地方行政委員会 第6号
- 発言数
- 78 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1951/02/02
会議録
○前尾委員長 これより会議を開きます。 地方自治に関する件、地方財政に関する件を一括議題といたします。地方行政調査委員会議及び地方財政委員会より内閣を経由いたしまして、国内にそれぞれ勧告書が提出されておりますので、ただいま岡野国務大臣、地方財政委員会より木村委員が御出席になつておりますので、その勧告書の内容についてまず説明を聽取いたしたいと思います。
○木村(清)政府委員 私どもの地方財政委員会設置法の中にあつたと思いますが、国鉄等の現在非課税になつております規定についてどうするかということは、われわれ委員会の任務になつておつた次第であります。委員会設置以来、私ども国鉄等につきまして研究いたしまして、国会に政府を通じて勧告書を提出したわけでございます。私どもの見解といたしましては、この種地方税が応益的原則を多分に持つべき性質のものであるにかんがみまして、純然たる行政的な機能を発揮するもの以外にあつては、たとい国家の所有物でありましても、あるいは国営公社等の特別の国家的な形態を持つ法人が経営いたしましたにいたしましても、地方団体との応益関係があるのにかんがみまして、それぞれ地方税の負担をすることが適当と考えて、本勧告書をその趣旨に基きましてつくつたわけであります。しかしながら、国鉄等の課税の率及び始期等につきましては、負担の急増にかんがみまして、たとえば附加価値税等をまず第一に実施する。次に固定資産税を賦課する。しかも固定資産税につきましては、最初の年においては半額程度賦課する。さらに次年度において全額賦課するという、段階的な方法をもつていたしますならば、国鉄あるいは專売公社、あるいは放送協会等につきまして地方税を賦課することが、地方税の本体から見て適当である。またあるいは私鉄等の関係、同種企業の関係から見ましても、適当であろうというふうに考えます。また地方税の税源を豊富にするということは、できる限り地方税自体で地方自治体の財政需要をまかない、地方財政平衡交付金は、地方財源をもつてまかなえない財政需要をまかなうという本質から見まして、厖大なる財源を有するこれら国鉄、專売公社、放送協会等につきまして、段階的な課税方法によりまするならば、課税することが適当であろうという結論に到達いたしまして、勧告書を提出したわけであります。なお詳細につきましては、勧告の内容の中に詳しく書いてある通りでありまして、特別附加することはありませんが、私ども大体の本旨といたしましては、地方税自体が応益的原則にある、しからば、純然たる行政的機能にあるものは別といたしましてやや民間の一般企業的形態を有するものにあつては、たとい国営的なものにあつても、地方税を負担することが当然であろうという見地から、この勧告書を提出したわけであります。以上大体原則的な事項だけを申し上げました。なお詳しくは勧告書の中に書いてある通りであります。
○前尾委員長 木村政府委員に対する質疑を許します。
○床次委員 ただいま地方財政委員会の意見書の御説明を承つたのでありますが、ただいまの勧告書の趣旨の実現に対しまして、財政委員会としては、はたしてどのように考えておられるか。御意見は出ましたけれども、これがはたして実行できるかどうかということについて、どの程度までお考えになつておられるか、承りたいと思います。なおそのあとで国務大臣からも、一応自治庁の立場から、この国有鉄道の課税、あるいは專売公社の課税に対して、どのようなお考えを持つておられるか、つけ加えて御意見を承れれば幸いだと思います。私どもは地方税の改正の際におきまして、実はできる限り、国鉄あるいは專売公社に課税すべきである、これによりまして他の課税を軽減することができるならば、そういう趣旨において課税した方がよいのではないかということを考えておつたのであります。はからずも地方財政委員会の勧告が出まして、この点はなはだ意を強うするのでありますが、これが実現方に対して、はたしてどの程度まで当局において考えておられるか。まず第一に委員会の御意見を伺い、次に当局の御意見を伺いたいと思います。
○木村(清)政府委員 当委員会といたしましては、そういう実現方に関する権能と申しますか、それはないのでありまして、そういう立法なり何なりの措置につきましては、政府及び国会において、しかるべく御善処があるべきものというふうに考えております。私どもといたしましては、持つております意見を提出いたしまして、政府並びに国会の審議の御参考に供したわけでありまして、特別に実現手段を持たぬということは、委員会の性質上当然ではなかろうかと考えております。
○岡野国務大臣 私から政府側の立場でお答え申し上げますが、勧告書は政府として受けとつておりまして、国会へ出すことにいたしております。むろん国会の御審議を仰ぐことになりますが、政府の立場といたしましては、ことに私の考えといたしましては、地方財政委員会から出ました趣旨は、理論として妥当である、こう考えておるわけでございますから、これが実現を希望する次第であります。ただ問題は、中央財政ののいろいろの観点から、はたして中央財政がこの国鉄課税、專売公社課税なんかに対して、これを受け入れることができる実力を持つておるかどうかということにかかるかと思うのであります。と申しますことは、御承知の通りに、二十六年度におきましては、日本国有鉄道に対して、まだ補助金として二十億円を追加してやらなければならぬ、こういうような財政上の立場になつておりますものですから、そういうこととよく調整をはかつた上でなければ、この結論を出すわけに参りません。これは政府部内において寄り寄りただいま研究中でございますから、御了承願いたいと思います。
○床次委員 ただいま岡野国務大臣から御答弁がありましたが、実は地方財政の全体に関しましては、当委員会におきましても十分審議いたして、私どもも非常に意見を持つておるのであります。先日来、この点に関しまして御当局の考えておられるところをよく承つて、その内容の一班といたしまして、この国鉄課税の問題を当然取上げなければならないというふうに考えておるわけでありますが、ただいますぐこの問題だけを論ずるというのには、まだ当局側におきましても準備が足らないような気がするのであります。もし全体の地方財政の問題に関しまして御説明が伺えるなら、むしろ順序といたしまして、そういう順序ではからつていただきますれば、われわれとして審議がしやすいし、またただいまの問題を取扱うのにも便宜だと思うのですが、この点はすぐ御説明がいただけましようか。あるいはこの次の機会ぐらいまで延ばさなければいかぬでしようか。御準備はいかがでしよう。
○木村(清)政府委員 本日中に資料を提出したい予定になつております。できればその資料に基いて、この次の機会に御説明申し上げた方がよくはないかと思います。実はお手元に差上げる資料がただいまのところないのでございます。
○藤田委員 私は二、三の問題について簡單に木村さんにお伺いしたいと思いますが、まず地方財政委員会から出されました二十六年度の予算推計に関する調べについてお尋ねしたいと思います。この推計によりますと、平衡交付金千三百億ばかりを推計されておりますが、その後の地方財政委員会の勧告によりますと、一千二百九億になつております。約百億ばかり減りましたのはどういう意味でありましようか、お伺いした。
○木村(清)政府委員 これは明年度の地方税の改正にまりまして、事業税の申告納付等を予定いたしまして、事業税が入つて来る。それから住民税が、法人の分について、法人税の一割程度の附加税を住民税の中に入れるという政府案を想定いたしまして明年度の財政收入の中に見込んだ結果、その程度になつたというふうに大体御了承願います。
○藤田委員 いずれ近く政府から地方税の改正案が出ると思いますから、この問題はその際に譲りたいと思います。 二十六年度の起債のわくでございますが、現在の見通しはどの程度になつておりますか。それから地方財政委員会としては理想的にはどのくらい必要であるか、この際忌憚ないところお知らせ願いたいと思います。
○木村(清)政府委員 大体予定可能なりとして予定しておるのは四百億でございます。二百七十億程度足りないのじやないかと思います。なお数字的な資料はあとで差上げます。
○藤田委員 大体可能なるわくが四百億で、不足が二百七十億というようなことを言われましたが、この不定額に関しまして、何か財政的な対策をお考えでございましようか。
○木村(清)政府委員 これは実は対策が非常に困難と思つております。ということは、いずれ表によつて御説明できると思いますが、いろいろ財政需要の面においての算定が必要以上に窮屈に計算してあるということと、それから財政收入関係において多少無理な收入を見込んでおるというような点もあつて、なかなかそういう余裕財源を求めるということは困難でありはせぬかと思つておりますが、何とかやり繰りをしてやりたいと思つております。円満なる公共事業運営には相当困難を先ずるということは、結局公共事業の経営として、地元負担金なりあるいは事業で負担するということについて、地方として負担すべき額が負担できない。あるいは国庫に納付すべきものが国庫に納付できないということに相なるのではなかろうかということを心配しております。
○藤田委員 災害復旧の全額国庫負担制度の存続ということは不可能と思いますが、木村さんの見通しはどうでございましようか、もしこれが不可能になりますと、大体百二十億くらい地方の負担が増加するという計算が出るのじやないかと思います。災害復旧全額国庫負担法の廃止ということは、この国会に政府で準備されておりますかどうか。木村さんか岡野国務大臣かどちらでもけつこうでございますが、お答え願いたい。
○木村(清)政府委員 私どもといたしましては、旧に復するという計算書で、明年度予算を計上しております。地方財政委員会といたしましては、地方行政調査委員会議の勧告書が出ましたから、原則的には地方行政調査委員会議の意見書によることに賛成いたしました。従いまして、必ずしも全額負担であるのか最善の方策であるというようには考えておりません。しかしながら、急激に三分の一の負担に入るというとには私ども異論を持つておりますから、その段階につきまして、地方団体の財政状況に応じまして負担割合をふやすように考えて、せつかく各省ともその趣旨において、地方財政委員会としては折衝しております。いずれ政府としてその点はまとまるのではなかろうかと思います。そうして法案が提出されるのではないかと思いますが、必ずしも原則にはもどらぬで、ある程度地方団体の收入状況に応じまして、負担割合を緩和するような規定が入ることと期待しております。
○藤田委員 予想される地方税法の改正によりまして、大体百八十億くらい税收がふえることになると思いますが、一方において、災害復旧の国庫負担の問題で相当の改変が予想される。起債のわくが二日七十億も足らぬ。平衡交付金が約百九億不足する。簡單に大きな項目だけを見ましても、相当地方財政はきゆうくつになつて参りまして、ことしは昨年以上の困難が予想されるのでございますが、この際地方財政委員会として、衆知を集められました何かよい方法はないものかどうか、ひとつ忌憚のないところをお伺いしまして、今後の参考に供したいと思いますが、いかがでしようか。
○木村(清)政府委員 これは実はお答えできぬと思います。起債は四百億というわくをきめられておりますけれども、何とかもつと拡大していただけぬものであろうか。これは直接国家財政にも関係ありませんし、起債の資金の関係かと思います。資金関係ならば経済界なり他の事情に応じまして——これは私の立場からただちに言えるかどうか、ちよつと疑問でありますけれども、絶対不変のものであるというように考えなくても済むんじやなかろうかという気がいたします。私自身はその方面にもつと努力していただきたいというように考えております。あとでき得れは平衡交付金を増額していただきたい。これは全体の国家財政の関係から、表面切つては困難のように承つておりますけれども、私どもといたしましては、少くとも百億程度のものを増額したい。今の起債の関係は、正直に申しまして資金関係の運用だけの問題でありますから、インフレを起さないという意味のドツジ・ラインの範囲内においても、もつとわくをふやせるではなかろうかと考えて、今後とも努力いたしたいと思つております。
○藤田委員 木村政府委員の御説明はなかなか苦しそうでございますし、またこれ以上追及しましても、なかなか名案もないのではないかと思います。平衡交付金の第四・四半期の決定もいよいよ目睫に迫つておりまして、現在全国の地方課長を招集して、最後の資料作成に関する会同が開かれておるのでありますが、概算交付で支給されました今までの平衡交付金の還付の問題でございます。これは前国会においても川本委員等から質問が出た問題でございますが、もし還付できないというような事態が各地に起きました際、どういうことになりますか。法規の命ずるところに従つて当然還付すべきではございますが、非常に困つておる自治体では、ほとんどこれを消費してしまつておるというのが実情のようでございますが、還付せざる場合の財政計画に関して何かお考えになつておりますか、あるいは今後研究されますか。本年度もあと二箇月しかございませんから、この際お伺いしておきたいと思います。一昨年の年末手当のごとく何か大蔵省あたりから立てかえるというような便法でもございますかどうか、この点お聞きしたいと思います。
○木村(清)政府委員 本決定とそれから特別平衡交付金の決定を本月中に大体いたしたいと思つておりますが、それをいたしますると、終局的には返す額はきまるわけであります。ぼつぼつ地方団体によつては返していただいているところも相当あるようであります。事実使つてしまつて、困つておられるところもそれは聞いております。これはしかし地方税法の施行が約半年遅れたのでありますから、地方財政として、地方税の收入といたしますとまた半年遅れると見ても、ある意味においてはいいのじやないか。その意味においてきゆうくつであるというならば理由がある、こうも思うのであります。できる限りこれらを、ぜひ返していただかぬというと、やるべきところの団体にそれがやれないというようなことになりますから、ぜひ返していただきたいと思います。本決定になりますれば、おそらくでき得る限り資金でやりくりをして、公共団体のことでありますから、返していただけることと存じますが、どうしても資金にやりくりがつかぬという場合におきましては、実は財政委員会といたしましては、資金のあつせん、借入金のあつせんをいたしまして、返していただくということにいたしたいと思つております。むろん公共団体を信用しておりますから、少くとも四月末日、出納期日までには返していただけるものというふうに考えております。
○藤田委員 その点に関しまして、追加予算で組まれました三十五億の配分に関して、何か多少有利な配分ということは考えられないものでございましようか。これは規則その他に照しますと、あくまでも配分規準がありまして、それでそろばんをはじくことになりますが、現実に仮拡いをして、良心的に還付できないというところの鑑別も可能ではないかと思いますが、この点に関しましては、全然情状酌量の余地がないものでございましようが、その点をお伺いしたいと思います。 次にお伺いしたいのは、地方税法に基きますいろいろな問題がありますが、きようは一つだけお伺いしたいと思います。固定資産税のいわゆる重要指定工場が現在全国に十八あると承知いたしておりますが、この重要指定工場のわくは、現在のところ絶対的なものであるかあるいは実情によりましては、岩手県の松尾鉱山のごとく、非常に、不自然な指定を受けておるところは、この指定をはずせるかどうか、こういう点をお伺いしたいと思います。規則の改正によりまして、多分はずせるのじやないかと思いますが、指定の規準でございますが、どういう規準でやられましたか、この点資本金額でもないようでありますし、固定資産の算定額でもないようでございますが、その点をお伺いしたいと思います。
○木村(清)政府委員 第一の問題は、おそらく特別平衡交付金の問題となり得るじやないかという御質問だろうと思います。特別平衡交付金はあくまでもやはり財政需要があるということが建前でありまして、その財政需要のある場合という建前は、非常に額はたくさん出て来ると思います。その場合における財政需要の認定の仕方の問題に終始したかどうかということが入つて来やせぬかということの御質問と思いますが、これはやはり建前といたしましては財政需要があるということが建前なのであります。その間のいろいろな要素、非常にたくさんの財政需要、今度の法規では認められない特別の財政需要を、たくさんの項目にわけておりますが、これは非常に大きな額に上つてくるところのウエイトのつけ方と思いますが、そういう場合に絶対にしんしやくするなということは申せませんけれども、正面切つてそういうことがしんしやくの材料になるということは申し上げかねることだと思います。 第二の点の大規模工場の指定の問題でありますが、これは二つの観点から、元来そういう他の隣接の町村にまたがつておるというあの考え方が、影響力があるという点だけじやないのであります。やはり一つの団体にあまりたくさんの財源が供與されることは非常に、不合理であろう。従来の財政收入の数倍にも達するような收入が入るということは、これは不必要なことであろう。従いまして、そういう観点をも、私どもある意味においては平衡交付金的な考え方をもつて隣村にわけてやりたい、こういう二つの考え方があの中に入つて来ておりますから、その意味においては決定しておりません。たとえば隣接が非常に富んでおりますと、隣接の中にわけてやりたいが、わけるような場所がないときはどうするかという矛盾も絶無じやございません。とにかく小さい町村あるいは人口の少い都市においては、急激に收入がふえるということは、これは不必要なことである、そういう観点をあわせまして、規定を運用しておる。あの規定の運用によりまして、相当に平衡交付金の配付を助けておるということに相なつております。
○藤田委員 実はこの問題はあの法律をつくる当時から予想されまして、相当不自然の増收になる町村があるだろう、その際は隣接町村に配分するという三百九十一條の規定ができたわけでございますが、この際私はただいま木村政府委員も申された通り、一応平衡交付金のわくに自動的に還流しまして、それから流れ出るような方法が考えられないものかどうか。そうなればいろいろのトラブル自然に解消して行くのじやないかというふうに考えております。 それから今お答えがありませんでしたが、現在指定されている十八工場というもののわくは動かせないものかどうか、これはかりにきめられておるものかどうかお伺いいたしたい。
○木村(清)政府委員 今年度としては動かす意思はありませんが、明年度以降につきましては、またこれは財政需要の測定解も違つて来ますから、その点もまた考慮の余地もあるのじやなかろうかと私も考えております。
○龍野委員 ちよつと地方財政委員会の木村さんにお伺いいたしたい。これは地方財政委員会にただすのでありますが、ちよつと前国会との関係もありまして、今日問題になつているのでおります。それは特別税の問題であります。地方税改正法提案の際にも、この税法案の確立によつてまず地方財政は確立する、従つて特別税のごときはあまりこれを拡張するような必要もなかろう、またあまりこれを認めない方針であるというような意味の政府の御答弁を聞いたような気がします。これは速記録を調べた上じやありませんから、事実であるかどうかという点は別として、私はそういうふうに聞いておつたのでありますが、今日まで地方財政委員会におきまして、特別税として許可せられておる税目並びにその金額を、おわかりになるならばひとつお示しを願いたいと思うのであります。これはごく一端でありまするけれども、私が調べたところによりますると、会社、工場の寮に対しまして遊興飲食税に相当する特別税をとられている。これははなはだ首肯いたしかねると思うのでありますが、その際、県のとつております実情を見ますると、こういう寮に対しては遊興飲食税がかからないから、そのかわりとして特別税をとるというのじやなくして、むしろ目下会社、工場は事業税としてとろうとしても、赤字である場合には何ら県税を負担しておらぬ。そこで幾分かの負担をしてもらいたいという意味で、遊興飲食税に相当する額に数倍する額を、各会社、工場からとつておるようであります。たとえばその施設に要するところの一切の経費に対する何パーセントというような税率を示してとつておるようであります。そこで地方財政委員会に対して認可申請する場合には、これは相当低く見積つているようでありまするが、いざとつてみると、実際の徴收額は予定額の数倍になつておるというような事実もあるようでございまするが、それに対しまして、地方財政委員会としては、どういう方針で特別税を見ておられるか、また新しい地方税の確立とともに、今後どういうお考えで、これを運用して行かれるか承りたいと思うのであります
○木村(清)政府委員 過去のものにつきましては、資料をおつくりして差上げたいと思います。ただいまのところ、ないし将来のところにつきましては、これはいずれ二十六年度の財政状況に対するわれわれの見解をこの次までにお届けいたしまして、それによつて御説明申し上げたいと思いますが、明年度に対しては地方財政としては非常に苦しいということに相なるのでありまして、ことに農業県等、地方税の收入が非常に少いところは、ことに苦しいのじやなかろうかと思つております。従つてそういう土地においては、平衡交付金が非常に多くて、地方税が少い、平衡交付金に大きな部分を頼つておるという府県が多数あるのであります。従いましてそういう府県において、特に農業、産業振興政策とか、あるいは道路政策とかいうように、県独自の立場から県費をもつて地方の振興をはかりたいという場合におきましては、おそらく財源が非常に不足するのじやなかろうかと思うのでありまして、そういう意味におきまして、一年前に地方財政はこれによつて確立されたと申し上げましたものが、その後の状況は、いろいろな財政需要の増加によりまして、必ずしもそうなつておらないということを御了解願えるかと思つておるのであります。従いまして、ただいま特別税を急速にやめるということも非常に困難な事情でございます。将来特別税を起してくれというものを阻止することは——もちろん負担が過重になることは防がなければなりませんけれども、困難な事情にあるのじやなかろうか、こう考えております。これは地方財政がゆとりがあるかないかということの認識の問題になろうかと思いますが、私どもの差上げる資料によりまして、この次の機会に地方財政においてはそうゆとりがないということが御認識いただけるのじやなかろうか、そういう意味において特別税を考えて行かなければならぬというふうに考えております。
○龍野委員 地方財政にゆとりがあるかないかという認識の問題は、むろん根本の判断の標準になりましようが、われわれが地方税法案の審議にあたりましては、今後事情の激変がある場合はいざ知らず、まず住民に対してはこれこれの税しかとらないんだ、そのほかの場合には、よほど重大なる理由がなければ税はとらないんだというふうに承つて、国会ではこれを通過せしめたと考えておるのであります。そこで地方財政にゆとりがあるかないかというような根本問題はさておきまして、そういう地方財政にゆとりがないという認識のもとに、やたらに特別税を許可されるということになりますれば、あの税法改正はほとんど無意義になりまして、今後住民に対して相当の不安を感ぜしめるんじやないかというように考えられるのであります。それは府県会、もしくは市町村会できめることであつて、国としてはこれでとると言う以上は、それを阻止することは、あまりに地方自治の干渉になるというようなお考えもなきにしもあらずとは考えられまするが、しかし財政の困難なことは、地方といわず国といわず同様でありまして、たとえば所得税はわが党の方針によりましてどんどん毎年毎年何百億と減つておる。従つてそれに乗つておる住民税も減るから、これをカバーするために、さらに何かの税金を起さなければならぬといつたようなことでは、とうてい負担の軽減という立場からいつたら国民の納得するところじやなかろうと思うのであります。むしろそれの対策としては、鋭意行政費の節約とか、そういう方面に指導すべきではなかろうかというふうに考えられます。この特別税の認可ということによりまして地方税に大きな穴があく、そうしてかつての百数十種にわたる地方税の乱脈が再び現われて来るというようなことがあれば、この画期的地方税改正は無意味なことになり、将来の笑いものになるんじやなかろうか、そういうことをおそれるのであります。地方財政にゆとりがある、ゆとりがないという認識の問題は、よほど厳格に解釈すべき問題じやなかろうか、ただその村が困るから、従つて地方財政にゆとりがないんだ、従つてその県、市町村で認可したものは、これは許可しなければならぬというようなお考えでは、おそらく地方税確立ということは絵に描いたもちみたいなものになりはせぬかということを、われわれは心配するのでございます。むろん今後御提出になりますところの資料によりまして、冷静に判断しなければならぬ問題でありまするが、そういう根本的なお考え方について、地方財政委員会としてはある程度甘いんじやないか、あまりに地方自治を尊重されるという立場に片寄つておられるんじやないか、財政のことは私が申し上げるまでもなく、国家財政と地方財政を一貫して考えるべき問題で、この際国民負担の軽減ということが、最も政治上の重要なる大目的であるという立場から考えるならば、この地方財政需要が少し満たされないという問題につきましても、相当厳格なる態度を持つべきじやないかというふうに考えるのでありまするが、これに対して委員会のお考えを承りたいと存ずるものであります。
○木村(清)政府委員 お説の御趣旨よく私どもわかるつもりでおりますが、決して税の許可を甘くやるというような考えでおるわけではないのであります。もちろん法規に従いまして負担の過重にならぬように、私ども気をつけるつもりでおります。ただ御存じのように地方団体の経費につきましては、もちろん冗費がないとは申しませんが、その大部分を占める教育とか警察とか消防とかいう大きな部門につきましては、国家財政のような人件費以外の債務償還費とか、あるいは価格調整費あるいは終戰処理費というような、大きな純然たる行政費以外のものが占めておる場合と違いまして、しかもほとんど国家的な行政を地方団体がやつておるという点がありますから、もちろん一万余の町村の中でありますから、御趣旨のような団体もあるということは承知しております。その点については大いに戒飭せなければならぬと思つておりますが、大体におきましては非常に節減の困難なものであるということを、御了解願いたいと思うのであります。私ども御趣旨の点については同感でございますけれども、実際になつてみますと、非常に削減のしがたい仕事が大きな部分を占めておるという占を御了解願いたい、こう考えております。
○床次委員 木村さんに一言お尋ねしたいのですが、地方税法の改正において固定資産税の課率は、実は特に本委員会において修正いたしまして、二十五年度におきましては一・六に軽減いたしました。しかしその後総額五百二十億を越えない限度において維持するというふうに歳入確保の道を講ぜられたのでありますが、これに対しまして、地方財政委員会では、大体現状通りでよろしいというような結論を出されたように伺うのでありますが、今日までの固定資産税の收納状況、また年度末までの見通しについて、この機会に簡單に御説明願いたいと思います。
○木村(清)政府委員 いずれ具体的な資料は差上げますけれども、私どもの見通しといたしましては、地方税の中では固定資産税が一番收納成績がいいのではないかと思います。 それから財政委員会の任務といたしまして、五百二十億を相当下まわると、税率を上げなければならぬ義務をわれわれは負つておるのでありますが、実は地方庁を通じて出した各市町村の推定によりますと、相当下まわる数字が出て来たのであります。しかしながらこれは今後市町村において徴税能率を上げるということと、あるいは固定資産税等において、資産の把握に努めるというようなことによりましてもつと税收を上げることができるという見通しを得たわけであります。これはたとえば土地家屋等につきましても、地方庁の報告の資料と、大蔵省から出された資料とに差があるのであります。大蔵省には最近土地賃貸価格の調査をやつた資料等があるのでありますから、それによりましてむしろ地方庁を鞭撻した方がよろしかろう。それから償却資産につきましては、八〇%と見ておるものを、むしろ九〇%以上に收納率を見るというように考えまして——もちろん五百二十億が実は年度内に必ず入るというようには考えませんけれども、相当それに近いものが努力によつて入るだろうという確信を得ました。またそれに各地方団体が努力してくれることを前提といたしまして、私どもはその税率を変更しないということを決定したのであります。いずれ資料等は——これは全国のことでありますから、十分な資料を差上げるということは困難でありますが、税の收納率等に関する調べ等につきましては、いずれ差上げたいと思います。
○大泉委員 財政委員会として政府にいろいろ勧告もされておりますけれども、地方自治体に対して行政事務の内容にわたつて、あるいはその能率とか給與状況とか、そういつた方面である一定の基準もありましようけれども、ともかく今の地方財政がどうも苦しい苦しいと言つておる中に、あまりに経費がかかり過ぎるとかいうことで、勧告されたような事例がありますかどうか、お知らせ願いたいと思います。
○木村(清)政府委員 二十六年度におきまして、その方面の監察についての予算も多少いただきました。なお私どもといたしましては、近ごろ特別平衡交付金の交付に対しては、経理放漫なものにはやらぬ、たとえば年末給與を非常にたくさん出したとか、あるいはその他給與の仕方が放漫過ぎたというようなものにつきましては、特別平衡交付金は当分差控えたいというようなことを言つております。地方庁といたしましても、一番大きな部門を占めるのは人件費であります。従つて人件費の支出方法が適正であるかないかということが、地方自治体の健全財政維持の根本ではないかと考えますので、そういう方面について行過ぎのないように今後も努めて行きたいと思います。
○大泉委員 小さな町村ではなかなか見られないでしようけれども、府県に対してもし勧告されたようなことがあるなら、具体的な内容等にわたつて承りたいと思います。財政委員会から、あまりに放漫であるとか、あるいは能率に対して注意を欠いたというようなことがありましたら、承りたいと思います。
○木村(清)政府委員 まだ今まで正式に勧告したようなところはありません。
○大泉委員 今後は、先ほどもお話にありましたが、農業県はますます人口の割合に税源がなくなるので、非常に苦しくなると思います。またその反面に、商工業を中心とするような府県は、非常に財政が楽になる。従つてどうも地方行政の内容にわたつて、相当変革を来すのではないかと思うのであります。今後において、市町村の場合と、府県の場合に対しては、そうした一つのいきさつから相当軋轢が生ずるようなことになると思います。農業県は農民層を中心としての府県税を徴收し、また商工業を中心とした担税力を持つている府県は、商工都市を中心として府県税を徴收する。その結果地方の行政上に相当変化を来さなければならない。またそれに対して財政上のあんばいもされなければならないと思うのであります。財政委員会としてそうした方面に対して、どんな考えを持つておられますか。
○木村(清)政府委員 つまり府県の税收入の相当部分が、その当該府県内における都市から入つて来ておる。しかも財政の支出は農村に向けなければならぬ。府県は農村からは税はとれずに施設はしてやらなければならぬ。その場合において、都市側と農村側との間に摩擦が起きはせぬかというような御質問と思うのでございますが、これは今の府県税の建前から申しますと、御説の通りになると思います。確かにそういう傾向は税の建前から見て、つまり農山村地帶からは府県税を徴收しない。しかしそういう地方には平衡交付金が非常に多額に参ります。やはり私はこの平衡交付金はいかなる場合においても、農山村地帯においては、どんな方法をとつても平衡交付金またはこれにかわるべき性質のものをやらなければやりようはないと思う。農山村地帯における小学校の教育は、その地方でまかなえないような経済状態になつておる。税だけから見ますと、御承知の通りになりますけれども、そういう地帶に対しては、平衡交付金というものが国家の全体の面から参ります関係上、必ずしもそう行かないのではないか、ただ私はある意味において、たとえば県において特別な農山漁村の施設をしたいという場合に、さきのお説と多少反しますけれども、一般的な農山村方面が負担するような目的税的な税をとつて、特別な施設をするというような考え方は、あり得るのではなかろうかと考えておるのでありますが、一般的には今の府県税の税額というものがそうなることは、これはある程度やむを得ないのではないかと考えております。しかしこれはまたいずれ行政調査会の結論に基いて、行政事務の再配分の関係上、教員俸給をどの団体が持つがよいかという問題にも関連して来る問題ではなかろうかと思つております。
○立花委員 どうも龍野君がここへ来られてやめろやめろというので弱るのですが、実際地方は予算に四苦八苦しておりますので、地方行政委員会自体が、もつと熱意を持つてやらないと、私は地方に対して職責を果したとはいえないと思う。自由党の人は二人しか出て来ていない。こういうことでは地方財政、地方行政の審議は十分やつているとはいえないと思う。大臣だつてすぐ帰つてしまうし——私はこういうことは今後絶対にないようにしていただきたい。そういう問題をやはり根本的に委員会としても考える必要があるから、政府としても考えてもらいたい。実は岡野国務大臣にお尋ねしようと思つておつたのですが、今予算書の中にも地財委の勧告が含まれて出て来ております。しかし私どもの地方行政委員会としては、この問題はまだ十分扱つていないわけです。小野さんにお伺いいたしますが、きのうもこの点は多少岡野さんに尋ねようと思つておつたのですが、岡野さんはどういう立場から閣議で発言なさつたのか、この地財委の勧告と違う閣議決定が行われているのですが、特に私は地方行政委員会のこの問題に関する意見などを、十分お聞きにならずにおやりになつたと思うのですが、そういうことで、はたして地方の意向が十分反映できるとお考えなのかどうか、この点は私は根本的な問題だと思いますので、ひとつお尋ねしたいと思います。 それから地方財政委員会といたされましては、政府には勧告をお出しになつておられるが、まだ国会に対しては勧告をお出しになつていないのですが、国会に勧告をお出しになる意思があるのか、国会に勧告をお出しになりませんと、実はやはりはつきりした形で、地方行政委員会の問題にはなつて来ないようで、予算委員会だけの問題に終るような感じがいたしますので、この点やはり地方財政委員会が、はつきり国会に勧告をお出しになつて、国会全体の問題としてやれるような処置をおとり願いたいと思います。この点ひとつ……。
○小野(哲)政府委員 岡野国務大臣が閣議でどういう発言をしたかということにつきまして、具体的に内容を申し上げることは私は閣議に出ておりませんので、できないわけです。従つてこの点は御了承願いたいと思います。ただ地方自治庁の立場において、従来からとつて参りましたやり方としては、地方財政委員会の資料なり、意見なりを十分に尊重いたしまして、これを政府の施策の上に反映せしめるように努力して参つた。従つてこの基本的な考えのもとに、おそらく岡野国務大臣も発言をしているものと、私は確信をいたしておるのであります。ただ国家財政の全般的な見地から考えまして、ただいま御指摘になりましたように、地方財政委員会の意見の内容と、予算の上に現われました額との間の開きが生じて来ておる。しかし努力はして参つて来ておるということは、私は確信してはばからないと思つております。
○木村(清)政府委員 法律の定めるところによつて、政府に勧告をいたす、しこうして政府が勧告を入れなかつた場合においては、予算書にこれを付記するということに相なつている結果、結局私どもの勧告自体が国会にも事実上提出されたと同じことになる。そういう結果を生じておるのではなかろうか、つまり法律はそういうことになつて、法律自体において政府は義務づけられでおる。地方財政委員会の意見と違つた予算をつくる場合においては、これを付記せねばならぬということに、法律上きまつておりますから、結局地方財政委員会の意見も国会に提出されたということに相なつておる。こう考えております。
○立花委員 地方財政委員会の問題ですが、なるほどこの予算書に付記はされております。しかしこれをやりますのは予算委員会だけの形になるのでありしまして、ことに前の国会におやりになりましたように、平衡交付金の増額に対する意見書として、政府並びに国会に勧告をお出しになつた。ああいう形でおやりになつた方が事態がはつきりして来ると思う。だからそういう手続をおとりになる必要があるのではないかと思う。と申しますと、予算書にこういうふうに付記が出ておりますだけでは、実は予算委員会だけの問題になるわけです。予算委員会で扱いますと、たとえば平衡交付金の問題にいたしましても、国の予算の中での平衡交付金というような観点からしか見ないわけです。ところが私どもが平衡交付金を見ます場合は、全体の地方予算の中における平衡交付金という角度から見ますので、大分見方が違つて参りまして、予算委員会の意見と、地方行政委員会の意見とは、おのずから角度が違つていて、結論も違つて来るわけなんです。だから予算書に付記が出ているからとうことだけでは、やはり十分ではないのじやないか。もちろんこれを取上げようという積極的な考えさえあれば取上げられるわけでありますが、ごらんの通り自由党の方が一人しか出て来ないというような非常に低調な状態でありまして、予算委員会にまかしておけというような実情になるのはやむを得ないことだと思う。そうではなしに、国会に対する正式な意見書として出て参りまして、あるいは議長からこの地方行政委員会に付託という形になりますと、やりたくない人でもやらなければいかぬということになるので、おのずから実情は違つて来るのではないか、またお出しになる意見書あるいは勧告の効力も相当違つて来るのではないかと思いますので、ほんとうに地方のことをお考えになるならば、そういうはつきりした形で、私はお出しになることを希望しておきたいと思います。 それから小野さんにお聞きいたしますが、大臣は熱意を持つておやりになつただろうと言われるのですが、これは大臣がおりませんから水かけ論になりますから、実は大臣におつていただきたかつた。今問題になつております予算書の付記の問題にしても、重大な二つの意見がございますので、これは私どもから要求しませんでも、大臣がこの委員会で、当然詳細な資料をもつて御説明なさるのが私は妥当だと思うのです。私どもからいたしますと、政府内部に二つの意見があつて、そのまま私どもに出されて来ておるのでありますから、これについては、やはり大臣はどういう見地で閣議決定に参加したのか、閣議決定の数学を了承したのかということを、詳細に御説明願うのか、当然だと思うのです。特に地財委の勧告額と閣議決定額とには重大な相違がございますし、またわれわれ勤労階級の代表といたしましては、見のがすことのできない重大な問題が含まれております。たとえば年末手当支給に関する必要な経費でありますが、これは地財委は約六十億要求なさつておるのに対しまして、閣議決定はわずか七億しか決定していない。七億で百数十万に達する地方公務員に、どれだけの年末手当をお出しになるおつもりなのか。一方また国家においては国家公務員に対しましては、半月分の年末手当をとつておられますが、地方公務員に対しては、やはり閣議決定は七億しか査定していないというようなことは、私ども納得できません。どういう建前で、岡野国務大臣は、七億という数字に御賛成なさつたのか。これはやはり詳細な資料、詳細な説明をいただかないと、私どもは納得できませんし、またこれは説明なさるのが私は当然だと思う。その他地方公務員の給與の問題に対しましても、やはり十七億の減額をなさつておられます。あるいは教員の級別推定表の問題に対しましても、やはり九億ばかりの削減をなさつておる、こういうふうに地方の公務員の給與あるいは年末手当等に対しては、重大な削減をなさつておるわけであります。特にひどいのは、さいぜん申しました年末手当ですが、こういうことでは、私ども單に勧告が出ておるから、それが予算書に付記されておるからということでは納得ができないのです。十分閣議で反映させたとおつしやいますが、どうもこれは私ども納得できません。さらに充当財源の問題につきましても、たとえば手数料、使用料の問題などにつきましては、地方財政委員会の十倍の收入を予定なさつておる。こういうことをどこから岡野さんが賛成なさつたのか、どうも納得できないか御説明願いたいと思います。、
○小野(哲)政府委員 予算編成につきましての詳細な説明は、もちろん予算委員会で行わるべきこととも思いまするが、なおまた地方財政に関する点につきましては、立花さんの御説のように、この委員会で十分に御審議願うことも望ましいことであると私は考えております。ただいまいろいろの項目についてお話がございましたが、国家予算全体としての立場で、岡野国務大臣は閣僚の一員として、やむを得ずこれに賛成をしたというのが、私の推測するところによれば、岡野国務大臣の立場ではなかつたかと思うのであります。しかしながら無條件にこれに対して賛意を表したというのではなしに、地方財政委員会の意見なり資料なりにつきましては、十分に御研究をして、できるだけの努力をして参つたことは、これまた偽らない事実であります。先ほど木村さんからもお話がございましたように、予算といてしまして、地方財政委員会からも意見が付記されておりますので、この点につきましては予算委員会と相まつて、この委員会につきましても、十分に御検討を願つてよいかと思うのであります。 以上のような点を私からお答え申しておきまするが、また後日適当な機会に岡野国務大臣出席の際に、この点について御賛同を願えれば、一層明らかになるのではないかと思つております。
○立花委員 地財委の勧告の問題はどうなんですか。
○木村(清)政府委員 私ども実は昨年の補正予算の際に意見書を出した理由は、本年われわれ、法律で定められた予算をつくるときの勧告は、法律上総予算の際しかできないという見解から、それにかわる意味において、意見書を出したのであります。従いまして勧告書ができますれば、あとはもうお取り扱いの方法で、お取扱いによりまして、地方行政委員会においても、十分御審議願えることと存じます。また私どもといたしましては、地方行政委員会において十分この点御審議をお願いしたいと考えております。従いまして、資料等については、できる限りお出しもいたしますし、御説明も御納得の行くまで御説明申し上げたいと思います。それでありますから形式的な取扱いといたしましては、私どももただいまのところは意見書を出す予定はありませんが、実体的にはもう出ておることと思います。あとはもう地方行政委員会のお取扱いの問題かと思うのでありまして、実質的にはいかなる御説明もまた資料等を出して御参考に供したいと思います。
○立花委員 実質的にはまさにあなたの言われる通りなんです。ところが実質はこの通りでございまして、ちつとも問題にならないというのが実質なんでございますから、やはり意見書をはつきりお出し願つた方が、実質もそれに従つて盛り上つて来るのじやないかと思いますので、できたらそういう点には積極的な御処置をひとつおとり願いたいと思う。りくつの上ではなるほどなつております。が、実際はこうなんで、実質上では私は地方が泣くと思うのですが、やむを得ない実情でございますから、こういうようなことがないように、ひとつ適当な方法をおとり願いたい。 それからこれはもう一ぺん小野さんに申し上げたいと思うのですが、国家予算全体の立場から、やむを得ず賛成したのだ、実は賛成でない部分があるのだとおつしやいましたが、国家予算全体という考え方が、やはり多少問題じやないか。予算委員会でやつております国家予算と申しますものは、狭い意味の国家予算。ほんとうの意味の国家予算全体といいますと、やはり地方予算を含めての実質的な全体の国家予算か、ほんとうの国家予算全体ということが言えるのじやないかと思う。そういう建前から、狭い意味の国家予算といつた観点からだけ、閣議で承認なさつたというのでは、これは一方的ではないか。やはりその前に地方行政委員会などにおきまして、十分岡野さんの御意見もお出しになり、委員の意見もお聞きになり、その上で内閣の決定に対しましても参加されるのが、当然ではないか。だから、国家予算全体と言われますが、それは非常に狭い意味の、今隣の部屋で扱つております狭い意味の国家予算だけでありまして、私たちはおのずから別の観点があるだろうと思う。そういう意味で、どうしても地方行政委員会の意見を十分にしんしやくしていただきたい。そうでないと、地方行政委員会と申しますのは、予算委員会できまつたもののすえぜんを食つているという形が出て来る。その結果前の補正予算の場合に、地財委がせつかく要求なさつた八十三億も何もうやむやになつてしまいましたし、この地方行政委員会が満場一致で決議いたしましたものも、やみからやみにほうむられたというような形になつておりますので、これはどうも私どもといたしましては、職責が十分に果せたと思えませんので、そういうことのないようなこの委員会の持ち方なり、またそれに相応するような地方財政委員会並びに自治庁の態勢を獲得願いたいと思うのでありますが、そういう点でひとつ自治庁の御意見を承つておきたいと思います。
○小野(哲)政府委員 私が国家予算全体と申しましたのは、平衡交付金等が国家予算に計上されまして、審議を受けることに相なつておりますので、従つてさような意味合いにおきましては、根本的には立花さんの御意見と大したかわりはないと思つておるのであります。国家財政並びに地方財政を通じての全般的な予算につきましても予算委員会においては審議をされるものであろうと、期待をいたしておるのであります。と同時に、地方行政委員会におかれましても、予算委員会と相まつて、地方財政を担当しておらるる立場上から十分な御論議を願うことは歓迎すべきことであると私も考えております。従いまして、さような態度でもつて、地方自治庁並びに地方財政委員会は善処して参つておりまするし、将来も善処して参りたいと考えておるような次第でございます。
○立花委員 予算委員会で十分審議するから、地方行政委員会では別にやらなくてもいいんだというようなことには、私参らないのではないかと思う。予算委員会の結論と地方行政委員会の結論とは、おのずから違いがあるのではないか。それは決して仮定のことではございませんで、今までの過去の経験におきましてもそうでございますし、たとえば地方税をきめる場合におきましても、異なつた委員会からは、やはり地方行政委員会とは異なつた意見が、どんどん出て来ておるわけであります。各委員会は独自の立場から、違つた角度から物事を検討いたしますので、違つた意見が出て来るのは私当然だと思う。だから、どういたしましても、平衡交付金一つの問題を取上げましても、平衡交付金をながめます場合に、予算委員会がながめますのと、私どもがながめますのと全然違います。また予算委員会がこれ以上平衡交付金は出せないという結論を出しておりましても、われわれから見ると、十分に平衡交付金をふやす余地があるという結論は出て来るわけであります。だから、こういう点で、やはり地方行政委員会が予算委員会の結論に従つて動という形じやなしに、やはり地方行政委員会も独自の立場から、地方の財政に関係のある問題は予算委員会と並行的に、独自に扱つて行くという建前を、実はとつていただきたいと思います。これは平衡交付金だけの問題ではございませんので、地方税の問題にいたしましても、あるいは義務教育の問題にいたしましても、あるいは起債の問題にいたしましても同様なことが言えると思うのです。こういうことをほうつておきましては、私ども地方行政委員会の独自性もありませんし、存在理由もございませんし、またひいては今地方の四苦八苦しております予算編成に対しましても、十分な私たちの仕事ができたとは言えないと思います。そういう観点で、ぜひこれからの私たちのこの会を続けるように、ひとつ地方財政委員会の方も自治庁の方も御協力願いたいと思います。 それからそういう問題で問題になりますのは、さいぜんも申しましたが、いろいろな問題がたくさん起つておりまして、私公務員の立場から申しますと、さいぜん申しました賃金の問題、それからきよう神戸さんがおいでになつて承る地方事務の再配分の問題につきましては、非常に大きな変革が行われまして、さいぜんから申し上げておりますような狭い意味の国家予算の決定に従つて、地方の財政が制約されるということになつて参りますと、地方事務の再配分という問題も、公務員にとりましては職場を失う問題になつて来る危險が多分にあるわけであります。あるいは首切りとまでは行きませんでも、非常に多くの仕事を少い人でやらなければいかぬというようなことも、地方に必然的に起つて参ります。こういうふうに委員会の持ち方、地方行政委員会に対する考え方が根本的に違つておりますと、その影響するところは非常に私は大きいんじやないかと思います。特に地方に関する重大な画期的な問題が続々と起つております場合には、やはり地方行政委員会の持ち方自体を十分考えなければいけないのじやないかと思いまするので、この点は特に留意しておいていただきたいと思います。国会の最初にあたりまして、やはり十分この点を考えておいていただきませんと、これからの審議に、非常に影響いたしますので、特にお断りしておきたいと思います。 それから小野さんにお伺いしたいと思いますのは、実は……。
○前尾委員長 立花君、一時半ぐらいから神戸さんの方をやりたいと思つておりますので、次会に議つていただけませんか。
○立花委員 一時半から続行しますか。
○前尾委員長 続行というのでなしに、神戸さんにやつて、いただいて、次会に今度またやつてもらつたらどうですか。
○立花委員 それでは次会にいたします。
○前尾委員長 午前の会議はこの程度にいてしまして、午後は一時半から再開いたしまして、神戸くんの勧告書についての説明を聴取したいと思います。 それまで暫時休憩いたします。 午後零時四十九分休憩 ————◇————— 午後二時十六分開議
○前尾委員長 それでは再開いたします。 休憩前に引続き、地方自治に関する件、地方財政に関する件を一括議題といたします。ただいま地方行政調査委員会議より神戸議長がお見えになつておりますので、過日国会に提出されました地方行政調査委員会議設置法第三條の規定による勧告案について、説明を聽取いたしたいと思います。神戸正雄君。
○神戸説明員 昨年の十二月二十二日に第二次勧告案を提出いたしました。お手元に印刷物が届いておることと存じますが、詳しくはこれによつて御了承を願いたいと思います。大体のことを申し上げたいと思います。かつてこちらに参りまして、説明申し上げましたこともあるのですが、なお若干の修正をいたしました点もありますし、申し残した点もありますので、それらを考慮いたしまして、あまり詳しく申し上げてもいかがかと思いますので、できるだけ簡單に御説明申し上げたいと思います。 勧告案の精神、趣旨ということは、御承知の通り本会議の使命にかんがみまして、地方自治の拡充と、民主化の徹底ということを目標としておる次第でありまして、すでにわが国におきまして、憲法なり地方自治法なりでもつて、地方自治の拡充ということは一応できたわけでありますが、なおそれよりももつと民主的に地方自治の運用ができるようにということも考え、ことにシヤウプ勧告の線もありまして、一層国よりも地方に、地方の中では市町村にできるだけ多く責任を持つて仕事を行わしめるという方向に進めるということを考えている次第であります。すなわちまず三原則を前提といたしまして、一つには責任明確化の原則、二つには能率の原則、三つには地方優先、なかんずく市町村優先という原則をまず立てたのであります。 責任明確化は、申し上げるまでもなく、各段階において、国は国の責任、府県は府県の責任、市町村は市町村の責任、それぞれの段階においての與えられた仕事というものはその責任においてやる。国の責任か、府県の責任か、市町村の責任かわからぬようなことのないようにしよう、この仕事は国が責任をとる、この仕事は府県が責任をとる、この仕事は市町村が責任をとるというように、責任を担当した以上は、自分の力によつて財源の力において、全能力を発揮してあくまでやつて行く。これまでのように、国の力に依存する、府県の力に依存するということなく、各地方団体も府県は府県、市町村は市町村で自分の責任においてできるだけやる。もつともできぬ面もありますから、補充することも必要でありましよう。協力することも必要でありましようが、とにかく責任を第一に考えるということにいたしたいと存じております。 第二は能率でありましたが、その力においてできないことはむずかしいかもしれない。できるだけ能率の一番上るところに仕事を持つて行く。能率の悪いところは避けて、能率の高いところに持つて行く、こういうことを考えたのであります。 第三には、国よりも地方、地方の中では市町村、人民に直結したところの団体である市町村を人民がよく監視して、仕事の能率を十分発揮できるように、できるだけ市町村で仕事をさすように持つて行こう、こういう考え方であります。 もつとも三つの原則を組み合せましたから、たつた一つの原則であれば徹底いたしますが、三原則をあわせ用いた結果、多少不徹底、不満足の点が出て来ることはやむを得ません。三つの原則が併行して一番適当ということになればよろしい。そうでない限りは、どちらかの原則を讓つてということになれば妥協になります。そうなりますと、多少人の考えが違つたのでありまして、われわれ大いに迷つたのでありますが、しかしその点はできるだけ各方面の意見を聞いて、公平妥当なものを求めようと努めたのであります。そういたしまして、まず各仕事につきまして、国の仕事といたしましては、国でなければできぬ仕事というものは何であるかということを考えますと、それは国家の組織存立に関するような仕事であるとか、あるいは国家全体の企画に関する仕事であるとか、あるいは統制に関する仕事、あるいはほかの団体ではあまりに能率が悪いとか、あるいは不適当であるというようなものを国に残すということにいたしまして、検討した結果、二十九種類の仕事を国の仕事と仮定いたし、あとは地方にやらす。地方にやらせましたときに、その仕事はできるだけ市町村の仕事にする。市町村といたしましては、先刻から申しました通り、人民に直結する団体であるがゆえに、それはできるだけ市町村にやらすことにいたします。しかしながら市町村の地域を越えて各市町村にわたつて行わなければならぬ仕事などは、やはり府県ということになりましようし、さらに市町村ではあまりに能率が悪い、不適当であると認めたものは、これは府県でやつて行く。こういう建前にいたしまして仕事を配分したわけであります。そうして仕事をして行きます上においての方式といたしまして、これまでのように国から府県、府県から市町村に対して権力的に関與するということは、各自治体が責任をもつてやる以上は、その責任を侵すことになりますので、これはできるだけ避ける。府県なり市町村なりが責任を持つてやつている仕事につきましては、これまで国あるいは府県が、府県なり市町村に対して許可とか、認可とか、命令とか、取消しとか、変更とか、いろいろ権力的に仕事を左右いたしましたが、それがためにいろいろめんどうな煩雑な手数をかけたわけでありますから、そういうことはしないで、市町村なり府県なりから報告を聽取する、あるいは助言をする、援助をするというようなことはしてもよろしいけれども、許可、認可等はできるだけ避けるという方式にしたのであります。但しそれでは国家的な立場から見て困るという問題も起りましようから、そういう場合には、各地方団体のやつた仕事につきまして、あるいは取消し、変更、代執行までやらなければならぬこともできて来ましようし、その場合には、ただ国あるいは府県がただちにそれを発動するのでなくて、何か公平な中立的な機関をつくつて、その承認、了解を得てそういうことは行う。もつとも人間、家畜、植物等につきまして伝染病とか、急を要する処置を必要とすることがありましようから、そういう場合には事後承認でも受けるということにいたしまして、しかしただちにその権力を発動するということは差控えるというふうな方式に持つて行きたい。これはこれまでとは違つたやり方でやつて行きたい。仕事をただ国と府県と市町村の間で分配するのじやなくて、やり方につきましてもこれまでよりはその方式を民主的にいたしたい。権力的な活動は相当制限しよう、こういう考え方であります。もつとも最小限度に国が起案、委任をするということはやむを得ない場合がありますし、また弊害がない場合もありますから、やむを得ずまた弊害なき場合は、一定の場合は認めるけれども、まずそれもなるべく少くするという方向に持つて行つておる次第であります。なお仕事の分配の上でありますけれども、これはどうもたくさんの仕事にわたりますので、一々申し上げるよりも二、三の例をとりまして、われわれが分配するについて起りました問題点の若干を申し上げてみたいと思います。仕事を配分するにつきまして、国の立場と地方の立場とは非常に違うのでありまして、また府県と市町村の立場でありますと、それほどではありませんが、せつかく国でもつてやつておつた仕事を地方に譲るということになりますと、府県の仕事がそれだけふえる。同時に国の仕事が減りますと、国の役人という立場から申しますと、何かさみしい感じがいたすのでありましよう。いろいろ理由をつけては、それはいかぬと反対するのであります。いろいろな方面に同じような問題が起りましたが、二、三の例をもつて申しますと、たとえば労働行政というものをとつてみますと、労働基準局の仕事、職業安定所の仕事というものは労働行政としては相当大きなものでありますが、これにつきましても非常にむずかしい問題に立至つたのでありますが、しかし最後に私どもといたしましても、労働基準のことはこれはやはり国がやつたらよかろう、地方でもできるということで相当にいろいろな意見、主張もありましたけれども、しかし労働時間の制限等の問題になりますと、これは地方と地方との間においても、ある地方が労働時間を寛大にした、他の地方は厳重にする。地方間の不正競争というようなことも起りましようし、それはまた地方間の問題で、国内限りの問題でありますが、また対外的にも、国際的にも、その労働基準ということが厳重に行われませんと、日本の信用を落す。條約のことはまだ今のところどうなつておるか、今後の問題でありますけれども、とにかく対外的に信用を落す、不正競争を誘発するということで、いろいろな支障をきたしますから、これは国がやつたらよかろう。統一的に国が自分の機関を各方面に置いてやつたらよかろう、地方にまかせるよりはよかろうというようにきめた次第であります。職業安定の問題におきましても、これもずいぶんやかましく議論を闘わしたのでありますが、職業安定というようなことは これはやはり日本全体の労働の需要供給を見はからつて、あんばいすべき問題でありますから、国家の手でもつてやつた方がいいのだというような考えが出て参つたのであります。私どもといたしましては職業安定の仕事は、何といいましても労働の需要供給のことが主であつて、東京は東京、大阪は大阪、仙台は仙台、各地方においてその地方の労働者の需要供給を調整するのが主である。なるほど全体的に東京の労働者を九州に送る、北海道に送るということもありましようが、これは連絡をとればできることであります。労働基準のように正確に厳格にやるほどのことでもない。相当に彈力性のある仕事でありまして、連絡をとれば各地方としてもできる仕事であるから、これは地方にまかせたらよかろうということにいたしまして、これもずいぶん労働省あたりの反対がありましたが、私どもとしてはせめてこれだけは地方に移した方がいいという結論に達したような次第であります。もう一つ、最後までいろいろな方面から苦情が来まして決定を待つた問題として、運輸行政の問題を申し上げます。運輸行政の問題におきまして、初めにはいろいろ考えがありまして、地方鉄道軌道のごときものにつきましても、一部に地方でやらせたがよくないかという考えもありましたが、これは交通の場一貫性といいますか、すべて鉄道軌道は全体として網ができておりまして、関連をして行政をするものであるということで、これは国の仕事に思い切つて移したのであります。その次に問題になりましたのは自動車のことですが、自動車行政は、私ども結論は、この定路線、たとえば遊覧バスのように、路線がきまつて、定時出るようなバスのようなものであるとか、あるいは路線をきめてずつと行く定路線の貨物の自動車であるとかいうようなものを、これも初めには地方にということも考えましたが、だんだん考えますと、これもやはり鉄道網とつながりがありまして、一貫的に国の手において管理した方がよかろうというように考えまして、そういうものは国の方に残したのであります。しかし單にある特定の個人から頼まれて動くところの貨物の自動車であるとか、あるいは貸切の自動車であるとか、また自家用自動車であるとか等々、そういつた関連性を持たずして行われるものは地方にやらす。ことにバスのようなものは道路を使用いたしまして、道路の管理ということは相当に府県なり市町村の負担になりますので、やはりその点も考え、道路等管理の上のことも考え、さらには地方の各種産業の関係等も考えまして、そんなものまで国で握つている必要はなかろう、地方に移そうということになりまして、府県に移したような次第であります。その他自動車の車体検査等につきましても、これくらいのことは地方でもよかろうというので移したのであります。それから軽車両のようなものは、市町村に移すというようなことにいたしまして、ある程度国の全体の立場を尊重いたしまして、国に統一するものは統一し、国に統一しなくても行けるものはできるだけ地方に移すという建前をとつて、分配したのでありまするが、その他一々申し上げますと何ですから、省略さしていただきます。 かようにいたしまして仕事を分配いたしますと、自然市町村の仕事というものはこれまでよりは、責任において行わるべきことがふえると思います。従いまして従来の市町村の規模で、はたしてうまく行くかということが問題になりまして、だんだん研究いたしました結果、あまり小さい市町村ということでは、仕事ができにくいだろう。そこである程度の規模の市町村たることが望ましいという結論に達したのであります。各方面を調べてみました結果、せめて人口は七、八千なくてはいかぬ。一例をとりますと、たとえば中学校をつくるにいたしましても、人口七、八千のところで一校くらいが適当だということも聞きますし、できればそれくらいに持つて行く方がよろしい。役場の吏員にいたしましても、人口二、三千でも村長も助役も戸籍係も何係もいるということになりますから、やはり人口がある程度多い方が割合に安くつく。人口の少いところに行きますと、役場費が非常に多くかかつています。どうしても目に見えないむだがあるから、そこに持つて行きたい。但し人口が多くなりまして、一万以上とかいうことになりますと、これまた都市的な要請がおのずから起つて来るせいでもありましようが、割合に高くつく。人をよけい要するとかいうことになつて、ちようど人口七、八千というところが、統計をとつて参りますと、まあ割合に軽い負担で仕事ができるようであります。そんなことが標準にして考えられます。従つてなるべくそういうふうにしてもらつて、與えられたところの新しい何がしかの仕事も、能率的にできるように仕向けたいと存ずるのでありますが、それも強制ではなくて、できれば民主的に、民意が反映して、進んでやろうということにしてもらいたいという趣旨でありまして、必ずそうするというわけではないのであります。やらなければならぬ。これをどうするということもできませんが、まあしかしできるだけそうするように、各府県において委員会をつくつて、促進といいますか、お勧めする、勧奬するというくらいのことは、やらなければならぬかと存じますが、とにかく無理押しはしないで、その方が住民の利益に合致するから、そうしたらどうかとお勧めしようということに持つて行くつもりであります。しかししよせんよく考えてみますと、おそらく選挙などもこの四月に迫つておりますし、よほどむずかしい問題だと考えますけれども、方向は、すぐということはできませんでも、やがて今度新しい選挙の前にできればよし、できなければ、その次の四年間に逐次合併していただくような方向にお進めしたい、こういうふうに考える次第であります。従いまして、無理ができませんから、なかなか町村を合併していただくこともできないので、結局人口七、八千以下二、三千とか、四、五千以下の村も残ることでありましよう。ことに村によりましては、なかなかどうして山間の非常に飛び離れたところであるとか、あるいは離れ島であるとか、いろいろの條件がありまして、必ずしも理想通りに行かぬ。結局わずかな人口でもつて独立の村をつくるよりしかたないというところもできましようから、やがてそういう適正規模に到達しない村も、本来からいえば、村自身が、その責任においてやらなければならぬ仕事でも、府県が相かわらずそれを助けてやる、補充する。補完するということもやむを得ぬ遺憾な点かとも思うのであります。そういうことでありまして、なかなか実行が急速にはできぬでありましよう。ことに行政事務につきましては、なかなか各省とも出ししぶりがちといいますか、自分たちの仕事が少くなるについて相当の抵抗が予想されますので、私どもの出した勧告案というものが、法案となりまして出ることは、急速には望めぬかと思いますけれども、できるだけそういうふうに持つて行く。目標だけはそういうふうにおきめ願つて、できるものから逐次実行に移していただく、法案化するようにお願いいたす次第であります。 なお勧告案はそれだけでありますが、私どもの仕事はこれによつて終つたのでありませんで、どういたしましても、この新しい方式によりまして事務の再配分をしますと、仕事の振りかえがありますから、あるところでふえ、あるところで減りますから、減つたのとふえたのを差引して同じになればいいのでありますが、差引してふえたということになれば、何か新しい財源を減つたところから持つて行く。国の方で減りましようから、国から幾らか府県なり市町村なりに移していただくようなことが出て来ると思いますけれども、そのままで国の仕事が十だけ減つたから、すぐ十を国から引く、十を府県なり府県にプラスするというには及ばぬと思います。なぜかといいますと、新しい方式に従いますと、これまでのようなやり方が、できるだけ簡易な方式にかわりますから、ただ認可取消、変更、それにすつたもんだで、あつちこち往復することの連絡も、めんどうな手続、人間なり旅費なり、いろいろなものを相当に省けるものもあろうかと思いますから、全体からいえば、この方式が完全に行われれば、全体が減るということが言えるわけですが、そこまでそう減るということのはつきりしたことは答えられませんので、むずかしい問題になりますけれども、しかし全体から言えば、ふえるよりは減ることに考えられると思います。けれども、それにいたしましても、相当に仕事がふえて、財源が詰まつておりますと、これをほつておくわけにいきません。これは大いに考えなければなりません。これをどういうふうに改善するかを今しきりに考えておりますが、いずれにいたしましても、この増減によつて生ずるところの相当以上の大きな余りなり欠陥というものを、調節するところの財政措置というものを考えなければならぬと思うのであります。この式で今研究いたしております。これができないというと、まだこの案が完全ではない。ほんとうの財政上の裏づけがないわけでありますから、いけませんが、しかしそれほど金の問題を苦慮しなくても済む限りにおきましては、できるだけ実現していただきたいと思います。金のくめんの問題は、これはなかなかむずかしい問題ですが、これは私どもの委員会の考えとしてきまつたわけではありませんで、私個人の考えですが、私個人の考えといたしましては、平衡交付金というようなものにあまり頼るよりは、できるだけもつと適当な財源、すなわち租税というようなもので割振りいたしまして、そして余つた方の面の金を足らぬ方の面に移す。あるいは必ずしもそのものをそのままに移さなくても、形をかえてもよろしいし、またもつと新しい適当な財源を考えてもよろしいし、何か考えてみたいと、こう考えるのであります。何かその点につきましてはもう少し考えました上で、適当な措置を講ずるつもりでおります。いずれにいたしましても、財源措置ということが一つの問題でありまして、これは私ども現に專門委員会に頼みまして、いろいろ資料を集めさせておりますが、今のわれわれの予定では、五、六月ごろまではかからなければ、ちよつとできない。すぐというわけには参らないわけでありますから、その点を申し上げておきます。 なおその他の面におきまして申し上げおきたいこと、しばしばこちらから御質問を受けましたような府県の統合という問題もありますが、これなども市町村の統合よりは、よりむずかしい問題ですから、その点につきましては、私どもといたしまして大きく申し上げることはできない次第であります。しかしできますればそういう問題も一応触れてみたい、どの税度のことができるか知りませんが、府県につきましてもある程度は、何らかの考え方をまとめたいと存じております。それからその他東京都の区議会という問題も一つの懸案でありまして、二つの違つた対立した意見がありまして、何らかの妥協の方法を講じてみたいと、これも調査しつつあります。もう一つの第三の問題は北海道の問題です。北海道は御承知の通り、今日におきましては、自治体の形をなしておりますが、しかし北海道には内地と違つた開拓という特殊な問題があります。これは單に北海道のみの地方の問題でなく、全国民関心を持つところの問題でありますので、北海道の開拓については特殊性を認めて、特殊的な一方法というものがないかどうか。ただ普通のなり来たりの形で行けば簡單であるが、そうでなく国が何かもつと自治を害さないでもつて、国家の重大使命を達成するような都合のいい方式はないかということを苦慮いたして、研究を続けておる次第であります。大体そういうようなことがおもなる問題でありますが、なおもし許せば地方制度につきましても、その他の面において重要な問題をとらえまして、付帯的に考えることもあろうと思います。しかし大きな問題として割当てられておりますのは、先刻申し上げましたような財政措置の問題、それから北海道、東京都さらにもう一つ特別市の問題ですが、大都市を特別市としてどう扱うか。今現行に特別市という制度がありますが、空文になつております。特別市となつてよさそうなものが、実現ができないような仕組みになつておりますからこれをどうするか、このままにしておくか、もつと生かしてああいう制度が活用できるような道を開くか、どういう形式にすれば開かれるかということにつきましては、検討を要する問題だと思います。これもあわせて考えておる次第であります。なおそのほかに勧告案の前文にちよつとうたいましたが、法務府の問題が残つております。地方の法務府をつくるという問題がありまして、各府県なり市町村なりにおきまして法律制度を立案するとか、調査をするとか、あるいは條例の違反に対する検察官的な仕事等に当るようなものとか、外国の例等から見ますればありますから、日本としてはどういうふうに持つて行くかということで、法務府の問題も取上げまして研究いたしておる次第であります。 もう一つ残つておる問題を申し上げますれば、警察の問題であります。警察は全然触れておりませんけれども、警察もやはり今日におきまして、自治体警察が本位でできておる警察制度でありますから、これはその本旨に従いまして、その精神を没却しないようにするというふうに考えるべきであると存じますし、そうかと申しまして、いろいろ今日問題になるように、どうもそれではほんとうに警察が弱体であるということを言われますから、これもほんとうに警察の力を発揮するには、何か改良を加えなければならぬというような問題があるようでありますが、それらにおきましても各方面の意見を聞きまして、極端に走らないように、中正妥当な線を引いて案を考えようと存じまして、この方も研究いたしておる次第でございます。勧告案の大要と、それ以後におけるわれわれのなすべき問題、なしつつある問題につきまして概略申し上げた次第であります。なお申し上げるまでもなく、この問題は行政の各部からいいますと、地方自治のために犠牲を拂わなければならぬということもありますので、相当各省の方面からは抵抗があるのでございますが、地方行政委員会といたしましては、地方自治のことをよく御考慮いただきまして、何分この実現ができますように特別の御配慮をいただきたいとお願いする次第であります。
○前尾委員長 それでは神戸正雄君に対する質疑を許します。立花敏男君。
○立花委員 最初にお尋ねいたしたいのは、この勧告案をおつくりになつたお気持なんですが、純粋に理想的なものとしておつくりになつたのか、それとも日本の現在の自治体の置かれておる実情に即しておつくりになつたのか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
○神戸説明員 私どもと申しましても委員が五人おりますから、めいめいにの考えを持つておるかもしれませんが、私が多分そうであろうと推測するところによりますと、委員の方は相当に理想的にお考えになつております。自治という声のを形式的でなく、ほんとうに心から自主的な精神で運用して行く、それには形の上からも、これまでのような上から下とかというような命令、服従、あるいは権力服従というようなことでなく、皆協力してやつて行く。対等という言葉は語弊があるかもしれませんが、国が府県に、府県が市町村に命令するというようなことでなく、助け合つてやつて行くという協力の精神をもつて、そうして国なり地方なりというものが、自己の責任においてやつて行く。責任と協力との精神をもつてやつて行くのにどういうやり方がいいか、ただ口先で、あるいは気持だけでやつても仕方がない。形の上である程度現わそうということになりまして、仕事を動かすだけでない、仕事のやり方の上においても、これまでよりはかわつた形式をとりたい、先刻も申しましたように 地方団体の責任においてやつた仕事の変更とか取消しとかいうこと、あるいは代執行等につきましても、あくまでただちにやるのでなくて、相当な中立的な機関の了解を得てやつて行く、こういう考え方から、相当つつ込んで私どもは理想的にやりたいと考えております。さりとて現状を無視するのでなく、やはり実行できるように、みなそういう気持になれば実行できるようにということを主にいたします。従いまして各地方につき、また各省、各局につきましていろいろ御意見を伺つて、とるべきはとり、捨てるものは捨てて、中正にやりたいということでありますから、精神は理想でありますけれども、理想に完全に徹底することはできませんから、現状ということも尊重いたしまして、現状にもある程度即しております。ただこの理想は、單なる空論ではない。相当に実際のことを調べた上で、まあこれなら行けるというものを考え出したつもりでおる次第であります。
○立花委員 理想論が非常に強いと思うのですか、その理想のタイプをアメリカにおとりになつたというふうな傾向が非常に強いのでございますが、そのアメリカの地方自治のあり方が、最近では国家統制の強化の方向に行つておるということが言えると思うのでございます。この問題に関しまして、やはり日本におきましては、理想的にこのアメリカのものをおとりになりましておつくりになつたこの勧告案が、今後の日本の制度の方向からいたしまして、国家統制の方向がずつと現われて来る。たとえばさいぜん申されました労働の問題にいたしましても、おそらく大戰当時のような国家的な統制の問題というものが、ただちに起つて来るでしようし、あるいはお述べになりました自動車の問題にいたしましても、やはり国家的な統制の強化の方向が出て来ると思う。だから勧告案の方向と、現在の日本の政治がたどりつつあります、またたどるであろう方向とは、まつたく逆の方向だろうと思うのでございますが、この点、どういうふうに議長はお考えになつておられますか。
○神戸説明員 お説の通りアメリカでは最近中央集中的な傾向が現われておるということは、すべてアメリカに行つた者が聞いて来、また見て来ることであります。アメリカのは地方自治、地方分権といいますか、中央集中でなく、真に民主的に、地方的に責任を持つてする仕事が長い間慣習になりまして、それがあたりまえというふうにまで行つておりますから、そこにアメリカが時代の推移によつて、もう少しアメリカとして国の全体の力を伸ばし、さらにそれが分権の弊害を調整するために、集中的なことをやろうということになつておるのであります。しかしそれは根底において強い分権的な思想なり制度なりがありました上におぶさつておるのでありますから、全体として見ますればアメリカはほんのわずかこの集中的な面があるだけでありまして、やはり分権的なやり方が大部分を占めておるといつていいわけでございます。ところが日本の方は、地方分権とか地方制度ということは制度としてはありましたが、やはりこれは中央集権的な地方分権といいますか、ほんとうの地方分権ではなく、あくまで国とか府県にたよるというような、下の力からいうとたよる、上の方からいえばたよらせようとする、何でも保護しよう、保護にありつこうという気持からできておりますので、アメリカの線まで行くのには、まだまだ日本の地方自治とか地方分権ということは、制度とか形の上からも、もつと推し進めなければならぬし、精神の上からももつとわれわれがつちかわなければならぬのでありますが、何といたしましても日本の民主政治なり、日本の自治制度というものを決定するためには、アメリカの分権的な制度に習うべきものが多いと思うのであります。この点につきましてはわれわれも相当苦心をいたしましたが、私どもの立場から見ますと、アメリカがすでに中央集権でなくなつて来ておる。ことにアメリカが今度は戰時的な統制をやつておりますから、われわれもそれに従つて統制をやつて行こうということは早過ぎるのじやないか、むしろ私どもといたしましては、できるだけ分権的な精神を養い、制度の上におきましても、もう少し分権を徹底するようにしたい、こう考える次第であります。従いましてわれわれも今後初めから国家統制を要する問題は、これは国がやるのだということを前提といたしまして統制をやる、あるいは食料品の統制あるいは価格の統制等すべて統制を要するものは統制に従つてこれは国でやる。国で統制するということを考えます。それからいろいろな問題につきましても、統制をやめていいという考えは毛頭ありませんので、日本がかりにもつと逼迫いたしまして、今の自由制度を統制にしなければならぬという主張がありましても、それは国の力によつて、元のように、形体は軍国時代の統制とは少し違つた態勢をとりましようが、国として統制手段を講ずるということも、これまたやむを得ぬことであります。それはあくまでも直したい。かりに地方分権にいたしましても、統制の必要があれば、命令一下、全国がすつかりぴたつと右に左にということになり得る余地は残してあるはずでありまして、決してそれを否定しておるのではありません。できるだけ分権する、しかしぜひとも統制を要するというものは、あくまで国の手でやつて行くということは堅持いたします。その中間をとりまして、結局お説のようにアメリカは中央集中的になつて来た。それだから日本でやるのは逆行ではないかということでございますけれども、私の考えからいうと、まだまだ日本では地方分権の方に力を注がなければならぬのではないか、私はそう思います。
○立花委員 私も神戸委員長の勧告案に、理想的には賛成なんでございますが、日本の現在の政治情勢が神戸委員長の案とは、逆の方向に行くんじやないかということが予想されます場合に、その間の矛盾をどういうふうに解決なさろうとお考えになるか、そういうことをお尋ねいたしましたので、神戸議長の案は理想案としては最も優秀なものでして、その点では異存はないのでありますが、実際政治情勢の逆の方向へ行く。すでにアメリカでは、逆の方向へ行きつつある。アメリカの中央集権が制度上自然発生的な、発展的な集中だといふうに、議長は御了解のようでありますが、現在アメリカが集中を行いつつありますのは、やはり何と申しましても戦争のための集中だということが言えると思います。この間も賃金の凍結をやり、物価の凍結をやりまして、労働者がストライキを始めております。その前に、すでに戰時物資の統制、これは輸出までも含めまして戰時物資の統制をやつておりますし、いろいろな統制の面がアメリカではずつと出て来ております。そこでアメリカの影響のもとにあります日本におきましても、こういう問題は必ず起つて来るのではないか。さいぜん議長がおあげになりました例をとりましても、すでにこんな問題はすぐ起つて来ることが予想されるのじやないか。こういう場合に、せつかく理想的な案をおつくりになつても、日本の実情と矛盾して来るという場合について、どうお考えでありますか。これは非常に重大な問題ではないかと思う。これを実施に移します場合に、やはり非常に重大な問題だと思う。たとえば町村の廃合の問題をとりましても、日本におきましても戰時中に、戰争のために、強制的に上から町村を合併さしております。この問題は今まで尾を引いておりまして、これを分離するのに大分問題になつておりますが、これがたまたま会議でおつくりになりました町村の併合の問題というものと、実際は一致しておるのでございます。こういう点で、せつかく理想的におつくりになつたものが、戰争のために使われるという場合が、私出て来るのじやないかと思うわけです。この勧告案は理想案だとおつしやられます。また議長も仰せになられましたように、地方自治の建前からおつくりになつたのだ、そう言いますと、とりもなおさず新しい憲法の、戰争を否定した立場からおつくりになつたのであろうし、平和と日本の自由、民主化をいたしますところのポツダム宣言の精神に従つて理想案をおつくりになつたのだろうと思うのでございますが、実際は町村の廃合の問題を例にあげましたように、戰争のためにいいところだけはとられまして、せつかくの理想案も、人民が最も欲しておりますものはやられないという状態が起ると思うのですが、この点の矛盾はどういうふうに解決なさるお見通しでございますか、承つておきたいと思います。
○神戸説明員 どういうふうにして解決するかということにつきましては、委員会議の使命といたしましては、できるだけ理想に近い、但し実際に即した、実際とあまりかけ離れてない案をつくれという使命にかんがみましてつくりましたので、これをどう実行するかといいますれば、結局まず政府なり国会なりのお取扱いによつてきまるのでありますし、その政治的なお力によつて実行していただくよりしかたがないのでありまして、私どもといたしましては、まつたく政治力を持つておらないのでありますから、しかるべく実行できるように、その方向に法律をおつくりになり、実施せしめられればそれでよかろうと思います。私どもといたしましては、決してできないことを申しておるのではなく、実行の難易はありましても、努力すればできることと思います。もし実行にとらわれて、いつまでたつても、これは理想であつて実行はできぬと言いますれば、すべては旧態依然と相なつておるばかりでなく、かえつて逆転いたしまして、今のような時勢におきまして、ややもすれば軍国的な考え方が、どこかに隠れて復活しようというときに、むしろ利用されることになる。集権的なことを立案すればすぐ利用されるのでありますから、私どもはむしろそういうことは望まないのでありまして、できるだけ日本がきわめて堅実な発展を遂げますように、極端に反動的な傾向に陷らないためにも、やはりこういう理想に沿う案を考えますことが、またそれを実行していただくことが、その牽制ともなるのではないかと思います。しかしこれをどう実行に移すかということにつきましては、政治の問題でありまして、私どもはその面はむしろ皆さんのお力によつて適切におとりはからいいただきたい、こう存じておる次第であります。
○立花委員 やはりこれは理想的な案でございまして、これをピツクアツプして、時の政治情勢に合つたものだけひつぱり出して来るというのでは、非常に全体の精神が失われるのじやないか。特に最近全国で問題になつております市町村併合の問題にいたしまして、も、そういう強い傾向が現われておりまして、巨大軍需産業の周辺の市町村を併合して行くという傾向が、強く現われております。こういう面だけを利用することは、勧告案の精神を冒涜するものである、そういうふうに私理解したいと思うのでございますが、よろしゆうございますかどうか。 それから、反動的なものは現在日本にもある。それが集中的な、中央集権的なものを利用しようと考えておるとおつしやられたのですが、実は反動的なものあるいは軍事勢力的なものは、決して中央集権的なものだけを利用するのではなしに、地方分権的なものも利用するということは、私当然言えると思う。ただ分権的だから利用されないということは言えないのではないか。たとえばこれは戰法にもあるのですが、各個撃破という言葉がありますし、分割支配という言葉もあります。植民地支配におきましては、分割支配が原則なんです。だから中央集権的なものは反動勢力に利用されるが、分権的なものは利用されないということは言えないのじやないか。そういう意味で、私どもは日本の置かれている現状から見まして、敵に利用されないような案を、やはりおつくりになる必要があるのじやないか。分権的なものは、私は現在の情勢では多分に利用されるおそれがあると思う。私どもそういう点で、道州制というようなものはむしろ危險なものではないか、そういうふうに考えております。だから中央集権的なものだけが、反動勢力あるいは独占資本に利用されるものだというふうにお考えになつておられましては、敵に虚をつかれるおそれがありますので、この点はひとつ御考慮願いたいと思います。 それから最も根本的な問題で、議長もお触れになりましたようですが、私は、どうも地方のあり方に対する政府の施策が、ばらばらじやないかと思う。この地方行政調査委員会議も、あるいは地方財政委員会も、ひとしくシヤウプ勧告から出て参つておりまして、一つのものから出て来たものでありますが、それらの意見が非常にばらばらになつておる。たとえば議長はさいぜん平衡交付金にたよらないで、租税で行くのだ、行政事務再配分の問題も、財政的な裏づけがなければいけないので、それには平衡交付金にたよらないで、租税で行くのだというふうにおつしやられました。ところが地方財政委員会の方からは、租税の問題は出て来ておりません。国税の地方委譲の問題は何ら地方財政委員会が言及していないところなんです。こういう点で同じシヤウプ勧告から出て参りました地方行政調査委員会議の重大な結論に対する裏づけの問題で、やはり地方財政委員会が、はつきり裏づけていないということが言えると思うのでございますが、こういう点でどうも地方の問題に対する一貫したものがないのじやないかと思うのでございます。議長とされまして、従来そういう点に矛盾を感じられたことはないか。あるいは統一のためにやつておられるとすれば、どういう方法でやられたか、ちよつと参考に承りたいと思います。
○神戸説明員 地方分権がかえつて反対の敵に利用せられるということをお話になつたようでありますが、そういう懸念があるということは、これはどうも物の見方でございまして、両面があります。利用しようとか、濫用しようと思えば、知恵のあるやつにかかれば、何とでも利用しますから、分権をわれわれの意図と反した結果に持つて行かれることは、ないとは言えません、ありましようが、しかし日本のような地方自治、民主的な政治というものにまだ徹底していないところでは、もつともつと教育の上からも、あまり集中的な、国家にたよる考え方をやめて、自主的な精神をわれわれの生活の上にも、地方行政の上にも伸ばしたいということで、私どもは動いておるのであります。多少それが反対に利用されるということもありましようが、できるだけ地方分権なり、民主政治なりをもつと拡張するという面におきまして、かような勧告案がその方法となるというふうに考えておる次第であります。 それから先刻お尋ねになりました、地方財政委員会の考え方は、新しい税源ではなく、むしろ平衡交付金の増額ということにたよつておる、それとわれわれの考えとが違つていはせぬか、こういう御質問でありましたが、地方財政委員会といたしましては、別段連絡をとつたわけでありませんので、地方財政委員会の立場といたしましては、まず租税制度は最近大体の税の配分を終りまして、新しい制度をつくつたまぎわでありますから、今日ただちにいじくるということよりは、比較的行いやすいところの平衡交付金の増額によつて、まず応急的にまかなつて行きたい、こういう気持であろうと思います。それはよくわかります。私の申し上げたのは、私の地方行政調査委員会会議として、まだ結論に達しておりませんし、地方財政委員会と連絡をとつて考えた考え方でもありません。先刻お答えいたしましたように、私の考えといたしましては、平衡交付金というような国家の財源にたよるよりは、やはり地方として独自の財源を自己の責任をもつてとつて、とつた税の結果を人民によく明らかにして、納得して税を出してもらつて、よいりつぱな政治を行うように持つて行きたいという考え方から出ておりまして、私の考えが必ずしも地方行政調査委員会議の、私どもの同僚の気持をとらえることができるかどうかもわかりません。地方行政調査委員会議としての考えと、地方財政委員会の考えと、この政府の二つの機関が調和をとつていないという御質問に対しましては、それはただ地方財政委員会の当面の、応急的の措置としてのお考え方であつて、十分連絡をとつての考えではないのですから、二つの間の矛盾ではないということだけは御了承願いたいと思います。私の独自の、一人の学者としての考えといたしましては、あくまで平衡交付金にはできるだけたよらぬで済むような租税制度を、地方のためにつくつてやるということで考えるよりしかたがない。またそういうふうに考えてみることが親切だろうと、自分は信じております。そういうことでございまして、機関と機関との間の矛盾でなく、まつたく私だけの考えでありますから、どうぞそういうふうに御了承願いたいと思います。
○立花委員 平衡交付金の問題、地方税の問題、地方財政の問題につきましては、議長の理想的なお考えも、私ども非常によくわかるわけでございますが、またそうでなければいけないと思うのでございますが、やはり現実の問題といたしまして、地方財政委員会がそういう問題を出して来ていない。しかもお出しになりました勧告案は、すでに来年度から実施したい、どれだけの部分になるか未定でございますが、ある程度実施したい、そういうことになりますと、やはり地方といたしましては、そういう理想的な、財政的な裏づけなしに、やはり暫定的な財政的なものの上に、改正案が出て来るという危惧を感じる。だからその点でやはり納得さすだけの意見の統一がなければならないと思うのでございます。お言葉によりますと、地方財政委員会との連絡をおとりになつていないということでありますが、やはり勧告案は、案をおまとめになるまでは、あるいはそういうことでもいいかと思いますが、勧告案を実施される、少くとも二、三箇月の後、来年度から実施されるというような場合には、やはり一応財政の問題につきましても御連絡を願つて、地方が、再配分の場合はこういう財政的の裏づけがあるのだというふうに安心して受入れられるような意見を、統一的にお出しになる必要があると思いますが、ただいま申し上げましたように、シヤウプ勧告からこの両方の委員会も出て来ておるのだし、勧告も出て来ておるのでありますから、何と申しましても、統一的に案なり意見なりが出て参りませんと、ばらばらでございますと、どうなるのかというおそれが非常にございまして、いらない不安や混乱、摩擦を起すんじやないか。またわれわれ地方行政委員会といたしましても、その点は非常に問題なのであります。これはもちろんわれわれ自身の問題でございますが、案をお出しになる場合も、やはり統一すべき機関では統一した意見をおまとめになつて、お出し願いたいと思うのでありますが、そういう問題につきまして、議長の方で何かお考えなり、御抱負なりございましたら、参考に承つておきたいと思います。
○神戸説明員 やはり暫定的といいますか、応急的といいますか、仕事を配分いたします結果、どうしても足らぬものはただちに新しい税源を指定するということも、できない面もございますので、やはり応急的、暫定的には平衡交付金を利用するという考え方には、委員会議もなつております。その点では委員会議も暫定的には、それでやつて行こうということであります。しかしほんとうに根本的に考えますと、検討いたしまして、書類も整備して、適当な税源を見つけるという方向に持つて行かなければならないと私は考えております。むろんかりに勧告案の一部でも実行いたしまして、そのために金がいるということになりますれば、すぐ裏づけとして、暫定的には平衡交付金の増額を願うよりしかたがないということになると思います。しかしながら、それで事は済むのじやない、何とかひとつ考えてみようということは、十分私どもも考えておるところでありますが、仕事の面におきましては、平衡交付金というものをまず利用するということは、やむを得ぬものだと思つております。
○立花委員 大体お聞きしたいところはそんなところでございますが、最後に、最近非常に重要な問題になつておりますので、お聞きしたい点が一つあります。実は警察の問題であります。先般のこの委員会にも、大橋法務総裁が出て来られまして、警察法の改正の問題にお触れになりましたが、やはりその方向が、国家警察の強化、十二万五千のわくの拡大という方向に行くのではないかと思うのでございますが、さいぜん議長のお話では、やはり自治体警察を本旨とするというふうに言われたのでございます。この点法務府と地方行政調査委員会議との間のお考え方の相違について、もう少し詳しく承らしていただきたいと思います。
○神戸説明員 実は私、その問題について今検討中でありますので、はつきりとお答えすることができないのでありますが、私は法務府総裁の御意見、御主張を実は今日伺いました。それから自治体警察を代表して警視総監の意見も伺いました。さらに国家地方警察の本部の幹部の方にも意見を伺いましたし、自治体の視察もいたしました。預かつている予備隊の現状も見せていただきました。御意見も聞き、さらに施設も見ましたから、大体警察がどうなつているかということはわかりましたが、ちよつとはつきりここで申し上げることは差控えますけれども、私どもの考えとしては、やはり自治体警察がせつかくできておる、ことに地方自治の面においては大事な要点であるから、これを取去つて国家地方警察に併呑してしまうとか、あるいはその他地方自治体の警察をあまりに縮小するようなことをすることはできるだけ阻止して、大きな線は地方自治体警察の保存のために努力したいと思います。しかし国家地方警察なり、法務総裁の考えておる点にも、何がしか聞くべきものがありましようから、どういう形で取入れるかということで苦心しておるのでありまして、実は結論が出ないのであります。再々各方面に渡りをつけておりますが、むずかしいので困つております。しかし私どもの立場は、できるだけ自治体警察を保存するという立場でありまして、この点は疑いありません。ただどういう形で国家地方警察の要請、必要を織り込むかという問題であります。それが結論が出ないのでありまして、もう少し時間を要すると思います。その点ひとつ御了承願いたいと思います。
○立花委員 理想的な案をおつくりになる建前から申しますれば、どうしてもこれは自治体警察に行かなければならないと思うのでございます。そういう点では、自治体警察を本旨とするということは原則であつて、これはかえられない原則だと思うのでございますが、それはどうなんでございましようか。自治体警察を保存するというと何か非常に消極的な考え方であるように思うのでございますが、やはりはつきり自治体警察を拡充するのだ——むしろ国家警察はなくするのが建前でございまして、自治体警察に行くのだ。特に警察予備隊があるのですから、国家警察は不要だと言つても過言ではないと思いますが、それを逆に自治体警察を少くして、国家警察をふやすということは、非常に矛盾だと思います。議長の理想的な立場からすれば、自治体警察を本旨として、自治警察の拡充強化ということが建前ではないかと、私は思うのでございますが、その原則的な点を、ひとつはつきりとお答え願いたい。
○神戸説明員 原則的な点はあくまでも自治体警察本位です。御承知の通り今の警察制度は、自治体警察のみで構成しておるのではありませんので、一面に国家地方警察、ナシヨナル・ルーラル・ポリシイがありまして、自治体警察でできない面をやる。小さい自治体になりますと、これを維持することに金がかかり過ぎる。また、たといつくつても、わずかの少数の警察官では能率を発揮できないということでありますから、どうしてもある程度自治体警察を維持できないような地方のためには、国家地方警察はむろん必要であるということになりましよう。従いまして、自治体警察が原則ではありますが、国家地方警察は現存においても存在しておりますし、これの能率をどういうふうに発揮していただくか、その方式の問題がむずかしいのであつて、原則はあくまで自治体警察本位であることは私は動かぬことと思つております。しかし国家地方警察なしというわけには行かない。いかに理想といいましても、そうそう無理に自治体に警察をつくるというわけには行きません。つくれるところはつくれ、つくれぬところは国家地方警察がそれにかわるべき仕事を行わなければならぬということになりますから、これは今でも二つ並んでおりますが、二つ並んでいるものを、一つが理想だから一つだけよしてしまえ、自治体警察だけにしてしまうように徹底したらどうかというお言葉には、従えないように思いますが、原則はあくまで自治体警察というのでありますから、この点はお説と違わぬと思います。
○立花委員 もうすぐ出て来る問題なので、くどいようですが、もう一度伺つておきたいのです。小さいところで自治体警察を維持できないところは、国家警察がやつた方がいいとおつしやつたのですが、これは議長のお言葉の自治体警察が原則だということとは矛盾するのではないか。小さくても数個合せますれば組合警察の形がとれますので、小さくて維持できないから国家警察でいいというのは、委員長がお認めになりました自治体警察の原則を逸脱するのではないか。これは非常に飛躍した論法になるのではないかと思いますので、せつかく原則をお貫きになるのであれば、小さくても組合警察の自治警察というふうに改めていただきたいと思います。 それからお話が出ましたので、お聞きしておきたいのですが、議長はアメリカまで行つて来られたのでよく御存じだと思うのですが、警察予備隊の問題でございます。アメリカでは地方にありますこういうものは、どういう形であるのか。私どもの聞くところによりますと、これはナシヨナル・ガードと申しまして、州兵、兵隊だというように言つておるのでございますが、議長はこの制度をアメリカでごらんになりまして、警察とお考えになつたのか、兵隊とお考えになつたのか。ナシヨナル・ガードはやはり州兵とはつきり訳しておりますので、兵隊だと思います。これはまた正規軍にどんどん編入されておりますので、明らかに兵隊なんですが、これをひとつお聞かせ願いたいと思います。
○神戸説明員 お尋ねになりました自治体警察の原則が徹底すれば、小さい自治体では独自の警察を持たなくて組合でいいというお考えでありますが、これは同感であります。今後の案の中にもなるべく組合をつくりなさいということを言いたいと思つております。その点は異存はありません。けれどもそれでもできぬこともありましよう。実際というものはそう全部貫くことはなかなかむずかしいこともありましよう。ことに離島で人口の一人や二人——極端ですが、そんな所に警察署をつくれなどというのはむちやなことですから、自治体警察の精神を活用する以上は、独自の警察が持てない所は組合をつくりなさいということは言いたいと思つております。 それから今の予備隊の話ですが、私がアメリカで見て来た話はさしひかえまして、これは警察か軍隊か、見ようによるのでありますが、いずれにいたしましても、私どもが扱つておる警察の中には入つておりません。私が扱うのは自治体警察と国家地方警察の二つだけであります。予備隊だけは警察の一つの特別なものとして、私どもの研究範囲に入つておりませんから、御了承願います。
○立花委員 最後にもう一点。法務行政の問題ですが、検察官の制度であるとか、地方條例の違反等の権限をおやりになるとおつしやられましたが、こうなつて参りますと非常に分権的なものになりまして、地方が法務的な自治権を持つことになるだろうと思います。これは重大な問題だと思いますが、どの程度法務的な権限を地方にお與えになるのですか。これはまだ第一回の勧告には出ていないようですが……。
○神戸説明員 出ておりません。
○立花委員 いつの勧告にお入れになりますか。
○神戸説明員 いつになりますか、ちよつとはつきりいたしませんが、研究中です。それはちよつとむずかしい問題に触れまして、検察官の問題については、検察統一の原則を破りはせぬかというのでいろいろ調べておりますが、結論が出ませんので、少し長引くかもしれませんが、しかし何らかの結論を出すことができれば出してみたいと考えております。普通の法律の制度の調査、立案、解釈ということになれば現在においてもやつておりますが、検察の問題になりますと、全体の司法制度の問題がむずかしいので、研究しつつあります。
○前尾委員長 大泉寛三君。
○大泉委員 たいへん時間がおそくなりましたから、きわめて簡單に申し上げます。 たいへん努力せられて作成せられた勧告案に対しては、私どもは努めて尊重してこれに当りたいと思つております。ただ自治を強化する、あるいは民主的にこれを発展させるというのには、ただ政府にそのまま勧告されただけでは、地方住民の感覚が委員会の決定に沿うかどうか。これにはどうしてもある一定の方針を定めて勧告を慫慂しなければならないのではないか。これについて委員会としては、勧告されるような、あるいはまたいろいろ自治の内容にわたつて調査をして、この府県はこれとこれとを合同せしめるとか、あるいは同じような立場にある市町村を合同せしめるとかいうような機関を設置する御意思はないか、またそういう勧告をするような助長機関を設置する考えはないか、これを承りたいと思います。それは御承知の通り地方の完全な自治体は、まつたく昔の封建制度の権力を中心として自治体が成り上つた。こういう地方の都市は比較的まとまつておりますけれども、都会を中心として発展したような所は、やはり産業、経済が中心をなしておる。特に交通運輸関係が発展を促したというような関係から、ただわずかな川とか山とかいう昔の自然のままの行政区域になつておるものが、今はすつかり橋とかトンネルとかいうものでそれが突破されてしまつておる。そして住民は同じ土地の経済生活をやつておるのに、そういう行政区域の建前から依然としてそのままに甘んじておる。たまたま戰争中においては、軍の産業増強の要望にこたえて、いろいろ合同、合併したようなところもありますけれども、今日においてはこれはもう逆もどりしてしまつた。これに対して、当局の地方自治の助長から、今勧告案となつて現われて来ておりますけれども、いわゆる住民を支配しているところの理事者とか、あるいはその関係者に対して、そのしかるべき事情をよく話し、そして真にこの目的に沿うような手段をとらなければ、期待しておるところの成果はあげられないと私は思うのであります。これに対して委員会としてはどんなお考えを持つておられるのか。積極的にこれを府県の合同、あるいは市町村の合併等にまで進まれる意図があるかどうかを伺いたいと思います。
○神戸説明員 お尋ねになりましたのは自治体の統合の問題であるようでありますが、町村の統合につきましては、先刻申し上げました通り、また報告書の中にも詳細に記述しております通り、およそ人口七、八千程度を目安して、いろいろの事情を勘案して、適当にこれまでよりも大きいものにしたらよかろうということを勧めております。そうしてそれを勧めるのには、各府県にそれぞれ勧奨委員会といいますか、そういうようなものをつくつていただいて、できるだけそつちの方へ持つて行くようにいたすという考えであります。現に地方によりましては、自治庁からすでは通牒が行きました結果、おつくりになつているところもあつて、着々その方に向いつつあるように聞いております。府県の統合につきましては、お説の通り交通の発達の結果、旧来の府県は狭きに失するので、相当一緒になつた方がいいという考え方がありますので、この点は私どもも決して無視しておるのではなく、かねてから問題にいたしておりますが、結論には達しません。町村だけについてまずとりあえず統合の方へ持つて行つていただきたいということをいたしましたが、追つて御説のような方がよいという結論に達しますれば、できるだけその方向を示して、その機運をつくるようなふうにいたしたいと考えております。決してその問題を無視したわけではないのですが、あまりに政治的にむずかしい問題でありますので、十分に検討いたした上で、もうしばらく時をかしていただきました上で、結論を得て、勧告案を出すというつもりでおりますから、どうぞ御了承願います。
○前尾委員長 それでは本日はこれにて散会いたします。 午後三時五十一分散会