文部委員会 第5号
- 発言数
- 11 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1951/03/02
会議録
○長野委員長 これより会議を開きます。 職業教育に関する件を議題といたします。本件は国政調査の承認を得た事件であります。本件に関連して、産業教育法案(仮称)の起草のため、種々委員各位の御意見を承るために、お手元に配付いたしました草稿とも称すべきものを、委員長において便宜作成いたしてみたのであります。まずその大要について私から御説明申し上げます。 産業教育法の立案につきましてその趣旨、目的、及び内容等につきまして、その概略を申し上げ、皆さんの十分なる御検討をまつて、より完璧なものといたしました上、これが成立のため、ぜひとも御協力をお願いいたしたいと存じます。 今日実施されております新しい教育制度は、これが立案の当時は、その当時の国際情勢や、社会風潮、あるいはアメリカ教育使節団の勧告等に基いて、文化国家建設の国家百年の大計の根本法ともいうべき大きな理想を持つて、莫大な国費の負担を覚悟の上で、実施に移したのであります。しかるに、実施後日浅いにかかわらず、早くもこの教育制度の欠陷が、いろいろな方面に露呈されて参りましたが、制度よりも、その教育内容について、あらためて根本的な研究をしなければならないではないかと思われるのでありまして、さしあたつて速急に対策を講じなければ、必ずや百年の悔いを残すべき重大な事態が生じておるのであります。と申しますのは、勤労や技術方面の教育というものが、非常に閑却されておりまして、職業教育が著しく萎靡沈滯してしまつておるのであります。もしこれを等閑に付するならば、目下経済自立の急を告ぐる際、わが国産業発展上の強力なブレーキとなりまして、国力進展に蹉跌を来すことが、明瞭になつて来たのであります。なるほど今日生産業は、非常に順調な回復を見ておりますが、これは戰前の技術者、すなわち壯年層の復活によるものであつて、次の時代の産業界の中堅者たるべき青少年層は、とうとうとして不生産的な方面に走りつつあつて、その事実が明確に現われて参りました。すなわちここに生産途上の大断層が露呈されておるのでありまして、この断層帶は三層からなつているのであります。その第一層は、中学校卒業後、ただちに社会に出る青少年層であります。中学校卒業者の六〇ないし七〇%を占める百二、三十万の青少年は、年々この割合で押し出されておりまして、すでに現在二十歳以下に属する者が五百万ないし六百万に及んでおります。これらは中学校の義務教育を終えただけで、何らの技術も勤労的訓練も施されずに社会に氾濫し、労働基準法にははばまれて職場にもつけず、徒衣徒食、思想的にも空白に近い状態で右往左往、この層が今日の社会惡の温床となつているのであります。なおこのほかに、高等学校普通科を出たまま社会に出る者を加えますると、年約五十万、総計二、三百万もこれに準ずるものがあります。戰前においては、職業補習学校、青年学校、徒弟学校等の対象となつておつたのでありますが、今日では全然放任せられておるのであります。 第二の層は、高等学校生徒層であります。中学校卒業生中の約三五%前後、年々六十万前後を占めておる青年層であります。この層の動きを検討いたしますと、三二%前後が職業課程で、その他の大多数が普通課程でありまして、その職業課程生徒は、農・商・水産は毎年定員に満たず、最近は工業課程が学校によつて定員に達するところがある程度であります。戰前に比して、入学者は大体一割の減少を示し、志望者は激減しておるのであります。従つてその素質はどうかと思われますと同時に、学力は戰前の半分くらい以下となつております。さらにその職業課程中、生産部門の生徒は一〇%程度でありますから、中学校卒業生から見ると、百名中七、八名の割合となります。このうち生産を主とする農・工・水産方面が激減しております。この産業中堅陣たるべき幹部級青年が格段に減少し、かつ学力が前の半ば以下となつていることに、特に注意を要します。 第三は、大学の学生の傾向であります。これも農・工・理等の実学方面は、旧制大学に比して新制大学の方が減少を示しておりまして、大体全体の二割となつております。その他は文・経・法等を占めております。中学卒業生から見ますと、わずかに百名中三名が、大学の生産科学部門に入学しておる割合となります。 以上、きわめて大ざつぱな説明でありますが、今日の青年が、生産的職業に対して、かくのごとき状態となつておりますことは、まつたく心細い次第であります。これを要するに、新制度を通じまして、その結果から見ますると、人格教養課程を高めたのはよろしいのでありますが、逆に職業課程蔑視の傾向を助長していると言い得るのであります。しかし、この問題は、学制制度の根本内容に触れる大きな問題がありますので、今後おいおい検討しなければならぬことと思います。 当面の問題といたしまして、対策上考えなければなりませんことは、第一に、施設設備のはなはだしい貧困であります。技術や勤労の教育は、何といつても設備施設がなくては、空手空拳で手の下しようがないことはわかりきつたことでありますが、機械は戰時中に供出せられ、戰災にあい、破損し、しかもその後補充の道がない。かりにあつても、明治時代の博物館的遺物が多いのであります。実にひどいもので、実例をあけるまでもないのであります。 第二に、教員の不足であります。技術の優秀な者は職場に行きまするし、逆に職場から迎えようとしますると、資格の点で教員免許法にはばまれまするし、俸給は低く、ようやく老教員ががんばつているにすぎません。生徒の学力低下もむべきなるかなであります。 第三は、教科書の不足であります。職業課程は種類が多く、しかも数が限られ、編修と発行が採算がとれないために、刊行不能なものが多くなつておりまして、ようやくガリ版で間に合せるといつたぐあいであります。一部の教科書編修に七、八十万円もかかりまするが、その使用部数が二、三百冊というものもある状態でありますから、自然発行が困難になるわけであります。 第四は、実業教育費国庫補助金の消滅であります。明治二十三年から開始せられ、一時中絶しましたが、明治四十年以来継続されたこの補助金は、四十三年間に及びましたが、昨年度からまつたく消滅してゼロとなつたのであります。 第五に、第一にあげました施設、設備が貧弱になりました上に、ようやく辛うじて実習いたしましても、これによつて收益がありますると、これが設立者すなわち県あるいは地方公共団体等の收入として納入せられますから、学生、生徒の汗の結晶も、生徒としてはつまらないという気持になりまして実験、実習に対する熱意を失うとともに、事業経営收益についての実習が不可能であります。この実益、採算に関する実習は、教育上にきわめて大事な問題であります。この不合理は立法的には特別会計法等に触れまして、容易に解決しがたいのでありますが、設立者において考慮すべきことであります。この收益をできるだけ実験、実習費や、生徒の厚生費に充てたならば、好結果を得ると思われます。 以上ごく概要にとどまりますので、資料等を参考に御研究を願います。 次に、目的について申し上げます。かかる趣旨と実情とに基きまして、この法案を立案いたしましたが、そのねらう中心点はどこにあるかと申しますと、目的の第一は、中学卒業後、ただちに社会に出る青少年に対する対策であります。高等学校職業課程——これには別科というようなものを設けまして、ここで青年を専門的な産業上の技術を中心とした短期の教育を施しますと同時に、一方中学校にもこの種のものを設置いたしまして、両者いずれでも、その地域その他の事情によつて受け得られるようにするのであります。制度的にはいろいろ問題もありますが、実質的に両者を活用し得るようにいたします。具体的には審議会や行政当局で研究、実施をするのであります。 第二のねらいは、高等学校の職業課程の充実振興をはかることにあります。 以上の重点に付随する問題として大学における職業教員養成施設の充実、教員の素質の改善、待遇、資格上の措置、教科書に関する特別措置、学校団体の行う收益事業の保護等について規定いたしまして、これが実施のための機関として、中央、地方に産業教育審議会を設けまして、その教育内容あるいは方法に関する立案計画を立てることにいたしております。なお細部につきましては、御質問を願いまして、御説明いたしたいと存じます。 次に、横田專門員をして、細部の説明をさせます。
○横田專門員 ただいま委員長から御説明がございましたような趣旨と目的と、それから内容を勘案いたしまして、御委嘱によりまして一応ここに試案的なものをつくつてみたのでございますが、最初にその全体からの概要と申しますか、特色を二、三申し上げてみますと、地方公共団体に、財政的に特に義務づけをしていないということが、この法案全体の一つの特色でございます。それから産業教育を学校教育、社会教育の両方の面から取上げてみたことでございます。学校教育では盲聾唖学校、養護学校の中等部から、上は一般大学まで入れまして、それが公立並びに私立の学校をも含めてあることでございます。そして学校の産業教育の特殊性というものにかんがみまして、学校の特殊性をよりよく取上げて、さらに発展させたいと思いまして、産業教育をさらに助長するために、その特別な措置を講ずるようなことをも考えまして、ただいまの御説明にもありましたが、教員の待遇、それから教科書の検定制度に対する考慮というようなことも考えたのでございます。特に産業教育の中でも実験、実習というものを重く見まして、実験、実習に対する措置といたしましては、従来実験、実習に関して、いろいろそれに伴つて收益が生じたのでございますが、その收益の使途というものは、さらに次の産業教育の充実のために使う方法にしたいというような措置も議じてございます。 それからただいまの御説明にもございましたが、数百万人に及ぶ中学校卒業後の空白状態にある人たちに特に重点を置きまして、そのために別科の制度ないしは短期の教育の制度というものを設けてございます。別科制度は、高等学校に学校教育法で認められておりますが、この法案で考えましたのは、中学にもその制度を取入れて、成人学級ないしは社会学級というような形で、中学卒業後の空白状態に置かれている大多数の青少年を教育して行こうと構想したのでございます。それにもう一つは、高等学校が設置されてある場所が、非常に点々として、地域的に遠いところにあります。ところが中学は、各村々に公立のものがございまして、地域的に遠いために、高等学校に学び得ないものも多いのであつたのですが、中学に別科の課程を設けますと、そういう人たちにも、地域的な不便なんかを緩和して、勉学の道につかせることができるということを考慮に入れた結果でございます。 以上がこの法案の全般的に見ましたおもな特色でございますが、お手元にお配りいたしました法案について、さらに多少こまかく逐條的にながめて参りたいと思います。 まず第二條にございます定義のところでございますが、ここでは「中学校」「高等学校」「大学」というふうに入れてありまして、「中学校」と「高等学校」の中には「盲学校」「ろう学校」「養護学校」というものも含めてございます。そして中学卒業後、農・工・商・水産の産業に従事し、また従事しようとする青少年の特別教育ということを考えますと同時に、その他の一般公衆のためにも産業教育を施そうという意味で、この定義の中にそういう意味を述べておるのでございます。 それから第三條の第一号に「産業教育の振興に関する総合計画を樹立すること」という、これも、従来大学審議会とか、いろいろ学校行政に関する統合的な機関がございますが、産業教育だけば、特殊性のあるものといたしまして、この総合計画というのは、海外を対象とした貿易のものも考える。たとえば、生糸とかいつたものが、日本の国にとつて特に重要な産業であるときには、そういつた方面の産業というものは、同時に国内でも多調を合せて、一つの振興の道をはからなければならないということで、それをただちに教育に活用して行つて、その方面の技術者、專門家を養成して行こうというようなことで、国全体のすべての産業活動、経済活動をにらみ合せた上の教育計画を総合的に考えるということが、一つのねらいでございます。特にこういう総合計画を中央審議会で調査審議するようにいたしてあるのでございます。これは教育は地方分権ということが最近原則でございますから、地方審議会も設けますが、たまたま地方分権が地方分散になり過ぎるという傾向もありがちなのでありまして、やはり中央で一つの総合計画を立てて、国全体の方向というものを指し示すことが必要だと思いまして、この第三條の第一号にこういうことを入れたのでございます。 それから同じく第三條の四号にございますのは、そういつた重要な産業教育に携わる教員の養成ということも考えなければなりませんので、これは主として大学において行われるように考えたものでございます。 それから第五号で、産業教育は、学校のみならず、実際産業に従事し、活動している産業界との協力ということが、何としても実践上必要でもありますし、社会の経済的な実態をつかむことがただちに教育の道もあるし、ということを考えまして、産業界との協力ということもここに述べてございます。 それから第四條に参りまして、国と地方公共団体に対して、学校が行う産業教育に関する実験実習によつて生ずる收益というものについて、一つの措置を講じたのでございます。これは各県によつて事情は異なるでございましようけれども、多くの場合、特に工業高等学校とか、農業高等学校あたりで行う実験実習には收益が伴います。優秀な学校ほど莫大な收益を得ておるのでございます。ある工業高等学校は、年に数百万円の收益をあげております。それが従来、県の收入として一応県にみな納入されておる、そうしてそのほんの一部分を学校に還えしてもらつておつた。そのために実験実習の向上ということがはばまれておりましたので、学生生徒が実験実習のために得た收入は、その道のために、願わくは全額投じたいというような気持をもちまして、この四條を特にここに取入れたのでございます。 それから第五條は、産業教育の教員は、非常にすぐれた技術、技能を持つておりましても、最近制定されました教育職員免許法に該当しない、教員資格を持たないという人が非常に多いのであります。そういうことのために、大した技術を持たない人が、形の上の資格を持つただけで教員になつておるという場合があちこちに見受けられまして、そのために産業教育が実践と相伴なつた教育として、なかなかうまく行かない場合が多いのであります。そこで教育職員免許法には合わなくても、特殊な必要な技能を持つておる人を、何とか教育面に起用したいという考えのもとにこれを入れたのでございます。それからもう一つは、待遇の問題からも、よい技術を持つておる人は、会社に入りますと相当の待遇を受けますが、学校ではとうていそれに及ばないということで、結局よい技術者が外に逃げてしまうということもございますので、そういうことも考えたのでございます。 第六條の教科書についての問題は、産業教育というものが、各地域的な特殊性によつて、その土地々々によつて、行う産業教育の趣、内容が大分異なつておる場合もございます。従つてそれに使う教科書がまちまちで、各学校によつて使う教科書が違つておるために、発行部数が少い。それに制約されて業者、発行者は、そういう教科書をあまり好んで発行しないのでありまして、そのために教科書に非常に不便を来し、あるところでは謄写版で教科をつくつておるというところもかなり多いのでございます。こういう点から考えましても、教科書の発行に関する臨時措置法が従来ございますが、そのわくのほかに、何とか特別な措置を講じたいというつもりで、ここに設けたのでございます。 それから第二章の中央産業教育審議会のところで、第七條に「中央産業教育審議会を置く」とございますが、これは実はあらためて置くのでございませんで、従来から職業教育審議会というのが文部省にございますが、それをこの法案の内容、趣旨に沿つた審議会にするということでございまして、この法律によつて新しく審議会ができるのでないということを、御了承おきいただきたいと思うのでございます。と申しますのは、こういう審議会は永久的なものでなくて、一時的なものにしなければいけないという御意見などもあちこちで承るのでございまして、そういう際に、特にこの法案ができるとともに新しくできるのでないので、従来から文部省にあるものだということを御承知おきいただきたいと思うのであります。 それから飛びまして第十四條の第四項でございます。都道府県にも、地方産業教育審議会というものを設けるのでございますが、この第十四條の四項で「都道府県の教育委員会は、前項の委員の任命に当つては、あらかじめ知事と協議しなければならない」というふうに、地方審議会の場合に「知事」があちこちにこの法案の文章の中に出て参りますが、この場合「知事」をなぜ入れたかと申しますと、私立学校をこの法案の対象として入れておりますので、私立学校は知事の所管に属するものでございます。公立は教育委員会でございますが、私立は知事ということで、私立、公立ともに一括してやつて行く機関といたしまして、教育委員会單独でなしに、やはり知事もここに入れるという考えのもとに、「知事」という文字を使つたのでございます。 次に第十五條の第二項に「地方審議会は、前項に規定する権限を行使するに当つては、国で定める産業教育に関する総合計画に準拠するとともに、当該都道府県の実情に即するように努めなければならない」というふうにございますのは、最初の第三條の第一号に書きました総合計画と、ここで国の総合計画と地方の総合計画とをマツチさせて行こう、分散にならずに、国の歩みの方向に合せて行こうという一つの構想のもとに、ここに入れたのでございます。 それから第十八條に移りまして、この十八條は補助の規定でございます。ここでは公立の学校に対しては二分の一、私立の学校に対しては四分の一というふうに、補助の大体の程度をきめたのでございます。その第十八條の四号でございますが、この四号は、先ほど申し上げました大学においての産業教育の教員養成というようなことを、ここに意味を含めておるわけでございます。 それから第二十條でございますが、これが先ほど申しました別科の課程でございまして、中学と高等学校の両方に、短期の教育課程を設けたい、こういうことでございます。 ただいま申し上げただけが、この法案の大要でございます。今後ともいろいろと御指示をいただきまして、さらに研究を進めて行きたいと存じます。
○長野委員長 この際、今までの経過を一応申し上げて御参考に供したいと存じます。 産業教育法につきましては、世間の輿論であるとともに、われわれ委員会の中でも、ぜひともこれが立案と制定に努力をいたしたいという声が強かつたのでありまして、一応私の方で大体の構想を描きまして、そうしてこれを任意各位にお諮り申し上げましたるところ、大体皆様も御了承を得まして、いろいろ御支援をいただいたことでありました。かくして大よその構想が具体的になりまするや、GHQ方面に正規の一応の了解を得るために、特に笹森委員を煩わしまして御同道いたしまして、了解を得ましたが、しごく賛成を得ました。そうしてここにさらに進んで、各種の仕事をしたのであります。 まず第一に與党である自由党といたしましては、政調会にかけまして、そうして本法案のまことに緊急なるものであることを認めまして、すみやかにこれが制定をすべしということになりました。次いで総務会においても、同様可決をせられまするし、さらに国会対策委員会にかけましたが、同様皆さんの非常な賛成のもとに可決いたしました。そうして一方参議院の方につきましては、参議院自由党の方で、あらかじめ愼重に研究を願つておきましたるところ、これまた私どもの説明に満足の意を表せられまして、予算獲得等の問題については、極力支援することを表明せられたのであります。次いで法案の性質上、予算裏づけの必要がありますので、大蔵大臣に面会をいたしまして、この大要を説明して賛意を求めましたるところ、大臣とせられましては、種々の立場から、学制全般にわたつて重要な関係のある本制度の実現の急務なことを、むしろ力説せられまして、なお幾多の意見が述べられましたが、まあともかく自分も考慮をいたしておくからというので、大体の了承を得たのであります。続いて主計局長に相談をしましたが、同局長も二十六年度における準備の予算及び二十七年度からの正規の予算の大体の額に対しましては、ともかく具体的なことはあとのこととして、本法案の提案については了承をしたということを、言明せられたのであります。 なお、あとに残つておりますのは、地財委方面の関係でございまするが、申すまでもなく、国庫から施設の半額を補助する建前になつておりまするし、地方としては、これは任意でございますから、地方が財政上の理由をもとにしてこれに反対しよう道理もないと思うのであります。しかしながら、これに対しましては、なお今後において大体この法案の見通しを見つつ並行して了承を得たいと考えております。 さらにまたGHQ関係におきましては、最後の快諾を得ているわけではありませんが、これはいずれ明日あたりから漸次に内部の細密なる問題を検討していただきまして、当方もまたこれに十分な説明を加えまして、その上で最後の了解を得ることに努めたいと考えておるのであります。従いまして現在としてはいまだ提案するに完璧を得ておりませんので、これはいずれただいま申し上げましたGHQ関係が完了するとともに、初めて正規の提案をいたすことにし、その間は、かりに適当の措置をとりまして、皆様とともに愼重研究を続け、やがてGHQ関係の完了ととも、皆さんと正規の検討に進みたいものであると考えておるのであります。大体以上のような経過でございます。
○圓谷委員 この法案はただいまの委員長の経過報告、それから最初の御説明でわかりましたが、試案であるというお話があつたのですが、議員提出でやるということに大体方針がきまつているのですか。
○長野委員長 そうです。
○圓谷委員 そこで議員提出とするならば、社会党その他野党の方々と一緒に提案されるのですか、また自由党の方で出されるのですか、その辺のところをお諮り願いたいと思います。非常にこれはよい法案ですから、提案の形式をどういうふうにするか、これが一番の問題だと思います。議員提出とするならば、党派を超越して一致して出されるか、また自由党の方の案として出されるのですか、その辺を伺いたい。
○長野委員長 実はこれからそれについてのお諮りをしたいと思つておつたのであります。 この際お諮りいたします。本法案は、法案の性質が国家の将来にきわめて重要なる意義を持つものでございまするから、委員長といたしましては、各派共同の提案——但しこれにつきましては、多少の制限はあると思いまするが、各派共同の提案を原則とするということ、そうしまして、この際産業教育に関する法律案起草の小委員会を設置いたしたいと思いまするが、御異議ございませんでしようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○長野委員長 御異議なしと認めまして、小委員会を設置することにいたします。 次に、小委員及び小委員長を選任いたします。先例により、私から指名するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○長野委員長 御異議ないようでありますので、私から小委員を指名いたします。 岡延右エ門君 小西 英雄君 佐藤 重遠君 圓谷 光衞君 若林 義孝君 小林 信一君 笹森 順造君 松本 七郎君 浦口 鉄男君 長野 長廣君以上十名を指名いたします。 小委員長には佐藤重遠君を指名いたします。
○松本(七)委員 この趣旨には非常に賛成で、委員長以下專門員の方々が、この案をつくるまでにこぎつけられたことに非常に感謝するのですが、非常に重要な法律になろうとしておりますし、相当な予算を伴うことになりますので、これを完全なものに実現して行くためには、相当今後苦労があろうと思います。これを実施する場合に、大体どのくらいの費用がかかるというような点について御研究なさつたかどうか、もし具体的にわかりましたら、それをちよつとあらかじめ知らせていただきたいと思います。
○長野委員長 お答えいたします。さしあたりわれわれの実現せんとする産業教育の最低限度というか、その程度においては、まず五年ないし十年の間に二百億円を要するものである。しかしてこの五年ないし十年の年次計画において実現をいたしたいと存じでおります。なお私としては、今後わが国の経済の復興、産業の建設が順調に行くものとするならば、かくのごとき数字は意外に早く実現をいたしまして、さらにその時代々々の先駆となつて、つまり産業界の第一線となつて、設備において、研究において、生徒の教育訓練において、実現するに必要なる経費は、より以上のものが相当認められて、実施せられるのではないかという見通しを持つておるものであります。責任あることでありますから、その使途は私申し上げかねますけれども、責任ある財政当局の中でも、わが国の産業経済の振興と相なつて、その根本基底ともいうべきこの種予算は、二百億をもつてしても、なおこれ微弱なものであるという意見を述べられておる筋もあります。これはことさらここで述べるほどでもないことでありますけれども、私のごとき直接財政に関係を持たない者が、いたずらに数字を並べるのもいかがかと思つて、御参考までに申し添えておく次第であります。大体さような状態でございます。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時九分散会