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10回国会参議院1951/06/02

建設委員会 第26号

発言数
37
登壇者
5
会派数
4
開催日
1951/06/02

会議録

小林英三自由党

○委員長(小林英三君) 只今から建設委員会を開会いたします。  北上川開発法案を議題に供します。

赤木正雄緑風会

○赤木正雄君 北上川開発法案は、内容が利根川開発法案と全部同一といつていいほど変つていません。北上川河川改修法案となれば、それに類するか知れませんが、いやしくも北上川開発法案という、こういう題目ならば、あらゆる点において利根川とは変るべきだと思います。これに対して先ず総括的に提案者の説明を願います。

高橋進太郎自由党

○委員外議員(高橋進太郎君) この前、速記録を御覽頂きますれば、おわかりの通りでございまするが、実は昭和二十二年、二十三年或いは二十五年と連続水害がございまして、我々は二十二年のいわゆるキヤザリン台風を契機とし、続いての二十二年のアイオン台風に関連しまして、当時の東北軍政部から指示がありまして、そうして実はわざわざアメリカから人を連れて来られまして、いわゆるTVA式に北上川の岩手、宮城両県に亘るところの河川の改修を考えたらどうかというので、実はいろいろ指示を受けて、いろいろ案を練つて参つたのであります。それは速記録を御覽になれば、その点は詳細述べられておりますから、御覽頂きたいと思います。そこで一案、二案、三案と考えまして、その一案はいわゆる両県の、平たく言えば水利組合のような形においてこの問題を解決しようと考え、或いは向うから指示のあつたTVA式の問題として考えたのでございまするが、いずれも両県下が極度の財政の緊迫下にあり、且つ又住民の生業は殆んど農業というので、いわゆる資本蓄積或いは企業的な修築もございませんので、これらの案を実行するためにはこの両県の單独財政を以てしては到底できないというようにして、その後、案についていろいろと苦心をしておつたのであります。ところがたまたま利根川のこういう法案もございますので、やはりこれはこうしたところの利根川と同じような形において強力に国家的にこの問題を取上げて、そうして推進する。そのためにはこの利根川法案にも盛られてありますと同様に、北上川におきましても、同じ仕組において国家的に取上げ、そうして全国において北上川だけが特に年年災害があるという誠に悲惨な状態を一日も早く克服したい、こういうのが本案の趣旨であります。勿論我々といたしましても、この法案につきましては、いろいろと難点もあるのでございますけれども、各般の情勢から見まして、これによつて大きく国家的問題としてこの北上川を処理する、この解決のためには本案を提出するのが最も適当であると考えた次第でございます。

赤木正雄緑風会

○赤木正雄君 この第四条の五号に、「海岸保全に関する施設及び事業」、これも利根川と同じことが書いてありますが、利根川には成るほど海岸保全に関する意味があります。この北上川に対しては、どこが海岸保全になるのですか。それを承わりたい。

高橋進太郎自由党

○委員外議員(高橋進太郎君) 御承知の通り北上川と申しましても、いわゆる北上川水系を指しておりまするので、北上川水系に当りましては、いわゆるこれが河口近くにおいて合致いたしまするところの真野川或いはその上流におきまして、これと総合的になつておりまする鳴瀬川等がございまして、これは主としてこの北上川の河口において合致しておりまするところの真野川による土砂流失によつて海洋の崩壞並びに北上川下流における、石巻地帶におけるこの海岸の荒廃、これらを絵合的に保全しようというのが、この条項の狙いでございます。

赤木正雄緑風会

○赤木正雄君 総合的に保全するとおつしやると、どういうふうな施設なんですか。

高橋進太郎自由党

○委員外議員(高橋進太郎君) これはまあ私から申上げるのは釈迦に説法のきらいがございまするが、御承知の通り海岸林の或いは造成であるとか、或いは防波堤の築造とか、或いはその他いわゆる海岸保全に、従来土木の権威者等において考えられましたあらゆる方法をここに総合したい、こういうふうに考えております。

赤木正雄緑風会

○赤木正雄君 それでは第四条の七に「かんがい排水及び干拓に関する施設及び事業」とありますが、我々から考えますと、北上流域には相当開墾というものを重要視すべきかと思いますが、これに対してこの総合開発計画には開墾が少しも載つていなのはどういうわけですか。

高橋進太郎自由党

○委員外議員(高橋進太郎君) これも速記録を御覽頂きますれば……。この前申しげたのでございますが、主として灌漑排水並びに干拓に関しますのは、北上川の支流である北上川に流れている追川というのが、宮城県の仙北、いわゆる穀倉地帶の幹線となつております。昔は御承知の通り旧幕時代、明治初年までは主に十一の遊水地帶でありまして、そうしてこの遊水地帶が自然的調整の形において天然の洪水を調整したという状況であります。その後農林省におきまして、干拓を進められ、或いは排水を殊に進められておりましたけれども、その排水と干拓とマツチしないところの、いわゆる砂防事業の怠慢であるとか、或いは又まあ怠慢と申しますか、不十分であるとか、或いは又河川の改修がこれにマツチしないというような事情のために、一方は干拓は進む、一方はこれに伴う河川の修復が伴わないために、そういう地帶におきましては年々災害が生ずる、こういうのが実情でございまして、従つてこれらを本法案によりましては、治山治水と排水干拓というようなものと総合しようというのが骨子であります。なお開拓でございまするが、これは水源地帶におきましては、開拓地はございまするが、大体現在におきましては、開拓は開拓の大体の目安を付けまして、その方針で進んでおりまするので、これは今のところで開拓と直接この施設に結び付かないので、むしろこれは開拓と言うよりも、造林若しくは営林或いは治山というような面から、この開拓事業というものについて考えよう、むしろ六の問題として考えようという観点から特にこれは開拓という事項を外したわけでございまして、御了承を願いたいと思います。

赤木正雄緑風会

○赤木正雄君 私は開墾地が特にあるだろうと思つて質問しているのであります。併し今の発議者のお話では、造林と関連したむしろ治山の意味でのお話でありますが、それとは逆に、開墾というものは当然北上川総合開発計画の中には盛られるべきじやないか、そういう観点から質問しているのでありますから、その面からの御答弁を願いたいと思います。

高橋進太郎自由党

○委員外議員(高橋進太郎君) 今岩手県のことにつきましては、私詳細調査いたしておりませんので、参考人の岩手県の土木部長が今日来ておりますから、そちらからお話を願いたいと思います。  宮城県に関しましては、開墾地の一番大きいのは旧軍用地になつておりまする王城寺地帶、それから仙南の蔵王地帶、これに約六千町歩、王城手に六千町歩というふうな、主として北上川流域地方には比較的開墾地帶がないのでございまして、その点から考えまして、これは外した、こういうような事情でございます。岩手県の分につきましては、岩手県のほうからお願いいたします。

赤木正雄緑風会

○赤木正雄君 成るほど宮城県にはそう開墾地はあるとは思いませんが、私はむしろ開墾地は岩手県地内に多いと思いますから、これに関して岩手県のかたから御説明を願いたいと思います。

小林英三自由党

○委員長(小林英三君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕

小林英三自由党

○委員長(小林英三君) 速記を始めて下さい。

赤木正雄緑風会

○赤木正雄君 この前に東北六カ年開発計画というものがあつたはずでありますが、そのときには相当岩手県地帶における開墾というものが議題になつて開墾部面ということがあつた、それに対する詳細な御説明を願いたいと思います。

小林英三自由党

○委員長(小林英三君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕

小林英三自由党

○委員長(小林英三君) 速記を始めて下さい。

赤木正雄緑風会

○赤木正雄君 この前の利根川の例の開発法案が出たときには、その点について十分発議者から御説明がありました。もとより治水利水を主とする。併し開墾も考えているのだが、利根川流域には開墾するようなところは実際にはないのだと、そういうわけで我々は了承したのであります。岩手県に対しては開墾地があるなら、併しそれは水に関係せんから、これを考えないと言われるのは私は実におかしい。何のための北上川開発法案、北上川開発法案とはどうしても言えない。大きな土地が開墾されるにもかかわらず、それは全然自分の考えに入れない。どういうわけか、私は合点が行かないので、どうぞ御説明願います。

小林英三自由党

○委員長(小林英三君) 速記を止めて……。    〔速記中止〕

小林英三自由党

○委員長(小林英三君) 速記を始めて……。

赤木正雄緑風会

○赤木正雄君 私はなお質問したいのでございますが、どうせ質問いたしましても、私の満足を得るような御回答はないと思いますから、この点に関してはもう質問いたしません。

小川久義国民民主党

○小川久義君 この法案に対しましては、赤木委員の言われることも至極御尤もだとも思いますが、今の説明又発議者の言われることも尤もと思います。で、この法の施行も昭和二十八年ということでありまするので、一応ここで質疑を打切つて討論採決に入つて、その結果衆議院に送つて利根と一緒に十分審議をする、無論我々が法を手放しにいたしましても、その審議を放棄するものでない、そういうことも愼重に審議して行きたいと思いますので、さようお取計らいを願いたいと思います。

小林英三自由党

○委員長(小林英三君) 只今小川君から、本案につきましては、質疑を打切つて討論に入りたいという動議が出ましたが、討論に入ることに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小林英三自由党

○委員長(小林英三君) 御異議ないと認めます。

赤木正雄緑風会

○赤木正雄君 この法案に対して先ず申さなければならん。昭和二十六年の五月二十四日の毎日新聞の社説を私は読みます。「自ら墓穴を掘るもの。国会が国権の最高機関、唯一の立法機関となつてからすでに四年以上になるが、行政機関や司法機関に優越するこの国家機関の機能発揮ぶりを見ていると、まことに寒心に堪えぬものがある。国会が主権の存する国民の代表であるならば、その制定する法律も従来のように政府提出でなく、議員自らが立案し提出して、これが国会の審議を経て制定実施されるようになるべきものだとの考え方が、新憲法後強くなつて来た。この要請に応えて、国会はわが国最大の図書館をもち、両院は事務局のほかに政府のそれに匹敵する法制局を設け……。」

小林英三自由党

○委員長(小林英三君) ちよつと赤木さん、御発言中ですが、只今委員長が討論に入ることの異議がないことを認めたのですが……。

赤木正雄緑風会

○赤木正雄君 これは討論なんです。

小林英三自由党

○委員長(小林英三君) それでは一応討論に入ることの宣告をいたしますから、それから……、只今から討論に入ります。

赤木正雄緑風会

○赤木正雄君 先ほど私の述べたことを討論として御了承を願います。「各委員会ごとに次官級の專門員を置いて、調査立案に事欠かない態勢ができ上つたのである。」、少し略しまして、「それだけではない。参議院で可決された利根川開発法案もその一例である。利根川流域の資源開発大いに結構。しかし総理府に外局としての利根川開発庁を設け、專任の国務大臣をして担当させ、十カ年計画で千数百億円を投じようというのは、どんなものか。いまにやれ木曾川、吉野川、天龍川、何々川開発法案というものが、雨後のたけのこのようにできて、何十人という大臣を必要とすることになろう。電波監理委員に退職金まで出す法案を政府の知らぬ間につくつて、もの笑いになつた委員会があつたことをわれわれは記憶している。旧議会での建議案なら、お土産案もまだがまんできたが、国民道徳の低下、国民生活の破壞を顧みずやたらに賭博を獎励したり、国費を使つたり、大臣をつくつたりする議員提出法案は自から国会の信用をおとすものである。こういう低調堕落ぶりが、一向反省されぬ限り、国民は国会を尊敬しないし、官僚からは議員が軽べつされる。そういう国会行状が国会否認の思想を生む温床となるのである。議員は嚴重に自己批判すべきである。」、もう一つ読みます。昭和二十六年五月三十一日の朝日新聞のやはり社説の一部に、「北海道開発に限らず、議員提出の利根川開発にしろ、そのほかもろもろの開発機関の設置案が、国民の負担を増大し、行政簡素化の主旨に反することは、疑いを入れないところである。」、こういうことが両新聞の社説に載つています。なお社説以外にも、これに関していろいろな批判が新聞に出ています。これは決して新聞の社説その他批判を真向から受入れようとは思いませんが、併し我々議員として、こういう大新聞の社説の批判は、非常に反省すべきものと私は議員として思うのです。殊に参議院としては、なおそういう点については衆議院より一層大きい責任があると思います。そういう点からいたしまして、私はこの北上川開発法案はよくない、殊に今申した通りに、名前は利根川開発法案の代りに、北上川開発法案と変えているが、内容は少しも変つていない、こんなばかな法案はあるはずがない、若しも北上川開発法案、それをするなら名前は利根川と代るべきものだ、私は事実において、理論的に十分基礎付けられなければならんと思います。そういう名前を変えて内容が同一の法案がどうして国会を通過するか。私はこれほど不思議なことはない。誠に不可思議千万でありますので、私はこの法案に賛成できないのであります。そこで私はせめて多少でもいい法案にしようと思いまして、実はこの北上川以外に困つておる木曾川、淀川、信濃川、吉野川、筑後川、常願寺川、雄物川、阿武隈川、熊野川、大淀川、大田川、天龍川、阿賀野川、球磨川、こういう河川を含めた一つの修正を出したのであります。併しこれがこの委員会に論議になりましたときに、法的に根拠があるかどうか。それでその結論は向うからOKが来るか来んかによつてきまるといつております。そこで私は昨日聞いたところによりますと、この法案に、修正案に反対するものではない、但しこういうふうなたくさんな河川を書いたら、厖大な予算が要るから、それを考えて欲しいということでありました。若しそういうことならば、この北上川に対しては何ら予算の裏付けはない。どの川にしても予算の裏付けはないのですから、もう少しこのことを関係方面のほうに詳しい話をするならば、北上川にしろ、今日の情勢は少しも予算の裏付けはないのだから、こういうふうなたくさんの川は、むしろ一括して出したほうが自分としてはいいのである。そういう観点を持つたのでありますが、時間的に向うに交渉する時間がありませんから、遺憾ながらこの修正案も無論ここでは上程できません。併し先ほど申した通り、この修正案そのものをそれほど私は決していいとは思いません。できるならば参議院の権威のために、あなたがたがこの法案を継続審議なすつて、幸いか或いは不幸か、利根川の案も衆議院で継続審議されると思いますから、参議院は参議院としてこの法案を継続審議し、利根川の法案の継続審議と相並行して、参議院の権威を以て、こういう意味で私はこの法案に反対すると同時に、できればこの法案の継続審議を望むのであります。

小林英三自由党

○委員長(小林英三君) ほかに御意見ございましたら、賛否を明らかにしてお述べを願います。

小川久義国民民主党

○小川久義君 私はこの法案に賛成いたします。只今赤木委員のおつしやつたことは私も同感であります。併しその川の被害、災害のために悩んでおります流域のかたがたを考えるとき、これの実現を促進する一助にもなると思います。又すでに衆議院に送付いたしました利根川開発法案と大体同種類の法案でありますので、衆議院に総合的に審査をして頂くこともよくはないかという見地から賛成いたします。

田中一日本社会党

○田中一君 私はこの法案に条件付賛成をいたします。赤木委員の討論は尤もなことで、我々国会議員としては赤木委員のお説の通り、かくあらねばならんと信じております。併しながら政府においては北海道開発法案を二年前に通し、先般は利根川開発法案を通し、この際同じような運命にある、同じような熱望に燃えておる国民の一部のかたがたに対して、一応この法案を通しで、この次に来る段階に極力総合したところの総合開発、こうしたものに集約させるのが我々の念願であると思います。政府もその方針を持つておりまして、国土総合開発法を持つておりますが、これも有名無実であり、何ら実行の段階に入らない法案である。これを実行の段階に持ち込むのも、こうした国会議員としての我々がその刺戟を与えて、絶対多数を持つている自由党内閣に、せめてこうしたもので刺戟を与え、国土の総合開発を伸展させるよう寄与する、こういう点からこの法案に賛成いたします。

小林英三自由党

○委員長(小林英三君) 他に御意見はござませんか……。御意見がないようでありますから、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小林英三自由党

○委員長(小林英三君) 御異議ないものと認めます。それでは北上川開発法案につきまして採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を願います。    〔起立者多数〕

小林英三自由党

○委員長(小林英三君) 多数であります。よつて本案は多数を以て可決すべきものと決定いたしました。  本会議における委員長の口頭報告につきましては、先例に基いて行いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小林英三自由党

○委員長(小林英三君) 御異議ないと認めます。  本案を可とされた諸君は順次御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     小川 久義  田中  一     平井 太郎  小林 亦治     島津 忠彦  石川 榮一     三輪 貞治

小林英三自由党

○委員長(小林英三君) 御署名漏れはございませんか……。御署名漏れないと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十四分散会  出席者は左の通り。    委員長     小林 英三君            赤木 正雄君            小川 久義君    委員            石川 榮一君            島津 忠彦君            平井 太郎君            小林 亦治君            田中  一君            三輪 貞治君            徳川 宗敬君   委員外議員            高橋進太郎君   事務局側    常任委員会專門    員       武井  篤君    常任委員会專門    員       菊地 璋三君

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