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10回国会両院1951/02/20

両院法規委員会 第4号

発言数
8
登壇者
4
会派数
2
開催日
1951/02/20

会議録

角田幸吉自由党

○会長代理(角田幸吉君) 本日は衆議院側が会長となる日でありますが、委員長に事故がありますので、私がかわつて会長の席を汚します。  これより会議を開きます。  議案の修正及び撤回に関する勧告案を議題といたします。前回の委員会におきまして、衆参両院委員部長の出席を求めまして、本件に関する意見を聽取したのでありますが、この際衆議院法制局三浦第一部長より、法制上の意見の開陳を願うことにいたします。

三浦義男衆議院参事(法制局第一部長)

○衆議院参事(三浦義男君) 議案の修正及び撤回に関しまする件につきましては、先般来この委員会においてお取上げになつておりまして、私どもの方でもいろいろ研究をいたしおるのでございますが、なかなかむずかしい問題がありますので、今すぐ結論を申し上げるというよりも、こういう点に問題がありはしないかということを申し上げまして、この委員会において、しかるべく御決定を願つたらばどうかと考えております。  現在国会法の第五十九條におきましては、「内閣が、各議院の会議又は委員会において議題となつた議案を修正し又は撤回するには、その院の承諾を要する。」こういうことになつておりまして、一院と他院との関係、先議の議院と後議の議院との関係において、修正撤回の関係がどうなるかということに多少の疑問もあるわけでございます。  まず、修正の場合について申し上げますれば、修正につきましては、ここの委員会におきまして一応研究の題目となつております通りに、一院におきましてそれがまだ議決になりない前、つまりその院または委員会におきまして議題となりました後に、それを修正する場合に、その院の承諾を要するということは、現在の国会法第五十九條でも同様でありまして、これはもちろん問題がないと思つております。その後におきましては、修正という問題はちよつと考えられないのではないかと思つております。この前この委員会において研究案になつております点につきましても、その範囲に限つておるのでございます。  次に撤回の場合でございますが、撤回はいわゆるハウスの議決権との関係におきまして重要な問題を含んでおると思うのであります。この場合におきましても、議題とならない前におきましてはもちろん問題ありませんが、議題となつた後におきまして、他院にまわらないときと、それから他院にまわつたときとにわけて考えてみたらばどうかと思つております。まず他院にまわりません場合、つまり先議の議院におきまして、ある政府案が議題となつて、政府の原案の通りに議決をいたしました場合、それから政府の原案に修正議決を加えました場合にどうなるかということを一応問題といたしてみたいと思います。先議の議院におきまして、政府原案の通りに議決をいたしました後におきまして、それの撤回が許されるかどうか。それから先議の議院において政府原案に修正、議決を加えた後において撤回が許されるかどうかという問題は、議決権と政府の提案権という関係において、非常に重要な問題を含んでおると思うのであります。それで政府原案の通りに議決をいたしました場合にまず考えられますことは、その議決をしたということによりまして、その案はすでに先議の議院の案となつて後議の議院にまわつておるのか、それとも提案者である政府の案というのがどこまでも残つて、後議の議院の方にその形が残つて行つておるのかという点であります。それで先議の議院において政府の原案の通りに議決いたしました場合におきましては、その案はすでにハウスの案となり、同時にまた、さらに突き進んで申しますならば、ハウスの意思決定——憲法上のいわゆる立法機関である一院の意思決定がなされた後において、政府の撤回権というものがそれまで及び得るかどうかという点でありまして、この点は議決権と撤回権との関係で非常に問題があると思つております。さらに今のような場合に、もう一つ複雑になりますが、政府原案に先議の議院で修正を加えました場合におきましてそれの撤回を認め得るかどうか。それで原案通りに可決しました場合と、それから修正して可決しました場合におきまして、ハウスにおける意思の加わり方が非常に違つておると思うわけであります。たとえば先般の第四国会におきまして、政府から提案されました政府職員の新給與に関する法律の一部を改正する法律案を、衆議院におきまして題目だけを残しまして、ほとんど内容を全部修正して、参議院に送つた例があるわけでありまするが、そういう場合におきまして、はたしてどこまでもそれは政府の案であるのかどうか、政府がそれについて撤回ということのつながりをまだ持ち得るかどうかという問題が、この修正議決の場合においては特に問題が加わつて来るであろうと考えたわけであります。  それから次に、今のような二つの方法によりまして、とにかく先議の議院におきまして議決されましたものが、後議の議院にまわつて参りました場合におきまして、後議の議院が、先議の議院の案の通りに議決をいたします場合と、さらに後議の議院においてなお先議の議院の案を修正する場合が起つて来ると思います。後議の議院において修正いたします場合におきましては、二つの場合が考えられると思うのでありまして、第一は政府の原案通り先議の議院において議決したものを、後議の議院において修正する場合と、先議の議院において政府の原案を修正したものを、さらに後議の議院において修正を加える場合、こういう複雑な場合が起つて来ると思うわけであります。こういう場合におきまして、さらにまた政府は後議の議院におきまして、撤回の申入れをし、そうして先議の議院においてもそれを承認すれば、それが許されるかどうかという問題は、議決権との問題があると思います。さらに先ほども申しましたように、修正せられた案はハウスの案であつて、政府案とはまつたく違つたものではないであろうかというようなことが一つと、それから後議の議院において先議の議院の意思と違つた議決をいたしました場合におきまして、一度先議の議院というものの意思は確定いたしたのでありまするから、さらにそれ健撤回ということによつて、先議の議決権で議決しましたものを、たとい承認という條件はありましても、それを議決がなかつたように取扱うことにするかどうかという点は、問題であろうと思つております。そういうような点を考えて参りますと、結局結論といたしましては、ハウスの議決権と、それに修正が加わりました場合をあわせ考えまする場合におきまして撤回という問題は非常に以遠ではなかろうかと思うのであります。どうもハウスの議決権との関係におきましては、この研究案にありますようなことまでも認めることが、はたしていいかどうかという点につきましては、多大の疑問を持つわけでございます。一応さような点を申し上げまして、この委員会においてなおしかるべく御検討を願いましたらと思うわけであります。

角田幸吉自由党

○会長代理(角田幸吉君) この際御質疑はありませんか。

竹下豐次緑風会

○参議院両院法規委員長(竹下豐次君) 三浦さんにちよつとお尋ねします。先議の院に提案されて、それがそのままに、原案通りに可決といいますか、決議された、あるいは修正されたというものが、後議の議院にまわされますが、その場合に、参議院の公報などを見ますと、やはり最初の案ならば、内閣提出、衆議院送付という文学でずつと来ておるのです。衆議院でもおそらくそうじやないかと思いますが、そういう取扱い例から見ると、修正された場合でも、あるいは修正されないで決議された場合でも、一番最初に出した内閣の提出案であるということは、取扱い例から見て疑問がないのではないか。ただりくつを言つてみると、最初の院の意思が加わつておるのであるから、あるいはまた新たにそこでつくり直したようにも考えられるのかもしれません。どつちの提案かわからないような議論が起り得るけれども、長い間の取扱い例から見れば、その問題は消えて行くのじやないかという気持がします。その点いかがでありましようか

田中不破三自由党

○委員(田中不破三君) 今の三浦さんの御意見は、とにかく一議院の意思決定というものを非常に尊重されることで、ここにわれわれとして判断しなければならぬ重点が出て来ると思います。竹下さんが例にとられた政府提出、議員提出という文字は、そういうふうな文字で表現されているだけで、今の重要点である議院の意思決定やいなやの標準にはならないと思います。

竹下豐次緑風会

○参議院両院法規委員長(竹下豐次君) そういう疑問も起つて来るのです。その点三浦さんはどういうふうに御解釈になつておるか。ただそういう言葉を使うためには、相当の根拠がなければ使えないわけで、何でもかでも使うというわけではない。そこはやはり法理的の根拠があつて、ああいう使い方をしているのじやないかという疑問を実は持つたわけです。その点についてのあなたの御意見を承りたいと思うのです。

三浦義男衆議院参事(法制局第一部長)

○衆議院参事(三浦義男君) ただいまの点は、確かにさようになつておると思います。ただ議員提出の場合に例をとりますると、一院にある議員から提出されますと、提案者は議員でありまするが、それがその院において議決されますると、その提出者たる議員の名前はなくなりまして、いわゆるハウスの名前において後議の議院に送ることになつております。それはつまり衆議院に例をとりますと、衆議院のある議員から提案されまして、それが衆議院において可決されました後においては、衆議院議長の名において、衆議院の院の案ということで参議院に送り込まれる。しかしながら政府の場合におきましては、今のように修正されました場合におきましても、一応政府の提案の名前が残りまして、衆議院に先に提案されたものが、参議院の方に、さつきおつしやいましたような形で移つておることは確かにあります。それをさらに突き進んで考えますると、結局政府提出の場合と、議員提出の場合とにおいて、本質的に区別する必要はないのではないか、理論的にはどこまでもハウスの案ということになるべきではないだろうかという疑問も出て来るわけです。ただ長い間の、従来からの慣例で、政府が発案して出したのでありまするから、行政権と立法権との関係のつながりにおきまして、政府提出の形をある程度まで残しておるのだと思いますけれども——これは私の個人的の意見でございまするが、新憲法のもとにおいて、国会が国権の最高機関として、唯一の立法機関たることを重視して考えました場合におきましては、たとい政府の場合におきましても、先議の議院に出すまでは政府の案でありまするが、後議に移す場合におきましては、衆議院議長の名において、衆議院の名において、参議院に送るのが正当なことではないだろうかと、一応考えております。しかし現実はおつしやいます通りに、取扱いはなつておるようであります。

角田幸吉自由党

○会長代理(角田幸吉君) 何かはかに御質疑はありませんか。——ではこのことは大分問題ですから、もう一ぺん研究することにして、この程度で、ほかに御質疑がなければ、今日はこれにて散会いたします。     午後二時二分散会

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