水産委員会 第13号
- 発言数
- 59 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1951/02/21
会議録
○委員長(木下辰雄君) 只今から委員会を開会いたします。 本日は公報に挙げて置きました通り、ヘリングトン水産部長から、日本漁業の金融その他につきまして、報告の書類が各委員会に参つておりますが、これは皆様御一読下さつたことと存じますが、大体お互いに考えておつたような内容でありますが、これを政府が如何にして取上げるか、どこまで実際化する用意があるかということについて水産庁の意見をお伺いいたしたいと思います。一応山本次長から御説明を願いたいと思います。
○政府委員(山本豊君) 内容につきましては、あとで久宗君から御説明させたいと思うのでありますが、この扱いの問題につきましては、実はこれは御承知のように、ヘリングトン氏が、新聞発表という形で出されたのが最初でありまして、その翌日でありましたか、翌々日でありましたか、今度はシエンク中佐から総理大臣にお渡しになつたのであります。そのお渡しになりましたのに前文があるのかないのか、その点が明瞭でないのでありますが、ただ我々は、これは形式的にはいろいろ考えられますけれども、実質上は非常に結構な意見がまとまつておるわけでありまして勧告であるかないか、その点は疑義があるのでありますけれども、是非これを大きく取上げて、現下の行き詰つておる水産行政の打開の一助にしたい、こういうふうに考えておるわけでありまして、目下我々のほうにおきましてこの五項目を仮に実施するといたしますと、予算的に、どういうことになるかというふうな点、又中には現に実施しつつある問題もあるわけでありまして、それらに関する見通しを大雑把にいたしましてもつけまして、できれば一つ閣議決定といいますか、了解というようなところに持つて参りたい、こういうふうに現在考えておるわけであります。幸い衆参両院のほうでも十分御検討頂きまして、何らかの形で一つ政府を鞭撻するような方向に御決議なり、或いは然るべき方法で扱つて頂ければ非常に工合がいいのじやないかというふうに考えておる次第であります。現在水産庁としましては、多少の予算の見当を参考に付けまして、閣議の了解にまで持つて行きたい、こういうつもりでおります。
○委員長(木下辰雄君) 内容を詳しく御説明を願うことは、時間の都合上できませんし、又皆さん内容は御存じのことと思いますので、大体全貌について久宗君から御説明を願います。
○説明員(久宗高君) 只今委員長からお話のございましたように、案の内容につきましては大体お読みだと思うのでございますが、全体の構造につきまして註釈のような形でお話申上げたいと思います。 一番最初に本文が附いておるわけでございまして、これに九つの参考資料が附いております。そのうち参考資料のⅠⅠⅠというのは、少し古い専門的な資料になりますので、まだ翻訳いたしておりませんので、飜訳いたしました上、必要に応じてお配りしたいと考えております。御説明の便宜上一番最初にございます「日本沿岸漁民の市面している経済的危機とその解決策として五ポイント計画」という本文から御説明申上げたいと思います。本文の一番末尾に註が附いておりますが、これに書いております案の内容につきましては、ヘリングトン氏が帰国に先立ちまして従来の施策の総決算というような形で、水産業界のかた、官庁側からの人が指名されまして、一月十三日以降数回に有りて会合が催されたわけでございます。それに参加されたかたの名前は資料のあとに附けてございますが、この数回重ねられましたディスカッシヨンの過程では、主として本文が問題になりまして、それについて一つ一つ参考資料があとから出て来るというような形をとつたわけでございます。従いまして本文につきまして概略を申上げたいと思います。 本文の一番最初にこの案の考え方がまとめて書いてあるわけでございますが、骨子だけを申上げますと、つまり終戰以来、天然資源局水産部の努力というものは取あえず復興計画というものに集中された、そして物資的な意味の復興計画というものは相当程度達成されたということが、事実を以てここに記録されておるわけでありますが、併しながら問題は物資的な復興計画はほぼ達成したが、現実には、殊に沿岸漁業においては非常な経済的な危機に直面しているのじやないかという点を指摘いたしまして、その原因といたしまして三頁の所でございますが、先ず戰時より約四〇%の漁民の増加があるといつた点、それからその結果漁獲の分配の過程におきまして、各漁民の取り分が戦前より少くなつている、更にCといたしまして、いわゆるシエーレの問題でありますが、価格が非常に低いのにかかわらず経費のほうはどんどん増加している。こういうふうな問題が基本的なあれになつて、ここに大きな経済的な危機が来ていると言われているわけであります。こういうような情勢に対しまして何らかの措置が打たれなければならないのであるが、一般の漁民のかたがたから、いわゆる漁区拡張の問題と、更にもつと融資の途を開いてくれという二つの問題が非常にたびたび要永され、それについての考え方がここに披瀝されているわけでございまして、先ず漁区拡張の問題につきましては、漁区拡張そのものが日本経済に非常な貢献をするということは勿論確かであるけれども、併しながらそれだけを以てしては今の沿岸の漁民の直面している危機は打開されない、この点が相当議論になりましたところでございまして、この書類によりますと、例えば人数の比較というような点が大分出ておるのでありますが、これはこれに参加しました日本側のかたがたから、單に人数の問題ではないという点が強調されましてここは二回にわたつて書き直されてこういう形になつたわけでございます。いずれにいたしましても、漁区拡張問題も確かに日本経済全般について大きな貢献をするが、それだけを以てしては沿岸の今の経済的危機は解決できないという問題になつているわけでございます。更にもう一つの点、つまり融資の問題でございますが、現状をそのままにしてただ融資を増して行くというだけでは、これ又解決にはならない。結局こういうような深刻な危機を打開して行く上においては、従来やつておつたようないわゆる復興的な措置だけでは十分ではないので、この際根本的な切替と申しますか、拔本的な長期計画が必要である、それにはいろいろな方法があろうが、少くとも次に掲げる。ポイントというものは最小限度必要ではないかということで、五つのポイントが挙げられているわけでございます。第一のポイントは、それは濫獲漁業をそのまま続けさせておつてはいけない、これを何とか措置して、いわゆる漁獲操業度というものに所要の制限をする必要があろうというのがポイントの一でございまして、具体的に申上げますと、底曳或いは小型底曳と言われる問題がここに取上げられておるわけであります。第一ポイントは非常に強調された点でございまして、案の内容も相当具体的な形になつております。併しながら、ここに書いてございますのは一つの処理の仕方でございまして、それを勿論具体化して行きます場合に、個々のいろいろな政策が出て来るわけでございまして、それにつきましてはあとで又結論のところで申上げたいと思つております。ここで指摘されておりますのは、要するに現在非常に、特に底曳関係において許可の実態というものが非常に混乱しておる、これを一応先ず仕分けいたしまして、許可のあるもの、それから他の許可を受けておるが、実際には底曳をやつておるもの、それからいわゆる無許可船、それから或る特定の期日以後において新たに底曳に潜り込んで来るというようなものがあつたとすればそういうもの、これを一応仕分けいたしまして、それを計画に従つて低減して行くという方法が書いてあるわけであります。要するに一挙に片付けようとしても無理であるから、計画的にそれを整理して行くということを主体とした全体としての考え方がここに書かれてあるわけでございまして、これの一部につきましては、すでに国会のほうにもお願いしております例の小型底曳の処理という問題が、現実の政策としてはすでに進行しておるわけでありまして、そういうものもすでに関係方面とは御了解の上で進めておりますので、それの一つの発展としてこういうふうな形で濫獲漁業の調整という問題が出て参るわけでございます。第一のポイントにつきましては参考資料のⅠに具体的な詳細な資料が附いておるわけでございます。 第二のポイントはこれと又関連のある問題でございますが、いずれにいたしましても堅実な資源保護規則というものが広汎に整備されなければならない。又その根抵といたしまして、調査研究の組織なんというものが確立しなければならんということが主体でありまして、これは主としてリッチ博士の勧告書を基礎にいたしましたものの要約がここに現われておるわけでございます。ただここでもやや注目すべき点として考えられますのは、海面につきましてもいわゆる人口孵化とかそういつたような問題がやかましく相当議論になつておるが、やはり根本的には漁業操業の調整と、稚魚の保護ということをまじめに着実にやつて行くべきじやないか、それが資源の維持に最も有効な方法であるという点が相当強く強調されておる点であります。これにつきましては参考資料のⅠⅠ、リッチ博士の論文でございます、それから更に参考資料のⅠⅠⅠがございますが、これはヘリングトン部長が大分前にお書きになりました古い資料でございますので、特にここには載せておりません。特に専門的な人が必要の要求があれば、訳してもらいたいということで、原文のほうは私のほうでお預りしておるわけであります。 それから第三ポイントは、これは主として昨年来朝されましたクローカー氏の勧告が主体になりまして、結局いろんな漁業の取締の規則は幾らよくできていても、それを本当に実行する組織がなければだめじやないかということが主体になりまして、それには水産庁だけでなしに、府県の水産当局においても取締の専門の組織というものを作る必要がある。これについての必要な具体的な勧告があるわけでございますが、ここにただその要約になつておるわけであります。ただポイントとなります点は、何かほかの仕事をしながら取締をするということではだめなので、取締の専門の部局が要るという点が特に強調されております。又それを作りますに、やはり着実に固めて行かなきやならんだろうという意味のことがクローカー氏の報告の中には、これが相当具体的に書かれておるわけでございます。これは国内的に申しますと、いろいろ保安庁との関係とか、或いは予算の問題とも絡んで参るわけでございますが、それについてもやや言及されておるわけでございます。 それから第四ポイントは、これは極めて常識的なことでございますが、いずれにいたしましても漁民の収益の増加ということが考えられなければならない。その第一といたしまして、先ず受取るほうのプラスの面、これを増加する、勿論これは当然考えなければいけないということで、これは私から御説明するまでもないと思いますが、幾つかの具体的な問題がここに書いてあるわけでございます。又第二の問題としまして逆に経費を節減する方法というのが書かれておるのでありますが、この両者相待つて漁業が矢質的な收入を増すということを書かれております。それにはいろいろな具体的な項目について参考資料のⅤ、ⅤⅠ、ⅤⅠⅠというのがこれに関連があるわけでございます。更にⅤⅠⅠⅠの一部もこれと関連があるわけでございます。ただここでやや注目すべき問題といたしましては、エキステンシヨン・サーヴイスという問題が出ております。これは十七頁の所でございますか、これはここで改良普及事業と書いてございまして、普通我我の改良普及事業と申しますのは、比較的技術的問題に限られておるわけでございますが、これについての具体的な勧告を見ますと、それは非常に広汎なものでございまして、いわゆる技術的な問題から社会経済的な問題全部を含んでいて、漁民に非常にわかりいい形で具体的にエキステンシヨンをやつて行く必要があるということを強調されておりまして、それで又その方法としましても、いきなり非常に大きな組織でやるのではなくして、非常に地味にこつこつと固めて行くというようなことが、こういう事業を本当に仕事に乗せて行く場合に必要だという点が強調されております。これは当然現在の漁業の段階で必要なのでございますが、それに対して相当具体的な意見だと考えられますし、又そのような形でやりますというと、相当仕事の内容につきまして、技術的問題だとか或いは経済的、或いは社会的問題をよく漁民にわかりやすいような形で、如何にして普及して行くかということを相当具体的に考えなければなりませんし、又非常に必要なことであろうと思います。このエキステンシヨン・サーヴイスにつきましては、参考資料のⅤⅠⅠで、向うのスミス氏の資料が附いております。スミス氏はアメリカにおきまして農業関係でこういうエキステンシヨン・サーヴイスを実際やつておられたかたでありますので、そういう経験からも割出して、具体的な勧告をここにいたしているわけでございます。 それから第五のポイント、これはいわゆる金融問題でございますが、とれについては参考資料が二つ附いております。一つが、これも昨年おいでになりましたゴードン氏の勧告というものと、更にそれと併行いたしまして天然資源局の水産部でまとめ、ヘリングトン氏の名前で発表されております日本漁業への金融という二つの参考資料が附いております。ここで問題にしております点は、結局金融問題が他の四ポイントと切離されて出たのではだめだ、いずれにいたしましても他の四つの問題が前提となつて、それと同時にこの問題を取上げなければ効果がないということが強く書かれておるわけでございます、又その内容といたしましては、いわゆる救済的な融資というものと、普通のビジネス・ライクに乘つて行くというような金融というものをこつちやにしてはいけない。両方勿論必要であるが、ごつちやにしてはいけないという点が特に強調されているということが考えられるわけでございます。具体的の勧告につきましては、今のゴードン氏と水産部でまとめた案というものがあるわけでございまして、それと比較してお読みになつて頂きたいというわけでございます。 以上が簡單な御説明でございますが、ただ末尾のこの五ポイント計画そのものにつきましては、一つの大綱を示されたわけで、ございましてこれはいずれにしても、今の沿岸漁業の危機を打開するのには必要であろう。従つてこれのいろいろ具体的な実施案というものを作成されます場合には、相当周到な考慮と企画が必要であろうという点が強調されておりますのと、これには訳が余りいい訳ではないのでありますが、聰明、誠実、進歩的な指導と管理が必要であるという点も強調されておるわけでございます。そこで又更に一番末尾のこの計画というものは、五ポイントの計画をそれぞれ切り離しては意味がないので、一つのよく総合された、ウエル・コージネイテツドという言葉を使つておりますが、総合された計画として実地に移さなければならないという点が、これ又非常に強調されているわけでございます。 以上がこの案の大体の御説明でございますが、この案そのものと、個々の資料との関係は必らずしも明確ではございません。資料のほうにおきましては、相当具体的な勧告が附いているわけでございますが、時間的なずれというようなものも若干ございます。それからこれの参考資料に基く一つの結論が、本文のほうは更に意訳して曹かれている場合もあるわけでございますが、これが全体として一つの五ポイント計画として提示されているわけでございます。これの受け取かたにつきましては、先ほど次長から申上げたわけでございますが、ただ附け加えて申上げて置きたいと思いますのは、この案そのものが、この末尾で、最初に申上げましたように日本の官庁側、それから民間側のかたも入つてディスカッシヨンをされて、こういうことが誰が考えても必要じやないかという形にまとまつておりまして、それがヘリングトン氏が帰られるに先立つて新聞発表という形でなされたのでありますが、この案全体としては、やはり勧告というような形で出たものと受け取つていい問題であるし、又それによつて水産業の発達を集中して行く必要があるのではないかということは、先ほど次長から申上げたような通りだと思います。個々の参考資料につきましても御質問があればお受けいたしますので、一応全体の案の構造につきましては以上のようなことになつております。
○委員長(木下辰雄君) 全体の案の構造についての御質問なり、或いは取扱いについての御質問がありましたらお願いいたします。
○千田正君 この案の批判は別として、私はこの案と並行して伺いたいのは、世界の国民の中で、日本と同じように水産蛋白資源を一つの重大なる食糧の副食物として取扱つておるところの国々の、ほかの産業との人口比率というようなものが、正確に水産庁においては入手されておるかどうかということは、申すまでもなくこの案の一番最初に書かれておる通り、沿岸の漁民の数が戦後四〇%も殖えておるということが述べられております。日本国民のいわゆる水産業という業に従事しているところの人口の比率というものは、恐らく世界にないほど高い比率になつておると思いますので、これを十分に日本が研究しておらなかつたとするならば、将来、勿論これは浴岸漁民を救うための立法な案とは思いますが、船舶の数を制限し、或いは操業の限度に対して制圧を加えて行くという場合においても、世界各国の漁民の数と、その漁獲物は如何にして国民の蛋白給源に役立てておるかというような比較研究されない限りにおいては、我々は今後仮に国際条約が結ばれる際に際しても、この生きて行く国民の数の如何によつて日本の漁場が拡張されなければならないという点において、主張しなければならない根本的理由があると思うのであります。この点につきましては水産庁それ自体が、世界各国の漁民の数というものと、そうして漁民の置かれておるところの、水産業の置かれておるところの、その国の産業の位置というものはどの程度の重要さを持つておられるかという点を、水産庁において若しお調べがあるとするならば、これは承わつて置きたいと思うのであります。
○説明員(久宗高君) 只今千田委員からの御質問でございますが、各国におきます水産業のその国の国民経済における地位というものの具体的な資料を数字で御説明するというようなことは、私としても、そういうような資料は水産庁でも持合せていないわけでございます。併しながらこれは総体的に見まして、日本の国民経済の中におきます水産業の実際に果しておる役割と、それに対する国民経済における地位というものが非常に開いておるという問題は、具体的に漁業経営が非情に詰つておるという点で明確に立証されておると思うのであります。こういう点につきましては、数字的なお話ができないのが非常に残念でありますが、そういうことを根抵といたしまして、漁業制度改革が進められておるわけでございまして、これはこのヘリングトン氏の報告におきましてもいろいろの具体的な復興計画が進められたにかかわらず、このような問題が残つておるという点、この点はむしろ先方が非常に十分これを認識していないという問題ではなくて、はつきりこの段階においてこの問題を確認されておられるというふうに受取つていいと思うのであります。
○千田正君 非常にいいお答えでありまするが、私どもはこの講和会議を前にしまして、その根抵をなすもの、殊に水産業というものに対しての根抵をなすものは、漁民が遥かに戰前の数よりも殖えておる。それから漁船も殖えておる。然るにその資源が枯渇している、そうして日本の国民経済の一端を担つておるところのこの水産業の育成というものは、非常に憂慮すべき事態に到着しておるというので、幸いにして連合国の天然資源局のほうにおきましては、かようなアドヴアイスをして頂いておることは有難いのですが、更に一歩進めて、我々が考えなければならないことは、日本の国民経済の一端に、而も重要なるポジシヨンを占めておるところのこの水産業が、将来世界のいずれの国かへ向つて、非常に正当な意味において、国民の生活を維持する正当な主張を我々が求めなければならない、その基調がどこにあるかということになるというと、我々は勿論これに従つて日本の水産業に対する自粛自戒という点もあります。同時に我々が求めておるところは、ほかの国よりも遥かに比重の多い、国民経済に影響する水産業は、更に多くの漁場を求めなければなりません。戰争によつて領土を失い、それによつてその沿岸を失つた日本といたしましては、人口の増加に従つて我々は遜かに戦前よりも大きい漁場を獲得せぬ限りにおいては、日本の水産業というものは維持できない、こういう結論に達した。今夜の講和会議の前提において、自粛自戒するこうした案も根本の施策として必要でありまするが、同時に将来この漁場拡張というような問題に向つて、世界が日本の水産業というものを認識して頂くという点において、先般公開ができないで、祕察会議のようでしたが、日本政府の主張するところが、アメリカも十分に日本の立場を理解して、日本の今後の漁場というものに、日本の漁民が働く範囲を戦前より遥かに広くして頂きたいというのが日本の声であるということを、私は反映してもらいたいということを強く主張したのであります。その点におきましても水産庁としましても、十分なる資断を整えて、我々に参考にできるものを頂きたいと思いますので、どうかその点の資料の収集をお願いいたしたいと思います。
○政府委員(山本豊君) 只今千田委員から申されましたことは、我々も至極同感であるわけであります。この前の秘密会にもそういう点に触れたお話がちよつと出たかと思うのでありますが、これは先だつて二、三日前でありましたが、へリングトン氏の送別会というような席上で、これは水産関係の審議会の委員の連中なのでありますが、或る人から、千田委員の言われたようなことを、お別れに際しての言葉であつたのでありますが、それを縷々申して、その点を御認識して頂きたいという希望も出ておるのであります。これは至極人を得たのでありまして、我我が言うよりも、業界の言葉として言つて頂いてよかつたのであります。それと同じように現段階におきましてその点は認識してもらわなければならんのでありますけれども、今の御注文のありましたように、確たる資料もなしに声だけを大きくそういうことを言うということは、今後の漁業協定、漁業条約の関係から見ましても、却つてマイナスになる点がありはしないかという点も一面あると思うのであります。併しこの講和会議の段階、時期によりましてはそういう点はそれまでに一つ相当に資料を整えまして、言うべきことは言わなければならんというふうに私は考えておるのであります。殊に我我の考えておりまする点は、この殊に沿岸漁民の数など私は確たる数字は知らないのでありますが、漠と言いましても、アメリカとか英国等におきましては恐らく十万を出ないのじやないか、ところが日本はこれの十倍で、百万以上に亘つておるのであります。この漁民の生活という問題は、やはり非常に考えなければならん点であると思うのであります。又蛋白給源のパーセントの問題、これなどもこれは日本国民の全体の責任であると思うのでありますが、一応食糧政策なるものが、單に米麦だけを中心の食糧政策が依然として切り変りがないのであります。私たち量は少くても、いわゆる質的に蛋白給源を補給するというその新らしい大きな食生活というものを築き上げなければいかんではないか、そういう意味からいいますというと、例えば畜産であるとか或いは水産であるとかいうような面を十分噛み合わせた食生活というものに国民が眼を開きますれば、これは例えば、無理をして外米を輸入する金で、もつと水産をいろいろやる予算を取つたらいいではないかというふうな気持も持つておるわけであります。そういう根底から出発しませんことには、或る程度まで蛋白質が幾らなければならんという理窟が、やつぱり徹底しないというふうな見かたになるのではないかと思います。いずれにしましても、そういう気持を持つておりますので、一つ今御注文のありましたような資料をまあいろいろと手を廻しまして、できるだけのことは考えて見たいと、こう思つております。
○委員長(木下辰雄君) ほかに御質問ありませんか、私からちよつと質問いたしますが、先に山本次長からこの案の取扱いかたについて一応水産庁の立場をお述べになりましたが、大体行政的の措置は水産庁でおやりになつてもいいが、これを実行する上においては法制的の措置もあるだろうと、こう考えますので、一体これを具体化する場合においては、委員会組織でもお作りになるおつもりであるのかどうか。或いは水産庁だけの考えでおやりになるつもりであるのかどうか、その辺のことを一通りお願いいたします。
○政府委員(山本豊君) 只今もはつきりとした見通しを考えておるわけじやありませんので、その点長官なり或いは大臣の御意向も承わらないと結論は出ないと思うのでありすすが、まあ私の考えでは、今委員長の申されましたように、この予算も相当な予算が要ると思うのであります。それから又ものによつては至急に法制化しなければならない問題もあるしいたしますので、これはどうしても單に水産庁だけでは利底実施できないものであります。衆参両院なり、或いは又必要によつては業界なり関係官庁の意見を徴しまして、まあ委員会のような、形式はどうでもいいのでありますが、そういう世論を挙げてのという一つの気持にならないことには、利底これはまあ予算を、一億にいたしましても取れないわけでありますので、何らかまあそういりような気持でおるのでありますが、これが具体化につきましては、或いは委員会を作るほうがいいとか、或いは時として一つ御会合を願うというようなことになりますか、その点はまだ決定的には今までやつておりませんが、とにかく各界の御援助を得ないといかんと思います。とにかくまあ手始めとしては、それをやるためにはやはり少く上も全体につきまして閣議了解というふうな手配までは持つて行かないと、そういうことはなかなか困難だと思いますので、取あえずそういうようにやりたいと考えまして、大臣にもいろいろとお願いしておるわけであります。早ければ来週中には閣議へ持つて行きたいと、かように考えております。
○委員長(木下辰雄君) ほかに御質問ありませんければ、この問題はこの辺で打切りたいと思います。
○委員長(木下辰雄君) この前の委員会で水産銀行が出ました場合に、久宗君から大蔵省と折衝する、その折衝の結果は次の委員会で報告するというお話がありましたが、その後の経過をお述べ願いたいと思います。
○説明員(久宗高君) この前お話しましたあとの経過でございますが、月曜日の日に一応まとまりました案を大蔵省のほうに伝えておきました。併しながら大蔵省におきましては、これは銀行局だけの問題ではないのでありまして、主計局その他理財局、いろいろ関連があるわけであります。そこで案の一応の御説明を担当の特殊銀行課長にお話を伝えたわけでありますが、それにつきましては更に関係者全部集めまして、統一的にお話を聞きたいからということで、そのままになつております。恐らく今日或いは明日くらいに向うの関係官のかた全部お集りの上で具体的な御説明に入るという形になると思います。
○委員長(木下辰雄君) この問題について御質問ありませんか。
○千田正君 非常に当委員会並びに水産当局がこの水産金融の問題、特に水産銀行の設立という問題について懸命の努力を捧げておりますが、一方実際この銀行の設立によつて享受できるところの日本の漁民の団体、漁業協同組合、或いはその他の水産業界の人たちは、一体如何なる方途になつて我々のこの案に対して協力するという態勢を整えておるかという点につきまして一応私は伺いたい。私は残念ながら水産業出身の人間ではありません。併しながら私は日本の水産業のために、一委員としてこの水産銀行の設立の一日も速かならんことを希つて一生懸命やつておるわけであります。果して業界の諸君、或いは漁民の諸君は、この問題についてどれだけの熱を持つているかという問問に対して、委員長なり或いは水産庁なり、諸般の最近の事情、わかりますならばお話し願いたいと思います。
○政府委員(山本豊君) 私はこの問題は單に水産庁なり、又衆参両院水産委員の皆様がたの御協力を得ましても、実際問題としては漁民の問題でありまして、天下の漁民が強くこれを要望し、又実行するという気持にならない限りは、なかなかうまく行かないと思うのであります。と申しますのは。あの案にありますように、いわゆる出資が十二億で、そのうち十億円は見返資金でありますが、その二億円については、これはやはり沿岸漁民の多数の集合体でありまする県漁連などが、少くとも六割乃至八割ぐらいは、まあ金額は幾らになるかわかりませんが、分担するというところに来なければならん。それを五大会社が持つというようなことになつては意味がないのであります。そのことは我々も考えておるのでありますが、ただそういう運動を起すのにはちよつと時期が早い。実は案が、いわゆる最終案と言いますか、きまつたのが漸く先週でございます。なおこれを大蔵省あたりのいわゆる事務的な、無論全面賛成はなかなか困難だと思うのでありますが、事務的な意見もよく聴取した上で、一つ県漁連の主だつた人たちに集まつてもらうなり、或いは漁経連、漁経協とも連絡をとつて、無論批判はいろいろあろう思うのでありますが、批判は批判として、とにかくこの方法しかないということになりますれば、協力が頂けるのじやないかと思うのであります。そういうふうに強く働き掛けなければ、独善ではできないと考えております。そういう意味合いで、実は漁経協であるとか、久宗君のほうから、暫定的ではありましたが、相談に、まだ極秘の内々でありますが、連絡はとりつつあるのであります。ただ大ぴらにやるのは、もう少し時期を置いたほうがよいのじやないかと思います。
○委員長(木下辰雄君) 私からその情勢をお話いたしますが、この前水産当局から、この案は秘密であると言われましたので、私どもはあの内容は関係業者あたりに発表しておりませんが、新聞にはすでに具体案が発表せられておるのでありますから、或いはもう秘密にする必要もないだろうと思います。今日実は私漁港審議会の部屋に入りましたところが、業者のかたから、水産銀行ができるのに反対しておる者は参議院の水産委員長一人だというが、どうだ。我々は銀行の設立を衷心願つておるが、一体あなたは反対かというようなお話があつた。それは誤解じやないか、私は初めからゴードン氏の勧告通り一番困つておるのは沿岸漁業であり、協同組合であるから、協同組合中央金庫というような形において救うのが一番よいのじやないかと思う。普通の銀行であつて、而も営利銀行であれば、恐らく零細漁民のほうに金が廻ることは少なかろうというような意味において反対しておつたのだ。併し最近の案に示されたように沿岸漁業の協同化、或いは生産組織の改良という点において十分なる金融はつく。我々の希望通りの金融ができることが確実ならば、我々は何も反対するのじやないのだ。要するに最も困つておる協同組合金融を中心に考えて行かなければならんという意味においてこの案ではどうかという疑問がある。それさえ解決すれば、何も自分は反対しないのであるということを今日申しましたが、折角水産庁が作つておる案を、木下氏は一人でぶちこわしているというふうに誤解している向きもあつたものですから、そこはまあ私一応釈明して置きました、併し金融機関の設立については非常に今希望しておりますし、一日も早く全国漁業協合組合会長会議あたりに示されて、その辺の意見も聞かれ、協力も得て量も理想的な案が成立することを私衷心希望いたします。
○青山正一君 只今委員長のおつしやつたことは至極御尤もであります。ただ私らの問題とすべき点は、この十二億で、朝日新聞に出ておる記事を見ますと、十二億の資本金というような恰好になつておりますが、十二億が漁業者のいわゆる今度の漁業証券を担保として、漁業証券の資金化、これを担保として考えておるのかどうか、その点を一つ承りたいと思います。
○政府委員(山本豊君) 十二億円は全然漁業証券を考えていないのです。それで、ただあれだけではいわゆる資金計画でも多少不足いたしますので、そのほかに更に五億ぐらい、結局最後には十七億ぐらいに持つて行きたい。そうしませんと二十倍の証券を発行しても辻褄が合わない。その五億は場合によつては漁業証券を資金化したやつでやろうと、こういう考えなのです。
○青山正一君 その場合におきまして、最近中金を利用しようというような議論が非常に行われておりますが、これは私も当然だろう、思います。つまり沿岸漁業者が与えられる百七十億のこれを資金化する、換金化してそうしてそれによつてやるのだからして、そういうふうな部面を中金へ入れてはつきりその面に使わしてやつて行くというふうな議論が行われるのは当り前なんですが、ただ又一方におきましては、例えば海洋面の関係、或いはいろいろな市場金融の関係、或いは漁網の関係、そういつた関係の一般金融、いわゆるそれ以外の金融ということもやはり考えなければならんわけなんですが、そういつた意味くいからして、今度できる水産銀行の関係とどうもこの百七十億という関係が非常に混同されておるような気がしますが、この面を中金へくつ附けて行くというふうな考えはありませんですかどうですか、その点を一つ承わりたいと思います。
○政府委員(山本豊君) 現在のところはいわゆる中金を活用して行くという考えを持つていないのであります。併しながら、と言つて中金とも今までの取引関係があるわけでありまするが、それを奪つてまでやろうという気持はないのであります。当分とにかく両建で行きまして、又事務については中央金庫の地方のいろいろな形のものを使うという形で行きまして、これはちよつと形勢観望みたいな恰好になるのですが、その上で一つ又最後の腹をきめたらよかないかというつもりでおります。
○青山正一君 それならばこの十二億のぼうに新らたに五億というものを、つまり証券を対象としての関係を余分に入れると、こういうわけなんですね。つまり十七億というようなことになるわけですか、どうなんですか、その点を承りたいと思います。
○説明員(久宗高君) 今の十七億というのは、一応初年度、二年度、三年度というところで、要求されるものは、十二億の資本金で仮に二十倍の債券が消化されるならば、そのくらいになつて行くだろうという考え方でございます。併しそれでやつておりますものは相当長期のものが出るわけでございますから、更にその次の年度、その次の年度というものまで考えました場合に足りなくなつて来るわけでございまして、そういうような場面に立ち至りました場合には、更に漁業証券の資金化された分の金についてそれを増資に当てて行くということが考えられると思うのであります。勿論これはその証券の所有者のかたがたの完全な御了解が前提になつてのお話なわけでありますが、そういうことは可能であろうと思つております。それから附加えて申上げますが、百七十億の中金の関係がそこへさつきお話に出たのでございますが、いずれにしても今度の銀行案の考え方といたしましては、どの途をとりましても、やはり証券の資金化それ自体につきましても、農地のような一般的な流通性を禁止する、奪つてしまうというような形がとられない場合でも、やはり資金計画なり財政計画の中にそれが乗りませんと、具体的に正当な資金化ができないわけでございます。いずれにしてもそういう枠が必要になりますので、そういう意味でその枠が、今度の水産銀行のほうの枠で確実に取つて行こうという考え方が前提となつておりまして、中金のほうの枠を仮に使わないとか、使えないとかいう問題ではないのであります。その場合に、仮に中金がなさる場合に、それだけの資金の枠が他に影響なく取れるかという問題が出て来るわけであります。
○青山正一君 世間ではこの問題について相当騒いでおるわけであります。例えば海洋漁業関係の面、或いはその他市場金融のような関係の面、こういうものが別だけに、そういつた面、それからもう一つはこの沿岸漁業者の面、この沿岸漁業者の面は百七十億の漁業権証券の問題に繋がつておるわけでありますが、その点を誤解のないように、例えば水産銀行ができる場合において、はつきりとこの百七十億を担保としての、いわゆる証券の資金化されたそういつた面の部と、それからその他の面とはつきり分けて、区別して、そしてこの面はやはり沿岸漁業よりほかに使われないんだというような関係にして置いたほうがいいんじやないかと、僕はこういうふうに考えておりますが、そういう気持があるかどうか、その点を一つ承わりたいと思いま
○説明員(久宗高君) 今のような御意見は各方面でお聞きするわけでありますが、これを具体的に資金の枠で押付けすることは適当かどうかという問題は、私は一応今後の問題ではないかと考えられるわけであります。この銀行の案そのものが当初は資金化という問題と非常にごつちやになつて出て来ておつたわけでありますが、基本的にはやはり水産業に当然出ていいはずの中長期資金がない、それをやはり財政的な措置によつてそういうものを水産業に注ぎ込んで行こうという、それの受入態勢としてこれが考えられるわけでありますが、そういうような枠が参りました場合に、それを如何に利用して行くかという問題については、従来はそういう新らしい金融の制度ができましても、たまたまそれを受入れる態勢が整つていない、担保もないというようなことから、仮にその関係のかたが一番困つて、る人に貸そうといたしましても、そういう金融のベースに乗つた場合に貸せないという問題があつたわけであります。それに対して今度の場合は沿岸の関係のかたに、少くとも漁業証券という具体的な担保があつて、ただそれを資金化して行く場合におきまして、この金融機関にその枠があつて、それも而も証券を売払つてしまうという形でなくて、それを担保に入れて引出して来るという途を開いたというふうにお考えになつて頂いたほうがいいんじやないかと思います。
○青山正一君 最近この参議院の委員会におきまして、結局衆議院が取上げない水産省設置の問題が出ておるわけでありますが、それと同時にこれは明治初年以来、この水産の業者が相当水産銀行の、単独銀行の設立というふうなことを非常に叫んでおる際に……まあ特にこの設立を非常に喜んでおるわけなんでありますが、ただ問題は、只今久宗さんからいろいろ御返答もありましたんですが、沿岸漁業の金はどこまでも沿岸漁業の金というふうなこととして、沿岸漁業者に十分に均霑を与えられるような一つ特に御努力願いたい、こういうことをお願いいたしまして、私の質問を打ち切ります。
○委員長(木下辰雄君) ほかに御質問ありませんか、ちよつと速記とめて。 〔速記中止〕
○委員長(木下辰雄君) 速記始めて。
○松浦清一君 日本漁船の拿捕事件に関連して真相究明のため証人を喚問することの動議を提出したいと思いますから御採択願いたいと思います。
○委員長(木下辰雄君) 只今の松浦委員の動議、即ち拿捕事件に関しまして証人喚問をしたいという動議でありますが、御異議ございませんか。
○青山正一君 実は吉田書簡とダレス書簡のあの取交しがあつたあとに、中共から拿捕されておる船が相当あるようであります。相当前の委員会にも問題になつておりましたのですが、委員会の各委員がやはり想像しておる通りに、このマツカーサーラインを無視しちやつて、あの書簡の取交し後、いろいろ中共の船が、中共と思われるような怪船が大隻なり五隻なりが日本の、船を拿捕しておるというふうな実情があるわけであります。現在においてももうすでに七隻にもなつておるわけなのですが、こういつた問題は、共産党の関係もいろいろ十分調べて見なければならんわけです。一応一つ松浦委員の動議を御採択願いたい、こういうふうに考えます。
○千田正君 動議の御採択になる前に提案者の松浦委員にお伺いしますが、これはいわゆる朝鮮事変を中心として九州方面における拿捕事件を主体としますか、それとも現在はたびたび聞くのでありますが、北海道と千島の間においても同様の問題が起るがごとく仄聞する点もあるのであります。それでどちらに、どつちもお取扱いになるのでありますか、それとも今の九州方面における問題を主体としてやられるのでありますか。
○松浦清一君 私の提案をいたした動議は、東支那海に限つてであります。それから北洋方面における問題に関連しては、非常に重大な問題が内蔵しておるように床間をしておるのであります。この点については別の方法において後刻提議をしたい、こう考えておりますから、今の問題の提議されておりますのは東支那と限定されております。
○青山正一君 速記を中止して、松浦さんからその北洋の関係をお述べなすつたら如何でしようか。
○松浦清一君 これを言うと長くなるので……。とにかく早く証人を喚問……ちよつと速記とめて。
○委員長(木下辰雄君) 速記とめて。 〔速記中止〕
○委員長(木下辰雄君) 速記始めて。松浦委員の動議を議題に供します。松浦君の動議に御賛成のかたは挙手を願います。 〔総員挙手〕
○委員長(木下辰雄君) 全員賛成でございます。動議を採択いたします。それでは松浦委員に私からお伺いしますが、提案者のほうでは何を具体的な喚問する証人か何か具体的なものがありますかどうか。
○松浦清一君 その前に、喚問をしなければならぬと考えておる事情の陳述をやらして頂きます。私は過般の委員会で講和問題に関連をして日本の将来の水産業が非常に重大な危機に直面しておるということを申上げて、而も講和の問題はダレス氏の来日以後、これは好むと好まざるとにかかわらず、中共、ソ連等を除外をした多数講和になる公算が、いろいろの情報を総合して考えて見れば極めて大きくなりつつある。若しこういう結果になつた場合一に、日本の水産業の発展すべき最も好個の漁個の漁区である北洋、それから東支那海方面が、中共、ソ連との講和がならなかつた場合に非常に危機に瀕して来る。これに対して講和会議の開かれようする過程に対応して、日本政府がどういう対策を考え、又どういうことをやろうとお考えになつているかということの御質問を申上げたわけなんです。まだその御回答を頂いておりませんから、ひたすら政府においては関係方面とその対策についての打合せをしておられるところだろう、こう思つてお待ちを申上げておるわけです。そういう問題のありまする最中に、又々中共に二月十三日に大洋漁業の第六十八明石丸が東支那海の三百七区において拿捕されている。それから二月十七日に同じく東支那海の五百十三地区において第十八雲仙丸が拿捕されている、こういうことで、今までの累計が、中共のみに拿捕されたものが七隻になつている。こういうことなんです。で、二月二十八日に拿捕された第三、第五大壽丸、それから十二月二十九日に拿捕された日邦水産の第三、第五日邦丸、それからこの四隻の船の乗組員の諸君が博多に帰つて参りましてもたらした情報の中に、極めて重視すべきものがあるわけです。即ち内容を読上げて見ますと、これらの船がそれぞれ拿捕された地点におりましたときに、中共の監視船が、「国民政府が米国から譲渡された鉄製百トン型米式巾着船で各般に歩兵砲らしきもの一門と重機関銃を備え乗組全員は自動小銃か拳銃で武装したのが五、六隻一団となり日本漁船を発見すると十三、四カイリの快速を以て包囲し先ず砲弾を舷側に放つて次に機関銃小銃で威かく停船せしめて来船し来り日本語で「上海に行こう」を連呼しながら機関士一名だけ機関操縦に当らし他の全船員を魚そうに入れ彼等自ら操舵して回航した」 「呉淞の元日本軍日支監視部中支派遣軍碇泊司令部兵舎(現在上海水産公司)に収容され各船毎の備品目録を作成せしめ各人毎の写真を撮り上海水産公司社長から」、ここが重要な問題で、「マツカーサーラインは国民党政府とマツカーサーがきめたので中共政府の関知せざるものであるから認めない」と、つまり今の中共政府というのは、マツカーサーラインは国民政府とそれとの間に取決められているラインであるから、今の中共政府というものは認めないと、だからマツカーサーライン以内に日本船がおつても、それを拿捕して行くぞと、こういうことなんです。「君等の云うマツカーサーラインの内側であろうが、外側であろうが、東支那海に出漁する日本船は監視船であろうとも片端から捕獲しその船は日本の資本家のものであるから返さないが、労働者である君等の物は一切没收しない上すぐ帰すようにするから安心せよ売通訳付で言渡された」。 「雲仙丸のみは捕獲されたのが早かつた故か硝石戸入り板張りの約五坪一室三坪位の四宝の上海水産公司官舎に収容され各人にキャンバス製折たたみ寝台三脚とも布一枚を貸与され「新らしい年を新らしい服を着て迎えなさい」といつて新調の綿入りの支那木綿服をくれた。日那丸大壽丸船員は上海水産公司附属小学校講堂に収容され毛布の貸与もなくコンクリート床にワラを敷いて日夜を過ごした。」 「食事は朝は白米のカユ晝晩は白米の飯で量に制限なく一日大本の煙草と洗濯石鹸少量の配給あり作業も共産教育もされなかつた」 「一月八日海軍司令から日本帰還を全員に言渡され海軍と水産公司による送別会が催されたがその席上海軍司令より「上海水産公司の船を一隻君等に贈呈するが、これは君等五十四名の船であるから日本に帰つた後適当に処分して君等の生活の一助にし資本家にやる必要はない」といつて中共国営上海水産公司の証明書を日本人通訳小泉某により読み聞かされ日邦丸魚撈長山本徳夫に手交これに対し雲仙九日邦丸各通信士により謝意を表し直ちに水産公司の手によりドツク修理をされた元華中丸に食糧燃油等一五日分を積込み煙草の支給を受けた」 「十九日試運転を行い航行可能である事が判つたが強風のため出港見合せとなり二十日朝海軍水産公司及び其他の人々の見送りを受け中共監視船に曳航されて出港揚子河口で曳航索を解き日邦魚撈長を責任者として海図も時計もない盲航海を続け途中大洋漁業所属監視船第二十一大洋丸に逢い長崎漁港無線局に連絡を依頼同船より西日本所属第一壽丸中継で連絡し二十四日午前八時全員無事博多に入港したものである」 これは併し全日本海員組合の博多支部のこれらの五十四名の船員諸君が帰つて来て、訪問をして陳述をされたその内容の報告なんです。このうちで五十トンの華中丸を資本家や政府にやることはない、お前たちにやるから、帰つて処分をして生活の足しまいにせよ、こう言つて向うは大きな何をついてくれたということですから、それから、今読上げましたように、向うにいる間の待遇は船員に対してはよかつたと、こう了解すべきであります。このうちの問題とすべき要点は、結局中共政府というのは、マツカーサーラインを認めていないわけで、我々のほうだけマツカーサーラインの内側でやつているように思つても、向うの政府のほうでは、そのラインというものが意識の中にないから、マツカーサーラインのうちにおつてもどこにおつても拿捕されるということなんです。それに対して日本政府は、やはり連合国の極東委員会なんか、どこかへ問題を持ち込んでこれに対する善処かたを講じなければ、マツカーサーライン以内で漁をしておつても拿捕されるということが、これが真相ならば明確になつたわけなんですね。出たら拿捕されるという危険だけでなしに、内側にあつても向うの者に見付けられれば拿捕される。こういう事態が起つて来たわけなんです。ただ併しこれだけの報告を信用して、そうして大きく問題を持出して参るということは資料不十分でありますから、やはりこれは船に乘つておつた諸君の同名かを喚問をして、そうして実情をもう少し確めて、証拠を円めて、そうしてこれの対策を講ずべきである、こういうふうに考えるので何人喚ぶか、どういう人が適当であるかということは、研究の上喚問されて結構でありますけれども、もう少しこの委員会として真相の究明をいたしたい。こういうことを動議の趣旨にいたします。
○委員長(木下辰雄君) 只今松浦委員の動議でありますが、証人を喚問することに決定いたしましたので、ちよつし皆さんにお伺いしますが、日にちをいつにしましようか。御意見があつたら。
○青山正一君 日にちの関係とか、証人を喚問する人数とかという点は、後刻水産委員長を中心として一つその点はお任せをするというふうなことで行つたらどうでしようか。
○委員長(木下辰雄君) 只今の青山君の御発言に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(木下辰雄君) それでは委員長において十分各方面の意見を求めまして、そうして日にち等、証人の数及び氏名を決定いたしまして、次の委員会に御報告いたします。
○秋山俊一郎君 只今私も松浦委員のお話を聞いて非常に驚いているわけでありますが、三日血の当委員会におきまして、私が水産庁の御当局に、どうも東支那海方面における中共の漁船の行動が大分激しい状態になつて来て、日本の漁船も非常な脅威を受けつつあるかのごとき新聞記事が出ておつて私ども心配しておるわけなんです。その問題について何か情報がなかつたかということを私はお尋ねしたときに、何らの情報もない、知らないというお話でありました。その後に今お話のような事件も起つておるわけでありまして、水産庁といたしましてこの問題について、或いは今回の拿捕問題等について何らか情報が八つておりますかどうか、若しそういう情報が入つていないとするならば、公海上における水産庁の調査は何をしておりますか。監視船も相当いることであるから、これは一体何をしているか、そういうことを私は懸念しているが故に、かねてから御注意もし伺つておるわけであります。勿論只今お話のようにラインの内外を問わずやるんだということになれば、これはもう非常な問題が起つて来るわけでありますが、出し拔けでなしに、そういう兆しがあつたのではないかと思います。これについて水産御当局の御意見を承わりたい。
○政府委員(山本豊君) 確たるあれは持つておりませんが、多分通知はあつたと思うのであります。問題はこれに対する対策をどうするかという点であると思うのでありますが、今の松浦委員のお話が真相であるということは非常に重大な問題でありますし、ただ又そういう真相をやはりよくお調べ願つて、それによりましていわゆるマツカーサー・ラインというものは、これは極東委員会、そういう管理下にあると思う。従つてその上で、これは変な話になりますが、或る程度の責任といいますか、そういうようなことも十分考えておられると思いますから、真相をはつきりつかんだ上は、そういう方向にも政府としましても働きかけまして、いわゆるラインを指定して善処かたをお願いしたいというふうに思つております。
○秋山俊一郎君 今のお話ではまだ御存じないようであります。私この四、五日実は知らなかつたので、今日初めて伺つたのでありますが、少くとも水産庁は多数の監視船を出しておられ、そして福岡に出先機関があるのであります。絶えず水産のことについては連絡をとつておらなければならんはずだと思いますのに、そういう来ているはずだというようなことで、幹部のかたがこの重大問題を御存じないということでは私ども甚だ心許ないのであります。なければ大変結構であります、そういうことがなかつたのなら……。只今松浦さんの御発表になりましたことが何らかの誤報であるならば、我々は非常に幸いだと思いますが、例えばマツカーサー・ラインの外であろうと内であろうと拿捕船があり、或いは追跡を受けたとか、或いは何らかの日本人に対しての不利益な状態があつた場合にはいち早く連絡をとつて、善処する途があるならばこれに対応した措置をとるということでなければ、事件が起つて何日経つてもまだわからないというのでは、打つべき手も打てないというようなことになるかも知れませんし、迅速に情報をキャッチするということに一つ御努力を願いたい。さようでないと、水産庁としては非常なごうごうたる非難を受けることに私はならないかと思います。一つ早速にでも、今日でも電話で以て向うとも御連絡を頂きまして、そして日本の政府としてこれに対する情報なり或いは御見解というものを至急に我々に聞かして頂きたいと思います。
○千田正君 これは南支那海の問題ばかりでなく、北洋関係にもそういつた問題が起きているように仄聞するのでありますし、こういうことあるが故に、先般も外務当局に向いまして吉田、ダレス両氏の会談において、日本のこの漁場の問題を契機として共同防衞に関する質問を私は申上げたはずであります。にもかかわらず、その点には何ら確答を得られなかつた。触れていない、又触れようともしない、触れることを避けておられる。併し私はこれは軍なる日本の漁業という問題ばかりでなく、それを契機として、いわゆる日本と条約を結んだ国と結ばざる国との間に、日本というものを中心としたいろいろ将来紛争を惹起する虞れがありますので、こういう点においては将来講和会議が進捗するにつれまして、その条約の内容に相当深刻に響く問題と思いますので、水産庁は勿論のこと、海上保安庁その他関係官庁は十分この点に留意されて資料の収集を求めてやまないのであります。委員長から特に各関係官庁に対しまして、この真相の十分に資料を収集するよう要請して頂きたいということを申上げます。
○政府委員(家坂孝平君) 最近拿捕問題が、千田或いは松浦委員からも詳細なる御説明があつたのでありますが、非常に重要な問題だと思つております。それで福岡監視所あたりからの報告は非常に遅れておるということにつきましては、やはり役所の仕事であるものですから、正確を期して報告しようというようなことで、多少遅れておるのじやないかと私は想像しておりますけれども、今後はこういつた問題はいま少し鋭敏に報告をして来るように私たちとしても取計いたいと考えております。それからなおその監視所で実際キヤツチいたしました資料につきましては、早速取揃えまして、できるだけ早く当委員会にも御報告したいと、かように考えております。
○青山正一君 証人の喚問の問題は、講和問題、それから条約問題、或いはマツカーサー・ラインの撤廃問題、こういうふうな問題に全部関連しておりますから、一つ東京におられる人でも結構ですから、経営者側から一人とか、或いは海員組合から一人というような、そういう、かたも一つ喚問して頂きたいと考えております。勿論拿捕された船員の三、四人はやはり一つ喚問して頂きたい、こういうふうに考えております。 それからちよつとついででありますが、二、三、四月中に、日にちは委員長にお委せしたいと思いますが、市場法の問題、或いは漁船、つまり保険の問題ですが、或いは今度のいろいろな中共の拿捕の問題などを引括めて、一つ議員派遣がたを特にお願いしたいと思いますが、皆さんのお考えも承わつて置きたい、こういうふうに考えております。
○委員長(木下辰雄君) 青山委員の前段の御意見は、松浦委員の動議の趣旨は、証人によつて真相を究明するというのが目的でありますので、証人の範囲は、実際拿捕された船員に限りたいと思います。それからなお、その人員及び時日については、十分相談して頂きまして決定して行くということはさつき申上げた通りであります。それではその問題は別に御意見ありませんか。 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(木下辰雄君) それでは松浦委員の動議に関する問題はこのくらいにして打切ります。 次に青山委員から今御発言のありました市場機構その他調査のために議員派遣をやりたいというような御発言がありましたが、これに対して皆さんの御意見をお伺いいたします。別に御発言、ございませんか。
○秋山俊一郎君 重要な案件でありますので、審議の上に十分の知識を得たいと我々も存じておりますが、ただその期間の問題、二月も幾らも時日がございませんし、更に又四月になりますと、いろいろ各議員も選挙その他によつて多忙なときもあるのじやないかと思いますが、果して三月中にでも派遣ができるものであるかどうか、日にちの繰合せによつてお運びを願いたいと思います。
○委員長(木下辰雄君) 議院運営委員会で、三月は議案も非情に輻輳して三月中に決定しなければならぬ法案も多数ありますので、三月に人つてからは議員の派遣を差止めてもらいたいというような申合せ事項がありますので、若し派遣をするというのであれば二月中になるのです。二月はもう期日も非常に少いのですから、又水産委員会としても議すべき議案も非常に多いのですが、併し皆様がその間において何日か調査に行きたいという皆様の御意見であれば、又さよういたしてもよろしうございますが、如何でしようか。
○青山正一君 いつでもやれるというような建前にして置いて頂いて、そうしてそういうふうな場合が来た場合において、委員長のほうで差繰りするというふうな建前にして頂いたらどうかと考えます。例えば議院運営委員会のほうで、成るたけやるならば二月中にしたらよかろうというふうなことで、先ほど専門員に聞いたらそういうふうなことでありましたが、そういうような建前にして置けば、あといつの場合でも結構じやないか、又どの県へどういうふうに出てもいいのではないかと、こういうふうに考え便す。
○委員長(木下辰雄君) ちよつと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(木下辰雄君) 速記を始めて。 では中央卸売市場現況調査のため神戸と名古屋に議員派遣することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(木下辰雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしますが、人員及び名指等委員長に一任頂きまして、派遣要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、如何でしようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(木下辰雄君) では委員長において取計ろうことといたします。委員会はこれを以て閉会といたします。 午後三時三分散会 出席者は左の通り。 委員長 木下 辰雄君 理事 青山 正一君 千田 正君 委員 秋山俊一郎君 松浦 清一君 櫻内 義雄君 政府委員 水産庁長官 家坂 孝平君 水産庁次長 山本 豊君 事務局側 常任委員会専門 員 岡 尊信君 常任委員会専門 員 林 達磨君 説明員 水産庁連絡官室 長 久宗 高君