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10回国会衆議院1951/07/27

大蔵委員会 第61号

発言数
42
登壇者
6
会派数
2
開催日
1951/07/27

会議録

三宅則義自由党

○三宅(則)委員長代理 これより会議を開きます。  本日は閉会中審査事件のうち、徴税及び納税状況に関する件を議題といたします。本件及び金融状況に関する件の両件につきましては、委員を各地に派遣して調査をいたした次第でございますが、派遣委員の調査報告につきましては、各班から委員長の手元に提出されておりますので、これを委員長の手元においてまとめ、議長のもとに閉会中審査報告を提出いたしたいと存じまするが、この点御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三宅則義自由党

○三宅(則)委員長代理 御異議がないようでありますから、さよう決定いたします。  それではこれより質疑を許します。清水君。

清水逸平自由党

○清水委員 納税及び徴税についての議題でありますが、まず最初に主税局長から税金の徴収状況、それら一般について御説明を願いたいと思います。

三宅則義自由党

○三宅(則)委員長代理 清水君に申し上げまするが、あとで国税庁長官高橋衛君が御出席になりますから答弁いたさせます。  なお主税局長は先般来、アメリカ並びに英国各地をまわつて参られましたからして後刻その方面に関しまして、税務その他についての御意見を承りたいと存じますが、ほかに何か根本的の税制改革等についての御意見があろうと思いますから、幸いに泉課長も来ておりますから御質疑を願います。

清水逸平自由党

○清水委員 これは主税局長にはあるいはと思うようなことでありますけれども、先般の税制改革において資本蓄積を主眼とする所得税、法人税の改正がありました。しかしまだこれは私らが考えては足らぬじやないか。わが国の産業上資本蓄積が十分にできないことはもちろんでありますが、政府が思つているような効果が現在の税制においては出ない状態である。もう一段と減税をして、資本の蓄積に充てるべきではないか、こういうような私は見解を持つておりますが、今のままで行つたならば、とうていまだ資本蓄積なんかできない。昔のような状況にもどることはとうてい望めない。そこでこの資本蓄積ということは、税金でもつて大蔵省が取上げちやつているから、国に蓄積されてあるべきものじやないかそうすると、国民が自己の資本蓄積でなしに、国がこれを補つてやるべきじやないか、こういうふうに思つておりますが、今後の資本蓄積に関して大蔵省としての御意見を承りたいと思います。

平田敬一郎大蔵事務官(主税局長)

○平田説明員 戦後の復興をはかるために資本蓄積の重要なことにつきましては、たびたび強調いたしておる通りでございます。私は前回とりました措置のうち、少くとも会社関係と申しますか、会社の社内留保を増加せしめることによつて会社の内部におきまして資本の蓄積をはかるという点につきましては、相当目ざましい効果を上げつつあるように、実は見受ける次第でございます。再評価によりまして減価償却がふえましたが、特別償却の方法あるいは償却年限の改正等によりまして、相当の効果を上げ得るようなことになつているのではないか。なおしかしそういう面につきましても、特別な問題については今後も妥当な方策を講じて行くべきものだと考えます。総体こして見ますと、一面においては会在り成績がよくなりましたのと、他面におきましてはそのような政府の政策がある程度きき目を現わしまして、相当の効果をまさに発揮せんとしつつある状態ではないかと考えます。  問題は個人の所得の方だろうと思いますが、これは御承知の通り何といつても所得税が相当重いように見受けられまして、これを軽減することがやはり一番重要な問題ではあるまいかということで、目下補正予算並びに来年度の予算編成方針と関連いたしまして、この問題を取上げまして、大蔵省としましては実現方をはかるように、鋭意研究いたしているところでございます。なおそれに関連しました個別的な、たとえば株式の譲渡所得の問題とか、あるいは銀行の預金課税の問題とかいう問題もございますが、そういう問題につきましても、それぞれ最近の事態に即応しまして、より一層改善がなし得るかどうか、あわせて研究いたしております。そういたしまして、できる限り資本の蓄積をはかりまして、経済の復興に資し得るように行きたい。そう行かなければならないということで研究いたしております。いずれ適当の機会におきまして具体案をつくりまして、御審議を煩わすようなことになるのではないかと思つております。今の段階といたしましては、その程度のことよりお答え申し上げることができませんことを、御了承願いたいと思います。

清水逸平自由党

○清水委員 御答弁である程度了承いたしましたが、やはり税金が高い。もうけたらみんな税金に持つて行かれるんじやないか、こういう思想が一般に強い。そういうことが思われているために、場合によるとやはり経費として使つた方がいいんじやないか、こういう考えを持つている企業家が相当あるように思います。たとえばある程度の利益金を出すより、経費として使つちやつた方がいい、そういう考え。それでこの間の両国の花火なんかに行つてみますと、これは話が少しわきへそれるかもしれませんが、あのさじきが一坪八千円ずつであります。その八千円が買われたのは大会社、大企業家がみんなそのさじきを買つている。花火を一晩見るのに一坪八千円、地所が買われるような値段のさじきを大会社、大企業家が買つている。そこへ行つて花火を見ている連中は銀行屋と役人である。こういう現象がつい先ごろもあつたのを私は見て来たのでございますが、大きい企業家になると、利益として計上するよりも、経費として切落してしまいたい、こういうような考えがあるようであります。それは税金が高過ぎるからだろう。もう一段の減税が必要であるのではないか、こういうふうに考えます。経費を見る場合におきまして、資本の大きいものと小さいものとの比率やなんかで、税務署は見ておるようである。そのために、小さい企業では経費として見るべきものがないけれども、大企業においては相当いろいろな経費が使われる。その結果今申し上げたような事実が起つておるように思いますけれども、経費の内容にわたつて税の対象を十分検討する必要がありはしないか。今の徴税のあり方から見ますと、資本額とか売上げの額等に比して、ある程度の率の経費を認めるというような御方針のように承つておりますが、この点について経費の実際の程度、内容にわたつて、経費とすべきかどうかを見ることが至当ではないかと思いますが、これに対する御意見を承りたいと思います。

平田敬一郎大蔵事務官(主税局長)

○平田説明員 会社が最近相当好況でありまして、どうも本来の必要以外の方面に少し使い過ぎているのではないか、こういう御非難のように受取つたのでありますが、私どもにもそういう声が大分耳に入つております。今のお話としましては、経費を見る場合に内容をよく見て査定したらどうかということでありますがごもつともで、ございまして、やはりその会社の経費につきましては、よく内容を取調べまして税金をきめる。しかしはつきりわからぬような場合ににおきまして、今お話のように外形的な基準で税金を一応きめる場省もあろうと思いますが、できます限り、内容をよく調べてきめるよりほかないと思います。しかしその場合におきまして、会社が自己の広告とか宣伝とか、あるいは会社のために会社の名において経費を出す場合におきましては、これを否認するというわけには、今の税法で参らないのであります。そういうものに対して、例か一定の基準を設けて否認したらどうかという考えもございまして、私どもそういう問題も取上げて研究してみたのでございますが、今御指摘の通り売上金額の何パーセントといたしましても、必ずしも実情に合わない。資本金の何パーセントといたしましても、なかなか実際に即さない。しからば会社の経営上必要なりやいなやという抽象的基準をつくりまして、それで税金をきめざせるということになりますと、これまたえらく見解の差で争うようなことになりまして、なかなかむずかしい問題のように見受けるのでございます。従いまして、この点につきましては、社内留保、償却等に極力振り向けると同時に、法人税の税率も個人の税金等に比べますとそう高くないと思いますが、やはり結局におきましては、会社の自粛と申しますか、そういうことによつて解決するのが一番よいではないか。どうも税法なり、あるいは戦時中のような経理統制みたいな行き方で行きますことも、なかなかむずかしいところがあるのではないかということを感ずる次第でございます。今の問題はなかなかむずかしい問題でございますが、それを防ぐよい方法があるかということになりますと、なかなか簡単には行かないということを御了承願いたいと存じます。

三宅則義自由党

○三宅(則)委員長代理 本日は平田主税局長並びに高橋国税庁長官、泉主税局調査課長の主君が御出席でありますから、徴税その他に関しまして御遠慮なく御質問を願います。

高間松吉自由党

○高間委員 一言国税庁の方にお伺いしたいのですが、前々の国会でしたか、いろいろ問題になりました薪炭特別会計、ああいつたふうないろいろの会計の跡始末について、国税徴収法によつてやれということが可決になつておりまして、税金と同じような態度でやつて来る。もちろんそれは国に対する債務でありますから、それに対してとやこう言うべき筋合いのものではありませんけれども、現在やつております農林省の薪炭特別会計の跡始末につきましては、国税庁にまわす以前に、業者と債権債務者との間に三者和解等の処置を講じて、それから国税庁の方にまわしておるようですけれども、その点にきまして、国税徴収法でやる以外に、何かうまい方法を講じて、時期をかして徴収するというような方法のお考えがありますかどうか、お伺いしたい。

高橋衛国税庁長官

○高橋説明員 ただいまの御質問の点がどうもはつきり私のみ込めないのでございますが、薪炭特別会計のあとの清算でありましたならば、その清算につきまして、国境徴収法を準用するというようなことがあるいはあつたかと存じますけれども、その整理そのものは国税庁または大蔵省の主管ではありませんので、それぞれの所管の省においてやつておるかと存するのであります。事実薪炭特別会計の清算につきましては、私どもの方で全然承知いたしておりませんから、そちらの方にお願いしたいと思います。

高間松吉自由党

○高間委員 そういうような方法でやつていただく方法がないかというのです。その係でやつて、それからあとは国税徴収法の方にまわしてもらう、こういうような方法でやつていただくような方法はないかというのです。というのは、薪炭特別会計以外に、いろいろ値上り差益の、二十二年度、二十三年度、二十四年度、そういつたものがたくさんあります。前々国会のときにもいろいろ問題があつたのですけれども、二十二年度はやれまけたとか、あるいはとらないとか二十四年度はとらないけれども、二十三年度だけはとるのだというような、いろいろな問題が業者間にたくさんあります。けれども、二十三年度の帳簿になつておつても、実際には二十年度の末期に終了したものであつて、それを処置することができなくて年数がたつて、そのうちに二十三年度に繰入れられたというような、そうした値上り差益によつて各自債権を持つてあえいでおります。ことに整理業者などはそういうものがたくさんありますので、この方法がどういうふうになつて来るだろうというので、私どもの方にいろいろ照会がありますけれども、その点所管のところでいろいろの状況をつまびらかに察知して、それによつて方法を講じた上で、徴収についてのみ国税庁の方にまわすという便法というか、何らかの措置が講ぜられる方法がないかというのが、私のお伺いしたい点であります。

高橋衛国税庁長官

○高橋説明員 価格差益に関する事務は、昭和二十五年度から国税庁に物価庁から移管されたのでございます。しこうして移管されました際におきましては、私ども事務当局間の打合せといたしましては、差益に関するところの、つまり決定に至るまでの仕事は、全部それまでに完了して移管するという建前で、実はお引受したのでありますが、なお訂正を要する部分がございまして、実はまだ未決になつて決定をしてなかつたというふうなものがございまして、最近までそういうふうな決定事務が、わずかなものでありますが、幾分未決の分が残つております。しかしながら価格差益事務のほとんど大部分は、もうすでに完全に決定されて、その後の徴収に関する仕事だけが、私どもの仕事に残つておるのであります。しこうしてその仕事につきましても、もうほとんど大部分が完了いたしまして御承知かとも存じますが、昭和二十六年度の予算といたしましては、わずかに十五億円を予算上予定しておる程度にすぎないのであります。従つてこの八月一日からは、各局に今まで置きました価格差益誤というものを廃止いたしまして、全部徴収法の案に一本に合体してしまう。しかも過去に紛争のありましたもの、または懸案になつておりましたものは全部片づけて、完全な徴収の段階に持つて行くということで、ただいま仕事を進めておる次第でございます。

深澤義守日本共産党

○深澤委員 暑いので簡単に二、三点国税庁長官にお伺いしたいのであります。先般四国地方に参りましたときに、四国の国税局の話によりますぐ本年度は申告所得税の申告額を、一五%程度去年よりも増加するという見込みでやつておるという話を聞いたのであります。業者の方の懇談会におきまして、いろいろな意見を聞きますと、四国の現在の経済では、そういう見方は納得ができないというような意見でありました。これは国税庁の方で大体全国的にも一五%程度の所得増を見込んでおられるかどうか。その点をひとつお伺いしたいのであります。

高橋衛国税庁長官

○高橋説明員 税の調査をいたしまする際に、あらかじめ今年はどの程度所得の増があるはずだというふうな先見を持つてかかりますと、間々誤る場合がございますので、私どもとしてはそういうふうないろいろな統計数字からいたしまして、予算の見積り等をいたします際にはそういうことはいたしますが、調査の前提としてそういうふうな先入観をもつて当るというふうなことは、避けておる次第であります。

深澤義守日本共産党

○深澤委員 長官としてはそういうお答えがあるだろうと私は思つておつたのですが、しかし最近における大蔵大臣の新聞発表によると、一千億の自然増ということが発表されております。しかし今日の日本の経済界において、そのような自然増はなかなか困難であると私は思う。やはり相当確定した方針によつてやらないと、そういう一千億近い自然増ということは期待できないと私は思う。そこに何らか国税庁あたりが強硬なる徴税方針を持つておられるのではないか。それがそういうぐあいに一五%の所得増というような形になつて現われて来ておるのではないかとわれわれは考える。この点はいくら追究してもおそらくおつしやらないと思います。  そこでもう一つお伺いいたしたいことは、私は東北その他をまわつてみますと、最近における農耕地に対する差押え、競売が行われておるのであります。先般の国会におきまして、国税徴収法の改正によつて、農機具等の差押えをしないことを決定したのであります。これは私は長年そういう主張をして参りまして、国税徴収法の改正によつて嘗められたことはけつこうであると思うのです。農業の生産用具を差押えすることを禁じたような趣旨をもつと拡大いたしまして、一番重大な農地の差押えをするということは、日本の現在当面する食糧の解決の根本を、私は脅かすものであると考える。法的にはあるはい差押えすることが可能であるということがあるといたしましても、農耕地の差押え競売をするということは、これは私は国策として非常に大きな誤りであると考える。この点に対する長官の法的な見解、あるいはその問題に対する今後の処置そういう問題についての御所見をお伺いしたいと思う。

高橋衛国税庁長官

○高橋説明員 先般国税徴収法を改正いたしまして、差押え禁止物件の範囲を相当拡大いたしましたが、農耕地だけはその禁止物件に入つておりません。従つて法律的にこれを差押え処分することは、何ら違法ではないと考えております。ただでき得れば、そういうふうなものをあとの順位にまわして、これを避けて行くということは、ただいまお話のありましたような趣旨におきまして妥当であろうと考えるのでありますが、ただ間々相当に悪質な滞納者であつて、そういう者のみに現実には適用するという場合がありますので、これを絶対に差押え処分しないということは、いかがかと思うのであります。

深澤義守日本共産党

○深澤委員 しからばその土地の差押えをし、競売をいたしま、た場合に、競落者がない場合にはその処置をどうされるのか。それから競売をした場合において、今までの耕作者が新たなる競落者にその土地を引渡すというような関係になつて来るのでありますが、この問題は現症の農地法の耕作権の保護という問題から、非常に私は問題が起きると思うのです。そのときにおける処置はどういうぐあいに処置されるのか。その点をひとつ具体的にお伺いしたいのでしあります。

高橋衛国税庁長官

○高橋説明員 たしか農地の売買は農地調整法その他の改正によりまして、自由になつたと考えるのであります。その農地の所有権の問題と耕作権の問題は、全然別個の問題でございまして、その間の処置は私は実は詳しく研究しておりませんので、研究いたしました後にお答えいたします。

深澤義守日本共産党

○深澤委員 そういたしますと、競売が行われても競落者がなかつた場合には、その土地は一体国家が所有して行くという形になりますのか、その点をひとつ……。

高橋衛国税庁長官

○高橋説明員 現在の法律の建前上、それを競落者がない場合に国有地にするというふうにはなつておりません。従つて競落者のできるまで、何回でも競売するというよりほかに方法はないかと私は考えます。

深澤義守日本共産党

○深澤委員 今長官のお答えによりますと、競落者があつた場合には、所有権は移すが、耕作権は元の耕作者に残しておくという、この農地法の建前を尊重するのであるということについては、間違いはございませんか。

高橋衛国税庁長官

○高橋説明員 その間の法律問題については私詳しくございませんので、法務府なりその他の法律関係の責任ある官庁からお答えすることにいたしたいと思います。

深澤義守日本共産党

○深澤委員 この点現在相当の件数があるのであります。これは農民問題としても非常に重要な問題になつて来る可能性があるのであります。従つてこの点は十分に御研究くだすつて、次回の委員会に詳しくお知らせを願いたいと思います。

三宅則義自由党

○三宅(則)委員長代理 深澤君に申しますが、今の点は大蔵委員会その他法務委員会等にも相談いたしまして、適当なる機会に御答弁を求めますから、さよう御承知を願います。

清水逸平自由党

○清水委員 冒頭に伺つたのですが、朝鮮景気によつて企業の利益は相当よくなり、そうしていよいよ決算をして納税する時期になつたならば、景気が悪くなつて来て非常に金詰まりになり、物価の下落によつて業者のふところぐあいが非常に悪くなつた。こういう時勢に立ち至つておりますときに、今日までの徴税の状況または今後の当局の徴税の見通しについて伺いたいと思います。

高橋衛国税庁長官

○高橋説明員 三月の末から漸次繊維製品を先がけといたしまして、相当大幅な値下りを見た商品もあるのでございます。しかしながら徴税の面におきましては、割合に順調に収入されて参りまして、七月十日現在におきましては、全部で予算が四千四百四十五億円でございますが、それに対して千二百十六億円の収入済みに相なつております。年間の総予算に対しまして二七・四%というパーセントに相なつております。これを昨年の同期に比較いたしますると、昨年の同期が一六・七%でありますので、一〇・七%だけ本年はすでに上まわつておるという状況であります。しこうしてその収入のうち、一番こういうふうな好転を見せました大きな税目は法人税でございまして、法へ税はすでに予算六百二十六億に対しまして、四百九十六億円収入済みでございます。予算に対して七八%の収入を見ておるという状況であります。その次には一般に雇用計数が上りましたこと、それから賃金が上りましたこと、この二つが影響円いたしまして、源泉所得税が相当上つております。これの収入歩合口が三二・三%であります。前年の同期は二一・五%であります。そういうふうな法人税、源泉所得税におきまして相当にいい成績を見せておりまするので、全体としても今までのところ収入実績は、きわめて順調であると申し上げていいかと思います。しこう、して繊維製品等の値下りが、はたして税にどの程度の影があるかという面につきましては、的確な調査はいたしてございませんけれども、おもなるメーカー等について税の納付状況を調べてみますると、わずか遅れておる会社もございまするけれども、大部分は納期にきちんと納まつているようであります。もちろん間々その期の収益を、または所得を、新しい投資に振り向ける等のために、結局納税資金に非常なきゆうくつさを感ずるというふうな会社にありましては遅れておる。またはそれらの収益を思惑資金にまわしたというような場合におきましては、非常に遅れておりますが、ただいまのところそれが納税にきわめて深刻な影響を与えているという状況には、至つてないと考えるのであります。

清水逸平自由党

○清水委員 納税については非常に明るい見通しでけつこうと思います。しかしこれからさき相当に金詰まりによる深刻な面が現われて来るのではないかと私どもは見ております。  もう一つ、ついでにお伺いしておきますが、国税徴収法の改正によつて滞納税金に対する加算税と申しますか、日歩十銭を四銭に下げて、十銭で徴収したもりをある程度払いもどされたような趣を聞いておりますが、この場合に、たとえば悪質であつたものは払いもどしをしないとか何とか、そういう大体のわくがあつたように聞き及んでおりますが、どういう状況のものに払いもとされ、またどういう状況のものに払いもどしをしなかつたか。これをお伺いしたいと思います。

高橋衛国税庁長官

○高橋説明員 先般の国税徴収法の改正で、附則の二十一項に、すでに納付になりましたところの加算税等につきましても、十銭のものを四銭に軽減することができる。しかしながらそれが詐偽その他の不正の行為によるところの更正決定に基くものである場合においては、この限りではないという規定になつたのであります。しかしてその申請の期間が六月三十日までと相なつております。それまでの間私どもは、たとえば新聞その他私どもの出しております。「税のしるべ」等にも、非常に大きく記事を出しまして宣伝をやつているのであります。まだその結果を集計する段階に至つておりません。いましばらく時間がかかりませんと各税務署、各局でどの程度の数字になつたかという内訳の数字はわかりませんで、御了承を願います。

清水逸平自由党

○清水委員 その場合に詐偽または不正行為のものには、払いもどしをしないということでございますが、その解釈について、あるいは査察によつて税金を掘り出されたものは返さないというような、何か規定でもあるのでありますか。

高橋衛国税庁長官

○高橋説明員 これは査察にかかつた事件とかなんとかこいうことではないのでありまして、その隠匿された、または漏れておつた所得が悪質のものであるかどうか。たとえば修繕費の見方が違つておるのか、減価償却の率の見方が違つておるとかというものは、これは悪質とは全然見ておりません。しかしながらたとえば裏帳簿があつて、所得を隠匿しておるというような種類のものは、これはたとえば査察にかかつていない場合におきましても、悪質であるというふうに見ております。

三宅則義自由党

○三宅(則)委員長代理 ほかに御質疑はございませんか。——御質疑がなければ一、二委員長から申し上げます。  過日国政調査をいたしました際、福岡に参りましたときに、福岡県庁、福岡国税局におきまして、密貿が非常に多いということを言つておりますが、これに対してどういうような対策がありますか。もしおわかりでありましたならば、その対策、密貿易に対する防止方法を伺いたいと思います。九州は朝鮮に近いという関係もありますが、対馬、壱岐を通じまして、夜隠に乗じてしばしばそういうものが入つて来たり、出たりしておるということを言つておりますが、これに対して大蔵管は何か対策がありましようか、伺いたいと思います。

平田敬一郎大蔵事務官(主税局長)

○平田説明員 密貿の問題は、先般関税法を御審議願います際におきましても、非常に重要問題として考えまして、いろいろ対策を講じておるということを申し上げたのでございますが、たしか先般の国会で監視官吏を御増員願いまして取締りの強化をはかることといたしまして、目下その充実に努めつつあるというのが一つでございます。その他税法のこまかい規定等も改めまして、極力密貿の防止に当ることにいたしておる次第でございますが、何しろ朝鮮、台湾等は、従来は密貿に関係なかつたのでありますが、戦後新しくああいう方面から持つて来るものは、密貿になるというような関係になりまして、なかなか問題が簡単でないようであります。そうしてこれはひとり税関の力だけでは、どうも解決つかない問題がございますので、海上保安庁、一般の警察その他等ともできる限り連絡をとりまして、強化に当ることにいたしておるのでございます。しかし今の一般的情勢は、なかなかうまく実効を上げるまでに至つていないというのが、現状であろうと思います。本日、最近の密貿の資料を手元に持つて来なかつたのでありますが、もしもこの問題につきまして相当御関心でございますれば、他の機会にさらに資料並びにその方面の担当官が一緒に来まして詳しくお話をし、さらにあるいは御意見等によりまして、妥当な措置を講ずるように努めて参りたい、かように考えております。

三宅則義自由党

○三宅(則)委員長代理 今、主税局長の言われました通り、密貿に関しましては関心もあり、普通の産業といたしましても重大な影響があると思いますから、また次の機会に有力な資料並びに対策等を講ぜられまして、一般貿易の順調なる回復と、わが国の産業に寄與、貢献するように努力されたいと思います。  次は熊本の国税局に参りました際、国税局長勧の係官から聞いたことでありまするが、南九州におきましては相当密酒、いわゆる密造酒がある、こういうことを聞きまして、その対策には、昨年よりは本年は幾らか密造対策費が増されたと言つておりますが、なお足りぬということを聞いたのでありますが、はたして政府はこれに対しまして対策を持つておるかどうか。もう少し厳重にやつてほんとうの正常な酒を流通するようにしたらよろしいと思いますが、これに対する真相並びに対策を御発表願いたいと思います。

高橋衛国税庁長官

○高橋説明員 密造の取締りに対しましては、昨年来非常な努力をこれに傾注しておるのでありまして、幸い昭和二十四年度において取引高税が廃止になりまして、各局並びに税務署の段階におけるところの関税関係の職員は、もつぱら密造の取締りに没頭することができるような段階に相なつておるのであります。しこうして密造取締りに要するところの諸雑費と申しますか、経費につきましては、前年度に対しまして二倍半程度の経費を増加いたしました。一般経費の増加と職員もこれに没頭できるというような両方の条件が相まちまして、二十五年度におきましては、二十四年度に対しまして二倍以上の検挙件数を示しておりまするし、また取締りも相当徹底して参つておると考えるのであります。あたかも昨年の十二月に酒税の引下げによるところの酒の値下げがございましたので、とれもまた密造の防止にある程度いい影響を與えまして、従つて以前よりは密造の程度が相当少くなつて来たというふうに私どもは見ておるのであります。しかしながら今日しかちばこれで十分かと申しますと、私どもの考えから申しますれば、まだまだほど遠いものがあるのでありまして、至るところに密造のいろいろな情報も受けまするし、また実際調べてみますると、相当数の密造が発見されたという状況であります。先般も全国的に密造の取締りをいたしまして、相当顕著な実績を上げておるのであります。お尋ねの、現在の密造取締費で十分かというお尋ねに対しましては、これはどの程度までやつたらいいかという問題と関連するところの程度の問題でありまして、あるいはきわめて不十分であるとお答えすることが妥当であるかもしれないし、またあるいは日本の国家の財政の関係からしまして、この程度で今年度はがまんするよりしかたがないのではないか、こういうふうな考え方もあり得ると思うのであります。いずれにしろ酒の収入にも相当影響いたしまするし、国民道徳の面から考えましても、また衛生上の見地から考えましても、密造の取締りということに関しましては、国家的に相当大きな力を注ぐことが必要であると私どもは考えておりまするので、今後でき得る限りこれらの経費を増すことによりまして、さらに密造の取締りの徹底を期して行ぎたいと考えております。

三宅則義自由党

○三宅(則)委員長代理 もう一点だけ申しまするが、かねて鹿児島のタバコ塩売局をまわつた際も、タバコ値下げによりましてたいへん売れ行きがよろしい、また品質も良好になつたというわけで、国民も喜んでおるということを聞いたのでありますが、これと同じように酒の方も昨年の十二月に値下げいたしまして、二級酒も大分安くなつたのであります。もう一段と下げてもらいたいという陳情もあつたわけでありますが、政府といたしましては将来酒、二級酒並びにしようちゆう等につきましては、ある程度下げられる御方針を持つておられるか。どんなものでしようか。偽らざるところの実相でけつこうですから、御発表を願いたいと思います。

平田敬一郎大蔵事務官(主税局長)

○平田説明員 酒につきましては昨年の十二月から引下げまして、相当な効果を発揮しつつあるように私どもも承知いたしております。今後どうするかという問題は、これまたなかなか問題がありまして、希望的な私どもの考え方といたしましては、やはり酒の正規の生産数量をふやしまして、税率といたしましては引下げて参りたいという基本的な考え方は現在も持つております。ただ問題は酒原料としまして、ことに清酒が非常にまだ戦前に比べると減産になつております。戦前の米の消費量は大体四十万石程度でありましたものが、ことしは若干ふえまして約六十万石程度でございます。これを今後どの程度ふやすことができるかどうか。これに私はかかつているのじやないかと思います。食糧事情が緩和されまして、相当増産ができるということになりますれば、これは私はやはり酒税の税率等も引下げまして、税収入を確保しつつ、さらに密造酒の駆逐等もはかるということに行くべきではないかというふうに考えておるのでありまして、大勢としてはそういうような方向に持つて行きたい。また全然不可能ではあるまいと考えておりますが、目下のところまだ具体的に来年度どうするかということになりますと、申し上げ得る段階に至つていないのを遺憾に存ずる次第でございます。ただ基本的にはかように考えておりますので、そういう方向に客観情勢が参りますれば、できる限り実現し得るように努めて行きたい。今の段階ではまだしかしどうもはつきりした見通しを申し上げる段階に参つてないというのが、率直に言つて現状ではなかろうかと存ずる次第でございます。

三宅則義自由党

○三宅(則)委員長代理 了承いたしましたが、つけ加えまして一言申し上げます。酒もやはり価格が安くなりますれば、密造は従つて駆逐されるという段階に至ることは当然だろう、かように思うわけでありまして、タバコの密造もだんだん減つて来たようにも聞いておりますから、そういうような機会の一日もすみやかに来らんことを希望いたしますが、政府におかれましても、十分にひとつ御研究なすつていただいて、来国会等にはぜひ出すような勇気と努力を払われんことを、特に希望申し上げます。  もう一つ国税庁長官に申し上げておきますが、福岡の国税局並びに熊本国税局を見て参りましたが、たいへんに今までとは違いまして、更正決定はほとんどなく、申告是認ということが多いということを聞いておりましたが、特に福岡並びに南九州の熊本では、全国でも更正決定が少いことにおいては相当有力な方であろうと言つて、ほらを吹いておりました。各局ともそういうように申告是認が多いと思いますが、その真相をひとつこの際本委員会を通じて委員各位に発表せられたいと存じます。

高橋衛国税庁長官

○高橋説明員 昭和二十四年度の申告所得税につきましては、納税義務者の総数が八百万をちよつと越えておつたと思うのであります。それに対して更正決定をいたしました数が四百十八万、歩合で申しますと五割三分の人に対して、更正の通知、または決定の通知をしたということに相なつております。従つてこの更正決定いたしましたものにつきましては、その後再調査の請求なり、審査の請求なりによりまして、相当長く未決の状態、紛争中の状態というものが続き、しかもそのために非常に滞納もふえ、税務行政全般としても非常に憂うべき状態に相なつておつたのであります。昨年これらの点について、いろいろと私どももそのやり方について検討を加え、また率直に反省もいたしまして、そうして税務行政のあり方というものは、根本的には納税者を信頼し、また納税者からも信頼される相互の信頼関係が確立されるのでなければ、税務行政はよくならないのだという建前のもとに、やり方を根本的にかえてみたのであります。その結果といたしまして二十五年度の申告所得税につきましては、納税義務者の総数が、ただいまここにはつきりした数字を持つておりませんが、あるいは多少の差はあると存じますが、概数で四百四十万程度に相なつておつたと思います。それに対して更正決定の総数が約三十万程度であると思つております。更正決定の総数も非常に少いのでございます。従つてそれに関連するところのいろいろな紛争参もきわめて少く、昨年の今ごろ各税務署をまわつてみますると、相当納税者が押しかけておりまして、なお騒然たる様子を示しておつたのでありますが、本年はどこに行きましても、わずかな人が見えて、実に静かな、なごやかな風景で話負いをしておられるという状況でありますので、私ども非常に喜んでおる次第であります。今後もこういうふうな、いわば納税者を信頼し、相互にほんとうに親切に親しみのうちに、税務行政を円滑に遂行するというやり方をさらに推し進めまして、そうして滞納を整理し、税務行政を正常なと申しますか、ほんとうに健全な基盤の上に確立したいと考えて、ただいま努力している次第であります。

三宅則義自由党

○三宅(則)委員長代理 ただいま主税局長並びに高橋国税庁長官から答弁がありました、南九州をまわつた際、親切、公平ということが長官の手で書いてあつたのでありますが、そのことは最も当然でありまして、大分の税務署にまわつた際もそういうことを言つておられましたが、ぜひそういうことは全般の税務署、各官庁にも徹底したいと思いまするから、今後も主税局長並びに高橋長官の言われましたこの事柄は、ずつと下々の各官庁、ことに税務署にも徹底するように伝達せられて、円満なる行政を進行せられたいと存じます。  ほかに御質疑ありませんか。——なければせつかく主税局長平田敬一郎君がアメリカ並びにイギリスに出張せられまして、該博なる知識を詰め込んで来られておりますから、この際ひとつ率直に本委員会に御発表願いたいと存じます。

平田敬一郎大蔵事務官(主税局長)

○平田説明員 委員長からの御命令でございますので、若干申し上げてみたいと思いますが、どうも御報告というようなことを申し上げるのには、ちよつと時間の関係その他がどうであろう、かと考えますので、気がつきました二、三の点だげまして、御参考にいたしたいと思います。  アメリカとヨーロッパの方と両方まわつて来たわけでありますが、国によつて大分税制も税務行政の運用も違つているという点、それも大分感じて来ました。、従いましてどういう点が違つているかというところを若干申し上げまして、御参考に供してみたいと思います。  その前に、当面の問題としましては、どうもどこに行きましても、あまり聞きたくない増税の問題が一番やかましい問題になつていたようです。アメリカでは、もう日本の新聞にもたびたび載つておりますので御承知の通り、大統領が百億の増税を勧告しまして、下院の歳入委員会は連日審議しまして、非常な熱心な審議でありましたが、七十億程度の増税を結局採択するのではないかというのが、私が行きました当時の見通しでありました。そこまで行きますれば、増税としては相当なものだという感じを持つている人が、大部分のように見受けて来ましたが、所得税、法人税、間接税を通じまする増税案を、日本の大蔵委員会に相当しまする下院の歳入委員会で、きわめて熱心に連日討議していたような状況であります。それからヨーロッパにおきましては、イギリスがすでに方針を決定しまして、五一年度の財政計画としまして、これまた相当な増税計画を盛り込みました財政法がちようど国会にかかつておりましてこれも非常に熱心に討議が続けられていたような状態でございます。それで所得税の増税、利潤税の増税、酒の増税といつたようなおもな税の増税をはかると同時に、調査の権限の強化等の規定についても相当思い切つた規定も入つておりまして、そういうものにつきまして国会で非常な問題にして、熱心に審議されていたような状態でございます。ヨーロッパのその他の国々におきましては、まだ再軍備あるいは軍拡に伴う具体的な財政計画は立つておりませんでしたが、当局者に聞いてみますと、みんなどうも減税どころの騒ぎではない、増税をせざるを得ないだろう、フランス等ではおそらくこの問題が新しく選挙後にできました内閣の最大の問題で、大蔵大臣のいすはなかなかむつかしいのではないかというような話も聞いて参りましたが、やはり再軍備、軍拡に関連いたしまして、増税いたし方なしという声のようでございました。ドイツにおきましても同僚、イタリアにおきましても同様であります。ただイタリアだけは、最近までも予算の二割五分程度は赤字公債を発行してやつております。  これは今後もやはり全部黒字にすることはむずかしいだろうといつておりましたが、これはちよつと注目すべき点でございます。基本的にはいずれもそのような点を問題といたしましてと、それが国内の経済並びに政治問題といたしまして、最も重要な国内問題になつておるという状況のようでございました。  それから税制につきましては、皆様ももう御承知かと思いますが、アメリカ、イギリスが直接税中心主義であるのに対しまして、ヨーロッパのフランス、イタリアといつたような国は間接税中心主義と申しますか、名実ともに間接税中心主義と言つていいと思いますが、間接税中心主義の税制によつております。ドイツはちようどそのまん中にあるといつてよいかと思いますが、イタリアが一番間接税に多く依存しておりまして、税収入の八割近くを間接税でまかなつておる。大陸の間接税は大部分がいわゆる取引高税系統の租税である。イギリスの間接税は相当高いのですが、イギリスにおいてはいわゆる奢侈重課と申しまして、日本の物品税に相当する仕入税というものがありまして、これが最高一〇〇%程度課税しております。六六%、三三%というように数段階にわかちまして、あらゆる商品の奢侈の程度に応じて税率に差を設けて課税する。必需品には免税する。こういう税でこれも相当の収入をとつておりますが、これに対しまとて、イタリア、フランスにおきましては、大体取引高税系統の間接税、すなわち米とかパンとかミルクだとか、最低必需品を除きましたあらゆる商品、及びサービスに対するフラットな課税、これで相当巨額な収入を上げております。フランスは一%の取引高税のほかに、生産者の段階とサービス業に対してだけ課税しますところの生産税というものがございますが、これは一律に税率一二・五%である。所得税よりも何よりも、最も大きな収入を上げておるようでございます。イタリアにおきましては取引高税の税率が三%、これは全部の取引に課税するので、これがやはり最大の税収を上げております。ドイツは所得税も相当ございまするし、売上税として三%の課税をいたしておりますが、両者相半ばするくらいのところではないかという感じですが、大体そういう点が非常に対照的のように感ぜられました。学者の見解を問いましても、やはり英米の学者は所得税中心の直接税主義をいずれも強調いたしておりました。これに対しまして大陸の一、二の学者、フランス等におきましては、間接税がいいのだという積極的な主張が多いのでありまして、学説としても、はつきりわかれておるということを痛切に感じましたが、この点イギリス、アメリカとフランス、イタリヤの税制の差だと思います。フランス等につきまして、どうして直接税が伸びないのかということに関して、いろいろ主として会つて話したわけですが、やはり所得税その他は、フランスの経済の現状に即しないという説明でしたが、国民の税に対する感情と申しますか、納税思想と申しますか、そういう点がやはり相当大きく響いているのじやないかということも、あわせて感じて来たわけでございます。  税務行政の方になりますと、やはりアメリカ、イギリスは税務行政は比較的うまく行つていると感じました。ことに所得税の行政を、いずれも視察の中心にいたしましたが、アメリカは専門技術的に非常に分化されておりまして、進んでおるということは確かに言い得ると思います。ただどうもいかにも多数の機関がありましてそれぞれ責任と権限を分担してやつておりますが、たとえば地方機関のごときも、日本は税務署一本で、その上に国税庁です。アメリカにおきましては、最も広い税務署に一番近い——これは税務署と訳した方がいいと思いますが、コレクター・オフィスというのがあります。そのほかに調査課だけを独立せしめまして、税務署とは別個に中央から地方にまたがつて出ておりまして、インターナル・レヴエニユー・エージェンシーという、これは相当強大な役所で、しつかりした役人をそろえまして、中以下の納税の決定をやつております。そのほかに異議の申立てをいたします場合におきましては、協議団のほかにテクニカル・スタッフといつて、中央かち派遣されてやはり相当の人物の人がいたようですが、高等の税務の知識と技術を持つた一団が異議の申立てに当つておる。そこを経て初めて訴訟に行くということになるのですが、そういう機関があります。それから査察課はまた税務署なり、さつき言いましたインターナル・レヴエニユー・エージェンシーから独立しておりまして、中央から直轄して地方に多数分駐しておりまして、これは相当また活動いたしておる。それから税務署の監督の機関といたしましては、監督官の役所が別に地方にある。そういうふうに非常に専門的に仕事がわかれまして、機関としても独立してやつておりますし、仕事を非常に専門的にこまかくわけまして、能率をとうとびまして税務署等はできるだけ機械をよけいに使いまして、少い人で能率を上げるということに努力いたしてやつておるようでございます。それに対しまして、ヨーロッパの大陸はややわが国に近く、税務署の組織が比較的小さくて、内容を見ますと、アメリカの税務のやり方と大分違つたやり方で、私どもには大分親しみやすく感じましたが、イギリスの所得税の税務署のごときは、大体職員四十五人をもつて構成する。全国ほとんど画一的に、職員の数で税務署の配置をきめるという行き方のようでした。インスペクターという大将がおりまして、その下に四十五人の職員をもつて構成して、所得税の調査と決定に当つております。現金の方はまた別途に収納する機関がある。相続税その他はまた別の役所があつてやつておる。仕事のやり方は、アメリカのように能率的でございませんが、しかしイギリスでは非常に実際的にやつておるように見受けられて、納税成績も非常にいいように聞いて来ましたが、現実もそうであるように思いました。これに対しましてヨーロッパのイタリア、フランスになると、先ほど申し上げましたように、所得税の行政はなかなかむずかしい場面に逢着しておるらしい。間接税は比較的うまく行つておるようですが、所得税はなかなか問題があつたように聞いております。  納税制度といたしましても、アメリカは御承知の通り申告納税制度ですが、イギリスはやはりわが国の昔に近い行き万でありまして、申告せしめて、税務署で調査した上で決定して、税額を通知して納税せしめるという制度をとつております。それからイギリスには一種独特の委員の制度、ローカル・コミッシヨナーといつておりまして委員の制度がありまして、その委員は選挙ではないらしい。一種の推薦制によつて大蔵大臣が任命するらしいですが、地方の名望家が委員となりまして税務署が決定する場合、あるいは異議の申立てがあつたような場合におきましては、この委員の承認を得るという手続を経る必要があるということでありました。そういう制度がございまして、アメリカとは大分違うように見受けられました。しかしこの委員は税務署長の話によりますと、実際けあまり働かないと申しておりましたが、それでも異議の申立てがあつた場合におきましては、委員のとろでさばくケースも相当あるように聞いて参りました。これはアメリカと比べまして、同じ所得税がうまく行つておりまする例でありまするが、大分違つた行き方をとつておる例のように見受けたのであります。  なおいろいろございますが、もう一つは所得税のうまく行つておるところでは、民間の公認会計士が非常によく発達しておる。これは私どもの方は大分専門家がおりますので、アメリカでもイギリスでも、その方の人々に会つて参りましたが、なるほど会つて話とてみますと、なかなかしつかりした人はかりでございました。単に税法なり会計のことだけでなくて会つてみてなるほどしつかりした人物だというふうに感じましたが、そういう専門家が多数おりましてやはり納税者のための申告書を作成したり、あるいは税務署に対して代理するというような仕事をとつておるようでございます。それで所得税がうまく行つております米英には、特にそれが発達しておる。アメリカには全国で数万人おるという話でしたが、まとまつた協会はなくてはつきりした人数はわかつておりませんが、カリフォルニア州だけで三千人ほど公認会計士がおるそうであります。ニューヨーク州にももつとおる。全国で二万名ないし三万名くらいおるだろう。イギリスでも小さい州でも一万六千名くらいチヤータードアカウンタントというものがおりまして、相当信用ある仕事をやつておりました。ちよつどした事業でありま山と、帳面の整理の仕方、そういうもをやらしております。大会社になりますと、みずからそういうアカウンタントを雇いまして、自分の使用人としてやらしておる。中小の、ことに中くしいの事業になりますと、全部そういうアカウンタントの手を通じまして、記帳の仕方なり帳面の整理等をやらせております。こういうことが所得税の円滑な納税に非常に役立つているように感じました。  なおその他税制、税務行政の上におきましても、国によつて大分違つておりまして、課税の方法等におきましても大分違つたところがございますが、あまり細目につきましては何でございますから、一通り一言だけ申し上げまして、また適当な機会がありますれば、とりまとめて申し上げてもけつこうだと思いますが、本日はこの程度にしておきたいと思います。

三宅則義自由党

○三宅(則)委員長代理 ただいま平田主税局長の欧米各国御調査の御報告がございました。非常にお暑い中を御苦労さまでしたが、何かこれに対する質疑がありましたら、簡単に質疑を許さしていただきます。——ございませんか。質疑がなければ、本日は平田主税局長並びに高橋国税庁長官、主税局の泉調査課長が御出席くださいまして、また青貝諸君にも、お暑い中を多数熱心に御質問なり御傾聴をいただきまして、ありがとうございました。本日はこの程度において終了いたしたいと存じます。明日は午前十時より本委員会を開きます。  本日はこれにて散会いたします。     午後二時五十九分散会

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