懲罰委員会 第9号
- 発言数
- 38 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1951/03/26
会議録
○土倉委員長 会議を開きます。 この際お諮りいたします。理事佐々木秀世君、田渕光一君、早稻田柳右エ門君及び石井繁丸君が委員を辞任いたしましたので、理事の補欠を選任いたさねばなりませんが、これは前例によりまして委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○土倉委員長 御異議がなければ、 篠田 弘作君 鍛冶 良作君 早稲田柳右門君 猪俣 浩三君を理事に指名いたします。 —————————————
○土倉委員長 議長の宣告により一昨日本委員会に付託されました議員川上貫一君懲罰事犯の件を議題といたします。本件付託の経緯及びその理由はすでに諸君御承知の通りと存じますが、簡単でありますので、一昨日の本会議速記録の関係部分を朗読いたします。 ○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。 本件の採決をいたします。議員川上貫一考懲罰事犯の件委員長報告に賛成の諸君の起立を求めます。 ○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて議員川上貫一君の懲罰事犯の件は委員長報告の通り議決いたしました。 川上貫一君の入場を許します。 ただいまの議決に基き宣告いたします。昭和二十六年一月二十七日の議場における議員川上貫一君の発言は不穏当なものと認め、同君に対し国会法第百二十二條第二号により公開議録における陳謝を命ずべきものと議決いたしました。よつて議長は、川上貫一君に対し、委員会起草の文案を朗読し陳謝の意を表すべきことを命じます。 川上貫一君の登壇を求めます。 ○川上貫一君 一身上の弁明もさせないで、陳謝などとはもつてのほかだ。この陳謝文は議長にお返しする。 ○副議長(岩本信行君) 御静粛に願います。——御静粛に願います。 川上貫一君は院議に従いませんから、議長は川上貫一君を懲罰委員会に付することといたします。 以上の会議録に明らかな通り、川上君懲罰事犯の件付託の経緯及び理由はきわめて明らかでありますので、これ以上特に本委員会としては、議長の出席説明を求める必要も、川上君の一身上の弁明を聴取する必要もないと思われますから、これは行わずに議事を進めることにいたしたいと存じますが、御異議はありませんか。 〔「異議なし」「委員長、議事進行」と呼ぶ者あり〕
○土倉委員長 簡単でありますれば、議事進行のお許しをしたいと思いますが、簡単ですか。
○梨木委員 簡単にやります。
○土倉委員長 では梨木君。
○梨木委員 本件懲罰事犯は議長職権で懲罰委員会に付されたわけであります。ところで今委員長がお読み上げになつた速記録によつても明らかなように、川上君が一身上の弁明をしておる途中でその発言が議長によつて禁止され、(「ノーノー」)その後において懲罰委員会の委員長報告がなされたのであります。御承知のように、懲罰委員会の委員長報告は、議員川上君を懲罰に付すべしとの結論が報告されておるのであります。これは懲罰に付すべしとのいわば原告側の主張であります。本会議における懲罰問題を最も民主的に運営するには、懲罰に付されるその人の弁明を十分間かなければならないと思うのであります。そうでなければ、委員会に出ておらない議員諸君のみならず、この懲罰事犯を可決することがはたして公正であるかどうかということは——これは一般国民も非常な関心を持つておる問題であり、従つて、どうしても本会議において徴罰にかけられようとする人の弁明を聞くことが、これが最も民主的なやり方であろうと思うのであります。特に本件の場合は、演説全体が懲罰に付すべきであるということで、先般懲罰の動議が出されておることは明らかであります。演説全体が問題になつておる。従つてこの演説について、これを懲罰に付することが不当であるということは、これはあらゆる観点から論証しなければなりません。これを言わない限りは、一体懲罰にすることが正しいのかどうかといことは、これは議員諸君も判断できないし、国民大衆も判断に迷わざるを得なくなつて来る。従つて(「議事進行じやない」と呼び、その他発言する者多し)この一身上の弁明を途中でやめさしておいて、そうして多数で可決されたという形式上の問題だけをとらえて、懲罰事犯に付するというようなやり方というものは、これは民主的な国会の秩序を維持するゆえんではないと思う。こういう観点から私は、この事件を懲罰事犯としたそういう議長の議院運営、国会運営についての根本的な考え方、これを聞かなければならぬと思うのであります。(「議院運営で言え」と呼ぶ者あり)そのことが一つ。 もう一つは、一体議長は職権で懲罰に付しておるのでありますが、その懲罰に付した根拠、理由、並びに法的な根拠というものをひとつ聞かなければならない。単に院議無視という形式だけの問題ではありません。院議を無視したということは、要するに結論的には秩序を乱したということでしよう。ところがどんなふうに秩序が乱されたか。民主的な発言を禁止したことが秩序を乱したことである。私はこういう点において、もし諸君がそういうことを言うならば、かつての旧憲法時代のあの天皇制の帝国議会には、そこにはフアツシヨ的な秩序というものがあつた……。
○土倉委員長 梨木君……。梨木君……。
○梨木委員 新憲法下においては、われわれは民主的な秩序というものをつくらなければならない。こういう観点からわれわれは聞いているのでありますから、この点でまず議長の懲罰に付した理由が聞きたいということが一つ もう一つは、どうしてもわれわれは、川上君も言つておりますように、一身上の弁明を途中でやめさせておいて懲罰に付するということはけしからぬということで、これを読むことは了解ができないということになつたのでありますから、それで川上君がなぜ陳謝文を読まなかつたかということについて、本人の一身上の弁明を聞くのが最も民主的なやり方であろうと思うのであります。これは、特に再々委員長も言われている議員の一身上の問題でありますから、どうしてももつと民主的に、そうたくさん時間はとりませんから、これはひとつ度量を示しまして、ぜひとも川上君の一身上の弁明を聞くことをお願いする次第であります。
○土倉委員長 ただいま議事進行を兼ねて副議長並びに本人の一身上の弁明の要求が梨木君から提出されましたのでありますが、国会法によりまして、御本人からの申出ならば、一応委員長は議に付したいと思いますけれども、梨木君のお申出としては委員長はこれを許可いたしません。委員長の権限においてお許しはできません。
○梨木委員 議事進行で、ちよつと今の発言に関連して……。 〔「進行々々」と呼ぶ者あり〕
○土倉委員長 御異議がなければさように決します。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○土倉委員長 梨木君、本件についての御発言はございませんか。
○梨木委員 それではひとつ委員長に御質問いたします。懲罰事犯に付すべしということで委員会にかかつておるわけでありますが、その理由と法的な根拠というものがわからないのでありますから、これをひとつ説明していただきたい。
○土倉委員長 一応御説明の要求がありますから、いたします。当委員会は——本会議においてすでに付託されましたその機会において梨木君の御発言があるべきではないかと思います。本委員会は、付託されておるわけでありますから、以上御説明申し上げた通りで進行いたして一向苦しくないと心得ております。
○梨木委員 本人から一身上の弁明をいたさせます。今手続をいたしますから、そういうふうにおとりはからいを願います。
○土倉委員長 すでに宣言済みでありますから……。
○石川委員 やはり本人の弁明を聞いてしかるべきと思いますから、そのようにおとりはからい願いたいと思います。
○土倉委員長 それでは社会党の石川君からも、梨木君同様の動議の形をもつて要求され九次第でありまするから、委員会といたしましては採決をいたします。 石川君並びに梨木君の動議に賛成の方の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○土倉委員長 少数。別に発言もなければ、これより本件について懲罰を科すべきかいなか、懲罰を科するとすれば、国会法第百二十二條の規定するいずれの懲罰條項を科すべきかについてお諮りいたします。
○中川委員 去る一月二十七日に、川上君が政府の施政方針演説に対する質疑に名をかりまして、数多くの虚構にわたる言辞を、弄しましたことが、本院において懲罰委員会に付され、慎重審議の結果、本会議場において陳謝文を朗読すべきものと議決をされたのであります。しかるに、一昨日の本会議におきまして本件が上程され、院議によりまして議長が川上君に右陳謝文の朗読を命じたにかかわらず、川上君は断固これを拒絶をしたのであります。申すまでもなく、議場におきまして議長の命令が行われたいといたしますならば、何によつて議院の秩序が保持できるでありましようか。すなわち衆議院規則第二百四十五條に照しましても、「議院の秩序をみだし又は議院の品位を傷つけ、その情状が特に重い者に対しては、議院は、これを除名することができる。」ということが明記されておるのであります。本問題はすでに十分明瞭にわかつておることでありまして、すなわち、ただいま申し上げましたような院議を無視しての行動でありますので、最も極刑をもつてこれに臨まれるべきことが至当であると私は考えるのであります。 以上申し上げました理由によりまして、国会法第百二十二條の四号の規定によりまして、除名すべきものと議決されんことの動議を私は提出いたす次第であります。
○梨木委員 私は、本件は懲罰を科すべからざるものと議決すべきとの動議を提出いたします。その理由を申し上げます。 院議を無視したからということで本件は懲罰委員会に付されておるのであります。院議を無視したということ、これは結局は国会における秩序を乱したということになつて来るであろうと思うのであります。しからば新しい憲法下における国会の秩序とはどういうものでなければならないか、これがきわめて重要問題であると思うのであります。私の考えでは、旧憲法下の帝国議会当時におきましては、日本の絶対主義的天皇制政治を維持するために、その観点から帝国議会の秩序というものがあつたと思うのであります。たとえばそのころもしも天皇が国会へやつて来て、そのときに最敬礼をしなかつたというような問題が起つた場合には、あるいは秩序を乱したということになるかもしれません。しかしながら新憲法下においては、そういうことは問題にならないということは明らかであります。これとどこに違いがあるか。要するに新憲法下におきましては、新しい議会運営の秩序というものが打立てられなければならない。その基本になる、よるべき基準は何かと申しまするならば、これは申し上げるまでもなくポツダム宣言の原則によらなければならぬと思うのであります……。
○土倉委員長 梨木君にお諮りいたします。それは討論の際にお述べになりましたらいかがでしようか。
○梨木委員 提案理由の説明をしております。そこでポツダム宣言は、日本人民に対して日本の徹底的な民生化と非軍事化と平和国家切建設を要求しておるのであります。従つて国会におきましては、この基本的な原則を実現することを基本として、国会の運営がなされなければならぬ。またこれを達成するために新しい秩序というものがここからつくり出されて来るのであります。先ほども申しましたように、川上君はこの観点から、ポツダム宣言を厳正に実施する、厳守するという立場から、現在の日本におきましてはこれの違反がたくさんあるという観点から、いろいろな具体的な事実をあげて吉田総理に質問したのであります。この演説全体が、虚構だとか、捏造だとか、占領目的違反だとかいうことで、これは懲罰に付されたのであります。提案理由によりますとそうなつておつた。しかるに委員会の結論というものは、実は用語が不穏当ということにすりかえられてしまつた。こういうところにきわめて問題が多いのであります。しかしとにもかくにもこれが本会議にかかつた。そこで本会議におきましては、委員会がそういう結論になつたといたしましても、本会議では、原告側の懲罰委員長の報告と、またその相手方たる懲罰に付される人間の一身上の弁明というものが十分なされて、そして両方の言い分が国会の議場に資料として出されて、そして初めて議員のほんとうに正確な判断がなされる。同時にこの本会議における議決というものが適正であつたかどうかは、また国民の批判の対象ともなり得るのであります。ところがこの一身上の弁明も途中で禁止しておいて、そして多数で決定したからということだけの理由で、陳謝文を読まなかつたからこれは院議無視だ、秩序を乱したのだということでは、これは民主的な国会において、十分委曲を盡すべきことをみずから破壊しておきながら、読まなかつた人間を懲罰に付する、そういうようなことは、民主的な国会におけるところのあり方ではないと思うのであります。こういうことになれば、一方的に多数党が、反対党の詳論を封鎖することが当然であるというような秩序をつくることになる。これはフアツシヨ的な秩序である。従いましてこの観点から、私は絶対にこういう問題は懲罰に付すべきものでないという理由によつて、本動議を提出するものであります。
○石川委員 動議を提出いたします。議員川上貫一君懲罰事犯の件は、国会法第百二十二條第三号の規定により七日間の登院停止を命ずべきものと議決すべきものとして、この動議を提出いたします。 理由を簡単に申し上げます。国会における議員の言論は、原則として自由でなければなりません。もとより議員の良識によるところの一つの範囲は逸脱してはなりませんけれども、原則としてわれわれは国会における議員の言論の自由を守らなければなりません。また川上君に対して弁明を徹底的にせしめなかつたという点を考慮いたしまして、私は自由党の諸君の提案する除名に対して強く反対し、これを国会法第百二十二條第三号により、登院停止、しかも七日間で足りると思いますから、この動議を提出いたします。
○土倉委員長 それでは梨木作次郎君の、本件は懲罰を科すべからざるものと議決すべしとの動議、石川金次郎君の、本件は懲罰事犯として国会法第百二十二條第三号の規定により七日間の登院停止を命ずべきものと議決すべしとの動議、中川俊思君の、本件は懲罰事犯として国会法第百二十二條第四号の規定により除名すべきものと議決すべしとの動議、以上三つの動議を一括議題といたして討論に付します。討論は通告順によつてこれを許します。梨木作次郎君。
○梨木委員 自由党の中川君から除名の動議が出されております。社会党の石川君から七日間の登院停止の動議が出されております。私はこのいずれもの動議に反対し、わが党から提出いたしております本件は懲罰すべからざるものとの動議に賛成するものであります。 その理由は今まで大体説明いたしたのでありますが、今問題になつておるのは、院議を無視したから懲罰にする、こういうことになつて来ておるのであります。しかしながらこの根本というのは、一月二十七日の川上君のあの吉田総理に対して行つた演説、これが問題なんであります。このことからまずこれに対して懲罰すべしという動議が出され、これに対して陳謝しなければならないというところへ持つて来て、そうしてさらにこれを陳謝しなかつたということで、今度除名に持つて来ようということになつて来ておるのでありますが、これは最初から一貫した自由党並びにこれに同調する諸君の考えであつて、川上君のあの演説によつて、こういう演説をするものはけしからんということで、これを国会から追放しようとする陰謀が最初からたくまれておつたということが、きわめて重要なんであります。というのは、まず彼らは一月二十七日の川上君の演説のときに、われわれも議場で見ておりましたが、政府の国務大臣が、先走つて懲罰だ懲罰だと議長のところへ行つた。こういうようなところから、この演説をまず最初に取上げて除名しようとした。ところが演説の内容の全体が懲罰に該当する、またこれを理由に除名にしたければならないというようなことに一挙に持つて行くことが、これは内外輿論の反撃に合いましてできなくなつた。そこでまず最初に陳謝文を読ませて、どうせこれは読まないであろうから、読まなかつたら、そのときこそ院議無視で除名をしよう、こういう筋書きであつた。 そもそもそも川上君の演説というものは、これは日本共産党を代表し、確実な資料と不動の決意とをもつてなされておるということは、明らかなんであります。一体この演説をした人が、それが悪うございましたといつて陳謝できますか。これは陳謝できないことは政治家の常識でありましよう。こういうことが百もわかつておりながら、陳謝させようという、こういうところにこそ——初めから持つて行つたんでは除名の同調者が獲得できないので、手の込んだ筋書きを計画した、これが諸君の最初からの陰謀であつた。そうしてしかもその証拠には、本会議において当の川上君に一身上の弁明さえも十分にさせないでおいて、議長がこれを禁止したではありませんか。このこと自体が、川上君の演説が本会議においてなされ、内外大衆に、こういういろいろな吉田政府の戦争を遂行し、戦争を準備するような陰謀が暴露されるのが諸君は恐ろしかつた。この点でこの言論を封殺しようということで、まずこういう人間は除名しなければならぬというところに、諸君の魂胆があつたことは明らかであります。こういうようにして諸君はここにいよいよ最初の筋書き通りに来た。しかしながら私が先ほど来申しておりますように、この新しい国会における議会運営は、ポツダム宣言の原則によつて運営されなければならぬ。ところが諸君はこういうような民主的な、最も日本の人民の利益に合致した言論を封殺しておいて、そうして無理やりに陳謝させようとする。一体この陳謝に服したならばどういうことになりますか。ほんとうに国民を思う言論が封殺される。それが悪うございましたということでは、国会は政府与党に反対する言論が何もできないことになる。これはフアツシヨであります。そういうフアツシヨに諸君は服しろと言う。このこと自体によつて、もしもこういうような川上君の除名を強行するならば、これは世界に向つて、日本の国会は今や一片の民主主義的な言論の自由がなくなつてしまつたということを、諸君が広告するようなものではありませんか。この点を諸君は十分に考えてもらいたい。私はこの観点から絶対に川上君の懲罰に反対するものであります。
○土倉委員長 次に木村公平君。
○木村(公)委員 世の中には泣いて馬謖を切るという言葉があるが、川上貫一君の除名動議に賛成するにあたりましては、さような考えがいささかも起らないのはまことにふしぎと言わなければなりません。しかしこれは一に本人が不徳であるばかりではない、日本共産党の考え方の根本をなす国会無視、暴力革命是認の思想が、川上貫一君を通じて表現されているからであるのであります。議会政治を是認するわれわれにとりましては、国会の多数の意思を蹂躪し、議長の宣告に応ぜざるのみならず、その宣告をあたかも一片の紙きれを捨つるがごとき態度をもつてこれを一蹴するに至つては、議会の歴史上まさに空前絶後の無礼であると断ぜざるを得ない。議員諸君の耐えるところではないのであります。議会の権威を保つために、さらに議院の品位のためにも、川上貫一君のごときは断固除名すべきものと考え、ここに自由党を代表いたしまして、中川君の動議に賛成いたし、他の動議にはことごとく反対をいたすゆえんであります。
○土倉委員長 次に猪俣浩三君。
○猪俣委員 私は石川君の動議に賛成いたします。大体本件が懲罰委員会にかかりました際に、私はこの懲罰事犯に対しては懲罰をもつて臨むべきものにあらず、第一懲罰の事実がはつきりせず、またその価値判断といたしましても、懲罰に値しないものであるという論拠をもつて臨んだのであります。ただ本日はその懲罰の対象が違つて参りまして、院議を無視したということに対する問題と相なつたのでありまするがゆえに、この院議を無視したという場合におきましては、これは私はやはり何らかの制裁がなければならぬと考えるのであります。国会を尊重する以上は、やはりその権威を保つ上におきましても、院議を無視したことに対する制裁というものは是認しなければならぬと思うのであります。そこで問題は、いかなる量刑をすべきか、いかなる懲罰に付すべきかという問題に相なるのでありまするが、これは本件が、元来が言論の自由に対する大きな一つの制限である。言論の自由を対象として懲罰事犯というものが起きたのである。そこでこれは非常に重大な問題でありまして、多数党がいつもこの手を使いますると、ほとんど少数党はその存在を抹殺せられるという恐るべき結果を生み、議会政治の根本が破壊されるおそれもあるのであります。この民主政治を守り、議会政治を守らんがためには、十二分なる言論の自由というものを許さなければならぬのであつて、私どもはその自由を威嚇するがような懲罰というものに対しましては、反対をしたのであります。それで根本がかような事犯でありまするがゆえに、これに対しまして、たとい院議を無視したといたしましても、その情状大いに酌量すべきものがあるのでありまして、先ほど梨木君が言われましたように、自分の信念に基いた発言が、まつたく根底から間違つておつたというような陳謝文を読むことを要求され、これに服従するということは、川上君としては耐え忍ぶあたわざることであろうと推察されるのであります。かような点を考えまするならば、これをいきなり除名にするというがごときは過重に過ぎる。すべて刑罰は段階を追うて進むべきものでありまして、陳謝文を読ませる、それを読まないから、いきなり除名に持つて行くということに相なりまするならば、これまた世間には、自由党の諸君が多数をたのんで、事を陳謝文に籍口し、ほんとうは除名に持つて行く段階としてやつたんだというふうな疑いを持たれても、やむを得ないかと存ずるのでありまして、もし陳謝文が読めないという場合に至りましては、その次に来るべきものは登院の停止、こういう段階をふむべきことが順当であろうかと考えるのであります。 私どもはさような意味におきまして、言論を尊重し、ただしかしながら院議を無視することは許すべからず、そこでまず登院停止というところが、最も適当なる制裁ではないかというかたい信念をもちまして、私は石川君の提案に賛成いたします。また諸君におかれましても、将来長い議会政治の前途をお考えくださいまして、この程度の制裁によつて、この議会の言論を守るという態度を示していただきたい。この意味におきまして石川君の動議に賛成いたします。
○土倉委員長 大森玉木君。
○大森委員 私は今の川上君懲罰動議に対しまして賛成いたします。中川君の動議の説明を聞きまして、主張もつともであると私は考えたのであります。なお私どもの党といたしましても、この問題は党一致して賛成をし、除名処分にするという懲罰に賛成するということを決定いたしたのであります。 それはどういうことかと申しますると、議会しかれて以来、かくのごとき院議を侮辱したことはいまだ初めてであるということを、私ども先輩から聞かされたのであります。議会は、先ほどからいろいろお話がありましたことく、私ども尊敬しなければならない。こういう点からいたしまして、この事案は、簡単にただ陳謝文を読まなかつただけでは済まないのであるというふうに考えるのである。そこで百二十二條の四号、すなわち除名処分にいたすことが私は適当であると申し上げる。さらに梨木君のお言葉にもあつたが、まことにお気の毒である。私もこの問題はお気の毒だと考えまするが、しかし陳謝文を読まないことを知りながら、計画にかけたというがごときことを仰せられるとするならば——それはそれだけのことであるならば、私は韓信は時世と時節にはまたをもくぐる、こういうこともあるのでありますから、自分が真にこの問題を解決しようとするならば、私は韓信のまたくぐりも考えなければならなかつたのじやないか。しかるにわれわれの言論を圧迫したと言うが、しかし私はその言論を聞いておつた。あるいは議会の言論は自由であると申されるけれども、そうではない。まつたくわれわれ国民を冒涜するものであるというふうに考えた言動がたくさんあつたのでありまするから、この意味において、私は除名処分の動議に賛成をいたすものであります。
○土倉委員長 これにて討論は終了いたしました。 これより採決いたします。議員川上貫一君に対して懲罰を科すべしとの意見と、懲罰を科すべきでないとの意見がありますので、まずこれについて採決いたします。 川上君に懲罰を科すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○土倉委員長 起立多数。よつて川上君に対して懲罰を科すべきものと決しました。 次に懲罰を科するといたしまして、いかなる懲罰を科すべきかについて両論がありますので、まず第一に石川金次郎君の七日間の登院停止を命ずべきものと議決すべしとの動議、次に中川俊思君の除名すべきものと議決すべしとの動議について採決をいたします。 それでは採決いたします。本件は、懲罰事犯として国会法第百二十二條第三号の規定により、七日間の登院停止を命ずべきものと議決すべしとの石川金次郎君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○土倉委員長 起立少数。よつて石川金次郎君の動議は否決されました。 次に中川俊思君の動議について採決いたします。本件は懲罰事犯として、国会法第百二十二條第四号の規定により、除名すべきものと議決すべしとの中川俊思君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○土倉委員長 起立多数。よつて本件は、国会法第百二十二條第四号の規定によつて除名すべきものと決しました。(拍手) なお本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○土倉委員長 御異議がなければ、さように決します。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時五十五分散会