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10回国会参議院1951/07/16

外務委員打合会 閉会後第2号

発言数
65
登壇者
5
会派数
3
開催日
1951/07/16

会議録

大隈信幸国民民主党

○委員長(大隈信幸君) では只今から外務委員打合会を開催いたします。  先日に引続きまして政務局長が御出席でございますから御質問をお願いいたします。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 この前の委員会において、外務省にお願いして置いた今度の草案に関係のある実際の国際条約のまあ一覧表というようなものはまだできていませんか。

島津久大外務省政務局長

○説明員(島津久大君) 極力準備をいたしておりまするが、まだちよつといつ頃できるか検討がつきかねております。急いでやることにいたしております。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 成るべく一つ早く、余り詳しいものは必要はないのですから一覧表をお願いして置きます。  それでこの前私から申上げましたように、逐条的にやつて行きたいと思つているのでありまするが、資料もまだ十分にできておりませんし、従つて私たちのほうの準備も、少くとも私としてはまだできておりませんので、今日も第一回のこの前と継続的に思いついたところだけをぼつぼつ伺いたいと思いますし、従つてもう一遍、これは逐条的な詳細な検討は資料が出てからやるということを御了承願つて、散発的な質問でありまするがお許しをお願いいたします。  そこで前文でありまするが、この前のアメリカの草案として伝えられたものに比べますると、日本の国際連合の加盟の申請、それから日本が国際連合の憲章を遵守するとか、世界人権宣言の目的を実現すること、それから国際連合憲章の五十五条及び五十五条の趣旨をやつて行く、その他いろいろ前文に書いてありまする日本側の国際関係を規律すべき基本原則をここに謳つておるのでありまするが、それに対しまして前のいわゆるダレス草案と実質的に同じものといたしましては、連合国もこれらの点に関する日本の意思を歓迎し、且つその実現を容易にすることにつとめるものとする、かような字句があるのでありまして、従つてこれを日本の国連加盟の申請という一つの日本の意思に対しまする連合国側のこれを応諾して、連合国もこの実現を容易にするという一種の約束みたいになつておると思うのですが、今度の草案によりますると、この日本の国際連合加盟に関する問題を含めて、以上にいつておるような日本の意思に対しては連合国は日本の意思を歓迎する、ただ聞いて置いて、それは歓迎すると言放しであつて連合国側がこれに対応する義務といいまするか、これに対応するところの約束の形になつておらないというように考えるのであります。従つて今度の草案によりますると、日本の国際連合加盟に関しては日本の一方的の意思の表明はあるけれども、それに対応すべき連合国側の協力の義務といいまするか、協力の約束というものは一切ない、かように考えられるのでありまするが、或いはそのような解釈でなくて、もつと有利な日本の国連加入に関する連合国側の、ただウエルカムということを、もつと積極的な協力をしてくれるような約束と考えることができるのであろうかどうか、その点を伺いたいと思います。

島津久大外務省政務局長

○説明員(島津久大君) 従来の案の書きようは、私正確に記憶はいたしておりませんが、極く常識的に考えまして、前文の性質から見ましても、御指摘のように約束というような点は今回の文面には出て参らないのであります。従来の考え方と実質的に私余り差がないものと考えております。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 従来のやつは引合いに出すと、公式には外務省のほうとしては、まだこの前のやつは秘密になつておるのですか、どうなんですか。つまり今度のやつは、今度の草案は発表は日本政府がしたわけではありませんが、日本政府に與えられておる草案としてはこれは事実としてこれを公表をしても差支えないわけですが、この前のダレス草案というものはあれは日本政府に関する限り公に陽の目を見ることができるのであるのかどうか。この点を伺いたい。

島津久大外務省政務局長

○説明員(島津久大君) 前回の案はいわゆるヘンスレー案であります。どこでも正式に発表いたしておりません。従つて日本政府としましても正式に承知をしていないのであります。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 それでは一応そういうふうに承わり置きますが、今の政務局長の御答弁ではこの前のやつと大体実質的に変りないということは、今度のやつに関しでは、これは約束とは認められない、約束というのは国際連合に加入するものに対する連合国側がこれを援助するとか、その他の積極的の意思というものはない。従つてそれは約束ではない、今度の条文に関する限りさように解釈して間違いありませんか。

島津久大外務省政務局長

○説明員(島津久大君) この文章の上から明確に約束ということにはなつておらないのであります。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 この前の委員会のときに伺いまして、まだ十分な御返事がなかつた点をもう一遍伺いたいと思いますが、それは第二章の第二条におけるこれら分離される地域に対する権利権原及び請求権、この文章の正確な意味であります。この前の御説明によつて権利権原及び請求権の放棄というのは、いわば領土が分離される場合の条約上の慣例的な文句である。而してそれは主として領土権のことを言つているのであるが、必ずしもそれのみに限らないというような御説明だつたと思うのですが、その点をもう一遍確かにして頂きたいことが第一点であります。  第二点は、これ又この前伺いました、その点に関連いたしまして、第四条との関係でありまするが、若し領土権のみでなく、いろいろな他の権利を、第二条でこれらの地域に関連して放棄するものといたしますならば、少なくとも第四条との関係において、これら分離される地域の当局と交渉の題目に、特別取りきめの題目になりまするところの請求権は、国民の財産権、請求権は当然でありましようが、国家としての財産権、請求権はどの程度第四条の特別取りきめの題目になり得るのかどうか、この点を一層正確に知りたいと思うのです。

島津久大外務省政務局長

○説明員(島津久大君) 実はこの第二条と第四条の関係は前回あらましお答え申上げた以上に具体的な問題につきまして、実は研究をした上でと考えておりますので、新たに正確なお答えもできかねると思うのであります。いずれにしまして茶、この権利権原、請求権という第二条の表現は、これは領土権ということに私解釈してよろしいと思うのであります。それ以外になにがしかがあるという御説明は前回はいたさなかつたつもりであります。この四条の点はもう少し詳細に具体的な問題にも想定しまして、研究を進めた上でお答え申上げたほうが適当かと思います。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 この点は非常に重要なことでありまするし、第四条との関係におきまして、それらの地域によりましていろいろ実質的に違いがあると思います。殊に朝鮮と台湾その他とは非常に意味が私は違うのではないか。いわゆる戰勝国に対する領土の割譲、実質的に(d)以下は私はそう見ていいと思うのであります。(a)の朝鮮は戰勝国に対する領土の割譲でなくて、戰後における独立国としての領土の分離の場合だと思いますので、日本側の請求権の内容が実質的に(a)と(d)以下とは非常に違うと思うので、私はその点を非常に重視しておるものでありまするが、細目につきましてはいろいろ更に御検討の上で御回答願うことで結構であります。  今一つ、私の聞き違いだつたかも知れませんが、この前の御回答では権利、権原及び請求権は主として領土権、主権のことであるが、必ずしもそれに限定されないように伺つたのでありますが、若し限定されるということがはつきり言えるものといたしますれば、領土権と認められないような日本の公法上の権利、例えば国有の鉄道その他の不動産の権利等についてはこの第二条ではこれは放棄することにならないのでありますから、第四条のほうで特別取きめの対象になるということがはつきり言えるものであるかどうか、ここが私の質問の要点であります。若し只今の御回答を得なければあとでもいいですが、領土権のみというふうに解釈していいかどうか、その点をはつきりして頂きたい。

島津久大外務省政務局長

○説明員(島津久大君) 領土権という解釈でよろしかろうと思うのでありますが、この第二条の中には委任統治の関係もございますので、領土権というだけの表現でなくて、領有権的な権利というような趣旨に解釈してよろしいかと思います。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 甚だしつこいようですが、領土権若しくは領有権以外のその他の不動産に関する権利とかなんとかというものは含まない、こういう解釈でいいですか。

島津久大外務省政務局長

○説明員(島津久大君) 只今の御説のような解釈で結構と思います。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 ありがとうございました。  次に第三条でありまするが、第三条はこれらの地域に対しては、いわゆる領土権或いは領有権というものの放棄の規定ではない。その点が第二条と違う、さように解釈してよろしうございますか。

島津久大外務省政務局長

○説明員(島津久大君) この点は前回も御説明申上げまして、確定的なことはまだ申上げかねるというようなお答えをいたしたのでありますが、御指摘のように書き方が違つておることはこれは事実なんであります。がなぜ違つておるかと言いますと、これはやはり信託統治制度ということが当然の前提となつておりますので、そういうような関連から書き方が違つておる、そういうように一応解釈しております。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 第三条の書き方によると、信託統治にすることが必然ではないようにも思うのですが、つまり書き方としては先ず信託統治に関してアメリカ合衆国が国際連合に提案する、その場合には日本として如何なる提案にも同意するということになつておりまするが、その後段のほうはこのような提案が行われ、且つとれが可決されるまでの間は要するに合衆国はこれらの領土に対して一切の権力を行使するということになつておりまして、必ず提案が行われ、可決されるということは必然ではない。或いは提案が行われないかも知れない。行われても可決されないかも知れない。従つて結論としては、現状のような一切の権力を振つておるその状態が事実は長く続く、そういう可能性もあるのではないかと思いますが、もう一遍申しますれば、国際連合の信託統治にするということが絶対の必然ではないかも知れない、こういうふうに思うのですが、どうなんですか、この点は……。

島津久大外務省政務局長

○説明員(島津久大君) これは仮に信託統治に必ずするということでありましても、書きようとしてはこれは将来の手続を要することでありますので、当然こういうような書きようで私はなるものだと思います。従いましてこの文章から信託統治に確実にする、必ずする、或いはそうではないというような解釈はこの文面からは出て来ないように思います。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 第六条の連合国のすべての占領軍というものは、只今日本に偽りますところの外国の連合国の総司令官に対する派遣使節の、例えば歩哨とか番兵みたいなものも一切含む、すべての占領軍は条約の効力の発生後九十日以内には日本から撤退しなければならない。但書の規定によつて駐屯を認められた者以外はすべて撤退しなければならない、こういうふうになつておる。この占領軍の中にはかかる一切の軍人というようなものも含むのであるかどうか、この点は如何ですか。

島津久大外務省政務局長

○説明員(島津久大君) この占領軍を構成するものはすべて含むと私は考えております。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 この前の委員会で大体伺つたのですが、第十二条の(d)項の、要するに通常例外的に最恵国待遇或いは国民待遇から除外することが妥当であると認められるような例外的措置というのは、何かもう少し、例えばこういうものがあるというようなのを、今御説明願うか、或いは何か一般的な通商条約の御研究によつて、この次でもいいから、例えばこういう事項がある、例えばこういう具体的の事例がある、これを示して頂きたいのですが、如何ですか。

島津久大外務省政務局長

○説明員(島津久大君) これは従来の例と具体的な材料を揃えまして、又重ねて御説明申上げようと思うのでございますが、一応考えられますところは、沿岸貿易或いは内水航行、そういうようなこととか、特に衛生上の必要に基くいろいろな措置、そういうことが含まれております。それ以外にも勿論あるのであります。取り調べた上で説明いたします。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 そこで特にこの点をこの次に教えて頂きたいのですが、そういつたような沿岸貿易、内水航行等のほかに、或る種の産業については、これは完全に内国民待遇を与えてないというような例が少くとも過去の日本においては非常に多かつたわけですね。いわゆる国防産業の見地からというようなわけで……、それから或る国においては、或る種の産業については、その外国の国の投資の割合というものをいわゆる四九%以下にする、即ち産業の種類によつて、外国人、法人を含めて、に対する差別的待遇をやつておる例、それからものによりましては持株の制限をする例、こういうようなものがどの程度最近の通商条約上の解釈として妥当視されるか、とおりの点について御研究があつたら伺いたいし、あとでも結構です。お願いいたします。  更に先だつて伺つたところですが、やつぱり二十三条の、署名国の数……、批准の際に、その過半数というのは、ことに現実に異名する国の、アメリカ合衆国を勿論含めてですが、アメリカ合衆国を含めた、現実に異名した国の過半数というふうな解釈は、もはや合憲的解釈として取扱つてよろしいか、それともまだ御研究中ならあとでもいいのですけれども、どうですか。

島津久大外務省政務局長

○説明員(島津久大君) 勿論でございますが、条約の案がフアイナルなものでもございませんし、又これも仮訳でございますので、合憲酌ということまではつきりした解釈は、全体としてできないわけでございます。併し今の問題の点は、先だつて留保した形で、一応考えると申上げましたのですが、この文面の解釈としては、そういう解釈が当然だと思います。間違いないと思います。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 有難うございました。それではその次の(b)項ですが、九カ月後になりまして、要するにその前の(a)項の要件が整わなかつた場合の個別的に効力を発生するときの規定に関してでありまするが、この場合は、仮にアメリカ合衆国が批准しないというような、まあこれは仮定、非常な仮定ですが、そういう場合でもこの文理解釈から言えば、例えばフランスならフランスが批准した、そういう場合には日本の批准さえあれば日仏間にはアメリカ合衆国の態度如何にかかわらずこの規定によつて効力を発生するものであるか。それともアメリカ合衆国の批准は絶対の要件なのか、この点はどうなんでしようか。

島津久大外務省政務局長

○説明員(島津久大君) この点はもう少し研究さして頂きたいと思います。

團伊能自由党

○團伊能君 私逐条的には、多少部分的には関係ございますけれども、もう少しのちの機会に質問いたしたいと思いますが概括的なところ二、三、条約草案それ自身の性質について伺いたいと思うのですが、この草案は日本以外……、これらの連合国に渡されまして、只今御審議中のことと存じますが、この草案自身はまだ何らの効力を持つていないものでございまして、一つの全く草案でありますけれども、これについての修正は日本は特殊事情にありますが、他の連合国の主張があれば修正され得るものでございますかどうか。

島津久大外務省政務局長

○説明員(島津久大君) この草案は最後的なものでなくて、修正され得るものと解釈いたしております。

團伊能自由党

○團伊能君 その場合に若しも非常に妥当と認められる問題につきまして、日本が一つの修正を提案することは、日本という特殊国の事情を考えまして可能なものでございますか。

島津久大外務省政務局長

○説明員(島津久大君) 御承知の通り、今までの条約草案の成立の過程からいたしまして、正式にどこの国に意見を求めて、それでその国の正式の何と申しますか、見解として、或いは権利として見解が出されたというような経過ではなくて、ダレス特使を通じて、関係国に個別的に内容を打診してその結果がこの米英の共同、の草案という形で今出て参つたものと考えております。従いまして今後多少の修正があるといたしまして、それがいつ最終的になつて、それ以外に修正を許さん……、それがいつ頃であるということは私ども全然見当がついておりません。併しどのみちこれが最終的なものではない。適当な方法で関係国の意向なり主張なりが織込まれて行くべきものと考えております。

團伊能自由党

○團伊能君 そういたしますと、先日来新聞に伝えられておりますような仮調印の期日というものも、そういう情勢によりましては変更あるものと考えられますが、この仮調印の期日等がすでに明記されておりますが、これは決定的なものでございましようか。

島津久大外務省政務局長

○説明員(島津久大君) 仮調印云々は一度新聞に報道されましただけで、そういうものが果してあるかどうか、如何なる時期にそういうものがあるかということも全然私どもは承知をいたしておりません。

團伊能自由党

○團伊能君 その次にこの草案の形でございますが、最後に日本政府の宣言というものがついておりますが、こういうものがつきますのは国際条約としての慣例があるかどうか。次にこういう宣言は、日本国政府の意思で発表されるのでございますが、この意思は全く強制的なものでありますか、或いはこういう署名をするということはあらかじめすでにお話があつて、交渉があつて政府においてそれを承認されたものでございますか。

島津久大外務省政務局長

○説明員(島津久大君) 講和条約に必ずこういう宣言という形のものがつきますかどうか。それが慣例としてそういうふうになつておるかということは、ちよつと私もどうも慣例とは申しかねることと思うのですが、併し講和条約の本文として入れるのに必ずしも適当でない、そうして日本の一方的な意思の闡明という形をとつたほうがよかろうということで、宣言という案に私はなつておると考えます。この内容を御覧になりましても初めのほうの条約の場合は日本の意向というものが表明されておるのでありまして、又あとのほうの宣言につきましても交渉を始めるというようなことが宣言の内容をなしております。従いましてきちつとした義務という形でなくて、自発的に日本がこういうことを宣言するという形になると思います。それが日本側とどういう関係にあつたかということは、ちよつと今までの話合の内容その他にも関連いたしますし、私からはちよつと確かなところは申しかねます

團伊能自由党

○團伊能君 それから先ほど曾祢君から御質問になつたところの第四条でございますが、「日本国及びその国民の財産及び請求権で第二条及び第三条に掲げた地域にあるもの」、日本から分れて行く、曾つて日本領でありまして、日本領から分れて行つたところのもの、日本国及び国民の財産の請求権でございますが、これが条文はこういう工合に書いてございますが、実際の問題として平たく申して、これらに残して参りました日本人の厖大な財産についての請求権はどうなるか。その点一つ御説明頂きたいと思います。

島津久大外務省政務局長

○説明員(島津久大君) この点はこの条文にもあります通りに、日本国とこれらの当局との間の今後の特別の取りきめの対象になるわけでありまして、それがどういうふうに如何なる原則で処理されるかということも実はこの草案では明らかでないのでありまして、その点は前例その他も研究して見当をつけたいと考えるのでございますが、どのみち今後話合いの結果でないと確定的なことは出て来ないと思います。

團伊能自由党

○團伊能君 只今のお話の通り条文が書いてございますが、その話合いの相手というのはどこになるのですか。

島津久大外務省政務局長

○説明員(島津久大君) 文面から申しましまして「現在管治しておる当局」ということになつております。それ以上に私からちよつと申上げかねます。

團伊能自由党

○團伊能君 そういたしますと、この中に朝鮮も入つておりますが、「朝鮮の独立を承認し」と第二条にありますが、この第四条にも朝鮮は含まつておりますが、これは南鮮及び北鮮の当局ということになりますか。

島津久大外務省政務局長

○説明員(島津久大君) これらの点は、交渉開始可能のときになつて私はおのずからきまつて来る問題ではないかと思います。只今のところはどこと話をするということは確定的に申しにくいように思います。地域によりましては、相手がない所が出て来るかも知れません。

團伊能自由党

○團伊能君 これも非常に概括的なことでございますが、この賠償の条文でございますが……、

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 ちよつとその前に関連して、今團君が聞かれた点で、これらの分離地域に残した日本国及び日本国民の財産で、現に管治しておる当局との話合で処理しにくいものは十四条の2の(1)の連合国側が押えてしまう財産、権利等は含まない、こういうことになるのでしようね。その点どうなるのですか。そうでなければ非常にいいのですが……。例えば朝鮮の場合は別なんですが、中国その他はこの点はどうなるのですか。これらの地域のやつは四条で全部行なつて十四条の適用がないというふうに解釈していいのですか。帰属がきまつてないもの……。

島津久大外務省政務局長

○説明員(島津久大君) これもちよつと確定的なことはお答え申上げかねますが——大体只今曾祢委員の御指摘のような考え方でよかろうかと思います。

團伊能自由党

○團伊能君 賠償のところでございますが、この十六頁の請求権及び財産の1でございますが、この1の終いのほうでありますが、「この取極は、他の連合国に追加負担を課することを避けなればならない。」ことになつている。この原材料からの製造が要求される場合には、原材料を提供しなければならないというような意味でこの条文を読んでみますというと、「連合国が希望するときは供与される製造、沈船引揚げ及び他の役務を通じて日本人の熟練及び勤労を当該連合国に提供する」ことによつて与えられた損害を補償することに当てられる、こういう条がございますが、これはこの条は相当ほうぼうに大きな影響を与えております。この点につきまして……、なおダレス氏の声明としても、先般主として新聞に追加して出ておりました。この問題に関しまして第一に伺いたいのは従来日本から賠償を提供するために賠償に指定された物件がございます。賠償工場のようなものでございまして、現に軍関係の工廠のほうからは賠償としてすでに送出されたものが相当たくさんございます。賠償に指定されたものは追つてこの賠償のたびに日本から送出されるべく用意されておる。そのために政府においては相当この賠償物件ば痛めないように保全料を出して今日まで保留してございますが、その点で一つ伺いたいのは、これと少し離れますけれども、賠償物件として指定したものはその選択は何によつて選んで賠償物件を指定したのか。この点の賠償物件を指定した基準はどういうところにあつたか、おわかりならば後でもよろしうございますが御説明頂きたいと思います。実は物件の賠償指定が、勿論軍のもの或いは軍需品の製造に直接関係のあるもの、航空機の製造その他たくさんございますが、そういうものが賠償物件として指定されておりますのははつきりいたしておりますけれども、その他のものは非常に偶然的に指定されておりまして、同業種に使われたいろいろな機械その他で完全に指定を逃がれておるものと指定をされているものとの間に差別のないものがあります。その辺個々の賠償指定というものは、少し問題が外れますが、基礎が非常に不明瞭である、その点を先ず一つお調べ頂きたいと思います。  次にこの問題でまだ実際問題は将来のいろいろ交渉によるものでございましようけれども、この熟練及び勤労を提供するということは一部におきまして、いわゆる労力を提供する意味が強制労働を以てこれらの労力が提供される、或いは徴用されるというような意味にとられておる面も多いことと思います。殊に日本の労働力が安いというような意味で、集団的な労働力として、労働力をただ提供するというような意味の問題でございますると、相当大きな問題を起すこともあるかと思いますが、この点の実施、これは一つ何らかの形でもう少しはつきりして参りましたならば御説明頂きたいと思います。又仮に原料を日本に輸入いたしましてこれを加工することを日本が分担いたします場合、その加工賃金を日本の政府で負担して支払うというようなことになりますと、これは外国に賠償金を出す場合と全く同じく非常に大きな、政府が負担をしなければならないと思います。又比較的実費の加工賃だけを日本が引受けて支払いを受けて、いわゆる利潤的なものは取らないで、一つの政府が作りました枠の工賃でこの加工をするということになりますと、従つてその製品は賠償として非常に安く外国に提供される、その結果外国市場が又混乱するということがあります。これは非常に複雑な経済関係を含んおると思いますが、この辺ものちにどういうことになりますか。具体的な条件は追つて両国政府の扱きめによるでありましようが、一つの形が明らかにされましたらば成るべく早く御説明を頂き、或いは当局として一般的に御発表も頂いて一つの国際経済的な混乱というものを避けるという措置をとることが私は必要かと思います。この点何か一つの方法が外務省に……。これにつきまして何か御交渉になつた形があれば伺いたいと思います。

島津久大外務省政務局長

○説明員(島津久大君) 最初の賠償についての御質問でございますが、これは当時のいきさつその他一応調ベまして正確なところをお答え申上げたいと思います。一応私の記憶いたしておりまするところでは、賠償の指定は第一次、もつぱら軍用のもの、それから第二次的な軍需産業、それから平和産業の中で御指摘になりましたような日本の平和産業、今では想像のつかない考え方でございますが、余剰能力がある産業の水準を一応きめまして、その水準以上の能力は賠償として取る。そういうことでそれに該当するために、鉄鋼なら鉄鋼で何十万トンの生産施設に相当するものを指定する。併しそれをBの工場とCの工場、Dの工場、これをどういうふうに区別したか、そこまではわかりませんが、これらの点は調べましてお答え申上げます。  それからこの製造、沈船引揚げその他の役務を通じて、日本人の熟練及び勤労を提供する。これらの内容につきましてはやはり交渉の内容をなす関係上、あらかじめ、どうこうということを公表するのはなかなか困難ではないかと考えております。又この交渉も、今すぐ始まるのではないと思います。いずれこの条文に掲げられましたようないろいろ案件その他を勘案しまして、日本側としても腹案というものが出て参ることと思います。これはまあかなり先のことかと思います。

團伊能自由党

○團伊能君 それからなおもう少し伺いたいのでありますが、次の機会にお伺いしたいと思います。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 先ほど一応お答えを得ていたのですが、もう一辺確めたいと思いますが、第三条と、第十四条の2の(1)との関係ですが、先ほど私が申上げましたのは第三条の特別とりきめの内容から実質的にはほかの分離される地域においては第十四条の2の(1)の規定によつて日本人の財産、或いは日本政府の財産が処分されてしまうから、実質的には特別取りきめの内容から、そういうものは除かれるのではないか、こういう質問に対しまして、大体そうだというお答えがあつたと思うのです。併しその場合でも勿論連合国に入らない国、即ち朝鮮地域については、当然に十四条の規定は適用しないわけですから、特別取りきめのほうに廻わされると思うのですが、併し一般的にいつて、この第三条の規定はこれらの地域がどこに帰属するかということは書いてないわけです。従つてもう一遍私は、先ほどああいうふうに言いましたか、もう少し考えてみると、やはりこれは十四条の規定にかかわらず、やはり第三条の規定があつていいのじやないか。即ち十四条の規定によつてその連合国で、従つてこの条約に署名し、批准することを予想されている国がありまするが、その国が十四条の規定によつて処分してしまつて、本当の連合国として署名、批准しない場合には、やはり第四条の規定によつて、その地域を管理する当局と日本との間には特別取りきめをやるベきだというふうになるのじやないかと思うのですけれども、どうなんですか。

島津久大外務省政務局長

○説明員(島津久大君) 第三条とおつしやいますのは、四条のことでございますか。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 ええ、四条です。

島津久大外務省政務局長

○説明員(島津久大君) この二十一条を御覧になりますと、中国に関しては第十四条(a)の2の利益を受ける、調印しなくても中国関係は十四条の(a)の2の利益を受けることになつておりますが、朝鮮は二十一条によりますと、その点は上げてないわけであります。これはやはり先ほどおつしやいましたように、それらの地域に関しては四条の規定で行くだろうと一応考えます。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 それは中国の地域が何かという問題と、台湾が果して中国に行くかという問題との関係で、中国全地域、本土に関しては政権がどうだろうが、このあれにサインしようがしまいが、十四条の利益を受けることは確実なんです。だからここに分離される地域が果して中国の地域になるかどうかわからない。理窟だけから言えば……。そこで必ずしも十四条でカバーできない問題があり得るから、やはり台湾における財産というものは十四条でフルにカバーしていないというふうな解釈ができないものであるかどうか、こういうことなんです。中国本土については、もう問題ないわけです。

島津久大外務省政務局長

○説明員(島津久大君) 私の申上げましたのは、ちよつと誤解……、私の説明が悪かつたと思いますが、この中国の十四条、(a)の2の利益を受けるというのは、只今のお話の通り台湾はそれに入らないことになるだろうと思います。大体がこの四条の規定は日本から離れる地域という地域の関係でございますから、中国に台湾が入つた形で私申上げたのでございます。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 もう一つ伺いますが、やはり十四条……、これは四条との関係は離れまして、十四条の2の(1)の規定によりますと、これは日本に直接関係あるわけではないのですが、この規定によると、効力発生のときに押えておる、連合国が押えておる財産は勝手に処分できるということになるので、従つて例えば日本の満州における財産でこの効力発生のときに連合国の一員が本国に持つて行つてしまつておるものは、その連合国が処分してかまわないという規定になるのですか。もう一遍言いますると、その財産を現在管理しておるものが処分できる。どこに元あつたということは問題ない。満州からソ連がソ連に持つて行つてしまつた財産は、ソ連が連合国となる限り、この条約に署名し、批准する限りは、ソ連が処分することに異議ないということになるのかどうか。

島津久大外務省政務局長

○説明員(島津久大君) その点は、その解釈の問題につきましては、ちよつとお答えを差し控えさして頂きたいと思います。連合国間の問題になる点もあろうかと思いますので……。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 まあ日本側としてちよつとデリケートな点があると思いますが、どうも条約の案文からいえば、現に管理しておるということが勝つのじやないかというふうに読めるのですが、まあ、あとでお答え願つて結構です。私本日はこれで打切ります。

大隈信幸国民民主党

○委員長(大隈信幸君) ちよつとお諮りしたいのですが、專門員のほうから二、三質問をしたいということなんですが如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大隈信幸国民民主党

○委員長(大隈信幸君) それでは久保田君、

久保田貫一郎常任委員会專門員

○專門員(久保田貫一郎君) 根本的な問題になるのでございますが、従つてまあ常識的な法律論になるかも知れませんけれども、との条約が調印されました暁には、効力が発生しました暁には、日本国の受諾した降服文書、それに引用されているところのポツダム宣言、又ポツダム宣言が引用しておりますところのカイロ宣言というものは、日本に関する関係においては、過去の歴史的の文書としては残りますけれども、実際の効力のないものとして残ると解釈されるのですけれども、それでよろしいかどうかということが第一点と、それから仮にこの条約を調印しない、例えばソ連とか中共が出て来ました場合に、前に申しました降服文書というものはそれらの国に関する限りにおいて日本に対して効力を依然として前の通りに続くのであるかとも考えられますが、そうであるか、又は降服文書というものは連合国が一団となつた一つのグループが相手で、一方の相手は日本国であつたわけですが、相手のグループに変化があつたということで、仮に事情変更の原則というものが働いて、効力が前の通りでなくなつてしまうのじやないか。ソ連とか、調印しなかつた国に対しても、前と同じような効力を持たないのではないかとも考えられるのですけれども、その辺のところをお示し願いたいと思います。

島津久大外務省政務局長

○説明員(島津久大君) 只今の御質問の点は、従来とも外務委員会乃至は予算委員会等でしばしば問題になりましたととろでございます。なおこの点は、相当大きな問題でございますし、今まで政府当局から申上げておりましたところ以外に、ちよつと私としてはつきりしたお答えを申上げかねるのでございまして、いずれこれらの点は研究いたしました上でお答えいたしたいと思います。

久保田貫一郎常任委員会專門員

○專門員(久保田貫一郎君) もう一点、前文についてお伺いしたいのですが、前文を読みますと、日本国は国際連合の憲章の原則を遵守すると書いてありまして、それで十分だと思うのですけれども、そのほかに、特に第五十五条と五十六条というものを抽出して書いておりますが、五十五条、五十六条というものは人権宣言のようなものとか、経済社会関係のことで、大体はユネスコの目的のようなことを書いておりますが、特にこれを重視してここに書いておるのはちよつと均衡がとれないようにも思えるのですけれども、特別の意味があるかも知れんと思いますので、お伺いしたいと思いますけれども、それが一点と、それからイタリアとの条約のような場合には、条約の発効をしました後で、一種の監視機関がありまして、条約の実施を重視するような仕組になつておると思いますが、この条約は幸いにしてそういうことがございませんので、非常にいいと思うのですけれども、仮りに、日本のほうでその自由というものを濫用いたしますると仮定した場合には、占領下におきまして実現されました日本のデモクラタイゼイシヨンというものが逆戻りして、いわゆる日本が反動化しないとも仮定として考えられないこともないのでありますが、そういうものに対する保障といいますか、原則が書かれておらない。この条約のうちで確か十一条に戰犯裁判のことがありますけれども、それ以外には、占領下に行われた改革、それがそのまま効力を持つのだとか、それを変更してはならんとかということは書いてございませんけれども、前文には、定安及び福祉の条件を日本国内に作り出すために努力すると書いてあるばかりで、民主化を続けるということは書いてございません。非常にいいのでありますけれども、極端な場合には、将来日本が軍備を持つたと仮定しました場合に、又戰争を惹き起したような、得体の知れない統帥権だとか、又は軍閥だとかいうふうなものが復活するかも知れんということは、我々日本国民として最も関心を持つ心配事であるのでありまして、そのことが、勿論我々自身としてそうならないように努力すべきでありますけれども、まあ考えようによつては不要かも知れませんが、条約でそういうことが保障されておつたほうが、本当の民主化ということが必ずしも十分身についていない日本の将来のためにいいのじやないかと考えられる節もございまするのでありますが、そういうようなことが条約に書いてないと思われるのですが、果して書いてないと読んでいいのでしようか。この根本の書き方、又はその他のところでそういう一種の連合国から見た日本の監視と申しますか、連合国から見た保障というようなものがどこかにあるとお考えになりますかどうかという点をお伺いしたいと思います。

島津久大外務省政務局長

○説明員(島津久大君) 第一点の、この五十五条及び五十六条、何故特に入つたかという点でござい住するが、格別特別の私理由はないように思うのであります。第二点の監視機構がない、或いは日本が間違つた道に行かないように拘束する規定がない。それらに関する御指摘の点は、これは条約の問題と申しますよりは、或いは政治的な問題かとも思うのでございます。やはりそういうような監視機構だとか、将来に対する主権を制限するという傾きのあるような条文は、一切今度の条約から落されておるというのが大きな私特徴であろうと思うのであります。やはりこれは信頼或いは和解の条約と言われるゆえんだと考えておりますが、その点は御意見は承わつて置きたいと思ます。

久保田貫一郎常任委員会專門員

○專門員(久保田貫一郎君) もう一点、第五条でございますが、従来問題になりました大きな問題でございまするが、第五条の説明に、日本国は国際連合憲章第二条に定められた義務を受諾するとありまして、三のところに国際連合が憲章に従つてとる行動について、国際連合にあらゆる援助を与えると書いてございまして、この中には勿論武力制裁の発動の場合の武力行使ということが考えられるのでございますが、その場合に日本国憲法の第九条との大問題が起つて来やしないかと思うのですけれども、特別の調印の場合に了解がなければ、憲法の改正というふうな大問題が起つて来やしないかと思いますけれども、そういう心配なしに調印をしていいものであろうかどうかということをお聞きしたいと思います。

島津久大外務省政務局長

○説明員(島津久大君) その憲法改正云々の問題も、これ又たびたび従来から問題が提起されておりましたのでございます。この条文に関連いたしまして、それの必要ありやなしやという点は、その点の御答弁は一つこの際差し控えさして頂きたいと思います。

大隈信幸国民民主党

○委員長(大隈信幸君) それでは本日はこれにて打合会を閉じます。    午前十一時四十九分散会  出席者は左の通り。    委員長     大隈 信幸君    理事            曾祢  益君    委員            團  伊能君   事務局側    常任委員会專門    員       坂西 志保君    常任委員会專門    員      久保田貫一郎君   説明員    外務省政務局長 島津 久大君

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