両院法規委員会 第3号
- 発言数
- 37 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1951/02/09
会議録
○会長(竹下豐次君) ただいまから両院法規委員会を開会いたします。 前会お手元に配付いたしました、一応参議院の法制局で立案いたしました勧告案、これを本日の議題に供します。 衆議院の法制局のお方もお見えにたることになつておりますが、少しまだひまがいるかもしれないと思いますので、途中からでも衆議院の法制局の意見は承ることとしまして、その前に皆さんの御意見を承りまして議事を進行させたいと思います。参議院の法制局の諸君は見えておりますので、何か御質疑でもございましたら、この際お願いいたしたいと思います。ちよつと速記をやめて……。 〔速記中止〕
○会長(竹下豐次君) 速記を始めて……。一応参議院の法制局の説明はこの前承つたわけでありますけれども、きよう、この前の委員会のときにお出にならなかつた方もおいでのようでありますから、重ねて御説明をお願いします。
○参議院参事(菊井三郎君) 議案の修正及び撤回に関する勧告案につきまして御説明申し上げます。前の委員会におきまして、この問題をどう取扱うかという点につきましていろいろ御注意がありましたが、その際に、議案の撤回につきましては、一つの院から他の院に送られました場合でも、これは撤回し得るようにした方がよろしいのではないか、但しこの場合には両院の撤回の議決を必要とする、それから他の院に送られました場合には修正は認めないようにしようではないかという点、それから先議の議院の方に議案がかかつております場合には、修正は議題になつておる場合にはできるけれども、議決があつた後は修正はできないようにすべきではないか、こういうようなお話がありましてその線に沿いまして法制局で案をつくつたのがこの案でございます。 要旨の点につきまして一応御説明申し上げます。一の議院の会議または委員会において議題となつた内閣提出議案の内閣による修正は、いまだ先議の議院の議決を経ない場合に限り、その院の承諾を得てこれを行うことができるものとし、その撤回は、いまだ後議の議院の会議または委員会において議題とならない場合には、先議の議院の承諾を得て撤回できるようにし、すでに後議の議院の会議または委員会において議題となつた場合には、両議院の承諾を得てこれを行うことができるものとするとともに、議院の提出にかかる議案につきましても、それが他の議院の会議または委員会において議題となつた後におきましては、その議院の承諾を得てこれを撤回し得る道を開くように、すみやかに国会法改正の立法措置を講ぜられたい、こういうのが勧告の要旨であります。 この理由について申し上げます。内閣提出議案は、先議の議院の議決を経ない場合には、内閣がその院の承諾を得てこれを修正し、または撤回することができるということにつきましては、国会法の第五十九條にすでに規定がありまして、この解釈上、この点につきましては大体明瞭であるのでありまするが、すでに先議の議院の議決を経た後、または後議の議院の会議または委員会の議題となつた後におきましても、内閣がその修正または撤回を求めることができるかどうかという点につきましては、現行国会法第五十九條の解釈上、疑問があるわけであります。両議院の議決権と内閣の議案提出権との調整をいろいろ考慮いたしますと、これをどうしたらよろしいかというような点につきましては、修正というものは、議案が先議の議院の議決を経ない場合に限つて、その院の承諾を得て修正することができるようにし、撤回につきましては、議案が後議の議院において会議または委員今の議題とならない間は、先議の議院だけの承諾を得て撤回できるものとし、またすでに後議の議院の会議または委員会の議題となつた後におきましては、両議院の承諾を得た場合に限つてこれができることとするのが妥当であるというように考慮いたしたわけであります。またこれに関連いたしまして、議院発議の法案が一つの議院を通つて、議院提出法案となつて参りました場合の撤回につきましては、現在国会法に何ら規定がないのでありまするが、この規定のないということは、現行国会法の解釈といたしまして、撤回できないのではないかと一応考えられるのであります。しかしながら内閣提出法案との関連性を考えますとき、このような議案につきましても同様に考える必要があるのではないか、こういうような点から、内閣提出議案と同様の撤回の制度をつくることが必要ではなかろうかと考えるわけでありまして、勧告の要旨のように、議院提出議案の撤回につきましても規定を設ける必要があるのではないかというわけであります。 このように内閣による議案の修正または撤回の限界及び條件というものを明らかにいたしまして、また議員提出にかかる議案につきましても撤回の道を開くようにする必要があるというのがこの理由でございます。 これに関連いたしまして、国会法の一部を改正する必要が出て参りましたので、次に掲げますように、案を一応掲げたわけであります。しかしこの案につきましては、参議院の法制局といたしましても十分案を練るいとまがなかつたので、この点につきましては、とりあえず一応の案をつくつたわけでありますが、今後におきましても内容、字句につきまして、いま一度検討する余地があるということを考えながら、間に合せるために急いでここへ出したものであります。
○会長(竹下豐次君) 衆議院の法制局の部長がお見えになつておりますが、この際引続いてその方の御意見を承つてから質問をお願いしたいと思います。ちよつと速記をやめて……。 〔速記中止〕
○会長(竹下豐次君) 速記を始めて……。衆議院の法制局の部長の御意見を承ります。
○衆議院参事(三浦義男君) 議案の修正及び撤回に関する勧告案につきまして、この委員会においていろいろお取上げになつておりまして、私ども十分に参議院の法制局の方と連絡をいたしまして、事前に研究をいたすべきでありましたが、はなはだ申し上げにくいのでありますけれども、私どもの方もいろいろな点に追われておりますので、ゆつくりまだ部内で検討いたして、われわれの方の意見といつて申し上げる段階に実は来ていないわけでありまして、その点はなはだ申訳ないと思います。事柄につきましては、確かに国会法の五十九條の問題は前々から疑問の点でございまして、これを明確にするということにつきましては、たいへんけつこうなことだと考えております。その中で修正と撤回の問題とにわけて考えられると思つておりますが、大体撤回の問題につきましては、ここに書かれておるような案は確かにけつこうではなかろうかと思つておりますが、修正の点につきましては、私実は多少の疑問を持つておるのでございます。この修正は、議案が先議の議院の議決を経ない場合に限り、その院の承諾を得てこれを実施することができる、こういうことになりますと、先議の議院の議決を経ない場合でございまするが、先議の議院の議決を経なくても、すでに予備審査におきまして、後議の議院にそれがまわつて議題となる。予備審査の場合におきましては、五日以内に他の院にまわすことになつておりますので、その場合におきまして、それが他の院に議題となつております。場合に、修正の問題をどうするかという点は、この案におきましてはもう少し何か考えななければならないのじやないかというような気が実はいたしておるわけでございます。その点をもう少しはつきりしませんと、ただ先議の議院の議決を経ない場合に限り、先議の院だけの承諾を得てやるということになりますと、どうかという点が疑問になるわけであります。 それから国会法の一部をそれに伴いまして改正する法律案、この内容は、五十九條、六十條の二でありますが、これは今申し上げましたような意味におきまして、まだ内容の文句等につきましては、私ども検討しておりませんので、今のような問題と関連いたしまして、ここでどういうふうにするかということを御決定になりますれば、この次の機会には、必ず私どもの方の一応の法制的な意見を申し上げる機会を得さしていただく、かようにいたしていただきたいと考えます。
○会長(竹下豐次君) 何か御質問がございましたら……。なお衆議院の委員部長がお見えになつておりますが、事務当局としての御意見を承る必要があつたら、この際お願いしたいと思いますが、いかがですか。
○委員(田中不破三君) お伺いしましよう。
○会長(竹下豐次君) それでは衆議院の委員部長にお願いします。
○衆議院参事(鈴木隆夫君) ただいまこの案を拜見いたしまして、事務局としての確定の意見ではなく、私個人の意見としてこれについて二、三申し上げてみたいと思うのであります。 第一に、これを改正さるる趣旨が、昔の議院法と対照してみまして、はたして国会の権限行使のことを正確に考えてこれをおつくりになつたかどうかということがひとつ疑問であると思います。それは旧憲法あるいは議院法におきましては、政府優越主義にのつとつて、政府に都合のいいように、何時でも修正または撤回ができるという考えが織り込まれてあつたのであります。ところが新憲法になりましてから、国会は政府よりも優越している、政府には何時でもこういう撤回あるいは修正は許さないという考え方のもとに国会法がつくられたのでございます。それをまた、承諾ということが條件でありましても、いつでもそういうことを言い得るように直すということは、また一歩後退じやないかと考えられるわけであります。 そこで、この問題についての問題となる点を申し上げてみますと、一ぺん衆議院でもつて議決して参議院に送付いたしたものを、あとでこれが修正は、当然後議の院では許さないという御意見のようでありますから、問題はないのでありまするが、後議の議院においても修正を、撤回を認めるがごとく許すといたしますれば、憲法との関係はどうなるのであるか。たとえば他院で修正した場合には、もう一ぺんもとして来て、先に議決したところの同意を求めるというのが国会法の建前であり、憲法の建前でありますにもかかわらず、後議の議院において修正を許すということになりますと、それはちよつとおかしくなるじやないか。そこでもつて修正を認められれば、国会の議決という場合に、両院の議決がはたして一致したものであるかどうかということがわからなくなる。衆議院の議決した案と、修正の承諾とは別なことであります。そういう点が考えられるのであります。しかしこの案によりますと、修正のことは現在のままで行こうというお考えのようでありますから、修正の点はこれを省いておきます。 撤回の方につきましては、この現行法の五十九條が、まだ他院に移つていない場合にはその院の同意を得て撤回ができることになつておりますが、これによりますと他院に移りましてからも、先議の院の承諾と、それからもし一ぺん委員会あるいは本会議の議題となりましたならば、その院の承諾を得て撤回できるというふうに直しておられるのであります。しかし、これがはたして妥当かどうかということにつきましては、われわれが一番先に考えなければならぬことは、一院で議決して他院に送つた案というものは、他院では原案を——原案といいますか、内閣なら内閣が提出した法案を議題としているのか、衆議院かちたとえば修正して行つた案を議題としているのかということが、根本問題であります。一院から他院に送付された案というものは、はたして提出されたときの案が原案であるか、修正あるいは可決された案が原案であるかということが根本的にわからなければいかぬ。その点が不明なのであります。これを、たとえばもつと具体的に申し上げますれば、委員会におきまして内閣提出法律案と議員提出法律案を、二者併合して一案とする場合がある。その場合には、他院に修正、併合して一案として送つた場合に、内閣が提案者であるから撤回を認めろという場合に、他の議員提出の方でこれを承諾しない場合にはどうなるのでしようか。二案が併合されて一案になるのでありますから、提案者というものははたしてどつちの提案者か。両案の提案者を意味しておるのでありますか、また一案の提案者だけでよろしいのでありますか、その点も不明であります。そういう点はお考えになつたのでありますか、ならぬのでありますか、これでは承知しかねるのであります。 そこで、いろいろな点がございますが、まあ理論的に申し上げるよりも、皆様方がもう研究なされた案でありますから、私はそういう点を、ただヒントだけを申し上げて、ここに書いて参つたのがあるのでありますが、それよりもみな専門家でいらつしやいますから、こういう点はわれわれとして承服できないということを申し上げますれば、大体おわかりだと思いますので、異論のある点だけを申し上げる次第であります。
○衆議院両院法規委員長(高橋英吉君) 鈴木さんにちよつと一、二気づいたところを伺いたいのですが、最後に言われた、二者が併合された場合に、どちらの原案になるか問題ですな。内閣の提出の案か、議院提出の案かということですが、この場合は、ひとりこの改正法案のときばかりじやなしに、現に内閣に撤回権を條件つきで認めているわけですね。
○衆議院参事(鈴木隆夫君) 撤回は、一院で議決してからは認めておりません。
○衆議院両院法規委員長(高橋英吉君) これを認めてないのですか。
○衆議院参事(鈴木隆夫君) それで疑いがあるから、今度は他院に行つてしまつてからも撤回を許そうというので、この案になつたのだろうと思います。
○衆議院両院法規委員長(高橋英吉君) 他院に行つてからは許さないのですか。
○衆議院参事(鈴木隆夫君) 現在はそういうことができないという考え方であります。
○委員(加藤充君) 言葉じりの質問をしてはなはだ恐縮ですが、今の衆議院の方の御意見を聞いてさらにその感を強うするのですが、これの提案理由の末尾の三行目からです。私ども拜見いたしまして、御説明を提案者の方からお聞きしただけでは——議案の修正または撤回の限界及び條件ということを明確にすると書いてあるのですが、條件は明確になつたようですが、いわゆる修正または撤回の限界ということの趣旨が、どうもこの案件でははつきりしないように思うのです。そういう関係からいつて、旧憲法と新憲法とのこの精神、制度の違い、それから内閣と国会との関係、それから国会の、ここでは必ずしも問題になつていないかもしれぬですが、国会の内部において、衆議院と参議院との関係、こういうようなものとの意味づけの中に、限界というものが出て来るのじやないかと思うのです。そういう点がこの案には、條件はわかりますが、限界という点がはつきりしない。そいう気持がするのです。 なおお聞きしておきたいと思うのは、私ども経験が少いのでわからぬのですが、国会法の上からいうと、内閣提出というものと議院提出というようなものは、明らかに区別されて規定さておるのです。いわゆる新憲法上における内閣と国会との関連、こういうようなものからも、そういうような規定が区別されてわざわざ五十九條の内閣提出のものと、それから議院提出のものとの区別がついておつたのではないかと、こういうふうに思うのですが、この点について質問をしたいと思います。
○参議院参事(今枝常男君) あるいは御質問の趣旨を十分に理解いたしておりませんかもしれませんが、一応お答え申し上げます。最初の限界という意味がはつきりしないというお話でございますが、ここで限界といたしております趣旨は、現在の国会法のもとにおいては、ただいま衆議院の委員部長さんから一応のお話がございましたけれども、五十九條自体から、修正、撤回が後議の議院へ参つてからできるかできないか、こういうことが規定そのものからは必ずしも明瞭でないじやないかと、まあそこからこの問題は起つておるわけなのですが、そういう意味におきまして先議の議院だけでできるのか、あるいは後議の議院へ来てもできるのかということが、つまり限界という意味でここで言つた趣旨でございます。つまりいつまでできるかということの限界、そういう意味におきまして、ここでは修正は先議の議院でしかできない、撤回は後議へ来てもできる、こういう意味におきまして、従来どの院までできるかということの限界がはつきりしなかつたのを、ここでその限界をはつきりしようという意味でここに限界と、こういうことを言つた趣旨でございます。 それに関連いたしまして、先ほどの政府と国会との関係の問題でございます。この点は一応われわれの方といたしましても検討いたしたわけでございます。それで旧憲法時代の議会と異なりまして、新憲法下におきましては、国会そのものが本来の立法機関である。そういう意味から参りますと、政府案といえども、結局国会が議決いたしますれば、国会が本来の立法機関といたしまして意思決定をいたしたわけでございますから、それを政府が撤回するというようなことは、新憲法のもとではむしろ適当でないじやないかという考えは十分立ち得る、こう考えたわけでございます。しかしまた一面から考えますと、国会を唯一の立法機関といたしておりますけれども、他面において内閣は議案の提出ができるという、この法案の提出権を内閣に認めるということが、やはり憲法の表面から認められておるわけでございます。従いましてそういう点から申しますと、国会が本来の立法機関ではございますけれども、政府側にも何らかの意味においてイニシアチーヴをとる権能を認めているわけでございます。そういうものを認めておるといたしますれば、その裏面の撤回というものも、ある限度においてはこれを認めていいのじやなかろうか。ただ旧憲法時代のように、自由にどこででも修正、撤回ができるというようなことにいたしますと、これは政府優越になりますので、新憲法の趣旨に合致いたしませんけれども、国会側の意思を十分尊重した上で撤回するということにいたしまするならば、憲法が政府に、本来のイニシアチーヴの権限を何らかの限度において與えたという趣旨にむしろ合致するのではないか。提案権があるならば、撤回も本来のこの国会の性質を乱さない程度においては認めてもいいのじやないか、また認める事が便宜ではなかろうか、このように考えた次第でございます。そういう趣旨からいたしまして、たとい後議の議院へ参りましてからでも、すでに議決をいたしました院の意思がやはり撤回を許すという趣旨にきまりまする限りにおきましては、撤回を認めてもさしつかえないのじやなかろうか。このように考えた次第でございます。
○委員(加藤充君) そうすると、いろいろ御説明を承ると、一応前の規定には限界というものがあつた。不明確ではあつたけれども、あつたに違いない。ところが今度、限界及び條件を明確にするという形の中で、その限界が撤廃されてしまつた。少くとも限界という性格がなくなつて、條件的なものになつてしまつたというふうな感じがするのです。 それから第二番に承りたいのは、国会に対する議案の内閣の提出権ということです。立法機関としての国会の意思が明確になつた段階においては、これは提出権というものとは別個に離れて、立法機関としての国会の意思というものは、私は強く、高く評価されなければならないと思う。そこにいわゆる撤回、修正の内閣の限界というものが出て来るのではないか。 それからもう一つ第三番目にお伺いしたいのは、何と言いますか、政党政治の問題ですが、多数党が政権をとる、内閣をつくる、政府をつくるというような場合において、内閣提出の議案について野党を含めて、国会の中においていろいろな問題が起きた場合、それを撤回ないしは修正をする場合には、内閣の方から見れば自由を制約される、限界を設けられるということが、やつぱりこの民主的な議会制度と、それから内閣制度の非常に大切なところなのであつて、その責任なりその主体性なりが、撤回、修正ということで明確にされなくなつてしまうということになると、私は詳しくは申し上げませんけれども、いろいろなところで弊害が出て来る。責任政治なり、国民の批判にこたえるというような点がぼかされて来てしまう。これは議会制度の点から見て、質的に見て重要なものであると私どもはこう考えるのです。
○参議院参事(今枝常男君) 第一の点でございますが、あるいは私のまだ申し上げ方が足りなかつたのかもしれませんが、この限界と申しますのは、これを制限するという意味にとつての限界と考えますと、あるいは撤回の分については何も制限を置いてないじやないか、だから限界じやないのだ、こういう御議論かと思いますが、実はここで限界と申しましたのは、何と言いますか、限度と言いますか、程度と言いますか、どこまでできるかということを、はつきりするという意味だけで使いましたのであります。制限的な意味を必ずしも含めたわけではないのでございます。つまりできる範囲がどこまでであるかということを明瞭にしよう、こういう意味で限界と使つたのでございます。もし限界の意味がそれではないので、限界は必ず制限だ、こういうことになりますれば、あるいは言葉として適当じやないのかもしれないと思いますが、普通限界を明らかにすると言えば、大体どういう範囲でできるかということを明らかにするという意味になるのじやなかろうか、こういう意味でそういたしておるわけでございます。 それから第二番目におつしやいました点につきましては、これはまことにごもつともでございまして、どこまでこの政府側の法案に対する地位というものを認めて行くかということは、おそらくいろいろな考え方があり得ると思います。ただいまおつしやいましたように、むしろその場合においては、国会の本来の立法機関としての地位を非常に強く考えるべきだ、こういう面から参りますれば、ただいま御説のような考え方にも行き得ると申しますか、そう考うべきだということにもなるかと思うのでございます。ただこの案におきまして一応考えました点は、そこは考え方の問題でございまして、とにかく政府側に一応イニシアチーヴをとらせた以上は、何らかの必要と言いますか、その後の事情の変更によりまして、撤回の必要が起つたような場合には許してもいいのじやないか。しかしそれは従来のように政府の思うままに撤回させるというのではなくして、撤回するかどうかについては必ず院の意思が加わるのだ、こういうことからいたしますれば、院がそれに同意をいたしませんならば撤回はできないのでございますからして、その意味におきまして、国会の本来の地位というものを決して無視するものではないのじやないか、このように一応考えたわけでございます。しかしその点については基本的な問題でもございますし、なお考え方の程度というものはいろいろにあり得るのじやないか、このように思う次第でございます。 それから私ちよつと第三番目におつしやいました意味を十分に理解いたさないのでありますけれども、いずれにいたしましても政府が……。
○委員(加藤充君) これはいわゆる多数党内閣というものがある。そこで出した問題、多数党できめられないようないろいろな問題、そういうような問題が国会の中で問題になつたということが明確に打出されることが、やはり議会制度の上で、責任制度の上で重要なことなんじやないか、そういうような事柄も、国民の総意を代表する国会に現われた一つの国民の意思の表現として見るべきであつて、そこに責任制度というようなものに対して、そういう現われ方がはつきり出るような手続が残されておつて、出て来るということが非常に重要なことになりはしないか、私はそう思うのです。
○参議院参事(今枝常男君) その点は、ただいま申しましたように、この撤回を政府としては希望する、しかしそれはどこまでも院の御意思に従いますという立場をとるわけでございますから、そういう多数党の意向の反映として、やはり撤回はまかりならぬということになりますれば、結局撤回はできないわけでございますから、ただそういつた一応の余地を與えるということだけでございますので、そういう方法によりまして、そういう手続上の制約からいたしまして、ただいま御心配のような点はなくなるのじやなかろうかと考えるのでございます。
○委員(加藤充君) 内閣提出のものであつて、その内閣は多数党の上に立つているというのですが、しかし問題の出し方、内容によつては、国会内における多数というものが——必ずしも内閣提出のものをそのままのむとかのまぬとかいう問題ではなくなつて、修正とか撤回とかいうようなことで、多数党が政府をとつた国会におきましても、問題が起り得ると思うのです。これが私は大切なところじやないかと思うのです。そうすると、多数の党の上に立つた内閣というものは自由にやつていいわけだし、やれるわけなんですが、しかしそれが自由にやれなくなつて来ているということが、やつぱり国会内において明確に打出されるというようなことが、責任政治の上から重要なような私は気がするのです。
○委員(堀木鎌三君) 現にこの問題が起りますまでには、いろいろ実際の手続上において起つたケースから見て、こういうような不都合が生ずるとか、具体的な例がたくさんあるだろうと思いますが、そういう点は御審議なすつたのでありましようか。
○会長(竹下豐次君) まだ具体的に検討しているわけでもありませんが、今の規定のままではどうも不十分である、疑義があるというところで、これを明確にしようというのが、この案のできた動機になつております。
○委員(堀木鎌三君) もう一つは、国会法第五十九條の規定は確かに不明確な点があると思います。ですから修正しなければならないと思いますが、この撤回の場合につきまして、後議の議院にかかつておる場合も両院の議を経れば撤回ができる。修正の場合と違つて、そういう処置を実質的にしたいということは、前の会議でおきまりになつたようですが、内容的に見ますと相当疑問がある場合がある。単純な法律論から言いますれば、撤回すれば先議の議院で、修正の場合と違いまして、また新しく論議する対象がなくなつておるということから、こういうふうにお考えになつたのかもしれないと思うのですが、実際の場合、政治的な責任から申しますと、先議の議院を経て後議の議院に行つて審議しているときにも、なお撤回できるという内閣の権限については、相当修正の場合より政府の側に有利になる。しかも政治的な責任におきましては、もつと感じるべきだというこうなことが十分考えられるのでございますが、そういう点については前のときに御議論はなされたのでしようかどうでございましよか。
○会長(竹下豐次君) 今お話のようなこまかいところまでは、議論になつたことを記憶しておりませんが、どうでしようかね。
○委員(田中不破三君) まだございません。
○委員(堀木鎌三君) 私、さつき事務局の方からおつしやつた修正の場合につきましては、今の規定とかわりないので、むしろ委員会の議決もできないということを明らかにしたのだから、事務局のさつきおつしやつた修正について御議論があるということについては、御説明の趣旨を捕捉することに困つているのですが、しかし撤回の場合については、確かに先議の議院で修正したような場合には、今後しばしば起ることでございます。そうして後議の議院に提出される。場合によれば、二法案が一法案として出るというような場合も予想されるのであります。そういう場合、いろいろな問題が起ると思うのですが、その点について、先議の議院の修正の場合と異なつて、撤回の場合には、より政府の責任を軽からしめるような形にこれは結果的になるのでございます。その点について私は非常に疑問に思うのです。そういう点につきましては、両院の同意があればいいのだという形式論は成り立ちますが、今度は実質的に政治的責任なりの面から見ますと、非常に私は修正の場合より重かるべきはずのものだと思うが、そういう実質的な理由がくみとられていないように思うのです。
○参議院参事(今枝常男君) まことにごもつともな御指摘でございます。それで、かえつて撤回の方があとからできて、修正だけはできないというのは、むしろ権衡を失するのではなかろうかということを実はわれわれも一応考えたわけでございます。考えはいたしましたが、その点は結局事務的に結論を出してしまいましたわけで、本来的には先ほど来申しましたような趣旨からいたしまして、むしろ修正も撤回も、後議の議院まで来ても認めていいのじやなかろうかというような立場に立つたわけでございます。ところが修正の場合これを認めますと、たとえば参議院が後議で、修正いたしまして、そうしてその後になつて衆議院が再議決をしたいというような事態がかりに起りました場合には、はたしてその修正の加つたものが再議決の対象になるのか、あるいは修正の加わらないものが再議決の対象になるのであるかといつたようなことについて、非常に理論上わけのわからない問題が起つて来たりいたしますので、そういうような非常に事務的な繁雑さが加わりますから、この場合は先議議院の場合だけにとどめよう、そういう実は事務的なことから結論を出しましたので、結果的にはただいま御指摘のような、やや不権衡があるのではなからうかと実は考えておる次第でございます。
○会長(竹下豐次君) ちよつとお諮りします。いろいろ御質問もまだたくさんおありだろうと思いますが、参議院の委員部長が今見えておりますので、この御意見もこの際承つておいたらどうかと思いますが、どうでしようか。 〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
○参議院参事(宮坂完孝君) とり急ぎましたので、委員長からのお話でありますが、コンクリートな見解というものを申し上げる段階に立つておりませんけれども、簡単に申し上げます。 この五十九条に対していろいろな説のあるうち、大体三説といたしまして、一院を通過した議案は撤回または修正することができないのだ。それから一院を通過した後であつても、両院の承諾があれば撤回または修正ができる。またちよつと極端ですが、一院を通過したものについては後議の議院だけの承諾でできる、こういう解釈論も成り立たないことはないと思いますが、こういつた三つの大体の見解につきまして本改正案——参議院の法制局から出ました本改正案のねらつておる第二説でございますが、われわれ事務局といたしましては旧議院法からのいきさつ、伝統がございまして、大体今衆議院の委員部長から申し上げられました通り、第一説をもつて事務を処理して来ておるようなわけでありまして、一院を通過してしまつたあと、委員会または本会議の議題となつておるものは、これは撤回も修正もできない、こういう事務の取扱いをして来ておるのであります。昨日みないろいろ集まりまして話し合つたときにおきましても、多数の意見はこの第一説の支持の方が多いのでありまして、各説についてのいろいろな御議論は、皆様もすでに前会御議論に相なつたかと思つております。私から申し上げる必要はないと思いますけれども、この改正案のねらつております点につきましては、われわれといたしまして想像できないことはないのでございまして、たとえば開会中、一度法案を提出してしまつたあと、内閣の更迭等の場合におきましては、たとい一院の議決を経て次の院に係属中でありまするときでも、新しい與党がこれを修正するとか、あるいは握りつぶすとか、いろいろな方法があつて、具体的な取扱いとしてはいろいろな法律もできるかと思いますが、この改正案のねらつておる、承諾を前提として一応内閣に返してやるという点につきましては、非常にすつきりした、よいやり方ではないかというような考えもありましたけれども、一応は今までも前例のあります点につきまして、特に昔からの議院法のいきさつもありまして、また今日議院立法の傾向が漸次強化されて行くというときに、この政府提出案についての撤回というものをいまさら改正することもないじやないか、いま少し慣例にゆだねておいてもいいということで、大部分の人はそういう改正の時機でないという意見の方が強かつたのであります。 それからこの法律の六十條の二の議院立法の点についての撤回という点につきましては、これはちよつと申し上げにくいのでありますが、いろいろと難解でありまして、この点につきましてはもう少しわれわれとしても研究いたしたい、こう思つておる次第であります。
○会長(竹下豐次君) この問題、非常に複雑な問題でありまして、まだ御質疑もたくさんおありのことと思つておりますが、事務局なり法制局の方でも、衆参両院ともまだ御研究が届いていないということをおつしやつておるのでありますから、なおその方面でも研究を重ねてもらつて、われわれももとより十分練りまして、この次の会議でまた継続して御協議したらどうかと思いますが、いかがでしようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員(堀木鎌三君) 異議ございませんが、ただ事務局で研究するなり、法制局で研究してもらうにしましても、大体今の規定は確かに疑義があると思いますので、これを現在のやり方から見て、はつきりさせるための政正か、あるいはさらにそれに新しく踏み込んで、一つのこういう慣行をつくろうというふうな点か、その点を明らかにして差上げないとお困りになるのじやないか。
○会長(竹下豐次君) この前の話では、とにかく今の法律規則では不十分な点があるから、これは何とかしなければいけないじやないかという話は、一応協議がこの席でまとまつたのであります。しかし事実それではいかにすべきかという問題が第一だと思うのです。それでいかにすべきか、どうしたら一番いいかということを考えて、それに合うような必要な程度の改正をするという方向で行こうということの話合いで進んでおるわけです。その点は両法制局の方でも十分お含みくださいまして、御相談、御研究願いたいと思います。
○委員(大野幸一君) 先ほど衆議院の委員の方から意見がありました通り、政府がこういう規定の不十分、解釈の不十分のために困るとか、あるいは先例となるものを第一国会から順を追つて調査してもらつて、これを資料として出してもらいたい。これは政府によつて濫用されたことがあるのか、あるいはまた政府が責任を回避するような場合もあるだろうし、先ほどのように、いろいろな問題を政治的に使われては困るだろうと思うのでありますが、これを資料として第一国会以来どういう——第何国会にこういうふうに政府が撤回しようとしたとか、これをどうしたとか、そういう歴史的の資料を調べて、そういうものを配付してもらいたいと思います。
○会長(竹下豐次君) それでは本日はこれで散会いたします。 午後零時八分散会