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10回国会衆議院1951/01/29

本会議 第7号

発言数
41
登壇者
20
会派数
6
開催日
1951/01/29

会議録

幣原喜重郎自由党議長

○議長(幣原喜重郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————

幣原喜重郎自由党議長

○議長(幣原喜重郎君) お諮りいたします。厚生委員長寺島権太郎君から委員長を辞任したいとの申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

幣原喜重郎自由党議長

○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつ許可するに決しました。      ————◇—————

幣原喜重郎自由党議長

○議長(幣原喜重郎君) つきましては厚生委員長の補欠選挙を行います。     —————————————

福永健司自由党

○福永健司君 常任委員長の選挙は、その手続を省略して、議長において指名せられんことを望みます。

幣原喜重郎自由党議長

○議長(幣原喜重郎君) 副氷君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

幣原喜重郎自由党議長

○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。議長は松永佛骨君を厚生委員長に指名いたします。(拍手)      ————◇—————

幣原喜重郎自由党議長

○議長(幣原喜重郎君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。早稻田柳右エ門君。     〔早稻田柳右エ門君登壇〕

早稻田柳右エ門国民民主党

○早稻田柳右エ門君 私は、国民民主党を代表して、吉田総理大臣を初め閣僚諸賢に対し質問をいたしたいと存じます。(拍手)  回顧すれば、敗戰直後の社会的波乱と不安の中から祖国の再建と復興に立ち上つてより、早くも五箇年有余になります。幸いにマツカーサー元帥の寛大なる管理下に置かれて、われわれは今や復興と自立への根強い希望に燃え、被占領国としては真に奇跡的な幸運を感謝せずにはいられません。われわれが常に占領軍の好意に感謝しながらも、過去五箇年間、夜となく盡となく念願し続けて参りましたのは、より早き講和実現と、完全なる主権の回復でありました。このやみがたき民族の悲願は、ようやく報いられるときとなり、ダレス特使の再訪を迎えて、念願達成の前夜にまでたどりつきましたことは、国民各位とともに慶賀にたえぬ次第であります。  私は、講和の前提となる財政、経済、金融等、わが国の自立に必要な内政諸問題につき、それぞれ所管大臣に質疑を重ねたいと存じますが、その前に、ただ一点、吉田首相にお尋ねをいたします。  吉田総理大臣は、口を開けばしばしは愛国心の喚起という言葉を発せられますが、私は、この際総理の提唱せらるる愛国心の喚起について具体的方途を承りたいと存じます。(拍手)かつて戰時中、重要なスローガンの一つとして愛国という言葉が広く用いられたことは、諸君も御承知の通りであります。今や戰いは敗れ、帝国としての日本は崩壊上、愛国の美名に隠れて運用されたもろもろの権勢と覇道、乱行は白日のもとにさらされ、はなはだしく歪曲された愛国心は、遂にその跡を絶つたのであります。しかしながら、軍国主義的愛国心は、あるいは盲目的な暴力主義となつて現われ、あるいはその極端なる反作用として否定的虚無主義を生むに至つたのであります。もとより、かかる国民の憂うべき倫理的廃頽の責を国民に持つて行くということは当を得ないのであります。総理が言葉をきわめて愛国の倫理を説かれるならば、それに応ずる具体的、実質的裏づけが大切であります。(拍手)單なる抽象論的愛国心の高揚は、危險きわまる精神主義以外の何ものでもございません。  およそ国家は、民族の運命協調体であります。国を愛せずして世界を愛し、民族を愛せずして人類を愛することはできません。われわれは、国家を媒介としてこそ初めて世界に生き、八郷を愛することができるので、あります。われわれのよりどころは、あくまで国家であり、民族であらねばなりません。西欧の、歴史をひもどきまするならば、最も純正に国際協調を指向すると称せられる現代の民主主義が、その発生におきましては、国家独立、民族自立運動と強く結合していることが容易に見出し得るのであります。もちろん、かかる愛国心は、従来の盲目的愛国心ではなく、世界全体の自由と民主主義防衛に直接つながるものであることは申すまでもありません。  私は、去る一月十五日、全国各地で催されました青年男女諸君の成人式に列しまして、愛国的熱情のよりどころを求むること切なる青年諸君を見受け、かかる青年層の中にこそ祖国日本のあすを背負つて立つ烈々たる憂国の熱情を見出すとともに、この若人の結集と体系化を念願してやまなかつたのであります。願わくば、吉田総理の抱かるる愛国の理念と愛国的国民遊動の具体的方途を明確に表明開陳せられんことを熱望する次第であります。(拍手)  次に私は、日本経済の自立達成に関し、以下数点にわたつて政府の所信と熱意をただしたいと存じます。  周東安定本部長官は、その施政演説中に、政府としては一応二十八年度を目標に置き、今後の経済政策は自立達成を基調とする、と述べられております。日本が政治的に独立するには、経済自立がその前提とならなければならぬことは論ずるまでもございませんが、ここでわれわれの深く考えねばならぬことは、国際情勢の推移と、その情勢判断であります。周東長官の演説を聞いていると、世界的な軍拡態勢は今後相当期間継続し、軍需中心の需要は増大すると見られるので、外国技術の導入、老朽設備の近代化を実施する云々と、たんたんたる口調で、あたかも現下の国際危機を対岸の火災視したような平和構想のもとに計画を進め、られたような口吻を漏らされました。周東長官は、大正三、四年ごろの、第一次世界大戰ころの夢を見ておられるのではないか、戰争で金もうけをしようというような甘い考えで自立達成を望んでいやしないか、私は日本人の一人として深く憂えるものであります。(拍手)  来朝せられましたダレス特使は、その第一声において、日本人は自己の運命に対し責任をとることを要求されるであろうと、早くも示唆を與え、まことに險惡なる情勢下にあることを強く指摘しておられます。一歩判断を誤れば危險な段階に陥ることは、火を見るよりも明らかであります。私はこの際、激動変転を前にして立てられました経済自立基本構想の前提とも申すべき政府の情勢判断を承りたいと存ずるものであります。  経済自立の達成は、限りなき自由と繁栄への門出とならなくてはなりません。政府が経済の激励期を前にして長期にわたる自立達成計画を立案し、国民にその指針を示された勇気と努力に対して敬意を表する次第でありますが、その基本構想を見ると、輸入の確保、日給度の向上、資源の開発、緊急物資の備蓄、船舶増強等々、いずれを見ましても、経済自立に必要欠く、べからざるものはかりであります。しかし、これら諸施策の実施にあたりましては、いずれを見ましても巨額の資金を要するのであります。政府は、その所要資金をいかにしてまかなわれるか。  周東長官の演説には、資本蓄積の重要性を説かれ、政策実施にあたつては預金部資金、政府資金の活用をはかり、アメリカの協力を求めて見返り資金及び外資導入をはかる云々と述べております。しかるに惜しむらくは、遠大にして雄渾なる経済自立計画の作成にあたつて綿密なる資金計画のないということは、仏をつくつて魂を入れぬも同然である。多分これは、賢明なる周東さんではあるが、買物に行つて、さいふを忘れて来られたように、発表することを忘れられたと存じますが、この際政府の資金計画の概要を承りたいと存じます。(拍手)  さらに承つておきたいことは、経済自立の本質からいえば、借金や援助にのみ依存すべきではない。見返り資金は減額され、やがて打切らるべき運命にあると思うが、政府は、他力本願的なこの経済自立計画を、いわゆる作文に終ることなく、誠実に実現する熱意と能力ありや、国民の安心できるように明示されんことを望みます。  次にお尋ねいたしたいのは貿易対策であります。動乱後の世界経済に現われた重要な変化は、各国の貿易政策の転換であります。重要原材料のほとんどすべてを海外市場からの輸入にまたなければ輸出の振興をはかることのできぬわが国にとつては、国際情勢の緊迫に伴つて、輸入の促進はいよいよ火急な課題なつて来ました。政府が緊急政策として発表せられたユーザンス期限の延長、輸入手続の改善、輸入範囲の拡大、船舶不足の緩和など、いずれも、はなはだけつこうで、その九速なる実現を望むものでありますが、以上の対策だけでは、今日の輸入問題の解決はできぬと思います。周知の通り、その難関は輸入金融にあります。円資金とポンド資金の不足が大きな障害であると思います。  私の郷里は、御承知のように瀬戸物で有名な瀬戸市でございますが、国内資源のみをもつて瀬戸物をつくり、これを輸出して外貨にかえ、外貨をまるどりにする点においては日本一だと、大きな誇りを持つて、輸出貿易に全力をあげておる町でありますが、ドル外貨はすでに五億ドルに達し、当面の必要物資輸入には決して事を欠かない現状に相つりております。中心問題は、これを引取る円資金であつて、すでにユーザンスの期限も漸次到来して、輸入業者は、その調達に苦慮をいたしておるのであります。ユーザンスの期限が延長さしれても、二箇月の後には、やはり同様の苦しみに陥らざるを得ないのであります。この難点を除去するには、輸入企業に対し、思い切つた融資をする以外に方法は、ございません。しかし、それがため他の金融を圧迫して、輸入はできても他の経済活動のできぬようなことになつては一大事でございます。  日本銀行は、輸入再資金を抑制しないと、しばしば言明はいたしておりますが、昨今の動向をうかがつておりますと、信用膨脹をおそれて、他の部面への金融を極力回避する方策をとつております。輸入円資金の供給は、言うべくして、その実なかなかむずかしく、銀行にたてこもつてそろばん玉ばかりをにらんで暮す人々には、国家の危急も、輸入の必要性も、なかなかわかつてもちえない場合が多いのであります。輸入資金の円滑化から来る通貨の膨脹は、あえて気にしなくてもよいと私は思います。政府の打つている手は、いつも後手々々となつて、へまばかり踏んでおります。輸出の促進せぬ限り、生産の振起も、インフレの防止も、自立の達成も、とうてい望みがたきことを思えば、この際政府の弾力性に富む勇断的措置と、真劍なる反省と考慮を望むものであります。(拍手)  そこで私が全国民にかわつて政府に尋ねたいことは、アメリカの非常事態宣言に伴う中共地区輸出禁止に対し、中共のとつた報復的措置並びに運賃価格の高騰、わが国商船隊の劣勢等によりまして、今後、原材料の輸入はきわめて困難になつて来ると思われます。政府の自立計画による重要物資の買付先及び買付状況につき、国民の安心できるよう、その概要が承わたいと存じます。さらに貿易金融について勇断的計画ありや、あれば、その方法を承りたい。なおボンド・ユーザンス制度採用につき、いかなるお考えを持つておられるか、これも承つておきたいと存じます。なお必要物資の輸入を民間企業に移す考えはないか、以上三点でございます。  次に承りたいのは、電源開発と、電力再編成後の実情についてでございます。わが国の大小産業発展の基底は、動力資源を最大限に開発し、これを労働力とあわせ活用するところに重点を置かねはなりません。燃料資源の乏しい日本には、惠まれた水力電源の開発が最も急務であることは、周東長官の論述された通りであります。さきに政府の怠慢は援助資金の留保となり、遂に国会の審議権を無視してポツダム政令の発令となり、わが国憲政上に一大汚点を印し、電源の開発、需給の方式等、重要審議は本院をす通りして、いわゆる目の目を拝まずに公益委員会の手に移つたのでありまするが、九分割方式強行後の動向及び総合開発計画並びに資金計画の大要を伺いたいと存じます。  なおこの際通産大臣にお伺いしたいことは、過般電力再分割にあたり、松永案をめぐつて業界は異常な動揺を示し、あたかも財産ぶんどり競争のごとき観を呈し、運動は投資と考えて額の費用を使つた者があり、通産委員会並びに考査委員会ではしばしば問題になりましたが、遂にうやむやになつておるということを永承つております。分割決定後、日発総裁は、三十六億の剰余金かあつたと発表して、国民に大きな衝動を與えております。さらにまた、この剰余金三十六億の経理について、通産大臣と委員会の意向が対立し、国民の疑惑を深めつつあります。国民と不可分の公共性を持つ日発の仕事が、どうしてかくのごとく過剰金を生じたのか。電力不足に泣き、独占企業の理不盡な行動に憤りのいまたさめやらぬ国民の疑惑を、ますますはげしくしております。三十六億の利潤を得るに至つたその原因及び処分方法を、この際明確にされたいと存じます。(拍手)  さらにまた仄聞するところによりますれば、日発は帳簿価格五十億、時価一千億に上る物資を売却したといううわさが高い。どうせ分割すれば、どこの財産になるやらわからぬ、売るなら今のうちたというので、火事場どろぼう式の行為であつたと聞いておるが、その真偽はどうか。(拍手)敗戰直後ならば、こうしたこともでございましたが、電源開発の重大視せられる今日、その必要資材を売り拂うなどということは、断じて許すことのできぬ行為であります。私は、八千万国民にかわつてその疑いを拂拭するために、あえてその真偽をお尋ねする次第であります。(拍手)  次に、賃金・物価の統制について政府の所見を伺つておきたいと存じます。トルーマン大統領は、一月四日、記岩団との初会見においてアメリカ政府は賃金・物価の統制機構を立案中である、これが可及的すみやかに奥行に移されることを希望しておる、食糧価格を統制下に置くため法制的変化が行われるであろう、また必要な場合、配給制も検討されよう、と申し述べておられます。アメリカにおける経済統制は、きわめて愼重に、かつ急速に実施される様相がうかがわれております。政府は、その情勢の推移によつて計画経済採用の意思ありやいなや、この点を承りたいのであります。  昭和二十五年度は、ドツジ政策による安定恐慌のうちに明けました。秋から冬にかけて、世界各国の軍拡景気に伴う輸出の伸張と特需の増大によつて、日本経済は好況へと躍進いたしました。しかしながら、年末近くになりますると、中共の進出による朝鮮職局の変転と国際政局の変化は、明るい希望をゆるがし始めたのであります。二十六年の正月は、日本経済にとつて最も不安と暗中摸索の新券と相なつたのでございます。事実、諸外国が統制経済へ転化する場合、重要資材を外国に求めなければならぬ日本においては、ひとり自由経済のままとどまることができましようか。おそらく私は不可避であると存じます。  吉田内閣並びに與党の諸君は、せつかく公約の一つであつた統制を徐々にはずし、自由経済へと進めて来た経済政策を、世界経済の余波とはいいながら方向を逆転させることは、さだめしおつらいことと存じます。しかし、この潮流に押されつつある現内閣に対して、集中資本主義の政策が中小企業を苦しめておるとか、あるいは社会的合理性を欠く経済政策が大衆を犠牲にしておるとか、自由手放しの農業政策が農山漁村の生活水準を落しつつあるとかいうような古典的自由主義の弊害や失政に対して、私はいたずらに論難するものではございませんが、好むと好まざるとにかかわらず、統制不可避の段階へ突入するものと思考されます。周東長官は、施政演説にあたつて、この場合インフレ防止の見地から適当な物資需給、物価安定の方式を講ずる必要が生ずるおそれもあると、まことに言いにくそうに表現をしておられる。(拍手)  諸君、現下の国際危機は、政府の楽観的観測とはおよそかけ離れた状態にあります。戰後四箇年にわたる、東と西の政治的、経済的の冷たい対立は、もはや明らかに軍事的対立時代へ突入をいたして参りました。われわれは、嚴然たる事実の前には、最惡の場合まで覚悟して万全の方策を講ずるほかに安心のできる政治的手段のあり得ないことを、ここにはつきり認むべきだと確信いたします。総理は、国民に心配させまい、動揺せぬように、という老婆心からであろうと存じますが、きわめて愼重な態度をとつていられるのでございます。国民大衆こそ、いかなる個人よりも賢明であることを、私はあえて申し上げたい。国民大衆は、とつくの昔に危機を感知し、危機突破の新しい政治を政府にたださんとしておるのでございます。経済統制につきましても、国民はつとに実施のやむなきに至ることを察知上、いつ、いかなる方法で実施されるかと案じ暮しておるのでございます。われわれの常に提唱する近代的資本主義のわく内において行われる民主的自治統制こそ国民の要望するところであります。政府は、アメリカのごとく大胆に、率直に、計画経済に対する所信をこの際披瀝されんことを望む次第であります。(拍手)  経済自立に関する問題は、時間の関係上この程度にいたしまして次は池田大蔵大臣に対し、昭和二十六年度予算をめぐつて、ごく簡潔にお尋ねをいたしたいと存じます。  池田大蔵大臣は、先般の記者団会見において、この予算は、私が手がけた予算のうちで最もりつぱなものであると仰せられました。さらに、この予算は、国際情勢の変化に即応できる磐石の予算だと豪語せられたことが報道されております。去る二十六日の施政演説の中にも、顧みまするに、現内閣成立当時、インフレーシヨンの高進によつて危殆に瀕していたわが国経済を、一挙にして安定へ転回させた、と述べておられます。その堂々所信を披瀝せられた点に対しては敬意を表しますが、ここで私は、過去一箇年を回顧いたしまして、吉田内閣の政策と、その功罪を検討してみたいと存じます。  自由な選挙で圧倒的多数を得た吉田内閣は、一体支持者に対し、いかなる施策をもつてその期待にこたえたでありましようか。與党の諸君は、あるいは怒られるかもわかりませんが、遺憾ながら、私をして言わしむれば、何もしなかつた、少くともみずからの主体的責任をもつては何もしなかつたと答えざるを得ないのでございます。(拍手)しかし一方では、万事うまく行つておるのじやないかという声も出て来る。それは決して吉田内閣の功績とは言えません。占領当局の施策よろしきを得、その善良なる実行者としての責任さえも果し得なかつたではありませんか。職印の創痍いま、たいえぬ日本として最大の急務であつた国土再建工作を初め、財政規模の思い切つた縮小、通貨の引締め、国債償還見返り貸金の積立てなど、運のインフレ対策は、予算の実行という形で現われ、各省官僚をして実施させたにすぎないのであります。  ところが、このドツジ・ラインの政策面から来る犠牲の方が大きく、政府部内からも池田財政反対の声の高かつたことは、いまさら私の喋々するまでもございません。去年の五、六月ごろは、ドツジ政策の犠牲面、すなわちデフレ的効能が現われて、中小商工業者の没落、農村恐慌におびえた農漁民の芦は次第に政治面に波及し、吉田内閣の基盤は、大ゆれにゆれ始めたのでございます。大きな図体のものは、あおりを食うともろい。衆議院における絶対多数という数的條件以外には無能弱体な吉田内閣は、まさに崩壊第一歩にあつたのでございます。  しかるに、この図体ばかり大きくして弱体なる内閣の前途にたれ込めた暗雲を打拂つてくれたのが朝鮮動乱であります。古来、国内の政争や国民の政治的不満をよそへそらすために、為政者が国外で事を起すということは、政権維持のためにしばしば用いられた手でありますが、朝鮮動乱は、偶然にも、企てず、労せずして吉田内閣に幸運をもたらしたことを銘記しなくてはなりません。デフレにあえいでいた産業界は、特需の増大によつてよみがえり、滯貨は一掃されて、工場は操業を開始し、政策への不満を忘れるに十分であつたのであります。かくて本年に入り、減税とインフレ防止、文化と産業復興を織り込んだ磐石の予算ができ上つたと大蔵大臣は申されますが、池田さんの苦心せられた編成技術には敬意を表します。問題は技術でなく、根本的な点にあると思います。  そこで私は大蔵大臣にお尋ねをいたしますが、まず第一に、ドツジ・ライン実施当時の客観情勢と現在の国際環境は根底からかわつておるが、本予算によつて既定の財政経済政策が完全に実施でき得るやいなやということを承りたいのであります。  第二番目には、財政規模を縮小したと言われておりますが、わずか七十一億円であります。今後の補正は必至だと考えられますが、蔵相の所見いかん。  第三番目には、税法上七百四十三億の減税を行つたと言われまするが、それは、おおむね税牧見積りを本年度より七百億も水増した結果で、実質上の減税は、わずかに五億余にすぎない。(拍手)こうした減税のからくりは、国民の納税思想を惡化させる以外の何ものでもないと私は存じますが、蔵相の見解いかん。  第四瞬目には、価格調整費の削減は、ドソジ・ラインの基本方針とはいえ、二百五十億では、わが国重工業の基盤を危殆に陥れるおそれがあると思いまするが、蔵相の見解を承りたい。  第五番目は、インヴエントリー・フアイナンス五百億を一般会計でまかない、大衆の犠牲によつてインフレ防止に備えようとする政策には絶対反対である。減税とインヴエントリー・フアイナンスを両立させたことは勤労者、中小企業溝の重圧となると思うが、蔵相はこれで最善の予算と言い得るか、率直な所信を伺いたいと存じます。  第六番目は、政府は税法の改正を本国会に提案せられると承つておるが、進んで誠実な申告をなさしめ、納税の完遂をはかるには、画期的税率の引下げを行わなければならぬと思うが、その概要を承りたい。なお最近の徴税成績の大要をも承りたいと存じます。  第七番目には、社会保障費、文化費は増額をせられましたが、一貫性を欠いておる。公共事業費、地方平衡交付金は不足で、実情に即した予算とは言えないが、政府は、これに対してどんな考えを持つておるか。池田蔵相は、過般の施政演説で、長期資金の調達に重要な使命をになう証券市場の健全なる発達を促進するため、取引方法の改差、証券金融の疎通に一層力をいたす所存である、なお投資信託の復活も準備中である、と申されました。このことは、しばしば承つておりまするが、いつも期待はずれになつております。政府はいつごろ、いかなる対策を実施する考えか、期待はずれになつて国民を失望させめよう、信頼のできる答弁を願いたいのであります。  次にお尋ねをいたしたいのは、公務員の給與政策について政府及び人事院の見解を伺いたいと存じます。  朝鮮動乱勃発後、物価水準及び生計費水津は漸時上つて参りました。公務員の給與水準改訂につき、政府はどう考えておるか。さらに現在の勤務地給與制度でありまするが、終戰直後の、都会といなかの生計費が著しく違つていた時期におきましては、現在のような制度もけつこうでありまするが、もはや当時の事情とは非常にかわつて参りました。むしろ都会地の方が生活が楽になつて、公務員は競つて都会地の勤務を望むようになつて参りました。従つて勤務地手当の区分は、真に公正な給付をするということは、ほとんど不可能と思います。人事院へは連日陳情者が殺到いたしまして、人事行政上いろいろの摩擦を生じているのであつてこの制度は、もはや撤廃の時期と考えまするが、政府の所見はいかがでございますか。もし撤廃不可能とすれば、その理由いかん。また存続するとせば、公正なる給付が可能かどうかという点について、はつきり承りたいと思います。なお寒冷地手当、石炭手当に対する見通しはどうなつておるか。またこれと勤務地手当との関連性をも承りたいのであります。扶養手当を設けておる理由はいろいろありましようが、一人四百や六百円で、どうして家族を扶養することができるか、この点についても明快な答弁を願いたいと思います。現下人事院の勧告を前にして全国的に問題になつておるから、私はあえてお尋ねをした次第でございます。  次にお尋ねしたいのは、タバコ民営問題についてであります。吉田総理は、一昨年、タばコは專売制度をやめて、民営に移すと言われ、昨年十一月三十日の予算総会において、方針としては民営に移したいが、臨時專売制度協議会のの答申を待つてからきめたい、と答弁されておる。その後、タバコ民営をめぐつて種々利権的動きもあるやに聞いております。わが党は、国家財政の見地からも、また全国六十万のタバコ耕作農家の立場からも、民営に絶対反対するものであります。あたかも本日は臨時專売協議会が開かれれておると承りまするが、はつきり民営問題打切りの結論を出し、天下に声明して、耕作農民を安心させるよう御配慮を願いたいと存じまするが、総理の所見いかん。  次は、長期資金と日本開発銀行について承りたいのでありますが、二十五年末の通貨は日本の新記録を出し、四千五百億を突破いたしました。これで金詰まりは相当緩和されなくてはならぬのでありまするが、特需及び輸出関係産業以外は、一向に金詰まりが緩和されていない。ことに中小企業者の金詰まりはますますはげしくなり、第四・四半期は徴税期にも入りますので、一層深刻化すると思いまするが、政府はこの実情を何と見ておるか。日銀券増発の原因並びに中小商工業者に対する長期金融の方途を承りたい。  さらに承りたいのは日本開先銀行についてであります。政府は全額政府出資による日本開発銀行と仮称する特殊金融機関を設置すべく目下考慮中であると大蔵大臣は申されましたが、まずその構想を承りたいと存じます。年頭一月十一日、池山大蔵大臣は、大蔵省の長沼次官を初めといたしまして、各局長を帶回して関西へ旅行に出かけられました節、その車中談として、長期資金の調達困難なる折柄この計画を立てたものであると申されましたが、まことにこれはけつこうなことでございますけれども、これについてお尋ねしたいことは、先般ドツジ・池田会談の節、適当な機会に復金の再開を約束され、復金においてもまた工藤理事長は、すでに関係方面の好意ある了解を得て、復金の回收金を急速に活用する方針を立てていられると伝えられておりますが、その真相はどうなつているか。また経済安定本部においても、産業資金調達の権限は安定本部にあるというて、かねがねから新しい長期金融機関の設立をもくろまれ、ひそかに立案中のところへ、大蔵省より日本開発銀行設立構想が出たのを見て、権限侵害だというふうに憤慨しておられるやに承つたのであるが、その権限は一体いずれにありや、その帰属をはつきり承りたいと存じます。(拍手)  なお、日本開発銀行は復金と全然別個のものだと大蔵省では言つておらるるが、実際は復金という名称をカモフラージユして登場したものではないか。また復金が何らかの形で再開されるという望みがあればこそ回收に熱が入り、馬力もかけられている現状だと思いまするが、現在の復金をそのままにして別に開発銀行をつくるということは、奇妙なものになりはしないか。金融は、金庫や銀行をつくつただけて金まわりがよくなるものはないということは、池山さんがよく御承知のはすでございます。おそらく開発銀行といえども、輸出銀行と同様に他の金融機関の窓口を借りることになると考えますが、むしろ現在の復命を再開して、政府資金を投入し、健全なる運営をさせた方が、手数もかからず、筋の通つた効果をあげられると思いまするが、これに対する政府の所見を承りたい。(拍手)  さらに向いたいことは、日本開発銀行の構想は、いわゆる国家資本にたよらんとする方式で、資本的活動に国家みずから当ることと思いますが、国家資本をもつて産業資金を調達する方式は、その意図いかんにかかわらず、国家資本主義への一歩前進であつて、私企業による自由競争を標榜する自由党内閣の政策としては不可解千万の政策であります。(拍手)かくのごとき国家資本への依存は、最近における輸出銀行の設立とともに、私的資本の限界を狭め、私的資本に対する信用喪失を意味するものと考えまするが、この点に対して蔵相の所見を承りたいのであります。  次に労働政策並びに社会保障政策についてお尋ねいたします。吉田内閣の労働政策や社会保障政策は、昨年以来一歩も進行していないのであります。労働政策は、不断に労働者の生活向上を考慮し、世界的水準から遅れている生活内容のとりもどしに努めなければならないのであります。首相や池出大蔵大臣の言われるごとく、経済が安定し、復興への段階に入つたというならば、一層その促進が必要であります。むしろ今こそ勤労者の生活水準を向上する絶好の機会であるというべきであります。しかるに、朝鮮事変の勃発以来再び上昇の勢いを示している物価や実効価格を無視して、賃金ベースの引上げは人事院勧告通りに行うことができず、政府の法律軽視の弊は随所にあるのでございます。また、労働政策に対する進歩的政策は少しもとられておりません。  今や労働運動が、一時の共産主義的行き過ぎから是正され、ようやく健全な民主化運動が大勢を制していることは、はなはだ意を強くするもので、労働運動の健全化ということは、決してその沈滯化を意味するものではないのでございます。ましてや、政府が組合健全化の風潮になれ、労働者は政府の政策に甘んじているものだという間違つた認識を持ち、ただ上から押えつけていればいいというようなお考えをお持ちであるならば、それはまことに危險な思想だと存じます。労働者階級に対する真に理解ある政策、不断に労働権を伸張して、その生活を河上せしめる政策を確立いたし、推進させる必要があると存じまするが、これに対して保利労働大臣の持たるる基本的労働政策、失業対策並びに労働者の生活保障の面から見た社会保障制度についての見解をただしたいと存じます。  次に厚生大臣に、社会保障制度の全面的実施の時期いかんという点についてお尋ねいたしたいと存じます。このことについては、昨年の十月、社会保障制度審議会が政府に対し勧告を発しております。しかるに、今回の予算案の中には、まつたくこれが無視されており、はなはだ遺憾にたえません。池田蔵相は、社会保障並びに結核の費用は昨年より百億もふえていると言われましたが、いかに多少の予算がふえましても、今日のごとき社会保障の統一なきやり方では、真に健康なる文化的生活を国民に保障することができましようか。金のむだ使いに終る傾向がないと申されましようか。  私がここでお聞きいたしたいのは、第一に、なぜ審議会の勧告を無視して予算の最後的編成をしたのか。第二には、たとい予算がふえても、制度の完備なくしては有効な運営ができぬものと思いまするが、この点に関しての御所見を伺いたい。第三には、社会保障制度の全面的実施は一体いつやるお考えであるか。いつやられるか。これら三点に対して、黒川厚生大臣の明快なる御答弁をいただきたいと思います。  最後に、食糧自給強化対策と農村問題に関し廣川農林大臣にお尋ねいたします。  前国会において、わが党の河野君より、興農国会と称して開いたこの国会に、ふたをあけてみれば何ら見るべき農村施策がないじやないかと尋ねられまして、農林大臣は、次の国会には必ず御期待に沿う、予算にも計上してお目にかけると答弁をせられました。われわれは、二千二百万農民諸君とともに、二十六年度予算に対し大きな期待をかけていましたところ、今回もまた一向それらしい予算も新政策も見当らぬではありませんか。(拍手)興農予算の面目いずれにありや、廣川農相の責任ある答弁を要求いたします。(拍手)  政府の自由放任政策のしわは、経済的に弱い農民に電圧と犠牲をしい、ことに食糧政策の失敗は飢餓供出となつて現われ、農村予見は月ごとに減退し、生活水準は低下の一途をたどつて、農民を零落の関頭に立たせております。戰争と食糧という問題は、われわれが太平洋戰争中身近に体験した重要課題であります。今や国際情勢緊迫化の際、日本農業の振興開発、食糧自給態勢の確立こそ日本経済自立達成への根幹をなすものであります。(拍手)政府は、すみやかに農民の増産意欲を阻害することがごとき惡法を改廃し、農産物の価格安定方策を定め、農山漁村の自主的強化をはかるため、協同組合の特殊性にかんがみて、その課税を減税し、農村の長期金融の拡充、繭価の安定、土地の改良、肥料の需給調整、寒冷地帶の保護対策等、一連の農山漁村対策については、一段と意を用いられたいのでありまするが、これら諸点に対する政府の所信並びに対策を承りたいと存ずるものであります。  以上、長時間にわたつて数々の質疑を重ねましたが、国民の納得出来るよう御答弁あらんことを要望して私の質問を打切ります。(拍手)     〔国務大臣吉田茂君登壇〕

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) 愛国精神を高揚喚起する方途いかんというお尋ねでありますが、日本国民は従来愛国心に富むと常に言われておる国民であつて、われわれも、日本国民に愛国心が欠如したという事実は毛頭認めませんのみならず、この愛国的精神に乘じて、これを惡用し運用して、あるいは侵略戰争になり、あるいは軍国主義の政治をしくに至つたという過去の事実を考えてみまして、この愛国的精神を、愛国精神を濫用する、惡用することの行き過ぎを戒むべきものであると考えるのであります。またその行き過ぎの結果、逆に愛国心を否定し、これを国家のためにはなはだ有害なものであるかのごとき言説を、昨今においては往々聞くのであります。これまた行き過ぎであります。この行き過ぎを正して、愛国心の真の正しき観念を養うことが大切であるということを、施政の方針においても述べたのであります。(拍手)すなわち諸君が代議士諸君が、国会の演壇において種々論議せらるるその論議は、国民の注視の的でありますから、どうか日本国民の愛国に対する正しき観念を涵養せらるるように御協力を願いたいと思います。(拍手)     〔国務大臣周東英雄君登壇〕

周東英雄自由党経済安定本部総務長官・中央経済調査庁長官・物価庁長官

○国務大臣(周東英雄君) お答えをいたします。  経済自立に関しての基本構想についてまずお尋ねがありました。ただいま政府において立てました一応の計画におきましては自立経済であります。どこまでも貿易において收支償わしめる方法をとり、しかして二十八年度において、輸入大体十五億程度、輸出十七億程度ということを目標といたし、これに対して必要なる生産指数の目標を昭和七——十一年の一四二%、また食糧については、大体二十八年度までに九百万石の増石をはかるように考えております。しかして、その当時における人口は大体八千八百万人を予定し、それに対する生活の水準は、昭和九——十一年の九〇%ということを一応の目標といたして計画を進めております。これに関連して、第二点の前提條件は、ということであります。今日の世界的な激動する経済情勢を前にして、いろいろ変化が起ることはもちろんであります。こういうときに一応の目標を立てることには相当の困難はありますが、ただいまのような目標を立て、前提としては、第三次大戰は起らないということが前提であります。ただ、米ソ間における関係が相当緊迫し、この影響を受けて、世界的な関係においては軍拡競争がますます熾烈になるだろうということを前提として考えており、為替レートにおいては、当分これの変化なきことを前提として立てております。しかし事柄は、あくまで今日の日本の経済復興に関して、盲で、計画なくして行くことを私は最も排する考えでありますので、政府としては一応の目標を立てつつ、変化に即応して機動的な処置を講じて行くということが建前であります。  第二のお尋ねとして、自立経済の推進に関して電源というものの増加が必要であるということについてどうかということであります。これはもちろん重要な点がここにあるのでありまして、私どもも、その点に集中して、電源については昭和二十五年度以来、新電源開発に努めておるのであります。一応二十五年度はいろいろな関係で着工が遅れましたが、二十四年度からの継続工事と、新たに新着手として、水力電気は二十六箇所で四十七万キロワツトであります。火力は十箇所で十七万キロワツトということが計画に進められておりましたが、資金の関係が少し遅れました。これに対して年度内に百億を出したので、多少計画が少くて、水力が十八地点、三十二万キロワツト、火力は六箇所、十七万キロワツトという計画で進めておりますが、二十六年度においては百五十億の見返り資金を使い、水力三十万キロワツト、火力十万キロワツトというものを推進すべく、ただいまこれを進めておるのであります。  第三に貿易対策の問題であります。これは自立経済の推進の上においても、このことが今後大きな影響、変化を及ぼすものでありますので、これには、繰返して申しておりますが、十分な力を入れておるのでありまして対策としましては、外貨資金の効率活用と申しますか、すでに去年の七月以降、今年の三月までの計画として、もう契約し、輸入の外貨資金の許可されたものが、総計約十五億ドルくらいであります。これはその四半期ごとにおける輸出の関係を見比べて先物契約を進めておるから、総額そうなつておりますが、こういう外貨についての活用、それから契約関係、手続関係において非常に変化をいたしまして、お話のようにポンド地域における関係が資金の関係で少かつた。このたび関係方面との折衝の結果、昨年は五千万ポンド程度でありましたが、このたびは輸出入おのおの八千五百ポンドを、ポンド地域における輸出入関係について拡大いたしまして、さらにこれに関連して、ポンド地域におけるユーザンスの問題についても ただいま考究中であります。かくのごとく地域的に考えると同じに、物資に関する関係において割当てて一々の国から何を幾らというような割当の行き方をやめて、自動許可制にしたことは、すでに御承知の通りであります。こういう面を、あらゆる点について施策いたすと同時に、目下のところは、施政演説に申しましたように、船舶に集中して、愼造船の問題、用船、買船の問題について資金計画を立てて目下遂行中でありますから、御承知を願います。  第四点は、経済の推移に関する計画経済ということについてのお尋ねであります。どういう意味か、私にはよくわかりませんが、しかし、日本の今日における復興に関し自立経済を中心としてやるについて、総合的に各産業をいかなる調整ある形に推進しなければならないかということで自立経済計画は立てております。この意味をさして計画化とおつしやるならば、わが政府は、すでにこれを立てておるわけであります。しかして、今お話の点の中に、しきりに古典的自由主義とかいう言葉をお使いになりました。言葉をお使いになること自由でありますが、私どもは、国民の皆さんに、実際の政治の事実において御判断を願いたいのてあります。(拍手)すでに私どもが自由経済をとなえて、野菜類、魚類、またくだもの類の統制をはずして自由販売といたし、価格統制を撤廃したことについて、国民はどれほど喜んでおられるかということを、私は事実をもつて証明したいのであります。(拍手)これを、アメリカはいろいろ政策をとられたというので、再びすぐ元へ返つて統制をやれとおつしやるならば、私どもはやる意思はございません。(「その通り」と呼ぶ者あり)しかし問題といたしまして、今日日本が国際経済に結びついて、いろいろな原材料、いろいろな需要稀少鉱物等につきまして問題が起りまするならば、これらに対しまして、割当て、あるいは用途指定というような問題についてやることを考えておることについては、この前申した通りであります。(拍手)     〔国務大臣横尾龍君登壇〕

横尾龍自由党通商産業大臣

○国務大臣(横尾龍君) 貿易問題の金融その他に関しましては、周東安本長官からお話のあつた通りでありまして、私からお答えいたしません。ただ中共地区のものが入つて来ないからどうかというお話に対しましては、他地区から輸入すべく極力努力中であります。現に欽鉱石、粘結炭のごときは、十——十二、一——三の両四半期において、おのおの、三十萬トンぐらいずつのものが米国から入つて来るように許可されたのであります。かつまた御存じの通り、中共貿易についてはバーター式になつておりますので、許可を要しない物資についてバーターのことで今話が進みつつあるのであります。現に粘結炭は七千トン、一隻入つて来た事実もあるのでありますから、この点に関しましては、さほど悲観しなくてもよかろうと考えます。輸出入の金融につきましては、これはお話の通りであります。従いまして、関係当局と相談いたしまして善処することにいたします。  それから先刻、必要物資の輸入を民間企業にやらしてはいかんという話でありますが、私、ちよつとこの意味を了解しかねるのであります。民間の使用者が、ある程度必要なる物資のストツクをよけい持つことに対しましては、極力援助をするつもりであります。  それから口先の問題であります。再編成の当時、種々世評がありましたけれども、通産委員会、考査委員会でお調べの上、何らそういう不正事実がなかつたということの判定が下されまして、私も、しかるべきものだと信じておつたのであります。それから日発総裁の三十六億云々の点は、多少記録上の含みと見るべきものがあるもしれませんが(「あるのか、ないのか」と呼ぶ者あり)それは、ただいま調査中てあります。調査してからお答えいたします。それから、日発当局その他公益委員方とは意見の相違はございません。その次の問題に関して五十億の云々というお話がありましたが、これにつきましては、私また、さようなことを双つたことはないのであります。さよう御了承願います。(拍手)     〔国務大臣池田勇人君登壇〕

池田勇人自由党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げす。  吉田内閣は何もしていないではないか、これは昨日もあつたのでありますが、あらゆる努力を結集いたしまして日本の経済再建に邁進しておつたのでございます。これをわれわれが過去一年半にやりましたから、初めてこの朝鮮動乱という好影響を満喫することになつたのであります。もしわれわれが安定政策をやつていなかつたならば、朝鮮動乱という経済的好影響を受入れるだけの資格がなかつた。これを受入れて日本の生産を勃興することは、われわれがあらゆることをやつた結果であるのであります。  次に、こまかい問題につきましての御質問でありまするが、世界の情勢に対処いたしまして、ただいまの予算でやつて行けることは、財政演説で申しておる通りであります。具体的の問題になりましたら、具体的の質問があつて、お答えいたしたいと思います。なお予算の規模を今よりも増大する考えはないか。ただいまのところでは、増大する考えはございません。これでけつこうやつて行けます。  第三に、所得の見積りを、あまりふやしておるではないか、水増しではないかという話であります。これは先の国会でもございましたが、われわれの見込みは、いつも妥当で、ございました。今年度におきましても、予算以上の税もとれるという考えでおります。  次に、価格補給金を削減したならば重工業に非常な惡影響があるのではないか。しかし、今までの事例が示すごとく、価格補給金を削減いたしましても、重工業関係その他補給金をもらつておる会社がつぶれる、かようなことは決してございません。補給金をはずしたからこそ、だんだん景気がよくなつて来ておる、こういう情勢にあるのであります。  次に、インヴエントリー・フアイナンスをやることは大衆を犠牲にするものではないか、こういうことであります。大衆が一番困るのはインフレであります。インフレは、一部のやみ屋がもうかつて、大衆全部が困る。私は、この意味において、インフレを再燃させないためにインヴエントリー・フアイナンスをやつておるのであります。これは経済安定の施策として当然とるべき、いわゆる古今を通じての施策と考えております。  次に徴税の状況はどうか。徴税の状況は、しごく円滑に、しかも予定以上の徴税をやつております。  なお証券対策については、財政演説で申し上げておりますようにレギユラー・ウエーの方法をとり、なおまた証券金融につきましても、従来の投資金額、具体的に申し上げますと、日本証券金融会社に対する貸付金の二十億を倍以上にふやすとか、あるいは投資信託につきましては昔の制度を復活させるよう、今国会に提案いたします。  次にタバコの民営につきましては、ただいま検討中であります。きようも委員会を開いて検討いたしております。  次に、中小企業が金詰まりになりはしないか。今年の一——三月は、昨年ほど引揚げ超過はいたしませんので、去年よりも、よほど金融がよくなつて参ります。  なお閥発銀行につきましての考え方を言えとおつしやいますが、今せつかく考慮中であります。あなた方のお気に入るようないい案を出すべく努力をいたしております。(拍手)     〔国務大臣保利茂君登壇〕

保利茂自由党労働大臣

○国務大臣(保利茂君) お答えをいたします。  実質賃金及び一般国民の生活水準につきましては、経済安定施策の推進と足並を合せまして、逐次一両年来上昇して参りましたが、朝鮮動乱の影響を受けまして、物価の高騰等によつて、八、九月のころにおきましては一博低下の状態を呈しましたけれども、十月以降におきましては、再び朝鮮動乱以前の状態に回復いたして参つておるのであります。今後につきましては、食糧を初め消費財の確保に全力を盡すことによりまして、国民生活の安定並びに実質賃金等の向上に努力をいたして参るつもりでおります。  次に労働組合ないし労働組合運動のあり方についての早稲田君の御意見に対しましては、私も全然御同感でございます。政府もまた、従来、労働組合ないし労働組合運動は、労働組合大衆ないしは指導者の良識と経験によつて、おのずから自主的に行わるべきであるという方針を固く堅持いたして参つておることは、御承知の通りでございます。どうか、そういうふうに御了承願いたいと思います。  社会保障の問題につきましては、これは御説の通りだと存じますが、もとより財政力ないし国民負担力の全体から総合して漸次整備前進せらるべきものであると私は信じております。私どもの関係におきまする失業保險並びに失業対策事業等につきましては、明年度におきまして本年度以上の増額をいたしまして、これに対処いたしておる次第でございます。     〔国務大臣黒川武雄君登壇〕

黒川武雄自由党厚生大臣

○国務大臣(黒川武雄君) 社会保障制度審議会の勧告に基いた計算によりますと、この制度を実施いたします場合の純国庫負担額は約八百八十六億を計算されておるのであります。政府の社会保障対策費は、昭和二十五年度に約三百五十六億でありましたが、昭和二十六年度は、さらに約百数十億増加の案を立てまして、目下御審議を願うことになつております。もちろんこの予算額におきましては、完全な社会保障制度の実施にはまだ遠いのでありますが、現下の財政事情その他各般の事情を勘案し、今後一層この制度の発展に遺憾なきを期したいと存じております。  第二点は、二十六年度予算案の方針は、勧告の基本方針にのつとりまして、現行諸制度を漸進的に統一整備する方針のもとに、社会保險、法的扶助等の運営を強化し、結核対策を中心とした公衆衛生対策を推進することを主眼点といたしておるのであります。従つて、各種社会保險の統合や、その他行政機構の合理化等の問題につきましては愼重に考慮中であります。  第三点、この制度の実施につきましては、目下関係閣僚懇談会で十分検討中でありますが、この広汎な施策全体の見通しと結論とを出しますことは、諸般の情勢をも考慮しなければならぬ関係上、愼重を要するものでございます。政府といたしましては、二十六年度予算案の基本方針の線を将来とも逐次前進せしめて、完全な社会保障制度の姿に近づけたいと存じておる次第でございます。(拍手)     〔国務大臣廣川弘禪君登壇〕

廣川弘禪自由党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(廣川弘禪君) 食糧自給に対して今度の予算があまりにも少いじやないかというお話ですが、予算面をごらんになりますと、いかに今年度が多いか、はつきりおわかりになると思います。一般会計においては三十六億五千万円、公共事業費においては五十四億円、それから特別会計では六十億円というものがふえておることを御承知願います。さようにいたしまして私たちは、この予算を基底として興農運動を推進して参りたい、こう考えておるのであります。  また米価の問題についてのお尋ねでありましたが、米価は、わが党政府において初めて値上げをしたのでありまして、この農村の生産物の物価を安定いたしたいという考えから、さようにいたしておるのであります。  また農作物の価格の安定のことのついででありまするから申し上げておきまするが、いもの価格は、あなた方が非常に悲観したことを言つておられたのでありますが、最低価格をきめたいもは、あの通り農村を潤しておるのであります。でありまするから、今度の七月に、はずれようとする麦においても、あれとまつたく同じようになりまして、農村を非常に潤すことであると私は考えておるのであります。(拍手)  それから供出の問題について云々されましたが、本年初めて占領後、農民の自主的協力によつて供出されておるのであります。これは、いまだかつてなかつたことであることを御承知願いたいと思います。  それから、だんだん農協の課税の問題、あるいはまた農業の長期資金の問題、繭の価格の問題、土地改良の問題、肥料の需給調整の問題等、十ぱ一からげにおつしやられましたが、この問題は、みな重要な問題でありまするので、個々に検討をいたしまして、愼重にわれわれは、直すべきものはこれを直し、また助長すべきものは助長するようにいたしまして、目下検討中であります。こういうような問題を実現するために、じやまになる法律は、どしどしやめるように目下案を作成中でございます。(拍手)     〔政府委員淺井清君登壇〕

淺井清人事院総裁

○政府委員(淺井清君) 人事院に対するお尋ねにお答えを申し上げます。  第一に、勤務地手当、すなわち地域給を廃止する意思はないかとのお尋ねでございますが、最近に御制定になりました給與法に勤務地手当を支給すべしとの條項がございまする以上は、人事院といたしましては、誠実にこの法律を実施するほかはございません。のみならず、人事院の調査によりますれば、お示しのごとき物価の地方差は大分少くなりましたとは申せ、なお若干の勤務地手当を支給することが妥当と考えられております。よつて人事院は、科学的な基礎の上に適切な給與政策を加味いたしまして合理的な案を目下鋭意研究中でございます。  次に、寒冷地手当及び石炭手当についても同じようなお尋ねがございましえが、これは国会発案の法律でございまして、人事院といたしましては最も尊重いたさなければならない性質のものでございまするのみならず、これは地域的に申しましても、性質から申しましても、きわめて局所的なものでございまするから、これを廃止した方がよいというような意向は、人事院としては持つておりません。(拍手)

幣原喜重郎自由党議長

○議長(幣原喜重郎君) 次は戸叶里子君。     〔戸叶里子君登壇〕

戸叶里子日本社会党

○戸叶里子君 私は、日本社会党を代表いたしまして、吉田総理大臣の施政方針演説に対し質問をしたいと思うのであります。  今回の施政方針演説を聞いて、私たちは、現内閣は、勤労階級にとつて、また国民の過半数を占める婦人たちにとつて信頼の置ける政府ではないとの印象を深く刻み込まれたのであります。(拍手)その理由といたしまして、第一には、国民の最も要望しております平和問題に対しては熱意を欠き、第二には、不幸な人たちに対する社会保障関係の政策に対しては冷淡であり、第三は、婦人と子供の保護並びに生活改善に対して積極的な政策を持つていないことであります。また重大な教育問題に対して、子を持つ親の憂いが何ら反映してありません。私はこれらの問題に対して質問したいと思いますので、関係各大臣から満足の行く御答弁を願いたいのであります。1  第一に、吉田外務大臣にお伺いいたします。ダレス氏が六箇月以内に対日講和を結びたいとの決意のもとに日本を訪れて参りましたが、最後的結論を得るまでには、なお慎重に日本の輿論の動向並びに各方面の人たちの意見を開かれると思います。吉田首相は、早期講和の名のもとに、多数講和あるいは個別講和によつて、局面の打開を試み、再軍備の問題は、日本の独立が完成した後にこれを論議すべき性質のものである、と主張されているようであります。これに対し芦田氏は、時局の急迫化に対処して自衛権を拡充し、急速に再軍備を行えとの、いわゆる再軍備論を提唱しております。  先般の吉田さん、苫米地さんの会談によれば、両君の時局認識が一致し、自民の提携が一進展したと新聞に報ぜられておりますが、少くとも再軍備問題に関しましては、吉田、芦田両者間に相当の食い違いがあるように私たちには感ぜられます。しかるに吉田首相は、この問の食い違いを超党派外交の名のもとにいかに調整しようとしていられるのでありましようか。国民の疑惑はこの一点にかかつております。吉田さん並びに芦田さんは、理想と現実にはギヤツプがある、そのときには理想を捨てて現実に忠実になれ、ということをモツトーとしておられます。これが政治であり、政治は理想の夢を追うべきではないとの、理想否定のマキアベリズムの外交方針をとつておられます。このような態度が、はたして今日の日本を救う外交として正しい外交でありましようか。吉田さん、幣原さん、芦田さんに至る外交路線は、明らかに戰前の宮廷外交の夢からさめておらないものであります。そして、自主性がないゆえに腰抜け外交といわれた霞ケ関官僚外交の、あの伝統を引くものであります。  今日の日本にとつて大切なことは、国民の、平和愛好の悲願をにない、理想主義的な国民外交を発揮し、講和を通じて民族の独立と日本の国際的地位を獲得すべきであります。私たち婦人は、いかなることがあつても平和を念願とし、国際的武力紛争の渦中に投ずることなく、中立を堅持して、戰争反対の立場を守つて行く覚悟でおります。(拍手)戰争の最大の犠牲者であり、原始爆彈の先例の中から立ち上がつた日本の婦人は、母親はその愛する子を、妻はその夫を、再びいかなる戰場にも送らないとの決意に燃えているのであります。(拍手)この全女性の悲願を裏切るような言動を政治家たる者は深く愼み、そのような講和の締結をやめていただきたいと思うのであります。  朝鮮問題を実機として、ややもすると最近の輿論は、共産軍か日本に攻めて来た場合に、軍備を固めておかないと蹂躪されるのではないかとの恐怖感を抱きつつあります。これは国内が安定し、政府が国民の信頼を受けているならば、断じて第三者に侵略の機会は與えないでありましようし、国民をかかる懐疑的な方向に導かないでありましよう。満洲事変及び日華事変の前夜も思わせるような政府要路の人たちの言動は大いに反省すべきであります。(拍手)戰争か、平和か、再軍備か、非武裝かと国民を動揺させ、特に婦人や、青年たちに深刻な不安を抱かせつつある責任、明らかに政府にあります。(拍手)かかる重大な時局に直面し、政府は見識を持つて、わが国のごとこ世界に比類のない新国体を擁護し、あくまでも国家の理想と信念を貫いて行くべき重い責任があるのであります。  講和と関連し、国連によつて安全保障を求める場合においても、国連憲章には軍事的強力が規定されておりますが、わが国は、新憲法の精神から、軍事的協力を必要としないと信じます。それは、ポツダム宣言が国連憲章よりもあとに発せられたものであり、非武裝国家としての日本の国家性格は、ポツダム宣言の署名国がこれを要請したものであり、米、英、中、ソの四箇国は、非武裝国家日本を国連によつて安全に保障する当然の義務があるのであります。吉田首相は、安全保障を国連に求めておられますが、十分にこの間の事情を御承知のことと存じます。それゆえに、施政方針演説においても、再軍備論の軽挙盲動を戒めておられます。しかし、首相の演説が私どもに與えた印象は、平和護持に対して、きわめて消極的にして低調でありました。これを聞いて、戰場に夫をなくした妻や、愛する子を失つた年老いたる母は、どんなにか失望したてありましよう。また子を打つ母は、戰争の幻影におののいたことでありましよう。信念なき政治は国家百年の悔いを残す結果になりますから、平和を守り拔く信念なき限り、吉田内閣は一日も早くその責任ある地位を去るべきであります。(拍手)これに対する吉田首相の御決意のほどを承りたいと思います。  第二に、厚生大臣並びに大蔵大臣に社会保障制度についてお伺いいたします。最近国際的な危機に直面して、自衛権の問題がしきりに論議されておりますが、真の自衛権の確立は、時代遅れの武器によつて自分を守ることでなく、国民生活の絶対保障が最も強固な国家の自衛であると私は信ずるのであります。村会保障制度の確立こそ国内安定の基礎であり、この安定こそ外来勢力をして断じて日本に侵入するすきを與えないと思うのであります。英国労働党政府は、一九五〇年に、国家予算の二一・九%を社会保障制度に費しております。これに対して、わが国においては、わずかに五・三%しか費さなかつたのであります。大蔵大臣は、本年度は社会保障関係については三割を増し、百二十億を増額したと言われておりますが、この数字は、予算全体から見るならば、わずかに七・五%にすぎず、英国とは比校になりません。わが国においても、搖籃から墓場までをスローガンとして社会保障制度の貫徹に盡すべきであります。  わが党は、一貫してこの実現に邁進して来たのであります。昨年十月には、社会保障制度審議会において答申案が提出されました。その内容は、わが党の主張とは大分距離がありますが、政府においては、なお答申案の八百八十六億の予算に対してすら実施しようとする誠意を欠いております。現在日本には、百八十万の未亡人、二百万の失業者及び多数の孤児が飢餓線上を彷徨し、戰争犠牲者は街頭において胸をつく悲痛な叫びをあげております。この事実を無視して、どこに政治があるでありましようか。国民から取上げた税金は、かかる人たちに対する生活保障のためにこそ使わるべきであります。  また日本は、結核患者が他国に比して非常に多いとされておりますが、二十六年度予算を見るに、結核対策に対してわずかに三十一億を増加させたにすぎません。毎年十五万人も死亡者を出す結核撲滅に対し、総額八十三億程度の費用で、どれだけの防衛ができるでありましようか。現在の病床九万に一万六千二百を増設する程度では、はなはだ心細い次第であります。最近の新聞によりますと、秋田、長野県等において学童の集団結核が報ぜられておりますが、これは嚴密に調査しますと、全国的な傾向となつておるのではなかろうかと思われます。これに対して、厚生大臣は何らかの手を打つておられるかどうかをお伺いしたいと思います。  結核対策のほかに、各種伝染病並びに精神病患者、不具者等に対しましても積極的な対策が行われるべきであり、さらに進んで、医療の社会化を原則として国民医療制度が、確立されなければなりません。医療国営が実施された英国においては、病人は何ら経済的な心配なく、国家の経費によつて治療を受けることが出来るようになつております。これはわが国においても望ましいことでありますが、厚生大臣は日本においても実施する用意があるかどうかを伺いたい。実施するなら、一体いつごろから実施されようとなさいますか。  また一方、日本の現状においては、未亡人や生活困窮者のために、單なる救護だけでなく、現段階においては、アメリカなどと異なり、日本の特殊性を考施して、授産場のごとき経済厚生施設をもつと拡充し、漸次に自活への道を切り開いてやるべきであります。しかるに、現状はこれに逆行し、授産場のごときはボスの食いものになるとの理由をもつて整理され、公営のもの二百八十三、社会事業法によるもの三百八十四になつておりますが、これは整理するよりは、むしろ改善することによつて増設されるべき性質のものであります。(拍手)これがなされておりませんのは政府の熱意が欠けているからと思われますが、厚生大臣のお考えはどうでありますか。  最近、少年の犯罪が激増しつつあります。兒童福祉法が実施されたのにもかかわらず、その対策が何ら見るべきものがないところに、このような悲しむべき結果が生じつつあるのではないでしようか、私は先日、ある外国の友人から、上野公園付近になぜあれほど多くの浮浪兒を日本では放置しておくのかと聞かれて、赤面いたしました。浮浪兒、孤兒及び不良兒の保護に必要な経費として、政府は百六十六万を計上し、これによつて保護收容施設の運営及び浮浪兒に対する被服、給與の補助に充てるとのことでありますが、全部これを收容して育成する根本的対策がどうして打立てられないのでありましようか。講和によつて国際社会に復帰する際に、文化国家とか、あるいは観光日本とかいいながら、浮浪兒を街頭に放置しておくことは、対外的に国家の面目を失するものであり、青少年の犯罪の温床となる危險性があると思うのでありますが、厚生大臣のお考えを承りたいと思います。(拍手)  また、労働省全体としては予算が三十億増加しておるのにもかかわらず、婦人労働者、少年労働者の保護、福祉増進に努むべき労働省婦人少年局の経費が、昨年度の二千五百万から五百万削減されております。これらの事実は、反動吉田内閣が、婦人と子供の保護のためにはきわめて冷淡であることを実証するものであります。(拍手)  広義な意味における社会保障は、労働者の最低賃金の確立と結びつかなければなりません。政府は、この面においても不誠意きわまりない態度を示しております。わが国の労働者の賃金ベースを見ますと、世界各国と比較して驚くべき低い地位にあります。私は、先般アメリカ旅行の際、日本の賃金ベースをめぐる労働攻勢の記事がニユーヨークータイムスに報ぜられたときに、アメリカの有識者から、日本の労働者が二十ドルから二十二ドルヘの要求、すなわち六千三百七円から七千八百七十七円への要求を出しているが、これは一週間分の賃金かと聞かれたのであります。(拍手)アメリカにおける労働者の一箇月の賃金は二百五十ドル前後であり、日本の労働者の十二倍以上の賃金をとつております。賃金と物価を比較してみると、アメリカの生活必需物資は日本の二倍半程度と考えてさしつかえないでしようから、日本の労働者が、他の国の労働者と比較して、いかにみじめな生活をしているかがわかるのであります。  政府は先ごろ、賃金の改訂における人事院勧告の八千五十八円べースを無視して千円のぺースーアツプをしてお茶を濁してしまいました。しかも、その職階制は、上に厚く下に薄いという、上級者のみを優遇して、下級公務員の生活権を圧迫した、官僚的なものであります。わが党は政府改訂案に反対し、一万円べースを要求いたしますが、大蔵大臣は、二十六年度予算において、労働者の生活保障のためにこれを受入れられるお考えはありませんでしようか。それとも、今年度予算はほおかむりをして、無理押ししようと考えられるのでありましようか。資本蓄積を名として財閥擁護に莫大な予算を濫費する吉田内閣が、生活にあえぐ人たちや労働者に対して、かかる冷酷なしうちをする限りにおいては、国民生活を不安定ならしむるものでありますから、国内の自衛態勢に大きなみぞをつくる結果となるでありましよう。(拍手)  次に、社会保障の裏づけとして住宅政策に対し建設大臣に承りたいと思います。住宅問題は、昔から衣食住といわれて、生活問題の中において重要な位置を占めております。わが国は、戰争によつて二百六十万戸、さらにその後地震、風水害、火災によつて三十万戸の在宅を失い、戰後二百五十万戸に近い住宅を建設いたしましたが、一方終戰後、引揚者を含む約一千万の人口増加と、さらに戰争中の建設不足などを加えますと、今日なお三百数十万戸の住宅不足が推定されております。  英国の労働党政府のごときは、住宅問題はきわめて重要な問題であるとして、積極的な対策を立てて成果をあげております。先ごろ英国を視察して帰られた総評の高野氏の話によりますと、英国では、イースト・エンドの貧民窟街の、家を持たない労働者の七千家族のために、ダービー市において工事中の議事堂の改築をあとまわしにしていたとのことであります。働く人々を優先的にして住居の安定をはかつてやる住宅政策の徹底ぶりは、日本においても大いに学ぶべきであります。(拍手)住宅難のために疎開先から帰れない人たち、同居家族をめぐつての紛争、夫婦間の別居生活から起きる悲劇、ざこ寝の生活から生ずる兒童への性に対する惡影響など、これはいずれも住宅難から巻き起るところの社会問題であります。(拍手)昨年度の住宅金融公庫百億円の利用も、頭金、手続の煩瑣等によつて、住宅の必要を痛感する庶民階級にとつては縁遠いものでありました。これらの住宅政策の貧困並びに官僚的運営の欠陥に対して、建設大臣は、本年度はいかなる構想をもつて臨まれようとしておられますか。特に労働者アパートなどの住宅政策に対する具体的な御意見を承りたいと思います。(拍手)  第三番目に農林大臣に、農村の封建制打破と生活改善に対してお伺いしたいと思います。農林大臣は、官僚によつて壟断されている自由党政府内において、比較的下情に通じた大臣であるといわれておりますから(笑声)農村における婦人の地位が、いまだに封建的奴僕にひとしい生活であるということを御承知と信じます。農村の婦人は、現在野ら仕事、炊事、育児、裁縫などの二重、三重の負担にあえいでおります。民主主義は、現実生活の改善なくしては実現できません。(拍手)農村生活の改善の第一歩は、婦人の過重労働を軽減するために、農村電化等による農業経営の合理化、台所並びに食生活の改善、便所の衛生設備の完備等による生活改善、共同作業場及び託兒所の増設など、身近なところから始められなければなりません。  アメリカにおいて農村生活の合理化を親しく視察する機会を得ましたが、婦人の日常生活における、むだな労力を省くために、台所の合理化が積極的に行われておりました。日本でも、台所の改善を行おうという婦人会の動きが随所に起つて来ておりますが、資金の融通を得るのに困難なので行き詰まりの状態になつております。(拍手)こうした費用に対して、政府は何らかの特別な便宜をはかるというようなお考えはないでありましようか。農村における融資の問題で思い起すことは、今日農民相手の金融機関が、農民から金を預かりながら、それを農民のために使わないで、都会の他の投機的な事業に浮貸しなどを行うような営利本位の惡傾向に走つている傾きがあります。農林大臣としては、生産農民から遊離した農業信用組合等の脇線ぶりに対して調査なり警告なりを行つていられるかどうかを承りたいと思います。(拍手)この金の性質からいつても、生活改善などのために使うという意味においても、農村の台所の改善に融資されるべきであると思います。これに対して農林大臣はどう思われますか。  終戰後、農村の生活改善、農業改良達成の目的をもつて、農林省に農業改良局が新設されましたが、同局の予算では、農業改良助長費が八億八千万円で、同局の二・七七%であり、生活改善普及費は五千三百万円程度で、農林省全体の予算から見ると二%にすぎないということであります。これでは農村の封建性打破と生活改善もおぼつかないと思うのであります。二階から目薬をたらすような貧弱な予算では、農村生活の改善もかなり念仏的な放言に終るであろうことは火を見るよりも明らかであります。いかにおしの強い農林大臣とて、ないそでは振れないと思いますが、この貧弱な予算しか計上しなかつたのは、農村婦人の解放に対して熱意を欠くものとしか思われません。(拍手)  また、これは農村だけの問題ではありませんが、体力維持の根元をなす食生活の改善、合理化について承りたいと思います。日本人の保健に必要な一人一日当りの蛋白質は七十五グラム、脂肪二十五グラムであることは何人も認めるところでありますが、最近における栄養撮取良は非常に少くなつて来ております。その理由は、油脂原料が中共貿易の杜絶とともに著しく減つたからであります。油脂は生活必需物資であるので、昨年六月以降、各国はその蓄積を開始しております。しかるに日本は、油脂の飢餓状態を現出しております。大豆四十五万トン、油脂原料五十万トンの輸入確保が目下の急務と思います。さらに、これらの輸入のみにたよらず、油脂原料の増産確保並びに食糧需給の具体的対策が樹立さるべきでありますが、農林大臣はこれに対して何らかの手を打つておられるかどうかをお伺いしたいと思うのであります。このことは、国民の体位維持、結核予防等の見地からも大切なことと思いますから、大臣の所信を明らかにしていただきたいと思うのであります。  最後に文部大臣に、義務教育費並びに学校給食費の国庫負担に対してお尋ねしたい。この問題は、勤労階級の母親の大部分が、この費用捻出にたえ切れず苦悩しておりますが、この姿が大臣の目に映らないのでありましようか。これを黙視することができないとお気づきになつたら、いつごろから実行に移されるか、誠意ある御答弁をお伺いしたいと思います。  また、現在の教育は職業教育の面を軒現する傾きがありますが、社会に立つて役に立つだけの実力ある職業教育を施していただきたい。特に今後においては、輸出貿易の面において優秀なる技術者を養成しなければなりません。そうした人たちの養成によつてのみ粗惡品は駆逐され、世界市場に誇り得るような製品を送り出すことができるのであります。この機会に、職業教育についての文部大臣の構想を伺いたいと思うのであります。  職業教育の面で、私は特に女子の職業教育について強調したい。アメリカでは、未亡人になつても、その九五%は独立して生活ができるだけの職業教育を身につけております。日本の場合はその逆で、九五%までが職業教育を身につけておらないので、婦人の社会的独立がきわめて困難とされております。最近の社会問題として、労働問題の方面においては、男女同権の原則に反して差別待遇が行われ、整理の際には、性別による不平等の馘首が行われております。これは反動勢力の台頭によるものでありますが、それと同時に、旧来の教育制度の欠陥にも多分にその責任があると思うのであります。また頻発する、めかけ殺しの惨事のごときも、夫と別離した際に、妻にもつと経済的自活の能力があるならば、あのような絶望的な悲劇は起らずとも済んだでありましよう。修身科の復活によつて形式的な倫理観を植えつけるよりも、教育の機会均等を徹底させて教育によつて婦人の社会的地位を高めて行かなければなりません。これに対する文部大臣の見解をお伺いしたいのであります。  またさらに、学生のレツド・パージ以来、彈圧に続く彈圧をもつて、各学校において学生を大量に放逐し、学生を萎縮させておりますが、共産党彈圧に名をかりて、学校行政そのものが、過去の警察行政のごとき冷酷そのものの行き過ぎを行つておるのではないでしようか。(拍手)未来をになう青少年の指導は、理想をこれに植えつけ、愛情をもつてこれを育成しない限りは、断じて教育の目的は達成できません。天野文部大臣は、かつては進歩的な学者として、その令名をはせた方であります。吉田反動内閣の閣僚となつても、その教育上の理想は失つてはおられないと考えます。それゆえに、天野文相から、明日の日本を救うべき教育の理想についてその見解を示していただきたいと思います。  以上で私の質問は終りますが、吉田内閣の実態と政策及び過去の実績を通じて見るに、すでに世界の潮流から取残された古風な資本主義政策の破綻を随所に示しております。(拍手)私たちは、もはやこの内閣において日本の運命は打開することきわめて困難だと信じます。この機会に、施政方針に盛られた吉田内閣の最後の叫びに国民の胸を打つだけの誠意がどれだけあるかを示していただきたい。ことに平和の問題に対しては、日本の帰人たちは、フランスがかつて蹂躪せられたときに、オルレアンの一少女ジヤンヌダークが身を捨てて祖国の急を救つたがごとく、日本の急を救わんとしております。ジヤンヌダークの時代には、武器を持つて祖国を救うことが唯一のものでありました。今では時代がかわり、平和の旗こそ祖国を救う唯一のものであります。この平和の旗を高く掲げて世界に訴えんとするわれわれの声に吉田首相も応せられんことを重ねて要請し、私の質問を結ぶ次第であります。(拍手)     〔国務大臣吉田茂君登壇〕

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) お答えいたします。  再軍備問題について、私と芦田君との間に意見の相違がある、これをどう調整するかというお尋ねでありますが、私は、芦田君が、その独自の立場から、独自の見識からして立論せられた再軍備論に対しては、尊敬をもつてこれに傾聽するものであります。しかしながら、傾聽するがゆえに、これを調整するとか、撤回せしめるとかいうような意思は毛頭ございません。  また超党派外交については、しばしば申しますが、社会党が拒絶せられる以上は、その拒絶が撤回せられるまで実現はおぼつかないのであります。  平和擁護については、私も御同感であります。政府としても、あくまでも平和擁護には努めるつもりであります。しかしながら、現内閣が平和擁護の力なし、時局担当の力なしという御議論に対しては、遺憾ながら同意を表することはできません。(拍手)     〔議長退席、副議長着席〕 私は時局担当の力ありと考えますから、御希望のように総辞職はいたしません。(拍手)     〔国務大臣黒川武雄君登壇〕

黒川武雄自由党厚生大臣

○国務大臣(黒川武雄君) 順次お答えいたします。  第一問につきましては、政府は諸般の施策とにらみ合せ、この社会保障制度の取扱いを考究中なのでございます。英米等のごとき高い程度にはまだまだ遠いのでございますが、たとえば二十六年度予算案において本年度より百数十億を増加する等、あとう限りの努力を拂つておる次第でございます。  第二、第三間——御指摘のように、目下提出をいたしておりまする明年度結核予算は約八十三億円でありますが、政府といたしましては、決してこれで十分であると考えておる次第ではございません。社会保障制度の重要な一環として、今後ともこの施策の拡充に努力する所存でございます。  次に長野県及び秋田県に発生を見ました学童の集団感染につきましては、即刻調査をいたしまして、患者を收容して医療に万全を期すとともに、必要なる予防接種をいたしたのでありますが、今後は、かかることのないよう厚生、文部両省緊密な連絡をとり、学校衛生上に遺憾のないように努力する所存でございます。  第四問につきましては、医療制度を国営方式により運営することにつきましては、現在さような考えを有しておりません。  第五問——厚生省におきましては、授産事業の公明適切なる運営を確保するため、かねて授産事業の刷新につき計画を立てて、これが実施を強力に進めて来たのでありますが、ことに授産事業の経営者が社会的弱者である作業員を搾取して不当に個人的利得を收めておるといつた弊害の絶無を期することをその大きなねらいとしておるのでありまして、授産場の経営責任者については特に愼重を期しまして、社会事業に熱意を有し、作業員を指導するにふさわしいものであることを條件として、嚴格にこれを実施して参つたのであります。なおこの授産事業の今後の振興策につきましては、あくまでその運営内容を適正化しつつ、生活困窮者等の経済援助の機能を発揮せしめて行きたいと存ずるのでございます。  第六問——未亡人、孤兒、浮浪兒対策どいたしましては、母子寮、見堂幅礼施設の増設、関係職員の増加、訓練等、厚生省といたしましては極力努力中であります。ただ未亡人につきましては、單に厚生省所管のみでなく、税減免の問題、職業補導の問題等、総合的に解決をはからなければならないのでありまして、関係各省と連絡をはかり、遺憾なきを期する所存であります。また孤児、浮浪兒につきましては、各府県の兒童相談所を極力活用いたしまして、相談、鑑別、補導施設收容等に努力いたしておるのでございます。なおこれに関連して、青少年不良化対策協議会が内閣に設けられ、関係各省が協力してこの対策の推進に努力いたしておる次第でございます。  以上お答えいたします。(拍手)     〔国務大臣増田甲子七君登壇〕

増田甲子七自由党建設大臣・賠償庁長官・北海道開発庁長官

○国務大臣(増田甲子七君) 政府の住宅政策についてお答え申し上げます。  戰争によつて焼失した戸数が約二百十万戸、それから強制疎開によつて破壊した戸数が五十万戸ございまして、合計二百六十万戸でございますが、終戰後五年、およそ建築されたるものが、やはり二百六十二、三万戸ございます。しかしながら、それでは住宅難は緩和されたか、御説のごとく、三百数十万戸まだ不足である。その不足の理由は、人口がふえたことと、引揚げ同胞が多いことでございます。ただしかしながら、終戰後毎年々々約五十万戸ずつ建設されております。ことに二十五年からは、約十万戸ずつよけい、すなわち六十万戸ずつ建設されておりますから、少くとも五年以内には、およそ住宅難は緩和ざれ得るもの、こう確信いたしております。  そこで労働者アパートに対する御質問でございますが、私どもは、住宅金融公庫の貸付條件の簡易化たとか、あるいは緩和ということについては、特に立法措置、行政措置について研究をいたしております。事業会社に金を貸しまして、会社から従業員に住宅をどんどん多量に供給する、こういうことを考えております。それから公営庶民住宅につきましては四十四億円、今年は三十一億円でございますが、四二%の予算を増額いたしまして——これは数字としては非常な増額だと思つておりますが、約六千戸の不燃質のアパートを労働者に供給いたしたい。しかも現在は、家賃約八百円で十二坪ぐらいの公営住宅でございますが、家賃四百円に、すなわち、あなたのおつしやる一ドル弱の家賃をもつて数千戸の住宅を供給いたしたい、こう考えております。ともかくも、世界列国どこでも住宅政策には力を入れておりますが、公営住宅関係四十四億とか、あるいは住宅金融公庫百五十億とかいうような多額の金を出しておる国はどこにもないのであります。終戰後の客観情勢の要請はいいながら、われわれのとつておる住宅政策は画期的なものである。従つて、戸叶さんの御期待に十分沿い得ることを私は確信いたしております。(拍手)     〔国務大臣池田勇人君登壇〕

池田勇人自由党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。戸叶さんは、社会保障制度にもつと金を出せ、あるいは公務員の給與を上げろ、こういうお話でございますが、私は、来年度におきましては、相当の減税をしながらも、いまだかつて出していない程度の額を出しておるのであります。三百八十億の社会保障関係の費用を五百六億円にするというのは、だれも今までやつたことはございません。(拍手)これは私は、特に社会保障制度について意を用いておるということの証拠であります。なおかつ税法におきましても、年寄りとか、あるいは未亡人につきましては、今度は基礎控除の制度を設ける、こういうふうにいたしておるのであります。公務員につきましても先般上げました。これをまた上げますと、減税にも影響いたします。非常な惡影響を及ぽしますので、片一方では国の歳入ということを考えて支出ということをやつております。なおアメリカヘお出でになりまして、普通の労賃が二百五十ドル、その通りであります。しかし、日本はアメリカの通りには行きません。イギリスの労働賃金をごらんなさい。イタリアの労働賃金をごらんなさい。われわれは徐々に労働賃金を上げて行かなければならない。昨年の九月の労働賃金は、一昨年の九月に比べまして一割七分の増であります。労働賃金の上り方は、アメリカより日本の方が急ピツチである。われわれは、そういうふうに行きたいと思つておりますが、そうすぐには参りませんので、各国をごらんいただきたいと思います。(拍手)     〔国務大臣廣川弘禪君登壇〕

廣川弘禪自由党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(廣川弘禪君) 農村の生活改善のお話でありますが、私といたしましては、これに全力を注いでおるのでありまして、農林省にありまするそれぞれの機関を通じて実際にやつておるのであります。北海道から九州まで、たいていの農村は見せてもらつておるのでありまして、その間で特に推奬すべきものをあげて推奬いたしております。しかし生活改善をするにいたしましても、第一條件はやはり農村の收入をはからなければなりませんので、米価の改訂や、その他の農作物の価格を上げて農村を潤すようにいたしておるのであります。また金融につきましては、農林中金を通じ、あるいはまた信用組合を通じて、それが農村金融に道がつくようにいたしたいと思つておるのであります。  それから生活の上において大事な油脂の問題でありますが、これは増産計画を立てて、どしどし実行中であります。特に瀬戸内海を中心といたしましてオリーブの増産計画を立て、オリーブを、現在四万本程度のものをあの附近に配給いたしております。また九州地区を、四国南端地区等にもやつております。また全国のくるみの適地には、くるみの木を植えるように、目下勧奬中であるのであります。また北海道においては、くるみ科植物を、これまたどんどん勧めて参りたいと考えておるのであります。これと並行いたしまして鯨油、魚油を貯蔵いたし、決して油脂生活に不安のないようにいたす考えであります。なおまた中共貿易の杜絶につれての大豆の心配でありますが、アメリカは、ちようど満州と同額くらいの大豆の生産国であることを御承知願います。     〔国務大臣天野貞祐君登壇〕

天野貞祐文部大臣

○国務大臣(天野貞祐君) お答えをいたします。  給食のことでございますが、学校給食は教育上非常に必要なことだと思つております。盡飯を、みんな生徒が同じものを一緒に食べるということは、すべての人間が、合宿にかかわらず一個の人格的尊重をされるというような精神を養う上にも役立ちますし、また非常な親しみを増して行くという意味でも、学校給食は非常によろしいのですが、ただいまは、一月百五十円から二百円ずつとつております。しかし、これはアメリカからの物資をもらつておるからそうなのですが、将来もし物資をもらわないときが来れば、政府で補助しなければならぬことが起つて来ると思います。また金のない家に対しては、生活保護法によつてこれを補助しておりますし、またいろいろの方法で補助いたしますから、私はこの学校給食は非常によいと考えております。  それから次に職業教育のことでありますが、職業教育が重要だということは、これは当然のことでございまして、それぞれの人のそれぞれの性質に従つて、あるいは早く学校を出る人があり、あるいは長く学校におる君があるということは当然なので、職業教育の必要を私は認めるものでございます。しかし職業教育ということについて、私は大いに注意しなけれ、はならぬ一つの点があると思います。それは、早く学校を出して、自分が使うのに便利な人間をつくろうという意味の職業教育であるならば、私は大反対であります。どういう人であつても、その入が教養を身につけておつて一生人生を意義深く送れるという教養を持たせないで、ただ卑近な知識だけをつぎ込むという職業教育ならば、私は賛成いたしません。そうではなくして、ほんとうの意味での職業教育をやろうと思つております。  それからまた修身科というようなことについては、いろいろ誤解がありますが、やはりこれからの社会には、力のある人聞をつくらなければなりません。しかし、力の一番の根源は道徳力にある。もし心構えが正しくなければ役に立たないのですから、正しい心構えの人間をつくりたい。その心構えは、同時に理性によつて正された心構えでなければならぬ。そういうことを言つておるのであつて、決して従来の修身教育に返そうなどというわけではございません。  それからまた、レツド・パージというようなことについても、いろいろ誤解があると思います。今大学では決して警察的なことをやつておるのではなくて、大学が要求しない限り警察は大学へは入りません。これは明らかな事実であります。大学が要求したときに初めて警察が大学に入るのであります。それ以外のことはございません。またレツド・パージといつて、いろいろな人を深し出して追放しろというのではなく、大学の自由と独立を守ろうという、消極的な一つのやむを得ない私の義務だと思つております。  それから教育ということについては、教育愛というものを主とすべきものだということは、私も同感でざいます。

岩本信行自由党副議長

○副議長(岩本信行君) 田島ひで君。     〔田島ひで君登壇〕

田島ひで日本共産党

○田島ひで君 私は、日本共産党の代表として総理大臣に質問いたすものであります。  第一にお聞きする点は、国連協力の名で行われている日本の戰争参加についてであります。日本は国民が知らない間に—————————————————。日本の婦人は、この重大な事態に直面して、最大の犠牲を負わされるに至つておるのであります。政府は、国連協力ということで、学童や、声年会、婦人会、部落会などを通じて、アメリカ兵に血の供出、慰問品、協力費の寄付を半ば強制的に行つておるのであります。ところが、日本の戰争犠牲者はどのような状態に置かれておるかと申しますと、傷痍軍人は、一箇月わずか二百大十六円の恩給より與えられておりません。生きるためには、この寒空に街頭に立ちまして、道行く人々の風情にすがることを余儀なくされております。この街頭募金すらも最近は禁ずるという圧迫に出ております。理由は何かというと、白衣で街頭に立たれると、戰争につれて行かれるような人たちが反戰的な気持になるからたというのであります。新しい戰争犠牲者をつくり出すためには、日本の傷痍軍人は目ざわりだというのであります。(拍手)一体吉田総理は、アメリカの軍人と日本人とどちらが大事だとお考えになるのでありますか。(拍手)  そればかりではございません。すでに朝鮮の職場にかり出されました日本の労働者や船員の遺骨が、横浜に帰つて来ておるのであります。また昨年十一月二十八日、横浜港から行く先も告げないで送り出された新港丸の労働者二名は、門司港に碇泊中、タバコを買いに外出しただけで、ガードに射殺されてしまつたのであります。(拍手)このような新しい未亡人や、親のない子供たちが、すなわち新しい戰争の犠牲者が現われているのであります。  一体これらの日本の労働者は、何がゆえに殺されればならないのか。家族の者は、この悲しみや憤りをだれに訴えたらいいのか。母親は子供たちに、愛する父親の死を何と説き聞かせたちいいのか。占領下の日本人民は、このようなな非人道的な暴虐さをだれに抗議し、何によつて基本的人権を守り得るのか。総理は、この責任の所在を明らかにする義務があります。政府は、これら戰争の直接犠牲者や遺家族に対し、いかなる具体的処置をとられているのか。また総理は、日本の占領政策とは縁もゆかりもない戰地への日本労働者の派遣を即時中止し、その他一切の戰争に協力する行為に毅然として反対する決意と勇気をお持ちになるのか。私がまずお聞きしたい点でございます。(拍手)  次にお聞きする点は、日本の再軍備についてであります。戰争中の惨禍をだれよりも身にしみて体験いたしましたのは、申すまでもなく婦人であります。戰後五年半、さんたんたる生活苦と屈辱によく耐え忍んで参りましたのも、今度こそは愛する者たちの明るい将来を築くためであり、ひたすら平和な日本再建を念願したからであります。日本の婦人だけは、どんなことがありましても、もう戰争はいやです、再軍備は絶対反対ですと、はつきり言い切れるのであります。だから、恥知らずにも再軍術強化を唱える芦田氏さえ、市軍備のためには憲法改正が望ましいが、国民投票で婦人の賛成票が得られないから、憲法改正をやらないで再軍備を押し切ろうというのであります。これこそ、婦人をだまして再軍備を企てる、いかにも反動政治家の本心てあります。私は日本婦人の名において、かかる暴言、屈辱と、軍国主義復活の陰謀に対し巌重に抗議するものであります。(拍手)  吉田総理は、表面では、一応芦田氏の再軍備論に、愼重を要すると言つて一見反対しているようでありまするが、本質的には少しも違つておりません。それは單独講和を少しでも高く売つけようという所作にすぎないのであります。現に厖大な軍事的警察的国費の支出は、国民生活の窮乏と破壊の中で強行されているのであります。現に警察予備隊という事実上の軍隊がつくられております。(拍手)私の言う再軍備とは、ひとり正規の軍隊や警察予備隊だけではございません。こういう政始の反面で、人民の生活、ことに婦人と子供の生派を悲惨な状態に陥れ、——————————これこそが再軍備の実体なのであります。(拍手)たとえば朝鮮干渉以来、特需景気の裏面には、労働婦人の労働強化、職制の圧迫、低賃金なと、まつたく—————となり、かつての女工哀史の再現となつております。これこそがソーシヤル・ダンピングの基礎であり、東條時代の軍国主義、侵略主義の基礎であることは、歴史の示す通りであります。(拍手)  子供をかかえた未亡人の生活の悲惨なことは申すまでもございません。内職のかせぎでもやつて行けない主婦たちが職安に仕事を求めていますが、こうした働く婦人の仕事の要求に対し、政府は何を與えているか。こん棒とピストルの暴力だけではございませんか。(拍手)生きる道を失つた婦人はやみの女として、子供は浮浪兒として街頭にあふれております。特に窮迫した農村では子供の身売りが盛んになり、山形県では、かんぴよう一貫匁で子供を売つたという話さえ伝えられているのであります。(拍手)民族の宝であり希望である子供たち、日本の将来をになう子供たちが、まるで日本人としての誇りを失つているのであります。  東京の小学校で、将来の希望について調べましたところ、パンパンになりたいという女の子がありました。また横浜の小学校で、どこの国が一番よいかと尋ねましたところ、朝鮮の子供は即時に朝鮮と答えましたが、日本の子供はもじもじしていて、アメリカと答えたのであります。(拍手)これは小さな事柄ではございません。日本民族の将来にとつては、実にゆゆしき問題なのであります。(拍手)  さらに驚くことには、愛知県豊川の警察予備隊が豊橋へ行進した際のごときは、小学校から高等学校までの生徒を動員して道の両側に参列させ、日の丸の旗で歓迎させております。———     —————————————  さらに驚くことには、愛知県豊川の警察予備隊が豊橋へ行進した際のごときは、小学校から高等学校までの生徒を動員して道の両側に参列させ、日の丸の旗で歓迎させております。———手)これこそが———————、再軍備であり、しかも——————画軍備政策なのであります。(拍手)  私は断言いたします。日本婦人は、このような、民族を破滅に導く政治を、断じて無抵抗には受入れないでありましよう。(拍手)今や民族の平和と自由と独立のために、全面講和と再軍備反対の大国民運動に、婦人は青年とともに決然として立ち上つているのであります。今度こそは日本の婦人は、愛する子供を戰争のためにささげるよりは、断固平和の戰士として、全アジアの婦人、全世界の平和を愛する婦人とかたく団結し、勝利への巨歩を進むでありましよう。(拍手)やがて世界とアジアにおける平和勢力の勝利は証明されるでありましよう。(拍手)  以上、国連戰争への強力の即時停止、警察予備隊を含む再軍備反対に対する総理の所信を伺い、私の質問を終りたいと思います。(拍手)     〔国務大臣吉田茂君登壇〕

吉田茂自由党内閣総理大臣・外務大臣

○国務大臣(吉田茂君) お答え申し上げます。ただいまのお話は、事実を曲げた共産主義の宣伝と考えますから、まじめにお答えはしません。(拍手)

岩本信行自由党副議長

○副議長(岩本信行君) 中村寅太君。     〔中村寅太君登壇〕

中村寅太農民協同党

○中村寅太君 私は、農民協同党を代表し、政府の施政方針に対して二、三御質問を試みんとするものであります。  わが国民は、五箇年有余、占領治下にあつて、課せられたその責務を忠実に果しつつ民主国家建設に努めて参つておるのであります。いよいよ本年こそ八千万国民待望の講和の年であり、独立国としての栄誉を與えられるのではないかと考えられるに至りましたことは、真に同慶にたえないところであります。講和特使ダレス氏は、来日するにあたり、わが国に対して、被占領国としてではなく、対等の相談相手として考えるということを声明しておりますが、われわれは、この感激あふれる声明に対しては、まことに国民として感謝にたえないのであります。この声明たるや、ダレス氏の日本国民に対する厚き友情より発せられたることは、もちろんであると思いますが、世界歴史の示すところによりますと、講和條約が締結せられるときは、常に戰勝国は敗戰国に対して屈辱的、懲罰的條件のもとにその独立を認め、圧則的な、無理な條約を結んで来たものでありますが、この條約の無理が、やがて次の世界の平和を撹乱する直接の導因となつてきたというこは、しばしば歴史が示すところであります。今や国際情勢は第三次世界動乱の前夜のごとき様相を呈し、この緊迫せる情勢を前にして、日本との講和を締結するにあたつては、戰勝国が敗戰国に対して押しつける講和條約ではなくして、日本をいかなる姿に置くことが世界平和維持の上に最善であるかという見地に立つて結ばれる情勢に立ち至つたものと考えられるのであります。よつてわれわれは、率直大胆に今後における日本民族の世界的役割を主張し、これが実現に努力することを必要とすると存ずるのであります。  講和條約締結にあたり、まず第一にわれわれの望むことは、国家の完全独立であります。国の独立回復ということは、国家の政治的自主権を獲得することであり、世界各国と対等の立場において堂々と、雄大なる構想のもとに、敗戰の汚名をそそぎつつ、世界平和のために民族の総力を結集することであります。民主的自由なる国家として、いかなる国際的圧力にも属せざる自主性を強化しなければなりません。  さらに具体的に申し上げれば、われわれは非民主的な暴力政治であり、彈圧暗黒政治であるところの共産主義に対しては徹底的にこれを排撃して、国民大衆の自由をあくまでも尊重し、国民諸君の責任に基く高度なる民主国家を建設しなければなりません。米国その他の好意と援助に対しましては、專心これにこたえることはもちろんでありますが、日本国の進むべき道は、国家の伝統と民族の性格を基盤として日本人みずからがこれを決し、世界平和に調和するよう万全の努力をなすべきであると存ずるのであります。講和に臨む基本的態度に対する首相の率直なる見解を承りたいと思います。  国家独立の第二の要点といたしましては、わが国経済の自立をはからなければなりません。日本経済の自主性を高めるために必要なる要件は、長年にわたつて封鎖せられて来たところの国際的貿易の復活であり、わが国の産業機構と国内資源とを基準としたところの輸出入貿易の振興が国家経済の重要課題であることは、首相や蔵相の演説の中にも明らかにしておるのであります。しかるに、この貿易の対象国といたしましては、もちろん欧米諸国に多くの期待を持つものでありますが、わが国の貿易史をひもどいてみても、あるいはまた、わが国の置かれておるところの地理的環境から見ましても、極東諸国との交易は最も重要なる要素をなして来ておるのであります。当面せる国際的情勢の逼迫は、極東諸国との経済的提携を困難ならしめ、ひいては、わが国の経済的自立をを遅延せしめ、さらに致命的な打撃すらこうむらしめるおそれがあると考えられるのでありますが、政府はこの点に関しいかなる用意と方策を有せられるや、大蔵大臣の構想を承りたいのであります。  次に、再軍備論について一言首相の所信をただしたいのでありますが、占領治下にある八千万の日本民族には、再軍備を要求するところの権利もなければ、これを要請した者は一人もなかつたのであります。なおまた戰勝国民の心情も、われわれが推測いたしましてみるときに、でき得るならば日本を再軍備するということは避けたいというのであろうと思います。しかしながら、めまぐるしく変貌せる世界情勢下におきまして、平和世界を持続して行くためには、第一、西ヨーロツパの安定とアジアの安定が絶対不可欠の要点であります。この意味において、アジアが安定するためには、何をおいてもアジアにおける共産侵略を防止し得るところの安定線を画することが絶対必要であります。ここにおいて日本に自衛力を持たせ、この防衛線たらしめようというのが、世界の輿論となつているところの、いわゆる日本再軍備論であると思うのであります。その目的たるや、ただ世界の平和維持に必要という以外、何らの他意なきものと考えられるのでありまして、首相は、日本から再軍備論が起つたかのように考え、いたずらに中外の疑惑を招くことをおそれて、沈黙を守らんとするがごとき態度をとつておりますが、かえつてこの態度こそ疑惑を生むものであるとわれわれは考えるのであります。何ゆえに、再軍術論の起りたるゆえんを明らかにして中外の疑惑を解かんとしないのか。  政府が今回明らかにいたしましたるところの施政方針の中におきまして、わが国の政治的独立を確保して行くために最も関連を有する再軍備論については、ただいま申しました通り沈欺を守つておるのでありますが、これと一体不可分にあるところの安全保障のことについても、何らの見解をも明らかにしておらないのであります。かくのごとき態度は、実に遺憾なる態度と言わざるを得ません。再軍備論を否定したる吉田首相は、この波高き世界情勢のまつただ中にあるわが国の安全保障について、いかなる具体策をもつてこれに当らんとするのか。これさえも自分にまかせておけというようなワン・マンぶりを強行せんとするのであるか。あるいはまた、これについては何らの見解も持たず、まず向うの出方を待たんとするという態度であるか。かくのごとき態度こそ、国民の期待を裏切るもはなはだしいものであると存ずるのであります。  安全保障について第一に重要なることは、保障力を有することであります。しかして第二には、世界各国がその保障の形式を納得するようなものでなければなりません。かかる保障があり得るかいなかについては幾多論議はあるといたしましても、われわれが最も可能なるものと考えるものといたしましては国際連合機構があるのであります。もちろん、国連機構に一夜にして参加することは容易なことではありませんが、これが実況に向つて今後いかなる方策を講ずるかという具体的論議の展開を国民は渇望しておるのであります。なおまた、自国の危險を防止するために、わが国独自の武裝を強化して、自衝権を強く保持して行く方策も、もちろん考えられるところでありますが、吉田首相は、先般来、国会その他の機会において、国連軍の朝鮮における戰況活発有利なる折柄、わが国の安全保障は、国連に依頼することをもつて万全であるかのごとく力説したのにもかかわらず、今日国連軍の情勢変化に当面するや、国連による保障以外にも考えらるべき道があるとの言質を與えたが、その方法とは、いうところの自衛権の強化を意味するものなりや、具体的な所見を承りたいのであります。  わが国の経済政策の基本的動向は、自立経済の確保にあり、これに伴うところの農業政策の基本方針もまた、食糧の国内生産による自給態勢を確立し、さらに輸入力獲得の裏づけといたしまして、輸出農産物の増産をはかるとともに、この地産を通じて農漁村の所得を増加するというところにあります。しかるに終戰後、農業生産の実績は、農民諸君の並々ならぬ努力によつて飛躍的な成績を上げて来ているのであります。中には倍量の生産を確保せるものすらあるのでありますが、農家経済の実情はこれに反し、年一年とその窮乏の度を高め来り、最近に至りましては、まさに貧困のどん底に呻吟しているという実情であります。  農村がかかる悲惨なる窮乏状態に陥つたる原因の最大なるものは、昭和二十二年、社会党内閣成立以来、民主党内閣、さらに吉田自由党内閣と、引続き暦抱き内閣がとり来りましたるところの経済安定政策、特にインフレ抑圧を強行し、その犠牲をすべて農漁村に転嫁せしめた結果にほかならないのであります。今日の農村不況は、彼らの政治的意図により生じたる恐慌なりと断じても過言ではありません。かかる農村不況の現状は、もはや憂慮すべき段階に入り、この農村不況の直接影響による中小商工業者の没落とともに、国内政治の重大問題となつて来ておるのであります。農業に課されたる諸負担が、農業再生産を不可能ならしめるまで過大となれば、経済的基礎の陥弱なる日本農業は遂に崩壊せざるを得ないということが如実に示されて参つたのであります。政府は、この点について深くその失政を反省しなければなりません。  農業生産が増加するに従つて農家所得も増加して行くというがごとき正順なる農政の確立が増作対策の基本であると存ずるのであります。すなわち、農産物価と農業生産費とのシエーレの是正、あるいは農業再生産を可能ならしめる価格政策を緊急に実施すべきであります。一例を申し上げますならば、二十三年度のいも類の買上げに際しましては、一、二等で全部買い上げておるのに対し、二十四年度以後は三等と四等を追加して、しかも嚴重なる券さを強行し、ほとんど三等、四等をもつて買い上げたる結果、全国の農家諸君はその所得を著しく減ぜしめられたるがごとき、あるいはまた、米の買上げにおいてもその通りであります。二十三年度産米は、ほとんど一、二等を中心に買い上げられたるものが、二十四年、五年度の両年度におきましては、三等、四等を中心にして買い上げられるなど、農家所得の見地から考えまするときに、著しく不合理な買上げ方策が平然と行われておるのであります。農林大臣は、かかる不親切なる政策をもつて農村を一段と窮乏のふちに陥れておるのであるが、この実情を、はたして知つておられるかどうか。  さらに私は、廣川農相の言われる興農運動の本質について少しく検討してみたい。興農運動の裏づけであるところの予算措置を一、二指摘してみましても、農村振興費においては前年度より七億七千万円の増額となつております。農業改良助長費においては二億四千万円、土地改良費にありましてはわずかに七千万円という微々たる増額をもつて、はたして何をなさんとしておるのであるか、その真意をわれわれは疑いたくなるのであります。さらに最近における国家予算と農林予算との比率をあげてみますると、国民食糧確保が極度に要請せられました昭和二十一年度におきましては、国家総経費に対する農林経費の割合は一〇%であるのに対し、昭和二十五年度にありましては、三%であります。興農予算と誇張せられる二十六年度予算にありては、わずかに四%にすぎない。この少額の予算で、政府は興農運動により食糧の自給態勢を強化すると言つておるが、かかる貧弱きわまる予算の裏づけで、農村より何を求めんとしておるのであるか。  かかる貧困なる農政によつて生じたる農村の経済的逼迫は、遂に純朴なる農民を赤化せしむるという重大結果を招来せしめておるのであります。昭和二十四年の衆議院議員選挙の際における投票の結果を見るとわかるのであります。都市におきましては共産党への投票が相当多く、農村におきましては、共産党への投票はきはわめて少かつたのでありますが、二十五年の参議院選挙の結果によりますと、都市の共産党への投票は激減せるに反し、農村にありては驚くべき増加を示しておるということは、吉田内閣の農政が共産党を育て上げるという役割を果しておることを現実に物語るものでありまして、共産党排撃を一枚看板としておるところの吉田内閣の重大なる失政といたしまして、その責任を追究せなければならぬと考えるのであります。われわれは、首相並びに農相のこの点に関する所見と対策を承りたいと存ずるのであります。

岩本信行自由党副議長

○副議長(岩本信行君) 吉田内閣総理大臣は、ただいまやむを得ざる公務のため退席せられましたので、林国務大臣よりかわつて答弁があります。     〔国務大臣林讓治君登壇〕

林讓治自由党国務大臣

○国務大臣(林讓治君) お答えいたします。  講和に対する政府の態度につきましては、すでに吉田総理がしばしば述べておるところでありまして、われわれは世界の民主政治、世界の平和と文化に貢献する決意を持つて講和問題に処すべきものであると考えます。  なお再軍備の問題につきまして、その発生の理由を中外に明らかにしたらどうであろうか、こういうお話でありますけれども、政府といたしましては、かかる問題を云々することは、むしろ今日差控えるべきものと考えておるわけであります。  次に安全保障の問題でありますが、この問題を具体的に論議せられることは、まことにけつこうであると存じます。しかしながら、その安全保障がすなわち再武裝と考えるお説につきましては、いささか私どもは同意をいたしかねるわけであります。さよう御了承お願いいたします。     〔国務大臣池田勇人君登壇〕

池田勇人自由党大蔵大臣

○国務大臣(池田勇人君) 貿易の問題で御質問ございましたが、中共との貿易は、全体の輸出入価額から申しますと一割にも達していないのであります。各国との貿易が振興することは望むところでありますが、中共貿易が絶えたからといつて、日本の経済自立に非常な支障があるとは考えておりません。     〔国務大臣廣川弘禪君登壇〕

廣川弘禪自由党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(廣川弘禪君) 食糧の自給度を確立することが重大である、また輸出農産物の増加もはかつてどしどし輸出をしなければならぬ、それには非常に予算が少いじやないかというお話でありますが、これは去年よりは多いのでありまして、先ほど申し上げた通り、予算をごらんになればわかるのであります。  また、わが党内閣が農村に対してどうも冷淡じやないかというお話でありますが、農村のいろいろな方面に、今度ほど真劍に手を入れている内閣は、今までの内閣にはないのであります。  また農産物価のことでありますが、これもたびたび申している通り、農産物価の安定をはかるのに、この内閣くらい熱意を持つてやつているものはないのであります。  それからまた、わが党のやつておりまする興農運動を強力に展開いたして参りますると、必ず共産党は農村から拂拭することができると信じます。(拍手)

岩本信行自由党副議長

○副議長(岩本信行君) 黒田寿男君。     〔黒田寿男君登壇〕

黒田寿男労働者農民党

○黒田寿男君 私は、労働者農民党の立場から、主として総理に対し質問したいと思うのでありますが、総理はダレス特使に会見をなさいますために退場されましたので、はなはだ残念に思いますけれども、私に対する御答弁は、速記をごらんになりましたあとで、最も早い適当な機会に、この議場において総理より直接に御答弁を願いたいと思うのであります。  私の質問は大きく三つにわけることができるのでありますが第一は、対日講和七原則に関連する質問であります。これをこまかくわけますと、次のようになる。  第一は、カイロ宣言、ポツダム宣言等、わが国が降伏文書で受諾した宣言の内容中、講和会議と関係ある部分は講和條約に引継がれるれるものとわれわれは考えておるが、総理はどうお考えになるか。  第二は、米国が対日講和條約の七原則として各国に提案しておるものは、領土帰属問題、日本の安全保障の方法としての、講和條約締結後の外国軍隊の駐屯の問題等の重要問題におきまして、ポツダム宣言の内容と異なる方法と原則とを示しておると思いますが、首相はこれをどう理解されるでありましようか。(拍手)  第三は、ポツダム宣言と七原則との間に抵触する部分があるときは、われわれはいずれに従うべきであるか。ポツダム宣言の定めたその内容に従うべきである。これが私どもは国際的信義にかなうものと思うが、政府はどうお考えになるか。  第四、七原則中の安全保障に関する部分、すなわち講和條約締結後の外国軍隊の駐屯は、軍事同盟ないし地域的集団保障條約の締結あるいは軍事基地の設定條約となり、かつ再軍備を示唆しておりまして、憲法の基本原則と抵触すると思うが、どうお考えになるか。  第五、首相は憲法改正の意思なしと言明しておるが、前項の原則を受諾すれば、條約締結の方法をとつて実質上憲法の改正を行うことになつて、はなはだ不都合であります。(「その通り」)憲法改正の意思なしという以上、前項の原則を受諾すべきではないと思うが、どうであるか。  第六、憲法の内容と抵触する條約が締結せられたとき、その効力いかん。政府の解釈を、もうこの辺でひとつ明らかにしてもらいたいと思うのであります。  昨年十月二十六日、ダレス米国国務長官顧問が、ソ連のマリク国連安全保障理事会代表に対しまして、対日講和條約問題に関する米国政府の覚書なるものを手交したのであります。これがいわゆる米国提案の対日請和七原則といわれておるのでありまして、これに対しまして、十一月二十日ソ連代表より六項目の質問を提出し、続いて十二月八日、米国政府から、この六項目の質問に対する回答の意味を持つた新しい覚書がソ連代表に手交されましたことは、新聞の報道によつてわれわれの熟知しておるところであります。今回ダレス特使が来朝し、二十七日の朝、マツカーサー元帥と第一回、正式会談を行い、対日講和條約問題の検討を始めましたが、使節団のスポークスマンの発表によりますと、二十七日、記者会見で、双方の意見はあらゆる点で完全に近く一致を見た、この日の会談は講和の基本問題についてのみ意見を交換、米国提案の対日講和七原則が論議の中心点であつた、二十九日の吉田首相との会談でも、ダレス氏からこの七原則について首相の意見を求める、こういう旨を明らかにしておるのであります。これらのことによりまして知られるところは、米国政府提案の七原則なるものが、対日講和の基本原則として、講和の下交渉における論議の中心になつておるということであります。そこで、われわれといたしまても、この七原則なるものに最大の関心を集中せざるを得ない。  ところが、その原則を検討してみますと、われわれ日本人といたしましては見のがすことのできない幾多の重要な問題が含まれていることを発見するのであります。ます第一に指摘いたしたいと思いまするのは、この七原則の中には、わが国が降伏文書において受諾したポツダム宣言、及びこの宣言の中に吸收せられておりますカイロ宣言の條項、及び極東委員会によつて採択せられました降伏後の対日基本政策の内容と矛盾し抵触するところがあるということであります。(拍手)私は、時間の都合上一、二の例だけをあげてみたいと思います。  たとえば領土問題につきまして、台湾だけの例をとつてみましても、カイロ宣言によれば、台湾のごとき、日本国が中国人より盗取した地域は中華民国をして回復せしめるということになつておりまして、われわれは、台湾の帰属問題につきましては、カイロ宣言の條項がそのまま講和條約の中に受継がれるものと今日まで考えさせられて来たのであります。(「その通り」拍手)しかるに七原則によると、日本は、台湾については澎湖島、南樺太及び千島列島等とともに英、ソ、華、米四箇国の将来の決定を承認する、講和條約発効後一年以内にこの問題について何ら決定がない場合は国連総会が決定する、こういうことになつておりまして、われわれが従来考えさせられていたところと、はなはだ異なつておるのであります。これは私は事実の問題を述べたのであります。  次に、いま一つだけ例をあげてみたい。七原則は、日本の安全保障の問題につきまして、国連が実際的責任をとるというような満足すべき他の安全保障上のとりきめができるまでは、日本領域の国際的平和と安全保障を維持するため、日本と米国及び他の国々との間の責任分担を継続する。こういう方針が明らかにされておるのであります。これは講和條約後引続き外国の軍隊が日本に駐屯することを意味するものでありまして、ポツダム宣言第十二項に、講和條約締結後は「聯合国ノ占領軍ハ直ニ日本国ヨリ撤收セラルベシ」と定めてあるのと著しく異なるのであります。(拍手)  以上、私は一、二の例を申し上げたにすぎないのでありますが、これだけを見ましても、特定問題に関する米国案の七原則には、カイロ宣言、ポツダム宣言等の内容を変更したところがあり、しかもそれは、日本にとつて重大関係のある特定問題についてであります。(拍手)従来、われわれ日本人の考えによりますれば、ポツダム宣言は、戰敗国日本がこれを遵守すべき最高の外交的文書と理解されておりました。(拍手)日本民主化のよりどころはここにある。新憲法の基本原則もこの宣言に淵源しておる。(拍手)平和主義日本の将来の希望も、実にこれにかけられていたのであります。(拍手)そうして、ポツダム宣言の條項が講和條約の申に引継がれることを期待しておりこそいたしますれ、これと抵触するような、講和條約が締結せられるようなどとは毫も予期していなかつたのであります。  しかるに、今講和の基本問題に関して七原則が提案せられ、米国はこれをソ連にも示し、これに関して米国とソ連との間に質問応答の形で意見が交換せられたことは前に申し述べた通りでありまして、今回、ダレス特使は、来朝早々、この原則を中心としてマツカーサー元帥と意見の交換を行い、かつその意見が一致したと、一昨日特使団から公式に発表せられたことも、さきに述べた通りであります。そうして、これが吉田首相に対しましても、きようこの七原則が示され、首相の意見が徴せられ、今その第一回の会見が、実にまさに行われようとしておるのであります。  そこで、対日講和会議は、もはや将来の問題ではないのであります。條約締結の日こそ不特定の将来にゆだねられておりますけれども、実質的には、今回のダレス特使の来朝によりまして、特に吉田首相とのきようの初会見によりまして、いよいよ下交渉の段階に入つたと見るべきであります。講和会議の下交渉は、すでに始まつておるのである。現在は、すでにそのような時期に到達しておるのであります。そうして、その下交渉の最初の段階において、わが国は重大な問題にぶつかつた。それが先ほど私が指摘した問題であります。  そこで私は総理にお尋ねいたしたいのであります。米国政府提案の七原則の中にはポツダム宣言の内容と異なる原則が示されておると思うが、首相はどう理解されるか。ポツダム宣言と七原則との間に抵触する部分がありますとき、われわれは、いずれに従うたらよろしいのであるか。私は、宣言が発表せられましてから、日本が降伏文書でこれを受諾したまでの経緯にかんがみまして、ポツダム宣言の定めるところに従うのが、日本といたしまして国際信義に従うゆえんであると考えておりますが、首相はどう考えるか。  次に、七原則中わが国の安全保障の方法として示しておるものの内容は、前述のごとく講和後の外国軍隊の駐屯を認めるもので、これは占領下の日本に占領軍が駐屯しておるものとは異なつておりまして、條約ないし協定によつて、特定国との軍事同盟あるいは地域的集団保障態勢に入ること、あるいは軍事基地設定契約を認めること、また同時に日本の再軍備をも示唆しておると私は考えるのでありまして、これが憲法の基本原則と両立しないことは言うまでもないと私は思う。(拍手)そこで吉相の所見を私が承りたいと思いますことは、首相はかねがね憲法改正の意思なしと言明せられておるのでありますが、七原則中に示された安全保障方法を受話することになりますれば、ここに憲法の基本主義と抵触する條約が締結せられることになるのでありまして、憲法と抵触する條約が締結せられましたとき、その効力いかんという問題が起り、なお條約優先説をとりますれば、憲法改正の方法をとらなくとも、條約締結という方法をもつて実質上憲法改正と同様の結果を発生することができるということになるのであります。そこで、首相が憲法改正の意思なしとの態度を維持せられる限り、七原則による安全保障方法を受諾することは、首相の従来の態度と矛盾するものであると私は考えます。この安全保障方法は受諾せられぬものと私は考えるが、首相はどうでありましようか。(拍手)  なおこの際いま一度、私は憲法と抵触する條約が締結せられた場合の効力問題について政府の解釈を聞いておきたいと思う。私は、この問題につきましては、第九国会の予算委員会において質問したのでありますけれども、政府はまだ現実性がないという理由で答弁を避けられたのであります。しかし、今や七原則に対する意見を求められておりまして、この問題は最も現実の問題となつたのでありますから、今ここで政府は、この解釈を明瞭にさるべきであると私は考える。(拍手)  私の考えた、ちよつと研究したところを申しますと、憲法第九十八條には  「その條規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。」と書いてありまして、問題は、その中に條約という言葉が入つていないのであります。かえつて第二項には、締結せられた條約はこれを誠実に遵守することを必要とすると定めてあるところから、憲法の條規に反する條約でも、それが国会の承認を経て成立したあかつきには、これを誠実に遵守する必要があることになり、憲法は、その條約と抵触する部分におきまして実質上改正せられたと同様な結果になると解釈ができぬこともないようにも思われるのであります。しかしながら、憲法の改正には、條約承認の場合よりも特に愼露な手続、すなわち国民投票というような手続を必要とされておるのでありまして、こういう点にかんがみますると、このような手続を要しない條約締結承認の方法によつて実質上の憲法改正を結果するがごとき行為をあえてすることは、国民の意思を無視することになりまして、はなはだ非民主的であり、不都合であるともまた考えられるのであります。  そこで政府は、一体どうお考えになるか、この際ぜひともその解釈を明らかにされたいと思うのであります。七原則が提案され、それに対する意見の発表を求められておりますときに、この問題について政府の見解を知つておかないと、われわれ国民は安心ができないのであります。問題は多少法律論の性質を帶びて来ますから、もしこの点においては、首相が不適当ではないとお考えになりますならば、大橋法務総裁でもよろしいから、政府の所見を明らかにしていただきたいと思う。もういつまでも触れないでおくわけには行かないと私は思う。  次は再軍備問題に関する質問でありましてこの質問につきましては、一昨日いろいろ議論がありましたので、私は重複を全然避けたいと思います。そこで私は、残された問題として今日問題としてみたいと思いますことは、第一は、憲法によりまして保有を禁ぜられておりますものは、陸軍、海軍、空軍その他一切の戰力ということになつておりますが、その戰力とは何であるか、政府はどういうふうに戰力というものを解釈しておるか、これが一つ。それからさらに警察予備隊の拡充、その装備の強化をはかることは、私どもの目から見ると戰力を保有することになり、憲法違反となると思うが、どうであるか、こういう点であります。われわれは、わが国の再軍備に反対いたしまして、わが国の安全保障は米、英、ソ連五大国の強調を建前とする国連に期待すべきであると考えております。首相は、再軍備につきましては愼重な態度をもつて臨む、ということを繰返して強調しておられますから、この問題につきまして、私はここで繰返すことは避けたいと思います。今日私が問題にしたいと思いますことは、今も申しましたように、戰力とは何ぞやということであります。憲法が廃止した軍備は、單に陸軍、海軍、空軍だけでなく、その他のすべての戰力であります。そして戰力とは、私どもが平生考えさせられておつたところによりますと、武器彈薬の製造工業等のごとき顯在的なものばかりではなく、一たび戰争が勃発した際に、ただちに戰争に用いることのできるような潜在的戰力をも含む、こういうふうに私どもは解釈しておつたのであります。  この見地から問題になりますのは警察予備隊であると思う。政府は再軍備はしないと言いながら、警察予備隊の拡充と、その裝備の強化をはかつておることは否定しがたいところであります。單なる警察力というだけならば、もちろん戰力にはならぬと私は思う。けれども、一定の程度を越えれば戰力に該当するものとして憲法に保有を禁ぜられたようなものに転化すると私は思うのであります。軍隊は持てないからという理由で警察予備隊の拡充強化をはかり、ことにその武裝の強化をはかり、これを安全保障の目的のために用うる意図があれば、それは明らかに、警察力といたしましては一定の程度を超えたぢのになり、明らかに戰力に該当するものとなると私は思うのであります。(拍手)警察予備隊の現状及び政府の意図する将来の計画から見て、警察予備隊は憲法でその保有を禁ぜられております戰力に該当し、政府は憲法違反をあえてしておると私は思うが、政府はどう思われるか。この際念のために大橋法務総裁から、あわせて警察予備隊の裝備の実情を明らかにしていただきたいと思うのであります。  私は、以上の質問を、憲法の基本原理である平和主義、戰争放棄主義を守るという立場から試みたのであります。そして、今日この立場から質問を試みながら政府に警告を発し、かつ政府施策の憲法違反と考えられる点を指摘したのでありますが、これは、われわれが待望しております対日講和会議が、どこでいよいよ具体的な交渉の過程に入ろうとするその最初の段階におきまして、国際情勢の必要からという理由で再軍備論が台頭し、憲法の崇高な理想を曲げようとする根拠ともされようとしておるからであります。そこで私は、引続いて国際情勢の認識、分析。見通しというような点に関連して質問を進め、その過程におきまして、私どもの主張する全面講和論に触れてみたいと思うのであります。  第一は、国際情勢は憲法の崇高な理想を曲げてまでわが国の再軍備を急がなければならないほど切迫しておるものであるかどうか、こういう問題であります。これにつきまして、総理は、朝鮮問題は近い将来に第三次大戰には発展しないという見通しを述べられております。私も、理由につきましては別といたしまして、この点については総理と見解を同じくいたしまして、同様な見通しを持つておりますから、これ以上は、この点には触れたくないと思います。  次に、現在の国際情勢の分析と見通しに関連して重要な問題であるのは、やはり中共の承認問題に対する見通しであります。政府は、この問題につきましてどういう見通し——意見ではありません、どういう見通しを、客観的に見て持つておられるか、このことを私は聞いてみたいと思う。この見通しいかんがわが国の講和問題と重要な関連を持つから、あえて私はこれを質問しようとしておるのであります。従来わが国の政治家の中には、外国からの侵略を、呼ぶ者は少くありませんけれども、中共承認問題についての見通しを述べておる者は非常に少いのであります。これはまた非常にむずかしい問題でもある。政府は、この問題をどう見通しておるか。  私は、時間に制限がありますから、詳しくこの理由を述べることは別の機会に渡りたいと思いますけれども、結論だけを先に申しますと、私は、中共は近い将来に承認されざるを得ない、また国連への加入も実現せざるを得ない情勢にあると見ております。第三次世界大戰が起らず、中共承認が実況するという情勢分析に立ちますときに、ここに單に全面講和の必要性だけでなく、その可能性の根拠が與えられる、いな、その必然性が根拠づけられると私は思うのであります。單独講和では、国際政治のもとでの日本の歩みは非常に困難になる、あるいは單独講和では日本の経済の自立が不可能である、單独講和では中共との貿易が阻害せられるというような主張は、だから全面講和を必要とするという、全面講和の必要性の根拠であります。しかしながら、必要性だけでは十分ではない。やはり可能性、いな必然性がこれに結びついて初めて私は全面講和論が全きを得るのであると思つておるのであります。そうして私どもは、以上のごとき国際情勢分析の上に立ちまして、全面講和論の可能性、必然性を認めておるものであります。  総理大臣は、第三次世界大戰についての見通しは述べられておりましたけれども、いま一つわれわれが、よかれあしかれ、どうしてもこれについて何らかの見方を持たなければならないところの中共の承認の問題につきまして、これをのがしておいては、われわれ国際情勢の分析を正しく完全にやつたとは言えないのであります。その見通しと、世界大戰への発展いかんの見通しとを合せて初めて私は情勢分析が完全性を得ると考えるのであります。今わが国輿論は、全面講和か單独講和かの岐路に立たされておるます。このときにおきまして、首相は、この点に関する見通しを明らかにする責任があると思うのでありまして、私はあえて首相に質問したいと思うのであります。  最後に私は、單独講和論説と再軍備論の根拠をつかみ出して、その正体を明らかにいたしまして、われわれの全面講和、平和主義の根拠をこれに対置させまして、私自身の見解を述べてみたいと思うのであります。簡單率直に申しますと、再軍備論の奥底にひそんでおりますものは、日本が外国から侵略を受けるかもしれぬということに対する恐怖心であると私に思う。  わが国は、まことにかわればかわつたものであります。かつてわが国は、その軍国主義の勢力を先頭に立てまして、その背後にあつてこれと結合した帝国主義侵略政策によりまして、全アジア民族に対する恐怖の的となつておつたのであります。(拍手)しかしその日本の帝国主義も、遂にアジア民族の内部から盛り上つて来る民族主義解放運動を抑圧することはできない、かえつて逆に、それに圧倒せられたのである。これが現状である。しかし、これと同様な、または類似した変化は、軍にアジア領域において見られるだけではありません。われわれが地図を広げて世界情勢の推移を大観いたしますとき、近東、中東、極東の全地域を通じまして同様な現象を見ることができるのであります。(拍手)アラブ諸国からインドを経て中国に及ぶ全領域は、帝国主義的植民族搾取政策のもとで長年呻吟しておりました時代に、その中で力強く発達いたしました民族主義、反帝国主義の勢力の成長によりまして、みずからの解放をかちとり、あるいはかちとらんとしつつあるのであります。(拍手)(発言する者あり)そして、もはや資本主義的帝国主義の経済力をもつてしても、また軍事力をもつてしてさえも、これを制圧することはできないという状態に今なつて来ておる。(拍手)われわれ日本人といたしまして最も大切なことは、このアジア、アラブ諸民族の「民族解放運動の世界史的意義を高く評価し、正しく認識することであります。(拍手、発言する者あり)  今や、世界歴史は大きく転換しようとしておる時期である。(拍手)これをわれわれは見のがしてはならぬ。日本は、かつて資本主義的帝国主義の侵略政策によつてアジア諸民族を抑圧し、第二次世界大戰におきましては、侵略国としての洛印を押されながら敗退したのであります。もし第二次世界大戰をもつて人類の歴史が閉じられるものとしたら、どうでありましよう。日本民族は、世界史のページの上に何ら進歩的役割を記録することなかりし民族といたしまして、人類進歩の歴史の片すみに不名誉な地位を小さく占めるよりほかない状態に置かれたのであります。辛いにして、歴史のページはまだ閉ざされてはいない。まだこれから歴史のページは続くのであります。われわれは、敗戰を天気に根本的に生れかわらなければならない。更生しなければならないのであります。もしわれわれが一齊に立ち上つて、アジア諸民族の民族解放運動に無関心の立場をとり、日本のみがアジア民族の中から仲間はずれになるというような地位に立たせられるようなことがありましたならば、こういう役割をわれわれが、になわされなければならぬようなことになりましたならば、(拍手、発言する者多し)この場合には、またもやわれわれ日本人は、人数進歩の歴史を阻止する歴史を描いたにすぎないことになり終るのであります。單独講和の行き道には、私はこの危險があると見ておる。(拍手)再軍備論の政策には、この危險があると私は考えておる。私は、このことを強く国民の前に指摘したいのである。  再軍備論者の恐怖は、日本資本主義の恐怖であります。働く日本民衆の恐怖ではない。中和を欲する働く大衆は、平和な外交方策をもつて十分にわが国の安全を確保し得ると確信しておるのであります。(拍手)もし総理が答えていただき得ますならば、私は吉田総理の口から、アジア、アラブ諸民族のこの民族運動に対する解釈と、日本がこれらの運動といかなる関係に立つべきであるかということを聞かしていただきたいと思うのであります。  私は、以上をもちまして私の質問を終らしていただきます。(拍手)

岩本信行自由党副議長

○副議長(岩本信行君) 黒田君からの希望もありますので、吉田内閣総理大臣の答弁は、後日適当の機会に願うことにいたします。     〔国務大臣大橋武夫君登壇〕

大橋武夫自由党法務総裁

○国務大臣(大橋武夫君) 憲法の規定と矛盾する条約の効力についての御質問でありましたが、黒田君は、これは現実の問題であるから、ぜひ答えろと言われますが、政府といたしましては、現実の問題とは考えておりません。  次に予備隊といたしましての裝備について御質問がありましたが、現在においては、カービン銃並びに若干の軽機関銃を備えておるわけであります。  次に戰力についての御質問でございまするが、近代的な戰争を遂行するに足りる軍事力を私どもは戰力と、かように考えております。これはもともと相対的な概念でありまして、絶対的に論定することは困難であると申さなければなりません。それが客観的に見まして現代戰争における戰力に当るかどかということは、現益の国際社会の通念から判断をする、かように解釈をいたしております。(拍手)

岩本信行自由党副議長

○副議長(岩本信行君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。      ————◇—————

岩本信行自由党副議長

○副議長(岩本信行君) お諮りいたします。内閣から、土地調整委員会の委員長に我妻榮君を、委員に井手成三君、佐野憲次君、津田廣君、諸橋襄君を任命するため本院の同意を得たいとの申出がありました。右申出の通り同意を與えるに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

岩本信行自由党副議長

○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて同意を與えるに決定しました。(拍手)  明三十日は定刻より本会議を開きます。本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十九分散会

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