内閣委員会 第20号
- 発言数
- 30 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1951/06/02
会議録
○青木(正)委員長代理 これより会議を開きます。本日は委員長所用のため、理事の私が委員長の職務を行います。 本日は戦傷病者等対策審議会設置法案を議題といたします。提案者より提案理由の説明を求めます。参議院議員千田正君。
○千田参議院議員 ただいま議題となりました戦傷病者等対策審議会設置法案の提案理由の御説明を申し上げます。 今年三月ごろから、戦傷病者並びにその遺家族等いわゆる戦争犠牲者に対しまする国家補償の問題に関しましては、参議院の在外同胞引揚特別委員会並びに厚生委員会におきまして熱心に討議して参りまして、その立法化がすみやかに行われ、一日も早く成案を得たいと思いまして、委員の皆様方にも絶大の御協力をお願いして参つたところでありますが、諸般の事情がこれを許さず、今国会中には遂に成案を得られない見通しが確実となりましたので、これにかえてこれらの問題につきまして調査審議し、諸般の準備をいたしまする機関を設けてさらにその実現を促進することができまするようにここに戦傷病者等対策審議会設置法案を提案する次第でございます。 本法案によりまする審議会の機能について申し上げますと、第一に、戦争に基因して負傷し、または疾病にかかつた者及び終戦後国外に抑留されている間に負傷し、または疾病にかかつた者、第二に、戦争または国外抑留に基因して死亡した者の遺族、第三に、終戦後国外に抑留されている者の留守家族等に対する適当な国家の補償について調査審議し、その結果を実現するようにいたしてあるのでございます。また、審議会は、政府におきましてこれらの問題を企画立案しようとするときは、事前に必ずその意見を求められるようになつておりまして、この分野におきまする審議会の活動の万全を期し得るようにいたしてございます。 右が本法案の提案の理由及び審議会の要旨でありますが、この戦傷病者等戦争の犠牲者に対する対策法案その他につきましては、もちろん衆議院の皆様がただいま懸命に御検討中のこととは私どもも拝察するのでありますが、しかし私どもも、ここまでの成案を得るまでには非常な紆余曲折がありまして、あるいは皆様の御満足の行くような成案ではないとは十分考えられるのでありますけれども、今の遺族あるいは傷痍軍人その他の犠牲者より、何とかしてこの国の施策をすみやかにやつていただきたいという要望の切なるものがありますので、次の国会の開かれるまでこれをそのままにしておかずに、参議院といたしましては、本日全会一致をもつてこの法案の通過を決定したわけでございます。衆議院の皆様方もこの点を十分御了解くださいまして、何とぞ御賛同くださるようお願い申し上げます。
○青木(正)委員長代理 これについて提案理由の説明を終りました。この際政府委員より本案に対する意見を求めます。
○菅野政府委員 ただいま議題となりました戦傷病者等対策審議会設置法案に対しまして、政府の意見を申し上げたいと思います。 戦傷病者あるいは遺家族の方々の処遇につきましては、政府もつとにその改善の実現に向つて調査研究をいたしておるところでありまして、今般国会がこの対策の調査審議のために、特別に審議会を設置せられる法律案を御提案になられましたことにつきましては、深く敬意を表する次第でございます。政府ももとよりこれらの人々の処遇の改善について、今後努力をせられる御趣旨に対して反対をするものではないのでございまして、これからお許しを得まして私の述べます政府の所見も、決してこれらの人たちに対する処遇の改善を遅らせるという意味ではなくて、むしろなるべく円滑に、すみやかにその実現ができるようにと考えまして、ここに所見を述べるのでございます。その点あらかじめ御了承願いたいと存じます。 まずこの案について忌憚なく意見を申し上げることを許されますならば、第一点としては、現在司令部から出ている指令についてでございます。御承知のように、この戦傷病者あるいは遺家族等の処遇については、特にこれらの人たちに特別の待遇、取扱いをしてはならない、一般の国民と同様の取扱いをするようにという指令が現在出ております。この点については、この指令は現在なお生きている次第でございます。従いまして政府は、この案の御計画を伺いましたときに、あるいはこの案自体がその指令に抵触するのではないかということを懸念いたしたのでございますが、その点については、この法律案が関係方面の了承を得たことによつて解消されたのでありまして、政府の考えはまつたくの杞憂であつたことは明らかでございます。しかしながらこの指令が現在ございます間においては、その調査審議した結果を実現するように、内閣総理大臣及び関係各大臣に勧告する任務と権限を持つというふうに第二條できめてございますが、この実現するように勧告をいただきましても、この指令がある限りにおいては、何ともいたし方がないのでございまして、この点は直接この指令に違反するというわけではございませんが、まずその指令の改変という方面に向うべきではあるまいか、かように考える次第でございます。 第二の点については、国際情勢あるいは海外の諸外国に与える影響でございますが、御承知のように、いわゆる日本の講和会議後の再軍備について、これとこの問題とをしいて関連いたさせまして、日本が再軍備をする場合においては、まずもつて過去の戦争によつていろいろ犠牲を受けた人たちの処遇を改善することによつて、再軍備を円滑に実行するのであろうというふうな、まことに当らざる疑惑を招きやすいのでございまして、この点不当に各国の疑惑を招くおそれはないかということを懸念する次第でございます。 さような意味合いにおいて、結論としては、政府はでき得るならば、現状においては政府が各部面に驚いて相当真剣にこの問題に取組んで調査、研究しておりますし、また国会方面においても皆さん方の方で非常に御熱心に研究、調査をしておられるのでありまして、この間の連絡はもちろん緊密に保つ必要がございますが、実質的な意味においての調査、研究でもつて満足していただきまして、現在の指令の改変ができたとき、あるいは講和会議ができたときに、初めて名実ともに、形式上も実質上も両方にわたつて本格的な調査審議、あるいはただちに実行という方面に持つて行つた方が、以上私が述べましたような理由から、最もすみやかにまた効果的に、これらの方々の処遇を改善するゆえんになるのではなかろうか、かように考える次第でございます。 しかしながら以上述べましたことは、この案に対する政府の所見を御審議の御参考に申し上げた次第でございまして、もちろんこの案が国会を通過いたしまして法律案になりましたときは、この法律の趣旨を十分実現するために熱意をもつて実行することは、申すまでもないことでございます。
○青木(正)委員長代理 質疑の通告があります。これを許します。松本善壽君。
○松本(善)委員 提案者にただしたいことがあります。議題に相なつております戦傷病者等対策審議会設置法の要旨は、第一として、戦争に基因して負傷し、又は疾病にかかつた者及び終戦後国外に抑留されている間に負傷し、又は疾病にかかつた者、第二点としては戦争または国外抑留に基因して死亡した者の遺族、第三点として、終戦後国外に抑留されている者の留守家族等、かような点におけるところの国家の補償について調査審議しようというのであります。そしてその結果を内閣総理大臣に対し勧告する、かようなことは私たち国民として、いわゆる人類として広い人類愛相互の間に立つてなすべきである。終戦以来米国においては抑留者を日本にすぐ返してやる、しかしながらソ連関係の抑留者は今もつてまだ帰つていないというように、その事実としては違つた二つの流れを私たちは見るのであります。現実の前にかような案が出たということはまことに当然であるけれども、この問題を取上げます前に、もしも許されるならば、ソ連関係の抑留者はどうかして早く返したい。ソ連に対するところのものを、われわれとしては緊急事である問題として取上げて今日まで来ておつたと思うのでありますが、ソ連関係の引揚者はなかなかさようなりくつ通りには行かない。終戦後五箇年を数える今日においても、なおそういう問題は解決しない。しかしながら現在われわれが日常生活の間において、前に申した三点にこうべを振り返つて見るときに、電車の中、汽車の中においてはまことに痛切な叫びを見る、かようなことは放置しておくべきではないと私どもは痛切に感じていることでありますけれども、われわれ日本人としてポツダム政令を履行することが、すなわち国際信用を高めるゆえんでもあり、またこの審議会が生れようとしているその精神にもとるものではないと私は考える。従つてポツダム政令をよく履行し得る国民であるならば、必ずや世界の各国はわれわれをしてかような法案はなくとも当然考えるという裏書きをしてくれるのではないか、私どもはかく信じてやまないものであります。しかしながら提案者の御努力によつて、かような審議会の設置法案がわれわれの手元に届いたということは、まことにわれわれとしても感謝にたえない次第でございます。従つて私たちといたしましても、この法案には反対ではない、賛成ではあります。しかしながらちよつと聞きただしたいこともありますがゆえに、一言申したいのであります。大体この趣旨については賛成であるということは一応申し上げたのでありますが、この法案の審議に携わります際に、第三條において、会長は総理大臣をもつて充て、副会長は厚生大臣をもつて充てる。委員は、左の各号に掲げる者をもつて充てる。まず第一に大蔵大臣であり、文部大臣である。あるいは衆議院議員とか参議院議員とか、学識経験者とか、かような順序になつております。この法案を私どもの手元に受取つたのは本日でありますけれども、文部大臣をこの第二に入れておる。私は前述したような諸種の事情から行きますならば、外務大臣もこの項の一号に入れておいた方がむしろよかつたのではないか、かような考えも一応は持つものであります。まず外務大臣をこの中から除外しておるというようなことをちよつと懸念するのでありますが、最初にその点をただしたいと思います。
○千田参議院議員 松本さんの御質問まことにごもつともでございます。実はこの案を検討いたしますときに、さつきも自由党の方から仰せがありましたが、政府当局としてもできるだけ行政整理をする現在、審議会というようなものを置くのはどうかという点もわれわれは考えたのであります。しかしながら、この法案にある通りに実施するためには容易ではないということがはつきりわかつて参りまして、覚書あるいはスキャップインその他に抵触する点が相当ありますので、これはどうしても政府と国民の一体となつた強力な審議会を持つて、できるだけこうした鉄則を緩和して行きたい、こういう理想のもとに各人が非常に熱心に検討を加えられたのであります。それでできることならば、今までの審議会のようではなく、真剣に国の総力をあげてこの問題を解決するような審議会を置きたい、こういう御決意が各委員の間に沸き上りまして、会長が内閣総理大臣であるのに、内閣総理大臣に勧告するというのは矛盾したようでありますが、過去の法律にもこういう法案がありますので、内閣総理大臣が会長になられて、厚生大臣が副会長になられる。さて外務大臣という点におきましては、ただいま吉田総理大臣が外務大臣も兼任されておられますので、総理大臣が会長であられれば、外務大臣としての立場からの御意思も十分通るではないだろうか。そして私どもから考えまするのに、おそらく吉田内閣が講和会議を終えるまでは、内閣総理大臣は外務大臣を兼任するものと思いますので、その点を御了承願いたいと思う次第であります。
○松本(善)委員 大体了承するものであります。しかしその第二といたしまして文部大臣をお加えになつた理由をちよつと聞きたいと思います。
○千田参議院議員 文部大臣を加えました理由は、まことにちよつと見当違いではないかというような御質問をときどき受けることがありますが、御承知の通り、この間県から私の方へ回答を得ましたところを集計いたしますと、ただいまのところ、戦争による遺児の十八歳未満の子供が八十五万人おります。せめてこの人たちの六・三・三の教育だけは国庫負担でやつて行きたい。そのためには、どうしてもこの戦争犠牲者の子弟の教育に、文部大臣が特に意を用いて行かなければならないというところから、文部大臣をこの際特にこの委員にお願いするような方法をとつたわけでございます。
○松本(善)委員 もう一つ伺いたいのであります。事務職員についてでありますが、本案を見ますると「審議会の事務を整理させるため、事務主幹及び所要の事務職員を置く。」かようにうたつておるのでありますが、事務職員につきましては、どのような御趣旨であられるか。
○千田参議院議員 この内部の構成につきましては、最初はこの審議会は次官の方々にお願いしようという話もあつたのでありますが、厚生委員会と私どもの委員会の諸君の熱心なる討議の結果、やはり重大な問題であるから、大臣の方々が委員になられて、そうして実際の仕事をやられる方々に幹事になつていただきたい。たとえば局長のような方々は幹事になつていただき、そうしてこの問題について真剣に審査、調査あるいはいろいろな折衝をやつていただきたいという意向のもとにできたのであります。その事務職員も実は厚生省、あるいは厚生省の中における援護庁、あるいは内閣における恩給局、あるいは外務省の中におけるそうした引揚げの問題を担当する局長級の方々に特にこの事務に携わつていただいて、強力に審議会の目的を達成したいというのが趣旨でございます。
○松本(善)委員 最後にこの法案の生れた根本的なるところの流れをただしたいと思います。もちろん前述いたしました理由によりまして、私どもも一応了承するものでありますが、今や講和も目睫にある今日におきまして、この問題を取上げるということは、もちろん時宜を得たものであろう、かように考えるにやぶさかなものではありません。しかしながら国際間の感情というものは、はたしてこういうような法案が出た場合に、どういう考え方をするかということも、あちらさんの考えることであるからして、そこまで懸念する必要はないということはもちろん言い得るかもわかりませんけれども、われわれといたしましては、単独講和はもちろんこれは現実の問題からやむを得ずして取上げなければならないことであると私は考えます。従いまして今後の問題として取上げられまするならば、より多くの国と講和をしなければならないというのが、われわれの最終的な目的であり、最後にはいわゆる全面講和をしなければならぬということが、偽らざるところの国民の叫びではないかと思います。かような見地に立つてこの設置法案をながめまする場合においては、ややその時期がどうかとも私ども判断に迷うのでございまして、かような点に立つていかなる考えがおありになるか、私承りたいのであります。
○千田参議院議員 松本さんの御質問はごもつともでありまして、重大なことと考えましたので、この法案の提案を見る前に、現政府の立場として、岡崎官房長官に法案の趣旨を申し上げまして、政府の所信をただしたわけであります。それは先ほどから申し上げた通りでありますが、ただ一点ここに残念だと思う点がありましたので、それを特にわれわれはこの成案を得るまでに強調したのであります。もちろんメモランダム二百六十号における恩給停止の問題、あるいはスキャップイン七百七十五号におけるいわゆる無差別平等の鉄則のもとに、過去の戦争に従事した君たちに対する特別の法律もできなければ施策もできないような状態になつております。しかもそういう人たちがどういう待遇に置かれており、どれだけの数があるかという調査さえも十分にできておらない。ことに重大な社会上の問題あるいは道義上の問題から申しますると、現在刑務所につながれておる囚人は、先般法務府をして調査させ、その回答を得たところによりますと、囚人にかかる一箇年の国の費用は、一人当り四万一千八十円四十銭である。法律を犯し、社会に害毒を流して、犯罪を犯した者に対して、なおかつ国はこうした人たちの生命をまかなわなければならない。そのために国の費用が四万一千八十円何がしかかつておる。一方誤れる戦争とはいいながら、傷ついて倒れた者に対する最高の国家の補償は、この五月一日以前におきましては、盲目の者、全身活動不能の者に対して一年わずかに三千二百円、われわれは道義的な立場に立つても、同胞愛の立場に立つても、こうした貧しい政治に対しては憤激を覚えざるを得ないのであります。もちろんこれはだれが悪いわけでもない。われわれ国民はともに敗戦の痛苦を浴びながら、どうかして再生日本の姿をはつきり確立し、世界から不道徳な国民としてののしられることからのがれて、真劍に平和を愛好する文化日本を自立して行きたいという念願は、おそらく皆さんも同じだと思います。しかるにこういう片手落ちの方法が行われることは、われわれ国民の代表としてまことに遺憾千万なことと存ずるのでありまして、再軍備とか再防衞とかいう問題は別といたしまして、私どもはあくまでも平和国家、文化国家として各国家にははずかしくないところの国内態勢を整えて、道義日本の姿を表現したいというのが、われわれの偽らざる真劍な要望でありますので、その点十分御了解願いたいと思う次第であります。
○松本(善)委員 まだ質疑がありますが、次会に讓りたいと思います。
○青木(正)委員長代理 この際お諮りいたします。議員高橋等君より委員外発言の申出があります。これを許したいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○青木(正)委員長代理 御異議なければこれを許します。高橋等君。
○高橋等君 お忙しいところを、委員外として発言をお許しいただいて感謝いたします。一、二提案者にお伺い申し上げたいことがあります。 まずこの法案の名称でございます。戦傷病者等となつておりますが、なぜ遺族を表面にお出しにならなかつたか。戦歿者の数は大体二百万前後と推定され、遺族は相当多数全国におります。また傷痍者の方は、大体現在入院者が七千八百、受給者が五万弱であります。もちろん戦傷病者については重大に考えねばなりませんが、遺族の問題は非常にわれわれとしては関心を持つておるわけであります。この対策審議会に遺族という名前がないということだけでも、相当のシヨツクを与えるのではないかと考えますが、なぜ遺族を陰に隱されたか、その点をまずお伺いしたい。
○青木(正)委員長代理 ちよつと速記をやめてください。 〔速記中止〕
○青木(正)委員長代理 速記を始めてください。
○高橋等君 こまかい問題は、みなとよく相談して、私も調べてお伺いしなければならぬと思つておりますが、もう一点お伺いしたい。 遺族並びに戦傷病者あるいは留守家族の問題の解決を早めなければいかぬという点はだれも同じだと思います。またそういう意味合いでこの審議会を置こうとお考えになつたこともよく了解が行くのでございます。しかし従来こうした審議会の制度がとかく物事を上すべりしまして、実際にこの会が力を発揮して、政府をしてこれらの施策を徹底させかつ早急に実行せしめる役割をし得るかどうかという点は、遺憾ながら従来の経験から見ますと、どうも審議会というのは不適当ではないかという考えがいたします。ただいま提案者の御説明を伺つておりますと、この国会中に結論が得られなかつた。そこでこうした問題であるから、この結論を得られなかつたところを、休会になつた後もこれを急いで進めなければならないから、委員会をつくるのだというお話がございました。これもごもつともな点があると思いますが、ただ一言申し上げておきたいことは、参議院においてもそうであろうと思うのでありますが、現在衆議院におきましても衆議院厚生委員会の中に、これらの問題を取扱う小委員会を設置いたしまして、本国会の中途から始めたのでありますが、現在まですでに会を重ねること十一回に及んでおります。そうして熱心に討議を続けまして、まだ結論に達したい点も大分あるのでありますが、大体の方向をわれわれは一応見出しております。そしてまたこの休会中におきましても、各委員非常に熱心でございまして、時期を選んでもう一度練つて最後の仕上げをして、次の来年度予算に間に合うようにひとつつくり上げて、そうして法案をつくる場合においては、衆議院全議員の提案としてこれを出して、政府を督励し、また占領軍方面とも国会の立場において十分に折衝し、そうしてこれを実現したい。その場合は参議院の方面とも十分に手を組んで、相ともに携えてやろうという皆さんのお考えでありまして、この問題を推進して行く上におきましては、結局国会独自の立場で力を発揮してこれを推進するのがよろしいのか、あるいはまたこの審議会というもので行くのがよいかということを考えてみますれば、どうも私従来からのいろいろの経験から行きまして、何かぼやけるのではないかというような感じがいたします。これは実はきようこれにかかるということで、非常に独断めいたことを申し上げて恐縮でありますが、そういうような感じがいたします。決してこれを否定申し上げるのではありません。あつて害のあるものではもちろんありませんが、この問題はむずかしいのだから、あまりこうしたものでなしにやつた方がよいのではないかというような考えも持つております。こうした点についても御考慮なさつたと思いますが、もし御答弁をいただければけつこうだと思います。
○千田参議院議員 高橋さんの御質問ごもつともなことでございます。実はこの問題の審議に当ります前に、審議会ばかりでなくて、やはり衆議院の厚生委員会でお考えになつておられるように、この遺家族あるいは傷痍軍人全般に対する予算の裏づけのあるような、しつかりしたものを一日も早くつくりたい、こういうので先般以来参議院の厚生常任委員会の山下委員長及び常任委員等とも打合せをいたしまして、ことに衆議院の方におきましては、厚生委員会の方においてこの問題を担当して御研究なさつておられるというので、厚生委員会の方から特にこの問題については衆議院の方にも御了解を申し上げるようにしていただきたい。ことに与党出身議員がわれわれの方にも多数おられますので、この方々を通じ衆議院厚生委員会の方にも申し入れ、その最初の案が容易でなくなつて来たから、今度は審議会法をもつてとにかく次の国会までつないで、そうして一生懸命これに努力しなければどうにもできないという観点から、ぜひ衆議院の方と協力してこの問題を解決したい。これはもとより前からわれわれは望んでおつたところであります。しかしこの審議会法案も、わずかここ一週間やそこらの間に練りに練つて、最後の結論に到達し、十分に連絡をとるいとまもなかつたことと、もう一つは、厚生委員会の方に付託すれば、当然衆議院の委員長とも十分御相談なさる機会もあつたと思いますが、参議院の方では、初めから特別委員会がこういうことを懸命にやつておつたという御同情のもとに、この特別委員会に昨日これが付託になつたわけであります。その前は厚生委員長を通じてぜひお願いしようということでございましたが、これが手違いになつて十分な御了解を得られなかつたのはまことに残念でありますが、問題は休会中ゆるがせにすることのできないような重大な案件でありますので、特にこの問題を皆さんに御理解を願いまして、御協力を願いたいと思う次第でございます。なお厚生委員長からもお話が一応あると思いますので、私のお答えとしてはさように御了承願いたいと思います。
○山下参議院議員 ただいま高橋議員のお尋ねになりました点は、まつたく同感でございます。しかしながらこのような非常に重大な問題であり、かつまた微妙な関係のあります重要な問題を処理して参りますには、かような機関を設置いたしまして、国会内外相応じまして本問題の解決に努力をして参るということになりますと、一段と問題の促進に役立つのではないかという点誓えたのでございます。たまたまそのとき厚生委員会において話に出ましたのは、御承知の社会保障制度審議会の姿でございます。社会保障制度に関しましては、言うまでもなく国会においても十分でき得ることではございますが、かような大問題につきましては、内閣に有力なる審議機関を設けまして、国会と連絡をいたしております今日の社会保障制度審議会の活動の状況をにらみ合せてみますると、やはりこれが社会保障制度の推進の上に相当役立つておりますことは、いなみがたい事実でございまして、高橋議員の仰せは厚生委員をいたしております参議院の私どもといたしましても、まつたく同感でございまして、審議会が設置されるということになりますれば、国民諸君も一層本問題につきまして深甚なる関心を払われ、またこの審議会を通じまして、種々問題の疑点を解決し得る部面も多々あるのではないかと考えられるのでございます。衆議院の厚生委員会において、遺家族傷痍軍人等の援護に関する小委員長として高橋議員の御努力されておりますことに対しては、私どもの深く敬意を払つているところでございまして、その御活動と比べますと、私どもの努力ははるかに低いのでございまして、慚愧にたえない次第でございますが、たまたま在外同胞引揚委員会の方で熱心に御研究に相なりまして、私ども厚生委員会と緊密なる御連絡をいただきましたので、数回、委員長、理事の打合せ会議を遂げまして、この程度のことはぜひこの問題に一歩前進するという形で、しかもこれが国会で公に——かかる公の機関が設置せられるということが関係方面からも承認を得ただけでも、この問題に対する一歩前進の姿ではあるまいか、しかも幸いに御同意を賜わることを得ますならば、発案者が衆参両院のいずれでございましようと、またその付託がいずれの委員会でございましようと、さようなことはまことにさまつな問題でございまして、これらの対象者のために、まさに一縷の光明をここにまず点じたということに相なるのではないかと考えました次第でございまして、参議院の厚生常任委員会といたしましては、欣然と本案の提出に賛成をいたしまして、本日当院の方の御審議を仰ぐに至りました次第でございます。その間、ただいま提案者の千田議員が申し述べましたように、衆議院に対しまして、ことに当面の本問題の高橋議員等に対しまして、私どもの連絡の十分でありませんでした点につきましては、まつたくわれわれの手落ちでございまして、その点まことに相済まぬ次第でございますが、さような次第でありまして、参議院の方といたしましては、国会みずからでやるべき問題であることはもとよりでございますが、政府部内等におきましてかような審議会の設置を見ますことは、まことに願わしいことであると存じまして、本案を提出いたした次第でございます。
○高橋(等)政府委員 爾余のいろいろの問題につきましては、まだ相談をいたしておりませんから、後刻また機会を与えていただきたいと思います。本日はこれで私の質問を終らせていただきます。
○青木(正)委員長代理 ほかに御質問ございませんか。
○松本(善)委員 最後に一つただしたいのでありますが、もちろん内閣委員会といたしましては、審議会という制度について一応考えたいのでありますが、内閣委員会といたしましては、審議会に対する制度に関してどのようにしたらいいか。いわゆる戦傷病者等対策審議会——かような法案の中に盛られるところの御趣旨のものは、もしも敗戦という姿でなければ、当然審議会の要項として取上げらるべきところの項目であつたかもわからないとも考えるのであります。しかしながらポツダム政令に示されておるがごとくかような問題については私たちが取上げるべき性格のものではなかつたという過去の事例を取上げまして、もうすでに講和が目の前に来ておるときに、遅ればせながらかような審議会を設けるということは、むしろ前進に対して障害になるのではないか、むしろ審議会というものは、講和のために整理の段階に入らなければならないという結論を私どもは得ているのであります。従いまして御承知であられるごとく、衆議院においても、審議会に対するところの改正を行つて参つておるのであります。この意味からいたしましても、内閣委員会の立場においてまた疑義をさしはさむ者があると思いますがゆえに、質疑は今後続行されると思うのでありますが、一応その点をただしたいと思います。
○千田参議院議員 松本氏の御質問ごもつともと思います。この点につきましては、もちろん先ほど申し上げました通り、現政府におきましても、内閣委員会においても、審議会の整理というような問題について先般来御努力なさつておることは、十分われわれも承知しているのであります。この点につきまして関係筋と交渉の過程におきまして、GHQからのお答えは、まことにわれわれは日本の政府に対して遺憾の意を表せざるを得ない結論であつたのであります。というのは、国民の意向であるところの、戦残遺族あるいは傷病兵に対する諸君の言うことは十分了承する、しかしながら日本政府の腹がどういうふうにきめてあるのか、こういうのであります。そこで私どもの、しからば日本政府の腹がきまり次第で、この問題は一応前進するのでありますかという質問に対しましては、その通りである、こういうお答えを得て参つたのであります。帰りましてから、先ほど申し上げました通り、岡崎官房長官の御説明を承つたのでありますが、岡崎官房長官のお話では、自分が外務次官をやつておつたころしばしばこの問題について真剣に交渉した、しかしながら、残念ながらこのメモランダムやスキャップインの問題に対しましては、とうとう何ものも得る結果にならなかつた、それでこれは容易ではないと思つておつたために、今まで十分な折衝ができなかつたというお答えであつたのであります。それでこういう問題は、やはり政府と国民と国会との間にはつきりしたつながりを持つて、もし政府が弱かつたならば、われわれがお互いに協力してこの問題をやらなければならない。私は審議会の要不要の問題は申しません。ただこれを合理的に行うとすれば、一応の段階においては整理統合もけつこうでありましよう。しかし真剣に重点的に審議会としての本格的な使命を果す問題がここに起きたならば、これこそほんとうに審議会としてやれるだけの力を持つ審議会を持つて、政策の反映を国民の上にももたらすのが、ほんとうの審議会の使命ではないか、かように考えまして、実はこの問題も提出された理由の一つになつた次第でございます。
○松本(善)委員 もう一点お伺いいたします。私どもは講和という問題のために、諸法案並びに諸政策に対しても、ただいまから検討して参らなければならないときに相成つておると考えるものであります。従いまして、講和後においてもかような審議会があるべきであるかどうかということも、見通さなければならないと考えるのであります。しかしながらかような趣旨に盛られるところの内容から考えます場合において、これは厚生関係、いわゆる社会政策面として取上げらるべき問題であることは当然であります。従いましてこの問題は、講和後においては当然社会政策の面において必ずや織り込まれるだろうということは、もちろん想像いたすのでありまして、そのときにおいて取上げても決しておそくはないではないかという考えを私は持つておるのでありますが、その時期的なずれの問題は、もちろん見解の相違であるかもわかりません、主観の相違であるかもわかりませんけれども、少くとも私たちは、そのときにおいて決しておそくはないという考えを持つておるものでありますが、一応この点をただしたいと思います。
○千田参議院議員 ただいまの点につきまして、特にGHQにおいてこの問題にオーケーを与えた一つの理由としましては、たとい戦争に参加した者あるいはそれによつて傷ついたり、なくなつた者に対して覚書があり、スキャツプインがあつたとしても、日本政府はそれに対して、どれだけの数あるいはどれだけの資料を整えておるかという点につきましては、まことに残念ながら日本の政府はそれだけの資料を持つておらないわけであります。その証拠の一つといたしまして、私は特別委員長の名前をもつて全国の都道府県の民政部長あてに、遺族の数、未亡人の数、あるいは十八才以下の遺児の数、あるいは大十才以上の老年の一等尊属の数、あるいは傷病者の数というものを一応問いただしたのでありますが、これに対してもおおよそという概数しか得られないのであります。こういうようなことであつては講和会議を前にして、しかもおそらくただちに講和会議が結ばれたならば、日本は独自の立場でいろいろの社会政策を行うことができるでありましよう。しかしながらこういうような態勢をもつてしては、とても皆さんやわれわれが望んでおつたような所期の目的が達成されないというふうにわれわれは考えるのであります。せめて講和会議が始まるまでに、われわれ日本国内におけるところのこうした犠牲者の資料、あるいは調査だけでも、一応ほかの国から聞かれてもまどわないような立場に置かなければならない、かように考えるのであつて、もちろんそういうような資料がはつきりしたならば、ただいま衆議院の厚生委員会において御研究なされておるような、実際の法律を結んでどんどん社会対策をやつていただきたいということには喜んで協力をいたします。但し今対象になる数さえも十分でない、まことに残念なことでありますが、ここではさような立場からいつても、調査研究機関としてこの機関の設置を許すというのが、関係筋のいわゆる答えであつたのであります。従つてわれわれはこの休会の間でも熱心にこの問題ととつ組んで行つて、政府がもし足らないとすれば協力し、そして一日もすみやかに実際の法律が衆議院の厚生委員会の手なり、あるいは皆さんの全員の発議によつてでもいいから、できるような態勢を整えるための資料だけでも完備したい、これがわれわれの念願で、審議会を設置するに至つた一つの理由であります。
○松本(善)委員 私の質問は次会に譲ります。
○青木(正)委員長代理 ほかに御質疑はございませんか。━━別に御質疑ございませんければ、本日はこの程度にて散会いたします。 午後八時四分散会