ケースでやるということを言われているが、現実の姿においてそれがものにならないということでは困る。いろいろな例を引き出しまして、そうして実際においてはあまりにそれが有効適切に行われていない。かりに日銀当局は貸出し資金が多い、今銀行局長も日銀の貸出しが非常に増加していると言う。増加していることは事実毎日の新聞にも出ておりますからわれわれにもよくわかりますが、確かに増加しているのですけれども、その増加しているのがややともすれば大企業に片寄つてしまつて、そうしたようなめんどうな手続を経る中小企業に対しては比較的にそういうことが行われるのが困難だということのあることだけはここで十分御了解願つて、この問題に対しては何とか適当な対策を講じていただきたいことを特にお願いいたしておきたいと思います。  それから関連しておりますからやはり金融の問題について、私は警告かたがたお尋ねをしておきたいと思いますことは、これは通産省にも関係がありますから首藤政務次官からもお答えを願わなければなりませんが、こういうふうに現在輸入物資の引取り資金に非常に困難を感じておりますために、現在どうしても輸入しなければならぬ問題、あるいは今後において輸入しなければならぬ相当大きな問題が次々に起つて来ると思うのでありますが、現に七—九の輸入の為替資金が三億六百三十万ドルが許容されておりまするが、聞くところによると、従来でありますれば、そういうふうな輸入為替資金が許容されますると、ほとんどあまり長い日数でなく、どしどしそれが使われるような場合が多かつたのであります。最近には引取り資金の問題で、大きな苦しみをしておるために、もちろん今度はただいま銀行局長の言われる通り、各金融業者が非常に注意をしておるということも一つの大きな原因でございましよう。いずれにいたしましても、せつかく許容されたところのドル資金が、あまり活溌に動いていないと思われるのでありますが、この問題は最初に通産政務次官から内容と最近の状態を伺つて、次に私はもう一つ御質問申し上げたいと思います。

首藤新八自由党通商産業政務次官

○首藤政府委員 御指摘の通り最近七—九の割当の許可に対してきわめて輸入が不振な状態に置かれております。しかしこの不振の原因が奈辺にあるか、これは先ほどから澁谷委員が熱心に御質問されており、現在の輸入がきわめて深刻になつておりまするが、この深刻な金融難というものは、結局布貨が豊富である。輸入が豊富であつたということが一番大きな原因であることは申し上げるまでもないのであります。従つてメーカーといたしましては、ほとんどの原材料を通じて当分の間は新規買付をしなくても操業にさしつかえないというだけの契約を持つておる。それからさらに国際的なマーケツトがいまだ安定してない、将来まだ下るかもしれないという不安を残しておること、こういうことと、さらに国内的にも、先ほど澁谷委員がしばしば御指摘の通り、これも各産業とも現在はフラクチユエーシヨンの段階でありまして、容易に見通しがつきかねるというような事情が組重なつた結果が、かような買付の不振に陥つておるとわれわれは見るのであります。あるいは現状の金融難からして、新規の買付に困難を来しておるのではないかという御不安があるかとも考えますが、現在のところわれわれが見ておる限りにおきましては、さようなことはないのでありまして、今後国内の在庫が漸次減少いたし、さらに国際マーケットが安定するということになりますれば、再び買付は旺盛になつて行くであろうというふうな確信を持つておるものであります。

澁谷雄太郎自由党

○澁谷委員 ただいまの首藤政務次官の御答弁は一応ごもつともであります。私もその点は大体そうではないかと思うのでありますが、ただここでわれわれが考えなければならぬことは、こういうふうに現在引取り資金の問題で大きな苦しみをして、困難をしておる間に、輸入をいたしました原材料が、滞貨の形において残つております間はそれでよろしいのでありますが、輸入業者も、こういうふうな大きな破局に直面して金融難のために苦しむようなことがありますと、今後において輸入の問題に対する魅力が非常に乏しくなるおそれがあるのではないか。それから輸入に対して常に非常に警戒をいたして、輸入物資の買付をすることを好まないような状態が起つて来るのではなかろうかということが想像されるのであります。そこでただいま首藤政務次官は、海外の市場が安定しないがためにということも一つの条件だと言われるのでありますが、こういう問題は、これはほとんどいわゆる先の見越しでありまして、今安いから当分安かろうということの見通しも、これも神様にあらざる限りは何人もすることはできない。また上るだろうということも、下るだろうということも、何人にも想像は大体においてでき得ない。また現在は海外に日本の駐在員が少いの工ありますから、海外の市況を国内において十分につかむことはでき得ないのでありますから、そういうことは断言できない。万々一ここで一ぺん海外の市況がおちついたときに、こういうふうな引取り資金その他の問題のために、金融措置の困難のために、輸入を買い進んでやらなかつた、そうしていよいよ買おうというときには、また再び物が上つて来るというようなことになりますと、日本は今までの状態から考えても、この前の朝鮮事変以来の物価の値上りの状態を見ますと、安いときには品物を買うことができなかつた。そうして高くなつたときに買う。高い絶頂に買つて、ここでもつてたたかれて、今は非常な値下りのために大きな損失をしておる。相場がある程度まで安定をしたときには、品物を買うことができなくて、国内に品物が品がすれになる、そうしてまたあわてふためいて買わなければならぬというときには、また大暴騰をしておる。こういうふうな状態が、万々一起つたときには、私はよほど日本に対して大きな損害になるということを深く肝に銘じて考えなければならぬと思うのであります。従いまして私は今銀行局長に、その問題について特に御留意を願いたいことは、やはりこういうふうに国策としてある程度まで輸入物資を非常に多くしようというようなことでもつてやつたこと対しては、もつともつと大所高所から国策的にこれらの物資を円滑に引取らせて、そうして円滑にこの問題の処理をさせ、そうして次の仕事に対しては万遺漏のないような対策を考えることが、為政者としてあるいは当局者としては最も賢明な策ではないかということを私たちは強く信じでおるわけであります。万一そういうことがなくて、私がここで今申し上げたことが、——あるいはこれから先九月までにはそんなことがないかもしれない、けれどもこの次のいわゆる—— 十二月の四半期ごろには、あるいはそういつたような変動が起らないとも限らない。結局銀行局長並びに大蔵当局なり、あるいはすべての当局は、物価の値上りが非常に恐ろしい、つまりインフレーシヨンのおそれがあるということになりますが、ただいまこそ、首藤政務次官の言う通りに、原材料が豊富にありますから比較的問題はないのであります。しかし原材料は現在相当豊富にありましても、これは月々使われて行くのですから、やがて数箇月たちますと、相当に減つて参ります。そういうときに品がすれになり、かえつて原材料の不足のために再びインフレーシヨン的な現象を起すというようなことがないとは限らないと思うのでありますから、その問題に対する対策もともどもに大いに考えなければならぬと思うわけであります。そういう問題に対しまして、大蔵当局がどういうふうな考えを持つて進んでおられるか、これもひとつ重ねてお尋ねしておきたいと思います。

河野通一大蔵事務官(銀行局長)

○河野説明員 非常にむずかしい問題だと思います。澁谷さん御指摘のように、高いときに買つて、安くなつて売るというようなことが商売としてまずいことは、これはよくわかつております。できるだけそういうことのないようにして参らなければならぬと思うのであります。これは首藤政務次官からお答え願つた方がいいのかと思いますが、できるだけそういう点も考慮しながら、どうしても計画的に法律というものが必要となつて参るかと思うのであります。しかしながらどうしても基本的な考え方は、政府が直接表へ出て自分で買うとか、自分で売るとかいうことをしないで、できるだけ当業者の自主的な判断によつてやつて行くということが、現在政府でとられている基本的な考え方だと思います。またこれは自由党とされても、同じような考え方ではないかと思うのであります。そういたしますと、結局それを判断するのは業者が判断してやつて行かなければならない、しかしそれを判断される材料は、政府で持つておりますものを極力与えてやる。たとえば国際市場の状況等についてのデータをできるだけ業者に与えて、その自主的な判断をいたします場合に、いつ買つたらよいかという判断の材料には極力して参りたいという、基本的な考え方で進んで参らなければならないと思います。はなはだ譬喩的なことを申し上げて恐縮でありますが、私ども別にそれで責任をのがれるつもりはないのであります。俗に言われているように、貧乏人というものは、高いところを買わなければならぬきらいがある、結局自分が長い間多くの物を持ちこたえておられぬというか、一家の経済といたしましても、そう当面必要でないものを持つていられない、安いからといつて買つておられないという点が多々あると思います。それらの点から行きましても、日本がまだく貧乏な経済をかかえております以上は、できるだけ計画的に物事を進めて参るにいたしましても、なかなかやはり俗に言う高い物を買うという結果が、えて起りがちだと思うのであります。この点は政府としてはできるだけそういうことにならないように運用して参らなければならぬ、かように存じておる次第であります。なお貿易政策自体の問題につきましては、通産政務次官から御答弁願つた方がよいと思います。

小川平二自由党

○小川(平)委員 関連をしてお尋ねしたいのでありまするが、最近大蔵次官の談話として、ユーザンスを貿手に切りかえるという記事が出ておりまするが、この制度は創設されるときにいろいろ論議のあつた問題であり、またできましてからは、大いに鳴りもの入りで宣伝をされた制度である、今澁谷委員の御質問にもあつたことですが、とかく今日までの貿易政策が、朝令暮改というような印象を与える、しかも変転する現象のあとばかり追つかけて、いつも後手にまわつているというようなきらいがあるわけであります。今またこの制度を卒然として廃止されるというにつきましては、いろいろな理由があることと思います。その経緯を詳しく御説明を願いたい。なおまたこれに伴いまして、利子の問題とか、期限の問題、いろいろ技術的にも問題があることと思います。御説明を承らしていただきたいと思います。

河野通一大蔵事務官(銀行局長)

○河野説明員 ユーザンスの問題につきましては、先般御指摘のように、実は新聞に報道されたのであります。先に結論を申し上げさしていただきますが、まだこれは研究の途上にございます。従いまして具体的にどういう技術的な方法をとるか、特に利子等はどういうふうな考え方かということにつきましては、今検討いたしておるところであります。時期等につきましてはなおさらのこと、まだはつきりしたことを考えているわけではございません。ただあの制度ができました当時から、これはいろいろ御承知のような経緯を経てああいう制度ができたのでありまするが、いずれにいたしましても、あの制度は普通の筋から言いますと、変態的な制度であつたことは、あの当時からも言われておつたことであります。いずれは経済が正常化いたしますに応じまして、あの制度は幾らか普通の形に直して行かなければならぬという要請は、実はできた当時からあつたのであります。しかしその後いわば割合に楽に動いたものですから、あまり問題もなく今日に至つたわけであります。その結果輸入引取り資金の問題等が非常にやかましくなつて来たわけであります。別に私どもはどろなわ式にあの問題を再検討をいたすようになつたわけではないのでございまして、かねがねあの制度ができる当時から、大蔵省としては、幾らか正常的な金融制度を考えたらどうかというので、実はずつとその当時から研究を続けて参つたのであります。この問題には、一つには今あります外為特別会計の円の資金繰りの問題との関係、それからドルその他外貨のユーザンスなりあるいは短期クレジットの問題、これをどういうふうに考えるか、それらともにらみ合せて、この問題を考えなければならぬと思います。いわんや今澁谷さんからも御指摘がありました通り、あまり輸入が進まないような時代でもあります際、ちよつと一見何か輸入金融を少しきゆうくつにするような印象を与えるような制度を、この際実行するのがよいのかどうかというような、時期的な配慮の問題もございます。こくこまかい点で申しますと、今金利の問題もありましたが、御承知のように現在ユーザンスは甲種と乙種と二つあるわけでございます。乙種段階だけを普通の国内金融にまわすのがよいか、あるいは甲種の段階まで入れてこれを普通の国内金融にまわすのがよいかというような点につきましても、まだ大蔵省の内部において実は結論を得ておらぬわけであります。目下検討を続けておるわけであります。この問題は決定をいたします前に、もちろん政府部内においで通産省、経済安定本部とも十分御相談をいたさなければならぬ問題であります。現在検討を続けておる、いわんやいつから実行するというようなことについては、まだきめておらぬ、ごう申し上げたいのであります。

小金義照自由党

○小金委員長 ほかに御発言はございませんか。 ——ほかに御発言がございませんようでありますから、この際お諮りいたしますが、本日閉会中の審査案件として、正式に院議により従前の国政調査案件が当委員会に付託せられましたならば、明後二十日午後一時より本委員会を開き、中小企業の金融に関する件並びに電力の問題を議題として審査をいたすことに、先ほど理事会において決定いたしましたが、その際、すなわち明後二十日の午後一時から、中小企業の金融に関する件について、調査審議を進める前に、商工組合中央金庫理事長豊田雅孝君にこの席に出席してもらいまして、参考人としてその意見を求めたいと存じますが、これについて御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小金義照自由党

○小金委員長 御異議なしと認めます。それでは商工組合中央金庫理事長豊田雅孝君を参考人として出席していただくことに決定いたしました。  本日はこの程度にて散会いたします。     午後三時五十八分散会

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