内閣委員会 第3号
- 発言数
- 23 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1951/02/14
会議録
○委員長(河井彌八君) ではこれより内閣委員会を開会いたします。 本日の予定は行政機構の整備に関する調査ということにして上げてあります。そのうちで議題としますのは二つの件であります。即ち一つは専門員の群馬、静岡両県における調査報告を聞くことと、次には特別調達庁長官から懸案であつた事柄についての説明を聞くこと、この二つであります。 —————————————
○委員長(河井彌八君) 先ず専門員の調査報告を聞くことにいたします。
○専門員(杉田正三郎君) 私どもの手で行政機構特に出先機関につきまして従来調査しておりましたのに関連いたしまして、先般私は群馬に出張いたしましたので、それに関係した調査の御報告を申上げたいと存じます。 新憲法が公布せられまして、又地方自治法が制定せられましてから今日まで、日本の地方自治権は非常な拡充を見たのであります。この地方自治権の著しい拡充に伴いまして、行政事務の地方再配分の問題が近頃我が国朝野において叫ばれまして、先般来朝しましたシヤウプ博士も我が政府にこれを勧告いたしまして、その実現要望の声が近頃とみに強くなつて参つたのでございます。シヤウプ使節団の報告書を見ますると、行政事務再配分の問題について次の三つの原則を挙げているのでございます。 その一つは、能う限り、又実行のできる限り、国と都道府県と市町村と、この三つの段階の事務はこれをはつきり区別して、その一つの段階の行政機関には、一つの特定の事務が専ら割当てらるべきである。そうしたならば、その段階の行政機関は、その事務を遂行し、且つ一般財源によつてこれを賄うことについて、全責任を負うことができるであろう。 その二は、それぞれの事務は、それを能率的に遂行するために、その規模、能力、財源によつて準備の整つているいずれかの段階の行政機関に割当てられるであろう。 その三は、地方自治のためにそれぞれの事務は適当な最低段階の行政機関に與えられるであろう、市町村の適当に遂行できる事務は都道政府県又は国に與えられないという意味で、市町村は第一の優先権が與えられるであろう。第二には都道府県に優先権が與えられ、中央政府は地方の公共団体では有効に処理のできない事務だけを引受けることになるであろう。 このシヤウプ使節団の報告書におきまして、我が国の行政事務の再配分の問題を研究する機関といたしまして専門的な委員会の設置が政府に勧告されまして、その結果として生れましたものが地方行政調査委員会議でございまして、昭和二十四年十一月二十六日、地方行政調査委員会議設置法によつてこれが設けられたのでございます。地方行政調査委員会議は昨年十二月二十日「行政事務再配分に関する勧告」と題する勧告を衆参両院議長及び内閣総理大臣に提出いたしまして、先に申しましたシャウプ使節団の報告書に挙げてありまする三原則を如何に具体化するか、国の行政事務のうちで地方に委譲すべき限界、及びこれに伴つて現在の行政官庁の出先機関の整備の具体案を明らかにしておるのでございます。地方行政調査委員会議は、この勧告におきまして、国と地方公共団体との間における事務配分の調整は、その事務の性質上当然国の処理すべき、又は国の存立のために直接必要な事務を除いて、地方公共団体の区域内の事務はでき得る限り地方公共団体の事務とし、国はこの地方公共団体においては有効に処理することのできない事務だけを行うこととすべきであると述べておりまして、行政事務再配分の限界を明らかにして、これに基きまして、地方事務のうちで国の事務として残すべきものを、外交に関する事務以下二十九項目だけを具体的に挙げておりましてこれらの事務以外のすべての事務は地方公共団体の事務とすべき旨を述べておるのであります。政府におきましては目下この勧告の趣旨を尊重いたしまして、そのうち理由のあるものはこれを具体化する準備を進めておると聞いておりまするが、内閣委員会の専門員室では、この行政事務再配分の問題は、延いては行政機構に関係して参りまする結果となりまするので、この問題をあらかじめ調査して置く必要を思いまして、国会の自然休会中の先月の中旬を利用いたしまして、二日乃至三日間群馬県と靜岡県へ出張いたしまして農林省の出先機関のうち食糧事務所、その支所、出張所、それから統計調査事務所、その出張所を、又労働省の出先機関のうち地方労働基準局と労働基準監督署及び公共職業安定所を視察したのでございます。 この視察の目的は、これらの出先機関の事務運営の実情と、これら出先機関の現在の機構のいいか悪いか、適か不適か、これらの出先機関を地方へ委譲するの可否の調査でございまして、その調査の具体的観点は主として次のような点にあるのでございます。 例えば地方の食糧事務所、地方行政調査委員会議の勧告におきましても、食糧管理は現行通り国の事務とするということになつておりまするが、果してこの勧告の通り現状のままがよいのかどうか。又仮にこの勧告通り食糧庁の出先機関として食糧事務所を存続すべきものといたしましても、現在の食糧事務所並びにその下部機構を現状のまま認めておいてよいのかどうか。その二といたしましては、地方の統計調査事務所の主要食糧の作況調査に現われておりまする統計数字は、府県及び地方食糧事務所の手になつておりまする数字を遥かに上廻つておりまして、その理由は、調査方法が他の調査に比べまして科学的であるとはいえ、一部分の抽出、即ちサンプリング・メソッドと申しておりますが、一部分の抽出によりまする推定計算でありまするために、農家の実情に即していないという非難を受けておりますが、農林省の出先機関として現状通り統計調査事務所を存置して、この種の調査を行わしむべきか。或いはかくのごとき調査は地方庁でも今日或る程度実行しておりまするから、この際地方分権の要望に応えまして、この際全部地方に委譲して然るべきではなかろうか。その三といたしましては、地方の労働基準局及び労働基準監督署は、主として労働基準法の運営と施行の衝に当つておりまする第一線の労働省の出先機関でありまするが、その監督官が事業場を監督するに当りましても、ややもすれば杓子定規であるがために、今日地方の産業振興を妨げる結果を招いておるという非難の声が相当強く叫ばれておりますが、実情は果してどうであろうか。又この種の事務を地方へ委譲するの可否はどうであろうか。最後にその四といたしまして、地方の公共職業安定所は国の行政機関であつて、その職員は国家公務員でありまするが、地方におきましては都道府県知事が事務執行について指揮監督をすることとなつておりまするが、かくのごとき機構上の不徹底な姿は、行政事務の運営上果して不都合を生じないかどうか。地方自治権尊重の趣旨から申せば、地方行政調査委員会議の勧告通り地方庁へ完全に委譲したほうが適当であるのではなかろうかというような点。 そこで私は群馬県へ先ほど申しましたごとく出張いたしまして調査いたしました結果をここに御報告申上げる次第でございまするが、先に群馬県内にありまする各出先機関で調査しました結果を御報告し、次いで県の当局側の意見を御報告申上げたいと思うのでございます。 そこで先ず第一には群馬県の食糧事務所でございまするが、都道府県の食糧事務所は農林省の外局でありまする食糧庁の出先機関でございまして、各都道府県ごとに置かれておりまして、主要食糧の国家管理と農林産物の検査に関する仕事がその主な仕事となつております。群馬食糧事務所の本所は、業務部、検査部の二つの部が中心となつて業務を運営しているのでありまして、その下部の機構といたしましては、郡市を単位として支所十二カ所と、その下に出張所が二十六カ所置かれてありまして、出張所は更に町村を担当する検査官を以て組織されておりまして、かくのごとく中央から各町村に至るまで一連の組織を持つて有機的に繋がつて活動しているのが現状でございます。群馬食糧事務所は、本所、支所、出張所を通じまして、前に行われました行政整理前の定員は七百四十七名でありましたが、整理の結果今日では五百六十四名になつておりまして、結局百八十三名の減員となつております。現在員はこの定員五百六十四名に対しまして五百五十四名でございまして、そのうち本所勤務が九十四名、支所、出張所勤務が四百六十名となつております。なおこの現在員のほかに非常勤職員が八十六名おりますが、これらの中には、前に行政整理のありました際の被整理者の一部を非常勤職員として使つている者が含まれているのであります。 食糧事務所では、特に第一線におきまして事務をとつております職員が、行政整理によつて減員せられましたがために、過労に陥りまして、それがために死亡し、疾病にかかる者が他の役所に比べまして目立つて多いと同時に、主要食糧の買入の事務に従事しております者が、その買入に当りまして代金を過誤拂する件数が相当数あるのであります。群馬食糧事務所職員の死亡者は、昭和二十四年、二十五年に各一名、長期欠勤者が二十四年に七名、二十五年に十六名ございまして、これらの死亡者、病人は主として過労に原因する結核によるものであるとのことであります。又主要食糧買入代金の過誤拂は、全国に通じまして発生している不祥な問題でありまして、群馬県におきましては、件数としては昭和二十三年度が八十四件、二十四年度が二百五十件、二十五年度、これは昨年十二月末まででありますが七十四件、計四百八件でありまして、これを金額にして現わしますると、昭和二十三年度の過誤拂は千四百八十四万円余になつております。二十四年度では千九百六十八万円余、二十五年度では二百五十一万円余でありまして、この三カ年の過誤拂額の合計は三千七百五万円余となつているのであります。この過誤拂は前に行われました行政整理の前からあつたのでありまするから、行政整理の前からすでに第一線の出張所職員の手不足がその一つの原因をなしているとも言うことができると思うのであります。この過誤拂は勿論検査官の不注意、過失に基くものではありますが、何分第一線の検査官は、晝間は続々と農家が持つて参りまする主要食糧の検査という、いわば機械的な労務に追われ、その検査の仕事が済んだあと夜間にかけまして、晝間の仕事とはすつかり変つた計算を主とする支拂証票の作成に当る。その間には検査野帳とかその他数種の帳簿の整理をして行かなければならない、そういう事情の下にありまして古拂証票を作成するのでありますから、勢い支拂証票作成に当りまして、過誤の代金を記入するというような遺憾な過失が起つて来ると思うのでございます。勿論過誤拂がのちに支所又は本所におきまして発見されました場合には、戻入の手続をとりますが故に、国庫が全部損失を負うということはないのでありますが、少くともその手続が相当面倒であり、又その完結までには相当の日時を要するようであります。 この主要食糧の検査は現状通り国の手でするのがよいか、又地方の手に任してやらすのがよいかという点につきまして、食糧事務所では次のように意見を述べております。現在国におきまして統制管理しておりまする主要食糧の検査は、会計法の建前から国が実施すべきものであることは勿論でありまするが、現在すでに統制が緩和されておる主要食糧及び将来統制が撤廃ざれ自由取引になる農産物でありましても、広範囲に生産せられ、而も高度の流通性を持つておるものについての検査は、次のような理由によつて現状通りの国営検査が適当であるというように申しております。その理由といたしましては、第一に検査の的確公正を期して、その権威と信用を保持するためには、国営検査がよろしいというのが第一点、第二点といたしましては財政負担を軽減するためにも現状通りがよろしいという主張であります。第三といたしましては、都道府県間の均衡を期すると共に農民の利益を擁護するためにも国営検査がよろしいというように言つておるのであります。理由をなお述べるはずでありますが、時間の関係で省略さして頂きます。 次に群馬統計調査事務所でありますが、都道府県の統計調査事務所は農林省農業改良局の統計調査部の出先機関でありまして、各都道府県に置かれております。耕地面積と農産物の作況の調査及び農村における統計的経済調査に関する事務がその主な仕事となつておるととは皆さん御承知の通りであります。群馬統計調査事務所の本所は庶務課以下五つの課が中心となつて業務を運営しておるのでありまして、その下部機構といたしましては数カ所の町村を単位として出張所三十三カ所が置かれております。群馬統計調査事務所は本所、出張所を通じて定員が三百三十二名で、現在員は三百十人名で、欠員十四名となつております。この三百十八名のらち本所勤務者が七十二名で、出張所勤務が二百四十六名となつております。大体一つの出張所の職員は五人乃至十人くらいとなつております。統計調査事務所の事務の特殊性及び統計調査事務を現在の機構で行う必要な理由等につきましても、統計調査事務所側から次の意見が述べられております。 今日の統計調査事務所の前身であります作物報告事務所が連合国からの勧告に基いて設けられましたまでの我が国の農林統計は、手足となる国の出先機関かなかつたがために不備なものがあつて、特に主要食糧の供出制度が強化されるに至りまして、この統計調査に現われました数字は著しく内輪になつて歪められていたことは周知の事実である。その面積調査、作況調査の数字は、これを申告する農家も、これを取りまとめます市町村長、知事も共に信用しておらず、多額の経費を投じて行なつた調査は殆んど役に立たないものとなつた。かくのごとく当時の統計が不完全であつた原因はいろいろありましようが、その最も主なるものは、統計が行政に従属し、行政の下僕になり下つたためであると思われるというのであります。統計調査事務所は従前の農林統計のような特殊行政目的に従属することなく、全然数理統計に立脚し、能う限り科学的調査を進め来たつたのでありますがために、他の調査機関においては追随を許さないところの調査成績が挙つておりまして、一般農民の認識と信頼の度が次第に高まつて来ておりまして、供出割当の資料としても公正なものとして好評を受けておる。農業調査委員の側でも科学的根拠の下に調査した統計調査事務所の統計資料を供出割当に採用するようにしたいとの声が漸次強くなつて参つております。ただ統計調査事務所の従来の統計調査は、統計調査事務所の職員の定員が不十分であつたために、大体郡単位の調査にとどまつておりまして、町村単位までの調査を行い得なかつた。そのために県町村がこの統計を有効に利用し得ないとの非難が相当広く流布されておるのでありますが、この非難は相当理由がありますが故に、将来これら町村単位の調査までも行い得るよう統計調査事務所の定員の増加を図られたい。これが調査事務所側の希望であります。 地方の統計調査事務所の主な仕事、即ち作況調査も、農家経済調査も、大体今日地方庁で同じように調査をしているのでありまするから、地方分権の建前から、これらの出先機関を廃止して県へすべて委譲していいのではなかろうかという議論も一部にはありまするが、かくのごとき委譲論は次に述べるような理由から不適当であると言わなければならない旨を統計調査事務所長は述べているのであります。その一つは、我が国の農林統計が今日折角刷新されんとする際に今日これを府県へ委譲した曉においては、従来の不完全なる農林統計の時代に逆行することとなる。その二としまして、府県へ委譲した場合には、各府県の生産や供出割当の均衡はとれなくなつて、各府県、各市町村の供出はその気儘に委せるほかはなくなつてしまう。その三は、生産や供出割当が地方の政治的勢力に左右されまして、正直な農民が損をする。却つてこれは農林統計の刷新によつて今日漸く世界の信望を受けんとしつつあるのに、連合国の信頼を失つて食糧輸入の上に蹉跌を来たす慮れがある。その四としまして、厳格な調査を実施し、公平な供出方法を立てることに村民すべてが協力することこそ農村を民主化する道であるが、地方へ委譲の結果は、過去において経験したごとく、割当供出について一部の人の独裁に委すことになつて、真の民主化を妨げる。その五といたしましては、我が国の再建を図り、今後の農林計画を立てるには、先ず農村の現在の実態を知つて、これを基準としなければならない。この農村の現況調査こそ中央、地方を一貫している単一にして責任ある統計機構によるのが最も適当であるというのであります。これが大体出先機関側の意見であります。 それから次には群馬の労働基準局でありまするが、労働基準局は、その管内に八つの監督署がありまして、その監督を受けまする事業場は、その管内に二万百八十九あるのであります。この管内の事業場の基準法違反件数は、安全衛生関係の違反、労働時間等の関係の違反、女子、年少者の関係違反、賃金支拂の関係の違反などがその主なるものでありまして、労働基準法が施行されまして昨年の十二月までに満三年余りの間に、悪質な違反者で検事局に送られました司法処分を求めた件数は五十件でありまして、すべての総違反件数五万数百件に対しまして極めて少い数字を示しているのであります。次に労災保險につきましては、昭和二十二年に労災保険が施行せられましてから昨年九月までの間に労災保険加入事業場数は四千八百五十五、労災保険加入労働者の数は十一万余り、労災保險の事故は四万四百件余り、労災保険を給付した金額は一億二千九百万円余に上つているのでありまして、群馬管内においては、河川、鉄道等の関係で土建業の労災事故が目立つて多いのであります。群馬の労働基準局の特質といたしましては、その管内に多数の機織業者がありますということでありまして、即ち伊勢崎、桐生等は我が国における有数の機業地でありまして、而もこれら機業者は、その多数は中小企業者でありまする関係上、労働時間、賃金支拂い等の面におきまして労働基準法違反の件数がかなり多いのであります。特にこの機業を家内作業でやつておりまする小機業家の中には、労働時間を労働基準法通りにやらせることは、なかなか困難であつて、隣り近所の機業家はその作業を主人とその家族だけでやつておりまするから、基準法の適用を受けないので、夜遅くまで仕事を続ける、ところが自分のところは使用人を雇つて働かせておりまするので、一日八時間以上の労務をやらせることが法律上できないので、今申しましたように、隣り近所の機業者が夜遅くまで仕事をやつているので、つい就業制限時間を超えて働かせるという基準法違反の事件が発生しておるのであります。結局かかることをやつておつたのでは、経済的には共崩れになることが漸くすべての業者にも理解せられまして、互に自制し会うようになつたのでありまするが、併しまだまだその違反のあとを絶たないというのが現状であります。前橋労働基準局長がこれらの私の質問に対しまして答えた話の中で、特に注目すべき点は、労働基準監督行政をやつて行く上に最も大切なことは、この監督行政の第一線に立つ基準監督官の素質如何という問題である。税務署の徴税の任に当つておりまする官吏が素養が十分でないがために、世上往々非難の的となつておりまするように、基準監督官が各事業場に臨みまして監督する場合にも、同様の非難の声が業者から起つて来ておる。労働基準法は、事業発展の妨げとなる、基準監督官は事業を妨害するものであるというような声を頻りに耳にする。我が国の機業は現在の段階におきましては、労働基準法のような法律を厳格に適用するにはいわばまだ成熟しておらない過渡的の道程にあるのでありまするから、業者に法の違反があつたからといつて、直ちにこれを検挙して、法に定めてありますような処罰をすべきものではない。こういう意味において局長は部下に対し常に善導する、教えるという心がまえで臨むように、従つてたまたま基準法違反の事件が発見せられました場合におきましても、それが一回二回の程度であれば、基準法の精神を説きまして訓戒し、法規のわからぬ点を教えまして善導する。その違反が四回五回とたび重なりまして、もはや監督署の手で善導することのできない悪質の業者に対して初めてこれを検挙して、司法処分を求める方針の下に、管内の各基準監督署の監督官を指導しておる。基準監督官の素養の向上がこの行政の成果を挙げる上に大きな関係を持つているので、従つて幹部級の者は労働省の研修機関に赴かせて数週間再教育を受けしめ、非幹部級の者はときどき前橋本局に集めまして、局長等から基準監督についての指導をするということにしておるという話でありました。 都道府県労働基準局と、その下にありまする基準監督署を地方庁へ委譲するのがいいかどうかという問題につきまして、群馬の局長の意見といたしましては、地方労働基準局と監督署は専ら労働基準法と労働者災害補償保険法の運営に当る国の地方機関であつて、この法律は労働者の福利厚生と労働者の保護を目的とするものでありまするが、若しこれらの出先機関が地方庁へ移つた場合におきまして、果してこれらの法律が厳正に適用せられ、運用せられ、労働者の保護を全うし得るかどうかという点が非常に懸念に堪えない。群馬管内の有力な機業家などの間にも、今日、県の生産の重きを占めておる機業を振興し、織物の輸出を有利にするがためには、労働基準法は障碍となつておるから、その運営については十分な手加減を加えてもらわなければならないというような意見が出ておりまして、これが現政界の有力者を動かしておる現状から見まして、若し県へ委譲せられました暁において、果して如何になるであろうか、懸念に堪え、ないものがある。勿論地方労働基準局としては、先に述べたように、職員が各々自粛して監督行政に当らなければならないことは勿論でありまするが、これらの職員が地方庁の吏員となつた場合に、果して地方的政治勢力に左右せらるることなくぞの職務を果し得るであろうか、これらの点について十分な考慮を加える必要がある旨を局長は力説しておつたのでございます。 以上が大体出先機関の意見でありましたが、それに対しまして、県では、知事、副知事、関係各部課長から、先に申上げました調査項目について意見を聞いたのであります。 先ず農林省の出先機関の中で、食糧事務所と統計調査事務所とにつきまして述べました意見を簡單に御紹介申上げます。 第一に食糧事務所とその支所、出張所の地方委譲の可否の問題でありまするが、食糧事務所の事務の中で検査事務はすべて県に移管すべきものと考える、その理由としては、検査事務は知事の行なつておりまする供出事務と不可分一体の関係をなすものであつて、即ち主食の供出ということは、知事の行なつておりまする割当集荷督励と食糧検査官の検査、農業協同組合の行なつておりまする買入事務などが不可分の一体となつて行われておるものであり、市町村に駐在する食糧事務所の職員であるところの食糧検査官の仕事の大半は供出割当か供出督励の仕事でありまして、この県の仕事と密接な関係がありまするから、現在これらの仕事を行なつておりまする県と一体となることが最も望ましい。次に供出割当、供出補正等は、全く県、市町村の行政系統を通じて行われておりまして、農林省はすべてこれらに関する基礎的調査を県に要求しておりまするが、県は農林省出先機関のような手足を持つておらないがために、ややもすれば十分に調査を行えない憾みがある、この際食糧事務所の検査部を調査機関として活用するならば、迅速、公平、妥当に、供出割当等に必要な調査を行うことができるであろう。それから検査事務は食糧統制の続く限りは、一定の標準に従つて機械的に実行するのみでありまするし、又統制撤廃となれば、各県が競つて販路開拓のため厳重な検査を実施することとなるのであるから、いずれにしましても県営の検査を適当と認める。最後に検査事務は、大正七年県の穀物検査所として発足いたしまして、昭和二十二年他の機関となるまで、県農産物の検査を行なつて来たのでありますか、その発展の過程の示すように、単に米、麦等の主穀のみに止まらず、「いも」類、油、その他の農産物の検査をも行なつて参りまして、今日に至つれおるのでありまして、今後昔に戻つて主食以外のものの検査を県で行うものとすれば、勢い食糧事務所と別な検査機関を設けなければならんこととなつて、これは極めて不経済であると考えるのであります。それから食糧事務所の仕事の中で、食糧業務事務については、食糧統制の前途と睨み合せて慎重な検討を勿論必要といたしまするが、全国的総合企画事務、輸入食糧の管理、各県間の移出入調整の仕事というような大綱を農林省が握つておつて、現地の仕事はすべて県に移管するも、これによつて生ずる支障は全然ないというのであります。それらの詳しい理由を述べておりまするが、これは省略さして頂きます。 それから次に統計調査事務所の地方委譲の問題でありまするが、統計事務所の事務は全面的に県に移管しても支障ないという結論でありまして、その理由としては、主要食糧の作況調査の仕事が地方へ委譲せられるがために、地方政治によつてその調査が歪曲せられるというようなことはあり得ない。従つて特に出先機関にばる必要がないから、県の今までありまする統計部局と併せて同じ機関で行うことが経済的にも能率的にもよろしい。その次の理由としては、現在統計事務所の仕事の約半分は経済調査である。これはもともと県で行なつておる統計調査でありまして、仮に主食の生産量調査が地方政治によつて少しでも左右せられると仮定いたしましても、これらの経済調査の仕事はその慮れが全然ないのであるから、出先機関によることを全然必要としない。次には又現在農林省の統計調査部で行なつておりまする主要食糧の生産量調査のための、面積調査、作況調査の正確性は、十分尊重するけれども、今のところ統計調査部の府県別調査は、全国統計を生み出すための府県統計である。県ごとの数字は單に参考上のものにとどまつている。統計が単に調査の範囲にとどまるならばこの程度で差支えないが、これを以て県に対する生産割当、供出割当の基礎とすることは、国から県に対する割当指示には極めて便宜でありましようけれども、県以下の割当は他に信頼し得る資料がないために、過去の勧業統計によるほかないのである。従つて年々増加するところの供出割当量を実情に即応するように消化して末端の割当を行うことは不可能であつて、割当をめぐる争いは年々深刻の度を加えておる現状であつて、これを解決する途は、速かに供出割当に利用できるように、市町村別調査を行わなければならないのでありまして、政府はこの困難な道を歩まずに県以下の割当は農業調整委員の審査に任せて、悟然としておりますが、県市町村のこれらによる苦しみというものは大変なものであつて、地方自治を破壊した家例は枚挙にいとまがないというのであります。 次に労働省の出先機関のうち、公共職業安定所、労働基準局につきましては、これらはいずれも地方に委譲するのが適当であるという結論を地方庁側は申しております。先ず公共職業安定所でありますが、職員の自分上の見地から見た現状の不合理の点から見ましても、これを地方へ委譲するのが適当であるというのでありまして、次には行政上の見地から見ましても、この事務は地方へ委譲しても一向差支えないというのであります。それから労働基準局、労働基準監督署につきましても、これらを地方へ移管した場合には全国的に同一方針による運営が不可能となつて十分な監督行政が行い得ないというようなことを基準局の出先機関のほうでは言つておるようであるが、仮にそうだとするならば、市町村長の下にあるところの、地方の自治体警察も十分な警察権の行使は不可能ではないのではなかろうかというような反駁をしておつたのでありまして、要は職員の素質の問題であつて、そのあずかるところが国であろうと地方庁であろうと変りはないというのであります。これが大体県側の意見でございます。 そこで、以上で大体私の出張して調査しました各出先機関を地方へ委譲するの適否に関する各出先機関側の意見、府県側の意見を御紹介申したのでありますが、この地方委譲の問題につきまして僅か一つか二つかの県だけの視察調査でそのいいか悪いかという適否についての結論を出すことは極めて困難でありますると同に、又極めて危険であると思いますが故に、これは差控えたほうがよいと思いますが、視察しました大体の感じだけを簡單に申上げますと、第一に食糧事務所につきましては、主要食糧が現在通りに国で統制管理しております限りは、これを現在の機構の通り、国の出先機関の手で行わせることが適当ではなかろうかというふうに考えるのでございまして、地方行政調査委員会議の勧告も同じように見ているのであります。 第二に統計調査事務所につきましては、今日主要食糧の作況調査を国の出先機関でありまする統計調査事務所と食糧事務所及び都道府県この三本建で行なつておることは何としても不合理でありますが、この三つの手で行われておりまする調査のうちで、最も科学的な整備した方法で調査を行なつておるのは、多くの人の見るがごとくに統計調査事務所であろうと思うのであります。併し今日の統計調査事務所の作況調査は、大体が都道府県単位でありまして町村単位となつておらないがために、都道府県がこの調査統計を供出割当に利用しようといたしましても、実際に余り役に立たないことは、統計調査事務所も都道府県もひとしく認めておりまするところでありますから、将来統計調査事務所の統計調査が町村單位まで押し進められて行くことが望ましいと思われるのであります。なお統計は国家が政治、経済、治安維持等すべての政策を立てるにつきましての基本でありますることは申すまでもないことでありまして、従来朝野一般に統計の価値を比較的軽視しておりましたのが、従来我が国の行政の非能率であり、不振であつた一つの原因とも考えられまするが故に、農林統計につきましても、続理府の統計局がこの統計調査事務所を連絡を保ちつつ、その中枢機関となることが我が国の行政の成果を挙げる上に適当なのではなかろうかと考えるのであります。 それから第三に都道府県の労働基準局につきましては、現在の機構のまま国の出先機関として存置して行くほうが、少くとも労働者の権利利益を保護する上に適当なのではなかろうか。地方行政調査委員会議は労働基準法の実施に関する事務は現行通り国の責任において、国の機関で行わるべきであると勧告しておりますことは、理由のあることと思うのであります。ただ労働基準監督官の監督振りにつきまして、世上往々先に申しましたような非難がありまするが、これは今後監督官の人選と再教育指導等の方法によつて十分是正して行かなければならないと思うのであります。 最後に公共職業安定所につきましては、安定所の職員の身分は国家公務員であり、その職務については、知事の指揮監督を受けるという現状は、全く中途半端でありますることは、何人も認むるところでありまして、且つ又安定所は監督機関ではなくていわばサービス機関でありますが故に、この種の出先機関は、地方分権の見地から申しましても、これを国の出先機関として存置して置く必要がなく、地方へ完全に委譲するほうが事務の能率を挙げ得るゆえんではなかろうかと、一応は考えられ、又地方行政調査委員会議の勧告におきましても、公共職業安定所のようにその所掌する仕事が地方公共団体に委譲されたものは、国の出先機関としては廃止されることは当然であると述べておりまして、私もそのように一時は考えたことはあつたのでありまするが、この職業安定に関しまする国際條約、一九四八年と思いまするが、その国際條約の規定を見ましても、又イギリスやアメリカ、インド等のごとき国の職業安定の行政機構や又我が国の公共職業安定所が今日の姿になるまでの沿革等を調べてみますると、軽々しくかくのごとき簡單な結論を下し得ないということを知つたのでありまして、先にも申しましたごとくに、一つの問題に対して正確な結論を出すということが非常に困難であるということを痛感したのであります。 以上が私の視察調査しました大体の感じでありまするが、我が国におきまして地方分権と言い、地方自治権の拡充と申しましても、我が国の都道府県はアメリカの州とその広さから申しましてもその自治発達の沿革から申しましても全く違つておるのでありまして、日本の都道府県をアメリカの州などと比較して論ずべきものでないことは勿論でありまして、結局行政事務の地方べの再配分の問題は一つの行政事務を地方の手で行わせるほうが国の手で行うより事務の能率をよりよく挙げ得るかどうか。又かくすることによつて地方民がより便宜を得るであろうかどうかという見地から判断せられるべき問題だろうと思うのであります。一つの行政事務が国の事務となつておる場合におきましても、地方庁の援助がなくては十分なる目的を達することができない、と同時に又一つの行政事務が地方へ委譲せられました場合におきましても、国はその地方に対して十分の援助を與えることによつて、初めてその行政目的が達せられるというように考えるのでございます。以上大変長たらしくなりまして恐縮でございましたが、私の視察報告は以上でございます。 —————————————
○委員長(河井彌八君) この際お諮りいたします。専門員の調査報告はまだ藤田専門員の分が残つておりますが、時間の都合を考えますと、この際、特別調達庁長官の説明を聞いたほうが便宜かと思いますが、如何でしようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(河井彌八君) それでさように決します。従つて藤田専門員の調査報告は他の機会にこれをいたすことにいたします。では特別調達庁長官。
○政府委員(根道廣吉君) 私、特別調達庁の長官根道でございます。先の国会開会中に当委員会におきまして特別調達庁の業務に関しましていろいろ御質問がございました。折惡しく私病気引籠り中でありましたために出席の上答弁させて頂くことができませんでした。誠に申訳なく存ずる次第でございます。当時次長その他の者からそれぞれお答え申上げましたが、この際お許しを頂きまして私から一言申上げさせて頂きたいと存じます。 お尋ねはいろいろございましたが、大別いたしまして、昭和二十三年度の決算に関するもの、それから連合軍要員健康保健組合預金の融資斡旋に関するもの、及び右健康保険組合自体の業務に関する件などであつたかと存ずるのであります。それら一つ一つの問題について重ねて御説明申上げることは御遠慮いたしたいと存じますが、昭和二十三年度決算のことにつきまして一言申上げさして頂きますれば、当時は何分にも終戰直後、特に特別調達庁発足早々のことであり、この特調の扱つておりまする対軍関係の事務にもまだ十分習熟しておりませんでした時代でございますので、従いまして監督の上にもいろいろと不行届の点がございました。事務処理上遺憾な点が多々ありました。誠に申訳なく存ずる次第であります。前述の健康保険組合預金の融資斡旋というようなことにつきましては、すでにほかの者から御説明申上げた通りでありますので、それによつて御了承願いたいと存ずるのであります。いずれにいたしましても特別調達庁は皆様が御承知のように今日まで対軍関係の極めて複雑、又最も困難な事務に従事いたして参りまして、その間、人知れぬ苦労を多々味わつて参つたことでございます。この終戦処理費による調達というものは敗戰後の我が国の経済復興に資しましたこと絶大なものがございましたことは周知の通りでありまして、それだけにこの経費の我が国経済に及ぼす影響は非常に大きなものがございました。でありますから当庁といたしましては、この経費の節約とその適正処理のだめにできるだけの努力を拂つて参つたつもりなのでございます。然るに何分にも業務の複雑困難さ、又その業務量の厖大、然り而して極めて多岐に亘つておりますること、又それらを処理する上におきまして非常に細かい煩雑な事柄が伴いまして、又従いましていろいろ不慣れ、不手際のことがありましたために、当時の時代におきましては十分の御期待に副うことができなかつたというような点がございました。その点誠に遺憾に存ずるわけでございます。その後鋭意改善を加えて参りまして、二十三年度に比較いたしますれば、二十四年度におきましては、例えば会計検査院より非難を受けまするような事項も非常に少くなりまして、長官たる私といたしましてもその間にやや改善の跡のありますることを、いささか、その困難なる職務に従事して参りました職員全体のためにもこの点だけは誇りとし、又皆様の御了解をお願い申しても差支えないのではないかと考えておるような次第でございます。なお、それでもまだいろいろ不行届きな点がないとは申せませんので、今後ともなお一層努力をいたしまして、終戰処理費の処理に有終の美を果したいと、こういう念願でございます。何とぞ私の微意のあるところを御了承の上、一層の御指導をお願い申上げる次第でございます。
○委員長(河井彌八君) 何か……。
○カニエ邦彦君 この前に私は御質問を申上げてある点でありまするが、先にお答えになりました二十三年度に関する決算の件では、これは勿論委員会といたしましても関係があり、且つ決算委員会としても関係がありますので、この点についてはまだ他の委員会でも審議中であろうかと思いますので、ただ連合国軍要員の健康保険組合の融資の点でありますが、この点についてはさような新聞に報道されておるような融資は全くないというようなふうにお聞きしたのでありますが、こういう点については、その後、長官以外の担当の係課長鈴木信と言われる人が十月の十九日の健保の理事会の前日、委員会において、そういうでたらめな記事は全然事実と相違しておるというようなことを公式の席上で言われておる。そうなりますと恰も我々委員会が事実でないことを質問したかのような感じを受けるのでありますが、今でも長官はこの事件に関してはさようなことは全然ないとお考えになつているのか、先ずその点をはつきりお答えを願いたいと思います。
○政府委員(根道廣吉君) 新聞に出ておりますようなことは事実と相違していると鈴木課長が言われたとのことでありますが、私もそうだろうと存ずるものであります。併しこれがまるつきり根も葉もない事柄であるかどうか、こういうことになりますと、多少の関係のあつたことが、相当別の意味を持つて解釈せられているんで、従いまして、そのことは随分違うのだ、こういうふうに言われたのであろうと思います。例えば融資ということにつきまして申上げますれば、二、三融資と誤つてとられるような実例はございます。併しこれはいわゆる世間で言うような融資ではございませんのであります。例えば北海道拓殖銀行等に対する預金替えの事実というのはございます。これはどういうことかと申しますと、これも当時御説明申上げたんだろうと思いますが、北海道において、冬期に対する石炭手当、当時予算がまだ間に合いませんで、又向うに行きましては、現地におきましては冬期に向うてできるだけ早く石炭を入手しなけば労務者が困る。こういうような事柄なのでありまして進駐軍関係労務者の要請に基きまして、保險組合の預金を北海道拓殖銀行に預け替えをして、それを元に北海道長官をして融資を受けておられる。そして石炭代を間に合せた。こういうようなことはあるわけでありまするが、この預金の性質はいわゆる紐付とか何とかいうことの関係でありませんので、ただ普通の定期預金として北海道拓殖銀行に移行している、そういうだけの話でございました。恐らくこれは保險組合について直接調べなければわからんのでありますが、恐らく当時当座預金等になつておつたものを定期預金に替えたというような筋合になつておつたかと思うのであります。なお又なぜそういうことをしていいかということを私として考えたことはあります。健康保險組合員とそれから進駐軍関係の労務者というものは大体同じ性格でございます。進駐軍関係要員の利益を保護すること、即ち健康保險組合員を保護する、こういうような意味合において、これは本当のことを申上げますとちよつと困るのでありますが、そういうような金の動かし方そのものについては勿論差支えないと存じておりますが、政府の役人といたしまして、そういうような斡旋をするということを表向き堂々とやるということについては、これは御批判の対象になると思います。たとえ事柄はいいにせよ、何にせよ、そういうようなことは……、これは正直に申しますればかように考える次第でございます。
○カニエ邦彦君 北海道の問題は、私たちが調べましても、これは事情が事情であつて、適当な措置でないということは考えるのでありますが、併しこの点はまだ事情を諒とする点もこれはあるのじやないかという感じはいたすのであります。ところがその他の預け替え融資についてはどうも納得の行かない点が多々あるので……、先ずこの前に問題になつておりましたのは北海道を除けまして、明楽工業に対する融資、それから降矢繊維に対するところの融資、それからタオルの配給の問題或いは民生協会というものに対して融資されておるという点でありますが、そのうちでも特に民生協会についてお伺いをしたいのでありますが、先ず民生協会というものの組織機構であります。又その民生協会の事務所は一体どこにあつて、資本金はどのくらいで、それに構成されておる人たち、構成メンバーはどういうものであるか、又現在の資産の状態等について伺つて見たい。それから民生協会というものは一体性格からして商売をやつておるのかどういうものか。ただこういう御質問を申上げるのは、どうも、こういうものが特調のあたかも機構の一部分のような存在をして仕事をしておる、又さしておるということに疑義を持つておるのですが、今私が申上げましたような点について御説明を願いたいと思います。
○政府委員(根道廣吉君) 民生協会の現在の財政状態は私今何も見ずに申上げることはできないのでありまするが、その性質について先ず申上げます。これは古いことで、二、三年前のことでございます。一時、連合国軍要員が一般職に指定された時代がございました。これは第三回国会のときだつたかと思います。その当時政府の建前におきましては、当時の何といたしまして、一般公務員に対しては厚生方面についても特に意を用いて、いろいろ面倒を見なければならん、見るつもりだというようなことは、当時の政府が声明されたはずと記憶しております。そのときにおきまして、たまたま民生協会なるものが発足いたしたのであります。その民生協会は、連合国軍要員のためにできるだけ安価な品物を斡旋して、それによつて連合国軍要員の実質賃金を増したい、こういうような意図を持つておつたわけであります。たまたまその時期が一致いたしたのでありまするので、それは結構である、こういうようなことで、併しながら民生協会自体としてだけ動くのはどうか、先ず例えば総同盟とか何とかというような組合にわたりをつけ、組合と十分連繋の上で労務者の欲するようなものを欲するような価格で入手できるというような方途ができるならば結構である、それならばといつて当時の総同盟関係の、これが連合国軍要員の組合の中で一番大きいものでございます。それらの言うことをよく聞いて相談してやるほうがよかろう、こういうようなことを、私自身、当時事業局長という職を拜命しておりましたが、その当時言うたことがございます。 それからなお且つ民生協会は財団法人、初めは事実上の存在でありましたが、その後、財団法人三十万円前後の形ばかりのものであつたと記憶しておりまするが、それによりまして斡旋の業務を発足したのであります。私自身の当時の考え方といたしますれば、財団法人であるので、みずから商売をするのは好ましくない、従いまして適当な業者を見つけてその業者をして実務を扱わしめる。そういう恰好で行つたほうがよろしい。それから労働組合等とも連撃をとつて、そうして当時いろいろのまあ特配の物資もあつたようでありますが、そういうふうなものについていろいろの枠をとる。まあ特調といたしましても、進駐軍要員のための特配の物資の獲得ということについて再々労働組合等から要求を受けまして、できるだけのことはせねばならぬ立場にありました関係上、又当時そういうことをやらせ得るのもそこである。そういう協会だけしかなかつた関係上、個々の業者に直接関係を持つのでなしに、そういうふうな意図を以て動く協会、それが又実質的には本当の需要者であるところの連合国軍要員、まあいわば総同盟であつたのであります。そういうようなものとよく連撃をとつた上でいろいろな要求を持つて来る。それで特調がそれによつて安本その他に交渉して特配をとる。そういうふうなやり方で行くべきものである。こういうふうな考えで私は動かし始めたのであります。承認も又與えた。こういうようなことになつておるのであります。現在の状態はどうでありますかと申しますと、いろいろ仕事の見込違い、資金回収不能等のために、財団法人民生協会は相当の借財を背負つてしまつたというような事情もございます。今では現実においては殆んどそういう仕事は中止の状態ではなかろうかと存ずるのであります。
○カニエ邦彦君 そこで構成された当初から今のメンバーが、どういうかたがその構成メンバーに入つておるのですか。特調の役人がこれを兼務しておるというのか、或いは又今言われたよなう連合国軍要員のそういう選出された組合の代表者等によつて作られておるのか。
○政府委員(根道廣吉君) 組合と申しましても、組合は幾つもございますので、一緒には相成りませんのですが、それは独立として設立された機関であります。特調の職員は役員になつておらなかつたはずだと思つております。
○カニエ邦彦君 そうすると具体的にはどういう人がなつておられたのですか。
○政府委員(根道廣吉君) 松下君という元内務省の関係の人がおります。それから西野という人がおります。その事務所は初めの頃は町の中に出て来てちやんとした事務所を持とうとしたのでありましたが、なかなかないので、現在でもまだ法律上の所在は西野君の家になつていると考えております。私どもは個人の家にそういうような事務所を置くということは個人の仕事と誤解されるからよくはない、むしろ仮に特別調達庁に十分なスペースがありさえすればそこの中に事務所を設けて十分直接の監督もやらなきやなるまいかと、そういうふうなことも考えた時代がありましたが、御承知のように特別調達庁は自分自身の場所に非常に困難を感じておりますので、そこまでちよつと廻りかねたというようなこともございます。
○カニエ邦彦君 そこで、どうも私、おかしいのですがね。こういう、長官が先ほどお述べになつたような趣旨で生れるなら、長官がみずから一つそれを兼務してやつてやるとか、或いは他の代理をしてやらしめるとか、或いは又連合国要員側から一つやつて、そうしてそういう組織を作つてやつたというのならば、ちよつと話せるのですがね。特調に関係がない松下それから西野という人が、二人がそういうことをやつたと……。
○政府委員(根道廣吉君) 二人ばかりではございませんし、勿論そういう人たちと私いろいろ話合いをいたしまして、特調自身が商売に類することはできないから、幸いそういうような財団法人が私心なくしてやるということならば結構だと、こういうわけで援助したと、こういうことを申上げておるのであります。
○カニエ邦彦君 そこで何ですか、松下とか西野という主だつたかたがたは特調とはどんな関係にあつたのですか。突然何もいわれもない人が連合国軍の要員なり、大勢の人の物資とか或いは厚生のための、或いは又実質賃金の向上をやるようなこういう機関を設けて、そうしてやるのだということは、どうもおかしいと思うのです。
○政府委員(根道廣吉君) いろいろお尋ねでございますが、人はいろいろな所に関係があるものでございまして、西野君はたまたま私、昔から知つております。たまたま知つておりまするが、その仕事自体については向うが私の所に持つて来て、こういうことをやつて見たいのだがどうかと、こういうふうに出て来て参つたのであります。又当時私の記憶違いかもわかりませんが、すでにそれに類することを事実上やつておつた、それを更に拡充したいという希望を持つて私のところに話しに来たことがあつたと、こういうふうに覚えております。何分にもそういうことに関して細かい記録もありませんし、私ただ話合いのところを思い出しながら申述べておるのでありまして、非常に私は志よしと実は当時考えたのであります。併しながらこの商売斡旋たるや非常にむつかしいことであるので、十分これは連絡をとらなければ、最初の一回の供給だけで貸倒れを生じ、或いはそのために自分はつぶれ、供給した元の業者にも難儀をかけるというようなことにもなるから、ただ売るなどということ、売るということだけをやつたのでは話にやなるまいというようなことを言つたのが、一昨々年の頃のように覚えております。大分古いことでございますので……、なお附加えて申上げまするならば、その民生協会は御承知の通り志と違いまして、今や気息奄々たる状態にある。私としても誠に折角の志、通ぜずして遺憾に存じておる、こういう次第であります。
○カニエ邦彦君 もう一つ民生協会についてでありますが、これは長官が今即座にお答えになることは非常に困難であろうのかと思うのですが、私がいろいろ調査いたしましたところによりますと、こういうふうなどつちかといえば財団法人ではありますが、今お述べになつたように気息奄々としておるというような状態のものには、ふさわしからざる大量なものが扱われておるように実は聞くのです。従いましてこれについて現在まで特調が一体どれだけの仕事をこの民生協会に依頼したのか、その品名と数量、金額と、年月日、それからもう一つは注文したものをどれだけ今度は一体現実に要員に対して配給をしてやつたのか、こういうことの配給の状態、それからもう一つは民生協会ができてから現在までに特調の金を返してもらつたか、もらわないかは別といたしまして、どれだけの金を融資してやつたのかということ、金額であります。最後に、それは資料としてお出しを願いまして、なお融資をされたということが不正であるか正当であるかは別といたしまして、民生協会に対する融資の書類を私のほうに持つておりますが、これについてもこれをお認めになるかどうかということも一つ聞いて置きたいと思います。
○政府委員(根道廣吉君) いろいろこまごまと御要求がありましたが、先ず気息奄々たるものがなぜそんなにたくさん援助したかというようなお話でございますが、仕事をした結果気息奄々となつたのでございまして、これは逆でございます。それから融資をしたかというお話でありますが、融資というような形において援助したことは、直接にはないと考えております。間違いましたら訂正いたします。なお扱わせました仕事につきましては、関係の業者をやらせましたのでありまして、民生協会直接に私やらせる意図は持つておらなかつたのであります。
○カニエ邦彦君 時間が足りないようでございますから……。
○委員長(河井彌八君) ちよつと皆さんにお諮りいたしますが、もう本日はこれで散会する予定でありましたが、併しまだ政府との質疑応答が残りましたので、これを明日十時からどうでしようか、いいですかどうですか……。じや特調のほうもそういうふうに明日十時から委員会を続行いたしますからさように御了承願います。本委員会はこれで散会いたします。 午後三時四分散会 出席者は左の通り。 委員長 河井 彌八君 理事 楠瀬 常猪君 梅津 錦一君 尾山 三郎君 委員 郡 祐一君 カニエ邦彦君 吉田 法晴君 竹下 豐次君 政府委員 特別調達庁長官 根道 廣吉君 特別調達庁長官 官房長 辻村 義知君 特別調達庁長官 官房会計課長 大石 孝章君 特別調達庁財務 部長 川田 三郎君 特別調達庁契約 部長 長岡 伊八君 特別調達庁技術 監督部長 池口 凌君 事務局側 常任委員会專門 員 藤田 友作君 常任委員会專門 員 杉田正三郎君