本会議 第33号
- 発言数
- 12 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1951/05/10
会議録
○議長(林讓治君) これより会議を開きます。 ————◇—————
○議長(林讓治君) 国務大臣の演説に対する質疑に入ります。千葉三郎君。 〔千葉三郎君登壇〕
○千葉三郎君 吉田総理の昨日の演説に対しては、およそ八千万国民ひとしくその期待を裏切られたと思うのであります。(拍手)国民は、講和近づけりとの喜びに浸りながら、緊迫した国際情勢のもと、わが国の安全をいかにして確保するか、独立後のわが国経済をいかにして切り抜けるかと心からこれを憂慮し、これに対する総理の構想を聞きたかつたのであります。それは、かのマツカーサー元帥の合衆国国会においての演説ほどではなくとも、総理の大胆にして雄大な講和の構想を知りたかつたのであります。しかるに、單に早期講和の経過報告にとどまり、しかもこれを地方選挙の結果に結びつけて、わが世の春をうたうに至つては、まさに国民の要望を無視し、時代感覚の欠如を暴露したものというべく、重大時局に処する総理大臣としての能力をさえ疑うものであります。(拍手)わが党がかねて超党派外交を唱道したのは、民族の運命を決する対日講和の重大性を真に考慮してやまなかつたからであります。昨日の総理の演説は、相もかわらず秘密外交と国会軽視の本質が暴露されたものであり、八千万同胞とともに祖国を盤石の安きに置かんとする気魄と、その熱情に欠くるところがあつたことは、まことに遺憾にたえません。(拍手)私は、ここに国民民主党を代表して、国民の真に聞かんと欲する問題七項目を取上げて、以下お尋ねせんとするものであります。総理は、従来の秘密一点張りの態度を改めて、その見解を懇切に表明していただきたいのであります。 まず、対日講和の時期に対する総理の見通しについてであります。ダレス特使は、四月二十三日、工業倶楽部における演説におきまして、迅速なる講和を精力的に推進すると言明されておりますが、その後、米英間の中共並びに台湾問題をめぐる意見の相違、さらに合衆国内部における国会の論争、これに加うるにソ連の対日講和に対する対米覚書等、国際情勢は決して楽観を許しません。総理は、この情勢のもとで、対日講和は本年の何月ごろを成立の目標として受入れ準備を進めておらるるか、まずこの点を明らかにされたいのであります。われわれは、米国政府が既定方針に従つて対日講和を促進することを期待するものでありまするが、單にアメリカ一国のみを対象とすることなく、西欧民主主義陣営の多数の国家群の参加を希望するものであります。総理は、講和を急ぐのあまり、アメリカ一国とのいわゆる單独講和に追い詰められはしないか、この見通しをはつきりお述べ願いたいのであります。(拍手) 次に政府におきましては、対日講和條約の草案をすでに受取つておられるかどうか、この事実をお尋ねしたいのであります。すなわち、三月三十一日ロスアンゼルスにおけるダレス氏の演説によつて、われわれは対日講和條約案のアウトラインを知り得たのでありますが、政府はすでに條約草案そのものを受取つておるはずであります。もし受取つておるならば、何がゆえにこれを発表しないのであるか。すでに関係諸国においては、三月二十七日その手交を受けて、その大綱が発表せられたものを、わが政府のみ国民に対して発表しておりません。これは、総理お好みの、講和はくろうとのおれにまかせておけといろ、例のワン・マン独裁の思想にほかならない。政府が、かかる旧式秘密外交方針をとる以上、あるいは対日講和條約を国会に諮らずして事前に締結されるのではなかろうか、われわれはこれをおそれておるのであります。 憲法第七十三條によりますれば、締結国会の承認を得ることも可能であるが、いやしくもわが国において、民主主義は一応の軌道に乗つたと連合国側に認識されつつある今日、もし吉田総理が、かかる暴挙に出たならば、講和締結後、国内情勢は混乱し、国際的には反民主主義の刻印を受けることは必然であります。吉田内閣は、講和條約は事前に国会の承認を求めらるるものと私は確信するのでありまするが、その方針と、政府が対日講和條約の草案をすでに受取つておられるかどうか、この事実をはつきりお示し願いたいのであります。(拍手) 次に総理は、ダレス特使との会談において、領土帰属に関し、いかなる要望をせられたか、またいかなる了解を與えられたか、お尋ねしたいのであります。すなわち第一に、総理は領土の帰属を主張するにあたつて、カイロ宣言あるいはポツダム宣言、そのいずれに重きを置かれたか。カイロ宣言によれば、南洋委任統治諸島並びに満州、朝鮮はこれを返還することはやむを得ないが、台湾、膨湖島、南樺太は、一九一四年以前においてわが国の得た條約上の権益であります。日本は、清国並びにロシヤから、これらの領土を断じて盗み取つたものではないことを十分主張すべきであります。(拍手)この点、ダレス特使に対して、総理はいかなる主張をしたか。 第二に、ダレス特使の第二回来朝の際、いわゆるアメリカの対日講和七原則に基いて、台湾、膨湖島並びに南樺太、千島は、いずれも英米中ソの四箇国によつてその帰属を審議し、一度以内に何らの決定に到達しない場合にあつては、国際連合の総会に付議してその帰属を決定すると言つておつた。しかるに、三月三十一日ダレス氏のロスアンゼルスにおける演説によりますると、前回の原則を変更して、ソ連が対日講和に参加することを條件として南樺太、千島はソ連に帰属させると言明したのであります。われわれは、第一次ダレス草案こそ、日本にとつても、また世界平和のためにも必要であると考える。総理はこの点について、ダレス特使に対して、いかなる主張をあえてしたか。 第三に、千島、小笠原、琉球は、歴史的にも民族的にも、わが国固有の領土として保有さるべきものとわれわれはかたく信ずるものであります。(拍手)わが党は、ダレス氏に対して、千島、琉球、小笠原島は日本の版図であることを強く要望したのであります。総理は、これらに対し、いかなる主張をしたのであるか。 第四に、総理は、ダレス特使に対して、琉球及び小笠原島については、国連の信託によつてアメリカの統治下に置くことをそのまま認められたのであるか。あるいは信託統治に期限をつけて、期限終了後は日本に帰属せしむるよう要望せられたか。または日本の領土権をあくまでも主張して、これを軍事基地としてアメリカに貸與するよう了解を與えられたのであるか。総理は、以上三点のうちいずれを要望したか、明確に御答弁を願いたいのであります。(拍手) 第五に、歯舞諸島並びに奄美大島がわが国固有の領土であることは明白な事実であります。本国会においても、三月三十一日、歯舞諸島に関し、国会の総意をもつてこの点を明らかにした。総理は、これらの点に関し、ダレス特使にいかなる主張をせられたか、そうして、その手ごたえはいかなるものであつたかを、ここに明らかにされたいのであります。(拍手) 次に、安全保障の基本方針についてお尋ねいたします。ダレス特使は、さきに、平和への脅威を除くためには効果的な集団的措置が講ぜられなければならないと述べ、さらに今回へ恐怖なき平和樹立の道を強く力説せられた。米国政府はソ連政府提案をはつきり拒否し、ここに米ソ間の対立抗争が激化の一途をたどりつつある今日この際、わが国にとつて最も重大なる問題は安全保障であります。ことに、わが国の安全が太平洋の安全に連なり、世界平和に直結する現状においては、国際連合憲章にのつとる集団的安全保障の実現は、一日も早くこれを望んでやまないのであります。その前提として、日米安全保障協定によつて、講和後の真空状態における赤色帝国主義の侵略に対し日本を防衛することは、やむを得ない措置であります。しかしながら一面において、外国軍隊がわが国土に長く駐屯することは、日本民族の愛国心と自尊心がこれを許しません。わが党は、国土を防衛するために自衛力の強化を主張して来たのであります。(拍手) そこで吉田総理にお尋ねするのは、第一に、日本民族の自由と独立とをみずからの力で守ることなく、外国軍隊に一任して、日本が完全に独立したと言い得るでありましようか。第二には、日本は軍備なくとも防衛し得るとのお言葉であるが、その方法いかん、具体的に承りたいのであります。結局、合衆国の軍隊にのみ依存する意味であるかどうかを承りたいのであります。第三には、総理は三月二十九日、日経連の総会において、軍備には絶対反対であると明言せられたが、去る二月、ダレス特使に対しては、軍備を肯定する約束をしなかつたかどうかという点であります。以上、根本方針を明示せられたいのであります。 次に、ダレス特使との会談において日米安全保障協定のとりきめが行われたと私は信ずる理由を持つております。そこで、この内容中、第一に、わが国は自衛兵力をいつまでに完備するのであるか。すなわち、米国軍隊の撤退の時期は何年後を目標としておるのであるか。第二に、米国軍隊駐屯に関する費用は合衆国の負担と聞いておるが、総理はいかにこれを了解しておるか。第三に、駐屯軍は侵略もしくは第三勢力の使嗾による内乱には出動するとは当然であるが、單純なる国内暴動の鎮圧のためには出動することは許されないと思うが、総理はいかに解釈しておるか。 われわれは、現在国内治安対策の不備を憂慮しておるのであります。朝鮮事変に伴う国際情勢、特に合衆国国会におけるマツカーサー元帥の証言等から見ましても、われわれは祖国の安全をみずからの力によつて確保する決意を新たにしなければなりません。この点に関する総理の感覚は、従来きわめて楽観的であつた。政府は近く国内警察法の改正を行うと伝えられておるが、時機おそきに失するのではないか。国家警察、自治警察、さらに警察予備隊等の命令系統は不統一であり、日共幹部八名は、地下に潜行したまま一年になんなんとするも、いまだにその所在すら突きとめ得ない弱体である。吉田総理は、みずから顧みて国内治安確保に自信があるかどうか、吉田総理の決意を承りたいのであります。 次に総理は、ダレス特使との間に、わが国経済自立の問題に関していかなる要望をなされたか、お尋ねしたいのであります。ダレス特使は、過般の演説において、われわれの企図しておる講和條約は、日本を国際社会の自由かつ平等なるメンバーに回復させることを目標としている、敗戰国の無力な立場に乗じて、他の完全主権国家には適用されないような制限を敗戰国に課そうとする気持が存在するが、米国はこれに反対する立場をとつていると言明せられました。私は、ダレス特使のこの信念に深く敬意を表するものであります。日本の工業生産に何らかの制限を加えんとする一部国家の意見については、その理由の発見に苦しむものであります。いやしくも国連への協力を決意した日本国民としては、かかる制限が加えられるならば、国民感情の上からも受入れがたいのであつて、むしろ今日の国際情勢のもとにおきましては、日本の自由なる工業力をもつて、自主的に、しかも積極的に国連に協力することこそ自由国家全体の利益に合致する道であると確信するのであります。(拍手)この点について、わが党は、ダレス特使に対し、紡績並びに造船能力の制限等に関し絶対反対の要望をしたのであります。また賠償問題に対しましては、ダレス特使はきわめて同情的であり、日本経済がいかに貧弱であるか、弱体であるか、その実状をつかんでおられたことに対しましては、一応の安心感を得たのであります。われわれ日本人も、フイリピン国に対しましては深く反省するとともに、政府は進んで同国の経済復興に協力するの誠意を表明すべきものであると思うのであります。この点に関し、総理の見解をお聞きしたいのであります。 さらに在外資産処分問題についてでありまするが、台湾、膨湖島、南樺太、千島並びに朝鮮は明らかに日本の領有であつた事実にかんがみ、同地域内の資産は在外資産の観念から除外すべきものと思う。特に邦人の私有財産については、元の所有権者に返還するのが当然であると思うのであります。 総理は、これに対しいかなる見解を有し、またいかなる要望をしたか。祖国を離れ、苦心さんたん、営々として築いた私有財産をことごとく踏みにじられた引揚者は、日本政府の強力なる発言を望んでおることを忘れてはなりません。(拍手) ドツジ氏は、日本経済のがんは人口問題であると結論したと伝えられております。ドツジ・ラインに批判的である私も、この人口問題については全然同感であります。われわれ日本人は、みずから人口の調節をはからなければからないこともちろんでありまするが、同時に、この狭小な国土に永久にとじ込められることは忍ぶことができません。平和的民主的国民として自由諸国家が認識して、住居の自由の大原則を講和條約の前文に明記せらるるの理解と寛容さを心から念願するのであります。(拍手)これに対する総理の心組みをお伺いしたいのであります。 最後の質問は、五月一日の占領統制緩和に関するリツジウエイ総司令官の声明についてであります。 第一に、追放解除の問題であります。リツジウエイ司令官が、講和成立の前に追放解除の措置をわが国政府に委讓したのは、日本の民主化が軌道に乗り、一応その目的は達成したことを証明したかちであります。そこで講和を迎うるにあたつて、暴力その他によつて日本の民主化の妨げをなずむの以外、すなわち少くともD項よりG項のわくは、これをただちにとりはずして、国民あげて講和の受入れ準備のために協力せしむる必要を痛感するのであります。従つて政府は、迅速かつ全面的に追放者の解除を断行して、もつて講和を迎うる受入れ準備をなすべきものと思うのであります。しかるに、政府は審議会をつくり、これからいよいよ審議にとりかかるようでは、リツジウエイ声明の好意を無にするのみならず、かつての廣川朗報のごとく、党利党略をはかるの誤解を招くのであります。(拍手)吉田総理は、いかにして、かついつまでに追放解除を断行する所存であるか、この点を明らかにされたいのであります。(拍手) 第二は、戰争犠牲者の救済問題であります。遺族、戰病者及び留守家族対策に関しては、すでに昭和二十四年五月、第五国会において、また本国会においても、去る三月三十一日、政府に対し適切な処置を望む決議案を、満場一致をもつて可決したのであります。(拍手)しかるに政府は、これに対してきわめて冷淡で、いまだに見るべき措置を講じておりません。まことに遺憾にたえないのであります。今日戰争による傷病者に対する手当は、年額わずかに二千五百円であります。まことに驚くべき低額であります。総理は、このことを御承知でありましまうか。どうしてこれで生活ができますか。戰争のために不具廃疾となつて生活力を喪失した彼らは、やむなく街頭に立つて、道行く人に哀訴嘆願しておるのであります。さらに留守家族の悲惨なる状態、これをこのまま放置するにおいては、国家の恥辱と申さなければなりません。(拍手)わが国同様占領下にある西ドイツにおいては、昨年十二月二十日、これらの同情すべき人々に対し、年金その他の社会保障制度を確立したのであります。しかるに、わが国政府の無関心と冷淡とは、依然として昔のままであります。そこで、これを阻害した政令をすみやかに改廃して、本国会において救済のための補正予算を提出すべきものであると思う。この点、総理の見解はいかがでありますか。(拍手) 第三に、予算に関する自主性確立の問題であります。いかに政令の改廃が行われましても、これに伴う予算の裏づけがなくしては、国民にとつては絵に描いたもちも同様であります。政府は、近く提出される補正予算についでは、自主権を確保するための政令の改廃を断行する所存であるか、あるいは依然として総司令部の袞竜の袖に隠るるのおつもりであるか、この点を特に明言せられたいのであります。(拍手) 以上の質問に対し、総理は懇切にしかも率直に答弁せられんことを希望しまして、ここに質問を終るものであります。(拍手) 〔国務大臣吉田茂君登壇〕
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。 第一の御質問は、講和の時期いかんという御質問でありますが、講和の時期については、これは相手方のある講和でありまするから、ただちに六月までとか七月までとかいう見通しは、何人といえどもできないはずであります。ダレス氏が、なるべく早くいたしたい、これはわれわれも同様であります。また六月とか七月までに、でありましたか、夏までにできなければ失望するということを言われたが、これは、ただにダレス氏のみならず、われわれも失望いたすのであります。しからば、いつまでにできるか。これは道路工事と違いますからして、講和條約がいついつかまでにできるということは、だれも神様以外に申すことはできないはずであります。ゆえに私は、ここに確答はいたしません。 また講和條約の草案を受取つたか。確かに受取りました。しかしながら、これは発表いたすべきものではないのであります。発表いたさないということでもつて受取つたのであります。しかしながら、不幸にしてこの條約草案なるものが、ワシントンでありますか、どこでありますかにおいて漏れたということは事実であります。これは漏れたのであります。われわれとしては、草案は発表しないということでもつて受取つたのであります。ゆえに、これは国会に持ち出して諸君に発表するという自由を持つておりませんから、いたしません。 また、国会の承認なくして條約を成立せしむるようなことは、憲法の規定にあります通り、できないことであります。ゆえに、條約締結前においては必ず国会の協賛を経る決心であります。(「経過報告をしろ」と呼ぶ者あり)経過報告などはできぬ。(拍手、笑声)領土の帰属問題については、国民の要望するところ及び政府として考えていることは率直に要望もいたせば、またこれに関する関係資料は、最も重大な書類として関係方面に提出しております。私は、ダレス氏の考えによつても、また連合国の機運から申しましても、ヴエルサイユ條約が一方的に講和を押しつけたというために、ヴエルサイユ條約が行われなかつた、あるいはドイツにおいてナチが起こつたというような過去の歴史もありまするから、国民の要望に反した処置はできないと思いますが、また要望をいれることにやぶさかでないと思いますけれども、領土の問題については、すでにポツダム宣言において明らかになつておるのであります。その範囲内において、なるべく国民の要望を取入れて適当な処置を講ずることに、私は連合国、少くとも米国政府は非常な関心を持たれるものと考えます。 また、ポツダム宣言あるいはヤルタ條約でありますか、いずれを重んずるか、これは言をまたないのであります。日本としてはポツダム宣言によつて義務づけられておるのでありまするから、ポツダム宣言を尊重するのはもちろんであります。 また、琉球その他に対して信託統治を承知いたしたか、私として承諾いたしたかという質問のようでありますが、これは承諾するとかしないとかいう問題ではないのであります。ポツダム宣言においてきまつたことであります。いかに処置するかということは連合国の問題であります。 また、安全保障の協定をなしたかというような御質問でありまするが、これはいかなる事実によつてこの協定をなしたと言われるのか、私はこれをお聞きいたしたいと思うのでありますが、先ごろのダレス氏とは、私はかくのごとき協定をいたしません。従つて、この協定は将来に属することであつて、米国政府においても考えておるであろうと思います。しかし、このために再軍備を肯定したかというお尋ねでありますが、私は再軍備は肯定いたしません。これはしばしば申す通り、民主党の諸君とは違つて、私は今日において再軍備なすベからずという議論を、かたく自信をもつてこれを主張いたしておるのであります。 また、国内治安についてはどうか、国内治安について確信があるか、確信がございます。今日まで、何ら国内の治安において日本政府の手に負えないような動乱は起つておらないことが、これを証明いたしております。 フイリピンと経済協定をするか。私の、あるいは日本政府の趣意とするところは、善隣——隣国とよい関係におる、いわゆる善隣外交をもつて私の趣意といたしておりまするから、フイリピンに対して協力する余力があるならば、喜んで協力いたすつもりでございます。 在外資産についてはいかんというお話でありますが、これもまたポツダム宣言その他においてきまつております。在外資産は、賠償の担保としてこれを所在連合国において没収するということになつております。この制限のもとにおいていかに緩和せられるかが今後の問題であります。お話を聞いておりますと、千葉君は、日本に降伏條約がなかつたような言い方でありますが、不幸にして降伏條約に義務づけられておるのであります。ポツダム宣言は、これは日本国として、国際的義務として尊重いたさなければならないのであります。 人口問題についてということでありますが、この人口問題は、過日のダレス会談においては何ら言及いたしておりません。これは日本国の、單に今日ばかりでなく、将来における重大問題として、国をあげてこの問題を研究いたさなければならぬと考えます。 また統制緩和について、リツジウエイ司令官の声明に対してのお話でありますが、この声明を受取りまして、政府としては、なるべくその趣意に合うように、目下研究を進めております。 追放問題についてもその通りであります。しかしながら、党利党略にこれを利用する考えは毛頭ございません。過去においてないのであります。今後においても、これは断じてございません。 また戰争犠牲者に対してのお話は、ごもつともであります。私も同感であります。しかしながら、これはいわれのあることで、今日まで経緯のあることであります。戰争直後において、つまり軍国主義をかえすために、軍国主義に対する一つの占領国の方針として、特に戰争犠牲者であるから厚く待遇することはいけない、普通の負傷者その他と同じような條件においてこれを保護せよという原則があるのであります。われわれとしては、戰争犠牲者に対しては十分優遇の道なり保護の道なりを講じたいと考えまするが、しからざるも、日本はやがて軍国主義が復活するであろう、再軍備を——諸君が再軍備を非常に主張せられる結果、現にオーストラリア、ニユージーランド等においては、日本において再軍備もしくは軍国主義が復活しつつあるのではないかという疑いをもつて日本に対しておるのであります。(拍手)かくのごとき疑いを持つて、そうして講和條約に臨むならば、講和條約の内容は、自然日本に対して苛酷になるのであります。私は、民主党の幹事長——前幹事長として、言論は十分愼んでいただきたいと思います。(拍手) 自主権の回復ということを言われますが、講和條約ができない前においては、つまり独立のない国においては、完全なる自由はできないはずであります。ゆえに、全面講和というようなことをおつしやらずに——全面講和でなければ講和いたさないということになれば、いつまでたつても、自主権は回復ができないのであります。(拍手)
○議長(林讓治君) 千葉君、別に再質問はよろしゆうございますか。
○千葉三郎君 よろしゆうございます。
○議長(林讓治君) 鈴木茂三郎君。 〔鈴木茂三郎君登壇〕
○鈴木茂三郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、吉田総理のダレス氏との会見の報告に対する質疑をいたしたいと存じます。 総理の報告あるいは答弁に対しまして失望いたしましたのは、私だけでなく、わが党だけでなく、国民はひとしく失望したところであろうと信じます。総理は何も報告することはないと言われておるが、ダレス特使と外務省との間に技術的な折衝の行われたことは国民が知つております。日米防衛協定は、日米の完全な一致点にすでに到達したとして、案文さえ報道されております。国会を侮辱し、国民を愚弄するように、ただお茶を濁しさえすればよいというような印象を與えることは、国民は断じて満足しないと私は信ずるのでございます。(拍手) 〔議長退席、副議長着席〕 どういう講和になるかということは、国民の生死、民族の運命に関する重大な問題でありますから、国民は講和に関する真実を知る義務と権利を持つている。私は、まずこうした総理の国会及び国民に対する態度、心構えに対してお尋ねをいたしたいのであります。総理がこういう態度を持つておられますために、国民の中には、講和即平和、すなわち講和のできることによつて真の平和がもたらされる、講和即独立、すなわち講和ができることによつて真の独立が確保されるといつたような安易な考え方から早期講話を期待している者もあるように見受けられるのであります。しかるに、講和がしかく安易なものでないことは、ダレス特使と会談をされた吉田総理自身、とくと承知されておると信じます。どうして日本を戰争に巻き込ませないで真の平和を確立するか、どうして外国に隷属しないで真の独立を確保するか。もしも、ここで一歩を誤るならば、講和即戰争、講和即半独立国といつたような、国家先年の悔いを日本民族に残さなければならないことを、私に深く憂うるのでございます。(拍手)私は、講和に対するかようなわが党の基本的な態度に立つて、以下大まかに三つの問題についてお尋ねをいたしたい。 質問の第一は、登最近の国際情勢と対日講和の問題についてであります。私は、終戰当時にわが国の混乱と窮乏とを匡救し、進んで民主主義の確立と経済の自立とを指導援助された前連合国最高司令官マッカーサー元帥の解職の問題について、ここで解職の是非あるいはその理由等について意見を述べようとするものではございません。しかしながら、マツカーサー元帥の解職の問題について、現在アメリカの国会において展開されている論争の報道を見て、重大な関心を抱いておるものでございます。なぜかなれば、日本をも中共やソビエトとの全面戦争に巻き込まれるかどうかというような問題がその争点、争いの点となつているからであります。この論争を通じて明らかにされたことは、今日までマツカーサー元帥解職の理由と関連して、最近の世界情勢に関する二つの問題が提起されていることでございます。 すなわち、マーシヤル国防相の証言を通じて申しますならば、その二つの問題とは、マツカーサー元帥は、われわれの方から進んで朝鮮の戰争を拡大して、中共との戰争ばかりでなく、ソ連との全面戰争の危險をわれわれに冒させることになるという点が一点、ソビエトとその衛星国の共産主義に対する自由諸国、いわゆる西欧民主主義国の統合を破壊することになるという一点、この二つであります。言いかえますと、トルーマン大統領とマーシヤル国防相及び統合参謀本部との間に一致した意見として、マツカーサー元帥の解職を強行してまで、第三次大戰たるソビエトとの全面戰争の危険を防いで、北鮮の問題を平和的に解決しようとすること、並びに西欧民主主義国の側における米国と、またはヨーロツパとの間における統合の破壊を調整しようという方針の二つの点が明白にされたのであります。このことは、対日講和にとつても重要な問題を持つておるのであります。 北鮮の問題については、これがはたして平和的に処理されるかどうかということは、こうしたトルーマン大統領などの、中共との戦争の拡大、ソ連との全面戰争の危險を回避して、朝鮮問題を平和的に処理しようとする方針とともに、朝鮮の武力統一を企図した北鮮並びに中共やソビエトが、トルーマン大統領のこうした高邁な方針と同じように、アジアの民族の生活の安定と平和の確立のために真に朝鮮問題を平和的に解決しようとするかどうかという態度にもかかわつている問題でございます。われわれといたしましては、ただ一日も早く平和的な解決を念願してやまないものであります。 またアメリカに対する英国、またはヨーロッパなどどの統合の調整の問題につきましては、ヨーロツパはアメリカと同じく西欧民主主義陣営の二大支柱の一つを形づくつておることは御承知の通りであります。このヨーロツパは、アメリカと違つて、私が申し上げるまでもなく、すでに第一次、第二次大戰において爆撃を受け、または直接戰場となつており、不幸にしてアジアにせよ、ソビエトとの間に全面戦争の火をふけば、ヨーロツパは三たび戰場となる気の毒な運命のもとに置かれておるだけでなくて、これらの諸国は、社会党と同じように、英国労働党のごとく、社会民主主義の政治勢力を強力に包含しておるのであります。これはアメリカと異なる、ヨーロツパ諸国の特異な條件であります。 こうしたことは、対日講和についても重要な問題がここに関連を持たれておるのであります。かりに講和條約の内容において、英国側がアメリカと一致するものがあるといたしましても、朝鮮問題の処理並びに中共問題の解決を重要な條件としておつて、今日なおアメリカとの間に妥結を見ていないと報道されておることは、ヨーロツパを代表する位置にある英国としては、対日講和の問題からできるだけ国際的な紛争や戰争への拡大を回避せんとせる愼重な心構えからであろうと考えられるのであります。 こうして、マツカーサー元帥の問題をめぐつて展開された論争を通じてうかがわれる国際的な情勢を直視いたしますと、ダレス・吉田会談において進められて来た講話は、中ソ友好援助同盟に対抗する日米の防衛協定を基幹とするもののように見受けられるのであります。そういたすと、こうした講和の方式は、マツカーサー元帥の解職によつて描き出され、明らかにされた、全面戰争を回避するための朝鮮問題の平和的な解決、西欧民主主義側の統合調整を重要とする国際情勢に背反するおそれはないか。マツカーサー元帥の解職前に立てられた対日講和の構想が、元帥の解職後にも何らかわりがないということはおかしくはないか。総理は、こうした情勢を見て、いかようにお考えになるか、これが第一点であります。(拍手) 質問の第二は、ダレス・吉田会談による講和は、日米を中心とする單独講和をしくは多数講和の方式がとられようとしているようであります。私は、その第二の質問を、こまかく四つの点にわけてお尋ねいたします。 第一点は、従来ダレス特使との会談を回避して来たソビエト政府が、七日、米国政府に対日講和に関する覚書を手交したということであります。これはまだ新聞の報道以上つまびらかに知ることはできませんが、報道された範囲において考えてみましても、たとえば領土の問題について、われわれの関知しないヤルタ秘密協定によつて、ソビエトは旧帝政ロシヤの帝国主義によつて獲得した権益を連合国から保障されたのであります。その結果、ソビエトは南樺太並びに千島を領有したにもかかわらず、ソビエトの対日覚書においては、それはそつとして触れないで、ただある特定国が信託統治に置かんとする琉球列島並びに小笠原諸島だけについて日本の主権を認めようという、しごく手前がつてなところも見受けられるのであります。私はこの機会に、わが党の領土問題に対する態度を重ねて明白にいたしておきたいのであります。 南樺太、千島等はもとより、信託統治に置かれようとする琉球または、小笠原諸島に、いかなる事情があるにいたしましても——元来信託統治の制度は、植民地が独立国家となる過程における特殊な制度であつて、植民地でなく、われわれの同じ血につながる同胞の住む日本の領土の一部である沖縄、小笠原などが信託統治に置かれ、しかも日本の本土にさえ特殊の国家の駐兵とその基地が持たれた上に、さらに琉球や小笠原諸島が本土から切り離されるような講和の條件に対しましては、私どもは国民感情においても納得しがたいものがあるのであります。(拍手)しかしながら、ソビエトの対日講和覚書は、こうした問題を含み、あるいは依然として四簡国会議の手続の問題にこだわつておるにいたしましても、対日講和の條件が概して寛容に見受けられるのであります。総理は今日なお全面講和を望ましいとされておるようでございますが、私は、日本の立場においても、かような機会に、総理は、さらにアメリカ、イギリスその他に対して、引続き全面融和に一段と努力してもらうように御主張されるお考えはないかどうか。 二点は、かりにソビエトその他を除外して單独講和もしくは多数講和が成立するようなことになつた場合、講和に参加することができない事情に置かれたソビエト、あるいはどちらを講和の対象とするか明らかでない中国の中共政権または国民政府の双方または一方が参加できなかつたという場合、講和の成立後に、総理はどういう方法によつて、これらの諸国と日本との間の友好並びに平和を確保されようとされるのであるか。私は、ソビエトは單独講和後には、あるいは報復的な態度に出るのではないかということをおそれるのでございます。総理は、ダレス特使との間に、こういう問題に関して何らかの保障を得られたかどうか。 三点は、自立経済の問題でありますが、総理は自立経済と自給自足経済を混同されておるようでございます。私がお尋ねする自立経済は、総理がしばしば、講和の前にまず自立経済を確立して、講和後の独立を保障し得る経済的な條件をつくらなければならないと繰返し主張された自立経済の問題でございます。政府は、講和を前にして、かような自立経済の確立に関しまして、何らかの方策も今日持たれておらないようでございます。しかも現在の情勢から見ますと、日本の自立経済の必須條件である中国との貿易については、單独講和によつてまつたくこれはとざされ、前途に対する希望すら持つことができなくなるのでございましよう。そうかといつて、アジアの南及び東南方面の情勢を見ますと、英国連邦によつて進められておるいわゆるコロンボ計画、あるいは国際連合の極東経済委員会の未開発地域開発計画等の情勢を見まして、日本はアジア大陸から切断され、かつ軍需品の下請工場化そうとしておる日本を当てにしたのでは、これらの南あるいは東南アジアにおける平和的な経済建設はできなくなつたというような意見を、私は強く承つておるのであります。 アジアにおいて、日本は今や孤立した立場に置かれております。こうした自立経済の必須條件であるアジア大陸の恒常的な市場を失い、しかも政府の意図された…… 〔発言する者多し〕
○副議長(岩本信行君) 静粛に願います。
○鈴木茂三郎君(続) 軍需品の下請工場化をはかろうとする日米経済協力態勢に対しましても、予期されたようには進んでおらないで、かりに今後それが進むといたしましても、戰争目当の一時的なかたわの経済が成り立つだけであつて、自立経済の基盤をつくることにはならないと存ずるのであります。自立経済の確立なくして、どうして国家の独立があり得ますか。 四点は、單独講和と不可分の関係にある日米防衛協定についてでございます。これははすでに一月のダレス特使来朝の際に、吉田総理との会談において決定されておると伝えられております。その防衛協定は、いわゆる米英型といわれる、アメリカとイギリスの間の協定のようなものを基本とするのか、あるいはいわゆる米比型、アメリカとフイリピンの間における協定を基本とするのか、新聞の伝えるところによりますれば、軍事基地の治外法権を認めた、すなわち日本の領土の中に外国の領土が存在するような米比型のように伝えられております。これは講和後の日本の独立が真の独立か、それともそうでないかという重大な問題でありますから、この際明確に承りたいのであります。(拍手) 以上は、私の第二の質問の四つのこまかい点でございます。 第三の質問は、リツジウエイ最高司令官の声明に関しましてお尋ねいたしたいのであります。新たに就任されたリツジウエイ最高司令官は、日本の平和憲法の記念日を祝福して国民に声明を與えられ、その声明において、日本政府に、諸法令に再検討を加え、修正を許されたのであります。講和がかように長引いて参りまして、たとい占領下にあつても、民主主義の発展のためにも、自主権の回復を念願して参りました社会党といたしまして、リツジウエイ最高司令官によつて、こうした権限を與えられたことに対して、われわれは感激にたえないものがございます。 しかしながら、従来の政府の施政を見ますと、朝鮮問題から中共との戦争へ、あるいはソビエトとの全面戰争へと拡大するというような、今日までの逼迫した情勢に対応するかのように、一旦民主化された諸制度や諸法令の運営にあたつて、次第に民主化と反対の方向に逆転して、あたかも東條内閣当時の翼賛政治と反動政策をここに再現するかのごときおそれが見受けられるのでございます。(拍手)このように、政府が気ままに諸法令の検討修正を行うことになると、マツカーサー元帥のせつかく建設された民主主義制度の根底を破壊して、リツジウエイ最高司令官のせつかくの御趣意にそむいて、政府は、リツジウエイ声明に便乗して、吉田内閣が持つておるその本質、その反動性をむき出しに強行する危険をわれわれは見受けられるのであります。 政府は、十七項目にわたつて広汎な諸法令の検討修正を準備されておるということでございます。いやしくも独占禁止法、事業者団体法、集中排除法、こういうものを改悪して、金融や産業にわたる独占資本の支配を再建し、一方においては労働三法といわれる労働組合法、労働基準法、労働関係調整法を改悪して労働者の基本的権利を蹂躙しようとしたり、あるいは農地調整法を改悪して、働く農民を奴隷化しようとするような一切の反動政策に、われわれは断固として反対するものでございます。(拍手)もし、こういうリツジウエイ声明に便乗して、そういう反動化への改悪を意図されるならば、政府は、労働階級や農民大衆の大規模な、強力な、組織的な抵抗に直面することを覚悟されなければならぬ。(拍手)政府は、いかなる方法によつて、いかように検討修正を加えようとされるのであるか、具体的に承りたいのであります。 最後に、恒久平和と非武装の崇高な理想を高らかに掲げた憲法に対して、近来ややもすれば、これは外国から押しつけられた憲法だというような不逞なる議論を行つて、軽々しく憲法の改正を唱える者があるようでございます。私は、この憲法を守ることば日本の平和を守ることであると確信いたします。総理は、講和後にかような憲法を改正する意図を持たれるかどうかを承りたいのでございます。 重ねて申し上げます。国民は講和の問題に関しまして政府にその真実を聞き、真実を知る義務と権利を持つておるということを申し上げて、私の質問を終了いたします。(拍手) 〔国務大臣吉田茂君登壇〕
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。 私とダレス氏の間に安全保障の協約ができたというお話でありますが、もしそうであるなら、私がその草案を拝見いたしたいと思うのであります。(拍手) また、独立すなわち平和、いかにも、ただちにいくさが起るようなお話でありますが、私はいくさを起すために独立をいたすのではないのでありまして、名前は講和條約であります。あくまでも平和を意図して條約を結ぶ考えであります。(拍手) また、第三世界戰争が起るようなお話のように、アメリカにおけるマツカーサー元帥と当局者との間の論争からお考えになつておるようでありますが、私は常に申すのでありますが、第三世界戰争は、そうたやすく起らない、起るべきものではないと確信いたしますから、この信念のもとに進むつもりでおります。 また單独講和、全面講和の問題については、これはしばしば私もここで論じ、また反対党の諸君もお話になりましたが、これに対しては、さらにここでもつて申すほどのことはないと考えます。私は、全面講和ができればけつこうだが、できなければしかたがないじやないかという議論であります。そういたしたいものだと考えますけれども、これは相手国が承知しない、ソビエトが承知しない、中共が承知しないという場合には、どうして中共もしくはソビエトに対して講和條約ができるか、これを伺いたいと思うのであります。 また信託統治云々のお話でありますが、これはポツダム宣言にある通り、日本としてはポツダム宣言を受諾いたした以上は、信託統治にするかしないかは、これは連合国の問題でありまして、日本国としては、これに対して関與はできないのであります。すなわち、これが條約上の義務であります。しかしながら、先ほども申した通り、民意に沿わない條約ができた場合に、たとえばヴエルサイユ條約のごときも、ドイツの民意に沿わなかつたがために遂に行われなかつたと同じように、もし日本国民の民意に沿わないような條約ができたならば、これは長く平和を確保するゆえんではありませんから、連合国においても、なるべく日本国民の民意、日本国の輿論の向うところを尊重いたすであろうと考えます。(拍手) また講和條約ができた場合に、この講和條約にもしも参加しない中共もしくはソ連との友好関係をどうするか。これは相手国が日本と友好関係に入らないというならば、これをどうして友好関係に結びつけられるか、これはだれもわからぬだろうと思います。(拍手) また独立自立経済についての御意見がありましたが、私も、たとい独立いたしても、経済が自立せざる以上は、その独立は有名無実であるということについては異存はございません。ゆえに、自立経済を打立てるために今日まで努力いたして来ておるのであります。しかしながら、中共が入らない、そのために自立ができないようなお話でありますが、今日まで中共との関係は、友好関係はないのでありますが、ともかく終戰後今日まで五年の間、日本は独立経済に向つて進みつつあるのであります。日に日に自立経済が成りつつあるのであります。(拍手)これによつて考えてみても、中共との間に友好関係がないならば日本が滅びるというようなことは、これは言い過ぎではないかと私は考える。(拍手) また東南アジアと日本との関係は、日に日に貿易その他において親密を加えつつあります。現にビルマその他の国とも、在外事務所をこしらえることになつて、今準備を急いでおります。これによつて見ても、東南アジアとの関係は将来ますます緊密になると私は信じて疑わないのであります。 最高司令官の政令改正についてのお話でありまするが、これは最高司令官の好意であります。日本の過去における政令について再検討をせよ、再検討をするのであります。これは改悪をせよというお話ではないので、改正いたすのであります。ゆえに、御懸念のようなことは断じていたさないのみならず、もしあれば、議会において修正なさつてくださつてもいいと考えます。 以上お答えいたします。(拍手)
○副議長(岩本信行君) これにて質疑は終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時三十六分散会