在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第9号
- 発言数
- 34 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1951/03/28
会議録
○委員長(千田正君) それでは只今から委員会を開会いたします。 本会議も再会されておりますので、こちらのほうといたしましての最も重要な決議案に対して、一応皆様の御採決を願いたいと思いまして開いたわけであります。それは先般から当委員会が皆様の御熱心に御研究になつて頂いておりますところの戦歿者遺族、或いは戦傷病者及び留穿家族の対策に関する法案の立案につきまして、皆様にいろいろ御研究願つたのでありますが、この成案を得るまでは相当の、或いは苦難の道を行かなければならないと思います。併しながら国民の殆んど全部がこの問題を一日も速かに政府が施策を実行するように要望しておりますので、決議案としてこれを上程しまして、政府を鞭撻すると共に、我々も懸命なる努力を捧げたいと思いますので、一応この決議案の案文を皆様のお手許に配付申上げて置きましたので、一応御覧願いまして御審議願いたいと思います。只今参事をしてこの決議案の案文を朗読させますから、何とぞこの決議案の上程に関しまして皆様の一致した御賛成を頂きたいと思う次第であります。 〔青木参事朗読〕 戦歿者遺族戦傷病者及び留守家族対策に関する決議(草案) 去る昭和二十四年五月第五国会において、本院は「未亡人並びに戦歿者遺族の福祉に関する決議」を行い、政府に対して速かなる対策の樹立及びその実施を強く要望したのである。 然るに今日諸情勢は、すでに講和の近きを思わしめるものあるにもかかわらず、これら施策の成果たるや所期せられしところより相隔たること甚だ遠く、義務の強制に基く戦歿者の遺族及び未帰還者留守家族の悲況及び戦傷病のため生活の力を低減喪失した者の惨状が依然として、国民の到底黙し得ざる状態に放置せられていることは、文化国家として最も遺憾とするところである。 よつて講和受入態勢の急速整備の要ある状況に鑑み、ここに決意を新たにし、これら戦没者の遺族戦傷病者及び留守家族に対し、新たなる見地から国家補償を断乎として早急に確立実施することを期する。 政府も又この国民の強き要望に応え、諸般の施政につき格段の努力を払うべきである。 右決議する。
○委員長(千田正君) 只今読み上げました決議案は先ほど申上げました通り草案でございまして、この内容の趣旨を十分皆様おわかりのことと思いますが、文章の点で若し御修正の点がございましたならば、ここに御遠慮なくお願いいたします。
○高良とみ君 私はこの文章はよくできていると思うのでありますし、力強い表現は賛成であります。ただ一、二できたら修正して置いたほうが文章としてよりいいんじやないかと思うのです。 修正の第一点は、二項目の三行目の「義務の強制に基く戦没者の遺族及び未帰還者留守家族の悲況」というところが非常に長いので、こういうふうに直したらどうかと考えるのであります。それは「国家義務に斃れた戦没者の遺族」、そうすると未帰還者にかかるとすれば、「国家義務に従事した戦歿者の遺族及び未帰還者」そのどちらかにするということが一つ。 第二の点はおしまいから四行目の「新たなる見地から国家補償を断乎として早急に確立実施することを期する。」という、その「断乎」は「早急」というものの副詞として入つていると思うのでありますが、文章の体裁から言えば、「見地から国家補償を早急に確立し、断乎として実施することを期する。」こうしたほうが文法的に言つてもいいと思うのであります。但し、早急に国家補償を確立するということが先ずしなければならないことで、それを更に強める意味で断乎として実施する、こういうふうに附加えて行けば、その国家補償に主意がかかつて、実施することが第二段目になるということで、文法的にそのほうが頭にのみ込みやすいと思います。その二つの修正を提案いたします。
○委員長(千田正君) 只今高良委員から、この草案のうち第六行目の「義務の強制に基く戦歿者の遺族及び未帰還者」という点につきましてこれは文章が長いから、「国家義務に斃れた戦歿者の遺族」、若しくは「国家義務に従事した戦歿者の遺族及び未帰還者」、こう直したいという御提案、それから最後から五行目の、新たなる見地から云々というのは、「新たなる見地から国家補償を早急に確立し、断乎として実施することを期する。」こういう修正の御提案がございました。お諮りいたします。
○杉山昌作君 初めのほうは国家義務に斃れた戦歿者の遺族、及び国家義務に従事した戦歿者の未帰還者留守家族、こうなるわけですか。
○委員長(千田正君) 高良委員にお尋ねいたします。
○高良とみ君 そういうのではないのです。二つの種類の人たちに一つの形容詞を被せようというわけですから、国家義務に従事した戦没者の遺族及び未帰還者留守家族と、こうそこまで全部かけようというのです。斃れたというと未帰還者にちよつとかからないもんですから、国家義務に従事した戦没者の遺族及び未帰還者留守家族として、十分強く行くのではないかと思うのです。
○委員長(千田正君) 如何でございますか。
○石川榮一君 高良先生の御調は誠に結構だと思います。義務の強制という意味をつける、或いは国家義務で戦歿者ができたということになれば、いずれにいたしましても、この義務ということを入れなければまずいでしようか。例えば戦歿者とか遺族とかというものは皆国家的の義務であるということは、戦没者それ自体でわかるのではないかと思うのです。
○杉山昌作君 石川さんのおつしやるのは、義務の強制に基くという言葉がなくてもよかろう。私もちよつとそんな気がします。
○高良とみ君 私はこの点は、戦没者遺家族及び未帰還者の留守家族が言いたいところなんだと思うのです。その声を、我々は相当聞いてまして、やはりあつたほうがこの人たちの立場をはつきりすると思うのです。戦歿者の遺族及び未帰還者というだけではもう相当国民の耳に聞き馴れておりまするし、その人たちが言わんとするところは、国家義務に従つたのだということについての国民の意識が薄いのではないか、或いは戦災者だつて同じじやないか、皆業を失い、田地を失つたものは一律平等になつて扱われているという点に不満があるのだと思うのです。つまりそれは国民全体として戦災を受け、或いは戦争の災禍を受けたのでありますけれども、それは少しく違う。自分たちは国家義務に従事したのだというので、この原案におけるように、国家義務の強制に基くと出ておりますが、私はこの国家義務の強制にというと少し強過ぎる、尤もその当時としましては、強制に対する拒否の力は、自由はなかつたのでありますが、国家義務に従事したというほうが、この人たちの心持及び立場は一律平等の中で少しく違うということが言いたいのだと思います。その点から言えば全体として戦死者、戦歿者に対する名答ある地位を或いは保護する、国家補償をするということが、それから出て来るのでして、一律平等のみでは尽ぜない。世界各国において、戦歿者をこんなふうに扱つている国はまあない状態です。そこが敗戦国の悲しさです。私は温存することを提案とます。
○委員長(千田正君) 如何いたしましようか。
○大谷瑩潤君 やはり国家義務ということを入れたほうが私はいいと思います。
○石川榮一君 高良先生のお考えになつていることも、気をお配りになつていることで、戦歿者なり遺族のかたがたの気持はそこにあるということを想像されて、それを文面に現わされたこの決議それ自体でも、非常に遺族や留守家族のかたに少しでもお慰めになるという意味合から言いますと、むしろ今お話のような考え方を持つて、国家義務ということを入れるのもいいと思いまして賛成いたします。
○委員長(千田正君) それで第二段のほうは、文章の繁りからいつて、「新たなる見地から早急に国家補償を確立し、断乎として実施することを期する」、こういう御提案ですが、如何でしようか。
○大谷瑩潤君 私も賛成します。
○委員長(千田正君) では只今の高良委員から御提案の修正案につきましては、皆さんの御賛成を得ましたので直ちに修正いたします。今の修正個所を除きましたあとの部分につきましては、これで結構でございますか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(千田正君) ではさようこの決議案を修正しまして、皆様のお手許に更に御配付いたします。つきましては、この発議者でございますが、この前の第五国会のときは、特別委員会及び厚生委員会の両委員会の各メンバーが全部発議者になつたのであります。衆議院のほうは昨日衆議院の厚生委員長並びに特別委員長と十分打合せしまして、衆議院のほうではこの参議院の提案に敬意を表しまして、この際衆議院の厚生委員と特別委員が全員で発議者になつて提案する、こういうお答えを頂いて参りました。つきましては本委員会としまして、やはり厚生委員会のかたがたにも御賛同を得て、これは申すまでもなく超党派的に全員といいましても、特にこの問題に関係のある特別委員会と厚生委員会が、打つて一丸となつて決議されたならばどんなに国民も、又政府も力強く感ずるだろうと思います。この点を皆様にお諮りいたします。
○紅露みつ君 今委員長がお話になりましたように、衆議院のほうも厚生委員会のメンバー、それから特別委員会のメンバー、これが全部発議者になられる、そういうことでございますならば、もともとこれは超党派の問題でございますので、参議院においても今お話のように厚生委員会にも御参加を願つて、発議者になつて頂くことが私は妥当だと存じます。
○委員長(千田正君) 御異議ございませんでしようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(千田正君) 御異議ないとすればさように決定しまして、委員長から厚生委員長及び厚生委員会に申入れまして、御賛成を得たいと思つております。 次に決議案の趣旨の説明につきましては、如何取計らいましようか。
○高良とみ君 委員長においてこれを十分に説明頂きたいと思います。
○委員長(千田正君) 只今高良委員からの御提案がありましたが、委員長において十分に趣旨を説明せよという御提案でございました。お差支えございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(千田正君) 賛成の演説をおやりになるかたが……。
○紅露みつ君 ちよつと懇談にして下さい。
○委員長(千田正君) 速記止めて。 〔速記中止〕
○委員長(千田正君) 速記を始めて下さい。皆様からいろいろ貴重なる温提案がございまして、この決議案の草案を修正されまして、立派な案になつたと思います。それで発議者は当委員会と厚生委員会各メンバー、それから決議案の趣旨弁明は委員長において当れという皆さんの御要望でありますから、委員長にお任せ頂きまして賛成演説ということにつきましては厚生委員長ともよく相談して見たいと思つております。できれば委員長だけのほうが現在のところ都合がいいのじやないかと思いますけれども、一応御了解を得ましてやつて行きたいと思います。委員会の審査を省略をいたしましてこの要求の件につきましては、この決議案を政府に送付しまして、両院議長及び委員長がGHQにこの決議案文を携えまして、そうして今後折衝に正式に当りたい。いろいろ又私個人といたしましては委員会を代表いたしまして、GHQのそれぞれの部門にそれぞれ交渉を開始しておりますから、なお特段の努力をいたしたいと思います。
○紅露みつ君 そうすると休会前に幾日もございませんけれども、無論それまでに間に合うように交渉を続けて頂く予定ですか。
○委員長(千田正君) 紅露委員にお答えいたしますが、この決議案が明日通過しますと、直ちに両院の議長にお願いして至急に向うへ渡して頂く。それから今の法案の内容の検討とか、そういうものは直ちにすぐということでは立派なものはできないと思いますから、これは相当研究を要すると思います。さつき石川委員の言われましたように予算が相当伴うものである、昭和三十六年度の予算にはこれが入つておりません。そうだとすれば、次の臨時国会における補正予算か、或いはその前に出して、いつからという日限を切つた法案を作らなければならないと思うのですが、いつからそれを実施するというような…、そういうようにする予算措置の政府側との折衝も要ると思います。相当容易ならない問題でありますが、一応こうした立派な決議案を作つて政府を鞭撻すると共に、我々の活動もこれによつてしやすくなるということだけは、これは十分に皆さんおわかりのことと思いますので、是非御賛同を得てこれを提案したいと思います。
○石川榮一君 政府に任せて置いては非常に遅れます。従いまして是非一つ議員提出の形で委員長が手許でその成案を得まして、それをお諮りを願いまして、それを以て政府に積極的に働きかけて、予算の立場において若干の修正をするのは止むを得ませんが、法的には遅れます。官僚に任しては遅れます。
○委員長(千田正君) わかりました。この案は委員会にかけずに審査を省略しまして、直ちに本会議に上程することの御賛同を得たいと思います 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(千田正君) では、さよう取計らいたいと思います。 今日このあと住宅問題でして、厚生省のかたを呼んでおりますが、次の機会にいたしましようか。
○紅露みつ君 折角出て頂きましたのですが、今日はもう御承知のように予算がずつと何時間か、二、三時間続けられるだろうと思います。残念ですが、この次の機会にいたしたいと思います。
○委員長(千田正君) さように取計らいまして、本日はこれを以て散会いたします。 午後二時十五分散会 出席者は左の通り。 委員長 千田 正君 理事 大谷 瑩潤君 高良 とみ君 紅露 みつ君 委員 石川 榮一君 木村 守江君 長島 銀藏君 内村 清次君 小酒井義男君 杉山 昌作君 事務局側 参 事 (委員部第三課 勤務) 青木 玉吉君