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10回国会参議院1951/01/27

本会議 第5号

発言数
21
登壇者
10
会派数
3
開催日
1951/01/27

会議録

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      —————・—————

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。  この際お諮りいたします。井上なつゑ君から海外旅行のため六十日間請暇の申出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。      —————・—————

佐藤尚武緑風会議長

○慶長(佐藤尚武君) 議員橋本萬右衞門君は昨年十二月二十七日逝去せられました。誠に痛惜哀悼の至りに堪えません。同君に対しましては議長はすでに弔詞を贈呈いたしました。  又議員星一君は本月十九日ロスアンゼルスにおいて逝去せられました。誠に痛惜哀悼の至りに堪えません。つきましては同君に対し院議を以て弔詞りを贈ることにいたし、尚その弔詞は議長に御一任をせられたいと存じます。只今の議長の発議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。  この際、寺尾豊君、大野幸一君から発言を求められました。よつて順次許可いたします。寺尾豊君。    〔寺尾豊君登壇、拍手〕

寺尾豊自由党

○寺尾豊君 昨年来、我が参議院では同僚先輩を相次いで失うの不幸に遭遇をいたしました。その悲しみの未だ新たな際、只今議長から報告のありました通り、私どもの最も畏敬し特に親しくして参りました議員橋本萬右衞門君は旧臘二十七日急逝をせられました。私ども同僚といたしまして誠に痛惜の至りに堪えません。ここに同君の生前を回顧し、追悼の意を捧げたいと存ずる次第でございます。  橋本君は明治二十五年六月福島県郡山市に生れたのでありますが、同君は同地方の旧家の出でありまして、人となり重厚篤実、特に地方の信望が厚く、御先代の後をお受けになつて貴族院議員となられたのであります。更に第一回参議院議員選挙には福島地区より選出をされまして、我々と共に議員として国家再建に寄與され、更に客年の六月には同地区より最高点を以て再選をせられたのであります。政治家としては自由党顧問として非常な活躍をされました。議院においては、第一回国会以来、或いは運輸交通、逓信又は電気委員会の委員として活躍をされ、最後には電気通信委員及び電力問題に関する特別委員としてよくその重責を果され、その識見抱負におきましては我々同僚の教えられるところが多かつたのであります。更に同君は民意の暢達に留意されまして、各方面より参りまする請願の紹介につきましては格別な関心をお持ちになり、その願意達成に対し極めて熱心であつて、各回ごとに同君の紹介する請願の数は実に百件を下らず、本院の受理件数の約三割を占めておつたのでございます。又実業界及び教育関係におきましても多大の功績を挙げられて、その方面からの信頼は絶大なるものがあつたのであります。  同君は未だ五十八歳、政治家としてはいよいよその真価を発揮すべき時期でありましたのに、忽焉として永眠されましたことは、邦家のために誠に痛惜に堪えません。この上は我々は同君の御遺志を継ぎまして、参議院の使命を全ういたし、以て同君の霊をお慰めいたしたいと存ずるのでございます。ここに謹んで皆様と共に哀悼の意を捧げたいと思うのであります。  これを以ちまして私の追悼の言葉といたします。(拍手)

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 大野幸一君。    〔大野幸一君登壇、拍手〕

大野幸一日本社会党

○大野幸一君 只今議長より御報告になりましたように、参議院議員星一君は去る一月十九日ロスアンゼルス滯留中不幸逝去いたされました。よつて私より謹んで哀悼の辞を申述べたいと存じます。星君は明治六年福島県に生れ、明治二十七年東京商業学校を卒業し、米国にお渡りになり、苦学力行、明治三十四年にコロンビア大学政治経済科を卒業せられ、マスター・オブ・アーツの学位を呼けられましたのであります。夙に薬剤の国内生産に思いをいたされまして、明治四十四年以来星製薬株式会社を経営せられ、我が国製薬事業の進展に貢献せられました。  特に申上げたいことは異彩ある同君の事業経営振りでありました。いわゆる「親切第一」の同君の座右標語は「クスリはホシ」の広告標語と共に、あまねく人口に膾炙されておるところであります。御自身御家族間にも親切第一をモツトーとせられておりまして、現に御長男の親一氏のお名前はこの親切第一の語からお取りになつておるような次第であります。併し思えば同君のこの親切第一のモツトーこそは、子孫に遺されたばかりではなく、広く世界の人々に贈られました国際親善語でもありましようと考えます。同君はこの親善語で世界の進歩と世界平和の確立に役立てさせようと考えられたと私共は信じております。  星君は製薬事業を通じて社会に奉仕することを念とせられたばかりでなく、教育振興の見地から星薬学專門学校を創立して、今日の星薬科大学の基礎を築かれたのであります。更に進取の気象に富み、海外事業の重要性に着目せられまして、大正年代南米ペルーに三十一万ヘクタールの土地を購入せられました。一タタールは一町歩でありますので、丁度和歌山県に相当する広さであります。併し実際の実測では百万ヘクタールと言われておりますので、そうなりますと四国くらいの大きさを持つておる土地であります。この土地を購入せられまして、将来は二百万人くらいの日本人を移住させるような計画などを立てておられたのであります。その手腕、識見、人格は私共の敬慕しておく能わざるところであります。  又星君の政界における足跡も非凡なものがあります。明治四十一年福島県から立候補して衆議院議員に当選せられましたのを初めとし、昭和二十一年まで前後四回衆議院議員に当選しておいでになります。更に御承知のごとく昭和二十二年参議院議員第一回選挙に当りましては、全国区からお出になりまするや、四十八万余票を得て、全国第一位を以て当選せられましたことは、如何に国民の同君に対する期待と人望の深厚であつたかを保証するものでありましよう。参議院においては各種委員の経歴を有せられるのでありますが、昨年七月郵政委員に指名せられて以来、私共委員一同は、故人の豊富な経験、高邁な識見、誠実な人格によつて多大の啓発を受けたのであります。現に同君の識見の一部は今国会において法案化されまして、近く提出される予定のように聞いておるのであります。  客年十一月十七日、七十七歳の老躯をさげて空路渡米し、ペルーの土地に日本人を送る雄図実現の途上、不幸ロスアンゼルスにおいて肺炎に罹り、一月十九日永眠されたのであります。今や祖国の独立近きにありと期待せられる今日、同君のごとき偉材を失いましたことは、ひとり民族の損失であるばかりでなく、国会の立場からしても真に痛惜に堪えない次第であります。私共は星君の理想を受け継ぎまして、星君のその信念と努力とを模範として、生前の御宿志を実現し、以て祖国再建と世界平和に努めることを故人の英霊に誓いまして、謹んで哀悼の辞といたしたいと存じます。(拍手)

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 先ほどの決議に基き、議長において起草いたしました議員星一君に対する弔詞を朗読いたします。参議院ハ議員勲四等星一君ノ長逝ヲ哀悼シ恭シク弔詞ヲ呈ス      —————・—————

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 日程第一、国務大臣の演説に関する件。昨日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。中田吉雄君。    〔中田吉雄君登壇、拍手〕

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 ダレス特使を迎えまして、全国民注視のうちに開かれました第十国会は、まさに歴史的な国会だと思います。このときに当りまして、私は日本社会党を代表いたしまして、昨日の吉田総理の施政演説に関しまして、特に再軍備の問題と安全保障の問題を中心にいたしまして若干質問を試みたいと存じます。  先ず第一に、再軍備に対しまして吉田総理の本当の肚はどういうところにあるか。お伺いしたいわけでございます。昨日はこの問題に関しまして吉田総理は非常に愼重な御発言をなされまして、責任ある総理とされましては誠に当然かと思いますが、我々が当面しますところの講和の問題と真劍に取つ組んで行きますには、あの程度の御説明では我々は問題の引出し方に非常に困るわけでございます。そこで私は、吉田総理が先般外人記者団との会見、それから自由党の党大会において、再軍備には最後まで反対である、そして将来日本が再軍備をするかしないかということは国民の自由なる拘束されない意思の表明によつて決定するものであると、こういうふうに申されておるようでありますが、果してこのようにお考えでありますか。その点についてお伺いしたいのでございます。私といたしましては、次の諸点からいたしまして、この点を最後まで吉田総理が果して貫き通されるかどうか、非常に危ぶむものでございます。例えば総理はアメリカの外交評論雑誌のフォーリン・アフエアーズの新年号におきまして、「日本は明確に自由世界の陣営に属している。そしてそのため必要とあらば犠牲を拂う用意がある。」こういうふうに言われておるわけであります。これらの点に鑑みまして、このことは、最後まで再軍備をしないということと、私から考えて見ますると、明確に矛盾するように思うわけであります。即ちアメリカはミユンヘン会談におけるヒトラーへの宥和政策の失敗に鑑みまして、自由世界は断乎武力を以て擁護するという立場をはつきりとつています。特にトルーマン大統領は新年の教書におきまして、平和は尊い、併し自由は更に貴重である、自由が危殆にさらされたら平和を犠牲にするということをはつきり申しておるわけで、重大な決意を表明しておるわけであります。従つて総理が日本は明確に自由世界に属するという見解をとられます限り、アメリカの要請に応えまして、必然的に我が国は軍事基地を提供いたしまして、更に再軍備を伴わざるを得ないと私は考えるわけであります。自由世界に属すると言われます総理の見解と、最後まで再軍備をしないという考えとは、どのように両立するでございましようか。又総理は「必要とあらば犠牲を拂う用意がある」とされていますが、一体それはどういう犠牲でありましようか。それは国連によつて日本の安全を保障して頂く、その責任と協力のために応分の経済的な負担をなすのでありましようか。それとも軍事基地を提供いたし、且つ再軍備をいたしまして、マン・パワーを提供いたしまして犠牲を負担するという意味に解釈したらいいのでありましようか。更に若し犠牲という意味をそういうふうに軍事基地の提供と再軍備と理解いたすといたしますならば、それは講和の際に、講和の代償といたしまして、主権を回復さしてもらう代償といたしまして、そのときに軍事基地を提供いたし、再軍備をいたすのでありましようか。それとも講和後に対等の立場から條約に基きまして基地を提供するという意味に解釈したらいいでありましようか。或いは北大西洋軍事同盟條約等のごときものがアジアで計画されるといたしまして、それに参加いたして犠牲を負担するという意味に解釈したらいいでありましようか。ともかく犠牲とは一体どういう内容を持つて、それをいつお拂いになろうとされるのであるかということを明確にいたして頂きたいと思うわけであります。更に総理は同誌に、若し單独講和が講和解決の唯一の途であるならば、日本は非共産主義諸国と單独講和を結ぶべきであると、こういうふうな注目すべき重大な議論をされています。再軍備と基地の貸與を伴わないところの單独講和が、非共産主義諸国と、特にアメリカと締結できるでありましようか。我々の見解を以ていたしますなら、全面講和と單独講和の論点は、結局、基地と再軍備の二点に帰すると思うわけであります。即ちアメリカといたしましては、講和には軍事基地と再軍備を條件といたしますので、日本とアメリカが共同いたしましてソ連と中国に「あいくち」を突き付けるような、そういう姿の講和に対しましては、到底受諾できない。いわゆる拒否権の発動ということがここに起るのではありますまいか。更にソ連といたしましては、基地と再軍備を伴わないところの講和なら受諾するでありましようが、それでは日本を丸裸かにいたしましてソヴイエトの侵略の危險の前にさらす、だから絶対に受諾できないというのがアメリカの態度であるというふうに理解すべきではありますまいか。そういうような点から考えまして、総理が、日本は、はつきりアメリカの世界に属するとされている点、更に必要とあらば犠牲を負担するにやぶさかでない、更に單独講和も止むを得ないとされています。以上の諸点からいたしまして、再軍備には反対であるという吉田総理の立場は、早晩理論的にも実践的にも崩壊しなくてはならん。いわば羊頭を掲げて狗肉を売るような結果になるのではありますまいか。芦田さんは、総理大臣や総司令部が再軍備について言いにくいから自分が代つて言つてやるんだとさえ公言されているやに伝えられています。又アイケルバーカー氏は、総理が再軍備しないと言つているのは総理の真の肚でないと思うというふうにも言つています。更にダレス特使がおいでになりますに際して、日本の高官筋は再軍備について或る提案をすることになつているとさえ外電は伝えています。このような状態でありますから、自由党の党大会におきまして、吉田総理が再軍備には飽くまで反対である、こういうふうに表明されたにもかかわりませず、我々が親しく聞くところによると、自由党の代議士諸君ですら誰一人これを本当だと思う人はない状態であります。国民の一般も又そうであります。一国の総理大臣の言がかくまで国民から疑い深く見られるということは非常に重大なことだろうと考えます。そういうような点から、ひよつとすると、再軍備反対を唱えまして、それが国民の広汎な支持を得ている社会党の反撃を警戒される余り、これを巧みにそらしながら、ひそかに(「社会党は余計な心配をするな」と呼ぶ者あり)警察予備隊を軒装備から重装備へと武装いたしまして、忽然と軍国日本を作られるのではないかしらと、こういうような想像さえあるわけであります。特に吉田総理は外人記者団や外国の評論雑誌に対しましては極めて詳細な評論を寄せておられますが、国民の代表である国会に対しましては殆んど口を緘して語られない。(拍手)こういう状態であります。そういうことが国民代表の国会を軒視される点はともかくといたしまして、或いは国会で話されないところの重要な秘密軍事協定でもあるのではないかとすら想像せざるを得ないような状態であります。特に政令で以て治安の根源でありますところの警察予備隊を創設されました政府のやり口からいたしまして、或いはそういうことがあるのではないかということを信じても不当ではないわけであります。又先般大橋法務総裁は、警察予備隊の海外派遣を否定しない、こういうふうにも申しておられます。更に大蔵大臣も、再軍備にはそうたくさんの経費を必要としない、国民所得や日本の財政上に占めるパーセントというものは非常に少いということを言われまして、池田大蔵大臣、大橋法務総裁ともに何かしめし合せたような発言をされておる次第であります。こういうような関係からいたしまして、国民の間には非常な疑惑と不安が漂つておるわけであります。そこで総理に対しまして、再軍備には反対であると断言して憚らない基礎があると言われたそうでありますが、一体それはどういう理由であるか。この議場を通じまして、不安と動揺におののくところの国民大衆に対しましてもはつきりいたして頂きたいと思うわけであります。又大橋法務総裁や池田大蔵大臣の再軍備に関するこれらの発言はどういうふうに理解すべきかにつきましても御説明のほどをお願いしたいと思う次第であります。  次に我が国の安全保障に関しまして、アジアにおけるところの民族主義の抬頭とインドを中心といたしますところの第三勢力に対しまして、どういうお考えを持つていられるかについてお伺いいたしたいと存じます。従来アジアは、長い間、日本以外はすべての国が西欧諸国の植民地で、圧制と貧窮のどん底にあつたわけでありますが、第二次大戦を通じましておおむね解放されたわけであります。今なお他民族の支配下にありますのは実に我が日本とインドシナ等があるのみであります。こういう解放の過程を通じまして、アジアでは今民族主義が澎湃として、奔流のように、堰を切つたような勢いで抬頭しています。アジアが特にヨーロツパと異なつたところの不安と動揺がありますは、実にこういう植民地支配の残滓と民族運動の衝突から起きたものではないかと考える次第であります。西欧からの解放、これがアジア十億の民衆の動きつつある方向なのであります。我が国はこういうようなアジアの動向に鑑みまして、アメリカとの間に挾まつて一体どういうような態度をとつたら一番いいでありましようか。このことにつきまして私は吉田総理のお考えを承わりたいと思うわけであります。そういうようなアジアの方向に対しまして最も大きな影響を及ぼしますのはアメリカのアジア政策であります。私といたしましては、率直に言つて、アメリカが現在アジアに展開していますところのアジア政策については不安なきを得ないわけであります。それはアジアの民族運動というものが、ともしますれば社会主義的な傾向を帶びますために、共産主義を彈圧せんとするの余り、極めて穏健な漸進的な社会改良主義的な民族運動すら━━いたしまして、結果といたしましては古い━━━━━を存続させ、アジアの歴史的な方向と反対に、そして━━━━と鋭く対立している点が私は問題だと思うわけであります。特に中共が中国の実権を握りまして以来、アメリカのアジア政策は非常に━━━━━━になりまして、このことがアジア問題の解決を非常に困難にしているのではないかと思うわけであります。そこでアメリカといたしましては、このアジアにおけるところの劣勢を補うために、日本を━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━アジアを作ろうというのがアメリカのアジア政策の最近の傾向であります。そして日本に現在求められている講和も私はこの趣旨に副つたものではないかと思うわけであります。併し如何にアメリカが強大と雖も、アジア十億の民衆をそのような方向に日本を基礎にして育て上げることができるでありましようか。ここに私は非常に大きな問題があると思うわけであります。こういうようなことは阿片戰争以来イギリスが長きに亘つて試みて失敗いたしました。更に日本が日華事変以来やりまして大失敗をいたしたわけであります。そしてアメリカ自身二十億ドルとも或いは四十億ドルとも称されましたところの厖大な対華援助を以ていたしましても、マーシヤル特使帆のサポートを以ていたしましても、蒋介石政権は遂に支持されず、中国の民衆は毛沢東政権を選んでしまつたわけであります。この事実は好むと好まざるとにかかわらず嚴然たる事実であります。こういうような際に、一体どういうふうにしたら一番アジアの情勢を靜謐の中に收め、そして日本の安全が保障し得るかということは、重大な問題だと思うわけであります。こういう際に、若し日本がアメリカの陣営に一辺倒いたしまして、軍事基地を提供いたし、再軍備をなすような講和をとるといたしましたら、━━━━と共同いたしましてアジア政策を展開して、曾つて日本が失敗したと同じような方向に又再び働こうということになるわけであります。長い間に亘りまして日本が中国にとりました対支軍事行動こそ中国をいたしましてアメリカの最も嫌う中共に政権を委ねたことを考えますと、我々はこの点に対しましては十分考えて見なくてはならんわけであります。アメリカの格別な庇護によりまして我が国が今日に至りましたことについては十分感謝するわけでありますが、私は歴史の方向に十分副い得るかどうか疑問だと思いますので、そういう政策に対しましては中立をとつて、再軍備に応ずべきではないと私は考えるわけであります。そういうふうに日本の非軍事化が中国の現在とつておりますところの行き過ぎを是正いたしまして、やがて内政に專念いたす、そういうふうになりまして、私は日本の有利な安全保障の基礎ができるではないかと思うわけであります。こういような立場は、丁度トルヨのケマル・アタチユルクが指導いたしましてイギリスの支配から脱しながら、そうかといつて隣接のソ連の支配下にも入らずに、トルコの解放と独立を鬪い取つたわけであります。こういう一九二〇年代のトルコの姿が今の日本の場合に十分考えらるべきではないかと思うわけであります。そういうふうに、日本が中立的な立場をとりまして、若しアメリカに軍事基地を提供いたしますなら或いは大きな過ちをいたすかも知れないところのアメリカのアジア政策を修正いたしまして、アジアに漸進的な適応をなさしめるのではないか、私はこれがアメリカの指導に対する真の友邦となり得る途ではないかと考えるわけでありますが、こういう点に対しまして吉田総理はどういうふうにお考えであるか、承わりたいわけであります。この際、我々といたしまして特にアメリカに考えて頂きたい点は、共産主義は武力だけで以て克服できるという力に対する過信を戒めて頂くことが大切ではないかと思うわけであります。アメリカはオランダ帝国主義を抑えまして、そうしてインドネシアを解放いたしました恩人であります。アメリカはその立場に帰りまして、正しい民族運動を助長して、植民地支配から解放し、そうしてアジアの繁栄をもたらして行くことが、私は最良のアジアの対策ではないかと思うわけであります。  こういう点から考えまして、吉田総理がフオーリン・アフエアーズにおきまして、中国貿易を必要以上に過小評価されまして、曾つてのように中国を相手にしない、支那を相手にせずというふうに、アメリカの方に一辺倒されておる論説を見まして、私は果してこれが日本の特に将来アジアの支配的な力となるであろうソヴイエトに対する態度であるかどうかということに対して非常に疑問に思うわけであります。  元来我々といたしましては、世界が米ソ二つのこの陣営に分裂いたしましたことが、両雄並び立たず、危機を深めた大きな原因だと思うのであります。そこで、世界の平和と安全は、この二つの世界が互いに利益を主張して讓らない点を否定いたしまして、犠牲を要求するような第三勢力が抬頭いたしまして、初めて可能だと思うわけであります。従つて我々はインドを中心といたします新らしい勢力を高く評価することがアジア問題の解決にとつて極めて重要だと思うわけでありますが、吉田総理はこれに対してどういうふうにお考えでありますか、承わりたいと思うのであります。こういう立場は、決して私は反米ではなく、勿論容共ではないと思うわけであります。従つて向ソ一辺倒の共産党の立場も、向米一辺倒の自由党の立場も、アジアの動く方向から考えまして決して日本の安全を保障するものではないと考えるわけであります。ところが吉田総理は自由党の大会におきまして、中立を唱えるのは暴論であるといたされていますが、これは第三次世界大戰の防止に異常な努力を拂つていますところのインドを中心といたしましたアジア・アラブ諸国に対する過小評価であり、又最近ヨーロツパ自身すら第三勢力的な傾向を帶びつつある新らしい動向に対して目を塞ぐものではないかと思うわけであります。(拍手)そこで、第三勢力としてのインドと、解放過程にあるアジアをどういうふうに理解されるか。又抬頭しつつあるところのアジアの民族運動と、アメリカのアジア政策をどういうふうに調整されるのが、最も現在の段階に適した方向であるかということについて、総理の御見解を承わりたいと思うわけであります。次に第三に、講和に関します世論と、これが調整をどういうふうにいたしてなされるかについてお伺いいたしたいと存じます。ダレス特使の来訪を機会といたしまして、我が国は講和に対する関心が急速に高まつて来ていますが、この講和に対する異常な関心は、未だ衰えないところの民族の愛国心といたしまして誠に同慶の至りであります。ただこれらの意見は非常にまちまちであります。或る点では根本的に対立いたしています。一体総理はこれをどういうふうに調整されて 一本にまとめ、そうして我が国に有利な講和を展開されるのでありましようか。(「社会党の態度はどうしたのだ」と呼ぶ者あり)国会の最大分野たる自由党、民主党、社会党とも、それぞれ講和の原則を確立いたし、これらも相当対立いたしています。特に安全保障と再武装の問題についつては対立が激しいわけでありますが、こういうものをどういうふうに決定するかは、我が国の運命に関する問題でありますが、これについて、総理は国民の自由なる意思によつて決定すると称されていますが、一体その自由なる意思はどういうふうにいたして把握されるつもりでありましようか。国会を解散いたしまして民意に問われる方法をとるのでありますか。或いは従来ともよく見受けられます、講和はすべて自分に任せろ、自分の直感でというふうな恰好で問題を求めて行こうとされるのでありましようか。この対立いたしておりますいろいろな條件を適当に調整いたしませずに、講和の早きを望みまして無理を強行いたしますなら、朝鮮における、或いは中国における、又は仏印におけるような二つの政権が対立して、内部抗争を起すかも知れないわけであります。こういう際におきましては、よほど愼重な配慮が必要だと思いますが、総理はどういうふうな対策をお持ちでありますか、承わりたいと思います。  なお政府はこれからダレス特使といろいろ交渉されると思いますが、国民といたしましては、アメリカが一体どういう條件の講和を持つて来ておるかということを非常に知りたがつておるわけであります。勿論、外交上の機微に属するわけでありますが、大体の線はできるだけ早く公開されまして、国民全般に対して正しい判断を下し得る資料を與えられ、そうして国民の理解と協力の下に国民外交を展開されることが必要だと思いますが、そういうお考えはありませんでしようか、お伺いする次第であります。  第四に、講和に至るまでの暫定措置として、国会自主権の拡大についてお伺いいたしたいと思います。我々といたしましては極めて早いうちに講和ができますことを望みますが、ダレス特使が日本においでになる際にも、マリク・ソ連代表に申されておるように、單に日本に講和の瀬踏みに行くのだとも申されておりますし、諸般の情勢からいたしまして、相当延びることも予想されないではありません。併しながら占領軍当局におかれても、或いはこれを受ける国民の心情におきましても、現段階については非常に不満を持つておるようであります。どうにもならないこの状態が、非常な国政運用の大きなスランプになりまして、民族的なニヒリズムのような状態にも陷つております。そこで、こういう状態を急速に打開いたすことが必要だと思います。特に国際情勢が急迫しておる際に、そういうようなために八千万同胞のエネルギーが再建のために集結されないということは非常に不幸なことだと思いますので、この際、国会といたしましては、全体の意見をまとめまして、強力にマツカーサー元帥とダレス特使に当りまして、占領政策に違反しない限り、殆んど挙げて国会に国政の大部分を委ねてもらい、そうして必要以上に占領軍当局の手を煩わさないということが必要だと思いますが、そういうふうにいたしまして、若しできますならダレス特使の口日本におられるうちに、この国会中からでも広汎な権限を委ねて頂くようにすることが、我々国民が総司令部に対して一層信頼を寄せるゆえんでもあると思いますし、更にそういうふうにすることが、近くできます講和の後の国内政治の準備に対しても最も適当だと思いますが、吉田総理においては、そういうことに対してどういうふうにお考えであるか、この点についてお伺いいたしたいと思います。最後に、我が国が東京湾頭のミズーリ艦上で降伏文書に調印いたしまして、ポツダム宣言に基いて降伏いたしましたのは、一九四五年の九月二日、今から六年前であります。その間、我々全同胞は、我々の犯しました過ちに対して嚴粛な反省を加え、アメリカに対して絶対的な忠誠を誓つて参りました。八千万の同胞が喪に服したような、或いは贖罪にも似たような気持で、格子のない牢獄とも称せられるこの四つの島に閉じこもりまして、解放の日を待ち佗びまして、アメリカに対して盡した忠誠は、真に驚嘆すべきものがあります。これは、ひとえにポツダム宣言にありますように、占領目的が達成せられ、且つ日本国民の自由に表明された意思に従つて、平和的傾向を有し、且つ責任ある政府が樹立されたならば、連合国の占領軍は直ちに日本から撤退するという宣言を欺かれることのない宣言として受けまして今日に至つた次第であります。自由にして寛容なるアメリカは、このたび殆んど我々国民の期待するような條件の講和を提示してくれると思います。併し或いは国際情勢の急迫に鑑みて予想外に嚴しいものであるかも知れません。我々が占領下の六カ年間の国政を考えまして、国民がもつと自主的な立場から、総司令部にこういうふうにして頂きたいということを訴えまして、それが十分加味されましたら、私は占領政策がもつと業績を挙げ得たではないかと思う点が極めて多いと思うわけであります。命令と服従の関係だけではなかなか立派に行かないと思います。このことは特に講和については一層然りだと考えます。顧みまするに、我が国が治外法権を撤廃し、関税自主権を獲得したしまして、本当に独立国になりましたのは、明治の中頃以後であります。そういうふうに弱くなつた国が解放されるには極めて多難な困難外交があると思いますので、力を顧みずに過大な要求をすることも謹まなくてはならんと思います。併し国際的な危機が高まれば高まるほど、若し我が国の政治家が聰明で、決断と勇気を以てこれに対処いたしますなら、私は民族解放の時機が非常に早まると思うわけであります。外交について特別な識見を持たれる総理におかれましては、愼重にして果断な決意を以てこれに対処されまして、新らしい日本を開いて頂きたいと思いますと共に、只今の発言に対しまして、事情の許します限り卒直な答弁をお願いいたしまして、私の質問に代える次第であります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂君登壇、拍手〕

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) お答えいたします。  私がフォーリン・アフエーアーズとか或かは外国人記者に話したこととか、私のこれらに対する発言と施政の方針の中に述べたどころと矛盾するではないかという御質問が第一のように思いますが、私においては何らその間に矛盾を見ないのであります。第一、再軍備については憲法の精神がこれを認めておらない、再軍備をしないという精神を以てできておるのであり、又戰争を放棄しておるという明白なる條章があるのであつて、日本の現内閣とし、若しくは日本国の政府としては、憲法の精神を遵守するということが第一に考えなければならんことと考えます。又これは法律論でありますが、事実において再軍備ができるかできないか、この実際の面も考えるべきである。実際から考えて見て、わずかに最近において財政経済等がやや緒に就いた今日において、再軍備をする、而もその再軍備は有効な国を守るには足るだけの再軍備をするということができるかできないか、先ず考えなければならんことと思います。今日の軍備は非常に金を、再軍備というむのは非常な巨額な費用を要するのであつて、イギリスとしても、アメリカとしても、殆んどその再軍備費に堪えられないくらいな重税を課さなければできないような事態であります。(「何を言うか」と呼ぶ者あり)にもかかわらず、敗戰後まだ財政経済の僅かに調整のできた日本が、かくのごとき軍備の負担力があるかないかを先ず考えなければならんと思います。即ち実際面においても再軍備はむずかしいという事態である、にもかかわらず、再軍備々々々と言わるるが、再軍備は決して軽々しくできるものではないということをお考えを願いたいと思います。(「はつきり聞いて置くぞ」と呼ぶ者あり)又再軍備々々々と申す結果、徒らに外国の日本に対する疑惑が深まりつつあるという事態をお考えにならなければならんのであります。即ち私の施政方針の演説は決して……、私の従来言つておること、雑誌に発表したこと、或いは談話において申すことと一貫いたしておるのであります。再軍備は今日わずかに立ち上らんとする日本において決して負担のできない犠牲であります。これをいたして国が立つか立たないか、先ず国が立つて後の軍備であります。にもかかわらず、国の基礎を危くしてまで軍備を拡張する、その結果内外においていろいろな支障が生ずるというようなこの事態において、軽々しく再軍備論をなすということは国家のためによろしくないと私は考えますから、この趣意において一貫いたしておるのであります。施政の演説と私の従来発表した意見と少しも矛盾いたしておらないのみならず、この精神はますますこれを嚴守いたすべきであると思います。できる限りこれを嚴守いたしたいと考えております。  然らば犠牲とは何ぞや。犠牲は勿論でき得る限りの犠牲でありまして、できない犠牲を拂えと言つたところができないことである。(笑声)即ちその国の状態に応じ、又海外の事情に応じて適当と考えるところに落着かなければならんのであつて、無理をして犠牲を拂う、言甚だ壯大でありますが、事実はできないことであります。できないことを強いるということは、私は諸君が政治家としてなさるべきことではないと思いますから、即ち愼重にお考えを願いたいと申しておるのであります。(「何のことを言つているんだ」と呼ぶ者あり、笑声)よく聞きたまえ……軍事基地云々ということがありますが、軍事基地も又再軍備も今日アメリカ政府からして要求いたされておらないことであります。即ち現在問題になつておらない。日本に対して如何なる講和條件を持ち出すかこれは将来に属することであつて、アメリカ政府の或いは連合国政府の日本に対する要求を見た上で考えると申すよりほか仕方がないのであります。ダレス氏が参られてどういう話をせられるか私はまだ存じませんが、ダレス氏といえども、講和條約を結ぶために来られたのではなくて、日本国民の意向はどういうかうなところに要望があり、意向があるか、それを確かめに来られたものと思います。即ち日本国民の希望に副うように、日本国民の要望に副うように、日本国民の要望希望はどこにあるかということを実地において調べたい、聞きたいという考えで以て来られたものであつて、即ち講和の準備に参られたことと思います。従つて今日直ちに講和談判に入るということはないことであります。即ちダレス氏に対しては国民が極く打ち明けて希望とするところ、要望するところを話さるるがいいのであつて、又そのために参られたものと考えます。然らば政府としてその間に国論を統一すべきではないか、調整すべきではないかというような御越意でありますが、これは常に申しておるように、国民の言論は自由であるべきであり、国民の希望するところ、要望するところは極く卒直に述べる、政府はその希望する国民の輿論の帰趨を見て、そうして行動すべきものであつて、政府が統制をしたり、制肘をしたり、こうしろああしろと言つて指図するのは、これは民主政治の精神ではないと思うのであります。(拍手)社会党の党議或いは方針は統制にあるかも知れませんが、我々の考えるところは自由なる議論の発露、而してその自由なる議論の発露の帰趨を見て政府は処置をする、行動をする、或いは外国政府に対して、国民の意思はここにあるのである、希望するところはここにあるのであるとして、單に政府が或る指導した精神の下に談判をするということは、民主国のせざることであると私は了解いたすのであります。  又安全保障、軍事基地という問題は、今申した通り今現に問題となつておりませんが、併し日本が一旦独立を回復した以上は、その独立をみずからの手によつて擁護する、自国の安全はみずからの手によつて飽くまでもこれを維持する、自力によつて保障する、他力本願で行くべからざることは勿論であります。故に私は、日本国民が先ず愛国の至情に燃え、みずからの手によつて安全は保障するという決心をなすべきであるということを、施政の演説において繰返し述べておるのであります。然らば安全保障はどうするか。今一方にはソヴイエトがあり、共産主義と民主主義との対立しておるこの事態において如何にして処するか。これに対して、現在或いは国連に入るとかいろいろな何がありましようが、安全保障の方式は種々ありましようが、併しながらこれは今日においてこういたすべきものであると、日本国としては軍備をなすとか、或いはこれだけの犠牲を拂うと、相手方の要望も知らない限り、連合国の日本に対する講和條件なるものを承知せない前において、かくのごとき犠牲を佛う、或いはこうするということは、これは言うことのできない話、仮に言つたところが徒らに空論に終らないとも限らないのでありまするから、いわゆる講和條約、講和会議に入るとか、講和についての連合国の意のあるところを承知いたして考えべきものであつて、政府としては今日こうするということは言うべからざることであります。即ち将来に属する談判の内容を、あらかじめここにおいて政府はこう考えると言うがごときことは、一利なき、利益もなければただ損害あるばかりであると考えますから、これは愼重に政府としては態度をとるべきであると私は信ずるのであります。愼重なる態度をとるべきものであると考えるのであります。先程、秘密軍事協定があるだろう——これは断じてありません。又警察予備隊は海外に送つてそうして一種の軍隊に代るような行動をさせる目的で組織いたしたのではないのであります。当時における政府の発表について御覧になればよくわかることと思います。  又世論を調整するために解散するか——解散は社会党の御希望でありましようが、現内閣はこういうことは考えておらない。(拍手)これはしばしば申す通り、過去の選挙の度ことに講和條約、講和独立ということが問題になつて、そしてそれが一つの……、それは選挙のとき国民がよく了承した問題であります。如何なる政党に講和を託するか。これはその当時において不明であつたんではない。むしろ選挙において主たる問題であつたのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)解散というものが御希望でありますが、現内閣においては毛頭考えておらないところであります。  国会の自主権云々でありますが、国会の自主権はますます拡充せられることは、政府といたしても、私といたしても、国民誰しも希望しないことではないと思いますが、併しながらこの完全なる自主権は日本が独立いたして後の話であります。日本が独立した後のことであります。今日においてとやかや申すことは、むしろ野暮な話であつて、国民諸君が国会の自主権を回復したいと思うならば、我々としては一日も早く独立を回復することである。全面講和とか、或いはソヴイエトとか、中国とか言われるが、自国の独立もなくしておかしな話であると思います。(笑声、拍手)これは社会党或いは共産党の諸君が全面講和を主張せられますが、私は又国民は一日も早く独立をどの国とでもいいから回復する、ここに国民の希望があると考えます。(拍手)故に私は日本の独立を回復するためには、少数な国といえども、いやしくも日本の独立を許す国とは話をするがいい。全面講和ができなければ、いつまでも日本の独立は回復できない、全面講和ができるまで日本の独立を捨てて置くということは、私の最も希望せざるところでありますから、いやしくも日本においては、日本に対して日本と講和状態に入りたい或いは平和状態に入りたいという国があれば、一国であつても二国であつても、直ちにこれと話をいたしたいと思うのであります。(「独立にならんよ、そんなものは」と呼ぶ者あり)全面講和をいたさなければ日本の独立ができない、それまで待つような悠長なことはできないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)一応答えてこの辺で……(笑声、拍手)     —————————————

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 小林政夫君。    〔小林政夫君登壇、拍手〕

小林政夫緑風会

○小林政夫君 私は、現下の我が国の直面しております重要問題である講和及び経済自立の問題について、吉田総理大臣並びに関係諸大臣の所信を伺いたい。  吉田総理は一月二十日の自由党大会の席上で、来たるべき講和会議において、連合国は日本に対して日本の主権の束縛とか日本に対する或る種の制限を加えるとかいう考えを毛頭持つていないと信ずる根拠があると断言しておられるようであります。併し過去の歴史の事例を見ると、必ず講和條約締結後一定の期間は、何らかの暫定的な管理機関が存置されて、その国の行政が監督或いは管理されるのが常態であつたと思われるのでありますが、日本の場合だけが果して講和條約締結後直ちに完全なる自主権を獲得し得るものであるかどうか、甚だ疑問であるのであります。首相が束縛を加えられることは毛頭ないと言われる意味と根拠とを伺いたい。第二に、首相は旧臘二十八日の記者団会見において、自衞は必要なことであるが、その手段を兵力にだけ求めることはない。武力以外にも自衞の途はあると言つておられる。又昨日も、又先ほども、再軍備は軽々しく論ずべきものではなくて、自衞の問題は軍備域外に国民の独立自由に対する熱情と愛国心に待たなければならないと言われております。併しこれだけで如何なる場合といえども我が国の安全保障が確保されると考えることはできないと思う。武力による侵略の脅威はすでに現実の問題として我々の身近に感じられているのであるから、国民感情としてこういう精神的な力以外に何らか具体的な手段が要求されて来ることは当然であります。そこに再軍備の問題が起つて来るわけでありますが、この点に関して如何なる構想を持たれるのであるか。  第三に、第三次大戰の勃発必至を暗示するような神経戰にかかつてはならないと言つておられますが、総理が提唱される国民の独立自由の精神と愛国心の振起には、極東における緊迫した情勢を国民によく認識せしむる必要がある。侵略の脅威が感ぜられるときに愛国心は最も強く現われるものであります。総理の言われるように、侵略の脅威を感ずることが神経戰にかかることだとしてこれを打ち消すことは、却つて愛国心の勃発を抑えるような結果にならないか。愛国心を強烈に振起するためには、国の直面している困難な事態をありのままに国民に知らせる必要があると思うのであります。  第四に、日本の安全保障の問題に関連して、太平洋防衞同盟とか或いは日米相互防衞協定の締結とかが不可欠だと言われておるようでありますが、このような場合には当然日本の再武装が前提されなくてはならないと考えるが、再軍備の問題に一切触れないという首相はこの点に関してどういう考えでおられるか。只今中田議員に対する御答弁によつて或る程度わかつた点もございますが、以上四点について吉田総理の見解を伺いたいと思います。  次に、昨日周東安本長官、池田大蔵大臣から、経済、財政、金融に関しての政府の基本方針を拜聽したが、自立経済の達成には、輸出入貿易の振興、自給度の向上、資本蓄積が支柱であるとの見解には全く同感でありますが、その具体的施策について二三伺いたいと思うものであります。  先ず第一に、輸出入貿易の振興、なかんずく輸入の促進についてである。安本長官は昨日二十六年度の輸入額は十五億ドルと言われたのでありますが、自分はその実現を危ぶむものであります。実現できるかどうかを判断する一助として、現在までに備蓄輸入はどの程度行われたか、その実績を伺いたい。世界的不足物資に対する各国の備蓄政策は最近いよいよ本格化しているが、政府においては緊急物資輸入基金二十五億円を作るということは昨日の説明でわかつたが、それ以外に具体的に如何なる政策をとられるのであるか。第一に備蓄の取扱範囲を国際的割当物資、特需用資材、相手国が政府貿易を建前としておる品目に限定せず、民間備蓄と並行して広く買付けることが必要であるし、第二に、民間備蓄を行う場合には、ランニング・ストツクを超える部分に対しては、政府が保管費用、その他の経費、危險を負担しなければ、民間備蓄は円滑に進捗しないのではないか。第三に在外買付機構を充実しなければならないが、特別買付使節団の派遣、政府買付機関の海外への常設ということだけでなく、民間商社が活溌な買付活動を行い得るよう積極的な助成をする必要があると思うのでありますが、政府の考えはどうであるか。  更に一般的な輸入促進施策として、大蔵大臣も昨日ユーザンスの期限を延長すると言われたが、バナナのごとき不急物資の期限は短縮しても、重要輸入物資については現行の一律三カ月期限を大幅に延長すべきである。又海外物価が日ごとに上昇しておるこの際、商機を敏速に把握しなければならないが、民間から絶えず熱心に要望されておるにもかかわらず、輸入手続は依然として繁雑であり、外貨割当も円滑を欠いておる。至急改善を要すると思う。  自立経済達成の第二の支柱としての自給度の向上について、興農政策が強力に推進せらるべきは当然であるが、水産資源に恵まれておる我が国が食糧自給体制の確立の上からして水産業に待つところ多いのは今更言うまでもない。ところが、この大切な水産業の現状はどうであるか。潮流異変という不可抗力もあるにはあるが、多くは政府施策の貧困のため、今や水産業は壊滅の寸前にあり、その関連産業まで危殆に瀕しておるのである。魚の量が減少しておるのに漁船は幾らでも許可し、濫獲が行われ、企業單位当りの漁獲高は著しく減少しておる。漁業資材は、補給金の打切りと、その原材料の多くが職人物資である関係上、海外の物価高騰の影響を受け、矢継早に大幅の値上りをしておるにもかかわらず、魚価がこれに伴わない。このようなことでは経営が成り立つわけがなく、今日の不況を招来したのは当然の次第であります。漁区の拡張を関係当局に懇請するはもとよりのこと、水産資源の保持培養を図ると共に、水産業界の企業整備を断行しなければならない。而も迅速円滑に企業整備を遂行するためには転廃業者に対し国家の厚い補償を要すると思うが、政府にはその決意と用意があるか。急ピツチに上昇する資材購入資金をスムースに調達させなければならないが、正常の金融機関から見放された水産業界の金融難は全く深刻そのものである。水産業を正常の金融ベースに乗せるには、何よりも前に言つた企業整備、経営の合理化が先決條件であつて、この努力をせずに水産銀行の設立を云々しても、銀行自体も業界も決して救われるものではない。若干の大きな水産会社は銀行の設立で金融ベースに乗るとしても、ただそれだけであります。業界の多数は依然負債を重ねるだけである。而もこの多数者が国民の日常生活に魚類を供給する中心である。従つて実情に即して言うならば、今日最も必要なのは、企業整備と並行して、水産銀行ではなく、現行の農業災害保險に類似した漁獲保險制度を設けることであると思う。併しながら漁獲保險制度の創設には多少の年月を要し、今日の危急には間に合わない。応急の策としては現行の漁業手形制度を拡充強化するほかないと思う。漁業手形制度の根幹をなすものは、漁業家の自力による共済基金の積立にあるが、窮乏せる漁業家の多くは自力を失つておるのであつて、政府資金を共済基金に注入しなければならないと思う。自立経済達成のための第三の支柱としての資本蓄積についてであるが、資本蓄積の源泉として最も望ましいのは、民間における個人の消費節約、企業利潤を以てする任意の蓄積である。民間における任意の蓄積を増強する端的な方法は減税である。蔵相は外国においては増税の傾向にあるにもかかわらず、我が政府は減税をやる、なし難きをよくなしたという気持のようでございますが、国民所得に対する徴税の比率は別として、諸外国民に比し所得絶対額の著しく低い我が国民にこの程度の減税で以て十分なる蓄積を期待することは困難である。いわんや政府の言う減税は税法上の減税であつて、実質的な予算金額の上では五億六千百万円の減税に過ぎないところに問題がある。政府は二十六年度の国民所得が二十五年度より一〇%くらい殖えると見込んでおるが、そこに水増しがあるとすれば、結局苛酷な査定による負担の加重及び歳入不足を生ぜしめる危險がある。なお又海外物価高騰の趨勢や経済統制の再現等が今後に予想される諸事情を併せ考えた場合、いずれ歳入補正を行わなければならない事態が起り、国民負担の軽減を図ろうとする政府企図は覆えることになるのではないかと懸念される。  行政機構の簡素化、少数精鋭主義による人件費の節減によつて、実質的減税に一段の努力を傾注しなければならないと思う。而もその減税額が日常消費に向わずして、同額の任意貯蓄の増加、自発的蓄積の増加となるごとき手を打つべきである。既往のインフレーシヨンにより我が国民の薄らいだ貯蓄心を覚醒するため一大貯蓄運動を展開することも必要であると思う。  次に、政府も証券の売買取引方法の改善等による証券市場の育成を考えているようであるが、証券投資の増強を推進するためには、第一に、株式に対する讓渡所得課税を全廃するか一時中止するのが至当である。株式、殊にその現物の売買差益に課税することに関しては、理論的にも手続上にも疑問が多く、戰時中ですら、この施行を回避していたことには理由が存したのである。昭和二十二年度より実施した結果について見ても、本税徴收は甚だ不公平となり、税收額としては殆んど見るべきものなき不成績で、而もこれによつて投資家の投資意欲を阻喪せしめた逆効果は計り知れないものがある。第二に、証券担保金融の拡充を図らねばならない。有価証券はその流通性と換合性に生命があるが、現在は株券を担保とする対物信用の途は殆んど塞がれている。市中銀行の貸付総額に対する証券担保金融額の比率は戰前の十分の一に過ぎない。これは日本銀行が、昭和十七年の同銀行法の改正以来株式を担保として法規上認められながら、戰後その実施が認められていないところに最大の隘路があるのである。その実施を妨げている原因がいずれにあるにせよ、この排除に協力し、その規定を至急実行に移すと同時に、一般金融機関に対しても証券担保金融の全面的な復活を促すべきであると思う。  以上経済自立に関する諸問題について、池田、周東、広川、横尾各関係大臣の所信を伺いたい。(拍手)    〔国務大臣吉田茂君登壇、拍手〕

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。  自由党大会における私の話は、これは総裁として党員に対しての談話でありまして、これは公開いたしておりません。当時における新聞の報道については責任を負いませんが、併しながら爾来米国政府或いは米国の政治家等の新聞等における発表から考えて見まして講和條約において日本の主権に制限を加えるとか、或いは日本の独立に支障のあるような要求はしないであろう、こう私は想像いたします。又現に昨日でありましたか、ダレス氏の、新聞でありますか、談話の中にも、戰敗国に対する、戰敗国、戰勝国の間のような関係においてと言われたかどうかはつきりいたしませんが、覚えておりませんが、併しながら趣意は、戰敗国に対するような気持で以て講和條約締結には当らないであろうというような談話の趣旨であつたかと思います。いずれにしても、日本国民の要望に応え、日本国民の希望に応えて、そうして日本に完全なる独立を與えたいという精神であること、これは明瞭であると私は思います。  それから再軍備論については先ほどお答えいたした通りであります。  第二に、現在神経戰にかかり、又将来神経戰はますます激化するであろうと私が昨日申しました趣意は、常に申すことでありますが、只今お話の国外の状況は非常に切迫した状況である。今にも日本が共産主義国の侵入を受けるかのごときような意味合いでお話のようでありましたが、これは絶えず私は申すことでありますが、第三次世界戰争はそう軽々しく起るものではない。即ち日本への侵入が、外国と申しますか、共産主義国の侵入が非常に近接しておつて、切迫しておるというような状態にあるとは私は断じてないのであります。ただ最近において流言飛語は甚だ盛んであります。我々の耳に達するところだけでも、又諸君の御郷里等において聞かるるいろいろな噂、流言飛語が多分随分盛んなものがあるだろうと思いますが、併しそれは流言飛語であつて、根拠のあることは何事も、根拠のある流言というのはおかしな話でありまするが、その噂に根拠のあるということは私は信じられないのであります。現にこういう話も聞いたのであります。東京湾頭において一万フイート或いは二万フイートかの上空に国籍不明な飛行機が絶えず来ているとか、来たとかいうような話がありますが、かくのごときことは全くの流言飛語であり、又根拠のないことであります。或いは九州等においてこういうことがあつた。ああいうことがあつたという噂を耳にいたしますが、調べて見ればことごとく根拠のない流説であります。即ち日本はすでに神経戰に侵されつつあるのであり、今後もますます神経戰に侵されるであろうと思います。又共産主義国の戰略と申すか、タクテイツクスは、先ず神経戰から始まつており、又その神経戰を激化して、そうして、民主主義国をして奔命に疲らしめるという作戰であろうかと想像するのであります。かくのごとき作戰に日本がかかつてそうして、日本の国民がそのために一喜一憂するということは甚だ好ましからざることであり、即ち我々に確乎として国を守る精神があり、八千万国民に確乎たる独立の精神があるならば、かくのごとき神経戰に陷るはずはないのである。即ち私は諸君が或いは国民が徒らなる根拠のない流言飛語に惑わされないように切望いたしてやまないのであります。現に朝鮮の状態も一落ちつき落ちつきつつあるようでありますが、あたかも米国が今にも朝鮮から撤退するような噂も随分飛んだのでありますが、撤退しないということはマツカーサー元帥のしばしば声明せらるるところであります。この声明に信頼して……朝鮮における事態が直ちに日本に波及するとお考えになることは少しく軽卒に失しはしないか。私は、国民はかくのごとく考えないようにと切望してやまないのであります。又安全保障の形として太平洋協約、いろいろの話がある。これに対して何と考えるかというお尋ねでありますが、この太平洋協約その他についてのいろいろな外国電報その他は承知いたしますが、併しながら政府に対してどこからも太平洋協約その他の申出はないのであります。即ちこの問題は、政府の関する限りでは何ら承知いたさないと断言いたします。従つてお答えはいたしません。(拍手)    〔国務大臣周東英雄君登壇、拍手〕

周東英雄自由党経済安定本部総務長官・中央経済調査庁長官・物価庁長官

○国務大臣(周東英雄君) お答えをいたします。自立経済の達成のために先ず輸入を確保することが大事だが、今の状態では思う通りに行かんではないかというお話でありますが、昨日申上げましたように、恐らくこの二十五年度における輸入額は十一億ドルを超えるのではないかということを申上げました。その根拠といたしましては、成るほど去年の四、五月頃までは輸入が伸び悩んで参りましたが、その後における政府の施策、なかんずく輸入に対しましては、先ず第一に輸入外貨資金の増額、それから長期契約の設定、又自動許可制によつて、品物はどの国から何を何額までというような制限があつたのを撤廃して、自由に契約できるようにいたしましたこと等の関係からいたしまして、非常に最近に伸びております。九月には約七千万ドルを超えておりますが、その後、逐月増加であります。十二月等におきましては、まだ最終の集計はござませんが、恐らく一億ドルを超えると考えております。かような状況でありますので、私どもは二十五年度の推計にそう間違いが起らぬと考えます。併し要は、昨日も申しましたように、これに対する手当といたしましては、今日船舶の増強が重要な課題でありまして、それがために新造船の増加、傭船或いは船舶の購入等に対する資金は、政府が十分手当をいたして参るつもりであります。なお資金関係におきましては、昨日大蔵大臣からも申しましたように、ユーザンスの期限を延ばすとか、或いはその他の種々の手続によりまして、金融面においても十分の考慮を拂つて参るつもりでありますから、御承知を願いたいと思います。  一面、自立経済において自給度の向上の問題についてお話がありました。一言申上げて置きますが、その間に水産に対しての御意見がありました。まだ十分にいろいろと手を盡すべきこともございますが、我々が水産に重きを置いておるということは、二十六年度予算におきましては先ず漁港に関する予算を従来よりも大幅に拡充いたしまして、従来七億円余でありましたものを十三億円以上にこれを計上いたしましたとか、又資材に対して、御承知のように非常に物も少く、価格も上るということに対して、昨年末漁業用の重油、軽油等に対しまして、原油も値上り等がありましたにかかわらず、これに対しまして値上りを最少限度に食いとめて、その措置をいたしましたというようなこともございました。なお今後とも農漁業金融の活用によつて、これらに対する措置を付けて参るつもりであります。御承知を願いたいと思います。(拍手)    〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕

池田勇人自由党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) お答え申上げます。  今回の減税措置は税法上の減税で、実質的減税でないようなお考えのようでありますが、税法上の減税も実質的の減税も同じであります。例えばお酒につきましても、今年度の收入は予定以上に入ります。併し酒が下つたことは確かにこれは減税でございます。で、所得が殖えて来れば所得税が殖えるのは当然で、同じ所得の人であつたならば非常に減税である。税法上の減税も実質的の減税も、学問上も実際上も同じであります。(拍手)  次に株式の讓渡所得についてこれは課税をやめる意思はないかというお話でございます。御承知の通り先年来やつておるのでありますが、なかなか実際問題としては困難であります。従いまして課税の実績は挙りません。これば我が国のみならず、各国とも実際はなかなか施行上困難であります。将来の問題として研究いたして参りたいと思いますが、今直ちに廃止するという考えは持つておりません。次に株式の担保によります金融でございますが、誠に同感で、銀行方面には株式担保の金融を勧奨いたしております。併し何分にも株価の動きが只今のところ相当ひどいのでありますので、金融家としてはなかなか手を付けにくうございますが、最近株式の担保金融も相当殖えて参りました。今後ともこれは助長して行きたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣横尾龍君登壇、拍手〕

横尾龍自由党通商産業大臣

○国務大臣(横尾龍君) お答え申上げます。  備蓄については成るたけ民間備蓄をさして行きたいと思います。そうして、これには金融円滑空等の裏付けをして参りたいと思いますが、まだその施策に対しましては目下考究中でございます。  それから外国から買込みまするものが、漸次困難になつて来たことは御説の通りでございます。つきましては、これの買付を円滑にするために、民間、政府協力いたして万全を期したいと思います。私は在外にこれらに対する機構を政府としても設けたいと考えておるのでございます。(拍手)    〔国務大臣廣川弘禪君登壇、拍手〕

廣川弘禪自由党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(廣川弘禪君) 漁業の問題についてのだんだんの御高見でございましたが、漁価につきましては御存じのように非常に最末端が高うございますが、実際の漁獲者にとりましては非常に安い価格になつておりまするので、この点を我々といたしましては是正するように努力いたしておるのであります。即ち市場流通の部面において非常に欠けておるところがあるように見受けられまするので、これを直すように目下検討をいたしております。それからこれにつれて、いわゆる一般漁業家が非常に苦しんでおることも事実であります。なお、この魚価のみでなく、戰後各国から、外国から引揚げて来た漁業者並びに都会の失業者等がいわゆるこの漁村に入つて参りました関係上、なお更そういう様相が強くなつて参つて来ておるのであります。で、それにつれまして、やはり生産者のほうにおいて非常に影響がありまするので、それに関連いたしておりまする産業についても、やはり当然大きな影響があるのであります。かようなことを我々といたしましては防ぎます上において、あなたのおつしやるような漁業の、漁船の整備或いは又その他の方法を講じなければならんということは、最初から考えておるのでありまして、その漁船の整備等について目下検討中でござまいす。併し何分にもこの漁業界におきまする金融は、一般市中銀行が殆んど顧みておりませんので、この方面における金融を付けることが一番大事であると考えておるのであります。なお金融を付ける上において、その前になすべきことがあるのじやないかというお話でありますが、あなたの只今お話のようなことを目下検討中でございます。(笑声、拍手)

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 国務大臣の演説に対する質疑はなおございますが、議事の都合により、本日はこれにて延会いたしたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤尚武緑風会議長

○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。次会は明後二十九日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三分散会      —————・————— ○本日の会議に付した事件  一、議員の請暇  一、故議員橋本萬右衞門君及び星一君に対し弔詞贈呈の件  一、故議員橋本萬右衞門君及び星一君に対する追悼の辞  一、日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)

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