海外同胞引揚に関する特別委員会 第3号
- 発言数
- 40 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1951/10/02
会議録
○若林委員長 これより会議を開きます。 本日は未復員者給與法に関する件並びに在外公館借入金に関する件について、議事を進めることといたします。 まず未復員者給與法に関する件についてでありますが、過般来各地各関係者より切なる要望がございます、療養期間が、本年の十二月をもつて切れることになるのでありまして、その療養期間の延長をするよう、いわゆる療養期間を経過したる後も必要と認むるときは療養を継続したい、し得るようにという要望があるのであります。なお傷害一時金を昭和二十六年四月一日にさかのぼり二倍に増額するという要望があるのであります。あるいは国は必要があるときは、診療録その他の検査をし得るようにという要望もあるのでございます。これらに関し、本委員会として過去の皆様方の御意向を参酌いたしますと、今日これを本委員会として取上げるべきではないかと思うのでありますが、これについて当局の意見を委員各位からただしていただきたいと思うのでございます。
○受田委員 この未復員者給與法の療養の條項に該当するところの現在の人員並びにこれに要する費用をお伺いして、次にこれを延長するためのわれわれの要望をただしたいと思います。
○田辺(繁)説明員 お答えいたします。未復員者給與法によつて現在療養をいたしております者の数は、六千六百三十名と相なつております。これに要する予算額は、本年度五億一千六百万円ということになつております。特別未帰還者給與法による療養患者の数は約百五十名でございまして、これに要する予算額は三千五百万円でございます。
○受田委員 今ここにあげられた数字は、特選を含めてわずかに五億五千万円を越えるのにすぎないようであります。従つてこの戰争の犠牲となつたこれらの傷病者が、今病床に呻吟をし、この年末をもつて療養期間が打切られるという迫られた運命の前に非常な嘆きを持ち、その病状にも影響しているという実態をわれわれは目のあたり見ておるのでありまするが、この戰争犠牲者の救済、しかも人道的に見て国の責任で病人にさせてそうしてその病人の療養がまだ満ち足りていない、病床に呻吟したままで放任して、国家の責任からのがれるという行き方は、戰争責任として国家のとつた態度の責任が果されないことになるので、この機会に、この迫られた療養期間の満了を前にして、恵まれざる病人たちに光と希望を與えて、完全に治癒して、社会人として保障するという道まで、国家が責任を持つという基本線を打立てたいと思うのでありますが、この点について政府は、現にこの期間満了を前にして、いかなる具体策をとろうとしておられたか。行政府としての立場から、この法律の改正に対する意図がどこにあつたかをお伺いしたいと思います。
○田辺(繁)説明員 お答えいたします。未復員者給與法の規定によりますると、未復員者が未復員期間中、公務その他自己の責にあらざる事由によつて負傷し、あるいは疾病にかかつた場合は、復員後三年間は全額国費をもつて必要な治療を行うということになつております。しかしてこの法律は昭和二十四年の一月一日から施行になつたのでありますが、それ以前に復員した者に対しては、やはりこの法律の恩典が、ございまして、二十四年一月一日から三箇年間は必要な療養を行うということに相なつたわけであります。これらの法律によつて、現在療養を受けております者の数が、先ほど申し上げました六千六百三十名と相なるわけでありまして、その大半、約九〇%が今年の十二月末をもつて三年の期間が切れることになるわけであります。そこでただいまお尋ねがありましたように、これでよろしいかという問題になるわけでありますが、この点につきましては、ほとんど全療養所の復員患者より非常な陳情がございます。われわれも前からこの問題につきましては、ずいぶん研究をいたしております。療養期間を延長する必要があると思うが、その根拠につきましていろいろ研究してみました。一般公務員の場合におきましては、三年間は療養を保障することになつております。三年を経過したあとにおきましては、打切補償ということで、一時金を出しておるわけであります。一般公務員並に未復員者を扱うということになりますれば、三年たつたらやはり打切補償ということもできるということにすることが、両者の均衡をはかる意味合いから、一応考えられるわけであります。しかしながら先ほどお話がありました通り、未復員者は元軍人でありまして、国家が権力をもつて動員した人たちでございます。その点において一般公務員とまつたく違つた点があるわけであります。一般公務員が業務上負傷し疾病にかかつた場合、これは国が無過失責任として療養保障をいたすわけであります。しかし無過失責任をどこまでも追究することは酷だという考え方から、三年を経過してもなおなおらない場合は、打切り保障をすることができるということにいたしまして、無過失責任の追究をそこで打切つておるわけであります。しかしお話のありました通り、軍人につきましては、むしろ国家が、負傷しあるいは疾病にかかることを当然予期して動員した人たちでありますので、国家としてはそれだけに責任が重いわけであります。従いまして、一般公務員よりも一層その点においては手厚くしてやる必要があるのではないか、こう考えまして、三年たつてもなおかつなおらない者にとつては、必要な期間は厚生大臣において療養期間を延長することができるということにすることが必要である、こういう結論に到達したわけであります。なおかりに、これは筋の問題とは別に、どちらが得であるか損であるかという金の面から勘定してみますと、復員患者は毎年それぞれ退院するなり、それぞれ転帰をとつて行くわけであります。大体従来の計算によりますと、二五%ずつ減つて行くわけであります。そこで療養期間を延長いたしましても、将来どれだけ長く国家の財政負担になるかということを考えますと、打切補償をやる場合とそうかわらないのではないか。それから第二に、打切補償をかりにやるといたしましても、一時金をかりにやるといたしましても、傷痍者の常といたしまして、その金を何かほかの仕事の金に使つてしまうであろう。そういたしますと、もう一ぺん療養をするために生活保護法等の規定のごやつかいにならなければならないということになりますので、国としてもやはり二重の支出になつてしまう。こういう点も考え合せますと、結局三年たつてもなおらないという者に対しては、療養期間を延長してやるということが一番穏当な筋であると考えまして、これに必要な予算につきまして—これは新しく予算を計上いたしませんでも、引揚援護庁に未復員者等の扶養額がありますので、それの使用によつて十分まかなつて行けますので、内々大蔵省にずつと御相談申し上げておつたわけであります。大体大蔵省においても、別段大きな異存はないように今日まで考えております。ただ何分これを実施いたしますためには、法律の改正がいるので、法律の改正につきましても——これは正式に申しますれば給與関係の法律でありますので、大蔵省関係所管の法律になるわけでありますが、実施を厚生省においてやつおります関係上、われわれの方で、もし改正しようとするならばこういうふうになるべきではないかというような、技術的な点まで内々準備を進めているような状況であります。
○受田委員 この法律の改正についての政府の所見に非常な感謝をするものでありますが、私たちとしては、さらにこの要療養者の人たちの苦痛を取除いてあげるとともに、すでに民間において治療をするようになつた立場の人たちが、やはり戰争に直接原因する疾病あるいは傷害のために、民間治療を受けるに至つて後、引続き政府の保障を得るような道がとられておるかどうか。 もう一つは、かつて未復員者給與法に該当すべき療養を受けておる人であつて、恩給をもらつたために、もはや国家の保障をする道が全然なくなつたという人が相当数あると思いますが、こういう人たちの対策について政府としてはどういう手を打つておられるか。これに関係した事項でありますのでお尋ねをいたします。
○田辺(繁)説明員 お答えいたします。未復員者給與法の療養と申しますのは、症状が固定するまで療養をいたすわけであります。治癒という言葉が法律上使つてありますが、治癒と申しますのは、症状が固定するという意味でございます。症状が固定いたしますと、恩給法等によつて傷病年金の受給があるわけであります。そういう性格の意味でございますので、一旦恩給の査定がありますと、この療養が打切られるということは当然でございます。但しこれに対する補償と申しますか、今日傷病年金の金額があまりに均少でありますために、その点についての国の保証の程度がきわめて不十分である、これはわれわれも考えておることでございます。できるだけ近い将来において、遺族の問題とあわして、これは適当な額に増額する必要があるのではないか、かように考えております。
○受田委員 ただいまの御答弁の中に、傷病年金が非常に少い、従つてその気の毒な部分は遺族保障の問題とともに関連して検討したいという御説明でありましたが、今傷病年金の少額をもらつている人たちは、もはや治癒という断定を下されて打切られた後は、どうしても救う道がないかどうか。これをこの未復員者給與法の療養当該者として復元する道はないか。一度その病気が固定したという断定を受けても、その後それが直接原因して、家庭に帰つて後に再び発生している場合が非常に多いのです。形の上では固定した形をとつたが、家庭に帰つて再発しておる。その再発した場合の保障、つまり療養をする道は、傷病年金では処理できない問題ですが、これを救済する策がいると思う。あの当時は、病院などもうるさいからなるべく早く処理せい、恩給がもらえるからみなその方に行つたがいいぞということを、病院当局が慫慂した傾向も多分にあると思うのですが、そういう点において、いいかげんに治療を中止して、もう固定したという断定を下したものも少からずあることを聞いておるのですが、これらの人たちが、その後において直接その戰鬪が原因をして傷病のからだになつた、それが一時固定した形をとつたが、家庭に帰つてそれが再発しておるという者に対して、わずかな傷病年金だががまんしてくれというようなことでは、人道場許しがたいことだと思うので、この問題は根本に入らなければならぬと思うのですが、何らか救済の道、早急にこれを復元するような道がとれないかどうか。それとあわせてもう一つは、その該当者がどのくらいあり、現在傷病年金の規定はここに記録しておりませんので、どのくらいの手当をもらつておるかをちよつとお伺いしたいのであります。
○田辺(繁)説明員 未復員者給與法によつて療養を受けておる者が、治癒の状態になりました際は、傷病年金の支給を受けまして、法律による療養を打切られる。一旦そういう段階に至りました者は、二度とこの法律による療養身受けられないということは、この法律の中にはつきり書いておるわけであります。ただ実際問題といたしましては、この療養を開始する以前、つまり法律の中にこの療養が規定される前に傷病年金を受けた者は相当あるわけであります。この問題につきましては、大蔵省とも相談の上、適当に処理をいたしておりますが、原則から申しますと、未復員者給與法というものの療養は、症状が固定するまでの療養でございますので、その後においての療養は、国の法律によつては受けられないという建前になつておるわけであります。ただいま受田委員より、恩給と療養とは平均して行うべきであるという根本の問題を出されたわけでありますが、これは非常にむずかしい問題でございまして、今後われわれも研究しなければならぬと思います。たとえば恩給の支給を受けておる方が、たまがここに入つた人が、もう一ぺんここにまわつて来た。明らかにこれはたまが入つたのが再発したわけであります。たとえば戰地において特殊の病気にかかつておる。これがなかなかなおりきれぬで、何年かたつうちにもう一ぺん出て来る、こういう再発もあり得るわけであります。ところが結核のような場合ですと、再発というような事態が、はたしてその後の事態に基くものであるのか、あるいは当時の原因であるのか、なかなか判定が困難な問題があります。この問題は慎重に研究を要する問題であると思います。ただ今日その問題について、一層国の配意が足りないという点は、先ほど申しましたように、傷病年金の額が非常に少いという点にあるわけであります。これは恩給法の特例の中に、階級別に、また症状の別によつてそれぞれ金額がきまつております。一番重いのは年俸の八箇月分支給される。軽いのになりますると、一時金として二箇月分というのがあるようであります。年金といたしましては、五箇月分ぐらいが一番少いところだつたと思います。現在恩給法によるそういう年金ないし一時金をもらつた者で、なおかつ療養を必要とするという数がどのくらいあるかというお話でございますが、これは正確に調べたものが今手元にありません。
○受田委員 今問題は、一度恩給をもらつた者が治療を打切られた後には、国家は療養の保障の責任をのがれるという問題です。その法律の條項をあわせて改正する意図はありませんか。これは重大な問題だと思うのです。
○田辺(繁)説明員 條文は未復員者給與法の八條の五と八條の六であります。八條の五には「障害一時金の支給を受けた者には、同一の事由については以後療養を行わず、又、重ねて障害一時金を支給しない。」これは未復員者給與法では、傷が療養してなおつた場合に、なお障害が残つている場合には、障害一時金を出すことになつております。同一事由について軍人、軍属につきましては、恩給法による傷病年金がもらえるわけであります。傷病年金につきましては第八條の六について「同一の事由について他の法令の規定により療養又は障害一時金に相当する給付を受ける者には、この法律による療養を行わず、又は障害一時金を支給しない。」こう書いてあるわけであります。従いまして恩給法による傷病年金の支給をしておる者については、以後この法律による療養を行わない、こういうことになつております。と申しますのは、この法律が症状が固定するまでの間療養を行うという建前をとつておるためであると考えられるわけであります。 この法律を改正する必要はないかどうかという問題でありますが、これはいろいろ考えがあるわけであります。一旦治癒した者がもう一ぺん再発するということにつきましては、その再発が、その後におけるいろいろの生活環境なり生活状況自体に基くものと、そうでなしに、もともとの傷そのものの原因によつて再発すると二通りあると思うのであります。傷そのものの再発ということに絶対間違いないというものにつきましては、これは国としてある程度責任があると思います。たとえば先ほど申しましたような、たまが当つて、そのたまが別のところから出て来るという場合には、明らかにそれは戰傷による負傷として認めなければならぬものであります。その点は問題はないわけでありますが、その後の生活環境によつて現われて来るというものが相当あると思うのであります。この点はいろいろの面から愼重に検討する必要があり、技術的な面からも非常に困難でありますが、どの程度まで国が責任を負い、どの程度まで国が責任を負わないかという点は、その認定に至つては技術的に非常に困難な点であります。この点法律で取上げる場合においては、よほど愼重な考慮を要するのではないか。引揚げないしは復員と申しましても、やはり一定期間を過ぎていつまでもというわけに行かぬのではないか。やはり一般国民に融合して行くという面も考えなければならぬ、いつまでも国の責任を追究するということではなく、一般国民との融合という点もあわせ考えて行く必要があるのではないか、こう考えられるわけであります。この点につきましてはまだ改正する措置はとつておらないわけでございます。
○受田委員 今の八條の五項、六項でありますが、これは同一の事由によつては、障害の療養をたといどういうことがあつてもやらないという問題ですが、今の御説明の中に、その後の社会的環境その他の事由によつて——その直接の原因が傷痕その他に発したということではなくして、社会的原因、たとえば復員後非常に社会環境が悪く、衛生状況が悪くて病気になつたとか、あるいは過労に災いされて結核が再発するということがあろうと思います。しかしその一定期間だけ、たとえば三年以内に発生したとかいう場合に、年限を切つてそれをやるならば私は妥当ではないかと思うのです。いつまでもということではなしに、一度症状が固定したその後において、一定期間を置いてそれが直接の原因と思われるような状況で再発した場合に打つ手が必要ではないか、こういうことを私は非常に憂えておりますし、現にそういう人がたくさんおる。私は国立病院をよく慰問して、歩きますが、国立病院の中にも、この未復員者給與法の要療養者としての保護を受けながら、途中で結核が発生するというようなことがあると、結核は別だ、途中から出たのではない、この方までは責任を負わない、かつての障害の方だけをやる、こういうことになる。たとえば私が取扱つたのに、のどを毒ガスでやられて、気管支を痛め、いま結核になつて呻吟しておるが、これを国立病院からほうり出して、県立病院にまわしておる、こういうのがある。直接の原因は毒ガスによつて結核を誘発しておることは、病院でも知つておつて、のどの方はなおしてやるという差別をつけておる。こういう場合は戰争の犠牲から当然発生した病気だと思うならば、おおらかな手が打てるような国家の責任がいりますよ。こういう点において、たとえば毒ガス吸引によつてのどを痛めたが、それが一応固定したといつて帰したら、それが原因で今度は結核にかかつた、そのときには救済の道がないのだということになつたのでは、これは社会環境のよしあしに関せず、国家としては非常に責任逃避ということになると思う。この点今の八條の五項、六項については、少くとも未復員者給與法の一部改正の案をあわせ考えるべきではないか、またそれに対する予算などもそう多額ではないと思いますし、いやしくも国家の責任で徴発した、こういう人たちの処理については、ある一定期間を設けて、その期間国家が保障するというような行き方をしておかないと、人道上許しがたい問題であると思います。総額からといつても、今の療養関係の分は五億千六百万円、それから今の八條の該当の人たちでも、国家全体の予算からいえばそう多額ではないと思いますので、こういうところへちよつと愛の手を打つておけば、不幸な運命の人がどんなに喜ぶか、これは祖国再建の重大なる要件になると思います。こういうような政治から落されがちの人を広く救済して行くという、根本的な国家の政策がいると思います。これはひとつ勇気を振つてあわせて第八條を改正してやるという案を出すだけの決意ができませんでしようか。
○田辺(繁)説明員 ただいま受田委員からお話の点は、八條六の問題ではないかと思われるのでありますが、三年間は必要な療養を行うということになつております。期間を制限するということも、受田委員もある程度認められたのでありますが、三年間療養を行う必要があるかどうかという問題になると思います。そこでこれは未復員期間中の傷痍、疾病というものが、この給付の対象になるわけであります。従つてその場合の治療の範囲、療養の範囲というものにその必要が入るかどうかということは、未復員の期間中の事由によつて、その病気なり、あるいはけがが発生したかどうかという認定の問題になるわけであります。大体の取扱いといたしましては、復員後六箇月以内というところに実際の取扱いを限つております。従つて未復員者給與法の規定によつて療養を受けておろうとおるまいと、場合によつては健康保険の規定によつて療養を受けておる方もあるわけであります。それであとで未復員者給與法の方に切りかわつて来る方もあるわけであります。従いまして六箇月以内にこの療養を受けなければならないというわけではありませんが、少くとも六箇月以内に発病したということを一応の目安にいたしております。先ほどの結核の問題につきましては、その現実の結核が、帰つてから一年も二年もそれ以上もたつてから結核が発病するということになりますと、はたして未復員期間中におけるいろいろの事由によつて結核になつたかどうかということは、どうも認定が困難ではないか。こういう点からあるいは落ちたのではないかと思いますが、半年以内に発病した者であれば、未復員期間中のものであると明かに認めてやつております。しかしこれを一年、二年たつ、あるいは帰つて来てすぐある病気のために入院しておる、それから一年か二年たつてから結核が発病したという場合に、その結核にかかつた原因が戰争中であつたかどうかという点は、これは一応現在六箇月の標準に入りますが、六箇月というのは取扱いの基準でありますので、具体的の場合は、その病気の原因が未復員期間中のものであつたかどうかという実際の認定の問題になるわけでありまして、八條六の改正を要しない問題であると考えております。
○受田委員 今の八條の六の改正を要しないという問題は、同一の事由というものがそれに限定されると、これは困るのであつて、いろいろな途中でのそれに関連した弊害が起きるから、結核と傷というものが別に発生する場合もあるわけであるが、それがしかし関連しておるということになれば、当然これは考えなければいかぬ。認定の問題として考えなければならぬのは、今病院で未復員期間中治療しながら、治療中においてその同一の事由でない結核というものが別に出たと判定をしておる場合に、別に出たものに対しては手を施さないで、あなたは毒ガスの障害のところだけを手当する、結核は手当をしないとはつきり病院は言うているのです。私は確認したのです。こういうようなことは、つまり未復員者給與法というのは直接戰争が原因で起つた傷病手当だけをするので、あなたの病気は別ですからというので、別に健康保険か何かでおやりになつてはどうですか、それは生活保護法の適用がありますと言うけれども、家庭は生活保護法の適用を受けるほどではないが、非常に困窮しておるというので、生活保護法の適用は受け得ない。しかしいずれにしても病状はそういうことのためにいよいよ進行しておるという状況です。こういう問題を考えたときに、第八條の六というものの同一事由というものの解釈が限定されるのは困ると私は思う。こういう條項をもう少し幅を広く改正する意思はないかということを申し上げておるので、これはやる必要はないということでなくて、あなたの方でもやる必要があるとお考えであるならば、この際あわせて出されてはどうかということを言うので、やる必要がない、考慮中でなしに、いずれが正しいか、政府としては観点がどちらへ置かれておるかをちよつとお伺いしたい。
○田辺(繁)説明員 第八條の六は、他の法令の規定によつて療養を受けている場合は、この療養は行わないというので、第八條六の場合ではないと思う。この疾病は未復員期間中の事由によつて発生したものかどうかという認定の問題でありまして、これは法律の改正が必要でないと思うということを申し上げたわけであります。はたしてその疾病があとで出た結核か、未復員期間中の事由によつて発生したかという因果関係が認められれば、当然療養の対象になるのであります。因果関係が認められなければ法律の対象にならない。従つて運用の問題であるということを申し上げたので、必ずしも八條六の改正は必要でないということを申し上げたのであります。
○受田委員 そうすると、政府としては先ほどの八條の六の改正の必要はないという見通しに立つておられるのですか。
○田辺(繁)説明員 ただいまのお話は、三年たつても、なおかついつまでも、結核になつた者は、とにかくあとで結核が発病しようと国が見てやるというのであれば、八條六の改正がいります。しかしそうでなしに、三年なら三年ということで、三年以内は見てやるということになれば、現在でもあるわけであります。現在でも三年間は必要な治療を行うということになつておりますから、その必要な治療の範囲に入るか入らないかという問題になるので、その場合に、病気が未復員期間中における自己の責に帰すべからざる事由によつて病気になつたか、そうでないかという因果関係の認定の問題になるわけであります。従つて法律の改正の問題でなくして、運用解釈の問題として措置されるということを申し上げておきます。
○受田委員 その法律の解釈ですが、それは改正の問題と離れた認定の問題に入つているから、それをちよつと解明しますが、解釈が少し嚴に過ぎるのではないか。どうも国立病院のお医者さんになると、政府から與えられた予算がわずかしかないので、なるべくわくからはずして行こうという意図が起つて、そういう認定を非常に嚴格にやるという傾向があつて、運用解釈を非常に広義にやろうというおそれはないか。これが今のような問題を起しておるのだと思うのですが、この点例の未復員者給與法の給與該当、つまり復員しない人の場合の待遇とかいう問題と関連し、または特選に該当する人をなるべく多く引入れようという問題とあわせ関連して、法の運用解釈をもつとゆるやかにしてやろうという方向に政府としては思いやりがいるのではないか。この点を私はまたあわせて政府にただしたいのです。それと国立病院にどういうような意図で指令が出されてあるのか、病院長会議などでどういうような解釈をされているのかお伺いしたい。
○田辺(繁)説明員 あくまでも嚴格にやつて経費を使わないようにしようという趣旨でやつておりません。必要な治療はどこまでも行こうという建前でやつております。因果関係ということはやはり大事なことでございまして、復員後の状態によつて発病したものであると認められる場合にはやらない。未復員期間中の事由によつて発病したものであると認められればやる。この標準に照して、個々の場合に適正に判断して行くという以外にないのではないかと考えます。この点につきましてはあくまでも嚴重にやれというふうには指示いたしておりません。
○若林委員長 なおこれに関する質疑はありませんか。——では質疑がなければ本委員会として未復員者給與法の一部を改正する法律案の小委員会を設けることにいたしまして、立案をいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 —————————————
○若林委員長 ではこの小委員の数並びに人選については委員長に御一任を願いたいと思います。
○若林委員長 次に在外公館借入金に関する件について議事を進めることにいたします。本日は大蔵省外債課長、外務省の借入金審査室長が見えておられます。では外債課長より在外十月二日引揚第七号公館借入金に関する処理についての事情をお伺いしたいと思います。
○上田説明員 先般の国会で審議未了になりました在外公館等借入金の返済の実施に関する法律案につきまして、その要点をお話申し上げたいと存じます。御承知のようにその前の国会で在外公館の借入金の経済をいたすにつきまして、現地通貨で借入れました借入金を、日本の円に直すのにどういうふうな方法で直すかというための技術的な審議をいたすために、現在通貨の評価基準に関する審議会がつくられたのであります。審議会の答申によりまして、この法律にいわゆる在外公館等借入金の換算率表というものを別表としてつけてございます。たとえば朝鮮における借入金の提供者の方につきましては、現地通貨といたしまして朝鮮銀行券と、日本銀行券とがございますが、いずれも現地通貨一円五十銭に対して日本通貨一円をやることが妥当である。そういうような審議会の答申を得まして、それをまず換算率の表といたしまして、この法律案に提示してございます。 借入れの行われました時期は各地区によりまして異なつておりますが、特に満州地区は終戰後、二十二年から二十三年まで続いておりまして、いつの貨幣価値をそのような形で円に結びつけるかということは、理論的にいつても一つの大きな問題であるのでございますが、これはたさんの人が政府に貸し上げをやつた、そういう時期をとろう、いわゆる貸し上げの最盛時をとろうということになつたのであります。 各地区のわけ方でございますが、これは原則といたしましてその通貨の流通しておる地域が一つの地域としての経済単位をなすことは原則でございますが、その地区の特殊性にかんがみまして、たとえば同じ朝鮮銀行券でありましても、関東州にある朝鮮銀行券と、朝鮮にある朝鮮銀行券というものは、終戰後は少くともそれぞれの経済単位が分離されている、それぞれ違う経済圏の中にあるという意味で、地域を別にいたしまして、同様なことが関東州と満州という同じ陸続きでありながら、ソ連の占領した地区と、それから、国民政府が占領した地区とに政治的に分断されておりましたので、満州中央銀行券の流通する両方の満州と関東州におきましても、なお地域的に別にいたしたわけであります。それから北支における連銀券は、これは異存のないところと存じますが、中支と北支との境は経済的にはなかなかつきがたいのであります。しかし幸いに、行政的に区別が中支とついておりますので、黄河流域をどつちにつけるかということさえきめれば、大体の地域別はできております。従いまして徐海道地区あるいは蘇准地区を中支に加えることによりまして北支とわける。中支と南支とございますが、同じ儲備券の一本ということで一つの地域にする。 それから海南島は中南支にもちろん含まれるわけでございます。それからタイ、仏印、そういうような地区が従来のいわゆる借入金の審査会できめられました通貨の確認証の出ました通貨の流通しておりました地域なんでございます。法律では、外務省でやつておられますが、審査会で認められました借入金の確認証をおもらいになつた方に対して一人当りごとに今の換算率で計算いたしまして、それに三割を加算する。いわゆる最盛時をとりますと、それから、現在までに必ずしも六箇年はたつておりませんけれども、終戰から現在までおおよそ六箇年という期間の間借入金の返済をやつておらなかつたわけであります。たとえばその際に国債に応募なすつたと考えますと、表面上三分五厘、その他の利子が国債にはつくわけでございます。預金いたしておきましても同様でございますので、利子というわけでもございませんが、現在まで支拂いが遅延しておりますことに対して何らかの考慮を加えてほしい、そういうような審議会の答申も、ございましたので、それを勘案いたしまして、百分の百三十、三割の加算をするということに、第四條に案として提出してございます。従いまして確認証を各人に名寄せいたしまして、一人当りの金額をこの別表の換算率表で計算いたしまして、それに百分の百三十をかけて、それでその金額がそのままもらえないで、同一人について五万円を最高限度にする、そういう案が第四條で規定されております。これは内地におきまして戰災あるいは未復員者等のいろいろ戰争犠牲者の負担の公平というものを考えまして、この程度が妥当であるということでこういう提案がなされております。拂い方の技術的な点でございますが、今度の補正予算に私たちの要求といたしましては、約八億だけの補正予算を要求してございますが、将来のことも考えまして、八億からあるいは少し出るよう予算になるかもしれません。八億程度の予算が今度の補正予算で組まれます。ただ確認事務の進行が、これはあとで外務省の方からお話になると存じますが、本年度中、来年の三月までに全額が必ずしも済みそうでございません。一部分残るような様子でございます。しかし予算といたしましては全部——これは約十三万三千件ということが今の件数で予定されておりますが、未確認を含めて十三万三千件という全体に対しての予算約八億というものが組まれる予定になつております。従いまして本年度の三月までに抑えないときは、それが繰り越されるという形になると存じます。 一つ落しましたが、審議会が現在通貨と内地通貨を結びつけます際のソートのつくり方につきましては、いろいろと困難を感じられたようでありますが、原則を申し上げますと、一応救済費が使われました食糧費、なかんずく米を基準にとつて、それで現地はもちろん自由価格でございますので、内地の自由価格をしんしやくいたしまして、両方の比率をとつた。そのしんしやくの仕方は、終戰後の、二十一年ごろにつきましては、御承知のように日本は米を全部食つていたわけでは、ございませんので、公定価格で配給されます米が全体の四分、それからあとの六はやみと申しますか、自由価格と申しますか、何らかの方法で調達したものといたしまして、日本の米の自由価格のウエートを六として、公定価格を四にして計算をいたしてございます。借入れの最盛時の例を申し上げますと、たとえば旧満州国では昭和二十一年の六月がまず最初の借入れの最盛時になつておりますが、その翌年の十一月ころにもう一つピークがございますので、二つのピークをとることにいたしました。ただ二つのピークをとることにいたしますと、その区切りをどこにつけるかということがたいへん困難な問題であります。幸い旧満州国につきましては、二十二年の三月が一件も件数が、ございませんで、ずつとそこが谷間になつておりますから、三月までとそれ以後というふうに区別いたした次第でございます。関東州につきましては、終戰の直後二十年の十月、十一月に借入れがありまして、一時切れて、翌年になつて再び始まつておりまして、大体十月の終りから十一月にかけて借入れのピークが、ありましたので、原則として翌二十一年の十一月、十二月ごろの関東洲における通貨の円との比較をいたしました。二十年のは満州とほとんど価値は同じであるという答申でございましたので、二十年いつばいとその翌年というふうに、二つの時期に区分した次第でございます。 以上簡単でございますが、この法律案ができますまでの経過並びに計数につきまして、どういうような方法で考えられたかということをお話申し上げた次第でございます。
○小林(信)委員 この問題につきまして、地方の方からいろいろな意見が出ておるのでございます。その中で、ただいまもちよつとお話があつたのでありますが、審査当局で言明したところでは、この在外公館の借入金の中の調査料の問題がはたして確認されるかどうかということがまだ不明であつて、これに該当する人たちは非常に不安を持つておるのでございますが、その後の経過並びに現在お考えになつておられるところ等をお漏らし願えれば非常にけつこうだと思います。
○池田説明員 お答えします。ただいまの調査料というのは、おもに中支において行われました調整料付の送金小切手の問題だと思うのでございますが、それは実はこの確認請求を実施する当時におきまして、この調整料付の送金小切手が、はたして借入金に該当するかどうか、はつきりわかりませんでして、事務当局としてははつきりそういう判断を下せないので、何とも言わなかつたのでありますが、その後地方におきまして、これを市町村で受付けないというような向きがあつたようで、その点国会の方にも響きまして、国会の方からも希望がありました。われわれは、これも一応提供者においてこれを借入金と主張するものは大体受付けてくれるようにということで、私の方は通達しましたところが、本件調整料付小切手に関係する請求が、ただいま大体二万四千件ばかり手元に届いております。この調整料付は一応申しますと、終戰の年の春ごろから、北支もそうですが、ことに華中におきましては物価の騰貴が非常にはなはだしいので、内地との貨幣の関係に顧みまして、政府で内地と中支及び北支相互間の送金関係に対して一種の調整金というものをとることにしまして、終戰の八月十三日に、北支では五十倍すなわち五十一持つて来れば一だけの送金を許す、中支では七十倍、すなわち七十一持つて来ると一だけの送金を許すというような方法をとり、特例として退職金などにつきましては、全部を通じて十倍の調整料、すなわち一円内地でとるために十一円出すというような方法をとつたのであります。そのほかに、家族生活費として月額三百円までは調整料はいらない、大体趣旨はそういう規定でありました。終戰後におきましてこれはおもに中支で行われておるのですが、各地ともこの調整料を在留民の救済または引揚げ、あるいは在外公館費の一部に使つた向きもある、広い意味のそういう経費にわずかながらでも使つたところがあるようでございますが、それがはたしてこの借「入金の法律に該当するかどうかということは、まだはつきりいたしませんので、目下この点を外務省における審査会で審議中でございましてここ一に箇月くらいの間にどつちかにきまると思つております。大体そんな事情でありまして、地方からも関係者より大分外務省の方にも照会がありますが、はつきりとしたことはまだ御返事するまでに至つておりません。さよう御承知を願います。
○小林(信)委員 ただいまのお話で番問題になるところは、その調整料という、いわゆる中支方面において特別に行われたものが、何に使われたかということが一番問題になると思うのですが、ただいまのお話の中に、政府当局といたしましても、わずかながら在外公館あるいは邦人の生活のために使われたというふうなことも認められておるようにおつしやつたのですが、これに該当する人たちの言うところを聞くと、それはすべて、当時在留しておつた日本人の生活が非常に困窮し、また種々な事情からしてそういう金を必要としたために、これはりつぱに在外公館あるいは在留日本人のために使われたのであるから、これをやはり同じように取扱つていただきたいという要望がたくさんにあつたのですが、ただいまわずかながらというふうな御見解のようですが、これに対して政府といたしましては、そういう事実の探求というようなことを今までなさつておるのか、あまりそういう点にはまだ核心に触れておらぬのか、その点お伺いしたいと思います。
○池田説明員 お答えいたします。これはただいまの御質問の調整料関係の資金を引揚げ救済費に使つたということですが、各地におきまして、きわめてわずかではありますが、一部分使つたことは事実のようでございます。この点につきましては、目下取扱い関係者である民団長とか、それから金融関係者、その他ここに一、二週間のうちに全部寄りまして、さらに事情を精査しまして処理するつもりであります。しかしこれは使われたかどうかということは別としまして、経費の筋道が銀行それから外資金庫というように中間的の機関があつたりしまして、これが法律のいわゆる借入金に該当するかどうかという点は、さらに関係者において討議してみないと、にわかに決定できないのではないかというように考えております。
○小林(信)委員 私は要望をいたしますが、ぜひとも関係者というようなものをできるだけ多数お集めくださいましてこの人たちが非常に心配しておるのですから、事実をはつきりつかんでいただいて、なるべく寛大な御方途をひとつとられるようお願いいたします。
○受田委員 ただいま外債課長さんの御説明をお聞きしますと、この在外公館借入金の問題についての換算率の基準が、いろいろ苦労されたこと示されたのです。たとえば旧満州であるならば、二つのピークがあつたが、そのピークを調整するために、二十二年三月を、そこの谷間までということにした、前をうしろにした。それから国内の問題であるならば、二十一年ごろの公定価格を四とし、その他の支出を六という割合でこれを計算した。そうした換算率というものは、非常に重大なものであると思うので、非常に苦労されてその線へ持つて来られたと思うのですが、やはりこれに対しての当事者たちの声にもまた相当聞くべきものがあろうと思いますし、それと五万円という限度で打切るということになりますと、これにも相当の意見があろう、こう思うので、この法案は当然今度の審議にあたつては、公聽会を開いてこれら関係者の声もよく聞いて、政府の意のあるところと、それから当事者たちの声というものを調節して法案をつくる必要があると思うので、委員長においてさようとりはからうように要望いたします。 それからもう一つは、この法案に救済される人たちの申込みの締切りが昨年五月まで一応延長されたのであるが、その後全国的にそういうものがあつたかというので、山の奥の方、あるいは海の端の方、つまり島とか山間部とかいうところでは、いまだこういう規定があることを知らなかつた、あれだけたいこを叩いて宣伝したが——この間私もそれを見せられた村がある。役場に持つて行つたら蹴飛ばされた。多分今の調整小切手だろうと思うのですが、そういうものを蹴飛ばしておる役場があるのです。市町村役場の手続上の手落ちですな。そういう申し出ても蹴られたということ、それから本人がまだそういものは該当しないのだろうという、少しかたい頭の人たちが今日相当まだ残つておる、これははつきり私も認めておるのですが、これを救う道として、この救済の期間をなおこの法律ができるまでに延長してやるような措置が必要ではないか、こう思うのですが、この点についてもやはり当局としては、国会にこの問題を投げかけるという意図があるかもしれませんが、しかしそういうことを実現されることを希望しておられるかどうか、ちよつと伺いたい。すなわち救済の期間を去年の五月で一応打切つておるが、特にもう一度この法律ができる機会に申し出させるような措置をとられることがいいか悪いかという政府の見解です。
○池田説明員 政府の見解とまで言いかねますが、事務的に申しますると、一応今までたびたび御説明申し上げましたように、本件については約二十一万件余という数が来ていまして、目下その整理の方に追われていまして、ちよつと事務的には今やると困るのですが、しかし実際に見ますると、台帳なんかによりますと、二割ないし多いところは四割くらい未請求があるようであります。ぜひともこういう人のは何とかの方法で救済のことを考えてあげた方がいいのじやないかと今思つております。けれども事務的には急にどうしようということを今考えておりません。
○受田委員 今救済して上げることはいいことだという御答弁でありますし、また事実当然の権利があるものを、いろいろな事情でその権利の主張ができないのを救済するのが国会議員の責任ですから、その点についても、この法案のでき上るまでに、一応そうしたすでに締切られた申込みの期間をさらに延長するというような措置もあわせ考えられんことを希望いたします。
○若林委員長 先ほど受田委員から公聽会云々のお話があつたのですが、本法案に関してはおそらく大蔵委員会にかかるのでないかと思うのです。本特別委員会としては参考人として呼び、その要望を聞いて、大蔵委員会へこれを出す、こういうような形式になると思いますから、御了承願つておきます。
○庄司委員 ただいまの応答に関連いたしまして、これは政府全般に要望しておきたいのでありますが、この公館借入金の返還に関し、たとえば甲は五万円なら五万円、あるいは乙は三万円なら三万円というような金が、おそまきながらとにもかくにも当時の公館の借入れに応じた諸君の手元に返還される、こういうことはけつこうなことでございますが、政府全般に強く要望しておきたいことは、国民の所得として、そういう特定人の個々の所得として三万円なり五万円なり入つた金は、普通の所得とはまつたくその性格を異にしておることは御承知の通りであります。よつて端的に申し上げると、これらの金額に対して、いかに無理解なる大蔵省当局といえども、あるいは各地方の税務署長等においても、所得税の対象には絶対しないこと、所得税の対象として、ある一定額の所得に五万なり三万なりを追加して、その合計に対する所得税を徴収せざること、これらの関係者諸君は、長い間公館の借入れに順応した。それらの金額に対しては一定の国が定めた金利の利息もちようだいされておらないと思うのであります。またその金額の積極的なる運営活動が停止されておつたことは言うまでもありません。従いまして、決してこれらの金額を普通のあたりまえの国民の所得であるというような概念で、税の対象に絶対しないことというようなことを法律の中にうたうことはむろんのこと、運営の面においても、大蔵当局にさような誤つた措置をとらしめざるよう、切に今から御注意願つておきたいと思うのであります。
○玉置(實)委員 ただいまの外務省の御答弁で一、二点ちよつとお伺いしたい。調整料を公館に貸したというような意図のもとに、そういう方々につきましては受付をなさつておるというような御意見であつたと思いますが、そうですか。
○池田説明員 これは一般的に言いまして、在外公館に資金を提供した、すなわち借入金になると主張する者は、請求書を出していただきたいという趣旨を伝えたわけであります。だから必ずしもこの調整料が借入金に該当するということを初めから認めているわけではないのであります。
○玉置(實)委員 それは非常に認定がむずかしくなると思いますが、おそらく中支方面の調整料は全部が全部在外公館に貸したのだと、こういう意図をもつて手続をなさる方が多いと思います。これが解釈を一応決定しておいていただきませんと、将来むずかしい問題が起きると思います。これはひとつ至急に解決していただきたいと思います。問題は調整料の性格でありまするが、ただいまの御答弁によりますると、まだはつきりしておらぬ、こういう御答弁でありますから、至急にひとつ、審査会でありますか、大蔵省でありますか、関係当局におかれまして御決定をいただきたいと思います。 それから第二点でありますが、確認証書をせつかく受領いたしましても、これはすぐ金が入らないわけでありますので、その確認証書を非常に安い値段で担保に提供するという傾向が相当あるようであります。つまり政府といたしましては、低利金融で確認書担保のもとに融資をなさる御意思があるか、またそういうような制度を設ける可能性があるかどうか。これをひとつ伺つておきたいと思いますが、大蔵省全体の御意向でなくてけつこうです。あなた自身のお考えでけつこうでありまするから、でき得べくんば確認証書を担保とした低利金融の道が開けるよう、私たちは要望いたしておきます。この点ひとつ御所見をお伺いしたいと思います。
○上田説明員 まず第二の問題から答えさせていただきます。確認書を買い集めている人がいるとか、そういうような新聞も見たわけでございます。この法律案が国会に上程されまして可決される見通しが出て参りますと、おのずからそれはすみやかな機会に支拂われるということになりますので、それを担保に貸し出すという制度を制度としてつくるということは今のところ考えておりません。ただ法律案が出まして、予算案が通過いたしますと、もう金になることはわかつておりますので、貸す人は今までよりもそれを見返りに貸すということはあり得るだろうと思いますが、制度としてつくるということは考えておりません。 それから調整料の問題につきまして、大蔵省といたしましての意見を御参考までに述べさせていただきますが、調整料込みの送金は主として中支で行われておるようであります。問題が起りましたのも中支なのでございますが、上海ではいわゆる正金銀行なり、朝鮮銀行なり、いわゆる本邦系の銀行が現地でまだ営業を継続いたしております間、その引受けをいたしたように承知しております。そうしますと御承知のようにあの調整料というものは、送金のレートが昔中支は儲備券十八円が一円ということで、実際上の貨幣価値から行きますと、かなり無理なレートをみんなとつておつた、そういうことを是正するためと、それから内地における向うからの資金流入によるインフレーシヨンを防止するために、適切な為替レートというものをつくるかわりに調整料ということでそういうレートの調整をやつたということなのです。それで調整料そのものは銀行の所得になりませんで、外資金庫という現地でのいわゆる資金を調達するための国家機関、そういうものがあつてその外資金庫に調整料は納めるということになつている。従いまして、終戰後も調整料送金を認めました。その調整料は外資金庫に入つているわけです。現地の日本銀行代理店が大体外資金庫の代理店をやつておりました。それはまた同時に為替銀行でありましたために、同じ窓口に持つて行きました金が、銀行の金でなく、外資金庫の勘定であるにもかかわらず、銀行の勘定であるような外観を呈していたということがあるわけです。それで銀行から何らかの形で在外公館の方が融資を受けられたということがありましたから、先ほどのような疑問が起つて来るということになります。しかし法律上の建前から申しますと、公館借入金はあくまでも貸した人とそれから借りた人とが将来日本で返済するという條件のもとに借り入れた金ということになつておりまして、送金したときの調整金をたとい銀行から、あるいは外資金庫から公館長なり何なりに融資いたしましても、形式的には借受金ではないのであつて、それが普通の調整料のケースのように今までは調査の結果なつております。しかしこの点につきましては、たとえば徐州、海州だとか、ああいう地区につきましては、銀行が実際上閉鎖されておつた以後も、何か銀行の支店長の名前で送金小切手にかわる受領書というものを出しておるケースがあるように聞いております。そこの場合には、海州の民団長の証言を私の記憶で申し上げる次第でありますが、それによりますと、みな一緒に集中生活をやつておつた、そこに朝鮮銀行の支店長もおられた。その支店長のデスクでそういうことを受付けて証明書のようなものを出しまして、その調整料はその集中して生活しておる人たちの資金に使つたらしいのでありますが、これははつきりいたしません。事実はまだ確認いたしておりませんが、そういうことを聞きました。そうなると帳簿上一回朝鮮銀行の資金として受入れられまして、それが政府に貸し上げられるという形をとるべき筋合いのものであります。そうされておりますと、上海とかわらないわけなのでございます。その場合に支店長として、銀行としてそういう権限があつたかということが法律的に問題になりますし、またそういう経理をやつたかどうかということも問題になる、それで調整料のケースでは、そういうようにちやんとした筋道をとつております調整料と、何か調整料らしきもので実際は借上げ金らしいというようなものがあるかもしれないのです。それで池田室長が今御説明になりましたが、かなり地区によつて事情が異なりますので、その点をよく調べた上で、こういうものはこうだということを決定したいという趣旨でお答えになつたのだと解釈しております。これは借入金であるかどうかの認定は外務大臣がやる、外務省の審査会でやつておりますが、それがきまりまして、もし確認書が出ますれば、私の方の大蔵省提案の今度の法律案の中に盛るということになるのであります。以上御参考までに申し上げます。
○玉置(實)委員 先ほど受田委員から御発言がありました中に、今回の法律で最高五万円を限度とする、この五万円を限度といたします理由は、他の戰争犠性者との均衡上考えたものだという御説明がございました。これは委員長にもお願いいたしたいのでありますが、先ほど公聽会を開いて一般の考え方も聞いてみようという御意見でございましたが、五万円で頭打ちにする、限度にするということがよいかどうか、これは相当愼重に御研究をいただ、きたいと思う。 それから今回の補正予算で一応八億円を組まれるようでありますが、八億円というこの予算は、一応十三万三千件を予定した金額でございますか、あるいは現在確認書を発行した金額がイコール八億円になるのかどうか、この点をひとつ伺いたいと思います。
○上田説明員 八億円という金額は、十三万三千件という未確認のものを含めまして、それを全部確認されたこととしての計算でございます。
○若林委員長 本日はこれにて散会いたします。 午後零時三十三分散会